説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】シェアードコンタクトがエクステンション領域に接触することによるジャンクションリークを抑制することができ、且つ面積の増大や抵抗の上昇を招くことなくコンタクトを取ることができ、素子特性及び微細化に寄与する。
【解決手段】シェアードコンタクトを有する半導体装置の製造方法であって、半導体基板101上にゲート絶縁膜103を介してゲート電極104を形成する工程と、基板101の表面をカバー膜106で被覆する工程と、ゲート電極104の少なくとも一方の側壁面及び該側壁面に隣接する基板表面でカバー膜106を除去する工程と、カバー膜106の除去により露出した基板101の表面から半導体層111,112をエピタキシャル成長し、基板101とゲート電極104の側壁面とを電気的に接続する工程と、ゲート電極104をマスクに用いてソース/ドレイン領域を形成する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MISトランジスタが形成された半導体装置に係わり、特にコンタクトによってソース又はドレイン領域とゲート電極を接続するシェアードコンタクトを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体基板上に形成されたSRAMなどの半導体装置において、コンタクトによってソース又はドレイン領域とゲート電極とを接続するシェアードコンタクト(Shared Contact)を設けた構成が提案されている(例えば、特許文献1,非特許文献1参照)。
【0003】
この種のシェアードコンタクトは、ソース又はドレイン領域とゲート電極とを接続する必要上、通常のコンタクトホールよりも穴径が大きい。シェアードコンタクトと通常のコンタクトを同時加工する場合、穴径の大きいシェアードコンタクトはエッチングレートが高いため、ゲート電極の側壁の絶縁膜(サイドウォールスペーサ)の突き抜けが発生しやすい。サイドウォールスペーサが突き抜けた場合は、シェアードコンタクトがソース/ドレイン領域のエクステンション領域と接触する。エクステンション領域が極めて薄いため、シェアードコンタクトがエクステンション領域と接触するとジャンクションリークが発生するという問題がある。
【0004】
これを回避するために、ゲート電極を素子分離絶縁膜上に配置して、この部分でコンタクトさせる方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、この方法では、シェアードコンタクトの接触面積が小さくなるため抵抗が上昇する、或いは接触面積を確保することで素子の微細化の妨げになってしまうなどの問題があった。
【0005】
また、ゲート電極の側壁絶縁膜を除去した後、基板表面からゲート側面に跨るシリサイド層を形成することにより、ゲート電極の側面とソース又はドレイン領域とをシリサイド層により接続する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法では、シェアードコンタクトのために複数の新たなプロセスを必要とするため、プロセスの複雑化を招くことになる。
【特許文献1】特開2005−158898号公報
【特許文献2】特開2007−27348号公報
【非特許文献1】2003 symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers page 13 and 14.
【非特許文献2】2006 IEDM Technical Digest Pages 685-688.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、MISトランジスタのソース又はドレイン領域とゲート電極とをコンタクトさせるためのシェアードコンタクトがエクステンション領域に接触することによるジャンクションリークを抑制することができ、且つ面積の増大や抵抗の上昇を招くことなくコンタクトを取ることができ、素子特性及び微細化に寄与し得る半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る半導体装置は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の少なくとも一方の側壁面と該側壁面に隣接する前記基板の表面とを接続するようにエピタキシャル成長により形成された半導体層と、前記ゲート電極の両側の前記基板の表面又は前記半導体層に形成されたソース/ドレイン領域と、を具備してなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極を形成した基板の表面をカバー膜で被覆する工程と、前記ゲート電極の少なくとも一方の側壁面及び該側壁面に隣接する基板表面で前記カバー膜を除去する工程と、前記カバー膜の除去により露出した前記基板の表面から半導体層をエピタキシャル成長し、前記基板と前記ゲート電極の側壁面とを電気的に接続する工程と、前記ゲート電極をマスクに用い、前記基板の表面部又は前記半導体層にソース/ドレイン領域を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の一態様は、メモリ部とロジック部を有する半導体装置の製造方法であって、前記各部で半導体基板上にゲート絶縁膜を介してそれぞれ複数のゲート電極を形成する工程と、前記各ゲート電極及び前記基板の表面をカバー膜で被覆する工程と、前記メモリ部内のシェアードコンタクトすべき第1のトランジスタのゲート電極の両側の少なくとも一方、及び前記ロジック部内のチャネル領域に歪みを与えるべき第2のトランジスタのゲート電極の両側の部分で、前記基板の表面に形成されたカバー膜を除去する工程と、前記カバー膜をマスクに用いて、前記基板の表面部をエッチングして溝を形成する工程と、前記第1のトランジスタのゲート電極の両側壁面の少なくとも一方で前記カバー膜を除去する工程と、前記基板に設けた溝内に半導体層をエピタキシャル成長すると共に、前記第1のトランジスタのゲート電極の側壁面まで該半導体層を成長エピタキシャルすることにより、前記各溝内を前記半導体層で埋め込むと共に、前記第1のトランジスタのゲート電極の側壁面と前記基板とを前記半導体層により電気的に接続する工程と、前記ゲート電極をマスクに用い、前記基板の表面部又は前記半導体層にソース/ドレイン領域を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の一態様は、メモリ部とロジック部を有する半導体装置の製造方法であって、メモリ部とロジック部を有する半導体装置の製造方法であって、前記各部で半導体基板上にゲート絶縁膜を介してそれぞれ複数のゲート電極を形成する工程と、前記各ゲート電極及び前記基板の表面をカバー膜で被覆する工程と、前記メモリ部内のシェアードコンタクトすべき第1のトランジスタのゲート電極の両側壁面の少なくとも一方、及び該側壁面に隣接する基板表面で前記カバー膜を除去すると共に、前記ロジック部内のエレべーテッドソース・ドレイン構造を形成すべき第2のトランジスタのゲート電極の両側の部分で、前記基板の表面に形成されたカバー膜を除去する工程と、前記カバー膜の除去により露出した前記基板の表面から半導体層をエピタキシャル成長することにより、前記第2のトランジスタのゲート電極の両側にエレべーテッドソース・ドレイン構造を形成すると共に、前記第1のトランジスタのゲート電極の側壁面と前記基板とを前記半導体層により電気的に接続する工程と、前記ゲート電極をマスクに用い、前記基板の表面部又は前記半導体層にソース/ドレイン領域を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シェアードコンタクトがエクステンション領域に接触することによる接合リークを抑制することができ、且つ面積増大や抵抗の上昇を招くことなく、ゲート電極とソース/ドレインを結線できる。このため、素子特性及び微細化に寄与することが可能となる。しかも、シェアードコンタクトの実現のために、他のデバイスにおける半導体層のエピタキシャル成長等を利用することにより、プロセスの増大を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(参考例)
まず、本発明の実施形態を説明する前に、MOSトランジスタのソース又はドレイン領域とゲート電極とをコンタクトさせるシェアードコンタクトを形成するための参考例について説明する。ここでは、同一基板上にSRAM等のメモリセル部と周辺回路等のロジック部を形成した例を示す。
【0013】
図7(a)に示すように、半導体基板1の表面部に深さ300nm程度の溝に絶縁膜を埋め込んだ素子分離領域2を形成した後、基板1にウェル/チャネルとなる不純物を導入し、更に厚さ1〜3nm程度のゲート絶縁膜3及び厚さ100nm程度のゲート電極膜4’を形成し、このゲート電極膜4’上に電極パターン5をリソグラフィーにより形成する。
【0014】
次いで、図7(b)に示すように、ドライエッチングによりゲート電極4を加工した後、イオン注入によりソース/ドレイン領域のエクステンション領域13となる不純物導入を行う。
【0015】
次いで、図7(c)に示すようにトランジスタに特性及び信頼性確保の観点から、ソース/ドレイン領域を30nm程度遠ざけるための側壁絶縁膜(サイドウォールスペーサ)14の形成を行う。
【0016】
