基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
【課題】高圧流体を使用した被処理基板の処理を行う際に、この処理が行われる処理容器に設けられた配管を介した他の機器への高圧流体の流れ込みを防止することが可能な基板処理装置等を提供する。
【解決手段】処理容器31では、超臨界状態または亜臨界状態である高圧流体により、被処理基板Wに対して処理を行い、この処理容器31には流体の流れ方向に第1の配管部材71及び第2の配管部材72に分割され、流体が通流する配管406、408、411が接続されている。接離機構70は、第1の配管部材71と第2の配管部材72とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1、第2の配管部材71、72の少なくとも一方側を移動させ、開閉弁741、742は第1、第2の配管部材71、72に各々設けられ、これら配管部材71、72を離間させるときに閉じられる。
【解決手段】処理容器31では、超臨界状態または亜臨界状態である高圧流体により、被処理基板Wに対して処理を行い、この処理容器31には流体の流れ方向に第1の配管部材71及び第2の配管部材72に分割され、流体が通流する配管406、408、411が接続されている。接離機構70は、第1の配管部材71と第2の配管部材72とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1、第2の配管部材71、72の少なくとも一方側を移動させ、開閉弁741、742は第1、第2の配管部材71、72に各々設けられ、これら配管部材71、72を離間させるときに閉じられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界流相や亜臨界流体である高圧流体を利用して被処理基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理基板である例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)表面に集積回路の積層構造を形成する半導体装置の製造工程などにおいては、薬液などの洗浄液によりウエハ表面の微小なごみや自然酸化膜を除去するなど、液体を利用してウエハ表面を処理する工程が設けられている。
【0003】
例えばウエハの洗浄を行う枚葉式のスピン洗浄装置は、ノズルを用いてウエハの表面にアルカリ性や酸性の薬液を供給しながらウエハを回転させることによってウエハ表面のごみや自然酸化物などを除去する。この場合にはウエハ表面は、純水などを利用したリンス洗浄により残った薬液が除去された後、ウエハを回転させて残った液体を振り飛ばす振切乾燥などによって乾燥される。
【0004】
ところが半導体装置の高集積化に伴い、こうした液体などを除去する処理において、いわゆるパターン倒れの問題が大きくなってきている。パターン倒れは、例えばウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の例えば凸部の左右に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
【0005】
こうしたパターン倒れの発生を抑えつつウエハ表面に残った液体を除去する手法として超臨界状態や亜臨界状態の流体(以下、これらをまとめて高圧流体という)を用いた乾燥方法が知られている。高圧流体は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、高圧流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで、液体の付着した状態のウエハを高圧流体と置換し、しかる後、高圧流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
【0006】
ここで特許文献1には、洗浄部にて洗浄された基板を乾燥処理室内に搬送し、次いで当該乾燥処理室内の圧力が乾燥処理用流体(本例では二酸化炭素)の臨界圧以上となるように予め昇圧してから、当該乾燥処理室内に超臨界状態の乾燥流体を供給することにより基板の乾燥を行う技術が記載されている。この技術では、処理を終えた乾燥流体は乾燥処理室から排出され、乾燥処理室内を大気圧に減圧することにより乾燥処理が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−72118号公報:段落0025〜0029、段落0038〜0039、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように乾燥用流体を利用した基板の乾燥処理が行われるチャンバーは、当該チャンバーに乾燥用流体を供給するための配管(特許文献1では、供給ノズル、排出口と記載されている)が接続されており、この配管を介して乾燥用流体の供給部や排出部に繋がれている。
【0009】
ところが高圧流体を利用したウエハなどの被処理基板の乾燥処理においては、臨界圧力以上、またはこの圧力付近まで昇圧された流体が用いられ、また流体の種類によっては臨界温度も高温となる。このため、こうした高圧流体が処理容器に接続された配管を介して、その上流側や下流側に流出するとこれらの領域の圧力や温度が急激に上昇して機器を損傷してしまうおそれがある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高圧流体を使用した被処理基板の処理を行う際に、この処理が行われる処理容器に設けられた配管を介した他の機器への高圧流体の流れ込みを防止することが可能な基板処理装置、基板処理方法及びこの方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る基板処理装置は、原料を超臨界状態または亜臨界状態である高圧流体状態とし、または高圧流体状態を維持しながら高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器に接続されると共に、流体の流れ方向に第1の配管部材及び第2の配管部材に分割され、流体が通流する配管と、
前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、
前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
前記基板処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)液体状態で収容した原料を高圧流体状態にして前記処理容器に供給するための準備容器と、液体状態の原料を高圧流体状態とするために前記準備容器を加熱する加熱機構及び、前記原料を液体状態で収容するために前記準備容器を冷却するための冷却機構と、を備え、前記準備容器に設けられた流体を通流させるための配管は、流体の流れ方向に第1の配管部材と第2の配管部材とに分割され、前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていること。
(b)前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する前記接離機構を備えた配管と、基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する接離機構を備えた配管とが共通化され、前記準備容器は被処理基板の処理を終えた後の流体を回収し、液体状態の原料として収容する回収容器を兼ねること。
(c)前記配管には、第1の配管部材と第2の配管部材とを離間させたときに流れ出た流体を集めて排出する排出路を備えた流体受け部が設けられていること。
(d)前記流体受け部は、周囲の雰囲気から前記開口部を区画する筐体として構成されていること。
(e)前記第1の配管部材及び第2の配管部材の双方の開閉弁を閉じてからこれらの配管部材を離間させる離間動作と、これらの配管部材を接続してから双方の開閉弁を開く接続動作とを実行するように制御信号を出力する制御部を備えていること。
(f)前記高圧流体により基板に対して行われる処理は、被処理基板を乾燥する処理であること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高圧流体による被処理基板の処理を行う処理容器に接続された配管が流体の流れ方向に、第1の配管部材と第2の配管部材とに分割され、接離機構を利用してこれらの配管部材を互いに接続する位置と、離間させる位置との間で移動させる。そして第1、第2の配管部材同士を離間させるとき、これらの配管部材に設けられた開閉弁を閉じるので、処理容器内の高圧流体が配管を介して他の機器へ流れ込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態の洗浄処理システムの平面図である。
【図2】前記洗浄処理システム内の洗浄装置の一例を示す縦断側面図である。
【図3】本実施の形態の超臨界処理装置を示す斜視図である。
【図4】前記超臨界処理装置の分解斜視図である。
【図5】前記超臨界処理装置の配管に設けられている配管接離部の斜視図でる。
【図6】前記配管接離部に設けられた接離機構の構成及び動作を説明するための第1の横断平面図である。
【図7】前記接離機構の構成及び動作を説明するための第2の横断平面図である。
【図8】前記超臨界処理装置への処理流体の供給、排出系統を示す説明図である。
【図9】前記超臨界処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図10】前記超臨界処理装置の作用を示す第2の説明図である。
【図11】前記超臨界処理装置の作用を示す第3の説明図である。
【図12】前記超臨界処理装置の作用を示す第4の説明図である。
【図13】前記超臨界処理装置の作用を示す第5の説明図である。
【図14】前記超臨界処理装置の作用を示す第6の説明図である。
【図15】前記超臨界処理装置の作用を示す第7の説明図である。
【図16】前記超臨界処理装置の作用を示す第8の説明図である。
【図17】前記準備回収部に設けられているスパイラル管の内部の様子を示す第1の説明図である。
【図18】前記スパイラル管の内部の様子を示す第2の説明図である。
【図19】他の実施の形態に係る超臨界処理装置の斜視図である。
【図20】前記他の実施の形態に係る超臨界処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図21】前記他の実施の形態に係る超臨界処理装置の作用を示す第2の説明図である。
【図22】前記他の実施の形態に係る超臨界処理装置の作用を示す第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の基板処理装置を備えた基板処理システムの一例として、被処理基板であるウエハWに洗浄液を供給して洗浄処理を行う洗浄装置2と、高圧状態の流体(高圧流体)であるIPAの超臨界流体(超臨界状態の流体)を利用して前記洗浄処理後のウエハWを乾燥する超臨界処理装置3とを備えた洗浄処理システム1について説明する。
【0016】
図1は洗浄処理システム1の全体構成を示す横断平面図であり、当該図に向かって左側を前方とすると、洗浄処理システム1では、載置部11に載置されたFOUP100に格納された例えば直径300mmの複数枚のウエハWが、搬入出部12及び受け渡し部13を介して後段の洗浄処理部との間で受け渡され、ウエハWを洗浄装置2、超臨界処理装置3内に順番に搬入されて洗浄処理や高圧流体による処理が行われる。図中、121はFOUP100と受け渡し部13との間でウエハWを搬送する第1の搬送機構、131は搬入出部12とウエハ処理部14との間を搬送されるウエハWが一時的に載置されるバッファとしての役割を果たす受け渡し棚である。
【0017】
ウエハ処理部14には、受け渡し部13との間の開口部から前後方向に向かって伸びるウエハ搬送路142を挟んで、洗浄装置2及び本実施の形態の基板処理装置である超臨界処理装置3が互いに対向するように列設されている。ウエハWは、ウエハ搬送路142に配置された第2の搬送機構141によってこれら各洗浄装置2、超臨界処理装置3及び受け渡し部13の間を搬送される。ここでウエハ処理部14内に配置される洗浄装置2や超臨界処理装置3の個数は、単位時間当たりのウエハWの処理枚数や、洗浄装置2、超臨界処理装置3での処理時間の違いなどにより適宜選択され、これら洗浄装置2や超臨界処理装置3の配置数などに応じて最適なレイアウトが選択される。
【0018】
洗浄装置2は例えばスピン洗浄によりウエハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄装置2として構成され、図2の縦断側面図に示すように、処理空間を形成するアウターチャンバー21内に配置されたウエハ保持機構23にてウエハWをほぼ水平に保持し、このウエハ保持機構23を鉛直軸周りに回転させることによりウエハWを回転させる。そして回転するウエハWの上方にノズルアーム24を進入させ、その先端部に設けられた薬液ノズル241から薬液及びリンス液を予め定められた順に供給することによりウエハの面の洗浄処理が行われる。また、ウエハ保持機構23の内部にも薬液供給路231が形成されており、ここから供給された薬液及びリンス液によってウエハWの裏面洗浄が行われる。
【0019】
洗浄処理は、例えばアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去→リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:DIW)によるリンス洗浄→酸性薬液である希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))による自然酸化膜の除去→DIWによるリンス洗浄が行われる。これらの薬液はアウターチャンバー21内に配置されたインナーカップ22やアウターチャンバー21に受け止められて排液口221、211より排出される。またアウターチャンバー21内の雰囲気は排気口212より排気されている。
【0020】
