説明

基板処理装置

【課題】乾燥処理中における基板の汚染を防止することができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】薬液処理エリアCAの上方に設けられた乾燥処理エリアDAにおいて、ウエハWに対して乾燥処理が施される。最終リンス処理が終了すると、回転部材昇降機構87が駆動されて、基板保持部材4に保持されたウエハWが薬液処理位置から乾燥処理位置(図に示す位置)まで上昇される。乾燥処理時においては、CDAバルブ29が開かれて、CDAユニット26の吐出口およびCDAノズル109から、下方に向けてCDAが吐出される。これにより、乾燥処理位置に位置するウエハWの表面に、FFU2の吐出口からのクリーンエアおよびCDAが上方から吹き付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等の基板を処理するための基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板に対して、たとえば、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)を用いて基板の表面からレジストを除去(剥離)するためのレジスト除去処理、ふっ酸(HF)を用いて基板から自然酸化膜を除去するための洗浄処理など、各種の薬液を用いた処理が行われる。
【0003】
この薬液処理のために、基板に対して1枚ずつ処理を行う枚葉式の基板処理装置が用いられることがある。枚葉式の基板処理装置は、隔壁により区画された処理チャンバ内に、基板をほぼ水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックを収容する有底筒状のカップと、基板に薬液を供給するための薬液ノズルと、基板にDIW(脱イオン化された水)を供給するためのDIWノズルとを備えている。
【0004】
薬液処理時には、スピンチャックにより基板が回転されつつ、薬液ノズルから基板の表面に薬液が供給される。基板の表面上の薬液は、基板の回転による遠心力を受けて、基板の表面の全域に拡がる。薬液の供給停止後は、DIWノズルから基板の表面にDIWが供給されて、基板に付着している薬液がDIWで洗い流される。そして、DIWの供給停止後、基板の高速回転により、基板に付着しているDIWが振り切られて除去される。これにより、基板が乾燥し、一連の薬液処理が終了する。
【0005】
スピンチャックがカップに収容されているので、薬液供給時に基板から飛散する薬液は、カップに受け止められ、カップ外に飛散することが防止される。しかし、薬液処理時に、その上昇気流によって薬液ミストが舞い上がり、この薬液ミストがカップの上部開口からカップ外に漏れ出ると、処理チャンバの内壁や処理チャンバ内の部材が薬液ミストによって汚染される。これが処理チャンバ内で乾燥すると、パーティクルとなって雰囲気中に浮遊し、以後に処理される基板を汚染するおそれがある。そこで、処理チャンバの天面にFFU(ファンフィルタユニット)を設けるとともに、カップの底部に排気口を形成して、FFUから基板に向けてクリーンエアのダウンフローを供給しつつ、排気口から排気を行うことにより、基板の周囲に排気口へと向かうダウンフローを形成し、薬液ミストの舞い上がりを防止する構成が採用される(特許文献1参照)。
【0006】
なお、本明細書において、「ミスト」とは、所定物質の蒸気または液滴であって、空中を浮遊または飛散することが可能なものをいう。
【特許文献1】特開2006−286834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前記構成が採用されていても、FFUからの給気と排気口からの排気との間の給排気バランスが悪いと、基板の周囲に気流の乱れが生じて、薬液処理時に薬液ミストが舞い上がることがある。前記給排気バランスを良好に保つことは困難であるので、薬液処理の終了後に、スピンチャックの周辺に薬液ミストが浮遊していることが多い。
乾燥処理は、薬液処理と同様、スピンチャック上で基板を回転させて行う。このため、スピンチャックの周辺に浮遊する薬液ミストがパーティクルとなって、乾燥処理中の基板を汚染するおそれがある。
【0008】
さらに、基板から飛散してカップに受け止められた薬液は、カップ壁面上で乾燥して結晶化し、この薬液乾燥物がパーティクルとなって、スピンチャック上で回転している基板を汚染することもある。かかる汚染を防止するために、定期的にカップ洗浄を行い、カップ壁面での薬液の乾燥を防止しているが、薬液を完全には除去することは困難である。すなわち、カップ内(または、カップ周辺)で乾燥処理を行う限り、カップに付着する薬液乾燥物からの悪影響は避けることができない。
【0009】
そこで、この発明の目的は、乾燥処理中における基板の汚染を防止することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、基板(W)に薬液による処理が施される薬液処理エリア(CA)と、前記薬液処理エリアの上方に設けられて基板に乾燥処理を施すための乾燥処理エリア(DA)とが内部に形成される処理チャンバ(3)と、前記処理チャンバ内に昇降可能に設けられて、基板を保持する基板保持部材(4)と、前記基板保持部材を、前記薬液処理エリアと前記乾燥処理エリアとの間に跨って昇降させる昇降機構(87)とを含む、基板処理装置である。
【0011】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、基板保持部材が、昇降機構によって、薬液処理エリアと乾燥処理エリアとの間に跨って昇降される。薬液処理エリアでは基板に対して薬液による処理が施され、また、乾燥処理エリアでは基板に対して乾燥処理が施される。薬液処理エリアと乾燥処理エリアとでは雰囲気が分離されているので、薬液ミストを含まない雰囲気下で基板に乾燥処理を施すことができる。また、乾燥処理エリアが薬液処理エリアの上方に設けられているので、乾燥処理を受けている基板上に薬液処理エリアからの薬液やその乾燥物が落下することがない。これにより、乾燥処理中における基板の汚染を防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記薬液処理エリアに位置する前記基板保持部材に保持された基板に、薬液を供給する薬液供給手段(6)と、前記薬液処理エリアに設けられて、前記薬液処理エリアに位置する前記基板保持部材の周囲を取り囲むカップ(5)と、前記基板保持部材に保持された基板を、鉛直な回転軸線まわりに回転させるための基板回転手段(8)と、前記乾燥処理エリアに設けられて、前記乾燥処理エリアに位置する前記基板保持部材の周囲を取り囲み、前記基板回転手段によって回転される基板から飛散する液を受け止める液受け部(100)とをさらに含む、請求項1記載の基板処理装置である。
【0013】
この構成によれば、カップが配置される薬液処理エリアと雰囲気が分離された乾燥処理エリア内で基板に対する乾燥処理が施される。このため、カップ内に浮遊する薬液ミストや、カップに付着した薬液乾燥物による悪影響を受けることなく、基板を乾燥させることができる。
また、乾燥処理エリアで行われる乾燥処理では、基板から飛散する液が液受け部によって受け止められる。これにより、基板から排除される液の飛散による汚染を防止することができる。また、基板からの液が、当該乾燥処理エリアの下方に位置する薬液処理エリア内に飛散しない。これにより、基板に対する乾燥処理によって薬液処理エリア内が汚染されることを防止することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記処理チャンバ内に基板を搬出入するための基板搬送手段(TR)をさらに含み、前記基板保持部材は、前記薬液処理エリアと前記乾燥処理エリアとの間に設定された基板受け渡し位置において、前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行う、請求項1または2記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板受け渡し位置の下方にある薬液処理エリアで、基板に対して薬液による処理を施すことができる。また、基板受け渡し位置の上方にある乾燥処理エリアで基板に対して乾燥処理を施すことができる。薬液処理エリアと乾燥処理エリアとの間に基板受け渡し位置を設定していることにより、両エリア間の間隔を広くとることができ、これらのエリアの雰囲気を確実に分離することができる。これにより、乾燥処理中における基板の汚染をより効果的に防止することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、前記乾燥処理エリア内に気体を供給する気体供給手段(2,26,109)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、乾燥処理エリアに気体供給手段からの気体が供給されるので、乾燥処理エリア内を陽圧に保つことができる。これにより、薬液処理エリアの薬液ミストが乾燥処理エリア内に進入することを防止または抑制することができる。
