説明

半導体装置

【課題】フォトセンサによる撮像機能を有する半導体装置において、各画素に設けられたフォトセンサの特性ばらつきに起因するノイズを低減し、高精度の撮像を行うことを目的とする。
【解決手段】フォトセンサが配置された入力部と、画像処理回路とを有し、前記フォトセンサは、黒画像、及び被検出物の画像を撮像し、前記画像処理回路は、前記黒画像の画像データX、及び前記被検出物の画像の画像データYを用いて、画像データ(Y−X)を有する画像を生成する半導体装置である。また、上記入力部が表示パネルとして機能する表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、表示装置及びその駆動方法に関する。また、半導体装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトセンサを有する表示パネルを搭載した表示装置が注目されている。
【0003】
被検出物が表示パネルに接触もしくは接近する際、表示パネルに照射される光の量が変化する。光の量の変化をフォトセンサにより検出することで、被検出物の接触若しくは接近を検出することができる。
【0004】
このような表示装置の一例として、表示パネルに密着型エリアセンサを配置することにより、撮像機能を備えた表示装置が挙げられる(例えば、特許文献1を参照)。また、表示パネルを有さない装置の一例として、イメージセンサ等の半導体装置が挙げられる。
【0005】
表示装置において、撮像は次のように行われる。被検出物が表示パネルに接近又は接触すると、表示パネルから被検出物に光が照射され、一部の光が被検出物により反射される。表示パネルの画素にはフォトセンサが設けられており、反射された光を検出し電気信号に変換して画像データを取得することで、画像が生成される。
【0006】
高精度の撮像を行うためには、表示パネルの画素に設けられたフォトセンサの特性のばらつきに起因するノイズを低減することが求められる。ノイズの影響により正常な画像を生成できない欠陥画素が存在してしまう。
【0007】
欠陥画素の画像データを補正する技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−292276号公報
【特許文献2】特開2002−262132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2では、欠陥画素の隣接画素の画像データを用いることで、正常な画像データを生成し、欠陥画素の画像データを補正している。そのため、欠陥画素が広範囲に広がっている場合、画像データを補正することが困難であるという問題があった。
【0010】
上記問題に鑑み、欠陥画素の隣接画素を用いた補正を行わなくても、画像データのノイズを低減し、高精度の撮像を行うことを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
表示パネルの画素にはフォトセンサが配置されており、通常の画像を撮像する前に、予め補正用の画像を撮像しておく。そして通常の画像を撮像した際に、補正用の画像を用いて補正を行うことで、ノイズを低減した画像を生成する。ノイズを有する画素は、欠陥画素とも呼ばれる。
【0012】
フォトセンサは、リセット動作時に所定の信号を入力することでリセットされる。補正用の画像は、リセット動作時に入力される信号から画像データを生成し撮像してもよい。リセット動作時の信号の大きさを設定することで、所望の画像を自動的に撮像することができる。
【0013】
補正用の画像は、1つでも複数撮像して用いてもよい。
【0014】
本発明の一態様は、フォトセンサがマトリックス状に配置された表示パネルと、画像処理回路とを有し、前記フォトセンサは、黒画像、及び被検出物の画像を撮像し、前記画像処理回路は、前記黒画像の画像データX、及び前記被検出物の画像の画像データYを用いて、画像データ(Y−X)を有する画像を生成する表示装置である。
【0015】
本発明の他の一態様は、フォトセンサがマトリックス状に配置された表示パネルと、画像処理回路とを有し、前記フォトセンサは、白画像及び被検出物の画像を撮像し、前記画像処理回路は、階調の最大値をMAXとし、前記白画像の画像データX、及び前記被検出物の画像の画像データYを用いて、画像データ(Y+(MAX−X))を有する画像を生成する表示装置である。
【0016】
本発明の他の一態様は、フォトセンサがマトリックス状に配置された表示パネルと、画像処理回路とを有し、前記フォトセンサは、黒画像、白画像及び被検出物の画像を撮像し、前記画像処理回路は、階調の最大値をMAXとし、前記黒画像の画像データX、前記白画像の画像データY、及び前記被検出物の画像の画像データZを用いて、画像データ(MAX×(Z−X)/(Y−X))を有する画像を生成する表示装置である。
【0017】
また、フォトセンサにおいて撮像された画像を格納するための記憶装置を有することを特徴とする。
【0018】
また、黒画像及び白画像は補正用の画像であり、フォトセンサのリセット動作時に撮像されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、高精度の撮像が可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】表示装置の構成を説明する図。
【図2】表示装置の構成を説明する図。
【図3】表示装置の構成を説明する図。
【図4】タイミングチャート。
【図5】表示装置の構成を説明する図。
【図6】タイミングチャート。
【図7】表示装置の断面図。
【図8】表示装置の断面図。
【図9】表示装置の構成を示す図。
【図10】表示装置を用いた電子機器の一例を示す図。
【図11】画像処理方法の一例を示す図。
【図12】表示装置の断面図。
【図13】表示装置を用いた電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下の実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態では、表示装置について図1〜図5を参照して説明する。
【0023】
表示パネルの構成について、図1を参照して説明する。表示パネル100は、画素回路101、表示素子制御回路102及びフォトセンサ制御回路103を有する。画素回路101は、行列方向にマトリクス状に配置された複数の画素104を有する。各々の画素104は、表示素子105とフォトセンサ106を有する。なお、フォトセンサ106は、画素104の外に設けてもよい。また、フォトセンサ106の個数は、表示素子105の個数と異なっていてもよい。
【0024】
表示素子105は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)、保持容量、及び液晶素子などを有する。薄膜トランジスタは、保持容量への電荷を注入もしくは排出を制御する機能を有する。保持容量は、液晶素子に印加する電圧に相当する電荷を保持する機能を有する。液晶素子に電圧を印加し、光の透過又は非透過を制御することで、階調表示が行われる。液晶素子を透過する光は、光源(バックライト)によって液晶表示装置の裏面から照射される光を用いる。
【0025】
