説明

基板処理装置

【課題】ダミーウェハを適切に使用することで生産処理とダミー処理とを効率よく実行する基板処理装置を提供する。
【解決手段】ダミー基板と製品基板とを含む基板に処理を施す複数の処理室と、前記各処理室へ基板を基板保持部に保持して搬送する第一搬送手段を備えた第一搬送室と、大気圧状態で基板を搬送する第二搬送手段を備えた第二搬送室と、前記第一搬送室と前記第二搬送室を連結する減圧可能な予備室と、前記搬送室と前記予備室に対して設けられる排気手段と、複数の基板が収納された基板収納手段と前記処理室との間の前記第一搬送手段および前記第二搬送手段の搬送を制御する制御手段とを設けた基板処理装置である。前記制御手段は、複数のダミー基板の使用状態を個別に管理し、ダミー基板の使用状態が予め定められた使用状態に達したか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置などの基板処理装置にかかり、プロセスチャンバを好適な状態に保つ目的で使用されるウェハ(以下「ダミーウェハ」という)を管理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1枚以上の基板を処理するプロセス処理において使用されるプロセスチャンバは、使用されていない時間(以下「未実行時間」という)が長くなるとこのプロセスチャンバ内の雰囲気が変化する。このようなプロセスチャンバをプロセス処理に対して好適な状態に保つためにダミーウェハが使用される。
【0003】
従来、このようなダミーウェハが必要になった場合には、ダミーウェハが格納されたキャリアを半導体製造装置に搬送し、ダミーウェハを使用したプロセス処理、いわゆるダミー処理が実行されている。
【0004】
なお、関連する従来の技術として、以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−270266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ダミーウェハが格納されたキャリアを搬送する場合、搬送時間は半導体製造装置のダウンタイムとなる。また、ダミーウェハが格納されたキャリアを予め半導体製造装置に搭載する場合、キャリアを配置するための例えばロードポート数が減少する。ロードポート数は限られているため、製品基板の搭載数が少なくなり、その結果、製品基板の生産性に影響を与える。さらに、使用限度を超えたダミーウェハを用いたプロセス処理が実行されると、かえってプロセスチャンバの状態を悪化させることもある。
【0007】
本発明は、ダミーウェハを適切に使用することで生産処理とダミー処理とを効率よく実行する基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる基板処理装置は、ダミー基板(ダミーウェハ)と製品基板とを含む基板に処理を施す複数の処理室(プロセスチャンバ)と、前記各処理室へ基板を基板保持部に保持して搬送する第一搬送手段を備えた第一搬送室と、大気圧状態で基板を搬送する第二搬送手段を備えた第二搬送室と、前記第一搬送室と前記第二搬送室を連結する減圧可能な予備室と、前記搬送室と前記予備室に対して設けられる排気手段と、複数の基板が収納された基板収納手段と前記処理室との間の前記第一搬送手段および前記第二搬送手段の搬送を制御する制御手段と、を設け、前記制御手段は、複数のダミー基板の使用状態を個別に管理し、ダミー基板の使用状態が予め定められた使用状態に達したか否かを判定する。
【0009】
また、本発明の一態様にかかる基板処理装置の管理方法は、ダミー基板と製品基板とを含む基板に処理を施す複数の処理室と、前記各処理室へ基板を基板保持部に保持して搬送する第一搬送手段を備えた第一搬送室と、大気圧状態で基板を搬送する第二搬送手段を備えた第二搬送室と、前記第一搬送室と前記第二搬送室を連結する減圧可能な予備室と、前記搬送室と前記予備室に対して設けられる排気手段と、複数の基板が収納された基板収納手段と前記処理室との間の前記第一搬送手段および前記第二搬送手段の搬送を制御する制御手段と、を備えた基板処理装置において、複数のダミー基板の使用状態を個別に管理し、ダミー基板の使用状態が予め定められた使用状態に達したか否かを判定する。
【0010】
また、本発明の一態様にかかる基板処理装置は、複数のダミー基板と製品基板とを含む基板に処理を行う基板処理室と前記基板を収納する基板収納手段との間で基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する制御手段とを備えた基板処理装置において、前記制御手段は、前記ダミー基板の使用状態を個別に管理し、管理された各基板の使用状態が予め定められた使用状態に達したか否かを判定する。
