説明

基板処理装置および基板検出方法

【課題】ポッドオープナでのウエハの位置ずれを検出可能とする。
【解決手段】ポッドのドアを開閉するポッドオープナ20のウエハ出し入れ口50にロータリーアクチュエータ60を設置し、ロータリーアクチュエータ60のアーム61にブラケット62によってマッピング装置とウエハ位置ずれ検出装置とを設置する。ウエハ位置ずれ検出装置は複数個の限定反射形センサにより構成し、各限定反射形センサは投光部と受光部とを略同じ方向を向いてウエハに非接触に配置し、投光部からの検出光がウエハの外周面で反射し、反射光が受光部によって受光されたか否かで、ウエハの位置ずれの有無を判断するように構成する。ウエハの位置ずれを検出することで、ウエハ移載装置のツィーザがウエハに衝突する事故を未然に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に、キャリア内に収納された基板の位置検出技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に絶縁膜や金属膜等のCVD膜を形成したり不純物を拡散したりするバッチ式縦形拡散・CVD装置に利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一例であるバッチ式縦形拡散・CVD装置(以下、バッチ式CVD装置という。)においては、複数枚のウエハがキャリア(ウエハ収納容器)に収納された状態で扱われる。
従来のこの種のキャリアとして、互いに対向する一対の面が開口された略立方体の箱形状に形成されているオープンカセットと、一つの面が開口された略立方体の箱形状に形成され開口面にドアが着脱自在に装着されているFOUP(front opening unified pod 。以下、ポッドという。)とがある。
ウエハのキャリアとしてポッドが使用される場合には、ウエハが密閉された状態で搬送されることになるため、周囲の雰囲気にパーティクル等が存在していたとしてもウエハの清浄度は維持することができる。したがって、バッチ式CVD装置が設置されるクリーンルーム内の清浄度をあまり高く設定する必要がなくなるので、クリーンルームに要するコストを低減することができる。そこで、最近のバッチ式CVD装置においてはウエハのキャリアとしてポッドが使用されて来ている。
従来のバッチ式CVD装置においては、ポッド内のウエハの所在位置(ウエハがどの保持溝にあるのか。)を確認するマッピング装置が、設置されている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−7801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のバッチ式CVD装置においては、ウエハがポッド内に有るか否かはマッピング装置によって確認することができるが、ポッドの各保持溝でのウエハの位置ずれは検出することができないために、ウエハ移載装置のツィーザが位置ずれの発生したウエハに衝突する場合があるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、基板の位置ずれを検出することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
(1)基板を処理する処理室と、
複数枚の前記基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
一体的に構成された投光手段と受光手段とを有する検出手段であって、前記キャリア内において前記投光手段から所定の範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、前記受光手段がその反射した検出光を受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する検出手段と、
前記検出手段を前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の周縁側部のそれぞれに対向する位置に移動させる移動手段と、を備えており、
前記移動手段としてのロータリーアクチュエータの回転軸が垂直方向になるように据え付けられており、前記回転軸にはアームの一端が水平方向に回動するように固定されており、前記アームの先端には前記検出手段が設置されている、基板処理装置。
(2)基板を処理する処理室と、
複数枚の前記基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
前記キャリアに対向する位置に移動されるブラケットと、
櫛歯形状に垂直に整列された複数組の第一投光部と第一受光部とが前記ブラケットに設置され、前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の所在位置を確認するマッピング装置と、
を備えている基板処理装置。
(3)基板を処理する処理室と、
複数枚の前記基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
前記キャリアに対向する位置に移動されるブラケットと、
櫛歯形状に垂直に整列された複数組の第一投光手段と第一受光手段とが前記ブラケットに設置され、前記キャリア内において前記第一投光手段から所定の範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、その反射した検出光を前記第二受光手段が受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する基板位置ずれ検出装置と、
を備えている基板処理装置。
(4)一体的に構成された投光手段と受光手段とを有する検出手段が、複数枚の基板を所定の間隔で収納するキャリア内において前記投光手段から所定の範囲内に投光されて前記基板の周縁側部で反射した検出光を前記受光手段が受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する検出ステップと、
前記検出手段が前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の周縁側部のそれぞれに対向する位置に水平方向に回動移動される移動ステップと、
を備えている基板検出方法。
(5)複数組の第一投光部と第一受光部とが櫛歯形状に垂直に整列されたマッピング装置が設置されたブラケットが、複数枚の前記基板を所定の間隔で収納したキャリアに対向する位置に移動される移動ステップと、
前記マッピング装置が前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の所在位置を確認するマッピングステップと、
を備えている基板検出方法。