薬液による洗浄処理を終えたら、ウエハ保持機構23の回転を停止してから当該表面に乾燥防止用のIPA(IsoPropyl Alcohol)を供給し、ウエハWの表面及び裏面に残存しているDIWと置換する。こうして洗浄処理を終えたそしてウエハWは、その表面にIPAが液盛りされた状態のまま例えばウエハ保持機構23に設けられた不図示の受け渡し機構により第2の搬送機構141に受け渡され、洗浄装置2より搬出される。
【0021】
洗浄装置2での洗浄処理を終えたウエハWは表面にIPAの液盛りがされて濡れた状態のまま超臨界処理装置3に搬送され、高圧流体を利用して表面の液体を除去し、ウエハWを乾燥する処理が行われる。以下、本実施の形態に係る超臨界処理装置3の構成について図3〜図8を参照しながら説明する。図3、図4においては、図に向かって左側を前方として説明を行う。
【0022】
図1に示すように、ウエハ搬送路142に沿って列設された超臨界処理装置3は、互いに区画された筐体内に配置されており、各筐体内にはウエハWの搬送を行う搬送アーム6と、超臨界処理装置3とが手前からこの順に設けられている。
【0023】
例えば搬送アーム6は、図4に示すように水平方向に伸びるアーム部材64の先端に、ウエハWを保持するための保持リング61が設けられており、昇降機構65によって昇降自在、移動機構66によって前後方向に移動自在に構成されている。保持リング61には、例えばウエハWの上面周縁部の3箇所を吸着保持する2組のピック62、63が設けられており、搬入時に処理を行う前のウエハWを保持する搬入用ピック62と、搬出時に処理後のウエハWを保持する搬出用ピック63と、を使い分けている。
【0024】
次に図3に示すように、本例における超臨界処理装置3は、ウエハWの処理を行う超臨界処理部30と、この超臨界処理部30への高圧流体の供給、回収を行う準備回収部4とを備えている。まず超臨界処理部30ついて説明すると、超臨界処理部30は、既述の搬送アーム6からウエハホルダー34にウエハWを受け渡し、高圧流体を用いてウエハWを乾燥する処理が行われる処理チャンバー31に搬入する構成となっている。
【0025】
処理チャンバー31は、本実施の形態に係る超臨界処理装置3の処理容器に相当し、図4の分解斜視図に示すように、横方向に扁平な直方体形状の耐圧容器として構成されている。処理チャンバー31の内部にはウエハWを保持するためのウエハホルダー34を格納することが可能な扁平な処理空間310が形成されている(図8)。処理空間310は、例えば300mmのウエハWを処理する場合、ウエハWと処理チャンバー31の内壁面との間に高圧流体を十分に通流させることが可能であり、且つ、ウエハWに液盛りされたIPAが自然乾燥しないうちに短時間で処理空間310内の雰囲気を高圧流体で満たすことが可能なように、例えば高さ数mm〜十数mm、容積300cm3〜1500cm3程度の比較的狭小な空間として構成されている。
【0026】
また図8に示すように処理チャンバー31には本実施の形態の配管をなすパージガス供給ライン406及び排気ライン408が接続されており、ウエハWの処理を終えた後の処理空間310内にN2ガスなどの不活性ガスを供給して処理空間310内に残存しているIPAを排気ラインの下流側に設けられている除害設備などに向けてパージすることができる。
【0027】
図4に示すように処理チャンバー31の前面には、ウエハWを搬入出するための、左右方向に細長い開口部311が形成されており、処理チャンバー31はこの開口部311を搬送アーム6の方向に向けて筐体内に配置されている。この開口部311が設けられている面には、平板状の2枚の突片部312が横方向に突出するように設けられており、開口部311はこれら2枚の突片部312により上下を挟まれた位置に配置されている。これら突片部312に設けられた313は、後述のロックプレート38を上下方向へ向けて嵌入させるための嵌入孔である。
【0028】
処理チャンバー31の上下両面に設けられた39はテープヒーターなどの抵抗発熱体からなるヒーターである(図4では、図示の便宜上、上面側のみを示してある)。図8に模式的に示すように、ヒーター39は電源部391と接続されており、電源部391の出力を増減して、処理チャンバー31本体及び処理空間310の温度を常時、例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に維持することができる。
【0029】
処理チャンバー31の上下面に設けられた32、33は不図示の断熱材を介してヒーター39を覆い、周囲に設けられた各種機器を熱から守り、また処理前のウエハWに液盛りされたIPAの蒸発を防ぐ断熱プレートである。これらの断熱プレート32、33にはこれら断熱プレート32、33を冷却するために、冷却水などの冷媒を通流させる冷却管36が配設されている。
【0030】
また例えば図3、図4に示すように、断熱プレート32、33は、前方から見て処理チャンバー31よりも左右方向に幅広に形成されている。下面側の断熱プレート33の左右に突出した領域には後述のアーム部材342を保持し、走行させる機構が形成されている。即ち、371はアーム部材342を走行させるためのレール、372は、前記アーム部材342に接続されてレール371上を走行するスライダー、373はこのレール371を駆動する例えばロッドレスシリンダーなどからなる駆動機構、374は駆動機構373とスライダー372とを連結する連結部材である。
【0031】
ウエハホルダー34は、ウエハWを保持した状態で処理チャンバー31の処理空間310内に配置可能に構成された薄い板状の部材である。ウエハホルダー34の前面に設けられた341は、処理チャンバー31の開口部311に上下に設けられている突片部312隙間内に嵌り込み、開口部311の周りに設けられた不図示のOリングを押しつぶして処理空間310内を気密に維持するように開口部31を塞ぐ蓋部材、342は既述のスライダー372と接続されレール371上を前後に走行し、搬送アーム6との間でウエハWの受け渡し位置と、処理チャンバー31(処理空間310)内の処理位置との間でウエハホルダー34を移動させるアーム部材である。
【0032】
また上面側の断熱プレート32の左右両端の前方領域には、ロック部材35及びこのロック部材35を回転させるロックシリンダー351が設けられており、処理チャンバー31の開口部311を閉じた蓋部材341の左右に設けられた突起部343をロック部材35と係合させることによりウエハホルダー34を処理チャンバー31の側壁面に押し付けるように固定し、また開放することができる。
【0033】
図4に示すように処理チャンバー31の手前側には、開口部311を塞いでいる蓋部材341の開放を阻止するためのストッパ機構が設けられている。即ち、38はウエハホルダー34を処理位置まで移動させたとき、突片部312の間の隙間に嵌り込んだ蓋部材341を処理チャンバー31の本体側へ向けて押さえるロックプレート、381はロックプレート38を上下に移動させるための昇降機構、382はロックプレート38の例えば下端部に接続されたスライダーをレール上で走行させてロックプレート38の移動方向を案内するスライド機構である。ここで図示の便宜上、図3においてはロックプレート38や昇降機構381等の記載を省略してある。
【0034】
また図3、図4に示すように、ウエハWの受け渡し位置の下方側には、ウエハホルダー34を冷却するための冷却機構5が設けられている。冷却機構5中、51は、吐出孔511から冷却用の清浄空気を吐出し、ウエハホルダー34に保持されたウエハWを冷却するクーリングプレート、52はウエハWから流れ落ちたIPAを受け止めてドレイン管53へ排出するドレイン受け皿、54はウエハホルダー34が受け渡し位置まで移動したときに、これらドレイン受け皿52及びクーリングプレート51を冷却位置まで上昇させ、ウエハホルダー34が処理位置まで移動した後には、冷却位置の下方位置まで降下させる昇降機構である。
【0035】
また図3に示す55は、ウエハホルダー34に受け渡されたウエハWにIPAを供給するためのIPAノズルであり、処理チャンバー31内に搬送される前のウエハWに再度IPAを供給して、当該ウエハWが自然乾燥しない程度の十分量のIPAを液盛りしてから当該ウエハWを処理チャンバー31内に搬入するようになっている。
【0036】
上述の処理チャンバー31には、内部の処理空間310に供給されるIPAの高圧流体を準備する機能と、処理を終えたあとのIPAを回収する機能とを兼ね備えた準備回収部4が接続されている。図3に示すように準備回収部4は、処理チャンバー31へと供給される超臨界状態のIPAを準備し、また処理を終えたIPAを回収する配管が螺旋状に巻かれて形成されたスパイラル管41と、このスパイラル管41を加熱して内部のIPAを超臨界状態にするための加熱機構をなすハロゲンランプ42と、前記スパイラル管41を冷却することにより処理チャンバー31に供給したIPAを当該スパイラル管41内に凝縮させて回収するための冷却機構をなす冷却ジャケット43と、スパイラル管41の冷却を行う位置と、冷却を行う位置から退避した位置との間でこれら冷却ジャケット43を移動させる移動機構と、を備えている。
【0037】
スパイラル管41はステンレス製の配管部材を長手方向に螺旋状に巻いて円筒を形成しており、長手方向に隣り合う配管同士が互いに接触するように螺旋を巻くことによりハロゲンランプ42の輻射熱の外側への漏れを抑えている。スパイラル管41の表面には、ハロゲンランプ42からの輻射熱を吸収しやすくするために例えば黒色の輻射熱吸収塗料が塗装されている。
【0038】
図3に示すように準備回収部4は、超臨界処理部30の近傍位置に配置されており、スパイラル管41は、本実施の形態の配管をなす供給回収ライン411を介して処理チャンバー31に接続されている。この供給回収ライン411は、処理チャンバー31に高圧流体を供給する配管と、処理チャンバー31から当該流体を回収する配管とが共通化されたものである。図8に示すように供給回収ライン411には、当該供給回収ライン411へN2ガスなどのパージガスを供給するパージガス供給ライン404、スパイラル管41や供給回収ライン411に供給されたIPAやパージガスを除害設備等へ向けて排出する排出ライン401が接続されている。これらの各ライン401、404に設けられた402、405は、耐圧性を備えた開閉弁、排出ライン401側に設けられた403は後述するIPAの受け入れライン413から供給されたIPAの量を監視するためのレベルスイッチである。
【0039】
また図8に示すようにスパイラル管41の下端部からは本実施の形態の配管であるIPAの受け入れライン413が伸びだしており、不図示のIPA供給部から高圧流体の原料である液体状態のIPAを受け入れることができる。図中、418はIPA中のパーティクルを除去するためのフィルターである。
【0040】
図3、図8に示すようにハロゲンランプ42は、スパイラル管41が形成する円筒の内側に配置された直棒状の加熱ランプであり、スパイラル管41の内壁面から離間させて、前記円筒の中心軸に沿って配置されている。ハロゲンランプ42の下端部は、支持台46の天板面を貫通して電源部421に接続されており、当該電源部421から供給される電力によりハロゲンランプ42を発熱させ、主にその輻射熱を利用してスパイラル管41が加熱される。この観点においてハロゲンランプ42は、スパイラル管41用の加熱機構に相当している。
【0041】
図3に示すように冷却ジャケット43は、スパイラル管41によって形成される円筒を外周面側から覆うことが可能な、円筒を上下方向に縦断して得られる半円筒形状の部材である。各冷却ジャケット43の内部は空洞となっているおり、図8に模式的に示すように各空洞には冷却ジャケット43の外周面に接続された冷却水導入ライン431から冷却水排出ライン432へ向けて流れる冷媒、例えば20℃に調節された冷却水を通流させるための冷媒流路435が形成されている。これら冷却ジャケット43の内周面は熱を吸収する吸熱面を構成しており、当該吸熱面をスパイラル管41にて構成される円筒の外周面に当接させることにより、スパイラル管41の冷却が行われる。
【0042】
各冷却ジャケット43の外周面にはシャフト44が連結されており、各シャフト44の基端部には当該シャフト44を軸方向に沿って移動させるための駆動部45が設けられている。そして各シャフト44を伸張、縮退させることにより吸熱面がスパイラル管41と接触する冷却位置と、吸熱面をスパイラル管41から離間した退避位置との間で冷却ジャケット43を移動させて、スパイラル管41の冷却及び冷却の停止を実行することができる。
【0043】
本実施の形態のスパイラル管41は、原料のIPAを液体状態で収容し、当該スパイラル管41を加熱することにより前記液体状態のIPAをスパイラル管41内で超臨界状態とする本実施の形態の準備容器としての機能と、冷却ジャケット43によりIPAの凝縮温度以下に冷却され、処理チャンバー31に供給されたIPAを回収する回収容器としての機能とを兼ね備えている。
【0044】
上述の構成を備えた超臨界処理部31の処理チャンバー31に接続されたパージガス供給ライン406、排気ライン408及び高圧流体の供給回収ライン411は、これら各ライン406、408、411を構成する配管を流れ方向に分離することができるようになっており、ウエハWの処理を実行する際にN2ガスの供給系統や排気系統、準備回収部4内に、処理チャンバー31から高圧流体が流れ込むことを防止できる。また準備回収部4に高圧流体の原料であるIPAを供給する受け入れライン413を構成する配管も流れ方向へ分離することが可能であり、供給回収ライン411の作用と相俟って、高圧流体の準備の際に処理チャンバー31やIPAの供給系統に高圧流体が流れ込むことを防いでいる。
【0045】
本実施の形態の超臨界処理装置3では、上述の各ライン406、408、411、413において、流れ方向に分離可能に構成された配管部分(以下、配管接離部7と呼ぶ)は互いに共通の構成となっている。以下、図5〜図7を参照しながら配管接離部7の構成とその動作について説明する。
【0046】
図5の斜視図及び図6、7の横断平面図に示すように、各ライン406、408、411、413を構成する配管は、第1の配管部材71と第2の配管部材72とに流れ方向に分割されている。分割された各配管部材71、72の先端部にはこれら配管部材71、72と直交するように横方向に伸びる第1の保持部材701、第2の保持部材702が設けられていて、第1の配管部材71は第1の保持部材701に保持され、第2の配管部材72は第2の保持部材702に保持されている。
