基準周波数制御回路
【課題】 基準周波数を生成する発振回路の発振周波数の変化を抑制可能な基準周波数制御回路を提供する。
【解決手段】 入力信号のレベルに応じた周波数で発振する発振回路からの発振信号が入力され、前記発振信号の周波数に応じた出力電圧を出力する周波数電圧変換回路と、前記出力電圧が所定レベルとなるよう前記入力信号のレベルを制御する制御回路と、を備えることを特徴とする基準周波数制御回路。
【解決手段】 入力信号のレベルに応じた周波数で発振する発振回路からの発振信号が入力され、前記発振信号の周波数に応じた出力電圧を出力する周波数電圧変換回路と、前記出力電圧が所定レベルとなるよう前記入力信号のレベルを制御する制御回路と、を備えることを特徴とする基準周波数制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準周波数制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子機器においては、電子機器内の基準となる高精度の周波数を生成するために、例えば水晶発振回路が設けられている。図2に例示する水晶発振回路100は、水晶振動子200、コンデンサ201,202からなる共振回路300に、インバータ203、抵抗204からなる増幅回路301を、抵抗205を介して接続することにより所定の周波数で発振する回路である(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。なお、抵抗205は、水晶発振回路100における異常な発振を防止するための抵抗である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−140817号公報
【特許文献2】特開2006−287765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共振回路300のQ値は一般に大きいため、水晶発振回路100は、高精度の発振周波数を生成することが可能である。しかしながら、水晶発振回路100が設置された周辺の温度が変化すると、例えば、水晶振動子200の特性が変化するため、共振回路300の共振周波数が変化する。一般的に水晶発振回路100の発振周波数は、共振周波数と同じであるため、結果的に水晶発振回路100の発振周波数も温度に応じて変化することとなる。また、温度が一定の場合であっても、例えば、コンデンサ201,202の製造バラツキの影響により、共振周波数も同様にばらつくこととなる。したがって、異なる水晶発振回路100の間では発振周波数は変化する。なお、前述の温度変化に対しては、例えば、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillators:温度補償型水晶発振器)を用いることにより発振周波数の変化を抑制可能であるが、製造バラツキに対しては発振周波数の変化を抑制できない。さらに、TCXOは一般に高価である。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、基準周波数を生成する発振回路の発振周波数の変化を抑制可能な基準周波数制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の基準周波数制御回路は、入力信号のレベルに応じた周波数で発振する発振回路からの発振信号が入力され、前記発振信号の周波数に応じた出力電圧を出力する周波数電圧変換回路と、前記出力電圧が所定レベルとなるよう前記入力信号のレベルを制御する制御回路と、を備えることとする。
【発明の効果】
【0007】
基準周波数を生成する発振回路の発振周波数の変化を抑制可能な基準周波数制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態である基準周波数生成回路の構成を示す図である。
【図2】従来の水晶発振回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態である基準周波数生成回路10の構成を示す図である。
【0011】
基準周波数生成回路10は、温度変化や、基準周波数生成回路10を構成する素子の製造バラツキによらず所定周波数の発振信号Voscを生成する回路であり、水晶発振回路20及び基準周波数制御回路21を含んで構成される。
【0012】
水晶発振回路20は、基準周波数制御回路21から出力される制御電圧Vcont(入力信号)のレベルに応じた周波数の発振信号Vosc(発振信号)を出力する回路であり、共振回路30、増幅回路31、抵抗32を含んで構成される。
【0013】
共振回路30は、制御電圧Vcontに応じた周波数で共振する回路であり、水晶振動子40、コンデンサ41,42、バラクタ43を含んで構成される。
【0014】