(6)複数組の第一投光手段と第一受光手段とが櫛歯形状に垂直に整列された基板位置ずれ検出装置が設置されたブラケットが、複数枚の前記基板を所定の間隔で収納したキャリアに対向する位置に移動される移動ステップと、
前記基板位置ずれ検出装置が前記キャリア内において前記第一投光手段から所定の範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、その反射した検出光を前記第一受光手段が受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する基板位置ずれ検出ステップと、
を備えている基板検出方法。
【発明の効果】
【0007】
前記した手段によれば、基板の位置ずれを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態であるバッチ式CVD装置を示す一部省略斜視図である。
【図2】ポッドオープナを示す正面側から見た斜視図である。
【図3】そのポッド載置状態を示す斜視図である。
【図4】ポッドオープナを示す背面側から見た一部省略斜視図である。
【図5】図4の省略したV部を示す斜視図である。
【図6】主要部を示す一部省略平面断面図である。
【図7】マッピング装置を示す一部省略側面図である。
【図8】ウエハ位置ずれ検出装置を示しており、(a)は一部省略側面断面図、(b)は一部省略平面断面図である。
【図9】ポッドオープナのその作用を説明するための各一部省略平面断面図であり、(a)はドアの取外し前を示し、(b)はドアの取外し後を示し、(c)はチャンバの密封時を示している。
【図10】マッピング作業およびウエハ位置ずれ検出作業時を示す一部省略平面断面図である。
【図11】ウエハ位置ずれ検出装置およびマッピング装置の配置の他の実施の形態を示す各平面断面図であり、(a)は二台のウエハ位置ずれ検出装置をマッピング装置の片脇における二箇所にそれぞれ配置した実施の形態、(b)は一台のウエハ位置ずれ検出装置をウエハの外周近傍の二箇所を順番に水平移動するように構成した実施の形態、(c)は二台のマッピング装置をウエハ位置ずれ検出装置の両脇にそれぞれ配置した実施の形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、バッチ式CVD装置すなわちバッチ式縦形拡散・CVD装置として構成されている。
図1に示されているバッチ式CVD装置1は、気密室構造に構築された筐体2を備えている。筐体2内の一端部(以下、後端部とする。)の上部には、ヒータユニット3が垂直方向に据え付けられており、ヒータユニット3の内部にはプロセスチューブ4が同心に配置されている。
プロセスチューブ4にはプロセスチューブ4内に原料ガスやパージガス等を導入するためのガス導入管5と、プロセスチューブ4内を真空排気するための排気管6とが接続されている。
【0010】
筐体2の後端部の下部にはボートエレベータ7が設置されており、ボートエレベータ7はプロセスチューブ4の真下に配置されたボート8を垂直方向に昇降させるように構成されている。基板保持具としてのボート8は基板としてのウエハ9を複数枚、中心を揃えて水平に配置した状態で支持して、プロセスチューブ4の処理室に対して搬入搬出するように構成されている。
【0011】
筐体2の正面壁にはポッド出し入れ口(図示せず)が開設されており、ポッド出し入れ口はフロントシャッタ(図示せず)によって開閉されるようになっている。ポッド出し入れ口にはポッド10の位置合わせを実行するポッドステージ11が設置されており、ポッド10はポッド出し入れ口を通してポッドステージ11に出し入れされるようになっている。
【0012】
筐体2内の前後方向の中央部の上部には回転式のポッド棚12が設置されており、回転式のポッド棚12は合計十六個のポッド10を保管するように構成されている。すなわち、回転式のポッド棚12は略卍形状に形成された四段の棚板が上下方向に配置されて水平面内で回転自在に支承されており、モータ等の間欠回転駆動装置(図示せず)によってピッチ送り的に一方向に回転されるようになっている。
筐体2内のポッド棚12の下側にはウエハ9をキャリアとしてのポッド10に対して授受するためのウエハ授受ポート13が一対、垂直方向に上下二段に配置されて設置されており、両ウエハ授受ポート13、13には後記するポッドオープナ20がそれぞれ設置されている。
【0013】
筐体2内のポッドステージ11とポッド棚12およびウエハ授受ポート13との間には、ポッド搬送装置14が設置されている。ポッド搬送装置14はポッドステージ11とポッド棚12との間、ポッドステージ11とウエハ授受ポート13との間、ポッド棚12とウエハ授受ポート13との間でポッド10を搬送するように構成されている。
ウエハ授受ポート13とボート8との間には、ウエハを基板保持部としてのツィーザ15aによって保持して搬送するウエハ搬送装置としてのウエハ移載装置15が設置されており、ウエハ移載装置15はウエハ授受ポート13とボート8との間でウエハ9を搬送して移載(受け渡し)するように構成されている。
ボートエレベータ7の脇にはボートチェンジャ16が設置されており、ボートチェンジャ16は二台のボート8、8をボートエレベータ7に対して入れ替えるように構成されている。
【0014】
上下のウエハ授受ポート13、13に設置されたポッドオープナ20、20は同一に構成されているため、ポッドオープナ20の構成は上段のウエハ授受ポート13に設置されたものについて説明する。
【0015】
図1に示されているように、キャリア開閉装置としてのポッドオープナ20は、筐体2内においてウエハ授受ポート13とウエハ移載装置15とを仕切るように垂直に立脚された側壁を構成したベース21を備えている。図2および図3に示されているように、ベース21にはウエハを出し入れするためのウエハ出し入れ口22が開設されており、ウエハ出し入れ口22はポッド10におけるウエハ収納室10c(図10参照)のウエハ出し入れ口10b(図10参照)を閉塞するドア10aに対して若干大きめに相似する四角形に形成されている。
ちなみに、ベース21は上下のポッドオープナ20、20で共用されているために、ベース21には上下で一対のウエハ出し入れ口22、22が垂直方向で縦に並ぶように開設されている。
【0016】
図2に示されているように、ベース21のウエハ授受ポート13側の主面(以下、正面とする。)におけるウエハ出し入れ口22の下側には、アングル形状の支持台23が水平に固定されており、支持台23の平面視の形状は一部が切り欠かれた略正方形の枠形状に形成されている。支持台23の上面には一対のガイドレール24、24がベース21の正面と平行方向(以下、左右方向とする。)に配置されて、ベース21の正面と直角方向(以下、前後方向とする。)に延在するように敷設されており、左右のガイドレール24、24には載置台27が複数個のガイドブロック25を介して前後方向に摺動自在に支承されている。載置台27は支持台23の上面に据え付けられたエアシリンダ装置26によって前後方向に往復移動されるようになっている。
