説明

地図更新データ作成方法及び装置並びにナビゲーション装置

【目的】地図更新する場合であっても短時間で音楽CDやDVDビデオなどの鑑賞を可能にする「地図更新データ作成方法及び装置並びにナビゲーション装置」を提供することである。
【構成】)地図データを保存する大容量記憶部に設定サイズの地図更新データコピー領域を設け、記録媒体に記録された地図更新データのうち新地図ファイルを用いて作成された地図更新データに基づいて大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換え、しかる後、該新地図ファイルを用いて作成された地図更新データを除いた地図更新データを記録媒体から大容量記憶部の地図更新データコピー領域に読み込み、ついで、該地図更新データと大容量記憶部の地図ファイルとを用いて新地図ファイルを生成して該大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図更新データ作成方法及び装置並びにナビゲーション装置に係わり、特に多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するための地図更新データ作成方法および装置並びに地図更新データを用いて地図を更新するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、車両の現在位置に応じた地図データをCD−ROM、DVD,HDD等の記録媒体から読み出してディスプレイ画面に描画すると共に、車両マークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示し、走行に応じて地図をスクロ−ル表示する。地図データは、(1) ノ−ドデータや道路リンクデータ、交差点データ等からなる道路レイヤと、(2) 地図上のオブジェクトを表示するための背景レイヤと、(3) 市町村名などを表示するための文字レイヤなどから構成され、ディスプレイ画面に表示される地図画像は、背景レイヤと文字レイヤに基づいて発生され、マップマッチング処理や誘導経路の探索処理は道路レイヤに基づいて行われる。また、ナビゲーション装置は以上に加えて、出発地から目的地までの誘導経路を探索し、該誘導経路を地図上に表示する経路誘導機能や地図上に所定のPOIマーク(ランドマーク)を表示するPOI表示機能を備えている。
【0003】
ところで、新道路建設等による地形データの変更、施設のオープン/閉鎖、宅地整備その他の理由で記録媒体に記憶されている地図データは時間の経過と共に陳腐化する。このため、地図データをハードディスクHDD等の地図記憶部に記録しておき、地図データに変更があったとき該ハードディスクHDDの地図データを最新の地図データで書き替える方法が提案されている(特許文献1参照)。この従来技術において、新地図データと旧地図データの差分を記録した更新DVDを購入してハードディスクHDDの旧地図データを新地図データに更新するようにしている。このようにすれば、ハードディスクHDDに記録されている地図データを用いてナビゲーション制御ができ、しかも、地図更新時に音楽やビデオ観賞用のDVD再生機を更新DVDの再生に兼用でき、しかも、地図更新していないときはナビゲーション制御しながら音楽やビデオを鑑賞することが可能となる
【0004】
図16は地図更新データ作成装置による更新DVD作成の概略説明図である。
地図データは多数のファイルから構成されているから、地図更新データ作成装置は、ファイル毎に新バージョン(Ver 2)の新地図ファイルNFLと旧バージョン(Ver 1)の旧地図ファイルOFLの差分を抽出する処理を行なって差分データDFL1〜DFLNを作成し、しかる後、全差分データをまとめて地図更新データを作成し、該地図更新データをDVDに書込んで更新DVD 1を作成する。
図17は更新DVDを用いてハードディスクHDDの地図データを新地図データに更新するナビゲーション装置の更新処理説明図である。地図更新に際して、ナビゲーション装置のハードディスク読取部2はハードディスク3からバージョン1(Ver 1)の旧地図ファイルOFLを読み取って更新処理部4に入力し、DVD再生部5は更新DVD 1から地図更新データ(差分データ)を読み取って更新処理部4に入力する。更新処理部4は、差分データとVer 1の地図ファイルOFLを用いてファイル毎にVer 2の新地図ファイルNFLを生成し、ハードディスク書込み部6は該新地図ファイルNFLで旧地図ファイルOFLを書き替える。
しかし、従来技術の地図更新は数時間以上の長時間を必要とし、新地図ファイルをそのままDVDに格納して該DVDからハードディスクHDDに単純にコピーする場合より、時間がかかってしまう。これは、旧地図ファイルと差分データとから新地図ファイルを作成する処理や旧地図ファイルの読み込みに時間がかかる為である。このため、地図更新において更新DVDが必要な長時間、他の音楽CDやDVD ビデオなどを鑑賞できない問題がある。
【0005】
そこで、差分DVDを使用せず新地図データをDVDに書込んでハードディスクに直接コピーする方法が考えられる。しかし、現在の地図データのデータ量は15Gバイト程度あり、全地図データを書込むには8.5GバイトのDVD2枚を必要となる。このように地図データがDVD2枚に分かれてしまうと、バックグラウンド更新処理が実現出来なくなる。バックグラウンド更新処理とは以下の地図更新処理である。
(1)第1のバックグラウンド更新処理
ナビゲーション装置は、ナビゲーション処理と地図更新処理を並行して行なう際、ナビゲーション処理を優先して実行し、ナビゲーション処理の空き時間に地図更新処理を行なう。
(2)第2のバックグラウンド更新処理
ナビゲーション装置の地図更新処理部は、地図更新処理を北から南に向けて順番に行なうが(全更新処理)、ナビゲーション処理部より更新済みでない地域の地図ファイルが要求されると全更新処理を中断して該要求された地域の地図データを更新し(随時更新処理)、随時更新処理終了後に全更新処理を再開する。ナビゲーション処理部はこの随時更新された新地図ファイルに基づいてナビゲーション制御を行なう。
【0006】