水晶振動子40は、水晶の圧電効果を利用した振動子であり、端子間の周波数が高くなるにつれて端子間のインピーダンスが容量性から誘導性まで変化する。本実施形態では水晶振動子40を、端子間に等価的に、インダクタンスL、抵抗Rs、容量Csの夫々が直列に接続され、容量Cpが並列に接続された回路であることとする。水晶振動子40の一端であるノードAには、コンデンサ41及びバラクタ43が接続され、水晶振動子40の他端であるノードBにはコンデンサ42が接続されている。また、バラクタ43のアノードとコンデンサ42の一端はグランドに接続されていることから、水晶振動子40、コンデンサ41,42、バラクタ43は、夫々が直列に接続されたループを形成することとなる。したがって、コンデンサ41,42の夫々の容量を容量C1,C2、バラクタ43(可変容量回路)の容量を容量C3とすると、コンデンサ41,42、バラクタ43の合成容量Ctは、Ct=1/(1/C1+1/C2+1/C3)となる。ここで、キルヒホッフの法則に基づき前述のループのインピーダンスを計算し、ループのインピーダンスがゼロとなる共振周波数を求めるべく抵抗Rsを無視すると、共振周波数foは、式(1)の様になる(例えば、特開2004−130817号公報参照)。つまり、共振回路30は、式(1)で示された周波数で共振することとなる。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで、制御電圧Vcontが変化した場合における共振周波数foについて説明する。本実施形態におけるバラクタ43は、アノードを基準としてカソードに印加されるバイアス電圧が高くなると容量C3が減少し、前述のバイアス電圧が低くなると容量C3が増加することとする。したがって、容量C1,C2が一定の場合、カソードに印加される制御電圧Vcontのレベルが高くなると、合成容量Ctは減少する。また、制御電圧Vcontのレベルが低くなると、合成容量Ctは増加する。また、式(1)より、バラクタ43に印加される制御電圧Vcontの電圧レベルが高くなると、共振周波数foは上昇し、制御電圧Vcontの電圧レベルが低くなると、共振周波数foは低下することとなる。
【0017】
増幅回路31は、水晶振動子40を発振させるための回路であり、インバータ50、抵抗51を含んで構成される。抵抗51は、インバータ50の出力を入力に接続する帰還抵抗であるため、インバータ50及び抵抗51は、インバータ50に入力される信号を反転増幅する反転増幅回路として動作する。したがって、増幅回路31においては、入力された信号の位相が180°反転され出力されることとなる。また、増幅回路31における出力抵抗(不図示)及び抵抗32とコンデンサ42との影響により、ノードBにおける信号の位相は、増幅回路31の出力信号の位相に対して遅れることとなる。例えば、増幅回路31の出力信号の周波数が高くなると、ノードBにおける信号の位相は、増幅回路31の出力信号の位相に対して90°遅れることとなる。また、共振回路30が共振周波数foで動作する場合、共振回路30における容量性及び誘導性のインピーダンスはキャンセルされるため、共振回路30のインピーダンスは、水晶振動子40の端子間に等価的に接続された抵抗Rsとなる。したがって、抵抗Rsとコンデンサ41及びバラクタ43との影響によりノードAにおける信号の位相は、ノードBにおける信号の位相に対して90°遅れることとなる。本実施形態では、増幅回路31の出力信号の周波数が共振周波数foとなると、ノードBにおける信号の位相が増幅回路31の出力信号の位相に対して90°遅れるよう、水晶発振回路20を設計している。そのため、共振周波数foにおいて、増幅回路31の出力信号は360°遅れて増幅回路31に入力されることとなるため、結果的に水晶発振回路20は、共振周波数foで発振することとなる。なお、本実施形態において、増幅回路31の利得は、水晶発振回路20が安定して発振できるよう十分大きく設計されていることとする。また、以下、本実施形態では、インバータ50の出力信号を水晶発振回路20の出力である発振信号Voscとする。また、発振信号Voscの周波数である発振周波数foscは共振周波数foとなる。なお、抵抗32は、水晶発振回路20において異常な発振を防止するための抵抗である。
【0018】
基準周波数制御回路21は、例えば、温度変化や、水晶発振回路20を構成する素子の製造バラツキによらず、水晶発振回路20の発振周波数foscを一定にするため、水晶発振回路20を制御する回路であり、周波数電圧変換回路60、基準電圧回路61、オペアンプ62(制御回路)を含んで構成される。
【0019】
周波数電圧変換回路60は、入力される発振信号Voscの発振周波数foscに応じた出力電圧Voを出力する回路であり、例えば、特開平2−230813号公報の図1に記載された周波数電圧変換回路で構成可能である。なお、本実施形態の周波数電圧変換回路60は、発振周波数foscが上昇すると出力電圧Voも上昇し、発振周波数foscが低下すると出力電圧Voも低下することとする。
【0020】
