説明

基板処理装置、基板処理方法及びこの基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体

【課題】供給ノズルから大流量及び小流量で供給する処理液の流量を精度よく制御でき、小流量で処理液を供給するときの流量変動を防止できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板に処理液を供給するノズル部45と、ノズル部45に処理液を供給する供給系70とノズル部45とを接続する供給流路68aを絞る絞り部132aと、絞り部132aの両側の供給流路68a内の圧力を計測する圧力計測部132bと、供給流路68a上に設けられた流量制御弁133と、流量制御弁133を制御する流量制御部134とを有する。流量制御部134は、第1の流量F1で処理液を供給するときは、絞り部132aの両側の圧力差に基づいて流量制御弁133を制御し、第1の流量F1よりも小さい第2の流量F2で処理液を供給するときは、絞り部132aの片側の圧力に基づいて流量制御弁133を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理装置、その基板処理装置における基板処理方法、及びこの基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板(以下「基板」又は「ウェハ」という。)である半導体ウェハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとしては、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理等を挙げることができる。
【0003】
上記したような洗浄処理等のプロセスを基板に対して行う基板処理装置としては、枚葉式の複数の液処理ユニットと、搬送装置とを備えたものが用いられている。液処理ユニットは、半導体ウェハ等の基板をスピンチャックに保持し、基板を回転させた状態で基板の表面または表裏面に処理液を供給して処理を行う。搬送装置は、これら液処理ユニットへの基板の搬入出を行う。また、装置のフットプリントの増加を抑制しつつより高いスループットを実現するために、上記液処理ユニットを多段に積層したレイアウトを有するものがある。
【0004】
このような基板処理装置においては、処理液(薬液)を供給する処理液ノズル(以下「供給ノズル」という。)がミキシングバルブを介して複数の薬液供給系に切替可能に接続されているものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す例では、各薬液供給系とミキシングバルブとの間に、各薬液供給系に対応する流量制御機構が設けられている。
【0005】
また、このような流量制御機構として、流体が流れる流路の途中に設けられた差圧式流量計と、流路の途中に設けられて流体の流れを調整するバルブと、バルブの開度を制御する制御部とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に示す例では、制御部は、設定流量と差圧式流量計により求められた流体の流量とに基づいてバルブの開度を制御する。また、差圧式流量計は、円管と、円管の上流側に配置された第1圧力計と、円管の下流側に配置された第2圧力計とを備えている。第1圧力計は、円管に流入する流体の圧力を計測する。第2圧力計は、円管から流出する流体の圧力を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−34490号公報
【特許文献2】特開2006−153677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した枚葉洗浄装置等の基板処理装置においては、次のような問題があった。
【0008】
基板処理装置においては、異なる洗浄処理の用途に対応し、供給ノズルを具備し、それらを用いて互いに異なる流量で基板に処理液を供給することがある。例えば、供給ノズルから大流量で処理液を供給したり、小流量で処理液を供給することがある。
【0009】
ところが、差圧式流量計の計測可能レンジの下限及び流量調整バルブの調整可能レンジの下限はフルスケールの1/10程度が限界であり、制御可能なレンジにどうしても制限がある。制御可能なレンジを外れた流量には調整できない。また、差圧式流量計は小流量になると、前述した円管に相当するオリフィス前後の差圧が安定して取れなくなり、又キャビテーションが発生して正確な圧力が測定できなくなる。流量調整バルブは、小流量になる程バルブの開度がシビアになり安定して調整できなくなる。
【0010】
このように、差圧式流量計が計測する流量計測値は、測定可能な流量範囲の下限値付近において、大きな誤差を生じることがある。また、供給流路を流れる流体の流量を調節するバルブも、差圧式流量計と同様に、調節可能な流量範囲の下限値付近において、大きな誤差を生じることがある。従って、差圧式流量計とバルブとを組み合わせた流量制御機構においては、小流量で処理液を供給するときに、供給流量を精度良く供給することができない。
【0011】
そのため、処理液を小流量で供給するときは、供給系と供給ノズルとを、処理液を大流量で供給するときとは別の供給流路により接続しなければならない。すなわち、小流量を調節するために、ニードルバルブ等の絞り機構を介して供給系と供給ノズルとを接続しなければならない。
【0012】
しかし、ニードルバルブ等の絞り機構において、基板処理中に流量が一定になるように制御することはできない。従って、基板処理装置が複数の液処理ユニットを含む場合等において、その複数の液処理ユニットが同時に処理液の供給を開始又は停止したときに、ニードルバルブに印加される処理液の供給圧力が変動し、小流量を供給するときの供給ノズルの流量も変動するという問題があった。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、供給ノズルから大流量及び小流量で供給する処理液の流量を精度よく制御することができ、小流量で処理液を供給するときの供給系の圧力変動による流量変動を防止できる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の一実施例によれば、カップ内に回転可能に保持した基板を、処理液により処理する基板処理装置において、保持した前記基板に処理液を供給するノズル部と、前記ノズル部に処理液を供給する供給系と前記ノズル部とを接続する供給流路の途中に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部と、前記絞り部の上流側及び下流側における前記供給流路内の流体の圧力を計測する圧力計測部と、前記供給流路上に設けられた流量制御弁と、前記ノズル部から第1の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部が計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差に基づいて、前記流量制御弁を制御し、前記ノズル部から前記第1の流量よりも小さい第2の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部が計測した前記上流側及び前記下流側のいずれか一方における前記圧力に基づいて、前記流量制御弁を制御する流量制御部とを有する基板処理装置が提供される。
【0016】
また、本発明の一実施例によれば、カップ内に回転可能に保持した基板に処理液を供給するノズル部と、前記ノズル部に処理液を供給する供給系と前記ノズル部とを接続する供給流路の途中に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部とを有する基板処理装置における基板処理方法であって、前記絞り部の上流側及び下流側における前記供給流路内の流体の圧力を圧力計測部により計測する計測工程と、前記ノズル部から第1の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部により計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差に基づいて、前記供給流路上に設けられた流量制御弁を流量制御部により制御し、前記ノズル部から前記第1の流量よりも小さい第2の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部により計測した前記上流側及び前記下流側のいずれか一方における前記圧力に基づいて、前記流量制御弁を前記流量制御部により制御する制御工程とを有する基板処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異なる流量で処理液を供給する供給ノズルを有する基板処理装置において、供給ノズルから大流量及び小流量で供給する処理液の流量を精度よく制御することができ、小流量で処理液を供給するときの供給系の圧力変動による流量変動を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿った正面側の断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【図4】図1の基板処理装置に搭載された液処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図5】図1の基板処理装置の処理ステーションの模式的斜視図である。
【図6】図4に示す液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。
【図7】図6に示す液処理ユニットの第1の処理液供給機構のうち、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
【図8】図6に示す液処理ユニットの第1の処理液供給機構のうち、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