【0047】
各々横方向に伸びる第1、第2の保持部材701、702は、互いに平行に配置され、その一端が回転軸C4を介して互いに連結されている。そして2つの保持部材701、702は、この回転軸C4を支点として、ピンセットのように相対向する側壁面を離間させたり、接近させたりすることができる。
【0048】
第1、第2の保持部材701、702の相対向する側壁面からは、各々第1、第2の配管部材71、72の端部をなすフランジ部711、721が突出しており、両保持部材701、702を所定の位置まで接近させると、フランジ部711、721同士が突合して第1の配管部材71と第2の配管部材72とが接続される。図6、図7に示した712は、フランジ部711、712同士を密着させるOリングである。
【0049】
一方、各保持部材701、702には、回転軸C4を介して連結された端部とは反対側の端部にて、互いに長さの異なるクランク部材703、704が各々回転軸C2、C3を介して連結されている。第1、第2の配管部材71、72を接続した状態において、各クランク部材703、704は、両保持部材701、702と直交する方向(両保持部材701、702を貫通する配管部材71、72が伸びる方向)に沿って横方向に伸び出し、共通の伸縮ロッド部707に設けられたロッド708の先端部に、回転軸C1を介して接続されている。
【0050】
第1、第2の配管部材71、72を接続した状態において、伸縮ロッド部707は各保持部材701、702と平行になるように、回転軸C1から横方向に伸びだしており、その基端部は鉛直方向に伸びる回転軸732に連結されている。回転軸732は回転モーター731により自由に回転角度を調節し、また所望の位置で回転を停止させることができる。
【0051】
以上に説明した構成を備えた接離機構70において、図7に示すように回転軸732を上面側から見て右方向に回転させると。伸縮ロッド部707に設けられたロッド708の先端部が保持部材701、702側へと近づくが、ロッド708の先端部にはクランク部材703、704が接続されているので、伸縮ロッド部707を回転させる力は当該伸縮ロッド部707からロッド708を引き出す力、及び回転軸C1を中心にクランク部材703、704を回転させる力に変換される。
【0052】
このとき各保持部材701、702に接続されたクランク部材703、704の長さが異なっていることにより、ロッド708を所定の位置まで移動させたときの回転量は、長いクランク部材703で小さく、短いクランク部材704で大きくなる。この結果、クランク部材703、704の先端が異なる位置に移動し、これらクランク部材703、704に接続された第1、第2の保持部材701、702が互いに離間する方向に移動して、第1、第2の配管部材が離間した状態となる。
【0053】
本例の接離機構70では第1の保持部材701の配置位置が固定されており、回転軸732を回転させると回転軸C4を回転中心として第2の保持部材702が移動する。図5〜図7に示すように第2の保持部材702を貫通する第2の配管部材72は、伸縮ロッド部707との干渉を避けるため、L字に屈曲されてクランク部材703、704の配置位置とは反対の方向に向けて各保持部材701、702と平行になるように横方向に伸び出している。このように第2の配管部材72の各保持部材701、702と平行に伸び出している領域には、例えば蛇腹状の可撓配管部722が設けられている。そして図7に示すように第1、第2の配管部材71、72を離間させると、この可撓配管部722が撓み、第2の保持部材702の変位が吸収される。このため、例えば図6、図7中に「L」の符号で示したように可撓配管部722よりも外側の領域では、両配管部材71、72の接離動作の前後で第2の配管部材72の配置位置は変化しない。
【0054】
また図6に示すように第1、第2の配管部材71、72を接続した状態においては、回転軸732が上面から見て左回りに回転しないように固定しておくことにより、相対向する保持部材701、702がクランク部材703、704によって支持される。この結果、第1、第2の配管部材71、72にて構成される配管内に高圧流体を流しても、この高圧流体による内圧を受けて、保持部材701、702を離間させるように働く力は、クランク部材703、704に受け止められるので、可撓配管部722を撓ませる方向には作用しない。このため第1、第2の配管部材71、72が流れ方向に分割されていても、配管接離部7では内部の流体が漏れ出すことなく高圧流体等を流すことができる。
【0055】
ここで本例の接離機構70では、特に流れ方向の指定はなく、接離機構70は第1の配管部材71、第2の配管部材72のいずれが上流側となるように配置してもよい。但し、説明の便宜上、本例では処理チャンバー31またはスパイラル管41へ向けてIPAやN2ガスを供給するとき(処理チャンバー31からスパイラル管41へIPAを回収する場合を除く)、流れ方向の上流側に第1の配管部材71を配し、下流側に第2の配管部材72を配した構成とする。
【0056】
図5に示すように第1、第2の配管部材71、72には、耐圧性を備えた開閉弁741、742が設けられており、両配管部材71、72を離間させたときにこれら開閉弁741、742を閉じることにより配管内の流体の流出を抑えている。また図1、図5に示すように、上述の接離機構70は筐体状の流体受け部75によってその全体を覆われた状態となっており、第1、第2の配管部材71、72を離間させたとき、開閉弁741、742間に存在する流体が流出した場合にも、これらの流体を集めて外部に排出することができる。
【0057】
流体受け部75に接続された751は、流体受け部75内の雰囲気を排気するために清浄空気などのパージガスが供給されるパージガス供給ライン、752は流体受け部75内の液体や気体を排出する排出ラインである。流体受け部75の底面には排出ラインの設けられている位置へ向けて低くなる傾斜面が形成されている。
【0058】
以上、図5〜図7を参照しながら配管接離部7に設けられた接離機構70の構成例について詳細に説明してきたが、接離機構70は、配管を流体の流れ方向に分割してなる第1の配管部材71及び第2の配管部材72を互いに離間させ、接続する機能を備えたものであればよく、上述の例に限定されるものではないことを強調しておく。例えばソケットを介して第1の配管部材71と第2の配管部材72とを接続し、このソケットからっ配管部材71、72の一方側を取り外すことにより、両配管部材71、72を離間させる構成としてもよく、他の構成により配管部材71、72を接続、離間させてもよい。
また配管を流れる部材がIPAとは異なり、揮発性が低い液体などである場合には、筐体状の流体受け部75に替えて排出ラインのみを備えた受け皿状の流体受け部75にて構成し、その上方位置に接離機構70を配置してもよい。
【0059】
以上に説明した構成を備えた超臨界処理装置3を含む洗浄処理システム1は、図1、図8に示すように制御部8と接続されている。制御部8は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部にはこれら洗浄処理システム1や洗浄装置2、超臨界処理装置3の作用、即ちFOUP100からウエハWを取り出して洗浄装置2にて洗浄処理を行い、次いで超臨界処理装置3にてウエハWを乾燥する処理を行ってからFOUP100内にウエハWを搬入するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0060】
特に超臨界処理装置3の作用について制御部8は、図8に示すように各ライン406、408、411、413に設けられた配管接離部407、409、412、417の接離機構70及び開閉弁741、742と接続されている。そして第1、第2の配管部材71、72を離間させる離間動作の際には、両開閉弁741、742を閉じてからこれら配管部材71、72を離間させ、両配管部材71、72を接続する接続動作の際にはこれらの配管部材71、72を接続してから両開閉弁741、742を開くように制御信号が出力される。
【0061】
また制御部8は排出ライン401に設けられたレベルスイッチ403やハロゲンランプ42の電源部421、ヒーター39の電源部391と接続されており、IPAの供給タイミングや供給量、電力の給断タイミング並びに供給量などを制御する役割を果たしている。また制御部8はスパイラル管41に設けられた不図示の温度検出部からスパイラル管41内の温度の検出結果を取得し、これらの結果に基づいてスパイラル管41の加熱や冷却を実行することができる。
【0062】
以上に説明した構成を備えた超臨界処理装置3の作用について図9〜図16を参照しながら説明する。これらの図において各開閉バルブに付された「S」の符号は、その開閉バルブが閉状態となっていることを示し、「O」の符号は開状態となっていることを示している。
既述のように洗浄装置2における洗浄処理を終え、乾燥防止用のIPAを液盛りしたウエハWが第2の搬送機構141に受け渡されると、第2の搬送機構141は、例えば予め設定された処理スケジュールに基づいて、ウエハWを受け入れ可能な超臨界処理装置3の配置されている筐体内に進入し、搬送アーム6にウエハWを受け渡す。
【0063】
このときウエハWの搬入が行われる前の超臨界処理部30は、図9に示すように、処理チャンバー31の電源部391をオンの状態にしてヒーター39によりチャンバー31本体を例えば270℃に加熱した状態となっている。一方で処理チャンバー31の上下に設けられた上プレート32、下プレート33は冷却管36によって冷却された状態となっており、処理チャンバー31の周囲の温度が上昇しすぎないようにして、ウエハホルダー34上のウエハW表面に供給されたIPAの蒸発を抑えている。
【0064】
また準備回収部4では、例えば超臨界処理装置3にて最初に処理を開始する前のタイミングにおいては、ハロゲンランプ42の電源部421はオフとなっており、また冷却ジャケット43を冷却位置まで移動させてスパイラル管41を冷却した状態としておく。なお本例では超臨界処理装置3の稼動中、冷却ジャケット43には常時冷却水が供給されているものとする。
【0065】
またこのとき処理チャンバー31に接続された全てのライン406、408、411に設けられた配管接離部407、409、412では接離機構70により第1、第2の配管71、72を離間させた状態(以下、離間状態という)となっており、処理チャンバー31はIPAやN2ガスの供給、排出系統から切り離されている。
【0066】
一方、準備回収部4ではIPAの受け入れライン413の配管接離部417の接離機構70を作動させて第1、第2の配管部材71、72を接続し(以下、接続状態という)、不図示のIPA供給部からスパイラル管41へ向けて液体状態のIPAを受け入れる。このとき排出ライン401に設けられた開閉弁402は開状態となっており、IPAにより押し出されたスパイラル管41内の雰囲気は排出ライン401を通って排気される。
【0067】
そしてスパイラル管41内が液体状態のIPAで満たされ、その液面が排出ライン401のレベルスイッチ403で検出されると、IPAの供給を停止して、図10に示すように受け入れライン413の配管接離部417を離間状態とする。次いでパージガス供給ライン404の開閉弁405を開き、同ライン404からN2ガスを供給して、スパイラル管41の上部から供給回収ライン411にかけて溜まっているIPAを排出する。この操作により図17に示すようにIPAを加熱したときにIPAが膨張する空間が確保される。
【0068】
こうしてスパイラル管41内に所定量の液体IPAが仕込まれたら、図11に示すように冷却ジャケット43を退避位置まで移動させ、電源部421をオンにしてハロゲンランプ42に電力を供給して発熱させ、スパイラル管41を例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に加熱する。このとき既述のようにスパイラル管41の前後に設けられた配管接離部412、417は離間状態となっており、また排出ライン401、パージガス供給ライン404の開閉弁402、405も閉状態となっている。この結果、スパイラル管41の内部は密閉雰囲気となり、スパイラル管41を加熱するとIPAが蒸発して気体となり、IPAの体積の膨張に伴ってスパイラル管41内の圧力が上昇する。
【0069】
さらに密閉雰囲気内での加熱を継続し、IPAを昇温、昇圧すると、IPAの温度及び圧力が臨界点に到達し、図18に示すようにスパイラル管41の内部が超臨界状態のIPAで満たされた状態となる。こうして超臨界処理を実行するためのIPAの準備が整ったら、準備回収部4はスパイラル管41内の温度及び圧力が予め設定された値に維持されるようにハロゲンランプ42の出力を調節しながら待機する。
【0070】
これらの動作と並行して超臨界処理部30側では、受け渡し位置にて待機しているウエハホルダー34に搬送アーム6がウエハWを受け渡した後、ウエハホルダー34の上方位置から退避する。そして図3に示すようにIPAノズル55からウエハWの表面にIPAを供給して、再度IPAの液盛りを行う。IPAの液盛りを終えたら、クーリングプレート41を下方位置まで下降させ、アーム部材342をレール371上でスライドさせてウエハホルダー34を処理位置まで移動させる。そしてロック部材35を回転させて突起部343を係止し、蓋部材341によって処理チャンバー31の開口部311が塞がれたら、ロックプレート38を下方位置からロック位置まで上昇させて蓋部材341を手前側から押さえる。
【0071】
上述のウエハWの搬送動作と並行して、供給回収ライン411の配管接離部412では、まず接離機構70を作動させて第1、第2の配管71、72を接続する一方、2つの開閉弁741、742は閉状態のままとし、処理チャンバー31内にウエハWが搬入されたら、高圧流体(超臨界状態のIPA)を直ちに供給する準備をする。即ち、このタイミングにおいては図12に示すように超臨界処理部30側では処理チャンバー31の処理空間310内にウエハWが搬入され、また準備回収部4側ではスパイラル管41内に高圧流体が準備されて、ウエハWの乾燥を実行する準備が整う。
【0072】
処理空間310内へのウエハWの搬入を終え、蓋部材341をロックしたら、ウエハW表面に液盛りされたIPAが乾燥してしまう前に供給回収ライン411の配管接離部412の開閉バルブ741、742を開状態としてスパイラル管41から処理空間310に向けて高圧流体を供給する。
