半導体記憶装置
【課題】 チップ面積を増加することなく、フューズセルを実現する。
【解決手段】 実施形態による半導体記憶装置は、第1セルアレイ10−1内に配置された第1参照セルRCと、第1セルアレイ10−1内に配置され、第1参照セルRCが配置されたロウ又はカラムと同一のロウ又はカラムに並べられた複数の第1フューズセルFCと、を具備する。
【解決手段】 実施形態による半導体記憶装置は、第1セルアレイ10−1内に配置された第1参照セルRCと、第1セルアレイ10−1内に配置され、第1参照セルRCが配置されたロウ又はカラムと同一のロウ又はカラムに並べられた複数の第1フューズセルFCと、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フューズセルを備えた半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリとして、MRAM(magnetic random access memory)、ReRAM(resistance random access memory)、PRAM(phase-change random access memory)などの抵抗変化型メモリがある。
【0003】
これらのメモリにおいて、周辺回路制御の動作条件を記憶するフューズを不揮発性セルで実現する技術がある。これを、フューズセルと呼称する。具体的には、セルアレイの一部の行又は列の全てのセルをフューズセルとして割り当てる。
【0004】
しかし、セルアレイ内にフューズセル専用の行又は列を追加すると、チップ面積が増加してしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2010−49730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チップ面積を増加することなく、フューズセルを実現することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態による半導体記憶装置は、第1セルアレイ内に配置された第1参照セルと、前記第1セルアレイ内に配置され、前記第1参照セルが配置されたロウ又はカラムと同一のロウ又はカラムに並べられた複数の第1フューズセルと、を具備する
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成のブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリにおけるフューズセルFCの読み出し動作に関する概略図。
【図3】第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリにおけるフューズセルFCの読み出し動作に関するブロック図。
【図4】第1の実施形態に係るメモリセルMCの構成を示す回路図。
【図5】第1の実施形態に係るMTJ素子21の構成を示す概略図。
【図6】第1の実施形態に係るMTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態を示す図。
【図7】第1の実施形態に係る参照セルRCの構成を示す回路図。
【図8】第1の実施形態に係るカラムデコーダ13−1の構成を示すブロック図。
【図9】第1の実施形態に係るカラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXの構成を示す回路図。
【図10】第1の実施形態に係るフューズラッチ回路15−1の構成を示す回路図。
【図11】第1の実施形態に係るフューズラッチ回路15−1の動作を示すタイミングチャート。
【図12】第2の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成のブロック図。
【図13】第2の実施形態に係るロウデコーダ12−1の構成を示すブロック図。
【図14】第3の実施形態に係るReRAMに用いられる抵抗変化素子21の構成を示す概略図。
【図15】第3の実施形態に係るPRAMに用いられる抵抗変化素子21の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0009】
[1]第1の実施形態
[1−1]抵抗変化型メモリの回路構成
図1を用いて、第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成について説明する。本図では、主に読み出し系回路が示される。また、本実施形態の抵抗変化型メモリは複数のセルアレイを備えるが、ここでは、セルアレイが2つ配置された簡略図を用いる。
【0010】
抵抗変化型メモリは、セルアレイ10−1及び10−2、ロウデコーダ12−1及び12−2、カラムデコーダ13−1及び13−2、センスアンプSA、周辺記憶回路16を備えている。
【0011】
セルアレイ10−1及び10−2は、メモリセルアレイ11−1及び11−2をそれぞれ有している。このメモリセルアレイ11−1及び11−2は、マトリクス状に配置された(m×n)個のメモリセルMCから構成されている。
【0012】
セルアレイ10−1及び10−2は、さらに、参照セルRC及びフューズセルFCをそれぞれ有している。この参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−1及び11−2のカラム方向に隣接して配置されている。そして、フューズセルFCを参照セルRCと異なるロウに設けるのではなく、参照セルRC及びフューズセルFCが同一のロウに配置される。本例では、各セルアレイ10−1及び10−2内における参照セルRC及びフューズセルFCの総数は、ロウ方向のメモリセルMCの数と同じく、n個である。
【0013】
メモリセルアレイ11−1には、それぞれがカラム方向に延在するように、n本のビット線BL1_1〜BL1_n(BL1)が配設されている。また、メモリセルアレイ11−1には、それぞれがロウ方向に延在するように、m本のワード線WL1_1〜WL1_m(WL1)が配設されている。ビット線BL1とワード線WL1との交差領域には、メモリセルMCが配置され、各メモリセルMCは、対応するビット線BL1及びワード線WL1に接続される。
【0014】
セルアレイ10−1内の参照セルRC及びフューズセルFCは、ロウ方向に延在する1本の参照ワード線RWL1に接続され、ロウ方向に並んで配置される。また、参照セルRC及びフューズセルFCは、ビット線BL1_1〜BL1_nにそれぞれ接続されている。
【0015】
同様に、メモリセルアレイ11−2には、それぞれがカラム方向に延在するように、n本のビット線BL2_1〜BL2_n(BL2)が配設されている。また、メモリセルアレイ11−2には、それぞれがロウ方向に延在するように、m本のワード線WL2_1〜WL2_m(WL2)が配設されている。ビット線BL2とワード線WL2との交差領域には、メモリセルMCが配置され、各メモリセルMCは、対応するビット線BL2及びワード線WL2に接続される。
【0016】
セルアレイ10−2内の参照セルRC及びフューズセルFCは、ロウ方向に延在する1本の参照ワード線RWL2に接続され、ロウ方向に並んで配置される。また、参照セルRC及びフューズセルFCは、ビット線BL2_1〜BL2_nにそれぞれ接続されている。
【0017】
尚、本図では、参照セルRCとフューズセルFCが上下に分かれて配置されているが、これに限定されず、例えば、参照セルRCとフューズセルFCとが1つずつ交互に配置されてもよい。また、参照セルRC及びフューズセルFCの総数は、カラム数nと同じである必要はなく、カラム数nより少なくても構わない。また、各セルアレイ10−1及び10−2内において、1本の参照ワード線RWL1又はRWL2に接続されたセルのうち、参照セルRC及びフューズセルFCの互いの数は同じであっても異なってもよく、例えば、参照セルRCは少なくとも1つ設定し、それ以外のセルはフューズセルFCに設定してもよい。また、参照セルRCの設定においては、セルアレイ10−1及び10−2の中から特定のセルを参照セルとして、抵抗変化型メモリの製造時に予め設定しておいてもよいし、製造後のテスト工程において設定してもよい。
【0018】
ワード線WL1及び参照ワード線RWL1には、ロウデコーダ12−1が接続されている。ワード線WL2及び参照ワード線RWL2には、ロウデコーダ12−2が接続されている。ロウデコーダ12−1は、アドレスに基づいて、ワード線WL1及び参照ワード線RWL1のうち1本を選択する。ロウデコーダ12−2は、アドレスに基づいて、ワード線WL2及び参照ワード線RWL2のうち1本を選択する。
【0019】
具体的には、ロウデコーダ12−1は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれる場合は、ワード線WL1_1〜WL1_mのうち1本を選択する。また、ロウデコーダ12−1は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれない場合は、参照ワード線RWL1を選択する。同様に、ロウデコーダ12−2は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれる場合は、ワード線WL2_1〜WL2_mのうち1本を選択する。また、ロウデコーダ12−2は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれない場合は、参照ワード線RWL2を選択する。
【0020】
n本のビット線BL1は、カラム選択回路14−1を介して読み出しデータ線RB1に接続されている。カラム選択回路14−1は、n本のビット線BL1に対応した数のカラム選択トランジスタを備えている。このカラム選択トランジスタは、例えばNチャネルMOSトランジスタから構成される。カラム選択回路14−1に含まれるn個のカラム選択トランジスタのゲートは、カラム選択線CSL1_1〜CSL1_nを介してカラムデコーダ13−1にそれぞれ接続されている。
【0021】
同様に、n本のビット線BL2は、カラム選択回路14−2を介して読み出しデータ線RB2に接続されている。カラム選択回路14−2は、n本のビット線BL2に対応した数のカラム選択トランジスタを備えている。カラム選択回路14−2に含まれるn個のカラム選択トランジスタのゲートは、カラム選択線CSL2_1〜CSL2_nを介してカラムデコーダ13−2にそれぞれ接続されている。
【0022】
読み出しデータ線RB1及びRB2には、メモリセルアレイ11−1及び11−2に共有されるセンスアンプSAが接続されている。センスアンプSAは、読み出しデータ線RB1及びRB2の一方にアクセスされたメモリセルMCから読み出された電圧又は電流と、読み出しデータ線RB1及びRB2の他方に参照セルRCから読み出された電圧又は電流とを用いて、上記アクセスされたメモリセルMCのデータを検知増幅する。
【0023】
カラムデコーダ13−1は、アドレスに基づいて、ビット線BL1のうち1本を選択する。このビット線BL1の選択制御は、カラム選択線CSL1のいずれかを選択(活性化)することで行われる。同様に、カラムデコーダ13−2は、アドレスに基づいて、ビット線BL2のうち1本を選択する。このビット線BL2の選択制御は、カラム選択線CSL2のいずれかを選択(活性化)することで行われる。カラムデコーダ13の具体的な動作については後述する。
【0024】
周辺記憶回路16は、フューズラッチ回路15−1及び15−2を有している。フューズラッチ回路15−1及び15−2には、最も高精度な読み出しができるような参照セルRCを選択できるように、最適な参照セル選択に関する情報が保持されている。このフューズラッチ回路15−1及び15−2に保持された情報を用いて、最適な参照セルRCの選択が行われる。
【0025】
周辺記憶回路16には、フューズセルFCのデータが記憶される。このフューズセルFCのデータは、抵抗変化型メモリを備えたチップの電源を起動した直後に、センスアンプSAを介して読み出され、周辺記憶回路16に記憶される。さらに、フューズラッチ回路15−1及び15−2を含む周辺記憶回路16の情報を用いて最適な参照セルRCが選択される。また、フューズラッチ回路15−1及び15−2を含まない周辺記憶回路16の領域の情報を用いて、周辺制御回路の動作条件が設定されてもよい。
【0026】
このような本実施形態では、メモリセルMCのアドレスに依存せずに参照セルRCの選択の自由度があり、最も高精度な読み出しができるような参照セルRCを選択することができる(最適参照セル選択方式)。このため、この方式では、使用していない参照セルRCが存在することになるので、本実施形態では、この使用しない参照セルRCの領域をフューズセルFCに割り当てる。従って、本実施形態では、同一のロウに参照セルRCとフューズセルFCが並んで配置される。
【0027】
[1−2]メモリセルMCの読み出し動作
図1を用いて、上記のように構成された抵抗変化型メモリにおけるメモリセルMCの読み出し動作について説明する。ここでは、例えば、図1の左のメモリセルアレイ11−1内のワード線WL1_3とビット線BL1_2との交点に配置された丸で示されたメモリセルMC1_23が選択されたとする。
【0028】
この場合、ロウデコーダ12−1によって、ワード線WL1_3が選択(活性化)され、メモリセルMC1_23とビット線BL1_2とが接続される。さらに、カラムデコーダ13−1によってカラム選択線CSL1_2が活性化され、メモリセルMC1_23は読み出しデータ線RB1を介してセンスアンプSAへ接続される。
【0029】
一方、右のブロックからは、参照セルRCが選択される。すなわち、ロウデコーダ12−2によって、参照ワード線RWL2がワード線WL1_3の活性化に併せて活性化される。
【0030】
