説明

半導体装置

【課題】配線層を薄くした場合にも電極パッド形成領域で配線層がなくなることを確実に防止できるようにし、配線層と電極パッドとを安定して電気的に接続させる。
【解決手段】半導体基板1上の第4層間絶縁膜10中に複数のコンタクト用配線11Bが形成されている。各コンタクト用配線11Bの上及び第4層間絶縁膜10の上に第1保護絶縁膜12が形成されており、第1保護絶縁膜12には、各コンタクト用配線11Bを露出させる第1開口部12aが形成されている。第1開口部12aの内部にはバリアメタル膜13を介して、コンタクト用配線11Bと電気的に接続する電極パッド14が形成されている。第1開口部12aの下側には、コンタクト用配線11Bが配置されていない領域が存在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の電極パッド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高機能化及び高集積化の他、CCD(charge coupled device)やイメージセンサでは、光学特性との関係を考慮して配線層を含むチップの高さを低くすることが要望されている。このため、将来的に、配線層の厚さも薄くする必要がある。また、先端プロセスでは配線にCuを用いる場合があり、この場合、Cu膜をメッキにより成膜した後にCMP(chemical mechanical polishing )によって削るという工法が用いられる。
【0003】
図7は、特許文献1に開示されている、電極パッド構造を有する従来の半導体装置の断面図である。図7に示すように、半導体基板101の上に第1絶縁膜102が形成されており、第1絶縁膜102の上には第2絶縁膜103及び第1層Cu配線104が形成されている。第2絶縁膜103及び第1層Cu配線104の上には、第3絶縁膜105、及び第1層Cu配線104と接触するCu接続ビア106が形成されており、第3絶縁膜105及びCu接続ビア106の上には、第4絶縁膜107、及びCu接続ビア106と接触する第2層Cu配線108が形成されている。第4絶縁膜107及び第2層配線108の上には、第5絶縁膜109、及び第2層Cu配線108と接触するCu接続ビア110が形成されており、第5絶縁膜109及びCu接続ビア110の上には、第6絶縁膜111、及びCu接続ビア110と接触する最上層Cuパッド112が形成されている。第6絶縁膜111及び最上層Cuパッド112の上にはパッシベーション膜113が形成されており、パッシベーション膜113には、最上層Cuパッド112の中心部を露出させる開口114が形成されている。開口114内に露出する最上層Cuパッド112の上、及びその周囲のパッシベーション膜113の上にはバリア膜115を介してAlパッド116が形成されている。図示は省略しているが、Alパッド116にはボンディングワイヤの先端が接続される。
【特許文献1】特開2007−123546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、CCDやイメージセンサでは、光学特性向上のために、装置全体の高さを低くする必要があるため、Cu配線層も薄くする必要がある。ところが、図7に示す従来の半導体装置において、Cu配線層、特に最上層Cuパッド112を薄くした場合、最上層Cuパッド112の面積が大きいことに起因してCMP時にディッシングが生じ、その結果、最上層Cuパッド112の中央部が消失してしまい、Alパッド116との電気的接続が十分に取れなくなるという問題が生じる。
【0005】
前記に鑑み、本発明は、Cu等からなる配線層を薄くした場合にも電極パッド形成領域で配線層がなくなることを確実に防止できるようにし、それにより、配線層と電極パッドとを安定して電気的に接続させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜中に形成されたコンタクト用配線と、前記コンタクト用配線上及び前記絶縁膜上に形成された保護膜と、前記コンタクト用配線が露出するように前記保護膜に形成された開口部と、前記コンタクト用配線と電気的に接続するように前記開口部に形成された電極パッドとを備え、前記開口部の下側には、前記コンタクト用配線が配置されていない領域が存在している。
【0007】
すなわち、従来の半導体装置では、電極パッドが形成される絶縁膜開口部の下側全体にコンタクト用配線が配置されているのに対して、本発明に係る半導体装置では、電極パッドが形成される絶縁膜開口部の下側の一部にコンタクト用配線が配置されている。
【0008】
従って、本発明に係る半導体装置によると、従来の半導体装置と比べて、コンタクト用配線の面積率(所定の面積(例えば絶縁膜開口部の面積)に対するコンタクト用配線の面積の比率)を小さくすることができるため、コンタクト用配線形成時のディッシング量を抑制してコンタクト用配線の厚さを確保することができるので、コンタクト用配線と電極パッドとを安定して電気的に接続させることができる。
