説明

半導体製造方法

【課題】製造コストを大幅に減少させることができる、新規な半導体製造方法を提供する。
【解決手段】半導体製造方法は、成長基板を提供する工程S11と、前記成長基板に半導体基板を形成する工程S12と、前記成長基板と前記半導体基板との間に複数の溝を有する第一構造を形成する工程S13と、後続の素子の製造を進め、半導体素子を半導体基板に形成する工程S14と、前記成長基板の温度と前記半導体基板を変更する工程S15とを含んでいる。工程S15において、成長基板と半導体基板とは膨張係数が異なるので、応力が集中し、互いに剥離する。このように、レーザ剥離技術によって成長基板を除去する工程を必要としないため、コストを効果的に減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程に関し、特に、剥離(lift−off)法による半導体製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光ダイオード(LED)の製造工程において、成長基板に高品質の窒化物半導体(例えば、ガリウム系(GaN)エピタキシャル薄膜を形成する)を形成させるために、一般的には、窒化ガリウム(GaN)の結晶構造と似ているサファイア(Al)基板を成長基板として選択されている。しかし、サファイア基板は、悪い(低い)電気伝導度と低い熱伝導率を有し、故に、GaN系LEDは、散熱性及びLEDの信頼性が悪く、高電流、高出力かつ長時間の動作でLEDチップの発光面積と発光効率が悪影響を受けるという欠点を有している。従って、LEDの生産性及び発光効率の向上を妨げている。
【0003】
上記欠点を改善するために、従来の方法は、サファイア基板を除去することである。又、従来技術では、窒化物半導体素子は、LED素子の特性を高めるように、ウェハ接合技術により、サファイア成長基板から接合基板へ移行される。すなわち、GaNエピタキシャル層は、サファイア基板から剥離され、高い電気伝導性と高い熱伝導率を有する基板に移行される。上記工程では、レーザ剥離法は、通常、サファイア成長基板を除去するために適用される。しかし、レーザー剥離法は、LED素子の特性を低下させ、その歩留りに悪影響を与える。また、レーザー剥離法は高コストである。したがって、もし窒化物半導体素子は、レーザ剥離法を利用せずに、ウェハ接合工程において、成長基板から剥離できれば、その製造コストが大幅に減少するだろう。
【0004】
したがって、本発明はこのような従来の課題を解決するため、実験と研究を重ねた結果を通じて、得られたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、新規な半導体製造方法を提供することにより、製造コストを大幅に減少させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術に鑑みて、本発明では、新しい工程技術を提供し、成長基板と窒化物半導体基板との間の接触面積を減らす。ウェハ接合工程においての加熱による温度変化工程では、成長基板と窒化物半導体基板とは異なる膨張係数を有しているので、応力が集中して、成長基板と窒化物半導体基板を互いに剥離する。従って、本発明は、レーザ剥離技術によって成長基板を除去する工程を必要としないため、コストを効果的に減少させる。
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の半導体製造方法を提供する。本発明の半導体製造方法は、成長基板を提供する工程と、前記成長基板に半導体基板を形成する工程と、前記成長基板と前記半導体基板との間に複数の溝を有する第一構造を形成する工程と、前記成長基板と前記半導体基板の温度を変更する工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0008】
上記工程の本発明に係る半導体製造方法において、前記変更工程は、前記成長基板及び前記半導体基板を加熱し、圧力を加えることにより前記半導体基板を接合基板に接合する工程を更に含み、前記変更工程の前には、前記半導体基板に半導体素子を形成する工程を更に含み、前記接合基板は、銅(Cu)材料、アルミニウム(Al)材料、シリコン(Si)材料、ダイヤモンド材料、銅合金材料及びアルミニウム合金材料からなる群から選ばれた一つであり、前記半導体基板は、窒化物半導体基板であり、前記成長基板は、アルミナ(Al)材料、サファイア材料、炭化ケイ素(SiC)材料とシリコン(Si)材料からなる群から選ばれた一つである。
【0009】