以上から、本出願人は従来技術を発展させて地図更新データを1枚のDVDに収まるように少なくし、かつ、地図更新処理時間を短縮する方法を提案している(特願2005−352807号)。図18−図21はかかる方法の概略説明図である。
新地図ファイルと旧地図ファイルの差分データを用いて、ナビゲーション装置のハードディスクHDDに記憶されている旧地図ファイルを新地図ファイルに書き替えるための処理時間は、図18に示すように、差分データのサイズ率ηが大きくなるほど長くなる。サイズ率ηはたとえば次式
η=(差分データサイズ×100)/(新地図のデータサイズ) (%) (1)
で計算される値である。
【0007】
図19は差分データ作成方法説明図であり、新地図データNEWMと旧地図データOLDMをバイト単位で比較し,(1)新地図データ領域と一致する旧地図データ領域を検索し、該旧地図データ領域の先頭アドレスとサイズ、(2)旧地図データと一致しない新地図データの組を順番に配列して前記差分データを作成する。図19において、矢印で双方を指し示している個所が新旧で同一の領域である。旧地図データOLDMにおける不一致領域データDLTMは破棄され、新地図データNEWMにおける不一致領域データA〜Dは差分データとして追加される。同一の旧地図データ領域は、該領域の先頭アドレスADiとサイズSiで特定される。図19の例では、差分データは図20に示すようになる。すなわち、
差分データの構成は、
・新地図ファイル:Aデータ
・旧地図ファイル:1データ指定(先頭アドレスAD1,サイズS1)
・新地図ファイル:Bデータ
・旧地図ファイル:3データ指定(先頭アドレスAD3,サイズS3)
・新地図ファイル:Cデータ
・旧地図ファイル:2データ指定(先頭アドレスAD2,サイズS2)
・新地図ファイル:Dデータ
となる。
【0008】
サイズ率が小さい程、旧地図ファイルと新地図ファイルとの一致するデータサイズ部分が大きくなり、旧地図ファイルと新地図ファイルとが不一致となる箇所数が少なくなり、更新処理時間は短くなる。一方、サイズ率が大きい程、旧地図ファイルと新地図ファイルとが異なるデータサイズ部分が大きくなり、旧地図ファイルと新地図ファイルとが不一致となる箇所数が多くなり更新処理時間が長くなる。この結果、サイズ率と処理時間の関係は図18に示すようになる。
ところで、新地図ファイルをそのまま更新DVDに格納して該更新DVDからハードディスクHDDに単純にコピーする場合の方が、差分データと旧地図ファイルを用いて新地図ファイルデータを作成してハードディスクHDDに書込むより処理時間が短い。しかし、新地図ファイルを地図更新データとする方が、差分データを地図更新データとする場合よりデータ量が多い。すなわち、処理時間を重視すると新地図ファイルを用いて地図更新データを作成して更新DVDに格納した方が有利となり、データ量を重視すると差分データを用いて地図更新データを作成して更新DVDに格納した方が有利となる。
そこで、差分データのサイズ率ηが設定サイズ率SPより大きければ新地図ファイルを用いて地図更新データ(地図更新実体ファイル)とし、一方、サイズ率ηが設定サイズ率SPより小さければ差分データを用いて地図更新データ(地図更新実体ファイル)として更新DVDに記録する。このようにすれば、全地図の地図更新データが1枚の更新DVDに収容可能となり、しかも、多くの新地図ファイルを地図更新実体ファイルとして更新DVDに記録できるため、地図更新の処理時間を短縮できる。なお、設定値サイズ率SPの値は、DVD1枚(8.5Gバイト)に収まる様に調整する。
【0009】
図21は上記により、地図更新実体ファイルを作成するために新地図ファイルを使用するか、差分データを使用するか決定する制御の説明図であり、設定サイズ率SP=10(%)としている。ファイル1、ファイル3はそれぞれサイズ率η=9%、5%で、SP=10%より小さいため、差分データを使用して地図更新実体ファイルを作成する。一方、ファイル2、ファイル4はそれぞれサイズ率η=40%、90%で、SP=10%より大きいため、新地図ファイルを使用して地図更新実体ファイルを作成する。なお、図21では説明上4ファイルとしたが、実際には数10万ファイル程存在する。
【特許文献1】特開2004−287705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図18−図21に示す提案方法によれば、地図更新データが1枚の更新DVDに収容可能となり、しかも、地図更新の処理時間を従来技術に比べて短縮できる。しかし、提案方法でも更新処理になお相当の時間を必要とし、その間、他の音楽CDやDVD ビデオなどを鑑賞できない。このため、地図更新する場合であっても音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞できない時間を更に短縮することが要望されている。
以上から、本発明の目的は、地図更新する場合であっても音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞できない時間を短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
・地図更新データ作成方法
上記課題は本発明によれば、多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するための地図更新データ作成方法により達成される。本発明の地図更新データ作成方法は、更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルを用いて差分データを作成するステップ、前記差分データのサイズ率を計算するステップ、前記サイズ率が設定サイズ率より大きければ前記新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ前記差分データを用いて地図更新データを作成するステップ、前記地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ部分を削除した残りの地図更新データのデータサイズが設定サイズより小さくなるように前記設定サイズ率を決定するステップを有している。
前記設定サイズ率決定ステップにおいて、前記地図更新データ作成のために使用した全差分データのデータサイズに所定データサイズを加算した総データサイズが前記設定サイズより小さく、かつ、該設定サイズの所定割合以上となるように前記設定サイズ率を決定する。
