説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 従来よりも高い温度でも動作できるクーロンブロケードを用いた量子効果素子
を提供すること。
【解決手段】 後方障壁閉じ込めポテンシャルを形成するための下部SiO層43と上
部SiO層45と、p型層47と、これらSiO層43、45、p型層47各端
と交わる傾斜面51と、傾斜面51上にSiO活性層61を介して設けられたゲート電
極31を有し、このゲート電極31のうち、SiO層43、45の各端を覆うる部分は
狭くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関わり、特に量子効果素子を有する半導体装
置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バンドギャップの異なる半導体層を重ねることにより、量子効果素子を製造できること
は公知である。ソース領域とドレイン領域との間を流れる電流を、その上にあるゲート電
極に印加する電圧によって変調できるように、キャリヤを閉じ込めるための量子井戸を界
面に隣接して形成することが可能である。
【0003】
このようなキャリアは通常移動度が高く二次元的に存在して「二次元電子ガス」(2D
EG)として振る舞うか、あるいは印加電圧により実質的に一次元的に存在するように、
つまり、しばしば「量子細線」とも呼ばれる「一次元ガス」(1DEG)として存在する
ようにできる。
【0004】
もちろん、多数キャリアをホールとして、二次元ホールガス(2DHG)または一次元
ホールガス(1DHG)を利用する素子を作ることもできる。ただし、話を単純にするた
めに、ここでは、2DEG、1DEGを広義な意味で用い、特に指摘の無い限り、2DE
G、1DEGは電子、ホールの両者の二次元ガス、一次元ガスを包含しているものとする

【0005】
ところで、障壁ポテンシャルを三次元に形成すれば、100個ぐらいの電子を一溜まり
として閉じ込めることができるものと推定される。この電子の溜まりは一般に「量子ドッ
ト」または「量子箱」と呼ばれる。このような構成では、電子は三次元のどの次元に関し
ても閉じ込められる。
【0006】
しかし、ここでは、これら用語(量子ドット、量子箱)は、三次元的に粒子が閉じ込ま
れているが、粒子を閉じ込める体積の線形寸法に比べて、粒子の波動関数が空間的に非常
に小さいために、三次元的な量子作用が生じない場合も含むものとする。
【0007】
この種の量子ドットによる電子の閉じ込めは従来では次のようにして実現している。す
なわち、2DEGを有しているヘテロ接合半導体構造の表面に4個以上のデプレッション
型ショットキーゲートを、例えば、回り木戸のように構成することにより実現している。
【0008】
ショットキーゲートにより電子ガスが押し潰されるので、残った二つの自由度はなくな
る。この付け加えられた押し潰しまたは閉じ込めにより量子ドットの周囲にトンネル障壁
が生じ、このトンネル障壁を介して電子が量子ドットを出入りするようになる。
【0009】
このような量子ドットを介した電子の移動は、外部から量子ドットに電流や電圧を加え
ると影響を受ける。この外部のバイアスは電子のエネルギーを上昇させるので、電子はト
ンネル障壁を飛び越えたり、透過したりすることができるようになる。
【0010】
閉じ込め長が十分に短くて(<300nm)、電子の数が十分に少ない(数百以下)場
合であれば、一般にクーロン閉塞(coulomb Blockade)呼ばれている1電子帯電(single
electron charging)が量子ドットの電流電圧特性の変化として現れる。
【0011】
1電子帯電によるエネルギーであるクーロンエネルギーは、量子ドットとその周囲の電
子の貯蔵部との間に電気的中性状態を形成するのに分数電荷にもかかわらず、量子ドット
に電子1個全体を加えることにより生じるエネルギーペナルティ(energy penalty)であ
る。この帯電エネルギーは、Cを量子ドットのキャパシタンスとすると、e/2Cであ
る。
【0012】
この帯電エネルギーの結果、キャパシタンスCを介してコンダクタンスや抵抗を量子ド
ットに印加される電圧の関数として測定すると、e/Cの周期でコンダクタンスや抵抗の
値が「揺動する」ことが分かる。
【0013】
あるいは、コンダクタンスや抵抗を閉じ込め幅の関数として測定すると、同様に揺動す
ることが分かる。閉じ込め幅の変化により揺動が生じるのは、閉じ込め幅に応じてキャパ
シタンスが変化するため、電子を量子ドットに入れたり、そこから出したりするの必要
な放電エネルギーe/2Cも変化するからである。
【0014】
デプレッション型ショットキーゲートにより形成した量子ドットの場合、閉じ込め幅は
、ゲートに印加する電圧(ゲートバイアス)Vfgにより変化する。したがって、コンダ
クタンスや抵抗の揺動はゲートバイアスVfgの関数となる。
【0015】
原理的に、クーロンブロケードを用いた量子効果素子の用途範囲は広く、例えば、超小
型トランジスタやメモリなどに用いることができる。しかし、ショットキーゲートを回り
木戸のように構成した従来の構造のクーロンブロケードは、非常に低い温度、例えば、絶
対温度4K以下でなければ機能しない。したがって、この種のクーロンブロケードを用い
