基板処理装置及び基板処理方法及び減圧乾燥装置
【課題】スリットノズルを使用するスピンレス塗布法において塗布処理直後に行われる減圧乾燥処理の効率性の向上および処理時間の短縮化を実現するとともに、減圧乾燥処理後のレジスト塗布膜の膜質均一性を向上させる。
【解決手段】レジスト塗布ユニットで当該基板Gに対して右辺GRから左辺GLに向かって塗布走査する第2モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、減圧乾燥処理中に左側のガス噴出部102を選択的に作動させて右側のガス噴出部104を止めておくような気流制御が行われる。この場合、手前(左側)の排気ポート100a,100bの排気流路が閉められ、向かい側(右側)の排気ポート100c,100dを通じてチャンバ内の排気が行われる。
【解決手段】レジスト塗布ユニットで当該基板Gに対して右辺GRから左辺GLに向かって塗布走査する第2モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、減圧乾燥処理中に左側のガス噴出部102を選択的に作動させて右側のガス噴出部104を止めておくような気流制御が行われる。この場合、手前(左側)の排気ポート100a,100bの排気流路が閉められ、向かい側(右側)の排気ポート100c,100dを通じてチャンバ内の排気が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板上にスピンレス方式で塗布液の膜を形成して直後に塗布液膜を減圧雰囲気中で乾燥させる基板処理装置および基板処理方法ならびに減圧乾燥の処理に用いる減圧乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程には、スリット状の吐出口を有する長尺形のスリットノズルを相対的に走査してガラス基板等の被処理基板上にレジスト液を塗布するスピンレスの塗布法がよく用いられている。
【0003】
この種のスピンレス塗布法は、たとえば特許文献1に開示されるように、水平な載置台上に載置された基板とスリットノズルの吐出口との間に微小なギャップを設定し、スリットノズルを基板面と平行つまり水平な一方向に移動させる。そうすると、スリットノズルから帯状に吐出されたレジスト液が基板上で上記ギャップからノズル後方に平坦に延びる。こうして、スリットノズルの移動方向において基板上の一端から他端までレジスト液の塗布膜が形成される。
【0004】
また、スピンレス塗布法の別形式として、たとえば特許文献2に開示されるような浮上搬送方式も知られている。この方式は、浮上ステージ上で基板を空中に浮かせたまま水平な一方向に搬送し、ステージ上方に配置したスリットノズルにその直下を通過する基板に向けてレジスト液を帯状に吐出させることにより、基板の搬送方向において基板上の一端から他端までレジスト液の塗布膜を形成するようにしている。
【0005】
また、FPDパネルの製造においては、フォトリソグラフィー工程の中で基板上にレジスト液を塗布した後にレジスト塗布膜中の残存溶剤を蒸発させる加熱処理つまりプリベーキングを即座に行うと、加熱処理ユニット内で基板と接触するリフトピン、支持ピンまたはバキューム溝等からの熱的な影響を受けて溶剤の蒸発が不均一になり、レジスト塗布膜に転写跡等のムラが現れるという問題がある。そこで、プリベーキングに先立ち、基板上のレジスト塗布膜に残存している溶剤を減圧雰囲気下で一定段階まで揮発させることでレジスト塗布膜の表面に固い層(一種の変質層)を形成する減圧乾燥処理が行われている(たとえば特許文献3)。このようにレジスト塗布膜の内部またはバルク部を液状に保ちつつ表層部のみを固化する減圧乾燥法によれば、プリベーキングの際にバルクレジストの流動を抑制して乾燥斑の発生を低減できるだけでなく、現像処理時のレジストの非溶解性または膜減り量を少なくし、レジスト解像度が高くなる効果も得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−156255
【特許文献2】特開2005−244155
【特許文献3】特開2000−181079
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような減圧乾燥処理を行う減圧乾燥装置においては、FPD用の基板が大型化するに伴って、チャンバの容積が増加し、チャンバ内の圧力を所望の真空圧力値まで下げるための真空引きの所要時間が長くなるだけでなく、基板上に形成されるレジスト塗布膜の液量も増加しているために、減圧雰囲気中で塗布膜中の溶剤を揮発させるのに必要な処理時間も長くなることが、処理効率またはタクト面で課題となっている。
【0008】
また、上記のように基板に対して長尺形のスリットノズルを相対的に移動(塗布走査)させるスピンレス塗布法においては、基板上の一端から他端まであたかも絨毯を敷くようにしてレジスト塗布膜が一方向(塗布走査方向)に一定速度でスキャン形成されるため、レジスト塗布膜の中で塗布始端部と塗布終端部との間に一定(たとえば30秒程度)の時間差が生じる。この塗布走査方向における基板上のレジスト塗布膜形成の時間差は、減圧乾燥処理が開始するまでの待ち時間の差つまり自然乾燥時間の差となり、これが減圧乾燥処理後もレジスト塗布膜の膜質均一性を下げる原因となっている。
【0009】
具体的には、基板上のレジスト塗布膜の中で塗布始端部は塗布終端部よりもたとえば30秒間長く自然乾燥に晒されてそのぶん乾燥度が進行しているので、減圧乾燥処理後も塗布始端部の方が塗布終端部よりも相対的に乾燥固化の度合いを強めたまま現像処理を受け、レジストパターンの残膜率が面内均一にならないことがある。
【0010】
他面、レジスト塗布処理を終了してから減圧乾燥処理を開始するまでの時間が経ち過ぎると、基板上のレジスト塗布膜の中で塗布終端部よりも自然乾燥時間が長かった塗布始端部の方が却って減圧乾燥の効果を得られ難くなり、減圧乾燥処理後は塗布始端部よりも塗布終端部の方が相対的に表層部の乾燥固化の度合いを強めることとなり、この場合も現像後のレジストパターンの残膜率が面内均一にならないことがある。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、スリットノズルを使用するスピンレス塗布法において塗布処理直後に行われる減圧乾燥処理の効率性の向上および処理時間の短縮化を実現するとともに、減圧乾燥処理後のレジスト塗布膜の膜質均一性を向上させる基板処理装置および基板処理方法ならびに減圧乾燥装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の基板処理装置は、スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板面と平行な所定の塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に塗布液の膜を形成する塗布処理部と、前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板面と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる減圧乾燥処理部とを有し、前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる。
【0013】
本発明の基板処理方法は、スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板と平行な塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に塗布液の膜を形成する第1の工程と、前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる第2の工程とを有し、前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる。
【0014】
上記基板処理装置または上記基板処理方法においては、減圧乾燥処理中に基板上で基板面と平行な一方向に不活性ガスの気流を通過させることで、基板上の塗布液膜からの溶剤の蒸発を一層促進できるだけでなく、基板に対して塗布走査方向と気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせることにより、塗布走査方向における基板上の各部の塗布膜形成から減圧乾燥開始までの経過時間(自然乾燥時間)のばらつきを補償して、基板上で塗布液膜の膜質を面内均一にすることができる。
【0015】
本発明の減圧乾燥装置は、被処理基板上に形成された塗布液の膜を減圧雰囲気の中で乾燥させるための減圧乾燥装置であって、前記基板を出し入れ可能な収容する減圧可能なチャンバと、前記チャンバ内を真空排気するための排気部と、前記チャンバ内で前記基板を水平に載置する載置部と、前記チャンバ内の前記載置部に載置されている前記基板上の処理空間に所定の気流通過方向で不活性ガスの気流を形成するために、前記気流通過方向と平行な方向で互いに向き合って前記載置部の両側に設けられる第1および第2のガス噴射部と、前記第2のガス噴射部がオフ状態のまま前記第1のガス噴射部がオンになって、前記第1のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を第1の向きに流れる第1の気流形成モードと、前記第1のガス噴射部がオフ状態のまま前記第2のガス噴射部がオンになって、前記第2のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を前記第1の向きとは逆の第2の向きに流れる第2の気流形成モードとの間で切り換え可能な気流制御部とを有する。
【0016】
上記減圧乾燥装置においては、減圧乾燥処理中に基板上の処理空間に所定の気流通過方向で不活性ガスの気流を形成することにより、基板上の塗布液膜からの溶剤の蒸発を一層促進できるだけでなく、上記第1の気流形成モードまたは上記第2の気流形成モードのいずれかに切り換えることにより、塗布走査方向における基板上の各部の塗布膜形成から減圧乾燥開始までの経過時間(自然乾燥時間)のばらつきを補償して、基板上で塗布液膜の膜質を面内均一にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の基板処理装置、基板処理方法または減圧乾燥装置によれば、上記のような構成および作用により、スリットノズルを使用するスピンレス塗布法において塗布処理直後に行われる減圧乾燥処理の効率性の向上および処理時間の短縮化を実現するとともに、減圧乾燥処理後のレジスト塗布膜の膜質均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の適用できる一構成例としてのレジスト塗布現像処理システムのレイアウトを示す平面図である。
【図2】実施形態における塗布プロセス部の構成を示す平面図である。
【図3】実施形態における減圧乾燥ユニットに備えられる給気/排気システムの一構成例を示す略平面図である。
【図4】実施形態における減圧乾燥ユニットの構成を示す横断面図である。
【図5A】実施形態における減圧乾燥ユニットの構成(減圧乾燥中)を示す図4のI-I線断面図である。
【図5B】実施形態における減圧乾燥ユニットの構成(基板のローディング/アンローディング時)を示す図4のII-II線断面図である。平面図である。
【図6】実施形態における減圧乾燥ユニットの一作用を示す略平面図である。
【図7】実施形態における減圧乾燥ユニットの一作用を示す略平面図である。
【図8】実施形態における減圧乾燥ユニットの一作用を示す略平面図である。
【図9】別の実施形態におけるレジスト塗布現像処理システムのレイアウトを示す平面図である。
【図10】別の実施形態における減圧乾燥ユニットの構成を示す横断面図である。
【図11A】図10の減圧乾燥ユニットの一作用を示す縦断面図である。
【図11B】図10の減圧乾燥ユニットの一作用を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0020】
図1に、本発明の基板処理装置、基板処理方法および減圧乾燥装置を適用できる一構成例としてのレジスト塗布現像処理システムを示す。このレジスト塗布現像処理システム10は、クリーンルーム内に設置され、たとえば矩形のガラス基板を被処理基板Gとし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベーク等の一連の処理を行うものである。露光処理は、このシステムに隣接して設置される外部の露光装置12で行われる。
【0021】
このレジスト塗布現像処理システム10は、中心部に横長のプロセスステーション(P/S)16を配置し、その長手方向(X方向)両端部にカセットステーション(C/S)14とインタフェースステーション(I/F)18とを配置している。
【0022】
カセットステーション(C/S)14は、システム10のカセット搬入出ポートであり、基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容可能なカセットCを水平な一方向(Y方向)に4個まで並べて載置できるカセットステージ20と、このステージ20上のカセットCに対して基板Gの出し入れを行う搬送機構22とを備えている。搬送機構22は、基板Gを1枚単位で保持できる搬送アーム22aを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するプロセスステーション(P/S)16側と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0023】
プロセスステーション(P/S)16は、水平なシステム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のプロセスラインA,B上に各処理部をプロセスフローまたは工程の順に配置している。
【0024】
より詳細には、カセットステーション(C/S)14側からインタフェースステーション(I/F)18側へ向う上流部のプロセスラインAには、搬入ユニット(IN PASS)24、洗浄プロセス部26、第1の熱的処理部28、搬出ユニット(OUT PASS)30、塗布プロセス部32、搬入ユニット(IN PASS)34、第2の熱的処理部36および搬出ユニット(OUT PASS)38が上流側からこの順序で一列に配置されている。
【0025】
より詳細には、搬入ユニット(IN PASS)24はカセットステーション(C/S)14の搬送機構22から未処理の基板Gを受け取り、所定のタクトでプロセスラインAに投入するように構成されている。
【0026】
洗浄プロセス部26は、上流側から順にエキシマUV照射ユニット(E−UV)40およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)42を設けており、第1の熱的処理部28は、上流側から順にアドヒージョンユニット(AD)44および冷却ユニット(COL)46を設けている。これらの処理ユニット40〜46はいずれも平流し方式の処理ユニットとして構成されており、搬入ユニット(IN PASS)24から搬出ユニット(OUT PASS)30まで上記処理ユニット40〜46を縦断して延びるたとえばコロ搬送路からなる第1の往路平流し搬送部48が敷設されている。
【0027】
塗布プロセス部32は、上流側から順にレジスト塗布ユニット(CT)50および減圧乾燥ユニット(VD)52を設けている。レジスト塗布ユニット(CT)は、平流し方式の処理ユニットではなく、ステージ上に基板Gを載置して固定し、その上方で長尺型のスリットノズルを水平な所定方向に走査移動させて基板G上にレジスト液の塗布膜を形成するように構成されている。減圧乾燥ユニット(VD)52も、平流し方式の処理ユニットではなく、減圧可能なチャンバ内に設けられたステージの上に基板Gを載置して固定し、チャンバ内を真空排気して基板G上のレジスト塗布膜を減圧雰囲気中で乾燥させるように構成されている。塗布プロセス部32内の構成および作用は、図2〜図7を参照して後に詳述する。
