圧電発振器の製造方法及び圧電発振器
【課題】 本発明は、圧電発振器の上面に検査電極を形成することによりキャビティの広さを確保することができる圧電発振器の製造方法及び圧電発振器を提供する。
【解決手段】 圧電発振器の製造方法は、圧電片と外枠とを有する複数の圧電振動素子が形成された圧電ウエハを用意する工程(S101)と、検査電極を有する複数の第1容器体が形成され隣り合う第1容器体の共通する辺に複数の貫通孔と貫通孔に接続電極とが形成される第1ウエハを用意する工程(S103)と、外部電極を有する複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程(S104)と、複数の集積回路を用意する工程(S102)と、第1容器体又は第2容器体に集積回路を載置し圧電ウエハ、第1ウエハ及び第2ウエハを接合する接合工程(S105)と、検査電極を介して圧電片のCI値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程(S107)と、を含む。
【解決手段】 圧電発振器の製造方法は、圧電片と外枠とを有する複数の圧電振動素子が形成された圧電ウエハを用意する工程(S101)と、検査電極を有する複数の第1容器体が形成され隣り合う第1容器体の共通する辺に複数の貫通孔と貫通孔に接続電極とが形成される第1ウエハを用意する工程(S103)と、外部電極を有する複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程(S104)と、複数の集積回路を用意する工程(S102)と、第1容器体又は第2容器体に集積回路を載置し圧電ウエハ、第1ウエハ及び第2ウエハを接合する接合工程(S105)と、検査電極を介して圧電片のCI値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程(S107)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片と集積回路とがパッケージ内に載置された圧電発振器の製造方法及び圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
箱形形状のパッケージ内に圧電振動片及び集積回路が載置された圧電発振器が知られている。このような圧電発振器では、圧電振動片及び集積回路をパッケージ内に載置する際、及びパッケージ内をリッドで密封する際等に発生する応力により圧電振動片のクリスタルインピーダンス値及び振動周波数等の振動特性が変化する場合がある。そのため、圧電振動片及び集積回路をパッケージ内に載置した後、及びパッケージ内を密封した後に圧電振動片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等が測定され、その値が適正範囲にあるかどうかが確認される。
【0003】
圧電振動片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等の振動特性の測定は、パッケージの外側側面に形成される検査電極を通して行われる。例えば特許文献1に示される温度補償水晶発振器では、容器本体の側面に水晶振動子と電気的に接続されている水晶検査端子が形成されており、この水晶検査端子を通して水晶振動子のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等の振動特性が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−142869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、圧電発振器のパッケージの外側側面に水晶検査端子等の検査電極が形成されている場合、圧電発振器内のキャビティが狭くなり搭載する圧電振動片及び集積回路の大きさを小さくしなければならない。
【0006】
そこで本発明は、圧電発振器の上面に検査電極を形成することによりキャビティの広さを確保することができる圧電発振器の製造方法及び圧電発振器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の圧電発振器の製造方法は、表面実装型の圧電発振器の製造方法であり、表裏両主面に一対の励振電極を有する圧電片と圧電片を囲むように形成され励振電極から引き出される一対の引出電極を有する外枠とを有する複数の圧電振動素子が形成された圧電ウエハを用意する工程と、絶縁材からなり、圧電振動素子の一方の主面に接合される第1接合面と、第1接合面の反対側の天井面と、天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺に第1接合面から天井面まで貫通した複数の貫通孔と、貫通孔に検査電極に接続される接続電極とが形成される第1ウエハを用意する工程と、圧電振動素子の他方の主面に接合される第2接合面と、第2接合面の反対側の底面と、底面に形成され圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、第1容器体又は第2容器体に集積回路を載置し、圧電ウエハ、第1ウエハ及び第2ウエハを接合して回路端子と外部電極とを電気的に接続し、圧電端子と接続電極と引出電極とを電気的に接続する接合工程と、接合工程の後に、検査電極を介して圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、を含む。
【0008】
第2観点の圧電発振器の製造方法は、表面実装型の圧電発振器の製造方法であり、表裏両主面に形成される一対の励振電極と励振電極から引き出される一対の引出電極をと含む複数の圧電片を用意する工程と、絶縁材からなり、圧電片の一方の主面に向かい合って配置される第1接合面と、第1接合面の反対側の天井面と、天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺に第1接合面から天井面まで貫通した複数の貫通孔と、貫通孔に検査電極に接続される接続電極とが形成されている第1ウエハを用意する工程と、圧電片の他方の主面に向かい合って配置される第2接合面と、第2接合面の反対側の底面と、底面に形成され圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、集積回路を第1容器体又は第2容器体に載置し、圧電片、第1ウエハ及び第2ウエハを接合して回路端子と外部電極とを電気的に接続し、圧電端子と接続電極と引出電極とを電気的に接続する接合工程と、接合工程の後に、一対の検査電極を介して圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、を含む。
【0009】
第3観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点又は第2観点において、第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には貫通孔が2つ形成され、貫通孔に形成されている接続電極はそれぞれ1つの検査電極のみに接続されている。
【0010】
第4観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点又は第2観点において、第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には、貫通孔が1つ形成される。
【0011】
第5観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点から第3観点において、測定工程の後に、接続電極又は検査電極を切断する工程と、接合工程で接合されたウエハを貫通孔を通るように切断する切断工程と、を含む。
これにより、圧電振動片の振動特性を測定した後に検査電極と圧電振動片との間の接続を切断して浮遊容量の発生を抑えることができる。
【0012】
第6観点の圧電発振器は、表面実装型の圧電発振器であり、表裏両主面に形成される一対の励振電極と励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と第1接合面の反対側の天井面と、天井面に一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と第2接合面の反対側の底面と底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、圧電片を発振させ引出電極及び外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、第1接合面と天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、一対のキャスタレーションの少なくとも一部には引出電極と検査電極とを接続する接続電極が形成されている。
【0013】
第7観点の圧電発振器は、表面実装型の圧電発振器であり、表裏両主面に形成される一対の励振電極と励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と第1接合面の反対側の天井面と、天井面に一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と第2接合面の反対側の底面と底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、圧電片を発振させ引出電極及び外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、第1接合面と天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、一対のキャスタレーションの少なくとも一部には引出電極及び検査電極の一方から他方に伸び途中で切れている接続電極が形成されている。
【0014】
第8観点の圧電発振器は、第6観点又は第7観点において、圧電片に接続され、圧電片を囲むように形成され、一対の引出電極を有する外枠を備え、外枠は第1接合面と第2接合面とに挟まれている。
【0015】
第9観点の圧電発振器は、第6観点から第8観点において、一対のキャスタレーションは、側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに1つずつ互いに向かい合うように形成される。
【0016】
第10観点の圧電発振器は、第6観点において、一対のキャスタレーションは側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに2つずつ互いに向かい合うように形成され、第1側面及び第2側面には1つの接続電極のみが形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧電発振器の上面に検査電極を形成することによりキャビティの広さを確保することができる圧電発振器の製造方法及び圧電発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】圧電発振器100の分解斜視図である。
【図2】(a)は、図1のA−A断面に相当する圧電発振器100の断面図である。 (b)は、図1のB−B断面図である。 (c)は、接続電極33が切断された圧電発振器100の断面図である。
【図3】圧電発振器100の作製方法が示されたフローチャートである。
【図4】圧電ウエハW10の平面図である。
【図5】第1ウエハW30の平面図である。
【図6】第2ウエハW40の平面図である。
【図7】図3のステップS105の圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が接合される過程を説明するためのフローチャートである。
【図8】圧電発振器200の分解斜視図である。
【図9】圧電発振器200の作製方法が示されたフローチャートである。
【図10】圧電ウエハW110の平面図である。
【図11】第1ウエハW130の平面図である。
【図12】第2ウエハW140の平面図である。
【図13】圧電発振器300の分解斜視図である。
【図14】(a)は、図13のC−C断面図である。 (b)は、圧電発振器300の断面図である。
【図15】第1ウエハW230の平面図である。
【図16】圧電発振器400の分解斜視図である。
【図17】図16のE−E断面図である。
【図18】圧電発振器500の分解斜視図である。
【図19】第1ウエハW430の平面図である。
【図20】第2ウエハW440の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
<圧電発振器100の構成>
図1は、圧電発振器100の分解斜視図である。圧電発振器100は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器100は主に、圧電振動素子10と、集積回路20と、第1容器体30と、第2容器体40とにより構成されている。圧電発振器100では、第1容器体30及び第2容器体40に、水晶及びガラス等の電気を通さない絶縁材が用いられる。また、圧電振動素子10には例えばATカットの水晶振動素子が用いられる。ATカットの水晶振動素子は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動素子の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、圧電発振器100において圧電発振器100の長手方向をX軸方向、圧電発振器100の高さ方向をY’軸方向、X軸方向及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0021】
圧電振動素子10は、圧電片11と圧電片11を囲むように形成されている外枠12とを含んでいる。また、圧電片11と外枠12との間には、圧電振動素子10を貫通した一対の「L」字型の貫通溝17が形成される。貫通溝17が形成されていない部分が圧電片11と外枠12との連結部19となっている。圧電片11の+Y’軸側及び−Y’軸側の両主面には一対の励振電極13が形成されている。また、外枠12には、励振電極13から引き出される引出電極14が形成されている。さらに、外枠12の+Z’軸側及び−Z’軸側の側面には圧電貫通孔16(図4を参照)を形成する際の圧電キャスタレーション15が一対形成されている。−Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極14は、−Z’軸側の圧電キャスタレーション15を通り外枠12の+Y’軸側の面にまで伸びて電極パッド141が形成されている。また、+Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極14は、+Z’軸側の圧電キャスタレーション15を通り外枠12の−Y’軸側の面にまで伸びて電極パッド141が形成されている。
【0022】
集積回路20は、圧電片11と電気的に接続されて発振回路が形成される。集積回路20は、−Y’軸側の面に4つの回路端子21と2つの圧電端子22とが形成されている。回路端子22は外部電極44とそれぞれ電気的に接続され、圧電端子22は圧電振動素子10の励振電極12とそれぞれ電気的に接続される。
【0023】
第1容器体30は、圧電振動素子10の+Y’軸側に配置されており、圧電振動素子10とは第1容器体30の−Y’軸側の面である第1接合面38bで接合される。第1接合面38bには第1凹部39が形成されており、第1凹部39は圧電発振器100のキャビティ70(図2(a)参照)の一部を形成する。また、第1容器体30の+Y’軸側の天井面38aには、一対の検査電極31が形成されている。第1容器体30の+Z’軸側及び−Z’軸側の側面には第1貫通孔35(図5を参照)を形成する際の第1キャスタレーション32が一対形成されている。第1キャスタレーション32には接続電極33が形成されており、各接続電極33は検査電極31とそれぞれ接続されている。また、第1容器体30の第1接合面38bには各接続電極33とそれぞれ接続される電極パッド34が形成されている。電極パッド34は圧電振動素子10の+Y’軸側の面に形成されている引出電極14又は電極パッド141と電気的に接続されている。
【0024】
第2容器体40は、圧電振動素子10の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子10とは第2容器体40の+Y’軸側の面である第2接合面48aで接合される。また、第2容器体40の−Y’軸側の底面48bの四隅には、それぞれ外部電極44が形成されている。さらに、第2容器体40の側面の四隅には第2貫通孔45(図6を参照)を形成する際の第2キャスタレーション47が4つ形成されている。第2容器体40の第2接合面48aには第2凹部49が形成されている。第2凹部49には集積回路20の回路端子21と電気的に接続される4つの回路端子用電極61と、集積回路20の圧電端子22と電気的に接続される一対の圧電端子用電極62とが形成されている。集積回路20は、回路端子21及び圧電端子22が回路端子用電極61及び圧電端子用電極62と金属バンプ51(図2(a)参照)を介して接続されることにより第2容器体40の第2凹部49に載置される。第2容器体40には、第1電極71と第2電極72とが形成されている。第1電極71は、回路端子用電極61から第2キャスタレーション47を通り外部電極44にまで形成されている。第2電極72は、圧電端子用電極62から第2接合面48aの+Z’軸側の縁部及び−Z’軸側の縁部にまで形成されている。
【0025】
図2(a)は、図1のA−A断面に相当する圧電発振器100の断面図である。第1容器体30には、天井面38aに2つの検査電極31が形成されている。また第1接合面38bには電極パッド34が形成されている。なお、+Z’軸側の検査電極31は、接続電極33、電極パッド34を介して圧電振動素子10の外枠12に形成される引出電極14に接続される。−Z’軸側の検査電極31は、接続電極33、電極パッド34及び電極パッド141を介して圧電振動素子10の外枠12に形成される引出電極14に接続される。すなわち、一対の検査電極31は一対の圧電振動素子10の励振電極13とそれぞれ電気的に接続されている。また、励振電極13は引出電極14及び電極パッド141を介して外枠12の−Y’軸側の面で第2電極72と接続される。すなわち、励振電極13は第2電極72、圧電端子用電極62及び金属バンプ51を介して集積回路20の圧電端子22と接続される。