た量子効果素子の動作温度も低いという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述の如く、従来のクーロンブロケードを用いた量子効果素子は動作温度が低いという
問題があった。本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは
、従来よりも高い温度でも動作できるクーロンブロケードを用いた量子効果素子を備えた
半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、複数の導電型層とバリア層となる絶縁膜層とを交互に積層することにより、
前記バリア層による後方障壁閉じ込めポテンシャルが形成された積層構造と、
前記積層構造を斜めに横切るように形成され、前記積層構造の各層の端部が露出するよ
うに形成された傾斜面と、
前記傾斜面を覆うように形成され、前記傾斜面に平行な面内であって、前記積層構造の
積層方向にキャリアが流れるための活性層と、
前記活性層の上部に形成され、前記キャリアが、前記積層構造の各層の端部により規定
される傾斜方向にのみ、前記積層構造の各層の端部を越えて流れるようにするための切り
欠き部を有する狭窄領域を備えたゲート電極と、
前記傾斜面の上部であって、前記ゲート電極の一方にインプラント層を介して接続され
たドレインと、
前記傾斜面の下部であって、前記ゲート電極の他方にインプラント層を介して接続され
たソースと、を具備することを特徴とする前記積層構造に形成されたクーロンブロケード
を用いた量子効果素子を備えた半導体装置である。
【0018】
本発明の好ましい実施態様は、以下の通りである。
【0019】
(1)前記狭窄領域が、前記複数の層の各端に対して実質的に直角の方向に延びている
こと。
【0020】
(2)上記の各構成において、狭窄された部分のそれぞれの側に設けられ、キャリアに
接触する第1及び第2のコンタクトを有していること。
【0021】
(3) 上記の構成において、上記の積層構造の少なくとも1つの層はSiOによる
層であること。
【0022】
(4) 上記の各構成において、上記の積層構造は、ドープ量子ウェル誘導層と、それ
ぞれ絶縁バリア層によってドープ量子ウェル誘導層から分離された第1及び第2ドープ層
とを有すること。
【0023】
(5) 上記の各構成において、前記少なくとも1つの層は、ゲート電極の狭い部分の
下方では狭くなっている。
【0024】
(6) 上記の各構成において、前記量子ウェル誘導層は、ゲート電極の狭い部分の下
方では狭くなっている。
【0025】
(7) (6)の構成において、第1及び第2ドープ層は、ゲート電極の狭い部分の下
方では狭くなっている。
【0026】
(8) (6)又は(7)の構成において、量子ウェル誘導層及び第1、第2ドープ層
は、傾斜面から直立する絶縁又は半絶縁側壁の間に配置されていること。
【0027】
(9) (8)の構成において、前記側壁は、SiOであること。
【0028】
(10) 上記の各構成において、前記狭窄領域が、切り欠きにより形成された狭い部
分を有するゲート電極からなること。
【0029】
(11) 上記の各構成において、前記狭窄領域が、前記傾斜面を覆っている領域を構
成する活性層の狭い部分であること。
【0030】
(12) 上記の各構成において、前記傾斜面を覆っている層がHEMT構造であるこ
と。
【0031】
(13) 上記の各構成において、前記傾斜面を覆っている層が不純物ドープされたA
lInAs層により覆われたInGaAsからなる活性層であること。
【0032】
(14) 上記の構成において、前記積層構造が、不純物ドープされたシリコン層内に
設けられた二つのSiO層からなること。
【0033】
(15) 上記の各構成のいずれかにおける半導体装置を配列して記憶装置とすること

【0034】
また、本発明は、
複数の導電型層とバリア層となる複数の絶縁層とを交互に積層することにより、前記バ
リア層による後方障壁閉じ込めポテンシャルが形成された積層構造体を形成するステップ
と、
前記積層構造体をエッチングして、前記積層構造の各層の端部が露出するように傾斜面
を露出させるステップと、
再成長によってこの傾斜面を覆うように形成され、前記傾斜面に平行な面内であって、
前記積層構造体の積層方向にキャリアが流れるための活性層を形成するステップと、
前記活性層の上部に形成され、前記キャリアが、前記積層構造の各層の端部により規定
される傾斜方向にのみ、前記積層構造の各層の端部を越えて流れるようにするための切り
欠き部を有する狭窄領域を備えたゲート電極を形成するステップと、
を具備することを特徴とする前記積層構造に形成されたクーロンブロケードを用いた量子
効果素子を備えた半導体装置の製造方法である。
【0035】
本発明の方法の好ましい実施態様は以下の通りである。
【0036】
(1) ゲート電極が少なくとも1つの層の上部に形成され、かつエッチング処理によ
りその狭くされた領域を形成して、前記狭窄手段を構成し、前記エッチングは、まず前記
少なくとも1つの層に続いて行われ、そして、ゲート電極の狭くされた領域の下方の直立
した部分を残すように前記傾斜面に行われること。
【0037】
(2) (1)の態様において、エッチング処理が前記少なくとも1つの層に到達した
後に、前記傾斜面へのエッチングを続ける前に、絶縁層を上部ウェファ面に形成すること

【0038】