【0028】
第2の熱的処理部36に配置されるプリベークユニット(PRE−BAKE)54および冷却ユニット(COL)56はいずれも平流し方式の処理ユニットとして構成されており、搬入ユニット(IN PASS)34から搬出ユニット(OUT PASS)38まで上記処理ユニット54,56を縦断して延びるたとえばコロ搬送路からなる第2の往路平流し搬送部58が敷設されている。
【0029】
一方、インタフェースステーション(I/F)18側からカセットステーション(C/S)14側へ向う下流部または復路のプロセスラインBには、搬入ユニット(図示せず)、現像ユニット(DEV)60、ポストベークユニット(POST−BAKE)62、冷却ユニット(COL)64、検査ユニット(AP)66および搬出ユニット(OUT−PASS)68がこの順序で一列に配置されている。ここで、上記搬入ユニット(図示せず)は、インタフェースステーション(I/F)18の周辺装置(TITLER/EE)76の階下に、つまり現像ユニット(DEV)60と同じ階に設けられている。
【0030】
現像ユニット(DEV)60、ポストベークユニット(POST−BAKE)62、冷却ユニット(COL)64および検査ユニット(AP)66はいずれも平流し方式の処理ユニットとして構成されており、上記搬入ユニット(図示せず)から搬出ユニット(OUT PASS)68まで上記処理ユニット60〜66を縦断して延びるたとえばコロ搬送路からなる復路平流し搬送部70が敷設されている。
【0031】
インタフェースステーション(I/F)18は、上記往路および復路のブロセスラインA,Bの処理ユニットや隣接する露光装置12と基板Gのやりとりを行うための搬送装置72を有し、この搬送装置72の周囲または隣にロータリステージ(R/S)74および周辺装置76を配置している。ロータリステージ(R/S)74は、基板Gを水平面内で回転させるステージであり、露光装置12との受け渡しに際して長方形の基板Gの向きを変換するために用いられる。周辺装置76は、たとえばタイトラー(TITLER)や周辺露光装置(EE)等を含んでいる。
【0032】
このレジスト塗布現像処理システム10においては、カセットステーション(C/S)14と往路のブロセスラインAとインタフェースステーション(I/F)18と復路のブロセスラインBとに囲まれてX方向にまっすぐ延びる中庭のスペースNSが設けられている。この中庭スペースNSには、往路のブロセスラインAにおける搬出ユニット(OUT PASS)30→レジスト塗布ユニット(CT)50→減圧乾燥ユニット(VD)52→搬入ユニット(IN PASS)34の区間で基板Gを逐次転送するための搬送装置78が設けられている。
【0033】
ここで、このレジスト塗布現像処理システム10における1枚の基板Gに対する全工程の処理手順を説明する。先ず、カセットステーション(C/S)14において、搬送機構22が、ステージ20上のいずれか1つのカセットCから基板Gを1枚取り出し、その取り出した基板Gをプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインA側の搬入ユニット(IN PASS)24に搬入する。搬入ユニット(IN PASS)24から基板Gは第1の往路平流し搬送路48上に移載または投入される。
【0034】
第1の往路平流し搬送路48に投入された基板Gは、最初に洗浄プロセス部26においてエキシマUV照射ユニット(E−UV)40およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)42により紫外線洗浄処理およびスクラビング洗浄処理を順次施される。スクラバ洗浄ユニット(SCR)42は、平流し搬送路48上を水平に移動する基板Gに対して、ブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより基板表面から粒子状の汚れを除去し、その後にリンス処理を施し、最後にエアーナイフ等を用いて基板Gを乾燥させる。スクラバ洗浄ユニット(SCR)42における一連の洗浄処理を終えると、基板Gはそのまま第1の往路平流し搬送路48を下って第1の熱的処理部28を通過する。
【0035】
第1の熱的処理部28において、基板Gは、最初にアドヒージョンユニット(AD)44で蒸気のHMDSを用いるアドヒージョン処理を施され、被処理面を疎水化される。このアドヒージョン処理の終了後に、基板Gは冷却ユニット(COL)46で所定の基板温度まで冷却される。この後、基板Gは搬出ユニット(OUT PASS)30に入り、ここで停止する。
【0036】
直後に、中庭スペースNSから搬送装置78が搬出ユニット(OUT PASS)30にアクセスして、第1の往路平流し搬送路48から基板Gを搬出する。次いで、搬送装置78は、中庭スペースNS内を移動して、基板Gを隣のレジスト塗布ユニット(CT)50に搬入する。
【0037】
レジスト塗布ユニット(CT)50では、後述するように、ステージ上に載置された基板Gの上でスリットノズルを基板面と平行な一方向に水平移動(走査)させて、基板Gの上面(被処理面)にレジスト液の塗布膜を形成する。
【0038】
レジスト塗布ユニット(CT)50でレジスト塗布処理が終了すると、搬送装置78が、レジスト塗布ユニット(CT)50から基板Gを搬出し、中庭スペースNS内を移動して、基板Gを隣の減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入する。
【0039】
減圧乾燥ユニット(VD)52では、後述するように、減圧可能なチャンバ内のステージ上に基板Gを水平に載置して、チャンバ内を真空排気により減圧するとともに、基板G上の処理空間で不活性ガスを一方向に流して、基板G上のレジスト塗布膜を乾燥させる。
【0040】
搬送装置78は、減圧乾燥処理の済んだ基板Gを減圧乾燥ユニット(VD)52から搬出し、中庭スペースNS内を移動して、搬入ユニット(IN−PASS)34に基板Gを搬入する。この直後に、第2の往路平流し搬送部58でコロ搬送が開始され、基板Gは平流しでプロセスラインAの下流側に搬送され、第2の熱的処理部36を通過する。
【0041】
第2の熱的処理部36において、基板Gは、最初にプリベークユニット(PRE−BAKE)54でレジスト塗布後の熱処理または露光前の熱処理としてプリベーキングを受ける。このプリベーキングによって、基板G上のレジスト膜中に残留していた溶剤が蒸発して除去され、基板に対するレジスト膜の密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)56で所定の温度まで冷却される。しかる後、基板Gは、第2の往路平流し搬送部58の終点の搬出ユニット(OUT−PASS)38からインタフェースステーション(I/F)18の搬送装置72に引き取られる。
【0042】
インタフェースステーション(I/F)18において、基板Gは、ロータリステージ74でたとえば90度の方向変換を受けてから周辺装置76の周辺露光装置(EE)に搬入され、そこで基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光を受けた後に、隣の露光装置12へ送られる。
【0043】
露光装置12では基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置12からインタフェースステーション(I/F)18に戻されると、先ず周辺装置76のタイトラー(TITLER)に搬入され、そこで基板上の所定の部位に所定の情報が記される。しかる後に、基板Gは、搬送装置72より周辺装置76の階下の搬入ユニット(図示せず)に搬入される。
【0044】
こうして、基板Gは、今度は復路のプロセスラインBに敷設されている復路平流し搬送路70のコロ搬送路に乗ってカセットステーション(C/S)14に向かって移動する。
【0045】
最初の現像ユニット(DEV)60において、基板Gは、平流しで搬送される間に現像、リンス、乾燥の一連の現像処理を施される。
【0046】
現像ユニット(DEV)60で一連の現像処理を終えた基板Gは、そのまま復路平流し搬送路70に乗せられたまま第3の熱的処理部(62,64)および検査ユニット(AP)66を順次通過する。第3の熱的処理部において、基板Gは、最初にポストベークユニット(POST−BAKE)62で現像処理後の熱処理つまりポストベーキングを受ける。このポストベーキングによって、基板G上のレジスト膜に残留していた現像液や洗浄液が蒸発して除去され、基板に対するレジストパターンの密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)64で所定の基板温度に冷却される。検査ユニット(AP)66では、基板G上のレジストパターンについて非接触の線幅検査や膜質・膜厚検査等が行われる。
【0047】
搬出ユニット(OUT PASS)68は、復路平流し搬送路70から全工程の処理を終えてきた基板Gを受け取って、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22へ渡す。カセットステーション(C/S)14側では、搬送機構22が、搬出ユニット(OUT PASS)68から受け取った処理済の基板Gをいずれか1つ(通常は元)のカセットCに収容する。
【0048】
このレジスト塗布現像処理システム10においては、塗布プロセス部32に本発明の基板処理装置および方法を適用できるとともに、減圧乾燥ユニット(VD)52に本発明の減圧乾燥装置を適用することができる。
【0049】
以下、図2〜図11につき、本発明の一実施形態における塗布プロセス部30および減圧乾燥ユニット(VD)52の構成および作用を詳細に説明する。
【0050】
図2に、塗布プロセス部30およびその周囲のレイアウト構成を示す。図中、プロセスラインAの方向(X方向)を基準として、矩形基板Gの前辺をGF,左辺をGL,右辺をGR,後辺をGBで示している。
【0051】
レジスト塗布ユニット(CT)50は、図示のように、基板Gを水平に載置して保持するステージ80と、このステージ80上に載置される基板Gの上面(被処理面)にスリットノズル82を用いてスピンレス法でレジスト液を塗布する塗布処理部84と、塗布処理を行わない間にスリットノズル82のレジスト液吐出機能を回復して次に備えるためのノズルリフレッシュ部86等を有する。また、ステージ80上で基板Gのローディング/アンローディングを行うための昇降移動可能なリフトピン85も備わっている。
【0052】
スリットノズル82は、ステージ80上の基板GをX方向で一端(前辺GF)から他端(後辺GB)までカバーできるスリット状の吐出口を有する長尺型のノズルであり、レジスト液供給源(図示せず)に接続されている。塗布処理部84は、塗布処理時にスリットノズル82をステージ80の上方でY方向に水平移動させるノズル移動機構88を有する。このノズル移動機構88は、スリットノズル82を水平に支持する逆さコ字状の支持体90と、この支持体90をY方向で双方向に直進移動させる直進駆動部92とを有する。
【0053】
スリットノズル82がレジスト液を帯状に吐出しながら、ステージ80上方でY方向に水平移動(走査)することで、基板G上にY方向の一端から他端まであたかもじゅうたんを敷くように所望の膜厚でレジスト液の塗布膜が形成される。
【0054】
この実施形態では、基板G上の塗布走査方向に関して、基板Gの左辺GLから右辺GRに向かって塗布走査する第1モードと、反対に基板Gの右辺GRから左辺GLに向かって塗布走査する第2モードの2通りが可能であり、どちらのモードも選択できるようになっている。したがって、たとえば、或るロットの基板Gに対して、常に第1モードもしくは第2モードだけを選択することも可能であり、あるいは基板1枚毎に第1モードと第2モードとを交互に切り換えることも可能である。いずれの場合でも、このレジスト塗布現像処理システム10の全体を統括制御するシステムコントローラ(図示せず)あるいは塗布処理部32内の各部を制御する局所コントローラ(図示せず)が、各々の基板Gについて第1モードもしくは第2モードのどちらが選択または実行されたかを管理している。
【0055】
減圧乾燥ユニット(VD)52は、チャンバ本体を構成する固定構造の下部チャンバ96と上蓋を構成する可動の上部チャンバ(図2では図示せず)とを有し、たとえば昇降手段を有するチャンバ開閉機構(図示せず)により上部チャンバを上げ下げして、下部チャンバ96に対する密着(チャンバ密閉)と分離(チャンバ解放)を切り替えられるようにしている。
【0056】
下部チャンバ96はほぼ四角形で、中心部には基板Gを水平に載置して支持するためのステージ98が配設され、チャンバ底面の四隅に排気ポート100a,100b,100c,100dがそれぞれ設けられている。各排気ポート100a〜100dは排気管(図2では図示せず)を介して真空ポンプ(図2では図示せず)に通じている。チャンバを密閉して、該真空ポンプによりチャンバ内の圧力を所望の真空圧力値まで減圧できるようになっている。
【0057】
さらに、減圧乾燥ユニット(VD)52の下部チャンバ96には、上記レジスト塗布ユニット(CT)50における塗布走査方向(Y方向)に対応させて、ステージ98を挟んでY方向の両側(側壁付近)に一対のガス噴射部102,104が設けられている。
【0058】
搬送装置78は、基板Gを1枚単位で保持できる搬送アーム78aを有する搬送ロボットからなり、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、中庭スペースNS内を移動して、基板搬入口または搬出口が中庭スペースNSに臨んでいる全てのユニット、特にレジスト塗布ユニット(CT)50、減圧乾燥ユニット(VD)52、第1の往路平流し搬送部48の搬出ユニット(OUT−PASS)30、第2の往路平流し搬送部58の搬入ユニット(IN−PASS)34にアクセス可能であり、それらのユニットと基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0059】
図2において、第1の往路平流し搬送部48は、複数のローラを一定間隔で取り付けた棒状のコロ106を搬送方向(X方向)に一定間隔で並べてコロ搬送路を形成し、モータおよび伝動機構等からなるコロ駆動部(図示せず)により各コロ106を回転駆動し、コロ搬送路上で基板Gを搬送するように構成されている。冷却ユニット(COL)46内には、コロ搬送で通過する基板Gを熱交換によって、または冷風を当てて所定温度に冷却する冷却機構(図示せず)が設けられている。搬出ユニット(OUT−PASS)30は、第1の往路平流し搬送部48のコロ搬送路を平流しで搬送されてきた基板Gを停止または静止させる構成、および搬送装置78の搬送アーム78aに基板Gを受け取らせる構成になっている。なお、第1の往路平流し搬送部48においては、コロ搬送路が複数の区間に分割され、各区間毎に独立したコロ駆動部が設けられてもよい。
【0060】
同様に、第2の往路平流し搬送部58も、複数のローラを一定間隔で取り付けた棒状のコロ108を搬送方向(X方向)に一定間隔で並べてコロ搬送路を形成し、モータおよび伝動機構等を有するコロ駆動部(図示せず)により各コロ108を回転駆動し、コロ搬送路上で基板Gを搬送するように構成されている。プリベークユニット(PRE−BAKE)54内には、コロ搬送で通過する基板Gを熱交換によって、または熱風を当てて所定温度に加熱するヒータ機構(図示せず)が設けられている。搬入ユニット(IN−PASS)34は、搬送装置78の搬送アーム78aより基板Gを受け取れる構成、および基板Gを受け取った直後に平流しの搬送(コロ搬送)を開始できる構成になっている。第2の往路平流し搬送部58においても、コロ搬送路が複数の区間に分割され、各区間毎に独立したコロ駆動部が設けられてもよい。