【0009】
尚、本発明に係る半導体装置において、前記コンタクト用配線が配置されていない領域の上側に位置する部分の電極パッドを、プローブ検査領域又はワイヤボンド接続領域として用いると、当該各領域下側の絶縁膜のトータル厚さがコンタクト用配線配置領域と比べて大きくなる。このため、プローブ検査又はワイヤボンド接続の実施時に電極パッドに加わる応力を低減できるので、電極パッドの割れを防止できる。具体的には、プローブ検査領域又はワイヤボンド接続領域を、開口部中央に位置する部分の電極パッドに設定してもよい。
【0010】
本発明に係る半導体装置において、前記コンタクト用配線は前記開口部の下側に複数設けられていてもよい。
【0011】
本発明に係る半導体装置において、前記複数のコンタクト用配線のうち少なくとも1つがリング状に形成されていると、当該リング状のコンタクト用配線を前記開口部のエッジに沿って設けることによって、次のような効果を得ることができる。すなわち、電極パッドに対してプローブ検査を行った際に電極パッドに割れが生じ、当該割れから水分が侵入した場合にも、当該水分のチップ内部へのさらなる侵入をリング状のコンタクト用配線によって防止することができるので、装置の耐湿性を確保することができる。
【0012】
本発明に係る半導体装置において、前記リング状のコンタクト用配線が、前記開口部のエッジとオーバーラップするように設けられていると、前記開口部の形成時に当該リング状のコンタクト用配線がエッチングストッパーとして機能するため、前記開口部のエッジ下側の段差を小さくすることができるので、電極パッドとコンタクト用配線との間のバリア膜のカバレッジや電極パッドを構成する金属膜のカバレッジが向上する。従って、電極パッドの割れを防止できると共に、コンタクト用配線構成金属の電極パッドへの析出つまり電極パッドの腐食を防止できる。
【0013】
本発明に係る半導体装置において、前記複数のコンタクト用配線が、前記開口部のエッジとオーバーラップしないように設けられていると、前記開口部の形成時に下地の絶縁膜の表面がエッチングされて前記開口部のエッジ下側の段差が大きくなり、その結果、コンタクト用配線と電極パッドとの間のバリア膜のカバレッジが劣化したとしても、前記開口部のエッジの下側にはコンタクト用配線が存在していないので、コンタクト用配線構成金属の電極パッドへの析出つまり電極パッドの腐食を防止できる。
【0014】
本発明に係る半導体装置において、前記複数のコンタクト用配線は、第1のコンタクト用配線と、前記第1のコンタクト用配線よりも小さい第2のコンタクト用配線とを含んでいてもよい。すなわち、各コンタクト用配線の面積が異なっていてもよい。また、この場合、前記第1のコンタクト用配線が前記開口部の周縁部の下側に設けられており、前記第2のコンタクト用配線が前記開口部の中央部の下側に設けられていると、言い換えると、比較的小さいコンタクト用配線が前記開口部の中央部の下側に設けられていると、次のような効果を得ることができる。すなわち、前記開口部の形成時にはコンタクト用配線周辺の絶縁膜の表面部がエッチングにより除去されるため、凸部となったコンタクト用配線の配置領域上の電極パッド表面にも下地形状に対応して凸部が形成される。従って、比較的小さいコンタクト用配線を開口部中央の下側に複数配置すると、コンタクト用配線とその周囲の絶縁膜との間の段差に起因して、開口部中央の電極パッド表面に微細な凹凸が多数形成されるため、当該開口部中央の電極パッド表面にボンディングワイヤを接続することにより、電極パッドとボンディングワイヤとの密着性を向上させることができる。
【0015】
本発明に係る半導体装置において、前記複数のコンタクト用配線のうち少なくとも1つが、コーナー部が面取りされた方形状に形成されていると、次のような効果を得ることができる。すなわち、前記開口部の形成時にはコンタクト用配線周辺の絶縁膜の表面部が若干エッチングされるが、コンタクト用配線のコーナー部が面取りされていると、前記エッチングにより生じる段差の形状に鋭角部分が生じることを防止できるので、電極パッドとコンタクト用配線との間のバリア膜のカバレッジや電極パッドを構成する金属膜のカバレッジが向上する。従って、電極パッドの割れを防止できると共に、コンタクト用配線構成金属の電極パッドへの析出つまり電極パッドの腐食を防止できる。
【0016】
本発明に係る半導体装置において、前記半導体基板と前記絶縁膜との間に下層配線が形成されており、前記コンタクト用配線と前記下層配線とはビアを介して接続されていてもよい。
【0017】
