基板テーブル、基板位置の測定方法、およびリソグラフィ装置
【課題】高精度の位置決めを実現する。
【解決手段】放射が光学アーム10a,10bの中を通るように配された第1の窓および第2の窓を含む光学システムが、基板テーブルに設けられる。少なくとも2つのミラー12が、前記光学アーム10a,10b内に設けられ、かつ前記窓を通過した放射を反射するように配される。少なくとも2つのレンズ16,18が、前記ミラー12から反射された放射を受けるように位置付けられ、前記第1の窓には第1のアライメントマークWM1が設けられ、かつ前記少なくとも2つのミラー12および前記少なくとも2つのレンズ16,18は、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像20aを形成するように配される。第2のアライメントマークWM1が、前記第2の窓の中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる。
【解決手段】放射が光学アーム10a,10bの中を通るように配された第1の窓および第2の窓を含む光学システムが、基板テーブルに設けられる。少なくとも2つのミラー12が、前記光学アーム10a,10b内に設けられ、かつ前記窓を通過した放射を反射するように配される。少なくとも2つのレンズ16,18が、前記ミラー12から反射された放射を受けるように位置付けられ、前記第1の窓には第1のアライメントマークWM1が設けられ、かつ前記少なくとも2つのミラー12および前記少なくとも2つのレンズ16,18は、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像20aを形成するように配される。第2のアライメントマークWM1が、前記第2の窓の中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、アライメントシステムを用いて測定できる位置を有する少なくとも1つの基板マークが設けられた基板を支持するように配された基板テーブルに関する。本発明はさらに、基板テーブル上の基板の位置を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において用いられ得る。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルと呼ばれるパターニングデバイスが用いられ得る。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写され得る。パターンの転写は通常、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上での結像を介してなされる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するいわゆるステッパ、およびある特定の方向(「スキャン」方向)の照射ビームによってパターンをスキャンすると同時にこの方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射するいわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされるかもしれないが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドの製造といった他の用途を有することは、明らかである。そのような別の用途においては、本明細書で使われている「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義とみなされ得ると、当業者は理解するであろう。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、測定ツール、および/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板処理ツールおよびその他の基板処理ツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、積層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使われる基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0004】
[0004] フォトリソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、言うまでもなく、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、フォトリソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されたパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストを硬化させることができる。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0005】
[0005] 本明細書で使われている「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、約436nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)、および極紫外線(EUV)放射(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0006】
[0006] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光学部品を含むさまざまな種類の光学部品のどれか1つまたは組合せを指すことができる。
【0007】
[0007] アライメントとは、マスク上の特定のポイントを、露光されるべき基板上の特定のポイントに位置合わせするプロセスである。一般的に、1つまたは複数のアライメントマーク(例えば小さいパターン)が基板とマスクのそれぞれに設けられる。デバイスは、中間処理工程の連続露光によって重ね合わされた多くの層を含んでもよい。各露光の前に、アライメントが行われて、新しい露光とその前の露光との間の位置誤差を最小限に抑えるようにする。このような誤差を「オーバーレイ誤差」という。
【0008】
[0008] しかし、化学機械研磨(CMP)、ラピッドサーマルアニーリング、厚層堆積(thick layer deposition)、および深トレンチエッチング(deep trench etching)などの中間処理工程のいくつかは、基板上のアライメントマークに損傷を与えるか、または歪める可能性があり、またはアライメントマークを不透明な層の下に埋もれさせる可能性がある。よって、アライメントマークがはっきりと見えないか、あるいはまったく見えない場合があり、アライメントの精度にマイナスの影響を与える。これによってオーバーレイ誤差が生じ得る。
【0009】
[0009] マイクロシステム技術(MST)や微小電子機械システム(MEMS)などのいくつかの技術では、基板の両面を用いてデバイスを製造する。この技術は、基板の一方の面上で複数回露光を行い、当該基板の他方の面上でその前に露光されたフィーチャ(特徴:features)に複数の露光層が正確に位置合わせされるようにするという課題に直面する。約0.5ミクロンまたはそれ以上のアライメント精度が一般的に要求される。
【0010】
[0010] いわゆる「液浸技術」を用いることによって、さらに小さいパターンを有するパターニングフィーチャ(patterning features)の結像を可能にする新しい技術が開発されている。この技術は、レンズと基板との間の空間が、水などの流体で満たされているという事実に基づいている。水の屈折率は、空気または低圧気体の屈折率よりも高いので、システムの開口数は高くなる。これにより、同じ放射システムおよび投影システムを使っても、システムはより小さいパターンを結像できる。液浸技術についての追加情報は、欧州特許第1 420 298 A2号、欧州特許第1 429 188号、および欧州特許第1 420 300 A2号で見つけることができる。しかしながら、水の存在は、アライメント測定に影響を与える。レンズと基板との間の空間に水が存在する結果、基板上に設けられたマークでアライメント測定を行うことが難しくなる。さらに、事前に求めた「乾式」アライメント測定と、上記の「湿式」測定を比較することも、やや難しい。
【0011】
[0011] 従来のアライメント技術はすべて、基板の上面で、すなわち露光が行われる側の面で実施される。この面は、基板の「第1面」または「前面」という。このようなアライメント技術はすべて、基板の上面に設けられたアライメントマークの位置を測定することによって、基板の位置を測定する。しかし、液浸技術と両面から製造された基板との組み合わせでは、これら従来のアライメント技術を実施するのは難しく、かつその精度は低くなる。
【0012】
[0012] 従来のアライメント技術は一般に、基板の上面に、すなわち基板がその上に置かれる基板テーブルに面していない側の基板の面上に設けられたアライメントマークの位置を測定する光学測定技術を用いる。このようなアライメント技術を、両面から製造されたデバイスと組み合わせて用いることは難しい。なぜならこの場合、アライメントマークが基板テーブルに面するように、基板を位置付けなければならないからである。
【0013】
[0013] 液浸技術が用いられる場合、アライメントシステムの光学素子は通常、液体で満たされた領域の外に位置付けられ、光学素子および/または光学信号は液体の中へと誘導される必要がある。これは簡単な作業ではく、複雑かつ高価な技術である。
【0014】
[0014] これらの問題を克服するために、基板の裏面に、すなわち基板テーブルに面した側で、かつ露光されない側の基板の面に設けられたアライメントマークの位置を測定するようになされたアライメント技術が開発されてきた。この面は、基板の「第2面」ともいう。
【0015】
[0015] アライメントの間、第2面は、基板を支持する基板テーブルに面している。基板の第2面に設けられたアライメントマークの位置測定を可能にするために、基板テーブルの中に光学デバイスが設けられる。この技術は一般に、「裏面アライメント(backside alignment)」といい、以下により詳細に記載される。より広範囲な記載は、米国特許第6,768,539号に見られる。
【0016】
[0016] 一般に、基板テーブル上に配された基板の位置をより正確に測定できるように、そしてより良好なアライメント結果を達成できるように、前面のみならず裏面についても、アライメント技術を改良することが必要である
【0017】
[0017] 本明細書全体にわたって、基板の特定の面上に位置付けられたアライメントへの言及は、基板のそれぞれの面にエッチングされたアライメントマークを含み、かつ後続の材料(subsequent material)をアライメントマークの上に堆積させて、当該後続の材料が埋め込まれ、かつ基板の表面に必ずしも露出しないようにすることを含む。
【0018】
[0018] ICまたはMEMの製造における装置の使用について具体的な言及がなされるかもしれないが、このような装置がその他多くの用途を有することは明らかである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造にも当該装置を用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
[0019] 本発明は、改良されたアライメントまたは別の態様のアライメントを可能にする基板テーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
[0020] 本発明の第1の態様によれば、光学システムを備えた基板テーブルであって、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓(first window)および第2の窓(second window)と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを備え、前記第1の窓には第1のアライメントマーク(first alignment mark)が設けられ、かつ前記少なくとも2つのミラーおよび前記少なくとも2つのレンズは、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像を形成するように配され、かつ第2のアライメントマーク(second alignment mark)が、前記第2の窓の中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる、基板テーブルが提供される。
【0021】
[0021] 本発明の第2の態様によれば、基板テーブルに設けられた光学システムをモニターする方法であって、第1のアライメントマークに対して前記光学システムの反対側端部にある、前記第1のアライメントマークの像を検出する工程と、前記第1のアライメントマークの像に隣接して設けられる第2のアライメントマークを検出する工程と、前記第2のアライメントマークと前記第1のアライメントマークの像との離隔距離(separation)を決定する工程と、ある期間にわたって前記離隔距離をモニターする工程とを備える方法が提供される。
【0022】
[0022] 本発明の第3の態様によれば、光学システムを備えた基板テーブルであって、放射が光学アームの中を通ることができるようにする表面を含む第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを備え、前記第1の窓および/または前記第2の窓の表面の面積が1mm2以下である、基板テーブルが提供される。
【0023】
[0023] 前記第2の窓が前記第1の窓と同じ寸法を有するように、本発明の第3の態様による基板テーブルを用意してもよい。前記第2の窓は、前記第1の窓とは異なるサイズになるように用意されてもよく、前記サイズの差は、前記2つのレンズの倍率(magnification factor)に相当する。前記光学システムは、前記基板テーブルの操作主軸(principle axes of operation)に対してある角度をなす方向に延在してもよい。
【0024】
[0024] 本発明の第4の態様によれば、基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、前記第1の窓を満たすのに十分なサイズのアライメントマークを有する基板を、前記基板テーブル上に設ける工程と、前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置(aligned position)を決める工程とを備える方法が提供される。
【0025】
[0025] 本発明の第5の態様によれば、基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、アライメントマークを有する基板を前記基板テーブル上に設ける工程と、結像されたアライメントマークが前記第2の窓を満たすのに十分なサイズとなるように、前記第2の窓に前記アライメントマークの像を形成する工程と、前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置を決める工程とを備える方法が提供される。
【0026】
[0026] 本発明の第4の態様または第5の態様による方法は、最初に前記基板の位置をより低い精度で(to a lesser accuracy)決めることによって、前記アライメントマークの位置が前記より低い精度で既に知られている状態になるようにする(is already known to the lesser accuracy)工程をさらに備える。前記アライメントマークは回折格子を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[0027] 本発明のいくつかの実施形態が、単なる例として、添付の概略図面を参照して説明されるが、これらの図面においては、同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0028】
[0032] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。当該装置は、以下の構成要素を含む。
【0029】
[0033] − 放射ビームB(例えば、紫外線(UV)またはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(illumination system)(イルミネータ)IL
【0030】
[0034] − パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置付けることができるように構成された第1位置決め装置PMに連結されている、支持構造体(例えば、マスクテーブル)MT
【0031】
[0035] − 基板(例えば、レジストコート基板)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置付けることができるように構成された第2位置決め装置PWに連結されている、基板テーブル(例えば、基板テーブル)WT
【0032】
[0036] − パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている、投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PS
【0033】
[0037] 照明システムとしては、放射を誘導し、形成し、あるいは制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他の型の光学部品、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまな型の光学部品を含むことができる。
【0034】
[0038] 支持構造体は、パターニングデバイスを支えるもの、すなわちその重量を支持するものである。支持構造体は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているかいないかなどといった他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。支持構造体は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造体は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができる架台またはテーブルであってもよい。支持構造体は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使われる「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0035】
[0039] 本明細書において使われる「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように放射ビームの断面にパターンを付けるために使うことができるあらゆるデバイスを指していると広く解釈されるべきである。なお、放射ビームに付けたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフト特性すなわちいわゆる支援特性を含む場合、基板のターゲット部分内の任意のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などの、ターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
【0036】
[0040] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィィでは公知であり、バイナリ、alternating位相シフト、および減衰位相シフト(attenuated phase-shift)などのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームがさまざまな方向に反射するように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0037】
[0041] 本明細書において使われる「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学システム、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使われる「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えてよい。
【0038】
[0042] 本発明の例示的実施形態において、装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、装置は、反射型のもの(例えば、プログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0039】
[0043] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」マシンにおいては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0040】
