説明

半導体記憶装置及びその製造方法

【課題】耐圧が改善され、信頼性が向上した不揮発性半導体メモリ及びその製造方法を与える。
【解決手段】半導体記憶装置は、半導体基板11上に形成され、オキシナイトライド化された第1ゲート絶縁膜14aを含む第1トランジスタと、半導体基板11上に形成された第2ゲート絶縁膜14bと、第2ゲート絶縁膜14b上の少なくとも一部に形成されたバリア膜20を含む第2トランジスタとを備え、前記第2ゲート絶縁膜は、前記第1ゲート絶縁膜より窒素原子濃度が低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関し、特に、耐圧が改善された不揮発性メモリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データを電気的に書き込み、消去できる不揮発性半導体メモリとして、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が周知である。EEPROMのひとつとして、電気的一括消去が可能なフラッシュEEPROMがある。
【0003】
フラッシュEEPROMの代表として、NAND型フラッシュメモリが周知である。NAND型フラッシュメモリは高集積化が容易であり、広く使用されている。
【0004】
従来の半導体装置において、リーク電流を減少させるべく、ゲート絶縁膜をオキシナイトライド化する方法がある(例えば、特許文献1)。この方法を上記NANDフラッシュメモリに応用し、セル領域のゲート絶縁膜をオキシナイトライド化しゲート絶縁膜の信頼性を上げる試みがなされている。
【0005】
しかし、この方法では、トランジスタ領域のゲート絶縁膜もオキシナイトライド化されるため、ゲート絶縁膜中の固定電荷により閾値電圧が低下するという問題がある。これを回避するべく、チャネル領域の不純物拡散濃度を濃くする方法があるが、そうすると今度はトランジスタ特性として必要な耐圧が得られない、(例えば、サーフェースブレークダウン耐圧等)という問題が新たに生じる。
【特許文献1】特開2006−114816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高電圧動作周辺トランジスタの耐圧が改善され、メモリセルトランジスタまたは低電圧動作周辺トランジスタの信頼性が向上した不揮発性半導体メモリ及びその製造方法を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様において、半導体記憶装置は、半導体基板上に形成され、オキシナイトライド化された第1ゲート絶縁膜を含む第1トランジスタと、前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上の少なくとも一部に形成されたバリア膜を含む第2トランジスタとを備え、前記第2ゲート絶縁膜は、前記第1ゲート絶縁膜より窒素原子濃度が低いことを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様において、半導体記憶装置を製造する方法は、第1トランジスタが形成される領域の半導体基板上に第1ゲート絶縁膜が形成され、かつ、第2トランジスタが形成される領域の前記半導体基板上に前記第1ゲート絶縁膜より厚い第2ゲート絶縁膜が形成する工程と、前記第2ゲート絶縁膜上にバリア膜を形成する工程と、前記バリア膜をマスクとして、前記第1ゲート絶縁膜をオキシナイトライド化する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高電圧動作周辺トランジスタの耐圧が改善され、メモリセルトランジスタまたは低電圧動作周辺トランジスタの信頼性が向上した不揮発性半導体メモリ及びその製造方法を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[半導体記憶装置の実施の形態]
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明に係る半導体記憶装置の第1実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリのセル領域と周辺トランジスタ領域の概略的な断面図である。説明の都合上、各構成要素の縮尺は実際と異なる。
【0012】
第1実施形態に係る不揮発性メモリは、第1トランジスタに相当するメモリセルトランジスタ(MC)及び該メモリセルトランジスタ(MC)を制御する第2トランジスタに相当する高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)を備える。ここで、ゲートを分離するための絶縁層を省略して示している。
【0013】
