半導体記憶装置及びその回路の電位測定方法
【課題】大規模な半導体記憶装置における不良トランジスタの検出と、不良トランジスタの特性の測定とを高速で行うことができる、半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、接地ノードあるいは電源ノードに接続する枝配線を有する半導体記憶装置において、電源ノードあるいは接地ノードに接続する少なくとも1つの枝配線の複数箇所に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを有し、クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記スイッチ選択信号発生回路で選択されてゲートが開かれたモニター用スイッチを介して前記電圧測定点の電位を測定する。
【解決手段】メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、接地ノードあるいは電源ノードに接続する枝配線を有する半導体記憶装置において、電源ノードあるいは接地ノードに接続する少なくとも1つの枝配線の複数箇所に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを有し、クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記スイッチ選択信号発生回路で選択されてゲートが開かれたモニター用スイッチを介して前記電圧測定点の電位を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模な半導体記憶装置の内部配線の電圧状態を簡単な手法でモニターし、内部回路の動作状態を判定するモニター回路システムを有する半導体記憶装置及びその回路の電位測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ等の大規模な半導体チップでは、電源等の配線長が長くなり、寄生抵抗による電圧降下、あるいは基準電圧(VSS)の上昇により、回路動作のマージンがなくなる等の問題があり、さらに、これらの要因による不良モードの確認が困難であった。また、半導体チップの量産時に、工程内のごみあるいは欠陥等により、半導体チップに不良が発生して、例えば、チップ内の配線あるいはトランジスタが破壊して予期しない電流が流れることがあり、歩留まりが低下することも良くあることであった。
【0003】
そのため、半導体チップの内部配線の電位を確認して半導体チップの不良モードを確認する必要があった。しかし、そのためには、チップのパッシベーション膜(保護膜)を剥離する必要があり、タングステン等の針を確認したい箇所に当て、電圧を測定していた。また、工程内の欠陥等により半導体チップに不良品が発生した場合は、不良個所に集中して電流が流れる。通常、このような、破壊電流や、リーク電流を解析する手法として、レーザー光照射によるOBIRCH発光解析や、電子ビーム照射によるホットエレクトロン検知による発光確認を行い、不良箇所を確認する手法が取られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−171920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この手法では、大掛かりな装置を必要として、時間もかかり、大変な労力を要する問題があった。また、測定の精度が悪い問題もあった。そのため、本発明は、特許文献1のような内部回路の電圧を測定する手段を半導体チップ内に設置することで、内部配線の電圧状態を簡単な手法でモニターし、内部回路の動作状態を判定するモニター回路システムを提供することを課題とする。また、歩留まり等の不良解析に利用し、不良箇所を短期間に解析できる手法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、接地ノードあるいは電源ノードに接続する枝配線を有する半導体記憶装置において、電源ノードあるいは接地ノードに接続する少なくとも1つの枝配線の複数箇所に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを有し、クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記スイッチ選択信号発生回路で選択されてゲートが開かれたモニター用スイッチを介して前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置である。
【0007】
また、本発明は、メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、前記メモリ素子に接続する接地ノードの枝配線を有する半導体記憶装置において、前記メモリ素子に接続する枝配線の少なくとも端部に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを前記枝配線毎に有し、クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記電圧測定点をゲートが開かれた前記モニター用スイッチを介してモニター用パッドに接続することで前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置である。
【0008】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置において、前記メモリセルアレイのメモリ素子から読み出した信号を増幅する複数のセンスアンプを有し、前記少なくとも1つの枝配線が前記センスアンプの接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置である。
【0009】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置において、前記少なくとも1つの枝配線が電源回路の電源用接地ノード又は電源用電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置である。
【0010】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置において、前記少なくとも1つの枝配線が制御回路の接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置である。
【0011】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、前記枝配線の各部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法である。
【0012】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、各前記枝配線の端部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、半導体記憶装置において、電位を測定したい箇所(回路として特に重要な箇所)に、あらかじめ電圧モニター用スイッチの電圧測定点を接続し、モニター用スイッチのゲートを開いてその電圧測定点をモニター用パッドPADに接続することで、電圧測定点の電位をモニター用パッドPADから外部に引き出して、被測定箇所の電圧測定点の電位を読み出す構成にする。これにより、内部電位を観測することで不良箇所を容易に特定できる効果がある。そのため、半導体記憶装置の試作段階で、動作マージンが確認できる効果があり、また、不良が発生した場合の解析が容易になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の半導体記憶装置の回路のブロック図である。
【図2】本発明の半導体記憶装置の1ビットの記憶回路の回路図である。
【図3】本発明の半導体記憶装置の16ビットの記憶回路の回路図である。
【図4】本発明の半導体記憶装置の半導体チップにおける全体レイアウトと電源配線の結線の構成の全体レイアウト図である。
【図5】本発明の半導体記憶装置のセンスアンプの回路図である。
【図6】本発明の半導体記憶装置のセンスアンプのREF回路の回路図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の、モニター回路の回路図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の、スイッチ選択信号発生回路の全体レイアウト図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の、半導体記憶装置の半導体チップの全体レイアウトにおける接地ノードVSSの分岐配線へのモニター用スイッチの設置位置を示す全体レイアウト図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の、メモリセルアレイの部分を中心にした回路図である。
【図11】(a)本発明の第1の実施形態の、行線ノードWLhに沿った接地ノードVSSの枝配線VSShの各位置の電位の大きさをあらわすグラフである。(b)本発明の第1の実施形態の、接地ノードVSSの各枝配線の端部の電位の大きさをあらわすグラフである。
【図12】本発明の第2の実施形態の、モニター用スイッチの枝配線VSSrへの設置位置を示す回路図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の、枝配線VSSrの各位置の電位の大きさをあらわすグラフである。
【図14】本発明の第3の実施形態の、半導体記憶装置の半導体チップの全体レイアウトにおける接地ノードVSSの分岐配線へのモニター用スイッチの設置位置を示す全体レイアウト図である。
【図15】本発明の第3の実施形態のセンスアンプの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、メモリの代表例として、本発明の一実施形態による不揮発性半導体記憶装置であるマスクROMの半導体記憶装置1の回路のブロック図である。
【0016】
本実施形態において、半導体記憶装置1は、図1に示すように、メモリセルアレイ100、行デコーダ200、列デコーダ300、列ゲート400、センスアンプ500、及び制御回路600、出力バッファ700、アドレス入力回路800から構成されている。
【0017】
制御回路600は、接続先のマイクロコンピュータなどホストから入力される制御用信号を一時的に格納し、動作ロジックの制御を行う。出力バッファ700は、メモリセルアレイ100を読み出したデータの信号を出力する。アドレス入力回路800は、半導体記憶装置1の外部から入力されたアドレスを一時的に格納し、そのアドレスを行デコーダ200と列デコーダ300が変換して、メモリセルアレイ100のメモリ素子Mhk(h=0〜m、k=0〜n)を選択する行選択信号と列選択信号を生成する。
【0018】
図2は、図1の半導体記憶装置1がマスクROMの場合の、1ビットの記憶回路の回路図の例を示す。図2の回路図のように、メモリセルアレイ100には、記憶の最小単位であるメモリ素子M00からM23が半導体記憶装置1の集積回路チップの領域に規則正しく縦横にマトリックス状に並べられている。行方向に配列されるメモリ素子M00からM03のゲートに共通に、行デコーダ200の行線ノードWL0が接続され、行選択信号が出力されることにより選択される。行方向に配列されるメモリ素子M10からM13のゲートには共通に行線ノードWL1が接続され、メモリ素子M20からM23のゲートには共通に行線ノードWL2が接続されている。そして、メモリ素子M00からM03のソース端子に共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS0が接続し、メモリ素子M10からM13のソース端子に共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS1が接続し、メモリ素子M20からM23のソース端子に共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS2が接続する。各メモリ素子Mhk(h=0〜2、k=0〜3)毎に、メモリ素子の根元のソース端子が接地ノードVSSの枝配線に接続する箇所に、後に説明するモニター用スイッチS0、S1、S2とその他のモニター用スイッチを設置する。
【0019】
また、列方向に配列される各メモリ素子Mh0(h=0〜2)のドレインには共通に、列ゲート400の列線ノードBIT0が接続される。列線ノードBIT0は、列ゲート400の列選択トランジスタCG0のソース端子に接続する。列選択トランジスタCG0のゲートには列デコーダ300の列選択ノードCOL0が接続される。列選択ノードCOL0にはリファレンス用列選択トランジスタRF0のゲートも接続される。その列選択ノードCOL0には列デコーダ300から列選択信号が送信されて列ゲート400の列選択トランジスタCG0及びリファレンス用列選択トランジスタRF0が駆動される。列ゲート400の列選択トランジスタCG0からCG3のドレインがセンスアンプ500の共通ノードCOMに接続する。列ゲート400のリファレンス用列選択トランジスタRF0からRF3のドレインがセンスアンプ500のリファレンス用共通ノードRECに接続する。リファレンス用列選択トランジスタRF0からRF3のソース端子には、リファレンストランジスタTr9のドレイン端子が接続し、リファレンストランジスタTr9のソース端子は接地ノードVSSの枝配線VSSrに接続する。リファレンストランジスタTr9は、そのゲート端子にVREF回路507のREFノードを接続して制御される。
【0020】
列方向に配列される各メモリ素子Mh1(h=0〜2)のドレインには共通に列ゲート400の列線ノードBIT1が接続され、列線ノードBIT1が、列デコーダ300の列選択ノードCOL1にゲートが接続されている列選択トランジスタCG1のソース端子に接続する。列方向に配列される各メモリ素子Mh2(h=0〜2)のドレインには共通に列ゲート400の列線ノードBIT2が接続され、その列線ノードBIT2が、列デコーダ300の列選択ノードCOL2にゲートが接続されている列選択トランジスタCG2のソース端子に接続する。各メモリ素子Mh3(h=0〜2)のドレインには共通に、列ゲート400の列線ノードBIT3が接続され、列線ノードBIT3が、列デコーダ300の列選択ノードCOL3にゲートが接続されている列選択トランジスタCG3のソース端子に接続する。
【0021】