【0073】
こうして開閉バルブ741、742を開くと、図13に示すようにスパイラル管41内の高圧流体が膨張して供給回収ライン411内を流れ、処理空間310内に流入していく。このとき、(1)スパイラル管21内に準備する高圧流体の温度及び圧力を臨界温度、臨界圧力よりも十分に高い状態としておくこと、(2)処理チャンバー31内の処理空間310の容積及び開閉バルブ412よりも処理チャンバー31側の供給回収ライン411の容積をできるだけ小さくして高圧流体の膨張率を抑えること、さらに(3)ヒーター39によって処理空間310内を予め加熱しておき、また開閉バルブ412を開放する前後で、スパイラル管41内の温度及び圧力がほぼ同じ値に維持されるように、ハロゲンランプ42の出力を増大させて等温等圧膨張に近い状態で高圧流体を膨張させること、などにより超臨界状態を保ったまま高圧流体を処理空間310内に供給することができる。
【0074】
そして処理空間310内に供給された高圧流体がウエハWに液盛りされたIPAと接触すると、液盛りされたIPAは高圧流体から熱を受け取って蒸発し超臨界状態となる。この結果、ウエハWの表面は液体のIPAから高圧流体に置換されていくことになるが、平衡状態において液体IPAと高圧流体との間には界面が形成されないので、パターン倒れを引き起こすことなくウエハW表面の流体を高圧流体に置換することができる。このときパージガス供給ライン406及び排気ライン408の配管接離部407、409は離間状態となっており、これらのライン406、408への高圧流体の流出が防止される。
【0075】
そして供給回収ライン411では、図14に示すように配管接離部412を離間状態すると共に、電源部421をオフの状態にしてハロゲンランプ42によるスパイラル管41の加熱を停止する。次に冷却ジャケット43を冷却位置まで移動させてスパイラル管41の内部の温度がIPAの凝縮温度以下となるように冷却する。スパイラル管41を密閉した状態で冷却することにより、スパイラル管41の内部は減圧雰囲気となる。
【0076】
こうして処理空間310内に高圧流体を供給してから予め設定した時間が経過し、ウエハWの表面が高圧流体にて置換された状態となったら、図15に示すように供給回収ライン411の配管接離部412を接続状態とする。この結果、高圧雰囲気の処理空間310から減圧雰囲気のスパイラル管41内へ向けて供給回収ライン411を介してIPAが流れ込み、流入したIPAが次々と凝縮し、液体状態となってスパイラル管41内に溜まってゆく。
【0077】
このようにしてスパイラル管41にIPAが液体の状態で回収されると、処理チャンバー31内の圧力は次第に低下していく。一方、処理空間310内の温度は常圧におけるIPAの沸点(82.4℃)よりも高い温度に保たれているので、処理空間310内のIPAは超臨界の状態から気体の状態に変化することになる。このとき超臨界状態と気体との間には界面が形成されないので表面に形成されたパターンに表面張力を作用させることなく、ウエハWを乾燥することができる。そして例えば予め設定した時間が経過したら、供給回収ライン411の配管接離部412を離間状態とする。
【0078】
以上のプロセスにより、ウエハWを乾燥する処理を終えたら、処理空間310に残存している気体のIPAを排出するため、図16に示すようにパージガス供給ライン406及び排気ライン408の配管接離部407、409を接続状態としてパージガス供給ライン406からN2ガスを供給して排気ライン408へ向けてパージを行う。
【0079】
そして予め定めた時間だけN2ガスの供給を行いパージが完了したら、ロックプレート38を下方位置まで降下させ、ロック部材35による突起部343の係止状態を開放する。そしてウエハホルダー34を受け渡し位置まで移動させ、超臨界処理を終えたウエハWを搬送アーム5の搬出用の搬出用ピック53で吸着保持し、当該ウエハWをウエハ搬送路142側の第2の搬送機構141に受け渡す。
しかる後、ウエハWは搬出棚43を介して第1の搬送機構121に受け渡され、搬入時とは逆の経路を通ってFOUP100内に格納され、ウエハWに対する一連の動作が完了する。
【0080】
一方、超臨界処理装置3側においては図11に示すように冷却ジャケット43を退避位置まで移動させ、ハロゲンランプ42を発熱させて、スパイラル管41に回収したIPAを超臨界の状態として処理チャンバー31に次のウエハWが搬入されてくるタイミングを待つ。
【0081】
本実施の形態に係る超臨界処理装置3によれば以下の効果がある。高圧流体によるウエハWの処理を行う処理チャンバー31に接続された配管ライン406、408、411、及び高圧流体の準備回収部4のスパイラル管41に接続された配管ライン413が流体の流れ方向に、第1の配管部材71と第2の配管部材72とに分割されている。そして、接離機構70を利用してこれらの配管部材71、72を互いに接続する位置と、離間させる位置との間で移動させる。ここで第1、第2の配管部材71、72を離間させるとき、これらの配管部材71、72に設けられた開閉弁741、742を閉じるので、処理容チャンバー31やスパイラル管41内の高圧流体が配管ライン406、408、411、413を介して他の機器へ流れ込むことを防止できる。
【0082】
配管接離部7を設ける配管は、高圧流体の流出による隣接機器への影響などを評価して適宜、設置することができる。例えば上述の実施の形態の超臨界処理装置3では、準備回収部へのパージガス供給ライン404や排出ライン401には配管接離部7が設けられていないが、これらのライン404、401の配管にも配管接離部7を設けてもよいことは勿論である。またこれとは反対に、全ての配管ライン406、408、411に配管接離部7が設けられている処理チャンバー31において、例えば排気ライン408への配管接離部7の設置を省略するなどしてもよい。
【0083】
また上述の超臨界処理装置3では、準備回収部41を共通化した構成としたが、これらを高圧流体の準備部、回収部に分離し、高圧流体の供給ライン、回収ラインを介してこれら準備部、回収部を接続し、供給ライン、回収ラインの各々に配管接離部7を設けてもよい。さらに処理チャンバー31に準備回収部4を2つ設けて、一方側の準備回収部4で高圧流体の準備をし、他方側の準備回収部4で流体の回収をする動作を交互に行うようにしてもよい。
【0084】
次に高圧流体の準備回収部4を設けず、処理チャンバー31内で原料を、高圧流体の状態とする他の実施の形態に係る超臨界処理装置3aの例について図19〜図22を参照しながら説明する。これらの図では、図1〜図8において説明した第1の実施の形態に係る超臨界処理装置3と同様の構成要素には、これらの図にて使用したものと同じ符号を付してある。
【0085】
他の実施の形態に係る超臨界処理装置3aでは、図19に示すようにウエハWは角皿形状のウエハホルダー34内に配置された状態で処理チャンバー34内に搬入される。また処理チャンバー34には液体状態の原料として液体CO2を供給する受け入れライン413、及び処理チャンバー34内の処理空間310内の雰囲気を排気するための排気ライン408が接続されており、これらの配管ライン413、408には配管接離部417、409が設けられている(図20〜図22)。
【0086】
図20に示すように処理空間310内にウエハWが搬入されると、受け入れライン413及び排気ライン408の配管接離部417、409を接続状態として、受け入れライン413から液体CO2を供給しながら処理空間310内の雰囲気を排気ライン408より排気する。そして予め設定した高さ位置まで液体CO2を供給したら、受け入れライン413及び排気ライン408の配管接離部417、409を離間状態としてヒーター39は電源部391をオンの状態とし、処理空間310内の雰囲気がCO2の臨界温度、臨界圧力以上となるまで処理チャンバー31を加熱する(図21)。この結果、処理空間310内のCO2が超臨界状態となってウエハWを乾燥する処理が実行される。
【0087】
所定の時間が経過し、ウエハWを乾燥する処理が完了したら、排気ライン408の配管接離部409を接続状態とし、処理空間310内の流体を排出する。また処理空間310内が減圧されたら受け入れライン413の配管接離部409を接続状態とし、このライン413を利用してN2ガスなどのパージガスを供給し、処理空間310内に残留しているCO2を排除して処理を終了する。
【0088】
第1、第2の実施の形態に係る超臨界処理装置3、3aに共通するバリエーションとして、高圧流体を利用したウエハWの乾燥処理は、原料を超臨界状態にして使用する場合に限られず、亜臨界状態で処理を行ってもよい。高圧流体の原料は、既述のIPAやCO2のほか、ハイドロフルオロエーテル(HFE)などを用いてもよいし、その他の流体を用いてもよい。さらに高圧流体を利用したウエハWなどの被処理基板の処理は、被処理基板に付着した液体を除去する乾燥処理に限定されず、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)やエッチングを行う場合にも本発明の配管接離部7を備えた配管を利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
W ウエハ
1 洗浄処理システム
2 洗浄装置
3、3a 超臨界処理装置
30 超臨界処理部
31 処理チャンバー
310 処理空間
39 ヒーター
4、4a、4b
準備回収部
41 スパイラル管
411 供給回収ライン
42 ハロゲンランプ
421 電源部
43 冷却ジャケット
7 配管接離部
70 接離機構
71 第1の配管部材
72 第2の配管部材
741、742
開閉弁
75 流体受け部
752 排出ライン
8 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界流相や亜臨界流体である高圧流体を利用して被処理基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理基板である例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)表面に集積回路の積層構造を形成する半導体装置の製造工程などにおいては、薬液などの洗浄液によりウエハ表面の微小なごみや自然酸化膜を除去するなど、液体を利用してウエハ表面を処理する工程が設けられている。
【0003】
例えばウエハの洗浄を行う枚葉式のスピン洗浄装置は、ノズルを用いてウエハの表面にアルカリ性や酸性の薬液を供給しながらウエハを回転させることによってウエハ表面のごみや自然酸化物などを除去する。この場合にはウエハ表面は、純水などを利用したリンス洗浄により残った薬液が除去された後、ウエハを回転させて残った液体を振り飛ばす振切乾燥などによって乾燥される。
【0004】
ところが半導体装置の高集積化に伴い、こうした液体などを除去する処理において、いわゆるパターン倒れの問題が大きくなってきている。パターン倒れは、例えばウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の例えば凸部の左右に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
【0005】
こうしたパターン倒れの発生を抑えつつウエハ表面に残った液体を除去する手法として超臨界状態や亜臨界状態の流体(以下、これらをまとめて高圧流体という)を用いた乾燥方法が知られている。高圧流体は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、高圧流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで、液体の付着した状態のウエハを高圧流体と置換し、しかる後、高圧流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
【0006】
ここで特許文献1には、洗浄部にて洗浄された基板を乾燥処理室内に搬送し、次いで当該乾燥処理室内の圧力が乾燥処理用流体(本例では二酸化炭素)の臨界圧以上となるように予め昇圧してから、当該乾燥処理室内に超臨界状態の乾燥流体を供給することにより基板の乾燥を行う技術が記載されている。この技術では、処理を終えた乾燥流体は乾燥処理室から排出され、乾燥処理室内を大気圧に減圧することにより乾燥処理が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−72118号公報:段落0025〜0029、段落0038〜0039、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように乾燥用流体を利用した基板の乾燥処理が行われるチャンバーは、当該チャンバーに乾燥用流体を供給するための配管(特許文献1では、供給ノズル、排出口と記載されている)が接続されており、この配管を介して乾燥用流体の供給部や排出部に繋がれている。
【0009】
ところが高圧流体を利用したウエハなどの被処理基板の乾燥処理においては、臨界圧力以上、またはこの圧力付近まで昇圧された流体が用いられ、また流体の種類によっては臨界温度も高温となる。このため、こうした高圧流体が処理容器に接続された配管を介して、その上流側や下流側に流出するとこれらの領域の圧力や温度が急激に上昇して機器を損傷してしまうおそれがある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高圧流体を使用した被処理基板の処理を行う際に、この処理が行われる処理容器に設けられた配管を介した他の機器への高圧流体の流れ込みを防止することが可能な基板処理装置、基板処理方法及びこの方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る基板処理装置は、原料を超臨界状態または亜臨界状態である高圧流体状態とし、または高圧流体状態を維持しながら高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器に接続されると共に、流体の流れ方向に第1の配管部材及び第2の配管部材に分割され、流体が通流する配管と、