(3) (2)の態様において、前記絶縁層は窒化シリコンで形成されること。
【0039】
(4) (1)〜(3)の態様において、絶縁層又は半絶縁側壁が前記直立部分の少な
くとも1部分の周囲に形成されること。
【0040】
(5) (4)の態様において、前記複数の層は不純物ドープされたシリコン層を具備
し、前記側壁は前記不純物ドープされた少なくともいくつかのシリコンの酸化によって形
成されたSiOで形成されること。
【0041】
本発明に係る半導体装置及び本発明に係る半導体装置の製造方法によって製造した半導
体装置は、従来よりも高い温度で動作するだけではなく、表面が斜めにパターニングされ
た基板を用いることにより、かなり小型化することができる。構造自体は敢然に平坦なシ
ステムよりも狭い空間で済み、外部配線も短縮することができる。配線の短縮は、1個の
ウェファに複数個並べて半導体メモリとして機能させる際に特に重要な因子である。また
、量子ドットの電子をチャージする際の電力消費は非常に少ない。
【0042】
上記狭窄領域は、装置の構造に応じて幾つかの異なった形態にすることができる。シリ
コンウェファに基づく装置のある形態では、傾斜面上にSiO層、ゲート電極を形成し
て、この傾斜面にキャリアを生じさせる。キャリアはゲート電極下の斜傾面にだけに生じ
る。この場合、狭窄領域は複数の層の各端を覆って各端に対して傾斜した方向に延びてい
るゲート電極の狭い部分である。
【0043】
別の形態では、傾斜面上に(HEMT構造のような)活性層を形成して、この活性層の
下にキャリアを生じさせる。この場合、活性層を覆っているゲート電極により所望部分以
外のキャリアを欠乏させる。このゲート電極はその形状に対応した切り欠き部(cut-away
portion)を有している。この切り欠き部は複数の層の各端を覆って、各端に対して傾斜
した方向に延びている狭い部分を有している。用語「切り欠き」はゲート電極材料がゲー
ト電極の所定領域で存在していないことを意味している。実際には、選択的エッチングで
切り欠きを形成することができる。あるいは、活性層やHEMT構造自体を選択的にエッ
チングして、複数の層の各端を覆って各端に対して傾斜した方向に延びる狭い領域を形成
することができる。
【0044】
本発明に基づく装置は様々な用途のために製造することができる。例えば、トランジス
タとして製造することができる。このようなトランジスタを並べれば、小型の記憶装置を
つくることができる。
【0045】
典型的なトランジスタ装置では、活性層を狭窄領域の両端の各々に接触させて、両端間
に伝導チャンネルが形成できるように電気的なコンタクトが配備されている。
【0046】
以下の好ましい実施例の説明から明らかなように、この伝導チャンネルは使用中に「中
断(interrupted)」して、狭窄領域の下に三次元障壁で分離された電子の溜まり、つま
り、「量子ドット」を少なくとも1個形成する。
【0047】
何らかの理論的説明に限定されることは望まないが、本発明に係る半導体装置は電子の
溜まりである量子ドットを以下のようにして三次元の閉じ込め障壁で分離することにより
形成する。
【0048】
最初に、キャリアを複数の層の端のできるだけ近くで傾斜面の中または複数の層の端を
覆っているHEMT層もしくは活性層の中に2次元的に閉じ込めて、2DEGを生じさせ
る。複数の層により2DEGに少なくとも1個の二重閉じ込め障壁を生じさせる。
【0049】
次に2DEGのキャリアは、ゲート電極下、特に、ゲート電極の狭い部分の下の狭い領
域内を除いて欠乏することにより、複数の層の端を横切る第3の方向に障壁が生じ、キャ
リアは量子ドット内に閉じ込められる。
【0050】
実施例の中には、室温で機能できるように、二酸化シリコンからなる層で覆われている
ものがある。丁度傾斜面内にキャリアが生じる。あるいは、最上層をHEMT構造の一部
としても良い。
【0051】
HEMTは、バンドギャップの比較的高い材料及びバンドギャップの比較的低い材料、
例えば、GaAs/AlGaAsにより構成され、不純物ドープされた層からのキャリア
がバンドギャップの高い材料とバンドギャップの低い材料との境界付近の2DEG内に閉
じ込められているものである。このような構造は詳細に研究されている(Japanese Journ
al of Applied Physics, Vol. 21, No. 6,June 1992, p. L381 )。
【0052】
分子ビーム成長の進歩及び半導体製造における他の技術において、本発明に係る装置は
再成長工程を使用して容易に形成される。従って、本発明に係る装置は、スタック構造を
形成する工程と、傾斜した側面を露出するためにスタック構造をエッチングする工程と、
再成長による少なくとも1つの層を形成する工程と、前記少なくとも1つの層の上部に狭
窄領域を形成する工程とを具備する方法により作ることができる。
【0053】
狭窄領域がゲート電極の狭い部分である時、例えば前記少なくとも1つの層がSiO
で形成されている時、狭い部分は選択的エッチングによって形成することができ、この選
択的エッチングは、まず、少なくとも1つの層に続いて行われ、次に、ゲート電極の狭い
領域の下部の直立部を残すように傾斜した側面に行われる。
【0054】
このエッチングの工程が前記少なくとも1つの層に到達した後に、Siのような