上記工程の本発明に係る半導体製造方法において、前記第一構造は、前記成長基板と前記半導体基板との間の接触面積を減らすように、化学ウェットエッチング及びドライエッチングのいずれかで前記半導体基板をパターン形成することにより製造され、前記化学ウェットエッチングは、水酸化カリウム(KOH)溶液によって実行され、前記半導体基板を形成する工程の前には、前記成長基板に誘電体層を形成する工程と、露光、現像及びエッチング法によって誘電体層に複数の溝を有する第二構造を形成する工程と、を更に含み、前記第一構造を形成する工程の前には、前記第二構造に前記半導体基板を形成する工程と、ウェットエッチングによって前記誘電体層を除去し、前記第一構造を形成する工程と、を更に含み、前記ウェットエッチングは、水素フッ化物(HF)溶液によって実行され、前記誘電体層は、二酸化ケイ素(SiO)の材料を有し、前記第二構造は、前記成長基板を見せるとともに連続的な溝構造である。
【0010】
上述の目的を達成するために、新規の他の半導体製造方法を提供する。本発明の半導体製造方法は、上面を有する第一基板を提供する工程と、下面を有する第二基板を提供する工程と、前記上面と前記下面との間の接触面積を減らす工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0011】
上記工程の本発明に係る半導体製造方法において、前記第一基板及び前記第二基板を加熱する工程を更に含んでいる。
【0012】
上述の目的を達成するために、新規の更に他の半導体製造方法を提供する。本発明の半導体製造方法は、上面を有する第一基板を提供する工程と、前記上面に接触する下面を有する第二基板を提供する工程と、前記第一及び前記第二基板を分離するように、前記第一及び前記第二基板を加熱する工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0013】
上記工程の本発明に係る半導体製造方法において、前記加熱工程の前には、前記上面と前記下面との間の接触面積を減らす工程を更に含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、レーザ剥離技術によって成長基板を除去する工程を必要としないため、コストを効果的に減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る半導体製造方法を例示するフローチャートである。
【図2】図1に示した工程S12を説明する構造を示す図である。
【図3】図1に示した工程S13を説明する構造を示す図である。
【図4】図1に示した工程S14を説明する構造を示す図である。
【図5】図1に示した工程S15を説明する構造を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態による係るフローチャートである。
【図7】図6に示した工程S22を説明する構造を示す図である。
【図8】図6に示した工程S22を説明する構造を示す上面図(a)および断面図(b)である。
【図9】図6に示した工程S23を説明する構造を示す図である。
【図10】図6に示した工程S24を説明する構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下のように、本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含んでいる。
【0017】
(第一の実施形態)
第一の実施形態を図1から図5を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の第一実施形態に係る半導体製造方法を例示するフローチャートである。図2から図5は、本発明の第一実施形態による構造を示す図である。本発明の第一実施形態は、図1に示した工程S11〜S15を含み、以下のように説明する。
【0019】
工程S11は、成長基板1のような第一基板を提供する工程である。成長基板1は、好ましくは、アルミナ(Al)材料、サファイア(Sapphire)材料、炭化ケイ素(SiC)材料とシリコン(Si)材料からなる群から選ばれた一つを有している。
【0020】
工程S12は、図2に示すように、半導体基板2のような第二基板を、前記成長基板に形成する工程である。半導体基板2は、好ましくは、窒化ガリウム(GaN)などの窒化物半導体基板である。成長基板1と半導体基板2は、従来の半導体加工法により形成することができる。
【0021】