【0026】
図2(b)は、図1のB−B断面図である。図2(b)では、回路端子用電極61は第1電極71に接続され、第1電極71は第2接合面48aから第2キャスタレーション47を通り外部電極44と接続されている。つまり、外部電極44は回路端子用電極61を介して集積回路20の回路端子21にそれぞれ電気的に接続され、回路端子21は集積回路20の内部回路(不図示)を介して圧電端子22と接続されている。すなわち、外部電極44は圧電振動素子10の励振電極13とそれぞれ電気的に接続されている(図2(a)を参照)。これにより、一方の外部電極44に直流電圧を入力して圧電片11を厚みすべり振動させ、他方の外部電極44から出力信号を取り出すことができる。また詳細は後述するが、第1容器体30と、圧電振動素子10と、第2容器体40とが接合材52により接合されて、キャビティ70が密封されている。
【0027】
図2(c)は、図1のA−A断面に相当する圧電発振器100の断面図で、接続電極33が切断された状態を示している。図2(c)では、接続電極33の領域33aが切断された状態が示されている。図2(a)では、圧電発振器100は天井面38aに形成された2つの検査電極31を介して圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数などの振動特性を測定することが示された。但し、検査電極31は、圧電発振器100の浮遊容量発生原因となり、圧電片11のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等の振動特性に影響を及ぼす可能性がある。このため、図2(c)に示されたように、圧電片11の振動特性を測定した後、検査電極31と励振電極13とを接続する接続電極33を切断することが好ましい。
【0028】
<圧電発振器100の作製方法>
図3は、圧電発振器100の作製方法が示されたフローチャートである。
まず、ステップS101で圧電ウエハW10が用意される。圧電ウエハW10には、複数の圧電振動素子10が形成されており、圧電ウエハW10には例えばATカットされた水晶が用いられる。図4を参照して圧電ウエハW10について説明する。
【0029】
図4は、圧電ウエハW10の平面図である。圧電ウエハW10には複数の圧電振動素子10が形成されており、図4では、各圧電振動素子10が一点鎖線により区切られて示されている。1つの圧電振動素子10には圧電片11及び外枠12が形成されており、圧電片11と外枠12とは−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する貫通溝17により分けられている。圧電片11の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とには励振電極13が形成されており、励振電極13から外枠12まで引出電極14が形成されている。また、各圧電振動素子10の+Z’軸側の辺と−Z’軸側の辺とには圧電ウエハW10を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する圧電貫通孔16が形成されている。圧電貫通孔16の内壁には電極(不図示)が形成され、この電極は引出電極14の一部を構成する。図2(a)に示されるように、引出電極14は外枠12の+Y’軸側の面から−Y’軸側の面まで形成される。ここで、圧電貫通孔16が半分に分割されると圧電キャスタレーション15(図1を参照)となる。
【0030】
図3に戻って、ステップS102では、複数の集積回路20が用意される。図1に示されるように、集積回路20は−Y’軸側の面に4つの回路端子21と、2つの圧電端子22とが形成されている。回路端子21と圧電端子22とは内部回路(不図示)を介して接続されている。
【0031】
ステップS103では、第1ウエハW30が用意される。第1ウエハW30には、複数の第1容器体30が形成されている。第1ウエハW30は、例えば水晶又はガラス等により形成される。図5を参照して第1ウエハW30について説明する。
【0032】
図5は、第1ウエハW30の平面図である。第1ウエハW30には複数の第1容器体30が形成されており、図5では、各第1容器体30が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体30の+Y’軸側の面には検査電極31が形成されている。また、図5には図示しないが、第1ウエハW30の−Y’軸側の面には、電極パッド34(図1参照)が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体30の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体30の+Z’軸側及び−Z’軸側には、第1ウエハW30を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔35が形成されている。各第1貫通孔35の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極31と電極パッド34とを接続する接続電極33(図1参照)となる。また、各第1貫通孔35に形成される電極は、2つの検査電極31と接続されている。第1容器体30の第1接合面38bに形成される第1凹部39は、図5では点線で示されている。ここで、第1貫通孔35が半分に分割されると第1キャスタレーション32(図1を参照)となる。
【0033】
図3に戻って、ステップS104で第2ウエハW40が用意される。第2ウエハW40には、複数の第2容器体40が形成されている。第2ウエハW40は、例えば水晶又はガラス等により形成される。図6を参照して第2ウエハW40について説明する。
【0034】
図6は、第2ウエハW40の平面図である。第2ウエハW40には複数の第2容器体40が形成されており、図6では、各第2容器体40が一点鎖線により区切られて示されている。第2容器体40の+Y’軸側の面である第2接合面48a(図2(b)参照)には第2凹部49が形成されており、第2凹部49には回路端子用電極61及び圧電端子用電極62が形成されている。回路端子用電極61及び圧電端子用電極62には第1電極71及び第2電極72が接続されて形成されている。また、各第2容器体40の四隅には、第2ウエハW40を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第2貫通孔45が形成されている。各第2貫通孔45には電極(不図示)が形成され、この電極は第1電極71の一部となる。第1電極71は第2容器体40の−Y’軸側の面である底面48bに形成される外部電極44に接続される(図2(b)参照)。ここで、第2貫通孔45が1/4に分割されると第2キャスタレーション47(図1を参照)となる。
【0035】
図3のフローチャートでは、ステップS101からステップS104の順番は任意で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
次に、ステップS105では、第2ウエハW40に集積回路20が載置され、圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が接合される。集積回路20は、図2(a)及び図2(b)に示されるように、回路端子21が回路端子用電極61と金属バンプ51を介して接続され、圧電端子22が圧電端子用電極62と金属バンプ51を介して接続されるように第2ウエハW40に載置される。図2(a)及び図2(b)では、金属バンプ51を介したフェイスダウンボンディングにより集積回路20が第2ウエハW40に固着されて回路端子用電極61及び圧電端子用電極62と接続されているが、集積回路20はダイボンディングにより第2ウエハW40に固着し、ワイヤを使用するワイヤーボンディングにより回路端子用電極61及び圧電端子用電極62と接続されてもよい。また、圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が互いに接合される過程を、図7を参照して説明する。
【0036】
図7は、図3のステップS105の圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が接合される過程を説明するためのフローチャートである。また、図7の各ステップの右横に、各ステップを説明するための図7(a)〜図7(d)が示されている。
【0037】
ステップS151で、圧電ウエハW10と第2ウエハW40とが位置決めされる。図7(a)を参照してステップS151について説明する。図7(a)は、図1のA−A断面に相当する圧電ウエハW10と第2ウエハW40との断面の一部が示されている。以下、図7(b)から図7(d)に関しても同じ断面が示される。図7(a)には、圧電ウエハW10と第2ウエハW40とが接合される前の状態が示されている。第2ウエハW40の+Y’軸側の面には接合材52が形成されている。接合材52は、例えば低融点ガラスであり、スクリーン印刷等の方法により第2ウエハW40に形成される。接合材52には、ポリイミド樹脂が用いられてもよい。
【0038】
ステップS152では、圧電ウエハW10が押圧されながら第2ウエハW40に接合される。図7(b)には、圧電ウエハW10と第2ウエハW40とが接合された後の状態が示されている。圧電ウエハW10と第2ウエハW40とは、引出電極14と第2電極72とが互いに接続されるように接合される。
【0039】
ステップS153では、圧電ウエハW10及び第2ウエハW40と第1ウエハW30とが位置決めされる。図7(c)には、圧電ウエハW10及び第2ウエハW40と第1ウエハW30とが接合される前の状態が示されている。第1ウエハW40の−Y’軸側の面には接合材52が形成されている。このとき、圧電ウエハW10の圧電貫通孔16と第1ウエハW30の第1貫通孔35とはY’軸方向に対して重なっている。
【0040】
ステップS154では、第1ウエハW30が押圧されながら圧電ウエハW10に接合される。図7(d)には、圧電ウエハW10と第1ウエハW30とが接合された後の状態が示されている。圧電ウエハW10と第1ウエハW30とは、引出電極14と電極パッド34とが互いに接続されるように接合される。これにより、キャビティ70は不活性ガスで満たされたり又は真空状態に気密されたりする。
【0041】
図3に戻って、ステップS106では、ステップS105で互いに接合された圧電ウエハW10、第2ウエハW40及び第1ウエハW30が切断される。切断は、図4から図6に示された一点鎖線に沿って行われ、一点鎖線上に形成される圧電貫通孔16、第1貫通孔35及び第2貫通孔45の上を通るように行われる。
【0042】
ステップS107では、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方が測定される。測定は、一対の検査電極31(図1参照)に一対のプローブ(不図示)を当接して行われる。検査電極31は引出電極14と電気的に接続されている(図2(a)を参照)ため検査電極31を通して圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。測定の結果、クリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲外にあった場合は、集積回路20のパラメータを調節してクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲内になるように調整される。
【0043】
ステップS108では、接続電極33が切断される。接続電極33は、図2(c)に示された白抜き矢印81の向きに、レーザー光を接続電極33に照射することにより切断される。図2(c)では、接続電極33の切断された領域が、領域33aとして示されている。また、図2(c)では接続電極33が切断されているが、検査電極31の接続電極33と接続された細い部分を切断してもよい。
【0044】
圧電発振器100は、ステップS108で接続電極33を切断しなくても製品として用いることができる(図1及び図2(a)を参照)。しかし、検査電極31と励振電極13とが接続されたままの場合は、検査電極31に浮遊容量が発生し、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値及び振動周波数等に影響を与える可能性がある。そのため、接続電極33は切断されることが望ましい。また、圧電発振器100では、検査電極31が第1容器体30の天井面38aに形成されることにより圧電発振器100のキャビティ70(図2(a)参照)の広さを広く取ることができる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態として、第1容器体の側面に4つの第1キャスタレーションが形成された圧電発振器200について説明する。以下の説明において、圧電発振器100とその構成が同じ部分は圧電発振器100と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0046】
<圧電発振器200の構成>
図8は、圧電発振器200の分解斜視図である。圧電発振器200は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器200は主に、圧電振動素子110と、集積回路20と、第1容器体130と、第2容器体140とにより構成されている。
【0047】
圧電振動素子110は、圧電片11と圧電片11を囲むように形成されている外枠112とを含んでいる。圧電片11の+Y’軸側及び−Y’軸側の両主面には一対の励振電極13が形成されている。また、外枠112には、励振電極13から引き出される引出電極114が形成されている。さらに、外枠112の+Z’軸側の側面の−X軸側及び−Z’軸側の側面の+X軸側には圧電キャスタレーション115aが形成され、外枠112の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には圧電キャスタレーション115bが形成されている。−Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極114は、−Z’軸側の圧電キャスタレーション115aを通り外枠112の+Y’軸側の面にまで形成されている。ここで、圧電キャスタレーション115a、115bは圧電貫通孔116(図10を参照)を形成する際に形成される。また、+Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極114は、+Z’軸側の圧電キャスタレーション115aを通り外枠112の−Y’軸側の面にまで形成されている。
【0048】
第1容器体130は、圧電振動素子110の+Y’軸側に配置されており、圧電振動素子110とは第1容器体130の−Y’軸側の面である第1接合面138bで接合される。第1接合面138bには第1凹部39が形成されており、第1凹部39は圧電発振器200のキャビティ(不図示)の一部を形成する。また、第1容器体130の+Y’軸側の面であり第1接合面138bの反対側の面である天井面138aには、一対の検査電極131が形成されている。第1容器体130の+Z’軸側の側面の−X軸側及び−Z’軸側の側面の+X軸側には第1キャスタレーション132aが形成され、第1容器体130の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には第1キャスタレーション132bが形成されている。ここで、第1キャスタレーション132a、132bは第1貫通孔135(図11を参照)を形成する際に形成される。第1キャスタレーション132aには接続電極133が形成されており、各接続電極133はそれぞれ検査電極131と接続されている。また、第1容器体130の第1接合面138bには各接続電極133とそれぞれ接続される電極パッド34が形成されている。電極パッド34は圧電振動素子110の+Y’軸側の面に形成されている引出電極114と電気的に接続されている。
【0049】
第2容器体140は圧電振動素子110の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子110とは第2容器体140の+Y’軸側の面である第2接合面148aで接合される。第2容器体140は第1実施形態で説明された圧電発振器100の第2容器体40(図1参照)とは第2電極が異なっている。第2容器体140の第2電極172は、+Z’軸側の端及び−Z’軸側の端が−X軸側及び+X軸側にずれて形成されており、圧電振動素子110の引出電極114と電気的に接続される。
【0050】
<圧電発振器200の作製方法>
図9は、圧電発振器200の作製方法が示されたフローチャートである。
まず、ステップS201で圧電ウエハW110が用意される。圧電ウエハW110には、複数の圧電振動素子110が形成されており、圧電ウエハW110には例えばATカットされた水晶が用いられる。図10を参照して圧電ウエハW110について説明する。
【0051】
