説明

基板処理装置

【課題】基板の周辺の雰囲気の露点を低い状態に維持することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】ダクト20の内部に処理槽4が設けられている。処理槽4内で処理液により基板Wの洗浄処理が行われる。また、ダクト20にはドライエア供給ダクト62および排気ダクト63,91,92が取り付けられている。ドライエア供給ダクト62および排気ダクト63は処理槽4の上端部近傍においてほぼ同じ高さに配置される。排気ダクト91,92は、ドライエア供給ダクト62および排気ダクト63の上方でほぼ同じ高さに配置される。ドライエア供給ダクト62を通して基板WにドライエアDFが供給される。基板Wに供給されたドライエアDFは排気ダクト63,91,92から排気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に種々の処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
複数の基板を処理槽に貯留された処理液に浸漬し、洗浄処理を行う基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内で基板の表面が薬液および純水により洗浄処理される。洗浄処理の施された基板は処理槽内から引き上げられる。
【0005】
洗浄処理後の基板に純水が付着していると、基板にパーティクルが付着し易くなる。また、基板に付着した純水が自然乾燥すると、基板にウォーターマークが形成される。したがって、特許文献1の基板処理装置においては、処理槽内から引き上げられた基板にドライエアが供給される。これにより、基板に付着した純水がドライエアにより置換され、基板の表面が乾燥される。
【0006】
なお、特許文献1において、ドライエアとは極めて露点の低い気体をいい、基板に供給されるドライエアの露点は例えば約−70℃である。
【特許文献1】特開2006−310759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
処理槽内から引き上げられる基板の乾燥時には、その基板周辺の雰囲気の露点を十分に管理する必要がある。特に、基板にドライエアを供給する場合には、乾燥効率が低下しないように基板周辺の雰囲気の露点を低い状態に保つことが重要である。
【0008】
通常、基板に供給されたドライエアは、排気ダクトを通して排気される。しかしながら、基板に供給されたドライエアの一部が、処理槽上を旋回して再度基板の周辺に流れ込むことがある。一旦基板に供給されたドライエアは、基板に付着する純水および処理槽内の純水と接触することにより、露点が上昇した状態となる。そのため、ドライエアが処理槽上を旋回して再度基板の周辺に流れ込むことにより、基板の周辺の雰囲気の露点が上昇し、基板の乾燥効率が低下する。
【0009】
本発明の目的は、基板の周辺の雰囲気の露点を低い状態に維持することが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、処理液を貯留する貯留槽と、貯留槽上の空間を取り囲むように設けられる周壁部と、処理槽内の処理液中と処理槽の上方位置との間で基板を昇降させる基板昇降機構と、周壁部内において、基板昇降機構により処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部と、気体供給部に対向して配置され、基板に供給された気体を周壁部の外部に排出する第1の気体排出部と、基板に供給された気体を第1の気体排出部よりも高い位置から周壁部の外部に排出する第2の気体排出部とを備えるものである。
【0011】
この基板処理装置においては、処理槽内の処理液中に基板が浸漬されることにより、基板に所定の処理が施される。次いで、基板昇降機構により基板が処理槽から引き上げられる。このとき、気体供給部により基板に気体が供給され、基板が乾燥される。
【0012】
気体供給部から基板に供給された気体は、基板供給部に対向して配置された第1の気体排出部に向かって流れる。その気体は、基板の表面に付着する処理液および処理槽内の処理液に接触することにより、露点が高くなる。露点が高くなった気体の大部分は、第1の気体排出部により周壁部の外部に排出される。
【0013】
露点が高くなった気体の一部は、第1の気体排出部に向かう流れから離脱して上昇する。上昇した気体は、第2の気体排出部により周壁部の外部に排出される。この場合、露点が高くなった気体が周壁部内を旋回して再度基板の周辺に流れ込むことが防止される。したがって、基板の周辺の雰囲気の露点を低い状態で維持することができる。