【0017】
図2に示されているように、載置台27は一部が切り欠かれた略正方形の枠形状に形成されており、載置台27の上面には位置決めピン28が三本、正三角形の頂点に配置されて垂直に突設されている。三本の位置決めピン28はポッド10が載置台27の上に載置された状態(図3参照)において、ポッド10の下面に没設された三箇所の位置決め凹部(図示せず)に嵌入するようになっている。
【0018】
図4に示されているように、ベース21のウエハ移載装置15側の主面(以下、背面とする。)におけるウエハ出し入れ口22の下側には、ガイドレール30が左右方向に水平に敷設されている。ガイドレール30にはアングル形状に形成された左右方向移動台31が左右方向に往復移動し得るように摺動自在に支承されている。左右方向移動台31の垂直部材にはエアシリンダ装置32が左右方向に水平に据え付けられており、エアシリンダ装置32のピストンロッド32aの先端はベース21に固定されている。すなわち、左右方向移動台31はエアシリンダ装置32の往復作動によって左右方向に往復駆動されるようになっている。
【0019】
図5に示されているように、左右方向移動台31の水平部材の上面には一対のガイドレール33、33が左右に配されて前後方向に延在するように敷設されており、両ガイドレール33、33には前後方向移動台34が前後方向に往復移動し得るように摺動自在に支承されている。前後方向移動台34の片側端部にはガイド孔35が左右方向に延在するように開設されている。
左右方向移動台31の一側面にはブラケット36が固定されており、ブラケット36にはロータリーアクチュエータ37が垂直方向上向きに据え付けられている。ロータリーアクチュエータ37のアーム37aの先端に垂直に立脚されたガイドピン38は前後方向移動台34のガイド孔35に摺動自在に嵌入されている。すなわち、前後方向移動台34はロータリーアクチュエータ37の往復回動によって前後方向に往復駆動されるように構成されている。
【0020】
図5に示されているように、前後方向移動台34の上面にはブラケット39が垂直に立脚されており、ブラケット39の正面にはウエハ出し入れ口22に若干大きめに相似する長方形の平盤形状に形成されたクロージャ40が垂直に固定されている。すなわち、クロージャ40は前後方向移動台34によって前後方向に往復移動されるようになっているとともに、左右方向移動台31によって左右方向に往復移動されるようになっている。
つまり、クロージャ40は前進移動してそのベース側を向いた主面(以下、正面とする。)がベース21の背面に当接することにより、ウエハ出し入れ口22を閉塞し得るように構成されている。
【0021】
なお、図5に示されているように、ベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の周りには、ポッド10の押し付け時にポッド10のウエハ出し入れ口10bおよびベース21のウエハ出し入れ口22をシールするパッキン54が敷設されている。
クロージャ40の正面における外周縁近傍には、クロージャ40の押し付け時にベース21のウエハ出し入れ口22をシールするためのパッキン55が敷設されている。
クロージャ40の正面における外周縁のパッキン55の内側には、ドア10aに付着した異物がウエハ移載装置15の設置室側へ侵入するのを防止するためのパッキン56が敷設されている。
【0022】
図4に示されているように、クロージャ40の上下方向の中心線上には、一対の解錠軸41、41が左右に配置されて前後方向に挿通されて回転自在に支承されている。両解錠軸41、41におけるクロージャ40のベースと反対側の主面(以下、背面とする。)側の端部には、一対のプーリー42、42が固定されており、両プーリー42、42間には連結片44を有するベルト43が巻き掛けられている。クロージャ40の背面における一方のプーリー42の上側には、エアシリンダ装置45が水平に据え付けられており、エアシリンダ装置45のピストンロッドの先端はベルト43の連結片44に連結されている。すなわち、両解錠軸41、41はエアシリンダ装置45の伸縮作動によって往復回動されるように構成されている。
図2に示されているように、両解錠軸41、41のクロージャ40の正面側の端部にはドア10aの錠前(図示せず)に係合する係合部41aが直交して突設されている。
【0023】
図2に示されているように、クロージャ40の正面における一方の対角付近には、ドア10aの表面に吸着する吸着具(吸盤)46が二個、吸込口部材47によってそれぞれ固定されている。吸着具46を固定する吸込口部材47は中空軸によって構成されており、吸込口部材47の背面側端は給排気路(図示せず)に接続されている。
吸込口部材47の正面側端の外径は、ドア10aに没設された位置決め穴(図示せず)に嵌入するように設定されている。すなわち、吸込口部材47はドア10aの位置決め穴に嵌入することによってドア10aを機械的に支持するための支持ピンを兼用するように構成されている。
【0024】
図4および図6に示されているように、ベース21の背面にはポッドオープナ筐体48が上下のポッドオープナ20、20のクロージャ40、40を収容するように敷設されている。ポッドオープナ筐体48のクロージャ収容室49の水平方向の長さは、クロージャ40が横に移動してウエハ出し入れ口22を完全に開口させるのを許容し得るように設定されている。
ポッドオープナ筐体48の背面壁における上下のウエハ出し入れ口22、22に対向する位置には、ポッドオープナ筐体48のウエハ出し入れ口50、50がそれぞれ開設されており、各ウエハ出し入れ口50はクロージャ40の背面部を挿入し得る大きさの四角形の開口に形成されている。
ポッドオープナ筐体48の背面側の側壁の一部には、不活性ガスとしての窒素ガス51をクロージャ収容室49に供給する給気管52がクロージャ収容室49に連通するように接続されており、ポッドオープナ筐体48の正面壁を形成するベース21の一部には、クロージャ収容室49に供給された窒素ガス51を排気する排気管53がクロージャ収容室49に連通するように接続されている。
【0025】
図4および図6に示されているように、ポッドオープナ筐体48におけるウエハ出し入れ口50の片脇には、移動手段としてのロータリーアクチュエータ60が回転軸(図示せず)が垂直方向になるように据え付けられており、回転軸には略ヘ字形状に形成されたアーム61の一端が水平面内で一体回動するように固定されている。アーム61の先端部にはブラケット62が固定されており、ブラケット62にはマッピング装置70と、ウエハが所定の範囲内に収納されていることを検出する検出手段としてのウエハ位置ずれ検出装置80とが設置されている。