図10は、圧電ウエハW110の平面図である。圧電ウエハW110には複数の圧電振動素子110が形成されており、図10では、各圧電振動素子110が一点鎖線により区切られて示されている。1つの圧電振動素子110には圧電片11及び外枠112が形成されており、圧電片11と外枠112とは−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する貫通溝17により分けられている。圧電片11の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とには励振電極13が形成されており、励振電極13から外枠112まで引出電極114が形成されている。また、各圧電振動素子110の+Z’軸側の辺と−Z’軸側の辺とには圧電ウエハW110を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する圧電貫通孔116が形成されている。圧電貫通孔116の内壁には電極(不図示)が形成され、この電極は引出電極114の一部を構成する。図9に示されるように、引出電極114は外枠112の+Y’軸側の面から−Y’軸側の面まで形成される。また、1つの圧電貫通孔116には1つの引出電極114が形成される。さらに、圧電貫通孔116が半分に分割されると圧電キャスタレーション115a、115b(図8を参照)となる。
【0052】
ステップS202では、複数の集積回路20が用意される。ステップS202は図3に示されたフローチャートのステップS102と同じ工程である。
【0053】
ステップS203で第1ウエハW130が用意される。第1ウエハW130には、複数の第1容器体130が形成されている。図11を参照して第1ウエハW130について説明する。
【0054】
図11は、第1ウエハW130の平面図である。第1ウエハW130には複数の第1容器体130が形成されており、図11では、各第1容器体130が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体130の+Y’軸側の面には検査電極131が形成されている。また、図11には図示しないが、第1ウエハW130の−Y’軸側の面には、電極パッド34(図8参照)が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体130の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体130の+Z’軸側及び−Z’軸側には、第1ウエハW130を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔135が形成されている。各第1貫通孔135の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極131と電極パッド34とを接続する接続電極133(図8参照)となる。また、各第1貫通孔135に形成される電極は、1つの検査電極131と接続されている。第1容器体130の第1接合面138bに形成される第1凹部39は、図11では点線で示されている。さらに、第1貫通孔135が半分に分割されると第1キャスタレーション132a、132b(図8を参照)となる。
【0055】
ステップS204では、第2ウエハW140が用意される。第2ウエハW140には、複数の第2容器体140が形成されている。第2ウエハW140は、例えば水晶又はガラス等により形成される。図12を参照して第2ウエハW140について説明する。
【0056】
図12は、第2ウエハW140の平面図である。第2ウエハW140には複数の第2容器体140が形成されており、図12では、各第2容器体140が一点鎖線により区切られて示されている。第2ウエハW140は図6に示された第2ウエハW40とは第2電極が異なっている。第2ウエハW140に形成されている第2電極172は、図8にも示されるように、第2電極172の+Z’軸側の端及び−Z’軸側の端が−X軸側及び+X軸側にずれて形成されている。
【0057】
図9のフローチャートでは、ステップS201からステップS204の順番は任意で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
次に、ステップS205では、第2ウエハW140に集積回路20が載置され、圧電ウエハW110、第1ウエハW130及び第2ウエハW140が接合される。ステップS205の接合する工程は図7に示されたフローチャートのステップS105と同様の工程である。圧電ウエハW110と第1ウエハW130とが重ね合わされるときには、圧電ウエハW110の圧電貫通孔116と第1ウエハW130の第1貫通孔135とがY’軸方向に重なり合っている。また集積回路20は図3のステップS105で説明されたように、フェイスダウンボンディングを用いて第2ウエハW140に固着し接続されてもよいし、ダイボンディング及びワイヤーボンディングを用いて第2ウエハW140に固着し接続されてもよい。
【0058】
ステップS206では、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方が測定される。図11に示されたように、測定は例えば圧電発振器200Aに形成される一対の検査電極131に一対のプローブ90を当接して行われる。第1ウエハW130に形成される各検査電極131は1つの第1貫通孔135に形成された電極(不図示)のみと接続されている。また、図10に示されるように圧電ウエハW110に形成される各引出電極114は、1つの圧電貫通孔116に形成された電極(不図示)のみと接続されている。さらに、圧電貫通孔116と第1貫通孔135とはステップS205でY’軸方向に互いに重ね合わされる。つまり、1つの検査電極131は1つの引出電極114のみと接続されるため、圧電発振器200がウエハに形成されたままで圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。つまり、圧電発振器200Aの検査電極131に接続された第1貫通孔135は、+Z’軸側の圧電発振器200Bの検査電極131に接続された第1貫通孔135とX軸方向で離れて形成されている。同様に、圧電発振器200Aの検査電極131に接続された第1貫通孔135は、−Z’軸側の圧電発振器200Cの検査電極131に接続された第1貫通孔135とX軸方向で離れて形成されている。このため、圧電発振器200Aのクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数を測定するとき、両側に隣り合って形成された圧電発振器200B及び200Cから影響を与えられることがない。また図3のステップS107と同様に、測定の結果、クリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲外にあった場合は、集積回路20のパラメータを調節してクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲内になるように調整される。
【0059】
ステップS207では、ウエハ状態で検査電極131が切断される。検査電極131は、レーザー光を照射することにより、接続電極133と接続されている細い部分が切断される。
【0060】
ステップS208では、ステップS205で互いに接合された圧電ウエハW110、第2ウエハW140及び第1ウエハW130が切断される。切断は、図10から図12に示された一点鎖線に沿って行われ、一点鎖線上に形成される圧電貫通孔116、第1貫通孔135及び第2貫通孔45の上を通るように行われる。
【0061】
圧電発振器200は、圧電発振器200がウエハに形成された状態で圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。そのため、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方の測定を効率良く行うことができる。また、第2実施形態ではウエハ状態で検査電極131を切断した後に個々の圧電発振器200に切断しているが、まず個々の圧電発振器200に切断した後に検査電極131又は接続電極133を切断してもよい。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態として、第1容器体に集積回路が載置される圧電発振器300について説明する。以下の説明において、圧電発振器100及び圧電発振器200とその構成が同じ部分は圧電発振器100及び圧電発振器200と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0063】
<圧電発振器300の構成>
図13は、圧電発振器300の分解斜視図である。圧電発振器300は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器300は主に、圧電振動素子210と、集積回路20と、第1容器体230と、第2容器体240とにより構成されている。
【0064】
圧電振動素子210は、圧電片11と圧電片11を囲むように形成されている外枠212とを含んでいる。圧電片11の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面には励振電極13が形成されている。また、外枠212には、励振電極13に接続されている引出電極214が形成されている。さらに、外枠212の+Z’軸側及び−Z’軸側の側面には圧電キャスタレーション215a、215bが形成されている。−Y’軸側の面に形成されている励振電極13に接続されている引出電極214は、圧電キャスタレーション215aを通り外枠212の+Y’軸側の面にまで形成されている。外枠212の四隅には圧電キャスタレーション217が形成されており、外枠212の+Y’軸側の面から圧電キャスタレーション217を通り外枠212の−Y’軸側の面にまでは、圧電発振器300に形成される第1電極271の一部である第1電極271aが形成されている。
【0065】
第1容器体230は、圧電振動素子210の+Y’軸側に配置されており、圧電振動素子210とは第1容器体230の−Y’軸側の面である第1接合面238bで接合される。第1接合面238bには第1凹部39が形成されており、第1凹部39は圧電発振器300のキャビティ270(図14(a)参照)の一部を形成する。第1凹部39には、集積回路20の回路端子21と電気的に接続される回路端子用電極261と、集積回路20の圧電端子22と電気的に接続される圧電端子用電極262とが形成されている。集積回路20は、回路端子21及び圧電端子22が回路端子用電極261及び圧電端子用電極262と金属バンプ51(図14(a)参照)を介して接続されることにより第1容器体230の第1接合面238bに載置される。第1容器体230には、圧電発振器300に形成される第1電極271の一部である第1電極271bと第2電極272とが形成されている。第1電極271bは、4つの回路端子用電極261から第1接合面238bの四隅にまでそれぞれ形成されており、第1接合面238bの角で圧電振動素子210に形成されている第1電極271aと接続される。第2電極272は、圧電端子用電極262から第1接合面238aの+Z’軸側の端及び−Z’軸側の端にまで形成されており、圧電振動素子210の+Y’軸側の面に形成されている引出電極214と接続される。また、第1容器体230の+Y’軸側の面であり第1接合面238bの反対側の面である天井面238aには、一対の検査電極231が形成されている。第1容器体230の+Z’軸側の側面の−X軸側及び−Z’軸側の側面の+X軸側には第1キャスタレーション232aが形成され、第1容器体230の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には第1キャスタレーション232bが形成されている。第1キャスタレーション232aには接続電極233が形成されており、各接続電極233はそれぞれ検査電極231及び第2電極272と接続されている。
【0066】
第2容器体240は圧電振動素子210の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子210とは第2容器体240の+Y’軸側の面である第2接合面248aで接合される。第2接合面248aには第2凹部49が形成されており、第2凹部49は圧電発振器300のキャビティ270(図14(a)参照)の一部を形成する。第2容器体240の−Y’軸側の面である底面248bの四隅には外部電極44が形成されている。また、第2容器体240の四隅には第2キャスタレーション47が形成されている。第2接合面248aから第2キャスタレーション47を通り外部電極44にまでは、圧電発振器300に形成される第1電極271の一部である第1電極271cが形成されている。第1電極271cは、第2接合面248aで圧電振動素子210の−Y’軸側の面に形成されている引出電極214と接続される。
【0067】
図14(a)は、図13のC−C断面図である。図14(a)では、圧電発振器300に形成される第1電極271について説明する。第1容器体230に形成されている第1電極271bは、回路端子用電極261から第1接合面238bの+X軸側及び−X軸側の端にまで形成されており、+X軸側及び−X軸側の端で外枠212に形成される第1電極271aに接続される。また、第1電極271aは、外枠212の−Y’軸側の面で第2容器体240に形成される第1電極271cに接続される。このようにして、集積回路20の回路端子21と外部電極44とが電気的に接続される。
【0068】
図14(b)は、圧電発振器300の断面図である。図14(b)は、また、図13のD−D断面に相当する断面の断面図でもある。図14(b)では、集積回路20の圧電端子22と検査電極231とが第2電極272及び接続電極233を介して互いに電気的に接続されている。図14(b)の接続電極233は圧電発振器300の作製過程で、図14(b)の点線で囲まれる領域233aが白抜き矢印82で示されるレーザー光により切断されてもよい。第2電極272は圧電振動素子210の+Y’軸側に形成される引出電極214を介して励振電極213と電気的に接続されている。
【0069】
圧電発振器300の作製方法は、図9に示された圧電発振器200の作製方法と基本的には同じであるが、圧電発振器300では、図9のステップS205では、集積回路20は第1容器体230が形成される第1ウエハW230(図15参照)の−Y’軸側の面に載置される。
【0070】
図15は、第1ウエハW230の平面図である。第1ウエハW230には複数の第1容器体230が形成されており、図15では、各第1容器体230が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体130の+Y’軸側の面には検査電極231が形成されている。また、第1容器体130の+Y’軸側の面には回路端子用電極261、圧電端子用電極262、第1電極271b及び第2電極272が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体230の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体230の+Z’軸側及び−Z’軸側には、第1ウエハW230を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔235が形成されている。各第1貫通孔235の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極231と第2電極272とを接続する接続電極233(図14(b)参照)となる。また、各第1貫通孔235に形成される電極は、1つの検査電極231及び1つの第2電極272と接続されている。第1容器体230の第1接合面238bに形成される第1凹部39は、図15では点線で示されている。
【0071】
(第4実施形態)
第4実施形態として、圧電片の周りに外枠が形成されず、第1容器体と第2容器体とが互いに接合される2枚重ねの圧電発振器400について説明する。以下の説明において、圧電発振器100、圧電発振器200及び圧電発振器300とその構成が同じ部分は圧電発振器100、圧電発振器200及び圧電発振器300と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0072】
<圧電発振器400の構成>
図16は、圧電発振器400の分解斜視図である。圧電発振器400は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器400は主に、圧電振動素子310と、集積回路20と、第1容器体330と、第2容器体340とにより構成されている。
【0073】
圧電振動素子310は、圧電振動素子310の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面の両主面には一対の励振電極313が形成されている。また、励振電極313から+X軸方向及び−X軸方向に引出電極314が引き出されて形成されている。+Y’軸側の面に形成されている励振電極313に接続されている引出電極314は、励振電極313から−X軸方向に形成され、圧電振動素子310の側面を通り圧電振動素子310の−Y’軸側の面にまで形成されている。
【0074】
第1容器体330は、圧電振動素子310の+Y’軸側に配置されている。第1容器体330の−Y’軸側の面である第1接合面338bには第1凹部39が形成されている。また、第1容器体330の+Y’軸側の面であり第1接合面338bの反対側の面である天井面338aには、一対の検査電極331が形成されている。第1容器体330の+X軸側の側面及び−X軸側の側面には第1キャスタレーション332が形成され、第1キャスタレーション332には接続電極333が形成されている。また、第1接合面338bには一対の電極パッド34が形成されており、接続電極333は、検査電極331と電極パッド34とを互いに電気的に接続している。
【0075】
