説明

地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラム、および記録媒体

【課題】地図データの更新を永続的におこなうこと。
【解決手段】地図データ更新装置100は、記録部101と、取得部102と、抽出部103と、更新部104とを備える。記録部101は、複数のエリアに区分された道路地図データを記録する。道路地図データは、同一の属性を有する複数のリンクに対してリンクIDを連番で付与して束ねたリンク列の情報を含む。取得部102は、変更箇所の情報が含まれるエリアごとの最新道路地図データを取得する。抽出部103は、記録部101に記録されている道路地図データのリンク列のうち、最新道路地図データに含まれる新規道路に対応するリンクによって分断されるリンクが属する分断リンク列を抽出する。更新部104は、分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、道路地図データをエリアごとに更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置、PND(Personal Navigation Device)、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器では、道路地図データを用いて地図画面を表示する機能を有したものが知られている。道路地図データは、道路を表す情報として、リンクに付されているリンクIDを有するとともに、当該リンクIDによってリンクを属性ごとに所定の順番に束ねたリンク列の情報を有している。
【0003】
このような電子機器では、定期的に道路地図データの更新がおこなわれる。道路地図データの更新において、たとえば、最新の道路地図データに、元の道路(リンク列)に交差する新設の道路が存在する場合には、元のリンク列を分割して、当該リンク列に、元のリンクIDと同じ番号を付与するか、または新たなリンクIDを付与する処理がおこなわれている。
【0004】
具体的には、たとえば、リンク列に付与できるリンクIDの範囲を予め設定しておき、新規にリンクが追加された場合に、設定したリンクIDの範囲内で、リンクIDを付与するようにした技術が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−175593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術は、膨大な数のリンクに対して、それぞれに付与できるリンクIDの範囲を設定しなければならず、煩雑な処理を必要とするばかりか、あるリンクに対して集中して新規道路が追加されると、付与できるリンクIDの数が設定したリンクIDの上限値にすぐに達してしまい、永続的な更新をおこなうことができなくなるといった問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる地図データ更新装置は、リンクの集合で示された道路ネットワークを含み、複数のエリアに区分された道路地図データであって同一の属性を有する複数のリンクに対してリンクIDを連番で付与して束ねたリンク列の情報を含む道路地図データを記録する記録手段と、前記道路ネットワークの変更箇所の情報が含まれるエリアごとの最新道路地図データを取得する取得手段と、前記記録手段に記録されている道路地図データのリンク列のうち、前記最新道路地図データに含まれる新規道路に対応するリンクによって分断されるリンクが属するリンク列(以下「分断リンク列」という)を抽出する抽出手段と、前記分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、前記記録手段に記録されている道路地図データをエリアごとに更新する更新手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4の発明にかかる地図データ更新方法は、リンクの集合で示された道路ネットワークを含み、複数のエリアに区分された道路地図データであって同一の属性を有する複数のリンクに対してリンクIDを連番で付与して束ねたリンク列の情報を含む道路地図データを記録する記録部の当該道路地図データを更新する地図データ更新装置における地図データ更新方法であって、前記道路ネットワークの変更箇所の情報が含まれるエリアごとの最新道路地図データを取得する取得工程と、前記記録部に記録されている道路地図データのリンク列のうち、前記最新道路地図データに含まれる新規道路に対応するリンクによって分断されるリンクが属するリンク列(以下「分断リンク列」という)を抽出する抽出工程と、前記分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、前記記録部に記録されている道路地図データをエリアごとに更新する更新工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項5の発明にかかる地図データ更新プログラムは、請求項4に記載の地図データ更新方法をコンピュータに実行させることを特徴とする地図データ更新プログラム。
【0010】