ここで、カラムデコーダ13−2は、アクセスされるメモリセルMC1_23のアドレスに依存せずに、カラム選択線CSL2_1が常に活性化されるように制御する。参照セルRC2_1は、読み出しデータ線RB2を介してセンスアンプSAへ接続される。センスアンプSAは、メモリセルMC1_23から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流と、参照セルRC2_1から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流とを用いて、メモリセルMC1_23のデータを検知増幅する。
【0031】
このように、左側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC2_1を利用して読み出されるように設定する。これにより、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存して参照セルRCを選択しないため、参照ワード線RWL2に接続された全てのセルを参照セルRCとして使用しなくてもよい。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ワード線RWL2に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0032】
同様に、右側のブロック内のメモリセルMCが選択された場合には、カラムデコーダ13−1は、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、例えばカラム選択線CSL1_1が常に活性化されるように制御する。これにより、右側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC1_1を利用して読み出される。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ワード線RWL1に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0033】
このような制御を行うことにより、左右何れのメモリセルアレイ11−1及び11−2が選択された場合でも、矛盾なくメモリセルMCの読み出し動作を行うことが可能となる。この場合、読み出しに必要な参照セルRCの総数は2個となり、従来に比べて、参照セルRCの総数を大幅に低減できる。これにより、参照セルRCの抵抗バラツキの裕度(margin)の確保が小さくできるため、読み出しマージンの確保が容易となる。
【0034】
尚、本実施形態では、参照セルRCを選択可能にする制御動作も可能である。つまり、アクセスされるビットのアドレスに無関係に、常時選択される参照セルRCを変更することが可能である。これにより、例えば参照セルRC2_1が不良していた場合、カラム選択線CSL2_1の代わりにカラム選択線CSL2_2を常時活性化することで、ビット線BL2_2に接続された参照セルRC2_2の選択が可能となる。よって、参照セルRC2_2が正常セルであれば、不良発生を回避することが可能となる。尚、本方式のように、所謂予備の参照セルRCの選択を可能としても、チップ内に搭載されている参照セルRCの総数は、従来と比べて少なく設定することが可能であり、本実施形態を実施することによるチップサイズ増大は無く、参照セルRCと同一のロウにフューズセルFCを設定することも可能である。
【0035】
[1−3]フューズセルFCの読み出し動作
本実施形態のフューズセルFCの読み出し動作では、2つのセルアレイ10−1及び10−2内のフューズセルFCは、相補データをそれぞれ記憶している。そして、セルアレイ10−1及び10−2の一方のフューズセルFCを読み出す場合、センスアンプSAの入力には、セルアレイ10−1及び10−2の一方のフューズセルFCと、セルアレイ10−1及び10−2の他方のフューズセルFCとが接続され、それらの抵抗値の差によってフューズセルFCのデータが決定される。
【0036】
具体的に、図2及び図3を用いて、第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリにおけるフューズセルFCの読み出し動作について説明する。
【0037】
図2に示すように、セルアレイ10−a内のフューズセルFC−Aのデータを読み出す場合、隣接するセルアレイ10−b内のフューズセルFCr−Aを参照セルとして用いる。従って、センスアンプSA−Aの相補入力には、隣接するセルアレイ10−a及び10−bのフューズセルFC−A及びFCr−Aがそれぞれ接続され、電流シンクCS−Aを用いて、フューズセルFC−A及びFCr−Aに読み出し電流及び参照電流がそれぞれ流される。そして、センスアンプSA−Aは、読み出し電流と参照電流の大きさを比較して、それによってフューズセルFC−Aのデータを決定する。
【0038】
同様に、セルアレイ10−aのフューズセルFC−Bのデータを読み出す場合、隣接するセルアレイ10−bのフューズセルFCr−Bを参照セルとして用いる。従って、センスアンプSA−Bの相補入力には、隣接するセルアレイ10−a及び10−bのフューズセルFC−B及びFCr−Bがそれぞれ接続され、電流シンクCS−Bを用いて、フューズセルFC−B及びFCr−Bに読み出し電流及び参照電流がそれぞれ流される。そして、センスアンプSA−Bは、読み出し電流と参照電流の大きさを比較して、それによってフューズセルFC−Bのデータを決定する。
【0039】
尚、フューズセルの読み出しにおいて、参照セルとして用いるフューズセルは、隣接するセルアレイ内に存在するフューズセルを用いることに限定されず、異なるセルアレイ内のフューズセルであれば、どの位置のセルアレイ内のフューズセルでも用いることは可能である。
【0040】
このようなフューズセルFCの読み出し動作は、抵抗変化型メモリを備えたチップの電源起動時に行われる。
【0041】
図3に示すように、抵抗変化型メモリを備えたチップの電源起動時に、セルアレイ10から周辺記憶回路16の例えばSRAMフューズに、フューズセルFCのデータが転送される。周辺記憶回路16のデータによって、周辺制御回路17の動作が調整される。さらに、周辺記憶回路16のデータによって、最適な参照セルRCが選択される。
【0042】
上述したフューズセルFCの読み出し動作によれば、2セル/ビット方式により、フューズセルFC専用の参照セルを新たに設ける必要がない。これにより、本実施形態によれば、1Gbチップにおいて、128Kb程度のフューズセルFCの容量を確保可能である。
【0043】
[1−4]メモリセルMC
本実施形態では、抵抗変化型メモリ(半導体記憶装置)として、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:magnetic random access memory)を一例に挙げて説明する。
【0044】
図4は、メモリセルMCの構成を示す回路図である。メモリセルMCは、抵抗変化素子(MTJ素子)21、及び選択トランジスタ22を備えている。選択トランジスタ22は、例えばNチャネルMOSトランジスタから構成される。MTJ素子21の一端は、ビット線BLに接続され、その他端は、選択トランジスタ22のドレインに接続されている。選択トランジスタ22のゲートは、ワード線WLに接続されている。選択トランジスタ22のソースは、例えばソース線を介して接地されている(接地電圧Vssが印加される)。
【0045】
図5は、MTJ素子21の構成を示す概略図である。MTJ素子21は、下部電極31、固定層32、中間層33、記録層(自由層)34、上部電極35が順に積層されて構成されている。尚、MTJ素子21を構成する層は、積層順序が逆転していても構わない。
【0046】
固定層32は、強磁性材料からなり、その磁化方向が固定されている。例えば、固定層32に隣接して反強磁性層(図示せず)を設けることで、固定層32の磁化方向を固定することができる。自由層34は、強磁性材料からなり、その磁化方向が可変である。中間層33は、非磁性材料からなり、具体的には、非磁性金属、非磁性半導体、絶縁体などを用いることが可能である。
【0047】
固定層32及び自由層34の容易磁化方向は膜面に垂直であってもよいし(垂直磁化)、膜面に平行であってもよい(面内磁化)。垂直磁化型の場合、面内磁化型のように磁化方向を決定するのに素子形状を制御する必要がなく、微細化に適しているという利点がある。
【0048】
尚、固定層32及び自由層34の各々は、図示するような単層に限定されず、複数の強磁性層からなる積層構造であってもよい。また、固定層32及び自由層34の各々は、第1の強磁性層/非磁性層/第2の強磁性層の3層からなり、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合(層間交換結合)した反強磁性結合構造であってもよいし、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が平行状態となるように磁気結合(層間交換結合)した強磁性結合構造であってもよい。
【0049】
また、MTJ素子21は、図示するシングルジャンクション構造に限定されず、ダブルジャンクション構造を有していてもよい。ダブルジャンクション構造のMTJ素子21は、第1の固定層、第1の中間層、自由層、第2の中間層、第2の固定層が順に積層された積層構造を有する。このようなダブルジャンクション構造は、スピン注入による自由層34の磁化反転を制御しやすいという利点がある。
【0050】
図6(a)及び(b)は、MTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態をそれぞれ示す図である。以下に、スピン注入書き込み方式によるMTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態を説明する。尚、この説明において、電流とは、電子の流れをいうものとする。
【0051】
まず、固定層32と自由層34との磁化方向が平行となる平行状態(低抵抗状態)について説明する。この場合、固定層32から自由層34へ向かう電流を供給する。固定層32を通過した電子のうちマジョリティーな電子は、固定層32の磁化方向と平行なスピンを有する。このマジョリティーな電子のスピン角運動量が自由層34に移動することにより、スピントルクが自由層34に印加され、自由層34の磁化方向は、固定層32の磁化方向と平行に揃えられる。この平行配列のときはMTJ素子21の抵抗値は最も小さくなり、この場合を“0”データと規定する。
【0052】
次に、固定層32と自由層34との磁化方向が反平行となる反平行状態(高抵抗状態)について説明する。この場合、自由層34から固定層32へ向かう電流を供給する。固定層32によって反射された電子のうちマジョリティーな電子は、固定層32の磁化方向と反平行のスピンを有する。このマジョリティーな電子のスピン角運動量が自由層34に移動することにより、スピントルクが自由層34に印加され、自由層34の磁化方向は、固定層32の磁化方向と反平行に揃えられる。この反平行配列のときはMTJ素子21の抵抗値は最も大きくなり、この場合を“1”データと規定する。
【0053】
[1−5]参照セルRC
図7は、参照セルRCの構成を示す回路図である。参照セルRCは、固定抵抗素子23、及び選択トランジスタ24を備えている。選択トランジスタ24は、例えばNチャネルMOSトランジスタから構成される。固定抵抗素子23の一端は、ビット線BLに接続され、その他端は、選択トランジスタ24のドレインに接続されている。選択トランジスタ24のゲートは、参照ワード線RWLに接続されている。選択トランジスタ24のソースは、例えばソース線を介して接地されている(接地電圧Vssが印加される)。
【0054】
固定抵抗素子23は、メモリセルMCの低抵抗状態と高抵抗状態との中間の抵抗値(参照値)に固定される。固定抵抗素子23は、MTJ素子21と同様のプロセスで形成され、基本的にはMTJ素子21と同様の積層構造を有している。そして、固定抵抗素子23の抵抗を所定の参照値に固定する方法としては、例えば、2個の強磁性層の磁化方向を固定した状態で、これら強磁性層の面積を変えることで実現可能である。
【0055】
[1−6]フューズセルFC
フューズセルFCは、上述したメモリセルMC(参照セルRC?)と同様、MTJ素子21及び選択トランジスタ22を備えている。フューズセルFCはメモリセルMCと同様の構成のため、詳細な説明は省略する。
【0056】
[1−7]カラムデコーダ
図8及び図9を用いて、カラムデコーダ13の構成について説明する。図8は、カラムデコーダ13−1の構成を示すブロック図である。図9は、図8のカラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXの一例の構成を示す回路図である。
【0057】
図8に示すように、カラムデコーダ13−1は、デコード部13A、マルチプレクサMUXを備えている。
【0058】
マルチプレクサMUXには、2種類のアドレスが供給される。これら2種類のアドレスは、アクセスビットアドレスに相当する外部入力アドレスAINと、フューズラッチ回路15−1からのアドレスFLTCと、からなる。フューズラッチ回路15−1には、特定の参照セルRCを選択するためのアドレスFLTCがプログラムされている。
【0059】
これら2種類のアドレスAIN及びFLTCの切り替えは、ブロック活性化信号BACT_1及びBACT_2によって制御される。図1のメモリセルアレイ11−1に含まれるメモリセルMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_1が活性化され、メモリセルアレイ11−2に含まれるメモリセMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_2が活性化される。
【0060】