【図9】第1の供給ノズルのみを設けた場合において、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
【図10】第1の供給ノズルのみを設けた場合において、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
【図11】差圧式流量計の絞り部及び圧力計測部の構成を示す模式図である。
【図12】モータバルブの構成を模式的に示す断面図である。
【図13】比較例1における基板処理装置に搭載された液処理ユニットの第1の処理液供給機構のうち、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
【図14】比較例2における基板処理装置に搭載された液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。ここでは、本発明を半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と記す。)の表裏面洗浄を行う基板処理装置に適用した場合について示す。
【0020】
始めに、図1から図3を参照し、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿った正面側の断面図、図3は図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
【0022】
この基板処理装置100は、複数のウェハWを収容するウェハキャリアCを載置し、ウェハWの搬入・搬出を行う搬入出ステーション(基板搬入出部)1と、ウェハWに洗浄処理を施すための処理ステーション(液処理部)2とを備えている。搬入出ステーション(基板搬入出部)1及び処理ステーション(液処理部)2は、隣接して設けられている。
【0023】
搬入出ステーション1は、キャリア載置部11、搬送部12、受け渡し部13及び筐体14を有している。キャリア載置部11は、複数のウェハWを水平状態で収容するウェハキャリアCを載置する。搬送部12は、ウェハWの搬送を行う。受け渡し部13は、ウェハWの受け渡しを行う。筐体14は、搬送部12および受け渡し部13を収容する。
【0024】
キャリア載置部11は4個のウェハキャリアCが載置可能である。載置されたウェハキャリアCは筐体14の垂直壁部12aに密着された状態とされ、大気に触れることなくその中のウェハWが搬送部12に搬入可能となっている。
【0025】
筐体14は、搬送部12と受け渡し部13とを垂直に仕切る仕切り部材14aを有している。搬送部12は、搬送機構15と、その上方に設けられた清浄空気のダウンフローを供給するファン・フィルター・ユニット(FFU)16とを有している。搬送機構15は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム15a、及びウェハ保持アーム15aを前後に移動させる機構を有している。また搬送機構15は、ウェハキャリアCの配列方向であるX方向に延在する水平ガイド17(図1参照)に沿って移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド18(図2参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構15により、ウェハキャリアCと受け渡し部13との間でウェハWが搬送される。
【0026】
受け渡し部13は、受け渡しステージ19と、その上に設けられたウェハWを載置可能な載置部を複数備えた受け渡し棚20とを有している。受け渡し部13は、この受け渡し棚20を介して処理ステーション2との間でウェハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0027】
図3に示すように、処理ステーション2は、直方体状をなす筐体21を有している。処理ステーション2は、筐体21内には、その中央上部にウェハキャリアCの配列方向であるX方向に直交するY方向に沿って延びる搬送路を構成する搬送室21aと、搬送室21aの両側に設けられた2つのユニット室21b、21cとを有している。ユニット室21b、21cにはそれぞれ搬送室21aに沿って6個ずつ合計12個の液処理ユニット22が水平に配列されている。
【0028】
筐体21内のユニット室21b、21cの下には、それぞれ各液処理ユニット22の駆動系を収容した駆動エリア21d、21eが設けられている。また、駆動エリア21d、21eの下には、それぞれ配管を収容した配管ボックス21f、21gが設けられている。また、配管ボックス21f、21gの下には、それぞれ処理液貯留部としての薬液供給ユニット21h、21iが設けられている。一方、搬送室21aの下方には、排気のための排気空間21jが設けられている。
【0029】
搬送室21aの上方には、ファン・フィルター・ユニット(FFU)23が設けられ、搬送室21aに清浄空気のダウンフローを供給するようになっている。搬送室21aの内部には搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム24a、及びウェハ保持アーム24aを前後に移動させる機構を有している。また、搬送機構24は、搬送室21aに設けられた水平ガイド25(図1参照)に沿ってY方向に移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド26(図3参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構24により、各液処理ユニット22に対するウェハWの搬入出を行うようになっている。
【0030】
なお、受け渡しステージ19はキャリア載置部11よりも高い位置に設けられ、液処理ユニット22は受け渡しステージ19よりも高い位置に設けられている。
【0031】
配管ボックス21f、21gには、処理液配管群70、排液配管群71および排気配管群72が水平に配置されている。処理液配管群70は、例えば、アンモニア水と過酸化水素を混合して形成されたアンモニア過水(SC1)を供給するSC1配管70a、希フッ酸(DHF)を供給するDHF配管70b、純水を供給する純水配管70cを有している。また、排液配管群71は、例えば、酸を排液するための酸排液配管71a、アルカリを排液するためのアルカリ排液配管71b、酸を回収する酸回収配管71c、アルカリを回収するアルカリ回収配管71dを有している。さらに排気配管群72は、例えば、酸を排気するための酸排気配管72a、アルカリを排気するためのアルカリ排気配管72bを有している。
【0032】
薬液供給ユニット21h、21iの搬入出ステーション1側の端部には、図2に示すように、第1垂直配管エリア27aが設けられており、反対側の端部には第2垂直配管エリア27bが設けられている。
【0033】
次に、図3及び図4を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置に搭載された液処理ユニットについて説明する。図4は、図1の基板処理装置に搭載された液処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
【0034】
液処理ユニット22は、図4に拡大して示すように、ベースプレート41、ウェハ保持部42、回転モータ43、回転カップ44、表面処理液供給ノズル45、裏面処理液供給ノズル46及び排気・排液部(カップ)47を有する。ウェハ保持部42は、ウェハWを回転可能に保持する。回転モータ43は、ウェハ保持部42を回転させる。回転カップ44は、ウェハ保持部42に保持されたウェハWを囲繞するように設けられ、ウェハ保持部42とともに回転する。表面処理液供給ノズル45は、ウェハWの表面に処理液を供給する。表面処理液供給ノズル45は、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cを含む。なお、図4においては、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cを代表し、第1の供給ノズル45aのみを図示する。裏面処理液供給ノズル46は、ウェハWの裏面に処理液を供給する。排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44の周縁部に設けられている。
【0035】
なお、第1の供給ノズル45a及び第2の供給ノズル45bは、本発明におけるノズル部に相当する。
【0036】
排気・排液部(カップ)47の周囲およびウェハWの上方を覆うように、ケーシング48が設けられている。ケーシング48の上部にはファン・フィルター・ユニット(FFU)23からの気流を導入する気流導入部49が設けられており、ウェハ保持部42に保持されたウェハWに清浄空気のダウンフローが供給されるようになっている。気流導入部49には、図3に示すように、搬送室21aに繋がる開口49aが形成されており、この開口49aから気流が導入される。
【0037】
ウェハ保持部42は、水平に設けられ中央に円形の孔51aを有する円板状をなす回転プレート51と、その裏面の孔51aの周囲部分に接続され、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸52とを有している。そして、裏面処理液供給ノズル46を備えた昇降部材53が孔52aおよび孔51a内を昇降可能に設けられている。回転プレート51には、ウェハWの外縁を保持する3つ(1つのみ図示)の保持部材54が設けられている。
【0038】
回転軸52は、2つのベアリング55aを有する軸受け部材55を介してベースプレート41に回転可能に支持されている。回転軸52と回転モータ43の軸に嵌め込まれたプーリー58にはベルト57が巻き掛けられており、回転モータ43の回転駆動が回転軸52に伝達される。
【0039】