図3に、このマスクROMの回路の16ビットの記憶回路の具体例を示す。この半導体記憶装置1は16ビット構成(出力端子Doutが16個ある)なので、メモリセルアレイ100は、100−0〜100−15までの16ブロックに分かれている。共通ノードCOM0は、第0ビットの共通ノードであり、第0ビット用のセンスアンプ500−0と列ゲート400の列選択トランジスタCG0−0からCGn−0に共通に接続する。共通ノードCOM15は、第15ビットの共通ノードであり、第15ビット用のセンスアンプ500−15と列ゲート400の列選択トランジスタCG0−15からCGn−15に共通に接続する。0ビット用の列選択トランジスタCGk−0(k=0〜n)のソース端子が列線ノードBITk−0に接続し、15ビット用の列選択トランジスタCGk−15のソース端子が列線ノードBITk−15に接続する。
【0022】
第0ビットのメモリセルアレイ100−0に、(m+1)×(n+1)個のマトリックス状にメモリ素子M00−0〜Mmn−0を配置する。第15ビットのメモリセルアレイ100−15に、(m+1)×(n+1)個のマトリックス状にメモリ素子M00−15〜Mmn−15を配置する。第0ビットのメモリセルアレイ100−0に行方向に配列するメモリ素子Mh0−0(h=0〜m)からMhn−0のゲート端子に共通に、行デコーダ200の行線ノードWLhを接続する。列方向に配列されるメモリ素子M0k−0(k=0〜n)からMmk−0のドレイン端子に共通に、列ゲート400の列線ノードBITk−0を接続する。また、メモリ素子のソース端子は、全て共通に接地ノードVSS(GND)に接続する。ただし、行方向のメモリ素子M00−0からM0n−0のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS0に接続し、行方向のメモリ素子Mm0−0からMmn−0のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSSmに接続する。
【0023】
第0ビットのメモリセルアレイ100−0の信号増幅用のセンスアンプ500-0から出力バッファ回路700を介して、出力端子Dout0から出力信号をチップ外部に出力させる。第1ビット用から第15ビット用のメモリセルアレイ100−1〜100−15についても同様な構成にし、出力信号を出力端子Dout1からDout15に出力させる。すなわち、第15ビット用のメモリ素子は、行方向のメモリ素子M00−15からM0n−15のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS0に接続し、行方向
のメモリ素子Mm0−15からMmn−15のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSSmに接続する。ここで、第0ビットから第15ビットのメモリ素子で、同じ行線ノードWLhで選択されるメモリ素子群が複数のグループに分けられて、それぞれのグループ毎に1本の枝配線VSSmに接続しても良い。
【0024】
200−0〜200−mは行デコーダであり、行毎に、アドレス入力回路800から行アドレスが入力されるNAND回路201とバッファとなるインバータ202とで構成され、出力を行線ノードWLhに出力する回路を有する。行デコーダ200の行線ノードは、WL0〜WLmであり、メモリセルアレイ100に配列されたメモリ素子Mhkの行が選択される。
【0025】
300−0〜300−nは列デコーダであり、列毎に、アドレス入力回路800から列アドレスが入力されるNAND回路301とバッファとなるインバータ302とで構成され、出力の列選択信号を列線ノードCOLkに出力する回路を有する。列デコーダ300から列選択信号を列選択ノードCOLkに出力し、その列選択ノードCOLkがゲートが接続する列ゲート400の列選択トランジスタCGk−0からCGk−nのゲートを開く。第0ビットの列選択トランジスタCGk−0のゲートが開かれた場合には、列選択トランジスタCGk−0を介して、センスアンプ500−0の共通ノードCOM0が列線ノードBITk−0に接続する。これにより、メモリセルアレイ100−0に配列されたメモリ素子Mhkの列が選択される。こうして、行デコーダ200で行が選択され列デコーダ300で列が選択されることでメモリ素子Mhkが選択される。
【0026】
図4に、半導体記憶装置1の集積回路の半導体チップにおける全体レイアウトと電源配線の結線の構成を示す。メモリセルアレイ100やセンスアンプ500や制御回路600には、通常の電源パッドVCC−Pに電源ノードVCCを接続し、接地パッドVSS−Pに接地ノードVSSを接続する。接地ノードVSSは、メモリセルアレイ100の領域で、枝配線VSS0、VSS1、VSS2、・・・、VSS(m−1)、VSSm、VSS(m+1)、VSS(m+2)、VSS(m+3)、・・・、VSS(2m)、VSS(2m+1)に分岐する。一方、出力回路700や電源回路(チャージポンプ回路)900には大電流及び過渡電流が多く流れるので、通常の電源配線と分けた専用の電源配線を形成する。すなわち、出力回路700用の出力用電源ノードVCCOと出力用接地ノードVSSOや、電源回路(チャージポンプ回路)900の電源用電源ノードVCCPと電源用接地ノードVSSPには、通常の電源配線と分けた専用の電源配線を形成し、出力回路700用には、出力用電源パッドVCCO−Pから出力用電源ノードVCCOを配線し、出力用接地パッドVSSO−P(出力回路用)から出力用接地ノードVSSOを配線する。また、電源回路900用には、電源用電源パッドVCCP−Pから電源用電源ノードVCCPを配線し、電源用接地パッドVSSP−P(電源回路用)から電源用接地ノードVSSPを配線する。これにより、出力回路700や電源回路(チャージポンプ回路)900の電源ノイズの影響が、センスアンプ500のような、重要なアナログ回路に影響をしないように配線する。
【0027】
(センスアンプ)
図5は半導体記憶装置1中のセンスアンプ500の回路の一例である。センスアンプ500は、電源ノイズあるいは、電圧レベルの影響を最も受け易い回路である。このセンスアンプ500は、Pチャネル型の負荷トランジスタTr1とTr2から成る負荷回路502を有し、また、共通ノードCOMにソース端子を接続しドレイン端子を負荷トランジスタTr2のドレイン端子に接続するNチャネルのバイアストランジスタTr3を有する。バイアストランジスタTr3の高速化のために、Pチャネル型のトランジスタTr4とNチャネル型のトランジスタTr5から成るフィードバック型バイアス回路501を設ける。そして、バイアストランジスタTr3のゲート端子には、フィードバック型バイアス回路501のトランジスタTr4のドレイン端子とトランジスタTr5のドレイン端子の接続点のノードを接続する。また、トランジスタTr5のソース端子を接地ノードVSSに接続する。
【0028】
センスアンプ500のバイアストランジスタTr3のソース端子を共通ノードCOMに接続する。この共通ノードCOMは、図2及び図3に示したように、列ゲート400の列選択トランジスタCG0からCGnのドレイン端子に共通に接続する。図5では、それらの列選択トランジスタを代表させた1つの列選択トランジスタCGkを示す。列選択トランジスタCGkのゲート端子は、図2及び図3に示したように、列選択ノードCOLkに接続し、列選択トランジスタCGkのソース端子は列線ノードBITkに接続する。
【0029】
この列線ノードBITkは、図2及び図3に示したように、メモリセルアレイ100のメモリ素子M0kからMmkのドレイン端子に共通に接続する。図5では、それらのメモリ素子を代表させた1つのメモリ素子Mhkを示す。メモリ素子Mhkのゲート端子は、図2及び図3に示したように、行デコーダ200の行線ノードWLhに接続し、メモリ素子Mhkのソース端子は接地ノードVSSに接続する。ここで、図2及び図3に示すように、メモリ素子Mh0からMhnが共通の枝配線を成す接地ノードVSShに接続する。すなわち、接地ノードVSSは、その枝配線を成す接地ノードVSS0から接地ノードVSSmまでのm+1本の枝配線の接地ノードを有する。そして、メモリ素子M00からM0nを1つの枝配線の接地ノードVSS0に接続し、メモリ素子Mm0からMmnを1つの枝配線の接地ノードVSSmに接続する。ただし、図4のようにメモリセルアレイ100を左右のブロックに分けた場合は、中央で主幹となる接地ノードVSSの配線に1本の枝配線の接地ノードVSShが交差して中央で接続する。そのため、主幹の接地ノードVSSから左右の2本の枝配線VSShに分かれる形に配線される。
【0030】
(差動型センスアンプ)
図5のように、センスアンプ500の回路の判定部分である差動型センスアンプ503はカレントミラー回路で構成される。差動型センスアンプ503の差動入力の一方の端子には、メモリ素子Mhkからの信号がバイアストランジスタTr3を経由して入力される。すなわち、行デコーダ200から行選択信号が送信された行線ノードWLhがゲートに接続することでゲートが開かれたメモリ素子Mhkのドレイン端子が接続する列線ノードBITkが、列デコーダ300からの列選択信号で選択されてゲートが開かれた列選択トランジスタCGkを経由して共通ノードCOMに接続する。そして、その共通ノードCOMがバイアストランジスタTr3を経由して、差動型センスアンプ503の差動入力の一方の端子に接続する。詳しくは、バイアストランジスタTr3のドレイン端子と、負荷回路502の負荷トランジスタTr2のソース端子と、差動型センスアンプ503の一方の差動入力端子とが同じノードに接続し、バイアストランジスタTr3のドレイン端子からメモリ素子Mhkのドレインの電位が差動型センスアンプ503の一方の差動入力端子へ伝達される。差動型センスアンプ503の他方の差動入力端子には、リファレンス回路504におけるトランジスタTr6とTr7で構成されるリファレンス用負荷回路505のソース端子と、リファレンス用バイアストランジスタTr8のドレイン端子の接続する基準電位ノードREPを接続する。
【0031】
(リファレンス回路)
リファレンス回路504は、フィードバック型バイアス回路501に対応するリファレンス用フィードバック型バイアス回路506と、負荷回路502に対応するリファレンス用負荷回路505と、バイアストランジスタTr3に対応するリファレンス用バイアストランジスタTr8と、メモリ素子Mhkと同等の素子のリファレンストランジスタTr9と、列選択トランジスタCGkに対応するリファレンス用列選択トランジスタRFkとにより構成し、フィードバック型バイアス回路501と負荷回路502とバイアストランジ
スタTr3と列選択トランジスタCGkとメモリ素子Mhkが構成する回路と対称な回路構成にし、リファレンス用負荷回路505のドレイン端子とリファレンス用バイアストランジスタTr8のドレイン端子の接続する基準電位ノードREPに、メモリ素子Mhk側の差動入力端子のノードに加わる電位に対応する電位を加える。リファレンス用列選択トランジスタRFkは、図2における列選択トランジスタCG0からCG3に対応するリファレンス用列選択トランジスタRF0からRF3のように、複数の列選択トランジスタCGkに対応する複数のトランジスタである。リファレンストランジスタTr9のゲート端子にはVREF回路507のREFノードを接続する。REFノードに加わる信号は、メモリ素子Mhkのゲートに接続する行線ノードWLhに加えられる行選択信号に対応するリファレンストランジスタ選択信号をVREF回路507から加える。
【0032】
(VREF回路)
VREF回路507を図6に示す。VREF回路507は、メモリ素子Mhkと同じ大きさのトランジスタT1と、列選択トランジスタCGkに対応するトランジスタT2と、センスアンプ回路500のフィードバック型バイアス回路501に対応してトランジスタT6とT7から成るフィードバック型バイアス回路508と、負荷回路502に対応してトランジスタT4とT5から成る負荷回路509と、バイアストランジスタTr3に対応するトランジスタT3と、トランジスタT8、T9、T10で構成する。トランジスタT1のドレインにトランジスタT2のソース端子を接続し、トランジスタT2のドレインにトンジスタT3のソース端子とフィードバック型バイアス回路508とを接続する。そして、トランジスタT3のドレイン端子と負荷回路509のドレイン端子が接続するノードにトランジスタT9のゲート端子を接続する。トランジスタT9のソース端子にトランジスタT8のドレイン端子を接続し、トランジスタT9のドレイン端子にトランジスタT10のドレイン端子及びゲート端子と、REFノードを接続する。このREFノードからリファレンストランジスタ選択信号をリファレンス回路504のリファレンストランジスタTr9のゲート端子に向けて出力する。
【0033】
VREF回路507は、トランジスタT1をメモリ素子Mhkと同じ大きさにすることにより、トランジスタT1に流れる電流の大きさをメモリ素子Mhkに流れる電流Icellと同じ大きさにする。また、トランジスタT9の大きさをトランジスタT4と同じ大きさにすることで、トランジスタT9に流れる電流の大きさをトランジスタT4に流れる電流Icellと同じ大きさにするため、その上で、トランジスタT10の大きさをリファレンストランジスタTr9の2倍にすることで、リファレンストランジスタTr9に流れる電流をトランジスタT10に流れる電流Icellの2分の1にする。
【0034】
(センスアンプの動作)
センスアンプ500は、図5のように、差動型センスアンプ503が、リファレンス回路504が生成する基準電位ノードREPの電位と、メモリ素子Mhkから列選択トランジスタCGkとバイアストランジスタTr3等を経由した信号の電位を比較してメモリ素子Mhkの充電状態か放電状態かを精密に検知してメモリセルアレイ100の記憶データを読み出す。
【0035】
センスアンプ500の動作を以下で詳しく説明する。センスアンプ500は、先ず、電源ノードVCCから、負荷回路502とバイアストランジスタTr3、及び、ゲートが開かれた列選択トランジスタCGkを介して列線ノードBITkを充電する。列線ノードBITkが約1V程度充電されたところで、フィードバック型バイアス回路501の出力がLOWとなり、列線ノードBITkの充電が止まり、列線ノードBITkが概略1Vにクランプされる。リファレンス回路504側も同様な動作をするが、リファレンストランジスタTr9の電流を、メモリ素子Mhkより少なめに設定しているので、メモリ素子Mhkに電流が流れるとセンスアンプ500の出力は"1"となり、メモリ素子Mhkのほうが
電流が少ない(流れない)場合は、センスアンプ500出力は"0"となり、微小な電流を検出できる。
【0036】
このセンスアンプ500の特徴は、高速であるが、フィードバック型バイアス回路501を用いているので、電源の少しのゆれにも敏感であり、また、微小な電圧降下により、動作点が変わってしまうという欠点がある。半導体記憶装置1は、図4で示すように電源を配線することにより、極力電位の変化を少なくする設計はしているが、実際は、いろいろな要因で電圧が変化しており、動作マージンを落としている。しかし、半導体記憶装置1の電源電圧が低く、その電源電圧の変化も微小電圧であるため、従来は電源電圧の変化の解析が容易でなかった。