【0014】
(2)周壁部の内側で気体供給部による気体の供給路および第1および第2の気体排出部による気体の排出路を除いて貯留槽上の空間を取り囲むように設けられる遮蔽部材をさらに備えてもよい。
【0015】
この場合、基板の周囲の雰囲気が遮蔽部材により外気から遮断されるので、外気の進入によって基板の周囲の雰囲気の露点が高くなることが防止される。それにより、基板の周囲の雰囲気の露点を低い状態に維持することができる。
【0016】
また、処理液への接触により露点が高くなった気体の一部が遮蔽部材内で上昇しても、その気体は第2の気体排出部により遮蔽部材の外部に排出される。それにより、露点が高くなった気体が遮蔽部材内を旋回することが防止され、基板の周囲の雰囲気の露点を低い状態に確実に維持することができる。
【0017】
(3)第2の気体排出部は、第1の気体排出部の上方に設けられる第1の気体排出口を有してもよい。この場合、第1の気体排出部に向かう流れから離脱して上昇した気体を第1の気体排出口を通して効率良く確実に外部に排出することができる。
【0018】
(4)第2の気体排出部は、気体供給部の上方に設けられる第2の気体排出口を有してもよい。この場合、第1の気体排出部に向かう流れから離脱して上昇した気体を第2の気体排出口を通して効率良く確実に外部に排出することができる。
【0019】
(5)基板処理装置は、第1の気体排出部による気体の排出量を制御する第1の排出量制御手段をさらに有してもよい。この場合、基板昇降機構によって昇降される基板の位置等に応じて第1の気体排出部による気体の排出量を制御することにより、基板の乾燥効率を向上させることが可能となる。
【0020】
(6)基板処理装置は、第2の気体排出部による気体の排出量を制御する第2の排出量制御手段をさらに有してもよい。この場合、基板昇降機構によって昇降される基板の位置等に応じて第1の気体排出部による気体の排出量を制御することにより、基板の乾燥効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、処理液との接触により露点が高くなった気体が周壁部内を旋回して再度基板の周辺に流れ込むことが防止される。それにより、基板の周辺の雰囲気の露点を低い状態で維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について説明する。以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等をいう。
【0023】
(1)基板処理装置の構成および動作
図1は、第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100は、処理槽4、ダクト20、昇降機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、上部開閉部材70、外気遮蔽部材75、制御部80、排気装置90、搬送駆動部300、搬送ロボット310および開閉駆動部700を備える。
【0024】
ダクト20は、矩形の筒形状を有し、鉛直方向の軸に沿うように立設されている。ダクト20の上端開口部には、ヒンジ部73を介して上部開閉部材70が開閉自在に取り付けられている。
【0025】
上部開閉部材70は矩形の平板形状を有し、開閉駆動部700により駆動される。この場合、上部開閉部材70がヒンジ部73を中心として回動する。それにより、ダクト20の上端開口部が開放または閉塞する。
【0026】
ダクト20の内部には、処理槽4が設けられている。処理槽4は複数の基板Wを収容可能な内槽40および内槽40の上部外周を取り囲むように設けられた外槽43により形成されている。内槽40は略直方体形状を有する。
【0027】
内槽40の底部には、内槽40内に処理液を供給するための処理液供給管41の一端および内槽40内の処理液を排出するための処理液排出管42の一端が接続されている。本実施の形態において、内槽40内では処理液により基板Wの洗浄処理が行われる。洗浄処理時に内槽40内に供給される処理液は、洗浄液またはリンス液である。
【0028】
すなわち、内槽40内に洗浄液を供給し、洗浄液の貯留された内槽40内に基板Wを浸漬することにより、基板Wの表面を洗浄する。その後、内槽40内の洗浄液をリンス液に置換する。
【0029】
洗浄液としては、BHF(バッファードフッ酸)、DHF(希フッ酸)、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸またはアンモニア等の薬液が用いられる。リンス液としては、純水、炭酸水、水素水、電解イオン水等が用いられる。