絶縁層を上ウェファ面の上部に形成することができる。このエッチングは傾斜された側面
に続いて行うことが可能であり、この絶縁層の上部と狭窄ゲートのいずれかの側方が取り
除かれる。そして、直立部分の露出された側方は、絶縁又は半絶縁側壁構造体で覆うこと
ができる。複数の層がドープされたシリコンで形成されているのであれば、例えばSiO
が点在しているのであれば、側壁構造体は酸化工程によりSiOを形成することがで
きる。
【0055】
別の公知のヘテロ構造システム、例えば、不純物ドープされたAlInAs層で覆われ
たInGaAsの活性層を最上層とすることもできる。
【0056】
複数の層は2DEGの面内で一対の障壁を生じさせ、この一対の障壁の間に井戸が形成
される。好ましい実施例では、井戸に対する障壁の高さ(井戸の深さ)は少なくとも0.
3eVオーダである。
【0057】
積層構造は、一対の二酸化シリコン層(障壁に相当)を有して、この両層の間に不純物
ドープされたシリコン層が挟まれている。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、狭窄領域によりキャリアが流れる領域が制限されるので、制限されな
い場合に比べて、後方障壁閉じ込めポテンシャルのサブバンド間の準位が大きくなる。サ
ブバンド間の準位が大きくなると、その分、温度が上昇しても基底準位のキャリアは励起
され難くなる。したがって、従来よりも高い温度でも正常に動作できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0060】
図1は、本発明の第1の実施形態(参考例)に係る量子効果素子の概略構成を示す断面
図であり、図2は、図1の量子効果素子の平面図である。また、図1は、図2のA−A′
断面図になっている。
【0061】
シリコンからなるp型基板3上には、後方障壁閉じ込めポテンシャルを形成するため
の不純物濃度が1013cm−2オーダの複数のデルタドープ層が以下のように交互に形
成されている。
【0062】
第1のn型デルタドープ層5と第2のn型デルタドープ層7との間には第1のp型デル
タドープ層9が存在している。第2のn型デルタドープ層7とこの第2のn型デルタドー
プ層7上の第3のn型デルタドープ層11との間には第2のp型デルタドープ層13が存
在している。これらデルタドープ層より上のウェファの残りの部分は、p型層15で構
成されている。
【0063】
第1のp型デルタドープ層9と第2のp型デルタドープ層13との間隔は約100〜4
00オングストロームである。パターニングによりウェファには傾斜面17(ウェファの
平面に対して56°傾いた<111>面)が形成されている。
【0064】
また、ドーピング濃度は、p型デルタドープ層の導入により、図3に示すように、傾斜
面に伝導帯(E)に二つのバリア(後方障壁閉じ込めポテンシャル)が生じてクーロン
ブロケードが形成されるように選択する。図3において、Eはフェルミレベルを表して
いる。
【0065】
エッチングにより露出したウェファの下側の水平面21には第1のn型インプラント層
19が形成され、エッチングしていないウェファの上側の面には第2のn型インプラント
層23が形成されている。
【0066】
第1のn型インプラント層19上には下部オーミックコンタクト層(ソース)25が形
成され、第2のn型インプラント層23上には上部オーミックコンタクト層(ドレイン)
27が形成されている。
【0067】
露出された<111>面は成長法により形成したSiO活性層29により覆われ、こ
のSiO活性層29上にはゲート電極31が形成されている。ソースである下部オーミ
ックコンタクト層25は第1のn型インプラント層19を介して、一方、ドレインである
上部オーミックコンタクト層27は第2のn型インプラント23層を介して傾斜面17の
下部に形成されている二次元電子ガス(2DEG)に接触している。
【0068】
図2の平面図から明らかなように、ゲート電極31は、ソースである下部オーミックコ
ンタクト層25に向かって延びる下部の広い部分33と、ドレインである上部オーミック
コンタクト27に向かって延びる上部の広い部分35とを有している。
【0069】
また、下部の広い部分33と上部の広い部分35とは狭い部分37により相互に接続さ
れている。この狭い部分37は傾斜面17に沿って全デルタドープ層の端を覆っている。
狭い部分37は、デルタドープ層の端の延びている方向に対して90°の角度をなして延
びるように配置され、そして、SiO活性層29によりデルタドープ層から隔離されて
いる。
【0070】
ただし、キャリアを内部に閉じ込める活性層を再成長により形成した実施形態では、「
狭窄領域」には以下の通り2種類がある。第1の種類は、活性層またはHEMTを覆うゲ
ート電極(depleting gate)を形成するものである。このゲート電極は傾斜面を覆うこと
ができればどのような形状をしていても構わないが、図2に示したゲート電極の形状に合
わせて切り欠き部(材料のない部分)を有していなければならない。
【0071】
第2の種類は、活性層またはHEMTを選択的にエッチングして狭い部分を形成し、図
2のゲート電極と同じ形状にするものである。本実施形態によれば、後方障壁閉じ込めポ
テンシャルが形成されている斜傾面17上にはゲート電極31の狭い部分37が位置して
いるので、そこではキャリアの流通経路は狭くなる。
