説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の製造方法における新規な平坦化処理を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体基板を有する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板の上に絶縁膜を形成する第1の工程と、前記絶縁膜に第1の穴を形成する第2の工程と、前記絶縁膜に前記第1の穴より浅い第2の穴を形成する第3の工程と、前記第1の穴に導電部材を埋め込むことにより導電部を形成するとともに、前記第2の穴に前記導電部材を埋め込むことにより平坦化補助部を形成する第4の工程と、前記導電部、前記絶縁膜、及び前記平坦化補助部を前記平坦化補助部が除去されるまで研磨することにより、前記導電部及び前記絶縁膜のそれぞれの上面を平坦化する第5の工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置において、ダマシン構造の配線を形成する工程において化学的機械的研磨法(CMP法)が広く用いられている。一般に、CMP法では、スラリーと呼ばれる研磨剤を用いて研磨を行うが、金属配線の研磨レートが絶縁膜の研磨レートよりも高い。この研磨レートの違いが、研磨された面(金属配線及び絶縁膜の上面)における平坦性の悪化を発生させることがある。具体的には、CMP法により研磨する工程において、局所的に金属配線のパターン密度の高い領域の研磨が金属配線のパターン密度の低い領域の研磨に比べて進む。これにより、エロージョンと呼ばれる平坦性の悪化が発生する傾向にある。この対策として、パターン密度の低い領域に、電気的接続には用いないダミー配線を設けた状態でCMP法による研磨を行う方法が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−071790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、研磨が完了した後もダミー配線を残しておくと、電気的接続を目的としないダミー配線を避けて配線のレイアウトを行わなければければならず、配線のレイアウトの自由度が制限される可能性がある。ダミー配線による配線間容量の増大により、配線遅延が発生する可能性もある。また、固体撮像素子では、ダミー配線を光電変換部の上方に残しておくと、光電変換部へ入射すべき光がダミー配線により遮光されてしまい、光電変換部の感度が低下してしまう。それに対して、特許文献1では、CMP法による研磨が完了した後に、ダミー配線を除去することが提案されている。具体的には、撮像素子部129の最上の層間絶縁膜127のエッチングによってダミー配線126Aを露出する凹部128を形成し、さらに、ダミー配線126Aをエッチングにより除去している。特許文献1には、凹部の底面をさらにエッチングで平坦化し、凹部に充填材を注入して周辺回路部130との高さを揃え、その後全体的な平坦化を行ってもよいことが記載されている。そのような製造方法では、最上の層間絶縁膜127の上面における平坦性を向上するための処理が全体として複雑になっている。本発明の目的は、半導体装置の製造方法における新規な平坦化処理を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの側面に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板を有する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板の上に絶縁膜を形成する第1の工程と、前記絶縁膜に第1の穴を形成する第2の工程と、前記絶縁膜に前記第1の穴より浅い第2の穴を形成する第3の工程と、前記第1の穴に導電部材を埋め込むことにより導電部を形成するとともに、前記第2の穴に前記導電部材を埋め込むことにより平坦化補助部を形成する第4の工程と、前記導電部、前記絶縁膜、及び前記平坦化補助部を前記平坦化補助部が除去されるまで研磨することにより、前記導電部及び前記絶縁膜のそれぞれの上面を平坦化する第5の工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、半導体装置の製造方法における新規な平坦化処理を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態に係る光電変換装置の製造方法を示す工程断面図。