第2容器体340は圧電振動素子310の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子310とは第2容器体340の+Y’軸側の面である第2接合面348aで接合される。また、第2容器体340は第1容器体330の第1接合面338aと第2接合面348aで接合される。第2容器体340の−Y’軸側の面である底面348bの四隅には外部電極44が形成されている。また、第2容器体340の第2接合面348aには第2凹部49が形成されており、第2凹部49には回路端子用電極61と圧電端子用電極62とが形成されている。回路端子用電極61に接続されている第1電極371は回路端子用電極61から第2容器体340を貫通するスルーホール373(図17参照)を通り外部電極44に接続されている。また、圧電端子用電極62に接続されている第2電極372は圧電端子用電極62から+X軸側の端及び−X軸側の端にまで形成されている。第2電極372は圧電振動素子310の引出電極314及び第1容器体330の電極パッド34と接続される。
【0076】
図17は、図16のE−E断面図である。図17では、説明のためにE−E断面上にない部分を点線で示している。第1電極371は回路端子用電極61からスルーホール373を通り外部電極44に接続されている。また、第2電極372は圧電端子用電極62から第2容器体340の第2接合面348aの+X軸側及び−X軸側の端にまで形成されている。圧電振動素子310の引出電極314及び第1容器体330の電極パッド34は第2電極372とそれぞれ接続されている。そのため、第1容器体330に形成される検査電極331と、圧電振動素子310に形成される励振電極313と、集積回路20の圧電端子22とは互いに電気的に接続されている。
【0077】
圧電発振器400の作製方法は、基本的には図3に示されたフローチャートと同様である。しかし、図3のステップS101の圧電ウエハが用意される工程では、圧電ウエハは切断されて個々の圧電振動素子310に分けられる。その後、ステップS105において各圧電振動素子310が第2容器体340に載置される。
【0078】
(第5実施形態)
第5実施形態として、第1容器体の側面に4つのキャスタレーションが形成され、圧電片の周りに外枠が形成されず、第1容器体と第2容器体とが互いに接合される2枚重ねの圧電発振器500について説明する。以下の説明において、圧電発振器100、圧電発振器200、圧電発振器300及び圧電発振器400とその構成が同じ部分は圧電発振器100、圧電発振器200、圧電発振器300及び圧電発振器400と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0079】
<圧電発振器500の構成>
図18は、圧電発振器500の分解斜視図である。圧電発振器500は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器500は主に、圧電振動素子310と、集積回路20と、第1容器体430と、第2容器体440とにより構成されている。
【0080】
第1容器体430は、圧電振動素子310の+Y’軸側に配置されている。第1容器体430の−Y’軸側の面である第1接合面438bには第1凹部39が形成されている。また、第1容器体430の+Y’軸側の面であり第1接合面438bの反対側の面である天井面438aには、一対の検査電極431が形成されている。第1容器体430の+X軸側の側面の−Z’軸側及び−X軸側の側面の+Z’軸側には第1キャスタレーション432aが形成され、第1容器体430の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には第1キャスタレーション432bが形成されている。第1キャスタレーション432aには接続電極433が形成されており、各接続電極433はそれぞれ検査電極431と接続されている。また、第1容器体430の第1接合面438bには各接続電極433とそれぞれ接続される電極パッド34が形成されている。
【0081】
第2容器体440は圧電振動素子310の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子310とは第2容器体440の+Y’軸側の面である第2接合面448aで接合される。また、第2容器体440は第1容器体430の第1接合面438aと第2接合面448aで接合される。第2容器体440の−Y’軸側の面である底面448bの四隅には外部電極44が形成されている。また、第2容器体440の第2接合面448aには第2凹部49が形成されており、第2凹部49には回路端子用電極61と圧電端子用電極62とが形成されている。回路端子用電極61に接続されている第1電極371は回路端子用電極61から第2容器体440を貫通するスルーホール373(図17参照)を通り外部電極44に接続されている。また、圧電端子用電極62に接続されている第2電極472は圧電端子用電極62から第2容器体440の+X軸側の端及び−X軸側の端にまで形成されている。第2電極472は第2接合面448aで圧電振動素子310の引出電極314及び第1容器体430の電極パッド34と接続される。また、第1容器体430の第1キャスタレーション432bの−Y’軸側には第2電極472は形成されていない。
【0082】
圧電発振器500の作製方法は、基本的には図9に示されたフローチャートと同様である。しかし、図9のステップS201の圧電ウエハが用意される工程では、圧電ウエハは切断されて個々の圧電振動素子310に分けられる。その後、ステップS205において各圧電振動素子310が第2容器体440に載置される。また、ステップS203、ステップS204及びステップS206に関して図19及び図20を参照して以下に補足する。
【0083】
図19は、第1ウエハW430の平面図である。第1ウエハW430は、図9のステップS203で用意される。第1ウエハW430には複数の第1容器体430が形成されており、図19では、各第1容器体430が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体430の+Y’軸側の面には検査電極431が形成されている。また、図19には図示しないが、第1ウエハW430の−Y’軸側の面には、電極パッド34(図18参照)が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体430の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体430の+X軸側及び−X軸側には、第1ウエハW430を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔435が形成されている。各第1貫通孔435の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極431と電極パッド34とを接続する接続電極433(図18参照)となる。また、各第1貫通孔435に形成される電極は、1つの検査電極431と接続されている。第1容器体430の第1接合面438bに形成される第1凹部39は、図19では点線で示されている。さらに、第1貫通孔435が半分に分割されると第1キャスタレーション432a、432b(図18を参照)となる。
【0084】
図20は、第2ウエハW440の平面図である。第2ウエハW440は、図9のステップS204で用意される。第2ウエハW440には複数の第2容器体440が形成されており、図20では、各第2容器体440が一点鎖線により区切られて示されている。第2ウエハW440では、図20に示されるようにX軸方向に隣接する第2容器体440の第2電極472は互いに接続されていない。
【0085】
図9のステップS206では、圧電振動素子310のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方が測定される。図19に示されたように、測定は例えば圧電発振器500Aに形成される一対の検査電極431に一対のプローブ90を当接して行われる。第1ウエハW430に形成される各検査電極431は1つの第1貫通孔435に形成された電極(不図示)のみと接続されている。また、1つの第1貫通孔435は1つの第2電極472のみと接続される。一方、引出電極314は、1つの第2電極472のみと接続されている(図18参照)。さらに、図20に示されるように、第2ウエハW440に形成されている1つの第2電極472は、他の第2電極472と接続されていない。つまり、1つの検査電極431は1つの引出電極314のみと接続されるため、圧電発振器500がウエハに形成されたままで圧電振動素子310のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。つまり、圧電発振器500Aの検査電極431に接続された第1貫通孔435は、+X軸側の圧電発振器500Bの検査電極431に接続された第1貫通孔435とZ’軸方向で離れて形成されている。同様に、圧電発振器500Aの検査電極431に接続された第1貫通孔435は、−X軸側の圧電発振器500Cの検査電極431に接続された第1貫通孔435とZ’軸方向に離れて形成されている。このため、圧電発振器500Aのクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数を測定するとき、両側に隣り合って形成された圧電発振器500B及び500Cから影響を与えられることがない。また図3のステップS107と同様に、測定の結果、クリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲外にあった場合は、集積回路20のパラメータを調節してクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲内になるように調整される。
【0086】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0087】
例えば、圧電振動素子はATカットの水晶振動素子である場合を示したが、同じように厚みすべりモードで振動するBTカットなどであっても同様に適用できる。また、音叉型水晶振動素子についても適用できる。さらに圧電振動素子は水晶材料のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材料に基本的に適用できる。
【符号の説明】
【0088】
10、110、210 … 圧電振動素子
11 … 圧電片
12、112、212 … 外枠
13 … 励振電極
14、114、214 … 引出電極
15、115a、115b、215a、215b、217 … 圧電キャスタレーション
16、35、45、116、135、435 … 貫通孔
17 … 貫通溝
19 … 連結部
20 … 集積回路
21 … 回路端子
22 … 圧電端子
30、130、330、430 … 第1容器体
31、131、331、431 … 検査電極
32、132a、132b、232a、232b、332 … 第1キャスタレーション
33、133 … 接続電極
34、141 … 電極パッド
38a、138a、238a、348a、438a … 天井面
38b、138b、238b、348b、438b … 第1接合面
39、49 … 凹部
40、140、340、440 … 第2容器体
44 … 外部電極
47 … 第2キャスタレーション
48a、148a、348a、448a … 第2接合面
48b、148b、348b、448b … 底面
51 … 金属バンプ
52 … 接合材
61、261 … 回路端子用電極
62、262 … 圧電端子用電極
70、270 … キャビティ
71、271、371 … 第1電極
72、172、272、372、472 … 第2電極
100、200、300、400、500 … 圧電発振器
373 … スルーホール
W10、W110 … 圧電ウエハ
W30、W130 … 第1ウエハ
W40、W140 … 第2ウエハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片と集積回路とがパッケージ内に載置された圧電発振器の製造方法及び圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
箱形形状のパッケージ内に圧電振動片及び集積回路が載置された圧電発振器が知られている。このような圧電発振器では、圧電振動片及び集積回路をパッケージ内に載置する際、及びパッケージ内をリッドで密封する際等に発生する応力により圧電振動片のクリスタルインピーダンス値及び振動周波数等の振動特性が変化する場合がある。そのため、圧電振動片及び集積回路をパッケージ内に載置した後、及びパッケージ内を密封した後に圧電振動片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等が測定され、その値が適正範囲にあるかどうかが確認される。
【0003】
圧電振動片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等の振動特性の測定は、パッケージの外側側面に形成される検査電極を通して行われる。例えば特許文献1に示される温度補償水晶発振器では、容器本体の側面に水晶振動子と電気的に接続されている水晶検査端子が形成されており、この水晶検査端子を通して水晶振動子のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等の振動特性が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−142869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、圧電発振器のパッケージの外側側面に水晶検査端子等の検査電極が形成されている場合、圧電発振器内のキャビティが狭くなり搭載する圧電振動片及び集積回路の大きさを小さくしなければならない。
【0006】
そこで本発明は、圧電発振器の上面に検査電極を形成することによりキャビティの広さを確保することができる圧電発振器の製造方法及び圧電発振器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の圧電発振器の製造方法は、表面実装型の圧電発振器の製造方法であり、表裏両主面に一対の励振電極を有する圧電片と圧電片を囲むように形成され励振電極から引き出される一対の引出電極を有する外枠とを有する複数の圧電振動素子が形成された圧電ウエハを用意する工程と、絶縁材からなり、圧電振動素子の一方の主面に接合される第1接合面と、第1接合面の反対側の天井面と、天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺に第1接合面から天井面まで貫通した複数の貫通孔と、貫通孔に検査電極に接続される接続電極とが形成される第1ウエハを用意する工程と、圧電振動素子の他方の主面に接合される第2接合面と、第2接合面の反対側の底面と、底面に形成され圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、第1容器体又は第2容器体に集積回路を載置し、圧電ウエハ、第1ウエハ及び第2ウエハを接合して回路端子と外部電極とを電気的に接続し、圧電端子と接続電極と引出電極とを電気的に接続する接合工程と、接合工程の後に、検査電極を介して圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、を含む。
【0008】
第2観点の圧電発振器の製造方法は、表面実装型の圧電発振器の製造方法であり、表裏両主面に形成される一対の励振電極と励振電極から引き出される一対の引出電極をと含む複数の圧電片を用意する工程と、絶縁材からなり、圧電片の一方の主面に向かい合って配置される第1接合面と、第1接合面の反対側の天井面と、天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺に第1接合面から天井面まで貫通した複数の貫通孔と、貫通孔に検査電極に接続される接続電極とが形成されている第1ウエハを用意する工程と、圧電片の他方の主面に向かい合って配置される第2接合面と、第2接合面の反対側の底面と、底面に形成され圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、集積回路を第1容器体又は第2容器体に載置し、圧電片、第1ウエハ及び第2ウエハを接合して回路端子と外部電極とを電気的に接続し、圧電端子と接続電極と引出電極とを電気的に接続する接合工程と、接合工程の後に、一対の検査電極を介して圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、を含む。
【0009】
第3観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点又は第2観点において、第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には貫通孔が2つ形成され、貫通孔に形成されている接続電極はそれぞれ1つの検査電極のみに接続されている。
【0010】
第4観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点又は第2観点において、第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には、貫通孔が1つ形成される。
【0011】
第5観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点から第3観点において、測定工程の後に、接続電極又は検査電極を切断する工程と、接合工程で接合されたウエハを貫通孔を通るように切断する切断工程と、を含む。
これにより、圧電振動片の振動特性を測定した後に検査電極と圧電振動片との間の接続を切断して浮遊容量の発生を抑えることができる。
【0012】
第6観点の圧電発振器は、表面実装型の圧電発振器であり、表裏両主面に形成される一対の励振電極と励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と第1接合面の反対側の天井面と、天井面に一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と第2接合面の反対側の底面と底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、圧電片を発振させ引出電極及び外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、第1接合面と天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、一対のキャスタレーションの少なくとも一部には引出電極と検査電極とを接続する接続電極が形成されている。
