説明

半導体装置

【課題】マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制させ、かつチップ面積の増大を抑制する。
【解決手段】ユニットフィンガーの並列接続からなるマルチフィンガー単位FETセルと、マルチフィンガー単位FETセルのゲートフィンガーを並列接続する指定ゲートバスラインと、指定ゲートバスラインに接続されたゲート引き出しラインとを備え、ゲート引き出しラインと指定ゲートバスラインの接続点をマルチフィンガー単位FETセル内の中心からずらすことによって、接続点の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数よりも多くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、窒化ガリウム(GaN: Gallium Nitride)系高電子移動度トランジスタ(HEMT: High Electron Mobility Transistor)が、実用化されている。
【0003】
従来のGaN系HEMTなどの高周波用半導体装置は、微小な電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)からなるFETセルを複数個並列に配置したマルチFETセル構成を備え、FETセル間のループ発振を抑制するために、各々のFETセルのゲート入力間に適切なセル間バランス抵抗を入れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3289464号公報
【特許文献2】特開平8−32376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、FETセル内ループ発振を抑制させた半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態に係る半導体装置は、マルチフィンガー単位FETセルと、指定ゲートバスラインと、ゲート引き出しラインとを備える。マルチフィンガー単位FETセルは、ユニットフィンガーの並列接続からなる。指定ゲートバスラインは、マルチフィンガー単位FETセルのゲートフィンガーを並列接続する。ゲート引き出しラインは、指定ゲートバスラインに接続される。ここで、ゲート引き出しラインと指定ゲートバスラインの接続点をマルチフィンガー単位FETセルの中心からずらすことによって、接続点の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数よりも多くなされている。
【0007】
ここで、また、マルチフィンガー単位FETセルのゲートフィンガーの束ね方若しくはソースフィンガーの束ね方を、ドレインフィンガーの束ね方に対して、ずらしている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)第1の実施の形態に係る半導体装置の模式的平面パターン構成の拡大図、(b)図1(a)のJ部分の拡大図。
【図2】第1の比較例に係る半導体装置の模式的平面パターン構成の拡大図。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の構造例1であって、図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の構造例2であって、図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構造図
【図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の構造例3であって、図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の構造例4であって、図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構造図。
【図7】(a)第1の実施の形態に係る半導体装置において、セル内ループ発振を説明する模式的回路構成図、(b)セル内ループ発振の抑制効果を説明する模式的回路構成図。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体装置を適用した半導体増幅器の模式的等価回路構成図。
【図9】(a)第1の実施の形態に係る半導体装置を適用した半導体増幅器において、セル内ループの入力側にサーキュレータを付加したセル内ループ利得計算用回路、(b)第1の実施の形態に係る半導体装置を適用した半導体増幅器において、セル内ループの出力側にサーキュレータを付加したセル内ループ利得計算用回路。
【図10】(a)第1の実施の形態に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルの模式的平面パターン構成図、(b)図10(a)のマルチフィンガー単位セルを1/2セルに分割した模式的平面パターン構成図、(c)図10(a)および図10(b)に対応する模式的等価回路構成図。
【図11】(a)第1の実施の形態に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルの2単位セル部分の模式的平面パターン構成図、(b)図11(a)に対応する模式的ループ等価回路構成図。
【図12】(a)第1の比較例に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルの模式的平面パターン構成図、(b)図12(a)のマルチフィンガー単位セルを1/2セルに分割した模式的平面パターン構成図、(c)図12(a)および図12(b)に対応する模式的等価回路構成図。
【図13】(a)第1の比較例に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルの2単位セル部分の模式的平面パターン構成図、(b)図13(a)に対応する模式的ループ等価回路構成図。
【図14】(a)第2の実施の形態に係る半導体装置の模式的平面パターン構成の拡大図、(b)図14(a)のJ部分の拡大図。
【図15】第2の実施の形態に係る半導体装置において、特定のFETセルFET(n)に着目して、セル内ループ発振の抑制効果を説明する模式的回路構成図。
【図16】第3の実施の形態に係る半導体装置の模式的平面パターン構成の拡大図。
【図17】第4の実施の形態に係る半導体装置の模式的平面パターン構成の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下において、同じ要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施の形態は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
[第1の実施の形態]
(平面パターン構成)
第1の実施の形態に係る半導体装置24の模式的平面パターン構成は、図1(a)に示すように表され、図1(a)のJ部分の拡大図は、図1(b)に示すように表される。
【0012】
第1の実施の形態に係る半導体装置24は、図1に示すように、ユニットフィンガーの並列接続からなるマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8と、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のゲートフィンガーを並列接続する指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8と、指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8に接続されたゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8とを備え、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8と指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8の接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8をマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8内の中心からずらすことによって、接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数よりも多くなされる。
【0013】
第1の実施の形態に係る半導体装置24は、図1に示すように、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8と指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8の接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8を、FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8内の中心からずらすことで、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8が、発振ループにとって負荷として見え、その結果、FETセル内発振の発振条件を満たさなくなり、セル内発振を抑制することができる。
【0014】
