説明

基板処理装置

【課題】基板上に形成する薄膜の膜厚の均一性を向上させる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板101が収容されるインナチューブ204と、インナチューブ204を取り囲むアウタチューブ203と、インナチューブ204内に配設されたガスノズル233a,bと、ガスノズル233a,bに開設されたガス噴出口248a,bと、ガスノズル233a,bを介してインナチューブ204内にガスを供給するガス供給ユニットと、インナチューブ204の側壁に開設されたガス排気口204a,bと、アウタチューブ203とインナチューブ204とに挟まれる空間を排気してガス噴出口248a,bからガス排気口204a,bへと向かうガス流をインナチューブ204内に生成する排気ユニットとを備え、基板の外縁とガス排気口204a,bとの間の距離が、ガス噴出口248a,bとの間の距離よりも長くなるようにインナチューブ204の側壁が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばDRAM等の半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に薄膜を形成する基板処理工程が実施されてきた。かかる基板処理工程は、基板が収容されるインナチューブと、インナチューブを取り囲むアウタチューブと、インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、アウタチューブとインナチューブとに挟まれる空間を排気してインナチューブ内にガス流を生成する排気ユニットと、を備えた基板処理装置により実施されてきた。そして、基板を水平姿勢で回転させつつ、水平方向から基板にガスを供給することにより、基板上に薄膜を形成していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の基板処理装置を用いると、形成される薄膜の膜厚が基板の外縁部で厚くなり、基板の中央部では薄くなってしまう場合があった。
【0004】
本発明は、基板上に形成する薄膜の膜厚の均一性を向上させることが可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板が収容されるインナチューブと、前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、前記インナチューブ内に配設されたガスノズルと、前記ガスノズルに開設されたガス噴出口と、前記ガスノズルを介して前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、前記インナチューブの側壁に開設されたガス排気口と、前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、を備え、前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、基板が収容されるインナチューブと、前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、前記インナチューブ内に配設された複数本のガスノズルと、前記複数本のガスノズルにそれぞれ開設されたガス噴出口と、前記複数本のガスノズルを介して前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記複数本のガスノズルと対向する位置に設けられたガス排気部と、前記ガス排気部の側壁に開設されたガス排気口と、前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、を備え、前記基板の外縁と前記ガス排気口との距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記ガス排気部の側壁が構成されている基板処理装置が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、複数枚の基板が水平姿勢で積層された状態で収容されるインナチューブと、前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、前記インナチューブ内に前記基板が積層される方向に沿ってそれぞれ配設される第1のガスノズル及び第2のガスノズルと、前記第1のガスノズル及び前記第2のガスノズルのそれぞれに前記基板が積層される方向に沿って開設された複数個のガス噴出口と、前記第1のガスノズルを介し
て前記インナチューブ内に第1の原料ガスを供給し、前記第2のガスノズルを介して前記インナチューブ内に第2の原料ガスを供給するガス供給ユニットと、前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記ガス噴出口と対向する位置に開設されたガス排気口と、前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、少なくとも2種類のガスを互いに混合させずに前記インナチューブ内に交互に供給するように前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する制御部と、を備え、前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる基板処理装置によれば、基板上に形成する薄膜の膜厚の均一性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置が備える処理炉の縦断面図である。
【図3】本発明の一の実施形態にかかる基板処理装置が備えるインナチューブの斜視図であり、ガス排気口が穴形状である場合を示している。
【図4】本発明の他の実施形態にかかる基板処理装置が備えるインナチューブの斜視図であり、ガス排気口がスリット形状である場合を示している。
【図5】本発明の一の実施形態にかかる基板処理装置が備えるプロセスチューブの横断面図であり、インナチューブに予備室が設けられている場合を示している。
【図6】本発明の他の実施形態にかかる基板処理装置が備えるプロセスチューブの横断面図であり、インナチューブに予備室が設けられていない場合を示している。
【図7】本発明の一実施形態にかかる基板処理工程のフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる基板処理工程におけるガス供給のシーケンス図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる基板処理工程の処理条件を例示する表図である。
【図10】ウエハ上に形成された薄膜の膜厚分布の測定結果を示すグラフ図であり、○印は実施例1を、■印は比較例1をそれぞれ示している。
【図11】ウエハ上に形成された薄膜の膜厚分布を等高線で示す概略図であり、(a)は本発明の実施例1を、(b)は本発明の実施例2を、(c)は比較例1を、(d)は比較例2をそれぞれ示している。
【図12】インナチューブ内のガス流速分布のシミュレーション条件を示す概略図である。
【図13】(a)はウエハの外縁とガス排気口との間の距離を短くした時のインナチューブ内のガス流速分布のシミュレーション結果を示し、(b)はウエハの外縁とガス排気口との間の距離を長くした時のインナチューブ内のガス流速分布のシミュレーション結果を示している。
【図14】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置が備えるプロセスチューブ内に生成されるガス流を例示する模式図である。
【図15】従来の基板処理装置が備える処理炉の横断面図である。
【図16】本発明の他の実施形態にかかる基板処理装置が備えるインナチューブの側面図である。
【図17】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置が備えるインナチューブの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述したように、従来の基板処理装置を用いると、形成される薄膜の膜厚が基板の外縁部で厚くなり、基板の中央部では薄くなってしまう場合があった。
【0011】
図15に、従来の基板処理装置の備える処理炉1の横断面図を示す。処理炉1は、基板としてウエハ200が収容されるインナチューブ2と、インナチューブ2を取り囲むアウタチューブ3と、インナチューブ2内に配設された一対のガスノズル22と、一対のガスノズル22にそれぞれ開設されたガス噴出口22aと、インナチューブ2の側壁であってウエハ200を挟んでガス噴出口22aと対向する位置に開設されたガス排気口25aと、アウタチューブ3とインナチューブ2とに挟まれる空間を排気する排気ユニット7と、を備えていた。そして、ウエハ200を水平姿勢で回転させつつ、ガス噴出口22aからインナチューブ2内にガスを供給し、アウタチューブ3とインナチューブ2とに挟まれる空間を排気ユニット7により排気してガス噴出口22aからガス排気口25aへと向かう水平方向のガス流10をインナチューブ2内に生成することにより、ウエハ200に水平方向からガスを供給して薄膜を形成していた(サイドフロー/サイドベント方式)。
【0012】
発明者等は、膜厚の均一性を低下させる要因について鋭意研究を行った。その結果、発明者等は、従来の基板処理装置では、ガス排気口周辺のガス流の速度がウエハ面内におけるガス流の速度に比べて増大しており、ガス流の速度が増大している領域がウエハ面上にかかってしまったり、ウエハに近すぎたりすることが、膜厚の均一性を低下させる一要因であるとの知見を得た。さらに、発明者等は、ウエハの外縁とガス排気口との間の距離を従来よりも長くすることで、ガス流の速度が増大している領域をウエハから遠ざけ、ウエハ上におけるガス流の速度を均一化させ、膜厚の均一性を向上させることが可能であるとの知見を得た。
【0013】
以下に、発明者等が行ったインナチューブ内のガス流の速度分布に関するシミュレーション結果について、図12及び図13を参照しながら説明する。
【0014】
図12は、インナチューブ内のガス流速分布のシミュレーション条件を示す概略図である。本シミュレーションでは、インナチューブ内の一端に配置された4箇所のガス噴出口(図中の1〜4で示す)から、窒素(N)ガス(10slm)、Nガス(8slm)とTEMAZr(Tetrakis Ethyl Methyl Amino Zirconium)を気化させたTEMAZrガス(0.35g/min)との混合ガス、Nガス(1slm)、Nガス(10slm)をそれぞれ供給することとした。そして、インナチューブの他端であってウエハを挟んで前記ガス噴出口と対向する位置に形成されたガス排気口から、インナチューブ内の雰囲気を排気することとした。なお、インナチューブの外側(Outlet)の圧力は200Paとし、インナチューブ内の温度を220℃とした。そして、本シミュレーションにおいては、インナチューブ内に収容されたウエハの外縁とガス排気口との間の距離Lを変化させて、インナチューブ内のガス流の流速分布を計算した。