工程S13は、図3に示すように、前記成長基板と前記半導体基板との間の接触面積を減らすように、化学ウェットエッチング又はドライエッチングで半導体基板2をパターン形成し、成長基板1と半導体基板2との間に複数の溝を有する第一構造22を形成する工程である。第一構造22は、好ましくは、化学ウェットエッチング(例えば水酸化カリウム(KOH)溶液によって実行される)又はドライエッチングにより、半導体基板2にパターンを形成することを通じて形成されることができるということが当業者にとって理解できる。
【0022】
工程S14は、後続の素子の製造を進め、図4に示すように、半導体素子3を半導体基板2に形成する工程である。
【0023】
工程S15は、図4に示すように、ウェハ接合を進めながら、成長基板1と半導体基板2の温度を変更する工程である。成長基板1と半導体基板2とを加熱するとともに矢印で示すように、圧力を与えることにより、半導体素子3が形成された半導体基板2を接合基板4に接合する。接合基板4は、好ましくは、銅(Cu)材料、アルミニウム(Al)材料、シリコン(Si)材料、ダイヤモンド材料、銅合金材料及びアルミニウム合金材料からなる群から選ばれた一つを有している。
【0024】
成長基板1と半導体基板2の温度は、図4に示すウェハ接合工程の間に変更される。成長基板1と窒化物半導体基板とは、膨張係数が異なるので、応力が集中して、図5に示すように成長基板1と半導体基板2とが互いに剥離する。
【0025】
第一構造22が、成長基板1と半導体基板2の間の接触面積を減少させるために使用されていることは、当業者にとって理解されただろう。従って、第一構造22は、ウェハ接合工程の前かつ半導体基板2成形工程の後でさえあれば任意の工程において形成することができる。更に、第一構造22は、図2〜図5における規則的な配置に限定されていないとともに、成長基板1と半導体基板2との間の接触面積を減らすための全ての構造は、本発明による効果を達成することができる。
【0026】
(第二の実施形態)
上記第一構造22を形成する方法は、第一の実施形態により提供されるフローチャートに限定されていない。第二の実施形態を図6から図10を用いて詳細に説明する。図6は、本発明の第二実施形態によるフローチャートである。図7から図10は、本発明の第二実施形態による構造を示す図である。第二実施形態には、第一実施形態と同様に、複数の溝を有する第一構造33は、半導体基板31と成長基板1との間の接触面積を減らすために、成長基板1に隣接する場所で形成される。第二実施形態の第一構造33を形成する方法は、第一実施形態と異なり、その手順は以下のように示す。
【0027】
工程S21は、成長基板1を提供する工程である。第一実施形態に示すように、成長基板1は、好ましくは、アルミナ(Al)材料、サファイア(Sapphire)材料、炭化ケイ素(SiC)材料とシリコン(Si)材料からなる群から選ばれた一つを有いている。
【0028】
工程S22は、図7に示すように、成長基板1に誘電体層2aを形成する工程、及び、図8(a)および図8(b)に示すように露光、現像及びエッチング法によって誘電体層2aに複数の溝を有する第二構造2a1を形成する工程である。誘電体層2aは、好ましくは、二酸化ケイ素(SiO)の材料を有している。
【0029】
図8(b)は、第二構造2a1が成長基板1に形成されていることを示す断面図である。図8(a)は、図8(b)に対応する上面図である。図8(a)及び図8(b)に示すように、第二構造2a1は、成長基板1を見せ、好ましくは、連続的な溝構造である。
【0030】
工程S23は、図9に示すように、第二構造2a1に半導体基板31を形成する工程である。本実施形態に示すように、半導体基板31は、好ましくは、GaN等の窒化物半導体基板である。
【0031】
工程S24は、誘電体層2aにより形成された第二構造2a1を、ウェットエッチング法により除去し、半導体基板31の下面には、複数の溝を有する第二構造2a1に対応する複数の溝を有する第一構造33が形成する工程である。前述ウエットエッチング法は、水素フッ化物(HF)溶液によって実行される。
【0032】
工程S25は、複数の溝を有する第一構造体33が形成された後、後続の素子の製造とウェハ接合工程とを連続的に進め、第一実施形態と同様に、成長基板1と半導体基板31とを、成長基板1と半導体基板31の温度が変更されるように、ウェハ接合工程の間、加熱する工程である。成長基板と窒化物半導体基板とは、膨張係数が異なるので、応力が集中することによって成長基板1が半導体基板31から剥離される。
【0033】