[0044] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすような比較的高屈折率を有する液体、例えば、水によって基板の少なくとも一部を覆うことができる型のものであってもよい。さらに、リソグラフィ装置内の、例えば、マスクと投影システムとの間の別の空間に浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるための技術においてよく知られている。本明細書において使われている「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、どちらかといえば、露光中、投影システムと基板との間に液体があるという意味でしかない。
【0041】
[0045] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射を受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また、放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀灯である場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体型部品とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0042】
[0046] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するように構成されたアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側径方向範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他の構成要素を含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0043】
[0047] 放射ビームBは、支持構造体(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉装置、リニアエンコーダ、または容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(図1では明確に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリからマスクを機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、けがき線アライメントマーク(scribe-lane alignment)として公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0044】
[0048] 例示の装置は、以下のモードの少なくとも1つで使うことができると考えられる。
【0045】
[0049] 1. ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度に(すなわち、単一静止露光)ターゲット部分C上に投影する。基板テーブルWTは、つぎにXおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cが露光されることが可能になる。ステップモードにおいては、露光領域の最大サイズよって、単一静止露光時に投影されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0046】
[0050] 2. スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および画像反転特性によって決めるとよい。スキャンモードにおいては、露光領域の最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0047】
[0051] 3. 別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持しつつ、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かし、すなわちスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0048】
[0052] 上述の使用モードの組合せおよび/または変形物、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0049】
[0053] 図2は、基板テーブルWT上の基板Wを示している。基板マークWM3およびWM4は、 基板Wの第1面(「前面」)上に設けられ、上記矢印WM3およびWM4で示されるとおり、光がこれらのマークで反射され、かつアライメントシステム(図示されていない)と共に、マスク上のマークを使ってアライメントに使用されてもよい。これについてのより詳細な説明は、米国で公開された出願番号第2005-0133743号に開示されており、これは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0050】
[0054] さらに、基板マークWM1、WM2が、基板Wの第2面(「裏面」)に設けられている。基板Wの裏面にある基板マークWM1、WM2に光学アクセスするために、光学システムが基板テーブルWTに組み込まれている。光学システムは、1対のアーム10a、10bを備えている。各アームは、2つのミラー12、14と、2つのレンズ16、18からなる。各アームの中のミラー12、14は、これらが水平面との間で形成する角度の合計が90°となるように傾けられる。このようにして、これらミラーのうちの一方に垂直に入射した光線は、他方のミラーに反射した時も垂直のままとなる。当然のことながら、方向を180° 変えるその他の方法も考えることができる。例えば、光学システム全体が180°の方向変換をもたらすということであれば、レンズと架台(mounting)が当該方向変換の大部分を考慮するように、レンズと架台を設計してもよい。
【0051】
[0055] 使用中、光は基板テーブルWTの上からミラー12へと誘導され、レンズ16、18を介してミラー14上へ、その後それぞれの基板マークWM1、WM2へと誘導される。光は基板マークの一部に反射し、光学システムのアームに沿って、ミラー14、レンズ18および16、そしてミラー12を介して戻る。ミラー12、14とレンズ16、18は、基板Wの前面に設けられた基板マークWM3、WM4の垂直位置に対応する、基板マークWM1、WM2の像20a、20bが基板Wの前(上)面の面上に形成されるように配される。レンズ16、18とミラー12、14の順番は、光学システムにとって適切なように異なってもよい。例えば、レンズ18はミラー14と基板Wとの間でもよい(後述の実施形態の図を参照)。
【0052】
[0056] 基板マークWM1、WM2の像20a、20bは、仮想基板マークとしての機能を果たし、基板Wの前(上)面に設けられた実際の基板マークと全く同じように、既存のアライメントシステムによるアライメントのために使うことができる。
【0053】
[0057] 図2に示されるとおり、光学システムのアーム10a、10bは、基板Wの上方にあるアライメントシステムから見えるように、基板Wの側方に変位された像20a、20bを形成する。光学システムのアーム10a、10bの2つの好適な向き(orientations)が、図3と図4に示されており、これらの図面は、XY面に位置する基板Wの平面図であるある。明確にするために、図3および図4では基板テーブルWTが省略されている。図3では、光学システムのアーム10a、10bはX軸に沿って位置合わせされている。図4では、光学システムのアーム10a、10bは、Y軸に平行になっている。両方の場合で、基板マークWM1、WM2はX軸上に位置している。基板マークWM1、WM2は、基板Wの下面に位置しており、基板Wの上面からすると逆になっている。しかし、基板マークWM1、WM2の像20a、20bが、回復された適切な向き(restored proper orientation)となるように、光学システムのアームのミラー12、14の配置は構成されてもよい。従って、これらの像は基板Wの上面にあるかのごとく、まったく同じように見える。基板マークWM1、WM2のその像20a、20bに対するサイズの比率が1:1になるように、すなわち拡大または縮小が一切行われないように、光学システムを配置してもよい。その結果、像20a、20bは、基板Wの前面上にある実際の基板マークであるがごとく使用することができる。実際の基板マークと仮想マークの両方を用いてアライメントを行うために、マスク上に設けられた共通アライメントパターンまたはキーを使ってもよい。
【0054】
[0058] 本実施例では、基板マークは、図2に示されるとおり、基板Wの前面と裏面の両方の対応する位置に設けられている。図3および図4では、明確にするために、基板Wの裏面の基板マークのみが示されている。この配置に従い、基板WをX軸またはY軸のいずれかを中心にして回転させることによって反転した場合、基板Wの上面にあった基板マークは、今度は基板Wの下面になるが、それは光学システムのアーム10a、10bによって結像され得る位置となる。
【0055】
[0059] 留意すべき点としては、ミラーの配置により、光学システムのアーム10a、10bに平行な一方向に基板Wを変位すると、基板の下面にある基板マークWM1、WM2の対応する像20a、20bを反対方向に変位することになる。例えば、図3では、基板Wが右側に変位されると、像20a、20bは左側に変位されることになる。アライメントシステムを制御するソフトウェアは、基板マークWM1、WM2の位置を決める時、そしてアライメントを実施する際に、基板Wとマスクの相対位置を調節する時に、上記のことを考慮できる。2つの光学システムのアーム10a、10bが対称である場合、基板が変位される時、像20Aと20Bの間の離隔距離は実際には一定のままとなる。
【0056】
[0060] 基板テーブルWTには、基板マークWM1、WM2の移動に対して像20a、20bの移動方向を変えないミラー配置(mirror arrangement)を設けてもよい。
【0057】
[0061] 基板Wの各面につき少なくとも2つの基板マークを設けてよい。1つのマークは、基板上の特定のポイントに対するマスク上の特定のポイントの像の相対位置決めに関する情報を提供してもよい。しかし、正確に配向されたアライメントと倍率を確保するために、少なくとも2つのマークを使ってもよい。
【0058】
[0062] 図5は、基板テーブルWTの一部の断面を示している。基板の裏面の基板マークを結像するための光学システム10a、10bは、特定の方法で基板テーブルWTに組み込まれてもよい。図5に示されるとおり、光学システムのアームのミラー12、14は、別個の部品としては設けられないかもしれないが、基板テーブルWTと一体化される。適切な面が機械加工されて基板テーブルWTに組み込まれ、その後、反射率をより良くするためにコーティングを施してもよく、このようにしてミラー12、14が形成される。光学システムは、例えば非常に低い熱膨張率を有するために、高いアライメント精度を確実に維持できる、ゼロデュアー(Zerodur商標)のような、基板テーブルと同じ材料から作られてもよい。
【0059】
[0063] 投影されパターン付けされたビームに対する基板Wのアライメントを可能にするために、基板W上に基板マークWM1、WM2、WM3、WM4を設けてよい。基板Wの異なる複数の層を互いに最適に位置決めできるようにするため、アライメントが必要である。基板Wは、基板W上にそれぞれ順々に形成されて、露光された複数の層が積み上げられて形成される。これら異なる複数の層はワーキングデバイス(working device)を形成するように構成されているため、異なる複数回の露光は、互いに最適に位置合わせされなければならない。
【0060】
[0064] 上述のとおり、複数の層で集積回路は作られる。各層は、基板W上の(異なる)パターンの露光から始まってもよい。このパターンは、その前のパターン上に最適に適合する必要がある。このアライメントにおける達成精度の測度(measure for accomplished accuracy)は、オーバーレイOである。
【0061】
[0065] 従来のアライメント技術が用いられる場合、すなわち、基板マークWM3、WM4が基板Wの第1面上に位置付けられる場合の、基板W上の基板マークWM3、WM4の位置とオーバーレイOとの関係を説明するために、式を導き出してもよい。
【0062】
[0066] 基本的に、オーバーレイOは、マシンがいかに正確に像を露光し得るか、そして基板の位置がいかに正確に測定されるかに左右される。これらは2つの独立した誤差源である。
【0063】
[0067] 像を露光する際のマシンの精度は、「ステージオーバーレイS」と呼ばれる。ステージオーバーレイSとは、基板Wが2回の露出の間にステージ上に留まる場合の、第1層と第2層との間のオーバーレイ差のことである。よって、ステージオーバーレイSは、マシン露光位置決め誤差の測度である。
【0064】
[0068] 基板Wの位置を測定する際に得られる精度は、基板マーカの幾何学的位置に左右される。基板アライメントのパラメータには、拡張(expansion)、回転、および転換(translation)が含まれる。基板の拡張および回転によってもたらされるオーバーレイ誤差は、基板の縁部でもっとも大きい。
【0065】
[0069] オーバーレイOを表すための以下の式を導き出すことができる。
【0066】
[0070]
【数1】
[0071] ここで、
[0072] 「σ」は、測定されるアライメント位置の標準偏差であり、
[0073] 「Dw」は、基板の直径であり、
[0074] 「DPM」は、2つのアライメントマークの間の距離であり、
[0075] 「S」は、ステージオーバーレイの3σ(標準偏差の3倍)であり、
[0076] 「O」は、オーバーレイの3σ(標準偏差の3倍)である。
【0067】
[0077] σの値は、マーク位置の測定分布における誤差の測度である。誤差分布がガウス分布と見なされる場合、当業者にとって明らかなように、3σの値は、すべての誤差の約99.7%がより小さいものとなる誤差値を示している。
【0068】
[0078] 基板の第1面上に位置する基板マークを測定する際のσFS(前面)の値は、基板Wの第2面上に位置する基板マークを測定する際のσBS(裏面)の値とは異なる。基板Wの第2面上に設けられた基板マークについて、なぜσが異なる値となるのか、いくつかの理由を特定できる。例えば、以下のような理由である。
【0069】
[0079] − 基板の第2面上に位置する基板マーカを測定するために、より多くの光学素子が使用されている。
【0070】
[0080] − 基板の第2面上の基板マーカを測定するために使われる光学素子は、より温度に依存している。
【0071】
[0081] 図2に示される光学システムに類似している光学システムで、基板Wの裏面にある基板マークWM5、WM6への光学アクセスをもたらし、かつ倍率(magnification)Mを提供する光学システムを、基板テーブルWTに組み込んでもよい。このような光学システムの例は図6に示されている。上述の図面で見られた同一の部分については、同じ符号が使われている。
【0072】
[0082] 当然の事ながら、式(1)のσはここではσBSとなり、これは、基板マークの像が前面に誘導され得るという事実を考慮して、σFSと項σBF(裏面(back)から前面(front))の合計である。
【0073】
[0083]
【数2】
【0074】
[0084] この結果、Oについての式は以下のとおりになる。
【0075】
[0085]
【数3】
【0076】
[0086] 光学システムは、1対のアーム10a、10bを備えている。一実施形態では、各アームは、2つのミラー12、14と、2つのレンズ116、118からなる。その他の構成を用いてもよい。各アームの中のミラー12、14は、これらが水平面との間で形成する角度の合計が90°となるように傾けられる。このようにして、これらミラーのうちの一方に垂直に入射した光線は、他方のミラーに反射した時も垂直のままとなる。当然のことながら、180° の方向変更も、光学システム中に設けられているその他の光学素子(例えばレンズ116、118)によって(部分的に)可能となり得る。
【0077】
[0087] 基板Wの前面に設けられたいずれかの基板マークWM3、WM4の垂直位置に対応する基板マークWM5、WM6の拡大像120a、120bが、基板Wの前(上)面の面上に形成されるように、レンズ116、118を設計してもよい。レンズ116、118とミラー12、14の順番は、光学システムにとって適切なように異なってもよい。例えば、レンズ118はミラー14と基板Wとの間でもよい。
【0078】
[0088] レンズ116、118に異なる焦点距離を与えることによって、倍率(magnification factor)Mを得てもよい。この例での倍率はM=3であるが、他の適切な倍率Mを用いてもよい。基板マークWM5、WM6および拡大像120a、120bに対するミラーの位置決めが、図2に示される実施形態とは異なってもよいこと、すなわち、基板マークWM5、WM6と第1レンズ116との距離が、第2レンズ118と拡大像120a、120bとの間の距離の3分の1となってもよいことは、当業者にとっては当然のことである。このことが図6に概略的に示されている。その他の構成を用いてもよい。
【0079】
[0089] 当然のことながら、ミラー12とミラー14との間の距離が、基板マークWM5、WM6の拡大像120a、120bが見られる場所である、光学アームの方向の位置を決める。ミラー12、14が互いに遠く離れて位置している場合、拡大像120a、120bはそれぞれ左右に移動するかもしれない。拡大像120a、120bが見られる場所である、図6に示されるとおりの向きに従った垂直方向の位置は、当業者によって容易に理解されるように、レンズ116、118の焦点距離に左右される。例えば、拡大像120a、120bが、図6に示されるように基板Wの前面に位置する基板マークWM3、WM4と同じ(鉛直の)レベルとなるように、前記焦点距離を選ぶことができる。
【0080】
[0090] 残りのアライメントハードウェアは、拡大が行われない(no magnification is provided)システムで使われるハードウェアと同様でよい。従って、基板マークWM5、WM6の拡大像120a、120bは、アライメント測定を行うために存在する光学素子が検出できるサイズであることが好ましい。これを達成するためには、拡大が行われない図2で示される実施例で用いられる基板マーカWM1、WM2に比べて、基板マークWM5、WM6はより小さく、すなわち倍率Mだけ小さくてよい。
【0081】
[0091] 前記倍率Mの結果、基板Wの移動はMと等しい倍率(factor)で拡大されて、アライメント誤差の一部を低減させる。よって、式(2)で定義されたσBSは、σBS,Mという新しい値に置き換えられる。
【0082】
[0092]
【数4】
【0083】
[0093] σBS,M の値が、基板Wの前面に位置するウェーハマークWM3、WM4の直接測定を用いて得られるσFSの値よりもさらに小さいという場合もある。
【0084】
[0094] 留意すべき点は、拡大が行われるために、光学システムに対して基板Wを一方向に変位することが、基板の下面にある基板マークWM5、WM6の対応する像120a、120bを反対方向に、かつ倍率Mで変位され得るということである。例えば、図6では、基板Wが特定の距離だけ右側に変位された場合、像120a、120bは、前記特定の距離のM倍分、左側に変位され得る。アライメントシステムを制御するソフトウェアは、基板マークWM5、WM6の位置を決める時、そしてアライメントを行う際に、基板Wとマスクの相対位置を調節する時に、上記のことを考慮してもよい。
【0085】
[0095] 基板テーブルWTには、基板マークWM5、WM6の移動に対して像120a、120bの移動方向を変えないミラー配置を設けてもよい。これは、当業者には明らかなように、多くの方法で行うことができる。例えば、プリズムと組み合わせたミラーを用い、レフレックスカメラと同様の技術を用いて行うことができる。
【0086】
[0096] 式(2)に従い、σBS=7.26nmを得るためには、σFS値=7.1 nmおよびσBF値=1.5nmが必要である。基板テーブルWTに、例えば倍率M=3が与えられた場合、σBS,Mの値はσBS,M=2.80nmとなる。オーバーレイOMの新しい値は、以下の式から得られる。
【0087】
[0097]
【数5】
【0088】
[0098] 倍率での裏面アライメントを用いることにより、従来の裏面アライメントを用いた場合よりも、または前面アライメントを用いた場合でさえよりも、さらに正確な結果が得られることが理解され得る。
【0089】
[0099] 原則として、基板Wの前面に設けられた基板マークについても、倍率を用いてもよい。基板テーブルWTの前面に、このためのデザインを組み込むために、修正を行ってもよい。基板テーブルWTの移動が拡大されないように、拡大光学素子(magnification optics)を基板テーブルWTに固定する必要があるかもしれない。
【0090】
[00100] 基板テーブルWTに組み込まれた光学システムが、倍率Mで拡大された像を提供するという事実の結果、基板マークWM5、WM6の位置はより正確な方法で決めることができる。当然のことながら、システムのキャプチャレンジ(capture range)は、倍率Mに等しい率だけ減らされ得る。キャプチャレンジとは、測定システムによって正しいマーク位置を検出するために基板マーカが配されるxおよびy方向の領域である。その結果、基板マークWM5、WM6を見つけるためには、基板テーブルWTに組み込まれた光学アームに対する基板Wの位置決めは、より正確に行われる必要がある。
