半導体装置及びその製造方法
【課題】絶縁層上の半導体層に形成された部分空乏型のトランジスターにおいて、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現できるようにした半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】BOX層1上のSOI層2に形成された部分空乏型のトランジスター10と、ダイオード20とを備え、トランジスター10は、SOI層2上に絶縁膜13を介して形成されたゲート電極14と、ゲート電極14の両側下のSOI層2に形成されたN型のソース15a又はドレイン15bとを有し、ダイオード20は、SOI層2の浅い部分に形成されたP型不純物層21と、SOI層2の深い部分に形成されたN型不純物層22と、を有する。P型不純物層21と、N型不純物層22は深さ方向に積層されており、P型不純物層21の側面とN型不純物層22の側面はそれぞれトランジスター10のボディ領域2に接している。
【解決手段】BOX層1上のSOI層2に形成された部分空乏型のトランジスター10と、ダイオード20とを備え、トランジスター10は、SOI層2上に絶縁膜13を介して形成されたゲート電極14と、ゲート電極14の両側下のSOI層2に形成されたN型のソース15a又はドレイン15bとを有し、ダイオード20は、SOI層2の浅い部分に形成されたP型不純物層21と、SOI層2の深い部分に形成されたN型不純物層22と、を有する。P型不純物層21と、N型不純物層22は深さ方向に積層されており、P型不純物層21の側面とN型不純物層22の側面はそれぞれトランジスター10のボディ領域2に接している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁層上の半導体層に部分空乏型のトランジスターを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを、絶縁膜上に形成した薄い半導体膜に形成する技術(SOI:Silicon On Insulator)は、次世代に向けた低パワー半導体デバイスとして開発・実用化が進められている。SOIはドレイン電流の高ON/OFF比あるいは急峻なサブスレッショルド特性、低雑音、低寄生容量といった特長を持ち、ウォッチや携帯機器等に用いられる集積回路への応用が進んでいる。現在、SOI構造を有するMISFET(Metal Insulator Semiconductor)は、様々な半導体集積回路に用いられている。特に、従来からあるバルク構造のMISFETの製造方法と同等に容易に製造できる部分空乏型(PD:Partially Depleted)のSOI構造からなるMISFET(以下、PD−SOI MISFET)は、半導体製品に広く応用されている。PD−SOI MISFETの構造については、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
PD−SOI MISFETでは、素子分離膜と絶縁層(BOX層ともいう。)とによって、ボディ領域が他の領域から電気的に分離されており、その電位(即ち、ボディ電位)は浮遊している。このため、基板浮遊効果と呼ばれる現象のデバイス特性への影響(例えば、ヒストリー効果)を考慮しなくてはならない。ここで、ヒストリー効果とは、ゲート、ドレイン、ソースに印加されていた電圧の履歴によって、ボディ電位及びドレイン電流が変動し、デバイス特性が不安定になってしまう現象のことである。
また、ヒストリー効果は、例えば図10に示すような既知のボディ電位固定方法により抑制することができる。
【0004】
図10(a)及び(b)は、従来例に係るPD−SOI MISFET90の構成例を示す断面図である。図10(a)及び(b)に示すように、このPD−SOI MISFET90は、BOX層91上のSOI層92の表面に形成されたゲート絶縁膜93と、ゲート絶縁膜93を介してSOI層92上に形成されたゲート電極94と、ゲート電極94の両側下のSOI層92に形成されたN型のソース95a又はドレイン95bと、ゲート電極94直下の領域のSOI層(即ち、ボディ領域)92に接続するP型不純物層96と、を有する。
【0005】
このPD−SOI MISFET90では、その動作時には図10(b)に示すように、空乏層92aがBOX層91まで達せずに中性領域92bが残る。また、コンタクト97及びP型不純物層96を介してボディ領域92の電位(即ち、ボディ電位)が所望の電位(例えば、接地電位)に固定されるため、基板浮遊効果が抑えられ、ヒストリー効果が抑制される。このような構造は、ボディコンタクトと呼ばれ、又はボディタイとも呼ばれており、例えば特許文献2に開示されている。なお、図10(a)では、図面の複雑化を回避するために、図10(b)に示した層間絶縁膜98を省略している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−128254号公報
【特許文献2】特開2004―119884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、PD−SOI MISFET90において、そのボディ電位を固定した場合(即ち、ボディコンタクトの場合)は、デバイス特性は安定するが、その一方で、ボディ領域に寄生容量が生じるため、ON(オン)電流が低下し、ドレイン電流のON/OFF(オフ)比が低下したり、サブスレッショルドスイング値(S値)が増加したりしてしまうという課題があった。つまり、PD−SOI MOSFET90の駆動電流が低下し、その電流駆動能力はバルクシリコンと同程度となってしまうという課題があった。このため、図10(a)及び(b)に示した構造では、SOIの長所を十分に活かすことができない可能性があった。
そこで、本発明のいくつかの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであって、絶縁層上の半導体層に形成された部分空乏型のトランジスターにおいて、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現できるようにした半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る半導体装置は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層と、前記半導体層に形成された部分空乏型の第1トランジスターと、前記半導体層に形成された第1ダイオードと、を備え、前記第1トランジスターは、前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第1導電型の第1ソース又は第1ドレインと、を有し、前記第1ダイオードは、前記半導体層の浅い部分に形成された第2導電型の第1不純物層と、前記半導体層の深い部分に形成された第1導電型の第2不純物層と、を有し、前記第1不純物層と前記第2不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、前記第1不純物層の側面と前記第2不純物層の側面はそれぞれ、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接していることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「絶縁層」は例えばBOX層、「半導体層」は例えばSOI層とも呼ばれる。また、「部分空乏型のトランジスター」とは、トランジスターの動作時に、ゲート電極直下の領域の半導体層(即ち、ボディ領域)が完全に空乏化するのではなく、部分的に空乏化する(つまり、空乏層が絶縁層まで達せずに中性領域が残る)トランジスターのことである。また、「第1導電型」はP型又はN型の一方であり、「第2導電型」はP型又はN型の他方である。なお、ゲート電極と半導体層との間にある絶縁膜は、半導体層の熱酸化により形成されるゲート酸化膜であっても良いし、その他の絶縁膜(例えば、high−k膜)であっても良い。
【0010】
このような構成であれば、第1トランジスターがONのときはボディ領域に生じる空乏層は下方向に伸び、空乏層下の中性領域は、例えば、深さ方向に積層された第2不純物層及び第1不純物層を介して、P−N−P(又は、N−P−N)構造となる。従って、ボディ領域と、ボディ領域の電位(即ち、ボディ電位)を固定するための固定ボディ電極との間を電気的に分離することができ、第1トランジスターをボディ電位が浮遊した構造(即ち、ボディーフロート構造)にすることができる。
【0011】
また、第1トランジスターがOFFになれば、ボディ領域はダイオードのうちの第1不純物層を介して、P−P(又は、N−N)構造となるため、ボディ領域と固定ボディ電極との間を電気的に接続することができる。従って、第1トランジスターをボディ電位が固定された構造(即ち、ボディーコンタクト構造)にすることができる。
このように、第1トランジスターのON、OFFに合わせて、ボディフロート構造とボディコンタクト構造とを切り替えることができる。この場合、第1トランジスターのON電流はボディフロートの効果により高くなり、OFF電流はボディコンタクトの効果により低くなる。また、第1トランジスターのOFF時は、ボディコンタクトの効果によりボディ電位はリセットされるため、第1トランジスターにおけるヒストリー効果は抑制される。従って、第1トランジスターにおいて、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現することができる。
【0012】
また、上記の半導体装置において、前記第1不純物層と前記第2不純物層の境界は、前記第1ゲート電極に閾値以上の電圧が印加されたときに前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に生じる空乏層と中性領域との境界よりも、前記半導体層の表面からの深さが浅いことを特徴としても良い。このような構成であれば、第1トランジスターがONするときは、中性領域をダイオードのうちの第1不純物層のみと接触させ、第2不純物層とは接触させないようにすることができる。
【0013】
また、上記の半導体装置において、前記第1ゲート電極の側面に形成されたサイドウォール、をさらに備えることを特徴としても良い。このような構成であれば、例えば、半導体層の浅い部分に第1不純物層を形成する際に、サイドウォールをマスクに用いて第2導電型の不純物をイオン注入することができ、半導体層であってダイオード側の端部に、第2導電型の不純物が入りにくくすることができる。これにより、上記端部において第2導電型の不純物濃度を低く抑えることができ、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易くなるので、ボディフロート構造が形成し易くなる。
