固体撮像素子、及び、電子機器
【課題】光学的な干渉を抑制することが可能な固体撮像素子を提供する。
【解決手段】半導体基体31と、半導体基体31の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層32とを備える固体撮像素子30を構成する。この固体撮像素子30は、半導体基体31の第2主面に形成された転送トランジスタTr1と、第1半導体層32を含む領域に形成されたフォトダイオード33とを備える。
【解決手段】半導体基体31と、半導体基体31の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層32とを備える固体撮像素子30を構成する。この固体撮像素子30は、半導体基体31の第2主面に形成された転送トランジスタTr1と、第1半導体層32を含む領域に形成されたフォトダイオード33とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像素子、及び、電子機器に係わる。特に、Ge含有半導体層を備える固体撮像素子、及び、電子機器に係わる。
【背景技術】
【0002】
Siを基板としたイメージセンサ、特に裏面照射型イメージセンサは、受光部側に回路部の配線層が無い構造から、表面照射型によりも感度が向上する。このような裏面照射型の固体撮像素子においては、隣接する画素間での干渉、特に隣接画素への侵入光による混色の低下が求められている。混色を抑制する方法として、画素間に遮光層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−186818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の固体撮像素子においては、隣接する画素間での干渉、特に入射光が隣接画素へ侵入する光学的干渉、例えば光学混色の低下が求められている。
【0005】
本技術においては、光学的な干渉を抑制することが可能な固体撮像素子、及び、電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の固体撮像素子は、半導体基体と、半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層とを備える。そして、半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードとを備える。
また、本技術の電子機器は、上記固体撮像素子と、固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路とを有する。
【0007】
上述の固体撮像素子によれば、Geを含む第1半導体層を備えることにより、第1半導体層での入射光の吸収が大きくなる。このため、第1半導体層を通過して隣接する画素へ再入射する光の量を減少させることができる。この結果、固体撮像素子の光学的干渉を抑制することができる。そして、この固体撮像素子を用いることにより、光学的特性に優れた電気機器を構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、光学的干渉を抑制することが可能な固体撮像素子、及び、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の固体撮像素子の構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態の固体撮像素子の画素部の構成を示す断面図である。
【図3】Si基板における光吸収割合を示すグラフである。
【図4】Si0.9Ge0.1半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図5】Si0.8Ge0.2半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図6】Si0.7Ge0.3半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図7】Si0.6Ge0.4半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図8】Si.05Ge0.5半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図9】各組成の半導体層の光吸収係数と入射光波長との関係を示すグラフである。
【図10】実施例で用いた固体撮像素子の画素部の各構成の寸法を示す図である。
【図11】各波長の入射光深さと入射光強度を示すグラフである。
【図12】第2実施形態の固体撮像素子の画素部の構成を示す断面図である。
【図13】電子機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本技術を実施するための最良の形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子の第1実施形態
2.固体撮像素子の第2実施形態
3.電子機器
【0011】
〈1.固体撮像素子の第1実施形態〉
[固体撮像素子の構成例:概略構成図]
以下、本実施形態の固体撮像素子の具体的な実施の形態について説明する。
図1に、裏面照射型の固体撮像素子の一例として、三次元構造のMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の固体撮像素子の概略構成図を示す。図1に示す固体撮像素子10は、光電変換部が配列形成されたセンサ基板11と、このセンサ基板11に対して積層させた状態で貼り合わされた回路基板21とを備えている。
【0012】
センサ基板11は、一方の面を受光面Aとし、光電変換部を含む複数の画素13が受光面Aに対して2次元的に配列された画素領域14を備えている。画素領域14には、複数の画素駆動線15が行方向に配線され、複数の垂直信号線16が列方向に配線されており、1つの画素13が1本の画素駆動線15と1本の垂直信号線16とに接続される状態で配置されている。これらの各画素13には、光電変換部と、電荷蓄積部と、複数のトランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)および容量素子等で構成された画素回路とが設けられている。尚、画素回路の一部は、受光面Aとは反対側の表面側に設けられている。また複数の画素で画素回路の一部を共有していても良い。
【0013】
またセンサ基板11は、画素領域14の外側に周辺領域17を備えている。この周辺領域17には、電極パッドを含む配線18が設けられている。この配線18は、必要に応じてセンサ基板11に設けられた画素駆動線15、垂直信号線16、および画素回路、さらには回路基板21に設けられた駆動回路に接続されている。
【0014】
回路基板21は、センサ基板11側に向かう一面側に、センサ基板11に設けられた各画素13を駆動するための垂直駆動回路22、カラム信号処理回路23、水平駆動回路24、およびシステム制御回路25などの駆動回路を備えている。これらの駆動回路は、センサ基板11側の配線18に接続されている。尚、センサ基板11の表面側に設けられた画素回路も、駆動回路の一部である。
【0015】
[固体撮像素子の構成例:画素部]
次に、図2に、本実施形態の固体撮像素子の1画素を構成する要部の断面図を示す。
図2に示す固体撮像素子30は、半導体基体31と、半導体基体31上に形成された第1半導体層32とを備える。第1半導体層32は、半導体基体31の第1主面(固体撮像素子30の受光面)側に形成されている。
第1半導体層32の半導体基体31と反対側の面は、固体撮像素子30の光の入射面である。以降の説明では、上記光の入射面を第1半導体層32の第1主面とし、半導体基体31と接する面を第1半導体層32の第2主面とする。また、上記光の入射面を固体撮像素子30の裏面とし、半導体基体31の第2主面側を固体撮像素子30の表面とする。
【0016】
半導体基体31は、一般的に固体撮像素子の製造に用いられる、例えばシリコン基板等を用いられる。
第1半導体層32は、Geを含む半導体層である。Geを含む半導体層としては、エピタキシャル成長により形成されたSiGe混晶、又は、Ge単体の半導体層を用いる。SiGe混晶を用いる場合には、組成式Si(1−x)Ge(x)の組成比xが0以外の組成、特に、xが0.05以上1.0未満である組成を用いる。
【0017】