【0026】
図7に示されているように、マッピング装置70は互いに対向する一対の投光部71と受光部72とを複数組備えており、複数組の投光部71と受光部72とが櫛歯形状に垂直に整列された状態でブラケット62に設置されている。投光部71と受光部72との組数は、ポッド10のウエハ収納室10cに形成された保持溝10dの段数と対応するように設定されている。
投光部71および受光部72の隣り合う組同士のピッチは、ポッド10の保持溝10dのピッチと対応するように設定されている(通例、10mm程度)。かつまた、各組における投光部71と受光部72との間隔は、ウエハ9の厚さとウエハ移載装置15のツィーザ15aの厚さとの和よりも大きくなるように設定されている。
各組において、投光部71によって投光された検出光73は受光部72によって直接的に受光されるように構成されており、投光部71と受光部72との間に相対的に挿入されたウエハ9によって投光部71からの検出光73が遮られたか否かにより、ウエハ9の有無を検出するように構成されている。つまり、投光部71と受光部72とはウエハ9に非接触にてウエハ9の有無を検出するように構成されている。
【0027】
図8に示されているように、ウエハ位置ずれ検出装置80は複数個の限定反射形センサ81を備えており、複数個の限定反射形センサ81が積み重ねられて垂直に整列された状態でブラケット62に設置されている。限定反射形センサ81の個数は、ポッド10のウエハ収納室10cに形成された保持溝10dの段数と対応するように設定されている。
隣り合う限定反射形センサ81、81同士のピッチは、ポッド10の保持溝10dのピッチと対応するように設定されている。かつまた、各限定反射形センサ81はマッピング装置70の各組における投光部71と受光部72との間にそれぞれ対応するように配置されている。
限定反射形センサ81は投光部82と受光部83とを備えており、投光部82および受光部83から検出対象物であるウエハ9の外周面までの所定の距離および幅だけを検出範囲とし、投光部82から投光された検出光84が所定の距離および幅の検出範囲にある検出対象物で反射した反射光85を受光部83によって受光するように構成されている。すなわち、限定反射形センサ81は投光部82と受光部83とが隣り合って略同じ方向を向くように、かつ、検出対象物であるウエハ9に非接触になるように配置されており、投光部82から投光された検出光84が検出対象物の対向面であるウエハ9の外周面で反射し、その反射した反射光85が受光部83によって受光されたか否かにより、検出対象物であるウエハ9の外周面が予め設定された範囲内に存在するか否かを判断するように構成されている。
限定反射形センサ81の投光部82および受光部83は、検出対象物であるウエハ9の主面に対して並行方向に配置することが好ましい。これにより、限定反射形センサ81はウエハ9をより一層広範囲で検出することができる。
特に、ウエハ9の位置ずれは、ウエハ9の主面に対して垂直方向への位置ずれにより、ツィーザ15aとウエハ9との接触等の問題を起こすことになる。投光部82および受光部83を並行方向に配置すると、並行方向に広範囲で検出することができる。他方、ウエハ9の主面に対して垂直方向は検出範囲が狭くなる。つまり、並行方向は広範囲に、垂直方向は狭い範囲とすることにより、ウエハ9の垂直方向のずれをより一層広範囲で適正に検出することができる。
限定反射形センサ81の投光部82は、ポッド10内の正しい所望の位置にある時のウエハ9の中心に向かってウエハ9の法線に沿って投光するように配置することが好ましい。この投光法により、ポッド10内の正しい所望の位置にある場合には、投光部82がウエハ9の外周面正対することになり、ウエハ9の外周面からの反射光85は正しい所望の反射をし、受光部83によって検出される。しかし、ウエハ9が位置ずれを起こしていると、反射角がずれたりして所望の反射をせず、また、反射がないことによって受光しない。つまり、この投光法により、正しい位置か否かの位置ずれをより一層正しく検出することができる。
なお、詳細は後述するが、ウエハ位置ずれ検出装置80は検出対象物であるウエハ9の両脇に配置することが望ましい。このようにウエハ位置ずれ検出装置80をウエハ9の両脇に配置することにより、例えば、ウエハ9の片側部分だけが正常な範囲に位置し、反対の片側だけが異常の範囲に位置する場合であっても、ウエハ9の位置ずれを適正かつ確実に検出することができる。
【0028】
次に、前記構成に係るバッチ式CVD装置の作用を説明する。
なお、説明を理解し易くするために、以下の説明においては、一方のウエハ授受ポート13を上段ポートAとし、他方のウエハ授受ポート13を下段ポートBとする。
【0029】
図1に示されているように、筐体2内のポッドステージ11にポッド出し入れ口から搬入されたポッド10は、ポッド搬送装置14によって指定されたポッド棚12に適宜に搬送されて一時的に保管される。
ポッド棚12に保管されたポッド10はポッド搬送装置14によって適宜にピックアップされ、上段ポートAに搬送されて、ポッドオープナ20の載置台27に図3に示されているように移載される。
この際、ポッド10の下面に没設された位置決め凹部が載置台27の三本の位置決めピン28とそれぞれ嵌合されることにより、ポッド10と載置台27との位置合わせが実行される。
【0030】
ポッド10が載置台27に載置されて位置合わせされると、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21の方向に押され、図9(a)に示されているように、ポッド10の開口側端面がベース21の正面におけるウエハ出し入れ口22の開口縁辺部に押し付けられる。また、ポッド10がベース21の方向に押されると、クロージャ40の解錠軸41がドア10aの鍵穴に挿入される。
続いて、負圧がクロージャ40の吸込口部材47に給排気路から供給されることにより、ポッド10のドア10aが吸着具46によって真空吸着保持される。この状態で、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動されると、解錠軸41はドア10a側の錠前に係合した係合部41aによってドア10aの錠前の施錠を解除する。
【0031】
次に、前後方向移動台34がロータリーアクチュエータ37の作動によってベース21から離れる方向に移動されると、図9(b)に示されているように、クロージャ40はポッド10のドア10aを真空吸着保持した状態で、ポッドオープナ筐体48のクロージャ収容室49に後退することにより、ドア10aをポッド10のウエハ出し入れ口10bから抜き出す。このドア10aの抜き出しにより、ポッド10のウエハ出し入れ口10bは開放された状態になる。
【0032】