【0091】
[00101] しかしながら、図7で示すような基板テーブルWTを提供することによって、上記の問題を改善することができる。図7では、拡大を行わない第1対の光学アーム110a、110bと、拡大を行う第2対の光学アーム110c、110dが使用されている。基板Wには、第1対の光学アーム110a、110bによって検出されるように位置付けられた第1基板マークWM1、WM2を設けてもよい。基板Wには、第2対の光学アーム110c、110dによって検出されるように位置付けられた第2基板マークWM5、WM6をさらに設けてもよい。第1基板マークWM1、WM2は「標準」サイズである。つまり、第1基板マークWM1、WM2が、最新技術の光学アーム110a、110bによって、拡大を行わずに検出され得るということを意味している。第2基板マークWM5、WM6は、光学アーム110c、110dに組み込まれた倍率Mに従った縮小サイズである。
【0092】
[00102] 従って、第1基板マークWM1、WM2のキャプチャレンジは、第2基板マークWM5、WM6のキャプチャレンジよりも大きい。ここで、アライメントを2段階で行ってもよい。まず、第1対の光学アーム110a、110bを介して第1基板マークWM1、WM2を使用して、アライメント位置を決めてよい。この結果、粗動アライメント情報(coarse alignment information)となり得る。この粗動アライメント情報を使って、第2のアライメント段階の間に第2基板マークWM5、WM6を見つける。この第2のアライメント段階では、第2対の光学アーム110c、110cを介して第2基板マークWM5、WM6を使用して、微動アライメント位置を決める。
【0093】
[00103] 異なる向き(例えばxおよびy方向)を有し、かつ異なる倍率を有する光学アームの混合を有する基板テーブルWTを設計してもよい。実際には、異なる倍率Mを有する3つ以上の光学分枝を設けてもよい。例えば、1つの方向に3つの光学分枝、すなわち倍率「1」の第1光学分枝と、倍率「3」の第2光学分枝と、倍率「9」の第3光学分枝とを設けることができる。その場合、基板Wには、3つのタイプの基板マークが設けられる。それぞれのタイプは、3つの光学アームのうちの1つで使われるように選ばれた寸法を有する。これと同じく、光学分枝のカスケード(cascade)を設けてもよい。
【0094】
[00104] 複数の光学分枝を使うことによって、オーバーレイ精度を向上させるために、異なるアライメント戦略が実施され得る。
【0095】
[00105] 光学アームの中に設けられた光学素子によって提供される倍率Mを変えるために、光学アームに構造を設けてもよい。例えば、レンズ116、118の光軸方向にレンズ116、118の位置を変えることによって、倍率Mを変えることができる。さらに他の実施形態では、異なる焦点距離を有する異なるレンズにレンズを取り替えるために、ある機構を設けることによって、倍率Mを変えることができる。当該機構を用いることによって、状況に応じて倍率Mを変更することができる。また、アライメントマークの拡大に関連するより小さいキャプチャレンジを克服するために、前記機構を用いてもよい。
【0096】
[00106] 基板Wには、異なる倍率で使用できる基板マークを設けてもよい。図8は、このような基板マーク200の一例を示しており、基板マーク200は、比較的太い線を形成するために、例えば6本の細い線からなる複数のグループ単位に配置された比較的細い線を含む。第1倍率M1を使って測定をする場合に太い線を使用し、第2倍率M2を使って測定をする場合に細い線を使用する。ここではM1<M2である。当業者にとって明らかであるが、基板マーク200と同様の方法で使われるその他多くの基板マークが考えられる。実際に、2つ以上の典型的な寸法の複数のパターンを有するすべての基板マークが使用できる。
【0097】
[00107] 上記の光学アームは、より正確な測定を可能にする倍率Mで基板マークWM5、WM6の像を提供するため、レンズ116、118およびミラー12、14などの光学素子の位置は高い精度で知られる必要がある。しかし、これらの位置は、基板Wごとに変わらないため、この誤差を系統誤差として表すことにより、前記位置を補正することができる。
【0098】
[00108] 例えば、縮小されたサイズの基板マークWM5、WM6に関連する小さいキャプチャレンジの問題を克服するために、従来の前面基板マークWM3、WM4を用いて、第1の事例の基板Wの位置を決めることも可能である。この最初に決定された位置に基づき、基板Wの第2面上に設けられた基板マークWM5、WM6を使って、より正確な方法で基板Wの位置を決めてもよい。
【0099】
[00109] 例えば、基板Wの前面上に設けられた基板マークWM3、WM4がまだ従来のアライメントで使われてもよいが、より正確なアライメントが必要な場合に、上記の方法を行ってもよい。その場合、倍率が与えられた光学アームと組み合わせて使用するのが適している基板マークWM5、WM6を用いることによって、より正確なアライメントが得られる。当然のことながら上記の装置は、裏面のみならず前面についても、より正確なアラインメントを提供するために使用することができる。基板テーブルWT中に設けられた光学アームにおいて倍率Mを与えることが有利である。
【0100】
[00110] 基板テーブルには倍率M>1が与えられてよいが、倍率M<1が与えられてもよい。従って、実際には拡大の代わりに縮小となる。基板マークWTがアライメントシステムのキャプチャレンジの外にある時、使用されるアライメントシステムが基板マークWTを見つけることができないという、発生可能な問題を解決するために、上記の基板テーブルWTを使うことができる。「1」未満の倍率で基板マークの像を提供するように準備された基板テーブルWTを設けることによって、キャプチャレンジは高められる。当然のことながら、縮小された基板マークWM5、WM6の代わりに、「1/M」の倍率でサイズを大きくした基板マークが、基板W上に設けられるべきである。従って、倍率が「M=1/4」に選ばれた場合、「4(=1/(1/4)」の倍率で拡大された基板マークが基板W上に設けられる。
【0101】
[00111] 図9は、本発明の一実施形態にかかるアライメント装置の光学アーム200の概略図(平面視)である。図2および図6に関して上述したものと同じ一般形態を有する光学アーム200は、2つのレンズ216、218と2つのミラー(図示されていない)を含む。光学アーム200の一方の端部に対物窓(object window)202が設けられ、反対側の端部にイメージ窓(image window)204が設けられる。図2および図4で示されるミラーに対応するミラー(図示されていない)が、対物窓202とイメージ窓204の下に設けられている。アライメントマーク206が、対物窓202にエッチングされ、またはその他の方法でパターン付けされる。 レンズ216、218は、イメージ窓204に対物窓アライメントマーク206の像208を形成する。第2のアライメントマーク210が、イメージ窓204にエッチングされ、またはその他の方法でパターン付けされる。このイメージ窓アライメントマーク210は、対物窓アライメントマーク206の像208に隣接して配される。
【0102】
[00112] 図9に示される実施形態は、例えば、光学アームが設けられた基板テーブルの温度の変化によって生じ得る光学アーム200の拡張、収縮またはその他の変化をモニターするために使うことができる。これが役に立つ理由は、以下の例を考慮することによって理解できるだろう。すなわち、下面にアライメントマークが設けられた基板であって、基板が基板テーブル上に位置する時、基板が対物窓202の上を覆うようにアライメントマークが位置付けられ、アライメントマークの像がイメージ窓204の中に形成されるようになっている。光学アーム200は事前に較正され、「オブジェクトベクトルの像(image to object vector)」について測定が行われ、これによって、イメージ窓の中のアライメントマークの検出された位置を、基板の下面にあるアライメントマークの位置に変換できるようになる。しかし、レンズ216、218またはミラー(図示されていない)に歪みまたはその他の変化が生じた場合、基板アライメントマークの測定位置に誤差が生じるようになる。 本発明の実施形態は、この誤差の測定および補正を提供する。レンズ216、218またはミラーのその他の変化の歪みは、例えば、熱効果によってもたらし得る。
【0103】
[00113] イメージ窓アライメントマークは、イメージ窓に隣接して配されたアライメントマークに置き換えてもよい。これが行われた場合、本発明の実施形態は同じように機能する。
【0104】
[00114] 初期較正の間、基板にはその上面および下面にアライメントマークが設けられ、これらは互いに公知の空間関係を有する。下面のアライメントマークの位置は、光学アーム200を用いて測定され、そして基板の上面にあるアライメントマークの位置と比較される。これにより、オブジェクトベクトルの像を正確に決めることが可能となる。その後、イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離が決められる。これは、例えば熱膨張によって光学アーム200の寸法の変化が生じる時間がないように、オブジェクトベクトルの像の測定の十分にすぐ後に行われるべきである。イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離は記録され、かつ後の測定値が比較される基準値として使用される。
【0105】
[00115] その後の基板へのパターンのリソグラフィ投影の間、イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離は定期的に測定され、かつ基準測定値と比較される。この離隔距離の基準離隔距離からの偏差は、光学アーム200の寸法の変化を示し、基板アライメントマークの測定位置の対応する補正が計算される。
【0106】
[00116] アライメントマーク206、210は、例えば、適切なアライメント測定装置(この例は当業者にとって周知である)によって検出されるように配された回折格子を含んでもよい。一実施形態では、アライメントマーク206、210のうちの一方の周期が、他方のアライメントマークの周期とわずかに(例えば10%)異なるように、アライメントマーク206、210を用意してもよい。両方のアライメントマークの回折ピークが一致する場所である、検出アライメント位置を決めるために、アライメントセンサを用意してもよい。この場合、対物窓アライメントマーク206の像208の移動は、検出アライメント位置の比例シフト(proportional shift)を引き起こす。
【0107】
[00117] イメージ窓アライメントマーク210の位置と対物窓アライメントマーク206の像208の位置は、例えば各基板上にパターンを結像する前に検出されてもよい。あるいは、所定の時間が経過した後、例えば1時間ごとに、離隔距離を測定してもよい。
【0108】
[00118] 対物窓202およびイメージ窓204は、確実に基板テーブルに固定される。これは、例えば、窓202、204を基板テーブルに埋め込み、かつ真空式クランプ技術(これを機械式クランプ技術で補助してもよい)を用いてこれらの窓202、204を固定することによって実施してもよい。これらの窓は、低い熱膨張率を有する材料(例えばゼロデュアーまたはダイヤモンド)から形成してもよい。
【0109】
[00119] 光学アーム200 (または実際には基板テーブル全体)は、温度変化に対してほぼ無感応とするために、ゼロデュアーまたは低い熱膨張率を有する材料から形成してもよい。こうすることで、対物窓202とイメージ窓204の相対位置が確実に変わらないようにし、従って、本発明の実施形態の精度を確保することになる。あるいは、またはさらに、対物窓アライメントマーク206とイメージ窓アライメントマーク210の位置は、移動(およびその補正)を判定するために、アライメントシステムによって定期的に測定されてもよい。
【0110】
[00120] レンズ216、218は、対物窓アライメントマーク206を拡大(適切な値の倍率で)するように配してもよい。拡大の効果は、オブジェクトベクトルの像の補正に考慮される。あるいは、レンズ216、218は一切拡大を行わないように配されてもよい。
【0111】
[00121] 光学アーム200はy方向に延びているように示されているが、当然のことながら、x方向に延びる同等の光学アームを設けてもよい。
【0112】
[00122] 本発明の実施形態は、特に、熱効果によって生じる光学アーム200の変化を検出することを意図したものである。このような効果は比較的長時間規模で起きるため、イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離の数回の測定をまとめることが可能かもしれず、従ってこれらの位置の測定に関連するノイズを低減することができる。
【0113】
[00123] 本発明の実施形態について、イメージ窓をモニターするアライメントシステムの使用に関して説明してきたが、当然のことながら、アライメントシステムが対物窓をモニターするという同等の実施形態も用いることができる。基板が基板テーブル上に存在する時には、この窓は覆い隠されるため、上記のようなモニタリングは、基板が基板テーブル上に存在しないとき、例えば、1つの基板への結像が完了した後、または次の基板への結像が開始される前に行われる必要があるだろう。
【0114】
[00124] 本発明の他の実施形態が図10に示されている。図10は、2つのレンズ216、218が備えられた光学アーム200の下方から概略的に見た一実施形態を示している。光学アーム200は、図2および図6に関係して上述した構成と同じ一般構成を有している。 光学アーム200には、対物窓220とイメージ窓222とが設けられている。図2および図4で示されたミラーと対応するミラー(図示されていない)が、対物窓220とイメージ窓222の下方に設けられている。対物窓220とイメージ窓222は、本発明の上述の実施形態(例えば図9に関する実施形態)に関して言及された対物窓およびイメージ窓よりも小さい。基板224の下面には、アライメントマーク226が設けられる。基板アライメントマーク226は対物窓220よりもかなり大きいので、基板アライメントマーク226は対物窓220を満たす。図10の理解を助けるため、かつ明確にするために、対物窓220の上を覆っている部分の基板アライメントマーク226は、黒い陰影をつけて示されており、対物窓220の上方にない部分の基板アライメントマークは、灰色の陰影をつけている。基板アライメントマーク226は回折格子を含んでもよい。
【0115】
[00125] 本発明の本実施形態を使用中に、別個の光学アームを用いて、基板224を把持する(capture)、すなわち、既定の位置範囲内に基板の位置を決定する。図10に示される光学アーム200は、微細アライメントのために、すなわち基板224の位置を必要とされる程度の精度で決めるために使われる。
【0116】
[00126] 基板アライメントマーク226は十分に大きいので、基板224が、光学アーム200がその中に設けられている基板テーブル上に正しく位置付けられたならば、基板アライメントマーク226は常に対物窓220を満たすことになる。対物窓220は常に満たされるため、イメージ窓222にアライメントマーク像228を形成するためにレンズ216、218を通過する光は、常にこれらのレンズの同じ部分を通過する。つまり、レンズ216、218に含まれるあらゆる収差またはその他の誤差(inaccuracies)は、一貫して結像されたアライメントマーク228に適用される。これらの収差は、例えば、上面および下面に既知の関連位置を有するアライメントマークが設けられた基板を使った、光学アーム200の初期較正の間、考慮され得る。 その後、すべての将来のアライメント測定において、自動的に当該収差を考慮に入れる。
【0117】
[00127] 本発明の実施形態は、レンズ216、218の中に存在する収差またはその他の歪みを測定かつ記録する必要がない。このため、より簡単かつ効率的にアライメントを行うことができる。その代わり、収差または歪みは自動的に考慮される。
【0118】
[00128] 本発明の本実施形態が理解され得る別の方法とは、アライメントマークを見る時にアライメントシステムが常に同じパターンを見るように、光学アーム200を配置することである。アライメントシステムからは、アライメントマークの縁部は見えないが、その代わりに、アライメントシステムの視点からすれば、縁部がない部分のアライメントマークが見える。
【0119】
[00129] 本発明の本実施形態の別の構成では、対物窓220はアライメントマークで満たされないが、イメージ窓222は結像したアライメントマーク228によって満たされる。これは、上述の構成と同じ有益な効果がある。
【0120】
[00130] アライメントマーク226が回折格子(例えば、8ミクロン周期の)である場合、アライメント位置の正しい決定を可能にするために、8ミクロン以内の精度で基板の位置の捕獲を決定しなければならない。
【0121】
[00131] 光学アーム200はx方向に延びているように示されているが、当然のことながら、y方向に延びる同等の光学アームを設けてもよい。
【0122】
[00132] 光学アーム200のレンズ216、218は、基板アライメントマーク226を拡大するように配置されてもよい。あるいは、レンズは一切拡大を行わないように配置されてもよい。
【0123】
[00133] 光学アームは、x=yに平行な(またはx=−yに平行な)線に沿って延びるように配置してもよい。この場合、x方向およびy方向のアライメントは、x=y(またはx=−y)方向の単一スキャンで行ってもよい。基板アライメントマークは、例えば、x方向またはy方向に延びる回折格子を含んでもよい。
【0124】
[00134] 当然のことながら、対物窓220およびイメージ窓228を含む素子は、マーク226よりもかなり大きい。例えば、望ましい放射にとって透明な比較的大きい素子を設け、かつ望ましい(透明な)表面領域が残って対物窓220(またはイメージ窓228)を形成するように、当該素子の適切な区域を不透明にすることによって、対物窓220およびイメージ窓228を形成してもよい。
【0125】
[00135] 上述の通り、一実施形態では、対物窓220および/またはイメージ窓228はアライメントマーク226よりも小さくなるように意図されている。アライメントマークのサイズは、例えば、使用される特定のアライメントシステムによって変わり得るので、対物窓220および/またはイメージ窓228の表面積は、概して1mm2未満となり、例えば0.25mm2以下、0.1mm2以下、0.05mm2以下、0.02mm2以下、または0.01mm2以下であってもよい。一実施形態では、表面積は少なくとも0.0005mm2である。対物窓220の表面積とは、基板上のアライメントマークに面するように配置された対物窓220の表面(すなわち、基板テーブルに面する側とは反対側の表面)の面積を意味する。イメージ窓228の表面積とは、基板テーブルに面する表面の面積を意味する。
【0126】
[00136] 本発明の別の実施形態の概略図が図11に示されている。図11は、光学アーム200a、200bおよび基板230を平面視で示している。第1の光学アームは基板230の直径の大部分にわたって延在している。光学アーム200a、200bは、図2および図6に示される構造にほぼ対応する構造を有する。基板アライメントマーク232a、232bがアライメントマーク像234a、234bとして形成されるように、レンズ216a、218a、216b、218bは配置される。追加の対のレンズ217が、長い方の光学アーム200aに設けられ、光学アームの幅および/または奥行を加えることなく、アライメントマーク像234が適正に形成されるようにする。対物窓240a、240bおよびイメージ窓242a、242bが、光学アーム200a、200bの中に設けられる。図2および図4に示されるミラーに相当するミラー(図示されていない)が、対物窓240a、240bおよびイメージ窓242a、242bの下方に設けられる。
【0127】
[00137] 使用中、第1の像アライメントマーク234aはアライメント装置によってスキャンされ、またはその他の方法で結像され、そのすぐ後で、第2のアライメントマーク像234bはスキャンされ、またはその他の方法で結像される。第1光学アーム200aが、図11に示される態様で延在する代わりに、基板230の左側に延ばされた場合、2つのアライメント測定を得るために必要とされるであろう時間に比べて、時間が節約される。言い換えれば、結像されたアライメントマーク234a、234bは互いに近いため、アライメント装置の下方にあるこれらのアライメントマーク両方を通過するために必要な合計時間は、基板の反対側にアライメントマーク像があったとした場合に必要とされるであろう時間に比べて短い。
【0128】
[00138] 光学アーム200a、200bのレンズ216a、261bおよび218a、218bは、基板アライメントマーク232a、232bを拡大するように配置される。あるいは、レンズは一切拡大を行わないように配置してもよい。
【0129】
[00139] 当然のことながら、y方向に延びる対応する光学アームを設けてもよい。