【0013】
第7観点の圧電発振器は、表面実装型の圧電発振器であり、表裏両主面に形成される一対の励振電極と励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と第1接合面の反対側の天井面と、天井面に一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と第2接合面の反対側の底面と底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、圧電片を発振させ引出電極及び外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、第1接合面と天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、一対のキャスタレーションの少なくとも一部には引出電極及び検査電極の一方から他方に伸び途中で切れている接続電極が形成されている。
【0014】
第8観点の圧電発振器は、第6観点又は第7観点において、圧電片に接続され、圧電片を囲むように形成され、一対の引出電極を有する外枠を備え、外枠は第1接合面と第2接合面とに挟まれている。
【0015】
第9観点の圧電発振器は、第6観点から第8観点において、一対のキャスタレーションは、側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに1つずつ互いに向かい合うように形成される。
【0016】
第10観点の圧電発振器は、第6観点において、一対のキャスタレーションは側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに2つずつ互いに向かい合うように形成され、第1側面及び第2側面には1つの接続電極のみが形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧電発振器の上面に検査電極を形成することによりキャビティの広さを確保することができる圧電発振器の製造方法及び圧電発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】圧電発振器100の分解斜視図である。
【図2】(a)は、図1のA−A断面に相当する圧電発振器100の断面図である。 (b)は、図1のB−B断面図である。 (c)は、接続電極33が切断された圧電発振器100の断面図である。
【図3】圧電発振器100の作製方法が示されたフローチャートである。
【図4】圧電ウエハW10の平面図である。
【図5】第1ウエハW30の平面図である。
【図6】第2ウエハW40の平面図である。
【図7】図3のステップS105の圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が接合される過程を説明するためのフローチャートである。
【図8】圧電発振器200の分解斜視図である。
【図9】圧電発振器200の作製方法が示されたフローチャートである。
【図10】圧電ウエハW110の平面図である。
【図11】第1ウエハW130の平面図である。
【図12】第2ウエハW140の平面図である。
【図13】圧電発振器300の分解斜視図である。
【図14】(a)は、図13のC−C断面図である。 (b)は、圧電発振器300の断面図である。
【図15】第1ウエハW230の平面図である。
【図16】圧電発振器400の分解斜視図である。
【図17】図16のE−E断面図である。
【図18】圧電発振器500の分解斜視図である。
【図19】第1ウエハW430の平面図である。
【図20】第2ウエハW440の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
<圧電発振器100の構成>
図1は、圧電発振器100の分解斜視図である。圧電発振器100は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器100は主に、圧電振動素子10と、集積回路20と、第1容器体30と、第2容器体40とにより構成されている。圧電発振器100では、第1容器体30及び第2容器体40に、水晶及びガラス等の電気を通さない絶縁材が用いられる。また、圧電振動素子10には例えばATカットの水晶振動素子が用いられる。ATカットの水晶振動素子は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動素子の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、圧電発振器100において圧電発振器100の長手方向をX軸方向、圧電発振器100の高さ方向をY’軸方向、X軸方向及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0021】
圧電振動素子10は、圧電片11と圧電片11を囲むように形成されている外枠12とを含んでいる。また、圧電片11と外枠12との間には、圧電振動素子10を貫通した一対の「L」字型の貫通溝17が形成される。貫通溝17が形成されていない部分が圧電片11と外枠12との連結部19となっている。圧電片11の+Y’軸側及び−Y’軸側の両主面には一対の励振電極13が形成されている。また、外枠12には、励振電極13から引き出される引出電極14が形成されている。さらに、外枠12の+Z’軸側及び−Z’軸側の側面には圧電貫通孔16(図4を参照)を形成する際の圧電キャスタレーション15が一対形成されている。−Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極14は、−Z’軸側の圧電キャスタレーション15を通り外枠12の+Y’軸側の面にまで伸びて電極パッド141が形成されている。また、+Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極14は、+Z’軸側の圧電キャスタレーション15を通り外枠12の−Y’軸側の面にまで伸びて電極パッド141が形成されている。
【0022】
集積回路20は、圧電片11と電気的に接続されて発振回路が形成される。集積回路20は、−Y’軸側の面に4つの回路端子21と2つの圧電端子22とが形成されている。回路端子22は外部電極44とそれぞれ電気的に接続され、圧電端子22は圧電振動素子10の励振電極12とそれぞれ電気的に接続される。
【0023】
第1容器体30は、圧電振動素子10の+Y’軸側に配置されており、圧電振動素子10とは第1容器体30の−Y’軸側の面である第1接合面38bで接合される。第1接合面38bには第1凹部39が形成されており、第1凹部39は圧電発振器100のキャビティ70(図2(a)参照)の一部を形成する。また、第1容器体30の+Y’軸側の天井面38aには、一対の検査電極31が形成されている。第1容器体30の+Z’軸側及び−Z’軸側の側面には第1貫通孔35(図5を参照)を形成する際の第1キャスタレーション32が一対形成されている。第1キャスタレーション32には接続電極33が形成されており、各接続電極33は検査電極31とそれぞれ接続されている。また、第1容器体30の第1接合面38bには各接続電極33とそれぞれ接続される電極パッド34が形成されている。電極パッド34は圧電振動素子10の+Y’軸側の面に形成されている引出電極14又は電極パッド141と電気的に接続されている。
【0024】
第2容器体40は、圧電振動素子10の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子10とは第2容器体40の+Y’軸側の面である第2接合面48aで接合される。また、第2容器体40の−Y’軸側の底面48bの四隅には、それぞれ外部電極44が形成されている。さらに、第2容器体40の側面の四隅には第2貫通孔45(図6を参照)を形成する際の第2キャスタレーション47が4つ形成されている。第2容器体40の第2接合面48aには第2凹部49が形成されている。第2凹部49には集積回路20の回路端子21と電気的に接続される4つの回路端子用電極61と、集積回路20の圧電端子22と電気的に接続される一対の圧電端子用電極62とが形成されている。集積回路20は、回路端子21及び圧電端子22が回路端子用電極61及び圧電端子用電極62と金属バンプ51(図2(a)参照)を介して接続されることにより第2容器体40の第2凹部49に載置される。第2容器体40には、第1電極71と第2電極72とが形成されている。第1電極71は、回路端子用電極61から第2キャスタレーション47を通り外部電極44にまで形成されている。第2電極72は、圧電端子用電極62から第2接合面48aの+Z’軸側の縁部及び−Z’軸側の縁部にまで形成されている。
【0025】
図2(a)は、図1のA−A断面に相当する圧電発振器100の断面図である。第1容器体30には、天井面38aに2つの検査電極31が形成されている。また第1接合面38bには電極パッド34が形成されている。なお、+Z’軸側の検査電極31は、接続電極33、電極パッド34を介して圧電振動素子10の外枠12に形成される引出電極14に接続される。−Z’軸側の検査電極31は、接続電極33、電極パッド34及び電極パッド141を介して圧電振動素子10の外枠12に形成される引出電極14に接続される。すなわち、一対の検査電極31は一対の圧電振動素子10の励振電極13とそれぞれ電気的に接続されている。また、励振電極13は引出電極14及び電極パッド141を介して外枠12の−Y’軸側の面で第2電極72と接続される。すなわち、励振電極13は第2電極72、圧電端子用電極62及び金属バンプ51を介して集積回路20の圧電端子22と接続される。
【0026】
図2(b)は、図1のB−B断面図である。図2(b)では、回路端子用電極61は第1電極71に接続され、第1電極71は第2接合面48aから第2キャスタレーション47を通り外部電極44と接続されている。つまり、外部電極44は回路端子用電極61を介して集積回路20の回路端子21にそれぞれ電気的に接続され、回路端子21は集積回路20の内部回路(不図示)を介して圧電端子22と接続されている。すなわち、外部電極44は圧電振動素子10の励振電極13とそれぞれ電気的に接続されている(図2(a)を参照)。これにより、一方の外部電極44に直流電圧を入力して圧電片11を厚みすべり振動させ、他方の外部電極44から出力信号を取り出すことができる。また詳細は後述するが、第1容器体30と、圧電振動素子10と、第2容器体40とが接合材52により接合されて、キャビティ70が密封されている。
【0027】
図2(c)は、図1のA−A断面に相当する圧電発振器100の断面図で、接続電極33が切断された状態を示している。図2(c)では、接続電極33の領域33aが切断された状態が示されている。図2(a)では、圧電発振器100は天井面38aに形成された2つの検査電極31を介して圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数などの振動特性を測定することが示された。但し、検査電極31は、圧電発振器100の浮遊容量発生原因となり、圧電片11のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数等の振動特性に影響を及ぼす可能性がある。このため、図2(c)に示されたように、圧電片11の振動特性を測定した後、検査電極31と励振電極13とを接続する接続電極33を切断することが好ましい。
【0028】
<圧電発振器100の作製方法>
図3は、圧電発振器100の作製方法が示されたフローチャートである。
まず、ステップS101で圧電ウエハW10が用意される。圧電ウエハW10には、複数の圧電振動素子10が形成されており、圧電ウエハW10には例えばATカットされた水晶が用いられる。図4を参照して圧電ウエハW10について説明する。
【0029】
図4は、圧電ウエハW10の平面図である。圧電ウエハW10には複数の圧電振動素子10が形成されており、図4では、各圧電振動素子10が一点鎖線により区切られて示されている。1つの圧電振動素子10には圧電片11及び外枠12が形成されており、圧電片11と外枠12とは−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する貫通溝17により分けられている。圧電片11の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とには励振電極13が形成されており、励振電極13から外枠12まで引出電極14が形成されている。また、各圧電振動素子10の+Z’軸側の辺と−Z’軸側の辺とには圧電ウエハW10を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する圧電貫通孔16が形成されている。圧電貫通孔16の内壁には電極(不図示)が形成され、この電極は引出電極14の一部を構成する。図2(a)に示されるように、引出電極14は外枠12の+Y’軸側の面から−Y’軸側の面まで形成される。ここで、圧電貫通孔16が半分に分割されると圧電キャスタレーション15(図1を参照)となる。
【0030】
図3に戻って、ステップS102では、複数の集積回路20が用意される。図1に示されるように、集積回路20は−Y’軸側の面に4つの回路端子21と、2つの圧電端子22とが形成されている。回路端子21と圧電端子22とは内部回路(不図示)を介して接続されている。
【0031】
ステップS103では、第1ウエハW30が用意される。第1ウエハW30には、複数の第1容器体30が形成されている。第1ウエハW30は、例えば水晶又はガラス等により形成される。図5を参照して第1ウエハW30について説明する。
【0032】
図5は、第1ウエハW30の平面図である。第1ウエハW30には複数の第1容器体30が形成されており、図5では、各第1容器体30が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体30の+Y’軸側の面には検査電極31が形成されている。また、図5には図示しないが、第1ウエハW30の−Y’軸側の面には、電極パッド34(図1参照)が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体30の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体30の+Z’軸側及び−Z’軸側には、第1ウエハW30を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔35が形成されている。各第1貫通孔35の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極31と電極パッド34とを接続する接続電極33(図1参照)となる。また、各第1貫通孔35に形成される電極は、2つの検査電極31と接続されている。第1容器体30の第1接合面38bに形成される第1凹部39は、図5では点線で示されている。ここで、第1貫通孔35が半分に分割されると第1キャスタレーション32(図1を参照)となる。
【0033】
図3に戻って、ステップS104で第2ウエハW40が用意される。第2ウエハW40には、複数の第2容器体40が形成されている。第2ウエハW40は、例えば水晶又はガラス等により形成される。図6を参照して第2ウエハW40について説明する。
【0034】
図6は、第2ウエハW40の平面図である。第2ウエハW40には複数の第2容器体40が形成されており、図6では、各第2容器体40が一点鎖線により区切られて示されている。第2容器体40の+Y’軸側の面である第2接合面48a(図2(b)参照)には第2凹部49が形成されており、第2凹部49には回路端子用電極61及び圧電端子用電極62が形成されている。回路端子用電極61及び圧電端子用電極62には第1電極71及び第2電極72が接続されて形成されている。また、各第2容器体40の四隅には、第2ウエハW40を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第2貫通孔45が形成されている。各第2貫通孔45には電極(不図示)が形成され、この電極は第1電極71の一部となる。第1電極71は第2容器体40の−Y’軸側の面である底面48bに形成される外部電極44に接続される(図2(b)参照)。ここで、第2貫通孔45が1/4に分割されると第2キャスタレーション47(図1を参照)となる。
【0035】
図3のフローチャートでは、ステップS101からステップS104の順番は任意で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
次に、ステップS105では、第2ウエハW40に集積回路20が載置され、圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が接合される。集積回路20は、図2(a)及び図2(b)に示されるように、回路端子21が回路端子用電極61と金属バンプ51を介して接続され、圧電端子22が圧電端子用電極62と金属バンプ51を介して接続されるように第2ウエハW40に載置される。図2(a)及び図2(b)では、金属バンプ51を介したフェイスダウンボンディングにより集積回路20が第2ウエハW40に固着されて回路端子用電極61及び圧電端子用電極62と接続されているが、集積回路20はダイボンディングにより第2ウエハW40に固着し、ワイヤを使用するワイヤーボンディングにより回路端子用電極61及び圧電端子用電極62と接続されてもよい。また、圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が互いに接合される過程を、図7を参照して説明する。