【0015】
図13(a)はウエハの外縁とガス排気口との間の距離を短くした時のインナチューブ内のガス流速分布のシミュレーション結果を示しており、図13(b)はウエハの外縁とガス排気口との間の距離を長くした時のインナチューブ内のガス流速分布のシミュレーション結果を示している。図13(a),(b)ともにウエハ200を回転させていない。図13(a)においては、ガス流の速度が増大しているガス排気口周辺の領域がウエハ面内にかかってしまっていることが分かる。発明者等の知見によれば、かかる場合には、ウエハ面内におけるガスの流量や濃度が不均一になってしまい、膜厚の均一性を低下させてしまう要因になり得るものと考えられる。これに対して、図13(b)によれば、ウエハ
の外縁とガス排気口との間の距離を長く確保することにより、ガス流の速度が増大している領域をウエハから遠ざけ、ウエハ上におけるガス流の速度を均一化できることが分かる。すなわち、ウエハの外縁とガス排気口との間の距離を長く確保することにより、ウエハ面内におけるガスの流量や濃度を均一化させ、膜厚の均一性を向上させることが可能となるのである。本発明は、発明者等が得たかかる知見をもとになされた発明である。
【0016】
<本発明の一実施形態>
以下に本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の概略構成図である。図2は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置が備える処理炉の縦断面図である。図3は、本発明の一の実施形態にかかる基板処理装置が備えるインナチューブの斜視図であり、ガス排気口が穴形状である場合を示している。図5は、本発明の一の実施形態にかかる基板処理装置が備えるプロセスチューブの横断面図であり、インナチューブに予備室が設けられている場合を示している。図7は、本発明の一実施形態にかかる基板処理工程のフロー図である。図8は、本発明の一実施形態にかかる基板処理工程におけるガス供給のシーケンス図である。図9は、本発明の一実施形態にかかる基板処理工程の処理条件を例示する表図である。図14は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置が備えるプロセスチューブ内に生成されるガス流を例示する模式図である。
【0018】
(1)基板処理装置の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置101の構成例について、図1を用いて説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置101は筐体111を備えている。シリコン等からなるウエハ(基板)200を筐体111内外へ搬送するには、複数のウエハ200を収納するウエハキャリア(基板収納容器)としてのカセット110が使用される。筐体111内側の前方(図中の右側)には、カセットステージ(基板収納容器受渡し台)114が設けられている。カセット110は、図示しない工程内搬送装置によってカセットステージ114上に載置され、また、カセットステージ114上から筐体111外へ搬出されるように構成されている。
【0020】
カセット110は、工程内搬送装置によって、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように、カセットステージ114上に載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に向けて縦方向に90°回転させ、カセット110内のウエハ200を水平姿勢とさせ、カセット110のウエハ出し入れ口を筐体111内の後方を向かせることが可能なように構成されている。
【0021】
筐体111内の前後方向の略中央部には、カセット棚(基板収納容器載置棚)105が設置されている。カセット棚105には、複数段、複数列にて複数個のカセット110が保管されるように構成されている。カセット棚105には、後述するウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。また、カセットステージ114の上方には、予備カセット棚107が設けられ、予備的にカセット110を保管するように構成されている。
【0022】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置(基板収納容器搬送装置)118が設けられている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収納容器昇降機構)118aと、カセット110を保持したまま水平移動可能な搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収納
容器搬送機構)118bと、を備えている。これらカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連携動作により、カセットステージ114、カセット棚105、予備カセット棚107、移載棚123の間で、カセット110を搬送するように構成されている。
【0023】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構(基板移載機構)125が設けられている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bと、を備えている。なお、ウエハ移載装置125aは、ウエハ200を水平姿勢で保持するツイーザ(基板移載用治具)125cを備えている。これらウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連携動作により、ウエハ200を移載棚123上のカセット110内からピックアップして後述するボート(基板保持具)217へ装填(チャージング)したり、ウエハ200をボート217から脱装(ディスチャージング)して移載棚123上のカセット110内へ収納したりするように構成されている。
【0024】
筐体111の後部上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端には開口(炉口)が設けられ、かかる開口は炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。なお、処理炉202の構成については後述する。
【0025】
処理炉202の下方には、ボート217を昇降させて処理炉202内外へ搬送する昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台には、連結具としてのアーム128が設けられている。アーム128上には、ボート217を垂直に支持するとともに、ボートエレベータ115によりボート217が上昇したときに処理炉202の下端を気密に閉塞する蓋体としての円盤状のシールキャップ219が水平姿勢で設けられている。
【0026】
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜150枚程度)のウエハ200を、水平姿勢で、かつその中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に保持するように構成されている。ボート217の詳細な構成については後述する。
【0027】
カセット棚105の上方には、供給ファンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット134aが設けられている。クリーンユニット134aは、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
【0028】
また、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびボートエレベータ115側と反対側である筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するよう供給フアンと防塵フィルタとを備えたクリーンユニット(図示せず)が設置されている。図示しない前記クリーンユニットから吹き出されたクリーンエアは、ウエハ移載装置125a及びボート217の周囲を流通した後に、図示しない排気装置に吸い込まれて、筐体111の外部に排気されるように構成されている。
【0029】
(2)基板処理装置の動作
次に、本実施形態にかかる基板処理装置101の動作について説明する。
【0030】
まず、カセット110が、図示しない工程内搬送装置によって、ウエハ200が垂直姿勢となりカセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように、カセットステージ114上に載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、筐体111の後方に向けて縦方向に90°回転させられる。その結果、カセット110内のウエハ200は水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口は筐体111内の後
方を向く。
【0031】
カセット110は、カセット搬送装置118によって、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へ自動的に搬送されて受け渡されて一時的に保管された後、カセット棚105又は予備カセット棚107から移載棚123に移載されるか、もしくは直接移載棚123に搬送される。
【0032】
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによって、ウエハ出し入れ口を通じてカセット110からピックアップされ、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作によって移載室124の後方にあるボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載機構125は、カセット110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0033】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端が、炉口シャッタ147によって開放される。続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、ウエハ200群を保持したボート217が処理炉202内へ搬入(ローディング)される。ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に任意の処理が実施される。かかる処理については後述する。処理後は、ウエハ200およびカセット110は、上述の手順とは逆の手順で筐体111の外部へ払出される。