【0037】
(モニター回路)
この問題を解決するために、本実施形態では、図7に示すモニター回路を半導体記憶装置1に組み込む。メモリ素子Mhk(h=0〜m、k=0〜n)毎にスイッチ選択回路SEを設置し、半導体記憶装置1にスイッチ選択回路SE00からSEmnを設置する。そして、図8のように、スイッチ選択信号発生回路110の行走査回路102の行選択線103を、行線ノードWLh(h=0〜m)に平行に沿って配線して、行方向に配列するメモリ素子Mhkの位置のスイッチ選択回路SEhkに接続する。列走査回路104の列選択線105を、各列線ノードBITk−0からBITk−15に対応させて、それらの列線ノードの配線に平行に沿って配線し、列選択線105を、列方向に配列するメモリ素子Mhkの位置に設置したスイッチ選択回路SEhkに接続する。ここで、スイッチ選択回路SEhkは、16ビットの半導体記憶装置1の場合は、メモリアドレスの数のm×nの16倍のメモリ素子Mhkのセルの数だけ設置するが、説明の簡単化のため、1ビットの半導体記憶装置1の場合を記載した。
【0038】
また、モニター用スイッチのゲートの開閉は、図7のように、スイッチ選択回路SE00からSEmnの2つの出力端子の信号によって、各モニター用スイッチS0からSuのゲートを開閉する。各モニター用スイッチの電圧測定端子をメモリ素子Mhkのソース端子が接続する接地ノードVSSの枝配線の位置に接続する。こうして、メモリ素子Mhk毎のモニター用スイッチのゲートを、メモリ素子Mhk毎のスイッチ選択回路SEhkで開くことで、メモリ素子Mhk毎の回路の電位をモニター用パッドPADに伝送する。1つのスイッチ選択回路SEhkが複数のモニター用スイッチに接続するように構成することが可能であり、その場合は複数のモニター用スイッチが同時に複数の電圧信号を複数のモニター用パッドPADに送信する。
【0039】
図7のように、各モニター用スイッチS0からSuは、Nチャネル型のトランジスタとPチャネル型のトランジスタで構成する。スイッチ選択信号発生回路110は、CLK信号に同期するタイミングジェネレータ101と、それにより駆動される、カウンタ回路やシフトレジスタ等から成る行走査回路102と列走査回路104を有する。これにより、タイミングジェネレータ101がCLK信号に同期してスイッチ選択信号発生回路110の行走査回路102と列走査回路104を駆動し、行走査回路102が行選択線103に順次にモニター用スイッチの配列の行を選択する読出しパルスを送信し、列走査回路104が列選択線105に順次にモニター用スイッチの配列の列を選択する読出しパルスを送信し、モニター用スイッチの配列の行と列を選択する。そして、メモリ素子Mhkの位置で交差する行選択線103と列選択線105を、スイッチ選択回路SEhkの2つの入力端子に接続し、それをスイッチ選択回路SEhkのANDゲート106とNANDゲート107の2つ入力端子それぞれに接続する。
【0040】
スイッチ選択回路SEhkのANDゲート106とNANDゲート107の出力端子から、モニター用スイッチのNチャネル型のトランジスタ用の信号とPチャネル型のトラン
ジスタ用の信号を、ハイレベルとロウレベルとを反転させて作成し、それぞれの信号を、モニター用スイッチのNチャネル型のトランジスタのゲート電極と、Pチャネル型のトランジスタのゲート電極に入力する。これにより、行走査回路102と列走査回路104の読出しパルスによって配置位置が選ばれたスイッチ選択回路SEhkがメモリ素子Mhk用のモニター用スイッチのゲートを開いて、電圧測定端子が接続したメモリ素子Mhkの回路の電位をモニター用パッドPADに伝送する。これにより、モニター用パッドPADにモニター用スイッチの測定点の電位を伝達することで、モニター用スイッチの各測定点の電位をCLK信号に同期して順番に測定することができる。
【0041】
図9のように、接地ノードVSSの枝配線には、枝配線VSS0、VSS1、VSS2、・・・、VSS(m−1)、VSSm、VSS(m+1)、VSS(m+2)、VSS(m+3)、・・・、VSS(2m)、VSS(2m+1)等がある。図9では、メモリセルアレイ100の接地ノードVSSの主幹の左側の枝配線の端点にモニター用スイッチS0からSmを設置する。接地ノードVSSの主幹の右側の枝配線の端にも同じくモニター用スイッチS(m+1)からS(2m+1)を設置する。
【0042】
(欠陥素子の探索)
図10に、半導体記憶装置1のメモリセルアレイ100の部分を中心にした回路図を示す。半導体記憶装置1の接地パッドVSS−Pから縦方向に伸びる接地ノードVSSの配線は、主配線となるので、配線幅を太く設定することで配線抵抗が極力低くなるように設定する。図10では、メモリセルアレイ100のメモリ素子Mhkのソース端子近くのモニター用スイッチS(k)の配置と配線位置に注目するために、行デコーダ200、列デコーダ300等の回路は省略している。メモリセルアレイ100はm行×n列のメモリ素子Mhkで構成されるが、図10では、行線ノードWLhとWL(h+1)で選択されるh行目、h+1行目を示し、列線ノードBIT0、BIT(k−1)、BIT(k)、BIT(k+1)、BIT(n)で選択される0列目、(k−1)列目、k列目、(k+1)列目、n列目を示している。行線ノードWLhで選択されるメモリ素子Mh0からMhnのソース端子は共通に枝配線VSShに接続し、枝配線VSShが接地ノードVSSの縦配線に接続する。行線ノードWL(h+1)で選択されるメモリ素子M(h+1)0からM(h+1)nのソース端子は共通に枝配線VSS(h+1)に接続し、枝配線VSS(h+1)が接地ノードVSSの縦配線に接続する。接地ノードVSSの縦配線は、大きな電流容量を得るために太い幅で形成して抵抗値を小さくする。
【0043】
ここで、図8のスイッチ選択信号発生回路110で、列走査回路104を、列線ノードBIT0の位置のスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に接続する列選択線105のみを選択するように停止させ、行走査回路102のみを走査させる。一方、スイッチ選択信号発生回路110のタイミングジェネレータ101の動作に同期させて、列走査回路104のかわりに、メモリセルアレイ100の列を選択する列デコーダ300を動作させて、列線ノードBITk(k=0〜n)を順次に選択させる。
【0044】
通常の半導体記憶装置の記憶読み出し動作では、メモリセルアレイ100から以下の様にしてメモリ素子Mhk(h=0〜m、k=0〜n)が読み出されている。すなわち、列デコーダ300から、メモリセルアレイ100の列選択ノードCOLk(k=0〜n)に列選択信号が送信されて、列選択ノードCOLkにゲート端子が接続する列選択トランジスタCGk(k=0〜n)に届くと、列選択トランジスタCGkのゲートが開いて、センスアンプ500の共通ノードCOMが列選択トランジスタCGkを介して列線ノードBIT(k)(k=0〜n)に接続される。そして、行選択信号が行線ノードWLh(h=0〜m)に送信されることで行が選択されると、行と列が選択され、メモリ素子Mhkが選択される。選択されたメモリ素子Mhkの記憶データが"1"であれば、メモリ素子Mhkがオンして、センスアンプ500の共通ノードCOMから、ゲートが開かれた列選択トラ
ンジスタと列線ノードBIT(k)を経由して、メモリ素子Mhkから接地ノードVSSへ電流が流れ、接地ノードVSSの接地パッドVSS−Pから電流が流出する。また、メモリ素子Mhkの記憶データが"0"であれば、Mhkはオフとなり、電流は流れない。この電流を列線ノードBIT(k)に列選択トランジスタCGkを介して共通ノードCOMで接続するセンスアンプ500により検知して、データを判定する。
【0045】
ここで、1つのメモリ素子Mhkが破壊して、例えば、列線ノードBIT(k)と接地ノードVSSの枝配線VSShがショートしている場合は、行線ノードWLkに行選択信号が送信され無くても、列線ノードBIT(k)から接地ノードVSSの枝配線VSShに電流が流れる。このような不良の場合、破壊しているのは、1つのメモリ素子Mhkだけであるが、列デコーダ300により列選択ノードCOLkが選択されることで、センスアンプ500の共通ノードCOMが列線ノードBIT(k)に接続されると、行デコーダ200がどの行線ノードWLを選択しても、常にセンスアンプ500の共通ノードCOMに電流が流れてしまう。そのため、従来の半導体記憶装置1では、不良となった1つのメモリ素子Mhkがどの行のメモリ素子であるかの位置の特定が困難であった。
【0046】
本実施形態は、以下のようにしてこの問題を解決する。図8のスイッチ選択信号発生回路110で、先ず、列線ノードBIT0の位置のスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に接続する列選択線105のみを選択する。そして、半導体記憶装置1の列デコーダ300を動作させて列選択ノードCOLk(k=0〜n)を順次に選択し、それにより列線ノードBITkをセンスアンプ500の共通ノードCOMkに接続する。列デコーダ300の動作に同期して、すなわち、1つの列選択ノードCOLkが選択されている間に、タイミングジェネレータ101が行走査回路102を走査させて行選択線103の選択を切り替える。これにより、接地ノードVSSの各枝配線の電位を測定して、破損したメモリ素子Mhkが短絡している接地ノードVSSの枝配線VSShを発見することができる。
【0047】
図11を参照して、本実施形態の半導体記憶装置1のメモリセルアレイ100の不良となったメモリ素子を特定する方法を具体的に説明する。図11(a)に、行線ノードWLhに沿った接地ノードVSSの枝配線VSShの各位置の電位の大きさをあらわすグラフを示す。この枝配線VSShの端部の位置(0)にモニター用スイッチShの電圧測定点が接続される。図11で、(k−1)はメモリ素子Mh(k−1)の位置、(k)はメモリ素子Mhkの位置、(k+1)はメモリ素子Mh(k+1)の位置をあらわし、VSS−Pは接地パッドVSS−Pの位置をあらわす。図11(a)に、実線により、メモリ素子Mhkが破壊して過大電流が流れているh行目のメモリ素子Mh0からMhnの接地ノードVSSの枝配線の各位置の電位を示し、破線により、過大電流が流れていない正常な(h+1)行目のメモリ素子M(h+1)0からM(h+1)nの接地ノードVSSの枝配線の各位置の電位を示す。
【0048】
メモリセルアレイ100の行線ノードWLh(h=0〜m)で選択される行方向に配置されたメモリ素子のソース端子が接続する接地ノードVSSの枝配線VSSh(h=0〜m)は、半導体記憶装置1の集積回路チップにおけるメモリセルアレイ100の領域内に設けられているので、あまり配線幅を太く出来ない都合から、その配線が生じる抵抗は無視できない大きさの値を持つ。そのため、1つのメモリ素子Mhkが破壊して過大電流が流れている場合は、枝配線VSShにおいて、破壊したメモリ素子Mhkのソース端子が接続する枝配線VSShの位置から接地パッドVSS−Pまでに向けて過大電流が流れるので、破壊しているメモリ素子Mhkの位置(k)から接地パッドVSS−Pに向けて急な電位勾配が発生する。一方、破壊したメモリ素子Mhkの位置(k)から接地パッドVSS−Pとは反対側の配線の端部(左側端)のモニター用スイッチShの位置までの部分には電流が流れていないので電位勾配が無く、枝配線VSShの端部のモニター用スイッチShの位置の電位は、破壊したメモリ素子Mhkが接続する枝配線VSShの位置(k)
の電位と同じ大きさになる。
【0049】
そのため、図8のスイッチ選択信号発生回路110の列走査回路104が、列線ノードBIT0の位置のスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に接続する列選択線105のみを選択し、その列選択線105に接続する図9のモニター用スイッチS0からSmを選択する。これらのモニター用スイッチS0からSmは、行線ノードWLhに平行する枝配線VSShの端部Shに電圧測定点を接続して電位を測定するものである。そして、行走査回路102を動作させて行を走査しつつ、スイッチ選択信号発生回路110のタイミングジェネレータ101の動作に同期させて、列デコーダ300と列ゲート400を動作させて、メモリセルアレイ100の列線ノードBITk(k=0〜n)に順次に電圧を加える。
【0050】
メモリセルアレイ100の破損した1つのメモリ素子Mhkが接続する列線ノードBITkに電圧を加えた場合に、行走査回路102が選択する各行のモニター用スイッチS0からSmがモニター用パッドPADに伝送する電圧を図11(b)に示す。メモリ素子Mhkが破壊して過大電流が流れる場合には、メモリセルアレイ100の列線ノードBITkに電圧を加えた場合に、破壊したメモリ素子Mhkが接続する枝配線VSShの端部での電位が浮き上がり、それ以外の、正常なメモリ素子のみが接続する枝配線の端部の電位は低いので、不良のメモリ素子が接続した枝配線が判別できる。こうして、スイッチ選択信号発生回路110を用いることで、破損したメモリ素子Mhkを検出することができる効果がある。
【0051】
なお、メモリセルアレイ100が図9のように、接地ノードVSSの主幹の左右の領域に分割されている場合は、図9の左端の列選択線105を列走査回路104に選択させて上記の処理を行った後に、図9の右端の列選択線105を列走査回路104に選択させて、枝配線の右端のモニター用スイッチを用いて右側のメモリセルアレイ100の列線ノードBITk(k=0〜n)に順次に電圧を加えつつ、行走査回路102が各行の右側の枝配線の右端の電位をモニター用スイッチのゲートを開いてモニター用パッドPADに伝送して、図11(b)のように電圧を測定する。
【0052】
本実施形態では、メモリセルアレイ100のメモリ素子Mhkの破壊の有無を検査すべく、列デコーダ300から順次に列選択ノードCOLk(k=0〜n)に、第k列(k=0〜n)を選択する列選択信号を送信する。一方、検査すべきメモリ素子Mhkの第h行の選択は、スイッチ選択信号発生回路110の行走査回路102から順次にスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に読出しパルスを送信してモニター用スイッチShを選択してそのゲートを開くことで、メモリセルアレイ100の接地ノードVSSの第h行の枝配線を選択して、その枝配線の端部を、枝配線の配置の順にモニター用パッドPADに接続する。こうして、順に選択した接地ノードVSSの枝配線VSShの端部の電位をモニター用スイッチShでモニター用パッドPADに接続してモニター用パッドの電位を図11(b)のように測定することで、破損したメモリ素子Mhkの位置を容易に特定できる効果がある。