第1半導体層32の第1主面の表面から、半導体基体31の第2主面側まで、フォトダイオード(PD)33が形成されている。PD33は、第1半導体層32の第1主面の表面と、半導体基体31の第2主面側の表面とに、第1導電型(p型)半導体領域を有する。そして、このp型半導体領域の間に、第1半導体層32から半導体基体31まで連続して形成された第2導電型(n型)半導体領域を有する。また、PD33と隣接する画素のPD33Aとの間には、第1導電型(p型)半導体領域からなる画素分離部を備える。
【0018】
また、半導体基体31の第2主面上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極34が形成されている。そして、半導体基体31の表面側において、ゲート電極34を介してPD33と対になる位置に、フローティングディフュージョン(FD)35が形成されている。これにより、ゲート電極34、及び、PD33とFD35とをソース・ドレインとする転送トランジスタTr1が形成される。
【0019】
半導体基体31の第2主面上には、固体撮像素子30の多層配線層36が形成されている。多層配線層36は、複数積層された層間絶縁層と導体層とからなる。第1半導体層32の第1主面上には、画素間を遮光するための遮光膜37を備える。この遮光膜37の開口部からPD33に光が入射する。遮光膜37上には、カラーフィルタ38やマイクロレンズ39等の各種光学部品が搭載されている。
【0020】
上述の構成の固体撮像素子30では、固体撮像素子30の受光面側に、Geを含む半導体層が形成されている。そして、トランジスタTr1等からなる回路部が半導体基体31の第2主面に形成されている。
Geはバンドギャップが0.66eVである。また、一般的に固体撮像素子の受光部を構成するSiのバンドギャップは、1.11eVである。つまり、Geのバンドギャップは、Siよりも小さい。このため、Geを含む第1半導体層32に形成されているPD33は、Si基板内に形成される場合よりも、光吸収係数が全波長領域において大きくなる。
【0021】
Geを含む半導体層の光吸収係数について説明する。
Si単体基板と、組成式Si(1−x)Ge(x)の組成比xを変化させた組成の半導体層について、入射光の吸収の様子を表すグラフを図3〜8に示す。
図3に、Si単体からなる基板において、基板の深さに対する光吸収割合のグラフを示す。また、図4〜図8に、Si(1−x)Ge(x)の組成の半導体層において、Geの比率xを、0.1〜0.5まで0.1ずつ大きくした半導体層の光吸収割合のグラフを示す。
図4はSi0.9Ge0.1の組成の半導体層における光吸収割合のグラフである。図5はSi0.8Ge0.2、図6はSi0.7Ge0.3、図7はSi0.6Ge0.4、図8はSi.05Ge0.5の組成の半導体層における光吸収割合のグラフである。
さらに、図9に、Si基板と、上述のSi0.9Ge0.1、Si0.8Ge0.2、Si0.7Ge0.3、及び、Si0.6Ge0.4の組成の半導体層とにおける光吸収係数(cm−1)と入射光波長との関係を示す。
【0022】
図3〜8に示すグラフでは、入射光の波長を400nmから950nmまで50nm刻みで示し、横軸に光が入射する基板の深さ、縦軸に光吸収割合を示す。光吸収割合は、入射時の光の強度からの減衰を0〜1の範囲で表している。つまり、入射時の光吸収割合を0とし、入射光の強度が徐々に低下して強度が0となった時点での光吸収割合を1として示している。
【0023】
図3〜図8に示すように、Geの組成比が大きくなるほど、可視光から赤外光までの全波長域において、浅い領域での光吸収割合が大きくなる。例えば、Si4Ge(Si0.8Ge0.2)の組成の半導体層においては、1.5μm程度の厚さで、3μmの厚さのSi基板と同等の光電変換効率を示す。また、図9に示すグラフから、Si(1−x)Ge(x)半導体層は、全波長域に対して光吸収係数がSiよりも大きくなることがわかる。
従って、固体撮像素子30の受光部を、Geを含む第1半導体層32に形成すると、受光部の光吸収係数が、全波長領域においてSiよりも高くなる。このように、受光部側の光吸収係数が高まることにより、PD33内での光電変換効率が大きくなる。
【0024】
また、上述の入射深さと光吸収割合との関係、及び、波長と光吸収係数との関係によれば、Geを含む半導体層は、Geの組成比の変化により、光吸収係数が連続的に変化する。つまり、Geの添加比率を変えることにより、半導体層のバンドギャップを連続的に変えることができる。
また、GeのSiに対する相溶性は100%固溶である。このため、Geを含む半導体層は、Geの組成比を連続的に自由に変えることができる。
従って、第1半導体層32のGeの含有比を調整することにより、固体撮像素子30の受光部の光吸収係数を所望の値に設計することができる。
【0025】
また、第1半導体層32の厚さは、上述の各関係から固体撮像素子の実用的には0.01〜5μmとすることが好ましい。Geの組成比を大きくすることで吸収係数を大きくすることができるため、少なくとも0.01μm程度の厚さで、Si基板との光吸収の差異を発現することが可能である。また、5μm程度の厚さが有れば、充分な差異を発現することが可能である。
【0026】
上述のように、本実施形態の固体撮像素子30では、PD33の受光面側に光電変換効率が大きい第1半導体層32を備える。この構成により、入射光が受光面側において大きく光電変換する。PD33の表面での入射光の光電変換量が大きくなるため、基体深部まで侵入する光が減衰する。このため、所望の画素で光電変換されずに直接隣接画素へ到達する光の割合が減少する。さらに、一度光電変換領域を透過した後、配線層により反射し再入射されて隣接画素へ到達する光の割合が減る。
上述のように、隣接画素へ侵入する光の割合が減少することにより、固体撮像素子30の光学混色を抑制することができる。さらに、オプティカルブラック領域での偽信号による画質劣化の改善が可能となる。
【0027】
例えば、図2に示すように、PD33に対して斜めに入射された入射光41が、最初に入射したPD33を通り、隣接する画素のPD33Aへ入射する場合について考える。この場合、入射光41は、最初に第1半導体層32を通過する。この第1半導体層32は、上述のようにGeを含むことによりSi基板よりも光電変換効率が大きい。このため、入射光41は第1半導体層32中で光電変換され、隣接する画素へ向かう途中で吸収される。従って、隣接する画素33Aに到達するまでに、入射光41の光量が大きく減少する。
【0028】
また、PD33に対して斜めに入射する入射光41は、PD33に対して垂直に近い角度で入射する入射光42よりも、第1半導体層32を通過する距離が長くなる。このため、斜めに入射する入射光41は、第1半導体層32での吸収量が大きくなる。従って、受光面側に光電変換率の大きい第1半導体層32を備えることにより、隣接画素33Aに到達する光量を減少させることができる。
【0029】
このように、第1半導体層32を備えることにより、隣接画素へ侵入する斜め光に対し、隣接画素へ到達するまでに光量を大きく減少させることができる。そして、隣接画素のPD33Aにおいて、PD33からの斜め光により光電変換される光学的な干渉に起因する偽信号の割合を減少させることができる。
また、固体撮像素子30の受光面での光吸収係数が高まることにより、受光部を透過し配線層にまで到達する入射光の割合も減少する。このため、配線層からの反射による隣接画素への光学的な干渉(混色)を抑制することができる。
【0030】
従来のSiを基板のみから構成された一般的な固体撮像素子、特に裏面照射型の固体撮像素子は、インナーレンズによる集光が不十分等の理由により、一部の入射光が光電変換される前に隣接画素へ到達する光学混色が問題となる。また、入射光が光電変換せずに回路部側まで到達し、回路部側にある配線層等で反射し、この反射光が隣接画素へ再入射する現象も、裏面照射型イメージセンサにおける偽信号の要因となる。
表面型の固体撮像素子では、上記の光学的混色を、受光面側にある回路部の配線層を画素間に配置することで低減させていた。裏面照射型の固体撮像素子では、受光面側に配線層が形成されていないため、画素間に回路部の配線層を形成する方法で、光学的混色を防ぐことができない。
【0031】
上述の実施形態の固体撮像素子では、裏面照射型イメージセンサの受光部側にGeを含む半導体層をエピタキシャル成長で作製し、回路部側をSi等の半導体基体中に形成する。このような構成の固体撮像素子により、隣接する画素間での干渉、特に入射光が隣接画素へ侵入する光学的干渉、例えば光学混色を抑制することができる。