また、請求項6の発明にかかる記録媒体は、請求項5に記載の地図データ更新プログラムをコンピュータに読み取り可能に記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態)
(地図データ更新装置の機能的構成)
図1を用いて、この発明の実施の形態にかかる地図データ更新装置の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる地図データ更新装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1において、地図データ更新装置100は、記録部101と、取得部102と、抽出部103と、更新部104とを備えている。
【0013】
記録部101は、リンクの集合で示された道路ネットワークを含み、複数のエリアに区分された道路地図データを記録する。エリアの範囲は、データ量などに応じて任意に区分したものであればよく、具体的には、たとえば、国ごと、関東、東北、中部等のような地方ごと、都道府県ごと、市町村ごとの範囲である。
【0014】
この道路地図データは、同一の属性を有する複数のリンクに対してリンクIDを連番で付与して束ねたリンク列の情報を含んでいる。属性は、たとえば、国道○号線、県道△号線などのように、リンクが属する道路を示した情報である。リンクIDは、リンクを識別するための固有の識別情報であり、リンクの接続順に連続する番号である。つまり、リンク列は、たとえば、国道○号線の属性を有するリンクを、リンクID順に束ねたものである。
【0015】
取得部102は、道路ネットワークの変更箇所の情報が含まれる最新道路地図データをエリアごとに取得する。取得部102による取得方式は、記録媒体からの読み込みによるものでもよいし、外部サーバからの受信によるものでもよい。
【0016】
抽出部103は、記録部101に記録されている道路地図データのリンク列のうち、最新道路地図データに含まれる新規道路に対応するリンクによって分断されるリンクが属するリンク列(以下「分断リンク列」という)を抽出する。リンク列が分断されるとは、リンク列上に新規交差点(新規ノード)が追加されるとともに、当該リンク列に交差する新規道路(新規リンク)が追加されることである。
【0017】
更新部104は、分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、記録部101に記録されている道路地図データを更新する。リンクIDの付与について、具体例を挙げると、たとえば、国道○号線を分断する新規リンクが追加された場合、当該国道○号線の属性を有するリンクに対して、元々付与されていたリンクIDを削除して、新たにリンクIDを連番で付与する。
【0018】
より具体的には、たとえば、既にリンクIDが0〜500まで付与されているとすると、更新部104は、新たに501以降のリンクIDを付与する。すなわち、更新後のリンクIDは、元々のリンクIDに対して、全く異なるものとなる。なお、元々のリンクIDは、空き番号とする。また、更新部104は、新規リンクに対して、属性に応じてリンクIDを連番で付与する。
【0019】
また、本実施の形態において、リンクIDは、当該リンクIDが示す道路が属するエリアのID(以下「エリアID」という)および当該エリア内でユニークなID(以下「エリア内リンクID」という)を含んで構成されていることが望ましい。具体的には、たとえば、リンクIDを32bitの整数とした場合、上位7bitによってエリアIDを示すようにし、下位25bitによってエリア内リンクIDを示すようにすればよい。この場合、リンク列に属する複数のリンクには、エリア内リンクIDが連番で付与されているものとする。
【0020】
このようなリンクIDおよびリンクを用いた構成において、更新部104は、分断リンク列に属する複数のリンクに対して、新たにエリア内リンクIDを連番で付与し、記録部101に記録されている道路地図データを更新する。なお、更新部104は、エリアIDに対しては、原則、IDの付与をおこなわないが、エリアの追加や分割があった場合には、新たにエリアIDを付与してもよい。
【0021】
また、本実施の形態において、更新部104は、所定のエリアにおいて付与されたエリア内リンクIDが規定数に達し、付与できるエリア内リンクIDが存在しない場合には、当該所定のエリアに含まれる全てのリンクに対してエリア内リンクIDを振り直して、道路地図データを更新することが望ましい。
【0022】
ここでいう規定数は、規定の番号である。すなわち、たとえば、エリア内リンクIDとして、7bitの番号を採ることが可能な場合、全ての番号が埋まることではなく、空き番号を含めて規定数に達するという趣旨である。なお、空き番号は、リンク列が分断されたことによってエリア内リンクIDを付与されたことにより、使用しない番号である。
【0023】
(地図データ更新装置の地図データ更新処理手順)
つぎに、図2を用いて、地図データ更新装置100の地図データ更新処理手順について説明する。図2は、本実施の形態にかかる地図データ更新装置100の地図データ更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0024】