昇降部材53の上端部にはウェハ支持ピン65を有するウェハ支持台64が設けられている。また、昇降部材53の下端には接続部材66を介してシリンダ機構67が接続されており、このシリンダ機構67によって昇降部材53を昇降させることにより、ウェハWを昇降させてウェハWのローディングおよびアンローディングが行われる。
【0040】
表面処理液供給ノズル45の第1の供給ノズル45aは、ノズルアーム62aに保持されている。第1の供給ノズル45aは、図示しない駆動機構によりノズルアーム62aを移動させることにより、ウェハWの上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。このようにして、第1の供給ノズル45aからウェハWの表面に処理液が供給されるようになっている。
【0041】
図示しない第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cも、同様に図示しないノズルアーム62b、62cに保持されている。第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cも、図示しない駆動機構によりノズルアーム62b、62cを移動させることにより、ウェハWの上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。このようにして、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cからウェハWの表面に処理液が供給されるようになっている。
【0042】
また、裏面処理液供給ノズル46は昇降部材53の内部の中心に垂直に設けられており、この裏面処理液供給ノズル46からウェハWの裏面に処理液が供給されるようになっている。
【0043】
表面処理液供給ノズル45(第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45c)並びに裏面処理液供給ノズル46には、垂直配管68a、68bを介して処理液が供給されるようになっている。垂直配管68a、68bは、上記配管ボックス21fまたは21g内に水平に設けられた上記処理液配管群70を構成する3本の配管70a〜70cにそれぞれバルブ80a〜80cが連結されてなる一体の供給系切替バルブ80dを介して接続されている。また、垂直配管68a、68bは、それぞれ表面処理液供給ノズル45及び裏面処理液供給ノズル46へ処理液を供給する供給流路である。また、垂直配管68a、68bの途中、すなわち図6を用いて後述する供給流路68a、68b上に、液体フローコントローラ(LFC)131、141が設けられている。
【0044】
なお、液体フローコントローラ(LFC)131、141のことを、以下「流量制御機構」という場合がある。
【0045】
回転カップ44は、回転プレート51とともに回転され、ウェハWから飛散した処理液がウェハWに戻ることが抑制され、処理液は下方に導かれる。
【0046】
排気・排液部(カップ)47は、主に回転プレート51と回転カップ44に囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものである。排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44から排出された処理液を受ける環状をなす排液カップ91と、排液カップ91の外側に、排液カップ91を囲繞するように設けられた環状をなす排気カップ92とを備えている。排液カップ91は、回転カップ44から導かれた処理液を受ける主部91aと保持部材54から滴下する処理液を受ける副部91bとを有している。また、主部91aと副部91bとの間は、気流の乱れを防ぐための垂直壁93で仕切られている。
【0047】
排液カップ91の底部の最外側部分には排液管94が接続されている。排液管94には排液切替部83が接続されており、処理液の種類に応じて分別可能となっている。排液切替部83からは、酸排液を排出するための酸排出管84a、アルカリを排出するためのアルカリ排出管84b、酸を回収するための酸回収管84c、アルカリを回収するためのアルカリ回収管84dが垂直下方に延びている。酸排出管84a、アルカリ排出管84b、酸回収管84c、アルカリ回収管84dは、それぞれ排液配管群71の酸排液配管71a、アルカリ排液配管71b、酸回収配管71c、アルカリ回収配管71dに接続されている。酸排出管84a、アルカリ排出管84b、酸回収管84c、アルカリ回収管84dには、それぞれバルブ85a、85b、85c、85dが設けられている。
【0048】
排気カップ92は、回転カップ44との間の環状をなす隙間から回転カップ44内およびその周囲の主にガス成分を取り込んで排気するようになっている。また、排気カップ92の下部には、酸を排気する酸排気管95a、アルカリを排気するアルカリ排気管95bが接続されている。酸排気管95a、アルカリ排気管95bは、それぞれ排気配管群72の酸排気配管72a、アルカリ排気配管72bに接続されている。酸排気管95a、アルカリ排気管95bには、それぞれバルブ86a、86bが設けられている。
【0049】
このように、処理液が回転カップ44を介して排液カップ91に導かれ、気体成分は排気カップ92に導かれ、かつ排液カップ91からの排液と排気カップ92からの排気が独立して行われるようになっている。これにより、排液と排気を分離した状態で導くことが可能となる。また、排液カップ91からミストが漏出しても排気カップ92がその周囲を囲繞しているので速やかに排出され、ミストが外部に漏出することが確実に防止される。そのため、ウェハW周辺部と排液カップ91および排気カップ92との隙間を小さくすることができ、液処理ユニット22を小型化することができる。
【0050】
次に、図2を参照し、薬液供給ユニット21hについて説明する。
【0051】
薬液供給ユニット21hは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えばアンモニア水と過酸化水素を混合したアンモニア過水(SC1)を貯留する第1薬液タンク101とそれに隣接する第1回収タンク102とを有している。
【0052】
図2に示すように、第1薬液タンク101の側壁下部にはその中から薬液を送出するための送出管103が接続されており、その側壁上部には薬液を返戻するための返戻管104が接続されている。送出管103には、ポンプ103aが設けられているとともに、薬液供給ユニット21h内の第1垂直配管エリア27aから延びる接続管105が接続されている。接続管105は、配管ボックス21f内に水平に配置された処理液配管群70のSC1配管70aの一端側に接続されている。また、返戻管104には第1垂直配管エリア27aから延びる渡り配管106が接続されている。一方、SC1配管70aの他端側には渡り配管107が接続されており、この渡り配管107は第2垂直配管エリア27b内を下方に延びている。
【0053】
次に、図2、3および図5を参照し、これら渡り配管106および107を含む薬液供給経路について説明する。図5は、図1の基板処理装置の処理ステーションの模式的斜視図である。
【0054】
渡り配管107は、薬液供給ユニット21hの第2垂直配管エリア27bを下方に延びる。第2垂直配管エリア27bを下方に延びた渡り配管107は、第2垂直配管エリア27bの下部から水平に排気空間21jを通って薬液供給ユニット21iの第2垂直配管エリア27bに延びる。第2垂直配管エリア27bに延びた渡り配管107は、さらに薬液供給ユニット21iの第2垂直配管エリア27bを上昇して配管ボックス21g内のSC1配管70aに接続される。一方、渡り配管106は、薬液供給ユニット21iの第1垂直配管エリア27aを下方に延びる。第1垂直配管エリア27aを下方に延びた渡り配管106は、第1垂直配管エリア27aの下部から水平に排気空間21jを通って薬液供給ユニット21hの第1垂直配管エリア27aに延びる。第1垂直配管エリア27aに延びた渡り配管106は、さらに薬液供給ユニット21hの第1垂直配管エリア27aを上昇して返戻管104に接続される。
【0055】
すなわち、第1薬液タンク101のSC1は、送出管103および接続管105を経て配管ボックス21f内のSC1配管70aに至り、この配管ボックス21f内のSC1配管70aを流れつつユニット室21b内の各液処理ユニット22に供給される。SC1配管70aを流れるSC1は、さらに渡り配管107を通って配管ボックス21g内のSC1配管70aに至り、この配管ボックス21g内のSC1配管70aを流れつつユニット室21c内の各液処理ユニット22に供給される。SC1配管70aを流れるSC1は、渡り配管106及び返戻管104を経て第1薬液タンク101に戻る。従って、第1薬液タンク101のSC1には、上記したような循環経路が構成されている。
【0056】
一方、第1回収タンク102には、図2に示すように、処理済みの薬液を回収するための配管108が接続されている。配管108は、第2垂直配管エリア27bを垂直に延び、排液配管群71のアルカリ回収配管71dに接続されており、液処理ユニット22から排出されたアルカリ排液を回収するようになっている。
【0057】
第1回収タンク102と第1薬液タンク101は、接続配管109で接続されている。接続配管109にはポンプ110が設けられており、第1回収タンク102に回収された薬液を浄化処理した後、第1薬液タンク101に戻すことが可能となっている。
【0058】
第1薬液タンク101の上部には薬液供給配管111が接続されており、この薬液供給配管111には混合器112が接続されている。混合器112には、純水配管113、アンモニア配管114および過酸化水素配管115が接続されており、混合器112にて純水とアンモニアと過酸化水素が混合されてアンモニア過水SC1が第1薬液タンク101に供給されるようになっている。純水配管113には液体フローコントローラ(LFC)116aおよびバルブ116bが設けられている。アンモニア配管114には液体フローコントローラ(LFC)117aおよびバルブ117bが設けられている。過酸化水素配管115には液体フローコントローラ(LFC)118aおよびバルブ118bが設けられている。
