実装構造体
【課題】実装基板上に搭載される光電配線モジュールの電子部品に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかる。
【解決手段】光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、主面に電気配線33、光配線路32、光半導体素子34、及び第1の電気接続端子36を有する光電配線モジュール30と、主面に電気配線11と電気接続端子12を有し、光電配線モジュール30が搭載される実装基板10と、第1の電気接続端子36と電気接続端子12とを電気接続すると共に接着固定する接続材40とを備え、光電配線モジュール30は、光半導体素子34及び第1の電気接続端子36が形成された回路部37と、回路部37を除く領域であって光配線路32及び電気配線33が形成された配線部38とを有し、第1の電気接続端子36は、光半導体素子34よりも配線部38側に形成されている。
【解決手段】光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、主面に電気配線33、光配線路32、光半導体素子34、及び第1の電気接続端子36を有する光電配線モジュール30と、主面に電気配線11と電気接続端子12を有し、光電配線モジュール30が搭載される実装基板10と、第1の電気接続端子36と電気接続端子12とを電気接続すると共に接着固定する接続材40とを備え、光電配線モジュール30は、光半導体素子34及び第1の電気接続端子36が形成された回路部37と、回路部37を除く領域であって光配線路32及び電気配線33が形成された配線部38とを有し、第1の電気接続端子36は、光半導体素子34よりも配線部38側に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電配線モジュールを実装基板に搭載した実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話等のモバイル通信機器において、LSIチップ間の信号伝送に対する高速化と低ノイズ化の要求が益々強くなっている。これに伴い、高速かつ低ノイズという特徴を有する、光配線と電気配線を複合した光電気配線が注目されている。
【0003】
光電気配線としては、光ファイバと電気配線を束ねた光電配線アレイや、フレキシブル電気配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)に光導波路を形成した光電配線板などがある。コストや性能などの観点からは、光電配線板に、光半導体素子や駆動ICなどの電子部品を搭載した光電配線モジュールが有利である。また、電子部品が搭載された電気配線板のモジュールを、表示パネルやLSIが搭載された実装基板に搭載した実装構造体として、(特許文献1)に記載された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−210809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実装基板上に搭載される光電配線モジュールの電子部品に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかり得る実装構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、を具備し、前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子が搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子よりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の一態様は、光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光半導体素子を駆動する駆動ICと、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、を具備し、前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子と前記駆動ICが搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子及び前記駆動ICよりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装基板上に搭載される光電配線モジュールの電子部品に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係わる実装構造体の概略構成を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの構成例を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの別の構成例を示す斜視図。
【図4】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの別の構成例を示す斜視図。
【図5】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの別の構成例を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態に用いた実装基板の構成例を示す斜視図。
【図7】第1の実施形態に用いた実装基板の別の構成例を示す斜視図。
【図8】第1の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図9】第1の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す斜視図。
【図10】第2の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図11】第3の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図12】第4の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図13】第5の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図14】第6の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図15】変形例に係わる光電配線モジュールの構成例を示す斜視図。
【図16】変形例に係わる光電配線モジュールの構成例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(比較例)
まず、本発明と従来技術との差異を特徴付けるため、本発明と従来技術との比較を簡単に行う。
【0011】
(特許文献1)の実装構造体では、電子部品としてのICを搭載した電気配線板が電気接続端子を介して実装基板に搭載された構造となっている。そして、電気配線板においてICが搭載された領域は、外部(実装基板など)には固定されていない。
【0012】
この種の電気配線板を可動部品(例えば、携帯電話のヒンジ部品)の内部配線に用いた場合、可動部品を動かすことで電気配線板においてICを搭載した箇所も動いてしまう。このため、ICが外部の構造体に接触して壊れたり、電気配線板においてICを搭載した箇所が撓み、ICと電気配線板の電気接続が破壊されたりする可能性がある。また、電気配線板を可動部品に用いなかったとしても、製品組み立て工程(例えば、本実装構造体を外部筐体に固定する工程)において、ICが外部の構造体に接触することで、ICが壊れたりICと電気配線板の電気接続が破壊されたりする可能性がある。
【0013】
即ち、(特許文献1)に記載された実装構造体では、ICが搭載された領域が外部に固定若しくは保護されてないため、ICの信頼性を低下させる事態が生じる可能性があった。
【0014】
これに対し本発明によれば、後述のように実装基板上に搭載される光電配線モジュールの電気接続端子の位置を工夫することにより、光電配線モジュールの電子部品に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかることができる。
【0015】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる実装構造体の概略構成を示す斜視図である。
【0017】
LSI,電気配線,及び電気接続端子などを有する第1の実装基板10と、LSI,電気配線,及び電気接続端子などを有する第2の実装基板20との間に、駆動IC,光半導体素子,光配線路,電気配線,及び電気接続端子などを有する光電配線モジュール30が設けられている。第1及び第2の実装基板10,20と光電配線モジュール30は、それぞれの電気接続端子を電気接続する導電性の接続材40(40a,40b)によって接着固定されている。