【0072】
これにより、後方障壁閉じ込めポテンシャルのサブバンド間の準位が大きくなる。サブ
バンド間の準位が大きくなると、その分、温度が上昇しても基底準位のキャリアは励起さ
れ難くなる。したがって、従来よりも高い温度でも正常に動作できるようになる。
【0073】
図4及び図5は、本発明の第2の実施形態に係る量子効果素子の概略構成を示す断面図
である。なお、以下の図において、前出した図と同一符号は同一部分または相当部分を示
し、詳細な説明は省略する。
【0074】
本実施形態の量子効果素子の全体的な構造は第1の実施形態のそれとほぼ同じであるが
、p型基板41はデルタドープ層の代わりに下部SiO層43と上部SiO層45
とを有している。
【0075】
下部SiO層43と上部SiO層45との間にはp型層47が存在している。両
SiO層43、45の厚さは約20オングストローム未満であり、両SiO層43、
45の間隔は約1000オングストローム未満である。この層構造より上のウェファの残
りはp型層49で覆われている。
【0076】
ドライエッチングにより<111>面である垂直面51が露出され、下部n型インプラ
ント層53及び上部n型インプラント層55がそれぞれ第1の実施形態の量子効果素子の
対応する下部n型インプラント層19及び上部n型インプラント層23と同じ位置に形成
されている。
【0077】
オーミックコンタクト層(ソース)57は下部n型インプラント層53に接触するよう
に形成され、オーミックコンタクト層(ドレイン)59は上部n型インプラント層55に
接触するように形成されている。
【0078】
本実施形態では、傾斜面51(後方垂直)を覆うようにSiO活性層61が再成長に
より形成され、このSiO活性層61上にはそれと同じ形状のゲート電極31が形成さ
れている。
【0079】
また、本実施形態では、オーミックコンタクト層53、55、n型インプラント層57
、59が、第1の実施形態と同じように、傾斜面51の下の二次元電子ガス(2DEG)
に接触するための機能を果たしている。
【0080】
バリア層を形成する好適な方法はシリコン再結晶技術である。図6は再結晶処理を示す
概略図である。以下に更に詳細に説明するが、この技術は、図4に示す構造体の変形を作
るのに有効に使用することができるので、狭くされたゲート領域37のみならず、SiO
層61の狭くされた領域によって規定された狭くされた伝導領域と、バリア層43及び
45と、ウェル層47と、pシリコン領域41、49が形成される。ここで、狭く規定
された量子箱領域はULSI技術を使って作ることができる。
【0081】
第1のSiOバリア層43が成長した後に、図6に示すように、領域40内のシリコ
ン基板を露出するようにパターンニングされる。そして、Si層が全面を覆うようにSi
を堆積する。これに熱をかけて結晶化を行う。通常の環境では、この処理によりポリシリ
コンになる。しかし、露出したシリコン面は、SiO端からいくらかの距離にあるポリ
シリコン領域44の形成によって中断されるまで、SiO層上に成長するように単結晶
Siができるようなシリコン結晶の種結晶中心として振る舞う。境界面とSiO端との
距離は再結晶工程と非結晶Si層42の厚さに依存する。一般的に、厚さが厚くなるほど
、距離は大きくなる。しかし、SiO層43が非常に薄ければ(1〜2nm)、この方
向は、可逆であり、シリコン層は約1μmを越える。
【0082】
これは、仕上げリソグラフィ装置の状態を更に処理するのに十分な長さであって、これ
らの条件下において、バリア層43、45を作るのに優れた処理である。
【0083】
この技術は、ULSI互換であるばかりでなく、結晶粒界などによる多大な収率の損失
を生じさせない。臨界処理工程は、非常に薄いSi層のみを必要とするような、第1の再
結晶工程である。第2及び最後の再結晶Si層は浮遊容量を減少させるために相対的にあ
つく(>200nm)でなければならない。
【0084】
図7は、完全なバリア層・量子ウェル構造体を形成するための概略説明図である。Si
バリア層43、45は異なる幅を有する。これにより、ソース・ドレインの掃引が1
電子のトンネル効果によるコンダクタンスにおいて階段状の特性を示すことが確実である
。トンネル確率がバリア43及び45の両方で同じであれば、理論的には、ソース・ドレ
イン掃引における構造体は観測されない。しかし、共鳴は、ゲートバイアスの機能として
ソース・ドレインコンダクタンスで観測されると思われる。
【0085】
再結晶により第2Si層46の第1のポリシリコン領域44の上部へのデポジションが
繰り返され、端部における第2のポリシリコン領域48が残される。MOSULSIサブ
ミクロンゲートテクノロジに対する薄膜酸化成長の進行にもかかわらず、そのような装置
に要求される酸化膜の厚さは、均一性が相対的に大きい領域の上にあるピンホールによる
誘電性の破壊強度を減少することができることを意味する。誘電率及び組成のような特性
は、同様に、電位の制御が困難である。しかし、最終的な装置の活性領域は10−11
−2よりも小さくなるように設計されるので、機器設計は非常に高いピンホール密度を
許容できるし、高収率を達成することもできる。例えば、バリア酸化層に対してちょうど
99%の収率では、欠陥密度は10cm−2より小さいことが要求されるのみである。
【0086】
