説明

基板処理装置

【課題】処理槽または処理室の内部と外部との間で基板を搬送しつつ基板を処理する基板処理装置において、処理槽または処理室内を良好に密閉できる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、基板保持部34の上部に枠部33を有する。そして、基板Wをチャンバ20内に搬入したときには、枠部33を挟んでチャンバ20とカバー22とを閉鎖し、チャンバ20内を密閉する。また、基板Wをチャンバ20の上方に搬出したときには、チャンバ20とカバー22とを直接接触させて閉鎖し、チャンバ20内を密閉する。このため、基板Wをチャンバ20内に搬入したときにも、基板Wをチャンバ20の上方へ搬出したときにも、チャンバ20内を良好に密閉できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板等の基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の製造工程においては、処理液中に基板を浸漬することにより基板を処理する基板処理装置が知られている。図21は、従来の基板処理装置の構成を示した図である。図21に示した基板処理装置100は、処理液を貯留する処理槽110と、基板Wを上下に搬送する搬送機構120とを備えている。搬送機構120は、駆動部121と、アーム部122と、基板保持部123とを有しており、駆動部121を動作させることにより、アーム部122および基板保持部123を一体的に昇降移動させる。基板Wは、基板保持部123上に保持されており、基板保持部123とともに上下に搬送される。
【0003】
このような基板処理装置100において、基板Wを処理するときには、駆動部121を動作させて、アーム部122および基板保持部123を一体的に下降させる。これにより、処理槽110に貯留された処理液中に基板Wを浸漬し、基板Wを処理する。このような従来の基板処理装置については、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−192459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような基板処理装置100では、処理液の成分を含む雰囲気を周囲に拡散させないために、また、処理空間の気圧をコントロールするために、なるべく限定された範囲で処理槽110の近辺を密閉することが望ましい。しかしながら、上記の基板処理装置100では、アーム部122ごと基板Wを処理槽110内に搬入するため、アーム部122の周りに隙間が生じないように、処理槽110の近辺を密閉することは困難であった。
【0006】
例えば、図22に示したように、気密性の部材で構成された処理室130を処理槽110の周囲に設けたとしても、アーム部122の周りに隙間が生じないように処理室130を構成することは、非常に困難であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、処理槽または処理室の内部と外部との間で基板を搬送しつつ基板を処理する基板処理装置において、処理槽または処理室内を良好に密閉できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板に処理を行う基板処理装置であって、基板を処理する処理空間を内部に有する処理室と、前記処理室の上部に形成された開口部を介して前記処理室の内部と外部との間で基板を搬送する搬送部と、前記開口部に対して開閉可能なカバーと、を備え、前記搬送部は、前記処理室の外部に配置された駆動部と、前記駆動部の駆動により前記処理室の内部と外部との間で移動可能であり、かつ基板を保持する保持部と、前記駆動部と前記保持部との間を連結させる枠部とを備え、前記保持部が前記処理室の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記枠部は前記開口部と前記カバー部との間に狭持されて前記処理室内を密閉にさせ、前記保持部が前記処理室の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバーは前記開口部と接触して前記処理室内を密閉にさせることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記開口部の周縁部分に開口部側シール部材をさらに備え、前記保持部が前記処理室の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記枠部との間を密閉し、前記保持部が前記処理室の外側にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記カバーの下部にカバー側シール部材をさらに備え、前記保持部が前記処理室の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