【0053】
(変形例1)
以下で、第1の実施形態の変形例1を説明する。接地ノードVSSの枝配線に、図3のように、1つの列選択ノードCOLk(k=0〜n)に対して同時に16ビットの列線ノードBITk−0からBITk−15が選ばれて動作する場合に、上記の第1の実施形態の方法によって破損したメモリ素子の行番号hと列番号kが特定できても、破損した候補のメモリ素子はMhk−0からMhk−15まで16個あるので、更に、その16個から1つの破損したメモリ素子を特定する必要がある。
【0054】
そのため、変形例1では、第1の実施形態の方法によって特定した、破損したメモリ素子の列kの列選択ノードCOLkを選んで、16本の列線ノードBITk−0からBITk−15に電圧を加える。その上で、図8のスイッチ選択信号発生回路110の行走査回路が、第1の実施形態の方法によって特定した、破損したメモリ素子の第h行を固定して選ぶ。次に、列走査回路104により列の走査を行うことで、枝配線の位置の全域の電圧測定点の電位をモニター用スイッチで引き出して、図11(a)のように電位分布のグラフを得る。これにより、不良セル(破損したメモリ素子Mhk)の位置を特定することができる。こうして、本変形例1によれば、メモリ素子の第h行の接地ノードVSSの枝配線の電圧測定点を、枝配線に配置された順にモニター用パッドPADに接続して電位を測定することで、メモリセルアレイ100の内部のメモリ素子の破損箇所を容易に特定できる効果がある。
【0055】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、図12に示すように、列ゲート400の各リファレンストランジスタTr9が接地ノードVSSの枝配線VSSrに接続する位置に、枝配線VSSrの端部から接地ノードVSSの主幹に至るまで、それらの各位置に電圧測定点を接続した各モニター用スイッチSr(0)、Sr(k−1)、Sr(k)、Sr(k+1)、Sr(n)を設置する。そして、図7の行走査回路102が、枝配線VSSrをメモリセルアレイ100の外側の部分の行の枝配線の行として選択し、列走査回路104でその枝配線VSSrに設置したモニター用スイッチを制御するスイッチ選択回路SEを切り替えて、モニター用スイッチの電圧測定点が接続する位置の枝配線VSSrの電位をモニター用パッドPADまで伝送する。このように、モニター用スイッチSr(0)、Sr(k−1)、Sr(k)、Sr(k+1)の電圧測定点の電位を順にモニター用パッドPADまで伝送することで、枝配線VSSrにリファレンストランジスタTr9が接続する位置の電位を順に測定することができる効果がある。
【0056】
例えばモニター用スイッチSr(k)の電圧測定点を接続した位置のリファレンストランジスタTr9が破損して枝配線VSSrにショートしている場合は、その位置の枝配線VSSrの電位が上昇する。その枝配線VSSrの電位を図13に示す。図13に示す枝配線VSSrの電位は、枝配線VSSrの端部に電圧測定点を接続したモニター用スイッチSr(0)の検出する電位と、モニター用スイッチSr(k)の前後で枝配線VSSrに接続するリファレンストランジスタTr9の位置に電圧測定点を接続したモニター用スイッチSr(k−1)とSr(k+1)と、枝配線VSSrが接地ノードVSSの幹に接続する位置に電圧測定点を接続したモニター用スイッチSr(n)と、接地ノードVSSの接地パッドVSS−Pの位置の電位をあらわす。
【0057】
モニター用スイッチS(k)が電圧測定点を接続した枝配線VSSrの位置のリファレンストランジスタTr9が破損して枝配線VSSrに短絡している場合は、その位置から接地パッドVSS−Pまでに向けて枝配線VSSrに過大電流が流れるので、枝配線VSSrには、破損したリファレンストランジスタTr9の位置から接地パッドVSS−Pに向けて急な電位勾配が発生する。そのため、枝配線VSSrの各位置の電位を測定することで、この急な電位勾配を検知でき、それにより破損した(不良になった)リファレンストランジスタTr9の位置を特定することができる。このように接地ノードVSSの枝配線VSSrに接続するリファレンストランジスタTr9のソース端子の位置にモニター用スイッチSr(k)(k=0〜n)の電圧測定点を接続することで、破損したリファレンストランジスタTr9の位置を特定することができる効果がある。
【0058】
<第3の実施形態>
第3の実施形態として、図14のように、接地ノードVSSに限らず、各回路の電源ノードVSSや、出力用電源ノードVCCO、出力用接地ノードVSSO、電源用電源ノードVCCP、電源用接地ノードVSSPの枝配線に各トランジスタが接続する位置に、Ss(k)等のモニター用スイッチの電圧測定点を接続して、その枝配線における電位勾配を検出することで、破損したトランジスタの位置を特定することができる。その枝配線を図7の行走査回路102がメモリセルアレイ100以外の部分の枝配線の行として選択し、列走査回路104でその枝配線に設置したモニター用スイッチを制御するスイッチ選択回路SEを切り替える。
【0059】
一例として、図15の回路図のように、センスアンプ500の接地ノードVSSの枝配線に関して、フィードバック型バイアス回路501のトランジスタTr5のソース端子が接続する位置にモニター用スイッチSs0の電圧測定点を接続し、リファレンス用フィードバック型バイアス回路506のトランジスタTr11のソース端子が接続する位置にモニター用スイッチSs3の電圧測定点を接続し、差動型センスアンプ503のトランジスタのソース端子が接続する位置にモニター用スイッチSs1とSs2の電圧特定点を接続する。
【0060】
また、センスアンプ500の電源ノードVCCの枝配線に関して、フィードバック型バイアス回路501のトランジスタTr4のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs4の電圧測定点を接続し、リファレンス用フィードバック型バイアス回路506のトランジスタTr10のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs8の電圧測定点を接続し、負荷回路502のトランジスタTr1のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs5の電圧測定点を接続し、リファレンス用負荷回路505のトランジスタTr6のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs7の電圧測定点を接続し、差動型センスアンプ503のトランジスタのドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs6の電圧測定点を接続する。
【0061】
このセンスアンプは、16ビット構成の半導体記憶装置1では16個存在するので、その16個のセンスアンプが接地ノードVSSの1本あるいは2本の枝配線に各センスアンプの電流が流れることにより枝配線の位置によって電位が異なるが、その電位を枝配線に添って順次にモニター用スイッチで正確な電位を測定することができる効果がある。電源ノードVCCの枝配線の各センスアンプ毎の電位も同様にモニター用スイッチを用いて容易に測定できる効果がある。このように、接地ノードVSS及び電源ノードVCCにトランジスタが接続する位置にモニター用スイッチSs0からSs8の電圧測定点を接続し、モニター用スイッチの電圧測定点を接続した位置の電位の異常を検出することで、破損したトランジスタの位置を容易に特定できる効果がある。このように、簡単な電気的測定により、不良箇所が容易に判別できる効果がある。
【0062】
電源回路900のトランジスタが電源用接地ノードVSSP及び電源用電源ノードVCCPに接続する位置にも同様にモニター用スイッチの電圧測定点を接続することで、大電流が流れることで電圧降下が起き易い電源回路900の各回路素子の位置の電位を正確に測定することが可能になる。また、制御回路600の電源ノードVCC及び接地ノードVSSの各位置の電位をスイッチの電圧測定点を接続することで、制御回路600の動作の安定性を正確にモニターできる効果がある。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の半導体記憶装置1は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。すなわち、本発明の半導体記憶装置1はマスクROMに限らず、フラッシュメモリや、SRAM等の半導体メモリとセンスアンプを含む半導体記憶装置1にも同様にモニター回路を設置することができ、モニター回路を設置した半導体記憶装置1のトランジスタの破損を、モニター用スイッチで選択した位置の電圧測定点の電圧を測定することで、容易に破損したトランジスタの位置を特定できる効果が得られる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・半導体記憶装置
100、100−0、100−15・・・メモリセルアレイ
110・・・スイッチ選択信号発生回路
101・・・タイミングジェネレータ
102・・・行走査回路
103・・・行選択線
104・・・列走査回路
105・・・列選択線
106・・・ANDゲート
107・・・NANDゲート
200、200−0、200−m・・・行デコーダ
201・・・NAND回路
202・・・バッファとなるインバータ
300、300−0、300−n・・・列デコーダ
301・・・NAND回路
302・・・バッファとなるインバータ
400・・・列ゲート
500、500−0、500−15・・・センスアンプ
501・・・フィードバック型バイアス回路
502・・・負荷回路
503・・・差動型センスアンプ
504・・・リファレンス回路
505・・・リファレンス用負荷回路
506・・・リファレンス用フィードバック型バイアス回路
507・・・VREF回路
508・・・フィードバック型バイアス回路
509・・・負荷回路
600・・・制御回路
700・・・出力バッファ
800・・・アドレス入力回路
BIT0、BIT1、BIT2、BIT3、BIT0−0、BITn−0、BIT0−15、BITn−15、BIT(k−1)、BITk、BIT(k)、BIT(k+1)、BIT(n)・・・列線ノード
CG0、CG1、CG2、CG3、CGk、CGn・・・列選択トランジスタ
COL0、COL(k−1)、COL(k)、COL(k+1)、COL(n)・・・列選択ノード
COM、COM0、COM15・・・共通ノード
Dout0、Dout1、Dout15・・・出力端子
Icell・・・電流
Mmn、M0n、Mm0、Mhk、Mh0、Mh(k−1)、Mhk、Mh(k+1)、Mhm、M(h+1)0、M(h+1)(k−1)、M(h+1)k、M(h+1)(k+1)、M(h+1)n・・・メモリ素子
PAD・・・モニター用パッド
REC・・・リファレンス用共通ノード
REP・・・基準電位ノード
RF0、RF1、RE2、RF3、RFk・・・リファレンス用列選択トランジスタ
S0、S1、S2、Sh、Sm、Su、S(0)、S(h−1)、S(h)、S(h+1)・・モニター用スイッチ
Sr(0)、Sr(k−1)、Sr(k)、Sr(k+1)、Sr(n)・・・リファレンス回路モニター用スイッチ
Ss0、Ss1、Ss2、Ss3、Ss4、Ss5、Ss6、Ss7、Ss8、Ss(k)・・・センスアンプモニター用スイッチ
SEhk、SE00、SEmn・・・メモリ素子Mhkの位置のスイッチ選択回路
T1・・・メモリ素子と同じサイズのトランジスタ
T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T10・・・トランジスタ
Tr1、Tr2・・・負荷トランジスタ
Tr3・・・バイアストランジスタ
Tr4、Tr5、Tr6、Tr7、Tr10、Tr11・・・トランジスタ
Tr8・・・リファレンス用バイアストランジスタ
Tr9・・・リファレンストランジスタ
VCC・・・電源ノード
VCCO・・・出力用電源ノード
VCCP・・・電源用電源ノード
VCC−P・・・電源パッド
VCCO−P・・・出力用電源パッド
VCCP−P・・・電源用電源パッド
VSS・・・接地ノード
VSSr、VSS0、VSS1、VSS2、VSS(m−1)、VSSm、VSS(m+1)、VSS(m+2)、VSS(m+3)、VSSh・・・枝配線
VSSO・・・出力用接地ノード
VSSP・・・電源用接地ノード
VSS−P・・・接地パッド
VSSO−P・・・出力用接地パッド
VSSP−P・・・電源用接地パッド
WLh、WLm、WL0、WL1、WL2、WL3・・・行線ノード
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模な半導体記憶装置の内部配線の電圧状態を簡単な手法でモニターし、内部回路の動作状態を判定するモニター回路システムを有する半導体記憶装置及びその回路の電位測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ等の大規模な半導体チップでは、電源等の配線長が長くなり、寄生抵抗による電圧降下、あるいは基準電圧(VSS)の上昇により、回路動作のマージンがなくなる等の問題があり、さらに、これらの要因による不良モードの確認が困難であった。また、半導体チップの量産時に、工程内のごみあるいは欠陥等により、半導体チップに不良が発生して、例えば、チップ内の配線あるいはトランジスタが破壊して予期しない電流が流れることがあり、歩留まりが低下することも良くあることであった。
【0003】
そのため、半導体チップの内部配線の電位を確認して半導体チップの不良モードを確認する必要があった。しかし、そのためには、チップのパッシベーション膜(保護膜)を剥離する必要があり、タングステン等の針を確認したい箇所に当て、電圧を測定していた。また、工程内の欠陥等により半導体チップに不良品が発生した場合は、不良個所に集中して電流が流れる。通常、このような、破壊電流や、リーク電流を解析する手法として、レーザー光照射によるOBIRCH発光解析や、電子ビーム照射によるホットエレクトロン検知による発光確認を行い、不良箇所を確認する手法が取られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−171920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この手法では、大掛かりな装置を必要として、時間もかかり、大変な労力を要する問題があった。また、測定の精度が悪い問題もあった。そのため、本発明は、特許文献1のような内部回路の電圧を測定する手段を半導体チップ内に設置することで、内部配線の電圧状態を簡単な手法でモニターし、内部回路の動作状態を判定するモニター回路システムを提供することを課題とする。また、歩留まり等の不良解析に利用し、不良箇所を短期間に解析できる手法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、接地ノードあるいは電源ノードに接続する枝配線を有する半導体記憶装置において、電源ノードあるいは接地ノードに接続する少なくとも1つの枝配線の複数箇所に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを有し、クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記スイッチ選択信号発生回路で選択されてゲートが開かれたモニター用スイッチを介して前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置である。