図7の基礎的なバリア層・量子ウェル構造体から図4の完全な構造体を製作するための
工程の流れを図8〜図11を参照して説明する。技術の概略を述べるが、狭く規定された
ゲート領域と伝導チャネルはウェル誘導層47を覆うように作成することができる。埋め
込みSiO層を製作する他の方法は、ダブルバンド及びエッチバックによる。
【0087】
まず、SiO層61を熱成長により100nmの厚さにする。切子面と(100)平
面との間の酸化膜の厚さの変化は酸化膜の成長プロセスと(110)平面に関連する切子
面の方向に依存する。
【0088】
図12は、(100)ウェファに対するウェファ面への90°エッチングで形成された
様々な合成側壁結晶面を示す。メサ方向が(011)方向に対して45°であれば、側壁
面はすべて(100)のような平面である。従って、酸化膜成長率は、近似的に、側壁及
び(100)基板面上と同じであるべきである。メサ面が(011)平面に対して45°
であれば、その面は(001)平面の1つになるので、酸化膜の成長は均一になる。処理
ポイントの観点からすれば、これは、すべての酸化膜が(100)のような平面で成長す
るので、最適な方向である。
【0089】
次に、ポリn−Si層50が堆積され、アニールされ、Si層52で覆われる。
このSi層52は、ドライエッチマスクとして振る舞い、下記のようなその後のS
iエッチングに対してポリSiを防護する。そして、メインゲート構造体はエッチングに
よって規定され、切子面の領域における狭い100nmの制限を形成する。ポリn−Si
の狭くされた領域50はゲート電極の制限された領域37を示す。ソース・ドレインコン
タクトが規定されるこの領域は、未パターンのままとされる。
【0090】
そして、さらなるSi層54が全体のウェファ表面に堆積される(図8)。これ
によって、ポリn−Si側壁が窒化物層54によって不動態化される。従って、それに続
く基板の酸化はレムナントポリn−Si50の有意な酸化にはならない。第2の窒化物層
54の厚さは最小であり、この技術は、次の態様においてエッチングされたシリコンに対
するライン幅を増加する。しかし、十分な窒化物としては、ポリn−Siの有効酸化率が
(100)pSiよりも小さいこと必要である。初期の窒化物層(層52)が酸化物層
よりも厚いのであれば、酸化物から窒化物への選択性は、酸化物層がエッチングされると
きに、1くらいに低くできる。SiO層61及び層52に直接コンタクトするSi
層54の平面領域は異方性ドライエッチングを使ってエッチングする(図9)。エッチ
ングは、再結晶Si層44、46及び薄膜SiOバリア層43、45を通り抜けて40
0nm以上の深さになるまで続けられる。このエッチングで図10に見られるような基板
の直立するプラウド(proud)のゲート領域が残る。
【0091】
そして、SiOは露出した側壁56、58上で成長する(図11)。先のエッチング
工程で露出した露出(001)側壁により、酸化膜は第1の熱酸化領域61で、すなわち
制限された伝導チャネル60を残すような狭いゲート内で成長する。
【0092】
図13は、本発明の第3の実施形態(参考例)に係る量子効果素子の概略構成を示す断
面図である。厚さ1000オングストロームの第1のn+型GaAs層65は厚さ500
0オングストロームの半絶縁性GaAs層67で覆われている。
【0093】
GaAsのn型デルタドープ層及びp型デルタドープ層を交互に形成するために、第1
の実施形態と全く同じように、デルタドーピングが用いられている。下部n型デルタドー
プ層69と中間n型デルタドープ層71との間には第1のp型デルタドープ層73が存
在している。また、中間n型デルタドープ層71と上部n型デルタドープ層75との間に
は第2のp型デルタドープ層77が存在している。上部n型デルタドープ層75上には厚
さ5000オングストロームの上部半絶縁層79が設けられている。
【0094】
n型デルタドープ層69、75はいずれも約50オングストロームの厚さであり、p型
デルタドープ層73、77の間隔は1000オングストローム未満のオーダである。
【0095】
ウェファの最上部には厚さ400オングストロームの第2のn型GaAs層81が形
成されている。選択エッチングにより全デルタドープ層と交差する傾斜した<311>B
面の傾斜面83が形成されている。
【0096】
この構造を覆う厚さ100オングストローム未満のGaAs層85が再成長により形成
され、このGaAs層85はHEMT構造87により覆われている。ゲート電極31は既
に述べたように切り欠き部を有している。あるいはHEMT構造87を選択的にエッチン
グしてこの形状にする。
【0097】
ソースとしての下部オーミックコンタクト層89、ドレインとしての上部オーミックコ
ンタクト層91は、それぞれ、第1のn型GaAs層65、第2のn型GaAs層8
1に接触して、HEMT構造87の活性層内の二次元電子ガス(2DEG)に電気的に接
触している。
【0098】
図14は、本発明の第4の実施形態(参考例)に係る量子効果素子の概略構成を示す断
面図である。本実施形態の量子効果素子が第3の実施形態のそれと異なる点は、基になる
ウェファとしてGaAsを用いていることにある。このウェファは、下部GaAs層95
、この下部GaAs層95上に設けられた下部AlGaAs層97及び上部AlGaAs
層99を有している。
【0099】