記カバーと前記枠部との間を密閉し、前記保持部が前記処理室の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の基板処理装置であって、前記開口部側シール部材と前記カバー側シール部材とは、外側と内側とに位置をずらせて設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記処理室は、処理液を貯留するとともに前記保持部に保持された基板を処理液に浸漬させる処理槽を内部に有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、基板に処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽の上部に形成された開口部を介して前記処理槽の内部と外部との間で基板を搬送する搬送部と、前記開口部に対して開閉可能なカバーと、を備え、前記搬送部は、前記処理槽の外部に配置された駆動部と、前記駆動部の駆動により前記処理槽の内部と外部との間で移動可能であり、かつ基板を保持する保持部と、前記駆動部と前記保持部との間を連結させる枠部とを備え、前記保持部が前記処理槽の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記枠部は前記開口部と前記カバー部との間に狭持されて前記処理槽内を密閉にさせ、前記保持部が前記処理槽の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバーは前記開口部と接触して前記処理槽内を密閉にさせることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の基板処理装置であって、前記開口部の周縁部分に開口部側シール部材をさらに備え、前記保持部が前記処理槽の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記枠部との間を密閉し、前記保持部が前記処理槽の外側にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の基板処理装置であって、前記カバーの下部にカバー側シール部材をさらに備え、前記保持部が前記処理槽の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記カバーと前記枠部との間を密閉し、前記保持部が前記処理槽の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の基板処理装置であって、前記開口部側シール部材と前記カバー側シール部材とは、外側と内側とに位置をずらせて設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜5に記載の発明によれば、保持部が処理室の内部にあり、かつカバーを閉じた場合には、枠部は開口部とカバー部との間に狭持されて処理室内を密閉にさせる。また、保持部が処理室の外部にあり、かつカバーを閉じた場合には、カバーは開口部と接触して処理室内を密閉にさせる。このため、処理室内に基板を搬入したときにも、処理室外に基板を搬出したときにも、処理室内を良好に密閉できる。
【0018】
特に、請求項2に記載の発明によれば、開口部の周縁部分に開口部側シール部材を備える。このため、開口部と枠部との間、および開口部とカバーとの間を良好に密閉できる。
【0019】
特に、請求項3に記載の発明によれば、カバーの下部にカバー側シール部材を備える。このため、カバーと枠部との間、および開口部とカバーとの間を良好に密閉できる。
【0020】
特に、請求項4に記載の発明によれば、開口部側シール部材とカバー側シール部材とは、外側と内側とに位置をずらせて設けられている。このため、開口部側シール部材の先端とカバー側シール部材の先端とが接触することはなく、より確実に処理室内を密閉できる。
【0021】
特に、請求項5に記載の発明によれば、処理室は、処理液を貯留するとともに保持部に保持された基板を処理液に浸漬させる処理槽を内部に有する。このため、処理液により基板を処理しつつ、処理液の成分を含む雰囲気の拡散を防止できる。
【0022】
また、請求項6〜9に記載の発明によれば、保持部が処理槽の内部にあり、かつカバーを閉じた場合には、枠部は開口部とカバー部との間に狭持されて処理槽内を密閉にさせる。また、保持部が処理槽の外部にあり、かつカバーを閉じた場合には、カバーは開口部と接触して処理槽内を密閉にさせる。このため、処理槽内に基板を搬入したときにも、処理室外に基板を搬出したときにも、処理槽内を良好に密閉できる。
【0023】
特に、請求項7に記載の発明によれば、開口部の周縁部分に開口部側シール部材を備える。このため、開口部と枠部との間、および開口部とカバーとの間を良好に密閉できる。
【0024】