【0034】
(3)処理炉の構成
続いて、本発明の一実施形態にかかる処理炉202の構成について、図2、図3、図5を参照しながら説明する。
【0035】
(処理室)
本発明の一実施形態にかかる処理炉202は、反応管としてのプロセスチューブ205と、マニホールド209とを備えている。プロセスチューブ205は、基板としてのウエハ200が収容されるインナチューブ204と、インナチューブ204を取り囲むアウタチューブ203と、から構成される。インナチューブ204及びアウタチューブ203は、それぞれ例えば石英(SiO)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性を有する非金属材料から構成され、上端が閉塞され、下端が開放された円筒形状となっている。マニホールド209は、例えばSUS等の金属材料から構成され、上端及び下端が開放された円筒形状となっている。インナチューブ204及びアウタチューブ203は、マニホールド209により下端側から縦向きに支持されている。インナチューブ204、アウタチューブ203、及びマニホールド209は、互いに同心円状に配置されている。マニホールド209の下端(炉口)は、上述したボートエレベータ115が上昇した際に、シールキャップ219により気密に封止されるように構成されている。マニホールド209の下端とシールキャップ219との間には、インナチューブ204内を気密に封止するOリングなどの封止部材(図示しない)が設けられている。
【0036】
インナチューブ204の内部にはウエハ200を処理する処理室201が形成されている。インナチューブ204内(処理室201内)には基板保持具としてのボート217が下方から挿入されるように構成されている。インナチューブ204及びマニホールド209の内径は、ウエハ200を装填したボート217の最大外形よりも大きくなるように構成されている。
【0037】
ボート217は、上下で一対の端板217cと、一対の端板217cの間に垂直に架設された複数本(例えば3本)の支柱217aと、を備えている。端板217c及び支柱2
17aは、石英や炭化珪素等の耐熱性を有する非金属材料から構成されている。各支柱217aには、複数の保持溝217bが、支柱217aの長手方向に沿って等間隔に配列するようにそれぞれ形成されている。各支柱217aは、各支柱217aに形成された保持溝217bが互いに対向するようにそれぞれ配置されている。各保持溝217bにウエハ200の外周部を挿入することにより、複数枚(例えば75枚から100枚)のウエハ200が、略水平姿勢で所定の隙間(基板ピッチ間隔)をもって多段に保持されるように構成されている。ボート217は、熱伝導を遮断する断熱キャップ218上に搭載されている。断熱キャップ218は、回転軸255により下方から支持されている。回転軸255は、インナチューブ204内の気密を保持しつつ、シールキャップ219の中心部を貫通するように設けられている。シールキャップ219の下方には、回転軸255を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267により回転軸255を回転させることにより、インナチューブ204内の気密を保持したまま、複数枚のウエハ200を搭載したボート217を回転させることが出来るように構成されている。
【0038】
プロセスチューブ205(アウタチューブ203)の外周には、プロセスチューブ205と同心円状に加熱機構としてのヒータ207が設けられている。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207の外周部及び上端には、断熱材207aが設けられている。
【0039】
(予備室及びガスノズル)
インナチューブ204の側壁には、ウエハ200が積載される方向(鉛直方向)に沿って、インナチューブ204の側壁よりもインナチューブ204の径方向外側(アウタチューブ203の側壁側)に突出した予備室201aが設けられている。予備室201aと処理室201との間には隔壁が設けられておらず、予備室201a内と処理室201内とはガスの流通が可能なように連通している。
【0040】
予備室201a内には、第1のガスノズルとしての気化ガスノズル233aと、第2のガスノズルとしての反応ガスノズル233bとが、インナチューブ204の周方向に沿ってそれぞれ配設されている。気化ガスノズル233a及び反応ガスノズル233bは、垂直部と水平部とを有するL字形状にそれぞれ構成されている。気化ガスノズル233a及び反応ガスノズル233bの垂直部は、ウエハ200が積層される方向に沿って、予備室201a内にそれぞれ配設(延在)されている。気化ガスノズル233a及び反応ガスノズル233bの水平部は、マニホールド209の側壁を貫通するようにそれぞれ設けられている。
【0041】
気化ガスノズル233a及び反応ガスノズル233bの垂直部側面には、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bが、ウエハ200が積層される方向(鉛直方向)に沿ってそれぞれ複数個ずつ開設されている。従って、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bは、インナチューブ204の側壁よりもインナチューブ204の径方向外側に突出した位置に開設されている。なお、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bは、複数枚のウエハ200のそれぞれに対応する位置(高さ位置)に開設されている。また、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bの開口径は、インナチューブ204内のガスの流量分布や速度分布を適正化するように適宜調整することができ、下部から上部にわたって同一としてもよく、下部から上部にわたって徐々に大きくしてもよい。
【0042】
(気化ガス供給ユニット)
マニホールド209の側壁から突出した気化ガスノズル233aの水平端(上流側)には、気化ガス供給管240aが接続されている。気化ガス供給管240aの上流側には、
液体原料を気化して第1の原料ガスとしての気化ガスを生成する気化器260が接続されている。気化ガス供給管240aには開閉バルブ241aが設けられている。開閉バルブ241aを開けることにより、気化器260内にて生成された気化ガスが、気化ガスノズル233aを介してインナチューブ204内へ供給されるように構成されている。
【0043】
気化器260の上流側には、気化器260内に液体原料を供給する液体原料供給管240cの下流側と、気化器260内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給管240fの下流側と、がそれぞれ接続されている。
【0044】
液体原料供給管240cの上流側は、例えばTEMAZr等の液体原料を貯留する液体原料供給タンク266に接続されている。液体原料供給管240cの上流側は、液体原料供給タンク266内に貯留された液体原料内に浸されている。液体原料供給管240cには、上流側から順に、開閉バルブ243c、液体流量コントローラ(LMFC)242c、開閉バルブ241cが設けられている。液体原料供給タンク266の上面部には、Nガス等の不活性ガスを供給する圧送ガス供給管240dの下流側が接続されている。圧送ガス供給管240dの上流側は、圧送ガスとしてのHeガス等の不活性ガスを供給する図示しない圧送ガス供給源に接続されている。圧送ガス供給管240dには、開閉バルブ241dが設けられている。開閉バルブ241dを開けることにより液体原料供給タンク266内に圧送ガスが供給され、さらに開閉バルブ243c、開閉バルブ241cを開けることにより、液体原料供給タンク266内の液体原料が気化器260内へと圧送(供給)され、気化器260内にてTEMAZrガス等の気化ガスが生成されるように構成されている。なお、気化器260内へ供給される液体原料の供給流量(すなわち、気化器260内で生成されインナチューブ204内へ供給される気化ガスの流量)は、液体流量コントローラ242cによって制御可能なように構成されている。
【0045】
キャリアガス供給管240fの上流側は、Nガス等の不活性ガス(キャリアガス)を供給する図示しないキャリアガス供給源に接続されている。キャリアガス供給管240fには、上流から順に、流量コントローラ(MFC)242f、開閉バルブ241fが設けられている。開閉バルブ241f及び開閉バルブ241aを開けることにより気化器260内にキャリアガスが供給され、気化器260内で生成された気化ガスとキャリアガスとの混合ガスが気化ガス供給管240a及び気化ガスノズル233aを介してインナチューブ204内に供給されるように構成されている。キャリアガスを気化器260内に供給することにより、気化器260内からの気化ガスの排出及びインナチューブ204内への気化ガスの供給を促すことが可能となる。気化器260内へのキャリアガスの供給流量(すなわち、インナチューブ204内へのキャリアガスの供給流量)は、流量コントローラ242fによって制御可能なように構成されている。
【0046】
主に、気化ガス供給管240a、気化器260、開閉バルブ241a、液体原料供給管240c、開閉バルブ243c、液体流量コントローラ242c、開閉バルブ241c、液体原料供給タンク266、圧送ガス供給管240d、図示しない圧送ガス供給源、開閉バルブ241d、キャリアガス供給管240f、図示しないキャリアガス供給源、流量コントローラ242f、開閉バルブ241fにより、気化ガスノズル233aを介してインナチューブ204内に気化ガスを供給する気化ガス供給ユニットが構成される。
【0047】
(反応ガス供給ユニット)
マニホールド209の側壁から突出した反応ガスノズル233bの水平端(上流側)には、反応ガス供給管240bが接続されている。反応ガス供給管240bの上流側には、反応ガスとしてのオゾン(O)ガス(酸化剤)を生成するオゾナイザ270が接続されている。反応ガス供給管240bには、上流から順に、流量コントローラ(MFC)242b、開閉バルブ241bが設けられている。オゾナイザ270には、酸素ガス供給管2
40eの下流側が接続されている。酸素ガス供給管240eの上流側は、酸素(O)ガスを供給する図示しない酸素ガス供給源に接続されている。酸素ガス供給管240eには開閉バルブ241eが設けられている。開閉バルブ241eを開けることによりオゾナイザ270に酸素ガスが供給され、開閉バルブ241bを開けることによりオゾナイザ270にて生成されオゾンガスが反応ガス供給管240bを介してインナチューブ204内へ供給されるように構成されている。なお、インナチューブ204内へのオゾンガスの供給流量は、流量コントローラ242bによって制御することが可能なように構成されている。
【0048】
