説明

圧電デバイスの製造方法

【課題】レーザーを金属片に照射することによって、パッケージのリッドに形成された貫通孔を塞ぐ際に、レーザーがキャビティーに侵入することを防止することができる圧電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧電デバイス100の製造方法は、金属板10に、窪み部22を形成するとともに窪み部22の内面に貫通孔24を形成して、リッド20を形成する工程と、圧電振動片60が収容されたパッケージベース30に、窪み部22がパッケージベース30側に突出するようにリッド20を固定する工程と、窪み部22に金属片90を配置する工程と、貫通孔24を介して、キャビティー32を減圧する工程と、金属片90にレーザーL1を照射して金属片90を溶融させ、貫通孔24を塞ぐ工程と、を含み、リッド20を形成する工程では、貫通孔24を、金属板10の厚み方向と直交する方向に向けて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転系の回転角速度を検出するための角速度センサーとして、圧電振動片を容器に収納した圧電デバイスが用いられてきた。圧電デバイスは、カーナビゲーションや、スチルカメラの手振れの検出などに利用されている。
【0003】
一般的に、圧電デバイスとしては、水晶などの圧電振動片をリード等で支持してパッケージベース内に固定し、パッケージベースのキャビティーをリッドで気密に封止する構造が採用されている。例えば特許文献1では、真空中においてビームを金属球に照射し金属球を溶融させることにより、リッドに形成された貫通孔を塞ぐことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−171152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、レーザーを金属片に照射することによって、パッケージのリッドに形成された貫通孔を塞ぐ際に、レーザーがキャビティーに侵入することを防止することができる圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0007】
[適用例1]
金属板に、窪み部を形成するとともに前記窪み部の内面に貫通孔を形成して、パッケージベースのキャビティーを封止するためのリッドを形成する工程と、
圧電振動片が収容された前記パッケージベースに、前記窪み部が前記パッケージベース側に突出するように前記リッドを固定する工程と、
前記窪み部に金属片を配置する工程と、
前記貫通孔を介して、前記キャビティーを減圧する工程と、
前記金属片にレーザーを照射し前記金属片を溶融させて、前記貫通孔を塞ぐ工程と、
を含み、
前記リッドを形成する工程では、
前記貫通孔を、前記金属板の厚み方向と直交する方向に向けて形成する、圧電デバイスの製造方法。
このような圧電デバイスの製造方法によれば、前記レーザーを前記厚み方向から照射して前記金属片を溶融させる際に、前記貫通孔を介して前記レーザーが前記キャビティーに侵入し、前記キャビティーに収容された部材(前記圧電振動片やリードなど)が損傷することを防止することができる。
【0008】
[適用例2]
適用例1において、
前記リッドを形成する工程では、
前記金属板を前記厚み方向から平面視して、前記金属板に、互いに対向する一対の切れ込み部を形成し、前記一対の切れ込み部に挟まれた前記金属板の領域を加圧することによって、前記窪み部および前記貫通孔を形成する、圧電デバイスの製造方法。
このような圧電デバイスの製造方法によれば、前記窪み部を形成するために前記リッドとは別の部材を要せず、前記リッドの一部として、一体的に形成することができる。したがって、簡易な方法で、圧電デバイスを製造することができる。
【0009】
[適用例3]
適用例2において、
前記リッドを形成する工程では、
前記領域が前記厚み方向に窪むことにより、前記一対の切り込み部の一方によって前記貫通孔の一方の開口が形成され、前記一対の切り込み部の他方によって前記貫通孔の他方の開口が形成され、
前記リッドを前記厚み方向から平面視して、前記一方の開口および前記他方の開口は、見えない、圧電デイバスの製造方法。
このような圧電デバイスの製造方法によれば、確実に、前記貫通孔を介して前記レーザーが前記キャビティーに侵入することを防止することができる。
【0010】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか1例において、
前記金属片を配置する工程の前に、少なくとも前記窪み部の内面にめっき処理を行う工程をさらに含む、圧電デバイスの製造方法。
このような圧電デバイスの製造方法によれば、前記窪み部の内面の前記金属片に対する濡れ性を向上させることができる。