本発明に係る半導体装置において、前記コンタクト用配線は銅又は銅合金から構成され、前記電極パッドはアルミニウム又はアルミニウム合金から構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る半導体装置によると、従来の半導体装置と比べて、コンタクト用配線の面積率を小さくすることができるため、コンタクト用配線形成時のディッシング量を抑制してコンタクト用配線の厚さを確保することができるので、コンタクト用配線と電極パッドとを安定して電気的に接続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す平面図である。図1に示す半導体装置50は、装置中央部に配置されたCCD又はイメージセンサ等のセル領域51と、装置周縁部に配置されたパッド配置領域52とを有している。尚、図1に示す半導体装置50においては、装置の4辺に沿ってパッド配置領域52を設けているが、パッド数が少ない場合には、装置の2辺に沿ってパッド配置領域52を設けてもよい。また、パッド数が多い場合には、各パッド配置領域52に2段構成で各パッドを配置してもよいし、この場合、各パッドを千鳥配列で配置してもよい。
【0021】
本実施形態の半導体装置50では、セル領域51に設けたCCD又はイメージセンサ等の光学特性を確保するために、装置の高さを低くする必要がある。このため、配線層についても薄くする必要があるが、それにより生じる不具合を防止するために、後述する本発明のパッド構造を適用するものである。
【0022】
図2(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態の半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。尚、図2(a)では、主として電極パッド下側の配線構造を示している。また、図2(b)には、図2(a)におけるA−A’線の断面構成(パッド配置領域52の断面構成)に加えて、セル領域51の一部の断面構成を示している。
【0023】
図2(a)及び(b)に示すように、イメージセンサの画素素子やトランジスタ等(いずれも図示省略)が形成された半導体基板1の上に、例えばSiO2 からなる第1層間絶縁膜2が形成されており、第1層間絶縁膜2上に、例えばSiNからなる第1下地絶縁膜3を介して、例えばSiO2 からなる第2層間絶縁膜4が形成されている。第1下地絶縁膜3及び第2層間絶縁膜4中には、例えば銅からなる下層配線5が形成されている。下層配線5の上及び第2層間絶縁膜4の上に、例えばSiNからなる第2下地絶縁膜6を介して、例えばSiO2 からなる第3層間絶縁膜7が形成されている。第2下地絶縁膜6及び第3層間絶縁膜7中には、例えば銅からなり且つ下層配線5と接続するビアプラグ8が形成されている。ビアプラグ8の上及び第3層間絶縁膜7の上に、例えばSiNからなる第3下地絶縁膜9を介して、例えばSiO2 からなる第4層間絶縁膜10が形成されている。セル領域51における第3下地絶縁膜9及び第4層間絶縁膜10中には、例えば銅からなり且つビアプラグ8と接続する上層配線11Aが形成されている一方、パッド配置領域52における第3下地絶縁膜9及び第4層間絶縁膜10中には、例えば銅からなり且つビアプラグ8と接続する複数の方形状のコンタクト用配線11Bが形成されている。各コンタクト用配線11Bの上及び第4層間絶縁膜10の上に、例えばSiNからなる第1保護絶縁膜12が形成されており、第1保護絶縁膜12には、各コンタクト用配線11Bを露出させる第1開口部12aが形成されている。第1開口部12aの内部及びその近傍の第1保護絶縁膜12の上には、例えばTiN膜とTi膜との積層構造を持つバリアメタル膜13を介して、例えばアルミニウムからなる電極パッド14が形成されている。すなわち、電極パッド14はバリアメタル膜13を通じて各コンタクト用配線11Bと電気的に接続されている。電極パッド14の上及び第1保護絶縁膜12の上には、例えばSiNからなる第2保護絶縁膜15が形成されており、第2保護絶縁膜15には、電極パッド14を露出させる第2開口部15aが形成されている。
【0024】
尚、下層配線5の形成に際しては、まず、第1下地絶縁膜3及び第2層間絶縁膜4に対してエッチングによりパターニングを行って配線溝を形成した後、当該配線溝の壁面上及び底面上に、例えばTaN膜とTa膜との積層構造を持つバリアメタル膜、及びCuシード層を順次形成し、その後、当該配線溝が埋まるようにCu膜をめっき形成する。続いて、当該配線溝からはみ出したCu膜等をCMPにより除去することにより、下層配線5を形成する。
【0025】