次いで、図7(d)に示すようにソース/ドレイン領域15となる不純物導入及び活性化を行う。
【0017】
次いで、図8(e)に示すように、ゲート電極4及び半導体基板表面の抵抗を下げるため、Ti,Co,又はNiなどの金属を堆積して合金層(サリサイド)16を形成する。続いて、将来コンタクト形成時のエッチングストッパとなるSiN膜17と層間絶縁膜となる酸化膜18を堆積し、CMP法により平坦化を行う。
【0018】
次いで、図8(f)に示すように、リソグラフィーとドライエッチングを行い、SiN膜17をストッパとして酸化膜18を加工した後、SiN膜17をゲート電極4及び半導体基板表面のサリサイドに至るまで加工し、コンタクトホール21a,21bを形成する。ここで、21aはシェアードコンタクトのためのコンタクトホール、21bは通常のコンタクトホールである。
【0019】
次いで、図8(g)に示すように、コンタクトホール開口後はTiNなどのバリアメタル23及びメタル24を基板全面に堆積し、CMP法により不必要なバリアメタル23及びメタル24を除去することで、コンタクトホール21a,21b内にバリアメタル23、メタル24を充填する。このとき、ソース及びドレイン領域とゲート電極4に跨るようにコンタクトホール21aを開口することで、メタル24によりソース/ドレイン領域15とゲート電極4を接続するシェアードコンタクトが形成される。
【0020】
これ以降は略すが、層間絶縁膜、メタル配線を形成しコンタクトホールを介してトランジスタ同士を接続することにより、シェアードコンタクトを有する半導体装置の構造が得られる。
【0021】
しかしながら、上記の構成においては、(背景技術)の項でも説明したように、シェアードコンタクトのためのコンタクトホール21aを形成する際にサイドウォールスペーサ14の突き抜けが発生しやすく、シェアードコンタクトがエクステンション領域13に接触してジャンクションリークが発生する問題がある。
【0022】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる半導体装置の基本構成を模式的に示す平面図である。基板50上にSRAM(メモリ部)60と周辺回路(ロジック部)70が形成されている。
【0024】
図2は、本実施形態に用いたSRAMの概略構成を示す平面図であり、ここでは2行×2列=4個のノーマルビット線の平面パターンを示している。このノーマルビットセルの基本レイアウトパターンでは、図3の等価回路図に示すビットセルのpMOS(pチャネルMOSFET)P1,P2の部分をカラム方向に沿って配置し、これらP1,P2のロウ方向に沿った両脇に、nMOS(nチャネルMOSFET)N1,N3の部分とN2,N4の部分とを配置する。基本レイアウトパターンにおいて、N1のドレインとビット線BLとのコンタクト、及びN2のドレインと相補ビット線/BLとのコンタクトは、互いに対角の位置に配置され、これらのコンタクトは、カラム方向に沿って隣り合うノーマルビットセルと共有される。同様に、N1のゲートとワード線WLとのコンタクト、及びN2のゲートと上記ワード線WLとのコンタクトもまた、互いに対角の位置に配置され、露光方向に沿って隣り合うノーマルビットセルと共有される。
【0025】
また、P1,N1,及びN3との接続ノードはP2,P4のゲートパターンに接続され、P2,N2,及びN4との接続ノードはP1,N3のゲートパターンに接続されるように配置される、いわゆる“クロスカップル接続”である。ノーマルビットセルは、上記基本レイアウトパターンを、カラム方向に沿ってビット線コンタクトの位置で線対称になるように繰り返し、更にロウ方向に沿ってワード線コンタクトの位置で線対称になるように繰り返すことで、メモリセルアレイに配置される。なお、図中“AA”は、MOSFETのソース/ドレイン領域及びチャネルが形成される活性領域を示しており、活性領域の周囲には素子分離領域が形成されている。
【0026】
本実施形態の特徴は、上記構成のSRAMにおいて、特定のMOSFETのソース又はドレイン領域とゲート電極とを接続するシェアードコンタクトをどのようにするかであり、図4及び図5を参照してこれを説明する。なお、図4及び図5において、左側はメモリ部で前記図1の矢視I−I’断面に相当し、右側はロジック部の断面に相当している。
【0027】
図4(a)に示すように、先に説明した参考例と同様に、素子分離領域102を有するSi基板101にウェル/チャネルとなる不純物を導入し、更に厚さ1〜3nm程度のゲート絶縁膜103及び厚さ100nm程度のゲート電極膜104’を形成し、このゲート電極膜104’上に電極パターンを有するレジストパターン105をリソグラフィーにより形成する。
【0028】