【図2】第1実施形態に係る光電変換装置を適用した撮像システムの構成図。
【図3】第2実施形態に係る光電変換装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】第3実施形態に係る光電変換装置の製造方法を示す工程断面図。
【図5】第4実施形態に係る光電変換装置の製造方法を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、第1の層の「上に」第2の層を形成するとは、第1の層の直上に第2の層を形成する場合だけでなく、第1の層の上に第3の層を形成しその第3の層の上に第2の層を形成する場合も含むものとする。また、第1の層の「下に」第2の層を形成するとは、第1の層の直下に第2の層を形成する場合だけでなく、第1の層の下に第3の層を形成しその第3の層の下に第2の層を形成する場合も含むものとする。
【0009】
本発明の第1実施形態に係る半導体装置20の製造方法を、図1を用いて説明する。半導体装置20は、例えば、DRAMなどのメモリ装置を含む。あるいは、半導体装置20は、例えば、光電変換装置100(図2参照)を含む。光電変換装置100は、例えば、CMOSイメージセンサ、又は、測光センサ・オートフォーカスセンサなどのラインセンサを含む。図1(a)に示す工程では、半導体基板1に所定の半導体領域を形成する。所定の半導体領域は、例えば、トランジスタのソース領域やドレイン領域となるべき半導体領域を含む。あるいは、半導体装置20が光電変換装置100を含む場合、所定の半導体領域は、例えば、光に応じた電荷を蓄積すべき電荷蓄積領域と電荷蓄積領域が表面に露出することを防止する保護領域とを有した光電変換部を含む。光電変換部は、例えば、フォトダイオードである。さらに、半導体装置20が光電変換装置100を含む場合、所定の半導体領域は、例えば、光電変換部で発生した電荷が転送された際にその転送された電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部を含む。電荷電圧変換部は、例えば、フローティングディフュージョンである。そして、半導体基板1の上に下層配線2を形成した後、半導体基板1及び下層配線2を覆うように層間絶縁膜3iを堆積(形成)する(第1の工程)。層間絶縁膜3iは、例えば、BPSG、P−SiO(プラズマCVD法で形成されたシリコン酸化膜)を用いることができる。次に、第2の穴4を形成すべき領域に開口を有する第1のレジストパターンを層間絶縁膜3iの上に形成する。第1のレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜3iの表面3iaから深さD4までエッチング(例えば、ドライエッチング)を行うことにより、層間絶縁膜3iに第2の穴4を形成する(第3の工程)。第2の穴4は、電気的接続に用いない後述の平坦化補助部72を配すべき穴であり、後述の第1の穴5より浅くなる(D4<D5)ように形成される。第2の穴4の深さは、例えば、下層配線2又は半導体基板1に到達しない深さであり、その穴に埋め込まれる後述の第2の導電部材72を化学的機械的研磨(CMP)により容易に除去できる深さである。その後、第1のレジストパターンを剥離(除去)する。次に、第1の穴5を形成すべき領域に開口を有する第2のレジストパターンを層間絶縁膜3iの上に形成する。第2のレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜3iの表面3iaから深さD5までエッチング(例えば、ドライエッチング)を行うことにより、層間絶縁膜3iに第1の穴5を形成する(第2の工程)。第1の穴5は、電気的接続に用いる後述の導電部71iを配すべき穴であり、第2の穴4より深くなる(D5>D4)ように形成される。第1の穴5の深さは、例えば、下層配線2又は半導体基板1に到達する深さである。第1の穴5は、例えば、下層配線2の上面2aの一部を露出するビアホールを含む。第1の穴5は、例えば、(表面1aにおける)上記の半導体領域の上面の一部又は電荷電圧変換部の上面の一部を露出するビアホールを含む。ここで、第3の工程の次に第2の工程が行われる代わりに、第2の工程の次に第3の工程が行われても良い。第2の工程及び第3の工程では、複数の第1の穴5と複数の第2の穴4とを含む複数の穴の配列における配列ピッチが均等(等密度)になるように、層間絶縁膜3iに複数の第1の穴5と複数の第2の穴4とを形成することができる。