また、ビアプラグ8並びに上層配線11A及びコンタクト用配線11Bの形成に際しては、まず、第2下地絶縁膜6、第3層間絶縁膜7、第3下地絶縁膜9及び第4層間絶縁膜10に対してエッチングによりパターニングを行ってビアホールを形成した後、第3下地絶縁膜9及び第4層間絶縁膜10に対してエッチングによりパターニングを行って、当該ビアホールと接続する配線溝を形成する。その後、当該ビアホール及び当該配線溝の壁面上及び底面上に、例えばTaN膜とTa膜との積層構造を持つバリアメタル膜、及びCuシード層を順次形成した後、当該ビアホール及び当該配線溝が埋まるようにCu膜をめっき形成する。続いて、当該配線溝からはみ出したCu膜等をCMPにより除去することにより、ビアプラグ8、並びにビアプラグ8と接続する上層配線11A及びコンタクト用配線11Bを形成する。すなわち、上層配線11Aとそれに接続するビアプラグ8とは一体的に形成されていると共に、コンタクト用配線11Bとそれに接続するビアプラグ8とは一体的に形成されている。
【0026】
本実施形態の特徴は、図2(a)及び(b)に示すように、電極パッド14が形成される第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの下側に、コンタクト用配線11Bが配置されていない領域が存在していることである。すなわち、従来の半導体装置では、電極パッドが形成される絶縁膜開口部の下側全体に単一のコンタクト用配線が配置されているのに対して、本実施形態に係る半導体装置では、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの下側の一部にコンタクト用配線11Bが配置されている。具体的には、本実施形態では、従来の単一のコンタクト用配線に代えて、複数の方形状のコンタクト用配線11Bを形成している。ここで、各コンタクト用配線11Bは、第3下地絶縁膜9及び第4層間絶縁膜10によって囲まれている。また、各コンタクト用配線11Bのサイズは例えば3μm×3μmである。
【0027】
尚、図2(a)及び(b)においては、電極パッド14が形成される第1保護絶縁膜12の第1開口部12aよりも若干大きい領域に、20個(4個×5個)のコンタクト用配線11Bを配置している様子を示している。しかし、実際には、第1開口部12aつまり電極パッド14のサイズが50〜100μm×50〜100μm程度であるとすると、例えば3μm×3μmのコンタクト用配線11Bが4μmピッチで配置されているとすると、数百個(12〜25個×12〜25個)程度のコンタクト用配線11Bが配置されることになる。
【0028】
また、本実施形態では、全てのコンタクト用配線11Bがビアプラグ8を通じて下層配線5に電気的に接続されている。具体的には、図2(a)に示すように、下層配線5は、コンタクト用配線11Bの一の方向に沿った複数の並びに対応する櫛状の配線部分を有しており、当該櫛状の配線部分においてビアプラグ8を通じてコンタクト用配線11Bとの電気的接続が取られている。すなわち、本実施形態では、全てのコンタクト用配線11Bが共通のノードの配線を構成している。
【0029】
本実施形態によると、コンタクト用配線11Bの面積率(所定の面積(例えば第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの面積)に対するコンタクト用配線11Bの面積の比率)を従来の半導体装置と比べて小さくすることができると共に各コンタクト用配線11Bを第3下地絶縁膜9及び第4層間絶縁膜10によって囲むことができるため、コンタクト用配線11Bの形成時におけるCMPによるディッシング量を抑制してコンタクト用配線11Bの厚さを十分に確保することができる。具体的には、本実施形態では、コンタクト用配線11Bの厚さ(目標値)は例えば200nm程度であるが、コンタクト用配線11Bとなる導電膜(例えばCu膜)がCMPによって消失してしまうことはない。従って、コンタクト用配線11Bと電極パッド14とを安定して電気的に接続させることができる。
【0030】
尚、本実施形態において、コンタクト用配線11Bの面積率は70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。また、電極パッド14が形成される第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの下側に、複数のコンタクト用配線11Bを配置したが、第1開口部12aの下側にコンタクト用配線11Bが配置されていない領域が存在していることを前提として、第1開口部12aの下側に任意形状の単一のコンタクト用配線11Bを配置してもよい。
【0031】