具体的には、ブロック活性化信号BACT_1が活性化されると、カラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXは、アドレスAINを選択し、このアドレスAINをアドレスADとして出力し、アドレスAINの反転信号をアドレスbADとして出力する。アドレスbAD/ADは、デコード部13Aに供給される。一方、ブロック活性化信号BACT_2が活性化されると、カラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXは、アドレスFLTCを選択し、このアドレスFLTCをアドレスADとして出力し、アドレスFLTCの反転信号をアドレスbADとして出力する。
【0061】
デコード部13Aは、アドレスbAD/ADに基づいて、カラム選択信号CSL1_1〜CSL1_nのうち1本を活性化する。
【0062】
尚、メモリセルアレイ11−2に対応して設けられたカラムデコーダ13−2の構成も、前述したカラムデコーダ13−1と同様である。
【0063】
このようなカラムデコーダ13の動作により、アクセスされるメモリセルMCを含まないブロックでは、常に特定の参照セルRCが選択される。
【0064】
図9に示すように、マルチプレクサMUXは、ANDゲート41及び42、NORゲート43、インバータ44を備えている。
【0065】
アドレスAINi及びブロック活性化信号BACT_1は、ANDゲート41の第1及び第2の入力端子にそれぞれ入力される。ここで、“i”は、カラム選択信号CSL1の数に対応するnビットのうちの任意の1ビットを表している。ANDゲート41の出力は、NORゲート43の第1の入力端子に入力される。
【0066】
アドレスFLTCi及びブロック活性化信号BACT_2は、ANDゲート42の第1及び第2の入力端子にそれぞれ入力される。ANDゲート42の出力は、NORゲート43の第2の入力端子に入力される。
【0067】
NORゲート43は、アドレスbADiを出力する。また、NORゲート43の出力は、インバータ44の入力端子に入力される。インバータ44は、アドレスADiを出力する。
【0068】
尚、カラムデコーダ13−2に含まれるマルチプレクサMUXについては、図9のブロック活性化信号BACT_1とBACT_2とを入れ替えることで実現可能である。
【0069】
[1−8]フューズラッチ回路
図10を用いて、フューズラッチ回路の構成の一例について説明する。図10は、フューズラッチ回路15−1の構成を示す回路図である。フューズラッチ回路15−2の構成も、図10のフューズラッチ回路15−1と同じである。
【0070】
図10に示すように、フューズラッチ回路15−1は、PチャネルMOSトランジスタ51、NチャネルMOSトランジスタ52、フューズ素子53、ラッチ回路54、インバータ55を備えている。
【0071】
フューズラッチ回路15−1には、外部からパワーオン信号PWRONが供給される。パワーオン信号PWRONは、パワーオン時にハイレベル、パワーオフ時にローレベルに設定される。
【0072】
PチャネルMOSトランジスタ51のソースには、電源電圧Vddが印加されている。PチャネルMOSトランジスタ51のゲートには、パワーオン信号PWRONが入力されている。PチャネルMOSトランジスタ51のドレインは、NチャネルMOSトランジスタ52のドレインに接続されている。
【0073】
NチャネルMOSトランジスタ52のゲートには、パワーオン信号PWRONが入力されている。NチャネルMOSトランジスタ52のソースは、フューズ素子53の一端に接続されている。フューズ素子53の他端は、接地されている。フューズ素子53は、レーザーによって切断されたか否かによって、“0”及び“1”データのいずれかを記憶する。
【0074】
PチャネルMOSトランジスタ51のドレインは、ラッチ回路54の入力端子に接続されている。ラッチ回路54は、2個のインバータから構成されており、一方のインバータの出力が他方の入力に接続され、一方のインバータの出力が他方の入力に接続されている。
【0075】
ラッチ回路54の出力端子は、インバータ55の入力端子に接続されている。インバータ55は、アドレスFLTCiを出力する。
【0076】
[1−9]フューズラッチ回路の動作
図11を用いて、フューズラッチ回路15−1の動作について説明する。
【0077】
電源(Vdd)投入が行われ、チップ内の電圧が論理回路の動作可能な電圧まで上昇すると、フューズラッチ回路15−1の出力であるアドレスFLTCは一度全てハイレベルとなる。電源投入後、チップ内の初期化が完了したことを示す内部信号であるパワーオン信号PWRONの立ち上がりに同期して、フューズ素子53が未切断なアドレスビットに対してはFLTCがローレベルに遷移する。一方、フューズ素子53が切断されていれば、FLTCはハイレベルを保持する。
【0078】
最下位アドレスに相当するフューズ素子のみ切断する事で、アドレスFLTCを(100・・・0)にプログラムし、これをカラム選択線CSL1_1に割り付けることでカラム選択線CSL1_1の常時選択が行える。また、最下位の次のアドレスに相当するフューズ素子のみ切断する事で、アドレスFLTCを(010・・・0)にプログラムし、これをカラム選択線CSL1_2に割り付けることでカラム選択線CSL1_2の常時選択が行える。このような回路とカラム選択線の割り付けを導入する事で、フューズ素子のプログラムにより任意の参照セル選択が可能となる。
【0079】
[1−10]効果
第1の実施形態では、例えば、図1のセンスアンプSAに対して左側のセルアレイ10−1内に配置されたメモリセルMCが選択された場合、参照セルRCとしては、選択されたメモリセルMCのアドレスに依存せず、センスアンプSAの右側のセルアレイ10−2内に配置された特定の参照セルRCが常時選択される。そして、特定の参照セルRCと同一のロウに配置された参照セルRCとして使用しないセルを、フューズセルFCとして設定している。
【0080】
従って、本実施形態では、1つのセルアレイ10−1又は10−2内において、参照セルRCが配置されたロウと同じロウにフューズセルFCが配置されている。このため、1つのセルアレイ内において、参照セルが配置されたロウとは別のロウにフューズセルの領域を新たに設ける場合と比べて、本実施形態では、チップ面積を増加することなく、フューズセルFCを実現することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、1つのメモリセルアレイ10−1又は10−2内に配置されたメモリセルMCは、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、特定の参照セルRCを利用して読み出されることになる。このため、参照セルRCの総数を削減することが可能となる。これにより、参照セルRCの抵抗バラツキの裕度(margin)の確保が小さくできるため、読み出しマージンの確保が容易となる。このように、本実施形態では、複数の参照セルRCの中から特定の参照セルRCを使用することで、高精度な読み出し動作を実現する。
【0082】
また、本実施形態では、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、常時選択される参照セルRCを変更することも可能である。これにより、1つの参照セルRCが不良していた場合、他の参照セルRCが常時選択されるように変更することで、チップ不良の発生を回避する事が可能となる。この結果、歩留まり低下を起こす事なく、大容量な抵抗変化型メモリを低コストで実現できる。
【0083】
[2]第2の実施形態
第1の実施形態では、参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11のカラム方向に隣接して配置され、ロウ方向に一列に並べられた。これに対し、第2の実施形態では、参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11のロウ方向に隣接して配置し、カラム方向に一列に並べる。
【0084】
尚、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の点については説明を省略又は簡略し、第1の実施形態と異なる点について詳説する。
【0085】
[2−1]抵抗変化型メモリの回路構成
図12を用いて、第2の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成について説明する。
【0086】
セルアレイ10−1において、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−1に対応して設けられている。参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−1のロウ方向に隣接して配置されている。参照セルRC及びフューズセルFCは、カラム方向に延在する1本の参照ビット線RBL1に接続され、カラム方向に並んで配置されている。また、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、m本のワード線WL1_1〜WL1_mにそれぞれ接続されている。このように、セルアレイ10−1内の参照セルRC及びフューズセルFCは、同一のカラムに配置されている。
【0087】
同様に、セルアレイ10−2において、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−2に対応して設けられている。参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−2のロウ方向に隣接して配置されている。参照セルRC及びフューズセルFCは、カラム方向に延在する1本の参照ビット線RBL2に接続され、カラム方向に並んで配置されている。また、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、m本のワード線WL2_1〜WL2_mにそれぞれ接続されている。このように、セルアレイ10−2内の参照セルRC及びフューズセルFCは、同一のカラムに配置されている。
【0088】
参照ビット線RBL1は、カラム選択回路14−1を介して読み出しデータ線RB1に接続されている。カラム選択回路14−1に含まれ、かつ、参照ビット線RBL1に接続されたカラム選択トランジスタのゲートは、参照カラム選択線RCSL1を介してカラムデコーダ13−1に接続されている。参照ビット線RBL2は、カラム選択回路14−2を介して読み出しデータ線RB2に接続されている。カラム選択回路14−2に含まれ、かつ、参照ビット線RBL2に接続されたカラム選択トランジスタのゲートは、参照カラム選択線RCSL2を介してカラムデコーダ13−2に接続されている。
【0089】
カラムデコーダ13−1は、アドレスに基づいて、カラム選択線CSL1及び参照カラム選択線RCSL1のうち1本を選択する。カラムデコーダ13−2は、アドレスに基づいて、カラム選択線CSL2及び参照カラム選択線RCSL2のうち1本を選択する。
【0090】
具体的には、カラムデコーダ13−1は、アクセスされるメモリセルMCがカラムデコーダ13−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれる場合は、カラム選択線CSL1のうち1本を選択する。また、カラムデコーダ13−1は、アクセスされるメモリセルMCがカラムデコーダ13−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれない場合は、参照カラム選択線RCSL1を選択する。同様に、カラムデコーダ13−2は、アクセスされるメモリセMCがカラムデコーダ13−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれる場合は、カラム選択線CSL2のうち1本を選択する。また、カラムデコーダ13−2は、アクセスされるメモリセルMCがカラムデコーダ13−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれない場合は、参照カラム選択線RCSL2を選択する。
【0091】
ロウデコーダ12−1には、m本のワード線WL1が接続されている。ロウデコーダ12−1は、アドレスに基づいて、ワード線WL1のうち1本を選択する。ロウデコーダ12−2には、m本のワード線WL2が接続されている。ロウデコーダ12−2は、アドレスに基づいて、ワード線WL2のうち1本を選択する。ロウデコーダ12の具体的な動作については後述する。
【0092】
[2−2]メモリセルMCの読み出し動作
図12を用いて、上記のように構成された抵抗変化型メモリにおけるメモリセルMCの読み出し動作について説明する。ここでは、例えば、図12の左のメモリセルアレイ11−1内のワード線WL1_3とビット線BL1_2との交点に配置された丸で示されたメモリセルMC1_23が選択されたとする。
【0093】
この場合、ロウデコーダ12−1によって、ワード線WL1_3が選択(活性化)され、メモリセルMC1_23とビット線BL1_2とが接続される。さらに、カラムデコーダ13−1によってカラム選択線CSL1_2が活性化され、メモリセルMC1_23は読み出しデータ線RB1を介してセンスアンプSAへ接続される。
【0094】
一方、右のブロックからは、参照セルRCが選択される。すなわち、カラムデコーダ13−2によって、参照カラム選択線RCSL2がカラム選択線CSL1_2の活性化に併せて活性化され、参照ビット線RBL2が読み出しデータ線RB2に接続される。
【0095】
ここで、ロウデコーダ12−2は、アクセスされるメモリセルMC1_23のアドレスに依存せずに、ワード線WL2_1が常に活性化されるように制御する。参照セルRC2_1は、読み出しデータ線RB2を介してセンスアンプSAへ接続される。センスアンプSAは、メモリセルMC1_23から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流と、参照セルRC2_1から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流とを用いて、メモリセルMC1_23のデータを検知増幅する。