【0032】
なお、上述の実施形態では、受光部を第1半導体層と半導体基体とに渡って形成したが、半導体基体を薄く、第1半導体層を厚く形成することにより、PDを第1半導体層内のみに形成する構成としてもよい。特に、赤外線等の長波長成分は、Si基板では透過性が高いため、受光部が基板の深くまで形成されていた。これに対し、Geを含む半導体層では、赤外領域まで含む全波長域でSiよりも光電変換効率が高くなる。このため、Geを含む半導体層を用いることにより、受光部を浅く形成しても赤外線等の長波長成分を充分に変換することができる。
さらに、上述の実施形態では、裏面照射型の固体撮像素子にGe含有半導体層を適用した場合について説明しているが、上述のGe含有半導体層をCCD型固体撮像素子にも適用できる。
上述の場合にも、電荷転送パス等に結晶欠陥がない方が好ましいため、ゲート電極下やFD等の回路部は、半導体基体内に形成することが好ましい。
【0033】
[実施例]
次に、上述の実施形態の固体撮像素子において、隣接画素への入射光の減衰の様子について実施例を用いて説明する。実施例で用いる固体撮像素子は、上述の図2に示す固体撮像素子30と同じ構成である。実施例で用いる固体撮像素子30の画素部の各構成の寸法を図10に示す。
図10に示すように、半導体基体31の厚さを1.5μmとし、この半導体基体31上に、第1半導体層32を1.5μmの厚さで形成した。半導体基体31は、Si単体である。第1半導体層32の組成はSi0.8Ge0.2である。この構成より、センサ受光部側から厚さ3μmの光電変換領域を有する裏面照射型の固体撮像素子とした。
また、PD33を通り隣接する画素のPD33Aへ入射する入射光41について、入射光41がPD33とPD33Aとの画素境界43を通過する位置を、受光面側から1.5μmとした。
【0034】
図11に、上述の構成の固体撮像素子30における入射光41の減衰の様子を示す。図11に示すグラフは、縦軸が入射光41の入射光強度、横軸が基板の受光面からの深さを示す。入射光強度は、固体撮像素子30の受光面の最表面における入射光41の強度を1としている。また、入射光41として、650nm(Red)光、550nm(Green)光、450nm(Blue)光を示す。
【0035】
上述の条件における650nm(Red)光の基板深さと入射光強度との関係を実線Aで示す。同様に、550nm(Green)光の基板深さと入射光強度との関係を実線Bで示し、450nm(Blue)光の基板深さと入射光強度との関係を実線Cで示す。
また、比較例として、Si単体基板に対する650nm(Red)光の基板深さと入射光強度との関係を破線Dで示す。同様に、Si単体基板に対する550nm(Green)光の基板深さと入射光強度との関係を破線E、450nm(Blue)光の基板深さと入射光強度との関係を破線Fで示す。
図11に示すように、第1半導体層32(Si0.8Ge0.2)を通過する光は、Si基板を通過する光よりも入射光強度が減少している。この減少は、第1半導体層32への侵入と同時に大きく発生している。
【0036】
また、図11に示す結果から、実施例の光学混色の減少率を求めた。減少率は、入射光41が画素境界43を通過する時点、つまり、受光面から1.5μmの深さでの各波長の実施例と比較例との入射高強度の比から求めた。
450nm光における、Si単体基板(比較例)に対するSi0.8Ge0.2半導体層(実施例)の光学混色の減少率は99.6%であった。
550nm光おける、Si単体基板(比較例)に対するSi0.8Ge0.2半導体層(実施例)の光学混色の減少率は、87.1%であった。
650nm光における、Si単体基板(比較例)に対するSi0.8Ge0.2半導体層(実施例)の光学混色の減少率は、52.9%であった。
【0037】
光学混色の減少率が示すように、固体撮像素子30の受光面側にGeを含む第1半導体層32を備えることにより、入射光41を第1半導体層32により減衰させることができる。このため、一度入射した画素を透過して隣接画素にと到達する光の量を減少させ、光学混色の発生を抑制することができる。
【0038】
〈2.固体撮像素子の第2実施形態〉
次に、固体撮像素子の第2実施形態について説明する。図12に、第2実施形態の固体撮像素子の1画素を構成する要部の断面図を示す。
図12に示す固体撮像素子50は、半導体基体51と、第1半導体層52と、第2半導体層53とを備える。
なお、図12に示す第2実施形態の固体撮像素子50は、基板構成を除き、上述の図2に示す第1実施形態の固体撮像素子30と同様の構成であるため、同様の各構成については詳細な説明を省略する。
【0039】
固体撮像素子50は、半導体基体51の第1主面側に形成されている。
半導体基体51の第1主面(固体撮像素子50の受光面)側に第1半導体層52が形成されている。さらに、第1半導体層52の第1主面側(受光面)に第2半導体層53が形成されている。
このため、固体撮像素子50は、受光面側から順に、第2半導体層53、第1半導体層52、及び、半導体基体51の3層を備える。
【0040】
第2半導体層53の表面から、半導体基体31の第2主面側まで、第1半導体層52を含み、フォトダイオード(PD)54が形成されている。PD54は、第2半導体層53の受光面側の表面と、半導体基体51の第2主面の表面とに、第1導電型(p型)半導体領域を有する。そして、このp型半導体領域の間に、2半導体層53、第1半導体層52及び半導体基体51の3層に連続して形成された第2導電型(n型)半導体領域を有する。また、PD54と隣接する画素のPD54Aとの間は、第1導電型(p型)半導体領域からなる画素分離部を備える。
また、半導体基体51の第2主面上に、ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極55、PD54、及び、半導体基体51の表面に形成されたフローティングディフュージョン(FD)56から、トランジスタTr1が形成されている。
【0041】
また、半導体基体51の表面上には、固体撮像素子50の多層配線層57が形成されている。多層配線層57は、複数積層された層間絶縁層と導体層とからなる。第2半導体層53の受光面上には、画素間を遮光するための遮光膜58を備える。そして、遮光膜58上には、カラーフィルタ59やマイクロレンズ60等の各種光学部品が搭載されている。
【0042】
半導体基体51は、一般的に固体撮像素子の製造に用いられる、例えばシリコン基板等が用いられる。第1半導体層52は、上述の第1実施形態と同様に、Geを含む半導体層である。
【0043】
第2半導体層53は、Geを含まない半導体層により形成されている。第2半導体層53は、特にSi単体から形成されていることが好ましい。第2半導体層53は、例えば、Siのエピタキシャル成長層や、Si薄膜を貼り合わせることにより形成する。
第2半導体層53の厚さは、少なくとも、PD54の受光面側の表面に形成されている第1導電型の半導体領域以上の厚さで形成することが好ましい。第1導電型の半導体領域の厚さは、基板表面からの暗電流を抑制するために少なくとも0.01μm以上であることが好ましい。このため、第2半導体層53の厚さも0.01μm以上であることが好ましい。
また、Geを含む第1半導体層52の受光面側に形成する第2半導体層53は、薄い方が好ましい。受光面の近くまでGeを含む半導体層が形成されている方が、光電変換効率がよいため、斜め光の隣接画素への到達を減少させることができる。このため、第2半導体層53は、光学的な干渉の抑制を低下させない程度の厚さ以下で形成する必要がある。例えば、第2半導体層53の厚さの最大値は、5μm以下であることが好ましい。
【0044】
受光面にGeを含む場合、つまり、受光部界面がSi(1−x)Ge(x)の組成比xが0以外の場合には、半導体層のバンドギャップがSiよりも小さくなる。このため、結晶連続性の終端部が形成する、受光部表面の界面準位からの電子−ホール対の生成率が大きくなる。このため、受光部表面かの暗電流の増加が懸念される。このため、上述の第2実施形態の固体撮像素子50では、受光部界面にGeを含まない構成、例えば、Si(1−x)Ge(x)組成比x=0となる構成とする。Geを含む第1半導体層52上に、例えばSi単体からなる第2半導体層53を備えることにより、受光部界面の状態は従来のSiと同等となる。この構成では、界面準位からの電子−ホール対の生成率を、従来のSi基板を用いた固体撮像素子と同等に保つことができる。