【0014】
また、上記の半導体装置において、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に形成された第2導電型の第3不純物層、をさらに備え、前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度は、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低いことを特徴としても良い。このような構成であれば、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易くなるので、ボディフロート構造が形成し易くなる。
【0015】
また、上記の半導体装置において、前記半導体層に形成された部分空乏型の第2トランジスターと、前記半導体層に形成された第2ダイオードと、をさらに備え、前記第2トランジスターは、前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、前記第3ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第2導電型の第2ソース又は第2ドレインと、を有し、前記第2ダイオードは、前記半導体層の浅い部分に形成された第1導電型の第4不純物層と、前記半導体層の深い部分に形成された第2導電型の第5不純物層と、を有し、前記第4不純物層と前記第5不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、前記第4不純物層の側面と前記第5不純物層の側面はそれぞれ、前記第2ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接し、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとによってインバーター回路が構成されていることを特徴としても良い。
【0016】
このような構成であれば、第2トランジスターがONするときは、そのボディ領域をボディフロート構造にすることができる。また、第2トランジスターがOFFするときは、そのボディ領域をボディコンタクト構造にすることができる。従って、第1トランジスターと同様、第2トランジスターにおいても、ON電流は高くなりOFF電流は低くなり、ヒストリー効果も抑制される。従って、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現したインバーター回路を提供することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様に係る半導体装置の製造方法は、絶縁層上の半導体層に部分空乏型の第1トランジスターを形成する工程と、前記半導体層の厚さ方向に第1不純物層と第2不純物層とが積層された第1ダイオードを形成する工程と、を含み、前記第1トランジスターを形成する工程は、前記半導体層上に絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に第1導電型の第1ソース又は第1ドレインを形成する工程と、を有し、前記第1ダイオードを形成する工程は、前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第2導電型の前記第1不純物層を形成する工程と、前記半導体層の深い部分に第1導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第1導電型の前記第2不純物層を形成する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0018】
このような製造方法であれば、第1トランジスターのON、OFFに合わせて、ボディフロート構造とボディコンタクト構造とを切り替えることができ、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現できるようにした半導体装置を提供することができる。
また、上記の製造方法において、前記第1ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程、をさらに含み、前記第1不純物層を形成する工程では、前記ゲート電極と前記サイドウォールをマスクに用いて、前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入することを特徴としても良い。このような製造方法であれば、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易く、ボディフロート構造の形成が容易な半導体装置を提供することができる。
【0019】
また、上記の製造方法において、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に第2導電型の第3不純物層を形成する工程、をさらに含み、前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度を、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低くすることを特徴としても良い。このような製造方法であれば、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易く、ボディフロート構造の形成が容易な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図7】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図8】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図9】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図10】従来例を示す図。
【図11】インパクトイオン化現象によるVthの変化を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
(1)第1実施形態
図1(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の構成例を示す平面図と断面図である。図1(b)はトランジスターがOFFのときの状態を示し、図1(c)はトランジスターがONのときの状態を示す。なお、図1(a)では、図面の複雑化を回避するために層間絶縁膜を省略している。
【0022】
図1(a)〜(c)に示すように、この半導体装置は、BOX層1上のSOI層2に形成されたNチャネル型のトランジスター10と、PN接合型のダイオード20とを含んで構成されている。BOX層1は例えばシリコン酸化膜(SiO2)であり、SOI層2は例えば単結晶のシリコン層(Si)である。また、トランジスター10とダイオード20は層間絶縁膜5で覆われており、ダイオード20の一端は、例えば接地電位の固定ボディ電極27に電気的に接続されている。
【0023】
トランジスター10は、例えば、絶縁膜13を介してSOI層2上に形成されたゲート電極14と、このゲート電極14の両側下のSOI層2に形成されたN型のソース15a又はドレイン15bと、を有する。絶縁膜13は、例えば、SOI層2の熱酸化により形成されるゲート酸化膜(SiO2若しくはSiON)、又はhigh−k膜である。また、ゲート電極14は、例えばリン、ボロン等の不純物を含むポリシリコン、又は、金属からなる。このトランジスター10は、部分空乏型のMISFET(即ち、PD−SOI MISFET)であり、その動作時(即ち、ゲート電極14に閾値以上の電圧が印加されて、トランジスターがONするとき)には、図1(c)に示すように、ゲート電極14直下の領域のSOI層(即ち、ボディ領域)2において、空乏層2aがBOX層1まで達せずに中性領域2bが残る。
【0024】
また、ダイオード20は、SOI層2の浅い部分に形成されたP型不純物層21と、SOI層2の深い部分に形成されたN型不純物層22と、を有する。図1(b)及び(c)に示すように、P型不純物層21とN型不純物層22はSOI層2の深さ方向に積層されており、P型不純物層21の下面とN型不純物層22の上面とが直に接している。また、P型不純物層21の側面とN型不純物層22の側面はそれぞれ、ボディ領域2に接している。さらに、図1(c)において、SOI層2の表面からの深さに着目すると、P型不純物層21とN型不純物層22の境界は、空乏層2aと中性領域2bの境界よりも浅くなっている。
【0025】
この半導体装置では、図1(c)に示すように、トランジスター10がONするときは、空乏層2aは下方向に伸びる。その結果、中性領域2bとダイオード20は、固定ボディ電極27に対してP−N−P構造となる。
これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極27から分離することができ、トランジスター10をボディフロート構造にすることができる。また、図1(b)に示すように、トランジスター10がOFFになれば、ボディ領域2の空乏化はほぼ解消され、ボディ領域2とP型不純物層21は、固定ボディ電極27に対してP−P構造となる。これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極27に導通させることができ、トランジスター10をボディコンタクト構造にすることができる。次に、この半導体装置の製造方法について説明する。
【0026】
図2(a)〜図5(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。
図2(a)及び(b)では、まず、支持基板(図示せず)上にBOX層1が形成され、その上にSOI層2が形成されたSOI基板を用意する。このSOI基板は、例えばSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法や、貼り合わせ法により形成されたものである。次に、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いて、SOI層2に素子分離層3を形成する。素子分離層3により平面視で囲まれた領域が、素子領域となる。
【0027】
次に、図3(a)及び(b)に示すように、SOI層2に例えば、ボロン等のP型不純物をイオン注入する。これにより、SOI層2の導電型をP型にする。次に、SOI層2に熱酸化を施して、その表面にゲート絶縁膜を形成する。そして、ゲート絶縁膜上に、ゲート電極の材料となる膜(例えば、ポリシリコン膜、又は、金属膜)を形成し、この膜をパターニングしてゲート電極を形成する。