【0007】
また、本発明は、メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、前記メモリ素子に接続する接地ノードの枝配線を有する半導体記憶装置において、前記メモリ素子に接続する枝配線の少なくとも端部に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを前記枝配線毎に有し、クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記電圧測定点をゲートが開かれた前記モニター用スイッチを介してモニター用パッドに接続することで前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置である。
【0008】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置において、前記メモリセルアレイのメモリ素子から読み出した信号を増幅する複数のセンスアンプを有し、前記少なくとも1つの枝配線が前記センスアンプの接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置である。
【0009】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置において、前記少なくとも1つの枝配線が電源回路の電源用接地ノード又は電源用電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置である。
【0010】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置において、前記少なくとも1つの枝配線が制御回路の接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置である。
【0011】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、前記枝配線の各部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法である。
【0012】
また、本発明は、上記の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、各前記枝配線の端部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、半導体記憶装置において、電位を測定したい箇所(回路として特に重要な箇所)に、あらかじめ電圧モニター用スイッチの電圧測定点を接続し、モニター用スイッチのゲートを開いてその電圧測定点をモニター用パッドPADに接続することで、電圧測定点の電位をモニター用パッドPADから外部に引き出して、被測定箇所の電圧測定点の電位を読み出す構成にする。これにより、内部電位を観測することで不良箇所を容易に特定できる効果がある。そのため、半導体記憶装置の試作段階で、動作マージンが確認できる効果があり、また、不良が発生した場合の解析が容易になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の半導体記憶装置の回路のブロック図である。
【図2】本発明の半導体記憶装置の1ビットの記憶回路の回路図である。
【図3】本発明の半導体記憶装置の16ビットの記憶回路の回路図である。
【図4】本発明の半導体記憶装置の半導体チップにおける全体レイアウトと電源配線の結線の構成の全体レイアウト図である。
【図5】本発明の半導体記憶装置のセンスアンプの回路図である。
【図6】本発明の半導体記憶装置のセンスアンプのREF回路の回路図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の、モニター回路の回路図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の、スイッチ選択信号発生回路の全体レイアウト図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の、半導体記憶装置の半導体チップの全体レイアウトにおける接地ノードVSSの分岐配線へのモニター用スイッチの設置位置を示す全体レイアウト図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の、メモリセルアレイの部分を中心にした回路図である。
【図11】(a)本発明の第1の実施形態の、行線ノードWLhに沿った接地ノードVSSの枝配線VSShの各位置の電位の大きさをあらわすグラフである。(b)本発明の第1の実施形態の、接地ノードVSSの各枝配線の端部の電位の大きさをあらわすグラフである。
【図12】本発明の第2の実施形態の、モニター用スイッチの枝配線VSSrへの設置位置を示す回路図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の、枝配線VSSrの各位置の電位の大きさをあらわすグラフである。
【図14】本発明の第3の実施形態の、半導体記憶装置の半導体チップの全体レイアウトにおける接地ノードVSSの分岐配線へのモニター用スイッチの設置位置を示す全体レイアウト図である。
【図15】本発明の第3の実施形態のセンスアンプの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、メモリの代表例として、本発明の一実施形態による不揮発性半導体記憶装置であるマスクROMの半導体記憶装置1の回路のブロック図である。
【0016】
本実施形態において、半導体記憶装置1は、図1に示すように、メモリセルアレイ100、行デコーダ200、列デコーダ300、列ゲート400、センスアンプ500、及び制御回路600、出力バッファ700、アドレス入力回路800から構成されている。
【0017】
制御回路600は、接続先のマイクロコンピュータなどホストから入力される制御用信号を一時的に格納し、動作ロジックの制御を行う。出力バッファ700は、メモリセルアレイ100を読み出したデータの信号を出力する。アドレス入力回路800は、半導体記憶装置1の外部から入力されたアドレスを一時的に格納し、そのアドレスを行デコーダ200と列デコーダ300が変換して、メモリセルアレイ100のメモリ素子Mhk(h=0〜m、k=0〜n)を選択する行選択信号と列選択信号を生成する。
【0018】
図2は、図1の半導体記憶装置1がマスクROMの場合の、1ビットの記憶回路の回路図の例を示す。図2の回路図のように、メモリセルアレイ100には、記憶の最小単位であるメモリ素子M00からM23が半導体記憶装置1の集積回路チップの領域に規則正しく縦横にマトリックス状に並べられている。行方向に配列されるメモリ素子M00からM03のゲートに共通に、行デコーダ200の行線ノードWL0が接続され、行選択信号が出力されることにより選択される。行方向に配列されるメモリ素子M10からM13のゲートには共通に行線ノードWL1が接続され、メモリ素子M20からM23のゲートには共通に行線ノードWL2が接続されている。そして、メモリ素子M00からM03のソース端子に共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS0が接続し、メモリ素子M10からM13のソース端子に共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS1が接続し、メモリ素子M20からM23のソース端子に共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS2が接続する。各メモリ素子Mhk(h=0〜2、k=0〜3)毎に、メモリ素子の根元のソース端子が接地ノードVSSの枝配線に接続する箇所に、後に説明するモニター用スイッチS0、S1、S2とその他のモニター用スイッチを設置する。
【0019】
また、列方向に配列される各メモリ素子Mh0(h=0〜2)のドレインには共通に、列ゲート400の列線ノードBIT0が接続される。列線ノードBIT0は、列ゲート400の列選択トランジスタCG0のソース端子に接続する。列選択トランジスタCG0のゲートには列デコーダ300の列選択ノードCOL0が接続される。列選択ノードCOL0にはリファレンス用列選択トランジスタRF0のゲートも接続される。その列選択ノードCOL0には列デコーダ300から列選択信号が送信されて列ゲート400の列選択トランジスタCG0及びリファレンス用列選択トランジスタRF0が駆動される。列ゲート400の列選択トランジスタCG0からCG3のドレインがセンスアンプ500の共通ノードCOMに接続する。列ゲート400のリファレンス用列選択トランジスタRF0からRF3のドレインがセンスアンプ500のリファレンス用共通ノードRECに接続する。リファレンス用列選択トランジスタRF0からRF3のソース端子には、リファレンストランジスタTr9のドレイン端子が接続し、リファレンストランジスタTr9のソース端子は接地ノードVSSの枝配線VSSrに接続する。リファレンストランジスタTr9は、そのゲート端子にVREF回路507のREFノードを接続して制御される。
【0020】
列方向に配列される各メモリ素子Mh1(h=0〜2)のドレインには共通に列ゲート400の列線ノードBIT1が接続され、列線ノードBIT1が、列デコーダ300の列選択ノードCOL1にゲートが接続されている列選択トランジスタCG1のソース端子に接続する。列方向に配列される各メモリ素子Mh2(h=0〜2)のドレインには共通に列ゲート400の列線ノードBIT2が接続され、その列線ノードBIT2が、列デコーダ300の列選択ノードCOL2にゲートが接続されている列選択トランジスタCG2のソース端子に接続する。各メモリ素子Mh3(h=0〜2)のドレインには共通に、列ゲート400の列線ノードBIT3が接続され、列線ノードBIT3が、列デコーダ300の列選択ノードCOL3にゲートが接続されている列選択トランジスタCG3のソース端子に接続する。
【0021】
図3に、このマスクROMの回路の16ビットの記憶回路の具体例を示す。この半導体記憶装置1は16ビット構成(出力端子Doutが16個ある)なので、メモリセルアレイ100は、100−0〜100−15までの16ブロックに分かれている。共通ノードCOM0は、第0ビットの共通ノードであり、第0ビット用のセンスアンプ500−0と列ゲート400の列選択トランジスタCG0−0からCGn−0に共通に接続する。共通ノードCOM15は、第15ビットの共通ノードであり、第15ビット用のセンスアンプ500−15と列ゲート400の列選択トランジスタCG0−15からCGn−15に共通に接続する。0ビット用の列選択トランジスタCGk−0(k=0〜n)のソース端子が列線ノードBITk−0に接続し、15ビット用の列選択トランジスタCGk−15のソース端子が列線ノードBITk−15に接続する。
【0022】
第0ビットのメモリセルアレイ100−0に、(m+1)×(n+1)個のマトリックス状にメモリ素子M00−0〜Mmn−0を配置する。第15ビットのメモリセルアレイ100−15に、(m+1)×(n+1)個のマトリックス状にメモリ素子M00−15〜Mmn−15を配置する。第0ビットのメモリセルアレイ100−0に行方向に配列するメモリ素子Mh0−0(h=0〜m)からMhn−0のゲート端子に共通に、行デコーダ200の行線ノードWLhを接続する。列方向に配列されるメモリ素子M0k−0(k=0〜n)からMmk−0のドレイン端子に共通に、列ゲート400の列線ノードBITk−0を接続する。また、メモリ素子のソース端子は、全て共通に接地ノードVSS(GND)に接続する。ただし、行方向のメモリ素子M00−0からM0n−0のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS0に接続し、行方向のメモリ素子Mm0−0からMmn−0のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSSmに接続する。
【0023】
第0ビットのメモリセルアレイ100−0の信号増幅用のセンスアンプ500-0から出力バッファ回路700を介して、出力端子Dout0から出力信号をチップ外部に出力させる。第1ビット用から第15ビット用のメモリセルアレイ100−1〜100−15についても同様な構成にし、出力信号を出力端子Dout1からDout15に出力させる。すなわち、第15ビット用のメモリ素子は、行方向のメモリ素子M00−15からM0n−15のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSS0に接続し、行方向
のメモリ素子Mm0−15からMmn−15のソース端子を共通に、接地ノードVSSの枝配線VSSmに接続する。ここで、第0ビットから第15ビットのメモリ素子で、同じ行線ノードWLhで選択されるメモリ素子群が複数のグループに分けられて、それぞれのグループ毎に1本の枝配線VSSmに接続しても良い。
【0024】
200−0〜200−mは行デコーダであり、行毎に、アドレス入力回路800から行アドレスが入力されるNAND回路201とバッファとなるインバータ202とで構成され、出力を行線ノードWLhに出力する回路を有する。行デコーダ200の行線ノードは、WL0〜WLmであり、メモリセルアレイ100に配列されたメモリ素子Mhkの行が選択される。
【0025】
300−0〜300−nは列デコーダであり、列毎に、アドレス入力回路800から列アドレスが入力されるNAND回路301とバッファとなるインバータ302とで構成され、出力の列選択信号を列線ノードCOLkに出力する回路を有する。列デコーダ300から列選択信号を列選択ノードCOLkに出力し、その列選択ノードCOLkがゲートが接続する列ゲート400の列選択トランジスタCGk−0からCGk−nのゲートを開く。第0ビットの列選択トランジスタCGk−0のゲートが開かれた場合には、列選択トランジスタCGk−0を介して、センスアンプ500−0の共通ノードCOM0が列線ノードBITk−0に接続する。これにより、メモリセルアレイ100−0に配列されたメモリ素子Mhkの列が選択される。こうして、行デコーダ200で行が選択され列デコーダ300で列が選択されることでメモリ素子Mhkが選択される。