前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、
前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
前記基板処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)液体状態で収容した原料を高圧流体状態にして前記処理容器に供給するための準備容器と、液体状態の原料を高圧流体状態とするために前記準備容器を加熱する加熱機構及び、前記原料を液体状態で収容するために前記準備容器を冷却するための冷却機構と、を備え、前記準備容器に設けられた流体を通流させるための配管は、流体の流れ方向に第1の配管部材と第2の配管部材とに分割され、前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていること。
(b)前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する前記接離機構を備えた配管と、基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する接離機構を備えた配管とが共通化され、前記準備容器は被処理基板の処理を終えた後の流体を回収し、液体状態の原料として収容する回収容器を兼ねること。
(c)前記配管には、第1の配管部材と第2の配管部材とを離間させたときに流れ出た流体を集めて排出する排出路を備えた流体受け部が設けられていること。
(d)前記流体受け部は、周囲の雰囲気から前記開口部を区画する筐体として構成されていること。
(e)前記第1の配管部材及び第2の配管部材の双方の開閉弁を閉じてからこれらの配管部材を離間させる離間動作と、これらの配管部材を接続してから双方の開閉弁を開く接続動作とを実行するように制御信号を出力する制御部を備えていること。
(f)前記高圧流体により基板に対して行われる処理は、被処理基板を乾燥する処理であること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高圧流体による被処理基板の処理を行う処理容器に接続された配管が流体の流れ方向に、第1の配管部材と第2の配管部材とに分割され、接離機構を利用してこれらの配管部材を互いに接続する位置と、離間させる位置との間で移動させる。そして第1、第2の配管部材同士を離間させるとき、これらの配管部材に設けられた開閉弁を閉じるので、処理容器内の高圧流体が配管を介して他の機器へ流れ込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態の洗浄処理システムの平面図である。
【図2】前記洗浄処理システム内の洗浄装置の一例を示す縦断側面図である。
【図3】本実施の形態の超臨界処理装置を示す斜視図である。
【図4】前記超臨界処理装置の分解斜視図である。
【図5】前記超臨界処理装置の配管に設けられている配管接離部の斜視図でる。
【図6】前記配管接離部に設けられた接離機構の構成及び動作を説明するための第1の横断平面図である。
【図7】前記接離機構の構成及び動作を説明するための第2の横断平面図である。
【図8】前記超臨界処理装置への処理流体の供給、排出系統を示す説明図である。
【図9】前記超臨界処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図10】前記超臨界処理装置の作用を示す第2の説明図である。
【図11】前記超臨界処理装置の作用を示す第3の説明図である。
【図12】前記超臨界処理装置の作用を示す第4の説明図である。
【図13】前記超臨界処理装置の作用を示す第5の説明図である。
【図14】前記超臨界処理装置の作用を示す第6の説明図である。
【図15】前記超臨界処理装置の作用を示す第7の説明図である。
【図16】前記超臨界処理装置の作用を示す第8の説明図である。
【図17】前記準備回収部に設けられているスパイラル管の内部の様子を示す第1の説明図である。
【図18】前記スパイラル管の内部の様子を示す第2の説明図である。
【図19】他の実施の形態に係る超臨界処理装置の斜視図である。
【図20】前記他の実施の形態に係る超臨界処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図21】前記他の実施の形態に係る超臨界処理装置の作用を示す第2の説明図である。
【図22】前記他の実施の形態に係る超臨界処理装置の作用を示す第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の基板処理装置を備えた基板処理システムの一例として、被処理基板であるウエハWに洗浄液を供給して洗浄処理を行う洗浄装置2と、高圧状態の流体(高圧流体)であるIPAの超臨界流体(超臨界状態の流体)を利用して前記洗浄処理後のウエハWを乾燥する超臨界処理装置3とを備えた洗浄処理システム1について説明する。
【0016】
図1は洗浄処理システム1の全体構成を示す横断平面図であり、当該図に向かって左側を前方とすると、洗浄処理システム1では、載置部11に載置されたFOUP100に格納された例えば直径300mmの複数枚のウエハWが、搬入出部12及び受け渡し部13を介して後段の洗浄処理部との間で受け渡され、ウエハWを洗浄装置2、超臨界処理装置3内に順番に搬入されて洗浄処理や高圧流体による処理が行われる。図中、121はFOUP100と受け渡し部13との間でウエハWを搬送する第1の搬送機構、131は搬入出部12とウエハ処理部14との間を搬送されるウエハWが一時的に載置されるバッファとしての役割を果たす受け渡し棚である。
【0017】
ウエハ処理部14には、受け渡し部13との間の開口部から前後方向に向かって伸びるウエハ搬送路142を挟んで、洗浄装置2及び本実施の形態の基板処理装置である超臨界処理装置3が互いに対向するように列設されている。ウエハWは、ウエハ搬送路142に配置された第2の搬送機構141によってこれら各洗浄装置2、超臨界処理装置3及び受け渡し部13の間を搬送される。ここでウエハ処理部14内に配置される洗浄装置2や超臨界処理装置3の個数は、単位時間当たりのウエハWの処理枚数や、洗浄装置2、超臨界処理装置3での処理時間の違いなどにより適宜選択され、これら洗浄装置2や超臨界処理装置3の配置数などに応じて最適なレイアウトが選択される。
【0018】
洗浄装置2は例えばスピン洗浄によりウエハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄装置2として構成され、図2の縦断側面図に示すように、処理空間を形成するアウターチャンバー21内に配置されたウエハ保持機構23にてウエハWをほぼ水平に保持し、このウエハ保持機構23を鉛直軸周りに回転させることによりウエハWを回転させる。そして回転するウエハWの上方にノズルアーム24を進入させ、その先端部に設けられた薬液ノズル241から薬液及びリンス液を予め定められた順に供給することによりウエハの面の洗浄処理が行われる。また、ウエハ保持機構23の内部にも薬液供給路231が形成されており、ここから供給された薬液及びリンス液によってウエハWの裏面洗浄が行われる。
【0019】
洗浄処理は、例えばアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去→リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:DIW)によるリンス洗浄→酸性薬液である希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))による自然酸化膜の除去→DIWによるリンス洗浄が行われる。これらの薬液はアウターチャンバー21内に配置されたインナーカップ22やアウターチャンバー21に受け止められて排液口221、211より排出される。またアウターチャンバー21内の雰囲気は排気口212より排気されている。
【0020】
薬液による洗浄処理を終えたら、ウエハ保持機構23の回転を停止してから当該表面に乾燥防止用のIPA(IsoPropyl Alcohol)を供給し、ウエハWの表面及び裏面に残存しているDIWと置換する。こうして洗浄処理を終えたそしてウエハWは、その表面にIPAが液盛りされた状態のまま例えばウエハ保持機構23に設けられた不図示の受け渡し機構により第2の搬送機構141に受け渡され、洗浄装置2より搬出される。
【0021】
洗浄装置2での洗浄処理を終えたウエハWは表面にIPAの液盛りがされて濡れた状態のまま超臨界処理装置3に搬送され、高圧流体を利用して表面の液体を除去し、ウエハWを乾燥する処理が行われる。以下、本実施の形態に係る超臨界処理装置3の構成について図3〜図8を参照しながら説明する。図3、図4においては、図に向かって左側を前方として説明を行う。
【0022】
図1に示すように、ウエハ搬送路142に沿って列設された超臨界処理装置3は、互いに区画された筐体内に配置されており、各筐体内にはウエハWの搬送を行う搬送アーム6と、超臨界処理装置3とが手前からこの順に設けられている。
【0023】
例えば搬送アーム6は、図4に示すように水平方向に伸びるアーム部材64の先端に、ウエハWを保持するための保持リング61が設けられており、昇降機構65によって昇降自在、移動機構66によって前後方向に移動自在に構成されている。保持リング61には、例えばウエハWの上面周縁部の3箇所を吸着保持する2組のピック62、63が設けられており、搬入時に処理を行う前のウエハWを保持する搬入用ピック62と、搬出時に処理後のウエハWを保持する搬出用ピック63と、を使い分けている。
【0024】
次に図3に示すように、本例における超臨界処理装置3は、ウエハWの処理を行う超臨界処理部30と、この超臨界処理部30への高圧流体の供給、回収を行う準備回収部4とを備えている。まず超臨界処理部30ついて説明すると、超臨界処理部30は、既述の搬送アーム6からウエハホルダー34にウエハWを受け渡し、高圧流体を用いてウエハWを乾燥する処理が行われる処理チャンバー31に搬入する構成となっている。
【0025】
処理チャンバー31は、本実施の形態に係る超臨界処理装置3の処理容器に相当し、図4の分解斜視図に示すように、横方向に扁平な直方体形状の耐圧容器として構成されている。処理チャンバー31の内部にはウエハWを保持するためのウエハホルダー34を格納することが可能な扁平な処理空間310が形成されている(図8)。処理空間310は、例えば300mmのウエハWを処理する場合、ウエハWと処理チャンバー31の内壁面との間に高圧流体を十分に通流させることが可能であり、且つ、ウエハWに液盛りされたIPAが自然乾燥しないうちに短時間で処理空間310内の雰囲気を高圧流体で満たすことが可能なように、例えば高さ数mm〜十数mm、容積300cm3〜1500cm3程度の比較的狭小な空間として構成されている。
【0026】
また図8に示すように処理チャンバー31には本実施の形態の配管をなすパージガス供給ライン406及び排気ライン408が接続されており、ウエハWの処理を終えた後の処理空間310内にN2ガスなどの不活性ガスを供給して処理空間310内に残存しているIPAを排気ラインの下流側に設けられている除害設備などに向けてパージすることができる。
【0027】
図4に示すように処理チャンバー31の前面には、ウエハWを搬入出するための、左右方向に細長い開口部311が形成されており、処理チャンバー31はこの開口部311を搬送アーム6の方向に向けて筐体内に配置されている。この開口部311が設けられている面には、平板状の2枚の突片部312が横方向に突出するように設けられており、開口部311はこれら2枚の突片部312により上下を挟まれた位置に配置されている。これら突片部312に設けられた313は、後述のロックプレート38を上下方向へ向けて嵌入させるための嵌入孔である。
【0028】
処理チャンバー31の上下両面に設けられた39はテープヒーターなどの抵抗発熱体からなるヒーターである(図4では、図示の便宜上、上面側のみを示してある)。図8に模式的に示すように、ヒーター39は電源部391と接続されており、電源部391の出力を増減して、処理チャンバー31本体及び処理空間310の温度を常時、例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に維持することができる。
【0029】
処理チャンバー31の上下面に設けられた32、33は不図示の断熱材を介してヒーター39を覆い、周囲に設けられた各種機器を熱から守り、また処理前のウエハWに液盛りされたIPAの蒸発を防ぐ断熱プレートである。これらの断熱プレート32、33にはこれら断熱プレート32、33を冷却するために、冷却水などの冷媒を通流させる冷却管36が配設されている。
【0030】
また例えば図3、図4に示すように、断熱プレート32、33は、前方から見て処理チャンバー31よりも左右方向に幅広に形成されている。下面側の断熱プレート33の左右に突出した領域には後述のアーム部材342を保持し、走行させる機構が形成されている。即ち、371はアーム部材342を走行させるためのレール、372は、前記アーム部材342に接続されてレール371上を走行するスライダー、373はこのレール371を駆動する例えばロッドレスシリンダーなどからなる駆動機構、374は駆動機構373とスライダー372とを連結する連結部材である。
【0031】
ウエハホルダー34は、ウエハWを保持した状態で処理チャンバー31の処理空間310内に配置可能に構成された薄い板状の部材である。ウエハホルダー34の前面に設けられた341は、処理チャンバー31の開口部311に上下に設けられている突片部312隙間内に嵌り込み、開口部311の周りに設けられた不図示のOリングを押しつぶして処理空間310内を気密に維持するように開口部31を塞ぐ蓋部材、342は既述のスライダー372と接続されレール371上を前後に走行し、搬送アーム6との間でウエハWの受け渡し位置と、処理チャンバー31(処理空間310)内の処理位置との間でウエハホルダー34を移動させるアーム部材である。
【0032】
また上面側の断熱プレート32の左右両端の前方領域には、ロック部材35及びこのロック部材35を回転させるロックシリンダー351が設けられており、処理チャンバー31の開口部311を閉じた蓋部材341の左右に設けられた突起部343をロック部材35と係合させることによりウエハホルダー34を処理チャンバー31の側壁面に押し付けるように固定し、また開放することができる。