【0028】
次に、図4(a)及び(b)に示すように、素子領域のうちのダイオードが形成される領域を、例えばレジストパターンR1で覆う。このとき、素子領域のうちのトランジスターが形成される領域は、レジストパターンR1下から露出させておく。そして、ゲート電極14、及びレジストパターンR1をマスクにして、SOI層2にリン又はヒ素等のN型不純物をイオン注入する。これにより、ゲート電極14の両側下のSOI層2にソース15a又はドレイン15bを形成する。この工程では、ボディ領域2はゲート電極14でマスクされ、ダイオードが形成される領域はレジストパターンR1でマスクされているため、これら両領域へはN型不純物は導入されず、その導電型はP型に保持される。この工程の後は、ダイオードが形成される領域上からレジストパターンR1を除去する。
【0029】
次に、図5(a)及び(b)に示すように、素子領域のうちのトランジスターが形成される領域を、例えばレジストパターンR2で覆う。このとき、素子領域のうちのダイオードが形成される領域は、レジストパターンR2下から露出させておく。そして、このレジストパターンR2をマスクに、リン又はヒ素等のN型不純物をイオン注入する。これにより、SOI層2の深い部分にN型不純物層22を形成する。ここでは、N型不純物のほぼ全てがSOI層2の深い部分に到達しSOI層の浅い部分には留まらないように、その注入エネルギーを調整する。続いて、レジストパターンR2をマスクに、ボロン等のP型不純物をイオン注入して、SOI層2の浅い部分にP型不純物層21を形成する。ここでは、P型不純物のほぼ全てがSOI層2の浅い部分に留まり、SOI層2の深い部分には到達しないように、その注入エネルギーを調整する。
【0030】
即ち、SOI層2の深い部分への不純物の注入エネルギーをE1とし、SOI層2の浅い部分への不純物の注入エネルギーをE2としたとき、E1>E2とする。これにより、
P型不純物層21とN型不純物層22とからなるPN接合型のダイオード20が形成される。この工程の後は、トランジスターが形成される領域上からレジストパターンR2を除去する。
なお、本実施の形態では、SOI層2の浅い部分へのイオン注入は、必ずしも必要ではない。その理由は、図3(a)及び(b)の工程で、SOI層2の導電型は既にP型となっているからである。図5(a)及び(b)の工程で、P型不純物をイオン注入した場合は、P型不純物層21におけるP型不純物の濃度をボディ領域よりも高めることができる。また、この工程でP型不純物をイオン注入しない場合は、P型不純物層21におけるP型不純物の濃度をボディ領域と同等に保つことができる。
【0031】
その後、SOI基板に熱処理を施して、SOI層2に導入した、P型不純物、N型不純物をそれぞれ拡散させる。次に、SOI基板上に層間絶縁膜(図示せず)を堆積する。そして、ソース15a上と、ドレイン15b上と、ゲート電極14上と、ダイオード20上とに、それぞれ開口部(図示せず)を形成する。さらに、これらの開口部内に例えばタングステン等の導電部材を埋め込んで電極25〜27(図1(a)参照。)を形成する。これにより、図1(a)〜(c)に示した半導体装置が完成する。
【0032】
このように、本発明の第1実施形態によれば、トランジスター10がONするときは空乏層2aが下方向に伸び、その下の中性領域2bはN型不純物層22及びP型不純物層21を介して、P−N−P構造となる。従って、ボディ領域2と、固定ボディ電極27との間を電気的に分離することができ、トランジスター10をボディフロート構造にすることができる。また、トランジスター10がOFFになれば、ボディ領域2はP型不純物層21を介してP−P構造となるため、ボディ領域2と固定ボディ電極27との間を電気的に接続することができる。従って、トランジスター10をボディコンタクト構造にすることができる。
【0033】
このように、トランジスター10のON、OFFに合わせて、ボディフロート構造とボディコンタクト構造とを切り替えることができる。この場合、トランジスター10のON電流はボディフロートの効果により高くなり、OFF電流はボディコンタクトの効果により低くなる。また、トランジスター10のOFF時は、ボディコンタクトの効果によりボディ電位はリセットされるため、トランジスター10におけるヒストリー効果は抑制される。従って、トランジスター10において、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現することができる。
【0034】
この第1実施形態では、BOX層1が本発明の「絶縁層」に対応し、SOI層2が本発明の「半導体層」に対応している。また、トランジスター10が本発明の「第1トランジスター」に対応し、ゲート電極14が本発明の「第1ゲート電極」に対応し、ソース15aが本発明の「第1ソース」に対応し、ドレイン15bが本発明の「第1ドレイン」に対応している。また、ダイオード20が本発明の「第1ダイオード」に対応し、P型不純物層21が本発明の「第1不純物層」に対応し、N型不純物層22が本発明の「第2不純物層」に対応している。
【0035】
なお、本発明において、OFF電流が低くなる理由を以下に説明する。
MISFETにおいて、ドレイン電圧Vd>1.1V程度の条件下では、インパクトイオン化現象が発生する(この現象はSOI固有の現象ではない。)。ここで、インパクトイオン化現象とは、荷電粒子とSi原子との衝突により、多数の電子‐ホール対が発生する現象のことである。即ち、チャネルがONのときにチャネルを流れる荷電粒子(nは電子、pはホール)がドレイン近傍の電界によって加速されて、ある程度以上(約1.5eV以上)のエネルギーを得てSi原子に衝突すると、そのエネルギーによってSiはイオン化し、電子を放出する。また、電子放出に伴い、ホールも生成される。つまり、インパクトイオン化現象により多数の電子−ホール対ができる。
【0036】
MISFETがNチャネル型の場合、生成された電子は電位の高いドレインに流れ、ホールは電位の低いボディ領域に流れ込む(Pチャネル型の場合は電子とホールの流れが逆となる。)。Nチャネル型の場合はホールの供給によってボディ電位は上がる。Pチャネル型の場合は電子の供給によってボディ電位が下がる。いずれにしてもMISFETの閾値電圧Vthはインパクトイオンによって低下する。さらに、キャリア自体も増えるため、ON電流の増加につながる。ここで、SOIの場合はボディが浮遊しているため、その影響はバルクの場合と比べて、明らかに大きい。
【0037】
図11はPD−SOI MISFETがNチャネル型の場合のインパクトイオン化現象によるVthの変化を模式的に示す図である。チャネル電流(即ち、ON電流)が流れるとインパクトイオン化現象によりVthが下がる。従って、PD−SOI MISFETがONからOFFへと変化したときに、Vthは既に下がっているため、OFF電流が増加してしまう。これに対し、本発明では、PD−SOI MISFET(例えば、トランジスター10)がOFFのときに、ボディ領域にたまったホールを排出するパス(例えば、P型不純物層21)があるため、OFF電流を低くすることができる。
【0038】
(2)第2実施形態
上記の第1実施形態では、本発明の「第1導電型」がN型で、「第2導電型」がP型である場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。「第1導電型」がP型で、「第2導電型」がN型であっても良い。
図6(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の構成例を示す平面図と断面図である。図6(b)はトランジスターがOFFのときの状態を示し、図6(c)はトランジスターがONのときの状態を示す。なお、図6(a)では、図面の複雑化を回避するために層間絶縁膜を省略している。
【0039】
図6(a)〜(c)に示すように、この半導体装置は、BOX層1上のSOI層2に形成されたPチャネル型のトランジスター30と、PN接合型のダイオード40とを含んで構成されている。また、トランジスター30とダイオード40は層間絶縁膜5で覆われており、ダイオード40の一端は、例えば接地電位の固定ボディ電極47に電気的に接続されている。
【0040】
トランジスター30は、例えば、絶縁膜33を介してSOI層2上に形成されたゲート電極34と、このゲート電極34の両側下のSOI層2に形成されたP型のソース35a又はドレイン35bと、を有する。絶縁膜33は、例えば、SOI層2の熱酸化により形成されるゲート酸化膜(SiO2若しくはSiON)、又はhigh−k膜である。また、ゲート電極34は、例えばリン、ボロン等の不純物を含むポリシリコンからなる。このトランジスター30は、PD−SOI MISFETであり、その動作時には図3(b)に示すように、空乏層2aがBOX層1まで達せずに中性領域2bが残る。
【0041】
また、ダイオード40は、SOI層2の浅い部分に形成されたN型不純物層41と、SOI層2の深い部分に形成されたP型不純物層42と、を有する。図6(b)及び(c)に示すように、N型不純物層41とP型不純物層42はSOI層2の深さ方向に積層されており、N型不純物層41の下面とP型不純物層42の上面とが直に接している。図6(c)に示すように、N型不純物層41のP型不純物層42の境界は、空乏層2aと中性領域2bとの境界よりも浅く形成されている。さらに、N型不純物層41の側面とP型不純物層42の側面とはそれぞれ、ボディ領域2に接している。
【0042】
この半導体装置では、図6(c)に示すように、トランジスター10がONするときは、空乏層2aは下方向に伸び、中性領域2bとダイオード40は、固定ボディ電極47に対してN−P−N構造となる。これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極47から分離することができ、トランジスター30をボディフロート構造にすることができる。また、図6(b)に示すように、トランジスター30がOFFになれば、ボディ領域2の空乏化はほぼ解消され、ボディ領域2とN型不純物層41は、固定ボディ電極47に対してN−N構造となる。これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極47に導通させることができ、トランジスター30をボディコンタクト構造にすることができる。
【0043】
このように、本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、トランジスター30がONするときはボディフロート構造にすることができ、トランジスター30がOFFのときはボディコンタクト構造にすることができる。従って、トランジスター30において、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現することができる。