【0130】
[00140] 図12は、本発明の別の実施形態の概略図である。光学アーム250は、2つの90°の曲げ部(bends)を有している。光学アーム250には、光学アームの中の90°曲げ部を通って光を誘導するように配置されたミラー251、252が配置されている。ミラー251、252を除いて、光学アーム250の残り部分は、図2および図6に関して上述された光学アームに相当する。光学アーム250は、レンズ216、218と、対物窓253と、イメージ窓254とを含む。図2および図4で示されたミラーに相当するミラー(図示されていない)が、対物窓253とイメージ窓254の下方に設けられている。
【0131】
[00141] 使用中は、基板255は、光学アーム250が設けられている基板テーブルの上に置かれて、基板アライメントマーク256が対物窓253の上に位置するようにする。光学アーム250は、イメージ窓254の中にアライメントマークの像257を形成する。光学アーム250中に設けられた90°曲げ部は、アライメントマーク像257が基板アライメントマーク256に近くなるようにする。こうすることによって、熱膨張効果および/または基板テーブルの未知の回転を低減することになるため、有益である。
【0132】
[00142] 基板のアライメントを得るために使われる基板アライメントマークは、基板の下面に設けられているため、これらは通常、例えば基板の化学機械研磨などによってもたらされる損傷を被らない。しかし、基板アライメントマークに何らかの損傷が生じる場合もある。 このため、回折格子アライメントマークからのより高次な回折(higher orders of diffraction)の検出を可能とする光学アームを設けることが好ましい。このようにするためには、光学アームの中のレンズは、より高い開口数で基板アライメントマークを解像する必要がある。これを達成するための1つの方法が、図13に概略的に示されている。
【0133】
[00143] 図13は、x方向およびy方向に対して45°に延在する (すなわちx=yに平行な線に沿って)光学アーム260を平面視で概略的に示した一実施形態の図である。基板261には、x方向に延びる回折格子262を含む基板アライメントマーク262が設けられている。光学アーム260は、図2および図6に関して上述した光学アームにほぼ相当し、レンズ216、218と、対物窓263と、イメージ窓264とを含む。ミラー(図示されていない)は、対物窓262とイメージ窓264の下方に設けられている。
【0134】
[00144] 図13は、光学アーム260の中心部の断面を概略的に示しており、基板アライメントマーク262の回折次数266を示している。光学アーム260は基板アライメントマーク262の格子に対して45°なので、回折次数は、光学アームの側面と側面との間か、または光学アームの上部と底部との間に延びる代わりに、光学アーム260の角と角との間に延びることになる。回折次数が延在する距離の拡張は、約1.42の率であり、例えば、アライメント装置によって基板アライメントマーク262の追加回折次数が解像されることを可能にする。追加回折次数の使用は、基板アライメントマーク262の損傷に対するアライメント測定の感応性を低くする。
【0135】
[00145] 図14は、本発明の別の実施形態を示している。図13と共通して、光学アームの奥行を長くせずに(利用可能な奥行は、基板テーブルの奥行によって制限される)、光学アームがより高い開口数で基板アライメントマークを解像できるように、光学アームは配置される。
【0136】
[00146] 図14において、第1光学アーム270はx方向に延びている。光学アーム270の中心部の断面図も図14に示されている。光学アーム270は、レンズ216、218と、対物窓271と、イメージ窓272とを含む。ミラー(図示されない)は、対物窓271とイメージ窓272の下方に設けられる。光学アーム270の断面図は、高さよりも幅のほうが広い。光学アーム270の幅はかなり幅広であってもよい。なぜならば、光学アーム270がその範囲内に位置する基板テーブル273の面に沿って光学アーム270が延在するからである。 光学アーム270はy方向に広いため、y方向に延びる回折格子を備えるアライメントマークが、その他の方法で可能であるよりも高い開口数で解像されることを可能にする。このことにより、アライメントシステムはより高い回折次数を解像でき、よって、より強固な基板アライメントを得ることができる。
【0137】
[00147] 別個の光学アーム275は、第1光学アーム270と同じ構成要素を供えるが、y方向に延在する。図14に断面図で示されるように、第2光学アーム275も高さよりも幅のほうが広い。これによって、x方向に延びる回折格子を備える基板アライメントマークを、その他の場合よりも高い開口数で解像することができる。
【0138】
[00148] 本発明の別の実施形態が、図15に断面略図として示されている。光学アーム300には、レンズ316、318とミラー312、314が設けられている。光学アーム300にはさらに、対物窓302とイメージ窓304とが設けられている。アライメントシステム306には支持体308が設けられ、その上にアライメントマーク310が設けられている。
【0139】
[00149] 対物窓302に位置付けられたアライメントマークが、イメージ窓304にて例えば倍率「4」で拡大されるように、レンズ316、318は配置される。
【0140】
[00150] アライメントシステム306上に設けられたアライメントマーク310は、回折格子を備える。タルボット効果(Talbot effect)として知られる効果により、回折格子は自発的にその像320(以下「タルボットイメージ」(Talbot image)という)形成する。タルボットイメージは、レンズ316、318によって拡大され、イメージ窓304にて拡大アライメントマーク像322を形成する。拡大アライメントマーク像322は、アライメントシステム306から見える。
【0141】
[00151] 使用中には、光学アーム300を含む基板テーブル324はx方向に移動され、アライメントマーク像322も移動する。この移動は反対方向に行われ、かつ倍率「4」で拡大される。アライメントシステム306は、アライメントマーク像322の位置をモニターすることによって、基板テーブル324の位置をモニターすることができる。アライメントマーク像322が倍率「4」を含むため、アライメントシステム306が基板テーブル304の位置を決定できる精度は、これに応じて高くなる。
【0142】
[00152] 図16aは、2つのy方向リニアモータ404、406に取り付けられているx方向リニアモータ402に取り付けられた基板テーブル400の概略図である。図16に示されるリニアモータの構造が、多くのリソグラフィ装置で使用されている。リソグラフィの間、 基板テーブル400はx方向とy方向に移動されて、基板テーブル上に保持された基板の異なる複数のターゲット領域が、リソグラフィ投影用の投影システムの真下に位置できるようにする。リニアモータは、高い精度で作動するように用意される。x方向の移動については、x方向リニアモータ402が基板テーブル400を平行移動させる。y方向の移動については、両方のy方向リニアモータ404、406が同時に操作され、x方向リニアモータをy方向に移動させる。y方向への移動には、2つのリニアモータ404、406の同時操作が必要であるため、わずかな誤差が移動にもたらされ得る。例えばこれはリニアモータ404、406のヒステリシスによる場合もある。これによって、投影光学素子に対する基板のアライメントの間に誤差が生じるかもしれない。
【0143】
[00153] 図16bは、基板をx方向にスキャンしている間にy方向のアライメントを達成することによって、上記の問題を解決する光学アーム410を示している。光学アームは、2つのレンズ416、418とミラー420とを備える。光学アーム410はさらに、対物窓422とイメージ窓424とを備える。ミラー(図示されていない)は、対物窓422とイメージ窓424の下方に設けられている。光学アーム410は90°の角部を含み、これによって、x方向のスキャンをしている時にy方向のアライメントを達成できるという効果がある。ミラー420は、90°の曲げ部を通って光を誘導する。
【0144】
[00154] 使用中は、基板426は基板テーブルの上に位置し、光学アーム410はその基板テーブルの範囲内に位置する。y方向アライメントマーク428が対物窓422の上に位置するように、基板は位置決めされる。光学アーム410は、イメージ窓424にy方向アライメントマーク430の像を形成する。x方向に基板426および基板テーブルをスキャンしている時に、アライメントのためにアライメントマーク像430を使ってもよい。 基板アライメントマーク428は、y方向に延びる回折格子を備える。光学アーム410中の90°曲げ部とミラー420の効果とは、アライメントマーク像430がx方向に延在する回折格子を含むように、アライメントマークに回転をかけるということである。これによって、x方向のスキャンの際にアライメントを行うことができる。
【0145】
[00155] 基板テーブル400をx方向に移動している間にy方向のアライメントが達成されるため、図16aを参照するとわかるように、このアライメント中に1つのリニアモータ(x方向リニアモータ402)だけが使用され、これによって、2つのリニアモータの同時使用に関連する誤差が避けられる。
【0146】
[00156] 上述した本発明の実施形態では、基板アライメントマークを拡大するためにレンズ216、316、416、218、318、418を使用することができる。例えば、倍率「4」を使用してもよく、その結果、基板アライメントマークの像は基板アライメントマーク自体の4倍大きくなる。これにより、高められた精度で基板のアライメントを達成することができる。例えば倍率「3」または「5」などの、その他の値の倍率を使用してもよい。倍率は「1未満」(たとえば1/4)であってもよい。
【0147】
[00157] 上述のとおり、異なる複数の向き(例えばx方向およびy方向)を有し、かつ異なる複数の倍率を有する光学アームの混合を有するように、基板テーブルWTを設計してもよい。実際は、異なる倍率Mを有する3つ以上の光学分枝を設けてもよい。例えば、1つの方向に3つの光学分枝、すなわち倍率「1/4」の第1光学分枝と、倍率「1」の第2光学分枝と、倍率「4」の第3光学分枝とを設けることができる。その場合、基板Wには、3つのタイプの基板マークが設けられる。それぞれのタイプは、3つの光学アームのうちの1つで使われるように選ばれた寸法を有する。これと同じく、光学分枝のカスケードを設けてもよい。
【0148】
[00158] 当然のことながら、上述の実施形態は、本発明を実施するための例示である。倍率Mを提供するために、その他の構成を用いてもよい。
【0149】
[00159] レンズの代わりにファイバー、凸面鏡および/または凹面鏡を用いて、基板マークの拡大像を得ることもできる。さらに、基板アライメントマークから作られた像の向きを反転させるために、レフレックスカメラで使われるプリズムと類似したプリズムを使ってもよい。実際には、正しい方向変更(redirection)、焦点面、および拡大が得られる限り、あらゆる種類の光学素子を使用してよい。
【0150】
[00160] 本明細書および本明細書に開示されている本発明の実施を考慮に入れることにより、当業者にとってその他の実施形態、使用および利点が明らかであろう。本明細書は単に例示的なものとみなされるべきであり、従って、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ制限されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】[0028] 本発明の一実施形態にかかるリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0029] 本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図3】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図4】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図5】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図6】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図7】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図8】[0030] 本発明を具現化し得るアライメントマークを示す図である。
【図9】[0031] 本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図10】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図11】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図12】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図13】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図14】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図15】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図16a】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図16b】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、アライメントシステムを用いて測定できる位置を有する少なくとも1つの基板マークが設けられた基板を支持するように配された基板テーブルに関する。本発明はさらに、基板テーブル上の基板の位置を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造において用いられ得る。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルと呼ばれるパターニングデバイスが用いられ得る。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写され得る。パターンの転写は通常、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上での結像を介してなされる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するいわゆるステッパ、およびある特定の方向(「スキャン」方向)の照射ビームによってパターンをスキャンすると同時にこの方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射するいわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされるかもしれないが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドの製造といった他の用途を有することは、明らかである。そのような別の用途においては、本明細書で使われている「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義とみなされ得ると、当業者は理解するであろう。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、測定ツール、および/または検査ツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板処理ツールおよびその他の基板処理ツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、積層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使われる基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0004】
[0004] フォトリソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、言うまでもなく、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、フォトリソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されたパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストを硬化させることができる。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0005】
[0005] 本明細書で使われている「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、約436nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)、および極紫外線(EUV)放射(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0006】
[0006] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光学部品を含むさまざまな種類の光学部品のどれか1つまたは組合せを指すことができる。
【0007】
[0007] アライメントとは、マスク上の特定のポイントを、露光されるべき基板上の特定のポイントに位置合わせするプロセスである。一般的に、1つまたは複数のアライメントマーク(例えば小さいパターン)が基板とマスクのそれぞれに設けられる。デバイスは、中間処理工程の連続露光によって重ね合わされた多くの層を含んでもよい。各露光の前に、アライメントが行われて、新しい露光とその前の露光との間の位置誤差を最小限に抑えるようにする。このような誤差を「オーバーレイ誤差」という。
【0008】
[0008] しかし、化学機械研磨(CMP)、ラピッドサーマルアニーリング、厚層堆積(thick layer deposition)、および深トレンチエッチング(deep trench etching)などの中間処理工程のいくつかは、基板上のアライメントマークに損傷を与えるか、または歪める可能性があり、またはアライメントマークを不透明な層の下に埋もれさせる可能性がある。よって、アライメントマークがはっきりと見えないか、あるいはまったく見えない場合があり、アライメントの精度にマイナスの影響を与える。これによってオーバーレイ誤差が生じ得る。
【0009】
[0009] マイクロシステム技術(MST)や微小電子機械システム(MEMS)などのいくつかの技術では、基板の両面を用いてデバイスを製造する。この技術は、基板の一方の面上で複数回露光を行い、当該基板の他方の面上でその前に露光されたフィーチャ(特徴:features)に複数の露光層が正確に位置合わせされるようにするという課題に直面する。約0.5ミクロンまたはそれ以上のアライメント精度が一般的に要求される。
【0010】
[0010] いわゆる「液浸技術」を用いることによって、さらに小さいパターンを有するパターニングフィーチャ(patterning features)の結像を可能にする新しい技術が開発されている。この技術は、レンズと基板との間の空間が、水などの流体で満たされているという事実に基づいている。水の屈折率は、空気または低圧気体の屈折率よりも高いので、システムの開口数は高くなる。これにより、同じ放射システムおよび投影システムを使っても、システムはより小さいパターンを結像できる。液浸技術についての追加情報は、欧州特許第1 420 298 A2号、欧州特許第1 429 188号、および欧州特許第1 420 300 A2号で見つけることができる。しかしながら、水の存在は、アライメント測定に影響を与える。レンズと基板との間の空間に水が存在する結果、基板上に設けられたマークでアライメント測定を行うことが難しくなる。さらに、事前に求めた「乾式」アライメント測定と、上記の「湿式」測定を比較することも、やや難しい。
【0011】
[0011] 従来のアライメント技術はすべて、基板の上面で、すなわち露光が行われる側の面で実施される。この面は、基板の「第1面」または「前面」という。このようなアライメント技術はすべて、基板の上面に設けられたアライメントマークの位置を測定することによって、基板の位置を測定する。しかし、液浸技術と両面から製造された基板との組み合わせでは、これら従来のアライメント技術を実施するのは難しく、かつその精度は低くなる。
【0012】
[0012] 従来のアライメント技術は一般に、基板の上面に、すなわち基板がその上に置かれる基板テーブルに面していない側の基板の面上に設けられたアライメントマークの位置を測定する光学測定技術を用いる。このようなアライメント技術を、両面から製造されたデバイスと組み合わせて用いることは難しい。なぜならこの場合、アライメントマークが基板テーブルに面するように、基板を位置付けなければならないからである。
【0013】