【0026】
図4に、半導体記憶装置1の集積回路の半導体チップにおける全体レイアウトと電源配線の結線の構成を示す。メモリセルアレイ100やセンスアンプ500や制御回路600には、通常の電源パッドVCC−Pに電源ノードVCCを接続し、接地パッドVSS−Pに接地ノードVSSを接続する。接地ノードVSSは、メモリセルアレイ100の領域で、枝配線VSS0、VSS1、VSS2、・・・、VSS(m−1)、VSSm、VSS(m+1)、VSS(m+2)、VSS(m+3)、・・・、VSS(2m)、VSS(2m+1)に分岐する。一方、出力回路700や電源回路(チャージポンプ回路)900には大電流及び過渡電流が多く流れるので、通常の電源配線と分けた専用の電源配線を形成する。すなわち、出力回路700用の出力用電源ノードVCCOと出力用接地ノードVSSOや、電源回路(チャージポンプ回路)900の電源用電源ノードVCCPと電源用接地ノードVSSPには、通常の電源配線と分けた専用の電源配線を形成し、出力回路700用には、出力用電源パッドVCCO−Pから出力用電源ノードVCCOを配線し、出力用接地パッドVSSO−P(出力回路用)から出力用接地ノードVSSOを配線する。また、電源回路900用には、電源用電源パッドVCCP−Pから電源用電源ノードVCCPを配線し、電源用接地パッドVSSP−P(電源回路用)から電源用接地ノードVSSPを配線する。これにより、出力回路700や電源回路(チャージポンプ回路)900の電源ノイズの影響が、センスアンプ500のような、重要なアナログ回路に影響をしないように配線する。
【0027】
(センスアンプ)
図5は半導体記憶装置1中のセンスアンプ500の回路の一例である。センスアンプ500は、電源ノイズあるいは、電圧レベルの影響を最も受け易い回路である。このセンスアンプ500は、Pチャネル型の負荷トランジスタTr1とTr2から成る負荷回路502を有し、また、共通ノードCOMにソース端子を接続しドレイン端子を負荷トランジスタTr2のドレイン端子に接続するNチャネルのバイアストランジスタTr3を有する。バイアストランジスタTr3の高速化のために、Pチャネル型のトランジスタTr4とNチャネル型のトランジスタTr5から成るフィードバック型バイアス回路501を設ける。そして、バイアストランジスタTr3のゲート端子には、フィードバック型バイアス回路501のトランジスタTr4のドレイン端子とトランジスタTr5のドレイン端子の接続点のノードを接続する。また、トランジスタTr5のソース端子を接地ノードVSSに接続する。
【0028】
センスアンプ500のバイアストランジスタTr3のソース端子を共通ノードCOMに接続する。この共通ノードCOMは、図2及び図3に示したように、列ゲート400の列選択トランジスタCG0からCGnのドレイン端子に共通に接続する。図5では、それらの列選択トランジスタを代表させた1つの列選択トランジスタCGkを示す。列選択トランジスタCGkのゲート端子は、図2及び図3に示したように、列選択ノードCOLkに接続し、列選択トランジスタCGkのソース端子は列線ノードBITkに接続する。
【0029】
この列線ノードBITkは、図2及び図3に示したように、メモリセルアレイ100のメモリ素子M0kからMmkのドレイン端子に共通に接続する。図5では、それらのメモリ素子を代表させた1つのメモリ素子Mhkを示す。メモリ素子Mhkのゲート端子は、図2及び図3に示したように、行デコーダ200の行線ノードWLhに接続し、メモリ素子Mhkのソース端子は接地ノードVSSに接続する。ここで、図2及び図3に示すように、メモリ素子Mh0からMhnが共通の枝配線を成す接地ノードVSShに接続する。すなわち、接地ノードVSSは、その枝配線を成す接地ノードVSS0から接地ノードVSSmまでのm+1本の枝配線の接地ノードを有する。そして、メモリ素子M00からM0nを1つの枝配線の接地ノードVSS0に接続し、メモリ素子Mm0からMmnを1つの枝配線の接地ノードVSSmに接続する。ただし、図4のようにメモリセルアレイ100を左右のブロックに分けた場合は、中央で主幹となる接地ノードVSSの配線に1本の枝配線の接地ノードVSShが交差して中央で接続する。そのため、主幹の接地ノードVSSから左右の2本の枝配線VSShに分かれる形に配線される。
【0030】
(差動型センスアンプ)
図5のように、センスアンプ500の回路の判定部分である差動型センスアンプ503はカレントミラー回路で構成される。差動型センスアンプ503の差動入力の一方の端子には、メモリ素子Mhkからの信号がバイアストランジスタTr3を経由して入力される。すなわち、行デコーダ200から行選択信号が送信された行線ノードWLhがゲートに接続することでゲートが開かれたメモリ素子Mhkのドレイン端子が接続する列線ノードBITkが、列デコーダ300からの列選択信号で選択されてゲートが開かれた列選択トランジスタCGkを経由して共通ノードCOMに接続する。そして、その共通ノードCOMがバイアストランジスタTr3を経由して、差動型センスアンプ503の差動入力の一方の端子に接続する。詳しくは、バイアストランジスタTr3のドレイン端子と、負荷回路502の負荷トランジスタTr2のソース端子と、差動型センスアンプ503の一方の差動入力端子とが同じノードに接続し、バイアストランジスタTr3のドレイン端子からメモリ素子Mhkのドレインの電位が差動型センスアンプ503の一方の差動入力端子へ伝達される。差動型センスアンプ503の他方の差動入力端子には、リファレンス回路504におけるトランジスタTr6とTr7で構成されるリファレンス用負荷回路505のソース端子と、リファレンス用バイアストランジスタTr8のドレイン端子の接続する基準電位ノードREPを接続する。
【0031】
(リファレンス回路)
リファレンス回路504は、フィードバック型バイアス回路501に対応するリファレンス用フィードバック型バイアス回路506と、負荷回路502に対応するリファレンス用負荷回路505と、バイアストランジスタTr3に対応するリファレンス用バイアストランジスタTr8と、メモリ素子Mhkと同等の素子のリファレンストランジスタTr9と、列選択トランジスタCGkに対応するリファレンス用列選択トランジスタRFkとにより構成し、フィードバック型バイアス回路501と負荷回路502とバイアストランジ
スタTr3と列選択トランジスタCGkとメモリ素子Mhkが構成する回路と対称な回路構成にし、リファレンス用負荷回路505のドレイン端子とリファレンス用バイアストランジスタTr8のドレイン端子の接続する基準電位ノードREPに、メモリ素子Mhk側の差動入力端子のノードに加わる電位に対応する電位を加える。リファレンス用列選択トランジスタRFkは、図2における列選択トランジスタCG0からCG3に対応するリファレンス用列選択トランジスタRF0からRF3のように、複数の列選択トランジスタCGkに対応する複数のトランジスタである。リファレンストランジスタTr9のゲート端子にはVREF回路507のREFノードを接続する。REFノードに加わる信号は、メモリ素子Mhkのゲートに接続する行線ノードWLhに加えられる行選択信号に対応するリファレンストランジスタ選択信号をVREF回路507から加える。
【0032】
(VREF回路)
VREF回路507を図6に示す。VREF回路507は、メモリ素子Mhkと同じ大きさのトランジスタT1と、列選択トランジスタCGkに対応するトランジスタT2と、センスアンプ回路500のフィードバック型バイアス回路501に対応してトランジスタT6とT7から成るフィードバック型バイアス回路508と、負荷回路502に対応してトランジスタT4とT5から成る負荷回路509と、バイアストランジスタTr3に対応するトランジスタT3と、トランジスタT8、T9、T10で構成する。トランジスタT1のドレインにトランジスタT2のソース端子を接続し、トランジスタT2のドレインにトンジスタT3のソース端子とフィードバック型バイアス回路508とを接続する。そして、トランジスタT3のドレイン端子と負荷回路509のドレイン端子が接続するノードにトランジスタT9のゲート端子を接続する。トランジスタT9のソース端子にトランジスタT8のドレイン端子を接続し、トランジスタT9のドレイン端子にトランジスタT10のドレイン端子及びゲート端子と、REFノードを接続する。このREFノードからリファレンストランジスタ選択信号をリファレンス回路504のリファレンストランジスタTr9のゲート端子に向けて出力する。
【0033】
VREF回路507は、トランジスタT1をメモリ素子Mhkと同じ大きさにすることにより、トランジスタT1に流れる電流の大きさをメモリ素子Mhkに流れる電流Icellと同じ大きさにする。また、トランジスタT9の大きさをトランジスタT4と同じ大きさにすることで、トランジスタT9に流れる電流の大きさをトランジスタT4に流れる電流Icellと同じ大きさにするため、その上で、トランジスタT10の大きさをリファレンストランジスタTr9の2倍にすることで、リファレンストランジスタTr9に流れる電流をトランジスタT10に流れる電流Icellの2分の1にする。
【0034】
(センスアンプの動作)
センスアンプ500は、図5のように、差動型センスアンプ503が、リファレンス回路504が生成する基準電位ノードREPの電位と、メモリ素子Mhkから列選択トランジスタCGkとバイアストランジスタTr3等を経由した信号の電位を比較してメモリ素子Mhkの充電状態か放電状態かを精密に検知してメモリセルアレイ100の記憶データを読み出す。
【0035】
センスアンプ500の動作を以下で詳しく説明する。センスアンプ500は、先ず、電源ノードVCCから、負荷回路502とバイアストランジスタTr3、及び、ゲートが開かれた列選択トランジスタCGkを介して列線ノードBITkを充電する。列線ノードBITkが約1V程度充電されたところで、フィードバック型バイアス回路501の出力がLOWとなり、列線ノードBITkの充電が止まり、列線ノードBITkが概略1Vにクランプされる。リファレンス回路504側も同様な動作をするが、リファレンストランジスタTr9の電流を、メモリ素子Mhkより少なめに設定しているので、メモリ素子Mhkに電流が流れるとセンスアンプ500の出力は"1"となり、メモリ素子Mhkのほうが
電流が少ない(流れない)場合は、センスアンプ500出力は"0"となり、微小な電流を検出できる。
【0036】
このセンスアンプ500の特徴は、高速であるが、フィードバック型バイアス回路501を用いているので、電源の少しのゆれにも敏感であり、また、微小な電圧降下により、動作点が変わってしまうという欠点がある。半導体記憶装置1は、図4で示すように電源を配線することにより、極力電位の変化を少なくする設計はしているが、実際は、いろいろな要因で電圧が変化しており、動作マージンを落としている。しかし、半導体記憶装置1の電源電圧が低く、その電源電圧の変化も微小電圧であるため、従来は電源電圧の変化の解析が容易でなかった。
【0037】
(モニター回路)
この問題を解決するために、本実施形態では、図7に示すモニター回路を半導体記憶装置1に組み込む。メモリ素子Mhk(h=0〜m、k=0〜n)毎にスイッチ選択回路SEを設置し、半導体記憶装置1にスイッチ選択回路SE00からSEmnを設置する。そして、図8のように、スイッチ選択信号発生回路110の行走査回路102の行選択線103を、行線ノードWLh(h=0〜m)に平行に沿って配線して、行方向に配列するメモリ素子Mhkの位置のスイッチ選択回路SEhkに接続する。列走査回路104の列選択線105を、各列線ノードBITk−0からBITk−15に対応させて、それらの列線ノードの配線に平行に沿って配線し、列選択線105を、列方向に配列するメモリ素子Mhkの位置に設置したスイッチ選択回路SEhkに接続する。ここで、スイッチ選択回路SEhkは、16ビットの半導体記憶装置1の場合は、メモリアドレスの数のm×nの16倍のメモリ素子Mhkのセルの数だけ設置するが、説明の簡単化のため、1ビットの半導体記憶装置1の場合を記載した。
【0038】
また、モニター用スイッチのゲートの開閉は、図7のように、スイッチ選択回路SE00からSEmnの2つの出力端子の信号によって、各モニター用スイッチS0からSuのゲートを開閉する。各モニター用スイッチの電圧測定端子をメモリ素子Mhkのソース端子が接続する接地ノードVSSの枝配線の位置に接続する。こうして、メモリ素子Mhk毎のモニター用スイッチのゲートを、メモリ素子Mhk毎のスイッチ選択回路SEhkで開くことで、メモリ素子Mhk毎の回路の電位をモニター用パッドPADに伝送する。1つのスイッチ選択回路SEhkが複数のモニター用スイッチに接続するように構成することが可能であり、その場合は複数のモニター用スイッチが同時に複数の電圧信号を複数のモニター用パッドPADに送信する。
【0039】
図7のように、各モニター用スイッチS0からSuは、Nチャネル型のトランジスタとPチャネル型のトランジスタで構成する。スイッチ選択信号発生回路110は、CLK信号に同期するタイミングジェネレータ101と、それにより駆動される、カウンタ回路やシフトレジスタ等から成る行走査回路102と列走査回路104を有する。これにより、タイミングジェネレータ101がCLK信号に同期してスイッチ選択信号発生回路110の行走査回路102と列走査回路104を駆動し、行走査回路102が行選択線103に順次にモニター用スイッチの配列の行を選択する読出しパルスを送信し、列走査回路104が列選択線105に順次にモニター用スイッチの配列の列を選択する読出しパルスを送信し、モニター用スイッチの配列の行と列を選択する。そして、メモリ素子Mhkの位置で交差する行選択線103と列選択線105を、スイッチ選択回路SEhkの2つの入力端子に接続し、それをスイッチ選択回路SEhkのANDゲート106とNANDゲート107の2つ入力端子それぞれに接続する。
【0040】
スイッチ選択回路SEhkのANDゲート106とNANDゲート107の出力端子から、モニター用スイッチのNチャネル型のトランジスタ用の信号とPチャネル型のトラン
ジスタ用の信号を、ハイレベルとロウレベルとを反転させて作成し、それぞれの信号を、モニター用スイッチのNチャネル型のトランジスタのゲート電極と、Pチャネル型のトランジスタのゲート電極に入力する。これにより、行走査回路102と列走査回路104の読出しパルスによって配置位置が選ばれたスイッチ選択回路SEhkがメモリ素子Mhk用のモニター用スイッチのゲートを開いて、電圧測定端子が接続したメモリ素子Mhkの回路の電位をモニター用パッドPADに伝送する。これにより、モニター用パッドPADにモニター用スイッチの測定点の電位を伝達することで、モニター用スイッチの各測定点の電位をCLK信号に同期して順番に測定することができる。