主に、反応ガス供給管240b、オゾナイザ270、流量コントローラ(MFC)242b、開閉バルブ241b、酸素ガス供給管240e、図示しない酸素ガス供給源、開閉バルブ241eにより、反応ガスノズル233bを介してインナチューブ204内にオゾンガスを供給する反応ガス供給ユニットが構成される。
【0049】
(ベント管)
気化ガス供給管240aにおける気化器260と開閉バルブ241aとの間には、気化ガスベント管240iの上流側が接続されている。気化ガスベント管240iの下流側は、後述する排気管231の下流側(後述するAPCバルブ231aと真空ポンプ231bとの間)に接続されている。気化ガスベント管240iには開閉バルブ241iが設けられている。開閉バルブ241aを閉め、開閉バルブ241iを開けることにより、気化器260における気化ガスの生成を継続したまま、インナチューブ204内への気化ガスの供給を停止することが可能なように構成されている。気化ガスを安定して生成するには所定の時間を要するが、開閉バルブ241a、開閉バルブ241iの切り替え動作によって、インナチューブ204内への気化ガスの供給・停止をごく短時間で切り替えることが可能なように構成されている。
【0050】
同様に、反応ガス供給管240bにおけるオゾナイザ270と流量コントローラ242bとの間には、反応ガスベント管240jの上流側が接続されている。反応ガスベント管240jの下流側は、排気管231の下流側(APCバルブ231aと真空ポンプ231bとの間)に接続されている。反応ガスベント管240jには、上流から順に、開閉バルブ241j、オゾン除外装置242jが設けられている。開閉バルブ241bを閉め、開閉バルブ241jを開けることにより、オゾナイザ270によるオゾンガスの生成を継続したまま、インナチューブ204内へのオゾンガスの供給を停止することが可能なように構成されている。オゾンガスを安定して生成するには所定の時間を要するが、開閉バルブ241b、開閉バルブ241jの切り替え動作によって、インナチューブ204内へのオゾンガスの供給・停止をごく短時間で切り替えることが可能なように構成されている。
【0051】
(不活性ガス供給管)
気化ガス供給管240aにおける開閉バルブ241aの下流側には、第1不活性ガス供給管240gの下流側が接続されている。第1不活性ガス供給管240gには、上流側から順に、Nガス等の不活性ガスを供給する図示しない不活性ガス供給源、流量コントローラ(MFC)242g、開閉バルブ241gが設けられている。同様に、反応ガス供給管240bにおける開閉バルブ241bの下流側には、第2不活性ガス供給管240hの下流側が接続されている。第2不活性ガス供給管240hには、上流側から順に、Nガス等の不活性ガスを供給する図示しない不活性ガス供給源、流量コントローラ(MFC)242h、開閉バルブ241hが設けられている。
【0052】
第1不活性ガス供給管240g及び第2不活性ガス供給管240hからの不活性ガスは、キャリアガスとして機能したり、パージガスとして機能したりするように構成されている。
【0053】
例えば、開閉バルブ241iを閉め、開閉バルブ241a及び開閉バルブ241gを開けることにより、気化器260からのガス(気化ガスとキャリアガスとの混合ガス)を、第1不活性ガス供給管240gからの不活性ガス(キャリアガス)により希釈しながらインナチューブ204内に供給することが可能なように構成されている。同様に、開閉バルブ241jを閉め、開閉バルブ241b及び開閉バルブ241hを開けることにより、オゾナイザ270からの反応ガスを、第2不活性ガス供給管240hからの不活性ガス(キャリアガス)により希釈しながらインナチューブ204内に供給することが可能なように構成されている。
【0054】
なお、ガスの希釈は予備室201a内で行うこともできる。すなわち、開閉バルブ241iを閉め、開閉バルブ241a及び開閉バルブ241hを開けることにより、気化器260からのガス(気化ガスとキャリアガスとの混合ガス)を、第2不活性ガス供給管240hからの不活性ガス(キャリアガス)により予備室201a内で希釈しながらインナチューブ204内に供給することが可能なように構成されている。同様に、開閉バルブ241jを閉め、開閉バルブ241b及び開閉バルブ241gを開けることにより、オゾナイザ270からのオゾンガスを、第1不活性ガス供給管240gからの不活性ガス(キャリアガス)により予備室201a内で希釈しながらインナチューブ204内に供給することが可能なように構成されている。
【0055】
また、開閉バルブ241aを閉めて開閉バルブ241iを開けることにより、気化器260による気化ガスの生成を継続したままインナチューブ204内への気化ガスの供給を停止すると共に、開閉バルブ241g及び開閉バルブ241hを開けることにより、第1不活性ガス供給管240g及び第2不活性ガス供給管240hからの不活性ガス(パージガス)をインナチューブ204内へ供給することが可能なように構成されている。同様に、開閉バルブ241bを閉めて開閉バルブ241jを開けることにより、オゾナイザ270によるオゾンガスの生成を継続したままインナチューブ204内へのオゾンガスの供給を停止すると共に、開閉バルブ241g及び開閉バルブ241hを開けることにより、第1不活性ガス供給管240g及び第2不活性ガス供給管240hからの不活性ガス(パージガス)をインナチューブ204内へ供給することが可能なように構成されている。このように、インナチューブ204内へ不活性ガス(パージガス)を供給することにより、インナチューブ204内からの気化ガスあるいはオゾンガスの排出が促される。
【0056】
(ガス排気部及びガス排気口)
インナチューブ204の側壁には、ウエハ200が積載される方向に沿って、インナチューブ204の側壁の一部を構成するガス排気部204bが設けられている。ガス排気部204bは、インナチューブ204内に収容されたウエハ200を挟んで、インナチューブ204内に配設された複数本のガスノズルと対向する位置に設けられている。また、インナチューブ204の周方向におけるガス排気部204bの幅は、インナチューブ204内に配設された複数本のガスノズルにおける両端のガスノズル間の幅よりも広くなるように構成されている。本実施形態において、ガス排気部204bは、ウエハ200を挟んで気化ガスノズル233a及び反応ガスノズル233bと対向する位置(気化ガスノズル233a及び反応ガスノズル233bと180度反対側の位置)に設けられている。また、インナチューブ204の周方向におけるガス排気部204bの幅は、気化ガスノズル233aと反応ガスノズル233bとの間の距離よりも広くなるように構成されている。
【0057】
ガス排気部204bの側壁にはガス排気口204aが開設されている。ガス排気口204aは、ウエハ200を挟んで気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bと対向する位置(例えば、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bと約180度反対側の位置)に開設されている。本実施形態にかかるガス排気口204aは、穴形状で
あって、複数枚のウエハ200のそれぞれに対応する位置(高さ位置)に開設されている。従って、アウタチューブ203とインナチューブ204とに挟まれる空間203aは、ガス排気口204aを介してインナチューブ204内の空間に連通することになる。なお、ガス排気口204aの穴径は、インナチューブ204内のガスの流量分布や速度分布を適正化するように適宜調整することができ、例えば、下部から上部にわたって同一としてもよく、下部から上部にわたって徐々に大きくしてもよい。
【0058】
なお、図5に横断面図を示すように、インナチューブ204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁と気化ガス噴出口248aとの間の距離L1よりも長くなるように構成されている。また同様に、インナチューブ204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁と反応ガス噴出口248bとの間の距離L1よりも長くなるように構成されている。
【0059】
また、インナチューブ204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、ガス排気口204aが開設されていないインナチューブ204の側壁(ガス排気部204bとして構成されていないインナチューブ204の側壁。以後「第2の部位」とも呼ぶ)とインナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁との間の距離L3よりも長くなるように構成されている。また、インナチューブ204の側壁は、ガス排気口204aが開設されているインナチューブ204の側壁(ガス排気部204bとして構成されたインナチューブ204の側壁。以後「第1の部位」とも呼ぶ)とインナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁との間の距離が、「第2の部位」とインナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁との間の距離L3よりも長くなるように構成されている。また、インナチューブ204の側壁は、「第1の部位」の曲率半径が「第2の部位」の曲率半径よりも小さくなるように構成されている。また、インナチューブ204の側壁は、「第1の部位」が「第2の部位」よりもインナチューブ204の径方向外側(アウタチューブ203側)に突出するように構成されている。
【0060】
なお、ガス排気部204bを構成するインナチューブ204の側壁(「第1の部位」)に角部が存在すると、角部周辺等においてガスが渦を巻いてしまう場合があるため、ガス排気部204b内壁の形状は滑らかにすることが好ましい。但し、インナチューブ204の水平断面を楕円形状とすることによりガス排気部204bを形成すると、ガス排気部204bとして構成されていないインナチューブ204の側壁(「第2の部位」)とウエハ200の外縁との間の距離L3が大きくなってしまう場合がある。そして、ウエハ200に対して水平方向からガスを供給するというサイドフロー/サイドベント方式の効果が減少してしまう場合がある。従って、ウエハ200間を流れるべきガスがインナチューブ204の内壁(「第2の部位」の内壁)とウエハ200の外縁との間との間に流れてしまうことがないように、ガス排気部204bの幅や形状を設定することが好ましい。
【0061】