[0013] 液浸技術が用いられる場合、アライメントシステムの光学素子は通常、液体で満たされた領域の外に位置付けられ、光学素子および/または光学信号は液体の中へと誘導される必要がある。これは簡単な作業ではく、複雑かつ高価な技術である。
【0014】
[0014] これらの問題を克服するために、基板の裏面に、すなわち基板テーブルに面した側で、かつ露光されない側の基板の面に設けられたアライメントマークの位置を測定するようになされたアライメント技術が開発されてきた。この面は、基板の「第2面」ともいう。
【0015】
[0015] アライメントの間、第2面は、基板を支持する基板テーブルに面している。基板の第2面に設けられたアライメントマークの位置測定を可能にするために、基板テーブルの中に光学デバイスが設けられる。この技術は一般に、「裏面アライメント(backside alignment)」といい、以下により詳細に記載される。より広範囲な記載は、米国特許第6,768,539号に見られる。
【0016】
[0016] 一般に、基板テーブル上に配された基板の位置をより正確に測定できるように、そしてより良好なアライメント結果を達成できるように、前面のみならず裏面についても、アライメント技術を改良することが必要である
【0017】
[0017] 本明細書全体にわたって、基板の特定の面上に位置付けられたアライメントへの言及は、基板のそれぞれの面にエッチングされたアライメントマークを含み、かつ後続の材料(subsequent material)をアライメントマークの上に堆積させて、当該後続の材料が埋め込まれ、かつ基板の表面に必ずしも露出しないようにすることを含む。
【0018】
[0018] ICまたはMEMの製造における装置の使用について具体的な言及がなされるかもしれないが、このような装置がその他多くの用途を有することは明らかである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造にも当該装置を用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
[0019] 本発明は、改良されたアライメントまたは別の態様のアライメントを可能にする基板テーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
[0020] 本発明の第1の態様によれば、光学システムを備えた基板テーブルであって、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓(first window)および第2の窓(second window)と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを備え、前記第1の窓には第1のアライメントマーク(first alignment mark)が設けられ、かつ前記少なくとも2つのミラーおよび前記少なくとも2つのレンズは、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像を形成するように配され、かつ第2のアライメントマーク(second alignment mark)が、前記第2の窓の中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる、基板テーブルが提供される。
【0021】
[0021] 本発明の第2の態様によれば、基板テーブルに設けられた光学システムをモニターする方法であって、第1のアライメントマークに対して前記光学システムの反対側端部にある、前記第1のアライメントマークの像を検出する工程と、前記第1のアライメントマークの像に隣接して設けられる第2のアライメントマークを検出する工程と、前記第2のアライメントマークと前記第1のアライメントマークの像との離隔距離(separation)を決定する工程と、ある期間にわたって前記離隔距離をモニターする工程とを備える方法が提供される。
【0022】
[0022] 本発明の第3の態様によれば、光学システムを備えた基板テーブルであって、放射が光学アームの中を通ることができるようにする表面を含む第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを備え、前記第1の窓および/または前記第2の窓の表面の面積が1mm2以下である、基板テーブルが提供される。
【0023】
[0023] 前記第2の窓が前記第1の窓と同じ寸法を有するように、本発明の第3の態様による基板テーブルを用意してもよい。前記第2の窓は、前記第1の窓とは異なるサイズになるように用意されてもよく、前記サイズの差は、前記2つのレンズの倍率(magnification factor)に相当する。前記光学システムは、前記基板テーブルの操作主軸(principle axes of operation)に対してある角度をなす方向に延在してもよい。
【0024】
[0024] 本発明の第4の態様によれば、基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、前記第1の窓を満たすのに十分なサイズのアライメントマークを有する基板を、前記基板テーブル上に設ける工程と、前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置(aligned position)を決める工程とを備える方法が提供される。
【0025】
[0025] 本発明の第5の態様によれば、基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、アライメントマークを有する基板を前記基板テーブル上に設ける工程と、結像されたアライメントマークが前記第2の窓を満たすのに十分なサイズとなるように、前記第2の窓に前記アライメントマークの像を形成する工程と、前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置を決める工程とを備える方法が提供される。
【0026】
[0026] 本発明の第4の態様または第5の態様による方法は、最初に前記基板の位置をより低い精度で(to a lesser accuracy)決めることによって、前記アライメントマークの位置が前記より低い精度で既に知られている状態になるようにする(is already known to the lesser accuracy)工程をさらに備える。前記アライメントマークは回折格子を含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[0027] 本発明のいくつかの実施形態が、単なる例として、添付の概略図面を参照して説明されるが、これらの図面においては、同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0028】
[0032] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。当該装置は、以下の構成要素を含む。
【0029】
[0033] − 放射ビームB(例えば、紫外線(UV)またはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(illumination system)(イルミネータ)IL
【0030】
[0034] − パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置付けることができるように構成された第1位置決め装置PMに連結されている、支持構造体(例えば、マスクテーブル)MT
【0031】
[0035] − 基板(例えば、レジストコート基板)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置付けることができるように構成された第2位置決め装置PWに連結されている、基板テーブル(例えば、基板テーブル)WT
【0032】
[0036] − パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている、投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PS
【0033】
[0037] 照明システムとしては、放射を誘導し、形成し、あるいは制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他の型の光学部品、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまな型の光学部品を含むことができる。
【0034】
[0038] 支持構造体は、パターニングデバイスを支えるもの、すなわちその重量を支持するものである。支持構造体は、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているかいないかなどといった他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。支持構造体は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。支持構造体は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができる架台またはテーブルであってもよい。支持構造体は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使われる「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0035】
[0039] 本明細書において使われる「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように放射ビームの断面にパターンを付けるために使うことができるあらゆるデバイスを指していると広く解釈されるべきである。なお、放射ビームに付けたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフト特性すなわちいわゆる支援特性を含む場合、基板のターゲット部分内の任意のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などの、ターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定機能層に対応することになる。
【0036】
[0040] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィィでは公知であり、バイナリ、alternating位相シフト、および減衰位相シフト(attenuated phase-shift)などのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームがさまざまな方向に反射するように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0037】
[0041] 本明細書において使われる「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学システム、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使われる「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えてよい。
【0038】
[0042] 本発明の例示的実施形態において、装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、装置は、反射型のもの(例えば、プログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0039】
[0043] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」マシンにおいては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0040】
[0044] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすような比較的高屈折率を有する液体、例えば、水によって基板の少なくとも一部を覆うことができる型のものであってもよい。さらに、リソグラフィ装置内の、例えば、マスクと投影システムとの間の別の空間に浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるための技術においてよく知られている。本明細書において使われている「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、どちらかといえば、露光中、投影システムと基板との間に液体があるという意味でしかない。
【0041】
[0045] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射を受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また、放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀灯である場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体型部品とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0042】
[0046] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調節するように構成されたアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側径方向範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他の構成要素を含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0043】
[0047] 放射ビームBは、支持構造体(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉装置、リニアエンコーダ、または容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置付けるように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(図1では明確に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリからマスクを機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置付けることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1位置決め装置PMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2位置決め装置PWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、けがき線アライメントマーク(scribe-lane alignment)として公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0044】
[0048] 例示の装置は、以下のモードの少なくとも1つで使うことができると考えられる。
【0045】
[0049] 1. ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度に(すなわち、単一静止露光)ターゲット部分C上に投影する。基板テーブルWTは、つぎにXおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cが露光されることが可能になる。ステップモードにおいては、露光領域の最大サイズよって、単一静止露光時に投影されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0046】
[0050] 2. スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および画像反転特性によって決めるとよい。スキャンモードにおいては、露光領域の最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0047】
[0051] 3. 別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持しつつ、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かし、すなわちスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0048】
[0052] 上述の使用モードの組合せおよび/または変形物、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0049】
[0053] 図2は、基板テーブルWT上の基板Wを示している。基板マークWM3およびWM4は、 基板Wの第1面(「前面」)上に設けられ、上記矢印WM3およびWM4で示されるとおり、光がこれらのマークで反射され、かつアライメントシステム(図示されていない)と共に、マスク上のマークを使ってアライメントに使用されてもよい。これについてのより詳細な説明は、米国で公開された出願番号第2005-0133743号に開示されており、これは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0050】
[0054] さらに、基板マークWM1、WM2が、基板Wの第2面(「裏面」)に設けられている。基板Wの裏面にある基板マークWM1、WM2に光学アクセスするために、光学システムが基板テーブルWTに組み込まれている。光学システムは、1対のアーム10a、10bを備えている。各アームは、2つのミラー12、14と、2つのレンズ16、18からなる。各アームの中のミラー12、14は、これらが水平面との間で形成する角度の合計が90°となるように傾けられる。このようにして、これらミラーのうちの一方に垂直に入射した光線は、他方のミラーに反射した時も垂直のままとなる。当然のことながら、方向を180° 変えるその他の方法も考えることができる。例えば、光学システム全体が180°の方向変換をもたらすということであれば、レンズと架台(mounting)が当該方向変換の大部分を考慮するように、レンズと架台を設計してもよい。
【0051】
[0055] 使用中、光は基板テーブルWTの上からミラー12へと誘導され、レンズ16、18を介してミラー14上へ、その後それぞれの基板マークWM1、WM2へと誘導される。光は基板マークの一部に反射し、光学システムのアームに沿って、ミラー14、レンズ18および16、そしてミラー12を介して戻る。ミラー12、14とレンズ16、18は、基板Wの前面に設けられた基板マークWM3、WM4の垂直位置に対応する、基板マークWM1、WM2の像20a、20bが基板Wの前(上)面の面上に形成されるように配される。レンズ16、18とミラー12、14の順番は、光学システムにとって適切なように異なってもよい。例えば、レンズ18はミラー14と基板Wとの間でもよい(後述の実施形態の図を参照)。
【0052】
[0056] 基板マークWM1、WM2の像20a、20bは、仮想基板マークとしての機能を果たし、基板Wの前(上)面に設けられた実際の基板マークと全く同じように、既存のアライメントシステムによるアライメントのために使うことができる。
【0053】
[0057] 図2に示されるとおり、光学システムのアーム10a、10bは、基板Wの上方にあるアライメントシステムから見えるように、基板Wの側方に変位された像20a、20bを形成する。光学システムのアーム10a、10bの2つの好適な向き(orientations)が、図3と図4に示されており、これらの図面は、XY面に位置する基板Wの平面図であるある。明確にするために、図3および図4では基板テーブルWTが省略されている。図3では、光学システムのアーム10a、10bはX軸に沿って位置合わせされている。図4では、光学システムのアーム10a、10bは、Y軸に平行になっている。両方の場合で、基板マークWM1、WM2はX軸上に位置している。基板マークWM1、WM2は、基板Wの下面に位置しており、基板Wの上面からすると逆になっている。しかし、基板マークWM1、WM2の像20a、20bが、回復された適切な向き(restored proper orientation)となるように、光学システムのアームのミラー12、14の配置は構成されてもよい。従って、これらの像は基板Wの上面にあるかのごとく、まったく同じように見える。基板マークWM1、WM2のその像20a、20bに対するサイズの比率が1:1になるように、すなわち拡大または縮小が一切行われないように、光学システムを配置してもよい。その結果、像20a、20bは、基板Wの前面上にある実際の基板マークであるがごとく使用することができる。実際の基板マークと仮想マークの両方を用いてアライメントを行うために、マスク上に設けられた共通アライメントパターンまたはキーを使ってもよい。
【0054】