クロージャ40が前後方向移動台34によってさらに後退されると、図9(c)に示されているように、クロージャ40はポッドオープナ筐体48の背面壁に開設されたウエハ出し入れ口50にクロージャ収容室49の内側から挿入することにより、クロージャ収容室49を密封した状態になる。
【0033】
クロージャ40がクロージャ収容室49を密封すると、クロージャ収容室49には窒素ガス51が給気管52と排気管53とによって流通される。クロージャ収容室49を流通する窒素ガス51は、ウエハ出し入れ口10bからポッド10のウエハ収納室10cに流入した後に流出することにより、ウエハ収納室10cの大気を排気するとともに、ウエハ収納室10cに充満する。すなわち、ポッドオープナ筐体48のクロージャ収容室49およびポッド10のウエハ収納室10cにおける大気中の空気や水分は、窒素ガス51によってパージ(追放)された状態になる。
【0034】
ポッドオープナ筐体48のクロージャ収容室49やポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス51によってパージされると、左右方向移動台31がエアシリンダ装置32の作動によってウエハ出し入れ口22から離れる方向に移動される。これにより、ドア10aを吸着具46によって真空吸着保持したクロージャ40は、図10で参照されるように、クロージャ収容室49をベース21のウエハ出し入れ口22から離間した退避位置に移動される。
このクロージャ40の退避移動によって、ポッドオープナ筐体48のウエハ出し入れ口50、ベース21のウエハ出し入れ口22およびポッド10のウエハ出し入れ口10bがそれぞれ開放された状態になる。
この際、予め、ポッドオープナ筐体48のクロージャ収容室49およびポッド10のウエハ収納室10cが窒素ガス51によってパージされているため、大気中の空気や水分がベース21の背面側空間であるウエハ移載装置15の設置空間に放出されることはなく、それらによるウエハ移載装置15の移載空間の汚染や酸素濃度の上昇等の弊害の発生は防止されることになる。
【0035】
クロージャ40が退避されると、図10に示されているように、ブラケット62がロータリーアクチュエータ60の作動によって移動されて、マッピング装置70およびウエハ位置ずれ検出装置80がポッド10のウエハ収納室10cへポッドオープナ筐体48のウエハ出し入れ口50、ベース21のウエハ出し入れ口22およびポッド10のウエハ出し入れ口10bを潜り抜けて挿入される。
【0036】
ポッド10のウエハ収納室10cへ挿入されたマッピング装置70は、図7に示されている作動により、ウエハ収納室10cに収納された複数枚のウエハ9を検出することによってマッピングする。ここで、マッピングとはポッド10内のウエハ9の所在位置すなわちウエハ9がどの保持溝10dにあるのかを確認することである。
例えば、図7の一段目および三段目に示されている場合のように、投光部71によって投光された検出光73がウエハ9によって遮られて受光部72によって受光されない場合には、ウエハ9はその受光部72に対応する一段目および三段目の保持溝10dに保持されていると、マッピング装置70のコントローラ(図示せず)は判断する。
例えば、図7の二段目に示されている場合のように、投光部71によって投光された検出光73が受光部72によって直接的に受光された場合には、ウエハ9はその受光部72に対応する二段目の保持溝10dに保持されていないと、マッピング装置70のコントローラは判断する。
【0037】
ポッド10のウエハ収納室10cへ挿入されたウエハ位置ずれ検出装置80の各限定反射形センサ81は、図8に示されている作動により、各保持溝10dにそれぞれ保持されたウエハ9の位置ずれが発生しているか否かをそれぞれ判断する。
例えば、図8(a)の一段目に示されている場合のように、限定反射形センサ81の投光部82によって投光された検出光84が、図8(b)に示されているように、ウエハ9の外周面で反射し、その反射光85が受光部83によって受光された場合には、一段目の保持溝10dのウエハ9は予め設定された範囲内に保持されていると、限定反射形センサ81のコントローラ(図示せず)は、判断する。
例えば、図8(a)の二段目および三段面に示されている場合のように、限定反射形センサ81の投光部82によって投光された検出光84が、図8(a)に示されているように、ウエハ9の外周面で入射しないか、入射しても反射光85が受光部83によって受光されない場合には、二段目および三段目の保持溝10dのウエハ9は予め設定された範囲内に保持されていないと、二段目および三段目の限定反射形センサ81、81のコントローラは判断する。
ウエハ9が予め設定された範囲内に保持されていない判断が限定反射形センサ81によって出力された場合には、その判断が出力された保持溝10dのウエハ9に対するウエハ移載装置15のツィーザ15aによる移載作業を停止する指令を、ウエハ位置ずれ検出装置80のコントローラ(図示せず)はウエハ移載装置15のコントローラ(図示せず)に送信する。
この指令により、ウエハ移載装置15はツィーザ15aによるウエハ9の移載作業を停止するために、ツィーザ15aがウエハ9に衝突することによって発生するウエハ9やツィーザ15aの損傷事故等は未然に防止することができる。
【0038】
以上の作業が終了すると、マッピング装置70およびウエハ位置ずれ検出装置80が設置されたブラケット62は、ロータリーアクチュエータ60の作動によって元の待機位置に戻される。
【0039】
マッピング装置70およびウエハ位置ずれ検出装置80が待機位置に戻されると、上段ポートAにおいて開けられたポッド10の複数枚のウエハ9はボート8に、ウエハ移載装置15のツィーザ15aによって順次装填(チャージング)されて行く。
但し、ウエハ移載装置15のツィーザ15aによる移載作業の停止をウエハ位置ずれ検出装置80によって指定されたウエハ9については、ウエハ移載装置15はツィーザ15aによる移載作業を停止する。
【0040】
この上段ポートAにおけるウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業中に、下段ポートBにはポッド棚12から別のポッド10がポッド搬送装置14によって搬送されて移載され、ポッドオープナ20による前述した位置決め作業からマッピング作業およびウエハ位置ずれ検出作業までが同時に進行される。
このように下段ポートBにおいてマッピング作業迄が同時進行されていると、上段ポートAにおけるウエハ9のボート8への装填作業の終了と同時に、下段ポートBに待機させたポッド10についてのウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業を開始することができる。すなわち、ウエハ移載装置15はポッド10の入替え作業についての待ち時間を浪費することなくウエハ移載作業を連続して実施することができるため、バッチ式CVD装置1のスループットを高めることができる。