なお、カラー画像表示を行う方式として、カラーフィルタを用いる方式、所謂、カラーフィルタ方式がある。これは、液晶層を透過した光がカラーフィルタを通過することで、特定の色(例えば、赤(R)、緑(G)、青(B))の階調を作ることができる。ここで、カラーフィルタ方式を用いる際に、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色を発光する機能を有する画素104を、各々、R画素、G画素、B画素と呼ぶことにする。
【0026】
また、カラー画像表示を行う別の方式として、バックライトを特定の色(例えば、赤(R)、緑(G)、青(B))の光源で構成して各色を順次点灯する方式、所謂、フィールドシーケンシャル方式がある。フィールドシーケンシャル方式では、各色の光源が点灯している期間に、液晶層を透過する光の明暗を作ることで、当該色の階調を作ることができる。
【0027】
なお、表示素子105が液晶素子を有する場合について説明したが、発光素子などの他の素子を有していてもよい。発光素子は、電流と電圧によって輝度が制御される素子であり、具体的には発光ダイオード、OLED(Organic Light Emitting Diode)等が挙げられる。
【0028】
フォトセンサ106は、受光することで電気信号を生成する機能を有する素子(受光素子ともいう)と、薄膜トランジスタとを有する。受光素子としては、フォトダイオード等を用いることができる。なお、フォトセンサ106が受光する光は、表示装置の内部(バックライト等)から発せられ被検出物で反射されたもの、外光等が被検出物によって反射されたもの、被検出物自体から発せられたもの、又は、外光等が被検出物に遮られたもの(影)である。
【0029】
表示素子制御回路102は、表示素子105を制御するための回路であり、ビデオデータ信号線などの信号線(「ソース信号線」ともいう。)を介して表示素子105に信号を入力する表示素子駆動回路107と、走査線(「ゲート信号線」ともいう。)を介して表示素子105に信号を入力する表示素子駆動回路108を有する。例えば、走査線側の表示素子駆動回路108は、特定の行に配置された画素が有する表示素子を選択する機能を有する。また、信号線側の表示素子駆動回路107は、選択された行の画素が有する表示素子に任意の電位を与える機能を有する。なお、走査線側の表示素子駆動回路108により高電位を印加された表示素子では、薄膜トランジスタが導通状態となり、信号線側の表示素子駆動回路107により与えられる電荷が供給される。
【0030】
フォトセンサ制御回路103は、フォトセンサ106を制御するための回路であり、フォトセンサ出力信号線、フォトセンサ基準信号線等の信号線側のフォトセンサ読み出し回路109と、走査線側のフォトセンサ駆動回路110を有する。走査線側のフォトセンサ駆動回路110は、特定の行に配置された画素が有するフォトセンサ106に対して、後述するリセット動作と選択動作とを行う機能を有する。また、信号線側のフォトセンサ読み出し回路109は、選択された行の画素が有するフォトセンサ106の出力信号を取り出す機能を有する。なお、信号線側のフォトセンサ読み出し回路109は、アナログ信号であるフォトセンサの出力を、OPアンプを用いてアナログ信号のまま表示パネル外部に取り出す構成や、A/D変換回路を用いてデジタル信号に変換してから表示パネル外部に取り出す構成が考え得る。
【0031】
画素104の回路図について、図2を用いて説明する。画素104は、トランジスタ201、保持容量202及び液晶素子203を有する表示素子105と、フォトダイオード204、トランジスタ205及びトランジスタ206を有するフォトセンサ106とを有する。
【0032】
トランジスタ201は、ゲートがゲート信号線207に、ソース又はドレインの一方がビデオデータ信号線210に、ソース又はドレインの他方が保持容量202の一方の電極と液晶素子203の一方の電極に電気的に接続されている。保持容量202の他方の電極と液晶素子203の他方の電極は一定の電位に保たれている。液晶素子203は、一対の電極と、該一対の電極の間に液晶層を含む素子である。
【0033】
トランジスタ201は、ゲート信号線207に”H”が印加されると、ビデオデータ信号線210の電位を保持容量202と液晶素子203に印加する。保持容量202は、印加された電位を保持する。液晶素子203は、印加された電位により、光の透過率を変更する。
【0034】
フォトダイオード204は、一方の電極がフォトダイオードリセット信号線208に、他方の電極がトランジスタ205のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ205は、ソース又はドレインの一方がフォトセンサ基準信号線212に、ソース又はドレインの他方がトランジスタ206のソース又はドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ206は、ゲートがゲート信号線209に、ソース又はドレインの他方がフォトセンサ出力信号線211に電気的に接続されている。
【0035】
次に、フォトセンサ読み出し回路109の構成について、図3を用いて説明する。図3において、画素1列分のフォトセンサ読み出し回路300は、p型トランジスタ301、保持容量302、を有する。また、フォトセンサ読み出し回路300は、当該画素1列分のフォトセンサ出力信号線211、プリチャージ信号線303を有する。
【0036】
フォトセンサ読み出し回路300では、画素内におけるフォトセンサの動作に先立ち、フォトセンサ出力信号線211の電位を基準電位に設定する。図3では、プリチャージ信号線303を”L”とすることで、フォトセンサ出力信号線211を基準電位である高電位に設定することができる。なお、保持容量302は、フォトセンサ出力信号線211の寄生容量が大きい場合には、特別に設けなくても良い。なお、基準電位は、低電位とする構成も可能である。この場合、n型トランジスタを用いることで、プリチャージ信号線303を”H”とすることで、フォトセンサ出力信号線211を基準電位である低電位に設定することができる。
【0037】
次に、本表示パネルにおけるフォトセンサの読み出し動作について、図4のタイミングチャートを用いて説明する。図4において、信号401〜信号404は、図2におけるフォトダイオードリセット信号線208、トランジスタ206のゲートが接続されたゲート信号線209、トランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213、フォトセンサ出力信号線211の電位に相当する。また、信号405は、図3におけるプリチャージ信号線303の電位に相当する。
【0038】
時刻Aにおいて、フォトダイオードリセット信号線208の電位(信号401)を”H”とする(リセット動作)と、フォトダイオード204が導通し、トランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213の電位(信号403)が”H”となる。また、プリチャージ信号線303の電位(信号405)の電位は”L”とすると、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号404)は”H”にプリチャージされる。
【0039】