また、第1の実施の形態に係る半導体装置24において、複数のマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8は、図1に示すように、基板110と、基板110の第1表面に配置され,それぞれ複数のフィンガーを有するゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122と、基板110の第1表面に配置され,ゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122ごとに複数のフィンガーをそれぞれ束ねて形成したゲート端子電極G1,G2,…,G8、ソース端子電極S11,S12、S21,S22、S31,S32,…,S81,S82およびドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8とを備える。ゲート端子電極G1,G2,…,G8は、ボンディングワイヤなどで入力整合回路に接続され、また、ドレイン端子電極D1,D2,…,D8も、ボンディングワイヤなどで出力整合回路に接続される。
【0015】
また、第1の実施の形態に係る半導体装置24において、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8は、指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8とゲート端子電極G1、G2、G3、…、G8間を接続する。
【0016】
また、第1の実施の形態に係る半導体装置24において、図1に示すように、ソース端子電極S11,S12、S21,S22、S31,S32,…,S81,S82の下部に配置されたVIAホールSC11,SC12、SC21,SC22、SC31,SC32,…,SC81,SC82と、基板110の第1表面と反対側の第2表面に配置され、ソース端子電極S11,S12、S21,S22、S31,S32,…,S81,S82に対してVIAホールSC11,SC12、SC21,SC22、SC31,SC32,…,SC81,SC82を介して接続された接地電極(図示省略)とを備えていても良い。
【0017】
VIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC81,SC82の内壁に形成されたバリア金属層(図示省略)、およびバリア金属層上に形成され、VIAホールを充填する充填金属層(図示省略)を介して、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S81,S82は、接地電極に接続されている。
【0018】
また、第1の実施の形態に係る半導体装置24において、図1に示すように、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8は、並列接続されていても良い。
【0019】
さらに、また、第1の実施の形態に係る半導体装置24においては、図1に示すように、互いに隣接するマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の指定ゲートバスラインGBL1・GBL2間、GBL2・GBL3間、GBL3・GBL4間、…、GBL7・GBL8間に、セル間ループ発振を抑制するためのセル間バランス抵抗RG12、RG23、RG34、…、RG78をそれぞれ備えていても良い。
【0020】
(第1の比較例)
第1の比較例に係る半導体装置24aの模式的平面パターン構成は、図2に示すように表される。第1の比較例に係る半導体装置24aにおいては、各FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8を2分割し、2分割した1/2各FETセルのゲート入力間に、セル内バランス抵抗RG1、RG2、RG3、…、RG8を入れることで、セル内ループ発振を抑制することができる。しかしながら、この方法では、図2に示すように、セル内バランス抵抗RG1、RG2、RG3、…、RG8を配置するためのスペースを必要とし、半導体装置24aの面積が増大する。
【0021】
(素子構造)
第1の実施の形態に係る半導体装置24の素子構造であって、図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構造例1〜4は、それぞれ図3〜図6に示すように表される。
【0022】
第1の実施の形態に係る半導体装置24は、基板110と、基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上に配置されたソースフィンガー電極120、ゲートフィンガー電極124およびドレインフィンガー電極122とを備える。窒化物系化合物半導体層112とアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118との界面には、2次元電子ガス(2DEG:Two Dimensional Electron Gas)層116が形成されている。
【0023】
基板110は、SiC基板、GaAs基板、GaN基板、SiC基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、Si基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、SiC基板上にGaN/GaAlNからなるヘテロ接合エピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板若しくはダイヤモンド基板、半絶縁性基板のいずれかを備えていてもよい。
【0024】
―構造例1―
図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構成として、第1の実施の形態に係る半導体装置24のFETセルの構造例1は、図3に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上に配置されたソースフィンガー電極120、ゲートフィンガー電極124およびドレインフィンガー電極122とを備える。窒化物系化合物半導体層112とアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118との界面には、2次元電子ガス(2DEG)層116が形成されている。図3に示す第1の実施の形態に係る構造例1では、ヘテロ接合電界効果トランジスタ(HFET:Hetero-junction Field Effect Transistor)若しくは高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)が示されている。
【0025】
―構造例2―
図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構成として、第1の実施の形態に係る半導体装置24のFETセルの構造例2は、図4に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたソース領域126およびドレイン領域128と、ソース領域126上に配置されたソースフィンガー電極120、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたゲートフィンガー電極124およびドレイン領域128上に配置されたドレインフィンガー電極122とを備える。窒化物系化合物半導体層112とゲートフィンガー電極124との界面には、ショットキーコンタクト(Schottky Contact)が形成されている。図4に示す第1の実施の形態に係る構造例2では、金属−半導体電界効果トランジスタ(MESFET:Metal Semiconductor Field Effect Transistor)が示されている。
【0026】
―構造例3―
図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構成として、第1の実施の形態に係る半導体装置24のFETセルの構造例3は、図5に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上に配置されたソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上のリセス部に配置されたゲートフィンガー電極124とを備える。窒化物系化合物半導体層112とアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118との界面には、2DEG層116が形成されている。図5に示す第1の実施の形態に係る構造例3では、HFET若しくはHEMTが示されている。
【0027】
―構造例4―
図1(b)のI−I線に沿う模式的断面構成として、第1の実施の形態に係る半導体装置24のFETセルの構造例4は、図6に示すように、半絶縁性基板110と、半絶縁性基板110上に配置された窒化物系化合物半導体層112と、窒化物系化合物半導体層112上に配置されたアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上に配置されたソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122と、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118上の2段リセス部に配置されたゲートフィンガー電極124とを備える。窒化物系化合物半導体層112とアルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118との界面には、2DEG層116が形成されている。図6に示す第1の実施の形態に係る構造例4では、HFET若しくはHEMTが示されている。