【0011】
また、前記制御手段は、ダミー基板の使用状態が予め定められた使用状態に達した場合、ダミー基板が格納されているキャリアの交換を促すよう通知を行う。
【0012】
また、前記制御手段は、各基板の使用状態が前記予め定められた使用状態に達したと判定された場合、前記ダミー基板を収納するキャリアの搬出条件であるキャリア搬出条件を満たしているか否かを判定し、前記キャリア搬出条件を満たしている場合に、前記ダミー基板を収納した前記キャリアの搬出及び搬入を行う。
【0013】
また、前記キャリア搬出条件は、判定時点における製品基板が処理実行中でないこと、及び前記製品基板の処理終了後に行なわれる前記ダミー基板のダミー処理が必要でないことを条件の一つとしている。
この場合、キャリア搬出条件を満たさない場合は、前記キャリアの搬出及び搬入を行なわないで、前記ダミー処理が優先する。
【0014】
また、前記使用状態は、ダミー基板の使用回数、ダミー基板上に成膜された膜厚、処理室(プロセスチャンバ)内に配置された時間、または、基板処理装置内に配置された時間を用いて判断することができる。
【0015】
また、本発明の一態様にかかる基板処理方法は、複数のダミー基板と製品基板とを含む基板に処理を行う基板処理室と前記基板を収納する基板収納手段との間で基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する制御手段とを備えた基板処理装置における基板処理方法において、前記制御手段は、前記複数のダミー基板のそれぞれについてダミー処理が行われる毎にそのダミー基板の使用回数を計数し、前記使用回数が前記ダミー基板に対して予め定められた使用回数に達したか否かを判定する。
【0016】
また、前記制御手段は、各ダミー基板の前記使用回数が前記予め定められた使用回数に達したと判定された場合は、前記ダミー基板を収納するキャリアの搬出条件であるキャリア搬出条件を満たしているか否かを判定し、前記キャリア搬出条件を満たしていると判定された場合に、前記ダミー基板を収納した前記キャリアの搬出を行った後、新しいダミー基板を収納したキャリアの搬入を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ダミーウェハを適切に使用することで生産処理とダミー処理とを効率よく実行することができる。ダミーウェハの使用限度を検出し、ダミーウェハの交換を適時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置の概略的な構成図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置の概略的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる基板処理装置を制御するための制御用コントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる基板処理装置の制御用コントローラに保持されるダミーウェハ管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる基板処理装置におけるダミーウェハ管理の工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態にかかる基板処理装置におけるダミー処理と生産処理との実行例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる基板処理装置におけるダミーキャリアに格納されたダミーウェハの状態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。尚、図1に、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の一例であるクラスタ型の半導体製造装置の概略的な構成例を示す。図2に、図1のクラスタ型の半導体製造装置の概略的な断面構成例を示す。図1及び図2の構成では、ウェハ搬送用ロボットや処理室としてのプロセスチャンバが複数台、及びキャリア受渡し用のロードロック室が2式接続された構成となっている。
【0020】
まず、図1及び図2を用いて、基板処理装置の概要を説明する。
【0021】
尚、本発明が適用される基板処理装置1においては基板としてのウェハWを搬送するキャリアとして、FOUP(front opening unified pod、以下、「ポッド」という)が使用されている。また、以下の説明において、前後左右は、図1を基準とする。すなわち、図1が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後ろは紙面の上、左右は紙面の左右とする。