時刻Bにおいて、フォトダイオードリセット信号線208の電位(信号401)を”L”にする(累積動作)と、フォトダイオード204のオフ電流により、トランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213の電位(信号403)が低下し始める。フォトダイオード204は、光が照射されるとオフ電流が増大するので、照射される光の量に応じてトランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213の電位(信号403)は変化する。すなわち、トランジスタ205のソースとドレイン間の電流が変化する。
【0040】
時刻Cにおいて、ゲート信号線209の電位(信号402)を”H”にする(選択動作)と、トランジスタ206が導通し、フォトセンサ基準信号線212とフォトセンサ出力信号線211とが、トランジスタ205とトランジスタ206とを介して導通する。すると、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号404)は、低下していく。なお、時刻C以前に、プリチャージ信号線303の電位(信号405)は”H”とし、フォトセンサ出力信号線211のプリチャージを終了しておく。ここで、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号404)が低下する速さは、トランジスタ205のソースとドレイン間の電流に依存する。すなわち、フォトダイオード204に照射されている光の量に応じて変化する。
【0041】
時刻Dにおいて、ゲート信号線209の電位(信号402)を”L”にすると、トランジスタ206が遮断され、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号404)は、時刻D以後、一定値となる。ここで、一定値となる値は、フォトダイオード204に照射されている光の量に応じて変化する。したがって、フォトセンサ出力信号線211の電位を取得することで、フォトダイオード204に照射されている光の量を知ることができる。
【0042】
上記のように、個々のフォトセンサの動作は、リセット動作、累積動作、選択動作を繰り返すことで実現される。また、表示パネルの全行及び全列における画素のフォトセンサについて、上記の動作を順次行い、その際に得られるフォトセンサ出力信号線211の電位を順次取得することで、撮像画像を生成することができる。
【0043】
さて、各画素に設けられたフォトセンサは、製造上のばらつきにより、特性ばらつきを有する。製造上のばらつきには、フォトダイオードの光電流、トランジスタのしきい値やオン電流、フォトセンサ出力信号線の配線抵抗や寄生容量などがある。これらのばらつきにより、取得した撮像画像が、本来黒画像であるべきところが白味を帯びた模様が混入することや、逆に本来白画像であるべきところが黒味を帯びた模様が混入することが起こる。また、信号線側のフォトセンサ読み出し回路109にOPアンプやA/D変換回路を搭載している場合には、これらの特性ばらつきに起因して、撮像画像に筋状の模様が混入する。これら、ノイズにより、目的とする撮像画像の品質が損なわれることになる。
【0044】
一般的には、フォトセンサを構成するフォトダイオードやトランジスタのサイズ拡大、信号配線の拡幅、層間絶縁膜の膜厚増大などで、前記の製造上のばらつきを軽減することができる。また、フォトセンサにばらつき補正回路を搭載することも考え得る。しかしながら、表示パネルでは画素の開口率を確保する必要があるため、フォトダイオードやトランジスタの素子サイズ及び素子数に対しては、厳しい制限を受けるため、素子のサイズ拡大や信号配線の拡幅、補正回路の導入などは容易では無い。また、層間絶縁膜の膜厚増大は、製造コストの増加や画素の透過率の低下を招くため、やはり容易では無い。そこで、次のような方法による撮像画像の品質向上を提案する。すなわち、目的とする撮像前に、黒画像もしくは白画像の少なくとも一方を撮像しておき、目的とする撮像画像に対する画像補正に用いる。黒画像もしくは白画像は、黒紙もしくは白紙を表示パネルに載せ、これを撮像することで容易に得ることができる。
【0045】
画像補正の具体的な方法は、(1)黒画像を撮像した第1の画像データXと、撮像画像である第2の画像データYと、から得られる画像データ(Y−X)を第3の画像データとし、これを目的とする撮像画像とする方法、(2)白画像を撮像した第1の画像データXと、撮像画像である第2の画像データYと、から得られる画像データ(Y+(階調数−X))を第3の画像データとし、これを目的とする撮像画像とする方法、(3)黒画像を撮像した第1の画像データXと、白画像を撮像した第2の画像データYと、撮像画像である第3の画像データZと、から、第1の画像データXと、第2の画像データYと、を各々最小値、最大値とする範囲に第3の画像データZを線形配分して得られる画像データ((Z−X)/(Y−X)×(階調数))を第4の画像データとし、これを目的とする撮像画像とする方法、である。ここで、画像データX(Y、Z)とは、当該画像における各画素の階調が数値で表されたデータ(階調データ)を意味する。また、画像データに対する四則演算は、画像データの各画素の階調データ間での四則演算を行うことを意味する。例えば、画像データ(Y−X)とは、画像データXの各画素の階調データと、画像データYの各画素の階調データとの差を各々とり、これを各画素の階調データとする画像データを意味する。また、階調データは、明るい程値が大きいとする。さらに、カラー画像については、各画素の階調データは、R、G、Bの階調値から構成され、四則演算は、R、G、B各々について行うことを意味する。階調数とは、撮像画像の階調数であり、カラー画像の場合は、R、G、B各々の階調数を意味する。
【0046】
(1)の方法は、例えば、図2で示したフォトセンサ106において、トランジスタ205のオン電流のばらつきが大きい場合や、フォトダイオード204の暗電流もしくは弱光における光電流のばらつきが大きい場合など、黒画像にノイズが出易い製造上のばらつきに対して有効である。なお、黒画像全体にノイズが出ている場合には、目的とする撮像画像が白っぽい画像となる。そのため、全画素データに対して、一定値を加算することで、目的とする撮像画像の輝度を調整することができる。また、カラー画像の場合には、R、G、B各々に対して、異なる一定値を加算することが有効である。
【0047】
(2)の方法は、例えば、図2で示したフォトセンサ106において、トランジスタ205のしきい値のばらつきが大きい場合や、フォトダイオード204の強光における光電流のばらつきが大きい場合など、白画像にノイズが出易い製造上のばらつきに対して有効である。なお、白画像全体にノイズが出ている場合、目的とする撮像画像が黒っぽい画像となる。そのため、全画素データに対して、一定値を減算することで、目的とする撮像画像の輝度を調整することができる。また、カラー画像の場合には、R、G、B各々に対して、異なる一定値を減算することが有効である。
【0048】
(3)の方法は、(1)、(2)の方法をより実用化した方法で、フォトセンサの各種ばらつきに対して有効である。また、線形配分ではなく、より一般的に、非線形配分することも有効である。なお、線形配分とは、被検出物の画像データ(例えば画像データZ)の変化に対して、補正された画像データの変化が比例していることである。また、非線形配分とは、画像データZの変化に対して、補正された画像データが比例していないことである。