【0028】
また、第1の実施の形態に係る上記の構造例1〜4においては、活性領域以外の窒化物系化合物半導体層112を電気的に不活性な素子分離領域として用いている。ここで、活性領域とは、ソースフィンガー電極120、ゲートフィンガー電極124およびドレインフィンガー電極122の直下の2DEG層116、ソースフィンガー電極120とゲートフィンガー電極124間およびドレインフィンガー電極122とゲートフィンガー電極124間の2DEG層116からなる。
【0029】
素子分離領域の他の形成方法としては、アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)118および窒化物系化合物半導体層112の深さ方向の一部まで、イオン注入により形成することもできる。イオン種としては、例えば、窒素(N)、アルゴン(Ar)などを適用することができる。また、イオン注入に伴うドーズ量は、例えば、約1×1014(ions/cm2)であり、加速エネルギーは、例えば、約100keV〜200keVである。
【0030】
素子分離領域上およびデバイス表面上には、パッシベーション用の絶縁層(図示省略)が形成されている。この絶縁層としては、例えば、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法によって堆積された窒化膜、アルミナ(Al23)膜、酸化膜(SiO2)、酸窒化膜(SiON)などで形成することができる。
【0031】
ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122は、例えば、Ti/Alなどで形成される。ゲートフィンガー電極124は、例えばNi/Auなどで形成することができる。
【0032】
なお、第1の実施の形態に係る半導体装置24において、ゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122の長手方向のパターン長は、マイクロ波/ミリ波/サブミリ波と動作周波数が高くなるにつれて、短く設定される。例えば、パターン長は、マイクロ波帯においては、約100μmであり、ミリ波帯においては、約25μm〜50μmである。
【0033】
また、ソースフィンガー電極120の幅は、例えば、約40μm程度であり、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102の幅は、例えば、約100μm程度である。また、ドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8の幅は、例えば、約100μm程度である。また、VIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC101,SC102の形成幅は、例えば、約10μm〜40μm程度である。
【0034】
(セル内ループ発振)
第1の実施の形態に係る半導体装置において、セル内ループ発振を説明する模式的回路構成は、図7(a)に示すように表され、セル内ループ発振の抑制効果を説明する模式的回路構成は、図7(b)に示すように表される。
【0035】
マルチフィンガー単位FETセルは、図7(a)および図7(b)に示すように、1/2FETセルA01・A02で表されている。図7(a)および図7(b)に示すように、セル内ループLP1は、対となる1/2FETセルA01・A02と、1/2FETセルA01・A02のゲートを接続する指定ゲートバスラインGBL1と、1/2FETセルA01・A02のドレインを接続する指定ドレインバスラインDBL1とを備える。
【0036】
図7(a)の例では、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CL上にゲート引き出しラインEBLG1およびドレイン引き出しラインEBLD1が配置され、中心線CLとセル内ループLP1との交差点Pは、ゲート引き出しラインEBLG1と指定ゲートバスラインGBL1との接続点Q1に一致している。
【0037】
一方、図7(b)の例では、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CL上にドレイン引き出しラインEBLD1が配置され、ゲート引き出しラインEBLG1と指定ゲートバスラインGBL1との接続点Q1は、セル内ループLP1上、中心線CLとセル内ループLP1との交差点Pから1/2FETセルA01方向にずらした位置に配置されている。
【0038】
図7(a)の例では、セル内ループLP1は、発振ループを構成し、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CLとセル内ループLP1との交差点P上では定在波の節となり、その交差点Pから見た外側は全反射と見えるので、その交差点Pに接続されたゲート引き出しラインEBLG1は、セル内ループ発振にとって負荷とはならない。すなわち、セル内ループ発振が発生する。
【0039】
一方、図7(b)に示すように、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CLとセル内ループLP1との交差点Pから外れた接続点Q1に接続されたゲート引き出しラインEBLG1は、セル内ループ発振にとって負荷となるため、発振条件を満たさなくなり、セル内ループ発振は抑制される。
【0040】
(半導体増幅器の回路構成)
第1の実施の形態に係る半導体装置を適用した半導体増幅器の模式的等価回路構成は、図8に示すように表される。図8において、Qa、Qbは、ソース接地の1/2FETセルを表し、ゲート端子電極G、ドレイン端子電極D、ソース端子電極Sを有する。1/2FETセルQa・Qbは、マルチフィンガー単位FETセルを2分割したセルに相当し、図7(a)および図7(b)における1/2FETセルA01・A02に対応している。また、図8において、202は増幅器の入力端子、203は増幅器の出力端子、210は入力整合回路、211は出力整合回路を示す。
【0041】
204・205・206・207・208・209は伝送線路であり、伝送線路205・206・207・208とボンディングワイヤ218とソース接地の1/2FETセルQa又はQbがこの順に接続して構成された増幅回路が、2組分伝送線路204と209の間に並列に接続される。すなわち、入力端子202に接続された伝送線路204から伝送線路がA点で2分岐して2組の直列に接続された伝送線路205・206がボンディングワイヤ218を介して1/2FETセルQa又はQbのゲート端子電極Gに直列に接続され、1/2FETセルQa又はQbのドレイン端子電極Dからは、再びボンディングワイヤ218を介して直列に伝送線路207・208が接続され、2組の伝送線路208の他端は、B点で伝送線路209の一端に共通に接続され、伝送線路209の他端が、出力端子203に接続される。上記の伝送線路204・205・206で入力整合回路210を、伝送線路207・208・209で出力整合回路211をそれぞれ構成している。
【0042】
伝送線路205・206・207・208および並列に動作する1/2FETセルQa・Qbとで、増幅器内にセル内ループ回路212が構成される。213は等価抵抗回路であり、接続用伝送線路214とセル内バランス等価抵抗215とで構成され、上記セル内ループ回路212の入力整合回路内の対向する所定の位置に接続される。
【0043】
次に動作について説明する。図8において、基本波すなわち、周波数f0の信号成分は、入力端子202から入力され、A点で分配されて並列に接続された1/2FETセルQa・Qbにそれぞれ入力される。1/2FETセルQa・Qbで増幅された信号は、B点で合成され、出力端子203から出力される。
【0044】
第1の実施の形態に係る半導体装置を適用した半導体増幅器において、セル内ループ回路212の入力側にサーキュレータを付加したセル内ループ利得計算用回路は、図9(a)に示すように表され、セル内ループ回路212の出力側にサーキュレータを付加したセル内ループ利得計算用回路は、図9(b)に示すように表される。
【0045】
ここで、セル内ループ発振条件は、図9(a)および図9(b)に示すセル内ループ回路212で、式(1)、(2)で表される。
【0046】
|B1/A1|≧1かつ∠(B1/A1)=2nπ …(1)
|B2/A2|≧1かつ∠(B2/A2)=2mπ …(2)
但し、m、nは整数。
【0047】
ここで、A1とB1は、机上計算用として、それぞれ図9(a)に示したセル内ループ回路212の入力側に仮に理想サーキュレータ220を付加した場合の入力側における入力進行波とセル内ループ回路212からの出力進行波を示す。A2とB2は、それぞれ図9(b)に示したセル内ループ回路212の出力側に仮に理想サーキュレータ220を付加した場合の出力側における入力進行波とセル内ループ回路212からの出力進行波を示す。
【0048】
発振が生じるには、∠(B1/A1)=2nπが成立することが必要である。この状態は、A−B間で定在波が立っている状態に対応する。A点、B点では、出力進行波B1と入力進行波A1が打ち消し合って、電圧振幅がない、つまりは定在波の節の位置となる。定在波の節は、電圧0Vの位置であり、電圧0Vの位置は、接地されている状態と等価となる。
【0049】
従って、図7(a)において説明したように、定在波の節、すなわち接地と等価な位置に接続されたゲート引き出しラインEBLG1からなる伝送線路は、このセル内ループLP1で発振を生じている周波数成分にとって、負荷としては見えない。
【0050】