【0011】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか1例において、
前記金属片は、球状であり、
前記金属片の直径は、前記窪み部の深さより大きい、圧電デバイスの製造方法。
このような圧電デバイスの製造方法によれば、前記金属片を前記窪み部に配置した後に、前記金属片が前記貫通孔を介して前記キャビティーに侵入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る圧電デバイスを模式的に示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る圧電デバイスを模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る圧電デバイスの圧電振動片を模式的に示す平面図。
【図4】本実施形態に係る圧電デバイスの圧電振動片の動作を説明するための図。
【図5】本実施形態に係る圧電デバイスの圧電振動片の動作を説明するための図。
【図6】本実施形態に係る圧電デバイスの製造工程を模式的に示す平面図。
【図7】本実施形態に係る圧電デバイスの製造工程を模式的に示す斜視図および断面図。
【図8】本実施形態に係る圧電デバイスの製造工程を模式的に示す斜視図および断面図。
【図9】本実施形態に係る圧電デバイスの製造工程を模式的に示す斜視図および断面図。
【図10】本実施形態に係る圧電デバイスの製造工程を模式的に示す斜視図および断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
1. 圧電デバイス
まず、本実施形態に係る圧電デイバス100について、図面を参照しながら説明する。図1は、圧電デイバス100を模式的に示す斜視図である。図2は、圧電デイバス100を模式的に示す図1のII−II線断面図である。図3は、圧電デバイス100の圧電振動片60を模式的に示す平面図である。図4および図5は、圧電デバイス100の圧電振動片60の動作を説明するための図である。なお、図1では、便宜上、リッド20の一部を透視して示している。
【0015】
以下では、圧電振動片60として、いわゆるダブルT型圧電振動片を用いた例について説明するが、これに限定されず、圧電デバイス100は、圧電振動片60として、音叉型振動片、双音叉型振動片、AT振動片、ウォーク型振動片などを用いることもできる。
【0016】
圧電デバイス100は、図1および図2に示すように、リッド20と、パッケージベース30と、支持基板40と、リード50と、圧電振動片60と、ICチップ70と、を含むことができる。
【0017】
パッケージベース30は、キャビティー32を有する。キャビティー32は、圧電振動片60等を収容することができる。キャビティー32は、圧電振動片60が動作するための空間となる。パッケージベース30の材質としては、例えば、セラミック、ガラスなど挙げることができる。
【0018】
リッド20は、パッケージベース30上に固定されている。リッド20の材質としては、例えば、42アロイ(鉄にニッケルが42%含有された合金)やコバール(鉄、ニッケルおよびコバルトの合金)等の金属を挙げることができる。リッド20およびパッケージベース30によって、パッケージが構成されている。
【0019】
リッド20には、厚み方向(例えばZ軸方向)に突出した窪み部22が形成されている。窪み部22は、パッケージベース30側に突出している。窪み部22内には、金属片92が形成されている。金属片92の材質としては、例えば、金ゲルマニウム(Au/Ge)、金すず(Au/Sn)などを挙げることができる。リッド20および金属片92によって、キャビティー32は、気密され、減圧空間(例えば真空状態)に設置されている。これにより、圧電デバイス100の角速度の検出感度を向上させることができる。
【0020】
支持基板40は、キャビティー32に収容されている。図示の例では、支持基板40は、リード50を介してパッケージベース30に固定されている。支持基板40の材質としは、例えば、ポリイミドなどの樹脂を挙げることができる。支持基板40は、支持基板40の上面から下面まで貫通している開口部42を有することができる。
【0021】
リード50は、キャビティー32に収容されている。リード50の材質としは、例えば、銅、金、ニッケル、または、これらの合金などを挙げることができる。図示の例では、リード50は、支持基板40の下面側から、開口部42を介して、支持基板40の上面側まで、延びている。リード50の一方側の端部52(支持基板40の下側に位置する端部)の上面は、例えば、接着材によって支持基板40の下面と接着されている。一方側の端部52の下面は、例えば、ろう材80によってパッケージベース30の内面に形成された配線84と接着されている。リード50の他方側の端部54(支持基板40の上側に位置する端部)の上面は、例えば熱圧着によって圧電振動片60に形成された端子(図示せず)と接着されている。