【0022】
図1及び図2に示されているように、基板処理装置1は真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造に構成された真空搬送室としての第一の搬送室110を備えており、第一の搬送室110の筐体111は平面視が五角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。第一の搬送室110には負圧下で二枚のウェハWを同時に移載可能な第一の搬送手段としての第一のウェハ移載機112が設置されている。前記第一のウェハ移載機112は、エレベータ113によって、第一の搬送室110の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。
【0023】
第一の搬送室110の筐体111の5枚の側壁のうち前側に位置する1枚の側壁には、搬入/搬出用の第一および第二の予備室兼冷却室131,141がそれぞれ室開閉手段としてのゲートバルブ134,144を介して連結されており、それぞれ負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。さらに、基板予備室としての予備室兼冷却室131,141にはそれぞれ上下の基板載置台132,133,142,143が設置されている。
【0024】
予備室兼冷却室131,141の前側には、大気圧下で用いられる大気搬送室としての第二の搬送室120がゲートバルブ130,140を介して連結されている。第二の搬送室120には二枚のウェハWを同時に移載可能な第二のウェハ移載機122が設置されている。第二の搬送手段としての第二のウェハ移載機122は第二の搬送室120に設置されたエレベータ123によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ124によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0025】
図1に示されているように、第二の搬送室120の左側には、基板位置調整機構としてのノッチ合せ装置107が設置されている。また、図2に示されているように、第二の搬送室120の上部にはクリーンエアを供給するエア供給機構としてのクリーンユニット106が設置されている。
【0026】
図1及び図2に示されているように、第二の搬送室120の筐体121には、ウェハWを第二の搬送室120に対して搬入搬出するためのウェハ搬入搬出口104と、前記ウェハ搬入搬出口104を閉塞する蓋105と、ポッドオープナ103がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ103は、ロードポートとしてのIOステージ100に載置されたポッド101のキャップ及び搬入搬出口104を閉塞する蓋105を開閉するキャップ開閉機構102を備えており、IOステージ100に載置されたポッド101のキャップ及びウェハ搬入搬出口104を閉塞する蓋105をキャップ開閉機構102によって開閉することにより、ポッド101のウェハ出し入れを可能にする。また、ポッド101は図示しない工程内搬送装置(AGV/OHT)によって、前記IOステージ100に供給及び排出されるようになっている。
【0027】
図1に示されているように、第一の搬送室110の筐体111の5枚の側壁のうち背面側に位置する4枚の側壁には、ウェハWに所望の処理を行う第一乃至第四の処理室150,151,152,153がそれぞれゲートバルブ160,161,162,163を介して隣接して連結されている。処理室150,151,152,153は全て同一種の処理室を連結することができる。一方、目的に応じてそれぞれ異なる処理室を連結することもできる。
【0028】
以下、本実施形態における基板処理装置1を使用した処理工程を説明する。
【0029】
未処理のウェハWは25枚がポッド101に収納された状態で、処理工程を実施する基板処理装置1へ工程内搬送装置によって搬送されてくる。図1及び図2に示されているように、搬送されてきたポッド101はIOステージ100の上に工程内搬送から受け渡されて載置される。ポッド101のキャップ及びウェハ搬入搬出口104を開閉する蓋105がキャップ開閉機構102によって取り外され、ポッド101のウェハ出し入れ口が開放される。
【0030】
ポッド101がポッドオープナ103により開放されると、第二の搬送室120に設置された第二のウェハ移載機122はポッド101からウェハWを1枚ピックアップする。そして、基板位置調整機構としてのノッチ合せ装置107へ移載し、ウェハWの位置を調整する。ここでノッチ合せ装置107とは載置されたウェハWをX方向、Y方向及び円周方向に位置を調整する装置である。
【0031】