基準電圧回路61は、温度に対して一定の電圧である基準電圧Vrefを出力する回路であり、例えば、特開2004−350290号公報の図4に記載されたバンドギャップ基準電圧発生回路により構成可能である。
【0021】
オペアンプ62(誤差増幅回路)は、非反転入力端子に入力される基準電圧Vrefと、反転入力端子に入力される出力電圧Voとの差に応じて、出力される制御電圧Vcontのレベルを変化させる回路である。
【0022】
ここで、出力電圧Voが基準電圧Vrefより低い場合における基準周波数生成回路10の動作について説明する。出力電圧Voが基準電圧Vrefより低いため、オペアンプ62は制御電圧Vcontを上昇させる。その結果、水晶発振回路20から出力される発振信号Voscの発振周波数foscは上昇し、周波数電圧変換回路60から出力される出力電圧Voも上昇する。一方、出力電圧Voが基準電圧Vrefより高い場合、オペアンプ62は制御電圧Vcontを低下させる。その結果、水晶発振回路20から出力される発振信号Voscの発振周波数foscは低下し、周波数電圧変換回路60から出力される出力電圧Voも低下する。したがって、基準周波数制御回路21は、出力電圧Voが所定レベルの基準電圧Vrefと一致するように水晶発振回路20を制御することとなる。上記の様に、本実施形態においては、出力電圧Voのレベルが所定レベルの基準電圧Vrefとなることから、結果的に発振周波数foscも基準電圧Vrefに基づいて決定されることとなる。
【0023】
以上に説明した構成からなる本実施形態の基準周波数生成回路10では、周波数電圧変換回路60が実際の発振周波数foscに応じた出力電圧Voを出力し、オペアンプ62が出力電圧Voを基準電圧Vrefに一致するよう水晶発振回路20を制御する。したがって、水晶発振回路20は、基準電圧Vrefのレベルに基づいて決定される基準周波数frefで発振することとなる。本実施形態における基準電圧Vrefは、前述の様に温度変化に対して一定となるような電圧であるため、結果的に基準周波数frefも温度変化に対して一定となる。このため、例えば温度補償されていない水晶振動子を用いた場合であっても、温度変化に対して一定の基準周波数を生成することが可能となる。また、例えば、コンデンサ41,42の容量C1,C2の値が製造バラツキによりばらついた場合であっても、基準周波数frefは基準電圧Vrefのレベルに基づいて決定されるため、基準周波数frefの変化を抑制可能である。
【0024】
また、本実施形態においては、例えば、温度変化や製造バラツキにより、水晶振動子40やコンデンサ41,42の特性が変化した場合であっても、実際の発振周波数が基準周波数frefとなるようオペアンプ62がバラクタ43の容量を変化させることにより、基準周波数frefの変化を抑制可能である。
【0025】
また、オペアンプ62は、出力電圧Voと基準電圧Vrefとの差に応じた制御電圧Vcontをバラクタ43に出力することにより、バラクタ43の容量値を変化させる。バラクタ43の容量値に応じて変化する発振周波数foscは、出力電圧Voとしてオペアンプ62に帰還される。したがって、例えば、温度変化や、水晶発振回路20における素子の製造バラツキがある場合でも、オペアンプ62がバラクタ43の容量値を変更することにより、水晶発振回路20は、基準電圧Verfに基づく基準周波数frefを出力可能である。
【0026】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0027】
本実施形態では、水晶振動子40を用いることとしたが、水晶振動子40の代わりに、例えば、セラミック振動子を用いても良い。
【符号の説明】
【0028】
10 基準周波数生成回路
20 水晶発振回路
21 基準周波数制御回路
30 共振回路
31 増幅回路
32、51 抵抗
40 水晶振動子
41、42 コンデンサ
43 バラクタ
50 インバータ
60 周波数電圧変換回路
61 基準電圧回路
62 オペアンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準周波数制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子機器においては、電子機器内の基準となる高精度の周波数を生成するために、例えば水晶発振回路が設けられている。図2に例示する水晶発振回路100は、水晶振動子200、コンデンサ201,202からなる共振回路300に、インバータ203、抵抗204からなる増幅回路301を、抵抗205を介して接続することにより所定の周波数で発振する回路である(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。なお、抵抗205は、水晶発振回路100における異常な発振を防止するための抵抗である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−140817号公報