【0036】
図7は、図3のステップS105の圧電ウエハW10、第1ウエハW30及び第2ウエハW40が接合される過程を説明するためのフローチャートである。また、図7の各ステップの右横に、各ステップを説明するための図7(a)〜図7(d)が示されている。
【0037】
ステップS151で、圧電ウエハW10と第2ウエハW40とが位置決めされる。図7(a)を参照してステップS151について説明する。図7(a)は、図1のA−A断面に相当する圧電ウエハW10と第2ウエハW40との断面の一部が示されている。以下、図7(b)から図7(d)に関しても同じ断面が示される。図7(a)には、圧電ウエハW10と第2ウエハW40とが接合される前の状態が示されている。第2ウエハW40の+Y’軸側の面には接合材52が形成されている。接合材52は、例えば低融点ガラスであり、スクリーン印刷等の方法により第2ウエハW40に形成される。接合材52には、ポリイミド樹脂が用いられてもよい。
【0038】
ステップS152では、圧電ウエハW10が押圧されながら第2ウエハW40に接合される。図7(b)には、圧電ウエハW10と第2ウエハW40とが接合された後の状態が示されている。圧電ウエハW10と第2ウエハW40とは、引出電極14と第2電極72とが互いに接続されるように接合される。
【0039】
ステップS153では、圧電ウエハW10及び第2ウエハW40と第1ウエハW30とが位置決めされる。図7(c)には、圧電ウエハW10及び第2ウエハW40と第1ウエハW30とが接合される前の状態が示されている。第1ウエハW40の−Y’軸側の面には接合材52が形成されている。このとき、圧電ウエハW10の圧電貫通孔16と第1ウエハW30の第1貫通孔35とはY’軸方向に対して重なっている。
【0040】
ステップS154では、第1ウエハW30が押圧されながら圧電ウエハW10に接合される。図7(d)には、圧電ウエハW10と第1ウエハW30とが接合された後の状態が示されている。圧電ウエハW10と第1ウエハW30とは、引出電極14と電極パッド34とが互いに接続されるように接合される。これにより、キャビティ70は不活性ガスで満たされたり又は真空状態に気密されたりする。
【0041】
図3に戻って、ステップS106では、ステップS105で互いに接合された圧電ウエハW10、第2ウエハW40及び第1ウエハW30が切断される。切断は、図4から図6に示された一点鎖線に沿って行われ、一点鎖線上に形成される圧電貫通孔16、第1貫通孔35及び第2貫通孔45の上を通るように行われる。
【0042】
ステップS107では、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方が測定される。測定は、一対の検査電極31(図1参照)に一対のプローブ(不図示)を当接して行われる。検査電極31は引出電極14と電気的に接続されている(図2(a)を参照)ため検査電極31を通して圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。測定の結果、クリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲外にあった場合は、集積回路20のパラメータを調節してクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲内になるように調整される。
【0043】
ステップS108では、接続電極33が切断される。接続電極33は、図2(c)に示された白抜き矢印81の向きに、レーザー光を接続電極33に照射することにより切断される。図2(c)では、接続電極33の切断された領域が、領域33aとして示されている。また、図2(c)では接続電極33が切断されているが、検査電極31の接続電極33と接続された細い部分を切断してもよい。
【0044】
圧電発振器100は、ステップS108で接続電極33を切断しなくても製品として用いることができる(図1及び図2(a)を参照)。しかし、検査電極31と励振電極13とが接続されたままの場合は、検査電極31に浮遊容量が発生し、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値及び振動周波数等に影響を与える可能性がある。そのため、接続電極33は切断されることが望ましい。また、圧電発振器100では、検査電極31が第1容器体30の天井面38aに形成されることにより圧電発振器100のキャビティ70(図2(a)参照)の広さを広く取ることができる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態として、第1容器体の側面に4つの第1キャスタレーションが形成された圧電発振器200について説明する。以下の説明において、圧電発振器100とその構成が同じ部分は圧電発振器100と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0046】
<圧電発振器200の構成>
図8は、圧電発振器200の分解斜視図である。圧電発振器200は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器200は主に、圧電振動素子110と、集積回路20と、第1容器体130と、第2容器体140とにより構成されている。
【0047】
圧電振動素子110は、圧電片11と圧電片11を囲むように形成されている外枠112とを含んでいる。圧電片11の+Y’軸側及び−Y’軸側の両主面には一対の励振電極13が形成されている。また、外枠112には、励振電極13から引き出される引出電極114が形成されている。さらに、外枠112の+Z’軸側の側面の−X軸側及び−Z’軸側の側面の+X軸側には圧電キャスタレーション115aが形成され、外枠112の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には圧電キャスタレーション115bが形成されている。−Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極114は、−Z’軸側の圧電キャスタレーション115aを通り外枠112の+Y’軸側の面にまで形成されている。ここで、圧電キャスタレーション115a、115bは圧電貫通孔116(図10を参照)を形成する際に形成される。また、+Y’軸側の面に形成された励振電極13から引き出されている引出電極114は、+Z’軸側の圧電キャスタレーション115aを通り外枠112の−Y’軸側の面にまで形成されている。
【0048】
第1容器体130は、圧電振動素子110の+Y’軸側に配置されており、圧電振動素子110とは第1容器体130の−Y’軸側の面である第1接合面138bで接合される。第1接合面138bには第1凹部39が形成されており、第1凹部39は圧電発振器200のキャビティ(不図示)の一部を形成する。また、第1容器体130の+Y’軸側の面であり第1接合面138bの反対側の面である天井面138aには、一対の検査電極131が形成されている。第1容器体130の+Z’軸側の側面の−X軸側及び−Z’軸側の側面の+X軸側には第1キャスタレーション132aが形成され、第1容器体130の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には第1キャスタレーション132bが形成されている。ここで、第1キャスタレーション132a、132bは第1貫通孔135(図11を参照)を形成する際に形成される。第1キャスタレーション132aには接続電極133が形成されており、各接続電極133はそれぞれ検査電極131と接続されている。また、第1容器体130の第1接合面138bには各接続電極133とそれぞれ接続される電極パッド34が形成されている。電極パッド34は圧電振動素子110の+Y’軸側の面に形成されている引出電極114と電気的に接続されている。
【0049】
第2容器体140は圧電振動素子110の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子110とは第2容器体140の+Y’軸側の面である第2接合面148aで接合される。第2容器体140は第1実施形態で説明された圧電発振器100の第2容器体40(図1参照)とは第2電極が異なっている。第2容器体140の第2電極172は、+Z’軸側の端及び−Z’軸側の端が−X軸側及び+X軸側にずれて形成されており、圧電振動素子110の引出電極114と電気的に接続される。
【0050】
<圧電発振器200の作製方法>
図9は、圧電発振器200の作製方法が示されたフローチャートである。
まず、ステップS201で圧電ウエハW110が用意される。圧電ウエハW110には、複数の圧電振動素子110が形成されており、圧電ウエハW110には例えばATカットされた水晶が用いられる。図10を参照して圧電ウエハW110について説明する。
【0051】
図10は、圧電ウエハW110の平面図である。圧電ウエハW110には複数の圧電振動素子110が形成されており、図10では、各圧電振動素子110が一点鎖線により区切られて示されている。1つの圧電振動素子110には圧電片11及び外枠112が形成されており、圧電片11と外枠112とは−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する貫通溝17により分けられている。圧電片11の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とには励振電極13が形成されており、励振電極13から外枠112まで引出電極114が形成されている。また、各圧電振動素子110の+Z’軸側の辺と−Z’軸側の辺とには圧電ウエハW110を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する圧電貫通孔116が形成されている。圧電貫通孔116の内壁には電極(不図示)が形成され、この電極は引出電極114の一部を構成する。図9に示されるように、引出電極114は外枠112の+Y’軸側の面から−Y’軸側の面まで形成される。また、1つの圧電貫通孔116には1つの引出電極114が形成される。さらに、圧電貫通孔116が半分に分割されると圧電キャスタレーション115a、115b(図8を参照)となる。
【0052】
ステップS202では、複数の集積回路20が用意される。ステップS202は図3に示されたフローチャートのステップS102と同じ工程である。
【0053】
ステップS203で第1ウエハW130が用意される。第1ウエハW130には、複数の第1容器体130が形成されている。図11を参照して第1ウエハW130について説明する。
【0054】
図11は、第1ウエハW130の平面図である。第1ウエハW130には複数の第1容器体130が形成されており、図11では、各第1容器体130が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体130の+Y’軸側の面には検査電極131が形成されている。また、図11には図示しないが、第1ウエハW130の−Y’軸側の面には、電極パッド34(図8参照)が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体130の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体130の+Z’軸側及び−Z’軸側には、第1ウエハW130を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔135が形成されている。各第1貫通孔135の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極131と電極パッド34とを接続する接続電極133(図8参照)となる。また、各第1貫通孔135に形成される電極は、1つの検査電極131と接続されている。第1容器体130の第1接合面138bに形成される第1凹部39は、図11では点線で示されている。さらに、第1貫通孔135が半分に分割されると第1キャスタレーション132a、132b(図8を参照)となる。
【0055】
ステップS204では、第2ウエハW140が用意される。第2ウエハW140には、複数の第2容器体140が形成されている。第2ウエハW140は、例えば水晶又はガラス等により形成される。図12を参照して第2ウエハW140について説明する。
【0056】
図12は、第2ウエハW140の平面図である。第2ウエハW140には複数の第2容器体140が形成されており、図12では、各第2容器体140が一点鎖線により区切られて示されている。第2ウエハW140は図6に示された第2ウエハW40とは第2電極が異なっている。第2ウエハW140に形成されている第2電極172は、図8にも示されるように、第2電極172の+Z’軸側の端及び−Z’軸側の端が−X軸側及び+X軸側にずれて形成されている。
【0057】
図9のフローチャートでは、ステップS201からステップS204の順番は任意で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
次に、ステップS205では、第2ウエハW140に集積回路20が載置され、圧電ウエハW110、第1ウエハW130及び第2ウエハW140が接合される。ステップS205の接合する工程は図7に示されたフローチャートのステップS105と同様の工程である。圧電ウエハW110と第1ウエハW130とが重ね合わされるときには、圧電ウエハW110の圧電貫通孔116と第1ウエハW130の第1貫通孔135とがY’軸方向に重なり合っている。また集積回路20は図3のステップS105で説明されたように、フェイスダウンボンディングを用いて第2ウエハW140に固着し接続されてもよいし、ダイボンディング及びワイヤーボンディングを用いて第2ウエハW140に固着し接続されてもよい。
【0058】
ステップS206では、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方が測定される。図11に示されたように、測定は例えば圧電発振器200Aに形成される一対の検査電極131に一対のプローブ90を当接して行われる。第1ウエハW130に形成される各検査電極131は1つの第1貫通孔135に形成された電極(不図示)のみと接続されている。また、図10に示されるように圧電ウエハW110に形成される各引出電極114は、1つの圧電貫通孔116に形成された電極(不図示)のみと接続されている。さらに、圧電貫通孔116と第1貫通孔135とはステップS205でY’軸方向に互いに重ね合わされる。つまり、1つの検査電極131は1つの引出電極114のみと接続されるため、圧電発振器200がウエハに形成されたままで圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。つまり、圧電発振器200Aの検査電極131に接続された第1貫通孔135は、+Z’軸側の圧電発振器200Bの検査電極131に接続された第1貫通孔135とX軸方向で離れて形成されている。同様に、圧電発振器200Aの検査電極131に接続された第1貫通孔135は、−Z’軸側の圧電発振器200Cの検査電極131に接続された第1貫通孔135とX軸方向で離れて形成されている。このため、圧電発振器200Aのクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数を測定するとき、両側に隣り合って形成された圧電発振器200B及び200Cから影響を与えられることがない。また図3のステップS107と同様に、測定の結果、クリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲外にあった場合は、集積回路20のパラメータを調節してクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲内になるように調整される。
【0059】
ステップS207では、ウエハ状態で検査電極131が切断される。検査電極131は、レーザー光を照射することにより、接続電極133と接続されている細い部分が切断される。
【0060】
ステップS208では、ステップS205で互いに接合された圧電ウエハW110、第2ウエハW140及び第1ウエハW130が切断される。切断は、図10から図12に示された一点鎖線に沿って行われ、一点鎖線上に形成される圧電貫通孔116、第1貫通孔135及び第2貫通孔45の上を通るように行われる。
【0061】
圧電発振器200は、圧電発振器200がウエハに形成された状態で圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。そのため、圧電片11のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方の測定を効率良く行うことができる。また、第2実施形態ではウエハ状態で検査電極131を切断した後に個々の圧電発振器200に切断しているが、まず個々の圧電発振器200に切断した後に検査電極131又は接続電極133を切断してもよい。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態として、第1容器体に集積回路が載置される圧電発振器300について説明する。以下の説明において、圧電発振器100及び圧電発振器200とその構成が同じ部分は圧電発振器100及び圧電発振器200と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0063】
<圧電発振器300の構成>
図13は、圧電発振器300の分解斜視図である。圧電発振器300は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器300は主に、圧電振動素子210と、集積回路20と、第1容器体230と、第2容器体240とにより構成されている。
【0064】