【0012】
・地図更新データ作成装置
上記課題は本発明によれば、多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するための地図更新データ作成装置により達成される。本発明の地図更新データ作成装置は、更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルを用いて差分データを作成する差分データ作成部、前記差分データのサイズ率を計算するサイズ率計算部、前記サイズ率が設定サイズ率より大きければ前記新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ前記差分データを用いて地図更新データを作成する地図更新データ作成部、前記地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ部分を削除した残りの地図更新データのデータサイズが設定サイズより小さくなるように前記設定サイズ率を決定する設定サイズ率決定部を有している。
【0013】
・ナビゲーション装置
上記課題は本発明によれば、多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するために地図更新データを用いて旧地図データを更新するナビゲーション装置により達成される。本発明のナビゲーション装置は、(1)更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルとを用いて差分データを作成し、該差分データのサイズ率が設定サイズ率より大きければ該新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ該差分データファイルを用いて作成された地図更新データであり、該地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ部分を削除した残りの地図更新データのデータサイズが設定サイズより小さくなるように前記設定サイズ率を決定して作成された地図更新データを保持する記録媒体、(2)地図データを保存する地図データ領域と前記設定サイズの地図更新データコピー領域とを備えた大容量記憶部、(3)前記記録媒体に記録された地図更新データのうち新地図ファイルを用いて作成された地図更新データに基づいて前記大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換え、しかる後、新地図ファイルを用いて作成された地図更新データを除いた地図更新データを記録媒体から大容量記憶部の地図更新データコピー領域に読み込み、ついで、該地図更新データと大容量記憶部の地図ファイルとを用いて新地図ファイルを生成して該大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換える地図更新処理部を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のナビゲーション装置によれば、地図データを保存する大容量記憶部(例えばハードディスクHDD)に設定サイズの地図更新データコピー領域を設け、地図更新処理部は、記録媒体に記録された地図更新データのうち新地図ファイルを用いて作成された地図更新データに基づいて前記大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換え、しかる後、新地図ファイルを用いて作成された全地図更新データを除いた地図更新データを記録媒体から大容量記憶部の地図更新データコピー領域に読み込み、ついで、該地図更新データと大容量記憶部の地図ファイルとを用いて新地図ファイルを生成して該大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換えるようにしたから、地図更新データ部分を全て記録媒体から大容量記憶部の地図更新データコピー領域に読み込んだ時点で、前記記録媒体(DVD,CDなど)を排出でき、音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞が可能になる。すなわち、本発明によれば、地図更新する場合であっても音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞できない時間を短縮することができる。
又、本発明の地図更新データ作成方法及び装置によれば、旧地図ファイルと新地図ファイルを用いて差分データを作成し、該差分データのサイズ率が設定サイズ率より大きければ新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ差分データを用いて地図更新データを作成し、地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データを削除した残りの地図更新データ部分のデータサイズが設定サイズ(大容量記憶部の地図更新データコピー領域のサイズ)より小さくなるように前記設定サイズ率を決定するようにしたから、新地図ファイルを用いて作成された地図更新データを除いた地図更新データを記録媒体から大容量記憶部の地図更新データコピー領域に確実に格納することができる。