【0016】
前記気体供給手段は、N2ガスやCDA(Clean Dry Air;清浄度が高く低湿度な空気)などの低湿度ガスを供給する低湿度ガス供給手段であってもよい。この低湿度ガス供給手段による低湿度ガスの供給は、乾燥処理時に行われることが好ましい。この場合、低湿度ガスを多量に含む雰囲気下で基板に対して乾燥処理が施される。雰囲気中の湿度が低ければ低いほどパーティクルの発生が抑制されるので、これにより、乾燥処理時における基板への汚染を、より一層低減させることができる。
【0017】
また、乾燥処理時以外(たとえば、薬液処理時)は、低湿度ガス供給手段からの低湿度ガスの供給を停止するようにしてもよい。この場合、比較的高価な低湿度ガスの使用量を低減させることができるので、低湿度ガスを効率的に基板に供給することによって、ランニングコストを低減させることができる。
さらに、前記気体供給手段は、基板処理装置外から取り入れた外気を供給する外気供給手段であってもよい。この外気供給手段は、ファンおよびフィルタを積層した構成のFFU(ファンフィルタユニット)であってもよい。
【0018】
また、気体供給手段が、前記低湿度ガス供給手段と、前記外気供給手段との双方を含む構成であってもよい。
請求項5記載の発明は、前記乾燥処理エリア内の雰囲気を排気する排気手段(107)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、乾燥処理エリア内が排気されることにより、基板の周辺の雰囲気が置換される。これにより、乾燥処理が施される基板の周辺から薬液ミストをより効果的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。図2は、乾燥処理時における基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。図3は、基板搬出入時における基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
基板処理装置は、たとえば基板の一例としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの表面に不純物を注入するイオン注入処理やドライエッチング処理の後に、そのウエハWの表面から不要になったレジストを除去するための処理に用いられる枚葉式の装置である。基板処理装置は、隔壁で取り囲まれて、内部が密閉空間である処理チャンバ3を有している。処理チャンバ3には、ウエハWをほぼ水平に保持して、そのウエハWをほぼ鉛直な回転軸線C(図1および図2参照)まわりに回転させるための基板保持部材4と、基板保持部材4を収容可能なカップとしての処理カップ5と、基板保持部材4に保持されたウエハWの表面(上面)に、複数種の薬液を選択的に供給するための薬液供給手段としての薬液ノズル6(図1参照)と、基板保持部材4に保持されたウエハWの表面(上面)に、リンス液としてのDIW(脱イオン化された水)を供給するDIWノズル1(図1参照)とを備えている。この実施形態では、薬液ノズル6から、薬液として、ふっ酸、SPMおよびSC1(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液))を、ウエハWに選択的に供給する構成になっている。
【0020】
この実施形態では、処理チャンバ3内には、ウエハWに対して薬液処理を施すための薬液処理エリアCAと、ウエハWに対して乾燥処理(スピンドライ処理)を施すための乾燥処理エリアDAとが設けられている。処理チャンバ3内の下部には薬液処理エリアCAが形成され、また、処理チャンバ3内の上部には乾燥処理エリアDAが形成されている。
処理チャンバ3の天面には、処理チャンバ3内にクリーンエアのダウンフローを供給するためのFFU(気体供給手段)2が複数個(図1〜図3では3個)設けられている。このFFU2は、ファンおよびフィルタを上下に積層し、ファンにより取り込んだ外部のエアをフィルタで浄化して、処理チャンバ3の天面に形成された吐出口を通して処理チャンバ3内に供給する構成になっている。
【0021】
また、処理チャンバ3の天面には、処理チャンバ3内にCDAを供給するためのCDAユニット(気体供給手段)26が複数個(図1〜図3では4個)設けられている。CDAユニット26とFFU2とは交互に配置されている。各CDAユニット26には、CDA供給管27から分岐する分岐供給管28が接続されている。CDA供給管27の途中部には、CDA供給管27を開閉するためのCDAバルブ29が介装されている。CDAバルブ29が開かれると、CDAユニット26は、処理チャンバ3の天面に形成された吐出口を通して処理チャンバ3内にCDAを供給する。
【0022】
処理チャンバ3の側壁には、処理チャンバ3内に対してウエハWを搬入および搬出するための開口部84が形成されている。処理チャンバ3の外側には、開口部84に対向して、基板搬送ロボット(基板搬送手段)TR(図3参照)が配置されている。基板搬送ロボットTRは、開口部84を通して処理チャンバ3内にハンドをアクセスさせ、後述する基板受け渡し位置(図3参照)に位置する基板保持部材4上に未処理のウエハWを載置したり、基板保持部材4上から処理済のウエハWを取り出したりすることができるようになっている。側壁に形成された開口部84に関連して、処理チャンバ3の外側には、開口部84を開閉するためのシャッタ85が設けられている。
【0023】
基板保持部材4は、ほぼ鉛直に延びるスピン軸86と、スピン軸86の上端にほぼ水平な姿勢で取り付けられたスピンベース7と、スピンベース7の周縁部に配置された複数の挟持部材9とを備えている。この基板保持部材4は、スピン軸86に一体的に昇降可能に設けられたモータ(基板回転手段)8によって回転駆動されるようになっている。複数(たとえば6個)の挟持部材9は、スピン軸86の中心軸線を中心とする円周上にほぼ等角度間隔で配置されている。各挟持部材9をウエハWの端面に当接させて、複数の挟持部材9でウエハWを挟持することにより、ウエハWがほぼ水平な姿勢で保持され、ウエハWの中心がスピン軸86の中心軸線上に配置される。
【0024】
また、基板処理装置は、基板保持部材4を、薬液処理エリアCAと前記乾燥処理エリアとの間に跨って昇降させる昇降機構としての回転部材昇降機構87を備えている。この回転部材昇降機構87として、たとえばボールねじ機構が採用されている。具体的には、回転部材昇降機構87は、基板保持部材4に保持されたウエハWを、当該ウエハWに対して薬液処理を施す薬液処理位置(図1に示す位置)と、薬液処理位置の上方に大きく離反し、当該ウエハWに対して乾燥処理を施す乾燥処理位置(図2に示す位置)との間で昇降させる。また、薬液処理位置と乾燥処理位置との間に設定された基板受け渡し位置(図3に示す位置)において、基板保持部材4と基板搬送ロボットTRとの間でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0025】
図2に示す乾燥処理位置は、FFU2の吐出口およびCDAユニット26の吐出口の直下位置に設定されている。
処理チャンバ3内の底壁上には、筒状のカバー部材10が配置されている。カバー部材10は、その下端が処理チャンバ3の底壁3aに固定され、上端がスピンベース7の近傍にまで及んでいる。基板保持部材4が薬液処理エリアCAにあり、基板保持部材4に保持されるウエハWが薬液処理位置(図1に示す位置)に位置するとき、カバー部材10は、基板保持部材4のモータ8およびスピン軸86の周囲を包囲する。そして、基板保持部材4が薬液処理エリアCAから乾燥処理エリアDAに向けて上昇することにより、モータ8およびスピン軸86がカバー部材10から離脱する。