【0061】
次に、図3〜図7につき、この実施形態における減圧乾燥ユニット(VD)52の構成および作用を詳細に説明する。
【0062】
図3に、この減圧乾燥ユニット(VD)52における給気/排気システムの一構成例を示す。
【0063】
給気システムにおいては、下部チャンバ96内のガス噴出部102,104が、不活性ガスタンク110および送風機(またはコンプレッサ)112を有する共通の不活性ガス供給源114にそれぞれガス供給管116(1),116(2)を介して接続されている。ガス供給管116(1),116(2)の途中には、流量調整弁118(1),118(2)および開閉弁120(1),120(2)がそれぞれ設けられている。使用される不活性ガスは、たとえば窒素ガスである。
【0064】
排気システムにおいては、下部チャンバ96内の排気ポート100a,100b,100c,100dが、真空ポンプ122および圧力制御弁124を有する共通の排気装置126にそれぞれ排気管128(1),128(2),128(3),128(4)を介して接続されている。排気管128(1),128(2),128(3),128(4)の途中には、開閉弁130(1),130(2),130(3),130(4)がそれぞれ設けられている。
【0065】
後述するように、この減圧乾燥ユニット(VD)52においては、減圧乾燥処理中に乾燥促進用の不活性ガスを流すときは、基板G上の処理空間PS(図5A)に一方向の気流を形成するために、ガス噴出部102,104のいずれか一方だけを選択的に作動させて他方を止めておくような制御を行う。
【0066】
より詳しくは、ガス噴出部102を選択的に作動させる場合、給気システムは、開閉弁120(1)をオン状態にするとともに、開閉弁120(2)をオフ状態にする。排気システムは、ガス噴出部102の向かい側の排気ポート100c,100dを通じてチャンバ内の排気を行う(つまり不活性ガスの気流を引き込む)ように開閉弁130(3),130(4)をそれぞれオン状態にするとともに、手前の排気ポート100a,100bが気流を引き込まないように開閉弁130(1),130(2)をそれぞれオフ状態にする。
【0067】
反対に、ガス噴出部104を選択的に作動させる場合、給気システムは、開閉弁120(2)をオン状態にするとともに、開閉弁120(1)をオフ状態にする。排気システムは、ガス噴出部104の向かい側の排気ポート100a,100bを通じてチャンバ内の排気を行う(つまり不活性ガスの気流を引き込む)ように開閉弁130(1),130(2)をそれぞれオン状態にするとともに、手前の排気ポート100c,100dが気流を引き込まないように開閉弁130(3),130(4)をそれぞれオフ状態にする。
【0068】
図4、図5Aおよび図5Bに、この減圧乾燥ユニット(VD)52の具体的な構成例を示す。図4は下部チャンバ96内の構成を示す横断面図、図5Aは図4のI−I線についての縦断面図、図5Bは図4のII−II線についての縦断面図である。
【0069】
この減圧乾燥ユニット(VD)52の下部チャンバ96には、ステージ98上に載置される基板Gの周囲で減圧乾燥中に不活性ガスの気流を制御するための気流制御部132が設けられている。この気流制御部132は、X方向において相対向するチャンバ側壁98(2),96(4)の内側でステージ98の両側(好ましくはステージ98にできるだけ近接した位置)に配置される気流案内壁(第1の気流案内部)134A,134Bと,ステージ98上に載置される基板Gの下の空間を覆う矩形の気流遮蔽壁(第2の気流案内部)136とを有している。
【0070】
気流案内壁134A,134Bは、図4に示すように、Y方向において、ステージ98の片側(図の左側)に設けられているガス噴射部102,排気ポート100a,100bの近くの位置からステージ98の反対側(右側)のガス噴射部104および排気ポート100c,100d近くの位置まで延びている。高さ方向(Z方向)において、気流案内壁134A,134Bは、図5Bに示すように、下部チャンバ96の底面から上部チャンバ138の下面(天井)またはその近くまで達するサイズを有している。
【0071】
気流遮蔽壁136は、ステージ98の周囲で下部チャンバ96の底面からステージ98上に載置されている基板Gの裏面(下面)の周縁部に接する高さか、またはその近くの高さまで鉛直方向に延びている(図5A、図5B)。
【0072】
ステージ98は、鉛直方向に延びる昇降駆動軸140を介して昇降アクチエータ142に結合されており、搬送装置78(図2)と基板Gの受け渡しを行う時、あるいは減圧乾燥処理におけるチャンバ天井(上部チャンバ138の下面)との距離またはクリアランスを調節するために昇降移動できるようになっている。昇降駆動軸140は、下部チャンバ96の底壁を上下移動可能に貫通し、この貫通孔はシール部材144によって真空封止されている。
【0073】
次に、図4〜図7につき、この実施形態における減圧乾燥ユニット(VD)52の作用を説明する。
【0074】
上記のように、この減圧乾燥ユニット(VD)52の隣のレジスト塗布ユニット(CT)50では、スリットノズル82を基板G上で一方向(Y方向)に移動させて、基板G上にレジスト液の塗布膜RM(図6、図7)を形成する。このレジスト塗布処理の終了後に、搬送装置78が、レジスト塗布ユニット(CT)50から減圧乾燥ユニット(VD)52へ基板Gを転送する。この際、減圧乾燥ユニット(VD)52では、上部チャンバ138を開けて、ステージ98を下部チャンバ96の中から上に持ち上げて基板Gを受け取る(図5B)。
【0075】
次に、減圧乾燥ユニット(VD)52では、ステージ98を下部チャンバ96の中に降ろし、上部チャンバ138を閉めてチャンバを密閉し、給気/排気システム(図3)を作動させる。図5Aに示すように、密閉されたチャンバ内で、ステージ98上に載置されている基板Gとチャンバ天井面(上部チャンバ138の下面)との間に所望のクリアランスを有する処理空間PSが形成される。
【0076】
下部チャンバ96内でステージ98上に載置されている基板Gは、図4に示すように、X方向において基板Gの前辺GFおよび後辺GBが気流案内壁134A,134Bにそれぞれ対向し,Y方向において基板Gの左辺GLおよび右辺GRがガス噴射部102,104にそれぞれ対向するような向きになる。
【0077】
減圧乾燥ユニット(VD)52のコントローラは、レジスト塗布ユニット(CT)50において当該基板Gに対して選択された塗布走査方向の向きに関するモード(第1モード/第2モード)を把握しており、その選択されたモードと他の所定の判定条件とを組み合わせた判定基準にしたがって、減圧乾燥中に処理空間PSに流す不活性ガスの気流の向きを決定し、そのような指向性を有する不活性ガスの気流が得られるように給気/排気システム(図3)を制御する。
【0078】
ここで、上記判定条件は、当該基板Gに対してレジスト塗布ユニット(CT)50で選択された塗布走査方向の向きと、この減圧乾燥ユニット(VD)52で当該基板Gに対して選択する気流通過方向の向きを逆にするべきか、それとも同じにするべきかを決定するための判定基準であり、通常は、使用するレジストの種類、レジスト塗布処理の終了から減圧乾燥処理の開始までの経過時間(自然乾燥時間)等を総合したものであり、レシピ情報の1つとしてシステムコントローラから判定結果(指令)を与えられてよい。
【0079】
一例として、減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入された当該基板Gについては、気流通過方向の向きを塗布走査方向の向きとは逆向きにすべきことをシステムコントローラから指示されたものとする。
【0080】
この場合、レジスト塗布ユニット(CT)50では当該基板Gに対して右辺GRから左辺GLに向かって塗布走査する第2モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、図6に示すように、減圧乾燥処理中に左側のガス噴出部102を選択的に作動させて右側のガス噴出部104を止めておくような気流制御が行われる。
【0081】
左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、上記したように、手前(左側)の排気ポート100a,100bの排気流路が閉められ、向かい側(右側)の排気ポート100c,100dを通じてチャンバ内の排気が行われる。
【0082】
ガス噴出部102より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、図5Aに示すように、気流遮蔽壁136によって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、図6に示すように、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの左辺GLから右辺GRに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると(通過すると)、基板Gよりも低い方へ流れ落ちながら排気ポート100a,100bに吸い込まれる。
【0083】
また、レジスト塗布ユニット(CT)50では当該基板Gに対して左辺GLから右辺GRに向かって塗布走査する第1モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、図7に示すように、減圧乾燥処理中に右側のガス噴出部104を選択的に作動させて左側のガス噴出部102を止めておくような気流制御が行われる。
【0084】
右側のガス噴出部104を選択的に作動させるときは、上記したように、手前(右側)の排気ポート100c,100dの排気流路が閉められ、向かい側(左側)の排気ポート100a,100bを通じてチャンバ内の排気が行われる。
【0085】
ガス噴出部104より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、気流遮蔽壁136によって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、図7に示すように、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの右辺GRから左辺GLに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると(通過すると)、基板Gよりも低い方へ流れ落ちながら排気ポート100a,100bに吸い込まれる。
【0086】
このように減圧乾燥処理中に基板G上で基板面と平行な一方向に不活性ガスの気流を形成することで、基板G上のレジスト塗布膜RMからの有機溶媒の蒸発が一層促進され、減圧乾燥時間の短縮化を図れる。このような減圧気流乾燥による溶剤蒸発促進作用は、基板G上の各位置で一定ではなく、通常は蒸気の少ない気流の上流側ほど大きく、蒸気の多い気流の下流側ほど小さい。
【0087】
したがって、上記のように左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、基板G上のレジスト塗布膜RMに対する減圧気流乾燥の効果は、基板Gの右辺GR(塗布走査の始端)で最も小さく、基板Gの左辺GL(塗布走査の終端)に向かうほど大になる。しかし、これによって、塗布走査方向で生じるレジスト塗布膜形成の時間差(ばらつき)ひいては自然乾燥時間の差(ばらつき)を結果的にキャンセルし、基板G上でレジスト塗布膜RMの膜質を面内均一にすることができる。
【0088】
また、上記のように右側のガス噴出部104を選択的に作動させるときは、基板G上のレジスト塗布膜RMに対する減圧気流乾燥の効果は、基板Gの左辺GL(塗布走査の始端)で最も小さく、基板Gの右辺GR(塗布走査の終端)に向かうほど大になる。しかし、これによって、塗布走査方向で生じるレジスト塗布膜形成の時間差(ばらつき)ひいては自然乾燥時間の差(ばらつき)を結果的にキャンセルし、基板G上でレジスト塗布膜RMの膜質を面内均一にすることができる。
【0089】
別の例として、減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入された当該基板Gについては、気流通過方向の向きを塗布走査方向の向きと同じにすべきことをシステムコントローラから指示されることもある。
【0090】
このレジスト塗布現像処理システム10では、レジスト塗布処理の終了後に、搬送装置78がレジスト塗布ユニット(CT)50から基板Gを搬出し、中庭スペースNSを通って隣の減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入する。減圧乾燥ユニット(VD)52では、基板Gを搬入した後に上部チャンバ138を下部チャンバ96に被せてチャンバを密閉し、それから真空排気を開始するので、レジスト塗布ユニット(CT)50における基板Gのアンローディング、搬送装置78による基板搬送、あるいは減圧乾燥ユニット(VD)52における基板Gのローディングに時間がかかると、レジスト塗布処理の終了から減圧乾燥処理を開始するまでの時間(自然乾燥時間)が長くなりすぎることがある。そうすると、基板G上のレジスト塗布膜RMの中で塗布終端部よりも自然乾燥時間の長い塗布始端部の方が却って減圧乾燥の効果を得られ難くなり、減圧乾燥処理後は塗布始端部よりも塗布終端部の方が相対的に表層部の乾燥固化の度合いを強めることとなり、この場合も現像後のレジストパターンの残膜率が面内均一にならないことがある。
【0091】
このような状況ないし現象が認められる場合は、気流通過方向の向きを塗布走査方向の向きと同じにした方が、塗布走査方向で生じるレジスト塗布膜形成の時間差(ばらつき)ひいては自然乾燥時間の差(ばらつき)を結果的にキャンセルし、基板G上でレジスト塗布膜RMの膜質を面内均一にすることができる。
【0092】
したがって、レジスト塗布ユニット(CT)50では当該基板Gに対して左辺GLから右辺GRに向かって塗布走査する第1モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、図8に示すように、減圧乾燥処理中に左側のガス噴出部102を選択的に作動させて右側のガス噴出部104を止めておくような気流制御が行われる。
【0093】
以上本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で他の実施形態あるいは種種の変形が可能である。
【0094】
たとえば、上述した実施形態では、基板Gに対して塗布走査方向と気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせるために、減圧乾燥ユニット(VD)52に基板G上の処理空間PSに形成する不活性ガスの気流の向きを切り換える機構および機能を持たせた。
【0095】
しかし、別の実施形態として、減圧乾燥ユニット(VD)52内に基板G上の処理空間PSに形成する不活性ガスの気流の向きが切り換え不可で常時一定であっても、図9に示すように、中庭スペースNSにロータリステージ(R/S)146を設置することで、上述した実施形態と同等の気流切り換え制御を実現することができる。
【0096】