図1(b)に示す工程では、絶縁膜3iの上面、第1の穴5の側面及び底面、第2の穴4の側面及び底面をそれぞれ覆うように、バリアメタル6iを堆積(形成)する。バリアメタル6iは、例えば、TiNの単層構造、又はTi/TiNの2層構造を含む。次に、絶縁膜3iの上面、第1の穴5の側面及び底面、第2の穴4の側面及び底面のそれぞれをさらに覆うように、導電部材70を堆積する。導電部材70は、例えば、Cu、W、Al、TiN、Ti、Ta、及びTaNの少なくとも1つを主成分とする金属又は金属間化合物で形成する。すなわち、第1の穴5に導電部材70を埋め込むことにより導電部71iを形成するとともに、第2の穴4に導電部材70を埋め込むことにより平坦化補助部72を形成する(第4の工程)。これにより、導電部71i及び平坦化補助部72を同時に形成することが容易なので、導電部71iを形成する処理と平坦化補助部72を形成する処理とを別の工程で行う場合に比べて、工程を簡略化できる。図1(c)に示す工程では、研磨材(スラリー)を用いて、層間絶縁膜3iの上面3iaが露出するまで導電部材70の化学的機械的研磨(CMP)を行う。さらに、研磨材(スラリー)を用いて、導電部71、層間絶縁膜3、及び平坦化補助部72を平坦化補助部72が除去されるまで研磨することにより、導電部71及び層間絶縁膜3のそれぞれの上面71a,3aを平坦化する(第5の工程)。すなわち、第5の工程の平坦化処理とは、導電部材70の不要な部分の除去を含む。「平坦化補助部72が除去されるまで」とは、層間絶縁膜3iの上面3iaからD72以上(D72+Dth)以下の深さまで化学的機械的研磨を行うことを意味している。Dthは、平坦化補助部72がない状態で導電部71及び層間絶縁膜3の上面を平坦化した際における平坦性の悪化をもたらさない閾値となる研磨厚さである。言い換えると、Dthは、平坦化補助部72がない状態で導電部71及び層間絶縁膜3の上面を平坦化した際における半導体基板の表面に対する研磨面の傾斜角度が許容範囲内に収まるような研磨厚さである。また、平坦化補助部72が除去されるまで研磨を行うことにより、バリアメタル6iにおける導電部71の側面及び底面以外の部分が除去されて、導電部71の側面及び底面を覆ったバリアメタル6が残される。導電部71は、例えば、その上に配される配線と下層配線2とを接続するためのビアプラグを含む。あるいは、導電部71は、例えば、その上に配される配線と上記の半導体領域又は電荷電圧変換部とを接続するためのビアプラグを含む。
【0010】
ここで、仮に、平坦化補助部72を形成しない場合を考える。この場合、導電部71の研磨レートが層間絶縁膜3の研磨レートよりも高いので、局所的に導電部71のパターン密度が高い領域の研磨が導電部71のパターン密度が低い領域に比べて進む。これにより、導電部71i及び層間絶縁膜3iの上面におけるエロージョンと呼ばれる平坦性の悪化が発生する傾向にある。それに対して、本実施形態では、導電部71iに加えて平坦化補助部72を形成するので、研磨する際における研磨装置から受ける応力が導電部71iと(導電部71のパターン密度が低い領域に配された)平坦化補助部72とへ分散する。これにより、局所的に導電部71のパターン密度が高い領域と導電部71のパターン密度が低い領域との間における研磨量の不均一性が低減されるので、導電部71i及び層間絶縁膜3iの上面におけるエロージョンと呼ばれる平坦性の悪化も低減される。特に、本実施形態では、複数の第1の穴5と複数の第2の穴4とを含む複数の穴の配列における配列ピッチが均等(等密度)になっていることに応じて、複数の導電部71iと複数の平坦化補助部72とを含む複数の部材の配列における配列ピッチが均等な間隔(等密度)になっている。これにより、半導体基板1の表面1aに沿った平面方向における複数の導電部71iと複数の平坦化補助部72とへ研磨の際に加えられる応力を均等にすることができるので、その平面方向における研磨量のばらつきを低減できる。この結果、エロージョンを効果的に抑制できる。あるいは、ここで、仮に、平坦化補助部72を残した状態で研磨を終了し、その後も平坦化補助部72を除去しない場合を考える。この場合、配線をレイアウトする際に平坦化補助部を避けてレイアウトしなければならず、配線のレイアウトの自由度が制限される。また、平坦化補助部による寄生容量の増大により配線遅延が発生することに伴い、回路動作が遅くなる可能性がある。