従って、第2実施形態の固体撮像素子では、上述の第1実施形態の固体撮像素子と同様に光学的な干渉を抑制するとともに、受光界面からの暗電流をも抑制することができる。この結果、固体撮像素子の画質を向上させることができる。
【0045】
〈3.電子機器〉
次に、上述の固体撮像素子を備える電子機器の実施形態について説明する。
上述の固体撮像素子は、例えば、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステム、撮像機能を有する携帯電話、又は、撮像機能を備えた他の機器などの電子機器に適用することができる。図13に、電子機器の一例として、固体撮像素子を静止画像又は動画を撮影が可能なカメラに適用した場合の概略構成を示す。
【0046】
この例のカメラ70は、固体撮像素子71と、固体撮像素子71の受光センサ部に入射光を導く光学系72と、固体撮像素子71及び光学系72間に設けられたシャッタ装置73と、固体撮像素子71を駆動する駆動回路74とを備える。さらに、カメラ70は、固体撮像素子71の出力信号を処理する信号処理回路75を備える。
【0047】
固体撮像素子71には、上述の第1実施形態及び第2実施形態の固体撮像素子を適用することができる。光学系(光学レンズ)72は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子71の撮像面(不図示)上に結像させる。これにより、固体撮像素子71内に、一定期間、信号電荷が蓄積される。なお、光学系72は、複数の光学レンズを含む光学レンズ群で構成してもよい。また、シャッタ装置73は、入射光の固体撮像素子71への光照射期間及び遮光期間を制御する。
【0048】
駆動回路74は、固体撮像素子71及びシャッタ装置73に駆動信号を供給する。そして、駆動回路74は、供給した駆動信号により、固体撮像素子71の信号処理回路75への信号出力動作、及び、シャッタ装置73のシャッタ動作を制御する。すなわち、この例では、駆動回路74から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像素子71から信号処理回路75への信号転送動作を行う。
【0049】
信号処理回路75は、固体撮像素子71から転送された信号に対して、各種の信号処理を施す。そして、各種信号処理が施された信号(映像信号)は、メモリなどの記憶媒体(不図示)に記憶される、又は、モニタ(不図示)に出力される。
【0050】
なお、上述した各実施形態に係る固体撮像素子では、可視光の光量に応じた信号電荷を物理量として検知する単位画素が行列状に配置されてなるイメージセンサに適用した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、上述の固体撮像素子は、イメージセンサへの適用に限られるものではなく、画素アレイ部の画素列ごとにカラム回路を配置してなるカラム方式の固体撮像素子全般に対して適用可能である。
【0051】
また、上述の固体撮像素子は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像素子への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像素子に適用可能である。また、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像素子(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
さらに、上述の固体撮像素子は、画素アレイ部の各単位画素を行単位で順に走査して各単位画素から画素信号を読み出す固体撮像素子に限らない。例えば、画素単位で任意の画素を選択して、当該選択画素から画素単位で信号を読み出すX−Yアドレス型の固体撮像素子に対しても適用可能である。
上記各形態に固体撮像素子を適用した場合においても、上述の実施形態の固体撮像素子と同様に、光学的干渉の抑制が可能である。
なお、固体撮像素子はワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0052】
また、上記各実施の形態の固体撮像素子では、信号電荷として電子を用いた固体撮像素子について説明したが、信号電荷として正孔を用いた固体撮像素子に適用することもできる。この場合、上例で第1導電型をp型とし、第2導電型をn型とした構成を、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とする。
【0053】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)半導体基体と、前記半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層と、前記半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、前記第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードと、を備える固体撮像素子。
(2)前記第1半導体層が、Ge単体、又は、組成式Si(1−x)Gexで表され、xが0.05以上1.0未満である(1)に記載の固体撮像素子。
(3)前記第1半導体層上に、Geを含まない第2半導体層を備える(1)又は(2)に記載の固体撮像素子。
(4)前記第2半導体層は、前記フォトダイオードの受光面側に形成されている第1導電型の半導体領域の厚さ以上に形成されている(3)に記載の固体撮像素子。
(5)前記第1半導体層の厚さが0.01μm以上5μm以下である(1)から(4)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子と、前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する電子機器。
【符号の説明】
【0054】
10,30,50,71 固体撮像素子、11 センサ基板、13 画素、14 画素領域、15 画素駆動線、16 垂直信号線、17 周辺領域、18 配線、21 回路基板、22 垂直駆動回路、23 カラム信号処理回路、24 水平駆動回路、25 システム制御回路、31,51 半導体基体、32,52 第1半導体層、33,54 フォトダイオード、33A 隣接画素、34,55 ゲート電極、35,56 フローティングディフュージョン、36,57 多層配線層、37,58 遮光膜、38,59 カラーフィルタ、39,60 マイクロレンズ、41,42 入射光、43 画素境界、53 第2半導体層、70 カメラ、72 光学系、73 シャッタ装置、74 駆動回路、75 信号処理回路、Tr1 トランジスタ
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像素子、及び、電子機器に係わる。特に、Ge含有半導体層を備える固体撮像素子、及び、電子機器に係わる。
【背景技術】
【0002】
Siを基板としたイメージセンサ、特に裏面照射型イメージセンサは、受光部側に回路部の配線層が無い構造から、表面照射型によりも感度が向上する。このような裏面照射型の固体撮像素子においては、隣接する画素間での干渉、特に隣接画素への侵入光による混色の低下が求められている。混色を抑制する方法として、画素間に遮光層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−186818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の固体撮像素子においては、隣接する画素間での干渉、特に入射光が隣接画素へ侵入する光学的干渉、例えば光学混色の低下が求められている。
【0005】
本技術においては、光学的な干渉を抑制することが可能な固体撮像素子、及び、電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の固体撮像素子は、半導体基体と、半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層とを備える。そして、半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードとを備える。
また、本技術の電子機器は、上記固体撮像素子と、固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路とを有する。
【0007】