特に、請求項8に記載の発明によれば、カバーの下部にカバー側シール部材を備える。このため、カバーと枠部との間、および開口部とカバーとの間を良好に密閉できる。
【0025】
特に、請求項9に記載の発明によれば、開口部側シール部材とカバー側シール部材とは、外側と内側とに位置をずらせて設けられている。このため、開口部側シール部材の先端とカバー側シール部材の先端とが接触することはなく、より確実に処理槽内を密閉できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<1.第1実施形態>
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の構成を示した図である。図1は、基板処理装置1を基板Wと垂直な平面で切断した縦断面図であり、図2は、基板処理装置1を基板Wと平行な平面で切断した縦断面図である。なお、図1および図2には、各部位の位置関係を明確にするために、xyz直交座標系を付している。
【0028】
この基板処理装置1は、複数の基板(以下、単に基板という)Wを起立姿勢に保持しつつ、基板Wに対して薬液処理と水洗処理とを行う装置である。図1,図2に示したように、基板処理装置1は、主として、薬液を貯留する処理槽10と、処理槽10を収容するチャンバ20と、基板Wを上下に搬送する搬送機構30と、装置の外壁を構成するケーシング40と、を備えている。
【0029】
処理槽10は、処理液としての薬液を貯留する容器である。処理槽10は、基板Wを処理液に浸漬するための内槽11と、内槽11の周囲に設けられた外槽12とを備えている。内槽11の底部には、内槽11へ薬液を供給するための薬液吐出部13が設けられている。薬液は、薬液吐出部13から吐出され、内槽11の内部に貯留されて、やがて内槽11の上部から外槽12へオーバーフローする。なお、薬液としては、例えば、アンモニア水と過酸化水素水との混合溶液や、塩酸と過酸化水素水との混合溶液や、硫酸と過酸化水素水との混合溶液などが使用される。
【0030】
図3は、薬液吐出部13に接続された薬液供給系の構成を示した図である。薬液吐出部13は、薬液供給用の配管13aを介して薬液供給源13bに接続されている。また、配管13aの経路途中には、開閉弁13cが介挿されている。このため、開閉弁13cを開放すると、薬液供給源13bから配管13aを介して薬液吐出部13へ、薬液が供給される。供給された薬液は、薬液吐出部13から内槽11へ吐出される。
【0031】
図1,図2に戻り、チャンバ20は、内部に処理槽10を収容する処理室である。チャンバ20は、気密性の部材で構成されており、上面には基板Wの搬出入口となる開口部21が形成されている。また、チャンバ20の上面には、開口部21を開閉するカバー22が設けられている。図2に示すように、カバー22の左右には、連結部材23を介して駆動部24が接続されている。駆動部24は、カバー22を上下方向(z軸方向)および前後方向(y軸方向)に移動させる。これにより、カバー22は、開口部21を閉鎖する閉鎖位置(図1の実線位置)と処理槽10前方の退避位置(図1の鎖線位置)との間で移動する。
【0032】
図4は、カバー22に接続された駆動部24の構成を示した図である。駆動部24は、連結部材23を上下に移動させる第1のシリンダ24aと、第1のシリンダ24aを前後に移動させる第2のシリンダ24bとを備えている。カバー22を開くときには、まず、第1のシリンダ24aを収縮させて、カバー22をチャンバ20の上方へ引き上げる。そして、第2のシリンダ24bを伸長させてカバー22を前方の退避位置(鎖線位置)へ移動させる。また、カバー22を閉じるときには、まず、第2のシリンダ24aを収縮させてカバー22をチャンバ20の上方へ移動させる。そして、第1のシリンダ24aを伸長させて、カバー22を閉鎖位置(実線位置)へ降下させる。
【0033】
図1,図2に戻り、搬送機構30は、基板Wを上下に搬送するための機構である。図1に示すように、搬送機構30は、駆動部31と、アーム部32と、枠部33と、基板保持部34とを有している。駆動部31は、チャンバ20の外部に配置され、アーム部32、枠部33、および基板保持部34を一体的に上下に移動させる。駆動部31は、公知の種々の機構により構成することができる。例えば、タイミングベルトをモータにより回転させ、タイミングベルトに固着されたロッドを上下に移動させる機構とすればよい。
【0034】
チャンバ20のカバー22を開き、駆動部31を動作させると、アーム部32、枠部33、および基板保持部34は一体的に上下に移動する。これにより、基板保持部34上に保持された基板Wは、処理槽10内の浸漬位置(図1,図2の実線位置)と、チャンバ20上方の引き上げ位置(図1,図2の鎖線位置)との間で搬送される。
【0035】