【0033】
図4に示すように処理チャンバー31の手前側には、開口部311を塞いでいる蓋部材341の開放を阻止するためのストッパ機構が設けられている。即ち、38はウエハホルダー34を処理位置まで移動させたとき、突片部312の間の隙間に嵌り込んだ蓋部材341を処理チャンバー31の本体側へ向けて押さえるロックプレート、381はロックプレート38を上下に移動させるための昇降機構、382はロックプレート38の例えば下端部に接続されたスライダーをレール上で走行させてロックプレート38の移動方向を案内するスライド機構である。ここで図示の便宜上、図3においてはロックプレート38や昇降機構381等の記載を省略してある。
【0034】
また図3、図4に示すように、ウエハWの受け渡し位置の下方側には、ウエハホルダー34を冷却するための冷却機構5が設けられている。冷却機構5中、51は、吐出孔511から冷却用の清浄空気を吐出し、ウエハホルダー34に保持されたウエハWを冷却するクーリングプレート、52はウエハWから流れ落ちたIPAを受け止めてドレイン管53へ排出するドレイン受け皿、54はウエハホルダー34が受け渡し位置まで移動したときに、これらドレイン受け皿52及びクーリングプレート51を冷却位置まで上昇させ、ウエハホルダー34が処理位置まで移動した後には、冷却位置の下方位置まで降下させる昇降機構である。
【0035】
また図3に示す55は、ウエハホルダー34に受け渡されたウエハWにIPAを供給するためのIPAノズルであり、処理チャンバー31内に搬送される前のウエハWに再度IPAを供給して、当該ウエハWが自然乾燥しない程度の十分量のIPAを液盛りしてから当該ウエハWを処理チャンバー31内に搬入するようになっている。
【0036】
上述の処理チャンバー31には、内部の処理空間310に供給されるIPAの高圧流体を準備する機能と、処理を終えたあとのIPAを回収する機能とを兼ね備えた準備回収部4が接続されている。図3に示すように準備回収部4は、処理チャンバー31へと供給される超臨界状態のIPAを準備し、また処理を終えたIPAを回収する配管が螺旋状に巻かれて形成されたスパイラル管41と、このスパイラル管41を加熱して内部のIPAを超臨界状態にするための加熱機構をなすハロゲンランプ42と、前記スパイラル管41を冷却することにより処理チャンバー31に供給したIPAを当該スパイラル管41内に凝縮させて回収するための冷却機構をなす冷却ジャケット43と、スパイラル管41の冷却を行う位置と、冷却を行う位置から退避した位置との間でこれら冷却ジャケット43を移動させる移動機構と、を備えている。
【0037】
スパイラル管41はステンレス製の配管部材を長手方向に螺旋状に巻いて円筒を形成しており、長手方向に隣り合う配管同士が互いに接触するように螺旋を巻くことによりハロゲンランプ42の輻射熱の外側への漏れを抑えている。スパイラル管41の表面には、ハロゲンランプ42からの輻射熱を吸収しやすくするために例えば黒色の輻射熱吸収塗料が塗装されている。
【0038】
図3に示すように準備回収部4は、超臨界処理部30の近傍位置に配置されており、スパイラル管41は、本実施の形態の配管をなす供給回収ライン411を介して処理チャンバー31に接続されている。この供給回収ライン411は、処理チャンバー31に高圧流体を供給する配管と、処理チャンバー31から当該流体を回収する配管とが共通化されたものである。図8に示すように供給回収ライン411には、当該供給回収ライン411へN2ガスなどのパージガスを供給するパージガス供給ライン404、スパイラル管41や供給回収ライン411に供給されたIPAやパージガスを除害設備等へ向けて排出する排出ライン401が接続されている。これらの各ライン401、404に設けられた402、405は、耐圧性を備えた開閉弁、排出ライン401側に設けられた403は後述するIPAの受け入れライン413から供給されたIPAの量を監視するためのレベルスイッチである。
【0039】
また図8に示すようにスパイラル管41の下端部からは本実施の形態の配管であるIPAの受け入れライン413が伸びだしており、不図示のIPA供給部から高圧流体の原料である液体状態のIPAを受け入れることができる。図中、418はIPA中のパーティクルを除去するためのフィルターである。
【0040】
図3、図8に示すようにハロゲンランプ42は、スパイラル管41が形成する円筒の内側に配置された直棒状の加熱ランプであり、スパイラル管41の内壁面から離間させて、前記円筒の中心軸に沿って配置されている。ハロゲンランプ42の下端部は、支持台46の天板面を貫通して電源部421に接続されており、当該電源部421から供給される電力によりハロゲンランプ42を発熱させ、主にその輻射熱を利用してスパイラル管41が加熱される。この観点においてハロゲンランプ42は、スパイラル管41用の加熱機構に相当している。
【0041】
図3に示すように冷却ジャケット43は、スパイラル管41によって形成される円筒を外周面側から覆うことが可能な、円筒を上下方向に縦断して得られる半円筒形状の部材である。各冷却ジャケット43の内部は空洞となっているおり、図8に模式的に示すように各空洞には冷却ジャケット43の外周面に接続された冷却水導入ライン431から冷却水排出ライン432へ向けて流れる冷媒、例えば20℃に調節された冷却水を通流させるための冷媒流路435が形成されている。これら冷却ジャケット43の内周面は熱を吸収する吸熱面を構成しており、当該吸熱面をスパイラル管41にて構成される円筒の外周面に当接させることにより、スパイラル管41の冷却が行われる。
【0042】
各冷却ジャケット43の外周面にはシャフト44が連結されており、各シャフト44の基端部には当該シャフト44を軸方向に沿って移動させるための駆動部45が設けられている。そして各シャフト44を伸張、縮退させることにより吸熱面がスパイラル管41と接触する冷却位置と、吸熱面をスパイラル管41から離間した退避位置との間で冷却ジャケット43を移動させて、スパイラル管41の冷却及び冷却の停止を実行することができる。
【0043】
本実施の形態のスパイラル管41は、原料のIPAを液体状態で収容し、当該スパイラル管41を加熱することにより前記液体状態のIPAをスパイラル管41内で超臨界状態とする本実施の形態の準備容器としての機能と、冷却ジャケット43によりIPAの凝縮温度以下に冷却され、処理チャンバー31に供給されたIPAを回収する回収容器としての機能とを兼ね備えている。
【0044】
上述の構成を備えた超臨界処理部31の処理チャンバー31に接続されたパージガス供給ライン406、排気ライン408及び高圧流体の供給回収ライン411は、これら各ライン406、408、411を構成する配管を流れ方向に分離することができるようになっており、ウエハWの処理を実行する際にN2ガスの供給系統や排気系統、準備回収部4内に、処理チャンバー31から高圧流体が流れ込むことを防止できる。また準備回収部4に高圧流体の原料であるIPAを供給する受け入れライン413を構成する配管も流れ方向へ分離することが可能であり、供給回収ライン411の作用と相俟って、高圧流体の準備の際に処理チャンバー31やIPAの供給系統に高圧流体が流れ込むことを防いでいる。
【0045】
本実施の形態の超臨界処理装置3では、上述の各ライン406、408、411、413において、流れ方向に分離可能に構成された配管部分(以下、配管接離部7と呼ぶ)は互いに共通の構成となっている。以下、図5〜図7を参照しながら配管接離部7の構成とその動作について説明する。
【0046】
図5の斜視図及び図6、7の横断平面図に示すように、各ライン406、408、411、413を構成する配管は、第1の配管部材71と第2の配管部材72とに流れ方向に分割されている。分割された各配管部材71、72の先端部にはこれら配管部材71、72と直交するように横方向に伸びる第1の保持部材701、第2の保持部材702が設けられていて、第1の配管部材71は第1の保持部材701に保持され、第2の配管部材72は第2の保持部材702に保持されている。
【0047】
各々横方向に伸びる第1、第2の保持部材701、702は、互いに平行に配置され、その一端が回転軸C4を介して互いに連結されている。そして2つの保持部材701、702は、この回転軸C4を支点として、ピンセットのように相対向する側壁面を離間させたり、接近させたりすることができる。
【0048】
第1、第2の保持部材701、702の相対向する側壁面からは、各々第1、第2の配管部材71、72の端部をなすフランジ部711、721が突出しており、両保持部材701、702を所定の位置まで接近させると、フランジ部711、721同士が突合して第1の配管部材71と第2の配管部材72とが接続される。図6、図7に示した712は、フランジ部711、712同士を密着させるOリングである。
【0049】
一方、各保持部材701、702には、回転軸C4を介して連結された端部とは反対側の端部にて、互いに長さの異なるクランク部材703、704が各々回転軸C2、C3を介して連結されている。第1、第2の配管部材71、72を接続した状態において、各クランク部材703、704は、両保持部材701、702と直交する方向(両保持部材701、702を貫通する配管部材71、72が伸びる方向)に沿って横方向に伸び出し、共通の伸縮ロッド部707に設けられたロッド708の先端部に、回転軸C1を介して接続されている。
【0050】
第1、第2の配管部材71、72を接続した状態において、伸縮ロッド部707は各保持部材701、702と平行になるように、回転軸C1から横方向に伸びだしており、その基端部は鉛直方向に伸びる回転軸732に連結されている。回転軸732は回転モーター731により自由に回転角度を調節し、また所望の位置で回転を停止させることができる。
【0051】
以上に説明した構成を備えた接離機構70において、図7に示すように回転軸732を上面側から見て右方向に回転させると。伸縮ロッド部707に設けられたロッド708の先端部が保持部材701、702側へと近づくが、ロッド708の先端部にはクランク部材703、704が接続されているので、伸縮ロッド部707を回転させる力は当該伸縮ロッド部707からロッド708を引き出す力、及び回転軸C1を中心にクランク部材703、704を回転させる力に変換される。
【0052】
このとき各保持部材701、702に接続されたクランク部材703、704の長さが異なっていることにより、ロッド708を所定の位置まで移動させたときの回転量は、長いクランク部材703で小さく、短いクランク部材704で大きくなる。この結果、クランク部材703、704の先端が異なる位置に移動し、これらクランク部材703、704に接続された第1、第2の保持部材701、702が互いに離間する方向に移動して、第1、第2の配管部材が離間した状態となる。
【0053】
本例の接離機構70では第1の保持部材701の配置位置が固定されており、回転軸732を回転させると回転軸C4を回転中心として第2の保持部材702が移動する。図5〜図7に示すように第2の保持部材702を貫通する第2の配管部材72は、伸縮ロッド部707との干渉を避けるため、L字に屈曲されてクランク部材703、704の配置位置とは反対の方向に向けて各保持部材701、702と平行になるように横方向に伸び出している。このように第2の配管部材72の各保持部材701、702と平行に伸び出している領域には、例えば蛇腹状の可撓配管部722が設けられている。そして図7に示すように第1、第2の配管部材71、72を離間させると、この可撓配管部722が撓み、第2の保持部材702の変位が吸収される。このため、例えば図6、図7中に「L」の符号で示したように可撓配管部722よりも外側の領域では、両配管部材71、72の接離動作の前後で第2の配管部材72の配置位置は変化しない。
【0054】
また図6に示すように第1、第2の配管部材71、72を接続した状態においては、回転軸732が上面から見て左回りに回転しないように固定しておくことにより、相対向する保持部材701、702がクランク部材703、704によって支持される。この結果、第1、第2の配管部材71、72にて構成される配管内に高圧流体を流しても、この高圧流体による内圧を受けて、保持部材701、702を離間させるように働く力は、クランク部材703、704に受け止められるので、可撓配管部722を撓ませる方向には作用しない。このため第1、第2の配管部材71、72が流れ方向に分割されていても、配管接離部7では内部の流体が漏れ出すことなく高圧流体等を流すことができる。
【0055】
ここで本例の接離機構70では、特に流れ方向の指定はなく、接離機構70は第1の配管部材71、第2の配管部材72のいずれが上流側となるように配置してもよい。但し、説明の便宜上、本例では処理チャンバー31またはスパイラル管41へ向けてIPAやN2ガスを供給するとき(処理チャンバー31からスパイラル管41へIPAを回収する場合を除く)、流れ方向の上流側に第1の配管部材71を配し、下流側に第2の配管部材72を配した構成とする。
【0056】
図5に示すように第1、第2の配管部材71、72には、耐圧性を備えた開閉弁741、742が設けられており、両配管部材71、72を離間させたときにこれら開閉弁741、742を閉じることにより配管内の流体の流出を抑えている。また図1、図5に示すように、上述の接離機構70は筐体状の流体受け部75によってその全体を覆われた状態となっており、第1、第2の配管部材71、72を離間させたとき、開閉弁741、742間に存在する流体が流出した場合にも、これらの流体を集めて外部に排出することができる。
【0057】
流体受け部75に接続された751は、流体受け部75内の雰囲気を排気するために清浄空気などのパージガスが供給されるパージガス供給ライン、752は流体受け部75内の液体や気体を排出する排出ラインである。流体受け部75の底面には排出ラインの設けられている位置へ向けて低くなる傾斜面が形成されている。
【0058】