この第2実施形態では、トランジスター30が本発明の「第1トランジスター」に対応し、ゲート電極34が本発明の「第1ゲート電極」に対応し、ソース35aが本発明の「第1ソース」に対応し、ドレイン35bが本発明の「第1ドレイン」に対応している。また、ダイオード40が本発明の「第1ダイオード」に対応し、N型不純物層41が本発明の「第1不純物層」に対応し、P型不純物層42が本発明の「第2不純物層」に対応している。
【0044】
(3)第3実施形態
図7は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の構成例を示す平面図である。図7に示すように、この半導体装置は、例えば、第1実施形態で説明したトランジスター10及びダイオード20と、第2実施形態で説明したトランジスター30及びダイオード40と、を有し、これらトランジスター10、30と、ダイオード20、40との組み合わせにより、CMOSインバーター回路50を構成している。
【0045】
図7に示すように、このCMOSインバーター回路50では、トランジスター10のソース15aと電源線VSSとが電気的に接続され、トランジスター10のドレイン15bとトランジスター30のドレイン35bとが電気的に接続され、トランジスター30のソース35aが電源線VDDに接続されている。また、ダイオード20のP型不純物層21がVSSに電気的に接続され、ダイオード40のN型不純物層41がVDDに接続されている。また、トランジスター10のゲート電極14と、トランジスター30のゲート電極34とが共に入力信号線Aに電気的に接続されている。さらに、トランジスター10のドレイン15bと、トランジスター30のドレイン35bとが共に出力信号線Bに電気的に接続されている。
【0046】
このような構成を有するCMOSインバーター回路50において、例えば、入力信号線Aの電位がVDD(>VSS)のときは、トランジスター10がONになり、トランジスター30がOFFになる。このため、出力信号線Bの電位はVSSとほぼ等しくなる。また、トランジスター10のボディ領域とVSSとの間がP−N−P構造となるため、トランジスター10はボディフロート構造となる。従って、トランジスター10のON電流を(ボディコンタクト構造と比べて)高くすることができる。一方、トランジスター30のボディ領域とVDDとの間はN−N構造となるため、トランジスター30はボディコンタクト構造となる。従って、トランジスター30のOFF電流を(ボディフロート構造と比べて)低くすることができる。さらに、ボディコンタクト構造により、トランジスター30のボディ電位はリセットされるため、トランジスター30におけるヒストリー効果は抑制される。
【0047】
また、入力信号線Aの電位が−VDD(<VSS)のときは、トランジスター10がOFFになり、トランジスター30がONになる。このため、出力信号線Bの電位はVDDとほぼ等しくなる。ここで、トランジスター10のボディ領域とVSSとの間はP−P構造となるため、トランジスター10はボディコンタクト構造となる。従って、トランジスター10のOFF電流を(ボディフロート構造と比べて)低くすることができる。さらに、ボディコンタクト構造により、トランジスター10のボディ電位はリセットされるため、トランジスター10におけるヒストリー効果は抑制される。一方、トランジスター30のボディ領域とVDDとの間はN−P−N構造となるため、トランジスター30はボディフロート構造となる。従って、トランジスター30のON電流を(ボディコンタクト構造と比べて)高くすることができる。
【0048】
このように、本発明の第3実施形態によれば、第1、第2実施形態で説明したトランジスター10、30と、ダイオード20、40が応用されるため、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現したCMOSインバーター回路50を提供することができる。
この第3実施形態では、トランジスター30が本発明の「第2トランジスター」に対応し、ゲート電極34が本発明の「第2ゲート電極」に対応し、ソース35aが本発明の「第2ソース」に対応し、ドレイン35bが本発明の「第2ドレイン」に対応している。また、ダイオード40が本発明の「第2ダイオード」に対応し、N型不純物層41が本発明の「第4不純物層」に対応し、P型不純物層42が本発明の「第5不純物層」に対応している。また、CMOSインバーター回路50が本発明の「インバーター回路」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0049】
(4)その他の実施形態
なお、本発明では、例えば図8に示すように、ゲート電極14の側面にサイドウォール61を形成しても良い。このような構成であれば、例えばP型不純物層21を形成する際に、このサイドウォール61をマスクに用いてP型不純物をイオン注入することができ、SOI層2であってダイオード20側の端部62に、P型不純物が入りにくくすることができる。これにより、上記端部62において空乏層が伸び易くなるので、トランジスター10がONするときにP−N−P構造を形成し易くなる。
【0050】
また、本発明では、例えば図9に示すように、ボディ領域2であってダイオード20側の端部に、ボディ領域2と同一導電型で、端部以外のボディ領域2よりも不純物濃度が低い不純物層63を形成しても良い。例えば、上記の端部にリン等のN型不純物をイオン注入して、P型不純物の濃度を相対的に低くし、P−のボディ領域2に対して、P−−の不純物層63を形成する。このような構成であれば、不純物層63において空乏層が伸び易くなるので、トランジスター10がONするときにP−N−P構造を形成し易くなる。
さらに、本発明では、図8に示したサイドウォール61と、図9に示した不純物層63の両方をトランジスター10に形成しても良い。これにより、P−N−P構造をさらに形成し易くなる。ここでは、不純物層63が本発明の「第3不純物層」に対応している。
【符号の説明】
【0051】
1 BOX層、2 SOI層(ボディ領域)、2a 空乏層、2b 中性領域、3 素子分離層、5 層間絶縁膜、10、30 トランジスター(PD−SOI MOSFET)、13、33 絶縁膜、14、34 ゲート電極、15a、35a ソース、15b、35b ドレイン、20、40 ダイオード、21、42 P型不純物層、22、41 N型不純物層、24〜27 コンタクト、50 CMOSインバーター回路、61 サイドウォール、62 端部、63 不純物層
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁層上の半導体層に部分空乏型のトランジスターを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを、絶縁膜上に形成した薄い半導体膜に形成する技術(SOI:Silicon On Insulator)は、次世代に向けた低パワー半導体デバイスとして開発・実用化が進められている。SOIはドレイン電流の高ON/OFF比あるいは急峻なサブスレッショルド特性、低雑音、低寄生容量といった特長を持ち、ウォッチや携帯機器等に用いられる集積回路への応用が進んでいる。現在、SOI構造を有するMISFET(Metal Insulator Semiconductor)は、様々な半導体集積回路に用いられている。特に、従来からあるバルク構造のMISFETの製造方法と同等に容易に製造できる部分空乏型(PD:Partially Depleted)のSOI構造からなるMISFET(以下、PD−SOI MISFET)は、半導体製品に広く応用されている。PD−SOI MISFETの構造については、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
PD−SOI MISFETでは、素子分離膜と絶縁層(BOX層ともいう。)とによって、ボディ領域が他の領域から電気的に分離されており、その電位(即ち、ボディ電位)は浮遊している。このため、基板浮遊効果と呼ばれる現象のデバイス特性への影響(例えば、ヒストリー効果)を考慮しなくてはならない。ここで、ヒストリー効果とは、ゲート、ドレイン、ソースに印加されていた電圧の履歴によって、ボディ電位及びドレイン電流が変動し、デバイス特性が不安定になってしまう現象のことである。
また、ヒストリー効果は、例えば図10に示すような既知のボディ電位固定方法により抑制することができる。
【0004】
図10(a)及び(b)は、従来例に係るPD−SOI MISFET90の構成例を示す断面図である。図10(a)及び(b)に示すように、このPD−SOI MISFET90は、BOX層91上のSOI層92の表面に形成されたゲート絶縁膜93と、ゲート絶縁膜93を介してSOI層92上に形成されたゲート電極94と、ゲート電極94の両側下のSOI層92に形成されたN型のソース95a又はドレイン95bと、ゲート電極94直下の領域のSOI層(即ち、ボディ領域)92に接続するP型不純物層96と、を有する。
【0005】
このPD−SOI MISFET90では、その動作時には図10(b)に示すように、空乏層92aがBOX層91まで達せずに中性領域92bが残る。また、コンタクト97及びP型不純物層96を介してボディ領域92の電位(即ち、ボディ電位)が所望の電位(例えば、接地電位)に固定されるため、基板浮遊効果が抑えられ、ヒストリー効果が抑制される。このような構造は、ボディコンタクトと呼ばれ、又はボディタイとも呼ばれており、例えば特許文献2に開示されている。なお、図10(a)では、図面の複雑化を回避するために、図10(b)に示した層間絶縁膜98を省略している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−128254号公報
【特許文献2】特開2004―119884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、PD−SOI MISFET90において、そのボディ電位を固定した場合(即ち、ボディコンタクトの場合)は、デバイス特性は安定するが、その一方で、ボディ領域に寄生容量が生じるため、ON(オン)電流が低下し、ドレイン電流のON/OFF(オフ)比が低下したり、サブスレッショルドスイング値(S値)が増加したりしてしまうという課題があった。つまり、PD−SOI MOSFET90の駆動電流が低下し、その電流駆動能力はバルクシリコンと同程度となってしまうという課題があった。このため、図10(a)及び(b)に示した構造では、SOIの長所を十分に活かすことができない可能性があった。