又、本発明の地図更新データ作成方法及び装置によれば、設定サイズ率決定ステップにおいて、前記地図更新データ作成のために使用した全差分データのデータサイズに所定データサイズを加算した総データサイズが前記設定サイズより小さく、かつ、該設定サイズの所定割合以上となるように前記設定サイズ率を決定するため、大容量記憶部の地図更新データコピー領域にほぼ満杯近く差分データを用いて作成した地図更新データを格納でき、これにより新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ量を少なくできる。この結果、新地図ファイルを用いて作成した地図更新データに基づいた地図更新時間を短縮でき、更新開始後、短時間で記録媒体(更新DVD)を排出し、音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞が可能になる。すなわち、本発明によれば、地図更新する場合であっても音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞できない時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するための地図更新データ作成装置において、差分データ作成部は更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルを用いて差分データを作成し、サイズ率計算部は前記差分データのサイズ率を計算し、地図更新データ作成部は前記サイズ率が設定サイズ率より大きければ前記新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ前記差分データを用いて地図更新データを作成して記憶媒体(例えば更新DVD)に記録し、設定サイズ率決定部は、前記地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ部分を削除した残りの地図更新データのデータサイズが設定サイズより小さくなるように前記設定サイズ率を決定する。
ナビゲーション装置において、地図データを保存する大容量記憶部(ハードディスク)に前記設定サイズの地図更新データコピー領域を設け、地図更新処理部は、前記記録媒体に記録された地図更新データのうち新地図ファイルを用いて作成された全地図更新データに基づいて前記大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換え、しかる後、新地図ファイルを用いて作成された地図更新データを除いた地図更新データを記録媒体から大容量記憶部の地図更新データコピー領域に読み込み、ついで、該地図更新データと大容量記憶部の地図ファイルとを用いて新地図ファイルを生成して該大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換える。
【実施例】
【0016】
(A)本発明の概略
・基本パターン
地図データを保存する大容量記憶装置(例えばハードディスクHDD)に地図更新データコピー領域を設け、該領域に地図更新データを全て格納できれば、地図更新に際して更新DVDに記録されている地図更新データを全て該地図更新データコピー領域に読み込めば更新DVD排出して、しかる後、音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞が可能になる。
そこで、設定サイズ率SPを100%に設定(可能な限り更新データの全体サイズを小さくする)し、以下の様な処理手順を行う。
(1)予めナビゲーション装置のハードディスクHDD上に地図更新データコピー用のパーテーションを作成しておく。図1は40GバイトのハードディスクHDDのパーテーション説明図であり、20Gバイトを地図データ記憶領域MAPA、5Gバイトを地図更新データコピー領域RNDA、15Gバイトを音楽用データ領域MUSAとする。
(2)図2に示すように、差分更新処理に必要な地図更新データRNEWMPを更新DVDからハードディスクHDDの地図更新データコピー領域RNDAに全てコピーを行う。
(3)この段階で、DVDドライブから更新DVDの排出が可能になり、音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞が可能になる。
(4)しかる後、ナビゲーション装置の地図更新処理部は、HDD内の地図更新データを使い、地図の差分更新処理を行う。
【0017】
・特殊パターン
基本パターンでは地図更新データRNEWMPが地図更新データコピー領域RNDAに全てコピー可能な場合であるが、全てをコピーできない場合がある。かかる場合、図3に示すようにして更新データの作成及び地図更新を行なう。
(a)地図更新データ作成の概略
(1)更新すべき旧地図ファイルOLDMと新地図ファイルNEWMを用いて差分データを作成する。
(2)差分データのサイズ率ηを(1)式により計算する。
(3)前記サイズ率ηが設定サイズ率SPより大きければ新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ差分データを用いて地図更新データを作成する。更新すべき全ての旧地図ファイルについて同様の処理を行って地図更新データRNEWMPを作成してDVD(更新DVD)に記録する。
このとき、設定サイズ率SPは、地図更新データRNEWMPより新地図ファイルを用いて作成した地図更新データRNEW1を削除した残りの地図更新データRNEW2のデータサイズが設定サイズ(地図更新データコピー領域RNDAのサイズ)より小さくなるように決定する。
【0018】
(b)地図更新処理の概略
(1)更新DVDに記録された地図更新データRNEWMPのうち新地図ファイルを用いて作成した地図更新データRNEW1に基づいてハードディスクHDDに記憶されている旧地図ファイルを書き換える。
(2)該地図更新データRNEW1による地図書き換え処理終了後、更新DVDに記録されている地図更新データRNEW1以外の地図更新データRNEW2を全てDVDから読み取ってハードディスクの地図更新データコピー領域RNDAに読み込み、更新DVD をDVDドライブから排出する。
(3)しかる後、ハードディスクに記憶された地図更新データRNEW2と旧地図ファイルとを用いて新地図ファイルを生成し、該旧地図ファイルを該新地図ファイルで書き換える。
【0019】
(B)地図更新データの作成処理
図4は旧地図データを新地図データに更新するための地図更新データRNEWMPを作成する地図更新データ作成装置10の構成図であり、作成した地図更新データRNEWMPをDVDに書込む例である。
地図ファイル入力部11は旧地図ファイルOLDMと新地図ファイルNEWMを差分抽出/処理部12入力する。差分抽出/処理部12は、図19〜図20で説明した方法により、ファイル毎に旧地図ファイルOLDMと新地図ファイルNEWMの差分データ を作成し、差分データのサイズ率ηを(1)式により計算し、該サイズ率ηが設定サイズ率SPより大きければ新地図ファイルを用いて地図更新データ(地図更新実体ファイル)を作成し、サイズ率ηが設定サイズ率SPより小さければ差分データを用いて地図更新実体ファイルを作成して地図更新データ格納部13に格納する。地図更新データ格納部13は更新すべき旧地図ファイル毎に地図を更新するための地図更新実体ファイルを地図更新データRNEWMPとして保存し、DVDレコーダ14からの要求により該地図更新データをDVDレコーダに入力し、DVDレコーダ14は地図更新データRNEWMPをDVD15に書込んで更新DVDを作成する。なお、DVDに替えてCD−ROM、半導体メモリ等任意の記録媒体を使用することができる。