【0022】
圧電振動片60は、キャビティー32に収容されている。圧電振動片60は、リード50によって、支持基板40の上方に支持されている。圧電振動片60の材質としては、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電単結晶や、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックスなどの圧電材料を用いることができる。また、圧電振動片60は、シリコン半導体の表面の一部に、電極に挟まれた酸化亜鉛、窒化アルミニウム等の圧電薄膜を形成した構造であってもよい。
【0023】
圧電振動子60を有する圧電デバイス100は、物理量に応じて圧電振動片60の周波数が変動することを利用して、その物理量を検出するセンサーとして機能することができる。より具体的には、圧電デバイス100は、加速度によって発生する応力、角速度によって発生するコリオリ力などを、検出するジャイロセンサーとして機能することができる。
【0024】
圧電振動片60は、図3に示すように、基部61と、一対の連結腕62と、一対の検出振動腕63と、一対の第1駆動振動腕64と、一対の第2駆動振動腕65と、を含む。
【0025】
一対の連結腕62は、基部61から、X軸に沿って、互いに反対方向に延出している。一対の検出振動腕63は、基部61から、Y軸に沿って、互いに反対方向に延出している。一対の第1駆動振動腕64は、一対の連結腕62の一方から、Y軸に沿って、互いに反対方向に延出している。一対の第2駆動振動腕65は、一対の連結腕62の他方から、Y軸に沿って、互いに反対方向に延出している。
【0026】
図示の例では、振動腕63,64,65の先端部には、錘部66が形成されている。錘部66の幅(X軸方向の大きさ)は、振動腕63,64,65の幅より大きい。これにより、圧電デバイス100の検出感度を向上させることができる。
【0027】
角速度が加わらない状態において、駆動振動腕64,65に形成された駆動電極(図示せず)に電圧が印加されると、駆動振動腕64,65は、図4に示すように、矢印Aに示す方向に屈曲振動を行う。このとき、第1駆動振動腕64と第2駆動振動腕65とは、圧電振動片60の重心Gを通るY軸方向に沿う線(図示せず)関して線対称の振動を行う。そのため、基部61、連結腕62、および検出用振動腕63は、ほとんど振動しない。
【0028】
駆動振動腕64,65がA方向の駆動振動を行っている状態で、圧電振動片60にZ軸周りの角速度ωが加わると、圧電振動片60は図5に示すような振動を行う。すなわち、駆動振動系を構成する駆動振動腕64,65および連結腕62に矢印B方向のコリオリの力が働き、新たな振動が励起される。この矢印B方向の振動は、重心Gに対して周方向の振動である。また同時に、検出振動腕63は、矢印Bの振動に呼応して、矢印C方向の検出振動が励起される。そして、この振動により発生した圧電材料の歪みを、検出振動腕63に形成した検出電極(図示せず)が検出して角速度が求められる。
【0029】
ICチップ70は、図2に示すように、キャビティー32収容されている。図示の例では、ICチップ70は、ろう材82によって、パッケージベース30の底面(内側の底面)に実装されている。ICチップ70は、例えばワイヤー86によって、パッケージベース30に形成された配線84と電気的に接続されている。なお、図示はしないが、ICチップ70は、パッケージベース32の外部に設けられていてもよい。ICチップ70には、圧電振動片60を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに圧電振動片60に生じる検出振動を検出する検出回路と、が組み込まれている。
【0030】
2. 圧電デバイスの製造方法
次に、本実施形態に係る圧電デバイス100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図6は、圧電デバイス100の製造工程を模式的に示す平面図である。図7〜図10は、圧電デバイス100の製造工程を模式的に示す図である。なお、図7〜図10において、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のB−B線断面図であり、(c)は図(a)のC−C線断面図である。また、図7〜図10の斜視図では、便宜上、リッド20の一部を透視して示している。
【0031】
図6に示すように、リッド20となる金属板10を準備し、金属板10に切れ込み部14a,14bを形成する。金属板10は、例えば、Z軸方向に厚みを有し、金属板10の平面形状は、XY平面に展開されている。
【0032】