【0059】
一方、薬液供給ユニット21iは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えば希フッ酸(DHF)を貯留する第2薬液タンク121(図3参照)とそれに隣接する第2回収タンク(図示せず)とを有している。そして、この第2薬液タンク121のDHFも、第1薬液タンク101からのSC1と同様にして、配管ボックス21f、21g内のDHF配管70bと渡り配管等とにより循環供給可能となっている。また、第2回収タンクへのDHFの回収は、酸回収配管71cおよび配管122(図2参照)を通って第1回収タンク102へのSC1の回収と同様に行われる。
【0060】
なお、これら薬液洗浄以外に、純水によるリンスおよび乾燥が行われるが、その際には、純水は図示しない純水供給源から純水配管70cを通って供給される。また、図示してはいないが、Nガス等の乾燥ガスもノズル45、46から供給可能となっている。
【0061】
配管ボックス21f、21gに設けられた排液配管群71のうち、酸排液配管71a、アルカリ排液配管71bにはそれぞれドレイン配管123(図2では1本のみ図示)が接続されている。ドレイン配管123は、第2垂直配管エリア27bを通って下方に延びている。そして、これら酸排液配管71a、アルカリ排液配管71bからの排液は、ドレイン配管123を通ってドレインとして床下の工場配管に廃棄される。
【0062】
また、基板処理装置100は、図4に示すように、制御部200を有する。制御部200は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ201を有しており、基板処理装置100の各構成部がこのプロセスコントローラ201に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ201には、工程管理者が基板処理装置100の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置100の各構成部の可動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース202が接続されている。さらに、プロセスコントローラ201には、基板処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ201の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部203が接続されている。レシピは記憶部203の中の記憶媒体(記録媒体)に記憶されている。記憶媒体(記録媒体)は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0063】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース202からの指示等にて任意のレシピを記憶部203から呼び出してプロセスコントローラ201に実行させることで、プロセスコントローラ201の制御下で、基板処理装置100での所望の処理が行われる。
【0064】
このように構成される基板処理装置100においては、まず、搬入出ステーション1のキャリア載置部11に載置されたキャリアCから搬送機構15により1枚のウェハWを取り出して受け渡しステージ19上の受け渡し棚20の載置部に載置し、この動作を連続的に行う。受け渡し棚20の載置部に載置されたウェハWは、処理ステーション2の搬送機構24により順次搬送されて、いずれかの液処理ユニット22に搬入される。
【0065】
液処理ユニット22においては、まず、保持部材54によりウェハWをチャッキングし、回転モータ43によりウェハ保持部42を回転カップ44およびウェハWとともに回転させる。ウェハ保持部42を回転させながら、表面処理液供給ノズル45及び裏面処理液供給ノズル46から処理液を供給し、ウェハWの表裏面洗浄を行う。表面処理液供給ノズル45については、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cのいずれかから処理液を供給する。このときの処理液としては、洗浄薬液、例えば、SC1、DHFのいずれかまたは両方を用いる。SC1で洗浄する際には、第1薬液タンク101から送出管103、接続管105、配管ボックス21f内のSC1配管70a、渡り配管107、配管ボックス21g内のSC1配管70a、渡り配管106、返戻管104を経て第1薬液タンク101に戻るようにSC1を循環させる。このようにSC1を循環させつつ、SC1配管70aから各液処理ユニット22にSC1を供給する。また、DHFで洗浄する際には、第2薬液タンク121から配管ボックス21f、21g内のDHF配管70bを含む配管群により、同様にDHFを循環させる。このようにDHFを循環させつつ、DHF配管70bから各液処理ユニット22にDHFを供給する。そして、このような洗浄処理の後、純水配管70cから各処理ユニット22に純水を供給して純水リンスを行い、その後、必要に応じてN乾燥を行って洗浄処理を終了する。
【0066】
このような洗浄処理の際には、使用済みの処理液が排液カップ91から排液配管群71に至り、酸およびアルカリは一部回収され、他は廃棄される。また、処理にともなって発生した気体成分が排気カップ92から排気配管群72に至り、排気される。
【0067】
このようにして液処理を行った後、搬送機構24により液処理ユニット22からウェハWを搬出し、受け渡しステージ19の受け渡し棚20に載置し、受け渡し棚20から搬送機構15によりカセットCに戻される。
【0068】
次に、図6から図11を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置の液処理ユニットにおける処理液供給機構について説明する。
【0069】
図6は、図4に示す液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。なお、図6では、図4を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0070】
処理液供給機構は、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を有する。第1の処理液供給機構130は、基板の上面(表面)に処理液を供給し、第2の処理液供給機構140は、基板の下面(裏面)に処理液を供給する。
【0071】
第1の処理液供給機構130は、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45c、供給系切替バルブ80d、第1のLFC131を有する。第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cは、排気・排液部(カップ)47内の回転保持部42に回転可能に保持した基板(ウェハW)の上面(表面)に処理液を供給するものである。供給系切替バルブ80dは、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cに処理液を供給する複数の配管70a、70b、70cと第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cを切替え可能に接続するものである。
【0072】
一方、第2の処理液供給機構140は、裏面処理液供給ノズル46、供給系切替バルブ80d、第2のLFC141を有する。裏面処理液供給ノズル46は、バルブ142を介して第2のLFC141に接続されている。裏面処理液供給ノズル46は、排気・排液部(カップ)47内の回転保持部42に回転可能に保持した基板(ウェハW)の下面(裏面)に処理液を供給するものであり、前述した第1の供給ノズル45a等と同様にすることができる。また、供給系切替バルブ80dは、裏面処理液供給ノズル46に処理液を供給する複数の配管70a、70b、70cと裏面処理液供給ノズル46を切替可能に接続するものであり、前述した第1の処理液供給機構130と共通である。更に、第2のLFC141は、前述した第1のLFC131と同様にすることができる。従って、ここでは、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を代表し、以下、第1の処理液供給機構130における供給ノズル及び流量制御機構を説明するものとする。
【0073】
なお、配管(SC1配管)70a、配管(DHF配管)70b及び配管(純水配管)70cは、本発明における供給系に相当する。また、配管(SC1配管)70a、配管(DHF配管)70b及び配管(純水配管)70cを含む処理液配管群70は、本発明における複数の供給系に相当する。
【0074】
第1のLFC131は、供給系切替バルブ80dと第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cとを接続する供給流路68a上に設けられ、供給流路68aを流れる処理液の流量を制御する。第1のLFC131は、図7及び図8を用いて後述するように、差圧式流量計132、モータバルブ133及び流量制御部134を有する。
【0075】
第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cは、三方弁135により、切換可能に、第1のLFC131に接続されている。第1の供給ノズル45aは、三方弁135で供給流路68aから分岐した供給流路68cが接続されるとともに、第1の流量F1で基板に処理液を供給する。第2の供給ノズル45bは、三方弁135で供給流路68aから分岐した供給流路68dが接続されるとともに、供給流路68d上に設けられたニードルバルブ136を介して第1のLFC131に接続されている。第2の供給ノズル45bは、第1の流量F1よりも少ない第2の流量F2で基板に処理液を供給する。ニードルバルブ136は、第2の供給ノズル45bから供給する処理液の流量を第2の流量F2に絞る。第3の供給ノズル45cは、三方弁135で供給流路68aから分岐した供給流路68eが接続されるとともに、第3の流量F3で基板に処理液を供給する。なお、三方弁135は、本発明における切替バルブに相当する。また、ニードルバルブ136は、本発明における第2の絞り部に相当する。また、ニードルバルブ136に代え、自動調整可能なバルブ、また配管サイズを小さくする等の各種の絞り機構を用いることができる。