枠部33は、アーム部32と基板保持部34との間に形成されたロ字状の板状の部材である。基板保持部34は、枠部33の下面側に吊り下げられた状態で支持されている。基板Wを浸漬位置に下降させたときには、図1および図2に示したように、チャンバ20の開口部21上に枠部33が載置される。チャンバ20の開口部21の周囲には、フランジ部25が形成されており、フランジ部25の上面は所定の幅を有する環状の平坦面となっている。このため、フランジ部25の上面と枠部33の下面とが、開口部21の周縁部分の全周に亘って隙間なく接触する。この状態でカバー22を閉じると、カバー22は枠部33の上面に載置される。カバー22の下面は、フランジ部25の上面に対向する環状の平坦面となっている。このため、カバー22の下面と枠部33の上面とが、全周に亘って隙間なく接触する。
【0036】
図5は、基板Wを引き上げ位置に引き上げたときの状態を示している。基板Wを引き上げ、カバー22を閉じたときには、フランジ部25上に直接カバー22が載置される。フランジ部25の上面とカバー22の下面とは、開口部21の周縁部分の全周に亘って隙間なく接触する。
【0037】
図6,図7,および図8は、開口部21の周縁部分におけるカバー22、枠部33、およびフランジ部25の拡大縦断面図である。カバー22の下面およびフランジ部25の上面には、それぞれカバー側シール部材26および開口部側シール部材27が設けられている。カバー側シール部材26および開口部側シール部材27は、例えばフッ素樹脂等により構成され、接触した部分に密着することにより当該部分を密閉する。
【0038】
基板Wを浸漬位置に下降させ、枠部33を挟んでカバー22を閉じたときには、図7に示したように、カバー22に設けられたカバー側シール部材26が枠部33の上面に密着し、カバー22と枠部33との間を全周に亘って密閉する。また、フランジ部25に設けられた開口部側シール部材27が枠部33の下面に密着し、フランジ部25と枠部33との間を全周に亘って密閉する。これにより、チャンバ20の内部は気密状態となる。
【0039】
一方、基板Wを引き上げ位置に引き上げ、枠部33を挟むことなくカバー22を閉じたときには、図8に示したように、カバー22に設けられたカバー側シール部材26がフランジ部25の上面に密着するとともに、フランジ部25に設けられた開口部側シール部材27がカバー22の下面に密着する。これにより、カバー22とフランジ部25との間が全周に亘って密閉され、チャンバ20の内部は気密状態となる。なお、カバー側シール部材26および開口部側シール部材27は、両者の先端同士が接触すると良好に密着しない場合がある。このため、カバー側シール部材26および開口部側シール部材27は、外側と内側とに位置をずらして配置されている。
【0040】
図1および図2に戻り、ケーシング40は、基板処理装置1の外壁を構成する筐体である。ケーシング40の上面には、基板Wを搬出入するための搬出入口41と、搬出入口41を開閉するためのカバー42とが設けられている。カバー42は駆動部43に接続されており、駆動部43を動作させると、カバー42が移動して搬出入口41が開閉される。ケーシング40内において基板Wを処理するときには搬出入口41が閉鎖され、基板Wを搬出入するときには搬出入口41が開放される。
【0041】
ケーシング40の左右の壁面(+x側および−x側)の一部分には、液体(例えば純水)を介してケーシング40の内部と外部とを連通する液シール部44が形成されている。液シール部44の液体は、液シール部44の下側の壁面の上端に形成された樋状の液溜め部に貯留されている。また、液シール部44の上側の壁面の下端部は、液溜め部に貯留された液体中に浸漬されている。上記の連結部材23は、この液シール部44の液体中を通ってカバー22と駆動部24とを結んでいる。これにより、ケーシング40の内部の雰囲気と外部の雰囲気とを分離しつつ、ケーシング40の外部に駆動部24を配置することができる。したがって、駆動部24を構成するシリンダが、ケーシング40の内部の雰囲気によって腐食されることはない。
【0042】
ケーシング40内の上部空間は、基板Wを水洗処理する水洗処理領域となっている。水洗処理領域には、一対の純水吐出部が設けられている。純水吐出部45は、前後(y軸方向)にのびた純水供給管に、複数の純水吐出口(図示省略)を形成したものである。純水吐出口は、引き上げ位置の基板Wに向けられている。純水吐出部45は、純水吐出口から引き上げ位置の基板Wへ向けて、シャワー状に純水を吐出する。これにより、基板Wは水洗処理される。
【0043】
図9は、純水吐出部45に接続された純水供給系の構成を示した図である。純水吐出部45は、純水供給用の配管45aを介して純水供給源45bに接続されている。また、配管45aの経路途中には、開閉弁45cが介挿されている。このため、開閉弁45cを開放すると、純水供給源45bから配管45aを介して純水吐出部45へ、純水が供給される。供給された純水は、純水吐出部45の純水吐出口から吐出される。
【0044】