次いで、図4(b)に示すように、レジストパターン105をマスクに用い、ドライエッチングによりゲート電極104を加工した後、基板全面に厚さ20nm程度のSiNからなるカバー膜106を形成する。続いて、メモリ部内のシェアードコンタクトすべきトランジスタのゲート電極の両側の一方と、ロジック部内のチャネルに歪みを与えるべきトランジスタのゲート電極の両側の部分で、基板表面に形成されたカバー膜106を熱燐酸により除去する。その後、カバー膜106をマスクに用いて基板の表面部をドライエッチングすることにより溝107(107a,107b)を形成する。ここで、107aはメモリ部の第1のトランジスタにおけるシェアードコンタクトのための溝、107bはロジック部の第2のトランジスタにおける歪みチャネルを実現するための溝である。
【0029】
次いで、図4(c)に示すように、イオン注入を行い、溝107a,107bの表面に拡散層108を形成する。
【0030】
次いで、リソグラフィーと選択エッチング(CDE,VPC等)により、ゲート電極104とソース/ドレインを接続すべき部位のカバー膜106を除去する。続いて、図4(d)に示すように、メモリ部のトランジスタのゲート電極104の側面と溝107aの半分程度が露出するようにレジストパターン110を形成する。そして、この状態で、選択的エピタキシャル成長技術を用いてシリコン層111を選択的に成長する。
【0031】
次いで、図4(e)に示すように、レジストパターン110を除去した後に、選択エピタキシャル成長技術を用いて、ゲルマニューム、カーボン、ボロン、燐などの不純物を含有するシリコン層112、例えばSiGe層のエピタキシャル成長を行う。このとき、基板Siの露出部分のみにエピタキシャル成長が行われることから、溝107b内がエピタキシャル層112で埋め込まれると共に、コンタクト部(溝107a)では、基板表面上までエピタキシャル成長が進み、このエピタキシャル成長した半導体層によりゲート電極104の側壁面と基板とが電気的に接続される。ロジック部の溝107b内に埋め込まれたSiGe層112はSiチャネルに歪みを与えることになり、移動度の向上等の素子特性向上をはかることができる。
【0032】
次いで、図5(f)に示すように、カバー膜106を除去した後に、ゲート電極104をマスクに用いたイオン注入により、基板表面及びエピタキシャル層112の表面にエクステンション領域113を形成する。
【0033】
次いで、図5(g)に示すように、ゲート電極104の側面に側壁絶縁膜114を形成する。具体的には、全面にSiN等の絶縁膜を堆積した後にエッチバックすることにより、ゲート電極104の側面のみに絶縁膜114を残す。
【0034】
次いで、図5(h)に示すように、ゲート電極104及び側壁絶縁膜114をマスクに用いたイオン注入により、基板表面及びエピタキシャル層112の表面にソース/ドレイン領域115を形成する。
【0035】
次いで、図5(i)に示すように、ゲート電極104及び半導体基板表面の抵抗を下げるため、Ti,Co,又はNiなどの金属を堆積して合金層(サリサイド)116を形成する。続いて、将来コンタクト形成時のエッチングストッパとなるSiN膜117と層間絶縁膜となる酸化膜118を堆積し、CMP法により平坦化を行う。
【0036】
これにより、前記図2及び図3に示すように、P1のトランジスタのソース又はドレイン領域がP2のトランジスタのゲート電極に接続されることになる。
【0037】
これ以降は、従来技術同様に、コンタクトホールやメタル配線等を形成することにより、デバイス構造が完成することになる。
【0038】
このように本実施形態では、ソース/ドレイン領域115をエピタキシャル成長によるシリコン層111,112によりゲート電極104と接続することにより、シェアードコンタクトのための面積を拡大することなく、低抵抗な接続が実現できる。また、ゲート電極104を素子分離領域上に配置してコンタクトを取る必要もないため、抵抗の上昇や必要コンタクト面積の増大を招くこともない。即ち、シェアードコンタクトがエクステンション領域に接触することによるジャンクションリークを抑制することができ、且つ面積の増大や抵抗の上昇を招くことなくコンタクトを取ることができ、素子特性及び微細化をはかることができる。
【0039】
また、シェアードコンタクト部における溝形成及びシリコン(及びSiGe)の選択エピタキシャル成長は、ロジック部のトランジスタの性能向上のために行う溝形成及び選択エピタキシャル成長と同時に行うことができるため、シェアードコンタクトのためのプロセス数の増加を少なくすることができる。実際、シェアードコンタクトだけのために必要なのは、図4(d)に示す工程のみである。即ち、ロジック部のトランジスタの性能向上のために用いられるプロセスをシェアードコンタクトに有効に利用することができ、プロセスの増大を最小限に抑えることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係わる半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、図4及び図5と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0041】