差分抽出/処理部12において、差分データ作成部12aは、更新すべき旧地図ファイル毎に該旧地図ファイルOLDMと新地図ファイルNEWMの差分データを作成し、サイズ率計算部12bは(1)式により差分データのサイズ率ηを計算し、地図更新実体ファイル作成部12cは、該サイズ率ηが設定サイズ率決定部12dで決定した設定サイズ率SPより大きければ新地図ファイルを用いて地図更新実体ファイルを作成し、サイズ率ηが設定サイズ率SPより小さければ差分データを用いて地図更新実体ファイルを作成し、これらを地図更新データとして地図更新データ格納部13に格納する。設定サイズ率決定部12dは、作成された地図更新データRNEWMPより前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データRNEW1を削除した残りの地図更新データRNEW2のデータサイズ(図3参照)が設定サイズより小さくなるように設定サイズ率SPを決定する。
【0020】
(a)設定サイズ率SP決定処理
図5は設定サイズ率SP決定処理フローである。
差分データ作成部12aは新旧地図ファイルで一致しないファイルについて旧地図ファイルOLDMと新地図ファイルNEWMの差分データを作成し、差分データのサイズSを設定サイズ率決定部12dに入力し、またサイズ率計算部12bは該差分データのサイズ率ηを計算して設定サイズ率決定部12dに入力する(ステップ101)。
設定サイズ率決定部12dは入力された差分データのサイズS及びサイズ率ηを地図ファイル名(ファイルパス)に対応させて図6に示すリストを作成する(ステップ102)。なお、図6には新地図ファイルのデータサイズもリスト化しているが必ずしも必要ではない。
ついで、設定サイズ率決定部12dは設定サイズ率SPの初期値を100(%)とし(ステップ103)、サイズ率ηがSP以下のファイルの差分データのサイズを全て加算し、加算結果に更にその1割を加算した合計値を見積もりサイズとする(ステップ104)。なお、1割は一例であり、1割5分でもよい。
見積もりサイズが求まれば、該見積もりサイズと設定サイズの大小を比較する(ステップ105)。設定サイズはハードディスクHDDに設けられた地図更新データコピー領域RNDA(図1参照)のサイズである。
見積もりサイズが設定サイズより小さければ、ステップ105において「NO」となるから、設定サイズ率決定部12dは見積もりサイズと設定サイズの90%の大小を比較する(ステップ106)。なお、90%は一例であり、95%でもよい。
見積もりサイズが設定サイズの90%より大きければ、現サイズ率SPを最終的な設定サイズ率と決定して地図更新実体ファイル作成部12cに入力する(ステップ107)。
【0021】
一方、ステップ105において、見積もりサイズが設定サイズより大きければ、設定サイズ率SPを現在値の1/2にする(ステップ108)。ついで、サイズ率ηが設定サイズ率SP以下の差分データのデータサイズを全て加算し、加算結果に更にその1割を加算した合計値を見積もりサイズとする(ステップ109)。しかる後、ステップ105に戻り、以降の処理を繰り返す。
又、ステップ106において、見積もりサイズが設定サイズの90%より小さければ、設定サイズ率SPを現在値と前回の値の中間値にする(ステップ110)。ついで、サイズ率ηが設定サイズ率SP以下の差分データのデータサイズを全て加算し、加算結果に更にその1割を加算した合計値を見積もりサイズとする(ステップ109)。しかる後、ステップ105に戻り、以降の処理を繰り返す。
以上のように設定サイズ率SPを決定して地図更新データを作成すれば、地図更新時に、短時間で更新DVDを排出し、音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞が可能になる。すなわち、以上のように設定サイズ率SPを決定すれば、ハードディスクHDDの地図更新データコピー領域RNDAにほぼ満杯近く差分データを用いて作成した地図更新データRNE2(図3参照)を格納でき、これにより新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ量RNEW1を少なくできる。この結果、地図更新データRNEW1に基づいた地図更新時間を短縮でき、更新開始後、短時間で更新DVDに記録されている地図更新データ部分RNEW2を全て読み取って地図更新データコピー領域RNDAに格納して該更新DVDを排出でき、音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞が可能になる。
【0022】
(b)地図更新データの作成処理フロー
図7は地図更新データ作成装置10における差分抽出/処理部12の地図更新データの作成処理フローである。
まず、更新すべき旧地図ファイルOLDMと新地図ファイルNEWMを読み取る(ステップ201)。すなわち、新地図ファイルNEWMと旧地図ファイルOLDMを読み取って比較し、異なれば旧地図ファイルOLDMは更新すべきであると判断してステップ201の処理を終了する。しかし、一致していれば旧地図ファイルは更新すべきでないと判断して次の新地図ファイルと旧地図ファイルを読み取って比較し、新地図ファイルと旧地図ファイルが異なるまで繰返す。
ついで、更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルの差分データを作成する(ステップ202)。差分データが求まれば、該差分データのサイズ率ηを(1)式にしたがって計算し(ステップ203)、該サイズ率ηと設定サイズ率SPの大小を比較し(ステップ204)、η≧SPであれば、新地図ファイルを用いて地図更新実体ファイルADxxxx.dif(地図更新データ)を作成し(ステップ205)、生データフラグをオンして更新データ格納部13に保存する(ステップ206)。なお、新地図ファイルを用いて作成した地図更新実体ファイルのファイル名をADxxxx.dif(xxxxは追番)とし、差分データを用いて作成した地図更新実体ファイルと区別する。