上述の固体撮像素子によれば、Geを含む第1半導体層を備えることにより、第1半導体層での入射光の吸収が大きくなる。このため、第1半導体層を通過して隣接する画素へ再入射する光の量を減少させることができる。この結果、固体撮像素子の光学的干渉を抑制することができる。そして、この固体撮像素子を用いることにより、光学的特性に優れた電気機器を構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、光学的干渉を抑制することが可能な固体撮像素子、及び、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の固体撮像素子の構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態の固体撮像素子の画素部の構成を示す断面図である。
【図3】Si基板における光吸収割合を示すグラフである。
【図4】Si0.9Ge0.1半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図5】Si0.8Ge0.2半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図6】Si0.7Ge0.3半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図7】Si0.6Ge0.4半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図8】Si.05Ge0.5半導体層における光吸収割合を示すグラフである。
【図9】各組成の半導体層の光吸収係数と入射光波長との関係を示すグラフである。
【図10】実施例で用いた固体撮像素子の画素部の各構成の寸法を示す図である。
【図11】各波長の入射光深さと入射光強度を示すグラフである。
【図12】第2実施形態の固体撮像素子の画素部の構成を示す断面図である。
【図13】電子機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本技術を実施するための最良の形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子の第1実施形態
2.固体撮像素子の第2実施形態
3.電子機器
【0011】
〈1.固体撮像素子の第1実施形態〉
[固体撮像素子の構成例:概略構成図]
以下、本実施形態の固体撮像素子の具体的な実施の形態について説明する。
図1に、裏面照射型の固体撮像素子の一例として、三次元構造のMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の固体撮像素子の概略構成図を示す。図1に示す固体撮像素子10は、光電変換部が配列形成されたセンサ基板11と、このセンサ基板11に対して積層させた状態で貼り合わされた回路基板21とを備えている。
【0012】
センサ基板11は、一方の面を受光面Aとし、光電変換部を含む複数の画素13が受光面Aに対して2次元的に配列された画素領域14を備えている。画素領域14には、複数の画素駆動線15が行方向に配線され、複数の垂直信号線16が列方向に配線されており、1つの画素13が1本の画素駆動線15と1本の垂直信号線16とに接続される状態で配置されている。これらの各画素13には、光電変換部と、電荷蓄積部と、複数のトランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)および容量素子等で構成された画素回路とが設けられている。尚、画素回路の一部は、受光面Aとは反対側の表面側に設けられている。また複数の画素で画素回路の一部を共有していても良い。
【0013】
またセンサ基板11は、画素領域14の外側に周辺領域17を備えている。この周辺領域17には、電極パッドを含む配線18が設けられている。この配線18は、必要に応じてセンサ基板11に設けられた画素駆動線15、垂直信号線16、および画素回路、さらには回路基板21に設けられた駆動回路に接続されている。
【0014】
回路基板21は、センサ基板11側に向かう一面側に、センサ基板11に設けられた各画素13を駆動するための垂直駆動回路22、カラム信号処理回路23、水平駆動回路24、およびシステム制御回路25などの駆動回路を備えている。これらの駆動回路は、センサ基板11側の配線18に接続されている。尚、センサ基板11の表面側に設けられた画素回路も、駆動回路の一部である。
【0015】
[固体撮像素子の構成例:画素部]
次に、図2に、本実施形態の固体撮像素子の1画素を構成する要部の断面図を示す。
図2に示す固体撮像素子30は、半導体基体31と、半導体基体31上に形成された第1半導体層32とを備える。第1半導体層32は、半導体基体31の第1主面(固体撮像素子30の受光面)側に形成されている。
第1半導体層32の半導体基体31と反対側の面は、固体撮像素子30の光の入射面である。以降の説明では、上記光の入射面を第1半導体層32の第1主面とし、半導体基体31と接する面を第1半導体層32の第2主面とする。また、上記光の入射面を固体撮像素子30の裏面とし、半導体基体31の第2主面側を固体撮像素子30の表面とする。
【0016】
半導体基体31は、一般的に固体撮像素子の製造に用いられる、例えばシリコン基板等を用いられる。
第1半導体層32は、Geを含む半導体層である。Geを含む半導体層としては、エピタキシャル成長により形成されたSiGe混晶、又は、Ge単体の半導体層を用いる。SiGe混晶を用いる場合には、組成式Si(1−x)Ge(x)の組成比xが0以外の組成、特に、xが0.05以上1.0未満である組成を用いる。
【0017】
第1半導体層32の第1主面の表面から、半導体基体31の第2主面側まで、フォトダイオード(PD)33が形成されている。PD33は、第1半導体層32の第1主面の表面と、半導体基体31の第2主面側の表面とに、第1導電型(p型)半導体領域を有する。そして、このp型半導体領域の間に、第1半導体層32から半導体基体31まで連続して形成された第2導電型(n型)半導体領域を有する。また、PD33と隣接する画素のPD33Aとの間には、第1導電型(p型)半導体領域からなる画素分離部を備える。
【0018】
また、半導体基体31の第2主面上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極34が形成されている。そして、半導体基体31の表面側において、ゲート電極34を介してPD33と対になる位置に、フローティングディフュージョン(FD)35が形成されている。これにより、ゲート電極34、及び、PD33とFD35とをソース・ドレインとする転送トランジスタTr1が形成される。
【0019】
半導体基体31の第2主面上には、固体撮像素子30の多層配線層36が形成されている。多層配線層36は、複数積層された層間絶縁層と導体層とからなる。第1半導体層32の第1主面上には、画素間を遮光するための遮光膜37を備える。この遮光膜37の開口部からPD33に光が入射する。遮光膜37上には、カラーフィルタ38やマイクロレンズ39等の各種光学部品が搭載されている。
【0020】
上述の構成の固体撮像素子30では、固体撮像素子30の受光面側に、Geを含む半導体層が形成されている。そして、トランジスタTr1等からなる回路部が半導体基体31の第2主面に形成されている。
Geはバンドギャップが0.66eVである。また、一般的に固体撮像素子の受光部を構成するSiのバンドギャップは、1.11eVである。つまり、Geのバンドギャップは、Siよりも小さい。このため、Geを含む第1半導体層32に形成されているPD33は、Si基板内に形成される場合よりも、光吸収係数が全波長領域において大きくなる。
【0021】
Geを含む半導体層の光吸収係数について説明する。
Si単体基板と、組成式Si(1−x)Ge(x)の組成比xを変化させた組成の半導体層について、入射光の吸収の様子を表すグラフを図3〜8に示す。
図3に、Si単体からなる基板において、基板の深さに対する光吸収割合のグラフを示す。また、図4〜図8に、Si(1−x)Ge(x)の組成の半導体層において、Geの比率xを、0.1〜0.5まで0.1ずつ大きくした半導体層の光吸収割合のグラフを示す。
図4はSi0.9Ge0.1の組成の半導体層における光吸収割合のグラフである。図5はSi0.8Ge0.2、図6はSi0.7Ge0.3、図7はSi0.6Ge0.4、図8はSi.05Ge0.5の組成の半導体層における光吸収割合のグラフである。