【0096】
このように、左側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC2_1を利用して読み出されるように設定する。これにより、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存して参照セルRCを選択しないため、参照ビット線RBL2に接続された全てのセルを参照セルRCとして使用しなくてもよい。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ビット線RBL2に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0097】
同様に、右側のブロック内のメモリセルMCが選択された場合には、ロウデコーダ12−1は、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、例えばワード線WL1_1が常に活性化されるように制御する。これにより、右側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC1_1を利用して読み出される。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ビット線RBL1に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0098】
このような制御をすることにより、左右何れのメモリセルアレイ11−1及び11−2が選択された場合でも、矛盾なくメモリセルMCの読み出し動作を行うことが可能となる。この場合、読み出しに必要な参照セルRCの総数は2個となり、従来に比べて、参照セルRCの総数を大幅に低減できる。これにより、参照セルRCの抵抗バラツキの裕度(margin)の確保が小さくてすむため、読み出しマージンの確保が容易となる。
【0099】
尚、本実施形態では、参照セルRCを選択可能にする制御動作も可能である。つまり、アクセスされるビットのアドレスに無関係に、常時選択される参照セルRCを変更することが可能である。これにより、例えば参照セルRC2_1が不良していた場合、ワード線WL2_1の代わりにワード線WL2_2を常時活性化することで、ワード線WL2_2と参照ビットRBL2とに接続された参照セルRC2_2の選択が可能となる。よって、参照セルRC2_2が正常セルであれば、不良発生を回避する事が可能となる。
【0100】
[2−3]ロウデコーダ
図13を用いて、ロウデコーダ12−1の構成について説明する。
【0101】
図13に示すように、ロウデコーダ12−1は、デコード部12A、マルチプレクサMUXを備えている。
【0102】
マルチプレクサMUXには、2種類のアドレスが供給される。これら2種類のアドレスは、アクセスビットアドレスに相当する外部入力アドレスAINと、フューズラッチ回路15−1からのアドレスFLTCとからなる。フューズラッチ回路15−1には、特定の参照セルRCを選択するためのアドレスFLTCがプログラムされている。フューズラッチ回路15−1の構成は、第1の実施形態で示した図10と同じである。
【0103】
これら2種類のアドレスAIN及びFLTCの切り替えは、ブロック活性化信号BACT_1及びBACT_2によって制御される。図12のメモリセルアレイ11−1に含まれるメモリセルMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_1が活性化され、メモリセルアレイ11−2に含まれるメモリセルMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_2が活性化される。マルチプレクサMUXの構成は、第1の実施形態で示した図9と同じである。
【0104】
デコード部12Aは、マルチプレクサMUXからアドレスbAD/ADを受ける。デコード部12Aは、アドレスbAD/ADに基づいて、ワード線WL1_1〜WL1_mのうち1本を活性化する。
【0105】
尚、メモリセルアレイ11−2に対応して設けられたロウデコーダ12−2の構成も、前述したロウデコーダ12−1と同様である。
【0106】
このようなロウデコーダ12の動作により、アクセスされるメモリセルMCを含まないブロックでは、常に特定の参照セルRCが選択される。さらに、フューズラッチ回路15にプログラムするアドレスを変更することで、読み出しに使用される参照セルRCを変更することが可能である。
【0107】
[2−4]効果
第2の実施形態では、メモリセルMCの読み出し動作に必要な参照セルRCとして、参照ビット線RBLに接続され、かつ、カラム方向に配置された複数の参照セルRCを用いるようにしている。そして、特定の参照セルRCと同一のカラムに配置された参照セルRCとして使用しないセルを、フューズセルFCとして設定している。従って、本実施形態では、1つのセルアレイ10−1又は10−2内において、参照セルRCが配置されたカラムと同じカラムにフューズセルFCが配置されている。
【0108】
これにより、本実施形態でも、上記第1の実施形態と同様に、チップ面積を増加することなく、フューズセルFCを実現することができ、さらに、参照セルRCの総数を減少できることで、読み出しマージンの確保が容易となる。
【0109】
[3]第3の実施形態
上記各実施形態の抵抗変化型メモリとしてはMRAMを用いたが、MRAM以外の様々なメモリを使用することが可能である。そこで、第3の実施形態では、抵抗変化型メモリの他の例として、ReRAM(resistance random access memory)とPRAM(phase-change random access memory)について説明する。
【0110】
[3−1]ReRAM
図14を用いて、ReRAMに用いられる抵抗変化素子21について説明する。
【0111】
図14に示すように、抵抗変化素子21は、下部電極31、上部電極35、及びこれらに挟まれた記録層61を備えている。
【0112】
記録層61は、プロブスカイト型金属酸化物、又は二元系金属酸化物などの遷移金属酸化物から構成される。プロブスカイト型金属酸化物としては、PCMO(Pr0.7Ca0.3MnO3)、Nb添加SrTi(Zr)O3、Cr添加SrTi(Zr)O3などが挙げられる。二元系金属酸化物としては、NiO、TiO2、Cu2Oなどが挙げられる。
【0113】
抵抗変化素子21は、それに印加する電圧の極性を変えることで抵抗値が変化し(バイポーラ型)、又はそれに印加する電圧の絶対値を変えることで抵抗値が変化する(ユニポーラ型)。よって、抵抗変化素子21は、印加電圧を制御することで低抵抗状態と高抵抗状態とに設定される。尚、バイポーラ型であるかユニポーラ型であるかは、選択する記録層61の材料によって異なってくる。
【0114】
例えばバイポーラ型の抵抗変化素子21の場合、抵抗変化素子21を高抵抗状態(リセット状態)から低抵抗状態(セット状態)へ遷移させる電圧をセット電圧Vset、低抵抗状態(セット状態)から高抵抗状態(リセット状態)へ遷移させる電圧をリセット電圧Vresetとすると、セット電圧Vsetは下部電極31に対して上部電極35に正の電圧を印加する正バイアス、リセット電圧Vresetは下部電極31に対して上部電極35に負の電圧を印加する負バイアスに設定される。そして、低抵抗状態及び高抵抗状態を“0”データ及び“1”データに対応させることで、抵抗変化素子21が1ビットデータを記憶することができる。
【0115】
データの読み出しは、リセット電圧Vresetよりも1/1000〜1/4程度の十分小さな読み出し電圧を抵抗変化素子21に印加する。そして、この時に抵抗変化素子21に流れる電流を検出することでデータを読み出すことができる。
【0116】
尚、図14に示すReRAMの抵抗変化素子21は、上記各実施形態のMRAMの場合におけるメモリセルMC及びフューズセルFCのMTJ素子21、参照セルRCの固定抵抗素子23の代わりに適用可能である。この場合、参照セルRCに用いられる抵抗変化素子21は、メモリセルMCの低抵抗状態と高抵抗状態との中間の抵抗値(参照値)に固定される。
【0117】
[3−2]PRAM
図15を用いて、PRAMに用いられる抵抗変化素子21について説明する。
【0118】
図15に示すように、抵抗変化素子21は、下部電極31、ヒーター層62、記録層63、上部電極35が順に積層されて構成されている。
【0119】
記録層63は、相変化材料から構成され、書き込み時に発生する熱により結晶状態と非晶質状態とに設定される。記録層63の材料としては、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−Sn−Teなどのカルコゲン化合物を挙げることができる。これらの材料は、高速スイッチング性、繰返し記録安定性、高信頼性を確保する上で望ましい。
【0120】
ヒーター層62は、記録層63の底面に接している。ヒーター層62の記録層63に接する面積は、記録層63の底面の面積より小さいことが望ましい。これは、ヒーター層62と記録層63との接触部分を小さくすることで加熱部分を小さくし、書き込み電流又は電圧を低減するためである。ヒーター層62は、導電性材料からなり、例えば、TiN、TiAlN、TiBN、TiSiN、TaN、TaAlN、TaBN、TaSiN、WN、WAlN、WBN、WSiN、ZrN、ZrAlN、ZrBN、ZrSiN、MoN、Al、Al−Cu、Al−Cu−Si、WSi、Ti、Ti−W、及びCuから選択される1つからなることが望ましい。また、ヒーター層62は、後述する下部電極と同じ材料であってもよい。
【0121】
下部電極31の面積は、ヒーター層62の面積より大きい。上部電極35は、例えば、記録層63の平面形状と同じである。下部電極31及び上部電極35の材料としては、Ta、Mo、Wなどの高融点金属が挙げられる。
【0122】
記録層63は、それに印加する電流パルスの大きさ及び電流パルスの幅を制御することで加熱温度が変化し、結晶状態又は非晶質状態に変化する。具体的には、書き込み時、下部電極31と上部電極35との間に電圧又は電流を印加し、上部電極35から記録層63及びヒーター層62を介して下部電極31に電流を流す。記録層63を融点付近まで加熱すると、記録層63は非晶質相(高抵抗相)に変化し、電圧又は電流の印加を止めても非晶質状態を維持する。
【0123】
一方、下部電極31と上部電極35との間に電圧又は電流を印加し、記録層63を結晶化に適した温度付近まで加熱すると、記録層63は結晶相(低抵抗相)に変化し、電圧又は電流の印加を止めても結晶状態を維持する。記録層63を結晶状態に変化させる場合は、非晶質状態に変化させる場合と比べて、記録層63に印加する電流パルスの大きさは小さく、かつ電流パルスの幅は大きくするとよい。このように、下部電極31と上部電極35との間に電圧又は電流を印加して記録層63を加熱することで、記録層63の抵抗値を変化させることができる。
【0124】
記録層63が結晶相であるか、非晶質相であるかは、下部電極31と上部電極35との間に記録層63が結晶化も非晶質化も生じない程度の低電圧又は低電流を印加し、下部電極31と上部電極35との間の電圧又は電流を読み取ることによって判別することができる。このため、低抵抗状態及び高抵抗状態を“0”データ及び“1”データに対応させることで、抵抗変化素子21から1ビットデータを読み出すことができる。
【0125】
尚、図15に示すPRAMの抵抗変化素子21は、上記各実施形態のMRAMの場合におけるメモリセルMC及びフューズセルFCのMTJ素子21、参照セルRCの固定抵抗素子23の代わりに適用可能である。この場合、参照セルRCに用いられる抵抗変化素子21は、メモリセルMCの低抵抗状態と高抵抗状態との中間の抵抗値(参照値)に固定される。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
MC…メモリセル、RC…参照セル、FC…フューズセル、BL…ビット線、WL…ワード線、RWL1,RWL2…参照ワード線、RBL…参照ビット線、RB…読み出しデータ線、CSL…カラム選択線、RCSL…参照カラム選択線、SA…センスアンプ、MUX…マルチプレクサ、10…セルアレイ、11…メモリセルアレイ、12…ロウデコーダ、13…カラムデコーダ、14…カラム選択回路、15…フューズラッチ回路、16…周辺記憶回路、17…周辺制御回路、21…抵抗変化素子。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フューズセルを備えた半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリとして、MRAM(magnetic random access memory)、ReRAM(resistance random access memory)、PRAM(phase-change random access memory)などの抵抗変化型メモリがある。
【0003】
これらのメモリにおいて、周辺回路制御の動作条件を記憶するフューズを不揮発性セルで実現する技術がある。これを、フューズセルと呼称する。具体的には、セルアレイの一部の行又は列の全てのセルをフューズセルとして割り当てる。
【0004】
しかし、セルアレイ内にフューズセル専用の行又は列を追加すると、チップ面積が増加してしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2010−49730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チップ面積を増加することなく、フューズセルを実現することが可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態による半導体記憶装置は、第1セルアレイ内に配置された第1参照セルと、前記第1セルアレイ内に配置され、前記第1参照セルが配置されたロウ又はカラムと同一のロウ又はカラムに並べられた複数の第1フューズセルと、を具備する