また、ガス排気部204bの下端の高さ位置は、処理室201内に搬入されるウエハ200のうち最下端のウエハ200の高さ位置に対応させることが好ましい。同様に、ガス排気部204bの上端の高さ位置は、処理室201内に搬入されるウエハ200のうち最上端のウエハ200の高さ位置に対応させることが好ましい。ウエハ200の存在しない領域にまでガス排気部204bが設けられていると、ウエハ200間を流れるべきガスがウエハ200の存在しない領域に流れてしまい、上述のサイドフロー/サイドベント方式の効果が減少してしまう場合があるからである。図17は、本実施形態に係るインナチューブ204の変形例であり、ガス排気部204bの天井部をインナチューブ204の天井部より低くした様子を示す概略図である。
【0062】
(排気ユニット)
マニホールド209の側壁には排気管231が接続されている。排気管231には、上流側から順に、圧力検出器としての圧力センサ245、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ231a、真空排気装置としての真空ポンプ231b、排気ガス中から有害成分を除去する除害設備231cが設けられている。真空ポンプ231bを作動させつつ、APCバルブ242の開閉弁の開度を調整することにより、インナチューブ204内を所望の圧力とすることが可能なように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ231a、真空ポンプ231b、除害設備231cにより、排気ユニットが構成される。
【0063】
上述したように、アウタチューブ203とインナチューブ204とに挟まれる空間203aは、ガス排気口204aを介してインナチューブ204内の空間に連通している。そのため、気化ガスノズル233a或いは反応ガスノズル233bを介してインナチューブ204内にガスを供給しつつ、排気ユニットによりアウタチューブ203とインナチューブ204とに挟まれる空間203aを排気することにより、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bからガス排気口204aへと向かう水平方向のガス流10が、インナチューブ204内に生成される。かかる様子を図14に示す。
【0064】
(コントローラ)
制御部であるコントローラ280は、ヒータ207、APCバルブ231a、真空ポンプ231b、回転機構267、ボートエレベータ215、開閉バルブ241a,241b,241c,243c,241d,241e,241f,241g,241h,241i,241j、液体流量コントローラ242c、流量コントローラ242b,242f,242g,242h等にそれぞれ接続されている。コントローラ280により、ヒータ207の温度調整動作、APCバルブ231aの開閉及び圧力調整動作、真空ポンプ231bの起動・停止、回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ215の昇降動作、開閉バルブ241a,241b,241c,243c,241d,241e,241f,241g,241h,241i,241jの開閉動作、液体流量コントローラ242c、流量コントローラ242b,242f,242g,242hの流量調整等の制御が行われる。
【0065】
なお、コントローラ280は、少なくとも2種類のガスを互いに混合させずにインナチューブ204内に交互に供給するように、ガス供給ユニット及び排気ユニットを制御する。そして、コントローラ280は、インナチューブ204内にガスを供給する際に、インナチューブ204内の圧力が10Pa以上700Pa以下となるように、ガス供給ユニット及び排気ユニットを制御する。具体的には、コントローラ280は、気化ガスをインナチューブ204内に供給する際に、インナチューブ204内の圧力が10Pa以上700Pa以下(好ましくは250Pa)となるように、ガス供給ユニット及び排気ユニットを制御する。また、コントローラ280は、反応ガスをインナチューブ204内に供給する際に、インナチューブ204内の圧力が10Pa以上300Pa以下(好ましくは100Pa)となるように、ガス供給ユニット及び排気ユニットを制御する。かかる動作については後述する。
【0066】
(4)基板処理工程
続いて、本発明の一実施形態としての基板処理工程について、図7〜図9を参照しながら説明する。なお、本実施形態は、気化ガスとしてTEMAZrガスを、反応ガスとしてオゾンガスを用い、CVD(Chemical Vapor Deposition)法の中の1つであるALD(Atomic Layer Deposition)法により、ウエハ200上に高誘電率膜(ZrO膜)を成膜する方法であり、半導体装置の製造
工程の一工程として実施される。なお、以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0067】
(基板搬入工程(S10))
まず、複数枚のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する。そして、複数枚のウエハ200を保持したボート217を、ボートエレベータ215によって持ち上げてインナチューブ204内に搬入(ボートローディング)する。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。なお、基板搬入工程(S10)においては、開閉バルブ241g、開閉バルブ241hを開けて、インナチューブ204内にパージガスを供給し続けることが好ましい。
【0068】
(減圧及び昇温工程(S20))
続いて、開閉バルブ241g、開閉バルブ241hを閉め、インナチューブ204内(処理室201内)が所望の処理圧力(真空度)となるように、真空ポンプ231bにより排気する。この際、圧力センサ245で測定した圧力に基づき、APCバルブ231aの開度をフィードバック制御する。また、ウエハ200表面が所望の処理温度となるようにヒータ207への通電量を調整する。この際、温度センサが検出した温度情報に基づき、ヒータ207への通電具合をフィードバック制御する。そして、回転機構267により、ボート217及びウエハ200を回転させる。
【0069】
なお、減圧及び昇温工程(S20)終了時の条件としては、例えば、
処理圧力:10〜1000Pa、好ましくは50Pa、
処理温度:180〜250℃、好ましくは220℃
が例示される。
【0070】
(成膜工程)
続いて、後述する気化ガス供給工程(S31)〜パージ工程(S34)を1サイクルとして、このサイクルを所定回数繰り返すことにより、ウエハ200上に所望の厚さの高誘電率膜(ZrO膜)を形成する。図8に、気化ガス供給工程(S31)〜パージ工程(S34)の各工程におけるガスの供給シーケンスを例示する。
【0071】
(気化ガス供給工程(S31))
まず、開閉バルブ241dを開けて液体原料供給タンク266内に圧送ガスを供給する。そして、開閉バルブ243c,241cを開け、液体原料としてのTEMAZrを液体原料供給タンク266内から気化器260内へと圧送(供給)し、気化器260内にてTEMAZrを気化させてTEMAZrガス(気化ガス)を生成する。また、開閉バルブ241fを開けて、気化器260内にNガス(キャリアガス)を供給する。TEMAZrガスが安定して生成されるまでは、開閉バルブ241aを閉め、開閉バルブ241iを開けて、TEMAZrガスとNガスとの混合ガスを気化ガスベント管240iから排出しておく。
【0072】
TEMAZrガスが安定して生成されるようになったら、開閉バルブ241iを閉め、開閉バルブ241aを開けて、TEMAZrガスとNガスとの混合ガスを、気化ガスノズル233aを介してインナチューブ204内へ供給する。この際、開閉バルブ241gを開け、気化器260からの混合ガスを、第1不活性ガス供給管240gからのNガス(キャリアガス)により希釈しながらインナチューブ204内に供給する。このとき、TEMAZrガスの流量を例えば0.35g/minとし、キャリアガス供給管240fからのNガスの流量を例えば1slmとし、第1不活性ガス供給管240gからのNガスの流量を例えば8slmとする。
【0073】
気化ガスノズル233aからインナチューブ204内に供給された混合ガスは、図14に示すように気化ガス噴出口248aからガス排気口204aへと向かう水平方向のガス流10となり、排気管231から排気される。その際、積層された各ウエハ200の表面にTEMAZrガスがそれぞれ供給され、各ウエハ200上にTEMAZrガスのガス分子がそれぞれ吸着する。
【0074】
所定時間(例えば120秒)継続した後、開閉バルブ241aを閉め、開閉バルブ241iを開けて、TEMAZrガスの生成を継続したままインナチューブ204内へのTEMAZrガスの供給を停止する。なお、開閉バルブ241fは開けたままとし、気化器260内へのNガスの供給は継続する。
【0075】
(パージ工程(S32))
続いて、開閉バルブ241g及び開閉バルブ241hを開けて、インナチューブ204内にNガス(パージガス)を供給する。このとき、第1不活性ガス供給管240gからのNガスの流量を例えば5slmとし、第2不活性ガス供給管240hからのNガスの流量を例えば4slmとする。これにより、インナチューブ204内からのTEMAZrガスの排出が促される。所定時間(例えば20秒)経過してインナチューブ204内の雰囲気がNガスに置換されたら、開閉バルブ241g及び開閉バルブ241hを閉めてインナチューブ204内へのNガスの供給を停止する。そして、さらにインナチューブ204内を所定時間(例えば20秒)排気する。
【0076】
(反応ガス供給工程(S33))
続いて、開閉バルブ241eを開けてオゾナイザ270に酸素ガスを供給し、反応ガスとしてのオゾンガス(酸化剤)を生成する。オゾンガスが安定して生成されるまでは、開閉バルブ241bを閉め、開閉バルブ241jを開けて、オゾンガスを反応ガスベント管240jから排出しておく。
【0077】
オゾンガスが安定して生成されるようになったら、開閉バルブ241jを閉め、開閉バルブ241bを開けて、反応ガスノズル233bを介してインナチューブ204内へオゾンガスを供給する。この際、開閉バルブ241gを開け、反応ガスノズル233bからのオゾンガスを、第1不活性ガス供給管240gからのNガス(キャリアガス)により予備室201a内で希釈しながらインナチューブ204内に供給する。このとき、オゾンガスの流量を例えば6slm、第1不活性ガス供給管240gからのNガスの流量を例えば2slmとする。
【0078】
反応ガスノズル233bからインナチューブ204内に供給されたオゾンガスは、図14に示すように反応ガス噴出口248bからガス排気口204aへと向かう水平方向のガス流10となり、排気管231から排気される。その際、積層された各ウエハ200の表面にオゾンガスがそれぞれ供給され、ウエハ200上に吸着しているTEMAZrガスのガス分子とオゾンガスとが化学反応し、ウエハ200上に1原子層から数原子層の高誘電率膜(ZrO膜)が生成される。
【0079】
反応ガスの供給を所定時間継続したら、開閉バルブ241bを閉め、開閉バルブ241jを開けて、オゾンガスの生成を継続したままインナチューブ204内への反応ガスの供給を停止する。
【0080】
(パージ工程(S34))