切れ込み部14a,14bは、金属板10の厚み方向(Z方向)から平面視して、互いに対向するように形成される。図示の例では、切れ込み部14a,14bは、互いに平行である。切れ込み部14a,14bは、金属板10の一方側の主面(例えば表面)と他方側の主面(例えば裏面)とを貫通して形成されていてもよい。切れ込み部14a,14bの形成方法は、特に限定されないが、例えば、プレス加工などが挙げられる。
【0033】
図7に示すように、金属板10に、窪み部22および貫通孔24を形成してリッド20を形成する。より具体的には、切れ込み部14a,14bに挟まれた金属板10の領域12(図6参照)を、Z軸方向から加圧する。これにより、Z軸方向に突出した窪み部22が形成される。その際、切り込み部14a,14bによって、窪み部22の内面に貫通孔24が形成される。
【0034】
詳述すると、領域12がZ軸方向に窪むことにより、図7(b)に示すように、例えば、一方の切り込み部14aによって貫通孔24の一方の開口24aが形成され、他方の切り込み部14bによって貫通孔24の他方の開口24bが形成される。貫通孔24の向きは、Z軸方向と直交する方向(図示の例ではY軸方向)である。ここで、「貫通孔24の向き」とは、例えば、一方の開口24aの少なくとも一部と、他方の開口24bの少なくとも一部とが、重なって見える方向ともいえる。例えば、リッド20をZ軸方向から平面視して、第1開口24aおよび第2開口24bは、見えないように形成されている。
【0035】
窪み部22の断面形状は、図7(c)に示すように、例えば、U字形状である。貫通孔24の断面形状は、例えば、半円の形状である。
【0036】
領域12への加圧は、例えば、絞り加工によって行われてもよい。すなわち、図示はしないが、金属板10を工具で固定し、領域12を、パンチによって一方の主面側から他方の主面側に設置されたダイスに押し込むことによって加工してもよい。例えば、使用するパンチを、径の小さいものから径の大きいものに徐々に移行して加工してもよい。これにより、窪み部22の寸法精度の向上を図ることができる。
【0037】
図8に示すように、窪み部22がパッケージベース30側に突出するように、パッケージベース30上にリッド20を固定する。パッケージベース30とリッド20との固定(接合)は、例えば、シーム溶接、プラズマ溶接、超音波接合、接着剤などによって行われる。なお、パッケージベース30のキャビティー32には、例えば、支持基板40、リード50、圧電振動片60、およびICチップ70が収容されている。
【0038】
図9に示すように、窪み部22に金属片90を配置する。金属片90の形状は、例えば、球状である。金属片90の直径90Dは、例えば、窪み部22の深さ22H(Z軸方向の大きさ)より大きい。金属片90は、図1および図2に示した金属片92と同じ材料からなることができる。
【0039】
なお、窪み部22に金属片90を配置する前に、窪み部22の内面(金属片90が配置される面)に、めっき処理を行ってもよい。より具体的なめっき処理としては、金めっき処理などが挙げられる。めっき処理は、窪み部22に金属片90を配置する前であれば、窪み部22を形成した後に行われてもよいし、窪み部22を形成する前に行われてもよい。
【0040】
次に、貫通孔24を介して、キャビティー32を減圧する。これにより、キャビティー32を真空状態(真空度が高い高真空状態)にすることができる。
【0041】
図10に示すように、キャビティー32を高真空状態に保ちながら、金属片90にレーザーL1を照射する。そして、金属片90を溶融させ、図1および図2に示すように、貫通孔24を塞ぐ。これにより、キャビティー32は、気密される。溶融した金属片92の形状は、キャビティー32を気密できれば特に限定されない。
【0042】
レーザーL1は、レーザー照射手段3から照射される。レーザーL1は、Z軸方向に進行するように照射される。レーザーL1の条件は、金属片90を溶融できれば特に限定されないが、例えば、YAGレーザーの基本波(波長1064nm)を用いることができる。
【0043】
以上の工程により、圧電デバイス100を製造することができる。
【0044】
本実施形態に係る圧電デバイス100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0045】
圧電デバイス100の製造方法によれば、キャビティー32を減圧するための貫通孔24を、金属板10の厚み方向(Z軸方向)と直交する方向(例えばY軸方向)に向けて形成することができる。そのため、レーザーL1をZ軸方向から照射して金属片90を溶融させる際に、貫通孔24を介してレーザーL1がキャビティー32に侵入し、キャビティー32に収容された部材(圧電振動片60やリード50など)が損傷することを防止することができる。
【0046】