【0026】
薬液ノズル6は、基板保持部材4の上方でほぼ水平に延びる第1ノズルアーム11の先端部に取り付けられている。この第1ノズルアーム11は、処理カップ5の側方でほぼ鉛直に延びた第1アーム支持軸12に支持されている。第1アーム支持軸12には、モータ(図示せず)を含む薬液ノズル駆動機構13が結合されている。薬液ノズル駆動機構13から第1アーム支持軸12に回転力を入力して、第1アーム支持軸12を回動させることにより、基板保持部材4の上方で第1ノズルアーム11を揺動させることができる。薬液ノズル6は、薬液の供給が行われないときには、処理カップ5の側方の退避位置に退避しており、薬液の供給時には、ウエハWの上面に対向する位置へと移動する。
【0027】
薬液ノズル6には、ふっ酸供給源からのふっ酸が供給されるふっ酸供給管14と、SPM供給源からSPMが供給されるSPM供給管15と、SC1供給源からSC1が供給されるSC1供給管16とが接続されている。ふっ酸供給管14の途中部には、ふっ酸供給管14を開閉するためのふっ酸バルブ18が介装されている。SPM供給管15の途中部には、SPM供給管15を開閉するためのSPMバルブ19が介装されている。SC1供給管16の途中部には、SC1供給管16を開閉するためのSC1バルブ20が介装されている。
【0028】
SPMバルブ19およびSC1バルブ20が閉じられた状態で、ふっ酸バルブ18が開かれることにより、ふっ酸供給管14からのふっ酸が薬液ノズル6に供給されて、薬液ノズル6から下方に向けてふっ酸が吐出される。
ふっ酸バルブ18およびSC1バルブ20が閉じられた状態で、SPMバルブ19が開かれることにより、SPM供給管15からのSPMが薬液ノズル6に供給されて、薬液ノズル6から下方に向けてSPMが吐出される。
【0029】
ふっ酸バルブ18およびSPMバルブ19が閉じられた状態で、SC1バルブ20が開かれることにより、SC1供給管16からのSC1が薬液ノズル6に供給されて、薬液ノズル6から下方に向けてSC1が吐出される。
DIWノズル1は、基板保持部材4の上方でほぼ水平に延びる第2ノズルアーム23の先端部に取り付けられている。この第2ノズルアーム23は、処理カップ5の側方でほぼ鉛直に延びた第2アーム支持軸24に支持されている。第2アーム支持軸24には、モータ(図示せず)を含むDIWノズル駆動機構25が結合されている。DIWノズル駆動機構25から第2アーム支持軸24に回転力を入力して、第2アーム支持軸24を回動させることにより、基板保持部材4の上方で第2ノズルアーム23を揺動させることができる。DIWノズル1は、DIWの供給が行われないときには、処理カップ5の側方の退避位置に退避しており、DIWの供給時には、ウエハWの上面に対向する位置へと移動する。
【0030】
DIWノズル1には、DIW供給源から常温(たとえば25℃)のDIWが供給されるDIW供給管17が接続されている。DIW供給管17の途中部には、DIW供給管17を開閉するためのDIWバルブ21が介装されている。
処理カップ5は、処理チャンバ3内に収容された有底円筒状の排気桶30と、排気桶30内に固定的に収容された第1カップ部材31および第2カップ部材32と、排気桶30内に収容されて、互いに独立して昇降可能な第1ガード33、第2ガード34および第3ガード3とを備えている。この実施形態では、第1カップ部材31および第2カップ部材32は、ガード33〜35と一体的に移動せず、排気桶30内に固定されている。このため、昇降させるべき部材を軽量化することができ、ガード33〜35をそれぞれ昇降させるための昇降機構81〜83の負荷を低減させることができる。
【0031】
排気桶30の側壁には、当該側壁の内外を貫通する排気口37が形成されている。この排気口37には、排気桶30内の雰囲気を、排気口37を介して排気する排気管38が接続されている。
排気桶30の底部には、廃液管40が接続されている。排気桶30の底部に溜められた処理液は、廃液管40を通して廃液処理設備へ導かれる。
【0032】
第1カップ部材31は、薬液処理エリアCAに位置する基板保持部材4(カバー部材10)の周囲を取り囲み、基板保持部材4によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状を有している。この第1カップ部材31は、平面視円環状の底部41と、この底部41の内周縁部から上方に立ち上がる円筒状の内壁部42と、底部41の外周縁部から上方に立ち上がる円筒状の外壁部43とを一体的に備えている。そして、底部41、内壁部42および外壁部43は、断面U字状をなしており、これらの底部41、内壁部42および外壁部43によって、ウエハWの処理に使用された処理液(SC1およびDIW)を集めて廃棄するための廃液溝44が区画されている。廃液溝44の底部の最も低い箇所には、この廃液溝44に集められた処理液を図示しない排気設備に導くための廃液機構45が接続されている。この廃液機構45は、廃液溝44の周方向に関して等間隔で複数(たとえば、2つ)設けられている。
【0033】
各廃液機構45は、処理チャンバ3の底壁3aの下面に固定されて、排気桶30の底部および処理チャンバ3の底壁3aに挿通して上方に延びる固定筒部材46と、この固定筒部材46と廃液溝44とを連通する連通孔47とを備えている。固定筒部材46は第1カップ部材31を保持しており、固定筒部材46の下部開口は接続口48を形成している。この接続口48に、図示しない廃液タンクから延びる廃液配管49に接続された継手50が接続されている。廃液溝44に集められる処理液(SC1およびDIW)は、連通孔47、固定筒部材46、継手50および廃液配管49を介して図示しない廃液タンクに導かれる。
【0034】
第2カップ部材32は、第1カップ部材31の外側において、基板保持部材4を取り囲み、基板保持部材4によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状を有している。この第2カップ部材32は、平面視円環状の底部51と、この底部51の内周縁部から上方に立ち上がる円筒状の内壁部52と、底部51の外周縁部から上方に立ち上がった円筒状の外壁部53とを一体的に備えている。底部51、内壁部52および外壁部53は、断面U字状をなしており、これらの底部51、内壁部52および外壁部53によって、ウエハWの処理に使用された薬液(たとえば、SPM)を集めて回収するための内側回収溝54が区画されている。内側回収溝54の底部の最も低い箇所には、この内側回収溝54に集められた薬液を図示しない回収設備に回収するための第1回収機構55が接続されている。この第1回収機構55は、内側回収溝54の周方向に関して等間隔で複数(たとえば、2つ)設けられている。
【0035】
各第1回収機構55は、処理チャンバ3の底壁3aの下面に固定されて、排気桶30の底部および処理チャンバ3の底壁3aに挿通して上方に延びる固定筒部材56と、この固定筒部材56と内側回収溝54とを連通する連通孔57とを備えている。固定筒部材56は第2カップ部材32を保持しており、固定筒部材56の下部開口は接続口58を形成している。この接続口58に、図示しない回収タンクから延びる第1回収配管59に接続された継手60が接続されている。内側回収溝54に集められる薬液は、連通孔57、固定筒部材56、継手60および第1回収配管59を介して回収タンクに回収される。
【0036】
第1ガード33は、基板保持部材4の周囲を取り囲み、基板保持部材4によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状を有している。この第1ガード33は、ほぼ円筒状の第1案内部61と、この第1案内部61に連結された円筒状の分離壁62とを備えている。
第1案内部61は、基板保持部材4の周囲を取り囲む円筒状の下端部61aと、この下端部61aからの上端から径方向外方側(ウエハWの回転軸線Cから離反する方向)の斜め上方に延びる中段部61dと、中段部61dの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(ウエハWの回転軸線Cに近づく方向)斜め上方に延びる上端部61bと、上端部61bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部61cとを有している。分離壁62は、中段部61dの外周縁部から下方に垂下して、第2カップ部材32の内側回収溝54上に位置している。
