説明

基板乾燥装置及び基板乾燥方法

【課題】マランゴニ乾燥に比べて、基板に液滴が残留することをより効果的に防止し、ウォーターマークの発生を抑えることができる基板乾燥装置及び基板乾燥方法を提供する。
【解決手段】反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる基板乾燥装置に、基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石4と、磁石4を、基板に沿って該基板の縁側へ移動させる磁石搬送手段5とを備える。また、反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる際、基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石4を、基板に接近させ、磁石4を前記基板に沿って該基板の縁側へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反磁性を有する液体で洗浄された基板を、磁石を用いて乾燥させる基板乾燥装置及び基板乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という。)をスピンチャックによって保持し、薬液を供給して洗浄する基板処理装置が用いられている。かかる装置を用いた洗浄工程では、ウエハに薬液又は純水を供給した後、ウエハを回転させ、遠心力により液滴を振り切ることによって乾燥させる処理が行われている。
【0003】
ウエハを乾燥させる方法として、ウエハを回転させながらウエハにIPA(イソプロピルアルコール)等の蒸気を吹き付ける方法、霧状のIPA等を吹き付ける方法、IPA液等を供給する方法などがある。また、ウエハの中心から周縁に向かって移動するノズルからウエハに対して純水を供給しながら、純水の供給位置より中心側においてIPA等の蒸気を吹き付けることにより、ウエハを乾燥させる方法(マランゴニ乾燥)が提案されている(例えば、特許文献1)。
ウエハにIPAガスが吹き付けられると、ウエハ上の水表面にIPAガスが局所的に溶解し、濃度差マランゴニ対流が発生する。このため、気液界面における水の流れが発生し、水滴から微小液滴が分離して微小液滴が発生することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−36180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一度、ウエハに付着した水滴から微小液滴が発生してしまうと、該微小液滴には濃度差マランゴニ対流による力が働かないため、微小液滴を移動させることができず、ウエハ表面に残ってしまうことがある。ウエハに残った微小液滴が乾燥すると、ウエハ表面にウォーターマーク(薬液等が析出したパーティクル)が発生する。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、磁石を、ウエハ等の基板に沿って該基板の縁側へ移動させることによって、マランゴニ乾燥に比べて、基板に液滴が残留することをより効果的に防止し、ウォーターマークの発生を抑えることができる基板乾燥装置及び基板乾燥方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板乾燥装置は、反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる基板乾燥装置において、基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石と、該磁石を、基板に沿って該基板の縁側へ移動させる磁石搬送手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る基板乾燥装置は、円板状の基板を保持して回転させるスピンチャックを備え、前記磁石搬送手段は、前記磁石を基板に沿って、該基板の略中央部から径方向外側へ移動させる搬送機構を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る基板乾燥装置は、前記磁石は、互いの磁極が対極となるように対向配置された第1磁石及び第2磁石を有し、該第1磁石及び第2磁石の対向方向は前記スピンチャックに保持された基板に対して非平行であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る基板乾燥装置は、前記第1磁石及び第2磁石を接近及び離反させる接離手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る基板乾燥装置は、前記接離手段は、前記第1磁石及び第2磁石を前記基板の略中央部で接近させる手段を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る基板乾燥装置は、前記スピンチャックに保持された基板の一面側に前記第1磁石が対向し、前記第2磁石が該基板の他面側に対向するように各磁石を保持する腕部と、該腕部を支持する支柱とを備え、前記接離手段は、前記支柱に沿って前記腕部を昇降させる昇降機構を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