前記ノッチ合せ装置107にてウェハWの位置を調整していると同時に、前記第二のウェハ移載機122はポッド101から次のウェハWをピックアップして第二の搬送室120に搬出する。
【0032】
前記ノッチ合せ装置107にてウェハWの位置調整が終了したら、前記第二のウェハ移載機122でノッチ合せ装置107上のウェハWを第二の搬送室120に搬出すると共に、このとき第二のウェハ移載機122が保持しているウェハWをノッチ合せ装置107へ移載する。そして、ウェハWに対して位置調整を行う。
【0033】
次にゲートバルブ130を開け、第一の予備室兼冷却室131に搬入し、ウェハWを基板載置台133に移載する。この移載作業中には、第一の搬送室110側のゲートバルブ134は閉じられており、第一の搬送室110の負圧は維持されている。ここで、大気搬送モジュールがポッド101を載置するロードポートと、大気圧下で基板Wを搬送する大気搬送室としての第二の搬送室120と、基板予備室としての予備室兼冷却室131,141とで構成され、基板Wは大気搬送モジュール内で大気圧にて搬送される。
【0034】
ウェハWの基板載置台133への移載が完了すると、ゲートバルブ130が閉じられ、第一の予備室兼冷却室131が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0035】
第一の予備室兼冷却室131が負圧に排気されると同時に、第二のウェハ移載機122はノッチ合せ装置107からウェハWをピックアップし、ゲートバルブ140を開けて第二の予備室兼冷却室141に搬入し、ウェハWを基板載置台143に移載する。そしてゲートバルブ140を閉じ、第二の予備室兼冷却室141を排気装置(図示せず)によって負圧に排気する。
【0036】
第二のウェハ移載機122により、上述のようにポッド101から前記第二の搬送室120を介して基板予備室である予備室兼冷却室131,141までの基板搬送が繰り返し実行される。しかしながら、第一の予備室兼冷却室131及び第二の予備室兼冷却室141が負圧の場合は、第一の予備室兼冷却室131及び第二の予備室兼冷却室141へのウェハWの搬入を実行せずに第一の予備室兼冷却室131及び第二の予備室兼冷却室141の直前の所定の位置で停止する。
【0037】
第一の予備室兼冷却室131が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ134が開かれる。続いて第一の搬送室110の第一のウェハ移載機112は基板載置台133からウェハWをピックアップする。ピックアップ後、ゲートバルブ134を閉じて第一の基板予備室兼冷却室131を大気圧に戻し、次のウェハWを搬入するための準備をする。
【0038】
ゲートバルブ134を閉じて第一の基板予備室兼冷却室131を大気圧に復帰させるのと同時に、第一の処理室150のゲートバルブ160を開き、ウェハ移載機112がウェハWを第一の処理室150に搬入する。そして第一の処理室150内にガス供給装置(図示せず)から処理ガスが供給され、所望の処理がウェハWに施される。
【0039】
続いて、第二の予備室兼冷却室141が予め設定された圧力値に減圧されると、ゲートバルブ144が開かれる。続いて第一の搬送室110の第一のウェハ移載機112は基板載置台143からウェハWをピックアップする。
【0040】
ピックアップ後、ゲートバルブ144を閉じて第二の予備室兼冷却室141を大気圧に戻し、次のウェハWを搬入するための準備をする。
【0041】
ゲートバルブ144を閉じて第二の予備室兼冷却室141を大気圧に復帰させるのと同時に、第二の処理室151のゲートバルブ161を開き、第一のウェハ移載機112がウェハWを第二の処理室151に搬入する。そして、第二の処理室151内にガス供給装置(図示せず)から処理ガスが供給され、所望の処理がウェハWに施される。
【0042】
以下、同様にして第三の処理室152、第四の処理室153にウェハWを搬入し、所望の処理を施す。
【0043】
第一の処理室150において所望の処理が終了したら、第一のウェハ移載機112は第一の処理室150から搬出したウェハWを第一の予備室兼冷却室131へ搬出する。このとき、第一の予備室兼冷却室131に未処理のウェハWが存在する場合、第一のウェハ移載機は前記未処理ウェハWを第一の予備室兼冷却室131から第一の搬送室110へ搬出する。
【0044】
そしてゲートバルブ134を閉じ、処理済ウェハWの冷却を開始すると同時に第一の予備室兼冷却室131に接続された不活性ガス供給装置(図示せず)から不活性ガスを導入し、第一の予備室兼冷却室131内の圧力を大気圧に戻す。
【0045】