一方、セル内ループ上、節となる位置以外では、電圧が発生している。従って、図7(b)において説明したように、節以外に接続されたゲート引き出しラインEBLG1からなる伝送線路は、このセル内ループで発振を生じていた周波数成分にとって、負荷として見え、位相が変化する。この結果、∠(B1/A1)=2nπが成立しなくなる。すなわち、発振条件を満足しなくなり、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制することができる。
【0051】
第1の実施の形態に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位FETセル内ループ発振の抑制効果を生じる程度のセル内バランス等価抵抗215の値は、ゲート引き出しラインEBLG1からなる伝送線路のインピーダンスと同程度であり、したがって、第1の実施の形態に係る半導体装置においては、図2に示した第1の比較例のように、セル内バランス抵抗RG1を配置すること無く、ループ発振を抑制することができ、しかも面積を増大することも無い。
【0052】
(セル構成)
―単位セル構成―
第1の実施の形態に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルFET1の模式的平面パターン構成は、図10(a)に示すように表され、図10(a)のマルチフィンガー単位セルを1/2FETセルA11・A12に分割した模式的平面パターン構成は、図10(b)に示すように表され、図10(a)および図10(b)に対応する模式的等価回路構成は、図10(c)に示すように表される。図10(a)は、図1のマルチフィンガー単位セルFET1部分に対応している。図10(a)において、指定ゲートバスラインGBL1とゲート引き出しラインEBL1は、接続点Q1において接続される。図10(a)に示されたマルチフィンガー単位セルFET1では、接続点Q1の左側に接続されたゲートフィンガー数が、右側に接続されたゲートフィンガー数よりも少なく構成されている。
【0053】
図10(a)のマルチフィンガー単位セルを1/2セルに分割した模式的平面パターン構成は、図10(b)に示すように、指定ゲートバスラインGBL1とゲート引き出しラインEBL1が、セル内ループと中心線CLの交差点Pを外れた接続点Q1において接続されているため、左側の指定ゲートバスラインGBL11にゲート引き出しラインEBL1およびゲート端子電極G1が接続される。このため、図10(c)に示すように、ゲート引き出しラインEBL1およびゲート端子電極G1に相当するインピーダンスが、 1/2FETセルA11の入力となる接続点Q1に接続される。
【0054】
図10(a)〜図10(c)に示すように、第1の実施の形態に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルFET1の構成上、接続点Q1は、セル内ループ上、節とはならないため、電圧が発生している。従って、節以外に接続されたゲート引き出しラインEBL1からなる伝送線路は、このセル内ループで発振を生じていた周波数成分にとって、負荷として見え、位相が変化する。この結果、∠(B1/A1)=2nπが成立しなくなる。すなわち、発振条件を満足しなくなり、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制することができる。
【0055】
―2単位セル構成―
第1の実施の形態に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルの2単位セル部分の模式的平面パターン構成は、図11(a)に示すように表され、図11(a)に対応する模式的ループ等価回路構成は、図11(b)に示すように表される。図11(a)は、図1のマルチフィンガー単位セルFET1・FET2からなる2単位セルに対応している。図11(a)において、指定ゲートバスラインGBL1とゲート引き出しラインEBL1は、接続点Q1において接続される。図11(a)に示されたマルチフィンガー単位セルFET1では、接続点Q1の左側に接続されたゲートフィンガー数が、右側に接続されたゲートフィンガー数よりも少なく構成されている。同様に、指定ゲートバスラインGBL2とゲート引き出しラインEBL2は、接続点Q2において接続される。マルチフィンガー単位セルFET2では、接続点Q2の左側に接続されたゲートフィンガー数が、右側に接続されたゲートフィンガー数よりも少なく構成されている。
【0056】
また、接続点Q1の左右の指定ゲートバスラインをGBL11・GBL12、接続点Q2の左右の指定ゲートバスラインをGBL21・GBL22で表示している。
【0057】
図11(b)に示すように、マルチフィンガー単位セルFET1・FET2の構成上、接続点Q1・Q2は、セル内ループLP1上、中心線CLとセル内ループLP1との交差点P1・P2から1/2FETセルA11・A21方向にずらした位置に配置されている。このため、接続点Q1・Q2は、定在波の節とはならないため、接続点Q1・Q2において電圧が発生している。従って、節以外に接続されたゲート引き出しラインEBLG(EBL1・EBL2)からなる伝送線路は、このセル内ループで発振を生じていた周波数成分にとって、負荷として見え、位相が変化する。この結果、∠(B1/A1)=2nπが成立しなくなる。すなわち、発振条件を満足しなくなり、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制することができる。
【0058】
さらに、図11(a)および図11(b)から明らかなように、指定ゲートバスラインGBL12およびGBL21間には、セル間バランス抵抗RG12が接続されており、セル間ループ発振を抑制することもできる。
【0059】
(第1の比較例)
―単位セル構成―
第1の比較例に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルの模式的平面パターン構成は、図12(a)に示すように表され、図12(a)のマルチフィンガー単位セルを1/2セルに分割した模式的平面パターン構成は、図12(b)に示すように表され、図12(a)および図12(b)に対応する模式的等価回路構成は、図12(c)に示すように表される。図12(a)は、図2の第1の比較例に係る半導体装置のマルチフィンガー単位セルFET1部分に対応している。
【0060】
第1の比較例に係る半導体装置においては、FETセルFET1を2分割し、2分割した1/2各FETセルのゲート入力間に、セル内バランス抵抗RG1を入れることで、セル内ループ発振を抑制することができる。
【0061】
図12(a)において、指定ゲートバスラインGBL11・GBL12とゲート引き出しラインEBL1は、接続点Q1・Q1において接続される。
【0062】
図12(a)のマルチフィンガー単位セルを1/2セルに分割した模式的平面パターン構成においては、図12(b)に示すように、ゲート引き出しラインEBL1がゲート引き出しラインEBL11・EBL12に分割され、ゲート端子電極G1が、ゲート端子電極G11・G12に分割される。また、指定ゲートバスラインGBL11・GBL12とゲート引き出しラインEBL11・EBL12が、接続点Q1・Q1において接続されている。このため、図12(c)に示すように、ゲート引き出しラインEBL11およびゲート端子電極G11に相当するインピーダンスが、1/2FETセルA11の入力となる接続点Q11に接続され、ゲート引き出しラインEBL12およびゲート端子電極G12に相当するインピーダンスが、1/2FETセルA12の入力となる接続点Q12に接続される。
【0063】
図12(a)〜図12(c)に示すように、比較例に係る半導体装置において、セル内バランス抵抗RG1によって、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制することができる。しかしながら、この方法では、図12(a)に示すように、セル内バランス抵抗RG1を配置するためのスペースを必要とし、FETセルFET1の面積が増大する。
【0064】
―2単位セル構成―
第1の比較例に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位セルの2単位セル部分の模式的平面パターン構成は、図13(a)に示すように表され、図13(a)に対応する模式的ループ等価回路構成は、図13(b)に示すように表される。図13(a)は、図2のマルチフィンガー単位セルFET1・FET2からなる2単位セルに対応している。図13(a)において、指定ゲートバスラインGBL11・GBL12とゲート引き出しラインEBL1は、接続点Q1・Q1において接続される。同様に、指定ゲートバスラインGBL21・GBL22とゲート引き出しラインEBL2は、接続点Q2・Q2において接続される。
【0065】
図13(b)に示すように、マルチフィンガー単位セルFET1・FET2の構成上、接続点Q1・Q2は、例えば、セル内ループLP1上、中心線CLとセル内ループLP1との交差点にほぼ一致して配置されている。このため、接続点Q1・Q2は、実質的に、定在波の節となる。しかしながら、指定ゲートバスラインGBL11・GBL12間には、セル内バランス抵抗RG1を入れることで、セル内ループ発振は、抑制することができる。同様に、指定ゲートバスラインGBL21・GBL22間には、セル内バランス抵抗RG2を入れることで、セル内ループ発振は、抑制することができる。
【0066】