【0076】
本実施の形態では、第2の供給ノズル45bは、二流体ノズル(Atomized Spray;AS)であってもよい。第2の供給ノズル45bが二流体ノズルである場合、図6に示すように、第2の供給ノズル45bには、供給流路68dが接続されるとともに、例えばNガス等の不活性ガスであるキャリアガスを供給するキャリアガス供給源137に接続されたガス供給配管138が接続される。
【0077】
ここでは、複数の供給系である処理液配管群70は、互いに異なる複数の種類の処理液を供給するように構成してもよい。本実施の形態では、前述したように、例えばアンモニア過水SC1を供給するSC1配管70a、希フッ酸DHFを供給するDHF配管70b、及び純水DIWを供給する純水配管70cを含むようにすることができる。
【0078】
一例として、第1の供給ノズル45aは、供給系切替バルブ80d及び三方弁135を切替えることにより、アンモニア過水SC1及び純水DIWのいずれかを第1の流量F1で基板に供給することができる。アンモニア過水SC1を供給するときは、第1の流量F1を例えば1200cc/minとし、純水DIWを供給するときは、第1の流量F1を例えば1800cc/minとすることができる。また、第2の供給ノズル45bは、供給系切替バルブ80d及び三方弁135を切替えることにより、純水DIWを第2の流量F2で基板に供給することができる。純水DIWを供給するときは、第2の流量F2を例えば100cc/minとすることができる。また、第3の供給ノズル45cは、供給系切替バルブ80d及び三方弁135を切替えることにより、希フッ酸DHF及び純水DIWのいずれかを第3の流量F3で基板に供給することができる。希フッ酸DHFを供給するときは、第3の流量F3を例えば1200cc/minとし、純水DIWを供給するときは、第3の流量F3を例えば1800cc/minとすることができる。
【0079】
図7及び図8は、図6に示す液処理ユニットの第1の処理液供給機構のうち、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。図7は、第1の供給ノズルから処理液を供給するときを示し、図8は、第2の供給ノズルから処理液を供給するときを示す。また、図7及び図8では、第3の供給ノズル45c及び三方弁135のうち第3の供給ノズルに接続する供給流路68e上に設けられたバルブ135cを図示していない。従って、図7及び図8では、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b、三方弁135のうち第1の供給ノズル45a及び第2の供給ノズル45bに接続されるバルブ135a、135b、ニードルバルブ136を示している。また、図7及び図8では、図4、図6を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0080】
図7及び図8に示すように、第1の処理液供給機構130の第1のLFC131は、差圧式流量計132、モータバルブ133及び流量制御部134を有する。差圧式流量計132は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、供給流路68aの流量を計測する。モータバルブ133は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、モータ169によりバルブ160の開度を制御可能である。
【0081】
なお、モータバルブ133は、本発明における流量制御弁に相当する。また、モータバルブ133に代え、供給流路の流量を制御することができる各種の流量制御弁を用いることができる。また、供給流路の流量を制御するために、流量制御弁の開度を制御するものでもよく、あるいは、複数の流量制御弁を供給流路上に並列に設け、開いている流量制御弁の個数を制御する、等の各種の方法により制御するものであってもよい。
【0082】
差圧式流量計132は、絞り部132a、圧力計測部132b及び演算部132cを有する。絞り部132aは、供給流路68aの途中に設けられており、供給流路68aを絞るためのものである。圧力計測部132bは、第1の圧力計132d及び第2の圧力計132eを有する。第1の圧力計132dは、絞り部132aの上流側における供給流路68f上に設けられており、絞り部132aの上流側における供給流路68f内を流れる流体の圧力を計測する。第2の圧力計132eは、絞り部132aの下流側における供給流路68g上に設けられており、絞り部132aの下流側における供給流路68g内を流れる流体の圧力を計測する。
【0083】
始めに、図7を参照し、第1の供給ノズル45aから処理液を供給するときについて、説明する。第1の供給ノズル45aから処理液を供給するときは、差圧式流量計132を、通常のモードであって、供給流路68aの流量が予め設定された流量設定値FSに等しくなるように一定に制御するモード(以下「流量一定モード」という。)で使用する。また、処理液配管群70と第1の供給ノズル45aが接続されるように、三方弁135及び供給系切替バルブ80dを切り替える。すなわち、三方弁135において、バルブ135b及びバルブ135cを閉じ、バルブ135aを開く。また、供給系切替バルブ80dについては、アンモニア過水SC1を供給するSC1配管70aに切替えた例を示す。なお、図7において、白抜き表示のバルブ記号は、閉状態を示し、黒抜き表示のバルブ記号は、開状態を示すものとする。
【0084】
流量一定モードでは、演算部132cは、図7に示すように、圧力計測部132bの第1の圧力計132dが計測した第1の圧力計測値P1と、圧力計測部132bの第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2との差である圧力差P1−P2に基づいて、供給流路68a(68f、68g)の流量演算値FMを演算する。演算部132cが流量演算値FMを演算することにより、差圧式流量計132は、流量を計測することができる。演算部132cは、流量演算値FMを含む計測信号SMを流量制御部134に出力する。
【0085】
流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、差圧式流量計132が計測した流量演算値FMとに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。流量制御部134は、差圧式流量計132が計測した流量演算値FMを含む計測信号SMが差圧式流量計132から入力されるとともに、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。すなわち、流量制御部134は、圧力計測部132bが計測した第1の圧力計測値P1、第2の圧力計測値P2の差である圧力差に基づいて、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。
【0086】
流量制御部134で予め設定される流量設定値FSは、基板処理装置100を制御する制御部200のプロセスコントローラ201が設定するようにしてもよい。プロセスコントローラ201が流量設定値FSを設定する場合、流量制御部134は、プロセスコントローラ201が設定した流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の開度を制御する。
【0087】
また、流量制御部134からプロセスコントローラ201へ、流量計測値FMを含む計測信号SMを送ることにより、図4を用いて説明したユーザーインターフェース202に流量計測値FMを表示するようにしてもよい。また、圧力計測部132bにより圧力を計測する計測工程と、モータバルブ133の開度を流量制御部134により制御する制御工程とを含む基板処理方法をプロセスコントローラ201に実行させるための制御プログラムすなわちレシピを、記憶媒体(記録媒体)である記憶部203に記憶してもよい。
【0088】
また、流量設定値FSは、流量設定値FSと、差圧式流量計132が計測した流量演算値FMとに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する時までに設定されればよく、流量制御部134で予め設定されなくてもよい。
【0089】
なお、計測工程では、絞り部132aの上流側及び下流側における供給流路68f、68g内の流体の圧力を圧力計測部132bにより計測する。また、制御工程では、絞り部132aの上流側における供給流路68fの第1の圧力計測値P1及び絞り部132aの下流側における供給流路68gの第2の圧力計測値P2の圧力差に基づいて、モータバルブ133の開度を流量制御部134により制御する。
【0090】
次に、図8を参照し、第2の供給ノズル45bから処理液を供給するときについて、説明する。第2の供給ノズル45bから処理液を供給するときは、差圧式流量計132を通常のモード以外のモードであって、供給流路68aの圧力が予め設定された圧力設定値PSに等しくなるように一定に制御するモード(以下「圧力一定モード」という。)で使用する。また、処理液配管群70と第2の供給ノズル45bが接続されるように、三方弁135及び供給系切替バルブ80dを切り替える。すなわち、三方弁135において、バルブ135a及びバルブ135cを閉じ、バルブ135bを開く。また、供給系切替バルブ80dについては、純水DIWを供給する純水配管70cに切替えた例を示す。なお、図8においても、図7と同様に、白抜き表示のバルブ記号は、閉状態を示し、黒抜き表示のバルブ記号は、開状態を示すものとする。
【0091】