【0037】
第1案内部61の下端部61aは、廃液溝44上に位置し、第1ガード33が最も第1カップ部材31に近接した状態で、第1カップ部材31の廃液溝44内に、底部41および外壁部43の間にごく微小な隙間を保って収容されるような長さに形成されている。
第2ガード34は、第1ガード33の周囲を取り囲み、基板保持部材4によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状を有している。この第2ガード34は、第2案内部63と、カップ部64とを一体的に備えている。
【0038】
第2案内部63は、第1ガード33の第1案内部61の外側において、第1案内部61の下端部61aと同軸円筒状をなす下端部63aと、この下端部63aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(ウエハWの回転軸線Cに近づく方向)斜め上方に延びる上端部63bと、上端部63bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部63cとを有している。下端部63aは、内側回収溝54上に位置し、第2ガード34と第2カップ部材32とが最も近接した状態で、第2カップ部材32の底部51および外壁部53、ならびに分離壁62との間に隙間を保って、内側回収溝54に収容される。一方、上端部63bは、第1ガード33の第1案内部61の上端部61bと上下方向に重なるように設けられ、第1ガード33と第2ガード34とが最も近接した状態で、第1案内部61の上端部61bに対してごく微小な隙間を保って近接する。
【0039】
第2案内部63は、その上端部63bの先端をほぼ鉛直下方に折り返すことにより形成された折返し部63cを備えている。この折返し部63cは、第1ガード33と第2ガード34とが最も近接した状態で、第1案内部61の上端部61bと水平方向に重なるように形成されている。また、第2案内部63の上端部63bは、下方ほど厚肉に形成されている。
【0040】
カップ部64は、平面視円環状の底部65と、この底部65の内周縁部から上方に立ち上がり、第2案内部63に連結された円筒状の内壁部66と、底部65の外周縁部から上方に立ち上がる円筒状の外壁部67とを備えている。底部65、内壁部66および外壁部67は、断面U字状をなしており、これら底部65、内壁部66および外壁部67によって、ウエハWの処理に使用された薬液(たとえば、ふっ酸)を集めて回収するための外側回収溝68が区画されている。カップ部64の内壁部66は、第2案内部63の上端部63bの外周縁部に連結されている。
【0041】
外側回収溝68には、この外側回収溝68に集められた薬液を図示しない回収タンクに回収するための第2回収機構69が接続されている。この第2回収機構69は、図1に示すように外側回収溝68の周方向に関して等間隔で複数(たとえば、2つ)設けられている。
各第2回収機構69は、処理チャンバ3の底壁3aの下面に固定されて、排気桶30の底部および処理チャンバ3の底壁3aに挿通して上方に延びる固定筒部材70と、第2ガード34のカップ部64の底部65に固定された円環状の保持部材71と、この保持部材71に上端部が保持されて、下端部が固定筒部材70内に挿入された移動筒部材72と、この移動筒部材72内と外側回収溝68とを連通する連通孔73と、上端部が保持部材71に固定されるとともに、下端部が固定筒部材70に固定され、移動筒部材72の外周を被覆するベローズ74とを備えている。固定筒部材70の下部開口は接続口75を形成している。この接続口75に、回収タンクから延びる第2回収配管76に接続された継手77が接続されている。外側回収溝68に集められる薬液は、連通孔73、移動筒部材72、固定筒部材70、継手77および第2回収配管76を介して回収タンクに回収される。
【0042】
第3ガード35は、第2ガード34の第2案内部63の外側において、基板保持部材4の周囲を取り囲み、基板保持部材4によるウエハWの回転軸線Cに対してほぼ回転対称な形状を有している。この第3ガード35は、第2案内部63の下端部63aと同軸円筒状をなす下端部35aと、下端部35aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(ウエハWの回転軸線Cに近づく方向)斜め上方に延びる上端部35bと、上端部35bの先端部をほぼ鉛直下方に折り返して形成される折返し部35cと、上端部35bから回転軸線Cに対して離反する方向に突出して形成される外端部35dとを有している。
【0043】
下端部35aは、外側回収溝68上に位置し、第2ガード34と第3ガード35とが最も近接した状態で、第2ガード34のカップ部64の底部65、内壁部66および外壁部67の間にごく微小な隙間を保って、外側回収溝68に収容されるような長さに形成されている。
上端部35bは、第2ガード34の第2案内部63の上端部63bと上下方向に重なるように設けられ、第2ガード34と第3ガード35とが最も近接した状態で、第2案内部63の上端部63bに対してごく微小な隙間を保って近接するように形成されている。
【0044】
折返し部35cは、第2ガード34と第3ガード35とが最も近接した状態で、第2案内部63の上端部63bの水平方向に重なるように形成されている。
外端部35dの外端と、排気桶30の側壁内面との間には隙間が形成されている。
また、基板処理装置は、第1ガード33を昇降させるための第1昇降機構(排気経路形成手段)81と、第2ガード34を昇降させるための第2昇降機構(排気経路形成手段)82と、第3ガード35を昇降させるための第3昇降機構(排気経路形成手段)83とを備えている。昇降機構81,82,83として、ボールねじ機構やシリンダが採用されている。各昇降機構81,82,83は、排気桶30の周方向に関して等間隔で複数(たとえば、3つ)設けられている。
【0045】
処理チャンバ3の天面には、乾燥処理エリアDAに位置する基板保持部材4に保持されたウエハWから飛散する処理液(たとえば、DIW)を受け止めるための液受け部としての樋100が取り付けられている。
樋100は、平面視で円環状に形成されて、処理チャンバ3の天面から垂下する円筒状の側壁101と、下端から当該側壁101の径方向内方に向けて突出する円環状の下壁102とを備えている。下壁102は、側壁101の下端に接続されて水平方向に延びる水平部103と、この水平部に接続されて、側壁101の径方向内方に向かうに従って上方へと向かう傾斜部104とを備えている。下壁102における水平部103と傾斜部104との境界部分からは、円筒状の立て板105が鉛直上方に立ち上がって形成されている。この立て板105は、上端が処理チャンバ3の天面との間に比較的大きな隙間を開けて設けられている。これら立て板105と傾斜部104とによって、ウエハWから飛散する処理液を溜めるための貯留溝106が区画されている。
【0046】
樋100の側壁101には、排気管38の途中部から分岐した分岐排気管(排気手段)107が接続されている。この分岐排気管107の先端は、側壁101の内面に開口している。排気管38内が強制的に排気されることにより、分岐排気管107内が排気されて、樋100内の雰囲気が分岐排気管107および排気管38を通して排気される。この樋100内を流通する過程で、雰囲気に含まれる処理液ミスト(たとえば、DIWミスト)が、立て板105に付着して捕獲される。このため、処理液ミストを含む雰囲気を気液分離させることができる。立て板105によって捕獲された処理液は、貯留溝106に集められた後、廃液管108を通して廃液処理設備に導かれる。
【0047】
樋100内には、樋100内(乾燥処理エリアDA)にCDAを供給するためのCDAノズル109(気体供給手段)が設けられている。
CDAノズル109は、図2に示すウエハWの乾燥処理位置の直上位置において、その吐出口を樋100の径方向内方に向けて、周方向に間隔を開けて複数(図2では、2つ図示)配置されている。各CDAノズル109は、先端が、下壁102の傾斜部104の先端よりも、径方向外方に位置している。各CDAノズル109には、CDA供給管27から分岐する分岐供給管110が接続されている。CDAバルブ29が開かれると、CDAノズル109から、径方向内方に向けてCDAが吐出される。