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成のブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリにおけるフューズセルFCの読み出し動作に関する概略図。
【図3】第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリにおけるフューズセルFCの読み出し動作に関するブロック図。
【図4】第1の実施形態に係るメモリセルMCの構成を示す回路図。
【図5】第1の実施形態に係るMTJ素子21の構成を示す概略図。
【図6】第1の実施形態に係るMTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態を示す図。
【図7】第1の実施形態に係る参照セルRCの構成を示す回路図。
【図8】第1の実施形態に係るカラムデコーダ13−1の構成を示すブロック図。
【図9】第1の実施形態に係るカラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXの構成を示す回路図。
【図10】第1の実施形態に係るフューズラッチ回路15−1の構成を示す回路図。
【図11】第1の実施形態に係るフューズラッチ回路15−1の動作を示すタイミングチャート。
【図12】第2の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成のブロック図。
【図13】第2の実施形態に係るロウデコーダ12−1の構成を示すブロック図。
【図14】第3の実施形態に係るReRAMに用いられる抵抗変化素子21の構成を示す概略図。
【図15】第3の実施形態に係るPRAMに用いられる抵抗変化素子21の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0009】
[1]第1の実施形態
[1−1]抵抗変化型メモリの回路構成
図1を用いて、第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成について説明する。本図では、主に読み出し系回路が示される。また、本実施形態の抵抗変化型メモリは複数のセルアレイを備えるが、ここでは、セルアレイが2つ配置された簡略図を用いる。
【0010】
抵抗変化型メモリは、セルアレイ10−1及び10−2、ロウデコーダ12−1及び12−2、カラムデコーダ13−1及び13−2、センスアンプSA、周辺記憶回路16を備えている。
【0011】
セルアレイ10−1及び10−2は、メモリセルアレイ11−1及び11−2をそれぞれ有している。このメモリセルアレイ11−1及び11−2は、マトリクス状に配置された(m×n)個のメモリセルMCから構成されている。
【0012】
セルアレイ10−1及び10−2は、さらに、参照セルRC及びフューズセルFCをそれぞれ有している。この参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−1及び11−2のカラム方向に隣接して配置されている。そして、フューズセルFCを参照セルRCと異なるロウに設けるのではなく、参照セルRC及びフューズセルFCが同一のロウに配置される。本例では、各セルアレイ10−1及び10−2内における参照セルRC及びフューズセルFCの総数は、ロウ方向のメモリセルMCの数と同じく、n個である。
【0013】
メモリセルアレイ11−1には、それぞれがカラム方向に延在するように、n本のビット線BL1_1〜BL1_n(BL1)が配設されている。また、メモリセルアレイ11−1には、それぞれがロウ方向に延在するように、m本のワード線WL1_1〜WL1_m(WL1)が配設されている。ビット線BL1とワード線WL1との交差領域には、メモリセルMCが配置され、各メモリセルMCは、対応するビット線BL1及びワード線WL1に接続される。
【0014】
セルアレイ10−1内の参照セルRC及びフューズセルFCは、ロウ方向に延在する1本の参照ワード線RWL1に接続され、ロウ方向に並んで配置される。また、参照セルRC及びフューズセルFCは、ビット線BL1_1〜BL1_nにそれぞれ接続されている。
【0015】
同様に、メモリセルアレイ11−2には、それぞれがカラム方向に延在するように、n本のビット線BL2_1〜BL2_n(BL2)が配設されている。また、メモリセルアレイ11−2には、それぞれがロウ方向に延在するように、m本のワード線WL2_1〜WL2_m(WL2)が配設されている。ビット線BL2とワード線WL2との交差領域には、メモリセルMCが配置され、各メモリセルMCは、対応するビット線BL2及びワード線WL2に接続される。
【0016】
セルアレイ10−2内の参照セルRC及びフューズセルFCは、ロウ方向に延在する1本の参照ワード線RWL2に接続され、ロウ方向に並んで配置される。また、参照セルRC及びフューズセルFCは、ビット線BL2_1〜BL2_nにそれぞれ接続されている。
【0017】
尚、本図では、参照セルRCとフューズセルFCが上下に分かれて配置されているが、これに限定されず、例えば、参照セルRCとフューズセルFCとが1つずつ交互に配置されてもよい。また、参照セルRC及びフューズセルFCの総数は、カラム数nと同じである必要はなく、カラム数nより少なくても構わない。また、各セルアレイ10−1及び10−2内において、1本の参照ワード線RWL1又はRWL2に接続されたセルのうち、参照セルRC及びフューズセルFCの互いの数は同じであっても異なってもよく、例えば、参照セルRCは少なくとも1つ設定し、それ以外のセルはフューズセルFCに設定してもよい。また、参照セルRCの設定においては、セルアレイ10−1及び10−2の中から特定のセルを参照セルとして、抵抗変化型メモリの製造時に予め設定しておいてもよいし、製造後のテスト工程において設定してもよい。
【0018】
ワード線WL1及び参照ワード線RWL1には、ロウデコーダ12−1が接続されている。ワード線WL2及び参照ワード線RWL2には、ロウデコーダ12−2が接続されている。ロウデコーダ12−1は、アドレスに基づいて、ワード線WL1及び参照ワード線RWL1のうち1本を選択する。ロウデコーダ12−2は、アドレスに基づいて、ワード線WL2及び参照ワード線RWL2のうち1本を選択する。
【0019】
具体的には、ロウデコーダ12−1は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれる場合は、ワード線WL1_1〜WL1_mのうち1本を選択する。また、ロウデコーダ12−1は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれない場合は、参照ワード線RWL1を選択する。同様に、ロウデコーダ12−2は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれる場合は、ワード線WL2_1〜WL2_mのうち1本を選択する。また、ロウデコーダ12−2は、アクセスされるメモリセルMCがロウデコーダ12−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれない場合は、参照ワード線RWL2を選択する。
【0020】
n本のビット線BL1は、カラム選択回路14−1を介して読み出しデータ線RB1に接続されている。カラム選択回路14−1は、n本のビット線BL1に対応した数のカラム選択トランジスタを備えている。このカラム選択トランジスタは、例えばNチャネルMOSトランジスタから構成される。カラム選択回路14−1に含まれるn個のカラム選択トランジスタのゲートは、カラム選択線CSL1_1〜CSL1_nを介してカラムデコーダ13−1にそれぞれ接続されている。
【0021】
同様に、n本のビット線BL2は、カラム選択回路14−2を介して読み出しデータ線RB2に接続されている。カラム選択回路14−2は、n本のビット線BL2に対応した数のカラム選択トランジスタを備えている。カラム選択回路14−2に含まれるn個のカラム選択トランジスタのゲートは、カラム選択線CSL2_1〜CSL2_nを介してカラムデコーダ13−2にそれぞれ接続されている。
【0022】
読み出しデータ線RB1及びRB2には、メモリセルアレイ11−1及び11−2に共有されるセンスアンプSAが接続されている。センスアンプSAは、読み出しデータ線RB1及びRB2の一方にアクセスされたメモリセルMCから読み出された電圧又は電流と、読み出しデータ線RB1及びRB2の他方に参照セルRCから読み出された電圧又は電流とを用いて、上記アクセスされたメモリセルMCのデータを検知増幅する。
【0023】
カラムデコーダ13−1は、アドレスに基づいて、ビット線BL1のうち1本を選択する。このビット線BL1の選択制御は、カラム選択線CSL1のいずれかを選択(活性化)することで行われる。同様に、カラムデコーダ13−2は、アドレスに基づいて、ビット線BL2のうち1本を選択する。このビット線BL2の選択制御は、カラム選択線CSL2のいずれかを選択(活性化)することで行われる。カラムデコーダ13の具体的な動作については後述する。
【0024】
周辺記憶回路16は、フューズラッチ回路15−1及び15−2を有している。フューズラッチ回路15−1及び15−2には、最も高精度な読み出しができるような参照セルRCを選択できるように、最適な参照セル選択に関する情報が保持されている。このフューズラッチ回路15−1及び15−2に保持された情報を用いて、最適な参照セルRCの選択が行われる。
【0025】
周辺記憶回路16には、フューズセルFCのデータが記憶される。このフューズセルFCのデータは、抵抗変化型メモリを備えたチップの電源を起動した直後に、センスアンプSAを介して読み出され、周辺記憶回路16に記憶される。さらに、フューズラッチ回路15−1及び15−2を含む周辺記憶回路16の情報を用いて最適な参照セルRCが選択される。また、フューズラッチ回路15−1及び15−2を含まない周辺記憶回路16の領域の情報を用いて、周辺制御回路の動作条件が設定されてもよい。
【0026】
このような本実施形態では、メモリセルMCのアドレスに依存せずに参照セルRCの選択の自由度があり、最も高精度な読み出しができるような参照セルRCを選択することができる(最適参照セル選択方式)。このため、この方式では、使用していない参照セルRCが存在することになるので、本実施形態では、この使用しない参照セルRCの領域をフューズセルFCに割り当てる。従って、本実施形態では、同一のロウに参照セルRCとフューズセルFCが並んで配置される。
【0027】
[1−2]メモリセルMCの読み出し動作
図1を用いて、上記のように構成された抵抗変化型メモリにおけるメモリセルMCの読み出し動作について説明する。ここでは、例えば、図1の左のメモリセルアレイ11−1内のワード線WL1_3とビット線BL1_2との交点に配置された丸で示されたメモリセルMC1_23が選択されたとする。
【0028】
この場合、ロウデコーダ12−1によって、ワード線WL1_3が選択(活性化)され、メモリセルMC1_23とビット線BL1_2とが接続される。さらに、カラムデコーダ13−1によってカラム選択線CSL1_2が活性化され、メモリセルMC1_23は読み出しデータ線RB1を介してセンスアンプSAへ接続される。
【0029】
一方、右のブロックからは、参照セルRCが選択される。すなわち、ロウデコーダ12−2によって、参照ワード線RWL2がワード線WL1_3の活性化に併せて活性化される。
【0030】
ここで、カラムデコーダ13−2は、アクセスされるメモリセルMC1_23のアドレスに依存せずに、カラム選択線CSL2_1が常に活性化されるように制御する。参照セルRC2_1は、読み出しデータ線RB2を介してセンスアンプSAへ接続される。センスアンプSAは、メモリセルMC1_23から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流と、参照セルRC2_1から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流とを用いて、メモリセルMC1_23のデータを検知増幅する。
【0031】
このように、左側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC2_1を利用して読み出されるように設定する。これにより、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存して参照セルRCを選択しないため、参照ワード線RWL2に接続された全てのセルを参照セルRCとして使用しなくてもよい。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ワード線RWL2に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0032】
同様に、右側のブロック内のメモリセルMCが選択された場合には、カラムデコーダ13−1は、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、例えばカラム選択線CSL1_1が常に活性化されるように制御する。これにより、右側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC1_1を利用して読み出される。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ワード線RWL1に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0033】