また、半導体装置が光電変換装置である場合、光電変換部の上方に平坦化補助部を残したままにすると、光電変換部が平坦化補助部により遮光されてしまい、光電変換部の感度が低下してしまう可能性がある。それに対して、本実施形態によれば、最終的に平坦化補助部が化学的機械的研磨により除去されるので、平坦化補助部による半導体装置への電気的及び光学的な悪影響を低減できる。あるいは、ここで、仮に、平坦化補助部72を残した状態で研磨を終了し、その後の工程で平坦化補助部72を除去する場合を考える。この場合、平坦化補助部72上の層間絶縁膜3のエッチングによって平坦化補助部72を露出する凹部を形成し、さらに、平坦化補助部72をエッチングにより除去することになる。そして、凹部の底面をさらにエッチングで平坦化し、凹部に充填材を注入して凹部の周辺との高さを揃え、その後全体的な平坦化を行うことになる。このような製造方法では、層間絶縁膜3の上面における平坦性を向上するための処理が全体として複雑になっている。それに対して、本実施形態では、導電部71、層間絶縁膜3、及び平坦化補助部72を平坦化補助部72が除去されるまで研磨することにより、導電部71及び層間絶縁膜3のそれぞれの上面71a,3aを平坦化する。すなわち、第2の穴4が第1の穴5より浅い(D4<D5)ことに応じて、層間絶縁膜3iの上面3iaからの平坦化補助部72の深さが導電部71iの深さより浅い(D72<D71i)。これにより、平坦化補助部72が除去されるまで研磨を行う処理が完了した際に、導電部71iの上面が平坦化した状態になっているようにすることが容易である。この結果、平坦化補助部72を残した状態で研磨を終了しその後の工程で平坦化補助部72を除去する場合に比べて、層間絶縁膜3の上面における平坦性を向上するための処理が全体として簡略化されている。このように、本実施形態によれば、半導体装置の製造方法における新規な平坦化処理を提供することができる。なお、導電部は、ビアプラグに代えて配線を含んでいても良く、ビアプラグに加えて配線を含んでいても良い。すなわち、導電部は、ビアプラグ及び配線の少なくとも一方を含んでいても良い。
【0011】
次に、上記の光電変換装置100を適用した撮像システムの一例を図2に示す。撮像システム90は、図2に示すように、主として、光学系、撮像装置86及び信号処理部を備える。光学系は、主として、シャッター91、レンズ92及び絞り93を備える。撮像装置86は、光電変換装置100を含む。信号処理部は、主として、撮像信号処理回路95、A/D変換器96、画像信号処理部97、メモリ部87、外部I/F部89、タイミング発生部98、全体制御・演算部99、記録媒体88及び記録媒体制御I/F部94を備える。なお、信号処理部は、記録媒体88を備えなくても良い。シャッター91は、光路上においてレンズ92の手前に設けられ、露出を制御する。レンズ92は、入射した光を屈折させて、撮像装置86の光電変換装置100の撮像面に被写体の像を形成する。絞り93は、光路上においてレンズ92と光電変換装置100との間に設けられ、レンズ92を通過後に光電変換装置100へ導かれる光の量を調節する。撮像装置86の光電変換装置100は、光電変換装置100の撮像面に形成された被写体の像を画像信号に変換する。撮像装置86は、その画像信号を光電変換装置100から読み出して出力する。撮像信号処理回路95は、撮像装置86に接続されており、撮像装置86から出力された画像信号を処理する。A/D変換器96は、撮像信号処理回路95に接続されており、撮像信号処理回路95から出力された処理後の画像信号(アナログ信号)を画像信号(デジタル信号)へ変換する。画像信号処理部97は、A/D変換器96に接続されており、A/D変換器96から出力された画像信号(デジタル信号)に各種の補正等の演算処理を行い、画像データを生成する。この画像データは、メモリ部87、外部I/F部89、全体制御・演算部99及び記録媒体制御I/F部94などへ供給される。メモリ部87は、画像信号処理部97に接続されており、画像信号処理部97から出力された画像データを記憶する。外部I/F部89は、画像信号処理部97に接続されている。これにより、画像信号処理部97から出力された画像データを、外部I/F部89を介して外部の機器(パソコン等)へ転送する。タイミング発生部98は、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97に接続されている。