[0058] 本実施例では、基板マークは、図2に示されるとおり、基板Wの前面と裏面の両方の対応する位置に設けられている。図3および図4では、明確にするために、基板Wの裏面の基板マークのみが示されている。この配置に従い、基板WをX軸またはY軸のいずれかを中心にして回転させることによって反転した場合、基板Wの上面にあった基板マークは、今度は基板Wの下面になるが、それは光学システムのアーム10a、10bによって結像され得る位置となる。
【0055】
[0059] 留意すべき点としては、ミラーの配置により、光学システムのアーム10a、10bに平行な一方向に基板Wを変位すると、基板の下面にある基板マークWM1、WM2の対応する像20a、20bを反対方向に変位することになる。例えば、図3では、基板Wが右側に変位されると、像20a、20bは左側に変位されることになる。アライメントシステムを制御するソフトウェアは、基板マークWM1、WM2の位置を決める時、そしてアライメントを実施する際に、基板Wとマスクの相対位置を調節する時に、上記のことを考慮できる。2つの光学システムのアーム10a、10bが対称である場合、基板が変位される時、像20Aと20Bの間の離隔距離は実際には一定のままとなる。
【0056】
[0060] 基板テーブルWTには、基板マークWM1、WM2の移動に対して像20a、20bの移動方向を変えないミラー配置(mirror arrangement)を設けてもよい。
【0057】
[0061] 基板Wの各面につき少なくとも2つの基板マークを設けてよい。1つのマークは、基板上の特定のポイントに対するマスク上の特定のポイントの像の相対位置決めに関する情報を提供してもよい。しかし、正確に配向されたアライメントと倍率を確保するために、少なくとも2つのマークを使ってもよい。
【0058】
[0062] 図5は、基板テーブルWTの一部の断面を示している。基板の裏面の基板マークを結像するための光学システム10a、10bは、特定の方法で基板テーブルWTに組み込まれてもよい。図5に示されるとおり、光学システムのアームのミラー12、14は、別個の部品としては設けられないかもしれないが、基板テーブルWTと一体化される。適切な面が機械加工されて基板テーブルWTに組み込まれ、その後、反射率をより良くするためにコーティングを施してもよく、このようにしてミラー12、14が形成される。光学システムは、例えば非常に低い熱膨張率を有するために、高いアライメント精度を確実に維持できる、ゼロデュアー(Zerodur商標)のような、基板テーブルと同じ材料から作られてもよい。
【0059】
[0063] 投影されパターン付けされたビームに対する基板Wのアライメントを可能にするために、基板W上に基板マークWM1、WM2、WM3、WM4を設けてよい。基板Wの異なる複数の層を互いに最適に位置決めできるようにするため、アライメントが必要である。基板Wは、基板W上にそれぞれ順々に形成されて、露光された複数の層が積み上げられて形成される。これら異なる複数の層はワーキングデバイス(working device)を形成するように構成されているため、異なる複数回の露光は、互いに最適に位置合わせされなければならない。
【0060】
[0064] 上述のとおり、複数の層で集積回路は作られる。各層は、基板W上の(異なる)パターンの露光から始まってもよい。このパターンは、その前のパターン上に最適に適合する必要がある。このアライメントにおける達成精度の測度(measure for accomplished accuracy)は、オーバーレイOである。
【0061】
[0065] 従来のアライメント技術が用いられる場合、すなわち、基板マークWM3、WM4が基板Wの第1面上に位置付けられる場合の、基板W上の基板マークWM3、WM4の位置とオーバーレイOとの関係を説明するために、式を導き出してもよい。
【0062】
[0066] 基本的に、オーバーレイOは、マシンがいかに正確に像を露光し得るか、そして基板の位置がいかに正確に測定されるかに左右される。これらは2つの独立した誤差源である。
【0063】
[0067] 像を露光する際のマシンの精度は、「ステージオーバーレイS」と呼ばれる。ステージオーバーレイSとは、基板Wが2回の露出の間にステージ上に留まる場合の、第1層と第2層との間のオーバーレイ差のことである。よって、ステージオーバーレイSは、マシン露光位置決め誤差の測度である。
【0064】
[0068] 基板Wの位置を測定する際に得られる精度は、基板マーカの幾何学的位置に左右される。基板アライメントのパラメータには、拡張(expansion)、回転、および転換(translation)が含まれる。基板の拡張および回転によってもたらされるオーバーレイ誤差は、基板の縁部でもっとも大きい。
【0065】
[0069] オーバーレイOを表すための以下の式を導き出すことができる。
【0066】
[0070]
【数1】
[0071] ここで、
[0072] 「σ」は、測定されるアライメント位置の標準偏差であり、
[0073] 「Dw」は、基板の直径であり、
[0074] 「DPM」は、2つのアライメントマークの間の距離であり、
[0075] 「S」は、ステージオーバーレイの3σ(標準偏差の3倍)であり、
[0076] 「O」は、オーバーレイの3σ(標準偏差の3倍)である。
【0067】
[0077] σの値は、マーク位置の測定分布における誤差の測度である。誤差分布がガウス分布と見なされる場合、当業者にとって明らかなように、3σの値は、すべての誤差の約99.7%がより小さいものとなる誤差値を示している。
【0068】
[0078] 基板の第1面上に位置する基板マークを測定する際のσFS(前面)の値は、基板Wの第2面上に位置する基板マークを測定する際のσBS(裏面)の値とは異なる。基板Wの第2面上に設けられた基板マークについて、なぜσが異なる値となるのか、いくつかの理由を特定できる。例えば、以下のような理由である。
【0069】
[0079] − 基板の第2面上に位置する基板マーカを測定するために、より多くの光学素子が使用されている。
【0070】
[0080] − 基板の第2面上の基板マーカを測定するために使われる光学素子は、より温度に依存している。
【0071】
[0081] 図2に示される光学システムに類似している光学システムで、基板Wの裏面にある基板マークWM5、WM6への光学アクセスをもたらし、かつ倍率(magnification)Mを提供する光学システムを、基板テーブルWTに組み込んでもよい。このような光学システムの例は図6に示されている。上述の図面で見られた同一の部分については、同じ符号が使われている。
【0072】
[0082] 当然の事ながら、式(1)のσはここではσBSとなり、これは、基板マークの像が前面に誘導され得るという事実を考慮して、σFSと項σBF(裏面(back)から前面(front))の合計である。
【0073】
[0083]
【数2】
【0074】
[0084] この結果、Oについての式は以下のとおりになる。
【0075】
[0085]
【数3】
【0076】
[0086] 光学システムは、1対のアーム10a、10bを備えている。一実施形態では、各アームは、2つのミラー12、14と、2つのレンズ116、118からなる。その他の構成を用いてもよい。各アームの中のミラー12、14は、これらが水平面との間で形成する角度の合計が90°となるように傾けられる。このようにして、これらミラーのうちの一方に垂直に入射した光線は、他方のミラーに反射した時も垂直のままとなる。当然のことながら、180° の方向変更も、光学システム中に設けられているその他の光学素子(例えばレンズ116、118)によって(部分的に)可能となり得る。
【0077】
[0087] 基板Wの前面に設けられたいずれかの基板マークWM3、WM4の垂直位置に対応する基板マークWM5、WM6の拡大像120a、120bが、基板Wの前(上)面の面上に形成されるように、レンズ116、118を設計してもよい。レンズ116、118とミラー12、14の順番は、光学システムにとって適切なように異なってもよい。例えば、レンズ118はミラー14と基板Wとの間でもよい。
【0078】
[0088] レンズ116、118に異なる焦点距離を与えることによって、倍率(magnification factor)Mを得てもよい。この例での倍率はM=3であるが、他の適切な倍率Mを用いてもよい。基板マークWM5、WM6および拡大像120a、120bに対するミラーの位置決めが、図2に示される実施形態とは異なってもよいこと、すなわち、基板マークWM5、WM6と第1レンズ116との距離が、第2レンズ118と拡大像120a、120bとの間の距離の3分の1となってもよいことは、当業者にとっては当然のことである。このことが図6に概略的に示されている。その他の構成を用いてもよい。
【0079】
[0089] 当然のことながら、ミラー12とミラー14との間の距離が、基板マークWM5、WM6の拡大像120a、120bが見られる場所である、光学アームの方向の位置を決める。ミラー12、14が互いに遠く離れて位置している場合、拡大像120a、120bはそれぞれ左右に移動するかもしれない。拡大像120a、120bが見られる場所である、図6に示されるとおりの向きに従った垂直方向の位置は、当業者によって容易に理解されるように、レンズ116、118の焦点距離に左右される。例えば、拡大像120a、120bが、図6に示されるように基板Wの前面に位置する基板マークWM3、WM4と同じ(鉛直の)レベルとなるように、前記焦点距離を選ぶことができる。
【0080】
[0090] 残りのアライメントハードウェアは、拡大が行われない(no magnification is provided)システムで使われるハードウェアと同様でよい。従って、基板マークWM5、WM6の拡大像120a、120bは、アライメント測定を行うために存在する光学素子が検出できるサイズであることが好ましい。これを達成するためには、拡大が行われない図2で示される実施例で用いられる基板マーカWM1、WM2に比べて、基板マークWM5、WM6はより小さく、すなわち倍率Mだけ小さくてよい。
【0081】
[0091] 前記倍率Mの結果、基板Wの移動はMと等しい倍率(factor)で拡大されて、アライメント誤差の一部を低減させる。よって、式(2)で定義されたσBSは、σBS,Mという新しい値に置き換えられる。
【0082】
[0092]
【数4】
【0083】
[0093] σBS,M の値が、基板Wの前面に位置するウェーハマークWM3、WM4の直接測定を用いて得られるσFSの値よりもさらに小さいという場合もある。
【0084】
[0094] 留意すべき点は、拡大が行われるために、光学システムに対して基板Wを一方向に変位することが、基板の下面にある基板マークWM5、WM6の対応する像120a、120bを反対方向に、かつ倍率Mで変位され得るということである。例えば、図6では、基板Wが特定の距離だけ右側に変位された場合、像120a、120bは、前記特定の距離のM倍分、左側に変位され得る。アライメントシステムを制御するソフトウェアは、基板マークWM5、WM6の位置を決める時、そしてアライメントを行う際に、基板Wとマスクの相対位置を調節する時に、上記のことを考慮してもよい。
【0085】
[0095] 基板テーブルWTには、基板マークWM5、WM6の移動に対して像120a、120bの移動方向を変えないミラー配置を設けてもよい。これは、当業者には明らかなように、多くの方法で行うことができる。例えば、プリズムと組み合わせたミラーを用い、レフレックスカメラと同様の技術を用いて行うことができる。
【0086】
[0096] 式(2)に従い、σBS=7.26nmを得るためには、σFS値=7.1 nmおよびσBF値=1.5nmが必要である。基板テーブルWTに、例えば倍率M=3が与えられた場合、σBS,Mの値はσBS,M=2.80nmとなる。オーバーレイOMの新しい値は、以下の式から得られる。
【0087】
[0097]
【数5】
【0088】
[0098] 倍率での裏面アライメントを用いることにより、従来の裏面アライメントを用いた場合よりも、または前面アライメントを用いた場合でさえよりも、さらに正確な結果が得られることが理解され得る。
【0089】
[0099] 原則として、基板Wの前面に設けられた基板マークについても、倍率を用いてもよい。基板テーブルWTの前面に、このためのデザインを組み込むために、修正を行ってもよい。基板テーブルWTの移動が拡大されないように、拡大光学素子(magnification optics)を基板テーブルWTに固定する必要があるかもしれない。
【0090】
[00100] 基板テーブルWTに組み込まれた光学システムが、倍率Mで拡大された像を提供するという事実の結果、基板マークWM5、WM6の位置はより正確な方法で決めることができる。当然のことながら、システムのキャプチャレンジ(capture range)は、倍率Mに等しい率だけ減らされ得る。キャプチャレンジとは、測定システムによって正しいマーク位置を検出するために基板マーカが配されるxおよびy方向の領域である。その結果、基板マークWM5、WM6を見つけるためには、基板テーブルWTに組み込まれた光学アームに対する基板Wの位置決めは、より正確に行われる必要がある。
【0091】
[00101] しかしながら、図7で示すような基板テーブルWTを提供することによって、上記の問題を改善することができる。図7では、拡大を行わない第1対の光学アーム110a、110bと、拡大を行う第2対の光学アーム110c、110dが使用されている。基板Wには、第1対の光学アーム110a、110bによって検出されるように位置付けられた第1基板マークWM1、WM2を設けてもよい。基板Wには、第2対の光学アーム110c、110dによって検出されるように位置付けられた第2基板マークWM5、WM6をさらに設けてもよい。第1基板マークWM1、WM2は「標準」サイズである。つまり、第1基板マークWM1、WM2が、最新技術の光学アーム110a、110bによって、拡大を行わずに検出され得るということを意味している。第2基板マークWM5、WM6は、光学アーム110c、110dに組み込まれた倍率Mに従った縮小サイズである。
【0092】
[00102] 従って、第1基板マークWM1、WM2のキャプチャレンジは、第2基板マークWM5、WM6のキャプチャレンジよりも大きい。ここで、アライメントを2段階で行ってもよい。まず、第1対の光学アーム110a、110bを介して第1基板マークWM1、WM2を使用して、アライメント位置を決めてよい。この結果、粗動アライメント情報(coarse alignment information)となり得る。この粗動アライメント情報を使って、第2のアライメント段階の間に第2基板マークWM5、WM6を見つける。この第2のアライメント段階では、第2対の光学アーム110c、110cを介して第2基板マークWM5、WM6を使用して、微動アライメント位置を決める。
【0093】
[00103] 異なる向き(例えばxおよびy方向)を有し、かつ異なる倍率を有する光学アームの混合を有する基板テーブルWTを設計してもよい。実際には、異なる倍率Mを有する3つ以上の光学分枝を設けてもよい。例えば、1つの方向に3つの光学分枝、すなわち倍率「1」の第1光学分枝と、倍率「3」の第2光学分枝と、倍率「9」の第3光学分枝とを設けることができる。その場合、基板Wには、3つのタイプの基板マークが設けられる。それぞれのタイプは、3つの光学アームのうちの1つで使われるように選ばれた寸法を有する。これと同じく、光学分枝のカスケード(cascade)を設けてもよい。
【0094】
[00104] 複数の光学分枝を使うことによって、オーバーレイ精度を向上させるために、異なるアライメント戦略が実施され得る。
【0095】
[00105] 光学アームの中に設けられた光学素子によって提供される倍率Mを変えるために、光学アームに構造を設けてもよい。例えば、レンズ116、118の光軸方向にレンズ116、118の位置を変えることによって、倍率Mを変えることができる。さらに他の実施形態では、異なる焦点距離を有する異なるレンズにレンズを取り替えるために、ある機構を設けることによって、倍率Mを変えることができる。当該機構を用いることによって、状況に応じて倍率Mを変更することができる。また、アライメントマークの拡大に関連するより小さいキャプチャレンジを克服するために、前記機構を用いてもよい。
【0096】
[00106] 基板Wには、異なる倍率で使用できる基板マークを設けてもよい。図8は、このような基板マーク200の一例を示しており、基板マーク200は、比較的太い線を形成するために、例えば6本の細い線からなる複数のグループ単位に配置された比較的細い線を含む。第1倍率M1を使って測定をする場合に太い線を使用し、第2倍率M2を使って測定をする場合に細い線を使用する。ここではM1<M2である。当業者にとって明らかであるが、基板マーク200と同様の方法で使われるその他多くの基板マークが考えられる。実際に、2つ以上の典型的な寸法の複数のパターンを有するすべての基板マークが使用できる。
【0097】
[00107] 上記の光学アームは、より正確な測定を可能にする倍率Mで基板マークWM5、WM6の像を提供するため、レンズ116、118およびミラー12、14などの光学素子の位置は高い精度で知られる必要がある。しかし、これらの位置は、基板Wごとに変わらないため、この誤差を系統誤差として表すことにより、前記位置を補正することができる。
【0098】
[00108] 例えば、縮小されたサイズの基板マークWM5、WM6に関連する小さいキャプチャレンジの問題を克服するために、従来の前面基板マークWM3、WM4を用いて、第1の事例の基板Wの位置を決めることも可能である。この最初に決定された位置に基づき、基板Wの第2面上に設けられた基板マークWM5、WM6を使って、より正確な方法で基板Wの位置を決めてもよい。
【0099】
[00109] 例えば、基板Wの前面上に設けられた基板マークWM3、WM4がまだ従来のアライメントで使われてもよいが、より正確なアライメントが必要な場合に、上記の方法を行ってもよい。その場合、倍率が与えられた光学アームと組み合わせて使用するのが適している基板マークWM5、WM6を用いることによって、より正確なアライメントが得られる。当然のことながら上記の装置は、裏面のみならず前面についても、より正確なアラインメントを提供するために使用することができる。基板テーブルWT中に設けられた光学アームにおいて倍率Mを与えることが有利である。
【0100】
[00110] 基板テーブルには倍率M>1が与えられてよいが、倍率M<1が与えられてもよい。従って、実際には拡大の代わりに縮小となる。基板マークWTがアライメントシステムのキャプチャレンジの外にある時、使用されるアライメントシステムが基板マークWTを見つけることができないという、発生可能な問題を解決するために、上記の基板テーブルWTを使うことができる。「1」未満の倍率で基板マークの像を提供するように準備された基板テーブルWTを設けることによって、キャプチャレンジは高められる。当然のことながら、縮小された基板マークWM5、WM6の代わりに、「1/M」の倍率でサイズを大きくした基板マークが、基板W上に設けられるべきである。従って、倍率が「M=1/4」に選ばれた場合、「4(=1/(1/4)」の倍率で拡大された基板マークが基板W上に設けられる。
【0101】
[00111] 図9は、本発明の一実施形態にかかるアライメント装置の光学アーム200の概略図(平面視)である。図2および図6に関して上述したものと同じ一般形態を有する光学アーム200は、2つのレンズ216、218と2つのミラー(図示されていない)を含む。光学アーム200の一方の端部に対物窓(object window)202が設けられ、反対側の端部にイメージ窓(image window)204が設けられる。図2および図4で示されるミラーに対応するミラー(図示されていない)が、対物窓202とイメージ窓204の下に設けられている。アライメントマーク206が、対物窓202にエッチングされ、またはその他の方法でパターン付けされる。 レンズ216、218は、イメージ窓204に対物窓アライメントマーク206の像208を形成する。第2のアライメントマーク210が、イメージ窓204にエッチングされ、またはその他の方法でパターン付けされる。このイメージ窓アライメントマーク210は、対物窓アライメントマーク206の像208に隣接して配される。
【0102】
[00112] 図9に示される実施形態は、例えば、光学アームが設けられた基板テーブルの温度の変化によって生じ得る光学アーム200の拡張、収縮またはその他の変化をモニターするために使うことができる。これが役に立つ理由は、以下の例を考慮することによって理解できるだろう。すなわち、下面にアライメントマークが設けられた基板であって、基板が基板テーブル上に位置する時、基板が対物窓202の上を覆うようにアライメントマークが位置付けられ、アライメントマークの像がイメージ窓204の中に形成されるようになっている。光学アーム200は事前に較正され、「オブジェクトベクトルの像(image to object vector)」について測定が行われ、これによって、イメージ窓の中のアライメントマークの検出された位置を、基板の下面にあるアライメントマークの位置に変換できるようになる。しかし、レンズ216、218またはミラー(図示されていない)に歪みまたはその他の変化が生じた場合、基板アライメントマークの測定位置に誤差が生じるようになる。 本発明の実施形態は、この誤差の測定および補正を提供する。レンズ216、218またはミラーのその他の変化の歪みは、例えば、熱効果によってもたらし得る。
【0103】
[00113] イメージ窓アライメントマークは、イメージ窓に隣接して配されたアライメントマークに置き換えてもよい。これが行われた場合、本発明の実施形態は同じように機能する。