圧力一定モードでは、演算部132cは、図8に示すように、圧力計測部132bの第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2をそのまま流量制御部134に出力する。流量制御部134は、予め設定された圧力設定値PSと、差圧式流量計132が計測した第2の圧力計測値P2とに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。流量制御部134は、差圧式流量計132が計測した第2の圧力計測値P2を含む計測信号SMが差圧式流量計132から入力されるとともに、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。すなわち、流量制御部134は、圧力計測部132bが計測した第2の圧力計測値P2に基づいて、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。
【0092】
ここで、演算部132cは、第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2に代え、第1の圧力計132dが計測した第1の圧力計測値P1をそのまま流量制御部134に出力してもよい。このとき、流量制御部134は、予め設定された圧力設定値PSと、差圧式流量計132が計測した第1の圧力計測値P1に基づいて、モータバルブ133の開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。すなわち、流量制御部134は、圧力計測部132bが計測した絞り部132aの上流側の供給流路68f及び下流側の供給流路68gのいずれか一方における圧力に基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。
【0093】
また、流量一定モードと同様に、流量制御部134で予め設定される圧力設定値PSは、基板処理装置100を制御する制御部200のプロセスコントローラ201が設定するようにしてもよい。プロセスコントローラ201が圧力設定値PSを設定する場合、流量制御部134は、プロセスコントローラ201が設定した圧力設定値PSと、第2の圧力計測値P2(又は第1の圧力計測値P1)とを比較し、第2の圧力計測値P2(又は第1の圧力計測値P1)が圧力設定値PSと等しくなるように、モータバルブ133の開度を制御する。
【0094】
また、流量一定モードと同様に、流量制御部134からプロセスコントローラ201へ、第2の圧力計測値P2(又は第1の圧力計測値P1)を含む計測信号SMを送ることにより、図4を用いて説明したユーザーインターフェース202に第2の圧力計測値P2(又は第1の圧力計測値P1)を表示するようにしてもよい。また、圧力計測部132bにより圧力を計測する計測工程と、モータバルブ133の開度を流量制御部134により制御する制御工程とを含む基板処理方法をプロセスコントローラ201に実行させるための制御プログラムすなわちレシピを、記憶媒体(記録媒体)である記憶部203に記憶してもよい。
【0095】
なお、計測工程では、流量一定モードと同様に、絞り部132aの上流側及び下流側における供給流路68f、68g内の流体の圧力を圧力計測部132bにより計測する。一方、制御工程では、絞り部132aの上流側における供給流路68fの第1の圧力計測値P1及び絞り部132aの下流側における供給流路68gの第2の圧力計測値P2のいずれか一方に基づいて、モータバルブ133の開度を流量制御部134により制御する。
【0096】
また、図7及び図8では、本発明におけるノズル部が第1の供給ノズル45a及び第2の供給ノズル45bである例について説明する。しかしながら、第2の供給ノズル45bを省略し、第1の供給ノズル45aのみを設けてもよい。このような例を図9及び図10に示す。図9及び図10は、第2の供給ノズルを省略し、第1の供給ノズルのみを設けた場合において、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。図9は、第1の供給ノズル45aから第1の流量F1で処理液を供給するときについて説明する図である。図10は、第1の供給ノズル45aから第2の流量F2で処理液を供給するときについて説明する図である。なお、図9及び図10は、第2の供給ノズル45bを省略し、第1の供給ノズル45aのみを設けた以外は、それぞれ図7及び図8と同様である。従って、図7及び図8と同様である点については、説明を省略する。また、図9及び図10においても、図7及び図8と同様に、白抜き表示のバルブ記号は、閉状態を示し、黒抜き表示のバルブ記号は、開状態を示すものとする。
【0097】
図9及び図10に示す例では、供給流路68dは、ニードルバルブ136の供給ノズル45側において供給流路68cと合流し、第1の供給ノズル45aに接続される。従って、第1の供給ノズル45aから第1の流量F1で処理液を供給するときは、図9に示すように、圧力計側部132bが計測した上流側及び下流側における圧力の圧力差に基づいて、モータバルブ133を制御する。すなわち、第1の圧力計132dが計測した第1の圧力計測値P1と、第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2との差である圧力差P1−P2に基づいて、流量制御部134により、モータバルブ133の開度を制御する。また、第1の供給ノズル45aから第2の流量F2で処理液を供給するときは、図10に示すように、圧力計側部132bが計測した上流側及び下流側のいずれか一方における圧力に基づいて、モータバルブ133を制御する。すなわち、第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2(又は第1の圧力計132dが計測した第1の圧力計測値P1でもよい)に基づいて、流量制御部134により、モータバルブ133を制御する。
【0098】
図11は、差圧式流量計の絞り部及び圧力計測部の構成を示す模式図である。差圧式流量計は、流路上の圧力が異なる2地点間での圧力差(差圧)を計測し、ベルヌーイの定理に基づく演算を行って、流路を流れる流体の流量を求めるものである。そのため、差圧式流量計132は、差圧を発生させるために流路を絞る絞り部132aと、絞り部132aの両側での流路内の流体の圧力を測定する圧力計132d、132eを含む圧力計測部132bとを有する。差圧式流量計132の絞り部132aとして、オリフィス、ベンチュリ管、フローノズル、ピトー管等を用いることができる。また、差圧式流量計132の圧力計測部132bの圧力計132d、132eとして、ブルドン管ゲージ、ダイヤフラム式、ベローズ式等を用いることができる。本実施の形態では、一例として、絞り部132aとしてオリフィスを用い、圧力計132d、132eとして、ダイヤフラムを用いる。
【0099】
図11に示すように、オリフィス(絞り部)132aの上流側の供給流路68fに第1の圧力計132dが設けられ、オリフィス(絞り部)132aの下流側の供給流路68gに第2の圧力計132eが設けられる。第1の圧力計132dが計測した供給流路68f内の流体の圧力(第1の圧力計測値)P1、第2の圧力計132eが計測した供給流路68g内の流体の圧力(第2の圧力計測値)P2、流量FMとの間には、以下の式(1)に示す関係がある。
【0100】
FM=CA{2(P1−P2)/ρ1/2 (1)
ただし、Aは絞り部132aの断面積、ρ(xは流体の種類を示している)は、流体の比重、Cは流出係数である。本実施の形態では、圧力P1、P2は、演算部132cに入力され、演算部132cにおいて、式(1)に基づいた演算を行うことによって、流量演算値FMが求められる。
【0101】
図12は、モータバルブの構成の一例を模式的に示す断面図である。図12に示すように、モータバルブ133は、バルブ160とバルブ160の上方に設けられたモータ169とを有する。
【0102】
バルブ160は、下向きに設けられて供給系切替バルブ80dを介して複数の供給系である処理液配管群70に接続する供給ポート161と、横向きに設けられて供給ノズル45側に接続する吐出ポート162とを有する。また、バルブ160は、供給ポート161と吐出ポート162とを連通する連通路163と、連通路163の上方側に開放する開口164とを有する。また、バルブ160は、開口164内に摺動自在に嵌挿され、下面に設けられた弁部165が、連通路163に設けられた弁座166に就座可能な弁体167とを有する。また、バルブ160は、弁体167に設けられた雌ねじ孔167aに螺合する雄ねじ軸168を有する。
【0103】
モータ169は、モータ169の回転軸が、雄ねじ軸168に接続されている。従って、雄ねじ軸168は、正逆回転可能に設けられている。
【0104】
このように構成されるモータバルブ133において、流量制御部134からの制御信号SCによってモータ169が正逆回転されることによって、連通路163の開度が調整され、供給ノズル45に供給される処理液の流量が調整されるようになっている。
【0105】
本実施の形態では、流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、差圧式流量計132が計測した流量計測値FMとに基づいて、モータバルブ133の開度を制御する。あるいは、流量制御部134は、制御部200が設定した流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の開度を制御してもよい。
【0106】
次に、本実施の形態に係る基板処理装置が、供給ノズルから大流量で供給する処理液の流量、及び供給ノズルから小流量で供給する処理液の流量を、ともに精度よく制御することができることを、比較例1と比較しながら説明する。
【0107】
なお、本実施の形態に係る基板処理装置及び比較例1における基板処理装置における第1のLFCの調整範囲は、200cc/min〜2000cc/minで、精度はFS(フルスケール)の±1%である。
【0108】