これにより、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97へタイミング信号を供給する。そして、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97がタイミング信号に同期して動作する。全体制御・演算部99は、タイミング発生部98、画像信号処理部97及び記録媒体制御I/F部94に接続されており、タイミング発生部98、画像信号処理部97及び記録媒体制御I/F部94を全体的に制御する。記録媒体88は、記録媒体制御I/F部94に取り外し可能に接続されている。これにより、画像信号処理部97から出力された画像データを、記録媒体制御I/F部94を介して記録媒体88へ記録する。以上の構成により、光電変換装置100において良好な画像信号が得られれば、良好な画像(画像データ)を得ることができる。
【0012】
本発明の第2実施形態に係る半導体装置20の製造方法を、図3を用いて説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第2実施形態に係る半導体装置220の製造方法は、シングルダマシン構造の配線を形成する点で第1実施形態と異なる。具体的には、図3(a)に示す工程は、図1(c)に示す工程の次に行われる。図3(a)に示す工程では、導電部71及び絶縁層3のそれぞれにおける平坦化された上面71a,3aの上に、低誘電率膜209を堆積(形成)する。低誘電率膜209の上に、絶縁膜203iを堆積(形成)する。すなわち、導電部71及び絶縁層3の上に、低誘電率膜209及び絶縁膜203iを含む層間絶縁膜(第2の絶縁膜)210iを形成する(第6の工程)。次に、電気的接続に用いない後述の第2の平坦化補助部272を形成すべき領域に開口を有する第3のレジストパターンを層間絶縁膜210iの上に形成する。第3のレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜210iの表面210iaから深さD204までエッチングを行うことにより、層間絶縁膜210iに第4の穴204を形成する(第8の工程)。第4の穴204は、電気的接続に用いない後述の平坦化補助部272を配すべき穴であり、後述の第3の穴212より浅くなる(D204<D212)ように形成される。第4の穴204の深さは、例えば、低誘電率膜209に到達しない深さであり、その穴に埋め込まれる後述の第2の平坦化補助部272を化学的機械的研磨(CMP)により容易に除去できる深さである。その後、第3のレジストパターンを剥離(除去)する。図3(b)に示す工程では、層間絶縁膜210iの上面と第4の穴204の側面及び底面とを覆うように絶縁膜を形成する。電気的接続に用いる後述の第1の配線(導電部)273を形成すべき領域に開口を有する第4のレジストパターンをその絶縁膜の上に形成する。第4のレジストパターンをマスクとして絶縁膜をエッチングすることにより、その絶縁膜を、第1の配線273を形成すべき領域に開口213aを有した絶縁膜パターン213とする。絶縁膜パターン213をハードマスクとして層間絶縁膜210iの表面210iaから深さD212までエッチング(例えば、ドライエッチング)を行うことにより、層間絶縁膜210iに第3の穴212を形成する(第7の工程)。第3の穴212は、電気的接続に用いる後述の第1の配線273iを配すべき穴であり、第4の穴204より深くなる(D212>D204)ように形成される。第3の穴212の深さは、例えば、導電部71又は層間絶縁膜3に到達する深さである。ここで、第8の工程の次に第7の工程が行われる代わりに、第7の工程の次に第8の工程が行われても良い。第7の工程及び第8の工程では、複数の第3の穴212と複数の第4の穴204とを含む複数の穴の配列における配列ピッチが均等(等密度)になるように、層間絶縁膜210iに複数の第3の穴212と複数の第4の穴204とを形成する。図3(c)に示す工程では、絶縁膜パターン213をドライエッチングで除去する。その後、層間絶縁膜210iの上面、第3の穴212の側面及び底面、第4の穴204の側面及び底面をそれぞれ覆うように、バリアメタル206iを堆積(形成)する。バリアメタル206iは、例えば、Ta/TaNの2層構造で形成する。次に、層間絶縁膜210iの上面210ia、第3の穴212の側面及び底面、第4の穴204の側面及び底面のそれぞれをさらに覆うように、第2の導電部材270を堆積する。