一方、ステップ204において、η<SPであれば、差分データを用いて地図更新実体ファイルUPxxxx.dif(地図更新データ)を作成し(ステップ207)、生データフラグをオフして更新データ格納部13に保存する(ステップ208)。なお、差分データを用いて作成した地図更新実体ファイルのファイル名をUPxxxx.dif(xxxxは追番)とし、新地図ファイルを用いて作成した地図更新実体ファイルと区別する。
しかる後、更新すべき旧ファイルが存在するかチェックし(ステップ209)、存在すればステップ201以降の処理を繰返えす。更新すべきファイルが存在しなくなれば、地図更新実体ファイルで構成された地図更新データをDVDに書込んで更新DVD15を作成する(ステップ210)。
【0023】
(C)地図更新処理
(a)ナビゲーション装置
図8は地図更新データを用いて地図更新を行う機能を備えたナビゲーション装置の構成図であり、地図記憶部(例えばハードディスクHDD) 21にはナビゲーション用の地図データがファイル形式で記録されており、ハードディスクドライブ22はナビゲーション制御装置23からの指示に従ってハードディスク21から地図データを読み出し、かつ該ハードディスクに新地図データを書込めるようになっている。DVD再生部24は更新DVD 15から地図更新データRNEWMPを読み取ってナビゲーション制御装置23に入力する。車両位置検出部25は自動車位置を検出してナビゲーション制御装置23に入力する。これによりナビゲーション制御装置は地図データを用いてナビゲーション制御が可能となる。データ入力部26は、タッチパネル、リモコンなどであり、各種コマンドやデータを入力し、外部通信インターフェース27は携帯電話、インターネット等を介して外部装置と通信する。モニター装置28はナビゲーション用の地図を表示したり、適宜操作メニュー画像を表示する。ナビゲーション音声案内部29は接近した交差点における案内(右左折方向、交差点までの距離等)を音声でユーザに通知する。
【0024】
ナビゲーション制御装置23はナビゲーション処理部PR1と地図更新処理部PR2を備え、ナビゲーション処理と地図更新処理を行なう。地図更新処理において、地図更新処理部PR2は更新DVD15から読み取った地図更新データRNEWMPを用いてハードディスク21に記憶されている地図データ(旧地図データ)を更新する。ナビゲーション制御装置は、ナビゲーション処理と地図更新処理を並行して行なう場合には、ナビゲーション処理部PR1によるナビゲーション処理を優先して実行し、ナビゲーション処理の空き時間に地図更新処理部PR2による地図更新処理を行なう。また、地図更新処理部PR2は地図更新処理をたとえば北から南に向けて、すなわち北海道から九州に向けて順番に行なうが(全更新処理)、ナビゲーション処理において更新済みでない地域の地図ファイルが要求された場合には全更新処理を中断して該地域の地図データを更新し(随時更新処理)、随時更新処理終了後に全更新処理を再開する。ナビゲーション処理部PR1は随時更新された新地図ファイルに基づいてナビゲーション制御を行う(バックグラウンド制御)。
【0025】
(b)地図更新処理フロー
図9はナビゲーション制御装置における地図更新処理のフローである。
更新DVD15をDVD再生装置24に装填して地図更新処理を開始すれば、ナビゲーション制御装置23の地図更新処理部PR2は該更新DVD15より地図更新データを読み出し、生データフラグを参照して新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ(地図更新実体ファイルADxxxx.dif)であるか判別する。地図更新実体ファイルADxxxx.difであれば、該地図更新実体ファイルADxxxx.difを用いてナビゲーション装置のハードディスク21に記憶されている旧地図ファイルを新地図ファイルに書き換える(ステップ301)。ついで、全ての地図更新実体ファイルADxxxx.difによる更新処理を終了したかチェックし(ステップ302)、終了しなければステップ301に戻り以降の処理を繰返す。
全ての地図更新実体ファイルADxxxx.difによる更新処理を終了すれば、更新DVD15より全ての地図更新実体ファイルADxxxx.difを除いた残りの地図更新データを全て読み取ってハードディスク21の地図更新データコピー領域RNDAに格納する(ステップ303)。これにより、更新DVD15は地図更新に必要でなくなるから、以後、ユーザは更新DVD15を排出し、音楽やビデオ用DVDを再生することができる(ステップ304)。
ついで、ナビゲーション制御装置23はハードディスク21の地図更新データコピー領域RNDAから地図更新実体ファイルUPxxxx.difを読み出し、ハードディスクHDDより旧地図ファイルを読み出し、これらにより新地図ファイルを作成し(ステップ305)、該新地図ファイルを用いてハードディスクHDD内の旧地図ファイルを書き換える(ステップ306)。ついで、差分データを用いて作成した全地図更新実体ファイルUPxxxx.difによる更新処理を終了したかチェックし(ステップ307)、終了してなければステップ305に戻り次の地図更新実体ファイルUPxxxx.difについて上記処理を繰返す。
このようにすれば、地図更新実体ファイルADxxxx.difを除いた残りの地図更新データをハードディスク21の地図更新データコピー領域RNDAに格納した時点で更新DVDが不用になるため、音楽あるいはビデオ観賞用DVDの再生が可能になる。
【0026】
(D)地図データ
図10、図11は地図データの説明図である。地図データは図10(A)に示すように、機能(DATA,FREEWAY,MAP,POI,RC,RG,STREET,TOLL,VICS)それぞれについて、レベル毎あるいはエリアや検索ツリー毎に細かく分割してディレクトリ構造で作成されてハードディスクHDD 21に記録されている。各機能において、DATAはランドマークやジャンクションマップデータ等、FREEWAYは高速道路データ、MAPは地図データ、POIは情報検索データ、RCは誘導経路探索データ、RGは経路誘導データ等である。