【0104】
[00114] 初期較正の間、基板にはその上面および下面にアライメントマークが設けられ、これらは互いに公知の空間関係を有する。下面のアライメントマークの位置は、光学アーム200を用いて測定され、そして基板の上面にあるアライメントマークの位置と比較される。これにより、オブジェクトベクトルの像を正確に決めることが可能となる。その後、イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離が決められる。これは、例えば熱膨張によって光学アーム200の寸法の変化が生じる時間がないように、オブジェクトベクトルの像の測定の十分にすぐ後に行われるべきである。イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離は記録され、かつ後の測定値が比較される基準値として使用される。
【0105】
[00115] その後の基板へのパターンのリソグラフィ投影の間、イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離は定期的に測定され、かつ基準測定値と比較される。この離隔距離の基準離隔距離からの偏差は、光学アーム200の寸法の変化を示し、基板アライメントマークの測定位置の対応する補正が計算される。
【0106】
[00116] アライメントマーク206、210は、例えば、適切なアライメント測定装置(この例は当業者にとって周知である)によって検出されるように配された回折格子を含んでもよい。一実施形態では、アライメントマーク206、210のうちの一方の周期が、他方のアライメントマークの周期とわずかに(例えば10%)異なるように、アライメントマーク206、210を用意してもよい。両方のアライメントマークの回折ピークが一致する場所である、検出アライメント位置を決めるために、アライメントセンサを用意してもよい。この場合、対物窓アライメントマーク206の像208の移動は、検出アライメント位置の比例シフト(proportional shift)を引き起こす。
【0107】
[00117] イメージ窓アライメントマーク210の位置と対物窓アライメントマーク206の像208の位置は、例えば各基板上にパターンを結像する前に検出されてもよい。あるいは、所定の時間が経過した後、例えば1時間ごとに、離隔距離を測定してもよい。
【0108】
[00118] 対物窓202およびイメージ窓204は、確実に基板テーブルに固定される。これは、例えば、窓202、204を基板テーブルに埋め込み、かつ真空式クランプ技術(これを機械式クランプ技術で補助してもよい)を用いてこれらの窓202、204を固定することによって実施してもよい。これらの窓は、低い熱膨張率を有する材料(例えばゼロデュアーまたはダイヤモンド)から形成してもよい。
【0109】
[00119] 光学アーム200 (または実際には基板テーブル全体)は、温度変化に対してほぼ無感応とするために、ゼロデュアーまたは低い熱膨張率を有する材料から形成してもよい。こうすることで、対物窓202とイメージ窓204の相対位置が確実に変わらないようにし、従って、本発明の実施形態の精度を確保することになる。あるいは、またはさらに、対物窓アライメントマーク206とイメージ窓アライメントマーク210の位置は、移動(およびその補正)を判定するために、アライメントシステムによって定期的に測定されてもよい。
【0110】
[00120] レンズ216、218は、対物窓アライメントマーク206を拡大(適切な値の倍率で)するように配してもよい。拡大の効果は、オブジェクトベクトルの像の補正に考慮される。あるいは、レンズ216、218は一切拡大を行わないように配されてもよい。
【0111】
[00121] 光学アーム200はy方向に延びているように示されているが、当然のことながら、x方向に延びる同等の光学アームを設けてもよい。
【0112】
[00122] 本発明の実施形態は、特に、熱効果によって生じる光学アーム200の変化を検出することを意図したものである。このような効果は比較的長時間規模で起きるため、イメージ窓アライメントマーク210と対物窓アライメントマーク206の像208との間の離隔距離の数回の測定をまとめることが可能かもしれず、従ってこれらの位置の測定に関連するノイズを低減することができる。
【0113】
[00123] 本発明の実施形態について、イメージ窓をモニターするアライメントシステムの使用に関して説明してきたが、当然のことながら、アライメントシステムが対物窓をモニターするという同等の実施形態も用いることができる。基板が基板テーブル上に存在する時には、この窓は覆い隠されるため、上記のようなモニタリングは、基板が基板テーブル上に存在しないとき、例えば、1つの基板への結像が完了した後、または次の基板への結像が開始される前に行われる必要があるだろう。
【0114】
[00124] 本発明の他の実施形態が図10に示されている。図10は、2つのレンズ216、218が備えられた光学アーム200の下方から概略的に見た一実施形態を示している。光学アーム200は、図2および図6に関係して上述した構成と同じ一般構成を有している。 光学アーム200には、対物窓220とイメージ窓222とが設けられている。図2および図4で示されたミラーと対応するミラー(図示されていない)が、対物窓220とイメージ窓222の下方に設けられている。対物窓220とイメージ窓222は、本発明の上述の実施形態(例えば図9に関する実施形態)に関して言及された対物窓およびイメージ窓よりも小さい。基板224の下面には、アライメントマーク226が設けられる。基板アライメントマーク226は対物窓220よりもかなり大きいので、基板アライメントマーク226は対物窓220を満たす。図10の理解を助けるため、かつ明確にするために、対物窓220の上を覆っている部分の基板アライメントマーク226は、黒い陰影をつけて示されており、対物窓220の上方にない部分の基板アライメントマークは、灰色の陰影をつけている。基板アライメントマーク226は回折格子を含んでもよい。
【0115】
[00125] 本発明の本実施形態を使用中に、別個の光学アームを用いて、基板224を把持する(capture)、すなわち、既定の位置範囲内に基板の位置を決定する。図10に示される光学アーム200は、微細アライメントのために、すなわち基板224の位置を必要とされる程度の精度で決めるために使われる。
【0116】
[00126] 基板アライメントマーク226は十分に大きいので、基板224が、光学アーム200がその中に設けられている基板テーブル上に正しく位置付けられたならば、基板アライメントマーク226は常に対物窓220を満たすことになる。対物窓220は常に満たされるため、イメージ窓222にアライメントマーク像228を形成するためにレンズ216、218を通過する光は、常にこれらのレンズの同じ部分を通過する。つまり、レンズ216、218に含まれるあらゆる収差またはその他の誤差(inaccuracies)は、一貫して結像されたアライメントマーク228に適用される。これらの収差は、例えば、上面および下面に既知の関連位置を有するアライメントマークが設けられた基板を使った、光学アーム200の初期較正の間、考慮され得る。 その後、すべての将来のアライメント測定において、自動的に当該収差を考慮に入れる。
【0117】
[00127] 本発明の実施形態は、レンズ216、218の中に存在する収差またはその他の歪みを測定かつ記録する必要がない。このため、より簡単かつ効率的にアライメントを行うことができる。その代わり、収差または歪みは自動的に考慮される。
【0118】
[00128] 本発明の本実施形態が理解され得る別の方法とは、アライメントマークを見る時にアライメントシステムが常に同じパターンを見るように、光学アーム200を配置することである。アライメントシステムからは、アライメントマークの縁部は見えないが、その代わりに、アライメントシステムの視点からすれば、縁部がない部分のアライメントマークが見える。
【0119】
[00129] 本発明の本実施形態の別の構成では、対物窓220はアライメントマークで満たされないが、イメージ窓222は結像したアライメントマーク228によって満たされる。これは、上述の構成と同じ有益な効果がある。
【0120】
[00130] アライメントマーク226が回折格子(例えば、8ミクロン周期の)である場合、アライメント位置の正しい決定を可能にするために、8ミクロン以内の精度で基板の位置の捕獲を決定しなければならない。
【0121】
[00131] 光学アーム200はx方向に延びているように示されているが、当然のことながら、y方向に延びる同等の光学アームを設けてもよい。
【0122】
[00132] 光学アーム200のレンズ216、218は、基板アライメントマーク226を拡大するように配置されてもよい。あるいは、レンズは一切拡大を行わないように配置されてもよい。
【0123】
[00133] 光学アームは、x=yに平行な(またはx=−yに平行な)線に沿って延びるように配置してもよい。この場合、x方向およびy方向のアライメントは、x=y(またはx=−y)方向の単一スキャンで行ってもよい。基板アライメントマークは、例えば、x方向またはy方向に延びる回折格子を含んでもよい。
【0124】
[00134] 当然のことながら、対物窓220およびイメージ窓228を含む素子は、マーク226よりもかなり大きい。例えば、望ましい放射にとって透明な比較的大きい素子を設け、かつ望ましい(透明な)表面領域が残って対物窓220(またはイメージ窓228)を形成するように、当該素子の適切な区域を不透明にすることによって、対物窓220およびイメージ窓228を形成してもよい。
【0125】
[00135] 上述の通り、一実施形態では、対物窓220および/またはイメージ窓228はアライメントマーク226よりも小さくなるように意図されている。アライメントマークのサイズは、例えば、使用される特定のアライメントシステムによって変わり得るので、対物窓220および/またはイメージ窓228の表面積は、概して1mm2未満となり、例えば0.25mm2以下、0.1mm2以下、0.05mm2以下、0.02mm2以下、または0.01mm2以下であってもよい。一実施形態では、表面積は少なくとも0.0005mm2である。対物窓220の表面積とは、基板上のアライメントマークに面するように配置された対物窓220の表面(すなわち、基板テーブルに面する側とは反対側の表面)の面積を意味する。イメージ窓228の表面積とは、基板テーブルに面する表面の面積を意味する。
【0126】
[00136] 本発明の別の実施形態の概略図が図11に示されている。図11は、光学アーム200a、200bおよび基板230を平面視で示している。第1の光学アームは基板230の直径の大部分にわたって延在している。光学アーム200a、200bは、図2および図6に示される構造にほぼ対応する構造を有する。基板アライメントマーク232a、232bがアライメントマーク像234a、234bとして形成されるように、レンズ216a、218a、216b、218bは配置される。追加の対のレンズ217が、長い方の光学アーム200aに設けられ、光学アームの幅および/または奥行を加えることなく、アライメントマーク像234が適正に形成されるようにする。対物窓240a、240bおよびイメージ窓242a、242bが、光学アーム200a、200bの中に設けられる。図2および図4に示されるミラーに相当するミラー(図示されていない)が、対物窓240a、240bおよびイメージ窓242a、242bの下方に設けられる。
【0127】
[00137] 使用中、第1の像アライメントマーク234aはアライメント装置によってスキャンされ、またはその他の方法で結像され、そのすぐ後で、第2のアライメントマーク像234bはスキャンされ、またはその他の方法で結像される。第1光学アーム200aが、図11に示される態様で延在する代わりに、基板230の左側に延ばされた場合、2つのアライメント測定を得るために必要とされるであろう時間に比べて、時間が節約される。言い換えれば、結像されたアライメントマーク234a、234bは互いに近いため、アライメント装置の下方にあるこれらのアライメントマーク両方を通過するために必要な合計時間は、基板の反対側にアライメントマーク像があったとした場合に必要とされるであろう時間に比べて短い。
【0128】
[00138] 光学アーム200a、200bのレンズ216a、261bおよび218a、218bは、基板アライメントマーク232a、232bを拡大するように配置される。あるいは、レンズは一切拡大を行わないように配置してもよい。
【0129】
[00139] 当然のことながら、y方向に延びる対応する光学アームを設けてもよい。
【0130】
[00140] 図12は、本発明の別の実施形態の概略図である。光学アーム250は、2つの90°の曲げ部(bends)を有している。光学アーム250には、光学アームの中の90°曲げ部を通って光を誘導するように配置されたミラー251、252が配置されている。ミラー251、252を除いて、光学アーム250の残り部分は、図2および図6に関して上述された光学アームに相当する。光学アーム250は、レンズ216、218と、対物窓253と、イメージ窓254とを含む。図2および図4で示されたミラーに相当するミラー(図示されていない)が、対物窓253とイメージ窓254の下方に設けられている。
【0131】
[00141] 使用中は、基板255は、光学アーム250が設けられている基板テーブルの上に置かれて、基板アライメントマーク256が対物窓253の上に位置するようにする。光学アーム250は、イメージ窓254の中にアライメントマークの像257を形成する。光学アーム250中に設けられた90°曲げ部は、アライメントマーク像257が基板アライメントマーク256に近くなるようにする。こうすることによって、熱膨張効果および/または基板テーブルの未知の回転を低減することになるため、有益である。
【0132】
[00142] 基板のアライメントを得るために使われる基板アライメントマークは、基板の下面に設けられているため、これらは通常、例えば基板の化学機械研磨などによってもたらされる損傷を被らない。しかし、基板アライメントマークに何らかの損傷が生じる場合もある。 このため、回折格子アライメントマークからのより高次な回折(higher orders of diffraction)の検出を可能とする光学アームを設けることが好ましい。このようにするためには、光学アームの中のレンズは、より高い開口数で基板アライメントマークを解像する必要がある。これを達成するための1つの方法が、図13に概略的に示されている。
【0133】
[00143] 図13は、x方向およびy方向に対して45°に延在する (すなわちx=yに平行な線に沿って)光学アーム260を平面視で概略的に示した一実施形態の図である。基板261には、x方向に延びる回折格子262を含む基板アライメントマーク262が設けられている。光学アーム260は、図2および図6に関して上述した光学アームにほぼ相当し、レンズ216、218と、対物窓263と、イメージ窓264とを含む。ミラー(図示されていない)は、対物窓262とイメージ窓264の下方に設けられている。
【0134】
[00144] 図13は、光学アーム260の中心部の断面を概略的に示しており、基板アライメントマーク262の回折次数266を示している。光学アーム260は基板アライメントマーク262の格子に対して45°なので、回折次数は、光学アームの側面と側面との間か、または光学アームの上部と底部との間に延びる代わりに、光学アーム260の角と角との間に延びることになる。回折次数が延在する距離の拡張は、約1.42の率であり、例えば、アライメント装置によって基板アライメントマーク262の追加回折次数が解像されることを可能にする。追加回折次数の使用は、基板アライメントマーク262の損傷に対するアライメント測定の感応性を低くする。
【0135】
[00145] 図14は、本発明の別の実施形態を示している。図13と共通して、光学アームの奥行を長くせずに(利用可能な奥行は、基板テーブルの奥行によって制限される)、光学アームがより高い開口数で基板アライメントマークを解像できるように、光学アームは配置される。
【0136】
[00146] 図14において、第1光学アーム270はx方向に延びている。光学アーム270の中心部の断面図も図14に示されている。光学アーム270は、レンズ216、218と、対物窓271と、イメージ窓272とを含む。ミラー(図示されない)は、対物窓271とイメージ窓272の下方に設けられる。光学アーム270の断面図は、高さよりも幅のほうが広い。光学アーム270の幅はかなり幅広であってもよい。なぜならば、光学アーム270がその範囲内に位置する基板テーブル273の面に沿って光学アーム270が延在するからである。 光学アーム270はy方向に広いため、y方向に延びる回折格子を備えるアライメントマークが、その他の方法で可能であるよりも高い開口数で解像されることを可能にする。このことにより、アライメントシステムはより高い回折次数を解像でき、よって、より強固な基板アライメントを得ることができる。
【0137】
[00147] 別個の光学アーム275は、第1光学アーム270と同じ構成要素を供えるが、y方向に延在する。図14に断面図で示されるように、第2光学アーム275も高さよりも幅のほうが広い。これによって、x方向に延びる回折格子を備える基板アライメントマークを、その他の場合よりも高い開口数で解像することができる。
【0138】
[00148] 本発明の別の実施形態が、図15に断面略図として示されている。光学アーム300には、レンズ316、318とミラー312、314が設けられている。光学アーム300にはさらに、対物窓302とイメージ窓304とが設けられている。アライメントシステム306には支持体308が設けられ、その上にアライメントマーク310が設けられている。
【0139】
[00149] 対物窓302に位置付けられたアライメントマークが、イメージ窓304にて例えば倍率「4」で拡大されるように、レンズ316、318は配置される。
【0140】
[00150] アライメントシステム306上に設けられたアライメントマーク310は、回折格子を備える。タルボット効果(Talbot effect)として知られる効果により、回折格子は自発的にその像320(以下「タルボットイメージ」(Talbot image)という)形成する。タルボットイメージは、レンズ316、318によって拡大され、イメージ窓304にて拡大アライメントマーク像322を形成する。拡大アライメントマーク像322は、アライメントシステム306から見える。
【0141】
[00151] 使用中には、光学アーム300を含む基板テーブル324はx方向に移動され、アライメントマーク像322も移動する。この移動は反対方向に行われ、かつ倍率「4」で拡大される。アライメントシステム306は、アライメントマーク像322の位置をモニターすることによって、基板テーブル324の位置をモニターすることができる。アライメントマーク像322が倍率「4」を含むため、アライメントシステム306が基板テーブル304の位置を決定できる精度は、これに応じて高くなる。
【0142】
[00152] 図16aは、2つのy方向リニアモータ404、406に取り付けられているx方向リニアモータ402に取り付けられた基板テーブル400の概略図である。図16に示されるリニアモータの構造が、多くのリソグラフィ装置で使用されている。リソグラフィの間、 基板テーブル400はx方向とy方向に移動されて、基板テーブル上に保持された基板の異なる複数のターゲット領域が、リソグラフィ投影用の投影システムの真下に位置できるようにする。リニアモータは、高い精度で作動するように用意される。x方向の移動については、x方向リニアモータ402が基板テーブル400を平行移動させる。y方向の移動については、両方のy方向リニアモータ404、406が同時に操作され、x方向リニアモータをy方向に移動させる。y方向への移動には、2つのリニアモータ404、406の同時操作が必要であるため、わずかな誤差が移動にもたらされ得る。例えばこれはリニアモータ404、406のヒステリシスによる場合もある。これによって、投影光学素子に対する基板のアライメントの間に誤差が生じるかもしれない。
【0143】
[00153] 図16bは、基板をx方向にスキャンしている間にy方向のアライメントを達成することによって、上記の問題を解決する光学アーム410を示している。光学アームは、2つのレンズ416、418とミラー420とを備える。光学アーム410はさらに、対物窓422とイメージ窓424とを備える。ミラー(図示されていない)は、対物窓422とイメージ窓424の下方に設けられている。光学アーム410は90°の角部を含み、これによって、x方向のスキャンをしている時にy方向のアライメントを達成できるという効果がある。ミラー420は、90°の曲げ部を通って光を誘導する。
【0144】
[00154] 使用中は、基板426は基板テーブルの上に位置し、光学アーム410はその基板テーブルの範囲内に位置する。y方向アライメントマーク428が対物窓422の上に位置するように、基板は位置決めされる。光学アーム410は、イメージ窓424にy方向アライメントマーク430の像を形成する。x方向に基板426および基板テーブルをスキャンしている時に、アライメントのためにアライメントマーク像430を使ってもよい。 基板アライメントマーク428は、y方向に延びる回折格子を備える。光学アーム410中の90°曲げ部とミラー420の効果とは、アライメントマーク像430がx方向に延在する回折格子を含むように、アライメントマークに回転をかけるということである。これによって、x方向のスキャンの際にアライメントを行うことができる。