【0041】
翻って、上段ポートAにおいてウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業が終了すると、空ポッド閉じ作業が前述したポッド開放作業と略逆の順序で実行される。すなわち、クロージャ40に保持されて退避されていたドア10aがウエハ出し入れ口22の位置に左右方向移動台31によって戻され、前後方向移動台34によってウエハ出し入れ口22に挿入されてポッド10のウエハ出し入れ口10bに嵌入される。
ドア10aがウエハ出し入れ口10bに嵌入されると、解錠軸41がエアシリンダ装置45によって回動され、ドア10aの錠前を施錠する。ドア10aの施錠が終了すると、給排気路から吸込口部材47へ供給されていた負圧が切られて大気に開放されることにより、吸着具46の真空吸着保持が解除される。
続いて、載置台27がエアシリンダ装置26によってベース21から離れる方向に移動され、ポッド10の開口側端面がベース21の正面から離座される。
【0042】
ウエハ出し入れ口10bがドア10aにより閉塞された上段ポートAの空のポッド10は、ポッド棚12にポッド搬送装置14によって搬送されて一時的に戻される。
空のポッド10が上段ポートAから搬出されると、次の実ポッド10が上段ポートAに搬入される。
以降、上段ポートAおよび下段ポートBにおいて、前述した作業が必要回数繰り返される。
【0043】
以上のようにして上段ポートAと下段ポートBとに対するウエハ移載装置15によるウエハ9のボート8への装填作業が交互に繰り返されることによって、複数枚のウエハ9がポッド10からボート8に装填されて行く。
この際には、バッチ処理するウエハ9の枚数(例えば、百枚〜百五十枚)は一台のポッド10に収納されたウエハ9の枚数(例えば、二十五枚)よりも何倍も多いため、複数台のポッド10が上段ポートAと下段ポートBとにポッド搬送装置14によって交互に繰り返し供給されることになる。
【0044】
予め指定された複数枚のウエハ9がポッド10からボート8に移載されると、ウエハ授受ポート13にとっては実質的に待機中となる成膜処理がプロセスチューブ4において実行される。すなわち、ボート8はボートエレベータ7によって上昇されてプロセスチューブ4の処理室に搬入される。ボート8が上限に達すると、ボート8を保持したシールキャップの上面の周辺部がプロセスチューブ4をシール状態に閉塞するため、処理室は気密に閉じられた状態になる。
プロセスチューブ4の処理室が気密に閉じられた状態で、所定の真空度に排気管6によって真空排気され、ヒータユニット3によって所定の温度に加熱され、所定の原料ガスがガス導入管5によって所定の流量だけ供給される。これにより、所定の膜がウエハ9に形成される。
そして、予め設定された処理時間が経過すると、ボート8がボートエレベータ7によって下降されることにより、処理済みウエハ9を保持したボート8が元の装填および脱装ステーション(以下、装填ステーションという。)に搬出される。
【0045】
以上の成膜処理の実行中に上段ポートAおよび下段ポートBにおいては、他方のボート8に保持された処理済みウエハ9の脱装(ディスチャージング)作業が同時進行されている。すなわち、装填ステーションに搬出されたボート8の処理済みウエハ9はウエハ移載装置15によってピックアップされ、上段ポートAに予め搬入されてドア10aを外されて開放された空のポッド10に収納される。
上段ポートAでの空のポッド10への所定の枚数のウエハ9の収容が終了すると、クロージャ40に保持されて退避されていたドア10aがウエハ出し入れ口22の位置に左右方向移動台31によって戻され、前後方向移動台34によってウエハ出し入れ口22に挿入されポッド10のウエハ出し入れ口10bに嵌入される。
【0046】
処理済みウエハ9を収納してポッド棚12に戻されたポッド10はポッド棚12からポッドステージ11へポッド搬送装置14によって搬送される。
ポッドステージ11に移載されたポッド10はポッド出し入れ口から筐体2の外部に搬出されて、洗浄工程や成膜検査工程等の次工程へ搬送される。
そして、新規のウエハ9を収納したポッド10が筐体2内のポッドステージ11にポッド出し入れ口から搬入される。
【0047】
以降、以上説明したウエハ装填脱装方法および成膜方法が繰り返されて、CVD膜がウエハ9にバッチ式CVD装置1によって形成され、半導体素子を含む集積回路がウエハ9に作り込まれる半導体装置の製造方法における成膜工程が実施されて行く。
【0048】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0049】
1) ウエハが所定の範囲内に収納されているか否かを判断するウエハ位置ずれ検出装置をポッドオープナに設置することにより、ウエハが所定の範囲内に収納されていないことを検出することができるので、ウエハ移載装置のツィーザが位置ずれしたウエハに衝突する等の事故の発生を未然に防止することができる。
特に、ポッドはポッド内でウエハが水平に保持された状態で搬送される場合が多く、オープンカセットに比べて、ウエハがポッド内で位置ずれを起こし易い。また、ポッドはドアがあるために、ポッド内におけるウエハの位置の状態等が確認し難く、さらに、ウエハが位置ずれを起こしているか目視でも確認し難いし、ポッドの外部から位置ずれを検出する方法も限られている。
しかし、前記した実施の形態においては、ドアを外し、マッピング装置がウエハの有無を検出すると同時に、ウエハの位置ずれを検出するように構成することにより、ツィーザによってウエハをポッドから払い出す直前で、ウエハの位置ずれを検出することができるので、効率よく短時間で、ツィーザとウエハとの接触事故の発生等を未然に防止することができる。
【0050】
2) ウエハ位置ずれ検出装置をマッピング装置と共に移動するように構成することにより、ウエハのマッピング作業とウエハ位置ずれ検出作業とを同時に進行させることができるので、ウエハ位置ずれ検出装置とマッピング装置とを別々に移動するように構成した場合に比べて、作業の総時間を短縮することができる。
【0051】
3) また、ウエハ位置ずれ検出装置をマッピング装置と共に移動するように構成することにより、ウエハ位置ずれ検出装置とマッピング装置とを別々に移動するように構成した場合に比べて、部品点数や組付工数を低減させることができるので、バッチ式CVD装置の製造コストの増加を抑制することができる。
【0052】
4) ウエハ位置ずれ検出装置はウエハが正常な範囲内に収納されている場合に出力を発生するように設定することにより、万一、限定反射形センサが故障して出力されない異常時にツィーザによるウエハの移載作業を停止することができるので、限定反射形センサの故障時におけるウエハの損傷事故等も未然に防止することができる。