このような制御を行うことにより、左右何れのメモリセルアレイ11−1及び11−2が選択された場合でも、矛盾なくメモリセルMCの読み出し動作を行うことが可能となる。この場合、読み出しに必要な参照セルRCの総数は2個となり、従来に比べて、参照セルRCの総数を大幅に低減できる。これにより、参照セルRCの抵抗バラツキの裕度(margin)の確保が小さくできるため、読み出しマージンの確保が容易となる。
【0034】
尚、本実施形態では、参照セルRCを選択可能にする制御動作も可能である。つまり、アクセスされるビットのアドレスに無関係に、常時選択される参照セルRCを変更することが可能である。これにより、例えば参照セルRC2_1が不良していた場合、カラム選択線CSL2_1の代わりにカラム選択線CSL2_2を常時活性化することで、ビット線BL2_2に接続された参照セルRC2_2の選択が可能となる。よって、参照セルRC2_2が正常セルであれば、不良発生を回避することが可能となる。尚、本方式のように、所謂予備の参照セルRCの選択を可能としても、チップ内に搭載されている参照セルRCの総数は、従来と比べて少なく設定することが可能であり、本実施形態を実施することによるチップサイズ増大は無く、参照セルRCと同一のロウにフューズセルFCを設定することも可能である。
【0035】
[1−3]フューズセルFCの読み出し動作
本実施形態のフューズセルFCの読み出し動作では、2つのセルアレイ10−1及び10−2内のフューズセルFCは、相補データをそれぞれ記憶している。そして、セルアレイ10−1及び10−2の一方のフューズセルFCを読み出す場合、センスアンプSAの入力には、セルアレイ10−1及び10−2の一方のフューズセルFCと、セルアレイ10−1及び10−2の他方のフューズセルFCとが接続され、それらの抵抗値の差によってフューズセルFCのデータが決定される。
【0036】
具体的に、図2及び図3を用いて、第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリにおけるフューズセルFCの読み出し動作について説明する。
【0037】
図2に示すように、セルアレイ10−a内のフューズセルFC−Aのデータを読み出す場合、隣接するセルアレイ10−b内のフューズセルFCr−Aを参照セルとして用いる。従って、センスアンプSA−Aの相補入力には、隣接するセルアレイ10−a及び10−bのフューズセルFC−A及びFCr−Aがそれぞれ接続され、電流シンクCS−Aを用いて、フューズセルFC−A及びFCr−Aに読み出し電流及び参照電流がそれぞれ流される。そして、センスアンプSA−Aは、読み出し電流と参照電流の大きさを比較して、それによってフューズセルFC−Aのデータを決定する。
【0038】
同様に、セルアレイ10−aのフューズセルFC−Bのデータを読み出す場合、隣接するセルアレイ10−bのフューズセルFCr−Bを参照セルとして用いる。従って、センスアンプSA−Bの相補入力には、隣接するセルアレイ10−a及び10−bのフューズセルFC−B及びFCr−Bがそれぞれ接続され、電流シンクCS−Bを用いて、フューズセルFC−B及びFCr−Bに読み出し電流及び参照電流がそれぞれ流される。そして、センスアンプSA−Bは、読み出し電流と参照電流の大きさを比較して、それによってフューズセルFC−Bのデータを決定する。
【0039】
尚、フューズセルの読み出しにおいて、参照セルとして用いるフューズセルは、隣接するセルアレイ内に存在するフューズセルを用いることに限定されず、異なるセルアレイ内のフューズセルであれば、どの位置のセルアレイ内のフューズセルでも用いることは可能である。
【0040】
このようなフューズセルFCの読み出し動作は、抵抗変化型メモリを備えたチップの電源起動時に行われる。
【0041】
図3に示すように、抵抗変化型メモリを備えたチップの電源起動時に、セルアレイ10から周辺記憶回路16の例えばSRAMフューズに、フューズセルFCのデータが転送される。周辺記憶回路16のデータによって、周辺制御回路17の動作が調整される。さらに、周辺記憶回路16のデータによって、最適な参照セルRCが選択される。
【0042】
上述したフューズセルFCの読み出し動作によれば、2セル/ビット方式により、フューズセルFC専用の参照セルを新たに設ける必要がない。これにより、本実施形態によれば、1Gbチップにおいて、128Kb程度のフューズセルFCの容量を確保可能である。
【0043】
[1−4]メモリセルMC
本実施形態では、抵抗変化型メモリ(半導体記憶装置)として、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:magnetic random access memory)を一例に挙げて説明する。
【0044】
図4は、メモリセルMCの構成を示す回路図である。メモリセルMCは、抵抗変化素子(MTJ素子)21、及び選択トランジスタ22を備えている。選択トランジスタ22は、例えばNチャネルMOSトランジスタから構成される。MTJ素子21の一端は、ビット線BLに接続され、その他端は、選択トランジスタ22のドレインに接続されている。選択トランジスタ22のゲートは、ワード線WLに接続されている。選択トランジスタ22のソースは、例えばソース線を介して接地されている(接地電圧Vssが印加される)。
【0045】
図5は、MTJ素子21の構成を示す概略図である。MTJ素子21は、下部電極31、固定層32、中間層33、記録層(自由層)34、上部電極35が順に積層されて構成されている。尚、MTJ素子21を構成する層は、積層順序が逆転していても構わない。
【0046】
固定層32は、強磁性材料からなり、その磁化方向が固定されている。例えば、固定層32に隣接して反強磁性層(図示せず)を設けることで、固定層32の磁化方向を固定することができる。自由層34は、強磁性材料からなり、その磁化方向が可変である。中間層33は、非磁性材料からなり、具体的には、非磁性金属、非磁性半導体、絶縁体などを用いることが可能である。
【0047】
固定層32及び自由層34の容易磁化方向は膜面に垂直であってもよいし(垂直磁化)、膜面に平行であってもよい(面内磁化)。垂直磁化型の場合、面内磁化型のように磁化方向を決定するのに素子形状を制御する必要がなく、微細化に適しているという利点がある。
【0048】
尚、固定層32及び自由層34の各々は、図示するような単層に限定されず、複数の強磁性層からなる積層構造であってもよい。また、固定層32及び自由層34の各々は、第1の強磁性層/非磁性層/第2の強磁性層の3層からなり、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が反平行状態となるように磁気結合(層間交換結合)した反強磁性結合構造であってもよいし、第1及び第2の強磁性層の磁化方向が平行状態となるように磁気結合(層間交換結合)した強磁性結合構造であってもよい。
【0049】
また、MTJ素子21は、図示するシングルジャンクション構造に限定されず、ダブルジャンクション構造を有していてもよい。ダブルジャンクション構造のMTJ素子21は、第1の固定層、第1の中間層、自由層、第2の中間層、第2の固定層が順に積層された積層構造を有する。このようなダブルジャンクション構造は、スピン注入による自由層34の磁化反転を制御しやすいという利点がある。
【0050】
図6(a)及び(b)は、MTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態をそれぞれ示す図である。以下に、スピン注入書き込み方式によるMTJ素子21の低抵抗状態及び高抵抗状態を説明する。尚、この説明において、電流とは、電子の流れをいうものとする。
【0051】
まず、固定層32と自由層34との磁化方向が平行となる平行状態(低抵抗状態)について説明する。この場合、固定層32から自由層34へ向かう電流を供給する。固定層32を通過した電子のうちマジョリティーな電子は、固定層32の磁化方向と平行なスピンを有する。このマジョリティーな電子のスピン角運動量が自由層34に移動することにより、スピントルクが自由層34に印加され、自由層34の磁化方向は、固定層32の磁化方向と平行に揃えられる。この平行配列のときはMTJ素子21の抵抗値は最も小さくなり、この場合を“0”データと規定する。
【0052】
次に、固定層32と自由層34との磁化方向が反平行となる反平行状態(高抵抗状態)について説明する。この場合、自由層34から固定層32へ向かう電流を供給する。固定層32によって反射された電子のうちマジョリティーな電子は、固定層32の磁化方向と反平行のスピンを有する。このマジョリティーな電子のスピン角運動量が自由層34に移動することにより、スピントルクが自由層34に印加され、自由層34の磁化方向は、固定層32の磁化方向と反平行に揃えられる。この反平行配列のときはMTJ素子21の抵抗値は最も大きくなり、この場合を“1”データと規定する。
【0053】
[1−5]参照セルRC
図7は、参照セルRCの構成を示す回路図である。参照セルRCは、固定抵抗素子23、及び選択トランジスタ24を備えている。選択トランジスタ24は、例えばNチャネルMOSトランジスタから構成される。固定抵抗素子23の一端は、ビット線BLに接続され、その他端は、選択トランジスタ24のドレインに接続されている。選択トランジスタ24のゲートは、参照ワード線RWLに接続されている。選択トランジスタ24のソースは、例えばソース線を介して接地されている(接地電圧Vssが印加される)。
【0054】
固定抵抗素子23は、メモリセルMCの低抵抗状態と高抵抗状態との中間の抵抗値(参照値)に固定される。固定抵抗素子23は、MTJ素子21と同様のプロセスで形成され、基本的にはMTJ素子21と同様の積層構造を有している。そして、固定抵抗素子23の抵抗を所定の参照値に固定する方法としては、例えば、2個の強磁性層の磁化方向を固定した状態で、これら強磁性層の面積を変えることで実現可能である。
【0055】
[1−6]フューズセルFC
フューズセルFCは、上述したメモリセルMC(参照セルRC?)と同様、MTJ素子21及び選択トランジスタ22を備えている。フューズセルFCはメモリセルMCと同様の構成のため、詳細な説明は省略する。
【0056】
[1−7]カラムデコーダ
図8及び図9を用いて、カラムデコーダ13の構成について説明する。図8は、カラムデコーダ13−1の構成を示すブロック図である。図9は、図8のカラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXの一例の構成を示す回路図である。
【0057】
図8に示すように、カラムデコーダ13−1は、デコード部13A、マルチプレクサMUXを備えている。
【0058】
マルチプレクサMUXには、2種類のアドレスが供給される。これら2種類のアドレスは、アクセスビットアドレスに相当する外部入力アドレスAINと、フューズラッチ回路15−1からのアドレスFLTCと、からなる。フューズラッチ回路15−1には、特定の参照セルRCを選択するためのアドレスFLTCがプログラムされている。
【0059】
これら2種類のアドレスAIN及びFLTCの切り替えは、ブロック活性化信号BACT_1及びBACT_2によって制御される。図1のメモリセルアレイ11−1に含まれるメモリセルMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_1が活性化され、メモリセルアレイ11−2に含まれるメモリセMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_2が活性化される。
【0060】
具体的には、ブロック活性化信号BACT_1が活性化されると、カラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXは、アドレスAINを選択し、このアドレスAINをアドレスADとして出力し、アドレスAINの反転信号をアドレスbADとして出力する。アドレスbAD/ADは、デコード部13Aに供給される。一方、ブロック活性化信号BACT_2が活性化されると、カラムデコーダ13−1に含まれるマルチプレクサMUXは、アドレスFLTCを選択し、このアドレスFLTCをアドレスADとして出力し、アドレスFLTCの反転信号をアドレスbADとして出力する。
【0061】
デコード部13Aは、アドレスbAD/ADに基づいて、カラム選択信号CSL1_1〜CSL1_nのうち1本を活性化する。
【0062】
尚、メモリセルアレイ11−2に対応して設けられたカラムデコーダ13−2の構成も、前述したカラムデコーダ13−1と同様である。
【0063】
このようなカラムデコーダ13の動作により、アクセスされるメモリセルMCを含まないブロックでは、常に特定の参照セルRCが選択される。
【0064】
図9に示すように、マルチプレクサMUXは、ANDゲート41及び42、NORゲート43、インバータ44を備えている。
【0065】
アドレスAINi及びブロック活性化信号BACT_1は、ANDゲート41の第1及び第2の入力端子にそれぞれ入力される。ここで、“i”は、カラム選択信号CSL1の数に対応するnビットのうちの任意の1ビットを表している。ANDゲート41の出力は、NORゲート43の第1の入力端子に入力される。
【0066】
アドレスFLTCi及びブロック活性化信号BACT_2は、ANDゲート42の第1及び第2の入力端子にそれぞれ入力される。ANDゲート42の出力は、NORゲート43の第2の入力端子に入力される。
【0067】
NORゲート43は、アドレスbADiを出力する。また、NORゲート43の出力は、インバータ44の入力端子に入力される。インバータ44は、アドレスADiを出力する。
【0068】