まず、メモリセルトランジスタ(MC)の構成について説明する。メモリセルトランジスタ(MC)は、P型シリコン基板11と、シリコン基板11の上に例えばシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜14aを介して形成されたゲート電極18aを備える。ゲート電極18aは、例えばリン(P)などの不純物がドープされた導電性ポリシリコンから成る浮遊ゲート15a、該浮遊ゲート15aの上に堆積されたゲート間絶縁膜16a、該浮遊ゲート15a上にゲート間絶縁膜16aを介して堆積された制御ゲート17aから構成される。ゲート絶縁膜14aは、後述するように、オキシナイトライド化され、例えば、膜厚8nm程度のオキシナイトライド膜SiOxNyにより構成されている。このオキシナイトライド膜は、データの書き込み/消去の際に浮遊ゲート15aと半導体基板11との間を往復する電子のトラップを減少させる効果を有する。
【0014】
浮遊ゲート15aの上部には例えば厚さが約7nm〜約20nmのONO膜(SiO2/SiN/SiO2)から成る高誘電率のゲート間絶縁膜16aが堆積されている。ゲート間絶縁膜16aの上部には、例えば導電性ポリシリコンが堆積された制御ゲート17aが形成されている。
【0015】
ゲート電極18aの側面には、例えばシリコン窒化膜から成るサイドウォール19aが形成されている。
【0016】
P型シリコン基板11の表層部には、ゲート電極18aを挟むようにして、自己整合的に、ソース又はドレインを構成する、例えばリン(P)等の不純物がドープされたN型不純物拡散領域12a、12a’が形成されている。
【0017】
ここで、メモリセル領域のP型シリコン基板11は、不純物濃度がP型シリコン基板11よりも濃いP型ウエルであってもよい。その結果、メモリセルトランジスタ(MC)の閾値が上昇し、微細化によりゲート長が短くなってもカットオフ特性が良くなる。N型不純物拡散領域12a、12a’に挟まれた半導体基板11の表面にはメモリセルトランジスタ(MC)の閾値電圧を調整するチャネル領域が形成される場合がある。
【0018】
また、メモリセルトランジスタ(MC)もゲート電極18aに電圧を加えて浮遊ゲート15a下の半導体基板11の表面にチャネルを形成することからMOSトランジスタの一種であるといえる。
【0019】
次に、高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)の構成について説明する。ここで、高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)とは、例えば、30V程度の電圧で動作するトランジスタをいう。高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)は、P型シリコン基板11と、該P型シリコン基板11上に形成された例えばシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜14b及び後述するバリア膜20を介して形成されたゲート電極18bを備える。ゲート電極18bは、例えばリン(P)などの不純物がドープされた導電性ポリシリコンから成る下側ゲート15b、該下側ゲート15b上に堆積されたゲート間絶縁膜16b、該下側ゲート15b上にゲート間絶縁膜16bを介して堆積された上側ゲート17bから構成される。ゲート絶縁膜14bは、例えば、5Vから30V程度の高耐圧が得られるように、例えば20nmから50nm程度の膜厚を有する。第1実施形態では、このゲート絶縁膜14bの上に、膜厚が5nm程度の、例えば窒化シリコン膜(SiN)から成るバリア膜20が堆積されている。第1実施形態によれば、バリア膜20の存在によって、ゲート絶縁膜14bはオキシナイトライド化されない。すなわち、ゲート絶縁膜14bの窒素原子濃度は、ゲート絶縁膜14aの窒素原子濃度より低い。下側ゲート15bの上部には例えば厚さが約7nm〜約20nmのONO膜(SiO2/SiN/SiO2)から成る高誘電率のゲート間絶縁膜16bが堆積されている。ゲート間絶縁膜16bには、下側ゲート15bの上面の略中央部に開口部13が設けられている。ゲート間絶縁膜16bの上部には、例えば導電性ポリシリコンが堆積された上側ゲート17bが形成されている。
【0020】
上側ゲート17bは、上記した開口部13を通じて下側ゲート15bと電気的に接続する。この構造により、高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)のゲート電極18bは1層構造を有する。
【0021】
ゲート電極18bの側面には、例えばシリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜から成るサイドウォール19bが形成されている。
【0022】
P型シリコン基板11の表層部には、ゲート電極18bを挟むようにして、自己整合的に、ソース及びドレインをそれぞれ形成する、例えばリン(P)等の不純物がドープされたN型不純物拡散領域12b、12b’が形成されている。
【0023】
ここで、高電圧動作周辺トランジスタ領域のP型シリコン基板11はP型ウエルであってもよい。N型不純物拡散領域12b、12b’に挟まれた半導体基板11の表面には高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)の閾値電圧を調整するチャネル領域が形成される場合がある。
【0024】
[製造方法の実施の形態]