【特許文献2】特開2006−287765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共振回路300のQ値は一般に大きいため、水晶発振回路100は、高精度の発振周波数を生成することが可能である。しかしながら、水晶発振回路100が設置された周辺の温度が変化すると、例えば、水晶振動子200の特性が変化するため、共振回路300の共振周波数が変化する。一般的に水晶発振回路100の発振周波数は、共振周波数と同じであるため、結果的に水晶発振回路100の発振周波数も温度に応じて変化することとなる。また、温度が一定の場合であっても、例えば、コンデンサ201,202の製造バラツキの影響により、共振周波数も同様にばらつくこととなる。したがって、異なる水晶発振回路100の間では発振周波数は変化する。なお、前述の温度変化に対しては、例えば、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillators:温度補償型水晶発振器)を用いることにより発振周波数の変化を抑制可能であるが、製造バラツキに対しては発振周波数の変化を抑制できない。さらに、TCXOは一般に高価である。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、基準周波数を生成する発振回路の発振周波数の変化を抑制可能な基準周波数制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の基準周波数制御回路は、入力信号のレベルに応じた周波数で発振する発振回路からの発振信号が入力され、前記発振信号の周波数に応じた出力電圧を出力する周波数電圧変換回路と、前記出力電圧が所定レベルとなるよう前記入力信号のレベルを制御する制御回路と、を備えることとする。
【発明の効果】
【0007】
基準周波数を生成する発振回路の発振周波数の変化を抑制可能な基準周波数制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態である基準周波数生成回路の構成を示す図である。
【図2】従来の水晶発振回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態である基準周波数生成回路10の構成を示す図である。
【0011】
基準周波数生成回路10は、温度変化や、基準周波数生成回路10を構成する素子の製造バラツキによらず所定周波数の発振信号Voscを生成する回路であり、水晶発振回路20及び基準周波数制御回路21を含んで構成される。
【0012】
水晶発振回路20は、基準周波数制御回路21から出力される制御電圧Vcont(入力信号)のレベルに応じた周波数の発振信号Vosc(発振信号)を出力する回路であり、共振回路30、増幅回路31、抵抗32を含んで構成される。
【0013】
共振回路30は、制御電圧Vcontに応じた周波数で共振する回路であり、水晶振動子40、コンデンサ41,42、バラクタ43を含んで構成される。
【0014】
水晶振動子40は、水晶の圧電効果を利用した振動子であり、端子間の周波数が高くなるにつれて端子間のインピーダンスが容量性から誘導性まで変化する。本実施形態では水晶振動子40を、端子間に等価的に、インダクタンスL、抵抗Rs、容量Csの夫々が直列に接続され、容量Cpが並列に接続された回路であることとする。水晶振動子40の一端であるノードAには、コンデンサ41及びバラクタ43が接続され、水晶振動子40の他端であるノードBにはコンデンサ42が接続されている。また、バラクタ43のアノードとコンデンサ42の一端はグランドに接続されていることから、水晶振動子40、コンデンサ41,42、バラクタ43は、夫々が直列に接続されたループを形成することとなる。したがって、コンデンサ41,42の夫々の容量を容量C1,C2、バラクタ43(可変容量回路)の容量を容量C3とすると、コンデンサ41,42、バラクタ43の合成容量Ctは、Ct=1/(1/C1+1/C2+1/C3)となる。ここで、キルヒホッフの法則に基づき前述のループのインピーダンスを計算し、ループのインピーダンスがゼロとなる共振周波数を求めるべく抵抗Rsを無視すると、共振周波数foは、式(1)の様になる(例えば、特開2004−130817号公報参照)。つまり、共振回路30は、式(1)で示された周波数で共振することとなる。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで、制御電圧Vcontが変化した場合における共振周波数foについて説明する。本実施形態におけるバラクタ43は、アノードを基準としてカソードに印加されるバイアス電圧が高くなると容量C3が減少し、前述のバイアス電圧が低くなると容量C3が増加することとする。したがって、容量C1,C2が一定の場合、カソードに印加される制御電圧Vcontのレベルが高くなると、合成容量Ctは減少する。また、制御電圧Vcontのレベルが低くなると、合成容量Ctは増加する。また、式(1)より、バラクタ43に印加される制御電圧Vcontの電圧レベルが高くなると、共振周波数foは上昇し、制御電圧Vcontの電圧レベルが低くなると、共振周波数foは低下することとなる。