【0018】
光電配線モジュール30は、図2に示すように、光電配線板31、光配線路32、電気配線33、光半導体素子34(発光素子34aと受光素子34b)、第1の電気接続端子36(36a,36b)からなる。電気配線33,光半導体素子34,及び第1の電気接続端子36は、光電配線板31の主面上に設けられている。
【0019】
また、光電配線モジュール30は、発光素子34aが搭載された領域及び第1の電気接続端子36aが形成された領域からなる第1の回路部37aと、受光素子34bが搭載された領域及び第1の電気接続端子36bが形成された領域からなる第2の回路部37bと、回路部37(37a,37b)を除く領域であって光配線路32及び電気配線33が形成された領域からなる配線部38からなる。
【0020】
光電配線板31は、例えばフレキシブルプリント基板のように可撓性を有するものであり、この光電配線板31の一端近傍の主面上に発光ダイオードや半導体レーザ等の発光素子34aが設けられ、他端近傍の主面上にフォトダイオード等の受光素子34bが設けられている。発光素子34aと受光素子34bとの間には、光配線路32が設けられており、発光素子34aと受光素子34bは光配線路32により光結合されている。さらに、光電配線板31の主面上で一端と他端との間には、電気配線33が設けられている。
【0021】
光電配線板31の一端側の主面上には、第1の電気接続端子36aが設けられている。この第1の電気接続端子36aは、回路部37a内であって、配線部38に隣接した領域に設けられている。即ち、第1の電気接続端子36aは、発光素子34aと配線部38との間に設けられている。第1の電気接続端子36aの一部は発光素子34aに電気的に接続され、別の一部は電気配線33に電気的に接続されている。
【0022】
光電配線板31の他端側の主面上には、第1の電気接続端子36bが設けられている。この第1の電気接続端子36bは、回路部37b内であって、配線部38に隣接した領域に設けられている。即ち、第1の電気接続端子36bは、受光素子34bと配線部38との間に設けられている。第1の電気接続端子36bの一部は受光素子34bに電気的に接続され、別の一部は電気配線33に電気的に接続されている。これにより、電気接続端子36aと36bの一部は、電気配線33により電気的に接続されている。
【0023】
なお、上記の例では光電配線板31の一端側に発光素子34a、他端側に受光素子34bを設け、信号伝送方向を単一方向としたが、発光素子34a及び受光素子34bを一端側と他端側の両方にそれぞれ設けることにより、双方向伝送を行うようにしても良い。
【0024】
光電配線モジュール30は、図3に示すように、図2の構成に加え、光電配線板31の主面上に駆動ICが設けられても良い。図3では、発光素子34aと第1の電気接続端子36aとの間に、発光素子34aを駆動する第1の駆動IC35aが設けられている。さらに、受光素子34bと第1の電気接続端子36bとの間に、受光素子34bを駆動し、且つ受光素子34bから入力される電気信号を増幅する第2の駆動IC35bが設けられている。この場合、回路部37aは、発光素子34aと駆動IC35aが搭載された領域及び第1の電気接続端子36aが形成された領域からなる。また、回路部37bは、受光素子34bと駆動IC35bが搭載された領域及び第1の電気接続端子36bが形成された領域からなる。なお、駆動IC35aは、発光素子34aと光電配線板31の一端との間に設けられても良い。同様に、駆動IC35bは、受光素子34bと光電配線板31の他端との間に設けられても良い。
【0025】
しかし、第1の電気接続端子36aから第1の駆動IC35aまでの配線距離、及び第1の電気接続端子36bから第2の駆動IC35bまでの配線距離が長くなると、信号遅延の増大、信号振幅の減衰、及びノイズの増大といった問題が生じやすくなる。このため、第1の電気接続端子36aから第1の駆動IC35aまでの配線距離、及び第1の電気接続端子36bから第2の駆動IC35bまでの配線距離は短い方が良い。即ち、第1の駆動IC35aは、発光素子34aと第1の電気接続端子36aとの間に設けられることが望ましく、第2の駆動IC35bは、受光素子34bと第1の電気接続端子36bとの間に設けられることが望ましい。
【0026】
光電配線板31の主面上の一部は、図4に示すように、例えばソルダーレジストやカバーレイからなる保護層で覆われていても良い。図4では、光電配線板31の主面上の一部が保護層39で覆われ、光半導体素子34(34a,34b)、及び駆動IC35(35a,35b)が搭載される領域と、第1の電気接続端子36(36a,36b)が形成された領域が表面に露出している。
【0027】
図5は、光電配線モジュール30の更に別の例であり、光配線路32及び電気配線33の一端側又は他端側がモジュール25に直接接続されている。モジュール25としては、例えばディスプレイやカメラ、LSIが搭載された基板が用いられる。
【0028】
第1の実装基板10は、図6に示すように、主面上に電気配線11と電気配線11を外部に電気接続するための電気接続端子12を備えたものである。実装基板10上には、電気配線11に電気的に接続されるLSI(例えばCPUやメモリ)13a,13bが実装されていても良い。さらに、LSI13a,13bの代わりに、例えばディスプレイやカメラといったモジュールが接続・搭載されていても良い。また、図には示さないが、第2の実装基板20も実装基板10と同様に構成されている。
【0029】
第1及び第2の実装基板10,20は、図7に示すように、主面上の一部が例えばソルダーレジストからなる保護層で覆われていても良い。図7では、第1の実装基板10の主面上の一部が保護層14で覆われ、LSI13a,13bが搭載される領域と、電気接続端子12が形成された領域が表面に露出している。
【0030】
図8は、本実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。この図は、図3乃至図5の光電配線モジュールを用いた例であり、光電配線モジュール30の一端側の接続部分を示している。図8において50は、光半導体素子34及び駆動IC35と光電配線板31との接続を補強するために、光半導体素子34及び駆動IC35の底面及び側面に設けられたアンダーフィル樹脂(補強材)である。
【0031】
光電配線モジュール30の一端側は、光電配線板31の主面を第1の実装基板10の主面に対向させて、実装基板10上に搭載されている。なお、図には示さないが、光電配線モジュール30の他端側も、光電配線板31の主面を第2の実装基板20の主面に対向させて、実装基板20上に搭載されても良いし、されなくても良い。以下では、光電配線モジュール30の一端側の接続のみについて説明する。
【0032】
光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と実装基板10の電気接続端子12は、導電性を有する接続材40によって、電気接続されると共に接着固定されている。また、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36は、回路部37内であって、配線部38に隣接した領域にある。そのため、光電配線モジュール30を可動部品(例えば、携帯電話のヒンジ部品)の内部配線に用いて可動部品を動かした場合でも、光電配線モジュール30の回路部37における第1の電気接続端子36よりも先(光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35が搭載された箇所)は動かない。これにより、光半導体素子34や駆動IC35が外部の構造体に接触して壊れたり、光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35が搭載された箇所が撓み、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33との電気接続が破壊されたりするのを未然に防止することができる。
【0033】
また、光半導体素子34と駆動IC35は光電配線板31の主面上に搭載され、光電配線板31の主面と実装基板10の主面との間にある。即ち、光半導体素子34と駆動IC35は、光電配線板31と実装基板10によって保護されている。そのため、製品組み立て工程(例えば、本実装構造体を外部筐体に固定する工程)において、光半導体素子34や駆動IC35が外部の構造体に接触するのを未然に防止することができる。さらに、光電配線モジュール30の配線部38が外部の構造体に接触しても、回路部37における第1の電気接続端子36よりも先(光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35が搭載された箇所)は動かないため、光半導体素子34や駆動IC35が壊れたり、電気配線33との電気接続が破壊されたりするのを未然に防止することができる。