第2の導電部材270は、例えば、Cu、W、Al、TiN、Ti、Ta、及びTaNの少なくとも1つを主成分とする金属又は金属間化合物で形成する。第2の導電部材270をCuで形成する場合、例えば、電界メッキ法などにより第2の導電部材270を堆積する。すなわち、第3の穴212に第2の導電部材を埋め込むことにより第1の配線(導電部)273iを形成するとともに、第4の穴204に第2の導電部材270を埋め込むことにより第2の平坦化補助部272を形成する(第9の工程)。これにより、第1の配線273i及び第2の平坦化補助部272を同時に形成することが容易なので、第1の配線273iを形成する処理と第2の平坦化補助部272を形成する処理とを別の工程で行う場合に比べて、工程を簡略化できる。図3(d)に示す工程では、研磨材(スラリー)を用いて、層間絶縁膜210iの上面210iaが露出するまで第2の導電部材270の化学的機械的研磨(CMP)を行う。さらに、研磨材(スラリー)を用いて、第1の配線273、層間絶縁膜210(絶縁膜203)、及び第2の平坦化補助部272を第2の平坦化補助部272が除去されるまで研磨する。これにより、第1の配線273及び層間絶縁膜210(絶縁膜203)のそれぞれの上面273a,210aを平坦化する(第10の工程)。「第2の平坦化補助部272が除去されるまで」とは、層間絶縁膜210iの上面210iaからD272以上(D272+Dth)以下の深さまで化学的機械的研磨を行うことを意味している。Dthは、第2の平坦化補助部272がない状態で第1の配線273及び層間絶縁膜210の上面を平坦化した際における平坦性の悪化をもたらさない閾値となる研磨厚さである。言い換えると、Dthは、第2の平坦化補助部272がない状態で第1の配線273及び層間絶縁膜210の上面を平坦化した際における半導体基板1の表面に対する研磨面の傾斜角度が許容範囲内に収まるような研磨厚さである。また、第2の平坦化補助部272が除去されるまで研磨を行うことにより、バリアメタル206iにおける第1の配線273iの側面及び底面以外の部分が除去されて、第1の配線273iの側面及び底面を覆ったバリアメタル206が残される。第1の配線273は、例えば、電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を伝達するための信号線を含む。あるいは、第1の配線273は、例えば、所定のトランジスタ(例えば、画素の増幅トランジスタ)に電源を供給するための電源線を含む。次に、第1の配線273の上面273aと第2の絶縁層210の上面210aとを覆うように拡散防止膜216を形成する。拡散防止膜216は、第1の配線273の上面273aと第2の絶縁層210の上面210aにおける上面273aの近傍部分とを覆っているとともに上面210aにおける上面273aから離れた部分を覆っていなくても良い。これにより、拡散防止膜216は、第1の配線273の材料(例えば、金属)の拡散を防止することができる。拡散防止膜216は、例えば、SiNで形成される。このように、第10の工程では、シングルダマシンプロセスの平坦化処理におけるエロージョン(平坦性の悪化)を抑制することができる。特に、複数の第3の穴212と複数の第4の穴204とを含む複数の穴の配列における配列ピッチが均等(等密度)になっていてもよい。これに応じて、複数の第1の配線273iと複数の第2の平坦化補助部272とを含む複数の部材の配列における配列ピッチが均等な間隔(等密度)になっている。これにより、半導体基板1の表面1aに沿った平面方向における複数の第1の配線273iと複数の第2の平坦化補助部272とへ研磨の際に加えられる応力を均等にすることができるので、その平面方向における研磨量のばらつきを低減できる。この結果、エロージョンを効果的に抑制できる。ここで、均等な配列ピッチとは、平坦化処理を行った後に許容できる平坦性を確保できる程度の配列のことである。また、第1の配線273、層間絶縁膜210、及び第2の平坦化補助部272を第2の平坦化補助部272が除去されるまで研磨することにより、第1の配線273及び層間絶縁膜210のそれぞれの上面273a,210aを平坦化する。すなわち、第4の穴204が第3の穴212より浅い(D204<D212)ことに応じて、層間絶縁膜210iの上面210iaからの第2の平坦化補助部272の深さが第1の配線273iの深さより浅い(D272<D273i)。これにより、第2の平坦化補助部272が除去されるまで研磨を行う処理が完了した際に、第1の配線273の上面が平坦化した状態になっているようにすることが容易である。この結果、第2の平坦化補助部272を残した状態で研磨を終了しその後の工程で第2の平坦化補助部272を除去する場合に比べて、層間絶縁膜210の上面における平坦性を向上するための処理が全体として簡略化されている。