図2のフローチャートにおいて、地図データ更新装置100は、取得部102がエリアごとの最新道路地図データを取得したか否かを判断する(ステップS201)。最新道路地図データを取得するまで待機状態にあり(ステップS201:Noのループ)、最新道路地図データを取得すると(ステップS201:Yes)、抽出部103が記録部101に記録されている道路地図データのリンク列のうち、最新道路地図データに含まれる新規道路に対応するリンクによって分断される分断リンク列を抽出する(ステップS202)。
【0025】
そして、更新部104が分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに新たにリンクIDを連番で付与する(ステップS203)。さらに、更新部104が記録部101に記録されている道路地図データをエリアごとに更新し(ステップS204)、一連の処理を終了する。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態にかかる地図データ更新装置100によれば、分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、道路地図データをエリアごとに更新するようにした。したがって、リンク列の分断やデータサイズの増加を抑えることによりパフォーマンスの低下を抑制しながら、ある道路に対して新規道路が集中して追加されるようなことがあっても、少なくともエリアごとに設定されるリンクIDの規定数に達するまで、リンクIDを付与することができる。
【0027】
これにより、従来のように付与できるリンクIDがすぐに上限値に達してしまうということを抑制させることができる。この結果、永続的な更新をおこなうことができ、地図データ更新装置100を有効に利用することができる。
【0028】
また、リンクIDに、当該リンクIDが示す道路が属するエリアIDおよび当該エリア内でユニークなエリア内リンクIDを含ませるようにし、さらに、リンク列に属する複数のリンクを、エリア内リンクIDが連番で付与されたものとすれば、リンクIDに対して必要な情報を有効に含ませることができる。
【0029】
また、所定のエリアにおいて付与されたエリア内リンクIDが規定数に達し、付与できるエリア内リンクIDが存在しない場合には、当該所定のエリアに含まれる全てのリンクに対してエリア内リンクIDを振り直して、道路地図データを更新するようにすれば、従来のように付与できるリンクIDがなくなってしまうということを最小限に抑えることができる。したがって、永続的な更新をおこなうことができ、地図データ更新装置100を有効に利用することができる。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例では、車両に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明の地図データ更新装置を実現した場合の一例について説明する。
【0031】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
図3を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、スピーカ309と、入力デバイス310と、映像I/F311と、ディスプレイ312と、通信I/F313と、GPSユニット314と、各種センサ315とを備えている。また、各構成部301〜315はバス320によってそれぞれ接続されている。
【0033】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、現在位置算出プログラム、経路探索プログラム、経路誘導プログラム、地図データ更新プログラムなどの各種プログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0034】
現在位置算出プログラムは、たとえば、後述するGPSユニット314および各種センサ315の出力情報に基づいて、車両の現在位置(ナビゲーション装置300の現在位置)を算出させる。
【0035】
経路探索プログラムは、後述する磁気ディスク305に記録されている地図データなどを利用して、出発地から目的地までの最適な誘導経路を探索させる。ここで、最適な経路とは、目的地までの最短(または最速)経路やユーザが指定した条件に最も合致する経路などである。また、目的地のみならず、立ち寄り地点や休憩地点までの経路を探索してもよい。探索された経路の情報は、CPU301を介して音声I/F308や映像I/F311へ出力される。
【0036】
経路誘導プログラムは、経路探索プログラムを実行することによって探索された経路情報、現在位置算出プログラムを実行することによって算出された車両の現在位置情報、磁気ディスク305から読み出された地図データに基づいて、リアルタイムな経路誘導情報を生成させる。生成された経路誘導情報は、CPU301を介して音声I/F308や映像I/F311へ出力される。
【0037】