【0048】
図4は、図1に示す基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
基板処理装置は、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置80を備えている。この制御装置80には、制御対象として、モータ8、薬液ノズル駆動機構13、DIWノズル駆動機構25、第1昇降機構81、第2昇降機構82、第3昇降機構83、回転部材昇降機構87、ふっ酸バルブ18、SPMバルブ19、SC1バルブ20、DIWバルブ21およびCDAバルブ29などが接続されている。
【0049】
図5は、図1に示す基板処理装置で行われる処理例を説明するためのフローチャートである。また、図6A〜図6Cは、ウエハW処理中における基板処理装置の図解的な部分断面図である。
ウエハWに対する一連のレジスト除去処理が行われる間、図示しない排気設備によって排気管38内が強制的に排気されている。また、FFU2から処理チャンバ3内にクリーンエアが供給される。このため、処理チャンバ3内に、上方から下方に向けて流れるクリーンエアのダウンフローが形成される。このクリーンエアのダウンフローが、基板保持部材4と処理カップ5の内縁部(第3ガード35の上端部35b)との間の隙間を通って排気桶30内に取り込まれて、基板保持部材4に保持されたウエハWの側方に導かれるようになる。また、クリーンエアのダウンフローの一部は、第3ガード35と排気桶30の側壁との間の隙間を通って排気桶30内に取り込まれる。
【0050】
処理チャンバ3内に搬入されるウエハWは、レジストをアッシング(灰化)するための処理を受けておらず、その表面にはレジスト膜が存在している。ウエハWの搬入時には、基板保持部材4は基板受け渡し位置(図3に示す位置)に位置している。
ウエハWの搬入タイミングになると、基板受け渡し位置に位置する基板保持部材4に対して、基板処理ロボットTRからイオン注入処理後のウエハWがその表面を上方に向けて受け渡されて、基板保持部材4に保持される(ステップS1)。ウエハWの受け渡し後、制御装置80は、回転部材昇降機構87を駆動して、基板保持部材4を薬液処理エリアECに向けて下降させる(ステップS2)。
【0051】
基板保持部材4が薬液処理位置まで下降されると、制御装置80はモータ8を制御して、基板保持部材4によるウエハWの回転(スピンベース7の回転)を開始させる(ステップS3)。また、制御装置80が第3昇降機構83を制御して、第3ガード35だけを上位置(最も上方位置)まで上昇させて、第3ガード35の上端部35bが基板保持部材4に保持されたウエハWの上方に配置される。これにより、第2案内部63の上端部63bと第3ガード35の上端部35bとの間に、ウエハWの周縁部に対向する第2回収口93が形成される(図6A参照)。さらに、薬液ノズル駆動機構13が制御されて第1ノズルアーム11が揺動し、薬液ノズル6がウエハWの上方位置へと移動される。
【0052】
ウエハWの回転速度が所定の処理回転数(例えば1000rpm)に達すると、制御装置80がふっ酸バルブ18を開いて、薬液ノズル6から回転中のウエハWの表面に向けてふっ酸が吐出される(S4:ふっ酸処理)。
このふっ酸処理では、制御装置80は薬液ノズル駆動機構13を制御して、第1ノズルアーム11を所定の角度範囲内で揺動させている。これによって、薬液ノズル6からのふっ酸が導かれるウエハWの表面上の供給位置は、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動する。また、ウエハWの表面に供給されたふっ酸は、ウエハWの表面の全域に拡がる。これにより、ウエハWの表面の全域に、ふっ酸がむらなく供給される。薬液ノズル6からウエハWの表面にふっ酸が供給されることにより、そのふっ酸の化学的能力により、ウエハWの表面に形成された自然酸化膜などを除去することができる。ウエハWの表面にふっ酸が供給されることにより、ふっ酸ミストが発生する。ウエハWの表面に供給されたふっ酸は、ウエハWの周縁部からウエハWの側方に向けて飛散する。
【0053】
ウエハWの周縁部から振り切られて側方に飛散するふっ酸は、第2回収口93に捕獲されて、第3ガード35の内面を伝って流下し、外側回収溝68に集められ、外側回収溝68から第2回収機構69を通して回収タンクに回収される。
このとき、第1ガード33および第2ガード34が、第1案内部61の上端部61bと第2案内部63の上端部63bとの間にごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、第2案内部63の折返し部63cが第1案内部61の上端部61bと水平方向に重なっているので、第1案内部61と第2案内部63との間へのふっ酸の進入が防止される。
【0054】
第2案内部63の上端部63bと第3ガード35の上端部35bとの間に第2回収口93が形成された状態では、排気桶30内には、第2回収口93から、第2案内部63の上端部63bと第3ガード35の上端部35bとの間、第3ガード35の下端部35aと外側回収溝68との間および排気桶30内を通って排気口37に至る第3排気経路P3が形成される。第3ガード35の下端部35aが外側回収溝68内に入り込む深さが浅いので第3排気経路P3は比較的圧力損失が小さく、排気管38内が強制的に排気されることにより、基板保持部材4と処理カップ5の内縁部(第3ガード35の上端部35b)との間から処理カップ5内に取り込まれたクリーンエアのダウンフローが、専ら第3排気経路P3を流通して、排気口37に導かれるようになる。これにより、基板保持部材4に保持されたウエハWの周辺から、第2回収口93に流入する気流が形成される。ウエハW周辺のふっ酸ミストを含む雰囲気が、ウエハWの周縁部に対向する第2回収口93を通って排気されるので、ウエハWの周辺からふっ酸ミストを効率良く排除することができる。
【0055】
かかるふっ酸処理において、FFU2からのクリーンエアのダウンフローは、乾燥処理エリアDAに供給されて、乾燥処理エリアDA内に充満している。これにより、乾燥処理エリアDA内が陽圧に保たれる。したがって、仮に処理カップ5からふっ酸ミストが薬液処理エリアCAに漏出する場合であっても、そのふっ酸ミストが乾燥処理エリアDA内に進入することを防止することができる。
【0056】
ウエハWへのふっ酸の供給開始から所定のふっ酸処理時間が経過すると、制御装置80がふっ酸バルブ18を閉じて、薬液ノズル6からのふっ酸の供給が停止される。また、制御装置80は薬液ノズル駆動機構13を駆動して、第1ノズルアーム11の揺動を停止させて、薬液ノズルが処理カップ5の側方の退避位置に戻される。さらに、DIWノズル駆動機構25が制御されて第2ノズルアーム23が揺動し、DIWノズル1がウエハWの上方位置へと移動される。
【0057】
さらにまた、制御装置80が第1および第2昇降機構81,82を駆動して、第1および第2ガード33,34を上位置まで上昇させて、第1案内部61、第2案内部63および第3ガード35の各上端部61b,63b,35bが、薬液処理位置(図1に示す位置)に位置するウエハWよりも上方に配置される。これにより、第1案内部61の上端部61bと下端部61aとの間に、ウエハWの周縁部に対向する廃液口91が形成される(図6B参照)。
【0058】
ウエハWの周縁部に対向して廃液口91が形成された後、制御装置80は、ウエハWの回転を継続したまま、DIWバルブ21を開く。これにより、回転中のウエハWの表面の中央部に向けてDIWノズル1からDIWが吐出される(S5:中間リンス処理)。DIWノズル1からDIWが吐出されることにより、DIWミストが発生する。この中間リンス処理では、ウエハWの表面上に供給されたDIWが、ウエハWの表面の全域に拡がり、ウエハWの表面に付着しているふっ酸がDIWによって洗い流される。そして、ふっ酸を含むDIWは、ウエハWの回転によって振り切られて、その周縁部から側方に飛散する。ウエハWの周縁部から振り切られて側方に飛散するDIW(ふっ酸を含むDIW)は、第1ガード33の第1案内部61の内面に捕獲される。そして、第1ガード33の内面を伝って流下し、廃液溝44に集められ、廃液溝44から廃液機構45を通して廃液処理設備に導かれる。