尚、カラムデコーダ13−2に含まれるマルチプレクサMUXについては、図9のブロック活性化信号BACT_1とBACT_2とを入れ替えることで実現可能である。
【0069】
[1−8]フューズラッチ回路
図10を用いて、フューズラッチ回路の構成の一例について説明する。図10は、フューズラッチ回路15−1の構成を示す回路図である。フューズラッチ回路15−2の構成も、図10のフューズラッチ回路15−1と同じである。
【0070】
図10に示すように、フューズラッチ回路15−1は、PチャネルMOSトランジスタ51、NチャネルMOSトランジスタ52、フューズ素子53、ラッチ回路54、インバータ55を備えている。
【0071】
フューズラッチ回路15−1には、外部からパワーオン信号PWRONが供給される。パワーオン信号PWRONは、パワーオン時にハイレベル、パワーオフ時にローレベルに設定される。
【0072】
PチャネルMOSトランジスタ51のソースには、電源電圧Vddが印加されている。PチャネルMOSトランジスタ51のゲートには、パワーオン信号PWRONが入力されている。PチャネルMOSトランジスタ51のドレインは、NチャネルMOSトランジスタ52のドレインに接続されている。
【0073】
NチャネルMOSトランジスタ52のゲートには、パワーオン信号PWRONが入力されている。NチャネルMOSトランジスタ52のソースは、フューズ素子53の一端に接続されている。フューズ素子53の他端は、接地されている。フューズ素子53は、レーザーによって切断されたか否かによって、“0”及び“1”データのいずれかを記憶する。
【0074】
PチャネルMOSトランジスタ51のドレインは、ラッチ回路54の入力端子に接続されている。ラッチ回路54は、2個のインバータから構成されており、一方のインバータの出力が他方の入力に接続され、一方のインバータの出力が他方の入力に接続されている。
【0075】
ラッチ回路54の出力端子は、インバータ55の入力端子に接続されている。インバータ55は、アドレスFLTCiを出力する。
【0076】
[1−9]フューズラッチ回路の動作
図11を用いて、フューズラッチ回路15−1の動作について説明する。
【0077】
電源(Vdd)投入が行われ、チップ内の電圧が論理回路の動作可能な電圧まで上昇すると、フューズラッチ回路15−1の出力であるアドレスFLTCは一度全てハイレベルとなる。電源投入後、チップ内の初期化が完了したことを示す内部信号であるパワーオン信号PWRONの立ち上がりに同期して、フューズ素子53が未切断なアドレスビットに対してはFLTCがローレベルに遷移する。一方、フューズ素子53が切断されていれば、FLTCはハイレベルを保持する。
【0078】
最下位アドレスに相当するフューズ素子のみ切断する事で、アドレスFLTCを(100・・・0)にプログラムし、これをカラム選択線CSL1_1に割り付けることでカラム選択線CSL1_1の常時選択が行える。また、最下位の次のアドレスに相当するフューズ素子のみ切断する事で、アドレスFLTCを(010・・・0)にプログラムし、これをカラム選択線CSL1_2に割り付けることでカラム選択線CSL1_2の常時選択が行える。このような回路とカラム選択線の割り付けを導入する事で、フューズ素子のプログラムにより任意の参照セル選択が可能となる。
【0079】
[1−10]効果
第1の実施形態では、例えば、図1のセンスアンプSAに対して左側のセルアレイ10−1内に配置されたメモリセルMCが選択された場合、参照セルRCとしては、選択されたメモリセルMCのアドレスに依存せず、センスアンプSAの右側のセルアレイ10−2内に配置された特定の参照セルRCが常時選択される。そして、特定の参照セルRCと同一のロウに配置された参照セルRCとして使用しないセルを、フューズセルFCとして設定している。
【0080】
従って、本実施形態では、1つのセルアレイ10−1又は10−2内において、参照セルRCが配置されたロウと同じロウにフューズセルFCが配置されている。このため、1つのセルアレイ内において、参照セルが配置されたロウとは別のロウにフューズセルの領域を新たに設ける場合と比べて、本実施形態では、チップ面積を増加することなく、フューズセルFCを実現することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、1つのメモリセルアレイ10−1又は10−2内に配置されたメモリセルMCは、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、特定の参照セルRCを利用して読み出されることになる。このため、参照セルRCの総数を削減することが可能となる。これにより、参照セルRCの抵抗バラツキの裕度(margin)の確保が小さくできるため、読み出しマージンの確保が容易となる。このように、本実施形態では、複数の参照セルRCの中から特定の参照セルRCを使用することで、高精度な読み出し動作を実現する。
【0082】
また、本実施形態では、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、常時選択される参照セルRCを変更することも可能である。これにより、1つの参照セルRCが不良していた場合、他の参照セルRCが常時選択されるように変更することで、チップ不良の発生を回避する事が可能となる。この結果、歩留まり低下を起こす事なく、大容量な抵抗変化型メモリを低コストで実現できる。
【0083】
[2]第2の実施形態
第1の実施形態では、参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11のカラム方向に隣接して配置され、ロウ方向に一列に並べられた。これに対し、第2の実施形態では、参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11のロウ方向に隣接して配置し、カラム方向に一列に並べる。
【0084】
尚、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の点については説明を省略又は簡略し、第1の実施形態と異なる点について詳説する。
【0085】
[2−1]抵抗変化型メモリの回路構成
図12を用いて、第2の実施形態に係る抵抗変化型メモリの概略的な回路構成について説明する。
【0086】
セルアレイ10−1において、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−1に対応して設けられている。参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−1のロウ方向に隣接して配置されている。参照セルRC及びフューズセルFCは、カラム方向に延在する1本の参照ビット線RBL1に接続され、カラム方向に並んで配置されている。また、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、m本のワード線WL1_1〜WL1_mにそれぞれ接続されている。このように、セルアレイ10−1内の参照セルRC及びフューズセルFCは、同一のカラムに配置されている。
【0087】
同様に、セルアレイ10−2において、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−2に対応して設けられている。参照セルRC及びフューズセルFCは、メモリセルアレイ11−2のロウ方向に隣接して配置されている。参照セルRC及びフューズセルFCは、カラム方向に延在する1本の参照ビット線RBL2に接続され、カラム方向に並んで配置されている。また、総数m個の参照セルRC及びフューズセルFCは、m本のワード線WL2_1〜WL2_mにそれぞれ接続されている。このように、セルアレイ10−2内の参照セルRC及びフューズセルFCは、同一のカラムに配置されている。
【0088】
参照ビット線RBL1は、カラム選択回路14−1を介して読み出しデータ線RB1に接続されている。カラム選択回路14−1に含まれ、かつ、参照ビット線RBL1に接続されたカラム選択トランジスタのゲートは、参照カラム選択線RCSL1を介してカラムデコーダ13−1に接続されている。参照ビット線RBL2は、カラム選択回路14−2を介して読み出しデータ線RB2に接続されている。カラム選択回路14−2に含まれ、かつ、参照ビット線RBL2に接続されたカラム選択トランジスタのゲートは、参照カラム選択線RCSL2を介してカラムデコーダ13−2に接続されている。
【0089】
カラムデコーダ13−1は、アドレスに基づいて、カラム選択線CSL1及び参照カラム選択線RCSL1のうち1本を選択する。カラムデコーダ13−2は、アドレスに基づいて、カラム選択線CSL2及び参照カラム選択線RCSL2のうち1本を選択する。
【0090】
具体的には、カラムデコーダ13−1は、アクセスされるメモリセルMCがカラムデコーダ13−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれる場合は、カラム選択線CSL1のうち1本を選択する。また、カラムデコーダ13−1は、アクセスされるメモリセルMCがカラムデコーダ13−1に接続されるメモリセルアレイ11−1に含まれない場合は、参照カラム選択線RCSL1を選択する。同様に、カラムデコーダ13−2は、アクセスされるメモリセMCがカラムデコーダ13−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれる場合は、カラム選択線CSL2のうち1本を選択する。また、カラムデコーダ13−2は、アクセスされるメモリセルMCがカラムデコーダ13−2に接続されるメモリセルアレイ11−2に含まれない場合は、参照カラム選択線RCSL2を選択する。
【0091】
ロウデコーダ12−1には、m本のワード線WL1が接続されている。ロウデコーダ12−1は、アドレスに基づいて、ワード線WL1のうち1本を選択する。ロウデコーダ12−2には、m本のワード線WL2が接続されている。ロウデコーダ12−2は、アドレスに基づいて、ワード線WL2のうち1本を選択する。ロウデコーダ12の具体的な動作については後述する。
【0092】
[2−2]メモリセルMCの読み出し動作
図12を用いて、上記のように構成された抵抗変化型メモリにおけるメモリセルMCの読み出し動作について説明する。ここでは、例えば、図12の左のメモリセルアレイ11−1内のワード線WL1_3とビット線BL1_2との交点に配置された丸で示されたメモリセルMC1_23が選択されたとする。
【0093】
この場合、ロウデコーダ12−1によって、ワード線WL1_3が選択(活性化)され、メモリセルMC1_23とビット線BL1_2とが接続される。さらに、カラムデコーダ13−1によってカラム選択線CSL1_2が活性化され、メモリセルMC1_23は読み出しデータ線RB1を介してセンスアンプSAへ接続される。
【0094】
一方、右のブロックからは、参照セルRCが選択される。すなわち、カラムデコーダ13−2によって、参照カラム選択線RCSL2がカラム選択線CSL1_2の活性化に併せて活性化され、参照ビット線RBL2が読み出しデータ線RB2に接続される。
【0095】
ここで、ロウデコーダ12−2は、アクセスされるメモリセルMC1_23のアドレスに依存せずに、ワード線WL2_1が常に活性化されるように制御する。参照セルRC2_1は、読み出しデータ線RB2を介してセンスアンプSAへ接続される。センスアンプSAは、メモリセルMC1_23から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流と、参照セルRC2_1から読み出しデータ線RB2に読み出された電圧又は電流とを用いて、メモリセルMC1_23のデータを検知増幅する。
【0096】
このように、左側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC2_1を利用して読み出されるように設定する。これにより、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存して参照セルRCを選択しないため、参照ビット線RBL2に接続された全てのセルを参照セルRCとして使用しなくてもよい。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ビット線RBL2に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0097】
同様に、右側のブロック内のメモリセルMCが選択された場合には、ロウデコーダ12−1は、アクセスされるメモリセルMCのアドレスに依存せずに、例えばワード線WL1_1が常に活性化されるように制御する。これにより、右側のブロック内に配置されたメモリセルMCは全て参照セルRC1_1を利用して読み出される。このため、参照セルRCの数を低減することが可能となり、参照セルRCとして使用しない参照ビット線RBL1に接続されたセルをフューズセルFCとして使用できる。
【0098】
このような制御をすることにより、左右何れのメモリセルアレイ11−1及び11−2が選択された場合でも、矛盾なくメモリセルMCの読み出し動作を行うことが可能となる。この場合、読み出しに必要な参照セルRCの総数は2個となり、従来に比べて、参照セルRCの総数を大幅に低減できる。これにより、参照セルRCの抵抗バラツキの裕度(margin)の確保が小さくてすむため、読み出しマージンの確保が容易となる。
【0099】
尚、本実施形態では、参照セルRCを選択可能にする制御動作も可能である。つまり、アクセスされるビットのアドレスに無関係に、常時選択される参照セルRCを変更することが可能である。これにより、例えば参照セルRC2_1が不良していた場合、ワード線WL2_1の代わりにワード線WL2_2を常時活性化することで、ワード線WL2_2と参照ビットRBL2とに接続された参照セルRC2_2の選択が可能となる。よって、参照セルRC2_2が正常セルであれば、不良発生を回避する事が可能となる。