上下のAlGaAs層97、99の間にはGaAs層101が存在しており、ウェファ
の頂部はGaAs層103となっている。このGaAs層103層は第3の実施形態と同
様に、第2のn型GaAs層81により覆われ、そして、選択エッチングにより傾斜面
83が形成され、上下の両オーミックコンタクト層89、91が形成される。この場合、
AlGaAs層97、99により量子ドットを分離する一対の障壁が形成される。
【0100】
図15は、本発明の第5の実施形態(参考例)に係る量子効果素子の概略構成を示す断
面図である。本実施形態でも最初の三つの実施形態と同様にインプラント層及びオーミッ
クコンタクト層(ソース、ドレイン)を用いるが、簡単にするために、これを図15に図
示することはしない。ソース、ドレインは、n型AlInAs層109で覆われているI
nGaAs層107(活性層)に接触している。InGaAs層107、n型AlInA
s層109は、選択エッチングにより(311)B面を露出させて形成し傾斜面111を
有するウェファを覆うように、再成長により形成されたものである。
【0101】
このエッチングしたウェファは下部n型InP層113を有している。この下部n型I
nP層113上には1000オングストロームより厚いInGaAs層115が存在して
いる。下部InP層117と上部InP層119との間には厚さ100〜400オングス
トロームの下部InGaAs層121が存在し、上部InP層119上には上部InGa
As層(p型In0.53Ga0.47As)層123が存在する。
【0102】
図16は、本発明の量子効果素子の積層構造中で後方障壁閉じ込めポテンシャル(クー
ロンブロケード)を形成する1対の層に対するゲート電圧Vgとコンダクタンスとの関係
を示す特性図である(曲線B)。
【0103】
なお、図16には従来のFETのゲート電圧Vgとコンダクタンスとの関係も示してあ
る(曲線A)。図16からコンダクタンスは最初のうちはゲート電圧Vgの上昇とともに
増大するが、その後、コンダクタンスはゲート電圧Vgの上昇とともに低くなることが分
かる。
【0104】
ただし、本発明の場合、曲線Bから分かるように、コンダクタンスは揺動(脈動)して
いる。このことから、電子1個が量子ドットに入ったり、量子ドットから出たりしている
ことが分かる。すなわち、クーロンブロケードが有効に機能していることが分かる。
【0105】
図17は、本発明の量子効果素子の積層構造中で後方障壁閉じ込めポテンシャル(クー
ロンブロケード)を形成する1対の層に対するソース・ドレイン間電圧VDSとコンダクタ
ンスとの関係を示す特性図である(曲線D)。
【0106】
なお、図17には従来のFETのソース・ドレイン間電圧VDSとコンダクタンスとの関
係も示してある(曲線D)。図17から、コンダクタンスは最初のうちはソース・ドレイ
ン間電圧VDSの上昇とともに増大するが、その後、コンダクタンスは飽和することが分か
る。
【0107】
ただし、本発明の場合、曲線Dから分かるように、コンダクタンスは揺動(脈動)しな
がら増大している。一方、従来の場合、曲線Cから分かるように、コンダクタンスは直線
的に増大している。このことから、電子1個が量子ドットに入ったり、量子ドットから出
たりしていることが分かる。すなわち、クーロンブロケードが有効に機能していることが
分かる。
【0108】
図16、図17に示したように、コンダクタンスが変化することから明らかなように、
量子ドットでは電子が存在していたり存在していなかったりするので、この装置をメモリ
セルとして利用することができる。
【0109】
したがって、上記実施形態の量子効果素子を多数個配列することにより、低消費で超小
型の記憶装置を実現することができる。しかも、単一のウェファプロセスでそのようなメ
モリ装置を製造することができる。このような量子効果素子を用いたメモリ装置等の本
発明に係る半導体装置によれば、上述した効果(手段の項で述べた配線の圧縮)が得られ
る。
【0110】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、エッチングを施
した基本的なウェファ(傾斜面を有するウェファ)により多くの層を設けて複数の障壁対
を形成し、より多くの量子ドットを形成しても良い。
【0111】
この場合、ゲート電極の細長い部分を引き延ばして各障壁を覆うようにしなければなら
ない。このようにすると、電化結合素子(CCD)やシフトレジスタの動作のように1個
の電子を量子ドットから量子ドットへと連続的に通過させることができる。
【0112】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施できる。本発明は、上記
の発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変
形して実施できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る量子効果素子の概略構成を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る量子効果素子の平面図。
【図3】p型デルタドープ層の導入による伝導帯の変化を示す図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る量子効果素子の概略構成を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る量子効果素子の概略構成を示す断面図。