【0030】
処理液供給管41の他端は、処理液ミキシング装置50に接続されている。処理液ミキシング装置50には、例えば薬液および純水が供給されている。処理液ミキシング装置50は、供給される薬液および純水を所定の割合で混合することができる。したがって、処理液ミキシング装置50は、薬液、純水またはそれらの混合液を処理液またはリンス液として処理液供給管41を介して内槽40内に供給する。
【0031】
外槽43の底部には、内槽40の上部から溢れ出し(オーバーフロー)、外槽43内に流れ込む処理液を排出するための処理液排出管44の一端が接続されている。
【0032】
ダクト20の内部とダクト20の上方位置との間で上下方向に移動可能な昇降機構30が設けられている。昇降機構30は、複数の基板Wを保持する保持部31を内槽40の内部とその上方位置との間で上下方向に移動させる。これにより、複数の基板Wを内槽40内の処理液中に浸漬し、処理液から引き上げることができる。
【0033】
ダクト20の互いに対向する2つの側面のうち一方の側面にはドライエア供給ダクト62および排気ダクト91が取り付けられ、他方の側面には排気ダクト63,92が取り付けられている。ドライエア供給ダクト62および排気ダクト63は処理槽4の上端部近傍においてほぼ同じ高さに配置される。排気ダクト91,92は、ドライエア供給ダクト62および排気ダクト63の上方でほぼ同じ高さに配置される。
【0034】
ドライエア供給ダクト62には複数の通気ガイド62aが設けられている。また、排気ダクト63,91,92には複数の通気ガイド63a,91a,92aが設けられている。ドライエア供給ダクト62は配管61を介してドライエア発生装置60に接続されている。排気ダクト63,91,92は配管93a,93b,93cを介して排気装置90に接続されている。なお、配管93a,93b,93cには、それぞれバルブCB1,CB2,CB3が介挿されている。
【0035】
ドライエア発生装置60により発生されたドライエアDFが、配管61を通じてドライエア供給ダクト62に送られる。それにより、昇降機構30により内槽40から引き上げられる基板WにドライエアDFが吹き付けられ、基板Wの乾燥処理が行われる。基板Wに吹き付けられたドライエアDFおよび基板W周辺の雰囲気が排気ダクト63,91,92から排気される。
【0036】
なお、本実施の形態において、ドライエアDFとは、極めて露点の低い気体をいう。ドライエア供給ダクト62からダクト20内に供給されるドライエアDFの露点は、例えば約−70℃である。
【0037】
ダクト20内において、外気遮蔽部材75がドライエア供給ダクト62および排気ダクト63,91,92に取り付けられている。外気遮蔽部材75は、ダクト20よりも小さい矩形の略筒形状を有する。外気遮蔽部材75の上端開口部は、ダクト20の上端開口部と同じ高さに位置し、ダクト20の上端開口部が上部開閉部材70により閉塞されると、外気遮蔽部材75の上端開口部も同様に閉塞される。
【0038】
ドライエア供給ダクト62および排気ダクト63,91,92が接続される外気遮蔽部材75の部分には、それぞれ開口部75a,75b,75c,75dが形成されている。外気遮蔽部材75の構造の詳細は後述する。
【0039】
外気遮蔽部材75の上方には、搬送エリアTEが設けられている。搬送エリアTEには、搬送ロボット310が移動可能に設けられている。
【0040】
搬送ロボット310は、アームヒンジ部311および2本のアーム312を備える。搬送ロボット310は、搬送駆動部300により駆動される。この場合、2本のアーム312がアームヒンジ部311を中心としてそれぞれ対称な方向に回動し、搬送ロボット310の下端部が開閉する。これにより、搬送ロボット310は、複数の基板Wを保持する保持部31を2本のアーム312の間に挟み込んで保持することができる。また、搬送ロボット310は、搬送駆動部300により駆動されることにより、搬送エリアTE内を移動する。
【0041】
制御部80は、昇降機構30、処理液ミキシング装置50、ドライエア発生装置60、排気装置90、バルブCB1,CB2,CB3、搬送駆動部300および開閉駆動部700と接続されている。制御部80がこれらの構成部の動作を制御することにより、複数の基板Wを保持する保持部31の昇降動作、基板Wの洗浄処理、基板Wの乾燥処理、処理槽4に対する基板Wの搬入搬出動作、およびダクト20の上端開口部の開閉動作が制御される。
【0042】