地図データ更新プログラムは、磁気ディスク305に記録されている地図データおよび通信I/F313を介して受信した最新道路地図データを用いて、新規道路に対応するリンクによって分断されるリンク列(以下「分断リンク列」という)を抽出するとともに、当該分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、道路地図データを更新するプログラムである。
【0038】
また、この地図データ更新プログラムは、所定のエリアにおいて付与されたエリア内でユニークなID(以下「エリア内リンクID」という)が規定数に達し、付与できるエリア内リンクIDが存在しない場合には、当該所定のエリアに含まれる全てのリンクに対してエリア内リンクIDを振り直して、道路地図データを更新させる。なお、図1に示した実施の形態にかかる抽出部103と、更新部104とはCPU301によって実現される。すなわち、CPU301が地図データ更新プログラムを実行することにより、抽出部103と、更新部104との機能を実現する。
【0039】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0040】
磁気ディスク305は、道路地図データを記録している。道路地図データは、複数のエリアに区分されており、描画用のパーセルデータと、経路計算用のリージョンデータとからなる。パーセルデータと、リージョンデータとは、メッシュ単位で構成される。パーセルデータは、具体的には、道路形状を示す道路データ、背景画面を示す背景データ、文字を表示するための文字データなどの要素からなる。
【0041】
リージョンデータは、具体的には、リンクやノードの情報を含む道路ネットワークに関するデータである。パーセルデータおよびリージョンデータは、ともに階層構造をなしている。なお、上述した実施の形態で説明した道路地図データは、リージョンデータに相当する。以下の説明においても、特に区別しない限り、単に「道路地図データ」という場合、リージョンデータを指すものとして説明する。
【0042】
道路地図データは、同一の属性を有する複数のリンクに対してリンクIDを連番で付与して束ねたリンク列の情報を含んでいる。なお、各エリアには、付与可能なリンクIDの規定数が設定されている。リンクIDは、詳細については図5を用いて後述するが、リンクIDが示す道路が属するエリアのID(以下「エリアID」という)と、上述したエリア内リンクIDとを含んで構成されている。また、リンク列に属する複数のリンクには、エリア内リンクIDが連番で付与されている。
【0043】
なお、携帯型ナビゲーション装置(PND)では、磁気ディスク305に記録されているデータをフラッシュメモリなどに記録する。図1に示した、実施の形態にかかる記録部101は、磁気ディスク305によって実現される。
【0044】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0045】
音声I/F308は、音声出力用のスピーカ309に接続される。スピーカ309は、音声を出力する。入力デバイス310は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス310は、リモコン、キーボード、マウス、タッチパネルのうち、いずれか一つの形態によって実現されてもよいし、複数の形態によって実現してもよい。
【0046】
映像I/F311は、ディスプレイ312に接続される。映像I/F311は、具体的には、たとえば、ディスプレイ312全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ312を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0047】
ディスプレイ312は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。ディスプレイ312は、たとえば、車両のダッシュボード付近に設置される。ディスプレイ312は、車両のダッシュボード付近のほか、車両の後部座席周辺などに設置するなどして、車両内に複数設置してもよい。
【0048】
通信I/F313は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F313は、エリアごとの、道路ネットワークの変更箇所の情報が含まれる最新道路地図データを外部の地図データを管理する地図データ管理サーバなどから受信する。通信I/F313は、たとえば、更新の周期になったときに、CPU301の制御により、地図データ管理サーバに対して、最新道路地図データの送信要求をおこない、当該要求を受けて最新道路地図データを受信する。
【0049】
なお、送信要求のタイミングは、更新の周期になったときに限らず、利用者からの送信要求の入力を受け付けたときとしてもよい。また、最新道路地図データの取得にあたっては、通信I/F313による受信に限らず、最新道路地図データが記録された光ディスク307から読み込むようにしてもよい。図1に示した、実施の形態にかかる取得部102は、通信I/F313によって実現される。
【0050】