そこで、本発明のいくつかの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであって、絶縁層上の半導体層に形成された部分空乏型のトランジスターにおいて、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現できるようにした半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る半導体装置は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層と、前記半導体層に形成された部分空乏型の第1トランジスターと、前記半導体層に形成された第1ダイオードと、を備え、前記第1トランジスターは、前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第1導電型の第1ソース又は第1ドレインと、を有し、前記第1ダイオードは、前記半導体層の浅い部分に形成された第2導電型の第1不純物層と、前記半導体層の深い部分に形成された第1導電型の第2不純物層と、を有し、前記第1不純物層と前記第2不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、前記第1不純物層の側面と前記第2不純物層の側面はそれぞれ、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接していることを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「絶縁層」は例えばBOX層、「半導体層」は例えばSOI層とも呼ばれる。また、「部分空乏型のトランジスター」とは、トランジスターの動作時に、ゲート電極直下の領域の半導体層(即ち、ボディ領域)が完全に空乏化するのではなく、部分的に空乏化する(つまり、空乏層が絶縁層まで達せずに中性領域が残る)トランジスターのことである。また、「第1導電型」はP型又はN型の一方であり、「第2導電型」はP型又はN型の他方である。なお、ゲート電極と半導体層との間にある絶縁膜は、半導体層の熱酸化により形成されるゲート酸化膜であっても良いし、その他の絶縁膜(例えば、high−k膜)であっても良い。
【0010】
このような構成であれば、第1トランジスターがONのときはボディ領域に生じる空乏層は下方向に伸び、空乏層下の中性領域は、例えば、深さ方向に積層された第2不純物層及び第1不純物層を介して、P−N−P(又は、N−P−N)構造となる。従って、ボディ領域と、ボディ領域の電位(即ち、ボディ電位)を固定するための固定ボディ電極との間を電気的に分離することができ、第1トランジスターをボディ電位が浮遊した構造(即ち、ボディーフロート構造)にすることができる。
【0011】
また、第1トランジスターがOFFになれば、ボディ領域はダイオードのうちの第1不純物層を介して、P−P(又は、N−N)構造となるため、ボディ領域と固定ボディ電極との間を電気的に接続することができる。従って、第1トランジスターをボディ電位が固定された構造(即ち、ボディーコンタクト構造)にすることができる。
このように、第1トランジスターのON、OFFに合わせて、ボディフロート構造とボディコンタクト構造とを切り替えることができる。この場合、第1トランジスターのON電流はボディフロートの効果により高くなり、OFF電流はボディコンタクトの効果により低くなる。また、第1トランジスターのOFF時は、ボディコンタクトの効果によりボディ電位はリセットされるため、第1トランジスターにおけるヒストリー効果は抑制される。従って、第1トランジスターにおいて、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現することができる。
【0012】
また、上記の半導体装置において、前記第1不純物層と前記第2不純物層の境界は、前記第1ゲート電極に閾値以上の電圧が印加されたときに前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に生じる空乏層と中性領域との境界よりも、前記半導体層の表面からの深さが浅いことを特徴としても良い。このような構成であれば、第1トランジスターがONするときは、中性領域をダイオードのうちの第1不純物層のみと接触させ、第2不純物層とは接触させないようにすることができる。
【0013】
また、上記の半導体装置において、前記第1ゲート電極の側面に形成されたサイドウォール、をさらに備えることを特徴としても良い。このような構成であれば、例えば、半導体層の浅い部分に第1不純物層を形成する際に、サイドウォールをマスクに用いて第2導電型の不純物をイオン注入することができ、半導体層であってダイオード側の端部に、第2導電型の不純物が入りにくくすることができる。これにより、上記端部において第2導電型の不純物濃度を低く抑えることができ、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易くなるので、ボディフロート構造が形成し易くなる。
【0014】
また、上記の半導体装置において、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に形成された第2導電型の第3不純物層、をさらに備え、前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度は、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低いことを特徴としても良い。このような構成であれば、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易くなるので、ボディフロート構造が形成し易くなる。
【0015】
また、上記の半導体装置において、前記半導体層に形成された部分空乏型の第2トランジスターと、前記半導体層に形成された第2ダイオードと、をさらに備え、前記第2トランジスターは、前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、前記第3ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第2導電型の第2ソース又は第2ドレインと、を有し、前記第2ダイオードは、前記半導体層の浅い部分に形成された第1導電型の第4不純物層と、前記半導体層の深い部分に形成された第2導電型の第5不純物層と、を有し、前記第4不純物層と前記第5不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、前記第4不純物層の側面と前記第5不純物層の側面はそれぞれ、前記第2ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接し、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとによってインバーター回路が構成されていることを特徴としても良い。
【0016】
このような構成であれば、第2トランジスターがONするときは、そのボディ領域をボディフロート構造にすることができる。また、第2トランジスターがOFFするときは、そのボディ領域をボディコンタクト構造にすることができる。従って、第1トランジスターと同様、第2トランジスターにおいても、ON電流は高くなりOFF電流は低くなり、ヒストリー効果も抑制される。従って、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現したインバーター回路を提供することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様に係る半導体装置の製造方法は、絶縁層上の半導体層に部分空乏型の第1トランジスターを形成する工程と、前記半導体層の厚さ方向に第1不純物層と第2不純物層とが積層された第1ダイオードを形成する工程と、を含み、前記第1トランジスターを形成する工程は、前記半導体層上に絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に第1導電型の第1ソース又は第1ドレインを形成する工程と、を有し、前記第1ダイオードを形成する工程は、前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第2導電型の前記第1不純物層を形成する工程と、前記半導体層の深い部分に第1導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第1導電型の前記第2不純物層を形成する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0018】
このような製造方法であれば、第1トランジスターのON、OFFに合わせて、ボディフロート構造とボディコンタクト構造とを切り替えることができ、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現できるようにした半導体装置を提供することができる。
また、上記の製造方法において、前記第1ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程、をさらに含み、前記第1不純物層を形成する工程では、前記ゲート電極と前記サイドウォールをマスクに用いて、前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入することを特徴としても良い。このような製造方法であれば、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易く、ボディフロート構造の形成が容易な半導体装置を提供することができる。
【0019】
また、上記の製造方法において、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に第2導電型の第3不純物層を形成する工程、をさらに含み、前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度を、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低くすることを特徴としても良い。このような製造方法であれば、第1トランジスターがONするときに半導体層の端部で空乏層が伸び易く、ボディフロート構造の形成が容易な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図7】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図8】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図9】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図10】従来例を示す図。