また、この基板処理装置1は、上記の各部を動作制御するための制御部50を備えている。図10は、制御部50を含む制御系の構成を示したブロック図である。制御部50は、上記の駆動部24,31,42や開閉弁13c,45cと電気的に接続されている。制御部50は、これらの各部に所定の電気信号を与えることにより、それぞれの動作を制御する。
【0045】
続いて、上記構成を有する基板処理装置1の動作について説明する。図11〜図17は、基板処理装置1の各段階における動作の様子を示した図である。なお、これらの動作は、制御部50が、駆動部24,31,42や開閉弁13c,45c等を動作制御することにより進行する。
【0046】
基板処理装置1において基板Wを処理するときには、まず、ケーシング40のカバー42を開放し、外部の搬送ロボット60が、搬出入口41を介してケーシング40内へ基板Wを搬入する(図11の状態)。ケーシング40内の上部位置には、基板保持部34が待機しており、搬入された基板Wを搬送ロボット60から受け取る。基板保持部34上に基板Wが載置されると、搬送ロボット60はケーシング40の上方へ退避し、カバー42が閉鎖される(図12の状態)。
【0047】
次に、チャンバ20のカバー22が開放され、搬送機構30は、枠部33および基板保持部34を下降させる(図13の状態)。これにより、基板Wはチャンバ20内に搬入され、処理槽10に貯留された薬液中に浸漬される。チャンバ20のフランジ部25上に枠部33が載置されると、基板Wの下降が完了し、チャンバ20のカバー22が閉鎖される。カバー22は、枠部33上に載置され、フランジ部25とカバー22との間に枠部33を挟んだ状態で、チャンバ20内が密閉される(図14の状態)。
【0048】
所定時間の浸漬処理が完了すると、チャンバ20のカバー22が再び開放され、搬送機構30は、枠部33および基板保持部34を上昇させる(図15の状態)。これにより、基板Wは処理槽10内の薬液から引き上げられ、チャンバ20上方の引き上げ位置まで搬送される。基板Wが引き上げられると、チャンバ20のカバー22は再び閉鎖される。カバー22は、チャンバ20のフランジ部25と直接接触し、チャンバ20内が密閉される。
【0049】
純水吐出部45は、引き上げ位置に引き上げられた基板Wに対して純水を吐出し、基板Wを水洗処理する(図16の状態)。これにより、基板Wの表面に付着した薬液が洗い流される。基板Wから落下する水滴は、チャンバ20のカバー22上に落下し、ケーシング40の下方に設けられた排液部(図示省略)へ排液される。チャンバ20は密閉されているため、チャンバ20の内部に純水が侵入することはない。
【0050】
水洗処理が終了すると、ケーシング40のカバー42が開放され、外部の搬送ロボット60がケーシング40内に進入する。搬送ロボット60は、基板保持部34上に保持された基板Wを受け取り、ケーシング40の上方へ搬出する(図17の状態)。以上をもって、基板処理装置1における基板Wの処理が終了する。
【0051】
上記のように、本実施形態の基板処理装置1は、基板保持部34の上部に枠部33を有する。そして、基板Wをチャンバ20内に搬入したときには、枠部33を挟んでチャンバ20とカバー22とを閉鎖し、チャンバ20内を密閉する。また、基板Wをチャンバ20の上方に搬出したときには、チャンバ20とカバー22とを直接接触させて閉鎖し、チャンバ20内を密閉する。このため、基板Wをチャンバ20内に搬入したときにも、基板Wをチャンバ20の上方へ搬出したときにも、チャンバ20内を良好に密閉できる。
【0052】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図18および図19は、第2実施形態に係る基板処理装置2の構成を示した図である。第2実施形態の基板処理装置2は、チャンバ20を有しておらず、処理槽10およびカバー15の構成が上記の基板処理装置1と異なる。他の部分の構成については、上記の基板処理装置1と同等の構成となる。このため、以下では、上記の基板処理装置1と異なる部分を中心に説明し、その他の部分については図18および図19中に図1および図2と同一の符号を付して、重複説明を省略する。
【0053】
この基板処理装置2は、処理槽10自体を開閉するためのカバー15を有している。カバー15の左右には、連結部材16を介して駆動部17が接続されている。連結部材16および駆動部17は、第1実施形態の連結部材23および駆動部24と同等の構成を有し、カバー15を上下方向(z軸方向)および前後方向(y軸方向)に移動させる。これにより、カバー15は、処理槽10を閉鎖する閉鎖位置(図18の実線位置)と処理槽10前方の待避位置(図18の鎖線位置)との間で移動する。
【0054】