【0034】
光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と実装基板10の電気接続端子12の電気接続及び固定は、接続材40のみで実現されている。これにより、コネクタ部品やワイヤボンディングを用いて光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と実装基板10の電気接続端子12を接続する場合に比べて、低コストでの接続が可能となっている。
【0035】
接続材40は、加熱圧着されて導通経路を形成すると共に硬化するものであり、例えば異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)や、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste:ACP)を用いることができる。これらを用いた場合、電気接続端子12,36同士を位置合わせした後、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36を実装基板10の電気接続端子12側に加熱しながら押圧することにより、対向する端子間のみを導通させると共に、端子間を接着固定することができる。
【0036】
接続材40は紫外線硬化性を有しても良い。さらに、光電配線モジュール30と実装基板10との固定を接続材40のみで行うのではなく、別の機構(例えばネジ締めによる固定や別の硬化性樹脂の使用、粘着・接着性のあるテープの使用)を併用しても良い。
【0037】
上述の工程(接続材40の加熱圧着工程)の最中、光電配線モジュール30及び実装基板10の電気接続端子、及び電気接続端子の上下部分には大きな圧力が加えられる。そこで、図8(b)の平面図に示したように、光電配線モジュール30の光配線路32は、第1の電気接続端子36と重ならないように、第1の電気接続端子36を避けて形成されることが望ましい。これにより、上述の加熱圧着工程において、光配線路32が損傷を受けて光損失が悪化するという事態を避けることが可能になる。
【0038】
同様に、図9の斜視図に示すように、光配線路32は、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33との電気接続が取られる箇所を避けて形成されることが望ましい。例えば、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33の電気接続を超音波フリップチップ実装により実現する場合、光半導体素子34や駆動IC35に形成された電気接続端子(例えば金バンプ)70の直下の電気配線33には大きな圧力と超音波が印加される。また、例えば、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33の電気接続をワイヤボンディングにより実現する場合、ワイヤ直下の電気配線33には大きな圧力と超音波が印加される。電気配線33と、光半導体素子34や駆動IC35との電気接続が取られる箇所を避けて光配線路32を形成することで、上述の工程(超音波フリップチップ実装やワイヤボンディング)において、光配線路32が損傷を受けて光損失が悪化するという事態を避けることが可能になる。
【0039】
光電配線板31の端部近傍(駆動IC35と第1の電気接続端子36の間)には屈曲部が設けられている。この屈曲部により、電気接続端子36が設けられた箇所を、光半導体素子34や駆動IC35の搭載箇所よりも、実装基板10に対し近づけて配置することができる。これにより、接続材40の厚みを薄くすることができ、低コストの接続材40による接続が可能になっている。なお、この屈曲部を設ける代わりに、光半導体素子34や駆動IC35と同程度の厚みの接続材を用いるようにしても良いし、光半導体素子34や駆動IC35の厚みを接続材と同程度の厚みになるよう薄くしても良い。
【0040】
このように本実施形態によれば、光電配線板31の主面上に光半導体素子34や駆動IC35が搭載された光電配線モジュール30を、光電配線板31の主面が実装基板10の主面に対向するように実装基板10に搭載し、光電配線モジュール30の配線部38に隣接する領域に形成された光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と、実装基板10の電気接続端子12とを接続材40で接続することにより、光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかることができる。従って、低コストかつ高信頼な、光電配線モジュールを実装基板に搭載した実装構造体を実現することが可能となり、情報通信機器の低コスト化と高性能化を促進することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図10(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0042】
図10(a)(b)では、回路部37において、光半導体素子34及び駆動IC35に関して第1の電気接続端子36と反対側(光半導体素子34と光電配線モジュール30の端部との間)の光電配線板31の主面上に、第2の電気接続端子76が形成されている。また、実装基板10の主面上には、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36の直下に電気接続端子12が形成されると共に、第2の電気接続端子76の直下に電気接続端子72が形成されている。そして、光電配線モジュール30の第2の電気接続端子76と実装基板10の電気接続端子72は、接続材80によって電気接続されると共に、接着固定されている。接続材80としては、接続材40と同様の部材を用いればよく、これらの接続材40,80は同時に加熱圧着させるようにすればよい。またこのように、第2の電気接続端子36と第2の電気接続端子76とで、別個の接続材40、80を用いることで、接続材にかかるコストを抑えることができる。
【0043】
このような構成により、光電配線モジュール30における回路部37の光半導体素子34と駆動IC35が搭載された箇所を、第1の実施形態よりも確実に固定することが可能となる。これにより、光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35に構造的にかかる負担を軽減することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
図11(a)(b)は、本発明の第3の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図10と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0045】
本実施形態が先の第2の実施形態と異なる点は、接続材40,80の代わりに一つの接続材90を用いたことにある。即ち、光電配線モジュール30と実装基板10との間に、第1の電気接続端子36から第2の電気接続端子76に至る1つの接続材90が配置されている。そして、この接続材90により、第1及び第2の電気接続端子36,76が電気接続端子12,72にそれぞれ接続されている。
【0046】
このような構成により、部品点数を削減してプロセスに掛かるコストを低減できる。また、光半導体素子34と駆動IC35を実装基板10の主面上に固定できるため、回路部37の光半導体素子34と駆動IC35が搭載された箇所をより確実に固定することができる。さらに、光半導体素子34と駆動IC35から発生する熱を、接続材90を介して実装基板10側へ効果的に放熱することも可能となり、光電配線モジュール30の性能の向上をはかることができる。
【0047】
なお、光半導体素子34と駆動IC35の直下の実装基板10の主面上に、光半導体素子34と駆動IC35とほぼ同じ大きさの島状のメタル領域を設け、これを電気配線やビアを用いて例えば接地配線に接続しても良い。これにより、光半導体素子34や駆動IC35から実装基板10への放熱性を更に向上させることが可能となる。
【0048】
(第4の実施形態)
図12(a)(b)は、本発明の第4の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0049】
本実施形態が図8と異なる点は、光電配線モジュール30の光半導体素子34と駆動IC35の表面が、放熱材60を介して実装基板10の主面上に接していることである。これにより、光電配線モジュール30の光半導体素子34と駆動IC35から実装基板10への効率の良い放熱が可能になる。さらに、光半導体素子34と駆動IC35の直下の実装基板10の主面上に、光半導体素子34と駆動IC35とほぼ同じ大きさの島状のメタル領域61を設け、これを電気配線やビアを用いて例えば接地配線に接続しても良い。これにより、光半導体素子34や駆動IC35から実装基板10への放熱性を更に向上させることが可能となる。