【0013】
本発明の第3実施形態に係る半導体装置20の製造方法を、図4を用いて説明する。以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。第3実施形態に係る半導体装置220の製造方法は、デュアルダマシン構造の配線を形成する点で第1実施形態と異なる。具体的には、図4(a)に示す工程は、図3(d)に示す工程の次に行われる。図4(a)に示す工程では、図3(a)に示す工程と同様の処理が行われる。図4(b)に示す工程では、図3(b)に示す工程における絶縁膜パターン213と同様にして、第2の配線(導電部)373を形成すべき領域に開口322aを有した絶縁膜パターン322を得る。図4(c)に示す工程では、導電部371(図4(f)参照)を形成すべき領域に開口を有する第5のレジストパターン(図示せず)を層間絶縁膜310iの上に形成する。層間絶縁膜310iは、絶縁膜317、低誘電率膜318、及び絶縁膜319iを含む。第5のレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜310iの表面310iaから深さD305iまでエッチングを行うことにより、層間絶縁膜310iに第2の開口305iを形成する。第2の開口305iは、層間絶縁膜310iの上面における開口322aにより露出された領域の一部から半導体基板1へ向かうように延びた開口である。第2の開口305iの深さD305iは、例えば、絶縁膜317まで到達し拡散防止膜216まで到達しない深さである。図4(d)に示す工程では、第5のレジストパターンを除去した後、絶縁膜パターン322をハードマスクとして、層間絶縁膜310iaの表面から深さD312まで開口322aをエッチングするとともに深さD305まで第2の開口305iをエッチングする。これにより、層間絶縁膜310iaに第1の穴305を形成するとともに層間絶縁膜310iaにおける第1の穴305に重なる位置に第5の穴312を形成する。第5の穴312は、第1の穴305より浅くかつ第2の穴304より深い(D304<D312<D305)。第1の穴305と第5の穴312とは、両者が重なる位置における破線で示した部分を共有している。図4(e)に示す工程では、絶縁膜パターン322を除去した後に、第5の穴312に導電部材370を埋め込むことにより第2の配線(導電部)373iを形成する。それ以外の点は、図1(b)に示す工程と同様の処理が行われる。第5の穴312が第1の穴305より浅くかつ第2の穴304より深い(D304<D312<D305)ことに応じて、第2の配線373iは導電部371iより浅くかつ第2の平坦化補助部372より深い(D372<D373i<D371i)。図4(f)に示す工程では、第2の配線373の上面373aを平坦化する。それ以外の点は、図3(d)に示す工程と同様の処理が行われる。
【0014】
なお、以上の第1実施形態〜第3実施形態において、半導体装置が画素配列領域と周辺領域とを有した光電変換装置を含む場合、平坦化補助部(又は第2の平坦化補助部)を画素配列領域に形成するが周辺領域に形成しないように構成しても良い。このような実施形態が可能であるのは、一般の光電変換装置において、周辺領域の配線やビアの配列ピッチが画素配列領域に比べて密度が高いためである。具体的には、画素配列領域に第2の穴(又は第4の穴)を形成し、周辺領域に第2の穴(又は第4の穴)を形成しない。それに応じて、画素配列領域に平坦化補助部(又は第2の平坦化補助部)を形成し、周辺領域に平坦化補助部(又は第2の平坦化補助部)を形成しない。画素配列領域における平坦化補助部(又は第2の平坦化補助部)のレイアウトは、例えば、図5(a)に示すように構成しても良い。図5(a)は、光電変換装置の画素配列領域における1画素に相当する部分のレイアウト構成を示す平面図(半導体基板1の表面1aに垂直な方向から見た図)である。図5(a)に示すように、2つの配線29が光電変換部31に対する開口領域を規定している。