地図データMAPは、ディレクトリ構造になっており、詳細地図(レベル00)から広域地図(レベル06)まで7段階のレベルを有し、各レベルの地図をメッシュで分割した時、メッシュ毎に地図表示用データファイルMP XXXX.mba、RF XXX.mbaを備えている。図10(A)では、レベル06の地図(日本全国地図)が4つのメッシュに分割され、各メッシュの地図表示用データファイルがMP 0000.mba〜MP 0003.mba、RF 0000.mba〜RF 0003.mbaであることが示されている。なお、ファイルMP XXXX.mbaは背景、文字、シンボル表示用データであり、ファイルRF XXX.mbaは道路形状表示データである。
図10(B)は、レベル1の地図が5個の1次メッシュに分割され、1次メッシュが更に7個の2次メッシュに分割され、所定の2次メッシュの表示用データファイルがMP 0000.mbaとRF 0000.mbaであることが示されている。以上より、Level01ディレクトリ→1st3927ディレクトリ→2nd0005ディレクトリの順に追って必要な地図表示データファイルMP 0000.mba、RF 0000.mbaを取得することができる。
図11(A)は情報検索データPOIの構成例であり、住所検索、住所50音検索、建物検索、高速路線検索、施設検索、電話番号検索.....が可能となるようにそれぞれの検索項目毎にディレクトリ構造になっている。
図11(B)は高速路線検索データFREEWAYの構造例であり、高速路線検索データFREEWAYには2つの子ディレクトリLIST,P Tree00.mbaが接続されている。P Tree00.mbaは、検索ツリーを表現するファイルである。ディレクトリLISTには9個の地方(北海道、東北、関東、…、九州)に応じてList 000〜List 008が接続し、北海道リストList 000には10個の高速路線を示すファイルP list000.mba〜P list009.mbaが接続されている。
【0027】
(E)地図更新データ
図12〜図15は地図更新データ説明図である。地図更新データには図12(A)に示すように、更新をかけるファイルが接続する機能ディレクトリ(DATA,FREEWAY,MAP,POI,RC,RG,STREET,TOLL,VICS)とIndex.difファイルが接続されている。Index.difファイルは、(1)更新前後のバージョン番号、(2)更新をかける必要がある総変更ファイル数、(3)更新すべき機能ディレクトリの数などを特定する。
地図更新実体ファイルは、機能毎にディレクトリ構造で指し示されるようになっている。図12(B)は、機能RG(経路誘導データ)のディレクトリ構造説明図であり、機能ディレクトリRGにディレクトリUP000とInfo0000.difが接続されている。
UP000は差分データを用いて作成した地図更新実体ファイル(UP000.dif〜UP002.dif)を指し示すためのディレクトリ、Info0000.dif は複数の下位の差分更新対応レコード#0〜#N及び差分更新情報レコードを指し示すディレクトリである。
【0028】
差分更新対応レコードは図13(A)に示すように、以下の情報
(1)処理状態(着目しているディレクトリより下位のディレクトリが処理済みであるか否か)、
(2)着目ディレクトリのディレクトリ名、
(3)サブディレクトリ(下位のディレクトリ)
(4)着目ディレクトリに存在するファイル数、
(5)サブディレクトリに対応する差分更新対応レコード番号、
(6)着目ディレクトリ下のファイルに対応する差分更新情報レコード番号
を有している。
図13(B)のディレクトリ構造を例にして説明すると、着目ディレクトリがMBA\RG\LEVEL01であるとすれば、ディレクトリ名は“LEVEL01"である。また、サブディレクトリ数は3であり、このディレクトリに存在するファイル数は0である。サブディレクトリ数が3であるから、3つの該サブディレクトリの差分更新対応レコード番号#X(1st 3622),#X+1(1st 3623),#X+2(1st 3624)が特定されている。しかし、このディレクトリに存在するファイル数は0であるため、差分更新情報レコード番号は一つも特定されていない。
【0029】
図14は差分更新対応レコードの別の例であり、着目ディレクトリがMBA\RG\LEVEL01\1st3622であり、ディレクトリ名は"1st3622"である。サブディレクトリ数が0であるから差分更新対応レコード番号は一つも特定されていない。しかし、このディレクトリに存在するファイル数が2であるため、2つの差分更新情報レコード番号(地図更新実体ファイルを特定する) 1st 3622、1st 3623が記入されている。
図15は地図更新実体ファイルを特定する差分更新情報レコードの例であり以下の情報
(1)処理状態(更新対象の地図ファイルが処理済みであるか否か)、
(2)更新対象の地図ファイルのファイル名、
(3)生データフラグ(地図更新実体ファイルが新地図ファイルに基づいたファイルであるか差分データに基づいたファイルであるかの別)
(4)地図更新実体ファイルのファイル番号、
(5)地図更新実体ファイルの先頭からのオフセット、
(6) 地図更新実体ファイルのデータサイズ
を有している。
地図更新実体ファイル番号が示す地図更新実体ファイルは、生データフラグがオンであれば新地図ファイルを用いて作成したもので、ファイル番号はADxxxx.dif (xxxxは0からの追番)となり、生データフラグがオフであれば差分データを用いて作成したもので、ファイル番号はUPxxxx.dif (xxxxは0からの追番)となる。
以上本発明によれば、地図更新時間を短縮でき、しかも、更新DVDは1枚であるためバックグラウンド更新を行なうことができる。
又、本発明によれば、地図更新する場合であっても音楽CDやDVD ビデオなどの鑑賞できない時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】40GバイトのハードディスクHDDのパーテーション説明図である。
【図2】本発明の概略説明図である。
【図3】本発明の別の概略説明図である。