【0049】
なお、(1)〜(3)の方法を用いる際に、画像データX、Y、Zは、熱雑音などに起因して、撮像画像にランダムに生じるノイズ(以下、ランダムノイズ)を除去しておくことが有効である。ランダムノイズを除去するには、平滑化処理などの一般的な画像処理や、連続的に撮像した複数の撮像画像に対して平均値や中央値を得る演算処理などが有効である。
【0050】
図5に、上記の補正を行う表示パネルシステム500を示す。ここで、表示パネルシステム500は、表示パネル100、制御回路501、画像処理回路502、画像データを保存する記憶装置503を有する。制御回路501は、表示パネル100を駆動するための各種タイミング信号を生成する。画像処理回路502は、フォトセンサで得られた撮像データから上記のような演算処理を行い、画像データを生成する。また、後の画像処理に必要となる画像データを記憶装置503に格納し、また、必要に応じて記憶装置503に格納された画像データを読み出し、演算処理を行う。
【0051】
図5に示す構成において、(1)、(2)の方法を用いる場合、記憶装置503には、黒画像データもしくは白画像データの一方のみを保存すれば良いため、記憶装置503の容量は少なくて済む。
【0052】
また、表示パネル100の製造上のばらつきが少ない場合には、黒画像データ及び白画像データにおける各画素の階調データの範囲を限定することができる。この場合には、階調データの範囲を指定するデータを別に用意する記憶装置に保存し、記憶装置503には限定された範囲の階調データのみを保存する構成が可能である。上記(1)〜(3)の方法における演算を行う際には、階調データの範囲を指定するデータと限定された範囲の階調データを各々記憶装置から読み出し、これらを用いて画像処理回路502で演算を行うことができる。なお、階調データの上位ビット、下位ビットを、各々階調データの範囲を指定するデータ、限定された範囲の階調データとすることができる。このような構成とすることで、記憶装置503の容量を削減できるので有効である。
【0053】
次に、(1)(2)(3)の方法の具体例を図11を用いて説明する。
【0054】
図11では、説明を簡単にするため、縦3×横3の9つの画素の例を示す。各画素内の数字は画像データを示している。画素数はこれに限定されない。
【0055】
(1)の方法の手順を図11(A)に示す。
【0056】
まず黒画像を撮像した画像データXを取得する。数値0の画素は黒が正しく撮像され、画素2001はノイズが含まれていることを示している。ノイズ値は4であり、少し白っぽい画像になっている。このノイズを含む黒画像データXは、記憶装置503に格納される。
【0057】
次に被検出物の画像を撮像した画像データYを取得する。ここで、画素2001はノイズ値4を含んでおり、被検出物を正しく撮像できていない。この被検出物の画像データYは、記憶装置503に格納される。
【0058】
そして、画像処理回路502において、黒画像データX及び被検出物の画像データYを用いて画像処理を行い、画像データ(Y−X)を有する画像を生成する。生成された画像が、画素2001においてノイズ値4が除去された正しい撮像画像である。以上のようにして、ノイズを含む画像を補正することができる。
【0059】
(2)の方法の手順を図11(B)に示す。
【0060】
まず白画像を撮像した画像データXを取得する。数値15の画素は白が正しく撮像され、画素2002はノイズが含まれていることを示している。ノイズ値は6であり、少し黒っぽい画像になっている。このノイズを含む白画像データは、記憶装置503に格納される。
【0061】
次に被検出物の画像を撮像した画像データYを取得する。ここで、画素2002はノイズ値6を含んでおり、被検出物を正しく撮像できていない。この被検出物の画像データは、記憶装置503に格納される。
【0062】
そして、画像処理回路502において、白画像データX及び被検出物の画像データYを用いて画像処理を行い、画像データ(Y+(MAX−X))を有する画像を生成する。生成された画像が、画素2002においてノイズ値6が除去された正しい撮像画像である。以上のようにして、ノイズを含む画像を補正することができる。MAXは16階調の最大値を示し、ここではMAX=15である。上述した階調数は、このMAXと同義である。
【0063】
(3)の方法の手順を図11(C)に示す。
【0064】
まず黒画像を撮像した画像データXと、白画像を撮像した画像データYを取得する。図11(A)、(B)と同様に、黒画像は画素2003において白っぽい画像になっており、白画像は画素2003において黒っぽい画像になっている。これらの画像データX及びYは、記憶装置503に格納される。
【0065】
次に被検出物の画像を撮像した画像データZを取得する。ここで、画素2003はノイズ値4及びノイズ値6を含んでおり、被検出物を正しく撮像できていない。この被検出物の画像データZは、記憶装置503に格納される。
【0066】
そして、画像処理回路502において、黒画像データX、白画像データY、及び被検出物の画像データZを用いて画像処理が行われ、画像データ(MAX×(Z−X)/(Y−X))を有する画像を生成する。生成された画像が、ノイズ値4及びノイズ値6が除去された正しい撮像画像である。以上のようにして、ノイズを含む画像を補正することができる。(2)の方法と同様に、MAX=15である。
【0067】
なお本実施の形態では、モノクロ画像を用いているが、R、G、Bの値で構成されるカラー画像を用いてもよい。その場合、R、G、B各々について上記画像処理を行えばよい。また、RGB値をHSV値(H:色相、S:彩度、V:明度)に変換して処理を行ってもよい。
【0068】
また、4ビット表示(16階調表示)を行っているが、別のビット数としてもよい。
【0069】
以上のような形態とすることで、高精度の画像撮像が可能な表示パネルを提供することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、フォトセンサを有する表示装置について説明したが、フォトセンサを有する半導体装置にも容易に応用できる。すなわち、本実施の形態における表示装置から、表示に要する回路、具体的には、表示素子制御回路102、表示素子105を取り除いて、半導体装置を構成することができる。当該半導体装置としては、例えばイメージセンサが挙げられる。このような半導体装置は、フォトセンサが設けられた入力部に接触または接近する被検出物を、上記と同様に検出することができる。
【0071】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態では、黒画像もしくは白画像の撮像方法について、実施の形態1で説明した方法とは異なる方法について、図6のタイミングチャートを用いて説明する。図6のタイミングチャートにおいて、信号601、信号402、信号603、信号604は、図2におけるフォトダイオードリセット信号線208、トランジスタ206のゲートが接続されたゲート信号線209、トランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213、フォトセンサ出力信号線211の電位に相当する。また、信号405は、図3におけるプリチャージ信号線303の電位に相当する。以下、図4に示したタイミングチャートとの違いに注目して説明する。