GPSユニット314は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット314の出力情報は、後述する各種センサ315の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0051】
各種センサ315は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ315の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。
【0052】
図1に示した地図データ更新装置100が備える記録部101と、取得部102と、抽出部103と、更新部104とは、図3に示したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0053】
すなわち、本実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302に記録されている各種プログラムを実行することにより、図1に示した地図データ更新装置100が備える機能を、図2に示した地図データ更新処理手順で実行することができる。
【0054】
(道路地図データのエリア分割の一例)
つぎに、図4を用いて、本実施例にかかる道路地図データのエリア分割の一例について説明する。図4は、本実施例にかかる道路地図データのエリア分割の一例を示した説明図である。なお、道路地図データは、磁気ディスク305(図3参照)に記録されている。
【0055】
図4において、道路地図データ400は、所定のエリア401ごとに12の領域に分割されている。エリア401は、データ量に応じて、その範囲が設定されている。具体的には、番号0,1に示す、近畿地方や関東地方などの都市部においては、データ量が増大する分、エリア401の範囲が狭くなっている。一方、データ量の少ない北海道や東北地方などはエリア401の範囲が広くなっている。本実施例においては、このようなエリア401ごとに、上述したメッシュ単位で道路地図データ400の更新をおこなうことが可能になっている。
【0056】
(リンクの一例)
つぎに、図5を用いて、本実施例にかかる道路地図データのリンクの一例について説明する。図5は、本実施例にかかる道路地図データのリンクの一例を示した説明図である。
【0057】
図5において、リンク501は、交差点や分岐点に相当するノード502間を結んだものである。符号503は、リンク501を識別するためのリンクIDである。リンクID503は、たとえば、32bitの整数で表されたものが用いられるが、ここでは、説明の便宜上5桁の整数で表されたものを用いている。図5に示す各リンク501には、リンクID503が10000から付されている。
【0058】
たとえば、リンクID503の上位2桁は、リンク501が属するエリアのエリアIDを示している。つまり、図5に示す各リンク501は、図4に示した番号10のエリア、すなわち、九州南部のエリアを示している。また、リンクID503の下位3桁は、エリア内でユニークなエリア内リンクIDを示している。つまり、エリア内リンクIDは、000〜999までの値とすることが可能になっており、999が規定数となっている。
【0059】
なお、32bitで表した、実際のリンクID503について説明しておくと、リンクID503は、32bitのうち、たとえば、上位7bitをエリアIDとし、下位25bitをエリア内リンクIDとしている。なお、下位25bitのうち、上位4bitを道路の重要度を示す表示クラスIDとし、下位21bitをエリア内リンクIDとしてもよい。このように表示クラスIDを用いれば、エリア内リンクIDの変動に伴うリンクID503の変動を同一表示クラス内に留めることができ、データの変動を小さくすることが可能になる。
【0060】
また、図5において、各リンク501は、属性情報を有している。属性情報は、たとえば、国道3号線、県道10号線、市道20号線などのように、当該リンク501が属する道路を示した情報である。リンク列504(a〜c)は、同一の属性を有する複数のリンク501を、リンクID503が連番となるように束ねたものである。すなわち、たとえば、リンク列504aが国道3号線を示し、リンク列504bが県道10号線を示し、リンク列504cが市道20号線を示している。
【0061】
(更新時におけるリンクIDの付与の一例)
つぎに、図6を用いて、更新時におけるリンクID503の付与の一例について説明する。図6は、更新時におけるリンクID503の付与の一例を示した説明図である。なお、道路地図データの更新処理については、図7を用いて後述する。
【0062】
図6において、符号601は、新規に追加された最新リンク列を示している。リンク列504aは、最新リンク列601が追加されたことにより、途中のリンク501が分断された分断リンク列となっている。
【0063】
本実施例においては、このリンク列504aに対して、新たにリンクID503が付与される。すなわち、リンク列504aには、10030〜10033のリンクID503が新たに連番で付与される。また、最新リンク列に対しても、リンクID503が別途連番で付与される。なお、最新リンク列601によって分断されることのないリンク列504b,504cについては、リンクID503の付与をおこなわない。