さらに、図13(a)および図13(b)から明らかなように、指定ゲートバスラインGBL12およびGBL21間には、セル間バランス抵抗RG12が接続されており、セル間ループ発振を抑制することもできるが、セル内バランス抵抗RG1・RG2を配置するためのスペースを必要とし、FETセルFET1・FET2の面積が増大する。
【0067】
第1の実施の形態に係る半導体装置によれば、主に、マイクロ波帯の高周波用半導体装置において、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制させ、かつチップ面積の増大を抑制することができる。
【0068】
[第2の実施の形態]
(平面パターン構成)
第2の実施の形態に係る半導体装置24の模式的平面パターン構成は、図14(a)に示すように表され、図14(a)のJ部分の拡大図は、図14(b)に示すように表される。
【0069】
第2の実施の形態に係る半導体装置24は、図14に示すように、ユニットフィンガーの並列接続からなるマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8と、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のゲートフィンガーを並列接続する指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8と、指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8に接続されたゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8とを備え、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のゲートフィンガーの束ね方を、ドレインフィンガーの束ね方に対して、ずらしている。
【0070】
ここで、指定ゲートバスラインGBL1は、指定ゲートバスラインGBL11・GBL12の結合で表され、指定ゲートバスラインGBL2は、指定ゲートバスラインGBL21・GBL22の結合で表され、指定ゲートバスラインGBL3は、指定ゲートバスラインGBL3・GBL32の結合で表され、…、指定ゲートバスラインGBL8は、指定ゲートバスラインGBL81・GBL82の結合で表されている。
【0071】
また、第2の実施の形態に係る半導体装置24においては、図14に示すように、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8と指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8の接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8をマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の中心からずらし、接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数よりも多くなされている。
【0072】
第2の実施の形態に係る半導体装置24においては、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の中心線とセル内ループとの交差点から外れた接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8にゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8が接続されるため、セル内ループ発振にとって、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8が負荷となり、発振条件を満たさなくなり、セル内ループ発振は抑制される。
【0073】
また、第2の実施の形態に係る半導体装置24において、複数のマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8は、図14に示すように、基板110と、基板110の第1表面に配置され,それぞれ複数のフィンガーを有するゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122と、基板110の第1表面に配置され,ゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122ごとに複数のフィンガーをそれぞれ束ねて形成したゲート端子電極G1,G2,…,G8、ソース端子電極S11,S12、S21,S22、S31,S32,…,S81,S82およびドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8とを備える。ゲート端子電極G1,G2,…,G8は、ボンディングワイヤなどで入力整合回路に接続され、また、ドレイン端子電極D1,D2,…,D8も、ボンディングワイヤなどで出力整合回路に接続される。
【0074】
また、第2の実施の形態に係る半導体装置24において、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8は、指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8とゲート端子電極G1、G2、G3、…、G8間を接続する。
【0075】
また、第2の実施の形態に係る半導体装置24において、図14に示すように、ソース端子電極S11,S12、S21,S22、S31,S32,…,S81,S82の下部に配置されたVIAホールSC11,SC12、SC21,SC22、SC31,SC32,…,SC81,SC82と、基板110の第1表面と反対側の第2表面に配置され、ソース端子電極S11,S12、S21,S22、S31,S32,…,S81,S82に対してVIAホールSC11,SC12、SC21,SC22、SC31,SC32,…,SC81,SC82を介して接続された接地電極(図示省略)とを備えていても良い。
【0076】
VIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC81,SC82の内壁に形成されたバリア金属層(図示省略)、およびバリア金属層上に形成され、VIAホールを充填する充填金属層(図示省略)を介して、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S81,S82は、接地電極に接続されている。
【0077】
また、第2の実施の形態に係る半導体装置24において、図14に示すように、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8は、並列接続されていても良い。
【0078】
さらに、また、第2の実施の形態に係る半導体装置24においては、図14に示すように、互いに隣接するマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の指定ゲートバスラインGBL12・GBL21間、GBL22・GBL31間、GBL32・GBL41間、…、GBL72・GBL81間に、セル間ループ発振を抑制するためのセル間バランス抵抗RG12、RG23、RG34、…、RG78をそれぞれ備えていても良い。
【0079】
なお、第2の実施の形態に係る半導体装置24において、ゲートフィンガー電極124、ソースフィンガー電極120およびドレインフィンガー電極122の長手方向のパターン幅W1の値は、マイクロ波/ミリ波/サブミリ波と動作周波数が高くなるにつれて、短く設定される。例えば、パターン幅W1の値は、マイクロ波帯においては、約100μmであり、ミリ波帯においては、約25μm〜50μmである。
【0080】
また、ソースフィンガー電極120の幅は、例えば、約40μm程度であり、ソース端子電極S11,S12,S21,S22,…,S101,S102のパターン幅W2は、例えば、約100μm程度である。また、ドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8のパターン長L1は、例えば、約100μm程度である。また、VIAホールSC11,SC12,SC21,SC22,…,SC101,SC102の形成幅は、例えば、約10μm〜40μm程度である。
【0081】
(第2の比較例)
第2の比較例に係る半導体装置24aの模式的平面パターン構成は、図2に示すように表される。第2の比較例に係る半導体装置24aにおいては、各FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8を均等に2分割し、2分割した1/2各FETセルのゲート入力間に、セル内バランス抵抗RG1、RG2、RG3、…、RG8を入れることで、セル内ループ発振を抑制することができる。具体的には、セル内バランス抵抗RG1、RG2、RG3、…、RG8を、それぞれ指定ゲートバスラインGBL11・GBL12間、GBL21・GBL22間、GBL31・GBL32間、…、GBL81・GBL82間に配置している。しかしながら、この方法では、図2に示すように、セル内バランス抵抗RG1、RG2、RG3、…、RG8を配置するためのスペースを必要とし、半導体装置24aの面積が増大する。
【0082】
(素子構造)
第2の実施の形態に係る半導体装置24の素子構造であって、図14(b)のI−I線に沿う模式的断面構造例1〜4は、それぞれ第1の実施の形態に係る半導体装置24の素子構造と同様に、図3〜図6に示すように表される。以下、第1の実施の形態に係る半導体装置24の素子構造と重複する説明は省略する。
【0083】
(セル内ループ発振)