【0100】
[2−3]ロウデコーダ
図13を用いて、ロウデコーダ12−1の構成について説明する。
【0101】
図13に示すように、ロウデコーダ12−1は、デコード部12A、マルチプレクサMUXを備えている。
【0102】
マルチプレクサMUXには、2種類のアドレスが供給される。これら2種類のアドレスは、アクセスビットアドレスに相当する外部入力アドレスAINと、フューズラッチ回路15−1からのアドレスFLTCとからなる。フューズラッチ回路15−1には、特定の参照セルRCを選択するためのアドレスFLTCがプログラムされている。フューズラッチ回路15−1の構成は、第1の実施形態で示した図10と同じである。
【0103】
これら2種類のアドレスAIN及びFLTCの切り替えは、ブロック活性化信号BACT_1及びBACT_2によって制御される。図12のメモリセルアレイ11−1に含まれるメモリセルMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_1が活性化され、メモリセルアレイ11−2に含まれるメモリセルMCがアクセスされる場合にはブロック活性化信号BACT_2が活性化される。マルチプレクサMUXの構成は、第1の実施形態で示した図9と同じである。
【0104】
デコード部12Aは、マルチプレクサMUXからアドレスbAD/ADを受ける。デコード部12Aは、アドレスbAD/ADに基づいて、ワード線WL1_1〜WL1_mのうち1本を活性化する。
【0105】
尚、メモリセルアレイ11−2に対応して設けられたロウデコーダ12−2の構成も、前述したロウデコーダ12−1と同様である。
【0106】
このようなロウデコーダ12の動作により、アクセスされるメモリセルMCを含まないブロックでは、常に特定の参照セルRCが選択される。さらに、フューズラッチ回路15にプログラムするアドレスを変更することで、読み出しに使用される参照セルRCを変更することが可能である。
【0107】
[2−4]効果
第2の実施形態では、メモリセルMCの読み出し動作に必要な参照セルRCとして、参照ビット線RBLに接続され、かつ、カラム方向に配置された複数の参照セルRCを用いるようにしている。そして、特定の参照セルRCと同一のカラムに配置された参照セルRCとして使用しないセルを、フューズセルFCとして設定している。従って、本実施形態では、1つのセルアレイ10−1又は10−2内において、参照セルRCが配置されたカラムと同じカラムにフューズセルFCが配置されている。
【0108】
これにより、本実施形態でも、上記第1の実施形態と同様に、チップ面積を増加することなく、フューズセルFCを実現することができ、さらに、参照セルRCの総数を減少できることで、読み出しマージンの確保が容易となる。
【0109】
[3]第3の実施形態
上記各実施形態の抵抗変化型メモリとしてはMRAMを用いたが、MRAM以外の様々なメモリを使用することが可能である。そこで、第3の実施形態では、抵抗変化型メモリの他の例として、ReRAM(resistance random access memory)とPRAM(phase-change random access memory)について説明する。
【0110】
[3−1]ReRAM
図14を用いて、ReRAMに用いられる抵抗変化素子21について説明する。
【0111】
図14に示すように、抵抗変化素子21は、下部電極31、上部電極35、及びこれらに挟まれた記録層61を備えている。
【0112】
記録層61は、プロブスカイト型金属酸化物、又は二元系金属酸化物などの遷移金属酸化物から構成される。プロブスカイト型金属酸化物としては、PCMO(Pr0.7Ca0.3MnO3)、Nb添加SrTi(Zr)O3、Cr添加SrTi(Zr)O3などが挙げられる。二元系金属酸化物としては、NiO、TiO2、Cu2Oなどが挙げられる。
【0113】
抵抗変化素子21は、それに印加する電圧の極性を変えることで抵抗値が変化し(バイポーラ型)、又はそれに印加する電圧の絶対値を変えることで抵抗値が変化する(ユニポーラ型)。よって、抵抗変化素子21は、印加電圧を制御することで低抵抗状態と高抵抗状態とに設定される。尚、バイポーラ型であるかユニポーラ型であるかは、選択する記録層61の材料によって異なってくる。
【0114】
例えばバイポーラ型の抵抗変化素子21の場合、抵抗変化素子21を高抵抗状態(リセット状態)から低抵抗状態(セット状態)へ遷移させる電圧をセット電圧Vset、低抵抗状態(セット状態)から高抵抗状態(リセット状態)へ遷移させる電圧をリセット電圧Vresetとすると、セット電圧Vsetは下部電極31に対して上部電極35に正の電圧を印加する正バイアス、リセット電圧Vresetは下部電極31に対して上部電極35に負の電圧を印加する負バイアスに設定される。そして、低抵抗状態及び高抵抗状態を“0”データ及び“1”データに対応させることで、抵抗変化素子21が1ビットデータを記憶することができる。
【0115】
データの読み出しは、リセット電圧Vresetよりも1/1000〜1/4程度の十分小さな読み出し電圧を抵抗変化素子21に印加する。そして、この時に抵抗変化素子21に流れる電流を検出することでデータを読み出すことができる。
【0116】
尚、図14に示すReRAMの抵抗変化素子21は、上記各実施形態のMRAMの場合におけるメモリセルMC及びフューズセルFCのMTJ素子21、参照セルRCの固定抵抗素子23の代わりに適用可能である。この場合、参照セルRCに用いられる抵抗変化素子21は、メモリセルMCの低抵抗状態と高抵抗状態との中間の抵抗値(参照値)に固定される。
【0117】
[3−2]PRAM
図15を用いて、PRAMに用いられる抵抗変化素子21について説明する。
【0118】
図15に示すように、抵抗変化素子21は、下部電極31、ヒーター層62、記録層63、上部電極35が順に積層されて構成されている。
【0119】
記録層63は、相変化材料から構成され、書き込み時に発生する熱により結晶状態と非晶質状態とに設定される。記録層63の材料としては、Ge−Sb−Te、In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、Ge−Sn−Teなどのカルコゲン化合物を挙げることができる。これらの材料は、高速スイッチング性、繰返し記録安定性、高信頼性を確保する上で望ましい。
【0120】
ヒーター層62は、記録層63の底面に接している。ヒーター層62の記録層63に接する面積は、記録層63の底面の面積より小さいことが望ましい。これは、ヒーター層62と記録層63との接触部分を小さくすることで加熱部分を小さくし、書き込み電流又は電圧を低減するためである。ヒーター層62は、導電性材料からなり、例えば、TiN、TiAlN、TiBN、TiSiN、TaN、TaAlN、TaBN、TaSiN、WN、WAlN、WBN、WSiN、ZrN、ZrAlN、ZrBN、ZrSiN、MoN、Al、Al−Cu、Al−Cu−Si、WSi、Ti、Ti−W、及びCuから選択される1つからなることが望ましい。また、ヒーター層62は、後述する下部電極と同じ材料であってもよい。
【0121】
下部電極31の面積は、ヒーター層62の面積より大きい。上部電極35は、例えば、記録層63の平面形状と同じである。下部電極31及び上部電極35の材料としては、Ta、Mo、Wなどの高融点金属が挙げられる。
【0122】
記録層63は、それに印加する電流パルスの大きさ及び電流パルスの幅を制御することで加熱温度が変化し、結晶状態又は非晶質状態に変化する。具体的には、書き込み時、下部電極31と上部電極35との間に電圧又は電流を印加し、上部電極35から記録層63及びヒーター層62を介して下部電極31に電流を流す。記録層63を融点付近まで加熱すると、記録層63は非晶質相(高抵抗相)に変化し、電圧又は電流の印加を止めても非晶質状態を維持する。
【0123】
一方、下部電極31と上部電極35との間に電圧又は電流を印加し、記録層63を結晶化に適した温度付近まで加熱すると、記録層63は結晶相(低抵抗相)に変化し、電圧又は電流の印加を止めても結晶状態を維持する。記録層63を結晶状態に変化させる場合は、非晶質状態に変化させる場合と比べて、記録層63に印加する電流パルスの大きさは小さく、かつ電流パルスの幅は大きくするとよい。このように、下部電極31と上部電極35との間に電圧又は電流を印加して記録層63を加熱することで、記録層63の抵抗値を変化させることができる。
【0124】
記録層63が結晶相であるか、非晶質相であるかは、下部電極31と上部電極35との間に記録層63が結晶化も非晶質化も生じない程度の低電圧又は低電流を印加し、下部電極31と上部電極35との間の電圧又は電流を読み取ることによって判別することができる。このため、低抵抗状態及び高抵抗状態を“0”データ及び“1”データに対応させることで、抵抗変化素子21から1ビットデータを読み出すことができる。
【0125】
尚、図15に示すPRAMの抵抗変化素子21は、上記各実施形態のMRAMの場合におけるメモリセルMC及びフューズセルFCのMTJ素子21、参照セルRCの固定抵抗素子23の代わりに適用可能である。この場合、参照セルRCに用いられる抵抗変化素子21は、メモリセルMCの低抵抗状態と高抵抗状態との中間の抵抗値(参照値)に固定される。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
MC…メモリセル、RC…参照セル、FC…フューズセル、BL…ビット線、WL…ワード線、RWL1,RWL2…参照ワード線、RBL…参照ビット線、RB…読み出しデータ線、CSL…カラム選択線、RCSL…参照カラム選択線、SA…センスアンプ、MUX…マルチプレクサ、10…セルアレイ、11…メモリセルアレイ、12…ロウデコーダ、13…カラムデコーダ、14…カラム選択回路、15…フューズラッチ回路、16…周辺記憶回路、17…周辺制御回路、21…抵抗変化素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1セルアレイ内に配置された第1参照セルと、
前記第1セルアレイ内に配置され、前記第1参照セルが配置されたロウ又はカラムと同一のロウ又はカラムに並べられた複数の第1フューズセルと、
を具備することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1セルアレイと異なる第2セルアレイ内に配置されたメモリセルと、
前記メモリセルのデータを読み出す場合に前記メモリセルと前記第1参照セルとが接続される入力を有するセンスアンプと、
をさらに具備する請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2セルアレイ内に配置され、前記第1フューズセルに対して相補となるデータを記憶する第2フューズセルをさらに具備し、
前記第1及び第2フューズセルのデータを読み出す場合、前記センスアンプの入力に前記第1フューズセルと前記第2フューズセルとが接続されることを特徴とする請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリセルのデータを読み出す場合、前記メモリセルのアドレスに依存せず、前記第1参照セルがアクセスされることを特徴とする請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1フューズセルのデータは、前記半導体記憶装置の電源が起動する直後に読み出され、かつ、周辺記憶回路に転送され、
前記周辺記憶回路に転送されたデータによって、周辺制御回路の動作条件が調整されることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項1】
第1セルアレイ内に配置された第1参照セルと、
前記第1セルアレイ内に配置され、前記第1参照セルが配置されたロウ又はカラムと同一のロウ又はカラムに並べられた複数の第1フューズセルと、
を具備することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1セルアレイと異なる第2セルアレイ内に配置されたメモリセルと、
前記メモリセルのデータを読み出す場合に前記メモリセルと前記第1参照セルとが接続される入力を有するセンスアンプと、
をさらに具備する請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2セルアレイ内に配置され、前記第1フューズセルに対して相補となるデータを記憶する第2フューズセルをさらに具備し、
前記第1及び第2フューズセルのデータを読み出す場合、前記センスアンプの入力に前記第1フューズセルと前記第2フューズセルとが接続されることを特徴とする請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリセルのデータを読み出す場合、前記メモリセルのアドレスに依存せず、前記第1参照セルがアクセスされることを特徴とする請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1フューズセルのデータは、前記半導体記憶装置の電源が起動する直後に読み出され、かつ、周辺記憶回路に転送され、
前記周辺記憶回路に転送されたデータによって、周辺制御回路の動作条件が調整されることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−69181(P2012−69181A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211378(P2010−211378)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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