【0017】
増幅回路31は、水晶振動子40を発振させるための回路であり、インバータ50、抵抗51を含んで構成される。抵抗51は、インバータ50の出力を入力に接続する帰還抵抗であるため、インバータ50及び抵抗51は、インバータ50に入力される信号を反転増幅する反転増幅回路として動作する。したがって、増幅回路31においては、入力された信号の位相が180°反転され出力されることとなる。また、増幅回路31における出力抵抗(不図示)及び抵抗32とコンデンサ42との影響により、ノードBにおける信号の位相は、増幅回路31の出力信号の位相に対して遅れることとなる。例えば、増幅回路31の出力信号の周波数が高くなると、ノードBにおける信号の位相は、増幅回路31の出力信号の位相に対して90°遅れることとなる。また、共振回路30が共振周波数foで動作する場合、共振回路30における容量性及び誘導性のインピーダンスはキャンセルされるため、共振回路30のインピーダンスは、水晶振動子40の端子間に等価的に接続された抵抗Rsとなる。したがって、抵抗Rsとコンデンサ41及びバラクタ43との影響によりノードAにおける信号の位相は、ノードBにおける信号の位相に対して90°遅れることとなる。本実施形態では、増幅回路31の出力信号の周波数が共振周波数foとなると、ノードBにおける信号の位相が増幅回路31の出力信号の位相に対して90°遅れるよう、水晶発振回路20を設計している。そのため、共振周波数foにおいて、増幅回路31の出力信号は360°遅れて増幅回路31に入力されることとなるため、結果的に水晶発振回路20は、共振周波数foで発振することとなる。なお、本実施形態において、増幅回路31の利得は、水晶発振回路20が安定して発振できるよう十分大きく設計されていることとする。また、以下、本実施形態では、インバータ50の出力信号を水晶発振回路20の出力である発振信号Voscとする。また、発振信号Voscの周波数である発振周波数foscは共振周波数foとなる。なお、抵抗32は、水晶発振回路20において異常な発振を防止するための抵抗である。
【0018】
基準周波数制御回路21は、例えば、温度変化や、水晶発振回路20を構成する素子の製造バラツキによらず、水晶発振回路20の発振周波数foscを一定にするため、水晶発振回路20を制御する回路であり、周波数電圧変換回路60、基準電圧回路61、オペアンプ62(制御回路)を含んで構成される。
【0019】
周波数電圧変換回路60は、入力される発振信号Voscの発振周波数foscに応じた出力電圧Voを出力する回路であり、例えば、特開平2−230813号公報の図1に記載された周波数電圧変換回路で構成可能である。なお、本実施形態の周波数電圧変換回路60は、発振周波数foscが上昇すると出力電圧Voも上昇し、発振周波数foscが低下すると出力電圧Voも低下することとする。
【0020】
基準電圧回路61は、温度に対して一定の電圧である基準電圧Vrefを出力する回路であり、例えば、特開2004−350290号公報の図4に記載されたバンドギャップ基準電圧発生回路により構成可能である。
【0021】
オペアンプ62(誤差増幅回路)は、非反転入力端子に入力される基準電圧Vrefと、反転入力端子に入力される出力電圧Voとの差に応じて、出力される制御電圧Vcontのレベルを変化させる回路である。
【0022】
ここで、出力電圧Voが基準電圧Vrefより低い場合における基準周波数生成回路10の動作について説明する。出力電圧Voが基準電圧Vrefより低いため、オペアンプ62は制御電圧Vcontを上昇させる。その結果、水晶発振回路20から出力される発振信号Voscの発振周波数foscは上昇し、周波数電圧変換回路60から出力される出力電圧Voも上昇する。一方、出力電圧Voが基準電圧Vrefより高い場合、オペアンプ62は制御電圧Vcontを低下させる。その結果、水晶発振回路20から出力される発振信号Voscの発振周波数foscは低下し、周波数電圧変換回路60から出力される出力電圧Voも低下する。したがって、基準周波数制御回路21は、出力電圧Voが所定レベルの基準電圧Vrefと一致するように水晶発振回路20を制御することとなる。上記の様に、本実施形態においては、出力電圧Voのレベルが所定レベルの基準電圧Vrefとなることから、結果的に発振周波数foscも基準電圧Vrefに基づいて決定されることとなる。
【0023】