さらに、図9に、Si基板と、上述のSi0.9Ge0.1、Si0.8Ge0.2、Si0.7Ge0.3、及び、Si0.6Ge0.4の組成の半導体層とにおける光吸収係数(cm−1)と入射光波長との関係を示す。
【0022】
図3〜8に示すグラフでは、入射光の波長を400nmから950nmまで50nm刻みで示し、横軸に光が入射する基板の深さ、縦軸に光吸収割合を示す。光吸収割合は、入射時の光の強度からの減衰を0〜1の範囲で表している。つまり、入射時の光吸収割合を0とし、入射光の強度が徐々に低下して強度が0となった時点での光吸収割合を1として示している。
【0023】
図3〜図8に示すように、Geの組成比が大きくなるほど、可視光から赤外光までの全波長域において、浅い領域での光吸収割合が大きくなる。例えば、Si4Ge(Si0.8Ge0.2)の組成の半導体層においては、1.5μm程度の厚さで、3μmの厚さのSi基板と同等の光電変換効率を示す。また、図9に示すグラフから、Si(1−x)Ge(x)半導体層は、全波長域に対して光吸収係数がSiよりも大きくなることがわかる。
従って、固体撮像素子30の受光部を、Geを含む第1半導体層32に形成すると、受光部の光吸収係数が、全波長領域においてSiよりも高くなる。このように、受光部側の光吸収係数が高まることにより、PD33内での光電変換効率が大きくなる。
【0024】
また、上述の入射深さと光吸収割合との関係、及び、波長と光吸収係数との関係によれば、Geを含む半導体層は、Geの組成比の変化により、光吸収係数が連続的に変化する。つまり、Geの添加比率を変えることにより、半導体層のバンドギャップを連続的に変えることができる。
また、GeのSiに対する相溶性は100%固溶である。このため、Geを含む半導体層は、Geの組成比を連続的に自由に変えることができる。
従って、第1半導体層32のGeの含有比を調整することにより、固体撮像素子30の受光部の光吸収係数を所望の値に設計することができる。
【0025】
また、第1半導体層32の厚さは、上述の各関係から固体撮像素子の実用的には0.01〜5μmとすることが好ましい。Geの組成比を大きくすることで吸収係数を大きくすることができるため、少なくとも0.01μm程度の厚さで、Si基板との光吸収の差異を発現することが可能である。また、5μm程度の厚さが有れば、充分な差異を発現することが可能である。
【0026】
上述のように、本実施形態の固体撮像素子30では、PD33の受光面側に光電変換効率が大きい第1半導体層32を備える。この構成により、入射光が受光面側において大きく光電変換する。PD33の表面での入射光の光電変換量が大きくなるため、基体深部まで侵入する光が減衰する。このため、所望の画素で光電変換されずに直接隣接画素へ到達する光の割合が減少する。さらに、一度光電変換領域を透過した後、配線層により反射し再入射されて隣接画素へ到達する光の割合が減る。
上述のように、隣接画素へ侵入する光の割合が減少することにより、固体撮像素子30の光学混色を抑制することができる。さらに、オプティカルブラック領域での偽信号による画質劣化の改善が可能となる。
【0027】
例えば、図2に示すように、PD33に対して斜めに入射された入射光41が、最初に入射したPD33を通り、隣接する画素のPD33Aへ入射する場合について考える。この場合、入射光41は、最初に第1半導体層32を通過する。この第1半導体層32は、上述のようにGeを含むことによりSi基板よりも光電変換効率が大きい。このため、入射光41は第1半導体層32中で光電変換され、隣接する画素へ向かう途中で吸収される。従って、隣接する画素33Aに到達するまでに、入射光41の光量が大きく減少する。
【0028】
また、PD33に対して斜めに入射する入射光41は、PD33に対して垂直に近い角度で入射する入射光42よりも、第1半導体層32を通過する距離が長くなる。このため、斜めに入射する入射光41は、第1半導体層32での吸収量が大きくなる。従って、受光面側に光電変換率の大きい第1半導体層32を備えることにより、隣接画素33Aに到達する光量を減少させることができる。
【0029】
このように、第1半導体層32を備えることにより、隣接画素へ侵入する斜め光に対し、隣接画素へ到達するまでに光量を大きく減少させることができる。そして、隣接画素のPD33Aにおいて、PD33からの斜め光により光電変換される光学的な干渉に起因する偽信号の割合を減少させることができる。
また、固体撮像素子30の受光面での光吸収係数が高まることにより、受光部を透過し配線層にまで到達する入射光の割合も減少する。このため、配線層からの反射による隣接画素への光学的な干渉(混色)を抑制することができる。
【0030】
従来のSiを基板のみから構成された一般的な固体撮像素子、特に裏面照射型の固体撮像素子は、インナーレンズによる集光が不十分等の理由により、一部の入射光が光電変換される前に隣接画素へ到達する光学混色が問題となる。また、入射光が光電変換せずに回路部側まで到達し、回路部側にある配線層等で反射し、この反射光が隣接画素へ再入射する現象も、裏面照射型イメージセンサにおける偽信号の要因となる。
表面型の固体撮像素子では、上記の光学的混色を、受光面側にある回路部の配線層を画素間に配置することで低減させていた。裏面照射型の固体撮像素子では、受光面側に配線層が形成されていないため、画素間に回路部の配線層を形成する方法で、光学的混色を防ぐことができない。
【0031】
上述の実施形態の固体撮像素子では、裏面照射型イメージセンサの受光部側にGeを含む半導体層をエピタキシャル成長で作製し、回路部側をSi等の半導体基体中に形成する。このような構成の固体撮像素子により、隣接する画素間での干渉、特に入射光が隣接画素へ侵入する光学的干渉、例えば光学混色を抑制することができる。
【0032】
なお、上述の実施形態では、受光部を第1半導体層と半導体基体とに渡って形成したが、半導体基体を薄く、第1半導体層を厚く形成することにより、PDを第1半導体層内のみに形成する構成としてもよい。特に、赤外線等の長波長成分は、Si基板では透過性が高いため、受光部が基板の深くまで形成されていた。これに対し、Geを含む半導体層では、赤外領域まで含む全波長域でSiよりも光電変換効率が高くなる。このため、Geを含む半導体層を用いることにより、受光部を浅く形成しても赤外線等の長波長成分を充分に変換することができる。
さらに、上述の実施形態では、裏面照射型の固体撮像素子にGe含有半導体層を適用した場合について説明しているが、上述のGe含有半導体層をCCD型固体撮像素子にも適用できる。
上述の場合にも、電荷転送パス等に結晶欠陥がない方が好ましいため、ゲート電極下やFD等の回路部は、半導体基体内に形成することが好ましい。
【0033】
[実施例]
次に、上述の実施形態の固体撮像素子において、隣接画素への入射光の減衰の様子について実施例を用いて説明する。実施例で用いる固体撮像素子は、上述の図2に示す固体撮像素子30と同じ構成である。実施例で用いる固体撮像素子30の画素部の各構成の寸法を図10に示す。
図10に示すように、半導体基体31の厚さを1.5μmとし、この半導体基体31上に、第1半導体層32を1.5μmの厚さで形成した。半導体基体31は、Si単体である。第1半導体層32の組成はSi0.8Ge0.2である。この構成より、センサ受光部側から厚さ3μmの光電変換領域を有する裏面照射型の固体撮像素子とした。
また、PD33を通り隣接する画素のPD33Aへ入射する入射光41について、入射光41がPD33とPD33Aとの画素境界43を通過する位置を、受光面側から1.5μmとした。
【0034】
図11に、上述の構成の固体撮像素子30における入射光41の減衰の様子を示す。図11に示すグラフは、縦軸が入射光41の入射光強度、横軸が基板の受光面からの深さを示す。入射光強度は、固体撮像素子30の受光面の最表面における入射光41の強度を1としている。また、入射光41として、650nm(Red)光、550nm(Green)光、450nm(Blue)光を示す。
【0035】
上述の条件における650nm(Red)光の基板深さと入射光強度との関係を実線Aで示す。同様に、550nm(Green)光の基板深さと入射光強度との関係を実線Bで示し、450nm(Blue)光の基板深さと入射光強度との関係を実線Cで示す。
また、比較例として、Si単体基板に対する650nm(Red)光の基板深さと入射光強度との関係を破線Dで示す。同様に、Si単体基板に対する550nm(Green)光の基板深さと入射光強度との関係を破線E、450nm(Blue)光の基板深さと入射光強度との関係を破線Fで示す。