【0041】
図9のように、接地ノードVSSの枝配線には、枝配線VSS0、VSS1、VSS2、・・・、VSS(m−1)、VSSm、VSS(m+1)、VSS(m+2)、VSS(m+3)、・・・、VSS(2m)、VSS(2m+1)等がある。図9では、メモリセルアレイ100の接地ノードVSSの主幹の左側の枝配線の端点にモニター用スイッチS0からSmを設置する。接地ノードVSSの主幹の右側の枝配線の端にも同じくモニター用スイッチS(m+1)からS(2m+1)を設置する。
【0042】
(欠陥素子の探索)
図10に、半導体記憶装置1のメモリセルアレイ100の部分を中心にした回路図を示す。半導体記憶装置1の接地パッドVSS−Pから縦方向に伸びる接地ノードVSSの配線は、主配線となるので、配線幅を太く設定することで配線抵抗が極力低くなるように設定する。図10では、メモリセルアレイ100のメモリ素子Mhkのソース端子近くのモニター用スイッチS(k)の配置と配線位置に注目するために、行デコーダ200、列デコーダ300等の回路は省略している。メモリセルアレイ100はm行×n列のメモリ素子Mhkで構成されるが、図10では、行線ノードWLhとWL(h+1)で選択されるh行目、h+1行目を示し、列線ノードBIT0、BIT(k−1)、BIT(k)、BIT(k+1)、BIT(n)で選択される0列目、(k−1)列目、k列目、(k+1)列目、n列目を示している。行線ノードWLhで選択されるメモリ素子Mh0からMhnのソース端子は共通に枝配線VSShに接続し、枝配線VSShが接地ノードVSSの縦配線に接続する。行線ノードWL(h+1)で選択されるメモリ素子M(h+1)0からM(h+1)nのソース端子は共通に枝配線VSS(h+1)に接続し、枝配線VSS(h+1)が接地ノードVSSの縦配線に接続する。接地ノードVSSの縦配線は、大きな電流容量を得るために太い幅で形成して抵抗値を小さくする。
【0043】
ここで、図8のスイッチ選択信号発生回路110で、列走査回路104を、列線ノードBIT0の位置のスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に接続する列選択線105のみを選択するように停止させ、行走査回路102のみを走査させる。一方、スイッチ選択信号発生回路110のタイミングジェネレータ101の動作に同期させて、列走査回路104のかわりに、メモリセルアレイ100の列を選択する列デコーダ300を動作させて、列線ノードBITk(k=0〜n)を順次に選択させる。
【0044】
通常の半導体記憶装置の記憶読み出し動作では、メモリセルアレイ100から以下の様にしてメモリ素子Mhk(h=0〜m、k=0〜n)が読み出されている。すなわち、列デコーダ300から、メモリセルアレイ100の列選択ノードCOLk(k=0〜n)に列選択信号が送信されて、列選択ノードCOLkにゲート端子が接続する列選択トランジスタCGk(k=0〜n)に届くと、列選択トランジスタCGkのゲートが開いて、センスアンプ500の共通ノードCOMが列選択トランジスタCGkを介して列線ノードBIT(k)(k=0〜n)に接続される。そして、行選択信号が行線ノードWLh(h=0〜m)に送信されることで行が選択されると、行と列が選択され、メモリ素子Mhkが選択される。選択されたメモリ素子Mhkの記憶データが"1"であれば、メモリ素子Mhkがオンして、センスアンプ500の共通ノードCOMから、ゲートが開かれた列選択トラ
ンジスタと列線ノードBIT(k)を経由して、メモリ素子Mhkから接地ノードVSSへ電流が流れ、接地ノードVSSの接地パッドVSS−Pから電流が流出する。また、メモリ素子Mhkの記憶データが"0"であれば、Mhkはオフとなり、電流は流れない。この電流を列線ノードBIT(k)に列選択トランジスタCGkを介して共通ノードCOMで接続するセンスアンプ500により検知して、データを判定する。
【0045】
ここで、1つのメモリ素子Mhkが破壊して、例えば、列線ノードBIT(k)と接地ノードVSSの枝配線VSShがショートしている場合は、行線ノードWLkに行選択信号が送信され無くても、列線ノードBIT(k)から接地ノードVSSの枝配線VSShに電流が流れる。このような不良の場合、破壊しているのは、1つのメモリ素子Mhkだけであるが、列デコーダ300により列選択ノードCOLkが選択されることで、センスアンプ500の共通ノードCOMが列線ノードBIT(k)に接続されると、行デコーダ200がどの行線ノードWLを選択しても、常にセンスアンプ500の共通ノードCOMに電流が流れてしまう。そのため、従来の半導体記憶装置1では、不良となった1つのメモリ素子Mhkがどの行のメモリ素子であるかの位置の特定が困難であった。
【0046】
本実施形態は、以下のようにしてこの問題を解決する。図8のスイッチ選択信号発生回路110で、先ず、列線ノードBIT0の位置のスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に接続する列選択線105のみを選択する。そして、半導体記憶装置1の列デコーダ300を動作させて列選択ノードCOLk(k=0〜n)を順次に選択し、それにより列線ノードBITkをセンスアンプ500の共通ノードCOMkに接続する。列デコーダ300の動作に同期して、すなわち、1つの列選択ノードCOLkが選択されている間に、タイミングジェネレータ101が行走査回路102を走査させて行選択線103の選択を切り替える。これにより、接地ノードVSSの各枝配線の電位を測定して、破損したメモリ素子Mhkが短絡している接地ノードVSSの枝配線VSShを発見することができる。
【0047】
図11を参照して、本実施形態の半導体記憶装置1のメモリセルアレイ100の不良となったメモリ素子を特定する方法を具体的に説明する。図11(a)に、行線ノードWLhに沿った接地ノードVSSの枝配線VSShの各位置の電位の大きさをあらわすグラフを示す。この枝配線VSShの端部の位置(0)にモニター用スイッチShの電圧測定点が接続される。図11で、(k−1)はメモリ素子Mh(k−1)の位置、(k)はメモリ素子Mhkの位置、(k+1)はメモリ素子Mh(k+1)の位置をあらわし、VSS−Pは接地パッドVSS−Pの位置をあらわす。図11(a)に、実線により、メモリ素子Mhkが破壊して過大電流が流れているh行目のメモリ素子Mh0からMhnの接地ノードVSSの枝配線の各位置の電位を示し、破線により、過大電流が流れていない正常な(h+1)行目のメモリ素子M(h+1)0からM(h+1)nの接地ノードVSSの枝配線の各位置の電位を示す。
【0048】
メモリセルアレイ100の行線ノードWLh(h=0〜m)で選択される行方向に配置されたメモリ素子のソース端子が接続する接地ノードVSSの枝配線VSSh(h=0〜m)は、半導体記憶装置1の集積回路チップにおけるメモリセルアレイ100の領域内に設けられているので、あまり配線幅を太く出来ない都合から、その配線が生じる抵抗は無視できない大きさの値を持つ。そのため、1つのメモリ素子Mhkが破壊して過大電流が流れている場合は、枝配線VSShにおいて、破壊したメモリ素子Mhkのソース端子が接続する枝配線VSShの位置から接地パッドVSS−Pまでに向けて過大電流が流れるので、破壊しているメモリ素子Mhkの位置(k)から接地パッドVSS−Pに向けて急な電位勾配が発生する。一方、破壊したメモリ素子Mhkの位置(k)から接地パッドVSS−Pとは反対側の配線の端部(左側端)のモニター用スイッチShの位置までの部分には電流が流れていないので電位勾配が無く、枝配線VSShの端部のモニター用スイッチShの位置の電位は、破壊したメモリ素子Mhkが接続する枝配線VSShの位置(k)
の電位と同じ大きさになる。
【0049】
そのため、図8のスイッチ選択信号発生回路110の列走査回路104が、列線ノードBIT0の位置のスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に接続する列選択線105のみを選択し、その列選択線105に接続する図9のモニター用スイッチS0からSmを選択する。これらのモニター用スイッチS0からSmは、行線ノードWLhに平行する枝配線VSShの端部Shに電圧測定点を接続して電位を測定するものである。そして、行走査回路102を動作させて行を走査しつつ、スイッチ選択信号発生回路110のタイミングジェネレータ101の動作に同期させて、列デコーダ300と列ゲート400を動作させて、メモリセルアレイ100の列線ノードBITk(k=0〜n)に順次に電圧を加える。
【0050】
メモリセルアレイ100の破損した1つのメモリ素子Mhkが接続する列線ノードBITkに電圧を加えた場合に、行走査回路102が選択する各行のモニター用スイッチS0からSmがモニター用パッドPADに伝送する電圧を図11(b)に示す。メモリ素子Mhkが破壊して過大電流が流れる場合には、メモリセルアレイ100の列線ノードBITkに電圧を加えた場合に、破壊したメモリ素子Mhkが接続する枝配線VSShの端部での電位が浮き上がり、それ以外の、正常なメモリ素子のみが接続する枝配線の端部の電位は低いので、不良のメモリ素子が接続した枝配線が判別できる。こうして、スイッチ選択信号発生回路110を用いることで、破損したメモリ素子Mhkを検出することができる効果がある。
【0051】
なお、メモリセルアレイ100が図9のように、接地ノードVSSの主幹の左右の領域に分割されている場合は、図9の左端の列選択線105を列走査回路104に選択させて上記の処理を行った後に、図9の右端の列選択線105を列走査回路104に選択させて、枝配線の右端のモニター用スイッチを用いて右側のメモリセルアレイ100の列線ノードBITk(k=0〜n)に順次に電圧を加えつつ、行走査回路102が各行の右側の枝配線の右端の電位をモニター用スイッチのゲートを開いてモニター用パッドPADに伝送して、図11(b)のように電圧を測定する。
【0052】
本実施形態では、メモリセルアレイ100のメモリ素子Mhkの破壊の有無を検査すべく、列デコーダ300から順次に列選択ノードCOLk(k=0〜n)に、第k列(k=0〜n)を選択する列選択信号を送信する。一方、検査すべきメモリ素子Mhkの第h行の選択は、スイッチ選択信号発生回路110の行走査回路102から順次にスイッチ選択回路SEh0(h=0〜m)に読出しパルスを送信してモニター用スイッチShを選択してそのゲートを開くことで、メモリセルアレイ100の接地ノードVSSの第h行の枝配線を選択して、その枝配線の端部を、枝配線の配置の順にモニター用パッドPADに接続する。こうして、順に選択した接地ノードVSSの枝配線VSShの端部の電位をモニター用スイッチShでモニター用パッドPADに接続してモニター用パッドの電位を図11(b)のように測定することで、破損したメモリ素子Mhkの位置を容易に特定できる効果がある。
【0053】
(変形例1)
以下で、第1の実施形態の変形例1を説明する。接地ノードVSSの枝配線に、図3のように、1つの列選択ノードCOLk(k=0〜n)に対して同時に16ビットの列線ノードBITk−0からBITk−15が選ばれて動作する場合に、上記の第1の実施形態の方法によって破損したメモリ素子の行番号hと列番号kが特定できても、破損した候補のメモリ素子はMhk−0からMhk−15まで16個あるので、更に、その16個から1つの破損したメモリ素子を特定する必要がある。
【0054】
そのため、変形例1では、第1の実施形態の方法によって特定した、破損したメモリ素子の列kの列選択ノードCOLkを選んで、16本の列線ノードBITk−0からBITk−15に電圧を加える。その上で、図8のスイッチ選択信号発生回路110の行走査回路が、第1の実施形態の方法によって特定した、破損したメモリ素子の第h行を固定して選ぶ。次に、列走査回路104により列の走査を行うことで、枝配線の位置の全域の電圧測定点の電位をモニター用スイッチで引き出して、図11(a)のように電位分布のグラフを得る。これにより、不良セル(破損したメモリ素子Mhk)の位置を特定することができる。こうして、本変形例1によれば、メモリ素子の第h行の接地ノードVSSの枝配線の電圧測定点を、枝配線に配置された順にモニター用パッドPADに接続して電位を測定することで、メモリセルアレイ100の内部のメモリ素子の破損箇所を容易に特定できる効果がある。
【0055】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、図12に示すように、列ゲート400の各リファレンストランジスタTr9が接地ノードVSSの枝配線VSSrに接続する位置に、枝配線VSSrの端部から接地ノードVSSの主幹に至るまで、それらの各位置に電圧測定点を接続した各モニター用スイッチSr(0)、Sr(k−1)、Sr(k)、Sr(k+1)、Sr(n)を設置する。そして、図7の行走査回路102が、枝配線VSSrをメモリセルアレイ100の外側の部分の行の枝配線の行として選択し、列走査回路104でその枝配線VSSrに設置したモニター用スイッチを制御するスイッチ選択回路SEを切り替えて、モニター用スイッチの電圧測定点が接続する位置の枝配線VSSrの電位をモニター用パッドPADまで伝送する。このように、モニター用スイッチSr(0)、Sr(k−1)、Sr(k)、Sr(k+1)の電圧測定点の電位を順にモニター用パッドPADまで伝送することで、枝配線VSSrにリファレンストランジスタTr9が接続する位置の電位を順に測定することができる効果がある。
【0056】
例えばモニター用スイッチSr(k)の電圧測定点を接続した位置のリファレンストランジスタTr9が破損して枝配線VSSrにショートしている場合は、その位置の枝配線VSSrの電位が上昇する。その枝配線VSSrの電位を図13に示す。図13に示す枝配線VSSrの電位は、枝配線VSSrの端部に電圧測定点を接続したモニター用スイッチSr(0)の検出する電位と、モニター用スイッチSr(k)の前後で枝配線VSSrに接続するリファレンストランジスタTr9の位置に電圧測定点を接続したモニター用スイッチSr(k−1)とSr(k+1)と、枝配線VSSrが接地ノードVSSの幹に接続する位置に電圧測定点を接続したモニター用スイッチSr(n)と、接地ノードVSSの接地パッドVSS−Pの位置の電位をあらわす。
【0057】