以上に説明した構成からなる本実施形態の基準周波数生成回路10では、周波数電圧変換回路60が実際の発振周波数foscに応じた出力電圧Voを出力し、オペアンプ62が出力電圧Voを基準電圧Vrefに一致するよう水晶発振回路20を制御する。したがって、水晶発振回路20は、基準電圧Vrefのレベルに基づいて決定される基準周波数frefで発振することとなる。本実施形態における基準電圧Vrefは、前述の様に温度変化に対して一定となるような電圧であるため、結果的に基準周波数frefも温度変化に対して一定となる。このため、例えば温度補償されていない水晶振動子を用いた場合であっても、温度変化に対して一定の基準周波数を生成することが可能となる。また、例えば、コンデンサ41,42の容量C1,C2の値が製造バラツキによりばらついた場合であっても、基準周波数frefは基準電圧Vrefのレベルに基づいて決定されるため、基準周波数frefの変化を抑制可能である。
【0024】
また、本実施形態においては、例えば、温度変化や製造バラツキにより、水晶振動子40やコンデンサ41,42の特性が変化した場合であっても、実際の発振周波数が基準周波数frefとなるようオペアンプ62がバラクタ43の容量を変化させることにより、基準周波数frefの変化を抑制可能である。
【0025】
また、オペアンプ62は、出力電圧Voと基準電圧Vrefとの差に応じた制御電圧Vcontをバラクタ43に出力することにより、バラクタ43の容量値を変化させる。バラクタ43の容量値に応じて変化する発振周波数foscは、出力電圧Voとしてオペアンプ62に帰還される。したがって、例えば、温度変化や、水晶発振回路20における素子の製造バラツキがある場合でも、オペアンプ62がバラクタ43の容量値を変更することにより、水晶発振回路20は、基準電圧Verfに基づく基準周波数frefを出力可能である。
【0026】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0027】
本実施形態では、水晶振動子40を用いることとしたが、水晶振動子40の代わりに、例えば、セラミック振動子を用いても良い。
【符号の説明】
【0028】
10 基準周波数生成回路
20 水晶発振回路
21 基準周波数制御回路
30 共振回路
31 増幅回路
32、51 抵抗
40 水晶振動子
41、42 コンデンサ
43 バラクタ
50 インバータ
60 周波数電圧変換回路
61 基準電圧回路
62 オペアンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号のレベルに応じた周波数で発振する発振回路からの発振信号が入力され、前記発振信号の周波数に応じた出力電圧を出力する周波数電圧変換回路と、
前記出力電圧が所定レベルとなるよう前記入力信号のレベルを制御する制御回路と、
を備えることを特徴とする基準周波数制御回路。
【請求項2】
前記発振回路は、
前記入力信号のレベルに応じた容量値となる可変容量回路を含み、前記容量値に応じた周波数の前記発振信号を出力すること、
を特徴とする請求項1に記載の基準周波数制御回路。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記出力電圧と前記所定レベルの基準電圧との誤差に応じたレベルの誤差電圧を、前記入力信号として前記可変容量回路に出力する誤差増幅回路を含み、
前記誤差増幅回路は、
前記出力電圧が前記所定レベルとなるよう前記誤差電圧のレベルを変化させること、
を特徴とする請求項2に記載の基準周波数制御回路。
【請求項1】
入力信号のレベルに応じた周波数で発振する発振回路からの発振信号が入力され、前記発振信号の周波数に応じた出力電圧を出力する周波数電圧変換回路と、
前記出力電圧が所定レベルとなるよう前記入力信号のレベルを制御する制御回路と、
を備えることを特徴とする基準周波数制御回路。
【請求項2】
前記発振回路は、
前記入力信号のレベルに応じた容量値となる可変容量回路を含み、前記容量値に応じた周波数の前記発振信号を出力すること、
を特徴とする請求項1に記載の基準周波数制御回路。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記出力電圧と前記所定レベルの基準電圧との誤差に応じたレベルの誤差電圧を、前記入力信号として前記可変容量回路に出力する誤差増幅回路を含み、
前記誤差増幅回路は、
前記出力電圧が前記所定レベルとなるよう前記誤差電圧のレベルを変化させること、
を特徴とする請求項2に記載の基準周波数制御回路。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2010−200289(P2010−200289A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166391(P2009−166391)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】
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