【図11】インパクトイオン化現象によるVthの変化を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
(1)第1実施形態
図1(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の構成例を示す平面図と断面図である。図1(b)はトランジスターがOFFのときの状態を示し、図1(c)はトランジスターがONのときの状態を示す。なお、図1(a)では、図面の複雑化を回避するために層間絶縁膜を省略している。
【0022】
図1(a)〜(c)に示すように、この半導体装置は、BOX層1上のSOI層2に形成されたNチャネル型のトランジスター10と、PN接合型のダイオード20とを含んで構成されている。BOX層1は例えばシリコン酸化膜(SiO2)であり、SOI層2は例えば単結晶のシリコン層(Si)である。また、トランジスター10とダイオード20は層間絶縁膜5で覆われており、ダイオード20の一端は、例えば接地電位の固定ボディ電極27に電気的に接続されている。
【0023】
トランジスター10は、例えば、絶縁膜13を介してSOI層2上に形成されたゲート電極14と、このゲート電極14の両側下のSOI層2に形成されたN型のソース15a又はドレイン15bと、を有する。絶縁膜13は、例えば、SOI層2の熱酸化により形成されるゲート酸化膜(SiO2若しくはSiON)、又はhigh−k膜である。また、ゲート電極14は、例えばリン、ボロン等の不純物を含むポリシリコン、又は、金属からなる。このトランジスター10は、部分空乏型のMISFET(即ち、PD−SOI MISFET)であり、その動作時(即ち、ゲート電極14に閾値以上の電圧が印加されて、トランジスターがONするとき)には、図1(c)に示すように、ゲート電極14直下の領域のSOI層(即ち、ボディ領域)2において、空乏層2aがBOX層1まで達せずに中性領域2bが残る。
【0024】
また、ダイオード20は、SOI層2の浅い部分に形成されたP型不純物層21と、SOI層2の深い部分に形成されたN型不純物層22と、を有する。図1(b)及び(c)に示すように、P型不純物層21とN型不純物層22はSOI層2の深さ方向に積層されており、P型不純物層21の下面とN型不純物層22の上面とが直に接している。また、P型不純物層21の側面とN型不純物層22の側面はそれぞれ、ボディ領域2に接している。さらに、図1(c)において、SOI層2の表面からの深さに着目すると、P型不純物層21とN型不純物層22の境界は、空乏層2aと中性領域2bの境界よりも浅くなっている。
【0025】
この半導体装置では、図1(c)に示すように、トランジスター10がONするときは、空乏層2aは下方向に伸びる。その結果、中性領域2bとダイオード20は、固定ボディ電極27に対してP−N−P構造となる。
これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極27から分離することができ、トランジスター10をボディフロート構造にすることができる。また、図1(b)に示すように、トランジスター10がOFFになれば、ボディ領域2の空乏化はほぼ解消され、ボディ領域2とP型不純物層21は、固定ボディ電極27に対してP−P構造となる。これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極27に導通させることができ、トランジスター10をボディコンタクト構造にすることができる。次に、この半導体装置の製造方法について説明する。
【0026】
図2(a)〜図5(b)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。
図2(a)及び(b)では、まず、支持基板(図示せず)上にBOX層1が形成され、その上にSOI層2が形成されたSOI基板を用意する。このSOI基板は、例えばSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法や、貼り合わせ法により形成されたものである。次に、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いて、SOI層2に素子分離層3を形成する。素子分離層3により平面視で囲まれた領域が、素子領域となる。
【0027】
次に、図3(a)及び(b)に示すように、SOI層2に例えば、ボロン等のP型不純物をイオン注入する。これにより、SOI層2の導電型をP型にする。次に、SOI層2に熱酸化を施して、その表面にゲート絶縁膜を形成する。そして、ゲート絶縁膜上に、ゲート電極の材料となる膜(例えば、ポリシリコン膜、又は、金属膜)を形成し、この膜をパターニングしてゲート電極を形成する。
【0028】
次に、図4(a)及び(b)に示すように、素子領域のうちのダイオードが形成される領域を、例えばレジストパターンR1で覆う。このとき、素子領域のうちのトランジスターが形成される領域は、レジストパターンR1下から露出させておく。そして、ゲート電極14、及びレジストパターンR1をマスクにして、SOI層2にリン又はヒ素等のN型不純物をイオン注入する。これにより、ゲート電極14の両側下のSOI層2にソース15a又はドレイン15bを形成する。この工程では、ボディ領域2はゲート電極14でマスクされ、ダイオードが形成される領域はレジストパターンR1でマスクされているため、これら両領域へはN型不純物は導入されず、その導電型はP型に保持される。この工程の後は、ダイオードが形成される領域上からレジストパターンR1を除去する。
【0029】
次に、図5(a)及び(b)に示すように、素子領域のうちのトランジスターが形成される領域を、例えばレジストパターンR2で覆う。このとき、素子領域のうちのダイオードが形成される領域は、レジストパターンR2下から露出させておく。そして、このレジストパターンR2をマスクに、リン又はヒ素等のN型不純物をイオン注入する。これにより、SOI層2の深い部分にN型不純物層22を形成する。ここでは、N型不純物のほぼ全てがSOI層2の深い部分に到達しSOI層の浅い部分には留まらないように、その注入エネルギーを調整する。続いて、レジストパターンR2をマスクに、ボロン等のP型不純物をイオン注入して、SOI層2の浅い部分にP型不純物層21を形成する。ここでは、P型不純物のほぼ全てがSOI層2の浅い部分に留まり、SOI層2の深い部分には到達しないように、その注入エネルギーを調整する。
【0030】
即ち、SOI層2の深い部分への不純物の注入エネルギーをE1とし、SOI層2の浅い部分への不純物の注入エネルギーをE2としたとき、E1>E2とする。これにより、
P型不純物層21とN型不純物層22とからなるPN接合型のダイオード20が形成される。この工程の後は、トランジスターが形成される領域上からレジストパターンR2を除去する。
なお、本実施の形態では、SOI層2の浅い部分へのイオン注入は、必ずしも必要ではない。その理由は、図3(a)及び(b)の工程で、SOI層2の導電型は既にP型となっているからである。図5(a)及び(b)の工程で、P型不純物をイオン注入した場合は、P型不純物層21におけるP型不純物の濃度をボディ領域よりも高めることができる。また、この工程でP型不純物をイオン注入しない場合は、P型不純物層21におけるP型不純物の濃度をボディ領域と同等に保つことができる。
【0031】
その後、SOI基板に熱処理を施して、SOI層2に導入した、P型不純物、N型不純物をそれぞれ拡散させる。次に、SOI基板上に層間絶縁膜(図示せず)を堆積する。そして、ソース15a上と、ドレイン15b上と、ゲート電極14上と、ダイオード20上とに、それぞれ開口部(図示せず)を形成する。さらに、これらの開口部内に例えばタングステン等の導電部材を埋め込んで電極25〜27(図1(a)参照。)を形成する。これにより、図1(a)〜(c)に示した半導体装置が完成する。
【0032】
このように、本発明の第1実施形態によれば、トランジスター10がONするときは空乏層2aが下方向に伸び、その下の中性領域2bはN型不純物層22及びP型不純物層21を介して、P−N−P構造となる。従って、ボディ領域2と、固定ボディ電極27との間を電気的に分離することができ、トランジスター10をボディフロート構造にすることができる。また、トランジスター10がOFFになれば、ボディ領域2はP型不純物層21を介してP−P構造となるため、ボディ領域2と固定ボディ電極27との間を電気的に接続することができる。従って、トランジスター10をボディコンタクト構造にすることができる。
【0033】
このように、トランジスター10のON、OFFに合わせて、ボディフロート構造とボディコンタクト構造とを切り替えることができる。この場合、トランジスター10のON電流はボディフロートの効果により高くなり、OFF電流はボディコンタクトの効果により低くなる。また、トランジスター10のOFF時は、ボディコンタクトの効果によりボディ電位はリセットされるため、トランジスター10におけるヒストリー効果は抑制される。従って、トランジスター10において、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現することができる。
【0034】
この第1実施形態では、BOX層1が本発明の「絶縁層」に対応し、SOI層2が本発明の「半導体層」に対応している。また、トランジスター10が本発明の「第1トランジスター」に対応し、ゲート電極14が本発明の「第1ゲート電極」に対応し、ソース15aが本発明の「第1ソース」に対応し、ドレイン15bが本発明の「第1ドレイン」に対応している。また、ダイオード20が本発明の「第1ダイオード」に対応し、P型不純物層21が本発明の「第1不純物層」に対応し、N型不純物層22が本発明の「第2不純物層」に対応している。
【0035】
なお、本発明において、OFF電流が低くなる理由を以下に説明する。
MISFETにおいて、ドレイン電圧Vd>1.1V程度の条件下では、インパクトイオン化現象が発生する(この現象はSOI固有の現象ではない。)。ここで、インパクトイオン化現象とは、荷電粒子とSi原子との衝突により、多数の電子‐ホール対が発生する現象のことである。即ち、チャネルがONのときにチャネルを流れる荷電粒子(nは電子、pはホール)がドレイン近傍の電界によって加速されて、ある程度以上(約1.5eV以上)のエネルギーを得てSi原子に衝突すると、そのエネルギーによってSiはイオン化し、電子を放出する。また、電子放出に伴い、ホールも生成される。つまり、インパクトイオン化現象により多数の電子−ホール対ができる。
【0036】