モニター用スイッチS(k)が電圧測定点を接続した枝配線VSSrの位置のリファレンストランジスタTr9が破損して枝配線VSSrに短絡している場合は、その位置から接地パッドVSS−Pまでに向けて枝配線VSSrに過大電流が流れるので、枝配線VSSrには、破損したリファレンストランジスタTr9の位置から接地パッドVSS−Pに向けて急な電位勾配が発生する。そのため、枝配線VSSrの各位置の電位を測定することで、この急な電位勾配を検知でき、それにより破損した(不良になった)リファレンストランジスタTr9の位置を特定することができる。このように接地ノードVSSの枝配線VSSrに接続するリファレンストランジスタTr9のソース端子の位置にモニター用スイッチSr(k)(k=0〜n)の電圧測定点を接続することで、破損したリファレンストランジスタTr9の位置を特定することができる効果がある。
【0058】
<第3の実施形態>
第3の実施形態として、図14のように、接地ノードVSSに限らず、各回路の電源ノードVSSや、出力用電源ノードVCCO、出力用接地ノードVSSO、電源用電源ノードVCCP、電源用接地ノードVSSPの枝配線に各トランジスタが接続する位置に、Ss(k)等のモニター用スイッチの電圧測定点を接続して、その枝配線における電位勾配を検出することで、破損したトランジスタの位置を特定することができる。その枝配線を図7の行走査回路102がメモリセルアレイ100以外の部分の枝配線の行として選択し、列走査回路104でその枝配線に設置したモニター用スイッチを制御するスイッチ選択回路SEを切り替える。
【0059】
一例として、図15の回路図のように、センスアンプ500の接地ノードVSSの枝配線に関して、フィードバック型バイアス回路501のトランジスタTr5のソース端子が接続する位置にモニター用スイッチSs0の電圧測定点を接続し、リファレンス用フィードバック型バイアス回路506のトランジスタTr11のソース端子が接続する位置にモニター用スイッチSs3の電圧測定点を接続し、差動型センスアンプ503のトランジスタのソース端子が接続する位置にモニター用スイッチSs1とSs2の電圧特定点を接続する。
【0060】
また、センスアンプ500の電源ノードVCCの枝配線に関して、フィードバック型バイアス回路501のトランジスタTr4のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs4の電圧測定点を接続し、リファレンス用フィードバック型バイアス回路506のトランジスタTr10のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs8の電圧測定点を接続し、負荷回路502のトランジスタTr1のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs5の電圧測定点を接続し、リファレンス用負荷回路505のトランジスタTr6のドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs7の電圧測定点を接続し、差動型センスアンプ503のトランジスタのドレイン端子が接続する位置にモニター用スイッチSs6の電圧測定点を接続する。
【0061】
このセンスアンプは、16ビット構成の半導体記憶装置1では16個存在するので、その16個のセンスアンプが接地ノードVSSの1本あるいは2本の枝配線に各センスアンプの電流が流れることにより枝配線の位置によって電位が異なるが、その電位を枝配線に添って順次にモニター用スイッチで正確な電位を測定することができる効果がある。電源ノードVCCの枝配線の各センスアンプ毎の電位も同様にモニター用スイッチを用いて容易に測定できる効果がある。このように、接地ノードVSS及び電源ノードVCCにトランジスタが接続する位置にモニター用スイッチSs0からSs8の電圧測定点を接続し、モニター用スイッチの電圧測定点を接続した位置の電位の異常を検出することで、破損したトランジスタの位置を容易に特定できる効果がある。このように、簡単な電気的測定により、不良箇所が容易に判別できる効果がある。
【0062】
電源回路900のトランジスタが電源用接地ノードVSSP及び電源用電源ノードVCCPに接続する位置にも同様にモニター用スイッチの電圧測定点を接続することで、大電流が流れることで電圧降下が起き易い電源回路900の各回路素子の位置の電位を正確に測定することが可能になる。また、制御回路600の電源ノードVCC及び接地ノードVSSの各位置の電位をスイッチの電圧測定点を接続することで、制御回路600の動作の安定性を正確にモニターできる効果がある。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の半導体記憶装置1は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。すなわち、本発明の半導体記憶装置1はマスクROMに限らず、フラッシュメモリや、SRAM等の半導体メモリとセンスアンプを含む半導体記憶装置1にも同様にモニター回路を設置することができ、モニター回路を設置した半導体記憶装置1のトランジスタの破損を、モニター用スイッチで選択した位置の電圧測定点の電圧を測定することで、容易に破損したトランジスタの位置を特定できる効果が得られる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・半導体記憶装置
100、100−0、100−15・・・メモリセルアレイ
110・・・スイッチ選択信号発生回路
101・・・タイミングジェネレータ
102・・・行走査回路
103・・・行選択線
104・・・列走査回路
105・・・列選択線
106・・・ANDゲート
107・・・NANDゲート
200、200−0、200−m・・・行デコーダ
201・・・NAND回路
202・・・バッファとなるインバータ
300、300−0、300−n・・・列デコーダ
301・・・NAND回路
302・・・バッファとなるインバータ
400・・・列ゲート
500、500−0、500−15・・・センスアンプ
501・・・フィードバック型バイアス回路
502・・・負荷回路
503・・・差動型センスアンプ
504・・・リファレンス回路
505・・・リファレンス用負荷回路
506・・・リファレンス用フィードバック型バイアス回路
507・・・VREF回路
508・・・フィードバック型バイアス回路
509・・・負荷回路
600・・・制御回路
700・・・出力バッファ
800・・・アドレス入力回路
BIT0、BIT1、BIT2、BIT3、BIT0−0、BITn−0、BIT0−15、BITn−15、BIT(k−1)、BITk、BIT(k)、BIT(k+1)、BIT(n)・・・列線ノード
CG0、CG1、CG2、CG3、CGk、CGn・・・列選択トランジスタ
COL0、COL(k−1)、COL(k)、COL(k+1)、COL(n)・・・列選択ノード
COM、COM0、COM15・・・共通ノード
Dout0、Dout1、Dout15・・・出力端子
Icell・・・電流
Mmn、M0n、Mm0、Mhk、Mh0、Mh(k−1)、Mhk、Mh(k+1)、Mhm、M(h+1)0、M(h+1)(k−1)、M(h+1)k、M(h+1)(k+1)、M(h+1)n・・・メモリ素子
PAD・・・モニター用パッド
REC・・・リファレンス用共通ノード
REP・・・基準電位ノード
RF0、RF1、RE2、RF3、RFk・・・リファレンス用列選択トランジスタ
S0、S1、S2、Sh、Sm、Su、S(0)、S(h−1)、S(h)、S(h+1)・・モニター用スイッチ
Sr(0)、Sr(k−1)、Sr(k)、Sr(k+1)、Sr(n)・・・リファレンス回路モニター用スイッチ
Ss0、Ss1、Ss2、Ss3、Ss4、Ss5、Ss6、Ss7、Ss8、Ss(k)・・・センスアンプモニター用スイッチ
SEhk、SE00、SEmn・・・メモリ素子Mhkの位置のスイッチ選択回路
T1・・・メモリ素子と同じサイズのトランジスタ
T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T10・・・トランジスタ
Tr1、Tr2・・・負荷トランジスタ
Tr3・・・バイアストランジスタ
Tr4、Tr5、Tr6、Tr7、Tr10、Tr11・・・トランジスタ
Tr8・・・リファレンス用バイアストランジスタ
Tr9・・・リファレンストランジスタ
VCC・・・電源ノード
VCCO・・・出力用電源ノード
VCCP・・・電源用電源ノード
VCC−P・・・電源パッド
VCCO−P・・・出力用電源パッド
VCCP−P・・・電源用電源パッド
VSS・・・接地ノード
VSSr、VSS0、VSS1、VSS2、VSS(m−1)、VSSm、VSS(m+1)、VSS(m+2)、VSS(m+3)、VSSh・・・枝配線
VSSO・・・出力用接地ノード
VSSP・・・電源用接地ノード
VSS−P・・・接地パッド
VSSO−P・・・出力用接地パッド
VSSP−P・・・電源用接地パッド
WLh、WLm、WL0、WL1、WL2、WL3・・・行線ノード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、接地ノードあるいは電源ノードに接続する枝配線を有する半導体記憶装置において、
電源ノードあるいは接地ノードに接続する少なくとも1つの枝配線の複数箇所に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを有し、
クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、
前記スイッチ選択信号発生回路で選択されてゲートが開かれたモニター用スイッチを介して前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、前記メモリ素子に接続する接地ノードの枝配線を有する半導体記憶装置において、
前記メモリ素子に接続する枝配線の少なくとも端部に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを前記枝配線毎に有し、
クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記電圧測定点をゲートが開かれた前記モニター用スイッチを介してモニター用パッドに接続することで前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置において、
前記メモリセルアレイのメモリ素子から読み出した信号を増幅する複数のセンスアンプを有し、
前記少なくとも1つの枝配線が前記センスアンプの接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置において、
前記少なくとも1つの枝配線が電源回路の電源用接地ノード又は電源用電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項5】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置において、
前記少なくとも1つの枝配線が制御回路の接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、前記枝配線の各部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法。
【請求項7】
前記請求項2に記載の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、各前記枝配線の端部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法。
【請求項1】
メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、接地ノードあるいは電源ノードに接続する枝配線を有する半導体記憶装置において、
電源ノードあるいは接地ノードに接続する少なくとも1つの枝配線の複数箇所に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを有し、
クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、
前記スイッチ選択信号発生回路で選択されてゲートが開かれたモニター用スイッチを介して前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
メモリ素子が縦横にマトリックス状に配列されたメモリセルアレイと、前記メモリ素子に接続する接地ノードの枝配線を有する半導体記憶装置において、
前記メモリ素子に接続する枝配線の少なくとも端部に電圧測定点を接続したモニター用スイッチを前記枝配線毎に有し、
クロック信号に同期して前記モニター用スイッチのゲートを順に開くスイッチ選択信号発生回路を有し、前記電圧測定点をゲートが開かれた前記モニター用スイッチを介してモニター用パッドに接続することで前記電圧測定点の電位を測定することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置において、
前記メモリセルアレイのメモリ素子から読み出した信号を増幅する複数のセンスアンプを有し、
前記少なくとも1つの枝配線が前記センスアンプの接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置において、
前記少なくとも1つの枝配線が電源回路の電源用接地ノード又は電源用電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項5】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置において、
前記少なくとも1つの枝配線が制御回路の接地ノード又は電源ノードの枝配線であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
前記請求項1に記載の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、前記枝配線の各部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法。
【請求項7】
前記請求項2に記載の半導体記憶装置が、前記スイッチ選択信号発生回路と前記モニター用スイッチにより、各前記枝配線の端部の電位を順に前記モニター用パッドに伝送することを特徴とする半導体記憶装置の回路の電位測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−258292(P2011−258292A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133856(P2010−133856)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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