図11に示すように、第1半導体層32(Si0.8Ge0.2)を通過する光は、Si基板を通過する光よりも入射光強度が減少している。この減少は、第1半導体層32への侵入と同時に大きく発生している。
【0036】
また、図11に示す結果から、実施例の光学混色の減少率を求めた。減少率は、入射光41が画素境界43を通過する時点、つまり、受光面から1.5μmの深さでの各波長の実施例と比較例との入射高強度の比から求めた。
450nm光における、Si単体基板(比較例)に対するSi0.8Ge0.2半導体層(実施例)の光学混色の減少率は99.6%であった。
550nm光おける、Si単体基板(比較例)に対するSi0.8Ge0.2半導体層(実施例)の光学混色の減少率は、87.1%であった。
650nm光における、Si単体基板(比較例)に対するSi0.8Ge0.2半導体層(実施例)の光学混色の減少率は、52.9%であった。
【0037】
光学混色の減少率が示すように、固体撮像素子30の受光面側にGeを含む第1半導体層32を備えることにより、入射光41を第1半導体層32により減衰させることができる。このため、一度入射した画素を透過して隣接画素にと到達する光の量を減少させ、光学混色の発生を抑制することができる。
【0038】
〈2.固体撮像素子の第2実施形態〉
次に、固体撮像素子の第2実施形態について説明する。図12に、第2実施形態の固体撮像素子の1画素を構成する要部の断面図を示す。
図12に示す固体撮像素子50は、半導体基体51と、第1半導体層52と、第2半導体層53とを備える。
なお、図12に示す第2実施形態の固体撮像素子50は、基板構成を除き、上述の図2に示す第1実施形態の固体撮像素子30と同様の構成であるため、同様の各構成については詳細な説明を省略する。
【0039】
固体撮像素子50は、半導体基体51の第1主面側に形成されている。
半導体基体51の第1主面(固体撮像素子50の受光面)側に第1半導体層52が形成されている。さらに、第1半導体層52の第1主面側(受光面)に第2半導体層53が形成されている。
このため、固体撮像素子50は、受光面側から順に、第2半導体層53、第1半導体層52、及び、半導体基体51の3層を備える。
【0040】
第2半導体層53の表面から、半導体基体31の第2主面側まで、第1半導体層52を含み、フォトダイオード(PD)54が形成されている。PD54は、第2半導体層53の受光面側の表面と、半導体基体51の第2主面の表面とに、第1導電型(p型)半導体領域を有する。そして、このp型半導体領域の間に、2半導体層53、第1半導体層52及び半導体基体51の3層に連続して形成された第2導電型(n型)半導体領域を有する。また、PD54と隣接する画素のPD54Aとの間は、第1導電型(p型)半導体領域からなる画素分離部を備える。
また、半導体基体51の第2主面上に、ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極55、PD54、及び、半導体基体51の表面に形成されたフローティングディフュージョン(FD)56から、トランジスタTr1が形成されている。
【0041】
また、半導体基体51の表面上には、固体撮像素子50の多層配線層57が形成されている。多層配線層57は、複数積層された層間絶縁層と導体層とからなる。第2半導体層53の受光面上には、画素間を遮光するための遮光膜58を備える。そして、遮光膜58上には、カラーフィルタ59やマイクロレンズ60等の各種光学部品が搭載されている。
【0042】
半導体基体51は、一般的に固体撮像素子の製造に用いられる、例えばシリコン基板等が用いられる。第1半導体層52は、上述の第1実施形態と同様に、Geを含む半導体層である。
【0043】
第2半導体層53は、Geを含まない半導体層により形成されている。第2半導体層53は、特にSi単体から形成されていることが好ましい。第2半導体層53は、例えば、Siのエピタキシャル成長層や、Si薄膜を貼り合わせることにより形成する。
第2半導体層53の厚さは、少なくとも、PD54の受光面側の表面に形成されている第1導電型の半導体領域以上の厚さで形成することが好ましい。第1導電型の半導体領域の厚さは、基板表面からの暗電流を抑制するために少なくとも0.01μm以上であることが好ましい。このため、第2半導体層53の厚さも0.01μm以上であることが好ましい。
また、Geを含む第1半導体層52の受光面側に形成する第2半導体層53は、薄い方が好ましい。受光面の近くまでGeを含む半導体層が形成されている方が、光電変換効率がよいため、斜め光の隣接画素への到達を減少させることができる。このため、第2半導体層53は、光学的な干渉の抑制を低下させない程度の厚さ以下で形成する必要がある。例えば、第2半導体層53の厚さの最大値は、5μm以下であることが好ましい。
【0044】
受光面にGeを含む場合、つまり、受光部界面がSi(1−x)Ge(x)の組成比xが0以外の場合には、半導体層のバンドギャップがSiよりも小さくなる。このため、結晶連続性の終端部が形成する、受光部表面の界面準位からの電子−ホール対の生成率が大きくなる。このため、受光部表面かの暗電流の増加が懸念される。このため、上述の第2実施形態の固体撮像素子50では、受光部界面にGeを含まない構成、例えば、Si(1−x)Ge(x)組成比x=0となる構成とする。Geを含む第1半導体層52上に、例えばSi単体からなる第2半導体層53を備えることにより、受光部界面の状態は従来のSiと同等となる。この構成では、界面準位からの電子−ホール対の生成率を、従来のSi基板を用いた固体撮像素子と同等に保つことができる。
従って、第2実施形態の固体撮像素子では、上述の第1実施形態の固体撮像素子と同様に光学的な干渉を抑制するとともに、受光界面からの暗電流をも抑制することができる。この結果、固体撮像素子の画質を向上させることができる。
【0045】
〈3.電子機器〉
次に、上述の固体撮像素子を備える電子機器の実施形態について説明する。
上述の固体撮像素子は、例えば、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステム、撮像機能を有する携帯電話、又は、撮像機能を備えた他の機器などの電子機器に適用することができる。図13に、電子機器の一例として、固体撮像素子を静止画像又は動画を撮影が可能なカメラに適用した場合の概略構成を示す。
【0046】
この例のカメラ70は、固体撮像素子71と、固体撮像素子71の受光センサ部に入射光を導く光学系72と、固体撮像素子71及び光学系72間に設けられたシャッタ装置73と、固体撮像素子71を駆動する駆動回路74とを備える。さらに、カメラ70は、固体撮像素子71の出力信号を処理する信号処理回路75を備える。
【0047】
固体撮像素子71には、上述の第1実施形態及び第2実施形態の固体撮像素子を適用することができる。光学系(光学レンズ)72は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子71の撮像面(不図示)上に結像させる。これにより、固体撮像素子71内に、一定期間、信号電荷が蓄積される。なお、光学系72は、複数の光学レンズを含む光学レンズ群で構成してもよい。また、シャッタ装置73は、入射光の固体撮像素子71への光照射期間及び遮光期間を制御する。
【0048】
駆動回路74は、固体撮像素子71及びシャッタ装置73に駆動信号を供給する。そして、駆動回路74は、供給した駆動信号により、固体撮像素子71の信号処理回路75への信号出力動作、及び、シャッタ装置73のシャッタ動作を制御する。すなわち、この例では、駆動回路74から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像素子71から信号処理回路75への信号転送動作を行う。
【0049】
信号処理回路75は、固体撮像素子71から転送された信号に対して、各種の信号処理を施す。そして、各種信号処理が施された信号(映像信号)は、メモリなどの記憶媒体(不図示)に記憶される、又は、モニタ(不図示)に出力される。
【0050】
なお、上述した各実施形態に係る固体撮像素子では、可視光の光量に応じた信号電荷を物理量として検知する単位画素が行列状に配置されてなるイメージセンサに適用した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、上述の固体撮像素子は、イメージセンサへの適用に限られるものではなく、画素アレイ部の画素列ごとにカラム回路を配置してなるカラム方式の固体撮像素子全般に対して適用可能である。