【0050】
放熱材60としては、光電配線板31の平均的な熱伝導性よりも高い熱伝導性を有することが望ましく、例えばシリコーン樹脂やグラファイトからなる熱伝導シートや放熱グリースなどを用いることができる。また、放熱材60は粘着性、熱硬化性、若しくは紫外線硬化性を有しても良い。これにより、光半導体素子34と駆動IC35を実装基板10の主面上に固定し、光半導体素子34と駆動IC35に構造的に掛かる負担を軽減することが可能となる。
【0051】
また、放熱材60として、接続材40を用いても良い。この場合、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36直下と、光半導体素子34と駆動IC35の直下に、別々の接続材を用いても良いし、第1の電気接続端子36の直下から光半導体素子34と駆動IC35の直下まで連続する接続材を用いても良い。
【0052】
(第5の実施形態)
図13(a)(b)は、本発明の第5の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0053】
本実施形態では、実装基板10に、光半導体素子や駆動IC等が収容される凹部15が設けられている。即ち、実装基板10の主面上において、光半導体素子34及び駆動IC35が対向する位置に、これらよりも大きめの凹部15が設けられている。このような構成により、光電配線板31の屈曲部が不要となり、光電配線板31にかかる応力が緩和される。このため、光電配線モジュール30や実装構造体の信頼性の向上が可能となる。
【0054】
なお、凹部15の底面には、熱伝導シートや放熱グリース等の放熱材を配置しても良い。また、凹部15は、光電配線板31の幅(図13(b)の縦方向)よりも大きい方が望ましい。凹部15の幅が光電配線板31の幅よりも大きいと、凹部15の底面に放熱材を配置した場合、放熱材から空気中への放熱が可能になる。さらに、凹部15内に光半導体素子34及び駆動IC35を収容した後に、放熱材を充填することも可能となる。
【0055】
(第6の実施形態)
図14(a)(b)は、本発明の第6の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0056】
本実施形態では、実装基板10に、光半導体素子や駆動IC等が収容される貫通穴16が設けられている。即ち、実装基板10の主面上において、光半導体素子34及び駆動IC35が対向する位置に、これらよりも大きめの貫通穴16が設けられている。このような構成であっても、光電配線板31の屈曲部が不要となり、光電配線板31にかかる応力が緩和される。このため、光電配線モジュール30や実装構造体の信頼性の向上が可能となる。
【0057】
なお、貫通穴16の内部には、放熱材を充填しても良い。また、貫通穴16の幅(図14(b)の縦方向)は光電配線板31の幅よりも狭いことが望ましい。このようにすれば、実装基板10の貫通穴16の裏面(図14(a)の下側)から、流動性のある放熱材(例えば放熱グリース)を、貫通穴16の表面側(実装基板10の主面側)への漏れ出しを招くことなく、注入することが可能になる。
【0058】
光電配線モジュール30の回路部37を固定する方法として、回路部37の光電配線板の裏面から粘着テープを貼り付け、実装基板10の主面上に固定する方法や、熱若しくは紫外線硬化樹脂を回路部37と実装基板10の主面を覆う領域に塗布して固定する方法、メカクランプ機構を用いる方法を用いても良い。
【0059】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。光電配線モジュールについて、これまでに示した実施形態では、直線状の光電配線モジュールを用いているが、これは曲線状であっても良いし、直線と曲線を組み合わせたものであっても良い。図15に示すように、異なる方向の直線を組み合わせであってもよい。また、これまでに示した実施形態では、一端と他端に回路部が設けられた光電配線モジュールを用いているが、これとは異なり図16に示すように、分岐を有し、分岐の先に別の回路部を有する光電配線板であっても良い。さらに、分岐は無くとも、一端と他端の回路部に加えて、一端と他端の間に別の回路部を有しても良い。
【0060】
また、放熱材は、熱伝導シートや放熱グリース等に限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。同様に、接続材はACFやACPに限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。また、実装構造体は、2つの実装基板間を光電配線モジュールで接続した構造に限らず、1つの実装基板に図5に示した光電配線モジュールを接続した構造であっても良い。
【0061】
また、光半導体素子である発光素子は、発光ダイオードや半導体レーザ等、種々の発光素子が使用可能である。さらに、光半導体素子である受光素子は、PINフォトダイオード、MSMフォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、フォトコンダクター等の種々の受光素子が使用可能である。駆動ICは、CMOSプロセス、BiCMOSプロセス等の種々のプロセスを用いて作製して良く、駆動回路のみを搭載したICであっても良いし、駆動回路以外に種々の回路機能を搭載したICであっても良い。光電配線モジュールは、光半導体素子と駆動IC以外に、チップ抵抗やチップコンデンサ等の電子部品を更に搭載しても良い。
【0062】
その他、本発明の主旨と技術的範囲を逸脱しない限り、種々の加工及び変形を施すことが可能である。また、上述した各種実施形態は、必要に応じて適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10、20…実装基板、11…電気配線、12,72…電気接続端子、13a,13b…LSI、14…保護層、15…凹部、16…貫通穴、25…モジュール、30…光電配線モジュール、31…光電配線板、32…光配線路、33…電気配線、34…光半導体素子、34a…発光素子、34b…受光素子、35(35a,35b)…駆動IC、36(36a,36b)…第1の電気接続端子、37(37a,37b)…回路部、38…配線部、39…保護層、40,80,90…接続材、50…補強材、60…放熱材、76…第2の電気接続端子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電配線モジュールを実装基板に搭載した実装構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話等のモバイル通信機器において、LSIチップ間の信号伝送に対する高速化と低ノイズ化の要求が益々強くなっている。これに伴い、高速かつ低ノイズという特徴を有する、光配線と電気配線を複合した光電気配線が注目されている。
【0003】
光電気配線としては、光ファイバと電気配線を束ねた光電配線アレイや、フレキシブル電気配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)に光導波路を形成した光電配線板などがある。コストや性能などの観点からは、光電配線板に、光半導体素子や駆動ICなどの電子部品を搭載した光電配線モジュールが有利である。また、電子部品が搭載された電気配線板のモジュールを、表示パネルやLSIが搭載された実装基板に搭載した実装構造体として、(特許文献1)に記載された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−210809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実装基板上に搭載される光電配線モジュールの電子部品に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかり得る実装構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、を具備し、前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子が搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子よりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の一態様は、光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光半導体素子を駆動する駆動ICと、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、を具備し、前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子と前記駆動ICが搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子及び前記駆動ICよりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装基板上に搭載される光電配線モジュールの電子部品に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係わる実装構造体の概略構成を示す斜視図。