また、本実施形態において、コンタクト用配線11Bを再配列したり又は間引く等して、開口部(第1保護絶縁膜12の第1開口部12a)におけるコンタクト用配線11Bが配置されていない領域を拡げ、当該拡げた領域の上側に位置する部分の電極パッド14を、プローブ検査領域又はワイヤボンド接続領域として用いてもよい。例えば、図2(a)に示す下層配線5の櫛状の配線部分の1つ又は複数(全部ではない)をコンタクト用配線11Bと共に間引いてもよい。このように、コンタクト用配線11Bが配置されていない領域の上側に位置する部分の電極パッド14を、プローブ検査領域又はワイヤボンド接続領域として用いると、次のような効果を得ることができる。すなわち、コンタクト用配線11Bが配置されていない領域では絶縁膜のトータル厚さがコンタクト用配線11Bの配置領域と比べて大きくなるため、プローブ検査又はワイヤボンド接続の実施時に電極パッド14に加わる応力を低減できるので、電極パッド14の割れを防止できる。具体的には、プローブ検査領域又はワイヤボンド接続領域を、開口部中央に位置する部分の電極パッド14に設定してもよい。
【0032】
また、本実施形態において、各コンタクト用配線11Bの形状を方形状にしたが、例えば図3(a)に示すように、コーナー部が面取りされた方形状にすると、次のような効果を得ることができる。すなわち、第1保護絶縁膜12に第1開口部12aを形成する際には、コンタクト用配線11Bの周辺の第4層間絶縁膜10の表面部が若干エッチングされて除去されるが、コンタクト用配線11Bのコーナー部が面取りされていると、前記エッチングにより生じる段差の形状に鋭角部分が生じることを防止できるので、バリアメタル膜13のカバレッジや電極パッド14を構成する金属膜のカバレッジが向上する。従って、電極パッド14の割れを防止できると共に、コンタクト用配線11Bの構成金属(例えばCu)の電極パッド14への析出つまり電極パッド14の腐食を防止できる。同様の理由により、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの形状についても、コーナー部が面取りされた方形状にすることが好ましい。
【0033】
また、本実施形態において、各コンタクト用配線11Bを単一のビアプラグ8を通じて下層配線5に電気的に接続したが、これに代えて、例えば図3(b)に示すように、各コンタクト用配線11Bを複数のビアプラグ8を通じて下層配線5に電気的に接続してもよい。
【0034】
また、本実施形態において、各コンタクト用配線11Bの形状を方形状にしたが、コンタクト用配線11Bの形状は特に限定されるものではなく、例えば図3(c)に示すように、コンタクト用配線11Bの形状をライン状にしてもよい。このようにすると、コンタクト用配線11Bと電極パッド14(正確にはバリアメタル膜13)とのコンタクト面積が増大するので、コンタクト用配線11Bと電極パッド14との電気的接続の信頼性が向上する。但し、本実施形態のように、複数の微細な方形状のコンタクト用配線11Bを配置することにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、比較的小さいコンタクト用配線11Bを開口部(第1保護絶縁膜12の第1開口部12a)中央の下側に複数配置すると、コンタクト用配線11Bとその周囲の第4層間絶縁膜10との間の段差に起因して、開口部中央の電極パッド14表面に微細な凹凸が多数形成される。このため、当該開口部中央の電極パッド14表面にボンディングワイヤを接続することにより、電極パッド14とボンディングワイヤとの密着性を向上させることができる。尚、この効果を増すために、本実施形態の3μm×3μmのコンタクト用配線11Bに代えて、0.5μm×0.5μm程度のコンタクト用配線を形成してもよい。
【0035】
また、本実施形態において、各コンタクト用配線11Bをビアプラグ8を通じて下層配線5に電気的に接続したが、これに代えて、例えば図3(d)に示すように、コンタクト用配線11Bを同じ配線層の上層配線11Aに電気的に接続してもよい。この場合、各コンタクト用配線11Bの下側にはビアプラグ8つまり下層配線5を設けなくてもよい。
【0036】
また、本実施形態において、第1層間絶縁膜2、第2層間絶縁膜4、第3層間絶縁膜7及び第4層間絶縁膜10として、SiO2 膜(シリコン酸化膜)を用いたが、これに代えて、TEOS(tetraethylorthosilicate )からなるTEOS酸化膜などの酸化物絶縁膜、炭素がドープされたシリコン酸化膜(SiOC膜)、又はフッ素がドープされたシリコン酸化膜(FSG膜)などの低誘電率絶縁膜等を用いてもよい。
【0037】
また、本実施形態において、第1下地絶縁膜3、第2下地絶縁膜6及び第3下地絶縁膜として、SiN膜(シリコン窒化膜)を用いたが、これに限らず、層間絶縁膜よりも耐湿性が高く水分の侵入を防止できる(つまりバリア性を有する)絶縁膜、例えばシリコン炭窒化膜(SiCN膜)又はシリコン酸窒化膜(SiON膜)等の窒化物絶縁膜を用いることができる。
【0038】