光電変換部31は、素子分離部35により規定された活性領域32内に配されている。光電変換部31は、例えば、フォトダイオードである。光電変換部31は、光に応じた電荷を発生させて蓄積する。転送トランジスタは、ゲート電極33にアクティブレベルの転送制御信号を受けた際にオンすることにより、光電変換部31で発生した電荷を電荷電圧変換部36へ転送する。電荷電圧変換部36は、転送された電荷を電圧に変換する。電荷電圧変換部36は、例えば、フローティングディフュージョンである。電荷電圧変換部36の電圧は、コンタクトプラグ34及び配線(図示せず)を介して増幅トランジスタのゲート電極37へ入力される。増幅トランジスタは、電荷電圧変換部36の電圧に応じた信号を信号線(例えば、配線29)へ出力する。ここで、平坦化補助部30aは、光電変換部31の上方に配されている。平坦化補助部30bは、光電変換部31の斜め上方に配されている。この場合でも、最終的に平坦化補助部30a,30bが除去されて図5(b)に示す状態になる。このため、平坦化補助部30a,30bが光電変換装置の光学的及び電気的特性に悪影響を与えることを低減できる。また、半導体基板1の表面1aに垂直な方向から見た場合に、平坦化補助部30a及び平坦化補助部30bのそれぞれが光電変換部31に重ならないようにかつ光電変換部31からの距離が大きくなるようにレイアウトを変更できる。この場合、平坦化補助部(又は第2の平坦化補助部)を形成するための第2の穴(又は第4の穴)を形成する際における光電変換部へのエッチングダメージを低減することができる。本実施形態においては、周辺領域に平坦化補助部を設けない構成を用いたが、もちろん周辺領域に平坦化補助部を設けてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の上に絶縁膜を形成する第1の工程と、
前記絶縁膜に第1の穴を形成する第2の工程と、
前記絶縁膜に前記第1の穴より浅い第2の穴を形成する第3の工程と、
前記第1の穴に導電部材を埋め込むことにより導電部を形成するとともに、前記第2の穴に前記導電部材を埋め込むことにより平坦化補助部を形成する第4の工程と、
前記導電部、前記絶縁膜、及び前記平坦化補助部を前記平坦化補助部が除去されるまで研磨することにより、前記導電部及び前記絶縁膜のそれぞれの上面を平坦化する第5の工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の工程及び前記第3の工程では、複数の前記第1の穴と複数の前記第2の穴とを含む複数の穴の配列における配列ピッチが均等になるように、前記絶縁膜に複数の前記第1の穴と複数の前記第2の穴とを形成し、
前記第4の工程では、複数の前記導電部と複数の前記平坦化補助部とを含む複数の部材の配列における配列ピッチが均等になるように、複数の前記導電部と複数の前記平坦化補助部とが形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記導電部は、ビアプラグ及び配線の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体装置は、複数の画素が配列された画素配列領域と前記画素配列領域の周辺に配された周辺領域とを有した光電変換装置を含み、
前記第3の工程では、前記画素配列領域に前記第2の穴を形成し、
前記第4の工程では、前記画素配列領域に前記平坦化補助部を形成する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数の画素はそれぞれ光電変換部を有し、
前記第3の工程では、前記第2の穴は前記光電変換部の上方に形成され
前記第4の工程では、前記平坦化補助部が前記光電変換部の上方に形成される
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第3の工程では、前記周辺領域に前記第2の穴を形成せず、
前記第4の工程では、前記周辺領域に前記平坦化補助部を形成しない
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−267681(P2010−267681A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115921(P2009−115921)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】