次に、上記したNANDフラッシュメモリの製造方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図2から図18は、本実施の形態に係るNANDフラッシュメモリの製造工程を説明したものである。
【0025】
まず、工程1として、図2に示すように、フォトリソグラフィー技術により、周辺トランジスタ領域を覆うマスク(図示せず)を形成し、メモリセル領域にイオンインプランテーション法を用い、例えばBを注入し、pウエルを形成する。その後、マスクを除去し、シリコン基板などの半導体基板11の表面に例えば熱酸化処理を施し、例えばシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜14を例えば膜厚40nmで形成する。
【0026】
次に、工程2として、図3に示すように、例えば減圧CVD法により例えば窒化シリコン膜のようなバリア膜20を例えば膜厚5nmで堆積する。バリア膜20としては、窒化シリコン膜以外であっても後述するオキシナイトライド化処理後にマスクとして機能するものであればよく、例えば、フッ化シリコン(SiF4)膜などでもよい。
【0027】
次に、工程3として、図4に示すように、表面全体にレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、周辺トランジスタ領域を覆うレジストマスク21を形成する。
【0028】
次に、工程4として、図5に示すように、周辺メモリセル領域のバリア膜20を熱燐酸またはCDE(Chemical Dry Etching)法により除去し、続いてシリコン酸化膜14を希フッ酸(DHF)等によりウエットエッチングして除去する。その結果、メモリセル領域の半導体基板の表面が露出する。
【0029】
次に、工程5として、図6に示すように、周辺トランジスタ領域のレジストマスク21をO2アッシング等により剥離する。
【0030】
次に、工程6として、図7に示すように、熱酸化処理を行い、メモリセル領域の半導体基板上にシリコン酸化膜のようなベース酸化膜22を例えば膜厚8nmで形成する。この際、高電圧動作周辺トランジスタ側のシリコン酸化膜14の膜厚はバリア膜20に覆われているため増加しない。
【0031】
次に、工程7として、図8に示すように、例えば、アンモニア(NH3)ガスまたは酸化窒素(N2O)ガスの雰囲気中で、1100℃の高温にてアニール処理してオキシナイトライド化を行うことにより、オキシナイトライド膜(SiOxNy)から成るゲート絶縁膜14aを形成する。このとき、周辺トランジスタ領域の酸化膜14bは、バリア膜20がマスクとなっているため、オキシナイトライド化されない。
【0032】
次に、工程8として、図9に示すように、プラズマCVD法等により、例えばリン(P)を所定の濃度でドープした膜厚100nmの第1ポリシリコン膜15、例えばONO(SiO−SiN−SiO)膜のようなゲート間絶縁膜16、例えばリン(P)を所定の濃度でドープした厚さ50nmのポリシリコン膜24、及び例えばTEOS膜のような膜厚150nmのシリコン酸化膜25を順に堆積する。
【0033】
次に、工程9として、図10に示すように、シリコン酸化膜25の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィー技術により、上記した開口部13を形成すべき領域に開口を有するマスク26を形成する。
【0034】
次に、工程10として、図11に示すように、該マスク26を使って、RIE等のドライエッチングによりシリコン酸化膜25を選択的に除去する。次いで、シリコン酸化膜25をハードマスクとして、第1のポリシリコン膜15の途中までRIE等の異方性エッチングによりエッチングを行い、溝27を選択的に形成する。
【0035】
次に、工程11として、図12に示すように、マスク26及びシリコン酸化膜25を例えば希フッ酸(DHF)によるウエットエッチングにより除去する。
【0036】
次に、工程12として、図13に示すように、第2のポリシリコン膜17をCVD法等により例えば膜厚100nmで堆積する。このとき、溝27にも第2のポリシリコン膜17が埋め込まれる。
【0037】
次に、工程13として、図14に示すように、表面全体にフォトレジストを塗布しパターニングして、ゲート電極18a及びゲート電極18bを形成するべき領域を被覆するマスク30を形成する。
【0038】
次に、工程14として、図15に示すように、マスク30を使ってRIE等の異方性エッチングを行い、ゲート電極18a及びゲート電極18bを選択的に形成する。この際、ポリシリコン膜24及び第2のポリシリコン膜17はそれぞれ一体としてメモリセルトランジスタ(MC)の制御ゲート17a及び高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)の上側ゲート17bを構成する。次いで、O2アッシング等によりマスク30を剥離する。
【0039】
次に、工程15として、図16に示すように、例えば、シリコン窒化膜を堆積し、その後異方性エッチングによりゲート電極18a及びゲート電極18bのそれぞれの側面にサイドウォール19a及び19bを形成する。
【0040】