【0073】
時刻Aにおいて、フォトダイオードリセット信号線208の電位(信号601)を特定の電位とする(リセット動作)。ここで、特定の電位は、黒画像を撮像するときは、図4のタイミングチャートにおける”H”と同電位である第1の電位とする。また、白画像を撮像するときは、理想的には図2におけるトランジスタ205のしきい値にフォトダイオード204の順方向電圧降下分を加算した電位である第2の電位とする。より現実的には、フォトダイオード204が導通し得る最小の電位を第2の電位とする。この時、トランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213の電位(信号603)が第1の電位からフォトダイオード204の順方向電圧降下分だけ低い値となる。また、プリチャージ信号線303の電位(信号405)を”L”とすると、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号604)は”H”にプリチャージされる。
【0074】
時刻Bにおいて、フォトダイオードリセット信号線208の電位(信号601)は時刻Aのままの電位を保つ。すなわち、トランジスタ205のゲートが接続されたゲート信号線213の電位(信号603)も変化しない。
【0075】
時刻Cにおいて、ゲート信号線209の電位(信号402)を”H”にする(選択動作)と、トランジスタ206が導通し、フォトセンサ基準信号線212とフォトセンサ出力信号線211とが、トランジスタ205とトランジスタ206とを介して導通する。すると、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号604)は、低下していく。なお、時刻C以前に、プリチャージ信号線303の電位(信号405)の電位は”H”とし、フォトセンサ出力信号線211のプリチャージを終了しておく。ここで、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号604)が低下する速さは、トランジスタ205のソースとドレイン間の電流に依存する。すなわち、リセット動作において、フォトダイオードリセット信号線208に印加した電圧に応じて変化する。具体的には、フォトダイオードリセット信号線208に第1の電位を印加した場合は、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号604)は、図4のタイミングチャートでフォトダイオード204に照射する光の量が少ない場合、すなわち、黒画像を撮像した場合と同様の変化をする。また、フォトダイオードリセット信号線208に第2の電位を印加した場合は、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号604)は、図4のタイミングチャートでフォトダイオード204に照射する光の量が多い場合と同様の変化をする。すなわち、白画像を撮像した場合と同様の変化をする。
【0076】
時刻Dにおいて、ゲート信号線209の電位(信号402)を”L”にすると、トランジスタ206が遮断され、フォトセンサ出力信号線211の電位(信号604)は、時刻D以後、一定値となる。ここで、一定値となる値は、リセット動作において、フォトダイオードリセット信号線208に印加した電圧に応じて変化する。したがって、フォトセンサ出力信号線211の電位を取得することで、黒画像もしくは白画像を撮像した場合に相当する撮像データを知ることができる。
【0077】
以上のような形態とすることで、補正用の黒画像もしくは白画像を撮像する際に、黒紙や白紙を表示パネルに載せて撮像するといった手間を省いて、高精度の撮像が可能な表示装置を提供することができる。
【0078】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0079】
(実施の形態3)
図7に、表示パネルの断面図の一例を示す。図7に示す表示パネルでは、絶縁表面を有する基板(TFT基板)1001上に、フォトダイオード1002、トランジスタ1003、保持容量1004、液晶素子1005が設けられている。
【0080】
フォトダイオード1002と、保持容量1004とは、トランジスタ1003を作製するプロセスにおいて、トランジスタ1003と共に形成することが可能である。フォトダイオード1002は横型接合タイプのpinダイオードであり、フォトダイオード1002が有する半導体膜1006は、p型の導電性を有する領域(p層)と、i型の導電性を有する領域(i層)と、n型の導電性を有する領域(n層)とを有している。なお、本実施の形態では、フォトダイオード1002がpinダイオードである場合を例示しているが、フォトダイオード1002はpnダイオードであっても良い。横型接合タイプのpin接合またはpn接合は、p型を付与する不純物と、n型を付与する不純物とを、それぞれ半導体膜1006の特定の領域に添加することで、形成することが出来る。
【0081】
また、TFT基板1001上に成膜した一の半導体膜をエッチングなどにより所望の形状に加工(パターニング)することで、フォトダイオード1002の島状の半導体膜と、トランジスタ1003の島状の半導体膜とを一緒に形成することができ、通常のパネル作成プロセスに追加するプロセスが不要となり、コストを低減できる。
【0082】
液晶素子1005は、画素電極1007と、液晶1008と、対向電極1009とを有する。画素電極1007は、基板1001上に形成されており、トランジスタ1003と、保持容量1004と、導電膜1010を介して電気的に接続されている。また、対向電極1009は、基板(対向基板)1013上に形成されており、画素電極1007と対向電極1009の間に、液晶1008が挟まれている。なお、本実施の形態では、フォトセンサに用いられているトランジスタについては図示していないが、当該トランジスタも、トランジスタ1003を作製するプロセスにおいて、トランジスタ1003と共に基板(TFT基板)1001上に形成することが可能である。
【0083】
画素電極1007と、対向電極1009の間のセルギャップは、スペーサー1016を用いて制御することが出来る。図7では、フォトリソグラフィーで選択的に形成された柱状のスペーサー1016を用いてセルギャップを制御しているが、球状のスペーサーを画素電極1007と対向電極1009の間に分散させることで、セルギャップを制御することも出来る。
【0084】
また液晶1008は、基板(TFT基板)1001と基板(対向基板)1013の間において、封止材により囲まれている。液晶1008の注入は、ディスペンサ式(滴下式)を用いても良いし、ディップ式(汲み上げ式)を用いていても良い。
【0085】
画素電極1007には、透光性を有する導電性材料、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることが出来る。
【0086】
また、本実施の形態では、透過型の液晶素子1005を例に挙げているので、画素電極1007と同様に、対向電極1009にも上述した透光性を有する導電性材料を用いることが出来る。