第2の実施の形態に係る半導体装置において、セル内ループ発振を説明する模式的回路構成は、図7(a)に示すように表され、セル内ループ発振の抑制効果を説明する模式的回路構成は、図7(b)に示すように表される。
【0084】
マルチフィンガー単位FETセルは、図7(a)および図7(b)に示すように、1/2FETセルA01・A02で表されている。図7(a)および図7(b)に示すように、セル内ループLP1は、対となる1/2FETセルA01・A02と、1/2FETセルA01・A02のゲートを接続する指定ゲートバスラインGBL1と、1/2FETセルA01・A02のドレインを接続する指定ドレインバスラインDBL1とを備える。
【0085】
図7(a)の例では、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CL上にゲート引き出しラインEBLG1およびドレイン引き出しラインEBLD1が配置され、中心線CLとセル内ループLP1との交差点Pは、ゲート引き出しラインEBLG1と指定ゲートバスラインGBL1との接続点Q1に一致している。
【0086】
一方、図7(b)の例では、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CL上にドレイン引き出しラインEBLD1が配置され、ゲート引き出しラインEBLG1と指定ゲートバスラインGBL1との接続点Q1は、セル内ループLP1上、中心線CLとセル内ループLP1との交差点Pから1/2FETセルA01方向にずらした位置に配置されている。
【0087】
図7(a)の例では、セル内ループLP1は、発振ループを構成し、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CLとセル内ループLP1との交差点P上では定在波の節となり、その交差点Pから見た外側は全反射と見えるので、その交差点Pに接続されたゲート引き出しラインEBLG1ラインは、セル内ループ発振にとって負荷とはならない。すなわち、セル内ループ発振が発生する。
【0088】
一方、図7(b)に示すように、1/2FETセルA01・A02からなるセル内ループLP1の中心線CLとセル内ループLP1との交差点Pから外れた接続点Q1に接続されたゲート引き出しラインEBLG1は、セル内ループ発振にとって負荷となるため、発振条件を満たさなくなり、セル内ループ発振は抑制される。
【0089】
(半導体増幅器の回路構成)
第2の実施の形態に係る半導体装置を適用した半導体増幅器の模式的等価回路構成は、図8に示すように表される。図8において、Qa、Qbは、ソース接地の1/2FETセルを表し、ゲート端子電極G、ドレイン端子電極D、ソース端子電極Sを有する。1/2FETセルQa・Qbは、マルチフィンガー単位FETセルを2分割したセルに相当し、図7(a)および図7(b)における1/2FETセルA01・A02に対応している。また、図8において、202は増幅器の入力端子、203は増幅器の出力端子、210は入力整合回路、211は出力整合回路を示す。
【0090】
204・205・206・207・208・209は伝送線路であり、伝送線路205・206・207・208とボンディングワイヤ218とソース接地の1/2FETセルQa又はQbがこの順に接続して構成された増幅回路が、2組分伝送線路204と209の間に並列に接続される。すなわち、入力端子202に接続された伝送線路204から伝送線路がA点で2分岐して2組の直列に接続された伝送線路205・206がボンディングワイヤ218を介して1/2FETセルQa又はQbのゲート端子電極Gに直列に接続され、1/2FETセルQa又はQbのドレイン端子電極Dからは、再びボンディングワイヤ218を介して直列に伝送線路207・208が接続され、2組の伝送線路208の他端は、B点で伝送線路209の一端に共通に接続され、伝送線路209の他端が、出力端子203に接続される。上記の伝送線路204・205・206で入力整合回路210を、伝送線路207・208・209で出力整合回路211をそれぞれ構成している。
【0091】
伝送線路205・206・207・208および並列に動作する1/2FETセルQa・Qbとで、増幅器内にセル内ループ回路212が構成される。213は等価抵抗回路であり、接続用伝送線路214とセル内バランス等価抵抗215とで構成され、上記セル内ループ回路212の入力整合回路内の対向する所定の位置に接続される。
【0092】
次に動作について説明する。図8において、基本波すなわち、周波数f0の信号成分は、入力端子202から入力され、A点で分配されて並列に接続された1/2FETセルQa・Qbにそれぞれ入力される。1/2FETセルQa・Qbで増幅された信号は、B点で合成され、出力端子203から出力される。
【0093】
実施の形態に係る半導体装置を適用した半導体増幅器において、セル内ループ回路212の入力側にサーキュレータを付加したセル内ループ利得計算用回路は、図9(a)に示すように表され、セル内ループ回路212の出力側にサーキュレータを付加したセル内ループ利得計算用回路は、図9(b)に示すように表される。
【0094】
ここで、セル内ループ発振条件は、図9(a)および図9(b)に示すセル内ループ回路212で、式(1)、(2)で表される。
【0095】
|B1/A1|≧1かつ∠(B1/A1)=2nπ …(1)
|B2/A2|≧1かつ∠(B2/A2)=2mπ …(2)
但し、m、nは整数。
【0096】
ここで、A1とB1は、机上計算用として、それぞれ図9(a)に示したセル内ループ回路212の入力側に仮に理想サーキュレータ220を付加した場合の入力側における入力進行波とセル内ループ回路212からの出力進行波を示す。A2とB2は、それぞれ図9(b)に示したセル内ループ回路212の出力側に仮に理想サーキュレータ220を付加した場合の出力側における入力進行波とセル内ループ回路212からの出力進行波を示す。
【0097】
発振が生じるには、∠(B1/A1)=2nπが成立することが必要である。この状態は、A−B間で定在波が立っている状態に対応する。A点、B点では、出力進行波B1と入力進行波A1が打ち消し合って、電圧振幅がない、つまりは定在波の節の位置となる。定在波の節は、電圧0Vの位置であり、電圧0Vの位置は、接地されている状態と等価となる。
【0098】
従って、図7(a)において説明したように、定在波の節、すなわち接地されている位置に接続されたゲート引き出しラインEBLG1からなる伝送線路は、このセル内ループLP1で発振を生じている周波数成分にとって、負荷としては見えない。
【0099】
一方、セル内ループ上、節となる位置以外では、電圧が発生している。従って、図7(b)において説明したように、節以外に接続されたゲート引き出しラインEBLG1からなる伝送線路は、このセル内ループで発振を生じていた周波数成分にとって、負荷として見え、位相が変化する。この結果、∠(B1/A1)=2nπが成立しなくなる。すなわち、発振条件を満足しなくなり、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制することができる。
【0100】
第2の実施の形態に係る半導体装置において、マルチフィンガー単位FETセル内ループ発振の抑制効果を生じる程度のセル内バランス等価抵抗215の値は、ゲート引き出しラインEBLG1からなる伝送線路のインピーダンスと同程度であり、したがって、実施の形態に係る半導体装置においては、図2に示した第2の比較例のように、セル内バランス抵抗RG1を配置すること無く、ループ発振を抑制することができ、しかも面積を増大することも無い。
【0101】
第2の実施の形態に係る半導体装置において、特定のFETセルFET(n)に着目して、セル内ループ発振の抑制効果を説明する模式的回路構成は、図15に示すように表される。
【0102】
ドレイン端子電極Dnに接続されるドレインフィンガーの束に着目すると、このドレインフィンガーの束の中で構成可能なセル内ループ(閉ループ)は、LPnで表される。このため、ゲート端子電極Gnに接続されたゲート引き出しラインEBLnと指定ゲートバスラインGBLnとの接続点Qnは、中心線CLを外れ、セル内ループ発振の定在波の節からずれている。したがって、中心線CLを外れた接続点Qnに接続された指定ゲートバスラインGBLnは、セル内ループ発振周波数成分にとって負荷となるため、発振条件を満たさなくなり、セル内ループ発振は抑制される。
【0103】
第2の実施の形態に係る半導体装置によれば、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のゲートフィンガーの束ね方を、ドレインフィンガーの束ね方に対してずらしているが、この構成は、ドレイン端子電極がD1、D2,D3,…、D8と分割されていることによって、実現可能な構成である。もしも、ドレイン端子電極が共通電極として配置される構成では、ゲートフィンガーの束ね方を、ドレインフィンガーの束ね方に対してずらしても、ゲート引き出しラインEBLnと指定ゲートバスラインGBLnとの接続点Qnは、セル内ループ発振の定在波の節となり、指定ゲートバスラインGBLnは、セル内ループ発振周波数成分にとって負荷とはならず、発振条件を満足するからである。
【0104】
第2の実施の形態に係る半導体装置によれば、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制させ、かつチップ面積の増大を抑制することができる。
【0105】
[第3の実施の形態]
(平面パターン構成)
第3の実施の形態に係る半導体装置24の模式的平面パターン構成は、図16に示すように表される。