第一の予備室兼冷却室131において予め設定された冷却時間が経過し、且つ第一の基板予備室兼冷却室131内の圧力が大気圧に戻されると、ゲートバルブ130が開かれる。続いて、第二の搬送室120の第二のウェハ移載機122は基板載置台132から処理済のウェハWをピックアップして第二の搬送室120に搬出し、ゲートバルブ130を閉じる。そして、第二の搬送室120のウェハ搬入搬出口104を通してポッド101に収納する。以上の動作が繰り返されることにより、ウェハWが25枚ずつ順次、処理されていく。
【0046】
ポッド101内の全てのウェハWに所望の処理が行われ、処理済の25枚のポッド101への収納が完了すると、ポッド101のキャップとウェハ搬入搬出口104を閉塞する蓋105がポッドオープナ103によって閉じられる。閉じられたポッド101はロードポートとしてのIOステージ100上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されていく。
【0047】
ここで、制御用コントローラが基板処理装置1に接続されており、制御用コントローラは搬送制御、プロセス制御を行う手段を持つように構成される。図3は図1及び図2に示す基板処理装置を制御するための制御用コントローラの構成を示すブロック図である。
【0048】
図3において、制御用コントローラ11は、操作部12と統括制御コントローラ13と第一の処理室150を制御するためのプロセスチャンバコントローラPMC(1)14、第二の処理室151を制御するためのプロセスチャンバコントローラPMC(2)15が、LAN回路16で接続されている。また、統括制御コントローラ13には第一のウェハ移載機112を制御する真空ロボットコントローラ13a、第二の移載機122を制御する大気ロボットコントローラ13b、マスフローコントローラMFC13cなどが接続されている。さらに、プロセスチャンバコントローラPMC(1)14には、マスフローコントローラMFC14a、APC14b、温度調節器14c、バルブI/O14dなどが接続されている。尚、MFC14aはガスの流量を制御するためのマスフローコントローラであり、APC14bはプロセスチャンバPM内の圧力を制御するためのオートプレッシャーコントローラである。また、温度調節器14cは処理室としてのプロセスチャンバPM内の温度の制御を行うものであり、バルブI/O14dはガスや排気用のバルブのON/OFFを制御するための入出力ポートである。また、PMC(2)15もPMC(1)14と同様な構成である。尚、図示されていないが、第三の処理室152を制御するためのプロセスチャンバコントローラPMC(3)と第四の処理室153を制御するためのプロセスチャンバコントローラPMC(4)も同様な構成で、同じようにLAN回路16に接続されている。
【0049】
記憶部18は、LAN回線16に接続されており、操作部12に表示される画面を介して入力された指示データや各種レシピ(プロセスレシピ、ダミー基板用レシピ等)を格納する。
【0050】
操作部12はシステム制御コマンドの指示、モニタ表示、ロギングデータ、アラーム解析、及びパラメータ編集などの画面を表示する機能を有している。また、統括制御コントローラ13は、システム全体の運用制御、真空ロボットコントローラ13aの制御、大気ロボットコントローラ13bの制御、MFC13cやバルブやポンプなどを制御する排気系制御を行う。
【0051】
次に、図3に示す制御用コントローラ11の基本的な運用例について説明する。操作部12からのコマンド指示を受けた統括制御コントローラ13は、ウェハ搬送指示を大気ロボットコントローラ13bに指示すると、該大気ロボットコントローラは、第二のウェハ移載機122を制御して、ウェハWをポッド101からノッチ合せ装置107を介して予備室兼冷却室131,141に搬送させる。そして、統括制御コントローラ13は、ウェハWを搬送されると予備室兼冷却室131,141の排気制御(つまり、ポンプやバルブの制御)を実施する。そして、予備室兼冷却室131,141が所定の負圧力に達したところで、真空ロボットコントローラ13aに指示してウェハWを該当する第一の処理室150へ搬送させる。続いて、PMC(1)14又はPMC(2)15等に対して、ウェハWに付加価値を与えるためのプロセスレシピの実行指示を行い、ウェハWに所定の処理が施される。処理済のウェハWは、第一の処理室150から予備室兼冷却室131,141へ搬送され、更に大気圧に戻された後、元のポッド101に搬送される。尚、予め搬送先に異なるポッド指定されている場合、元のポッド110ではなく、指定されたポッドに搬送してもよい。
【0052】
記憶部18はダミーウェハを個別に管理するためのダミーウェハ管理テーブル18aを有する。ダミーウェハ管理テーブル18aの一例を図4に示す。ダミーウェハのそれぞれには予めダミーウェハ識別番号が付与されている。このダミーウェハ識別番号には、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)に定められた基準に準拠するウェハID(Identification)を適用することができる。