続いて、開閉バルブ241g及び開閉バルブ241hを開けて、インナチューブ204内にNガス(パージガス)を供給する。このとき、第1不活性ガス供給管240g及び第2不活性ガス供給管240hからのNガスの流量をそれぞれ例えば4slmとする。
これにより、インナチューブ204内からのオゾンガス及び反応生成物の排出が促される。所定時間(例えば10秒)経過してインナチューブ204内の雰囲気がNガスに置換されたら、開閉バルブ241g及び開閉バルブ241hを閉めてインナチューブ204内へのNガスの供給を停止する。そして、さらにインナチューブ204内を所定時間(例えば15秒)排気する。
【0081】
以後、気化ガス供給工程(S31)〜パージ工程(S34)を1サイクルとして、このサイクルを所定回数繰り返すことにより、TEMAZrガス及びオゾンガスを互いに混合させずにインナチューブ204内に交互に供給し、ウエハ200上に所望の厚さの高誘電率膜(ZrO膜)を形成する。なお、各工程の処理条件としては必ずしも上記に限定されず、例えば図9に示すような条件とすることができる。
【0082】
<気化ガス供給工程(S31)の処理条件>
処理圧力:10〜700Pa、好ましくは250Pa、
TEMAZrガスの流量:0.01〜0.35g/min、好ましくは0.3g/min、
ガスの流量:0.1〜1.5slm、好ましくは1.0slm、
処理温度:180〜250℃、好ましくは220℃
実施時間:30〜180秒、好ましくは120秒
【0083】
<パージ工程(S32)の処理条件>
処理圧力:10〜100Pa、好ましくは70Pa、
ガスの流量:0.5〜20slm、好ましくは12slm、
処理温度:180〜250℃、好ましくは220℃
実施時間:30〜150秒、好ましくは60秒
【0084】
<反応ガス供給工程(S33)の処理条件>
処理圧力:10〜300Pa、好ましくは100Pa、
オゾンガスの流量:6〜20slm、好ましくは17slm、
ガスの流量:0〜2slm、好ましくは0.5slm、
処理温度:180〜250℃、好ましくは220℃
実施時間:10〜300秒、好ましくは120秒
【0085】
<パージ工程(S34)の処理条件>
処理圧力:10〜100Pa、好ましくは70Pa、
ガスの流量:0.5〜20slm、好ましくは12slm、
処理温度:180〜250℃、好ましくは220℃
実施時間:10〜90秒、好ましくは60秒
【0086】
(昇圧工程(S40)、基板搬出工程(S50))
ウエハ200上に所望の厚さの高誘電率膜(ZrO膜)を形成した後、APCバルブ231aの開度を小さくし、開閉バルブ241g、開閉バルブ241hを開けて、プロセスチューブ205内(インナチューブ204内及びアウタチューブ203内)の圧力が大気圧になるまでインナチューブ204内にパージガスを供給する(S40)。そして、基板搬入工程(S10)と逆の手順により、成膜済のウエハ200をインナチューブ204内から搬出する(S50)。なお、基板搬出工程(S50)においては、開閉バルブ241g、開閉バルブ241hを開けて、インナチューブ204内にパージガスを供給し続けることが好ましい。
【0087】
(5)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0088】
(a)本実施形態にかかるインナチューブ204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁と気化ガス噴出口248aとの間の距離L1よりも長くなるように構成されている。また同様に、インナチューブ204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁と反応ガス噴出口248bとの間の距離L1よりも長くなるように構成されている。このように、ウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離を長く確保することにより、ガス流10の速度が増大している領域をウエハ200から遠ざけ、ウエハ200上におけるガス流10の速度を均一化させることができる。そして、ウエハ200に供給されるガスの流量を均一化させ、膜厚の均一性を向上させることが可能となる。
【0089】
(b)また、本実施形態にかかるインナチューブ204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、ガス排気口204aが開設されていないインナチューブ204の側壁(「第2の部位」)とインナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁との間の距離L3よりも長くなるように構成されている。このように、ウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離を長く確保することにより、ガス流10の速度が増大している領域をウエハ200から遠ざけ、ウエハ200上におけるガス流10の速度を均一化させることができる。そして、ウエハ200に供給されるガスの流量を均一化させ、膜厚の均一性を向上させることが可能となる。
【0090】
(c)また、本実施形態にかかるインナチューブ204の側壁は、ガス排気口204aが開設されているインナチューブ204の側壁(「第1の部位」)とインナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁との間の距離が、「第2の部位」とインナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁との間の距離L3よりも長くなるように構成されている。その結果、ウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離を長く確保され、ガス流10の速度が増大している領域をウエハ200から遠ざけ、ウエハ200上におけるガス流10の速度を均一化させることができる。そして、ウエハ200に供給されるガスの流量を均一化させ、膜厚の均一性を向上させることが可能となる。
【0091】
(d)また、本実施形態にかかるインナチューブ204の側壁は、「第1の部位」の曲率半径が「第2の部位」の曲率半径よりも小さくなるように構成されている。その結果、ウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離を長く確保され、ガス流10の速度が増大している領域をウエハ200から遠ざけ、ウエハ200上におけるガス流10の速度を均一化させることができる。そして、ウエハ200に供給されるガスの流量を均一化させ、膜厚の均一性を向上させることが可能となる。
【0092】
(e)また、本実施形態にかかるインナチューブ204の側壁は、「第1の部位」が「第2の部位」よりもインナチューブ204の径方向外側(アウタチューブ203側)に突出するように構成されている。その結果、ウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離を長く確保され、ガス流10の速度が増大している領域をウエハ200から遠ざけ、ウエハ200上におけるガス流10の速度を均一化させることができる。そして、ウエハ200に供給されるガスの流量を均一化させ、膜厚の均一性を向上させることが可能となる。
【実施例】
【0093】
以下に、本発明の実施例について比較例を交えて説明する。
【0094】
図10は、ウエハ200上に形成された薄膜の膜厚分布の測定結果を示すグラフ図であり、○印は実施例1を、■印は比較例1をそれぞれ示している。図10の横軸はウエハ200の中心からの距離を示しており、縦軸はウエハ200上に形成されたZrO2膜の膜厚を示している。図11は、ウエハ上に形成された薄膜の膜厚分布を等高線で示す概略図であり、(a)は本発明の実施例1を、(b)は本発明の実施例2を、(c)は比較例1を、(d)は比較例2をそれぞれ示している。
【0095】
図10の○印及び図11(a)に示す実施例1では、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2を48mmとし、ウエハ200を回転させることなくウエハ200上にZrO膜を形成した。その他の条件は上述の実施形態と同じである。その結果、実施例1におけるZrO膜の膜厚はウエハ200の面内に亘り略均一となった。具体的には、気化ガス噴出口248a,反応ガス噴出口248b側の膜厚が39.75Åで最も厚く、最も膜厚の薄い箇所が31.22Åであった。なお、ガス排気口204a側の膜厚は36.65Åに留まった。
【0096】
図11(b)に示す実施例2では、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2を48mmとし、ウエハ200を回転させつつウエハ200上にZrO膜を形成した。その他の条件は実施例1と同じである。その結果、実施例2におけるZrO膜の膜厚はウエハ200の面内に亘りさらに均一となった。具体的には、ZrO膜は全体的には緩やかな凸型形状となり、ウエハ200の外縁部が34.03〜36.65Åであり、ウエハ200の中心部が35.53Åであり、均一性(uniformity)が±2.9%であった。なお、平均厚さは35.08Åであった。
【0097】
図10の■印及び図11(c)に示す比較例1では、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2を18.5mmとし、ウエハ200を回転させることなくウエハ200上にZrO膜を形成した。その他の条件は実施例1と同じである。その結果、比較例1におけるZrO膜の膜厚はガス排気口204a側の膜厚が著しく厚くなり、実施例1と比較して不均一となった。具体的には、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bに付近やウエハ200中心付近では実施例1と比較してZrO膜の膜厚分布に大差はないものの、ガス排気口204aから40mm付近の領域からガス排気口204a側にかけてZrO膜の膜厚が急激に上昇し、ZrO膜の膜厚は最大で53.39Åに達した。なお、最も膜厚が薄い箇所は30.88Åであった。かかる測定結果から、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2を例えば40mm以上とすることで、ガス流10の速度が増大している領域をウエハ200から遠ざけ、膜厚の均一性を向上させることが可能となることが分かる。
【0098】
図11(d)に示す比較例2では、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2を18.5mmとし、ウエハ200を回転させつつウエハ200上にZrO膜を形成した。その他の条件は比較例1と同じである。その結果、実施例2におけるZrO膜の膜厚は実施例2と比べて不均一となった。具体的には、ZrO膜は全体的には明確な凹型形状となり、ウエハ200の外縁部が37.06Åであり、ウエハ200の中心部が33.53Åであり、均一性(uniformity)が±5.1%であった。なお、平均厚さは34.59Åであった。