この出力設定の場合には、ウエハ位置ずれ検出装置はウエハが保持溝に保持されていない場合にも出力しない状況になるが、マッピング装置がウエハは保持溝に保持されていないと判断することにより、ウエハ移載装置によるウエハの移載作業は停止されるために、何ら支障はない。
【0053】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0054】
ウエハ位置ずれ検出装置およびマッピング装置は、図11(a)、(b)、(c)に示されているように構成してもよい。
図11(a)に示された実施の形態においては、二台のウエハ位置ずれ検出装置80、80がマッピング装置70の片脇におけるウエハ9の外周近傍の互いに離間した左右の二箇所にそれぞれ位置し、左右のウエハ位置ずれ検出装置80、80がウエハの外周面が予め設定された範囲内に存在するか否かをそれぞれ判断するように構成されている。
図11(b)に示された実施の形態においては、一台のウエハ位置ずれ検出装置80がウエハ9の外周近傍の互いに離間した左右の二箇所を順番に水平移動して、左右の二箇所においてウエハ位置ずれ検出装置80がウエハの外周面が予め設定された範囲内に存在するか否かを判断するように構成されている。
図11(a)に示された実施の形態および図11(b)に示された実施の形態においては、次の表1に示された関係によって、ウエハの有無およびウエハの位置ずれが判定される。
表1に示されているように判定するものと構成すると、ウエハ9の片側部分が正常な範囲に位置し、反対の片側が異常の範囲に位置する場合であっても、ウエハの位置ずれを適正かつ確実に検出することができ、さらに、マッピング装置70のウエハ有無検出情報とも比較判定することにより、カセット内のウエハの配置状態を確実に検出することができる。
図11(c)に示された実施の形態においては、二台のマッピング装置70、70がウエハ9の外周近傍における一台のウエハ位置ずれ検出装置80の両脇にそれぞれ配置されている。
また、図11(c)に示された実施の形態においては、次の表2に示された関係によって、ウエハの有無およびウエハの位置ずれが判定される。
表2に示されているように判定するものと構成すると、ウエハ9の片側にて位置ずれが検出することができ、さらに、ウエハ9の両側のマッピング装置70のウエハ有無検出情報とも比較判定することにより、カセット内のウエハの配置状態を確実に検出することができる。
なお、表1および表2において、マッピング装置の状態の「ON」は「ウエハ有り」、同「OFF」は「ウエハ無し」を意味し、ウエハ位置ずれ検出装置80の状態の「ON」は「ウエハの外周面が予め設定された範囲内に存在する」、同「OFF」は「ウエハの外周面が予め設定された範囲内に存在しない」を意味する。また、判定の「良」は「ウエハ有りで、かつ、ウエハは傾いていない」を意味し、同「不良」は「ウエハ無しまたは/およびウエハは傾いている」を意味する。
【表1】

【表2】

【0055】
ウエハ位置ずれ検出装置はマッピング装置と共に移動するように構成するに限らず、マッピング装置とは別の移動手段によって移動するように構成してもよい。
【0056】
ウエハ位置ずれ検出装置を移動させる移動手段としては、ロータリーアクチュエータを使用した構成を採用するに限らず、XYロボット等を使用した構成を採用してもよい。
【0057】
キャリアはポッドに限らず、オープンカセットであってもよい。
【0058】
前記実施の形態ではバッチ式縦形拡散・CVD装置の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基板処理装置全般に適用することができる。
【0059】
さらに、基板処理装置をその他の基板処理装置や洗浄装置等とも接続するとともに、各基板処理装置や洗浄装置等との関連する情報を管理するような上位集中端末装置等に接続し、事前にカセット内に収納されているウエハの数やウエハが保持されている保持溝はどこかの等の情報を収集しておき、実際にカセット内のウエハをマッピング装置およびウエハ位置ずれ検出装置によって検知し、その検知情報と比較することにより、検知情報の正確性をより一層高めるように構成してもよい。
例えば、カセットの下から1〜14段目が「ウエハ有り」で、カセットの下から15〜25段目が「ウエハ無し」であるとの情報を上位集中端末装置から得ている場合であって、実際に、マッピング装置の検知した情報は、1〜15段目が「ウエハ有り」で、16〜25段目が「ウエハ無し」である場合には、上位集中端末装置からの情報とマッピング装置の情報とが「15段目」において相違することになる。この場合には、たとえ、ウエハ位置ずれ検出装置の検知情報によって「位置ずれを起こしていない」と判断された場合であっても、「異常」と判断し、ウエハをカセットからツィーザによって取り出すことを止めて、そのまま、カセットを基板処理装置の外に払い出すように設定してもよい。
また、上位集中端末装置からの情報とマッピング装置からの検知情報とが完全に一致する場合であっても、ウエハ位置ずれ検出装置の検知情報によって「位置ずれを起こしている」と、判断された場合には「異常」と判断し、ウエハをカセットからツィーザによって取り出すことを止めて、そのまま、カセットを基板処理装置の外に払い出すように設定してもよい。
【0060】
本発明の好ましい態様を付記する。
(1)基板を処理する処理室と、
前記複数枚の基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
投光手段から所定の範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、受光手段がその反射した検出光を受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する検出手段と、
前記検出手段を前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の周縁側部のそれぞれに対向する位置に移動させる移動手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
(2)基板を処理する処理室と、
前記複数枚の基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
前記複数枚の基板を所定の間隔で保持する基板保持具と、
前記基板を基板保持部で保持して前記キャリアと前記基板保持具との間で搬送する基板搬送装置と、
投光手段から前記基板保持部が挿入可能な範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、受光手段がその反射した検出光を受光することにより、前記基板保持部が挿入可能な範囲内に前記基板が収納されていることを検出する検出手段と、