圧電振動素子210は、圧電片11と圧電片11を囲むように形成されている外枠212とを含んでいる。圧電片11の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面には励振電極13が形成されている。また、外枠212には、励振電極13に接続されている引出電極214が形成されている。さらに、外枠212の+Z’軸側及び−Z’軸側の側面には圧電キャスタレーション215a、215bが形成されている。−Y’軸側の面に形成されている励振電極13に接続されている引出電極214は、圧電キャスタレーション215aを通り外枠212の+Y’軸側の面にまで形成されている。外枠212の四隅には圧電キャスタレーション217が形成されており、外枠212の+Y’軸側の面から圧電キャスタレーション217を通り外枠212の−Y’軸側の面にまでは、圧電発振器300に形成される第1電極271の一部である第1電極271aが形成されている。
【0065】
第1容器体230は、圧電振動素子210の+Y’軸側に配置されており、圧電振動素子210とは第1容器体230の−Y’軸側の面である第1接合面238bで接合される。第1接合面238bには第1凹部39が形成されており、第1凹部39は圧電発振器300のキャビティ270(図14(a)参照)の一部を形成する。第1凹部39には、集積回路20の回路端子21と電気的に接続される回路端子用電極261と、集積回路20の圧電端子22と電気的に接続される圧電端子用電極262とが形成されている。集積回路20は、回路端子21及び圧電端子22が回路端子用電極261及び圧電端子用電極262と金属バンプ51(図14(a)参照)を介して接続されることにより第1容器体230の第1接合面238bに載置される。第1容器体230には、圧電発振器300に形成される第1電極271の一部である第1電極271bと第2電極272とが形成されている。第1電極271bは、4つの回路端子用電極261から第1接合面238bの四隅にまでそれぞれ形成されており、第1接合面238bの角で圧電振動素子210に形成されている第1電極271aと接続される。第2電極272は、圧電端子用電極262から第1接合面238aの+Z’軸側の端及び−Z’軸側の端にまで形成されており、圧電振動素子210の+Y’軸側の面に形成されている引出電極214と接続される。また、第1容器体230の+Y’軸側の面であり第1接合面238bの反対側の面である天井面238aには、一対の検査電極231が形成されている。第1容器体230の+Z’軸側の側面の−X軸側及び−Z’軸側の側面の+X軸側には第1キャスタレーション232aが形成され、第1容器体230の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には第1キャスタレーション232bが形成されている。第1キャスタレーション232aには接続電極233が形成されており、各接続電極233はそれぞれ検査電極231及び第2電極272と接続されている。
【0066】
第2容器体240は圧電振動素子210の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子210とは第2容器体240の+Y’軸側の面である第2接合面248aで接合される。第2接合面248aには第2凹部49が形成されており、第2凹部49は圧電発振器300のキャビティ270(図14(a)参照)の一部を形成する。第2容器体240の−Y’軸側の面である底面248bの四隅には外部電極44が形成されている。また、第2容器体240の四隅には第2キャスタレーション47が形成されている。第2接合面248aから第2キャスタレーション47を通り外部電極44にまでは、圧電発振器300に形成される第1電極271の一部である第1電極271cが形成されている。第1電極271cは、第2接合面248aで圧電振動素子210の−Y’軸側の面に形成されている引出電極214と接続される。
【0067】
図14(a)は、図13のC−C断面図である。図14(a)では、圧電発振器300に形成される第1電極271について説明する。第1容器体230に形成されている第1電極271bは、回路端子用電極261から第1接合面238bの+X軸側及び−X軸側の端にまで形成されており、+X軸側及び−X軸側の端で外枠212に形成される第1電極271aに接続される。また、第1電極271aは、外枠212の−Y’軸側の面で第2容器体240に形成される第1電極271cに接続される。このようにして、集積回路20の回路端子21と外部電極44とが電気的に接続される。
【0068】
図14(b)は、圧電発振器300の断面図である。図14(b)は、また、図13のD−D断面に相当する断面の断面図でもある。図14(b)では、集積回路20の圧電端子22と検査電極231とが第2電極272及び接続電極233を介して互いに電気的に接続されている。図14(b)の接続電極233は圧電発振器300の作製過程で、図14(b)の点線で囲まれる領域233aが白抜き矢印82で示されるレーザー光により切断されてもよい。第2電極272は圧電振動素子210の+Y’軸側に形成される引出電極214を介して励振電極213と電気的に接続されている。
【0069】
圧電発振器300の作製方法は、図9に示された圧電発振器200の作製方法と基本的には同じであるが、圧電発振器300では、図9のステップS205では、集積回路20は第1容器体230が形成される第1ウエハW230(図15参照)の−Y’軸側の面に載置される。
【0070】
図15は、第1ウエハW230の平面図である。第1ウエハW230には複数の第1容器体230が形成されており、図15では、各第1容器体230が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体130の+Y’軸側の面には検査電極231が形成されている。また、第1容器体130の+Y’軸側の面には回路端子用電極261、圧電端子用電極262、第1電極271b及び第2電極272が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体230の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体230の+Z’軸側及び−Z’軸側には、第1ウエハW230を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔235が形成されている。各第1貫通孔235の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極231と第2電極272とを接続する接続電極233(図14(b)参照)となる。また、各第1貫通孔235に形成される電極は、1つの検査電極231及び1つの第2電極272と接続されている。第1容器体230の第1接合面238bに形成される第1凹部39は、図15では点線で示されている。
【0071】
(第4実施形態)
第4実施形態として、圧電片の周りに外枠が形成されず、第1容器体と第2容器体とが互いに接合される2枚重ねの圧電発振器400について説明する。以下の説明において、圧電発振器100、圧電発振器200及び圧電発振器300とその構成が同じ部分は圧電発振器100、圧電発振器200及び圧電発振器300と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0072】
<圧電発振器400の構成>
図16は、圧電発振器400の分解斜視図である。圧電発振器400は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器400は主に、圧電振動素子310と、集積回路20と、第1容器体330と、第2容器体340とにより構成されている。
【0073】
圧電振動素子310は、圧電振動素子310の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面の両主面には一対の励振電極313が形成されている。また、励振電極313から+X軸方向及び−X軸方向に引出電極314が引き出されて形成されている。+Y’軸側の面に形成されている励振電極313に接続されている引出電極314は、励振電極313から−X軸方向に形成され、圧電振動素子310の側面を通り圧電振動素子310の−Y’軸側の面にまで形成されている。
【0074】
第1容器体330は、圧電振動素子310の+Y’軸側に配置されている。第1容器体330の−Y’軸側の面である第1接合面338bには第1凹部39が形成されている。また、第1容器体330の+Y’軸側の面であり第1接合面338bの反対側の面である天井面338aには、一対の検査電極331が形成されている。第1容器体330の+X軸側の側面及び−X軸側の側面には第1キャスタレーション332が形成され、第1キャスタレーション332には接続電極333が形成されている。また、第1接合面338bには一対の電極パッド34が形成されており、接続電極333は、検査電極331と電極パッド34とを互いに電気的に接続している。
【0075】
第2容器体340は圧電振動素子310の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子310とは第2容器体340の+Y’軸側の面である第2接合面348aで接合される。また、第2容器体340は第1容器体330の第1接合面338aと第2接合面348aで接合される。第2容器体340の−Y’軸側の面である底面348bの四隅には外部電極44が形成されている。また、第2容器体340の第2接合面348aには第2凹部49が形成されており、第2凹部49には回路端子用電極61と圧電端子用電極62とが形成されている。回路端子用電極61に接続されている第1電極371は回路端子用電極61から第2容器体340を貫通するスルーホール373(図17参照)を通り外部電極44に接続されている。また、圧電端子用電極62に接続されている第2電極372は圧電端子用電極62から+X軸側の端及び−X軸側の端にまで形成されている。第2電極372は圧電振動素子310の引出電極314及び第1容器体330の電極パッド34と接続される。
【0076】
図17は、図16のE−E断面図である。図17では、説明のためにE−E断面上にない部分を点線で示している。第1電極371は回路端子用電極61からスルーホール373を通り外部電極44に接続されている。また、第2電極372は圧電端子用電極62から第2容器体340の第2接合面348aの+X軸側及び−X軸側の端にまで形成されている。圧電振動素子310の引出電極314及び第1容器体330の電極パッド34は第2電極372とそれぞれ接続されている。そのため、第1容器体330に形成される検査電極331と、圧電振動素子310に形成される励振電極313と、集積回路20の圧電端子22とは互いに電気的に接続されている。
【0077】
圧電発振器400の作製方法は、基本的には図3に示されたフローチャートと同様である。しかし、図3のステップS101の圧電ウエハが用意される工程では、圧電ウエハは切断されて個々の圧電振動素子310に分けられる。その後、ステップS105において各圧電振動素子310が第2容器体340に載置される。
【0078】
(第5実施形態)
第5実施形態として、第1容器体の側面に4つのキャスタレーションが形成され、圧電片の周りに外枠が形成されず、第1容器体と第2容器体とが互いに接合される2枚重ねの圧電発振器500について説明する。以下の説明において、圧電発振器100、圧電発振器200、圧電発振器300及び圧電発振器400とその構成が同じ部分は圧電発振器100、圧電発振器200、圧電発振器300及び圧電発振器400と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0079】
<圧電発振器500の構成>
図18は、圧電発振器500の分解斜視図である。圧電発振器500は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器500は主に、圧電振動素子310と、集積回路20と、第1容器体430と、第2容器体440とにより構成されている。
【0080】
第1容器体430は、圧電振動素子310の+Y’軸側に配置されている。第1容器体430の−Y’軸側の面である第1接合面438bには第1凹部39が形成されている。また、第1容器体430の+Y’軸側の面であり第1接合面438bの反対側の面である天井面438aには、一対の検査電極431が形成されている。第1容器体430の+X軸側の側面の−Z’軸側及び−X軸側の側面の+Z’軸側には第1キャスタレーション432aが形成され、第1容器体430の+Z’軸側の側面の+X軸側及び−Z’軸側の側面の−X軸側には第1キャスタレーション432bが形成されている。第1キャスタレーション432aには接続電極433が形成されており、各接続電極433はそれぞれ検査電極431と接続されている。また、第1容器体430の第1接合面438bには各接続電極433とそれぞれ接続される電極パッド34が形成されている。
【0081】
第2容器体440は圧電振動素子310の−Y’軸側に配置されており、圧電振動素子310とは第2容器体440の+Y’軸側の面である第2接合面448aで接合される。また、第2容器体440は第1容器体430の第1接合面438aと第2接合面448aで接合される。第2容器体440の−Y’軸側の面である底面448bの四隅には外部電極44が形成されている。また、第2容器体440の第2接合面448aには第2凹部49が形成されており、第2凹部49には回路端子用電極61と圧電端子用電極62とが形成されている。回路端子用電極61に接続されている第1電極371は回路端子用電極61から第2容器体440を貫通するスルーホール373(図17参照)を通り外部電極44に接続されている。また、圧電端子用電極62に接続されている第2電極472は圧電端子用電極62から第2容器体440の+X軸側の端及び−X軸側の端にまで形成されている。第2電極472は第2接合面448aで圧電振動素子310の引出電極314及び第1容器体430の電極パッド34と接続される。また、第1容器体430の第1キャスタレーション432bの−Y’軸側には第2電極472は形成されていない。
【0082】
圧電発振器500の作製方法は、基本的には図9に示されたフローチャートと同様である。しかし、図9のステップS201の圧電ウエハが用意される工程では、圧電ウエハは切断されて個々の圧電振動素子310に分けられる。その後、ステップS205において各圧電振動素子310が第2容器体440に載置される。また、ステップS203、ステップS204及びステップS206に関して図19及び図20を参照して以下に補足する。
【0083】
図19は、第1ウエハW430の平面図である。第1ウエハW430は、図9のステップS203で用意される。第1ウエハW430には複数の第1容器体430が形成されており、図19では、各第1容器体430が一点鎖線により区切られて示されている。第1容器体430の+Y’軸側の面には検査電極431が形成されている。また、図19には図示しないが、第1ウエハW430の−Y’軸側の面には、電極パッド34(図18参照)が形成されている。さらに、隣り合う第1容器体430の一点鎖線で示された境界線上であり、各第1容器体430の+X軸側及び−X軸側には、第1ウエハW430を−Y’軸側の面から+Y’軸側の面まで貫通する第1貫通孔435が形成されている。各第1貫通孔435の内壁には電極(不図示)が形成されており、この電極は検査電極431と電極パッド34とを接続する接続電極433(図18参照)となる。また、各第1貫通孔435に形成される電極は、1つの検査電極431と接続されている。第1容器体430の第1接合面438bに形成される第1凹部39は、図19では点線で示されている。さらに、第1貫通孔435が半分に分割されると第1キャスタレーション432a、432b(図18を参照)となる。
【0084】
図20は、第2ウエハW440の平面図である。第2ウエハW440は、図9のステップS204で用意される。第2ウエハW440には複数の第2容器体440が形成されており、図20では、各第2容器体440が一点鎖線により区切られて示されている。第2ウエハW440では、図20に示されるようにX軸方向に隣接する第2容器体440の第2電極472は互いに接続されていない。
【0085】
図9のステップS206では、圧電振動素子310のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方が測定される。図19に示されたように、測定は例えば圧電発振器500Aに形成される一対の検査電極431に一対のプローブ90を当接して行われる。第1ウエハW430に形成される各検査電極431は1つの第1貫通孔435に形成された電極(不図示)のみと接続されている。また、1つの第1貫通孔435は1つの第2電極472のみと接続される。一方、引出電極314は、1つの第2電極472のみと接続されている(図18参照)。さらに、図20に示されるように、第2ウエハW440に形成されている1つの第2電極472は、他の第2電極472と接続されていない。つまり、1つの検査電極431は1つの引出電極314のみと接続されるため、圧電発振器500がウエハに形成されたままで圧電振動素子310のクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の少なくとも一方を測定することができる。つまり、圧電発振器500Aの検査電極431に接続された第1貫通孔435は、+X軸側の圧電発振器500Bの検査電極431に接続された第1貫通孔435とZ’軸方向で離れて形成されている。同様に、圧電発振器500Aの検査電極431に接続された第1貫通孔435は、−X軸側の圧電発振器500Cの検査電極431に接続された第1貫通孔435とZ’軸方向に離れて形成されている。このため、圧電発振器500Aのクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数を測定するとき、両側に隣り合って形成された圧電発振器500B及び500Cから影響を与えられることがない。また図3のステップS107と同様に、測定の結果、クリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲外にあった場合は、集積回路20のパラメータを調節してクリスタルインピーダンス(CI)値又は振動周波数の値が適正値の範囲内になるように調整される。