【0059】
このとき、第1〜第3ガード33,34,35が各上端部間61b,63b,35b,36bにごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、第3ガード35の折返し部35cが第2案内部63の上端部63bと水平方向に重なり、第2案内部63の折返し部63cが第1案内部61の上端部61bと水平方向に重なることによって、第1案内部61と第2案内部63との間、および第2案内部63と第3ガード35との間へのDIWの進入が防止される。
【0060】
第1案内部61の上端部61bと下端部61aとの間に廃液口91が形成された状態では、排気桶30内には、廃液口91から、第1案内部61の下端部61aと廃液溝44との間を通って排気口37に至る第1排気経路P1が形成される。第1案内部61の下端部61aが廃液溝44内に入り込む深さが浅いので、第1排気経路P1は比較的圧力損失が小さい。そのため、排気管38内が強制的に排気されると、基板保持部材4と処理カップ5の内縁部(第3ガード35の上端部35b)との間から処理カップ5内に取り込まれたクリーンエアのダウンフローが、専ら第1排気経路P1を流通して、排気口37に導かれるようになる。これにより、基板保持部材4に保持されたウエハWの周辺から、廃液口91に流入する気流が形成される。この中間リンス処理時には、ウエハWの周辺に、ふっ酸ミストが残存しているおそれがあるが、DIWミストおよびふっ酸ミストを含む雰囲気は、廃液口91から第1排気経路P1を通って排気口37に排気される。このため、ウエハWの周辺からふっ酸ミストを含む雰囲気を効率良く排除することができる。
【0061】
ウエハWへのDIWの供給開始から所定の中間リンス時間が経過すると、制御装置80がDIWバルブ21を閉じて、DIWノズル1からのDIWの供給が停止される。また、制御装置80はDIWノズル駆動機構25を駆動して、DIWノズル1を処理カップ5の側方の退避位置に戻させる。さらに、薬液ノズル駆動機構13が制御されて第1ノズルアーム11が揺動し、薬液ノズル6がウエハWの上方位置へと移動される。さらにまた、第1昇降機構81を駆動して第1ガード33だけを下位置まで下降させて、第1ガード33の第1案内部61の上端部61bが基板保持部材4に保持されたウエハWの下方に配置される。これにより、第1案内部61の上端部61bと第2案内部63の上端部63bとの間に、ウエハWの周縁部に対向する第1回収口92が形成される(図6C参照)。
【0062】
ウエハWの周縁部に対向して第1回収口92が形成された後、制御装置80は、ウエハWの回転を継続したままSPMバルブ19を開く。これにより、薬液ノズル6から回転中のウエハWの表面に向けてSPMが吐出される(S6:SPM処理)。
このSPM処理では、制御装置80は薬液ノズル駆動機構13を制御して、第1ノズルアーム11が所定の角度範囲内で揺動させている。これによって、薬液ノズル6からのSPMが導かれるウエハWの表面上の供給位置は、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動する。また、ウエハWの表面に供給されたSPMは、ウエハWの表面の全域に拡がる。これにより、ウエハWの表面の全域に、SPMがむらなく供給される。SPMがウエハWの表面に供給されると、SPMに含まれるペルオキソ一硫酸の強酸化力がレジストに作用し、ウエハWの表面からレジストが除去される。ウエハWの表面にSPMが供給されることにより、SPMミストが発生する。ウエハWの表面に供給されたSPMは、ウエハWの周縁部からウエハWの側方に向けて飛散する。
【0063】
ウエハWの周縁部から振り切られて側方に飛散するSPMは、第1回収口92に捕獲される。そして、SPMは第1案内部61の内面を伝って流下し、内側回収溝54に集められ、内側回収溝54から第1回収機構55を通して回収タンクに回収される。
このとき、第2ガード34および第3ガード35が各上端部63b,35b間にごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、第3ガード35の折返し部35cが第2案内部63の上端部63bと水平方向に重なることによって、第2案内部63と第3ガード35との間へのSPMの進入が防止される。
【0064】
第1案内部61の上端部61bと第2案内部63の上端部63bとの間に第1回収口92が形成された状態では、排気桶30内には、第1回収口92から、第1案内部61の上端部61bと第2案内部63の上端部63bとの間、第2案内部63の下端部63aと内側回収溝54との間および排気桶30内を通って排気口37に至る第2排気経路P2が形成される。第2案内部63の下端部63aが内側回収溝54内に入り込む深さが浅いので、第2排気経路P2は比較的圧力損失が小さい。そのため、排気管38内が強制的に排気されることにより、基板保持部材4と処理カップ5の内縁部(第3ガード35の上端部35b)との間から処理カップ5内に取り込まれたクリーンエアのダウンフローが、専ら第2排気経路P2を流通して、排気口37に導かれるようになる。これにより、基板保持部材4に保持されたウエハWの周辺から、第1回収口92に流入する気流が形成される。ウエハW周辺のSPMミストを含む雰囲気が、ウエハWの周縁部に対向する第1回収口92を通って排気されるので、ウエハWの周辺からSPMミストを効率良く排除することができる。
【0065】
かかるSPM処理において、FFU2からのクリーンエアのダウンフローは、乾燥処理エリアDAに供給されて、この乾燥処理エリアDA内に充満している。これにより、乾燥処理エリアDA内が陽圧に保たれる。したがって、仮に処理カップ5からSPMミストが薬液処理エリアCAに漏出する場合であっても、そのSPMミストが乾燥処理エリアDA内に進入することを防止することができる。
【0066】
ウエハWへのSPMの供給開始から所定のSPM処理時間が経過すると、制御装置80がSPMバルブ19を閉じて、薬液ノズル6からのSPMの供給が停止される。また、制御装置80は薬液ノズル駆動機構13を駆動して、第1ノズルアーム11の揺動を停止させて、薬液ノズル6が処理カップ5の側方の退避位置に戻される。さらに、制御装置80はDIWノズル駆動機構25を駆動して第2ノズルアーム23が揺動させて、DIWノズル1がウエハWの上方位置へと移動させる。さらにまた、第1昇降機構81を駆動して第1ガード33を上位置まで上昇させて、ウエハWの周縁部に対向して廃液口91を形成する(図6B参照)。
【0067】
ウエハWの周縁部に対向して廃液口91が形成された後、制御装置80は、ウエハWの回転を継続したまま、DIWバルブ21を開く。これにより、回転中のウエハWの表面の中央部に向けてDIWノズル1からDIWが吐出される(S7:中間リンス処理)。この中間リンス処理では、ウエハWの表面上に供給されたDIWによって、ウエハWの表面に付着しているSPMが洗い流される。そして、ウエハWの周縁部に向けて流れるDIWが、ウエハWの周縁部から側方へ飛散して廃液口91に捕獲され、廃液溝44に集められ、廃液溝44から廃液機構45を通して廃液処理設備に導かれる。
【0068】
この中間リンス処理時には、ウエハWの周辺に、SPMミストが残存していることがあるが、DIWミストおよびSPMミストを含む雰囲気は、廃液口91から第1排気経路P1を通って排気口37に排気される。
ウエハWへのDIWの供給開始から所定の中間リンス時間が経過すると、制御装置80は、DIWバルブ21を閉じて、DIWノズル1からのDIWの供給を停止する。また、制御装置80はDIWノズル駆動機構25を駆動して、DIWノズル1を処理カップ5の側方の退避位置に戻させる。また、制御装置80は薬液ノズル駆動機構13を駆動して、薬液ノズル6をウエハWの上方位置に移動する。さらにまた、制御装置80は、SC1バルブ20を開いて、ウエハWの表面に薬液ノズル6からのSC1が吐出される(S8:SC1処理)。
【0069】