次に、工程16として、図17に示すように、半導体基板11の表層部に、サイドウォール19a及び19bをマスクとして、例えばリン(P)を例えば1×1018cm−3の濃度でイオン注入し、N型不純物拡散領域12a、12b、12a’、12b’を自己整合的に形成する。
【0041】
次に、工程17として、図18に示すように、例えばプラズマCVD法によりTEOS膜のような層間絶縁膜を表面全体に堆積し、ゲート電極18a、ゲート電極18bの間に埋め込む。次いで、表面をCMP等により平坦化処理して、ゲート分離層29a、29bを形成する。この際、ゲート電極17a、17bがストッパー膜として機能する。ゲート分離層29aはメモリセルトランジスタMCのゲート電極18a同士を電気的に分離し、ゲート分離層29bは高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)のゲート電極18bと他の素子を電気的に分離する。
【0042】
従来のNANDフラッシュメモリは、メモリセルトランジスタ側のゲート絶縁膜と同様に高電圧動作周辺トランジスタ側のゲート絶縁膜もオキシナイトライド化されていた。ここで、オキシナイトライド膜は正の固定電荷を有することが知られている。この正の固定電荷の影響により高電圧動作周辺トランジスタ側のゲート絶縁膜のフラットバンド電圧Vfdは低下する方向へシフトし、高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)の閾値電圧が低下してしまう。その対策として、従来は、チャネル領域の不純物濃度を上げてフラットバンド電圧Vfdの低下を補償していた。具体的には、N型チャネルのトランジスタの場合、チャネル領域に予めボロン(B)等をイオン注入していた。その結果、ソースとチャネルとの間で空乏層が広がらずジャンクション耐圧が劣化し、30V程度の高電圧で動作させた場合、サーフェースブレークダウン、リーク電流の増加等の問題が生じる危険性があった。
【0043】
これに対して、本発明では、メモリセルトランジスタ側のゲート絶縁膜はオキシナイトライド化されているため電子トラップ効果を抑制することが可能である。さらに、高電圧動作周辺トランジスタ側のゲート絶縁膜14bはバリア膜20に覆われているため、その下側のゲート絶縁膜14bはオキシナイトライド化されない。また、バリア膜20を構成するシリコン窒化膜が正の固定電荷を有するとしても、比較的厚いゲート絶縁膜14bにより半導体基板11から離隔されているため、その影響は小さく、フラットバンド電圧Vfbのシフトによる閾値電圧の変動も無視できる。したがって、チャネル領域の不純物濃度を上げる必要がないため、ソースとチャネルとの間で空乏層が広がり、十分な耐圧を確保することができる。
【0044】
ここで、「オキシナイトライド化されない」とは、「半導体基板11とゲート絶縁膜14bの境界付近のゲート絶縁膜14bがオキシナイトライド化されない」を意味する。上述のように半導体基板11付近に固定電荷が存在することにより、フラットバンド電圧Vfbのシフトが問題となるからである。すなわち、バリア膜20とゲート絶縁膜14bの境界付近のゲート絶縁膜14bがオキシナイトライド化されていても発明の効果になんら影響を与えることは無い。
【0045】
また、バリア膜20が存在することによる高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)のスイッチング動作にも影響は無い。バリア膜が、例えば、絶縁膜であれば、ゲート絶縁膜とバリア膜を積層したものが高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)のゲート絶縁膜として機能するからである。また、バリア膜が、例えば、導電体であってもゲート電極の一部として機能するので高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)のスイッチング動作にも影響は無い。
また、周辺トランジスタ領域において、チャネル領域にイオン注入を行わず、チャネル領域の不純物濃度を半導体基板の不純物濃度まで下げることも可能であり、工程省略が可能となる。さらに、閾値電圧を上げる必要が無いため、ウエル領域までも省略することができる。
【0046】
このように本実施の形態に係るNANDフラッシュメモリによれば、メモリセルトランジスタのゲート絶縁膜による電子トラップ効果を抑制しつつ高電圧動作周辺トランジスタの耐圧を十分に確保することができる。結果として、信頼性の高いNANDフラッシュメモリを提供することが可能となる。
【0047】
<第2実施形態>
図19は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の低電圧動作周辺トランジスタ領域と高電圧動作周辺トランジスタ領域の概略的な断面図である。ここで、第1実施形態と異なる点は、メモリセルトランジスタの代わりに低電圧動作周辺トランジスタが形成されている点である。また、第1実施形態と同じ部分は同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