【図6】再結晶処理を示す概略図。
【図7】バリア層・量子ウェル構造体を形成するための概略説明図。
【図8】図7のバリア層・量子ウェル構造体から図4の構造体を製作するための工程の流れを示す図。
【図9】図7のバリア層・量子ウェル構造体から図4の構造体を製作するための工程の流れを示す図。
【図10】図7のバリア層・量子ウェル構造体から図4の構造体を製作するための工程の流れを示す図。
【図11】図7のバリア層・量子ウェル構造体から図4の構造体を製作するための工程の流れを示す図。
【図12】(100)ウェファに対するウェファ面への90°エッチングで形成された様々な合成側壁結晶面を示す図。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る量子効果素子の概略構成を示す断面図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る量子効果素子の概略構成を示す断面図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る量子効果素子の概略構成を示す断面図。
【図16】ゲート電圧Vとコンダクタンスとの関係を示す特性図。
【図17】ソース・ドレイン間電圧とコンダクタンスとの関係を示す特性図。
【符号の説明】
【0114】
3…p型基板
5…第1のn型デルタドープ層
7…第2のn型デルタドープ層
9…第1のp型デルタドープ層
11…第3のn型デルタドープ層
13…第2のp型デルタドープ層
15…上部p- 型層
17…傾斜面
19…第1のn型インプラント層
21…水平面
23…第2のn型インプラント層
25…下部オーミックコンタクト層(ソース)
27…上部オーミックコンタクト層(ドレイン)
29…SiO活性層
31…ゲート電極
33…ゲート電極の広い部分
35…ゲート電極の広い部分
37…ゲート電極の狭い部分(狭窄領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電型層とバリア層となる複数の絶縁層とを交互に積層することにより、前記バ
リア層による後方障壁閉じ込めポテンシャルが形成された積層構造と、
前記積層構造を斜めに横切るように形成され、前記積層構造の各層の端部が露出するよ
うに形成された傾斜面と、
前記傾斜面を覆うように形成され、前記傾斜面に平行な面内であって、前記積層構造の
積層方向にキャリアが流れるための活性層と、
前記活性層の上部に形成され、前記キャリアが、前記積層構造の各層の端部により規定
される傾斜方向にのみ、前記積層構造の各層の端部を越えて流れるようにするための切り
欠き部を有する狭窄領域を備えたゲート電極と、
前記傾斜面の上部であって、前記ゲート電極の一方にインプラント層を介して接続され
たドレインと、
前記傾斜面の下部であって、前記ゲート電極の他方にインプラント層を介して接続され
たソースと、を具備することを特徴とする前記積層構造に形成されたクーロンブロケード
を用いた量子効果素子を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁層がSiO層であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、前記活性層が、前記ゲート電極と同じ形状を有す
る狭窄領域を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、前記導電型層の厚みが、略100〜400オング
ストロームであることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
複数の導電型層とバリア層となる複数の絶縁層とを交互に積層することにより、前記バリ
ア層による後方障壁閉じ込めポテンシャルが形成された積層構造体を形成するステップと

前記積層構造体をエッチングして、前記積層構造の各層の端部が露出するように傾斜面
を露出させるステップと、
再成長によってこの傾斜面を覆うように形成され、前記傾斜面に平行な面内であって、
前記積層構造体の積層方向にキャリアが流れるための活性層を形成するステップと、
前記活性層の上部に形成され、前記キャリアが、前記積層構造の各層の端部により規定
される傾斜方向にのみ、前記積層構造の各層の端部を越えて流れるようにするための切り
欠き部を有する狭窄領域を備えたゲート電極を形成するステップと、
を具備することを特徴とする前記積層構造に形成されたクーロンブロケードを用いた量子
効果素子を備えた半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−54478(P2006−54478A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268984(P2005−268984)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【分割の表示】特願平7−305962の分割
【原出願日】平成7年11月24日(1995.11.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】