また、本実施形態において、下層配線5、ビアプラグ8、上層配線11A及びコンタクト用配線11Bの材料として、銅(Cu)を用いたが、これに代えて、例えば、銅を主成分とし且つアルミニウムが微量に添加されたCu−Al等の銅合金を用いてもよい。尚、下層配線5、ビアプラグ8、上層配線11A及びコンタクト用配線11Bの材料として、銅又は銅合金を用いる場合、配線溝又はビアホールに銅又は銅合金を埋め込む前に、例えばTaN膜を含むバリアメタル膜を形成しておくことが好ましい。
【0039】
また、本実施形態において、第1保護絶縁膜12及び第2保護絶縁膜15として、SiN膜を用いたが、これに代えて、SiN膜とTEOS酸化膜との積層膜を用いてもよい。
【0040】
また、本実施形態において、電極パッド14の材料として、アルミニウムを用いたが、これに代えて、例えば、アルミニウムを主成分とし且つシリコンや銅が微量に添加されたAl−Si、Al−Cu又はAl−Si−Cu等の銅合金を用いてもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図4(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態の半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。尚、図4(a)では、主として電極パッド下側の配線構造を示している。また、図4(b)には、図4(a)におけるA−A’線の断面構成(パッド配置領域52の断面構成)に加えて、セル領域51の一部の断面構成を示している。また、図4(a)及び(b)において、図2(a)及び(b)に示す第1の実施形態の半導体装置と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0043】
本実施形態の半導体装置が第1の実施形態と異なっている点は、図4(a)及び(b)に示すように、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aのエッジに沿ってリング状のコンタクト用配線11Bを設けていることである。
【0044】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、電極パッド14に対してプローブ検査を行った際にバリアメタル膜13や電極パッド14に割れが生じ、当該割れから水分が侵入した場合にも、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aをリング状のコンタクト用配線11Bと第3下地絶縁膜9とによって囲んだ構造により、チップ内部への水分のさらなる侵入を防止することができるので、装置の耐湿性を確保することができる。また、リング状のコンタクト用配線11Bが、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aのエッジとオーバーラップするように設けられているため、第1開口部12aの形成時に当該リング状のコンタクト用配線11Bがエッチングストッパーとして機能する。このため、第1開口部12aのエッジ下側の段差を小さくすることができるので、バリアメタル膜13のカバレッジや電極パッド14を構成する金属膜のカバレッジが向上する。従って、電極パッド14の割れを防止できると共に、コンタクト用配線11Bの構成金属の電極パッド14への析出つまり電極パッド14の腐食を防止できる。
【0045】
尚、本実施形態において、リング状のコンタクト用配線11Bの内側に、より小さい方形状のコンタクト用配線11Bを設けたが、これに代えて、当該方形状のコンタクト用配線11Bを設けなくてもよい。この場合、コンタクト用配線11Bが配置されていない領域の上側に位置する部分の電極パッド14、つまり第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの中央部分に位置する部分の電極パッド14を、プローブ検査領域又はワイヤボンド接続領域として用いてもよい。
【0046】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0047】
図5(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態の半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。尚、図5(a)では、主として電極パッド下側の配線構造を示している。また、図5(b)には、図5(a)におけるA−A’線の断面構成(パッド配置領域52の断面構成)に加えて、セル領域51の一部の断面構成を示している。また、図5(a)及び(b)において、図2(a)及び(b)に示す第1の実施形態の半導体装置と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0048】