【図4】地図更新データ作成装置の構成図である。
【図5】設定サイズ率SP決定処理フローである。
【図6】差分データサイズS及びサイズ率ηをファイル名(ファイルパス)に対応させてリスト化した例である。
【図7】地図更新データの作成処理フローである。
【図8】ナビゲーション装置の構成図である。
【図9】ナビゲーション制御装置の地図更新処理フローである。
【図10】地図データの説明図である。
【図11】地図データの別の説明図である。
【図12】更新データの説明図である。
【図13】差分更新対応レコードの説明図である。
【図14】差分更新対応レコードの別の説明図である。
【図15】差分更新情報レコードの説明図である。
【図16】地図更新データ作成装置による更新DVD作成の概略説明図(従来技術)である。
【図17】更新DVDを用いてハードディスクHDDの旧地図データを新地図データにするナビゲーション装置の更新処理説明図(従来技術)である。
【図18】サイズ率と処理時間の関係である。
【図19】差分データ作成方法説明図である。
【図20】差分データ説明図である。
【図21】更新処理用ファイルとして新地図ファイルを使用するか、差分データを使用するか決定する制御の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
10 地図更新データ作成装置
11 地図ファイル入力部
12 差分抽出/処理部
12a 差分データ作成部
12b サイズ率計算部
12c 地図更新実体ファイル作成部
12d 設定サイズ率決定部
13 地図更新データ格納部
14 DVDレコーダ
15 更新DVD


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するための地図更新データ作成方法において、
更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルを用いて差分データを作成するステップ、
前記差分データのサイズ率を計算するステップ、
前記サイズ率が設定サイズ率より大きければ前記新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ前記差分データを用いて地図更新データを作成するステップ、
前記地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ部分を削除した残りの地図更新データのデータサイズが設定サイズより小さくなるように前記設定サイズ率を決定するステップ、
を有することを特徴とする地図更新データ作成方法。
【請求項2】
前記地図更新データ作成のために使用した全差分データのデータサイズに所定データサイズを加算した総データサイズが前記設定サイズより小さく、かつ、該設定サイズの所定割合以上となるように前記設定サイズ率を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の地図更新データ作成方法。
【請求項3】
多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するための地図更新データ作成装置において、
更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルを用いて差分データを作成する差分データ作成部、
前記差分データのサイズ率を計算するサイズ率計算部、
前記サイズ率が設定サイズ率より大きければ前記新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ前記差分データを用いて地図更新データを作成する地図更新データ作成部、
前記地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ部分を削除した残りの地図更新データのデータサイズが設定サイズより小さくなるように前記設定サイズ率を決定する設定サイズ率決定部、
を有することを特徴とする地図更新データ作成装置。
【請求項4】
設定サイズ率決定部は、前記地図更新データ作成のために使用した全差分データのデータサイズに所定データサイズを加算した総データサイズが前記設定サイズより小さく、かつ、該設定サイズの所定割合以上となるように前記設定サイズ率を決定する、ことを特徴とする請求項3記載の地図更新データ作成装置。
【請求項5】
多数のファイルで構成されている旧地図データを新地図データに更新するために地図更新データを用いて旧地図データを更新するナビゲーション装置において、
更新すべき旧地図ファイルと新地図ファイルとを用いて差分データを作成し、該差分データのサイズ率が設定サイズ率より大きければ該新地図ファイルを用い、サイズ率が設定サイズ率より小さければ該差分データを用いて作成された地図更新データであり、該地図更新データから前記新地図ファイルを用いて作成した地図更新データ部分を削除した残りの地図更新データのデータサイズが設定サイズより小さくなるように前記設定サイズ率を決定して作成された地図更新データを保持する記録媒体、
地図データを保存する地図データ領域と前記設定サイズの地図更新データコピー領域とを備えた大容量記憶部、
前記記録媒体に記録された地図更新データのうち新地図ファイルを用いて作成された全地図更新データに基づいて前記大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換え、しかる後、新地図ファイルを用いて作成された地図更新データを除いた地図更新データを記録媒体から大容量記憶部の地図更新データコピー領域に読み込み、ついで、該地図更新データと大容量記憶部の地図ファイルとを用いて新地図ファイルを生成して該大容量記憶部に記憶されている地図ファイルを書き換える地図更新処理部、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−199576(P2007−199576A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20437(P2006−20437)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(500230347)株式会社エムビーエイ (22)
【Fターム(参考)】