この場合、ロータリステージ(R/S)146は、基板Gの向きを水平面内で所定の回転角度(図9のレイアウトでは180°)だけ回転させる。したがって、レジスト塗布処理を終えた基板Gをレジスト塗布ユニット(CT)50から搬出した後、ロータリステージ(R/S)146を経由して基板Gの向きを180°反転させてから減圧乾燥ユニット(VD)52内に搬入することも可能であれば、ロータリステージ(R/S)146を経由せずに、したがって基板Gの向きを反転させずに、減圧乾燥ユニット(VD)52内に搬入することも可能であり、いずれのケースも選択できる。これによって、基板Gに対して塗布走査方向と気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかを選択して合わせることができる。
【0097】
また、上述した実施形態では、減圧乾燥ユニット(VD)52の排気ポート100a〜100dを下部チャンバ96の四隅に配置した。しかし、別の実施例として、図10に示すように、基板Gの下に、つまり気流遮蔽壁136の内側に、1つまたは複数の排気ポート148(1),148(2)を配置する構成も可能である。
【0098】
この場合、気流遮蔽壁136を4辺の板壁136F,136B,136L,136Bに分割し、気流案内壁134A,134Bと対向(隣接)する板壁136F,136Bを固定し、ガス噴射部102,104と対向する板壁136L,136Rを昇降可能とする構成を好適に採ることができる。ここで、昇降可能な可動板壁136L,136Rは、図11Aおよび図11Bに示すように、下部チャンバ96の下に配置される昇降アクチエータ150L,150Rによってそれぞれ昇降駆動される。
【0099】
かかる構成において、左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、図11Aに示すように、一方(左側)の可動板壁136Lをチャンバ底面よりも上方へ(好ましくは基板Gの裏面に届く高さまで)突出または上昇させるとともに、反対側(右側)の可動板壁136Rをチャンバ底面の下に退避させる。排気ポート148(1),148(2)は、それぞれ排気管152(1),152(2)を介して共通の排気装置126(図3)に接続されており、すべての排気流路を開(オン)状態にする。
【0100】
この場合、ガス噴出部102より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、左側の可動板壁136Lによって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの左辺GLから右辺GRに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると、退避中の右側可動板壁136Rの上を通って基板Gの下に回り、排気ポート148(1),148(2)に吸い込まれる。
【0101】
また、右側のガス噴出部104を選択的に作動させるときは、図11Bに示すように、右側の可動板壁136Rをチャンバ底面よりも上方へ(好ましくは基板Gの裏面に届く高さまで)突出または上昇させるとともに、反対側(左側)の可動板壁136Lをチャンバ底面の下に退避させる。排気ポート148(1),148(2)の排気流路はすべて開(オン)状態にする。
【0102】
この場合、ガス噴出部104より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、右側の可動板壁136Rによって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの右辺GRから左辺GLに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると、退避中の左側可動板壁136Lの上を通って基板Gの下に回り、排気ポート148(1),148(2)に吸い込まれる。
【0103】
なお、減圧乾燥ユニット(VD)52においては、減圧乾燥処理中に、処理空間PSにおける一方向の不活性ガス気流形成を任意のタイミングで開始または停止すること、途中で不活性ガスの気流の向きを反転させること、気流の流量を可変すること等が可能である。したがって、たとえば、チャンバの四隅に排気ポートを配置する構成においても、減圧乾燥処理の開始直後あるいは終了間際に、全ての排気ポートを開(オン)状態にして不活性ガスの整流を行わない排気を行うことも可能である。特に、減圧乾燥処理の終了時に密閉状態のチャンバ内を不活性ガスでパージングするときは、左右双方(全部)のガス噴出部104より不活性ガスを同時に噴出させ、全部の排気ポート100a〜100d(148(1),148(2))を介して急速排気を行ってもよい。
【0104】
また、図示省略するが、気流案内壁134A,134Bと対向(隣接)する板壁136F,136Bも昇降可能に構成することができる。この場合、たとえば、左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、板壁136L,136F,136Bの高さ位置を可変することで、減圧気流乾燥の重要なパラメータの1つである処理空間PSのクリアランスを可変することができる。
【0105】
さらに、減圧乾燥ユニット(VD)52において、チャンバ自体の構造や形状はもちろん、チャンバ内外の各部、特にステージ、ガス噴出部、排気ポートの構造、個数、配置位置等も、上述した実施形態のものに限らず、種種の変形が可能である。
【0106】
上述したレジスト塗布現像処理システムにおいては、塗布処理部32のレジスト塗布ユニット(CT)50および/または減圧乾燥ユニット(VD)52を平流し方式の処理ユニットとして構成することも可能であり、そのような平流し方式のレジスト塗布ユニットおよび/または減圧乾燥ユニットにも本発明は適用可能である。
【0107】
本発明における被処理基板はLCD用のガラス基板に限るものではなく、他のフラットパネルディスプレイ用基板や、半導体ウエハ、CD基板、フォトマスク、プリント基板等も可能である。塗布液もレジスト液に限らず、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の処理液または薬液も可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板上にスピンレス方式で塗布液の膜を形成して直後に塗布液膜を減圧雰囲気中で乾燥させる基板処理装置および基板処理方法ならびに減圧乾燥の処理に用いる減圧乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程には、スリット状の吐出口を有する長尺形のスリットノズルを相対的に走査してガラス基板等の被処理基板上にレジスト液を塗布するスピンレスの塗布法がよく用いられている。
【0003】
この種のスピンレス塗布法は、たとえば特許文献1に開示されるように、水平な載置台上に載置された基板とスリットノズルの吐出口との間に微小なギャップを設定し、スリットノズルを基板面と平行つまり水平な一方向に移動させる。そうすると、スリットノズルから帯状に吐出されたレジスト液が基板上で上記ギャップからノズル後方に平坦に延びる。こうして、スリットノズルの移動方向において基板上の一端から他端までレジスト液の塗布膜が形成される。
【0004】
また、スピンレス塗布法の別形式として、たとえば特許文献2に開示されるような浮上搬送方式も知られている。この方式は、浮上ステージ上で基板を空中に浮かせたまま水平な一方向に搬送し、ステージ上方に配置したスリットノズルにその直下を通過する基板に向けてレジスト液を帯状に吐出させることにより、基板の搬送方向において基板上の一端から他端までレジスト液の塗布膜を形成するようにしている。
【0005】
また、FPDパネルの製造においては、フォトリソグラフィー工程の中で基板上にレジスト液を塗布した後にレジスト塗布膜中の残存溶剤を蒸発させる加熱処理つまりプリベーキングを即座に行うと、加熱処理ユニット内で基板と接触するリフトピン、支持ピンまたはバキューム溝等からの熱的な影響を受けて溶剤の蒸発が不均一になり、レジスト塗布膜に転写跡等のムラが現れるという問題がある。そこで、プリベーキングに先立ち、基板上のレジスト塗布膜に残存している溶剤を減圧雰囲気下で一定段階まで揮発させることでレジスト塗布膜の表面に固い層(一種の変質層)を形成する減圧乾燥処理が行われている(たとえば特許文献3)。このようにレジスト塗布膜の内部またはバルク部を液状に保ちつつ表層部のみを固化する減圧乾燥法によれば、プリベーキングの際にバルクレジストの流動を抑制して乾燥斑の発生を低減できるだけでなく、現像処理時のレジストの非溶解性または膜減り量を少なくし、レジスト解像度が高くなる効果も得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−156255
【特許文献2】特開2005−244155
【特許文献3】特開2000−181079
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような減圧乾燥処理を行う減圧乾燥装置においては、FPD用の基板が大型化するに伴って、チャンバの容積が増加し、チャンバ内の圧力を所望の真空圧力値まで下げるための真空引きの所要時間が長くなるだけでなく、基板上に形成されるレジスト塗布膜の液量も増加しているために、減圧雰囲気中で塗布膜中の溶剤を揮発させるのに必要な処理時間も長くなることが、処理効率またはタクト面で課題となっている。
【0008】
また、上記のように基板に対して長尺形のスリットノズルを相対的に移動(塗布走査)させるスピンレス塗布法においては、基板上の一端から他端まであたかも絨毯を敷くようにしてレジスト塗布膜が一方向(塗布走査方向)に一定速度でスキャン形成されるため、レジスト塗布膜の中で塗布始端部と塗布終端部との間に一定(たとえば30秒程度)の時間差が生じる。この塗布走査方向における基板上のレジスト塗布膜形成の時間差は、減圧乾燥処理が開始するまでの待ち時間の差つまり自然乾燥時間の差となり、これが減圧乾燥処理後もレジスト塗布膜の膜質均一性を下げる原因となっている。
【0009】
具体的には、基板上のレジスト塗布膜の中で塗布始端部は塗布終端部よりもたとえば30秒間長く自然乾燥に晒されてそのぶん乾燥度が進行しているので、減圧乾燥処理後も塗布始端部の方が塗布終端部よりも相対的に乾燥固化の度合いを強めたまま現像処理を受け、レジストパターンの残膜率が面内均一にならないことがある。
【0010】
他面、レジスト塗布処理を終了してから減圧乾燥処理を開始するまでの時間が経ち過ぎると、基板上のレジスト塗布膜の中で塗布終端部よりも自然乾燥時間が長かった塗布始端部の方が却って減圧乾燥の効果を得られ難くなり、減圧乾燥処理後は塗布始端部よりも塗布終端部の方が相対的に表層部の乾燥固化の度合いを強めることとなり、この場合も現像後のレジストパターンの残膜率が面内均一にならないことがある。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、スリットノズルを使用するスピンレス塗布法において塗布処理直後に行われる減圧乾燥処理の効率性の向上および処理時間の短縮化を実現するとともに、減圧乾燥処理後のレジスト塗布膜の膜質均一性を向上させる基板処理装置および基板処理方法ならびに減圧乾燥装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の基板処理装置は、スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板面と平行な所定の塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に塗布液の膜を形成する塗布処理部と、前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板面と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる減圧乾燥処理部とを有し、前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる。
【0013】
本発明の基板処理方法は、スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板と平行な塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に塗布液の膜を形成する第1の工程と、前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる第2の工程とを有し、前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる。
【0014】
上記基板処理装置または上記基板処理方法においては、減圧乾燥処理中に基板上で基板面と平行な一方向に不活性ガスの気流を通過させることで、基板上の塗布液膜からの溶剤の蒸発を一層促進できるだけでなく、基板に対して塗布走査方向と気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせることにより、塗布走査方向における基板上の各部の塗布膜形成から減圧乾燥開始までの経過時間(自然乾燥時間)のばらつきを補償して、基板上で塗布液膜の膜質を面内均一にすることができる。
【0015】
本発明の減圧乾燥装置は、被処理基板上に形成された塗布液の膜を減圧雰囲気の中で乾燥させるための減圧乾燥装置であって、前記基板を出し入れ可能な収容する減圧可能なチャンバと、前記チャンバ内を真空排気するための排気部と、前記チャンバ内で前記基板を水平に載置する載置部と、前記チャンバ内の前記載置部に載置されている前記基板上の処理空間に所定の気流通過方向で不活性ガスの気流を形成するために、前記気流通過方向と平行な方向で互いに向き合って前記載置部の両側に設けられる第1および第2のガス噴射部と、前記第2のガス噴射部がオフ状態のまま前記第1のガス噴射部がオンになって、前記第1のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を第1の向きに流れる第1の気流形成モードと、前記第1のガス噴射部がオフ状態のまま前記第2のガス噴射部がオンになって、前記第2のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を前記第1の向きとは逆の第2の向きに流れる第2の気流形成モードとの間で切り換え可能な気流制御部とを有する。
【0016】
上記減圧乾燥装置においては、減圧乾燥処理中に基板上の処理空間に所定の気流通過方向で不活性ガスの気流を形成することにより、基板上の塗布液膜からの溶剤の蒸発を一層促進できるだけでなく、上記第1の気流形成モードまたは上記第2の気流形成モードのいずれかに切り換えることにより、塗布走査方向における基板上の各部の塗布膜形成から減圧乾燥開始までの経過時間(自然乾燥時間)のばらつきを補償して、基板上で塗布液膜の膜質を面内均一にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の基板処理装置、基板処理方法または減圧乾燥装置によれば、上記のような構成および作用により、スリットノズルを使用するスピンレス塗布法において塗布処理直後に行われる減圧乾燥処理の効率性の向上および処理時間の短縮化を実現するとともに、減圧乾燥処理後のレジスト塗布膜の膜質均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の適用できる一構成例としてのレジスト塗布現像処理システムのレイアウトを示す平面図である。
【図2】実施形態における塗布プロセス部の構成を示す平面図である。
【図3】実施形態における減圧乾燥ユニットに備えられる給気/排気システムの一構成例を示す略平面図である。
【図4】実施形態における減圧乾燥ユニットの構成を示す横断面図である。