また、制御部80が排気装置90およびバルブCB1,CB2,CB3を制御することにより、排気ダクト63,91,92からの排気量が調整される。また、制御部80がドライエア発生装置60を制御することにより、空間WU内へのドライエアDFの供給量が調整される。この場合、空間WU内の圧力を調整することができる。
【0043】
(2)外気遮蔽部材75について
ここで、外気遮蔽部材75の構造の詳細を説明する。図2は、図1の外気遮蔽部材75の構造の詳細を説明するための斜視図である。なお、図2では、外気遮蔽部材75の構造を明確に示すために、図1に示した処理槽4の外槽43およびダクト20の図示を省略している。
【0044】
図2に示すように、外気遮蔽部材75は、第1の遮蔽側板72a、第2の遮蔽側板72b、第3の遮蔽側板72cおよび第4の遮蔽側板72dを有する。第1の遮蔽側板72aおよび第2の遮蔽側板72bが互いに対向し、第3の遮蔽側板72cおよび第4の遮蔽側板72dが互いに対向している。
【0045】
第1の遮蔽側板72aの開口部75aにドライエア供給ダクト62が接続されており、第1の遮蔽側板72aの開口部75cに排気ダクト91が接続されている。また、第2の遮蔽側板72bの開口部75bに排気ダクト63が接続されており、第2の遮蔽側板72bの開口部75dに排気ダクト92が接続されている。これにより、ドライエア供給ダクト62および排気63,91,92は、外気遮蔽部材75の内部空間WUに連通する。第3の遮蔽側板72cおよび第4の遮蔽側板72dは、ドライエア供給ダクト62および排気ダクト63の下端部とほぼ同じ高さまで下方に延びている。
【0046】
外気遮蔽部材75の上端開口部が上部開閉部材70(図1)により閉塞された場合には、外気遮蔽部材75内の雰囲気が外部の雰囲気から遮断される。この場合、外気の進入によって基板W周囲の雰囲気の露点が上昇することが防止される。
【0047】
特に、空間WU内へのドライエアDFの供給量および空間WU内の雰囲気の排気量を調整し、空間WU内を外部に対して陽圧とする場合には、空間WU内の雰囲気を外気から確実に遮断することで、基板W周辺の雰囲気の露点を低い状態に維持することができる。
【0048】
(3)基板処理装置100の一連の動作
図3〜図5は、図1の基板処理装置100における一連の動作を示す図である。初めに、図3(a)に示すように、外気遮蔽部材70がダクト20の上端開口部を閉塞した状態で、内槽40内には純水PWが貯留されている。
【0049】
次に、図3(b)に示すように、上部開閉部材70がヒンジ部73を中心として回動する(矢印A1)。これにより、ダクト20の上端開口部が開放される。
【0050】
そして、複数の基板Wを保持する保持部31を搬送する搬送ロボット310が搬送エリアTE内でダクト20の上方位置に移動する(矢印A2)。
【0051】
さらに、搬送ロボット310は、ダクト20の上方位置から下降し、複数の基板Wを保持する保持部31をダクト20内に搬入する(矢印A3)。
【0052】
続いて、昇降機構30が、ダクト20内に搬入された保持部31を下降させる。これにより、保持部31により保持された複数の基板Wが下降し、内槽40内に収容される。
【0053】
搬送ロボット310がダクト20から退避した後、上部開閉部材70が再びヒンジ部73を中心として回動する(矢印A4)。これにより、ダクト20の上端開口部が閉塞される。
【0054】
処理液ミキシング装置50は、例えば薬液CLと純水PWとの混合液を洗浄液として内槽40内に供給する。それにより、複数の基板Wが内槽40内で洗浄液に浸漬され、各基板Wの表面が洗浄される。
【0055】
その後、図4(c)に示すように、処理液ミキシング装置50(図1)は、純水PWをリンス液として内槽40内に供給し、内槽40内の洗浄液を純水PWに置換する。これにより、複数の基板Wが内槽40内で純水PWに浸漬される。これにより、各基板Wの洗浄処理が完了する。
【0056】
次に、図4(d)に示すように、昇降機構30が、保持部31を上昇させる。これにより、保持部31により保持された複数の基板Wが上昇する。このとき、ドライエア発生装置60(図1)がドライエア供給ダクト62を通して内槽40から引き上げられる複数の基板WにドライエアDFを供給する。これにより、各基板Wに付着した純水PWがドライエアDFにより置換され、各基板Wの表面が乾燥される(乾燥処理)。なお、乾燥処理時以外において、ドライエア発生装置60(図1)は、ダクト20内へのドライエアDFの供給量を低減している(スローリーク)。
【0057】
ドライエアDFの供給時には、排気装置90が排気ダクト63,91,92を通して外気遮蔽部材75内の排気を行う。