第1トランジスタに相当する低電圧動作周辺トランジスタ(LV-Tr)の構成について説明する。ここで、低電圧動作周辺トランジスタとは、例えば、1.0〜5.0V程度の電圧で動作するトランジスタをいう。低電圧動作周辺トランジスタ(LV-Tr)は、P型シリコン基板11と、該P型シリコン基板11上に形成された例えばシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜14cを介して形成されたゲート電極18cを備える。ゲート電極18cは、例えばリン(P)などの不純物がドープされた導電性ポリシリコンから成る下側ゲート15c、該下側ゲート15c上に堆積されたゲート間絶縁膜16c、該下側ゲート15c上にゲート間絶縁膜16cを介して堆積された上側ゲート17cから構成される。ゲート絶縁膜14cは、オキシナイトライド化され、例えば、膜厚2nmから10nm程度程度のオキシナイトライド膜SiOxNyにより構成されている。このオキシナイトライド膜は、ゲート絶縁膜14c中の電子のトラップを減少させ、ゲート電極18cと半導体基板11のリーク電流を減らすことができる。
【0049】
ここで、ゲート絶縁膜14cの窒素原子濃度は、ゲート絶縁膜14bの窒素原子濃度より高くなる。下側ゲート15bの上部には例えば厚さが約7nm〜約20nmのONO膜(SiO2/SiN/SiO2)から成る高誘電率のゲート間絶縁膜16cが堆積されている。ゲート間絶縁膜16cには、下側ゲート15cの上面の略中央部に開口部13cが設けられている。ゲート間絶縁膜16cの上部には、例えば導電性ポリシリコンが堆積された上側ゲート17cが形成されている。
【0050】
上側ゲート17cは、上記した開口部13cを通じて下側ゲート15cと電気的に接続する。この構造により、低電圧動作周辺トランジスタ(LV-Tr)のゲート電極18cは1層構造を有する。
【0051】
ゲート電極18cの側面には、例えばシリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜から成るサイドウォール19cが形成されている。
P型シリコン基板11の表層部には、ゲート電極18cを挟むようにして、自己整合的に、ソース及びドレインをそれぞれ形成する、例えばリン(P)等の不純物がドープされたN型不純物拡散領域12b、12b’が形成されている。
【0052】
ここで、低電圧動作周辺トランジスタ領域のP型シリコン基板11は、不純物濃度がP型シリコン基板11よりも濃いP型ウエルであってもよい。その結果、低電圧動作トランジスタ(LV-Tr)の閾値が上昇し、微細化によりゲート長が短くなってもカットオフ特性が良くなる。N型不純物拡散領域12c、12c’に挟まれた半導体基板11の表面には低電圧動作トランジスタ(LV-Tr)の閾値電圧を調整するチャネル領域が形成される場合がある。
【0053】
<第3実施形態>
図20は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の不揮発性メモリのセル領域、低電圧動作周辺トランジスタ領域と高電圧動作周辺トランジスタ領域の概略的な断面図である。ここで、第1実施形態と異なる点は、第1トランジスタとして、第1実施形態のメモリセルトランジスタに加え、第2実施形態の低電圧動作周辺トランジスタが形成されている点である。また、第1及び第2実施形態と同じ部分は同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
図20に示すように、メモリセルトランジスタ(MC)のゲート絶縁膜14aと同様のゲート絶縁膜14cを有する低電圧動作トランジスタ(LV-Tr)を同時に有することにより、高電圧動作周辺トランジスタの耐圧が改善され、メモリセルトランジスタ及び低電圧動作周辺トランジスタの信頼性が向上した不揮発性半導体メモリが得られる。
【0055】
また、製造工程において、低電圧動作周辺トランジスタ(LV-Tr)のゲート絶縁膜14cを図2から図8の工程に示すメモリセルトランジスタ(MC)のゲート絶縁膜14aと同様に製造することができる。さらに、低電圧動作周辺トランジスタ(LV-Tr)のゲート電極17cを図9から図16の工程に示す高電圧動作周辺トランジスタ(HV-Tr)のゲート電極17bと同様に製造することができる。 すなわち、第1実施形態から工程を増やすことなく、第3実施形態の構造を製造することが可能である。
【0056】
以上、発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。例えば、上記したメモリセルトランジスタをNANDフラッシュメモリ及びNORフラッシュメモリに適用することができる。さらには、第2実施形態のように、ロジック回路にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る不揮発性メモリの断面概略図である。