【図2】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの構成例を示す斜視図。
【図3】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの別の構成例を示す斜視図。
【図4】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの別の構成例を示す斜視図。
【図5】第1の実施形態に用いた光電配線モジュールの別の構成例を示す斜視図。
【図6】第1の実施形態に用いた実装基板の構成例を示す斜視図。
【図7】第1の実施形態に用いた実装基板の別の構成例を示す斜視図。
【図8】第1の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図9】第1の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す斜視図。
【図10】第2の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図11】第3の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図12】第4の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図13】第5の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図14】第6の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を示す断面図と平面図。
【図15】変形例に係わる光電配線モジュールの構成例を示す斜視図。
【図16】変形例に係わる光電配線モジュールの構成例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(比較例)
まず、本発明と従来技術との差異を特徴付けるため、本発明と従来技術との比較を簡単に行う。
【0011】
(特許文献1)の実装構造体では、電子部品としてのICを搭載した電気配線板が電気接続端子を介して実装基板に搭載された構造となっている。そして、電気配線板においてICが搭載された領域は、外部(実装基板など)には固定されていない。
【0012】
この種の電気配線板を可動部品(例えば、携帯電話のヒンジ部品)の内部配線に用いた場合、可動部品を動かすことで電気配線板においてICを搭載した箇所も動いてしまう。このため、ICが外部の構造体に接触して壊れたり、電気配線板においてICを搭載した箇所が撓み、ICと電気配線板の電気接続が破壊されたりする可能性がある。また、電気配線板を可動部品に用いなかったとしても、製品組み立て工程(例えば、本実装構造体を外部筐体に固定する工程)において、ICが外部の構造体に接触することで、ICが壊れたりICと電気配線板の電気接続が破壊されたりする可能性がある。
【0013】
即ち、(特許文献1)に記載された実装構造体では、ICが搭載された領域が外部に固定若しくは保護されてないため、ICの信頼性を低下させる事態が生じる可能性があった。
【0014】
これに対し本発明によれば、後述のように実装基板上に搭載される光電配線モジュールの電気接続端子の位置を工夫することにより、光電配線モジュールの電子部品に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかることができる。
【0015】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる実装構造体の概略構成を示す斜視図である。
【0017】
LSI,電気配線,及び電気接続端子などを有する第1の実装基板10と、LSI,電気配線,及び電気接続端子などを有する第2の実装基板20との間に、駆動IC,光半導体素子,光配線路,電気配線,及び電気接続端子などを有する光電配線モジュール30が設けられている。第1及び第2の実装基板10,20と光電配線モジュール30は、それぞれの電気接続端子を電気接続する導電性の接続材40(40a,40b)によって接着固定されている。
【0018】
光電配線モジュール30は、図2に示すように、光電配線板31、光配線路32、電気配線33、光半導体素子34(発光素子34aと受光素子34b)、第1の電気接続端子36(36a,36b)からなる。電気配線33,光半導体素子34,及び第1の電気接続端子36は、光電配線板31の主面上に設けられている。
【0019】
また、光電配線モジュール30は、発光素子34aが搭載された領域及び第1の電気接続端子36aが形成された領域からなる第1の回路部37aと、受光素子34bが搭載された領域及び第1の電気接続端子36bが形成された領域からなる第2の回路部37bと、回路部37(37a,37b)を除く領域であって光配線路32及び電気配線33が形成された領域からなる配線部38からなる。
【0020】
光電配線板31は、例えばフレキシブルプリント基板のように可撓性を有するものであり、この光電配線板31の一端近傍の主面上に発光ダイオードや半導体レーザ等の発光素子34aが設けられ、他端近傍の主面上にフォトダイオード等の受光素子34bが設けられている。発光素子34aと受光素子34bとの間には、光配線路32が設けられており、発光素子34aと受光素子34bは光配線路32により光結合されている。さらに、光電配線板31の主面上で一端と他端との間には、電気配線33が設けられている。
【0021】
光電配線板31の一端側の主面上には、第1の電気接続端子36aが設けられている。この第1の電気接続端子36aは、回路部37a内であって、配線部38に隣接した領域に設けられている。即ち、第1の電気接続端子36aは、発光素子34aと配線部38との間に設けられている。第1の電気接続端子36aの一部は発光素子34aに電気的に接続され、別の一部は電気配線33に電気的に接続されている。
【0022】
光電配線板31の他端側の主面上には、第1の電気接続端子36bが設けられている。この第1の電気接続端子36bは、回路部37b内であって、配線部38に隣接した領域に設けられている。即ち、第1の電気接続端子36bは、受光素子34bと配線部38との間に設けられている。第1の電気接続端子36bの一部は受光素子34bに電気的に接続され、別の一部は電気配線33に電気的に接続されている。これにより、電気接続端子36aと36bの一部は、電気配線33により電気的に接続されている。
【0023】
なお、上記の例では光電配線板31の一端側に発光素子34a、他端側に受光素子34bを設け、信号伝送方向を単一方向としたが、発光素子34a及び受光素子34bを一端側と他端側の両方にそれぞれ設けることにより、双方向伝送を行うようにしても良い。
【0024】
光電配線モジュール30は、図3に示すように、図2の構成に加え、光電配線板31の主面上に駆動ICが設けられても良い。図3では、発光素子34aと第1の電気接続端子36aとの間に、発光素子34aを駆動する第1の駆動IC35aが設けられている。さらに、受光素子34bと第1の電気接続端子36bとの間に、受光素子34bを駆動し、且つ受光素子34bから入力される電気信号を増幅する第2の駆動IC35bが設けられている。この場合、回路部37aは、発光素子34aと駆動IC35aが搭載された領域及び第1の電気接続端子36aが形成された領域からなる。また、回路部37bは、受光素子34bと駆動IC35bが搭載された領域及び第1の電気接続端子36bが形成された領域からなる。なお、駆動IC35aは、発光素子34aと光電配線板31の一端との間に設けられても良い。同様に、駆動IC35bは、受光素子34bと光電配線板31の他端との間に設けられても良い。
【0025】
しかし、第1の電気接続端子36aから第1の駆動IC35aまでの配線距離、及び第1の電気接続端子36bから第2の駆動IC35bまでの配線距離が長くなると、信号遅延の増大、信号振幅の減衰、及びノイズの増大といった問題が生じやすくなる。このため、第1の電気接続端子36aから第1の駆動IC35aまでの配線距離、及び第1の電気接続端子36bから第2の駆動IC35bまでの配線距離は短い方が良い。即ち、第1の駆動IC35aは、発光素子34aと第1の電気接続端子36aとの間に設けられることが望ましく、第2の駆動IC35bは、受光素子34bと第1の電気接続端子36bとの間に設けられることが望ましい。