【0058】
ここで、ドライエア供給ダクト62から吹き出されるドライエアDFは、排気ダクト63に向かってほぼ水平方向に流れる。この場合、ドライエアDFが基板Wの表面に付着する純水PWおよび処理槽4内の純水PWに接触することにより、その露点が高くなる。露点が高くなったドライエアDFの大部分は、排気ダクト63を通して排気される。しかしながら、そのドライエアDFの一部は、水平方向の流れから離脱して上昇する。
【0059】
上昇したドライエアDFは、外気遮蔽部材75内を旋回するような流れを形成する。具体的には、ドライエアDFは、外気遮蔽部材75の第2の遮蔽側板72bの内面、上部開閉部材70の下面および外気遮蔽部材75の第1の遮蔽側壁72aの内面に沿って再び基板Wの周辺に流れ込む(図4(d)の点線矢印参照)。この場合、上昇したドライエアDFが再度基板Wの周辺に流れ込むと、基板Wの周辺の雰囲気の露点が高くなり、基板Wの乾燥効率が低下する。
【0060】
本実施の形態では、上昇したドライエアDFが排気ダクト91,92を通して排気されるため、高い露点を有するドライエアDFが、再度基板Wの周辺に流れ込むことが防止される。それにより、基板Wの周辺の露点を低い状態で維持することができる。
【0061】
また、排気ダクト91,92が外気遮蔽部材75の第1の遮蔽側板72aおよび第2の遮蔽側板72bに接続されていることにより、第1の遮蔽側板72aおよび第2の遮蔽側板72bに沿って流れるドライエアDFを確実に排気することができる。
【0062】
なお、乾燥処理時以外においても、排気ダクト63,91,92を通して外気遮蔽部材75内の排気を行ってもよい。その場合、排気量を乾燥処理時よりも比較的少なくすることが好ましい。
【0063】
複数の基板Wの内槽40からの引き上げ時において、処理液ミキシング装置50(図1)は、少量の純水PWを継続して内槽40内に供給している。したがって、複数の基板Wの内槽40からの引き上げ時には、内槽40の上部開口から純水PWが溢れ出している。内槽40から溢れ出した純水PWは図1の外槽43へ流れ込み、外槽43に接続された図1の処理液排出管44から排出される。
【0064】
最後に、図5(e)に示すように、上部開閉部材70がヒンジ部73を中心として回動する(矢印B1)。これにより、ダクト20の上端開口部が開放される。
【0065】
そして、搬送ロボット310が複数の基板Wを保持する保持部31を受け取るとともに上昇し、保持部31をダクト20から搬出する(矢印B2)。その後、搬送ロボット310は、ダクト20の上方位置から移動する(矢印B3)。
【0066】
搬送ロボット310がダクト20から退避した後、外気遮蔽部材70がヒンジ部73を中心として回動する(矢印B4)。これにより、ダクト20の上端開口部が閉塞される。
【0067】
(4)他の実施の形態
上記実施の形態では、外気遮蔽部材75の第1および第2の遮蔽側板72a,72bの上部に排気ダクト91,92が接続されるが、これに加えて、図2の外気遮蔽部材75の第3および第4の遮蔽側板72c,72dの上部に排気ダクト91,92と同様の排気ダクトを接続してもよい。この場合、上昇したドライエアDFをより確実に排気することができる。そのため、高い露点を有するドライエアDFが再度基板Wの周辺に流れ込むことを確実に防止することができる。
【0068】
また、上昇したドライエアDFを十分に排気することができるのであれば、排気ダクト91,92のいずれか一方のみを設けてもよい。
【0069】
また、乾燥処理時において、基板Wの位置等に応じて排気ダクト63,91,92からの排気量を切替えることにより、ドライエアDFの気流を制御してもよい。
【0070】
図6は、ドライエアDFの気流制御の一例を示す図である。図6(a)に示すように、基板Wを処理槽4から引き上げる際には、排気ダクト63からの排気量が排気ダクト91,92からの排気量よりも多くなるようにバルブCB1,CB2,CB3を制御する。この場合、上記実施の形態でも示したように、ドライエア供給ダクト62から吹き出されるドライエアDFが排気ダクト63に向かってほぼ水平方向に流れる。
【0071】
基板Wを処理槽4から引き上げた後、基板Wをダクト20から搬出するまでの期間には、排気ダクト92からの排気量が排気ダクト63,91からの排気量よりも多くなるようにバルブCB1,CB2,CB3を制御する。この場合、図6(b)に示すように、ドライエア供給ダクト62から吹き出されるドライエアDFが排気ダクト91に向かって斜め上方に流れる。この場合、処理槽4から上方に移動する基板Wに対して常時ドライエアDFが供給される。それにより、基板Wの乾燥効率がより向上する。