る基板乾燥装置は、基板に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給ノズルを備え、前記第1磁石は、前記対向方向に開口した孔部を有し、前記乾燥ガス供給ノズルは該孔部に挿嵌されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る基板乾燥方法は、反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる基板乾燥方法において、基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石を、基板に接近させ、該磁石を前記基板に沿って該基板の縁側へ移動させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る基板乾燥方法は、反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる基板乾燥方法において、円板状の基板を回転させ、基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石を、前記基板の略中央部に接近させ、該磁石を基板に沿って、該基板の略中央部から径方向外側へ移動させることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、反磁性を有する液体が付着した基板に沿って該基板の縁側へ磁石を移動させた場合、基板に付着した液体は、基板の縁側へ移動する。従って、基板から液体を除去、即ち乾燥させることが可能になる。
基板に付着した液体に働く反磁性に係る磁力は、液体全体に働くため、微小液滴も該磁力によって基板の縁側へ移動する。また、基板に付着した大きな液滴が基板の縁側へ移動する際に、微小液滴が取り残されることがあるが、基板の縁側へ移動する磁石が取り残された微小液滴に接近した場合、基板の縁側へ移動した大きな液滴よりも、取り残された該微小液滴に対して大きな磁力が働く。このため、微小液滴を大きな液滴の方へ押し戻すように移動させ、該液滴に取り込ませることが可能である。従って、従来のマランゴニ乾燥に比べて、基板に残留する微小液滴を減少させることが可能である。
【0017】
本発明にあっては、スピンチャックに保持された円板状の基板を回転させることによって、基板に付着した液体は遠心力によって基板の径方向外側へ移動する。また、磁石を基板の略中央部から径方向外側へ移動させることによって、基板に付着した液体は径方向外側へ移動する。従って、より効果的に基板から液体が除去される。
【0018】
本発明にあっては、対向配置された第1磁石及び第2磁石は、その対向方向が基板に対して非平行である。従って、スピンチャックの回転軸を避けて、円板状の基板の略中央部で第1及び第2磁石を対向させることができ、該中央部に磁石の磁力を及ぼすことが可能である。
【0019】
本発明にあっては、基板を挟んで第1磁石及び第2磁石を接近させることによって、第1磁石及び第2磁石で挟まれる基板部分に付着した液体を、反磁性に係る磁力によって該基板部分の外側へ移動させることが可能である。
【0020】
本発明にあっては、基板の略中央部で第1磁石及び第2磁石を接近させることによって、第1磁石及び第2磁石で挟まれる基板の略中央部に付着した液体を、反磁性に係る磁力によって該中央部の外側へ移動させることが可能である。
【0021】
本発明にあっては、支柱に支持された腕部を昇降させることによって、第1磁石及び第2磁石は接近及び離反する。
【0022】
本発明にあっては、第1磁石に設けられた乾燥ガス供給ノズルから乾燥ガスを基板に供給することによって、より効果的に基板から液体を除去することが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、マランゴニ乾燥に比べて、基板に液滴が残留することをより効果的に防止し、ウォーターマークの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示した側断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】磁石の構成を模式的に示した斜視図である。
【図4】磁石の構成を模式的に示した側断面図である。
【図5】磁石をウエハの外側へ移動させた状態にある基板乾燥装置の構成を模式的に示した側断面図である。
【図6】磁石を離反させた状態にある基板乾燥装置の構成を模式的に示した側断面図である。
【図7】基板乾燥方法を概念的に示した説明図である。
【図8】制御部の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】基板乾燥方法の原理を概念的に示した説明図である。
【図10】基板乾燥方法の原理を概念的に示した説明図である。