この実施形態が先に説明した第1の実施形態と異なる点は、溝107を設けること無く、基板表面から直接エピタキシャル層を形成することにある。本実施形態は、ロジック部のトランジスタにエレベーテッドソース/ドレイン構造を採用した場合に適用するものである。
【0042】
第1の実施形態では、ゲート電極104とソース/ドレインを結線する際に、半導体基板1上に溝107を設けた例を用いたが、ゲート電極104とソース/ドレインの結線には溝加工を行わず、半導体基板表面のソース/ドレインとゲート電極側壁部を選択エピタキシャル成長技術を用いて結線しても良いのは勿論である。
【0043】
具体的には、前記図4(a)に示す工程の後、図6(a)に示すように、ゲート電極104を加工した後、基板全面にカバー膜106を形成する。続いて、メモリ部内のシェアードコンタクトすべきトランジスタのゲート電極の両側壁面の少なくとも一方、及び該側壁面に隣接する基板表面でカバー膜106を除去すると共に、ロジック部内のエレべーテッドソース/ドレイン構造を形成すべきトランジスタのゲート電極の両側の部分で、基板表面に形成されたカバー膜106を除去する。
【0044】
次いで、図6(b)に示すように、選択エピタキシャル成長技術を用いて、ゲルマニューム、カーボン、ボロン、燐などの不純物を含有するシリコン層112、例えばSiGe層を選択的に成長する。このとき、基板シリコンの露出部分のみにエピタキシャル成長が行われることから、ロジック部のトランジスタではゲート側部にエレベーテッドソース/ドレイン構造が形成され、メモリ部のコンタクト部では、ゲート側面までエピタキシャル成長が進み、これによりゲート電極104の側壁面と基板とが電気的に接続される。
【0045】
これ以降は、第1の実施形態と同様に、エクステンション領域113の形成、側壁絶縁膜114の形成、ソース/ドレイン領域115の形成、合金層(サリサイド)116の形成、層間絶縁膜となる酸化膜118を堆積及び平坦化を行うことにより、図6(c)に示す構造が得られる。
【0046】
このように本実施形態では、エピタキシャル成長したシリコン層112により、ソース/ドレイン領域115とゲート電極104とを接続することができ、先の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、シェアードコンタクト部におけるトランジスタ構造において、ソース/ドレイン領域の一方をゲート電極に接続したが、ソース/ドレイン領域の両方をゲート電極に接続するようにしても良い。さらに、半導体基板及びゲート絶縁膜をエッチングした部分に選択的に成長する半導体層は、必ずしもSiGe層に限られるものではなく、Si又はSiCを用いることも可能である。また、トランジスタはMOS構造に限るものではなく、ゲート絶縁膜として酸化膜以外の絶縁膜を用いたMIS構造であっても良いのは勿論のことである。
【0048】
また、スタティックRAMの構成は前記図1及び図2に何ら限定されるものではなく、適宜変更可能である。さらに、本発明は必ずしもスタティックRAMのシェアードコンタクト部に限るものではなく、MISFETのソース又はドレイン領域とゲート電極とを接続するシェアードコンタクトを有する各種の半導体装置に適用することが可能である。
【0049】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施形態に係わる半導体装置の基本構成を模式的に示す平面図。
【図2】第1の実施形態に係わる半導体装置に用いたSRAMの概略構成を示す平面図。
【図3】図2のSRAMの等価回路図。
【図4】第1の実施形態に係わる半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図5】第1の実施形態に係わる半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図6】第2の実施形態に係わる半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図7】参考例に係わる半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図8】参考例に係わる半導体装置の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0051】