本実施形態の半導体装置が第1の実施形態と異なっている点は、図5(a)及び(b)に示すように、全てのコンタクト用配線11Bが、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aのエッジとオーバーラップしないように設けられていること、言い換えると、全てのコンタクト用配線11Bが第1開口部12aの内側に設けられていることである。
【0049】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、第1保護絶縁膜12に第1開口部12aを形成する際に、下地の第4層間絶縁膜10の表面がエッチングされて第1開口部12aのエッジ下側の段差が大きくなり、その結果、バリアメタル膜13のカバレッジが劣化したとしても、第1開口部12aのエッジの下側にはコンタクト用配線11Bが存在していないので、コンタクト用配線11Bの構成金属の電極パッド14への析出つまり電極パッド14の腐食を防止できる。
【0050】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
【0051】
図6(a)及び(b)はそれぞれ、本実施形態の半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。尚、図6(a)では、主として電極パッド下側の配線構造を示している。また、図6(b)には、図6(a)におけるA−A’線の断面構成(パッド配置領域52の断面構成)に加えて、セル領域51の一部の断面構成を示している。また、図6(a)及び(b)において、図2(a)及び(b)に示す第1の実施形態の半導体装置と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0052】
本実施形態の半導体装置が第1の実施形態と異なっている点は、図6(a)及び(b)に示すように、各コンタクト用配線11Bの面積が異なっていることである。具体的には、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの周縁部の下側には、比較的面積が大きいコンタクト用配線11Bが設けられており、第1開口部12aの中央部の下側には、比較的面積が小さいコンタクト用配線11Bが設けられていることである。ここで、比較的面積が大きいコンタクト用配線11Bのサイズは例えば3μm×3μm程度であり、比較的面積が小さいコンタクト用配線11Bのサイズは例えば0.5〜1μm×0.5〜1μm程度である。
【0053】
尚、図6(a)及び(b)においては、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aの周縁部の下側に、比較的面積が大きい10個のコンタクト用配線11Bを配置し、第1開口部12aの中央部の下側に、比較的面積が小さい8個のコンタクト用配線11Bを配置している様子を示している。しかし、実際には、第1開口部12aつまり電極パッド14のサイズが50〜100μm×50〜100μm程度であるとすると、前述のサイズを有する大小のコンタクト用配線11Bが数百個程度配置されることになる。
【0054】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。すなわち、第1保護絶縁膜12に第1開口部12aを形成する際にはコンタクト用配線11Bの周辺の第4層間絶縁膜10の表面部がエッチングにより除去されるため、凸部となったコンタクト用配線11Bの配置領域上の電極パッド14の表面にも下地形状に対応して凸部が形成される。従って、比較的小さいコンタクト用配線11Bを第1開口部12aの中央の下側に複数配置すると、コンタクト用配線11Bとその周囲の第4層間絶縁膜10との間の段差に起因して、第1開口部12aの中央の電極パッド14の表面に微細な凹凸が多数形成されるため、当該第1開口部12aの中央の電極パッド14の表面にボンディングワイヤを接続することにより、電極パッド14とボンディングワイヤとの密着性を向上させることができる。
【0055】
尚、本実施形態においては、第3の実施形態と同様に、全てのコンタクト用配線11Bが、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aのエッジとオーバーラップしないように設けられているため、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、最も外側に配置されているコンタクト用配線11Bが、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aのエッジとオーバーラップするように設けられていてもよい。また、この場合、第1保護絶縁膜12の第1開口部12aのエッジに沿って当該エッジとオーバーラップするようにリング状のコンタクト用配線11Bが設けられていると、第2の実施形態と同様の効果を得ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、半導体装置の電極パッド構造に関し、特に、薄い配線層を有するパッド構造に適用した場合、コンタクト用配線形成時のディッシング量を抑制してコンタクト用配線の厚さを確保し、それにより、コンタクト用配線と電極パッドとを安定して電気的に接続させることができるので、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。