【0106】
第3の実施の形態に係る半導体装置24においては、ユニットフィンガーの並列接続からなるマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8と、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のゲートフィンガーを並列接続する指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8と、指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8に接続されたゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8とを備え、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のソースフィンガーの束ね方を、ドレインフィンガーの束ね方に対してずらしている。ここで、指定ゲートバスラインGBL1は、指定ゲートバスラインGBL11・GBL12の結合で表され、指定ゲートバスラインGBL2は、指定ゲートバスラインGBL21・GBL22の結合で表され、指定ゲートバスラインGBL3は、指定ゲートバスラインGBL31・GBL32の結合で表され、…、指定ゲートバスラインGBL8は、指定ゲートバスラインGBL81・GBL82の結合で表されている。
【0107】
また、第3の実施の形態に係る半導体装置24においては、図16に示すように、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8と指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8の接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8をマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の中心からずらし、接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数よりも多くなされている。
【0108】
第3の実施の形態に係る半導体装置24においては、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の中心線とセル内ループとの交差点から外れた接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8にゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8が接続されるため、セル内ループ発振にとって、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8が負荷となり、発振条件を満たさなくなり、セル内ループ発振は抑制される。
【0109】
尚、第3の実施の形態に係る半導体装置24においても、基本的な素子構成は、第2の実施の形態と同様であり、例えば、図3〜図6に示された第2の実施の形態に係る構成例1〜4を適用可能である。その他の構成は、第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0110】
第3の実施の形態に係る半導体装置においては、図16に示すように、ドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8が分割された構成を有するが、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のソースフィンガーの束ね方を、ドレインフィンガーの束ね方に対して、ずらしているため、ドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8を共通電極として構成しても良い。ドレイン端子電極が共通電極として配置される構成では、ソースフィンガーの束ね方を、ドレインフィンガーの束ね方に対してずらすことで、ゲート引き出しラインEBLnと指定ゲートバスラインGBLnとの接続点Qnは、セル内ループ発振の定在波の節から外れ、指定ゲートバスラインGBLnは、セル内ループ発振周波数成分にとって負荷となるため、発振条件を満たさなくなり、セル内ループ発振は抑制される。
【0111】
第3の実施の形態に係る半導体装置によれば、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制させ、かつチップ面積の増大を抑制することができる。
【0112】
[第4の実施の形態]
(平面パターン構成)
第4の実施の形態に係る半導体装置の模式的平面パターン構成は、図17に示すように表される。
【0113】
第4の実施の形態に係る半導体装置24においては、第3の実施の形態と同様に、ユニットフィンガーの並列接続からなるマルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8と、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のゲートフィンガーを並列接続する指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8と、指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8に接続されたゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8とを備え、マルチフィンガー単位FETセルのソースフィンガーの束ね方を前記ゲートフィンガーの束ね方に対してずらしている。ここで、指定ゲートバスラインGBL1は、指定ゲートバスラインGBL11・GBL12の結合で表され、指定ゲートバスラインGBL2は、指定ゲートバスラインGBL21・GBL22の結合で表され、指定ゲートバスラインGBL3は、指定ゲートバスラインGBL3・GBL32の結合で表され、…、指定ゲートバスラインGBL8は、指定ゲートバスラインGBL81・GBL82の結合で表されている。
【0114】
また、第4の実施の形態に係る半導体装置24においては、図17に示すように、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8と指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8の接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8を、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の中心にそれぞれ配置し、接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数と等しい。このため、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の各セルにおいて、ゲート端子電極G1,G2,…,G8の接続されたゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8を介して、指定ゲートバスラインGBL1、GBL2、GBL3、…、GBL8へのゲート給電を均等にすることができる。
【0115】
第4の実施の形態に係る半導体装置24においては、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8の中心線とセル内ループとの交差点から外れた接続点Q1、Q2、Q3、…、Q8にゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8が接続されるため、セル内ループ発振にとって、ゲート引き出しラインEBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8が負荷となり、発振条件を満たさなくなり、セル内ループ発振は抑制される。
【0116】
尚、第4の実施の形態に係る半導体装置24においても、基本的な素子構成は、第2の実施の形態と同様であり、例えば、図3〜図6に示された第2の実施の形態に係る構成例1〜4を適用可能である。その他の構成は、第3の実施の形態と同様であるため、重複説明は、省略する。
【0117】
第4の実施の形態に係る半導体装置においては、図17に示すように、ドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8が分割された構成を有するが、マルチフィンガー単位FETセルFET1、FET2、FET3、…、FET8のソースフィンガーの束ね方を、ゲートフィンガーの束ね方に対して、ずらしているため、ドレイン端子電極D1、D2、D3、…、D8を共通電極として構成しても良い。
【0118】
第4の実施の形態に係る半導体装置によれば、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制させ、かつチップ面積の増大を抑制することができる。
【0119】
本実施の形態に係る半導体装置によれば、主に、マイクロ波帯の高周波用半導体装置において、マルチフィンガーFETセル内のループ発振を抑制させ、かつチップ面積の増大を抑制することができる。
【0120】
[その他の実施の形態]
実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0121】