圧電デバイス100の製造方法によれば、貫通孔24をリッド20に形成することができる。そのため、キャビティーを減圧するための貫通孔がパッケージベースの底面に形成される場合に比べて、パッケージベース30の小型化(すなわち、圧電デバイス100の小型化)を図ることができる。パッケージベースの底面には、例えば、ICチップが形成されるため、貫通孔をパッケージベースの底面に形成する場合は、別途領域を確保する必要があり、パッケージベースが大きくなってしまうことがある。
【0047】
圧電デバイス100の製造方法によれば、切り込み部14a,14bに挟まれた領域12を加圧することによって、窪み部22および貫通孔24を形成することができる。すなわち、窪み部22を形成するためにリッド20とは別の部材を要せず、リッド20の一部として、一体的に形成することができる。したがって、簡易な方法で、圧電デバイス100を製造することができる。
【0048】
圧電デバイス100の製造方法によれば、リッド20をZ軸方向から平面視して、第1開口24aおよび第2開口24bは、見えないように貫通孔24を形成することができる。これにより、確実に、貫通孔24を介してレーザーL1がキャビティー32に侵入することを防止することができる。
【0049】
圧電デバイス100の製造方法によれば、少なくとも窪み部22の内面に、めっき処理を行うことができる。これにより、窪み部22の内面の金属片90(金属片92)に対する濡れ性を向上させることができる。
【0050】
圧電デバイス100の製造方法によれば、球状である金属片90の直径は、窪み部22の深さより大きい。これにより、金属片90を窪み部22に配置した後に、金属片90が貫通孔24を介してキャビティー32に侵入することを防止することができる。
【0051】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0052】
3 レーザー照射手段、10 金属板、12 領域、14a 一方の切り込み部、
14b 他方の切り込み部、20 リッド、22 窪み部、24 貫通孔、
24a 一方の開口、24b 他方の開口、30 パッケージベース、
32 キャビティー、40 支持基板、42 開口部、50 リッド、
52 一方側の端部、54 他方側の端部、60 圧電振動片、61 基部、
62 連結腕、63 検出振動腕、64 第1駆動振動腕、65 第2駆動振動腕、
66 錘部、70 ICチップ、80 ろう材、82 ろう材、84 配線、
86 ワイヤー、90 金属片、92 金属片、100 圧電デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板に、窪み部を形成するとともに前記窪み部の内面に貫通孔を形成して、パッケージベースのキャビティーを封止するためのリッドを形成する工程と、
圧電振動片が収容された前記パッケージベースに、前記窪み部が前記パッケージベース側に突出するように前記リッドを固定する工程と、
前記窪み部に金属片を配置する工程と、
前記貫通孔を介して、前記キャビティーを減圧する工程と、
前記金属片にレーザーを照射し前記金属片を溶融させて、前記貫通孔を塞ぐ工程と、
を含み、
前記リッドを形成する工程では、
前記貫通孔を、前記金属板の厚み方向と直交する方向に向けて形成する、圧電デバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記リッドを形成する工程では、
前記金属板を前記厚み方向から平面視して、前記金属板に、互いに対向する一対の切れ込み部を形成し、前記一対の切れ込み部に挟まれた前記金属板の領域を加圧することによって、前記窪み部および前記貫通孔を形成する、圧電デバイスの製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記リッドを形成する工程では、
前記領域が前記厚み方向に窪むことにより、前記一対の切り込み部の一方によって前記貫通孔の一方の開口が形成され、前記一対の切り込み部の他方によって前記貫通孔の他方の開口が形成され、
前記リッドを前記厚み方向から平面視して、前記一方の開口および前記他方の開口は、見えない、圧電デイバスの製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記金属片を配置する工程の前に、少なくとも前記窪み部の内面にめっき処理を行う工程をさらに含む、圧電デバイスの製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記金属片は、球状であり、
前記金属片の直径は、前記窪み部の深さより大きい、圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−146973(P2011−146973A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6785(P2010−6785)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】