【図11】変形例に係る磁石の構成を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。本発明の実施の形態に係る基板処理装置(基板乾燥装置)は、ウエハ(基板)を洗浄及び乾燥させる装置であり、特に磁石を用いてウォーターマークの発生を効果的に防止するものである。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示した側断面図、図2は、図1のII−II線断面図である。本実施の形態に係る基板処理装置は、中空略直方体の処理室1を備える。処理室1には、図2に示すように、処理室1内の処理空間にウエハWを搬入及び搬出させるための搬入出口11が設けられている。この搬入出口11を扉体12で閉じることにより、処理空間を密閉状態にすることができる。
【0027】
処理室1の内部には、略円板状のウエハWを略水平に保持して回転させるスピンチャック2が設けられている。スピンチャック2は、ウエハWが載せられるテーブル部21を備える。テーブル部21には、図2に示すように、上部に3個の保持部材22が設けられ、保持部材22をウエハWの周縁3箇所にそれぞれ当接させてウエハWを略水平に保持するように構成されている。テーブル部21は、その略中央部から下方へ突出した回転軸23を備え、回転軸23の下端部は、テーブル部21を略垂直方向の回転中心軸を中心として回転させるモータ24に接続されている。モータ24の駆動により、テーブル部21を回転させると、ウエハWがテーブル部21と一体的に、ウエハWの略中心を回転中心として、略水平面内で回転する。なお、図示の例では、平面視において、ウエハWは反時計方向に回転させられる。モータ24の駆動は、制御部7によって制御される。
【0028】
また処理室1の上部には、洗浄用の液体を供給する液体供給手段3が設けられている。液体供給手段3は、ウエハWに洗浄用の薬液、及びリンス液(反磁性を有する液体)を供給するノズル31が備えられている。薬液は、例えば希フッ酸(DHF)であり、リンス液は、例えば純水(DIW)である。ノズル31は、ノズルアーム33によって支持されている。
ノズルアーム33は、スピンチャック2に支持されたウエハWの上方に備えられている。ノズルアーム33の基端部は、略水平に配置されたガイドレール32に沿って移動自在に支持されている。また、ガイドレール32に沿ってノズルアーム33を移動させる駆動機構34が備えられている。駆動機構34の駆動により、ノズルアーム33は、スピンチャック2に保持されたウエハWの上方とウエハWの周縁より外側(図1においては左側)との間で移動することができる。また、ノズルアーム33の移動に伴って、ノズル31がウエハWの略中心部上方から周縁部上方に向かってウエハWと相対的に移動するように構成されている。駆動機構34の動作は制御部7によって制御される。
【0029】
ノズル31は、ノズルアーム33の先端下面に固定されたノズル昇降機構35の下方に突出する昇降軸36の下端に取り付けられている。昇降軸36は、ノズル昇降機構35により昇降自在になっており、これにより、ノズル31が任意の高さに昇降されるようになっている。ノズル昇降機構35の駆動は、制御部7によって制御される。
【0030】
ノズル31には、薬液供給源37aに接続された薬液供給路37bと、リンス液供給源38aに接続されたリンス液供給路38bが接続されている。薬液供給路37b及びリンス液供給路38bには、開閉弁37c,38cがそれぞれ設けられている。各開閉弁37c,38cの開閉動作は、制御部7によって制御される。
【0031】
また、基板処理装置は、ウエハWに付着した液体を磁力によって移動させるための磁石4と、磁石4を、ウエハWに沿って該ウエハWの縁側へ移動させる磁石搬送部5とを備える。
【0032】
図3は、磁石4の構成を模式的に示した斜視図、図4は、磁石4の構成を模式的に示した側断面図である。磁石4は、一対の第1磁石41及び第2磁石42を有する。第1磁石41及び第2磁石42は、先端部を切り欠いた四角錐形状の磁極を有し、互いの磁極が対極となるように構成された電磁石である。また、第1磁石41には、後述の乾燥ガス供給ノズル6を設けるための孔部41aが、第1磁石41及び第2磁石42の対向方向に開口している。
【0033】
磁石搬送部5は、磁石4を保持する第1腕部51及び第2腕部52と、処理室1の底面に対して略垂直に設けられ、第1及び第2腕部51、52を支持する支柱53と、支柱53に沿って腕部を昇降させる昇降機構54と、支柱搬送機構55とを備える。
【0034】
第1腕部51は、角柱状であり、長手方向を略水平にして、テーブル部21の上方で支柱53に取り付けられている。また、第1腕部51は、第1磁石41の磁極が斜め下方を向くように、該第1磁石41を先端部の下面に保持している。
【0035】
第2腕部52は、第1腕部51と同様の角柱状であり、長手方向を略水平にして、テーブル部21の下方で支柱53に取り付けられている。第2腕部52は、第2磁石42の先端部が斜め上方を向き、第1磁石41及び第2磁石42の対向方向がテーブル部21に保持されたウエハWに対して非平行となるように、該第2磁石42を先端部の上面に保持している。
【0036】
昇降機構54は、第1磁石41及び第2磁石42が接近及び離反するように、第1及び第2腕部51、52を連動させて昇降させる機構であり、例えばリニアモータによって構成されている。リニアモータは、例えば、支柱53に沿って設けられたシャフト、第1及び第2腕部51、52に夫々設けられ、該シャフトに沿って移動自在に装着された筒形状のスライダとを備える。シャフトは、搬送方向に沿ってN極とS極とが交互に配列した構造である。スライダは、非磁性材料からなる筐体を有し、該筐体の内部にはシャフトを囲繞するように配された電磁石が内蔵されている。電磁石を構成するコイルに電流を供給することによって、第1及び第2腕部51、52を昇降させることができる。昇降機構54の動作は制御部7によって制御される。