図13は、比較例1における基板処理装置に搭載された液処理ユニットの第1の処理液供給機構のうち、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。また、図13では、図7を用いて説明した本実施の形態に係る基板処理装置と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0109】
比較例1における基板処理装置は、第1の流量F1で処理液を供給するときも、第2の流量F2で処理液を供給するときも、流量制御部234が通常のモードである流量一定モードでモータバルブ133の開度を制御する。演算部232cは、図13に示すように、
第2の流量F2で処理液を供給するときも、第1の圧力計132dが計測した第1の圧力計測値P1と、第2の圧力計132eが計測した第2の圧力計測値P2との差である圧力差P1−P2に基づいて、流量演算値FMを演算する。図13は、比較例1における基板処理装置が、第2の供給ノズル45bから第2の流量F2で処理液を供給するときの状態を示す。三方弁135において、バルブ135a及びバルブ135cを閉じ、バルブ135bを開き、供給系切替バルブ80dにおいて、純水DIWを供給する純水配管70cに切替えているのは、図8に示す状態と同様である。なお、図13においても、図7及び図8と同様に、白抜き表示のバルブ記号は、閉状態を示し、黒抜き表示のバルブ記号は、開状態を示すものとする。
【0110】
第1の流量F1(例えば2000cc/min)で処理液を供給する場合において、第1のLFC131を流量一定モードで用いるときは、流量の制御を精度良く行うことができる。差圧式流量計132は、上記した第1の流量F1で処理液を供給するときは、流量の計測を精度良く行うことができる。また、モータバルブ133も、上記した第1の流量F1で処理液を供給するときは、バルブの開度が大きい領域であるため、流量の制御を精度良く行うことができる。従って、第1のLFC131は、流量の制御を精度良く行うことができる。具体的には、第1の流量F1が例えば2000cc/minのときは、誤差は、±20cc/minすなわち±1%である。
【0111】
一方、第2の流量F2(例えば100cc/min)で処理液を供給する場合において、第1のLFC131を流量一定モードで用いるときは、流量の制御を精度良く行うことができない。差圧式流量計132は、式(1)を用いて説明したように、流量一定モードでは絞り部132aの両側における圧力差を計測するところ、流量が小さいときは、計測した圧力差(差圧)が非常に小さな値であり、流量の計測を精度良く行うことができないためである。また、モータバルブ133も、上記した第2の流量F2の範囲では、バルブの開度が小さい領域であるため、流量の制御を精度良く行うことができない。従って、第1のLFC131は、流量の制御を精度良く行うことができない。具体的には、第2の流量F2が例えば100cc/minのときは、誤差は、±20cc/minすなわち±20%である。
【0112】
一方、本実施の形態では、図8を用いて説明したように、第2の流量F2で処理液を基板に供給するときは、第1のLFC131を圧力一定モードで用い、流量制御部134が圧力一定モードでモータバルブ133の開度を制御する。
【0113】
第2の流量F2(例えば100cc/min)で処理液を供給する場合において、第1のLFC131を圧力一定モードで用いるときは、絞り部132aの両側における供給流路68aの圧力差ではなく、絞り部132aの片側における供給流路68aの圧力を計測する。そのため、計測した圧力計測値は十分大きな値であり、誤差が小さくなるため、流量の計測を精度良く行うことができる。また、図8に示すように、供給流路68a(68d)上にモータバルブ133と直列にニードルバルブ136を設けることにより、第2の流量F2の範囲で流量制御する場合でも、モータバルブ133の開度が比較的大きい状態で用いることができる。開度が比較的大きい状態でモータバルブ133を用いる場合には、第2の流量F2の範囲で流量制御するときでも、流量の制御を精度良く行うことができる。従って、LFC131は、流量の制御を精度良く行うことができる。具体的には第2の流量F2が例えば100cc/minのときも、誤差は±1%(±1cc/min)とすることができる。
【0114】
換言すれば、第2の供給ノズル45bの流量調整は、ニードルバルブ136が行うのであって、モータバルブ133が行うのではない。モータバルブ133は、処理液配管群70の各配管の供給圧力の圧力変動の影響をキャンセルするためだけに用いられる。
【0115】
次に、本実施の形態に係る基板処理装置が、供給ノズルから小流量で処理液を供給するときの流量変動を防止できることを、比較例2と比較しながら説明する。
【0116】
図14は、比較例2における基板処理装置に搭載された液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。図14では、図6を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0117】
比較例2における基板処理装置では、第2の供給ノズル45bが三方弁135を介して供給系70に接続されていない。比較例2では、複数の供給系である処理液配管群70から第2の供給ノズル45bへは、三方弁135を介さず、供給流路268a、268bにより接続される。供給流路268a、268b上には、それぞれニードルバルブ236a、236bが設けられている。
【0118】
供給流路268a、268bは、ニードルバルブ236a、236bの下流側でバルブ235a、235bを介して合流して供給流路268cとなり、第2の供給ノズル45bに接続されている。従って、第2の供給ノズル45bは、バルブ235a及びニードルバルブ236aを介してアンモニア過水SC1のSC1配管70aに接続されており、バルブ235b及びニードルバルブ236bを介して純水DIWの純水配管70cに接続されている。
【0119】
図14を用いて説明した比較例2に係る基板処理装置では、第2の供給ノズル45bへの供給流路268a(268c)、268b(268c)上に設けられるニードルバルブ236a、236bの上流側には、SC1配管70a、純水配管70cの供給圧力が直接印加される。SC1配管70a、純水配管70cを含む処理液配管群70の各配管の供給圧力は、工場内の他の装置の使用状況により、変動することがある。供給圧力が変動した場合、第2の供給ノズル45bから供給される処理液の流量が変動するおそれがある。また、ニードルバルブ等の絞り機構においては、予めバルブの開度を調整しておくことはできるものの、基板処理中に流量を計測し、その流量が一定になるように制御することはできない。
【0120】
一方、本実施の形態では、図6を用いて説明したように、第2の供給ノズル45bへの供給流路68a(68d)上にニードルバルブ136のみならずモータバルブ133及び絞り部132aが設けられている。すなわち、ニードルバルブ136は、モータバルブ133及び絞り部132aを介してSC1配管70a、純水配管70cに接続されている。従って、ニードルバルブ136の上流側には、SC1配管70a、純水配管70cの供給圧力が直接印加することがない。従って、処理液配管群70の各配管の供給圧力の変動に影響されることがなく、また、第2の供給ノズル45bから供給される処理液の流量が一定になるように制御することができる。
【0121】
また、図14に示すように、比較例2では、第2の供給ノズル45bにSC1配管70a、純水配管70cを含む2つの処理液配管群70から処理液を供給するために、2つのニードルバルブ236a、236bを設けることが必要である。更に、SC1配管70a、純水配管70cの供給圧力の圧力変動が生じたときに流量を調整するためのレギュレータをニードルバルブ236a、236bの上流側に設けることが必要になることもある。
【0122】
一方、本実施の形態では、図6に示すように、第2の供給ノズル45bにSC1配管70a、純水配管70cを含む2つの処理液配管群70から処理液を供給するためには、1つのニードルバルブ136を設ければよい。従って、基板処理装置に含まれるニードルバルブの数を低減させることができる。また、圧力変動が生じたときに流量を調整するためのレギュレータも不要である。従って、ニードルバルブ、レギュレータ等を含め、装置のコストを低減することができる。第2の供給ノズル45bに3つ以上の配管を含む処理液配管群70から処理液を供給する場合には、更に基板処理装置に含まれるニードルバルブ等の数を低減させることができ、更に装置のコストを低減することができる。
【0123】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0124】
また、本発明の実施の形態では、第1の供給ノズルが基板に処理液を供給する第1の流量よりも少ない第2の流量で第2の供給ノズルが基板に処理液を供給する例について説明した。しかしながら、第2の供給ノズルは、第1の供給ノズルと同じ流量で基板に処理液を供給するものであってもよい。
【0125】
また、本発明の実施の形態では、複数の供給系が供給する処理液の種類は互いに異なる例について説明した。しかしながら、各供給系が供給する処理液の全ての種類が互いに異ならなくてもよく、そのいずれか2つが同一である場合も含む。
【符号の説明】
【0126】
42 ウェハ保持部
45a 第1の供給ノズル
45b 第2の供給ノズル
47 排気・排液部(カップ)
68a〜68g 供給流路
70a SC1配管
70b DHF配管
70c 純水配管
100 基板処理装置
131 第1のLFC
132 差圧式流量計
132a 絞り部
132b 圧力計測部
133 モータバルブ
134 流量制御部
135 三方弁(切替バルブ)
136 ニードルバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ内に回転可能に保持した基板を、処理液により処理する基板処理装置において、