以上、図5〜図7を参照しながら配管接離部7に設けられた接離機構70の構成例について詳細に説明してきたが、接離機構70は、配管を流体の流れ方向に分割してなる第1の配管部材71及び第2の配管部材72を互いに離間させ、接続する機能を備えたものであればよく、上述の例に限定されるものではないことを強調しておく。例えばソケットを介して第1の配管部材71と第2の配管部材72とを接続し、このソケットからっ配管部材71、72の一方側を取り外すことにより、両配管部材71、72を離間させる構成としてもよく、他の構成により配管部材71、72を接続、離間させてもよい。
また配管を流れる部材がIPAとは異なり、揮発性が低い液体などである場合には、筐体状の流体受け部75に替えて排出ラインのみを備えた受け皿状の流体受け部75にて構成し、その上方位置に接離機構70を配置してもよい。
【0059】
以上に説明した構成を備えた超臨界処理装置3を含む洗浄処理システム1は、図1、図8に示すように制御部8と接続されている。制御部8は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部にはこれら洗浄処理システム1や洗浄装置2、超臨界処理装置3の作用、即ちFOUP100からウエハWを取り出して洗浄装置2にて洗浄処理を行い、次いで超臨界処理装置3にてウエハWを乾燥する処理を行ってからFOUP100内にウエハWを搬入するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0060】
特に超臨界処理装置3の作用について制御部8は、図8に示すように各ライン406、408、411、413に設けられた配管接離部407、409、412、417の接離機構70及び開閉弁741、742と接続されている。そして第1、第2の配管部材71、72を離間させる離間動作の際には、両開閉弁741、742を閉じてからこれら配管部材71、72を離間させ、両配管部材71、72を接続する接続動作の際にはこれらの配管部材71、72を接続してから両開閉弁741、742を開くように制御信号が出力される。
【0061】
また制御部8は排出ライン401に設けられたレベルスイッチ403やハロゲンランプ42の電源部421、ヒーター39の電源部391と接続されており、IPAの供給タイミングや供給量、電力の給断タイミング並びに供給量などを制御する役割を果たしている。また制御部8はスパイラル管41に設けられた不図示の温度検出部からスパイラル管41内の温度の検出結果を取得し、これらの結果に基づいてスパイラル管41の加熱や冷却を実行することができる。
【0062】
以上に説明した構成を備えた超臨界処理装置3の作用について図9〜図16を参照しながら説明する。これらの図において各開閉バルブに付された「S」の符号は、その開閉バルブが閉状態となっていることを示し、「O」の符号は開状態となっていることを示している。
既述のように洗浄装置2における洗浄処理を終え、乾燥防止用のIPAを液盛りしたウエハWが第2の搬送機構141に受け渡されると、第2の搬送機構141は、例えば予め設定された処理スケジュールに基づいて、ウエハWを受け入れ可能な超臨界処理装置3の配置されている筐体内に進入し、搬送アーム6にウエハWを受け渡す。
【0063】
このときウエハWの搬入が行われる前の超臨界処理部30は、図9に示すように、処理チャンバー31の電源部391をオンの状態にしてヒーター39によりチャンバー31本体を例えば270℃に加熱した状態となっている。一方で処理チャンバー31の上下に設けられた上プレート32、下プレート33は冷却管36によって冷却された状態となっており、処理チャンバー31の周囲の温度が上昇しすぎないようにして、ウエハホルダー34上のウエハW表面に供給されたIPAの蒸発を抑えている。
【0064】
また準備回収部4では、例えば超臨界処理装置3にて最初に処理を開始する前のタイミングにおいては、ハロゲンランプ42の電源部421はオフとなっており、また冷却ジャケット43を冷却位置まで移動させてスパイラル管41を冷却した状態としておく。なお本例では超臨界処理装置3の稼動中、冷却ジャケット43には常時冷却水が供給されているものとする。
【0065】
またこのとき処理チャンバー31に接続された全てのライン406、408、411に設けられた配管接離部407、409、412では接離機構70により第1、第2の配管71、72を離間させた状態(以下、離間状態という)となっており、処理チャンバー31はIPAやN2ガスの供給、排出系統から切り離されている。
【0066】
一方、準備回収部4ではIPAの受け入れライン413の配管接離部417の接離機構70を作動させて第1、第2の配管部材71、72を接続し(以下、接続状態という)、不図示のIPA供給部からスパイラル管41へ向けて液体状態のIPAを受け入れる。このとき排出ライン401に設けられた開閉弁402は開状態となっており、IPAにより押し出されたスパイラル管41内の雰囲気は排出ライン401を通って排気される。
【0067】
そしてスパイラル管41内が液体状態のIPAで満たされ、その液面が排出ライン401のレベルスイッチ403で検出されると、IPAの供給を停止して、図10に示すように受け入れライン413の配管接離部417を離間状態とする。次いでパージガス供給ライン404の開閉弁405を開き、同ライン404からN2ガスを供給して、スパイラル管41の上部から供給回収ライン411にかけて溜まっているIPAを排出する。この操作により図17に示すようにIPAを加熱したときにIPAが膨張する空間が確保される。
【0068】
こうしてスパイラル管41内に所定量の液体IPAが仕込まれたら、図11に示すように冷却ジャケット43を退避位置まで移動させ、電源部421をオンにしてハロゲンランプ42に電力を供給して発熱させ、スパイラル管41を例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に加熱する。このとき既述のようにスパイラル管41の前後に設けられた配管接離部412、417は離間状態となっており、また排出ライン401、パージガス供給ライン404の開閉弁402、405も閉状態となっている。この結果、スパイラル管41の内部は密閉雰囲気となり、スパイラル管41を加熱するとIPAが蒸発して気体となり、IPAの体積の膨張に伴ってスパイラル管41内の圧力が上昇する。
【0069】
さらに密閉雰囲気内での加熱を継続し、IPAを昇温、昇圧すると、IPAの温度及び圧力が臨界点に到達し、図18に示すようにスパイラル管41の内部が超臨界状態のIPAで満たされた状態となる。こうして超臨界処理を実行するためのIPAの準備が整ったら、準備回収部4はスパイラル管41内の温度及び圧力が予め設定された値に維持されるようにハロゲンランプ42の出力を調節しながら待機する。
【0070】
これらの動作と並行して超臨界処理部30側では、受け渡し位置にて待機しているウエハホルダー34に搬送アーム6がウエハWを受け渡した後、ウエハホルダー34の上方位置から退避する。そして図3に示すようにIPAノズル55からウエハWの表面にIPAを供給して、再度IPAの液盛りを行う。IPAの液盛りを終えたら、クーリングプレート41を下方位置まで下降させ、アーム部材342をレール371上でスライドさせてウエハホルダー34を処理位置まで移動させる。そしてロック部材35を回転させて突起部343を係止し、蓋部材341によって処理チャンバー31の開口部311が塞がれたら、ロックプレート38を下方位置からロック位置まで上昇させて蓋部材341を手前側から押さえる。
【0071】
上述のウエハWの搬送動作と並行して、供給回収ライン411の配管接離部412では、まず接離機構70を作動させて第1、第2の配管71、72を接続する一方、2つの開閉弁741、742は閉状態のままとし、処理チャンバー31内にウエハWが搬入されたら、高圧流体(超臨界状態のIPA)を直ちに供給する準備をする。即ち、このタイミングにおいては図12に示すように超臨界処理部30側では処理チャンバー31の処理空間310内にウエハWが搬入され、また準備回収部4側ではスパイラル管41内に高圧流体が準備されて、ウエハWの乾燥を実行する準備が整う。
【0072】
処理空間310内へのウエハWの搬入を終え、蓋部材341をロックしたら、ウエハW表面に液盛りされたIPAが乾燥してしまう前に供給回収ライン411の配管接離部412の開閉バルブ741、742を開状態としてスパイラル管41から処理空間310に向けて高圧流体を供給する。
【0073】
こうして開閉バルブ741、742を開くと、図13に示すようにスパイラル管41内の高圧流体が膨張して供給回収ライン411内を流れ、処理空間310内に流入していく。このとき、(1)スパイラル管21内に準備する高圧流体の温度及び圧力を臨界温度、臨界圧力よりも十分に高い状態としておくこと、(2)処理チャンバー31内の処理空間310の容積及び開閉バルブ412よりも処理チャンバー31側の供給回収ライン411の容積をできるだけ小さくして高圧流体の膨張率を抑えること、さらに(3)ヒーター39によって処理空間310内を予め加熱しておき、また開閉バルブ412を開放する前後で、スパイラル管41内の温度及び圧力がほぼ同じ値に維持されるように、ハロゲンランプ42の出力を増大させて等温等圧膨張に近い状態で高圧流体を膨張させること、などにより超臨界状態を保ったまま高圧流体を処理空間310内に供給することができる。
【0074】
そして処理空間310内に供給された高圧流体がウエハWに液盛りされたIPAと接触すると、液盛りされたIPAは高圧流体から熱を受け取って蒸発し超臨界状態となる。この結果、ウエハWの表面は液体のIPAから高圧流体に置換されていくことになるが、平衡状態において液体IPAと高圧流体との間には界面が形成されないので、パターン倒れを引き起こすことなくウエハW表面の流体を高圧流体に置換することができる。このときパージガス供給ライン406及び排気ライン408の配管接離部407、409は離間状態となっており、これらのライン406、408への高圧流体の流出が防止される。
【0075】
そして供給回収ライン411では、図14に示すように配管接離部412を離間状態すると共に、電源部421をオフの状態にしてハロゲンランプ42によるスパイラル管41の加熱を停止する。次に冷却ジャケット43を冷却位置まで移動させてスパイラル管41の内部の温度がIPAの凝縮温度以下となるように冷却する。スパイラル管41を密閉した状態で冷却することにより、スパイラル管41の内部は減圧雰囲気となる。
【0076】
こうして処理空間310内に高圧流体を供給してから予め設定した時間が経過し、ウエハWの表面が高圧流体にて置換された状態となったら、図15に示すように供給回収ライン411の配管接離部412を接続状態とする。この結果、高圧雰囲気の処理空間310から減圧雰囲気のスパイラル管41内へ向けて供給回収ライン411を介してIPAが流れ込み、流入したIPAが次々と凝縮し、液体状態となってスパイラル管41内に溜まってゆく。
【0077】
このようにしてスパイラル管41にIPAが液体の状態で回収されると、処理チャンバー31内の圧力は次第に低下していく。一方、処理空間310内の温度は常圧におけるIPAの沸点(82.4℃)よりも高い温度に保たれているので、処理空間310内のIPAは超臨界の状態から気体の状態に変化することになる。このとき超臨界状態と気体との間には界面が形成されないので表面に形成されたパターンに表面張力を作用させることなく、ウエハWを乾燥することができる。そして例えば予め設定した時間が経過したら、供給回収ライン411の配管接離部412を離間状態とする。
【0078】
以上のプロセスにより、ウエハWを乾燥する処理を終えたら、処理空間310に残存している気体のIPAを排出するため、図16に示すようにパージガス供給ライン406及び排気ライン408の配管接離部407、409を接続状態としてパージガス供給ライン406からN2ガスを供給して排気ライン408へ向けてパージを行う。
【0079】
そして予め定めた時間だけN2ガスの供給を行いパージが完了したら、ロックプレート38を下方位置まで降下させ、ロック部材35による突起部343の係止状態を開放する。そしてウエハホルダー34を受け渡し位置まで移動させ、超臨界処理を終えたウエハWを搬送アーム5の搬出用の搬出用ピック53で吸着保持し、当該ウエハWをウエハ搬送路142側の第2の搬送機構141に受け渡す。
しかる後、ウエハWは搬出棚43を介して第1の搬送機構121に受け渡され、搬入時とは逆の経路を通ってFOUP100内に格納され、ウエハWに対する一連の動作が完了する。
【0080】
一方、超臨界処理装置3側においては図11に示すように冷却ジャケット43を退避位置まで移動させ、ハロゲンランプ42を発熱させて、スパイラル管41に回収したIPAを超臨界の状態として処理チャンバー31に次のウエハWが搬入されてくるタイミングを待つ。
【0081】
本実施の形態に係る超臨界処理装置3によれば以下の効果がある。高圧流体によるウエハWの処理を行う処理チャンバー31に接続された配管ライン406、408、411、及び高圧流体の準備回収部4のスパイラル管41に接続された配管ライン413が流体の流れ方向に、第1の配管部材71と第2の配管部材72とに分割されている。そして、接離機構70を利用してこれらの配管部材71、72を互いに接続する位置と、離間させる位置との間で移動させる。ここで第1、第2の配管部材71、72を離間させるとき、これらの配管部材71、72に設けられた開閉弁741、742を閉じるので、処理容チャンバー31やスパイラル管41内の高圧流体が配管ライン406、408、411、413を介して他の機器へ流れ込むことを防止できる。
【0082】
配管接離部7を設ける配管は、高圧流体の流出による隣接機器への影響などを評価して適宜、設置することができる。例えば上述の実施の形態の超臨界処理装置3では、準備回収部へのパージガス供給ライン404や排出ライン401には配管接離部7が設けられていないが、これらのライン404、401の配管にも配管接離部7を設けてもよいことは勿論である。またこれとは反対に、全ての配管ライン406、408、411に配管接離部7が設けられている処理チャンバー31において、例えば排気ライン408への配管接離部7の設置を省略するなどしてもよい。
【0083】
また上述の超臨界処理装置3では、準備回収部41を共通化した構成としたが、これらを高圧流体の準備部、回収部に分離し、高圧流体の供給ライン、回収ラインを介してこれら準備部、回収部を接続し、供給ライン、回収ラインの各々に配管接離部7を設けてもよい。さらに処理チャンバー31に準備回収部4を2つ設けて、一方側の準備回収部4で高圧流体の準備をし、他方側の準備回収部4で流体の回収をする動作を交互に行うようにしてもよい。