【0099】
また、本発明の実施例3では、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2を40mmとした。また、ガス排気口204aが開設されていないインナチューブ204の側壁(「第2の部位」)とインナチューブ2
04内に収納されたウエハ200の外縁との間の距離L3を、インナチューブ204とボート217とが接触しない程度の距離として13mmとした。また、インナチューブ204外壁とアウタチューブ203内壁との距離を、インナチューブ204とアウタチューブ203との間において必要十分なコンダクタンスを確保できる距離とした。また、ウエハ200の半径を150mmとした。係る場合においても、実施例1や実施例2と同様の効果を得られた。
【0100】
<本発明の他の実施形態>
本発明にかかるガス排気口204aは、必ずしも図3に示すような穴形状である場合に限定されず、また、複数枚のウエハ200のそれぞれに対応する位置(高さ位置)に開設する場合に限定されない。例えば3〜5枚のウエハ200に対してガス排気口204aを1つ設けるように構成しても良い。なお、係る場合であっても、気化ガス噴出口248a及び反応ガス噴出口248bは、複数枚のウエハ200のそれぞれに対応する位置(高さ位置)にそれぞれ開設されることが好ましい。
【0101】
本発明にかかるガス排気口204aは、必ずしも図3に示すような穴形状である場合に限定されず、例えば、図4に示すようにウエハ200が積層される方向に沿って開設されるスリット形状であってもよい。
【0102】
ガス排気口204aの開口幅は、インナチューブ204内のガスの流量分布や速度分布を適正化するように適宜調整することができ、例えば、下部から上部にわたって同一とする場合に限らず、上部から下部に向かうにつれて徐々に小さくしてもよい。図2に例示するように排気管231が処理室201の下方に設けられている場合には、ガス排気口204aの開口幅を上部から下部に向かうにつれて徐々に小さくすることで、ウエハ200表面に供給されるガスの流速をウエハ200間で均一化させることが出来るからである。図16は、上部から下部に向かうにつれて(すなわち排気管に近づくにつれて)ガス排気口204aの開口幅を徐々に狭くなるようにした場合を例示している。図16(a)に示すガス排気口204aは、上部から下部に向かうにつれて開口幅が連続的に狭まるスリット形状に構成されており、図16(b)に示すガス排気口204aは、上部から下部に向かうにつれて開口幅が段階的に狭まるスリット形状に構成されており、図16(c)に示すガス排気口204aは、上部から下部に向かうにつれて開口幅が段階的に狭まる四角穴として構成されており、図16(d)に示すガス排気口204aは、上部から下部に向かうにつれて開口幅が段階的に狭まる丸穴として構成されている。なお、排気管231が処理室201の上方に設けられている場合には、ガス排気口204aの開口幅を下部から上部に向かうにつれて徐々に小さくしてもよい。
【0103】
図6に示すインナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間のL2の距離は、処理炉201の上下方向に渡り均一である場合に限定されず、上下方向に渡り変化させても良い。たとえば、排気管231が処理室201の下方に設けられている場合には、ボート217の下方のウエハ200ほど排気力が強く、膜が厚く形成され易くなると考えられるので、処理炉201の下方ほど距離L2を長く設定してもよい。
【0104】
本発明は、インナチューブ204に予備室201aが設けられる場合に限定されない。例えば、図6に示すように、インナチューブ204に予備室201aが設けられておらず、気化ガスノズル233a及び反応ガスノズル233bがインナチューブ204に直接設けられることとしてもよい。かかる場合においても、インナチューブ204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁と気化ガス噴出口248aとの間の距離L1よりも長くなるように構成される。また同様に、インナチューブ
204の側壁は、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁とガス排気口204aとの間の距離L2が、インナチューブ204内に収納されたウエハ200の外縁と反応ガス噴出口248bとの間の距離L1よりも長くなるように構成される。
【0105】
上述の実施形態では液体原料として例えばTEMAZrを用いたが、本発明はかかる形態に限定されない。すなわち、液体原料としてTEMAH(Tetrakis Ethyl Methyl Amino Hafnium)を用いてもよく、また、Si原子、Hf原子、Zr原子、Al原子、Ta原子、Ti原子、Ru原子、Ir原子、Ge原子、Sb原子、Te原子のいずれかを含む他の有機化合物あるいは塩化物を用いてもよい。また、第1の原料ガスとしてTEMAZrを気化させたTEMAZrガスを用いる場合に限定せず、TEMAHを気化させたTEMAHガスや、Si原子、Hf原子、Zr原子、Al原子、Ta原子、Ti原子、Ru原子、Ir原子、Ge原子、Sb原子、Te原子のいずれかを含む有機化合物あるいは塩化物を気化或いは分解させた他のガスを用いてもよい。
【0106】
上述の実施形態では、反応ガスとしてオゾンガス(酸化剤)を用いたが、オゾンガス以外の酸化剤を用いることとしてもよい。また、反応ガスとして例えばアンモニアなどの窒化剤を用いてもよい。
【0107】
上述の実施形態では、ウエハ200上にZrO膜を形成する場合について説明したが、その他、Hf酸化膜、Si酸化膜、AI酸化膜、Ta酸化膜、Ti酸化膜、Ru酸化膜、Ir酸化膜、Si窒化膜、AI窒化膜、Ti窒化膜、GeSbTe膜のいずれかを形成する場合にも本発明は好適に適用可能である。
【0108】
上述の実施形態では、第1の原料ガスとしての気化ガスと第2の原料ガスとしての反応ガスとをウエハ200上へ交互に供給するALD法を用いる場合について説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。すなわち、第1の原料ガスと第2の原料ガスとをウエハ200上に同時に供給するCVD法等の他の方法を実施する場合にも好適に適用可能である。また、ウエハ200上に2数種のガスを供給する場合に限定せず、1種類のガスを供給する場合であっても、また3種類以上のガスを供給する場合であっても好適に適用可能である。
【0109】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0110】
本発明の一態様によれば、
基板が収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に配設されたガスノズルと、
前記ガスノズルに開設されたガス噴出口と、
前記ガスノズルを介して前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている
基板処理装置が提供される。
【0111】
好ましくは、
前記インナチューブ内には複数枚の前記基板が水平姿勢で積層された状態で収容され、
前記ガスノズルは前記基板が積層される方向に沿って配設(延在)され、
前記ガス噴出口は前記基板が積層される方向に沿って複数個が開設され、
前記ガス排気口は前記基板を挟んで前記ガス噴出口と対向する位置に開設される。
【0112】
好ましくは、
前記ガス排気口は穴形状であって、前記複数枚の基板のそれぞれに対応する位置に開設される。
【0113】
好ましくは、
前記ガス排気口はスリット形状である。
【0114】
好ましくは、
前記インナチューブの側壁には、前記インナチューブの側壁よりも前記インナチューブの径方向外側に突出した予備室が設けられ、
前記ガスノズルは前記予備室内に配設され、
前記ガス噴出口は、前記インナチューブの側壁よりも前記インナチューブの径方向外側に突出した位置に開設されている。
【0115】
好ましくは、
前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記インナチューブ内にガスを供給する際に、前記インナチューブ内の圧力が10Pa以上700Pa以下となるように、前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する。
【0116】
本発明の他の態様によれば、
基板が収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に配設された複数本のガスノズルと、
前記複数本のガスノズルにそれぞれ開設されたガス噴出口と、
前記複数本のガスノズルを介して前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記複数本のガスノズルと対向する位置に設けられたガス排気部と、
前記ガス排気部の側壁に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記ガス排気部の側壁が構成されている
基板処理装置が提供される。
【0117】
好ましくは、
前記ガス排気部の側壁の幅が前記複数本のガスノズルにおける両端のガスノズル間の幅よりも広くなるように、前記ガス排気部の側壁が構成されている。
【0118】
好ましくは、
前記ガス排気部は、前記インナチューブの側壁よりも前記インナチューブの径方向外側に突出するように設けられ、
前記ガス排気口は、前記インナチューブの側壁よりも前記インナチューブの径方向外側に突出した位置に開設されている。
【0119】
本発明の他の態様によれば、
複数枚の基板が水平姿勢で積層された状態で収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に前記基板が積層される方向に沿ってそれぞれ配設される第1のガスノズル及び第2のガスノズルと、
前記第1のガスノズル及び前記第2のガスノズルのそれぞれに前記基板が積層される方向に沿って開設された複数個のガス噴出口と、
前記第1のガスノズルを介して前記インナチューブ内に第1の原料ガスを供給し、前記第2のガスノズルを介して前記インナチューブ内に第2の原料ガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記ガス噴出口と対向する位置に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、
少なくとも2種類のガスを互いに混合させずに前記インナチューブ内に交互に供給するように前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている
基板処理装置が提供される。
【0120】
好ましくは、