【0037】
支柱搬送機構55は、第1磁石41及び第2磁石42がスピンチャック2に保持されたウエハWの略中央部と、径方向外側との間で往復移動するように、該径方向に沿って支柱53を直線的に往復移動させる機構であり、例えばリニアモータによって構成されている。支柱搬送機構55の動作は、制御部7によって制御される。
【0038】
また、基板処理装置は、ウエハWに乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給ノズル6を備える。第1磁石41は、前記対向方向に開口した孔部41aを有し、乾燥ガス供給ノズル6は該孔部41aに挿嵌されている。乾燥ガス供給ノズル6には、乾燥ガス供給源63に接続された乾燥ガス供給路61が接続されている。乾燥ガス供給路61には開閉弁62が設けられている。開閉弁62の開閉動作は、制御部7によって制御される。
【0039】
図5は、磁石4をウエハWの外側へ移動させた状態にある基板乾燥装置の構成を模式的に示した側断面図、図6は、磁石4を離反させた状態にある基板乾燥装置の構成を模式的に示した側断面図である。
【0040】
図7は、基板乾燥方法を概念的に示した説明図、図8は、制御部7の処理手順を示したフローチャートである。制御部7は、図7(a)に示すように、磁石4をウエハWの径方向外側へ移動させ(ステップS11)、第1磁石41及び第2磁石42を離反させる(ステップS12)。
【0041】
次いで、制御部7は、図7(b)に示すように、第1磁石41及び第2磁石42をウエハWの略中央部へ移動させる(ステップS13)。そして、制御部7は、スピンチャック2の回転速度を増加させる(ステップS14)。
【0042】
次いで、制御部7は、図7(c)に示すように、第1磁石41及び第2磁石42を接近させる(ステップS15)。第1磁石41及び第2磁石42を接近させる際、制御部は、開閉弁62を開状態にして、乾燥ガスをウエハWに供給する。第1磁石41及び第2磁石42をウエハWの略中央部で接近させることによって、ウエハWの略中央部にリンス液の微小液滴が残留することを効果的に防止される。
そして、制御部7は、図7(d)に示すように、第1磁石41及び第2磁石42をウエハWの径方向外側へ移動させる(ステップS16)。第1磁石41及び第2磁石42をウエハWの略中央部から径方向外側へ移動させることによって、ウエハW上にリンス液の微小液滴が残留することを効果的に防止される。図7(e)に示すように、第1磁石41及び第2磁石42がウエハWの径方向外側まで移動した場合、制御部7は、スピンチャック2を停止させ(ステップS17)、処理を終える。
【0043】
図9及び図10は、基板乾燥方法の原理を概念的に示した説明図である。図中、白抜き矢印は、磁石4の移動方向、細線矢印はリンス液に働く反磁性に係る磁力である。図9に示すように、ウエハWに沿って該ウエハWの縁側へ磁石4を移動させ、磁石4がリンス液に接近した場合、例えば、磁石4のN極を近づけた場合、反磁性を有するリンス液は、磁石4のN極側をS極とする磁性を帯びる。従って、ウエハWに付着したリンス液は、反磁性に係る磁力によってウエハWの縁側へ移動する。よって、ウエハWからリンス液を除去することができる。
また、図10(a)に示すように、スピンチャック2の回転による遠心力によってウエハWに付着したリンス液の液滴がウエハWの縁側へ移動する際に、リンス液の微小液滴が取り残されることがある。ところが、磁石4をウエハWに沿って縁側へ移動させ、磁石4を微小液滴に接近させた場合、図10(b)に示すように、微小液滴を大きなリンス液滴の方へ押し戻すように移動させ、該リンス液滴に取り込ませることが可能である。ウエハWに付着したリンス液に働く反磁性に係る磁力は、リンス液全体に働くため、微小液滴もウエハWの縁側へ移動させることができる。また、取り残された微小液滴に磁石4が接近すると、該微小液滴に大きな磁力が働き、微小液滴を、大きなリンス液滴の方へ押し戻すことができる。従って、従来のマランゴニ乾燥に比べて、ウエハWに残留するリンス液の微小液滴を減少させることができる。
【0044】
本実施の形態にあっては、マランゴニ乾燥に比べて、ウエハWに液滴が残留することをより効果的に防止し、ウォーターマークの発生を抑えることができる。
【0045】
また、スピンチャック2に保持されたウエハWを回転させると共に、磁石4をウエハWの略中央部から径方向外側へ移動させることによって、リンス液の微小液滴を残すこと無くウエハWからリンス液を効率的に除去し、乾燥させることができる。
【0046】
更に、第1磁石41及び第2磁石42の対向方向は、スピンチャック2に保持されたウエハWに対して非平行であるため、スピンチャック2の回転軸23を避けて、ウエハWの略中央部で第1磁石41及び第2磁石42を対向及び接近させることができ、該中央部に磁石4の磁力を及ぼして、リンス液を除去することができる。
【0047】