【0026】
光電配線板31の主面上の一部は、図4に示すように、例えばソルダーレジストやカバーレイからなる保護層で覆われていても良い。図4では、光電配線板31の主面上の一部が保護層39で覆われ、光半導体素子34(34a,34b)、及び駆動IC35(35a,35b)が搭載される領域と、第1の電気接続端子36(36a,36b)が形成された領域が表面に露出している。
【0027】
図5は、光電配線モジュール30の更に別の例であり、光配線路32及び電気配線33の一端側又は他端側がモジュール25に直接接続されている。モジュール25としては、例えばディスプレイやカメラ、LSIが搭載された基板が用いられる。
【0028】
第1の実装基板10は、図6に示すように、主面上に電気配線11と電気配線11を外部に電気接続するための電気接続端子12を備えたものである。実装基板10上には、電気配線11に電気的に接続されるLSI(例えばCPUやメモリ)13a,13bが実装されていても良い。さらに、LSI13a,13bの代わりに、例えばディスプレイやカメラといったモジュールが接続・搭載されていても良い。また、図には示さないが、第2の実装基板20も実装基板10と同様に構成されている。
【0029】
第1及び第2の実装基板10,20は、図7に示すように、主面上の一部が例えばソルダーレジストからなる保護層で覆われていても良い。図7では、第1の実装基板10の主面上の一部が保護層14で覆われ、LSI13a,13bが搭載される領域と、電気接続端子12が形成された領域が表面に露出している。
【0030】
図8は、本実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。この図は、図3乃至図5の光電配線モジュールを用いた例であり、光電配線モジュール30の一端側の接続部分を示している。図8において50は、光半導体素子34及び駆動IC35と光電配線板31との接続を補強するために、光半導体素子34及び駆動IC35の底面及び側面に設けられたアンダーフィル樹脂(補強材)である。
【0031】
光電配線モジュール30の一端側は、光電配線板31の主面を第1の実装基板10の主面に対向させて、実装基板10上に搭載されている。なお、図には示さないが、光電配線モジュール30の他端側も、光電配線板31の主面を第2の実装基板20の主面に対向させて、実装基板20上に搭載されても良いし、されなくても良い。以下では、光電配線モジュール30の一端側の接続のみについて説明する。
【0032】
光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と実装基板10の電気接続端子12は、導電性を有する接続材40によって、電気接続されると共に接着固定されている。また、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36は、回路部37内であって、配線部38に隣接した領域にある。そのため、光電配線モジュール30を可動部品(例えば、携帯電話のヒンジ部品)の内部配線に用いて可動部品を動かした場合でも、光電配線モジュール30の回路部37における第1の電気接続端子36よりも先(光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35が搭載された箇所)は動かない。これにより、光半導体素子34や駆動IC35が外部の構造体に接触して壊れたり、光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35が搭載された箇所が撓み、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33との電気接続が破壊されたりするのを未然に防止することができる。
【0033】
また、光半導体素子34と駆動IC35は光電配線板31の主面上に搭載され、光電配線板31の主面と実装基板10の主面との間にある。即ち、光半導体素子34と駆動IC35は、光電配線板31と実装基板10によって保護されている。そのため、製品組み立て工程(例えば、本実装構造体を外部筐体に固定する工程)において、光半導体素子34や駆動IC35が外部の構造体に接触するのを未然に防止することができる。さらに、光電配線モジュール30の配線部38が外部の構造体に接触しても、回路部37における第1の電気接続端子36よりも先(光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35が搭載された箇所)は動かないため、光半導体素子34や駆動IC35が壊れたり、電気配線33との電気接続が破壊されたりするのを未然に防止することができる。
【0034】
光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と実装基板10の電気接続端子12の電気接続及び固定は、接続材40のみで実現されている。これにより、コネクタ部品やワイヤボンディングを用いて光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と実装基板10の電気接続端子12を接続する場合に比べて、低コストでの接続が可能となっている。
【0035】
接続材40は、加熱圧着されて導通経路を形成すると共に硬化するものであり、例えば異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)や、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste:ACP)を用いることができる。これらを用いた場合、電気接続端子12,36同士を位置合わせした後、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36を実装基板10の電気接続端子12側に加熱しながら押圧することにより、対向する端子間のみを導通させると共に、端子間を接着固定することができる。
【0036】
接続材40は紫外線硬化性を有しても良い。さらに、光電配線モジュール30と実装基板10との固定を接続材40のみで行うのではなく、別の機構(例えばネジ締めによる固定や別の硬化性樹脂の使用、粘着・接着性のあるテープの使用)を併用しても良い。
【0037】
上述の工程(接続材40の加熱圧着工程)の最中、光電配線モジュール30及び実装基板10の電気接続端子、及び電気接続端子の上下部分には大きな圧力が加えられる。そこで、図8(b)の平面図に示したように、光電配線モジュール30の光配線路32は、第1の電気接続端子36と重ならないように、第1の電気接続端子36を避けて形成されることが望ましい。これにより、上述の加熱圧着工程において、光配線路32が損傷を受けて光損失が悪化するという事態を避けることが可能になる。
【0038】
同様に、図9の斜視図に示すように、光配線路32は、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33との電気接続が取られる箇所を避けて形成されることが望ましい。例えば、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33の電気接続を超音波フリップチップ実装により実現する場合、光半導体素子34や駆動IC35に形成された電気接続端子(例えば金バンプ)70の直下の電気配線33には大きな圧力と超音波が印加される。また、例えば、光半導体素子34や駆動IC35と電気配線33の電気接続をワイヤボンディングにより実現する場合、ワイヤ直下の電気配線33には大きな圧力と超音波が印加される。電気配線33と、光半導体素子34や駆動IC35との電気接続が取られる箇所を避けて光配線路32を形成することで、上述の工程(超音波フリップチップ実装やワイヤボンディング)において、光配線路32が損傷を受けて光損失が悪化するという事態を避けることが可能になる。
【0039】
光電配線板31の端部近傍(駆動IC35と第1の電気接続端子36の間)には屈曲部が設けられている。この屈曲部により、電気接続端子36が設けられた箇所を、光半導体素子34や駆動IC35の搭載箇所よりも、実装基板10に対し近づけて配置することができる。これにより、接続材40の厚みを薄くすることができ、低コストの接続材40による接続が可能になっている。なお、この屈曲部を設ける代わりに、光半導体素子34や駆動IC35と同程度の厚みの接続材を用いるようにしても良いし、光半導体素子34や駆動IC35の厚みを接続材と同程度の厚みになるよう薄くしても良い。
【0040】