【0064】
(ナビゲーション装置がおこなう地図データ更新処理の一例)
つぎに、図7を用いて、ナビゲーション装置300がおこなう地図データ更新処理の一例について説明する。図7は、ナビゲーション装置300がおこなう地図データ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図7において、ナビゲーション装置300は、通信I/F313が外部の地図データ管理サーバから、最新道路地図データを受信したか否かを判断する(ステップS701)。なお、受信する最新道路地図データは、メッシュによって構成される最新の各階層のパーセルデータとリージョンデータである。最新道路地図データを受信するまで待機状態にあり(ステップS701:Noのループ)、最新道路地図データを受信すると(ステップS701:Yes)、リージョンデータのうち、リンクID503に含まれるエリアIDを用いてエリアを特定する(ステップS702)。
【0066】
そして、磁気ディスク305に記録されている道路地図データのリンク列のうち、新規道路に対応するリンクによって分断される分断リンク列を抽出する(ステップS703)。このあと、エリア内リンクIDが規定数(999)に達するか否かを判断する(ステップS704)。
【0067】
エリア内リンクIDが規定数に達しないと判断した場合(ステップS704:No)、分断リンク列および最新リンク列のリンクに対してエリア内リンクIDを付与する(ステップS705)。このあと、道路地図データを更新し(ステップS706)、すなわち、付与したエリア内リンクID等を保存し、一連の処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS704において、エリア内リンクIDが規定数に達すると判断した場合(ステップS704:Yes)、すなわち、エリア内リンクIDが999に達する場合、全てのリンクに対してエリア内リンクIDを振り直し(ステップS707)、ステップS706における道路地図データの更新をおこなう。
【0069】
なお、道路地図データは広域縮尺から詳細縮尺への階層化された構造となっているが、下位階層の道路地図データのみに変更があった場合、階層構造を保持するため、下位階層のリージョンデータと上位階層のリージョンデータとを対応付ける処理をおこなう。具体的には、たとえば、上位階層のリージョンデータに対しても、同様に、新たにエリア内リンクIDを付与する処理をおこなう。さらに、この場合、当該リージョンデータの下位階層に含まれる他のリージョンデータに対しても、同様に、新たにエリア内リンクIDを付与する処理をおこなう。なお、パーセルデータについては、リージョンデータの各階層に整合させることにより、階層間の対応付けをおこなう。このような処理を施すことにより、階層構造を保持することが可能である。
【0070】
以上説明したように、本実施例にかかるナビゲーション装置300によれば、分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、道路地図データをエリアごとに更新するようにした。したがって、リンク列の分断やデータサイズの増加を抑えることによりパフォーマンスの低下を抑制しながら、ある道路に対して新規道路が集中して追加されるようなことがあっても、少なくともエリアごとに設定されるリンクIDの規定数に達するまで、リンクIDを付与することができる。
【0071】
これにより、従来のように付与できるリンクIDがすぐに上限値に達してしまうということを抑制させることができる。この結果、永続的な更新をおこなうことができ、ナビゲーション装置300を有効に利用することができる。
【0072】
また、リンクIDに、当該リンクIDが示す道路が属するエリアIDおよび当該エリア内でユニークなエリア内リンクIDを含ませるようにし、さらに、リンク列に属する複数のリンクを、エリア内リンクIDが連番で付与されたものとしたので、リンクIDに対して必要な情報を有効に含ませることができる。
【0073】
また、所定のエリアにおいて付与されたエリア内リンクIDが規定数に達し、付与できるエリア内リンクIDが存在しない場合には、当該所定のエリアに含まれる全てのリンクに対してエリア内リンクIDを振り直して、道路地図データを更新するようにしたので、従来のように付与できるリンクIDがなくなってしまうということを抑制させることができる。したがって、永続的な更新をおこなうことができ、ナビゲーション装置300を有効に利用することができる。
【0074】
なお、更新にあたり、取得する最新道路地図データは、メッシュによって構成される最新のパーセルデータとリージョンデータとを用いたが、このほかにも、変更箇所が含まれる各階層のメッシュデータの中から、更新における差分のみを抽出したバイナリ差分データを用いることも可能である。このように、バイナリ差分データを用いれば、更新時におけるデータサイズを抑えることができ、更新時間を短縮させ、簡単に更新をおこなうことができる。
【0075】