MISFETがNチャネル型の場合、生成された電子は電位の高いドレインに流れ、ホールは電位の低いボディ領域に流れ込む(Pチャネル型の場合は電子とホールの流れが逆となる。)。Nチャネル型の場合はホールの供給によってボディ電位は上がる。Pチャネル型の場合は電子の供給によってボディ電位が下がる。いずれにしてもMISFETの閾値電圧Vthはインパクトイオンによって低下する。さらに、キャリア自体も増えるため、ON電流の増加につながる。ここで、SOIの場合はボディが浮遊しているため、その影響はバルクの場合と比べて、明らかに大きい。
【0037】
図11はPD−SOI MISFETがNチャネル型の場合のインパクトイオン化現象によるVthの変化を模式的に示す図である。チャネル電流(即ち、ON電流)が流れるとインパクトイオン化現象によりVthが下がる。従って、PD−SOI MISFETがONからOFFへと変化したときに、Vthは既に下がっているため、OFF電流が増加してしまう。これに対し、本発明では、PD−SOI MISFET(例えば、トランジスター10)がOFFのときに、ボディ領域にたまったホールを排出するパス(例えば、P型不純物層21)があるため、OFF電流を低くすることができる。
【0038】
(2)第2実施形態
上記の第1実施形態では、本発明の「第1導電型」がN型で、「第2導電型」がP型である場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。「第1導電型」がP型で、「第2導電型」がN型であっても良い。
図6(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の構成例を示す平面図と断面図である。図6(b)はトランジスターがOFFのときの状態を示し、図6(c)はトランジスターがONのときの状態を示す。なお、図6(a)では、図面の複雑化を回避するために層間絶縁膜を省略している。
【0039】
図6(a)〜(c)に示すように、この半導体装置は、BOX層1上のSOI層2に形成されたPチャネル型のトランジスター30と、PN接合型のダイオード40とを含んで構成されている。また、トランジスター30とダイオード40は層間絶縁膜5で覆われており、ダイオード40の一端は、例えば接地電位の固定ボディ電極47に電気的に接続されている。
【0040】
トランジスター30は、例えば、絶縁膜33を介してSOI層2上に形成されたゲート電極34と、このゲート電極34の両側下のSOI層2に形成されたP型のソース35a又はドレイン35bと、を有する。絶縁膜33は、例えば、SOI層2の熱酸化により形成されるゲート酸化膜(SiO2若しくはSiON)、又はhigh−k膜である。また、ゲート電極34は、例えばリン、ボロン等の不純物を含むポリシリコンからなる。このトランジスター30は、PD−SOI MISFETであり、その動作時には図3(b)に示すように、空乏層2aがBOX層1まで達せずに中性領域2bが残る。
【0041】
また、ダイオード40は、SOI層2の浅い部分に形成されたN型不純物層41と、SOI層2の深い部分に形成されたP型不純物層42と、を有する。図6(b)及び(c)に示すように、N型不純物層41とP型不純物層42はSOI層2の深さ方向に積層されており、N型不純物層41の下面とP型不純物層42の上面とが直に接している。図6(c)に示すように、N型不純物層41のP型不純物層42の境界は、空乏層2aと中性領域2bとの境界よりも浅く形成されている。さらに、N型不純物層41の側面とP型不純物層42の側面とはそれぞれ、ボディ領域2に接している。
【0042】
この半導体装置では、図6(c)に示すように、トランジスター10がONするときは、空乏層2aは下方向に伸び、中性領域2bとダイオード40は、固定ボディ電極47に対してN−P−N構造となる。これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極47から分離することができ、トランジスター30をボディフロート構造にすることができる。また、図6(b)に示すように、トランジスター30がOFFになれば、ボディ領域2の空乏化はほぼ解消され、ボディ領域2とN型不純物層41は、固定ボディ電極47に対してN−N構造となる。これにより、ボディ領域2を固定ボディ電極47に導通させることができ、トランジスター30をボディコンタクト構造にすることができる。
【0043】
このように、本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、トランジスター30がONするときはボディフロート構造にすることができ、トランジスター30がOFFのときはボディコンタクト構造にすることができる。従って、トランジスター30において、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現することができる。
この第2実施形態では、トランジスター30が本発明の「第1トランジスター」に対応し、ゲート電極34が本発明の「第1ゲート電極」に対応し、ソース35aが本発明の「第1ソース」に対応し、ドレイン35bが本発明の「第1ドレイン」に対応している。また、ダイオード40が本発明の「第1ダイオード」に対応し、N型不純物層41が本発明の「第1不純物層」に対応し、P型不純物層42が本発明の「第2不純物層」に対応している。
【0044】
(3)第3実施形態
図7は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の構成例を示す平面図である。図7に示すように、この半導体装置は、例えば、第1実施形態で説明したトランジスター10及びダイオード20と、第2実施形態で説明したトランジスター30及びダイオード40と、を有し、これらトランジスター10、30と、ダイオード20、40との組み合わせにより、CMOSインバーター回路50を構成している。
【0045】
図7に示すように、このCMOSインバーター回路50では、トランジスター10のソース15aと電源線VSSとが電気的に接続され、トランジスター10のドレイン15bとトランジスター30のドレイン35bとが電気的に接続され、トランジスター30のソース35aが電源線VDDに接続されている。また、ダイオード20のP型不純物層21がVSSに電気的に接続され、ダイオード40のN型不純物層41がVDDに接続されている。また、トランジスター10のゲート電極14と、トランジスター30のゲート電極34とが共に入力信号線Aに電気的に接続されている。さらに、トランジスター10のドレイン15bと、トランジスター30のドレイン35bとが共に出力信号線Bに電気的に接続されている。
【0046】
このような構成を有するCMOSインバーター回路50において、例えば、入力信号線Aの電位がVDD(>VSS)のときは、トランジスター10がONになり、トランジスター30がOFFになる。このため、出力信号線Bの電位はVSSとほぼ等しくなる。また、トランジスター10のボディ領域とVSSとの間がP−N−P構造となるため、トランジスター10はボディフロート構造となる。従って、トランジスター10のON電流を(ボディコンタクト構造と比べて)高くすることができる。一方、トランジスター30のボディ領域とVDDとの間はN−N構造となるため、トランジスター30はボディコンタクト構造となる。従って、トランジスター30のOFF電流を(ボディフロート構造と比べて)低くすることができる。さらに、ボディコンタクト構造により、トランジスター30のボディ電位はリセットされるため、トランジスター30におけるヒストリー効果は抑制される。
【0047】
また、入力信号線Aの電位が−VDD(<VSS)のときは、トランジスター10がOFFになり、トランジスター30がONになる。このため、出力信号線Bの電位はVDDとほぼ等しくなる。ここで、トランジスター10のボディ領域とVSSとの間はP−P構造となるため、トランジスター10はボディコンタクト構造となる。従って、トランジスター10のOFF電流を(ボディフロート構造と比べて)低くすることができる。さらに、ボディコンタクト構造により、トランジスター10のボディ電位はリセットされるため、トランジスター10におけるヒストリー効果は抑制される。一方、トランジスター30のボディ領域とVDDとの間はN−P−N構造となるため、トランジスター30はボディフロート構造となる。従って、トランジスター30のON電流を(ボディコンタクト構造と比べて)高くすることができる。
【0048】
このように、本発明の第3実施形態によれば、第1、第2実施形態で説明したトランジスター10、30と、ダイオード20、40が応用されるため、高いON/OFF比と、安定動作を同時に実現したCMOSインバーター回路50を提供することができる。
この第3実施形態では、トランジスター30が本発明の「第2トランジスター」に対応し、ゲート電極34が本発明の「第2ゲート電極」に対応し、ソース35aが本発明の「第2ソース」に対応し、ドレイン35bが本発明の「第2ドレイン」に対応している。また、ダイオード40が本発明の「第2ダイオード」に対応し、N型不純物層41が本発明の「第4不純物層」に対応し、P型不純物層42が本発明の「第5不純物層」に対応している。また、CMOSインバーター回路50が本発明の「インバーター回路」に対応している。その他の対応関係は第1実施形態と同じである。
【0049】
(4)その他の実施形態
なお、本発明では、例えば図8に示すように、ゲート電極14の側面にサイドウォール61を形成しても良い。このような構成であれば、例えばP型不純物層21を形成する際に、このサイドウォール61をマスクに用いてP型不純物をイオン注入することができ、SOI層2であってダイオード20側の端部62に、P型不純物が入りにくくすることができる。これにより、上記端部62において空乏層が伸び易くなるので、トランジスター10がONするときにP−N−P構造を形成し易くなる。
【0050】
また、本発明では、例えば図9に示すように、ボディ領域2であってダイオード20側の端部に、ボディ領域2と同一導電型で、端部以外のボディ領域2よりも不純物濃度が低い不純物層63を形成しても良い。例えば、上記の端部にリン等のN型不純物をイオン注入して、P型不純物の濃度を相対的に低くし、P−のボディ領域2に対して、P−−の不純物層63を形成する。このような構成であれば、不純物層63において空乏層が伸び易くなるので、トランジスター10がONするときにP−N−P構造を形成し易くなる。
さらに、本発明では、図8に示したサイドウォール61と、図9に示した不純物層63の両方をトランジスター10に形成しても良い。これにより、P−N−P構造をさらに形成し易くなる。ここでは、不純物層63が本発明の「第3不純物層」に対応している。
【符号の説明】
【0051】