このように本実施形態によれば、光電配線板31の主面上に光半導体素子34や駆動IC35が搭載された光電配線モジュール30を、光電配線板31の主面が実装基板10の主面に対向するように実装基板10に搭載し、光電配線モジュール30の配線部38に隣接する領域に形成された光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36と、実装基板10の電気接続端子12とを接続材40で接続することにより、光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35に構造的にかかる負担を軽減でき、信頼性の向上をはかることができる。従って、低コストかつ高信頼な、光電配線モジュールを実装基板に搭載した実装構造体を実現することが可能となり、情報通信機器の低コスト化と高性能化を促進することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図10(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0042】
図10(a)(b)では、回路部37において、光半導体素子34及び駆動IC35に関して第1の電気接続端子36と反対側(光半導体素子34と光電配線モジュール30の端部との間)の光電配線板31の主面上に、第2の電気接続端子76が形成されている。また、実装基板10の主面上には、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36の直下に電気接続端子12が形成されると共に、第2の電気接続端子76の直下に電気接続端子72が形成されている。そして、光電配線モジュール30の第2の電気接続端子76と実装基板10の電気接続端子72は、接続材80によって電気接続されると共に、接着固定されている。接続材80としては、接続材40と同様の部材を用いればよく、これらの接続材40,80は同時に加熱圧着させるようにすればよい。またこのように、第2の電気接続端子36と第2の電気接続端子76とで、別個の接続材40、80を用いることで、接続材にかかるコストを抑えることができる。
【0043】
このような構成により、光電配線モジュール30における回路部37の光半導体素子34と駆動IC35が搭載された箇所を、第1の実施形態よりも確実に固定することが可能となる。これにより、光電配線モジュール30の光半導体素子34や駆動IC35に構造的にかかる負担を軽減することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
図11(a)(b)は、本発明の第3の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図10と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0045】
本実施形態が先の第2の実施形態と異なる点は、接続材40,80の代わりに一つの接続材90を用いたことにある。即ち、光電配線モジュール30と実装基板10との間に、第1の電気接続端子36から第2の電気接続端子76に至る1つの接続材90が配置されている。そして、この接続材90により、第1及び第2の電気接続端子36,76が電気接続端子12,72にそれぞれ接続されている。
【0046】
このような構成により、部品点数を削減してプロセスに掛かるコストを低減できる。また、光半導体素子34と駆動IC35を実装基板10の主面上に固定できるため、回路部37の光半導体素子34と駆動IC35が搭載された箇所をより確実に固定することができる。さらに、光半導体素子34と駆動IC35から発生する熱を、接続材90を介して実装基板10側へ効果的に放熱することも可能となり、光電配線モジュール30の性能の向上をはかることができる。
【0047】
なお、光半導体素子34と駆動IC35の直下の実装基板10の主面上に、光半導体素子34と駆動IC35とほぼ同じ大きさの島状のメタル領域を設け、これを電気配線やビアを用いて例えば接地配線に接続しても良い。これにより、光半導体素子34や駆動IC35から実装基板10への放熱性を更に向上させることが可能となる。
【0048】
(第4の実施形態)
図12(a)(b)は、本発明の第4の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0049】
本実施形態が図8と異なる点は、光電配線モジュール30の光半導体素子34と駆動IC35の表面が、放熱材60を介して実装基板10の主面上に接していることである。これにより、光電配線モジュール30の光半導体素子34と駆動IC35から実装基板10への効率の良い放熱が可能になる。さらに、光半導体素子34と駆動IC35の直下の実装基板10の主面上に、光半導体素子34と駆動IC35とほぼ同じ大きさの島状のメタル領域61を設け、これを電気配線やビアを用いて例えば接地配線に接続しても良い。これにより、光半導体素子34や駆動IC35から実装基板10への放熱性を更に向上させることが可能となる。
【0050】
放熱材60としては、光電配線板31の平均的な熱伝導性よりも高い熱伝導性を有することが望ましく、例えばシリコーン樹脂やグラファイトからなる熱伝導シートや放熱グリースなどを用いることができる。また、放熱材60は粘着性、熱硬化性、若しくは紫外線硬化性を有しても良い。これにより、光半導体素子34と駆動IC35を実装基板10の主面上に固定し、光半導体素子34と駆動IC35に構造的に掛かる負担を軽減することが可能となる。
【0051】
また、放熱材60として、接続材40を用いても良い。この場合、光電配線モジュール30の第1の電気接続端子36直下と、光半導体素子34と駆動IC35の直下に、別々の接続材を用いても良いし、第1の電気接続端子36の直下から光半導体素子34と駆動IC35の直下まで連続する接続材を用いても良い。
【0052】
(第5の実施形態)
図13(a)(b)は、本発明の第5の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0053】
本実施形態では、実装基板10に、光半導体素子や駆動IC等が収容される凹部15が設けられている。即ち、実装基板10の主面上において、光半導体素子34及び駆動IC35が対向する位置に、これらよりも大きめの凹部15が設けられている。このような構成により、光電配線板31の屈曲部が不要となり、光電配線板31にかかる応力が緩和される。このため、光電配線モジュール30や実装構造体の信頼性の向上が可能となる。
【0054】
なお、凹部15の底面には、熱伝導シートや放熱グリース等の放熱材を配置しても良い。また、凹部15は、光電配線板31の幅(図13(b)の縦方向)よりも大きい方が望ましい。凹部15の幅が光電配線板31の幅よりも大きいと、凹部15の底面に放熱材を配置した場合、放熱材から空気中への放熱が可能になる。さらに、凹部15内に光半導体素子34及び駆動IC35を収容した後に、放熱材を充填することも可能となる。
【0055】
(第6の実施形態)
図14(a)(b)は、本発明の第6の実施形態に係わる実装構造体の要部構成を説明するためのもので、(a)は断面図、(b)は平面図である。なお、図8と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0056】
本実施形態では、実装基板10に、光半導体素子や駆動IC等が収容される貫通穴16が設けられている。即ち、実装基板10の主面上において、光半導体素子34及び駆動IC35が対向する位置に、これらよりも大きめの貫通穴16が設けられている。このような構成であっても、光電配線板31の屈曲部が不要となり、光電配線板31にかかる応力が緩和される。このため、光電配線モジュール30や実装構造体の信頼性の向上が可能となる。
【0057】
なお、貫通穴16の内部には、放熱材を充填しても良い。また、貫通穴16の幅(図14(b)の縦方向)は光電配線板31の幅よりも狭いことが望ましい。このようにすれば、実装基板10の貫通穴16の裏面(図14(a)の下側)から、流動性のある放熱材(例えば放熱グリース)を、貫通穴16の表面側(実装基板10の主面側)への漏れ出しを招くことなく、注入することが可能になる。
【0058】
光電配線モジュール30の回路部37を固定する方法として、回路部37の光電配線板の裏面から粘着テープを貼り付け、実装基板10の主面上に固定する方法や、熱若しくは紫外線硬化樹脂を回路部37と実装基板10の主面を覆う領域に塗布して固定する方法、メカクランプ機構を用いる方法を用いても良い。
【0059】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。光電配線モジュールについて、これまでに示した実施形態では、直線状の光電配線モジュールを用いているが、これは曲線状であっても良いし、直線と曲線を組み合わせたものであっても良い。図15に示すように、異なる方向の直線を組み合わせであってもよい。また、これまでに示した実施形態では、一端と他端に回路部が設けられた光電配線モジュールを用いているが、これとは異なり図16に示すように、分岐を有し、分岐の先に別の回路部を有する光電配線板であっても良い。さらに、分岐は無くとも、一端と他端の回路部に加えて、一端と他端の間に別の回路部を有しても良い。