以上説明したように、本発明の地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラム、および記録媒体によれば、少なくともエリアごとに設定されるリンクIDの規定数に達するまで、リンクIDを付与することができ、地図データの更新を永続的におこなうことができる。
【0076】
なお、本実施例で説明した更新地図データ作成方法および地図データ更新方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態にかかる地図データ更新装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる地図データ更新装置の地図データ更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施例にかかる道路地図データのエリア分割の一例を示した説明図である。
【図5】本実施例にかかる道路地図データのリンクの一例を示した説明図である。
【図6】更新時におけるリンクIDの付与の一例を示した説明図である。
【図7】ナビゲーション装置がおこなう地図データ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
100 地図データ更新装置
101 記録部
102 取得部
103 抽出部
104 更新部
300 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクの集合で示された道路ネットワークを含み、複数のエリアに区分された道路地図データであって同一の属性を有する複数のリンクに対してリンクIDを連番で付与して束ねたリンク列の情報を含む道路地図データを記録する記録手段と、
前記道路ネットワークの変更箇所の情報が含まれるエリアごとの最新道路地図データを取得する取得手段と、
前記記録手段に記録されている道路地図データのリンク列のうち、前記最新道路地図データに含まれる新規道路に対応するリンクによって分断されるリンクが属するリンク列(以下「分断リンク列」という)を抽出する抽出手段と、
前記分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、前記記録手段に記録されている道路地図データをエリアごとに更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする地図データ更新装置。
【請求項2】
前記リンクIDは、当該リンクIDが示す道路が属するエリアのID(以下「エリアID」という)および当該エリア内でユニークなID(以下「エリア内リンクID」という)を含んで構成されており、
前記リンク列に属する複数のリンクには前記エリア内リンクIDが連番で付与されており、
前記更新手段は、前記分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにエリア内リンクIDを連番で付与し、前記記録手段に記録されている道路地図データを更新することを特徴とする請求項1に記載の地図データ更新装置。
【請求項3】
前記更新手段は、所定のエリアにおいて付与された前記エリア内リンクIDが規定数に達し、付与できるエリア内リンクIDが存在しない場合には、当該所定のエリアに含まれる全てのリンクに対してエリア内リンクIDを振り直して、前記道路地図データを更新することを特徴とする請求項2に記載の地図データ更新装置。
【請求項4】
リンクの集合で示された道路ネットワークを含み、複数のエリアに区分された道路地図データであって同一の属性を有する複数のリンクに対してリンクIDを連番で付与して束ねたリンク列の情報を含む道路地図データを記録する記録部の当該道路地図データを更新する地図データ更新装置における地図データ更新方法であって、
前記道路ネットワークの変更箇所の情報が含まれるエリアごとの最新道路地図データを取得する取得工程と、
前記記録部に記録されている道路地図データのリンク列のうち、前記最新道路地図データに含まれる新規道路に対応するリンクによって分断されるリンクが属するリンク列(以下「分断リンク列」という)を抽出する抽出工程と、
前記分断リンク列に属する複数のリンクに対して、エリアごとに設定される規定数の範囲内で新たにリンクIDを連番で付与し、前記記録部に記録されている道路地図データをエリアごとに更新する更新工程と、
を含むことを特徴とする地図データ更新方法。
【請求項5】
請求項4に記載の地図データ更新方法をコンピュータに実行させることを特徴とする地図データ更新プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の地図データ更新プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−300405(P2009−300405A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158546(P2008−158546)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】