処理槽10の外槽12の周縁部分には、フランジ部18が形成されている。搬送機構30を動作させて、基板Wを処理槽10内の浸漬位置に下降させたときには、フランジ部18上に枠部33が載置される。第1実施形態のフランジ部25と同様に、フランジ部18の上面は、所定の幅を有する環状の平坦面となっている。このため、フランジ部18の上面と枠部33の下面とは、外槽12の周縁部分の全周に亘って隙間なく接触する。また、この状態でカバー15を閉じると、カバー15は枠部33の上面に載置される。カバー15の下面は、フランジ部18の上面に対向する環状の平坦面となっている。このため、カバー15の下面と枠部33の上面とは、全周に亘って隙間なく接触する。
【0055】
図20は、基板Wを引き上げ位置に引き上げたときの様子を示している。基板Wを引き上げ、カバー15を閉じたときには、フランジ部18上に直接カバー15が載置される。フランジ部18の上面とカバー15の下面とは、外槽12の周縁部分の全周に亘って隙間なく接触する。
【0056】
第1実施形態のカバー22と同様に、カバー15の下面にはカバー側シール部材が設けられている。また、第1実施形態のフランジ部25と同様に、フランジ部18の上面には開口部側シール部材が設けられている。基板Wを浸漬位置に下降させ、枠部33を挟んでカバー15を閉じたときには、カバー15と枠部33との間がカバー側シール部材によって密閉されるとともに、フランジ部18と枠部33との間が開口部側シール部材によって密閉される。これにより、処理槽10の内部は気密状態となる。一方、基板Wを引き上げ位置に引き上げ、枠部33を挟むことなくカバー15を閉じたときには、カバー15とフランジ部18との間がカバー側シール部材および開口部側シール部材によって密閉される。これにより、処理槽10の内部は気密状態となる。
【0057】
すなわち、本実施形態の基板処理装置2は、基板Wを処理槽10内に搬入したときには、枠部33を挟んで処理槽10とカバー15とを閉鎖し、処理槽10内を密閉する。また、基板Wを処理槽10の上方に搬出したときには、処理槽10とカバー15とを直接接触させて閉鎖し、処理槽10内を密閉する。このため、基板Wを処理槽10内に搬入したときにも、基板Wを処理槽10の上方へ搬出したときにも、処理槽10内を良好に密閉できる。また、処理槽10自体を密閉するため、より狭小な範囲で処理空間を密閉できる。
【0058】
また、基板処理装置2は、第1実施形態の制御部50と同等の制御部を備える。制御部50は、駆動部24,31,42や開閉弁13c,45c等を動作制御する。これにより、基板処理装置2は、第1実施形態の基板処理装置1と同じように、基板Wに対して薬液処理および水洗処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1実施形態に係る基板処理装置を基板と垂直な平面で切断した縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る基板処理装置を基板と平行な平面で切断した縦断面図である。
【図3】薬液供給系の構成を示した図である。
【図4】チャンバのカバーに接続された駆動部の構成を示した図である。
【図5】第1実施形態に係る基板処理装置を基板と垂直な平面で切断した縦断面図である。
【図6】カバー、枠部、およびフランジ部の拡大縦断面図である。
【図7】カバー、枠部、およびフランジ部の拡大縦断面図である。
【図8】カバー、枠部、およびフランジ部の拡大縦断面図である。
【図9】純水供給系の構成を示した図である。
【図10】制御系の構成を示したブロック図である。
【図11】基板処理装置の各段階における動作の様子を示した図である。
【図12】基板処理装置の各段階における動作の様子を示した図である。
【図13】基板処理装置の各段階における動作の様子を示した図である。
【図14】基板処理装置の各段階における動作の様子を示した図である。
【図15】基板処理装置の各段階における動作の様子を示した図である。
【図16】基板処理装置の各段階における動作の様子を示した図である。
【図17】基板処理装置の各段階における動作の様子を示した図である。
【図18】第2実施形態に係る基板処理装置を基板と垂直な平面で切断した縦断面図である。
【図19】第2実施形態に係る基板処理装置を基板と平行な平面で切断した縦断面図である。
【図20】第2実施形態に係る基板処理装置を基板と垂直な平面で切断した縦断面図である。
【図21】従来の基板処理装置の構成を示した図である。
【図22】従来の基板処理装置において、処理槽の周囲に処理室を設けた様子を示した図である。
【符号の説明】
【0060】
1,2 基板処理装置
10 処理槽
11 内槽
12 外槽
13 薬液吐出部
15,22 カバー
18,25 フランジ部
20 チャンバ
21 開口部
26 カバー側シール部材
27 開口部側シール部材
30 搬送機構
31 駆動部
33 枠部
34 基板保持部
40 ケーシング
44 液シール部
50 制御部
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理を行う基板処理装置であって、
基板を処理する処理空間を内部に有する処理室と、