【0087】
画素電極1007と液晶1008の間には配向膜1011が、対向電極1009と液晶1008の間には配向膜1012が、それぞれ設けられている。配向膜1011、配向膜1012はポリイミド、ポリビニルアルコールなどの有機樹脂を用いて形成することができ、その表面には、ラビングなどの、液晶分子を一定方向に配列させるための配向処理が施されている。ラビングは、配向膜に圧力をかけながら、ナイロンなどの布を巻いたローラーを回転させて、上記配向膜の表面を一定方向に擦ることで、行うことが出来る。なお、酸化珪素などの無機材料を用い、配向処理を施すことなく、蒸着法で配向特性を有する配向膜1011、配向膜1012を直接形成することも可能である。
【0088】
また、液晶素子1005と重なるように、特定の波長領域の光を通すことができるカラーフィルタ1014が、基板(対向基板)1013上に形成されている。カラーフィルタ1014は、顔料を分散させたアクリル系樹脂などの有機樹脂を基板1013上に塗布した後、フォトリソグラフィーを用いて選択的に形成することができる。また、顔料を分散させたポリイミド系樹脂を基板1013上に塗布した後、エッチングを用いて選択的に形成することもできる。或いは、インクジェットなどの液滴吐出法を用いることで、選択的にカラーフィルタ1014を形成することもできる。
【0089】
また、フォトダイオード1002と重なるように、光を遮蔽することが出来る遮蔽膜1015が、基板(対向基板)1013上に形成されている。遮蔽膜1015を設けることで、基板(対向基板)1013を透過して表示パネル内に入射したバックライトからの光が、直接フォトダイオード1002に当たるのを防ぐことができる他、画素間における液晶1008の配向の乱れに起因するディスクリネーションが視認されるのを防ぐことができる。遮蔽膜1015には、カーボンブラック、低次酸化チタンなどの黒色顔料を含む有機樹脂を用いることができる。または、クロムを用いた膜で、遮蔽膜1015を形成することも可能である。
【0090】
また、基板(TFT基板)1001の画素電極1007が形成されている面とは反対の面に、偏光板1017を設け、基板(対向基板)1013の対向電極1009が形成されている面とは反対の面に、偏光板1018を設ける。
【0091】
液晶素子は、TN(Twisted Nematic)型の他、VA(Virtical Alignment)型、OCB(optically compensated Birefringence)型、IPS(In−Plane Switching)型等であっても良い。なお、本実施の形態では、画素電極1007と対向電極1009の間に液晶1008が挟まれている構造の液晶素子1005を例に挙げて説明したが、本発明の一態様に係る表示パネルはこの構成に限定されない。IPS型のように、一対の電極が、共に基板(TFT基板)1001側に形成されている液晶素子であっても良い。
【0092】
また、本実施の形態では、フォトダイオード1002、トランジスタ1003、保持容量1004に、薄膜の半導体膜を用いている場合を例に挙げているが、単結晶半導体基板、SOI基板などを用いて形成されていても良い。
【0093】
本実施の形態に示す断面構造では、バックライトからの光は、基板(対向基板)1013側から照射する。すなわち、矢印1020で示すように液晶素子1005を通って、基板(TFT基板)1001側にある被検出物1021に照射される。そして、被検出物1021において反射された矢印1022で示す光は、フォトダイオード1002に入射する。
【0094】
また、本実施の形態の表示装置は、フォトセンサ(フォトダイオード1002)の受光面の向きと、表示パネルの表示面(基板1001側)の向きとが同一である。そのため、表示パネルにおいて、被検出物を撮像することができ、CCDイメージセンサ等を設けた場合に比べて有効である。
【0095】
以上のような形態とすることで、高精度の画像撮像が可能な表示パネルを提供することができる。
【0096】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0097】
(実施の形態4)
図8、実施の形態3とは異なる表示パネルの断面図の一例を示す。図8に示す表示パネルでは、フォトダイオード1002は、トランジスタ1003のゲート電極を構成する導電膜1019で、遮蔽膜2019を構成している点が、図7と異なる。フォトダイオード1002に遮蔽膜2019を構成することで、バックライトの光がi型の導電性を有する領域(i層)に直接入射することを回避することができ、被検出物からの反射光のみを効率良く検出することができる。
【0098】
また、フォトダイオード1002を横型接合タイプのpinダイオードとする際には、p型の導電性を有する領域(p層)とn型の導電性を有する領域(n層)とを形成する際に、遮蔽膜をマスクとして用いることで、セルフアラインで形成することができる。これは、微細なフォトダイオードを作成する際に有効であり、画素サイズの縮小や開口率の向上に有効である。
【0099】
以上のような形態とすることで、高精度の画像撮像が可能な表示装置を提供することができる。
【0100】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0101】
(実施の形態5)
図12に、実施の形態3とは異なる表示パネルの断面図の別の一例を示す。図12に示す表示パネルでは、バックライトからの光が、基板(TFT基板)1001側から照射する点において、図7と異なる。すなわち、矢印2020で示すように液晶素子1005を通って、基板(対向基板)1013側にある被検出物1021に照射される。そして、被検出物1021において反射された矢印2022で示す光は、フォトダイオード1002に入射する。この場合、フォトダイオード1002の上部の遮蔽膜1015に開口を設ける等、被検出物1021で反射された光がフォトダイオード1002に入射するようにすればよい。
【0102】
本実施の形態では、フォトダイオード1002の下部に遮蔽膜2015を設ける。遮蔽膜2015を設けることで、基板(TFT基板)1001を透過して表示パネル内に入射したバックライトからの光が、直接フォトダイオード1002に当たるのを防ぐことができ、高精度の画像撮像が可能な表示パネルを提供することができる。遮蔽膜2015には、カーボンブラック、低次酸化チタンなどの黒色顔料を含む有機樹脂を用いることができる。または、クロムを用いた膜で、遮蔽膜2015を形成することも可能である。
【0103】
また、本実施の形態の表示装置は、フォトセンサ(フォトダイオード1002)の受光面の向きと、表示パネルの表示面(基板1013側)の向きとが同一である。そのため、表示パネルにおいて、被検出物を撮像することができ、CCDイメージセンサ等を設けた場合に比べて有効である。
【0104】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0105】
(実施の形態6)
フォトセンサを有する表示パネルを用いたライティングボード(黒板、ホワイトボード等)の例を示す。
【0106】
例えば、図13にフォトセンサを有する表示パネルを示す。
【0107】
表示パネル9696は、フォトセンサと表示素子とを有している。