【0053】
なお、この実施形態では、生産基板用のキャリアと同じ規格の1つのキャリアにダミーウェハを格納する(このキャリアを以下、「ダミーキャリア」という)。また、この実施形態では、ダミーウェハの使用状態(使用限度)を判定する基準にダミーウェハの使用回数を用いる。
【0054】
ダミーウェハ管理テーブル18aには、各ダミーウェハに対して、現在位置、閾値、および、現在の使用回数が登録されている。現在位置は、対応するダミーウェハが基板処理装置1内のいずれの場所に現在配置されているかを示す。閾値は、対応するダミーウェハの使用回数の限度を示す。現在の使用回数は対応するダミーウェハが何回使用されたのかを示す。
【0055】
次に、図5のフローチャートを参照して統括制御コントローラ13によるダミーウェハ管理処理を説明する。なお、以下に説明するダミーウェハ管理処理は、基板処理装置に備えられている各処理室(プロセスチャンバPM)150〜153に対して実行される。統括制御コントローラ13は記憶部18の有するダミーウェハ管理テーブル18aを参照して以下の処理を行う。
【0056】
先ず、基板処理装置1のプロセスチャンバPMの未実行時間(アイドル時間)が予め定められた時間を超えたか否かが判定される(ステップS101)。プロセスチャンバPMの未実行時間が予め定められた時間を超えていない場合(ステップS101,NO)、所定時間経過後、再びステップS101の処理が実行される。
【0057】
プロセスチャンバPMの未実行時間が予め定められていた時間を超えた場合、ダミー処理実行期間内に実行されるダミー処理に必要な枚数だけダミーウェハが確保される(ステップS102)。ダミーウェハの確保後、ダミーウェハを使用した運転(ダミー処理)が開始される(ステップS103)。
【0058】
先ず、確保されたダミーウェハの一枚がダミーキャリアから取り出され、取り出されたダミーウェハを用いて、対象のプロセスチャンバPMでプロセスが実行される(ステップS104,S105)。ダミー処理が終了すると、ダミー処理に使用されたダミーウェハの現在の使用回数が1回増加される(ステップS106)。例えば、図4に示されるダミーウェハ管理テーブル18aにおいて、識別番号D1のダミーウェハが使用された場合、現在の使用回数N1が1回増加される。
【0059】
ダミーウェハ管理テーブル18aの現在の使用回数が更新されると、ダミーウェハはダミーキャリアに戻され(ステップS107)、全てのダミー処理が完了したか否か判定される(ステップS108)。例えば、図6に示されるようにダミー処理実行期間内では、複数回、ダミーウェハを用いたプロセスが実行される場合がある。このような場合、前述のステップS102で確保された複数のダミーウェハが順次使用される。全てのダミー処理が完了していない場合(ステップS108,NO)、再びステップS104からの処理が実行される。
【0060】
前述のステップS102で確保された複数のダミーウェハがダミー処理で全て用いられた場合、すなわち、全てのダミー処理が完了した場合(ステップS108,YES)、ダミーウェハを使用した運転は終了し、ダミー処理の対象となったプロセスチャンバPMの未処理時間はリセットされる(ステップS109)。
【0061】
ダミーウェハを使用した運転の終了後、いずれかのダミーウェハの現在の使用回数が対応の閾値を超えたか否かが判定される(ステップS110)。いずれのダミーウェハも閾値を超えていない場合(ステップS110,NO)、所定時間経過後、再びステップS101の処理に戻る。
【0062】
ここで、例えば、図7に示されるようにダミーキャリアに格納されたダミーウェハの内、1枚以上のダミーウェハが対応する閾値を超えている場合(ステップS110,YES)、ダミーキャリアの交換通知が操作部12の画面に表示される。
【0063】
この後、ダミーキャリアがキャリア搬出条件を満足しているか否かが判定される(ステップS111)。ダミーキャリアに格納されているダミーウェハの全てが、ダミー処理で使用されていなかったり、ダミー処理のために使用される予定が無い状態をキャリア搬出条件とする。例えば、ダミーキャリアに格納されているダミーウェハの内、1枚以上がダミー処理で使用中である場合、言い換えれば、ステップS101における判定対象のプロセスチャンバPMとは異なるプロセスチャンバPMのダミー処理でダミーウェハが使用されている場合、キャリア搬出条件を満足しているとは判定されない。また、ダミーウェハが使用中では無かったとしても、ステップS101における判定対象のプロセスチャンバPMとは異なるプロセスチャンバPMの未使用時間が予め定められた時間を超えていた場合もキャリア搬出条件を満足しているとは判定されない。これは、判定対象のプロセスチャンバPMとは異なるプロセスチャンバPMで、ダミー処理を行う必要があるからである。