【図5A】実施形態における減圧乾燥ユニットの構成(減圧乾燥中)を示す図4のI-I線断面図である。
【図5B】実施形態における減圧乾燥ユニットの構成(基板のローディング/アンローディング時)を示す図4のII-II線断面図である。平面図である。
【図6】実施形態における減圧乾燥ユニットの一作用を示す略平面図である。
【図7】実施形態における減圧乾燥ユニットの一作用を示す略平面図である。
【図8】実施形態における減圧乾燥ユニットの一作用を示す略平面図である。
【図9】別の実施形態におけるレジスト塗布現像処理システムのレイアウトを示す平面図である。
【図10】別の実施形態における減圧乾燥ユニットの構成を示す横断面図である。
【図11A】図10の減圧乾燥ユニットの一作用を示す縦断面図である。
【図11B】図10の減圧乾燥ユニットの一作用を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0020】
図1に、本発明の基板処理装置、基板処理方法および減圧乾燥装置を適用できる一構成例としてのレジスト塗布現像処理システムを示す。このレジスト塗布現像処理システム10は、クリーンルーム内に設置され、たとえば矩形のガラス基板を被処理基板Gとし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベーク等の一連の処理を行うものである。露光処理は、このシステムに隣接して設置される外部の露光装置12で行われる。
【0021】
このレジスト塗布現像処理システム10は、中心部に横長のプロセスステーション(P/S)16を配置し、その長手方向(X方向)両端部にカセットステーション(C/S)14とインタフェースステーション(I/F)18とを配置している。
【0022】
カセットステーション(C/S)14は、システム10のカセット搬入出ポートであり、基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容可能なカセットCを水平な一方向(Y方向)に4個まで並べて載置できるカセットステージ20と、このステージ20上のカセットCに対して基板Gの出し入れを行う搬送機構22とを備えている。搬送機構22は、基板Gを1枚単位で保持できる搬送アーム22aを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するプロセスステーション(P/S)16側と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0023】
プロセスステーション(P/S)16は、水平なシステム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のプロセスラインA,B上に各処理部をプロセスフローまたは工程の順に配置している。
【0024】
より詳細には、カセットステーション(C/S)14側からインタフェースステーション(I/F)18側へ向う上流部のプロセスラインAには、搬入ユニット(IN PASS)24、洗浄プロセス部26、第1の熱的処理部28、搬出ユニット(OUT PASS)30、塗布プロセス部32、搬入ユニット(IN PASS)34、第2の熱的処理部36および搬出ユニット(OUT PASS)38が上流側からこの順序で一列に配置されている。
【0025】
より詳細には、搬入ユニット(IN PASS)24はカセットステーション(C/S)14の搬送機構22から未処理の基板Gを受け取り、所定のタクトでプロセスラインAに投入するように構成されている。
【0026】
洗浄プロセス部26は、上流側から順にエキシマUV照射ユニット(E−UV)40およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)42を設けており、第1の熱的処理部28は、上流側から順にアドヒージョンユニット(AD)44および冷却ユニット(COL)46を設けている。これらの処理ユニット40〜46はいずれも平流し方式の処理ユニットとして構成されており、搬入ユニット(IN PASS)24から搬出ユニット(OUT PASS)30まで上記処理ユニット40〜46を縦断して延びるたとえばコロ搬送路からなる第1の往路平流し搬送部48が敷設されている。
【0027】
塗布プロセス部32は、上流側から順にレジスト塗布ユニット(CT)50および減圧乾燥ユニット(VD)52を設けている。レジスト塗布ユニット(CT)は、平流し方式の処理ユニットではなく、ステージ上に基板Gを載置して固定し、その上方で長尺型のスリットノズルを水平な所定方向に走査移動させて基板G上にレジスト液の塗布膜を形成するように構成されている。減圧乾燥ユニット(VD)52も、平流し方式の処理ユニットではなく、減圧可能なチャンバ内に設けられたステージの上に基板Gを載置して固定し、チャンバ内を真空排気して基板G上のレジスト塗布膜を減圧雰囲気中で乾燥させるように構成されている。塗布プロセス部32内の構成および作用は、図2〜図7を参照して後に詳述する。
【0028】
第2の熱的処理部36に配置されるプリベークユニット(PRE−BAKE)54および冷却ユニット(COL)56はいずれも平流し方式の処理ユニットとして構成されており、搬入ユニット(IN PASS)34から搬出ユニット(OUT PASS)38まで上記処理ユニット54,56を縦断して延びるたとえばコロ搬送路からなる第2の往路平流し搬送部58が敷設されている。
【0029】
一方、インタフェースステーション(I/F)18側からカセットステーション(C/S)14側へ向う下流部または復路のプロセスラインBには、搬入ユニット(図示せず)、現像ユニット(DEV)60、ポストベークユニット(POST−BAKE)62、冷却ユニット(COL)64、検査ユニット(AP)66および搬出ユニット(OUT−PASS)68がこの順序で一列に配置されている。ここで、上記搬入ユニット(図示せず)は、インタフェースステーション(I/F)18の周辺装置(TITLER/EE)76の階下に、つまり現像ユニット(DEV)60と同じ階に設けられている。
【0030】
現像ユニット(DEV)60、ポストベークユニット(POST−BAKE)62、冷却ユニット(COL)64および検査ユニット(AP)66はいずれも平流し方式の処理ユニットとして構成されており、上記搬入ユニット(図示せず)から搬出ユニット(OUT PASS)68まで上記処理ユニット60〜66を縦断して延びるたとえばコロ搬送路からなる復路平流し搬送部70が敷設されている。
【0031】
インタフェースステーション(I/F)18は、上記往路および復路のブロセスラインA,Bの処理ユニットや隣接する露光装置12と基板Gのやりとりを行うための搬送装置72を有し、この搬送装置72の周囲または隣にロータリステージ(R/S)74および周辺装置76を配置している。ロータリステージ(R/S)74は、基板Gを水平面内で回転させるステージであり、露光装置12との受け渡しに際して長方形の基板Gの向きを変換するために用いられる。周辺装置76は、たとえばタイトラー(TITLER)や周辺露光装置(EE)等を含んでいる。
【0032】
このレジスト塗布現像処理システム10においては、カセットステーション(C/S)14と往路のブロセスラインAとインタフェースステーション(I/F)18と復路のブロセスラインBとに囲まれてX方向にまっすぐ延びる中庭のスペースNSが設けられている。この中庭スペースNSには、往路のブロセスラインAにおける搬出ユニット(OUT PASS)30→レジスト塗布ユニット(CT)50→減圧乾燥ユニット(VD)52→搬入ユニット(IN PASS)34の区間で基板Gを逐次転送するための搬送装置78が設けられている。
【0033】
ここで、このレジスト塗布現像処理システム10における1枚の基板Gに対する全工程の処理手順を説明する。先ず、カセットステーション(C/S)14において、搬送機構22が、ステージ20上のいずれか1つのカセットCから基板Gを1枚取り出し、その取り出した基板Gをプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインA側の搬入ユニット(IN PASS)24に搬入する。搬入ユニット(IN PASS)24から基板Gは第1の往路平流し搬送路48上に移載または投入される。
【0034】
第1の往路平流し搬送路48に投入された基板Gは、最初に洗浄プロセス部26においてエキシマUV照射ユニット(E−UV)40およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)42により紫外線洗浄処理およびスクラビング洗浄処理を順次施される。スクラバ洗浄ユニット(SCR)42は、平流し搬送路48上を水平に移動する基板Gに対して、ブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより基板表面から粒子状の汚れを除去し、その後にリンス処理を施し、最後にエアーナイフ等を用いて基板Gを乾燥させる。スクラバ洗浄ユニット(SCR)42における一連の洗浄処理を終えると、基板Gはそのまま第1の往路平流し搬送路48を下って第1の熱的処理部28を通過する。
【0035】
第1の熱的処理部28において、基板Gは、最初にアドヒージョンユニット(AD)44で蒸気のHMDSを用いるアドヒージョン処理を施され、被処理面を疎水化される。このアドヒージョン処理の終了後に、基板Gは冷却ユニット(COL)46で所定の基板温度まで冷却される。この後、基板Gは搬出ユニット(OUT PASS)30に入り、ここで停止する。
【0036】
直後に、中庭スペースNSから搬送装置78が搬出ユニット(OUT PASS)30にアクセスして、第1の往路平流し搬送路48から基板Gを搬出する。次いで、搬送装置78は、中庭スペースNS内を移動して、基板Gを隣のレジスト塗布ユニット(CT)50に搬入する。
【0037】
レジスト塗布ユニット(CT)50では、後述するように、ステージ上に載置された基板Gの上でスリットノズルを基板面と平行な一方向に水平移動(走査)させて、基板Gの上面(被処理面)にレジスト液の塗布膜を形成する。
【0038】
レジスト塗布ユニット(CT)50でレジスト塗布処理が終了すると、搬送装置78が、レジスト塗布ユニット(CT)50から基板Gを搬出し、中庭スペースNS内を移動して、基板Gを隣の減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入する。
【0039】
減圧乾燥ユニット(VD)52では、後述するように、減圧可能なチャンバ内のステージ上に基板Gを水平に載置して、チャンバ内を真空排気により減圧するとともに、基板G上の処理空間で不活性ガスを一方向に流して、基板G上のレジスト塗布膜を乾燥させる。
【0040】
搬送装置78は、減圧乾燥処理の済んだ基板Gを減圧乾燥ユニット(VD)52から搬出し、中庭スペースNS内を移動して、搬入ユニット(IN−PASS)34に基板Gを搬入する。この直後に、第2の往路平流し搬送部58でコロ搬送が開始され、基板Gは平流しでプロセスラインAの下流側に搬送され、第2の熱的処理部36を通過する。
【0041】
第2の熱的処理部36において、基板Gは、最初にプリベークユニット(PRE−BAKE)54でレジスト塗布後の熱処理または露光前の熱処理としてプリベーキングを受ける。このプリベーキングによって、基板G上のレジスト膜中に残留していた溶剤が蒸発して除去され、基板に対するレジスト膜の密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)56で所定の温度まで冷却される。しかる後、基板Gは、第2の往路平流し搬送部58の終点の搬出ユニット(OUT−PASS)38からインタフェースステーション(I/F)18の搬送装置72に引き取られる。
【0042】
インタフェースステーション(I/F)18において、基板Gは、ロータリステージ74でたとえば90度の方向変換を受けてから周辺装置76の周辺露光装置(EE)に搬入され、そこで基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光を受けた後に、隣の露光装置12へ送られる。
【0043】
露光装置12では基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置12からインタフェースステーション(I/F)18に戻されると、先ず周辺装置76のタイトラー(TITLER)に搬入され、そこで基板上の所定の部位に所定の情報が記される。しかる後に、基板Gは、搬送装置72より周辺装置76の階下の搬入ユニット(図示せず)に搬入される。
【0044】
こうして、基板Gは、今度は復路のプロセスラインBに敷設されている復路平流し搬送路70のコロ搬送路に乗ってカセットステーション(C/S)14に向かって移動する。
【0045】
最初の現像ユニット(DEV)60において、基板Gは、平流しで搬送される間に現像、リンス、乾燥の一連の現像処理を施される。
【0046】
現像ユニット(DEV)60で一連の現像処理を終えた基板Gは、そのまま復路平流し搬送路70に乗せられたまま第3の熱的処理部(62,64)および検査ユニット(AP)66を順次通過する。第3の熱的処理部において、基板Gは、最初にポストベークユニット(POST−BAKE)62で現像処理後の熱処理つまりポストベーキングを受ける。このポストベーキングによって、基板G上のレジスト膜に残留していた現像液や洗浄液が蒸発して除去され、基板に対するレジストパターンの密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)64で所定の基板温度に冷却される。検査ユニット(AP)66では、基板G上のレジストパターンについて非接触の線幅検査や膜質・膜厚検査等が行われる。
【0047】
搬出ユニット(OUT PASS)68は、復路平流し搬送路70から全工程の処理を終えてきた基板Gを受け取って、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22へ渡す。カセットステーション(C/S)14側では、搬送機構22が、搬出ユニット(OUT PASS)68から受け取った処理済の基板Gをいずれか1つ(通常は元)のカセットCに収容する。
【0048】
このレジスト塗布現像処理システム10においては、塗布プロセス部32に本発明の基板処理装置および方法を適用できるとともに、減圧乾燥ユニット(VD)52に本発明の減圧乾燥装置を適用することができる。
【0049】
以下、図2〜図11につき、本発明の一実施形態における塗布プロセス部30および減圧乾燥ユニット(VD)52の構成および作用を詳細に説明する。
【0050】
図2に、塗布プロセス部30およびその周囲のレイアウト構成を示す。図中、プロセスラインAの方向(X方向)を基準として、矩形基板Gの前辺をGF,左辺をGL,右辺をGR,後辺をGBで示している。
【0051】
レジスト塗布ユニット(CT)50は、図示のように、基板Gを水平に載置して保持するステージ80と、このステージ80上に載置される基板Gの上面(被処理面)にスリットノズル82を用いてスピンレス法でレジスト液を塗布する塗布処理部84と、塗布処理を行わない間にスリットノズル82のレジスト液吐出機能を回復して次に備えるためのノズルリフレッシュ部86等を有する。また、ステージ80上で基板Gのローディング/アンローディングを行うための昇降移動可能なリフトピン85も備わっている。
【0052】
スリットノズル82は、ステージ80上の基板GをX方向で一端(前辺GF)から他端(後辺GB)までカバーできるスリット状の吐出口を有する長尺型のノズルであり、レジスト液供給源(図示せず)に接続されている。塗布処理部84は、塗布処理時にスリットノズル82をステージ80の上方でY方向に水平移動させるノズル移動機構88を有する。このノズル移動機構88は、スリットノズル82を水平に支持する逆さコ字状の支持体90と、この支持体90をY方向で双方向に直進移動させる直進駆動部92とを有する。