【0145】
[00155] 基板テーブル400をx方向に移動している間にy方向のアライメントが達成されるため、図16aを参照するとわかるように、このアライメント中に1つのリニアモータ(x方向リニアモータ402)だけが使用され、これによって、2つのリニアモータの同時使用に関連する誤差が避けられる。
【0146】
[00156] 上述した本発明の実施形態では、基板アライメントマークを拡大するためにレンズ216、316、416、218、318、418を使用することができる。例えば、倍率「4」を使用してもよく、その結果、基板アライメントマークの像は基板アライメントマーク自体の4倍大きくなる。これにより、高められた精度で基板のアライメントを達成することができる。例えば倍率「3」または「5」などの、その他の値の倍率を使用してもよい。倍率は「1未満」(たとえば1/4)であってもよい。
【0147】
[00157] 上述のとおり、異なる複数の向き(例えばx方向およびy方向)を有し、かつ異なる複数の倍率を有する光学アームの混合を有するように、基板テーブルWTを設計してもよい。実際は、異なる倍率Mを有する3つ以上の光学分枝を設けてもよい。例えば、1つの方向に3つの光学分枝、すなわち倍率「1/4」の第1光学分枝と、倍率「1」の第2光学分枝と、倍率「4」の第3光学分枝とを設けることができる。その場合、基板Wには、3つのタイプの基板マークが設けられる。それぞれのタイプは、3つの光学アームのうちの1つで使われるように選ばれた寸法を有する。これと同じく、光学分枝のカスケードを設けてもよい。
【0148】
[00158] 当然のことながら、上述の実施形態は、本発明を実施するための例示である。倍率Mを提供するために、その他の構成を用いてもよい。
【0149】
[00159] レンズの代わりにファイバー、凸面鏡および/または凹面鏡を用いて、基板マークの拡大像を得ることもできる。さらに、基板アライメントマークから作られた像の向きを反転させるために、レフレックスカメラで使われるプリズムと類似したプリズムを使ってもよい。実際には、正しい方向変更(redirection)、焦点面、および拡大が得られる限り、あらゆる種類の光学素子を使用してよい。
【0150】
[00160] 本明細書および本明細書に開示されている本発明の実施を考慮に入れることにより、当業者にとってその他の実施形態、使用および利点が明らかであろう。本明細書は単に例示的なものとみなされるべきであり、従って、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ制限されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】[0028] 本発明の一実施形態にかかるリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0029] 本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図3】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図4】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図5】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図6】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図7】本発明を具現化し得る光学システムの概略図である。
【図8】[0030] 本発明を具現化し得るアライメントマークを示す図である。
【図9】[0031] 本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図10】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図11】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図12】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図13】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図14】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図15】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図16a】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【図16b】本発明を具現化する光学システムの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学アームを有する光学システムを備えた基板テーブルであって、
放射が前記光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、
前記第1の窓および前記第2の窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、
前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズと、
を備え、
前記第1の窓には第1のアライメントマークが設けられており、かつ前記少なくとも2つのミラーおよび前記少なくとも2つのレンズは、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像を形成するように配され、かつ
第2のアライメントマークが、前記第2の窓の中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる、
基板テーブル。
【請求項2】
前記少なくとも2つのレンズは、前記アライメントマークの像が前記アライメントマークよりも大きくなるように倍率を適用する、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項3】
前記少なくとも2つのレンズは、前記アライメントマークの像が前記アライメントマークよりも小さくなるように倍率を適用する、請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項4】
前記第1のアライメントマークが前記第1の窓にエッチングされ、またはパターン付けされる、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項5】
前記第2のアライメントマークが前記第2の窓にエッチングされ、またはパターン付けされる、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項6】
前記第2のアライメントマークが、前記第2の窓に隣接する前記基板テーブルにエッチングされる、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項7】
前記第1の窓は対物窓であり、前記第2の窓は前記光学システムのイメージ窓である、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項8】
前記第1の窓はイメージ窓であり、前記第2の窓は前記光学システムの対物窓である、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項9】
基板テーブルに設けられた光学システムをモニターする方法であって、
第1のアライメントマークに対して前記光学システムの反対側端部にある、前記第1のアライメントマークの像を検出する工程と、
前記第1のアライメントマークの像に隣接して設けられる第2のアライメントマークを検出する工程と、
前記第2のアライメントマークと前記第1のアライメントマークの像との離隔距離を決定する工程と、
ある期間にわたって前記離隔距離をモニターする工程と、
を備える方法。
【請求項10】
前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記光学アーム内に位置付けられ、かつ前記第1の窓および前記第2の窓を通過した放射を反射するように配された少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の窓には第1のアライメントマークが設けられ、かつ前記少なくとも2つのミラーおよび前記少なくとも2つのレンズは、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像を形成するように配され、かつ第2のアライメントマークが、前記第2の窓中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のアライメントマークと前記第1のアライメントマークの像との間の離隔距離の初期較正を行うために、既知位置を有する複数のアライメントマークを有する基板を使用する工程と、後の離隔距離の測定と前記初期較正とを比較する工程とをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
光学アームを有する光学システムを備えた基板テーブルであって、
放射が前記光学アームの中を通ることができるようにする表面を含む第1の窓および第2の窓と、
前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、
前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズと、
を備え、
前記第1の窓および/または前記第2の窓の表面の面積が1mm2以下である、
基板テーブル。
【請求項14】
前記第1の窓および/または前記第2の窓の表面が0.25mm2以下である、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項15】
前記第1の窓または前記第2の窓のうちの少なくとも一方の表面が0.05mm2以下である、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項16】
前記第1の窓または前記第2の窓のうちの少なくとも一方の表面が0.0005mm2以下である、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項17】
前記第2の窓は、前記第1の窓と同じ寸法を有するように用意される、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項18】
前記第2の窓は、前記第1の窓とは異なるサイズになるように用意され、前記サイズの差は、前記2つのレンズの倍率に相当する、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項19】
前記光学システムは、前記基板テーブルの操作主軸に対してある角度をなす方向に延在する、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項20】
基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、
前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、
前記第1の窓を満たすのに十分なサイズのアライメントマークを有する基板を、前記基板テーブル上に設ける工程と、
前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置(aligned position)を決める工程と、
を備える方法。
【請求項21】
最初に前記基板の位置をより低い精度で決めることによって、前記アライメントマークの位置が前記より低い精度で知られている状態にする工程をさらに備える、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アライメントマークが回折格子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、
前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、
アライメントマークを有する基板を前記基板テーブル上に設ける工程と、
結像されたアライメントマークが前記第2の窓を満たすのに十分なサイズとなるように、前記第2の窓に前記アライメントマークの像を形成する工程と、
前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置を決める工程と、
を備える方法。
【請求項1】
光学アームを有する光学システムを備えた基板テーブルであって、
放射が前記光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、
前記第1の窓および前記第2の窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、
前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズと、
を備え、
前記第1の窓には第1のアライメントマークが設けられており、かつ前記少なくとも2つのミラーおよび前記少なくとも2つのレンズは、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像を形成するように配され、かつ
第2のアライメントマークが、前記第2の窓の中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる、
基板テーブル。
【請求項2】
前記少なくとも2つのレンズは、前記アライメントマークの像が前記アライメントマークよりも大きくなるように倍率を適用する、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項3】
前記少なくとも2つのレンズは、前記アライメントマークの像が前記アライメントマークよりも小さくなるように倍率を適用する、請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項4】
前記第1のアライメントマークが前記第1の窓にエッチングされ、またはパターン付けされる、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項5】
前記第2のアライメントマークが前記第2の窓にエッチングされ、またはパターン付けされる、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項6】
前記第2のアライメントマークが、前記第2の窓に隣接する前記基板テーブルにエッチングされる、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項7】
前記第1の窓は対物窓であり、前記第2の窓は前記光学システムのイメージ窓である、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項8】
前記第1の窓はイメージ窓であり、前記第2の窓は前記光学システムの対物窓である、
請求項1に記載の基板テーブル。
【請求項9】
基板テーブルに設けられた光学システムをモニターする方法であって、
第1のアライメントマークに対して前記光学システムの反対側端部にある、前記第1のアライメントマークの像を検出する工程と、
前記第1のアライメントマークの像に隣接して設けられる第2のアライメントマークを検出する工程と、
前記第2のアライメントマークと前記第1のアライメントマークの像との離隔距離を決定する工程と、
ある期間にわたって前記離隔距離をモニターする工程と、
を備える方法。
【請求項10】
前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記光学アーム内に位置付けられ、かつ前記第1の窓および前記第2の窓を通過した放射を反射するように配された少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の窓には第1のアライメントマークが設けられ、かつ前記少なくとも2つのミラーおよび前記少なくとも2つのレンズは、前記第2の窓に前記第1のアライメントマークの像を形成するように配され、かつ第2のアライメントマークが、前記第2の窓中に、または前記第2の窓に隣接した位置にある前記基板テーブルの中に設けられる、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のアライメントマークと前記第1のアライメントマークの像との間の離隔距離の初期較正を行うために、既知位置を有する複数のアライメントマークを有する基板を使用する工程と、後の離隔距離の測定と前記初期較正とを比較する工程とをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
光学アームを有する光学システムを備えた基板テーブルであって、
放射が前記光学アームの中を通ることができるようにする表面を含む第1の窓および第2の窓と、
前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、
前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズと、
を備え、
前記第1の窓および/または前記第2の窓の表面の面積が1mm2以下である、
基板テーブル。
【請求項14】
前記第1の窓および/または前記第2の窓の表面が0.25mm2以下である、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項15】
前記第1の窓または前記第2の窓のうちの少なくとも一方の表面が0.05mm2以下である、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項16】
前記第1の窓または前記第2の窓のうちの少なくとも一方の表面が0.0005mm2以下である、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項17】
前記第2の窓は、前記第1の窓と同じ寸法を有するように用意される、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項18】
前記第2の窓は、前記第1の窓とは異なるサイズになるように用意され、前記サイズの差は、前記2つのレンズの倍率に相当する、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項19】
前記光学システムは、前記基板テーブルの操作主軸に対してある角度をなす方向に延在する、
請求項13に記載の基板テーブル。
【請求項20】
基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、
前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、
前記第1の窓を満たすのに十分なサイズのアライメントマークを有する基板を、前記基板テーブル上に設ける工程と、
前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置(aligned position)を決める工程と、
を備える方法。
【請求項21】
最初に前記基板の位置をより低い精度で決めることによって、前記アライメントマークの位置が前記より低い精度で知られている状態にする工程をさらに備える、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アライメントマークが回折格子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
基板テーブル内に設けられた光学システムを使ってアライメントを行う方法であって、
前記光学システムは、放射が光学アームの中を通るように配された第1の窓および第2の窓と、前記窓を通過した放射を反射するように配された、前記光学アーム内の少なくとも2つミラーと、前記ミラーから反射された放射を受けるように位置付けられた少なくとも2つのレンズとを含み、
アライメントマークを有する基板を前記基板テーブル上に設ける工程と、
結像されたアライメントマークが前記第2の窓を満たすのに十分なサイズとなるように、前記第2の窓に前記アライメントマークの像を形成する工程と、
前記第2の窓に形成された前記アライメントマークの像の一部の位置を測定することによって、前記基板のアライメント位置を決める工程と、
を備える方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16b】
【公開番号】特開2007−208240(P2007−208240A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−346089(P2006−346089)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346089(P2006−346089)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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