前記基板上に、Zr酸化膜、Hf酸化膜、Si酸化膜、AI酸化膜、Ta酸化膜、Ti酸化膜、Ru酸化膜、Ir酸化膜、Si窒化膜、AI窒化膜、Ti窒化膜、GeSbTe膜のいずれかを形成する。
【0121】
好ましくは、
前記第1の原料ガスは、Si原子、Hf原子、Zr原子、Al原子、Ta原子、Ti原子、Ru原子、Ir原子、Ge原子、Sb原子、Te原子のいずれかを含む有機化合物あるいは塩化物を気化させたガスである。
【0122】
好ましくは、
前記第2の原料ガスは、酸化剤もしくは窒化剤である。
【0123】
好ましくは、
前記制御部は、
前記第1の原料ガスを前記インナチューブ内に供給する際に、前記インナチューブ内の圧力が10Pa以上700Pa以下となるように、前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御し、
前記第2の原料ガスを前記インナチューブ内に供給する際に、前記インナチューブ内の圧力が10Pa以上300Pa以下となるように、前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する。
【0124】
好ましくは、
前記制御部は、
前記第1の原料ガスを前記インナチューブ内に供給する際に、前記インナチューブ内の圧力が250Paとなるように、前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御し、
前記第2の原料ガスを前記インナチューブ内に供給する際に、前記インナチューブ内の圧力が100Paとなるように、前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する

【0125】
本発明の他の態様によれば、
基板が収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に配設されたガスノズルと、
前記ガスノズルに開設されたガス噴出口と、
前記ガスノズルを介して前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記ガスノズルと対向する位置に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)と前記基板の外縁との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている
基板処理装置が提供される。
【0126】
好ましくは、
前記ガス排気口が開設されている前記インナチューブの側壁(第1の部位)と前記基板の外縁との間の距離が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)と前記基板の外縁との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている。
【0127】
好ましくは、
前記ガス排気口が開設されている前記インナチューブの側壁(第1の部位)の曲率半径が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)の曲率半径よりも小さくなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている。
【0128】
好ましくは、
前記ガス排気口が開設されている前記インナチューブの側壁(第1の部位)が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)よりも前記インナチューブの径方向外側に突出するように、前記インナチューブの側壁が構成されている。
【0129】
本発明の他の態様によれば、
複数枚の基板が水平姿勢で積層された状態で収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に前記基板が積層される方向に沿ってそれぞれ配設される第1のガスノズル及び第2のガスノズルと、
前記第1のガスノズル及び前記第2のガスノズルのそれぞれに前記基板が積層される方向に沿って開設された複数個のガス噴出口と、
前記第1のガスノズルを介して前記インナチューブ内に第1の原料ガスを供給し、前記第2のガスノズルを介して前記インナチューブ内に第2の原料ガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記ガス噴出口と対向する位置に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、
少なくとも2種類のガスを互いに混合させずに前記インナチューブ内に交互に供給する
ように前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)と前記基板の外縁との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている
基板処理装置が提供される。
【0130】
好ましくは、
前記ガス排気口が開設されている前記インナチューブの側壁(第1の部位)と前記基板の外縁との間の距離が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)と前記基板の外縁との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている。
【0131】
好ましくは、
前記ガス排気口が開設されている前記インナチューブの側壁(第1の部位)の曲率半径が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)の曲率半径よりも小さくなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている。
【0132】
好ましくは、
前記ガス排気口が開設されている前記インナチューブの側壁(第1の部位)が、前記ガス排気口が開設されていない前記インナチューブの側壁(第2の部位)よりも前記インナチューブの径方向外側に突出するように、前記インナチューブの側壁が構成されている。
【0133】
本発明の他の態様によれば、
少なくとも2種類の原料ガスを互いに混合しないように所定回数交互に繰り返して基板表面に供給して、前記基板表面に所定の薄膜を形成する基板処理装置であって、
前記基板が複数枚積層された状態で収容されるインナチューブ及び該インナチューブを取り囲むアウタチューブから構成されたプロセスチューブと、
前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、
前記プロセスチューブ内を排気する排気ユニットと、を備え、
前記ガス供給ユニットは、前記インナチューブ内であって前記基板の積層方向に延在し、第1の原料ガスを供給する第1のガスノズル及び第2の原料ガスを供給する第2のガスノズルを少なくとも有し、
前記第1のガスノズル及び前記第2のガスノズルにはそれぞれ長手方向に複数のガス噴出口が開設され、
前記インナチューブの側壁であって前記ガス噴出口と対向する位置にガス排気口が開設され、
少なくとも前記ガス排気口が開設された部位が膨らみを有する基板処理装置が提供される。
【符号の説明】
【0134】
101 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
201a 予備室
203 アウタチューブ
204 インナチューブ
204a ガス排気口
204b ガス排気部
205 プロセスチューブ
233a 気化ガスノズル
233b 反応ガスノズル
248a 気化ガス噴出口
248b 反応ガス噴出口
280 コントローラ(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に配設されたガスノズルと、
前記ガスノズルに開設されたガス噴出口と、
前記ガスノズルを介して前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記インナチューブ内にガスを供給する際に、前記インナチューブ内の圧力が10Pa以上700Pa以下となるように、前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板が収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に配設された複数本のガスノズルと、
前記複数本のガスノズルにそれぞれ開設されたガス噴出口と、
前記複数本のガスノズルを介して前記インナチューブ内にガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記複数本のガスノズルと対向する位置に設けられたガス排気部と、
前記ガス排気部の側壁に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記ガス排気部の側壁が構成されている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
前記ガス排気部の側壁の幅が前記複数本のガスノズルにおける両端のガスノズル間の幅よりも広くなるように、前記ガス排気部の側壁が構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数枚の基板が水平姿勢で積層された状態で収容されるインナチューブと、
前記インナチューブを取り囲むアウタチューブと、
前記インナチューブ内に前記基板が積層される方向に沿ってそれぞれ配設される第1のガスノズル及び第2のガスノズルと、
前記第1のガスノズル及び前記第2のガスノズルのそれぞれに前記基板が積層される方向に沿って開設された複数個のガス噴出口と、
前記第1のガスノズルを介して前記インナチューブ内に第1の原料ガスを供給し、前記第2のガスノズルを介して前記インナチューブ内に第2の原料ガスを供給するガス供給ユニットと、
前記インナチューブの側壁であって前記基板を挟んで前記ガス噴出口と対向する位置に開設されたガス排気口と、
前記アウタチューブと前記インナチューブとに挟まれる空間を排気して前記ガス噴出口から前記ガス排気口へと向かうガス流を前記インナチューブ内に生成する排気ユニットと、
少なくとも2種類のガスを互いに混合させずに前記インナチューブ内に交互に供給するように前記ガス供給ユニット及び前記排気ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記基板の外縁と前記ガス排気口との間の距離が、前記基板の外縁と前記ガス噴出口との間の距離よりも長くなるように、前記インナチューブの側壁が構成されている
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−50439(P2010−50439A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134148(P2009−134148)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】