なお、実施の形態に係る半導体装置の基本素子としては、FET、HEMTに限らず、LDMOS(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)やヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Hetero-junction Bipolar Transistor)などの増幅素子、メムス(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)素子なども適用できることは言うまでもない。
【0122】
このように、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【符号の説明】
【0123】
24、24a…半導体装置
110…基板
112…窒化物系化合物半導体層(GaNエピタキシャル成長層)
116…2次元電子ガス(2DEG)層
118…アルミニウム窒化ガリウム層(AlxGa1-xN)(0.1≦x≦1)
120…ソースフィンガー電極
122…ドレインフィンガー電極
124…ゲートフィンガー電極
126…ソース領域
128…ドレイン領域
202…入力端子
203…出力端子
204、205、206、207、208、209…伝送線路
210…入力整合回路
211…出力整合回路
212…セル内ループ回路
213…等価抵抗回路
214…接続用伝送線路
215…セル内バランス等価抵抗
220…理想サーキュレータ
FET1、FET2、FET3、…、FET8、FET(n−1)、FET(n)、FET(n+1)…マルチフィンガー単位FETセル
Qa、Qb…1/2FETセル
A、B…接続点
A1、A2…入力進行波
B1、B2…出力進行波
G,G1,G2,…,G8、Gn…ゲート端子電極
S,S11,S12,…,S81,S82、Sn1、Sn2、S(n+1)1…ソース端子電極
D,D1,D2,…,D8、Dn…ドレイン端子電極
SC11,SC12,…,SC81,SC82、SCn1、SCn2、SC(n+1)1…VIAホール
RG1、RG2、RG3、…、RG8…セル内バランス抵抗
RG12、RG23、RG34、…、RG78…セル間バランス抵抗
GBL1(GBL11、GBL12)、GBL2(GBL21、GBL22)、GBL3(GBL3、GBL32)、…、GBL8(GBL81、GBL82)…指定ゲートバスライン
DBL1、DBL2…指定ドレインバスライン
EBLG、EBLG1、EBL1、EBL2、EBL3、…、EBL8…ゲート引き出しライン
EBLD、EBLD1…ドレイン引き出しライン
LP1、LP(n)…セル内ループ
A01、A02…1/2単位FETセル
CL…中心線
Q1、Q2、Q3、…、Q8、Q11、Q12、Qn…接続点
P…交差点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットフィンガーの並列接続からなるマルチフィンガー単位FETセルと、
前記マルチフィンガー単位FETセルのゲートフィンガーを並列接続する指定ゲートバスラインと、
前記指定ゲートバスラインに接続されたゲート引き出しラインと
を備え、前記ゲート引き出しラインと前記指定ゲートバスラインの接続点を前記マルチフィンガー単位FETセルの中心からずらすことによって、前記接続点の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数よりも多いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記マルチフィンガー単位FETセルは、
基板と、
前記基板の第1表面に配置され,それぞれ複数のフィンガーを有するゲートフィンガー電極、ソースフィンガー電極およびドレインフィンガー電極と、
前記基板の第1表面に配置され,前記ゲートフィンガー電極、前記ソースフィンガー電極および前記ドレインフィンガー電極ごとに複数のフィンガーをそれぞれ束ねて形成したゲート端子電極、ソース端子電極およびドレイン端子電極と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート引き出しラインは、前記指定ゲートバスラインと前記ゲート端子電極間を接続することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ソース端子電極の下部に配置されたVIAホールと、
前記基板の第1表面と反対側の第2表面に配置され、前記ソース端子電極に対して前記VIAホールを介して接続された接地電極と
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記マルチフィンガー単位FETセルを並列接続したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
互いに隣接する前記マルチフィンガー単位FETセルの前記指定ゲートバスライン間に、セル間バランス抵抗を備えることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基板は、SiC基板、GaAs基板、GaN基板、SiC基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、Si基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、SiC基板上にGaN/GaAlNからなるヘテロ接合エピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板若しくはダイヤモンド基板、半絶縁性基板のいずれかを備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
ユニットフィンガーの並列接続からなるマルチフィンガー単位FETセルと、
前記マルチフィンガー単位FETセルのゲートフィンガーを並列接続する指定ゲートバスラインと、
前記指定ゲートバスラインに接続されたゲート引き出しラインと
を備え、前記マルチフィンガー単位FETセルのゲートフィンガーの束ね方若しくはソースフィンガーの束ね方を、前記ドレインフィンガーの束ね方に対して、ずらしたことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記ゲート引き出しラインと前記指定ゲートバスラインの接続点を前記マルチフィンガー単位FETセルの中心からずらし、前記接続点の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数よりも多いことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ゲート引き出しラインと前記指定ゲートバスラインの接続点を前記マルチフィンガー単位FETセルの中心に配置し、前記接続点の一方に接続されたゲートフィンガー数が、他方に接続されたゲートフィンガー数と等しいことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記マルチフィンガー単位FETセルは、
基板と、
前記基板の第1表面に配置され,それぞれ複数のフィンガーを有するゲートフィンガー電極、ソースフィンガー電極およびドレインフィンガー電極と、
前記基板の第1表面に配置され,前記ゲートフィンガー電極、前記ソースフィンガー電極および前記ドレインフィンガー電極ごとに複数のフィンガーをそれぞれ束ねて形成したゲート端子電極、ソース端子電極およびドレイン端子電極と
を備えることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ゲート引き出しラインは、前記指定ゲートバスラインと前記ゲート端子電極間を接続することを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ソース端子電極の下部に配置されたVIAホールと、
前記基板の第1表面と反対側の第2表面に配置され、前記ソース端子電極に対して前記VIAホールを介して接続された接地電極と
を備えることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記マルチフィンガー単位FETセルを並列接続したことを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
互いに隣接する前記マルチフィンガー単位FETセルの前記指定ゲートバスライン間に、セル間バランス抵抗を備えることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記基板は、SiC基板、GaAs基板、GaN基板、SiC基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、Si基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、SiC基板上にGaN/GaAlNからなるヘテロ接合エピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板上にGaNエピタキシャル層を形成した基板、サファイア基板若しくはダイヤモンド基板、半絶縁性基板のいずれかを備えることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−182438(P2012−182438A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2199(P2012−2199)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】