【0064】
ダミーキャリアに格納されているダミーウェハがキャリア搬出条件を満足していない場合、キャリア搬出条件を満足するまで処理が保留される(ステップS111,NO)。ダミーキャリアがキャリア搬出条件を満足している場合、ダミーキャリアの搬出処理が実行され、新たなダミーウェハが格納されたダミーキャリアが基板処理装置1に搬入される(ステップS112)。
【0065】
以上の工程を経てダミーウェハ管理処理が実現される。このようなダミーウェハ管理処理によれば、ダミーウェハを適切に使用することで生産処理とダミー処理とを効率よく実行することができる。ダミーウェハの使用限度を検出し、ダミーウェハの交換を適時に行うことができる。基板処理装置のダウンタイムを短縮することができる。
【0066】
この実施形態では、ダミーウェハの使用状態(使用限度)を判定する基準にダミーウェハの使用回数を用いた。しかしながらこれ以外に、ダミーウェハ上に成膜された膜の厚さや、プロセスチャンバPM内に配置された時間、または、基板処理装置内に配置された時間(滞在時間)を用いてもよい。
【0067】
前述した実施形態では、基板処理装置として半導体製造装置を用いて説明した。しかしながら、本発明にかかる基板処理装置には半導体製造装置だけではなく、LCD(Liquid Crystal Display)装置のようなガラス基板を処理する装置にも適用することができる。成膜処理には、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理などが含まれる。この他、基板処理装置には、露光装置、リソグラフ装置、塗布装置、プラズマを利用したCVD装置が含まれる。また、クラスタ型の基板処理装置について示したがインライン型の基板処理装置にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 基板処理装置、12 操作部、13 統括制御コントローラ、18 記憶部、18a ダミーウェハ管理テーブル、100 IOステージ(ロードポート)、101 ポッド(FOUP)、102 キャップ開閉機構、103 ポッドオープナ、104 ウェハ搬入搬出口、105 蓋、106 クリーンユニット、107 ノッチ合せ装置、110 第一の搬送室(真空搬送室)、111 第一の搬送室の筐体、112 第一のウェハ移載機、113 第一のウェハ移載機のエレベータ、120 第二の搬送室(大気搬送室)、121 第二の搬送室の筐体、122 第二のウェハ移載機、123 第二のウェハ移載機のエレベータ、124 リニアアクチュエータ、130 ゲートバルブ、131 第一の予備室兼冷却室(基板予備室)、132 基板載置台(上)、133 基板載置台(下)、134 ゲートバルブ、140 ゲートバルブ、141 第二の予備室兼冷却室(基板予備室)、142 基板載置台(上)、143 基板載置台(下)、144 ゲートバルブ、150 第一の処理室(プロセスチャンバPM)、151 第二の処理室(プロセスチャンバPM)、152 第三の処理室(プロセスチャンバPM)、153 第四の処理室(プロセスチャンバPM)、160 ゲートバルブ、161 ゲートバルブ、162 ゲートバルブ、163 ゲートバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダミー基板と製品基板とを含む基板に処理を施す複数の処理室と、
前記各処理室へ基板を基板保持部に保持して搬送する第一搬送手段を備えた第一搬送室と、
大気圧状態で基板を搬送する第二搬送手段を備えた第二搬送室と、
前記第一搬送室と前記第二搬送室を連結する減圧可能な予備室と、
前記搬送室と前記予備室に対して設けられる排気手段と、
複数の基板が収納された基板収納手段と前記処理室との間の前記第一搬送手段および前記第二搬送手段の搬送を制御する制御手段と、を設けた基板処理装置において、
前記制御手段は、複数のダミー基板の使用状態を個別に管理し、ダミー基板の使用状態が予め定められた使用状態に達したか否かを判定する、基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−109333(P2012−109333A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255559(P2010−255559)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】