【図2】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図3】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図4】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図5】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図6】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図7】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図8】第1実施形態に係るNANDフラッシュメモリの製造方法を説明する図である。
【図9】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図10】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図11】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図12】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図13】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図14】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図15】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図16】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図17】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図18】第1実施形態に係る不揮発性メモリの製造方法を説明する図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る不揮発性メモリの断面概略図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る不揮発性メモリの断面概略図である。
【符号の説明】
【0058】
11・・・半導体基板、 12a・・・ソース領域、 12a’・・・ドレイン領域、 13・・・開口部、 14a・・・ゲート絶縁膜、 14b・・・ゲート絶縁膜、 15a・・・浮遊ゲート、 15b・・・下側ゲート、 16a・・・ゲート間絶縁膜、 16b・・・ゲート間絶縁膜、 17a・・・制御ゲート、 17b・・・上側ゲート、 18a・・・ゲート電極、 18b・・・ゲート電極、 19a・・・サイドウォール、 19b・・・サイドウォール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成され、オキシナイトライド化された第1ゲート絶縁膜を含む第1トランジスタと、
前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上の少なくとも一部に形成されたバリア膜を含む第2トランジスタとを備え、
前記第2ゲート絶縁膜は、前記第1ゲート絶縁膜より窒素原子濃度が低いことを特徴とすることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2トランジスタは、前記バリア膜上にゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2ゲート絶縁膜は、前記第1ゲート絶縁膜よりも厚いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1トランジスタが形成される領域の半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を形成し、かつ、第2トランジスタが形成される領域の前記半導体基板上に前記第1ゲート絶縁膜より厚い第2ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第2ゲート絶縁膜上にバリア膜を形成する工程と、
前記バリア膜をマスクとして、前記第1ゲート絶縁膜をオキシナイトライド化する工程を備えることを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上にバリア膜を形成する工程と、
トランジスタが形成される第1領域において前記絶縁膜及び前記バリア膜を除去し、前記半導体を露出する工程と、
前記絶縁膜及びバリア膜が除去された前記第1領域に第1ゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記バリア膜をマスクとして、前記第1ゲート絶縁膜をオキシナイトライド化する工程と
を備えたことを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−252837(P2009−252837A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96243(P2008−96243)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】