このSC1処理では、制御装置80は薬液ノズル駆動機構13を制御して、第1ノズルアーム11が所定の角度範囲内で揺動させている。これによって、薬液ノズル6からのSC1が導かれるウエハWの表面上の供給位置は、ウエハWの回転中心からウエハWの周縁部に至る範囲内を、ウエハWの回転方向と交差する円弧状の軌跡を描きつつ往復移動する。また、ウエハWの表面に供給されたSC1は、ウエハWの表面の全域に拡がる。これにより、ウエハWの表面の全域に、SC1がむらなく供給される。薬液ノズル6からウエハWの表面にSC1が供給されることにより、そのSC1の化学的能力により、ウエハWの表面に付着しているレジスト残渣およびパーティクルなどの異物を除去することができる。ウエハWの表面にSC1が供給されることにより、SC1ミストが発生する。ウエハWの表面に供給されたSC1は、ウエハWの周縁部からウエハWの側方に向けて飛散する。
【0070】
そして、ウエハWの周縁部から飛散するSC1が廃液口91に捕獲され、廃液溝44に集められ、廃液溝44から廃液機構45を通して廃液処理設備に導かれる。
また、ウエハW周辺のSC1を含む雰囲気は、ウエハWの周縁部に対向する廃液口91を通って排気される。このため、ウエハWの周辺からSPMミストを効率良く排除することができる。
【0071】
かかるSC1処理において、FFU2からのクリーンエアのダウンフローは、乾燥処理エリアDAに供給されて、この乾燥処理エリアDA内に充満している。これにより、乾燥処理エリアDA内が陽圧に保たれる。したがって、仮に処理カップ5からSC1ミストが薬液処理エリアCAに漏出する場合であっても、そのSC1ミストが乾燥処理エリアDA内に進入することを防止することができる。
【0072】
ウエハWへのSC1の供給開始から所定のSC1処理時間が経過すると、制御装置80がSC1バルブ20を閉じて、薬液ノズル6からのSC1の供給が停止される。また、制御装置80は薬液ノズル駆動機構13を駆動して、第1ノズルアーム11の揺動を停止させて、薬液ノズル6が処理カップ5の側方の退避位置に戻される。さらに、DIWノズル駆動機構25が制御されて第2ノズルアーム23が揺動し、DIWノズル1がウエハWの上方位置へと移動される。
【0073】
さらに、制御装置80は、ウエハWの回転を継続したまま、DIWバルブ21を開く。これにより、回転中のウエハWの表面の中央部に向けてDIWノズル1からDIWが吐出される(S9:中間リンス処理)。この中間リンス処理では、ウエハWの表面上に供給されたDIWによって、ウエハWの表面に付着しているSC1が洗い流される。そして、ウエハWの周縁部に向けて流れるDIWが、ウエハWの周縁部から側方へ飛散して廃液口91に捕獲され、廃液溝44に集められ、廃液溝44から廃液機構45を通して廃液処理設備に導かれる。
【0074】
この中間リンス処理時には、ウエハWの周辺に、SC1ミストが残存していることがあるが、このDIWミストおよびSC1ミストを含む雰囲気は、廃液口91から第1排気経路P1を通って排気口37に排気される。
ウエハWへのDIWの供給開始から所定の中間リンス時間が経過すると、制御装置80が、第1〜第3昇降機構81,82,83を駆動して第1〜第3ガード33,34,35を下位置まで下降させて、第1案内部61の上端部61b、第2案内部63の上端部63b、および第3ガード35の上端部35bが基板保持部材4に保持されたウエハWの下方に配置される(S10:最終リンス処理、図1参照)。
【0075】
このとき、第1ガード33、第2ガード34および第3ガード35は、第1案内部61の上端部61bと第2案内部63の上端部63bとの間、第2案内部63の上端部63bと第3ガード35の上端部35bとの間にごく微小な隙間を保った状態(第1ガード33、第2ガード34および第3ガード35の相対的な位置関係を保った状態)で同期をとって上位置まで上昇される。これにより、基板保持部材4によるウエハWの回転およびDIWの供給が継続されていても、ウエハWから飛散するDIWが第1案内部61と第2案内部63との間、および第2案内部63と第3ガード35との間に進入することを防止することができる。
【0076】
この最終リンス処理では、ウエハWの表面上に供給されたDIWが、ウエハWの表面の全域に拡がり、ウエハWの表面に付着している薬液(たとえばSC1)がDIWによって洗い流される。そして、DIWは、ウエハWの回転によって振り切られて、その周縁部から側方に飛散する。ウエハWの周縁部から振り切られて側方に飛散するDIWは、第3ガード35の上端部35bの上面および排気桶30の側壁内面に受け止められて、当該側壁内面を伝って排気桶30の底部に集められ、その排気桶30の底部から廃液管40を通して廃液処理設備へ導かれる。
【0077】
第1ガード33、第2ガード34および第3ガード35が各上端部間にごく微小な隙間を保った状態で近接し、さらに、第3ガード35の折返し部35cが第2案内部63の上端部63bと水平方向に重なり、第2案内部63の折返し部63cが第1案内部61の上端部61bと水平方向に重なることによって、第1案内部61と第2案内部63との間、および第2案内部63と第3ガード35との間へのDIWの進入が防止される。
【0078】
この最終リンス処理時には、排気管38内が強制的に排気されることにより、処理チャンバ3内を流下するダウンフローが、第3ガード35と排気桶30の側壁との間の隙間を通って排気桶30内に取り込まれ、排気管38を通って排気される。
前述したように、ステップS4,S6,S8の各薬液処理時において、ウエハWの周辺雰囲気は、ウエハWの周縁部に対向する第2回収口93、第1回収口92および廃液口91を通して排気されるので、各薬液処理時における各薬液ミストの排気効率が比較的高い。しかしながら、最終リンス処理時の終了後において、薬液処理エリアCA内の雰囲気(とくに、薬液処理位置(図1に示す位置)に位置するウエハWの周辺の雰囲気)は、ふっ酸、SPMおよびSC1の薬液ミストを少なからず含んでいる。薬液ミストがウエハWの表面上で乾燥して結晶化すると、パーティクルとなってウエハWを汚染する。
【0079】
そこで、薬液処理エリアCAとは雰囲気が分離された乾燥処理エリアDAにおいて、ウエハWに対して乾燥処理(スピンドライ処理)が施される。以下、具体的に説明する。
DIWの供給開始から所定の最終リンス時間が経過すると、制御装置80は、DIWバルブ21を閉じて、ウエハWへのDIWの供給を停止する。また、制御装置80はDIWノズル駆動機構25を駆動して、DIWノズル1が処理カップ5の側方の退避位置に戻される。また、制御装置80が回転部材昇降機構87を駆動して、基板保持部材4に保持されたウエハWを、薬液処理位置(図1に示す位置)から乾燥処理位置(図2に示す位置)まで上昇させる(ステップS11)。
【0080】
さらに、制御装置80はCDAバルブ29を開いて、CDAユニット26の吐出口およびCDAノズル109からCDAを吐出する(ステップS11)。FFU2の吐出口およびCDAユニット26の吐出口が図2に示すウエハWの乾燥処理位置の直上位置に形成されているので、乾燥処理位置に位置するウエハWの表面に、クリーンエアおよびCDAが上方から吹き付けられる。これらCDAおよびクリーンエアが乾燥処理エリアDA内に充満して、乾燥処理エリアDA内が陽圧に保たれる。また、乾燥処理エリアDA内にCDAが供給されるために、乾燥処理エリアDA内の雰囲気の湿度は比較的低い。
【0081】
回転部材昇降機構87が乾燥処理位置(図2に示す位置)まで上昇された後、制御装置80は、ウエハWの回転速度をスピンドライ回転速度(たとえば3000rpm)まで加速する。これにより、リンス処理後のウエハWの表面に付着しているDIWを遠心力で振り切って乾燥させる乾燥処理が実施される(ステップS12)。この乾燥処理時には、ウエハWの周縁から飛散するDIWは、樋100によって受け止められて、樋100の外壁に付着する。
【0082】
この乾燥処理時において、乾燥処理エリアDA内が陽圧に保たれているので、薬液処理エリアCAの薬液ミストが乾燥処理エリアDA内に進入することを防止することができる。
また、CDAが供給されているので、雰囲気の湿度が比較的低い状態で、ウエハWに対して乾燥処理が施される。雰囲気中の湿度が低ければ低いほどパーティクルの発生が抑制されるので、乾燥処理時におけるウエハWへのパーティクルの付着を低減させることができる。
【0083】