保持した前記基板に処理液を供給するノズル部と、
前記ノズル部に処理液を供給する供給系と前記ノズル部とを接続する供給流路の途中に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部と、
前記絞り部の上流側及び下流側における前記供給流路内の流体の圧力を計測する圧力計測部と、
前記供給流路上に設けられた流量制御弁と、
前記ノズル部から第1の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部が計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差に基づいて、前記流量制御弁を制御し、前記ノズル部から前記第1の流量よりも小さい第2の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部が計測した前記上流側及び前記下流側のいずれか一方における前記圧力に基づいて、前記流量制御弁を制御する流量制御部と
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記ノズル部は、前記第1の流量で処理液を供給する第1の供給ノズルと、前記第2の流量で処理液を供給する第2の供給ノズルとであり、
前記第1の供給ノズル及び前記第2の供給ノズルに処理液を供給する前記供給系と、前記第1の供給ノズル及び前記第2の供給ノズルとを切替え可能に接続する切替バルブを有し、
前記絞り部は、前記供給系と前記切替バルブとを接続する前記供給流路の途中に設けられており、
前記流量制御部は、前記第1の供給ノズルから供給するときは、前記圧力差に基づいて、前記流量制御弁を制御し、前記第2の供給ノズルから供給するときは、前記圧力計測部が計測した前記上流側及び前記下流側のいずれか一方における前記圧力に基づいて、前記流量制御弁を制御する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記圧力差に基づいて前記供給流路の流量を演算する演算部を有し、
前記流量制御部は、前記第1の流量で供給するときは、設定された流量設定値と前記演算部が演算した流量演算値とに基づいて、前記流量制御弁を制御する請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記圧力計測部は、前記上流側における前記圧力を計測する第1の圧力計と、前記下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計とを含み、
前記圧力差は、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差であり、
前記流量制御部は、前記第2の流量で供給するときは、設定された圧力設定値と前記第1の圧力計測値及び前記第2の圧力計測値のいずれか一方とに基づいて、前記流量制御弁を制御する請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記流量設定値を設定する制御部を有し、
前記流量制御部は、
前記第1の流量で供給するときは、前記制御部が設定した前記流量設定値と前記流量演算値とを比較し、前記流量演算値が前記流量設定値と等しくなるように、前記流量制御弁を制御し、
前記第2の流量で供給するときは、前記制御部が設定した前記圧力設定値と前記第2の圧力計測値とを比較し、前記第2の圧力計測値が前記圧力設定値と等しくなるように、前記流量制御弁を制御する請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記供給系は、互いに切替え可能に設けられた複数の供給系である請求項1から請求項5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数の供給系は、互いに異なる前記複数の種類の処理液を供給する請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記複数の種類の処理液は、アンモニア過水及び純水を含む請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第2の供給ノズルは、前記第2の供給ノズルから供給する処理液の流量を絞る第2の絞り部を介して前記切替バルブに接続される請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第2の供給ノズルは、二流体ノズルである請求項2又は請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記流量制御弁は、モータバルブである請求項1から請求項10のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項12】
カップ内に回転可能に保持した基板に処理液を供給するノズル部と、前記ノズル部に処理液を供給する供給系と前記ノズル部とを接続する供給流路の途中に設けられ、前記供給流路を絞る絞り部とを有する基板処理装置における基板処理方法であって、
前記絞り部の上流側及び下流側における前記供給流路内の流体の圧力を圧力計測部により計測する計測工程と、
前記ノズル部から第1の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部により計測した前記上流側及び前記下流側における前記圧力の圧力差に基づいて、前記供給流路上に設けられた流量制御弁を流量制御部により制御し、前記ノズル部から前記第1の流量よりも小さい第2の流量で処理液を供給するときは、前記圧力計測部により計測した前記上流側及び前記下流側のいずれか一方における前記圧力に基づいて、前記流量制御弁を前記流量制御部により制御する制御工程と
を有する基板処理方法。
【請求項13】
前記ノズル部は、前記第1の流量で処理液を供給する第1の供給ノズルと、前記第2の流量で処理液を供給する第2の供給ノズルとであり、
前記基板処理装置は、前記第1の供給ノズル及び前記第2の供給ノズルに処理液を供給する前記供給系と、前記第1の供給ノズル及び前記第2の供給ノズルとを切替え可能に接続する切替バルブを有し、
前記絞り部は、前記供給系と前記切替バルブとを接続する前記供給流路の途中に設けられており、
前記制御工程において、前記第1の供給ノズルから供給するときは、前記圧力差に基づいて、前記流量制御弁を前記流量制御部により制御し、前記第2の供給ノズルから供給するときは、前記圧力計測部が計測した前記上流側及び前記下流側のいずれか一方における前記圧力に基づいて、前記流量制御弁を前記流量制御部により制御する請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記制御工程において、前記第1の流量で供給するときは、設定された流量設定値と、前記圧力差に基づいて演算部により演算された前記供給流路の流量演算値とに基づいて、前記流量制御弁を制御する請求項12又は請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記圧力計測部は、前記上流側における前記圧力を計測する第1の圧力計と、前記下流側における前記圧力を計測する第2の圧力計とを含み、
前記圧力差は、前記第1の圧力計が計測した第1の圧力計測値と前記第2の圧力計が計測した第2の圧力計測値との差であり、
前記制御工程において、前記第2の流量で供給するときは、設定された圧力設定値と前記第1の圧力計測値及び前記第2の圧力計測値のいずれか一方とに基づいて、前記流量制御弁を制御する請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記制御工程において、
前記第1の流量で供給するときは、制御部により設定された前記流量設定値と前記流量演算値とを比較し、前記流量演算値が前記流量設定値と等しくなるように、前記流量制御弁を制御し、
前記第2の流量で供給するときは、前記制御部により設定された前記圧力設定値と前記第2の圧力計測値とを比較し、前記第2の圧力計測値が前記圧力設定値と等しくなるように、前記流量制御弁を制御する請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記供給系は、互いに切替え可能に設けられた複数の供給系である請求項12から請求項16のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記複数の供給系は、互いに異なる前記複数の種類の処理液を供給する請求項17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記複数の種類の処理液は、アンモニア過水及び純水を含む請求項18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記第2の供給ノズルは、前記第2の供給ノズルから供給する処理液の流量を絞る第2の絞り部を介して前記切替バルブに接続される請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記第2の供給ノズルは、二流体ノズルである請求項13又は請求項20に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記流量制御弁は、モータバルブである請求項12から請求項21のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項23】
コンピュータに請求項12から請求項22のいずれかに記載の基板処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−124343(P2011−124343A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279797(P2009−279797)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】