【図3】図3(a)〜(d)はそれぞれ、本発明の第1の実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【図4】図4(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。
【図5】図5(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。
【図6】図6(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置のパッド構造を示す平面図及び断面図である。
【図7】特許文献1に開示されている、電極パッド構造を有する従来の半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 半導体基板
2 第1層間絶縁膜
3 第1下地絶縁膜
4 第2層間絶縁膜
5 下層配線
6 第2下地絶縁膜
7 第3層間絶縁膜
8 ビアプラグ
9 第3下地絶縁膜
10 第4層間絶縁膜
11A 上層配線
11B コンタクト用配線
12 第1保護絶縁膜
12a 第1開口部
13 バリアメタル膜
14 電極パッド
15 第2保護絶縁膜
15a 第2開口部
50 半導体装置
51 セル領域
52 パッド配置領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜中に形成されたコンタクト用配線と、
前記コンタクト用配線上及び前記絶縁膜上に形成された保護膜と、
前記コンタクト用配線が露出するように前記保護膜に形成された開口部と、
前記コンタクト用配線と電気的に接続するように前記開口部に形成された電極パッドとを備え、
前記開口部の下側には、前記コンタクト用配線が配置されていない領域が存在していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記コンタクト用配線は前記開口部の下側に複数設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記複数のコンタクト用配線のうち少なくとも1つはリング状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記リング状のコンタクト用配線は、前記開口部のエッジとオーバーラップするように設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記複数のコンタクト用配線は、前記開口部のエッジとオーバーラップしないように設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記複数のコンタクト用配線は、第1のコンタクト用配線と、前記第1のコンタクト用配線よりも小さい第2のコンタクト用配線とを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1のコンタクト用配線は前記開口部の周縁部の下側に設けられており、前記第2のコンタクト用配線は前記開口部の中央部の下側に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記複数のコンタクト用配線のうち少なくとも1つは、コーナー部が面取りされた方形状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記半導体基板と前記絶縁膜との間に下層配線が形成されており、
前記コンタクト用配線と前記下層配線とはビアを介して接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記コンタクト用配線は銅又は銅合金からなり、
前記電極パッドはアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−93161(P2010−93161A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263592(P2008−263592)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】