【0053】
スリットノズル82がレジスト液を帯状に吐出しながら、ステージ80上方でY方向に水平移動(走査)することで、基板G上にY方向の一端から他端まであたかもじゅうたんを敷くように所望の膜厚でレジスト液の塗布膜が形成される。
【0054】
この実施形態では、基板G上の塗布走査方向に関して、基板Gの左辺GLから右辺GRに向かって塗布走査する第1モードと、反対に基板Gの右辺GRから左辺GLに向かって塗布走査する第2モードの2通りが可能であり、どちらのモードも選択できるようになっている。したがって、たとえば、或るロットの基板Gに対して、常に第1モードもしくは第2モードだけを選択することも可能であり、あるいは基板1枚毎に第1モードと第2モードとを交互に切り換えることも可能である。いずれの場合でも、このレジスト塗布現像処理システム10の全体を統括制御するシステムコントローラ(図示せず)あるいは塗布処理部32内の各部を制御する局所コントローラ(図示せず)が、各々の基板Gについて第1モードもしくは第2モードのどちらが選択または実行されたかを管理している。
【0055】
減圧乾燥ユニット(VD)52は、チャンバ本体を構成する固定構造の下部チャンバ96と上蓋を構成する可動の上部チャンバ(図2では図示せず)とを有し、たとえば昇降手段を有するチャンバ開閉機構(図示せず)により上部チャンバを上げ下げして、下部チャンバ96に対する密着(チャンバ密閉)と分離(チャンバ解放)を切り替えられるようにしている。
【0056】
下部チャンバ96はほぼ四角形で、中心部には基板Gを水平に載置して支持するためのステージ98が配設され、チャンバ底面の四隅に排気ポート100a,100b,100c,100dがそれぞれ設けられている。各排気ポート100a〜100dは排気管(図2では図示せず)を介して真空ポンプ(図2では図示せず)に通じている。チャンバを密閉して、該真空ポンプによりチャンバ内の圧力を所望の真空圧力値まで減圧できるようになっている。
【0057】
さらに、減圧乾燥ユニット(VD)52の下部チャンバ96には、上記レジスト塗布ユニット(CT)50における塗布走査方向(Y方向)に対応させて、ステージ98を挟んでY方向の両側(側壁付近)に一対のガス噴射部102,104が設けられている。
【0058】
搬送装置78は、基板Gを1枚単位で保持できる搬送アーム78aを有する搬送ロボットからなり、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、中庭スペースNS内を移動して、基板搬入口または搬出口が中庭スペースNSに臨んでいる全てのユニット、特にレジスト塗布ユニット(CT)50、減圧乾燥ユニット(VD)52、第1の往路平流し搬送部48の搬出ユニット(OUT−PASS)30、第2の往路平流し搬送部58の搬入ユニット(IN−PASS)34にアクセス可能であり、それらのユニットと基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0059】
図2において、第1の往路平流し搬送部48は、複数のローラを一定間隔で取り付けた棒状のコロ106を搬送方向(X方向)に一定間隔で並べてコロ搬送路を形成し、モータおよび伝動機構等からなるコロ駆動部(図示せず)により各コロ106を回転駆動し、コロ搬送路上で基板Gを搬送するように構成されている。冷却ユニット(COL)46内には、コロ搬送で通過する基板Gを熱交換によって、または冷風を当てて所定温度に冷却する冷却機構(図示せず)が設けられている。搬出ユニット(OUT−PASS)30は、第1の往路平流し搬送部48のコロ搬送路を平流しで搬送されてきた基板Gを停止または静止させる構成、および搬送装置78の搬送アーム78aに基板Gを受け取らせる構成になっている。なお、第1の往路平流し搬送部48においては、コロ搬送路が複数の区間に分割され、各区間毎に独立したコロ駆動部が設けられてもよい。
【0060】
同様に、第2の往路平流し搬送部58も、複数のローラを一定間隔で取り付けた棒状のコロ108を搬送方向(X方向)に一定間隔で並べてコロ搬送路を形成し、モータおよび伝動機構等を有するコロ駆動部(図示せず)により各コロ108を回転駆動し、コロ搬送路上で基板Gを搬送するように構成されている。プリベークユニット(PRE−BAKE)54内には、コロ搬送で通過する基板Gを熱交換によって、または熱風を当てて所定温度に加熱するヒータ機構(図示せず)が設けられている。搬入ユニット(IN−PASS)34は、搬送装置78の搬送アーム78aより基板Gを受け取れる構成、および基板Gを受け取った直後に平流しの搬送(コロ搬送)を開始できる構成になっている。第2の往路平流し搬送部58においても、コロ搬送路が複数の区間に分割され、各区間毎に独立したコロ駆動部が設けられてもよい。
【0061】
次に、図3〜図7につき、この実施形態における減圧乾燥ユニット(VD)52の構成および作用を詳細に説明する。
【0062】
図3に、この減圧乾燥ユニット(VD)52における給気/排気システムの一構成例を示す。
【0063】
給気システムにおいては、下部チャンバ96内のガス噴出部102,104が、不活性ガスタンク110および送風機(またはコンプレッサ)112を有する共通の不活性ガス供給源114にそれぞれガス供給管116(1),116(2)を介して接続されている。ガス供給管116(1),116(2)の途中には、流量調整弁118(1),118(2)および開閉弁120(1),120(2)がそれぞれ設けられている。使用される不活性ガスは、たとえば窒素ガスである。
【0064】
排気システムにおいては、下部チャンバ96内の排気ポート100a,100b,100c,100dが、真空ポンプ122および圧力制御弁124を有する共通の排気装置126にそれぞれ排気管128(1),128(2),128(3),128(4)を介して接続されている。排気管128(1),128(2),128(3),128(4)の途中には、開閉弁130(1),130(2),130(3),130(4)がそれぞれ設けられている。
【0065】
後述するように、この減圧乾燥ユニット(VD)52においては、減圧乾燥処理中に乾燥促進用の不活性ガスを流すときは、基板G上の処理空間PS(図5A)に一方向の気流を形成するために、ガス噴出部102,104のいずれか一方だけを選択的に作動させて他方を止めておくような制御を行う。
【0066】
より詳しくは、ガス噴出部102を選択的に作動させる場合、給気システムは、開閉弁120(1)をオン状態にするとともに、開閉弁120(2)をオフ状態にする。排気システムは、ガス噴出部102の向かい側の排気ポート100c,100dを通じてチャンバ内の排気を行う(つまり不活性ガスの気流を引き込む)ように開閉弁130(3),130(4)をそれぞれオン状態にするとともに、手前の排気ポート100a,100bが気流を引き込まないように開閉弁130(1),130(2)をそれぞれオフ状態にする。
【0067】
反対に、ガス噴出部104を選択的に作動させる場合、給気システムは、開閉弁120(2)をオン状態にするとともに、開閉弁120(1)をオフ状態にする。排気システムは、ガス噴出部104の向かい側の排気ポート100a,100bを通じてチャンバ内の排気を行う(つまり不活性ガスの気流を引き込む)ように開閉弁130(1),130(2)をそれぞれオン状態にするとともに、手前の排気ポート100c,100dが気流を引き込まないように開閉弁130(3),130(4)をそれぞれオフ状態にする。
【0068】
図4、図5Aおよび図5Bに、この減圧乾燥ユニット(VD)52の具体的な構成例を示す。図4は下部チャンバ96内の構成を示す横断面図、図5Aは図4のI−I線についての縦断面図、図5Bは図4のII−II線についての縦断面図である。
【0069】
この減圧乾燥ユニット(VD)52の下部チャンバ96には、ステージ98上に載置される基板Gの周囲で減圧乾燥中に不活性ガスの気流を制御するための気流制御部132が設けられている。この気流制御部132は、X方向において相対向するチャンバ側壁98(2),96(4)の内側でステージ98の両側(好ましくはステージ98にできるだけ近接した位置)に配置される気流案内壁(第1の気流案内部)134A,134Bと,ステージ98上に載置される基板Gの下の空間を覆う矩形の気流遮蔽壁(第2の気流案内部)136とを有している。
【0070】
気流案内壁134A,134Bは、図4に示すように、Y方向において、ステージ98の片側(図の左側)に設けられているガス噴射部102,排気ポート100a,100bの近くの位置からステージ98の反対側(右側)のガス噴射部104および排気ポート100c,100d近くの位置まで延びている。高さ方向(Z方向)において、気流案内壁134A,134Bは、図5Bに示すように、下部チャンバ96の底面から上部チャンバ138の下面(天井)またはその近くまで達するサイズを有している。
【0071】
気流遮蔽壁136は、ステージ98の周囲で下部チャンバ96の底面からステージ98上に載置されている基板Gの裏面(下面)の周縁部に接する高さか、またはその近くの高さまで鉛直方向に延びている(図5A、図5B)。
【0072】
ステージ98は、鉛直方向に延びる昇降駆動軸140を介して昇降アクチエータ142に結合されており、搬送装置78(図2)と基板Gの受け渡しを行う時、あるいは減圧乾燥処理におけるチャンバ天井(上部チャンバ138の下面)との距離またはクリアランスを調節するために昇降移動できるようになっている。昇降駆動軸140は、下部チャンバ96の底壁を上下移動可能に貫通し、この貫通孔はシール部材144によって真空封止されている。
【0073】
次に、図4〜図7につき、この実施形態における減圧乾燥ユニット(VD)52の作用を説明する。
【0074】
上記のように、この減圧乾燥ユニット(VD)52の隣のレジスト塗布ユニット(CT)50では、スリットノズル82を基板G上で一方向(Y方向)に移動させて、基板G上にレジスト液の塗布膜RM(図6、図7)を形成する。このレジスト塗布処理の終了後に、搬送装置78が、レジスト塗布ユニット(CT)50から減圧乾燥ユニット(VD)52へ基板Gを転送する。この際、減圧乾燥ユニット(VD)52では、上部チャンバ138を開けて、ステージ98を下部チャンバ96の中から上に持ち上げて基板Gを受け取る(図5B)。
【0075】
次に、減圧乾燥ユニット(VD)52では、ステージ98を下部チャンバ96の中に降ろし、上部チャンバ138を閉めてチャンバを密閉し、給気/排気システム(図3)を作動させる。図5Aに示すように、密閉されたチャンバ内で、ステージ98上に載置されている基板Gとチャンバ天井面(上部チャンバ138の下面)との間に所望のクリアランスを有する処理空間PSが形成される。
【0076】
下部チャンバ96内でステージ98上に載置されている基板Gは、図4に示すように、X方向において基板Gの前辺GFおよび後辺GBが気流案内壁134A,134Bにそれぞれ対向し,Y方向において基板Gの左辺GLおよび右辺GRがガス噴射部102,104にそれぞれ対向するような向きになる。
【0077】
減圧乾燥ユニット(VD)52のコントローラは、レジスト塗布ユニット(CT)50において当該基板Gに対して選択された塗布走査方向の向きに関するモード(第1モード/第2モード)を把握しており、その選択されたモードと他の所定の判定条件とを組み合わせた判定基準にしたがって、減圧乾燥中に処理空間PSに流す不活性ガスの気流の向きを決定し、そのような指向性を有する不活性ガスの気流が得られるように給気/排気システム(図3)を制御する。
【0078】
ここで、上記判定条件は、当該基板Gに対してレジスト塗布ユニット(CT)50で選択された塗布走査方向の向きと、この減圧乾燥ユニット(VD)52で当該基板Gに対して選択する気流通過方向の向きを逆にするべきか、それとも同じにするべきかを決定するための判定基準であり、通常は、使用するレジストの種類、レジスト塗布処理の終了から減圧乾燥処理の開始までの経過時間(自然乾燥時間)等を総合したものであり、レシピ情報の1つとしてシステムコントローラから判定結果(指令)を与えられてよい。
【0079】
一例として、減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入された当該基板Gについては、気流通過方向の向きを塗布走査方向の向きとは逆向きにすべきことをシステムコントローラから指示されたものとする。
【0080】
この場合、レジスト塗布ユニット(CT)50では当該基板Gに対して右辺GRから左辺GLに向かって塗布走査する第2モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、図6に示すように、減圧乾燥処理中に左側のガス噴出部102を選択的に作動させて右側のガス噴出部104を止めておくような気流制御が行われる。
【0081】
左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、上記したように、手前(左側)の排気ポート100a,100bの排気流路が閉められ、向かい側(右側)の排気ポート100c,100dを通じてチャンバ内の排気が行われる。
【0082】
ガス噴出部102より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、図5Aに示すように、気流遮蔽壁136によって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、図6に示すように、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの左辺GLから右辺GRに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると(通過すると)、基板Gよりも低い方へ流れ落ちながら排気ポート100a,100bに吸い込まれる。
【0083】
また、レジスト塗布ユニット(CT)50では当該基板Gに対して左辺GLから右辺GRに向かって塗布走査する第1モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、図7に示すように、減圧乾燥処理中に右側のガス噴出部104を選択的に作動させて左側のガス噴出部102を止めておくような気流制御が行われる。
【0084】
右側のガス噴出部104を選択的に作動させるときは、上記したように、手前(右側)の排気ポート100c,100dの排気流路が閉められ、向かい側(左側)の排気ポート100a,100bを通じてチャンバ内の排気が行われる。
【0085】
ガス噴出部104より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、気流遮蔽壁136によって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、図7に示すように、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの右辺GRから左辺GLに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると(通過すると)、基板Gよりも低い方へ流れ落ちながら排気ポート100a,100bに吸い込まれる。
【0086】
このように減圧乾燥処理中に基板G上で基板面と平行な一方向に不活性ガスの気流を形成することで、基板G上のレジスト塗布膜RMからの有機溶媒の蒸発が一層促進され、減圧乾燥時間の短縮化を図れる。このような減圧気流乾燥による溶剤蒸発促進作用は、基板G上の各位置で一定ではなく、通常は蒸気の少ない気流の上流側ほど大きく、蒸気の多い気流の下流側ほど小さい。