50…基板
60…メモリ部(SRAM)
70…ロジック部
101…Si基板
102…素子分離領域
103…ゲート絶縁膜
104…ゲート電極
105…レジストパターン
106…カバー膜
107(107a,107b)…溝
108…拡散層
110…レジストパターン
111…エピタキシャルSi層
112…エピタキシャルSiGe層
113…エクステンション領域
114…側壁絶縁膜
115…ソース/ドレイン領域
116…合金層
117…SiN膜
118…層間絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の少なくとも一方の側壁面と該側壁面に隣接する前記基板の表面とを接続するようにエピタキシャル成長により形成された半導体層と、
前記ゲート電極の両側の前記基板の表面又は前記半導体層に形成されたソース/ドレイン領域と、
を具備してなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を形成した基板の表面をカバー膜で被覆する工程と、
前記ゲート電極の少なくとも一方の側壁面及び該側壁面に隣接する基板表面で前記カバー膜を除去する工程と、
前記カバー膜の除去により露出した前記基板の表面から半導体層をエピタキシャル成長し、前記基板と前記ゲート電極の側壁面とを電気的に接続する工程と、
前記ゲート電極をマスクに用い、前記基板の表面部又は前記半導体層にソース/ドレイン領域を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
メモリ部とロジック部を有する半導体装置の製造方法であって、
前記各部で半導体基板上にゲート絶縁膜を介してそれぞれ複数のゲート電極を形成する工程と、
前記各ゲート電極及び前記基板の表面をカバー膜で被覆する工程と、
前記メモリ部内のシェアードコンタクトすべき第1のトランジスタのゲート電極の両側の少なくとも一方、及び前記ロジック部内のチャネル領域に歪みを与えるべき第2のトランジスタのゲート電極の両側の部分で、前記基板の表面に形成されたカバー膜を除去する工程と、
前記カバー膜をマスクに用いて、前記基板の表面部をエッチングして溝を形成する工程と、
前記第1のトランジスタのゲート電極の両側壁面の少なくとも一方で前記カバー膜を除去する工程と、
前記基板に設けた溝内に半導体層をエピタキシャル成長すると共に、前記第1のトランジスタのゲート電極の側壁面まで該半導体層を成長エピタキシャルすることにより、前記各溝内を前記半導体層で埋め込むと共に、前記第1のトランジスタのゲート電極の側壁面と前記基板とを前記半導体層により電気的に接続する工程と、
前記ゲート電極をマスクに用い、前記基板の表面部又は前記半導体層にソース/ドレイン領域を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
メモリ部とロジック部を有する半導体装置の製造方法であって、
前記各部で半導体基板上にゲート絶縁膜を介してそれぞれ複数のゲート電極を形成する工程と、
前記各ゲート電極及び前記基板の表面をカバー膜で被覆する工程と、
前記メモリ部内のシェアードコンタクトすべき第1のトランジスタのゲート電極の両側壁面の少なくとも一方、及び該側壁面に隣接する基板表面で前記カバー膜を除去すると共に、前記ロジック部内のエレべーテッドソース・ドレイン構造を形成すべき第2のトランジスタのゲート電極の両側の部分で、前記基板の表面に形成されたカバー膜を除去する工程と、
前記カバー膜の除去により露出した前記基板の表面から半導体層をエピタキシャル成長することにより、前記第2のトランジスタのゲート電極の両側にエレべーテッドソース・ドレイン構造を形成すると共に、前記第1のトランジスタのゲート電極の側壁面と前記基板とを前記半導体層により電気的に接続する工程と、
前記ゲート電極をマスクに用い、前記基板の表面部又は前記半導体層にソース/ドレイン領域を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体層を形成した後で前記ソース/ドレイン領域を形成する前に、前記ゲート電極の側壁面に側壁絶縁膜を形成することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−152312(P2009−152312A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327730(P2007−327730)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】