第一実施形態と同様に、第二実施形態での複数の溝を有する第二構造2a1は、任意の位置に配置でき、図8(a)および図8(b)における配置に限定されない。第二構造2a1に応じて形成された第一構造33は、図10に示された規則的に配置された溝構造に限定されるものではない。成長基板1と半導体基板31との間の接触面積を減らすための全ての構造は、本発明による効果を達成することができる。
【0034】
以上の説明によると、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、多様な変更及び修正が可能であることが分かる。従って、本発明の技術的な範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限らず、特許請求の範囲によって定めなければならない。
【符号の説明】
【0035】
1 成長基板
2 半導体基板
3 半導体素子
4 接合基板
22 第一構造
2a 誘電体層
2a 1第二構造
31 半導体基板
33 第一構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長基板を提供する工程と、
前記成長基板に半導体基板を形成する工程と、
前記成長基板と前記半導体基板との間に複数の溝を有する第一構造を形成する工程と、
前記成長基板と前記半導体基板の温度を変更する工程と、
を含んでいることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項2】
前記変更工程は、前記成長基板及び前記半導体基板を加熱し、圧力を加えることにより前記半導体基板を接合基板に接合する工程を更に含み、
前記変更工程の前には、前記半導体基板に半導体素子を形成する工程を更に含み、
前記接合基板は、銅(Cu)材料、アルミニウム(Al)材料、シリコン(Si)材料、ダイヤモンド材料、銅合金材料及びアルミニウム合金材料からなる群から選ばれた一つであり、
前記半導体基板は、窒化物半導体基板であり、前記成長基板は、アルミナ(Al)材料、サファイア材料、炭化ケイ素(SiC)材料とシリコン(Si)材料からなる群から選ばれた一つであることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項3】
前記第一構造は、前記成長基板と前記半導体基板との間の接触面積を減らすように、化学ウェットエッチング及びドライエッチングのいずれかで前記半導体基板をパターン形成することにより製造され、
前記化学ウェットエッチングは、水酸化カリウム(KOH)溶液によって実行され、
前記半導体基板を形成する工程の前には、
前記成長基板に誘電体層を形成する工程と、
露光、現像及びエッチング法によって誘電体層に複数の溝を有する第二構造を形成する工程と、を更に含み、
前記第一構造を形成する工程の前には、
前記第二構造に前記半導体基板を形成する工程と、
ウェットエッチングによって前記誘電体層を除去し、前記第一構造を形成する工程と、を更に含み、
前記ウェットエッチングは、水素フッ化物(HF)溶液によって実行され、
前記誘電体層は、二酸化ケイ素(SiO)の材料を有し、
前記第二構造は、前記成長基板を見せるとともに連続的な溝構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造方法。
【請求項4】
上面を有する第一基板を提供する工程と、
下面を有する第二基板を提供する工程と、
前記上面と前記下面との間の接触面積を減らす工程と、
を含んでいることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項5】
前記第一基板及び前記第二基板を加熱する工程を更に含んでいることを特徴とする請求項4に記載の半導体製造方法。
【請求項6】
上面を有する第一基板を提供する工程と、
前記上面と接触する下面を有する第二基板を提供する工程と、
前記第一及び前記第二基板を分離するように、前記第一及び前記第二基板を加熱する工程と、
を含んでいることを特徴とする半導体製造方法。
【請求項7】
前記加熱工程の前には、前記上面と前記下面との間の接触面積を減らす工程を更に含んでいることを特徴とする請求項6に記載の半導体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−188342(P2012−188342A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245369(P2011−245369)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】