【0087】
したがって、上記のように左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、基板G上のレジスト塗布膜RMに対する減圧気流乾燥の効果は、基板Gの右辺GR(塗布走査の始端)で最も小さく、基板Gの左辺GL(塗布走査の終端)に向かうほど大になる。しかし、これによって、塗布走査方向で生じるレジスト塗布膜形成の時間差(ばらつき)ひいては自然乾燥時間の差(ばらつき)を結果的にキャンセルし、基板G上でレジスト塗布膜RMの膜質を面内均一にすることができる。
【0088】
また、上記のように右側のガス噴出部104を選択的に作動させるときは、基板G上のレジスト塗布膜RMに対する減圧気流乾燥の効果は、基板Gの左辺GL(塗布走査の始端)で最も小さく、基板Gの右辺GR(塗布走査の終端)に向かうほど大になる。しかし、これによって、塗布走査方向で生じるレジスト塗布膜形成の時間差(ばらつき)ひいては自然乾燥時間の差(ばらつき)を結果的にキャンセルし、基板G上でレジスト塗布膜RMの膜質を面内均一にすることができる。
【0089】
別の例として、減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入された当該基板Gについては、気流通過方向の向きを塗布走査方向の向きと同じにすべきことをシステムコントローラから指示されることもある。
【0090】
このレジスト塗布現像処理システム10では、レジスト塗布処理の終了後に、搬送装置78がレジスト塗布ユニット(CT)50から基板Gを搬出し、中庭スペースNSを通って隣の減圧乾燥ユニット(VD)52に搬入する。減圧乾燥ユニット(VD)52では、基板Gを搬入した後に上部チャンバ138を下部チャンバ96に被せてチャンバを密閉し、それから真空排気を開始するので、レジスト塗布ユニット(CT)50における基板Gのアンローディング、搬送装置78による基板搬送、あるいは減圧乾燥ユニット(VD)52における基板Gのローディングに時間がかかると、レジスト塗布処理の終了から減圧乾燥処理を開始するまでの時間(自然乾燥時間)が長くなりすぎることがある。そうすると、基板G上のレジスト塗布膜RMの中で塗布終端部よりも自然乾燥時間の長い塗布始端部の方が却って減圧乾燥の効果を得られ難くなり、減圧乾燥処理後は塗布始端部よりも塗布終端部の方が相対的に表層部の乾燥固化の度合いを強めることとなり、この場合も現像後のレジストパターンの残膜率が面内均一にならないことがある。
【0091】
このような状況ないし現象が認められる場合は、気流通過方向の向きを塗布走査方向の向きと同じにした方が、塗布走査方向で生じるレジスト塗布膜形成の時間差(ばらつき)ひいては自然乾燥時間の差(ばらつき)を結果的にキャンセルし、基板G上でレジスト塗布膜RMの膜質を面内均一にすることができる。
【0092】
したがって、レジスト塗布ユニット(CT)50では当該基板Gに対して左辺GLから右辺GRに向かって塗布走査する第1モードが選択されたときは、減圧乾燥ユニット(VD)52では、図8に示すように、減圧乾燥処理中に左側のガス噴出部102を選択的に作動させて右側のガス噴出部104を止めておくような気流制御が行われる。
【0093】
以上本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で他の実施形態あるいは種種の変形が可能である。
【0094】
たとえば、上述した実施形態では、基板Gに対して塗布走査方向と気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせるために、減圧乾燥ユニット(VD)52に基板G上の処理空間PSに形成する不活性ガスの気流の向きを切り換える機構および機能を持たせた。
【0095】
しかし、別の実施形態として、減圧乾燥ユニット(VD)52内に基板G上の処理空間PSに形成する不活性ガスの気流の向きが切り換え不可で常時一定であっても、図9に示すように、中庭スペースNSにロータリステージ(R/S)146を設置することで、上述した実施形態と同等の気流切り換え制御を実現することができる。
【0096】
この場合、ロータリステージ(R/S)146は、基板Gの向きを水平面内で所定の回転角度(図9のレイアウトでは180°)だけ回転させる。したがって、レジスト塗布処理を終えた基板Gをレジスト塗布ユニット(CT)50から搬出した後、ロータリステージ(R/S)146を経由して基板Gの向きを180°反転させてから減圧乾燥ユニット(VD)52内に搬入することも可能であれば、ロータリステージ(R/S)146を経由せずに、したがって基板Gの向きを反転させずに、減圧乾燥ユニット(VD)52内に搬入することも可能であり、いずれのケースも選択できる。これによって、基板Gに対して塗布走査方向と気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかを選択して合わせることができる。
【0097】
また、上述した実施形態では、減圧乾燥ユニット(VD)52の排気ポート100a〜100dを下部チャンバ96の四隅に配置した。しかし、別の実施例として、図10に示すように、基板Gの下に、つまり気流遮蔽壁136の内側に、1つまたは複数の排気ポート148(1),148(2)を配置する構成も可能である。
【0098】
この場合、気流遮蔽壁136を4辺の板壁136F,136B,136L,136Bに分割し、気流案内壁134A,134Bと対向(隣接)する板壁136F,136Bを固定し、ガス噴射部102,104と対向する板壁136L,136Rを昇降可能とする構成を好適に採ることができる。ここで、昇降可能な可動板壁136L,136Rは、図11Aおよび図11Bに示すように、下部チャンバ96の下に配置される昇降アクチエータ150L,150Rによってそれぞれ昇降駆動される。
【0099】
かかる構成において、左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、図11Aに示すように、一方(左側)の可動板壁136Lをチャンバ底面よりも上方へ(好ましくは基板Gの裏面に届く高さまで)突出または上昇させるとともに、反対側(右側)の可動板壁136Rをチャンバ底面の下に退避させる。排気ポート148(1),148(2)は、それぞれ排気管152(1),152(2)を介して共通の排気装置126(図3)に接続されており、すべての排気流路を開(オン)状態にする。
【0100】
この場合、ガス噴出部102より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、左側の可動板壁136Lによって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの左辺GLから右辺GRに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると、退避中の右側可動板壁136Rの上を通って基板Gの下に回り、排気ポート148(1),148(2)に吸い込まれる。
【0101】
また、右側のガス噴出部104を選択的に作動させるときは、図11Bに示すように、右側の可動板壁136Rをチャンバ底面よりも上方へ(好ましくは基板Gの裏面に届く高さまで)突出または上昇させるとともに、反対側(左側)の可動板壁136Lをチャンバ底面の下に退避させる。排気ポート148(1),148(2)の排気流路はすべて開(オン)状態にする。
【0102】
この場合、ガス噴出部104より上方またはチャンバ中心部に向けて噴射された不活性ガスは、右側の可動板壁136Rによって基板Gの下の下部空間へ流入せずに基板Gの上の処理空間PSへ案内され、気流案内壁134A,134BによってX方向の広がりを基板Gの上つまり処理空間PS内に規制されながら、基板Gの右辺GRから左辺GLに向かって一方向に流れ、処理空間PSを抜けると、退避中の左側可動板壁136Lの上を通って基板Gの下に回り、排気ポート148(1),148(2)に吸い込まれる。
【0103】
なお、減圧乾燥ユニット(VD)52においては、減圧乾燥処理中に、処理空間PSにおける一方向の不活性ガス気流形成を任意のタイミングで開始または停止すること、途中で不活性ガスの気流の向きを反転させること、気流の流量を可変すること等が可能である。したがって、たとえば、チャンバの四隅に排気ポートを配置する構成においても、減圧乾燥処理の開始直後あるいは終了間際に、全ての排気ポートを開(オン)状態にして不活性ガスの整流を行わない排気を行うことも可能である。特に、減圧乾燥処理の終了時に密閉状態のチャンバ内を不活性ガスでパージングするときは、左右双方(全部)のガス噴出部104より不活性ガスを同時に噴出させ、全部の排気ポート100a〜100d(148(1),148(2))を介して急速排気を行ってもよい。
【0104】
また、図示省略するが、気流案内壁134A,134Bと対向(隣接)する板壁136F,136Bも昇降可能に構成することができる。この場合、たとえば、左側のガス噴出部102を選択的に作動させるときは、板壁136L,136F,136Bの高さ位置を可変することで、減圧気流乾燥の重要なパラメータの1つである処理空間PSのクリアランスを可変することができる。
【0105】
さらに、減圧乾燥ユニット(VD)52において、チャンバ自体の構造や形状はもちろん、チャンバ内外の各部、特にステージ、ガス噴出部、排気ポートの構造、個数、配置位置等も、上述した実施形態のものに限らず、種種の変形が可能である。
【0106】
上述したレジスト塗布現像処理システムにおいては、塗布処理部32のレジスト塗布ユニット(CT)50および/または減圧乾燥ユニット(VD)52を平流し方式の処理ユニットとして構成することも可能であり、そのような平流し方式のレジスト塗布ユニットおよび/または減圧乾燥ユニットにも本発明は適用可能である。
【0107】
本発明における被処理基板はLCD用のガラス基板に限るものではなく、他のフラットパネルディスプレイ用基板や、半導体ウエハ、CD基板、フォトマスク、プリント基板等も可能である。塗布液もレジスト液に限らず、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の処理液または薬液も可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板面と平行な所定の塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に塗布液の膜を形成する塗布処理部と、
前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板面と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる減圧乾燥処理部と
を有し、
前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる、基板処理装置。
【請求項2】
前記減圧乾燥処理部が、
前記基板を出し入れ可能に収容する減圧可能なチャンバと、
前記チャンバ内を真空排気するための排気部と、
前記チャンバ内で前記基板を水平に載置する載置部と、
前記チャンバ内の前記載置部に載置されている前記基板上の処理空間に前記気流通過方向で不活性ガスの気流を形成するために、前記気流通過方向と平行な方向で互いに向き合って前記載置部の両側に設けられる第1および第2のガス噴射部と、
前記基板に対して前記気流通過方向が所望の向きになるように、前記第1および第2のガス噴射部のいずれか一方より択一的に不活性ガスを噴射させる不活性ガス供給部と
を有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記載置部を中心にして、前記第1のガス噴射部の反対側に設けられる第1の排気ポートと、前記第2のガス噴射部の反対側に設けられる第2の排気ポートとを有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第1の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行い、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第2の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行う、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間の底に設けられる排気ポートと、
前記第1のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第1の板壁部と、
前記第1の板壁部を昇降移動させるための第1の昇降機構と、
前記第2のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第2の板壁部と、
前記第2の板壁部を昇降移動させるための第2の昇降機構と
を有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第2の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させ、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第1の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させる、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記減圧乾燥処理部が、前記気流通過方向と直交する水平な方向で前記処理空間の広がりを規制して、不活性ガスの気流を前記気流通過方向に案内するために、前記載置部の両側に設けられる第1の気流案内部を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記減圧乾燥処理部が、前記処理空間に入る前の不活性ガスの気流が前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間に入り込むのを妨げて、不活性ガスの気流を前記処理空間に案内するために、前記載置部の周囲に設けられる第2の気流案内部を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第2の気流案内部が、
鉛直方向で移動可能または変位可能な板壁と、
前記処理空間のクリアランスを調整するために前記載置部の高さ位置に合わせて 前記板壁の上端の高さ位置を可変するための板壁高さ調整部と
を有する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記塗布処理部から前記減圧乾燥処理部へ前記基板を転送する途中で、前記基板の向きを変えるために、前記基板を水平面内で所望の回転角度だけ回転させる基板回転機構を有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
被処理基板上に形成された塗布液の膜を減圧雰囲気の中で乾燥させるための減圧乾燥装置であって、
前記基板を出し入れ可能な収容する減圧可能なチャンバと、
前記チャンバ内を真空排気するための排気部と、
前記チャンバ内で前記基板を水平に載置する載置部と、
前記チャンバ内の前記載置部に載置されている前記基板上の処理空間に所定の気流通過方向で不活性ガスの気流を形成するために、前記気流通過方向と平行な方向で互いに向き合って前記載置部の両側に設けられる第1および第2のガス噴射部と、