前記検出手段を前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数の前記基板枚の周縁側部のそれぞれに対向する位置に移動させる移動手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【符号の説明】
【0061】
1…バッチ式CVD装置(基板処理装置)、2…筐体、3…ヒータユニット、4…プロセスチューブ、5…ガス導入管、6…排気管、7…ボートエレベータ、8…ボート、9…ウエハ(基板)、10…ポッド(キャリア)、10a…ドア、10b…ウエハ出し入れ口、10c…ウエハ収納室、10d…保持溝、11…ポッドステージ、12…ポッド棚、13…ウエハ授受ポート、14…ポッド搬送装置、15…ウエハ移載装置、15a…ツィーザ(保持部)、16…ボートチェンジャ、20…ポッドオープナ(開閉装置)、21…ベース、22…ウエハ出し入れ口、23…支持台、24…ガイドレール、25…ガイドブロック、26…エアシリンダ装置、27…載置台、28…位置決めピン、30…ガイドレール、31…左右方向移動台、32…エアシリンダ装置、32a…ピストンロッド、33…ガイドレール、34…前後方向移動台、35…ガイド孔、36…ブラケット、37…ロータリーアクチュエータ、37a…アーム、38…ガイドピン、39…ブラケット、40…クロージャ、41…解錠軸、41a…係合部、42…プーリー、43…ベルト、44…連結片、45…エアシリンダ装置、46…吸着具、47…吸込口部材、48…ポッドオープナ筐体、49…クロージャ収容室、50…ウエハ出し入れ口、51…窒素ガス(不活性ガス)、52…給気管、53…排気管、54、55、56…パッキン、60…ロータリーアクチュエータ(移動手段)、61…アーム、62…ブラケット、70…マッピング装置、71…投光部、72…受光部、73…検出光、80…ウエハ位置ずれ検出装置(検出手段)、81…限定反射形センサ、82…投光部、83…受光部、84…検出光、85…反射光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
複数枚の前記基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
一体的に構成された投光手段と受光手段とを有する検出手段であって、前記キャリア内において前記投光手段から所定の範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、前記受光手段がその反射した検出光を受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する検出手段と、
前記検出手段を前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の周縁側部のそれぞれに対向する位置に移動させる移動手段と、を備えており、
前記移動手段としてのロータリーアクチュエータの回転軸が垂直方向になるように据え付けられており、前記回転軸にはアームの一端が水平方向に回動するように固定されており、前記アームの先端には前記検出手段が設置されている、基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理する処理室と、
複数枚の前記基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
前記キャリアに対向する位置に移動されるブラケットと、
櫛歯形状に垂直に整列された複数組の第一投光部と第一受光部とが前記ブラケットに設置され、前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の所在位置を確認するマッピング装置と、
を備えている基板処理装置。
【請求項3】
基板を処理する処理室と、
複数枚の前記基板を所定の間隔で収納するキャリアと、
前記キャリアに対向する位置に移動されるブラケットと、
櫛歯形状に垂直に整列された複数組の第一投光手段と第一受光手段とが前記ブラケットに設置され、前記キャリア内において前記第一投光手段から所定の範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、その反射した検出光を前記第二受光手段が受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する基板位置ずれ検出装置と、
を備えている基板処理装置。
【請求項4】
一体的に構成された投光手段と受光手段とを有する検出手段が、複数枚の基板を所定の間隔で収納するキャリア内において前記投光手段から所定の範囲内に投光されて前記基板の周縁側部で反射した検出光を前記受光手段が受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する検出ステップと、
前記検出手段が前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の周縁側部のそれぞれに対向する位置に水平方向に回動移動される移動ステップと、
を備えている基板検出方法。
【請求項5】
複数組の第一投光部と第一受光部とが櫛歯形状に垂直に整列されたマッピング装置が設置されたブラケットが、複数枚の前記基板を所定の間隔で収納したキャリアに対向する位置に移動される移動ステップと、
前記マッピング装置が前記キャリア内に所定の間隔で収納された複数枚の前記基板の所在位置を確認するマッピングステップと、
を備えている基板検出方法。
【請求項6】
複数組の第一投光手段と第一受光手段とが櫛歯形状に垂直に整列された基板位置ずれ検出装置が設置されたブラケットが、複数枚の前記基板を所定の間隔で収納したキャリアに対向する位置に移動される移動ステップと、
前記基板位置ずれ検出装置が前記キャリア内において前記第一投光手段から所定の範囲内に投光した検出光が前記基板の周縁側部で反射し、その反射した検出光を前記第一受光手段が受光することにより、前記基板が所定の範囲内に収納されていることを検出する基板位置ずれ検出ステップと、
を備えている基板検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−15530(P2012−15530A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162370(P2011−162370)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2005−78948(P2005−78948)の分割
【原出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】