【0060】
また、放熱材は、熱伝導シートや放熱グリース等に限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。同様に、接続材はACFやACPに限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。また、実装構造体は、2つの実装基板間を光電配線モジュールで接続した構造に限らず、1つの実装基板に図5に示した光電配線モジュールを接続した構造であっても良い。
【0061】
また、光半導体素子である発光素子は、発光ダイオードや半導体レーザ等、種々の発光素子が使用可能である。さらに、光半導体素子である受光素子は、PINフォトダイオード、MSMフォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、フォトコンダクター等の種々の受光素子が使用可能である。駆動ICは、CMOSプロセス、BiCMOSプロセス等の種々のプロセスを用いて作製して良く、駆動回路のみを搭載したICであっても良いし、駆動回路以外に種々の回路機能を搭載したICであっても良い。光電配線モジュールは、光半導体素子と駆動IC以外に、チップ抵抗やチップコンデンサ等の電子部品を更に搭載しても良い。
【0062】
その他、本発明の主旨と技術的範囲を逸脱しない限り、種々の加工及び変形を施すことが可能である。また、上述した各種実施形態は、必要に応じて適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10、20…実装基板、11…電気配線、12,72…電気接続端子、13a,13b…LSI、14…保護層、15…凹部、16…貫通穴、25…モジュール、30…光電配線モジュール、31…光電配線板、32…光配線路、33…電気配線、34…光半導体素子、34a…発光素子、34b…受光素子、35(35a,35b)…駆動IC、36(36a,36b)…第1の電気接続端子、37(37a,37b)…回路部、38…配線部、39…保護層、40,80,90…接続材、50…補強材、60…放熱材、76…第2の電気接続端子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、
可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、
主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、
前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、を具備し、
前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子が搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子よりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする実装構造体。
【請求項2】
光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、
可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光半導体素子を駆動する駆動ICと、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、
主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、
前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、
を具備し、
前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子と前記駆動ICが搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子及び前記駆動ICよりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする実装構造体。
【請求項3】
前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子、又は前記光半導体素子及び前記駆動ICに関して、前記第1の電気接続端子と反対側の前記光電配線板の主面上に形成された第2の電気接続端子を更に備え、前記第1の電気接続端子と前記第2の電気接続端子の2箇所で前記接続材により前記実装基板の電気接続端子に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の実装構造体。
【請求項4】
前記接続材は、前記第1の電気接続端子から前記第2の電気接続端子まで連続して形成されていることを特徴とする請求項3記載の実装構造体。
【請求項5】
前記光電配線モジュールの光配線路は、前記第1の電気接続端子を避けて形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の実装構造体。
【請求項1】
光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、
可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、
主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、
前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、を具備し、
前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子が搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子よりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする実装構造体。
【請求項2】
光電配線モジュールを実装基板に搭載してなる実装構造体であって、
可撓性を有する光電配線板と、前記光電配線板の主面上に形成された電気配線と、前記光電配線板に形成された光配線路と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光配線路に光結合する光半導体素子と、前記光電配線板の主面上に搭載され前記光半導体素子を駆動する駆動ICと、前記光電配線板の主面上に形成され前記電気配線を外部に電気接続するための第1の電気接続端子と、を備えた光電配線モジュールと、
主面上に電気配線と該電気配線を外部に電気接続するための電気接続端子を備え、主面に前記光電配線板の主面を対向させた状態で前記光電配線モジュールが搭載される実装基板と、
前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子と前記実装基板の電気接続端子との間に設けられ、各々の電気接続端子を電気接続すると共に接着固定する導電性の接続材と、
を具備し、
前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子と前記駆動ICが搭載された領域及び前記第1の電気接続端子が形成された領域からなる回路部と、該回路部を除く領域であって前記光配線路及び前記電気配線が形成された領域からなる配線部とを有し、前記光電配線モジュールの第1の電気接続端子は、前記光半導体素子及び前記駆動ICよりも前記配線部側に形成されていることを特徴とする実装構造体。
【請求項3】
前記光電配線モジュールは、前記光半導体素子、又は前記光半導体素子及び前記駆動ICに関して、前記第1の電気接続端子と反対側の前記光電配線板の主面上に形成された第2の電気接続端子を更に備え、前記第1の電気接続端子と前記第2の電気接続端子の2箇所で前記接続材により前記実装基板の電気接続端子に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の実装構造体。
【請求項4】
前記接続材は、前記第1の電気接続端子から前記第2の電気接続端子まで連続して形成されていることを特徴とする請求項3記載の実装構造体。
【請求項5】
前記光電配線モジュールの光配線路は、前記第1の電気接続端子を避けて形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の実装構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−95333(P2011−95333A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246775(P2009−246775)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]