前記第2のガス噴射部がオフ状態のまま前記第1のガス噴射部がオンになって、前記第1のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を第1の向きに流れる第1の気流形成モードと、前記第1のガス噴射部がオフ状態のまま前記第2のガス噴射部がオンになって、前記第2のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を前記第1の向きとは逆の第2の向きに流れる第2の気流形成モードとの間で切り換え可能な気流制御部と
を有する減圧乾燥装置。
【請求項10】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記載置部を中心にして、前記第1のガス噴射部の反対側に設けられる第1の排気ポートと、前記第2のガス噴射部の反対側に設けられる第2の排気ポートとを有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第1の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行い、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第2の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行う、
請求項9に記載の減圧乾燥装置。
【請求項11】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間の底に設けられる排気ポートと、
前記第1のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第1の板壁部と、
前記第1の板壁部を昇降移動させるための第1の昇降機構と、
前記第2のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第2の板壁部と、
前記第2の板壁部を昇降移動させるための第2の昇降機構と
を有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第2の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させ、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第1の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させる、
請求項9に記載の減圧乾燥装置。
【請求項12】
前記気流通過方向と直交する水平な方向で前記処理空間の広がりを規制して、不活性ガスの気流を前記気流通過方向に案内するために、前記載置部の両側に設けられる第1の気流案内部を有する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の減圧乾燥装置。
【請求項13】
前記処理空間に入る前の不活性ガスの気流が前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間に入り込むのを妨げて、不活性ガスの気流を前記処理空間に案内するために、前記載置部の周囲に設けられる第2の気流案内部を有する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の減圧乾燥装置。
【請求項14】
前記第2の気流案内部が、
鉛直方向で移動可能または変位可能な板壁と、
前記処理空間のクリアランスを調整するために前記載置部の高さ位置に合わせて 前記板壁の上端の高さ位置を可変するための板壁高さ調整部と
を有する、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板と平行な塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に処理液の塗布液の膜を形成する第1の工程と、
前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる第2の工程と
を有し、
前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる、基板処理方法。
【請求項16】
前記気流通過方向の向きを反転可能とし、前記第1の工程における前記塗布走査方向の向きに応じて前記第2の工程における前記気流通過方向の向きを選択する、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記第1の工程と前記第2の工程との間で、前記第1の工程における前記塗布走査方向の向きに応じて、前記第2の工程における前記気流通過方向の向きを選択するために、前記基板を水平面内で所望の回転角度だけ回転させる、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項1】
スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板面と平行な所定の塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に塗布液の膜を形成する塗布処理部と、
前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板面と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる減圧乾燥処理部と
を有し、
前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる、基板処理装置。
【請求項2】
前記減圧乾燥処理部が、
前記基板を出し入れ可能に収容する減圧可能なチャンバと、
前記チャンバ内を真空排気するための排気部と、
前記チャンバ内で前記基板を水平に載置する載置部と、
前記チャンバ内の前記載置部に載置されている前記基板上の処理空間に前記気流通過方向で不活性ガスの気流を形成するために、前記気流通過方向と平行な方向で互いに向き合って前記載置部の両側に設けられる第1および第2のガス噴射部と、
前記基板に対して前記気流通過方向が所望の向きになるように、前記第1および第2のガス噴射部のいずれか一方より択一的に不活性ガスを噴射させる不活性ガス供給部と
を有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記載置部を中心にして、前記第1のガス噴射部の反対側に設けられる第1の排気ポートと、前記第2のガス噴射部の反対側に設けられる第2の排気ポートとを有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第1の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行い、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第2の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行う、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間の底に設けられる排気ポートと、
前記第1のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第1の板壁部と、
前記第1の板壁部を昇降移動させるための第1の昇降機構と、
前記第2のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第2の板壁部と、
前記第2の板壁部を昇降移動させるための第2の昇降機構と
を有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第2の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させ、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第1の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させる、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記減圧乾燥処理部が、前記気流通過方向と直交する水平な方向で前記処理空間の広がりを規制して、不活性ガスの気流を前記気流通過方向に案内するために、前記載置部の両側に設けられる第1の気流案内部を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記減圧乾燥処理部が、前記処理空間に入る前の不活性ガスの気流が前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間に入り込むのを妨げて、不活性ガスの気流を前記処理空間に案内するために、前記載置部の周囲に設けられる第2の気流案内部を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第2の気流案内部が、
鉛直方向で移動可能または変位可能な板壁と、
前記処理空間のクリアランスを調整するために前記載置部の高さ位置に合わせて 前記板壁の上端の高さ位置を可変するための板壁高さ調整部と
を有する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記塗布処理部から前記減圧乾燥処理部へ前記基板を転送する途中で、前記基板の向きを変えるために、前記基板を水平面内で所望の回転角度だけ回転させる基板回転機構を有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
被処理基板上に形成された塗布液の膜を減圧雰囲気の中で乾燥させるための減圧乾燥装置であって、
前記基板を出し入れ可能な収容する減圧可能なチャンバと、
前記チャンバ内を真空排気するための排気部と、
前記チャンバ内で前記基板を水平に載置する載置部と、
前記チャンバ内の前記載置部に載置されている前記基板上の処理空間に所定の気流通過方向で不活性ガスの気流を形成するために、前記気流通過方向と平行な方向で互いに向き合って前記載置部の両側に設けられる第1および第2のガス噴射部と、
前記第2のガス噴射部がオフ状態のまま前記第1のガス噴射部がオンになって、前記第1のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を第1の向きに流れる第1の気流形成モードと、前記第1のガス噴射部がオフ状態のまま前記第2のガス噴射部がオンになって、前記第2のガス噴射部より噴射された不活性ガスの多くが前記処理空間を前記第1の向きとは逆の第2の向きに流れる第2の気流形成モードとの間で切り換え可能な気流制御部と
を有する減圧乾燥装置。
【請求項10】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記載置部を中心にして、前記第1のガス噴射部の反対側に設けられる第1の排気ポートと、前記第2のガス噴射部の反対側に設けられる第2の排気ポートとを有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第1の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行い、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の排気ポート側の排気流路を閉じて、前記第2の排気ポートを介して前記チャンバ内の排気を行う、
請求項9に記載の減圧乾燥装置。
【請求項11】
前記排気部が、
前記チャンバ内で、前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間の底に設けられる排気ポートと、
前記第1のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第1の板壁部と、
前記第1の板壁部を昇降移動させるための第1の昇降機構と、
前記第2のガス噴射部と向かい合って前記下部空間を選択的に遮蔽するための昇降可能な第2の板壁部と、
前記第2の板壁部を昇降移動させるための第2の昇降機構と
を有し、
前記第1のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第1の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第2の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させ、
前記第2のガス噴射部が不活性ガスを噴射するときは、前記第2の板壁部を前記チャンバの底より上に上昇させて前記下部空間を遮蔽させるとともに前記第1の板壁部を前記チャンバの底より下に退避させる、
請求項9に記載の減圧乾燥装置。
【請求項12】
前記気流通過方向と直交する水平な方向で前記処理空間の広がりを規制して、不活性ガスの気流を前記気流通過方向に案内するために、前記載置部の両側に設けられる第1の気流案内部を有する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の減圧乾燥装置。
【請求項13】
前記処理空間に入る前の不活性ガスの気流が前記基板または前記載置部を挟んで前記処理空間の下に形成される下部空間に入り込むのを妨げて、不活性ガスの気流を前記処理空間に案内するために、前記載置部の周囲に設けられる第2の気流案内部を有する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の減圧乾燥装置。
【請求項14】
前記第2の気流案内部が、
鉛直方向で移動可能または変位可能な板壁と、
前記処理空間のクリアランスを調整するために前記載置部の高さ位置に合わせて 前記板壁の上端の高さ位置を可変するための板壁高さ調整部と
を有する、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
スリット状の吐出口より塗布液を吐出するスリットノズルを被処理基板上で基板と平行な塗布走査方向に相対的に移動させて、前記基板上に処理液の塗布液の膜を形成する第1の工程と、
前記塗布液膜が形成された前記基板を減圧雰囲気の中に置き、前記基板上で基板と平行な所定の気流通過方向に不活性ガスの気流を通過させて、前記塗布液膜を乾燥させる第2の工程と
を有し、
前記基板に対して前記塗布走査方向と前記気流通過方向とを反対の向きまたは同じ向きのいずれかに合わせる、基板処理方法。
【請求項16】
前記気流通過方向の向きを反転可能とし、前記第1の工程における前記塗布走査方向の向きに応じて前記第2の工程における前記気流通過方向の向きを選択する、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記第1の工程と前記第2の工程との間で、前記第1の工程における前記塗布走査方向の向きに応じて、前記第2の工程における前記気流通過方向の向きを選択するために、前記基板を水平面内で所望の回転角度だけ回転させる、請求項15に記載の基板処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2011−114055(P2011−114055A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267221(P2009−267221)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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