【0084】
次に高圧流体の準備回収部4を設けず、処理チャンバー31内で原料を、高圧流体の状態とする他の実施の形態に係る超臨界処理装置3aの例について図19〜図22を参照しながら説明する。これらの図では、図1〜図8において説明した第1の実施の形態に係る超臨界処理装置3と同様の構成要素には、これらの図にて使用したものと同じ符号を付してある。
【0085】
他の実施の形態に係る超臨界処理装置3aでは、図19に示すようにウエハWは角皿形状のウエハホルダー34内に配置された状態で処理チャンバー34内に搬入される。また処理チャンバー34には液体状態の原料として液体CO2を供給する受け入れライン413、及び処理チャンバー34内の処理空間310内の雰囲気を排気するための排気ライン408が接続されており、これらの配管ライン413、408には配管接離部417、409が設けられている(図20〜図22)。
【0086】
図20に示すように処理空間310内にウエハWが搬入されると、受け入れライン413及び排気ライン408の配管接離部417、409を接続状態として、受け入れライン413から液体CO2を供給しながら処理空間310内の雰囲気を排気ライン408より排気する。そして予め設定した高さ位置まで液体CO2を供給したら、受け入れライン413及び排気ライン408の配管接離部417、409を離間状態としてヒーター39は電源部391をオンの状態とし、処理空間310内の雰囲気がCO2の臨界温度、臨界圧力以上となるまで処理チャンバー31を加熱する(図21)。この結果、処理空間310内のCO2が超臨界状態となってウエハWを乾燥する処理が実行される。
【0087】
所定の時間が経過し、ウエハWを乾燥する処理が完了したら、排気ライン408の配管接離部409を接続状態とし、処理空間310内の流体を排出する。また処理空間310内が減圧されたら受け入れライン413の配管接離部409を接続状態とし、このライン413を利用してN2ガスなどのパージガスを供給し、処理空間310内に残留しているCO2を排除して処理を終了する。
【0088】
第1、第2の実施の形態に係る超臨界処理装置3、3aに共通するバリエーションとして、高圧流体を利用したウエハWの乾燥処理は、原料を超臨界状態にして使用する場合に限られず、亜臨界状態で処理を行ってもよい。高圧流体の原料は、既述のIPAやCO2のほか、ハイドロフルオロエーテル(HFE)などを用いてもよいし、その他の流体を用いてもよい。さらに高圧流体を利用したウエハWなどの被処理基板の処理は、被処理基板に付着した液体を除去する乾燥処理に限定されず、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)やエッチングを行う場合にも本発明の配管接離部7を備えた配管を利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
W ウエハ
1 洗浄処理システム
2 洗浄装置
3、3a 超臨界処理装置
30 超臨界処理部
31 処理チャンバー
310 処理空間
39 ヒーター
4、4a、4b
準備回収部
41 スパイラル管
411 供給回収ライン
42 ハロゲンランプ
421 電源部
43 冷却ジャケット
7 配管接離部
70 接離機構
71 第1の配管部材
72 第2の配管部材
741、742
開閉弁
75 流体受け部
752 排出ライン
8 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を超臨界状態または亜臨界状態である高圧流体状態とし、または高圧流体状態を維持しながら高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器に接続されると共に、流体の流れ方向に第1の配管部材及び第2の配管部材に分割され、流体が通流する配管と、
前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、
前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
液体状態で収容した原料を高圧流体状態にして前記処理容器に供給するための準備容器と、
液体状態の原料を高圧流体状態とするために前記準備容器を加熱する加熱機構及び、前記原料を液体状態で収容するために前記準備容器を冷却するための冷却機構と、を備え、
前記準備容器に設けられた流体を通流させるための配管は、流体の流れ方向に第1の配管部材と第2の配管部材とに分割され、前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する前記接離機構を備えた配管と、基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する接離機構を備えた配管とが共通化され、前記準備容器は被処理基板の処理を終えた後の流体を回収し、液体状態の原料として収容する回収容器を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記配管には、第1の配管部材と第2の配管部材とを離間させたときに流れ出た流体を集めて排出する排出路を備えた流体受け部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記流体受け部は、周囲の雰囲気から前記開口部を区画する筐体として構成されていることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の配管部材及び第2の配管部材の双方の開閉弁を閉じてからこれらの配管部材を離間させる離間動作と、これらの配管部材を接続してから双方の開閉弁を開く接続動作とを実行するように制御信号を出力する制御部を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに基板処理装置。
【請求項7】
前記高圧流体により基板に対して行われる処理は、被処理基板を乾燥する処理であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項8】
被処理基板の配置された処理容器に、配管を介して液体状態または高圧流体状態の原料を供給する工程と、
前記処理容器を密閉とする工程と、
前記処理容器に接続された配管を流れ方向に分割して切り離す工程と、
前記処理容器内の原料を高圧流体状態とし、または高圧流体状態を維持して被処理基板を処理する工程と、
前記処理容器に配管を接続し、密閉を解除して被処理基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する工程と、を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
液体状態で収容した原料を高圧流体状態にして前記処理容器に供給するための準備容器が、前記処理容器と接続自在に設けられ、
前記準備容器に、配管を介して液体状態の原料を供給する工程と、
前記準備容器を密閉する工程と、
前記準備容器に接続された配管を流れ方向に分割して切り離す工程と、
前記準備容器内の原料を加熱して液体状態の原料を高圧流体状態にする工程と、
切り離された前記配管を接続し、前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する工程と、
前記原料を液体状態で収容するために前記準備容器を冷却する工程と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する配管と、基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する配管とが共通化され、前記処理容器から排出された流体を冷却して、前記準備容器に液体状態で回収する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記高圧流体により基板に対して行われる処理は、被処理基板を乾燥する処理であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項12】
高圧流体により被処理基板の処理を行う基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項8ないし11のいずれか一つに記載された基板処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
原料を超臨界状態または亜臨界状態である高圧流体状態とし、または高圧流体状態を維持しながら高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器に接続されると共に、流体の流れ方向に第1の配管部材及び第2の配管部材に分割され、流体が通流する配管と、
前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、
前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
液体状態で収容した原料を高圧流体状態にして前記処理容器に供給するための準備容器と、
液体状態の原料を高圧流体状態とするために前記準備容器を加熱する加熱機構及び、前記原料を液体状態で収容するために前記準備容器を冷却するための冷却機構と、を備え、
前記準備容器に設けられた流体を通流させるための配管は、流体の流れ方向に第1の配管部材と第2の配管部材とに分割され、前記第1の配管部材と第2の配管部材とを互いに接続する位置と、離間させる位置との間で、これら第1の配管部材と第2の配管部材との少なくとも一方側を移動させる接離機構と、前記第1の配管部材側及び第2の配管部材に各々設けられ、これら配管部材を離間させるときに閉じられる開閉弁と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する前記接離機構を備えた配管と、基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する接離機構を備えた配管とが共通化され、前記準備容器は被処理基板の処理を終えた後の流体を回収し、液体状態の原料として収容する回収容器を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記配管には、第1の配管部材と第2の配管部材とを離間させたときに流れ出た流体を集めて排出する排出路を備えた流体受け部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記流体受け部は、周囲の雰囲気から前記開口部を区画する筐体として構成されていることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1の配管部材及び第2の配管部材の双方の開閉弁を閉じてからこれらの配管部材を離間させる離間動作と、これらの配管部材を接続してから双方の開閉弁を開く接続動作とを実行するように制御信号を出力する制御部を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに基板処理装置。
【請求項7】
前記高圧流体により基板に対して行われる処理は、被処理基板を乾燥する処理であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項8】
被処理基板の配置された処理容器に、配管を介して液体状態または高圧流体状態の原料を供給する工程と、
前記処理容器を密閉とする工程と、
前記処理容器に接続された配管を流れ方向に分割して切り離す工程と、
前記処理容器内の原料を高圧流体状態とし、または高圧流体状態を維持して被処理基板を処理する工程と、
前記処理容器に配管を接続し、密閉を解除して被処理基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する工程と、を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
液体状態で収容した原料を高圧流体状態にして前記処理容器に供給するための準備容器が、前記処理容器と接続自在に設けられ、
前記準備容器に、配管を介して液体状態の原料を供給する工程と、
前記準備容器を密閉する工程と、
前記準備容器に接続された配管を流れ方向に分割して切り離す工程と、
前記準備容器内の原料を加熱して液体状態の原料を高圧流体状態にする工程と、
切り離された前記配管を接続し、前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する工程と、
前記原料を液体状態で収容するために前記準備容器を冷却する工程と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記準備容器から処理容器に高圧流体を供給する配管と、基板の処理を終えた後の流体を当該処理容器から排出する配管とが共通化され、前記処理容器から排出された流体を冷却して、前記準備容器に液体状態で回収する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記高圧流体により基板に対して行われる処理は、被処理基板を乾燥する処理であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項12】
高圧流体により被処理基板の処理を行う基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項8ないし11のいずれか一つに記載された基板処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−114361(P2012−114361A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263927(P2010−263927)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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