【0072】
ドライエアDFの気流の制御方法は上記の例に限定されない。バルブCB1,CB2,CB3を任意に制御することにより、ドライエアDFの気流を任意に制御することができる。
【0073】
(5) 請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0074】
上記実施の形態では、処理槽4が貯留槽の例であり、ダクト20が周壁部の例であり、昇降機構30が基板昇降機構の例であり、ドライエア供給ダクト62が気体供給部の例であり、排気ダクト63が第1の気体搬出部の例であり、排気ダクト91,92が第2の気体搬出部の例であり、外気遮蔽部材75が遮蔽部材の例であり、排気ダクト92が第1の気体排出口の例であり、排気ダクト91が第2の気体排出口の例であり、バルブCB1および制御部80が第1の排出量制御手段の例であり、バルブCB2,CB3および制御部80が第2の排出量制御手段の例である。
【0075】
なお、請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る基板処理装置は、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の基板の製造に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】外気遮蔽部材の構造の詳細を説明するための斜視図である。
【図3】基板処理装置における一連の動作を示す図である。
【図4】基板処理装置における一連の動作を示す図である。
【図5】基板処理装置における一連の動作を示す図である。
【図6】ドライエアの気流制御の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
4 処理槽
20 ダクト
30 昇降機構
60 ドライエア発生装置
61,93a,93b,93c 配管
62 ドライエア供給ダクト
63,91,92 排気ダクト
70 上部開閉部材
75 外気遮蔽部材
72a, 第1の遮蔽側板
72b, 第2の遮蔽側板
72c, 第3の遮蔽側板
72d, 第4の遮蔽側板
80 制御部
排気装置 90
100 基板処理装置
300 搬送駆動部
310 搬送ロボット
CB1,CB2,CB3 バルブ
DF ドライエア
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽上の空間を取り囲むように設けられる周壁部と、
前記処理槽内の処理液中と前記処理槽の上方位置との間で基板を昇降させる基板昇降機構と、
前記周壁部内において、前記基板昇降機構により前記処理槽から引き上げられる基板に気体を供給する気体供給部と、
前記気体供給部に対向して配置され、基板に供給された気体を前記周壁部の外部に排出する第1の気体排出部と、
基板に供給された気体を前記第1の気体排出部よりも高い位置から前記周壁部の外部に排出する第2の気体排出部とを備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記周壁部の内側で前記気体供給部による気体の供給路および前記第1および第2の気体排出部による気体の排出路を除いて前記貯留槽上の空間を取り囲むように設けられる遮蔽部材をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2の気体排出部は、前記第1の気体排出部の上方に設けられる第1の気体排出口を有することを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2の気体排出部は、前記気体供給部の上方に設けられる第2の気体排出口を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の気体排出部による気体の排出量を制御する第1の排出量制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2の気体排出部による気体の排出量を制御する第2の排出量制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−251657(P2008−251657A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88386(P2007−88386)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】