1 BOX層、2 SOI層(ボディ領域)、2a 空乏層、2b 中性領域、3 素子分離層、5 層間絶縁膜、10、30 トランジスター(PD−SOI MOSFET)、13、33 絶縁膜、14、34 ゲート電極、15a、35a ソース、15b、35b ドレイン、20、40 ダイオード、21、42 P型不純物層、22、41 N型不純物層、24〜27 コンタクト、50 CMOSインバーター回路、61 サイドウォール、62 端部、63 不純物層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された半導体層と、
前記半導体層に形成された部分空乏型の第1トランジスターと、
前記半導体層に形成された第1ダイオードと、を備え、
前記第1トランジスターは、
前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、
前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第1導電型の第1ソース又は第1ドレインと、を有し、
前記第1ダイオードは、
前記半導体層の浅い部分に形成された第2導電型の第1不純物層と、
前記半導体層の深い部分に形成された第1導電型の第2不純物層と、を有し、
前記第1不純物層と前記第2不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、
前記第1不純物層の側面と前記第2不純物層の側面はそれぞれ、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1不純物層と前記第2不純物層の境界は、前記第1ゲート電極に閾値以上の電圧が印加されたときに前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に生じる空乏層と中性領域との境界よりも、前記半導体層の表面からの深さが浅いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電極の側面に形成されたサイドウォール、をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に形成された第2導電型の第3不純物層、をさらに備え、
前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度は、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低いことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体層に形成された部分空乏型の第2トランジスターと、
前記半導体層に形成された第2ダイオードと、をさらに備え、
前記第2トランジスターは、
前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、
前記第3ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第2導電型の第2ソース又は第2ドレインと、を有し、
前記第2ダイオードは、
前記半導体層の浅い部分に形成された第1導電型の第4不純物層と、
前記半導体層の深い部分に形成された第2導電型の第5不純物層と、を有し、
前記第4不純物層と前記第5不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、
前記第4不純物層の側面と前記第5不純物層の側面はそれぞれ、前記第2ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接し、
前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとによってインバーター回路が構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の半導体装置
【請求項6】
絶縁層上の半導体層に部分空乏型の第1トランジスターを形成する工程と、
前記半導体層の厚さ方向に第1不純物層と第2不純物層とが積層された第1ダイオードを形成する工程と、を含み、
前記第1トランジスターを形成する工程は、
前記半導体層上に絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に第1導電型の第1ソース又は第1ドレインを形成する工程と、を有し、
前記第1ダイオードを形成する工程は、
前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第2導電型の前記第1不純物層を形成する工程と、
前記半導体層の深い部分に第1導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第1導電型の前記第2不純物層を形成する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程、をさらに含み、
前記第1不純物層を形成する工程では、
前記ゲート電極と前記サイドウォールをマスクに用いて、前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に第2導電型の第3不純物層を形成する工程、をさらに含み、
前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度を、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低くすることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された半導体層と、
前記半導体層に形成された部分空乏型の第1トランジスターと、
前記半導体層に形成された第1ダイオードと、を備え、
前記第1トランジスターは、
前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、
前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第1導電型の第1ソース又は第1ドレインと、を有し、
前記第1ダイオードは、
前記半導体層の浅い部分に形成された第2導電型の第1不純物層と、
前記半導体層の深い部分に形成された第1導電型の第2不純物層と、を有し、
前記第1不純物層と前記第2不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、
前記第1不純物層の側面と前記第2不純物層の側面はそれぞれ、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1不純物層と前記第2不純物層の境界は、前記第1ゲート電極に閾値以上の電圧が印加されたときに前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に生じる空乏層と中性領域との境界よりも、前記半導体層の表面からの深さが浅いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電極の側面に形成されたサイドウォール、をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に形成された第2導電型の第3不純物層、をさらに備え、
前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度は、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低いことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体層に形成された部分空乏型の第2トランジスターと、
前記半導体層に形成された第2ダイオードと、をさらに備え、
前記第2トランジスターは、
前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、
前記第3ゲート電極の両側下の前記半導体層に形成された第2導電型の第2ソース又は第2ドレインと、を有し、
前記第2ダイオードは、
前記半導体層の浅い部分に形成された第1導電型の第4不純物層と、
前記半導体層の深い部分に形成された第2導電型の第5不純物層と、を有し、
前記第4不純物層と前記第5不純物層は前記半導体層の深さ方向に積層されており、
前記第4不純物層の側面と前記第5不純物層の側面はそれぞれ、前記第2ゲート電極直下の領域の前記半導体層に接し、
前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとによってインバーター回路が構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の半導体装置
【請求項6】
絶縁層上の半導体層に部分空乏型の第1トランジスターを形成する工程と、
前記半導体層の厚さ方向に第1不純物層と第2不純物層とが積層された第1ダイオードを形成する工程と、を含み、
前記第1トランジスターを形成する工程は、
前記半導体層上に絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側下の前記半導体層に第1導電型の第1ソース又は第1ドレインを形成する工程と、を有し、
前記第1ダイオードを形成する工程は、
前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第2導電型の前記第1不純物層を形成する工程と、
前記半導体層の深い部分に第1導電型の不純物を導入して、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層に側面が接するように、第1導電型の前記第2不純物層を形成する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程、をさらに含み、
前記第1不純物層を形成する工程では、
前記ゲート電極と前記サイドウォールをマスクに用いて、前記半導体層の浅い部分に第2導電型の不純物を導入することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記ダイオード側の端部に第2導電型の第3不純物層を形成する工程、をさらに含み、
前記第3不純物層における第2導電型の不純物濃度を、前記第1ゲート電極直下の領域の前記半導体層であって前記端部以外の部分における第2導電型の不純物濃度、よりも低くすることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−226003(P2010−226003A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73815(P2009−73815)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]