【0108】
ここで、表示パネル9696の表面にはマーカー等を用いて自由に書き込みができる。
【0109】
なお、定着剤が含まれていないマーカー等を用いれば文字の消去が容易である。
【0110】
また、マーカーのインクを落としやすくするため、表示パネル9696の表面は十分な平滑性を有していると良い。
【0111】
例えば、表示パネル9696の表面がガラス基板等であれば平滑性は充分である。
【0112】
また、表示パネル9696の表面に透明な合成樹脂シート等を貼り付けても良い。
【0113】
合成樹脂としては例えばアクリル等を用いると好ましい。この場合、合成樹脂シートの表面を平滑にしておくと好ましい。
【0114】
そして、表示パネル9696は、表示素子を有しているので、特定の画像を表示するとともに表示パネル9696の表面にマーカーにより文字を記載することができる。
【0115】
また、表示パネル9696は、フォトセンサを有しているので、プリンター等と接続しておけばマーカーで記載した文字を読み取って印刷することも可能である。
【0116】
さらに、表示パネル9696は、フォトセンサと表示素子を有しているので、画像を表示させた状態で表示パネル9696表面にマーカーで文字、図形等を書き込むことにより、フォトセンサで読み取ったマーカーの軌跡を画像と合成して映し出すこともできる。
【0117】
なお、抵抗膜方式、静電容量方式等のセンシングを用いた場合、マーカー等での書き込みと同時にしかセンシングをすることができない。
【0118】
一方、フォトセンサを用いた場合、マーカー等で書き込んだ後、時間が経った場合でもいつでもセンシングが可能な点で優れている。
【0119】
本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0120】
本実施例では、本発明の表示パネルにおける、パネルと光源の配置について説明する。
【0121】
図9は、本発明の表示パネルの構造を示す斜視図の一例である。図9に示す表示パネルは、一対の基板間に液晶素子、フォトダイオード、薄膜トランジスタなどを含む画素が形成されたパネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板1604と、導光板1605と、反射板1606と、複数の光源1607を有するバックライト1608と、回路基板1609とを有している。
【0122】
パネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板1604と、導光板1605と、反射板1606とは、順に積層されている。光源1607は導光板1605の端部に設けられており、導光板1605内部に拡散された光源1607からの光は、第1の拡散板1602、プリズムシート1603及び第2の拡散板1604によって、対向基板側から均一にパネル1601に照射される。
【0123】
なお、本実施例では、第1の拡散板1602と第2の拡散板1604とを用いているが、拡散板の数はこれに限定されず、単数であっても3以上であっても良い。そして、拡散板は導光板1605とパネル1601の間に設けられていれば良い。よって、プリズムシート1603よりもパネル1601に近い側にのみ拡散板が設けられていても良いし、プリズムシート1603よりも導光板1605に近い側にのみ拡散板が設けられていても良い。
【0124】
またプリズムシート1603の断面は、図9に示した鋸歯状の形状に限定されず、導光板1605からの光をパネル1601側に集光できる形状を有していれば良い。
【0125】
回路基板1609には、パネル1601に入力される各種信号を生成もしくは処理する回路、パネル1601から出力される各種信号を処理する回路などが設けられている。そして図9では、回路基板1609とパネル1601とが、FPC(Flexible Printed Circuit)1611を介して接続されている。なお、上記回路は、COG(Chip ON Glass)法を用いてパネル1601に接続されていても良いし、上記回路の一部がFPC1611にCOF(Chip ON Film)法を用いて接続されていても良い。
【0126】
図9では、光源1607の駆動を制御する、制御系の回路が回路基板1609に設けられており、該制御系の回路と光源1607とがFPC1610を介して接続されている例を示している。ただし、上記制御系の回路はパネル1601に形成されていても良く、この場合はパネル1601と光源1607とがFPCなどにより接続されるようにする。
【0127】
なお、図9は、パネル1601の端に光源1607を配置するエッジライト型の光源を例示しているが、本発明の表示パネルは光源1607がパネル1601の直下に配置される直下型であっても良い。
【0128】
例えば、被検出物である指1612をTFT基板側からパネル1601に近づけると、バックライト1608からの光が、パネル1601を通過し、その一部が指1612において反射し、再びパネル1601に入射する。各色に対応する光源1607を順に点灯させ、色ごとに撮像データの取得を行うことで、被検出物である指1612のカラーの撮像データを得ることが出来る。
【0129】
本実施例は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例2】
【0130】
本発明の一態様に係る表示パネルは、高精度の撮像ができるという特徴を有している。よって、本発明の一態様に係る表示パネルを用いた電子機器は、表示パネルをその構成要素に追加することにより、より高機能のアプリケーションを搭載することができるようになる。本発明の表示パネルは、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る表示パネルを用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図10に示す。
【0131】
図10(A)は表示装置であり、筐体5001、表示部5002、支持台5003等を有する。本発明の一態様に係る表示パネルは、表示部5002に用いることができる。表示部5002に本発明の一態様に係る表示パネルを用いることで、高精度の撮像を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された表示装置を提供することができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0132】
図10(B)は携帯情報端末であり、筐体5101、表示部5102、スイッチ5103、操作キー5104、赤外線ポート5105等を有する。本発明の一態様に係る表示パネルは、表示部5102に用いることができる。表示部5102に本発明の一態様に係る表示パネルを用いることで、高精度の撮像を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された携帯情報端末を提供することができる。
【0133】