前記処理室の上部に形成された開口部を介して前記処理室の内部と外部との間で基板を搬送する搬送部と、
前記開口部に対して開閉可能なカバーと、
を備え、
前記搬送部は、前記処理室の外部に配置された駆動部と、前記駆動部の駆動により前記処理室の内部と外部との間で移動可能であり、かつ基板を保持する保持部と、前記駆動部と前記保持部との間を連結させる枠部とを備え、
前記保持部が前記処理室の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記枠部は前記開口部と前記カバー部との間に狭持されて前記処理室内を密閉にさせ、
前記保持部が前記処理室の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバーは前記開口部と接触して前記処理室内を密閉にさせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記開口部の周縁部分に開口部側シール部材をさらに備え、
前記保持部が前記処理室の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記枠部との間を密閉し、
前記保持部が前記処理室の外側にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記カバーの下部にカバー側シール部材をさらに備え、
前記保持部が前記処理室の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記カバーと前記枠部との間を密閉し、
前記保持部が前記処理室の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置であって、
前記開口部側シール部材と前記カバー側シール部材とは、外側と内側とに位置をずらせて設けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記処理室は、処理液を貯留するとともに前記保持部に保持された基板を処理液に浸漬させる処理槽を内部に有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
基板に処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽の上部に形成された開口部を介して前記処理槽の内部と外部との間で基板を搬送する搬送部と、
前記開口部に対して開閉可能なカバーと、
を備え、
前記搬送部は、前記処理槽の外部に配置された駆動部と、前記駆動部の駆動により前記処理槽の内部と外部との間で移動可能であり、かつ基板を保持する保持部と、前記駆動部と前記保持部との間を連結させる枠部とを備え、
前記保持部が前記処理槽の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記枠部は前記開口部と前記カバー部との間に狭持されて前記処理槽内を密閉にさせ、
前記保持部が前記処理槽の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバーは前記開口部と接触して前記処理槽内を密閉にさせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置であって、
前記開口部の周縁部分に開口部側シール部材をさらに備え、
前記保持部が前記処理槽の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記枠部との間を密閉し、
前記保持部が前記処理槽の外側にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記開口部側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置であって、
前記カバーの下部にカバー側シール部材をさらに備え、
前記保持部が前記処理槽の内部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記カバーと前記枠部との間を密閉し、
前記保持部が前記処理槽の外部にあり、かつ前記カバーを閉じた場合、前記カバー側シール部材は、前記開口部と前記カバーとの間を密閉することを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記開口部側シール部材と前記カバー側シール部材とは、外側と内側とに位置をずらせて設けられていることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−90216(P2007−90216A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282115(P2005−282115)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】