更にまた、第1磁石41に設けられた乾燥ガス供給ノズル6から乾燥ガスをウエハWに供給することによって、より効果的にウエハWからリンス液を除去することができる。
【0048】
(変形例)
図11は、変形例に係る磁石4の構成を模式的に示した斜視図である。上述の実施の形態にあっては、ポールピース型の磁石4を説明したが、図11に示すようにホールバッハ型の第1磁石141及び第2磁石142を用いて磁石104を構成しても良い。第1磁石141及び第2磁石142はそれぞれ、六角柱板の半体によって構成される。ホールバッハ型の磁石104は、例えば特開2000−243621号公報に開示されているため、詳細な説明は省略する。
【0049】
なお、磁石の形状はこれらに限定されるものでは無く、ウエハ上に付着したリンス液に反磁性に係る磁力を及ぼすことが可能な構成であれば、他の形状であっても良い。
【0050】
また、乾燥対象の基板としてウエハを説明したが、洗浄が必要な他の基板、例えばガラス基板に本発明を適用しても良い。
【0051】
更に、本実施の形態及び変形例ではスピン乾燥及び乾燥ガスを用いた乾燥方法と、本実施の形態に係る磁石を用いた乾燥方法とを組み合わせた例を説明したが、これらを組み合わせる必要は必ずしもなく、また他の乾燥方法を組み合わせても良い。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 処理室
2 スピンチャック
3 液体供給手段
4 磁石
5 磁石搬送部(磁石搬送手段)
6 乾燥ガス供給ノズル
7 制御部
41 第1磁石
41a 孔部
42 第2磁石
51 支柱
52 第1腕部
53 第2腕部
54 昇降機構
55 支柱搬送機構(搬送機構)
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる基板乾燥装置において、
基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石と、
該磁石を、基板に沿って該基板の縁側へ移動させる磁石搬送手段と
を備えることを特徴とする基板乾燥装置。
【請求項2】
円板状の基板を保持して回転させるスピンチャックを備え、
前記磁石搬送手段は、
前記磁石を基板に沿って、該基板の略中央部から径方向外側へ移動させる搬送機構を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の基板乾燥装置。
【請求項3】
前記磁石は、
互いの磁極が対極となるように対向配置された第1磁石及び第2磁石を有し、該第1磁石及び第2磁石の対向方向は前記スピンチャックに保持された基板に対して非平行である
ことを特徴とする請求項2に記載の基板乾燥装置。
【請求項4】
前記第1磁石及び第2磁石を接近及び離反させる接離手段を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の基板乾燥装置。
【請求項5】
前記接離手段は、
前記第1磁石及び第2磁石を前記基板の略中央部で接近させる手段を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の基板乾燥装置。
【請求項6】
前記スピンチャックに保持された基板の一面側に前記第1磁石が対向し、前記第2磁石が該基板の他面側に対向するように各磁石を保持する腕部と、
該腕部を支持する支柱と
を備え、
前記接離手段は、
前記支柱に沿って前記腕部を昇降させる昇降機構を備える
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の基板乾燥装置。
【請求項7】
基板に乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給ノズルを備え、
前記第1磁石は、前記対向方向に開口した孔部を有し、前記乾燥ガス供給ノズルは該孔部に挿嵌されている
ことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一つに記載の基板乾燥装置。
【請求項8】
反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる基板乾燥方法において、
基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石を、基板に接近させ、
該磁石を前記基板に沿って該基板の縁側へ移動させる
ことを特徴とする基板乾燥方法。
【請求項9】
反磁性を有する液体で洗浄された基板を乾燥させる基板乾燥方法において、
円板状の基板を回転させ、
基板に付着した液体を磁力によって移動させるための磁石を、前記基板の略中央部に接近させ、
該磁石を基板に沿って、該基板の略中央部から径方向外側へ移動させる
ことを特徴とする基板乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−135009(P2011−135009A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295503(P2009−295503)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】