図10(C)は現金自動預け入れ払い機であり、筐体5201、表示部5202、硬貨投入口5203、紙幣投入口5204、カード投入口5205、通帳投入口5206等を有する。本発明の一態様に係る表示パネルは、表示部5202に用いることができる。表示部5202に本発明の一態様に係る表示パネルを用いることで、高精度の撮像を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された現金自動預け入れ払い機を提供することができる。そして、本発明の一態様に係る表示パネルを用いた現金自動預け入れ払い機は、指紋、顔、手形、掌紋及び手の静脈の形状、虹彩等の、生体認証に用いられる生体情報の読み取りを、より高精度で行うことが出来る。よって、生体認証における、本人であるにもかかわらず本人ではないと誤認識してしまう本人拒否率と、他人であるにもかかわらず本人と誤認識してしまう他人受入率とを、低く抑えることができる。
【0134】
図10(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体5301、筐体5302、表示部5303、表示部5304、マイクロホン5305、スピーカー5306、操作キー5307、スタイラス5308等を有する。本発明の一態様に係る表示パネルは、表示部5303または表示部5304に用いることができる。表示部5303または表示部5304に本発明の一態様に係る表示パネルを用いることで、高精度の撮像を行うことができ、より高機能のアプリケーションが搭載された携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図10(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5303と表示部5304とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0135】
本実施例は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0136】
100 表示パネル
101 画素回路
102 表示素子制御回路
103 フォトセンサ制御回路
104 画素
105 表示素子
106 フォトセンサ
107 表示素子駆動回路
108 表示素子駆動回路
109 フォトセンサ読み出し回路
110 フォトセンサ駆動回路
201 トランジスタ
202 保持容量
203 液晶素子
204 フォトダイオード
205 トランジスタ
206 トランジスタ
207 ゲート信号線
208 フォトダイオードリセット信号線
209 ゲート信号線
210 ビデオデータ信号線
211 フォトセンサ出力信号線
212 フォトセンサ基準信号線
213 ゲート信号線
300 フォトセンサ読み出し回路
301 p型トランジスタ
302 保持容量
303 プリチャージ信号線
401 信号
402 信号
403 信号
404 信号
405 信号
500 表示パネルシステム
501 制御回路
502 画像処理回路
503 記憶装置
601 信号
603 信号
604 信号
1001 基板
1002 フォトダイオード
1003 トランジスタ
1004 保持容量
1005 液晶素子
1006 半導体膜
1007 画素電極
1008 液晶
1009 対向電極
1010 導電膜
1011 配向膜
1012 配向膜
1013 基板
1014 カラーフィルタ
1015 遮蔽膜
1016 スペーサー
1017 偏光板
1018 偏光板
1019 導電膜
1020 矢印
1021 被検出物
1022 矢印
1601 パネル
1602 第1の拡散板
1603 プリズムシート
1604 第2の拡散板
1605 導光板
1606 反射板
1607 光源
1608 バックライト
1609 回路基板
1610 FPC
1611 FPC
1612 指
2015 遮蔽膜
2019 遮蔽膜
2001 画素
2002 画素
2003 画素
2015 遮蔽膜
2019 遮蔽膜
2020 矢印
2022 矢印
5001 筐体
5002 表示部
5003 支持台
5101 筐体
5102 表示部
5103 スイッチ
5104 操作キー
5105 赤外線ポート
5201 筐体
5202 表示部
5203 硬貨投入口
5204 紙幣投入口
5205 カード投入口
5206 通帳投入口
5301 筐体
5302 筐体
5303 表示部
5304 表示部
5305 マイクロホン
5306 スピーカー
5307 操作キー
5308 スタイラス
9696 表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトセンサが配置された入力部と、画像処理回路とを有し、
前記フォトセンサは、黒画像、及び被検出物の画像を撮像し、
前記画像処理回路は、前記黒画像の画像データX、及び前記被検出物の画像の画像データYを用いて、画像データ(Y−X)を有する画像を生成することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記フォトセンサのリセット動作を行う手段を有し、
前記黒画像は、前記リセット動作を行う際に撮像されることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
フォトセンサが配置された入力部と、画像処理回路とを有し、
前記フォトセンサは、白画像及び被検出物の画像を撮像し、
前記画像処理回路は、階調の最大値をMAXとし、前記白画像の画像データX、及び前記被検出物の画像の画像データYを用いて、画像データ(Y+(MAX−X))を有する画像を生成することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記フォトセンサのリセット動作を行う手段を有し、
前記白画像は、前記リセット動作を行う際に入力される信号に従い撮像されることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
フォトセンサが配置された入力部と、画像処理回路とを有し、
前記フォトセンサは、黒画像、白画像及び被検出物の画像を撮像し、
前記画像処理回路は、階調の最大値をMAXとし、前記黒画像の画像データX、前記白画像の画像データY、及び前記被検出物の画像の画像データZを用いて、画像データ(MAX×(Z−X)/(Y−X))を有する画像を生成することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記フォトセンサのリセット動作を行う手段を有し、
前記黒画像及び前記白画像は、前記リセット動作を行う際に撮像されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記フォトセンサにおいて撮像された各々の画像は、ノイズを有しており、
前記画像処理回路において生成された画像は、前記ノイズが除去されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記フォトセンサにおいて撮像された各々の画像を格納する記憶装置を有することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−123876(P2011−123876A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248162(P2010−248162)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】