乾燥処理が所定の乾燥時間にわたって行われると、制御装置80がモータ8を制御して、ウエハWの回転を停止させる(ステップS13)。また、制御装置80がCDAバルブ29を閉じて、CDAユニット26の吐出口およびCDAノズル109からのCDAの供給を停止する(ステップS13)。さらに、制御装置80は回転部材昇降機構87を駆動して、基板保持部材4を基板受け渡し位置(図3に示す位置)まで下降させる(ステップS14)。その後、基板受け渡し位置に位置する基板保持部材4から基板搬送ロボットTRにウエハWが受け渡されて、基板搬送ロボットTRによってウエハWが処理チャンバ3から搬出される(ステップS15)。
【0084】
以上のようにこの実施形態によれば、基板保持部材4が、回転部材昇降機構87によって、薬液処理エリアCAと乾燥処理エリアDAとの間に跨って昇降される。薬液処理エリアCAではウエハWに対して薬液による処理が施され、また、乾燥処理エリアDAではウエハWに対して乾燥処理が施される。薬液処理エリアCAと乾燥処理エリアDAとでは雰囲気が分離されているので、薬液ミストを含まない雰囲気下でウエハWに乾燥処理を施すことができる。これにより、乾燥処理中におけるウエハWへのパーティクルの付着を抑制または防止することができる。
【0085】
また、乾燥処理エリアDAで行われる乾燥処理では、ウエハWの周縁部から飛散するDIWが、乾燥処理エリアDAに設けられた樋100によって受け止められる。これにより、基板100から排除されるDIW(薬液を含むDIW)の飛散による汚染を防止することができる。また、ウエハWからのDIW(薬液を含むDIW)が、当該乾燥処理エリアDAの下方に位置する薬液処理エリアCA内に飛散しない。これにより、ウエハWに対する乾燥処理によって薬液処理エリアCA内が汚染されることを防止することができる。
【0086】
さらに、乾燥処理エリアDAにCDAユニット26およびCDAノズル109からのCDAが供給される。また、乾燥処理エリアDAにFFU2からのクリーンエアが供給される。このため、乾燥処理エリアDA内が陽圧に保たれる。これにより、薬液処理エリアCAの薬液ミストが乾燥処理エリアDA内に進入することを防止することができる。
さらにまた、乾燥処理時に乾燥処理エリアDAにCDAが供給されるので、雰囲気の湿度が比較的低い状態で、ウエハWに対して乾燥処理が施される。雰囲気中の湿度が低ければ低いほどパーティクルの発生が抑制されるので、これにより、乾燥処理時におけるウエハWへのパーティクルの付着を低減させることができる。
【0087】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、乾燥処理エリアDAに低湿度ガスとしてCDAが供給される構成を例示したが、CDAに代えて低湿度のN2ガスが供給される構成であってもよい。この場合でも、乾燥処理エリアDA内の雰囲気の湿度を低下させることができるので、ウエハWへのパーティクルの付着を、より効果的に抑制することができる。
【0088】
また、前述の実施形態では、レジスト除去処理中はFFU2からのクリーンエアの供給が常時行われており、乾燥処理中には、クリーンエアに加えて低湿度ガスを供給する構成を例に挙げて説明したが、たとえば、乾燥処理中には低湿度ガスだけを供給し、それ以外の処理(薬液処理およびリンス処理)では、FFU2からのクリーンエアだけを供給する構成であってもよい。
【0089】
さらに、前述の実施形態では、乾燥処理エリアDAに対して、CDAユニット26およびCDAノズル109の両方からCDAが供給されるようになっているが、CDAユニット26およびCDAノズル109のいずれか一方からCDAが供給されるようになっていてもよい。
さらに、前述の実施形態において、乾燥処理エリアDAへの低湿度ガスの供給を省略し、乾燥処理エリアDAにFFU2からのクリーンエアだけが供給される構成としてもよい。
【0090】
また、前述の実施形態では、SPMを用いてウエハWの表面から不要になったレジストを除去するためのレジスト除去処理が実施されるとして説明したが、洗浄処理などウエハWに対して薬液による他の処理が施されていてもよい。この薬液として、前述のふっ酸およびSC1に加え、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)、バファードフッ酸(Buffered HF:フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)などを例示することができる。
【0091】
さらにまた、前述の実施形態では、リンス液としてDIWを用いる場合を例にとって説明したが、これに代えて、炭酸水、電解イオン水、水素水、磁気水や、希釈濃度(たとえば、1ppm程度)のアンモニア水などを用いることもできる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【図2】乾燥処理時における基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【図3】基板搬出入時における基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【図4】基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】基板処理装置で行われる処理例を説明するためのフローチャートである。
【図6A】ふっ酸処理中における基板処理装置の図解的な部分断面図である。
【図6B】SC1処理、中間リンス処理および最終リンス処理中における基板処理装置の図解的な部分断面図である。
【図6C】SPM処理中における基板処理装置の図解的な部分断面図である。
【符号の説明】
【0093】
2 FFU(気体供給手段)
3 処理チャンバ
4 基板保持部材
5 処理カップ(カップ)
6 薬液ノズル(薬液供給手段)
8 モータ(基板回転手段)
26 CDAユニット(気体供給手段)
87 回転部材昇降機構(昇降機構)
100 樋(液受け部)
107 分岐排気管(排気手段)
109 CDAノズル(気体供給手段)
CA 薬液処理エリア
DA 乾燥処理エリア
TR 基板搬送ロボット(基板搬送手段)
W ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に薬液による処理が施される薬液処理エリアと、前記薬液処理エリアの上方に設けられて基板に乾燥処理を施すための乾燥処理エリアとが内部に形成される処理チャンバと、
前記処理チャンバ内に昇降可能に設けられて、基板を保持する基板保持部材と、
前記基板保持部材を、前記薬液処理エリアと前記乾燥処理エリアとの間に跨って昇降させる昇降機構とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記薬液処理エリアに位置する前記基板保持部材に保持された基板に、薬液を供給する薬液供給手段と、
前記薬液処理エリアに設けられて、前記薬液処理エリアに位置する前記基板保持部材の周囲を取り囲むカップと、
前記基板保持部材に保持された基板を、鉛直な回転軸線まわりに回転させるための基板回転手段と、
前記乾燥処理エリアに設けられて、前記乾燥処理エリアに位置する前記基板保持部材の周囲を取り囲み、前記基板回転手段によって回転される基板から飛散する液を受け止める液受け部とをさらに含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理チャンバ内に基板を搬出入するための基板搬送手段をさらに含み、
前記基板保持部材は、前記薬液処理エリアと前記乾燥処理エリアとの間に設定された基板受け渡し位置において、前記基板搬送手段との間で基板の受け渡しを行う、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記乾燥処理エリア内に気体を供給する気体供給手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記乾燥処理エリア内の雰囲気を排気する排気手段をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2010−40818(P2010−40818A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202762(P2008−202762)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】