【0051】
また、上述の固体撮像素子は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像素子への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像素子に適用可能である。また、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像素子(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
さらに、上述の固体撮像素子は、画素アレイ部の各単位画素を行単位で順に走査して各単位画素から画素信号を読み出す固体撮像素子に限らない。例えば、画素単位で任意の画素を選択して、当該選択画素から画素単位で信号を読み出すX−Yアドレス型の固体撮像素子に対しても適用可能である。
上記各形態に固体撮像素子を適用した場合においても、上述の実施形態の固体撮像素子と同様に、光学的干渉の抑制が可能である。
なお、固体撮像素子はワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0052】
また、上記各実施の形態の固体撮像素子では、信号電荷として電子を用いた固体撮像素子について説明したが、信号電荷として正孔を用いた固体撮像素子に適用することもできる。この場合、上例で第1導電型をp型とし、第2導電型をn型とした構成を、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とする。
【0053】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)半導体基体と、前記半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層と、前記半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、前記第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードと、を備える固体撮像素子。
(2)前記第1半導体層が、Ge単体、又は、組成式Si(1−x)Gexで表され、xが0.05以上1.0未満である(1)に記載の固体撮像素子。
(3)前記第1半導体層上に、Geを含まない第2半導体層を備える(1)又は(2)に記載の固体撮像素子。
(4)前記第2半導体層は、前記フォトダイオードの受光面側に形成されている第1導電型の半導体領域の厚さ以上に形成されている(3)に記載の固体撮像素子。
(5)前記第1半導体層の厚さが0.01μm以上5μm以下である(1)から(4)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子と、前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する電子機器。
【符号の説明】
【0054】
10,30,50,71 固体撮像素子、11 センサ基板、13 画素、14 画素領域、15 画素駆動線、16 垂直信号線、17 周辺領域、18 配線、21 回路基板、22 垂直駆動回路、23 カラム信号処理回路、24 水平駆動回路、25 システム制御回路、31,51 半導体基体、32,52 第1半導体層、33,54 フォトダイオード、33A 隣接画素、34,55 ゲート電極、35,56 フローティングディフュージョン、36,57 多層配線層、37,58 遮光膜、38,59 カラーフィルタ、39,60 マイクロレンズ、41,42 入射光、43 画素境界、53 第2半導体層、70 カメラ、72 光学系、73 シャッタ装置、74 駆動回路、75 信号処理回路、Tr1 トランジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基体と、
前記半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層と、
前記半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、
前記第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードと、
を備える固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1半導体層が、Ge単体、又は、組成式Si(1−x)Gexで表され、xが0.05以上1.0未満である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1半導体層上に、Geを含まない第2半導体層を備える請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記フォトダイオードは、受光面側から第1導電型の半導体領域と第2導電型の半導体領域とを備え、前記第2半導体層は、前記フォトダイオードの受光面側に形成されている前記第1導電型の半導体領域の厚さ以上に形成されている請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記第1半導体層の厚さが0.01μm以上5μm以下である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
半導体基体と、前記半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層と、前記半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、前記第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードとを備える固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する
電子機器。
【請求項1】
半導体基体と、
前記半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層と、
前記半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、
前記第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードと、
を備える固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1半導体層が、Ge単体、又は、組成式Si(1−x)Gexで表され、xが0.05以上1.0未満である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1半導体層上に、Geを含まない第2半導体層を備える請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記フォトダイオードは、受光面側から第1導電型の半導体領域と第2導電型の半導体領域とを備え、前記第2半導体層は、前記フォトダイオードの受光面側に形成されている前記第1導電型の半導体領域の厚さ以上に形成されている請求項3に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記第1半導体層の厚さが0.01μm以上5μm以下である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
半導体基体と、前記半導体基体の第1主面上に形成された、Geを含む第1半導体層と、前記半導体基体の第2主面に形成された転送トランジスタと、前記第1半導体層を含む領域に形成されたフォトダイオードとを備える固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する
電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−84786(P2013−84786A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223857(P2011−223857)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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