【0086】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0087】
例えば、圧電振動素子はATカットの水晶振動素子である場合を示したが、同じように厚みすべりモードで振動するBTカットなどであっても同様に適用できる。また、音叉型水晶振動素子についても適用できる。さらに圧電振動素子は水晶材料のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材料に基本的に適用できる。
【符号の説明】
【0088】
10、110、210 … 圧電振動素子
11 … 圧電片
12、112、212 … 外枠
13 … 励振電極
14、114、214 … 引出電極
15、115a、115b、215a、215b、217 … 圧電キャスタレーション
16、35、45、116、135、435 … 貫通孔
17 … 貫通溝
19 … 連結部
20 … 集積回路
21 … 回路端子
22 … 圧電端子
30、130、330、430 … 第1容器体
31、131、331、431 … 検査電極
32、132a、132b、232a、232b、332 … 第1キャスタレーション
33、133 … 接続電極
34、141 … 電極パッド
38a、138a、238a、348a、438a … 天井面
38b、138b、238b、348b、438b … 第1接合面
39、49 … 凹部
40、140、340、440 … 第2容器体
44 … 外部電極
47 … 第2キャスタレーション
48a、148a、348a、448a … 第2接合面
48b、148b、348b、448b … 底面
51 … 金属バンプ
52 … 接合材
61、261 … 回路端子用電極
62、262 … 圧電端子用電極
70、270 … キャビティ
71、271、371 … 第1電極
72、172、272、372、472 … 第2電極
100、200、300、400、500 … 圧電発振器
373 … スルーホール
W10、W110 … 圧電ウエハ
W30、W130 … 第1ウエハ
W40、W140 … 第2ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装型の圧電発振器の製造方法において、
表裏両主面に一対の励振電極を有する圧電片と該圧電片を囲むように形成され前記励振電極から引き出される一対の引出電極を有する外枠とを有する複数の圧電振動素子が形成された圧電ウエハを用意する工程と、
絶縁材からなり、前記圧電振動素子の一方の主面に接合される第1接合面と、前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺に前記第1接合面から前記天井面まで貫通した複数の貫通孔と、前記貫通孔に前記検査電極に接続される接続電極とが形成される第1ウエハを用意する工程と、
前記圧電振動素子の他方の主面に接合される第2接合面と、前記第2接合面の反対側の底面と、前記底面に形成され前記圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、
前記圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、
前記第1容器体又は前記第2容器体に前記集積回路を載置し、前記圧電ウエハ、前記第1ウエハ及び前記第2ウエハを接合して前記回路端子と前記外部電極とを電気的に接続し、前記圧電端子と前記接続電極と前記引出電極とを電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の後に、前記検査電極を介して前記圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、
を含む圧電発振器の製造方法。
【請求項2】
表面実装型の圧電発振器の製造方法において、
表裏両主面に形成される一対の励振電極と前記励振電極から引き出される一対の引出電極をと含む複数の圧電片を用意する工程と、
絶縁材からなり、前記圧電片の一方の主面に向かい合って配置される第1接合面と、前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺に前記第1接合面から前記天井面まで貫通した複数の貫通孔と、前記貫通孔に前記検査電極に接続される接続電極とが形成されている第1ウエハを用意する工程と、
前記圧電片の他方の主面に向かい合って配置される第2接合面と、前記第2接合面の反対側の底面と、前記底面に形成され前記圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、
前記圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、
前記集積回路を前記第1容器体又は前記第2容器体に載置し、前記圧電片、前記第1ウエハ及び前記第2ウエハを接合して前記回路端子と前記外部電極とを電気的に接続し、前記圧電端子と前記接続電極と前記引出電極とを電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の後に、前記一対の検査電極を介して前記圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、
を含む圧電発振器の製造方法。
【請求項3】
前記第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には前記貫通孔が2つ形成され、前記貫通孔に形成されている前記接続電極はそれぞれ1つの前記検査電極のみに接続されている請求項1又は請求項2に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項4】
前記第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には、前記貫通孔が1つ形成される請求項1又は請求項2に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項5】
前記測定工程の後に、
前記接続電極又は前記検査電極を切断する工程と、
前記接合工程で接合されたウエハを前記貫通孔を通るように切断する切断工程と、
を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項6】
表面実装型の圧電発振器であって、
表裏両主面に形成される一対の励振電極と前記励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、
前記圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に前記一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、
前記圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と前記第2接合面の反対側の底面と前記底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、
前記圧電片を発振させ、前記引出電極及び前記外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、
前記第1接合面と前記天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、前記一対のキャスタレーションの少なくとも一部には前記引出電極と前記検査電極とを接続する接続電極が形成されている圧電発振器。
【請求項7】
表面実装型の圧電発振器であって、
表裏両主面に形成される一対の励振電極と前記励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、
前記圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に前記一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、
前記圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と前記第2接合面の反対側の底面と前記底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、
前記圧電片を発振させ、前記引出電極及び前記外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、
前記第1接合面と前記天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、前記一対のキャスタレーションの少なくとも一部には前記引出電極及び前記検査電極の一方から他方に伸び途中で切れている接続電極が形成されている圧電発振器。
【請求項8】
前記圧電片に接続され、前記圧電片を囲むように形成され、前記一対の引出電極を有する外枠を備え、前記外枠は前記第1接合面と前記第2接合面とに挟まれている請求項6又は請求項7に記載の圧電発振器。
【請求項9】
前記一対のキャスタレーションは、前記側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに1つずつ互いに向かい合うように形成される請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の圧電発振器。
【請求項10】
前記一対のキャスタレーションは前記側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに2つずつ互いに向かい合うように形成され、前記第1側面及び前記第2側面には1つの前記接続電極のみが形成されている請求項6に記載の圧電発振器。
【請求項1】
表面実装型の圧電発振器の製造方法において、
表裏両主面に一対の励振電極を有する圧電片と該圧電片を囲むように形成され前記励振電極から引き出される一対の引出電極を有する外枠とを有する複数の圧電振動素子が形成された圧電ウエハを用意する工程と、
絶縁材からなり、前記圧電振動素子の一方の主面に接合される第1接合面と、前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺に前記第1接合面から前記天井面まで貫通した複数の貫通孔と、前記貫通孔に前記検査電極に接続される接続電極とが形成される第1ウエハを用意する工程と、
前記圧電振動素子の他方の主面に接合される第2接合面と、前記第2接合面の反対側の底面と、前記底面に形成され前記圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、
前記圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、
前記第1容器体又は前記第2容器体に前記集積回路を載置し、前記圧電ウエハ、前記第1ウエハ及び前記第2ウエハを接合して前記回路端子と前記外部電極とを電気的に接続し、前記圧電端子と前記接続電極と前記引出電極とを電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の後に、前記検査電極を介して前記圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、
を含む圧電発振器の製造方法。
【請求項2】
表面実装型の圧電発振器の製造方法において、
表裏両主面に形成される一対の励振電極と前記励振電極から引き出される一対の引出電極をと含む複数の圧電片を用意する工程と、
絶縁材からなり、前記圧電片の一方の主面に向かい合って配置される第1接合面と、前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に形成された一対の検査電極とを有する複数の第1容器体が形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺に前記第1接合面から前記天井面まで貫通した複数の貫通孔と、前記貫通孔に前記検査電極に接続される接続電極とが形成されている第1ウエハを用意する工程と、
前記圧電片の他方の主面に向かい合って配置される第2接合面と、前記第2接合面の反対側の底面と、前記底面に形成され前記圧電発振器が実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる複数の第2容器体が形成された第2ウエハを用意する工程と、
前記圧電片を発振させ、圧電端子及び回路端子を有する複数の集積回路を用意する工程と、
前記集積回路を前記第1容器体又は前記第2容器体に載置し、前記圧電片、前記第1ウエハ及び前記第2ウエハを接合して前記回路端子と前記外部電極とを電気的に接続し、前記圧電端子と前記接続電極と前記引出電極とを電気的に接続する接合工程と、
前記接合工程の後に、前記一対の検査電極を介して前記圧電片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、
を含む圧電発振器の製造方法。
【請求項3】
前記第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には前記貫通孔が2つ形成され、前記貫通孔に形成されている前記接続電極はそれぞれ1つの前記検査電極のみに接続されている請求項1又は請求項2に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項4】
前記第1容器体は平板矩形状に形成され、隣り合う前記第1容器体の共通する辺の少なくとも1辺には、前記貫通孔が1つ形成される請求項1又は請求項2に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項5】
前記測定工程の後に、
前記接続電極又は前記検査電極を切断する工程と、
前記接合工程で接合されたウエハを前記貫通孔を通るように切断する切断工程と、
を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項6】
表面実装型の圧電発振器であって、
表裏両主面に形成される一対の励振電極と前記励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、
前記圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に前記一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、
前記圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と前記第2接合面の反対側の底面と前記底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、
前記圧電片を発振させ、前記引出電極及び前記外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、
前記第1接合面と前記天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、前記一対のキャスタレーションの少なくとも一部には前記引出電極と前記検査電極とを接続する接続電極が形成されている圧電発振器。
【請求項7】
表面実装型の圧電発振器であって、
表裏両主面に形成される一対の励振電極と前記励振電極から引き出される一対の引出電極とを含む圧電片と、
前記圧電片の一方の主面に向かい合う第1接合面と前記第1接合面の反対側の天井面と、前記天井面に前記一対の引出電極と接続される一対の検査電極とを有し、絶縁材からなる第1容器体と、
前記圧電片の他方の主面に向かい合う第2接合面と前記第2接合面の反対側の底面と前記底面に実装されるための外部電極とを有し、絶縁材からなる第2容器体と、
前記圧電片を発振させ、前記引出電極及び前記外部電極と電気的に接続する集積回路と、を備え、
前記第1接合面と前記天井面との間の側面に一対のキャスタレーションが形成され、前記一対のキャスタレーションの少なくとも一部には前記引出電極及び前記検査電極の一方から他方に伸び途中で切れている接続電極が形成されている圧電発振器。
【請求項8】
前記圧電片に接続され、前記圧電片を囲むように形成され、前記一対の引出電極を有する外枠を備え、前記外枠は前記第1接合面と前記第2接合面とに挟まれている請求項6又は請求項7に記載の圧電発振器。
【請求項9】
前記一対のキャスタレーションは、前記側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに1つずつ互いに向かい合うように形成される請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の圧電発振器。
【請求項10】
前記一対のキャスタレーションは前記側面の中の1つの側面である第1側面とその反対側の第2側面とに2つずつ互いに向かい合うように形成され、前記第1側面及び前記第2側面には1つの前記接続電極のみが形成されている請求項6に記載の圧電発振器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−124706(P2012−124706A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273678(P2010−273678)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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