説明

対象物保持アーム

【課題】 半導体ウエハ等の保持対象物の往復運動方向の位置精度を高めることができる保持アームを提供する。
【解決手段】 第1の腕要素(20)が、第1の回転中心(10)を中心として、回転可能に支持され、先端に第2の回転中心(11)を画定する。第2の腕要素(60)が、第2の回転中心を中心として、第1の腕要素に対して回転可能に支持され、先端に第3の回転中心(12)を画定する。伸縮用駆動力発生機構(57)が、第1の腕要素に対して第2の腕要素を回転させる。伸縮用駆動力発生機構によって、第2の腕要素が第1の角度だけ回転したとき、第1の腕要素が、第2の腕要素の回転方向とは反対方向に、第1の角度の1/2の角度だけ回転する。保持部材(80)が、第3の回転中心を中心として、第2の腕要素に対して回転可能に支持される。第1及び第2の腕要素の姿勢を変化させたとき、保持部材が並進移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物保持アームに関し、特にイオン注入装置において、イオン注入すべき半導体ウエハを保持して、イオンビームの経路と交差するように半導体ウエハを移動させてイオン注入を行うイオン注入装置に適した対象物保持アームに関する。
【背景技術】
【0002】
図13に、下記の特許文献1に開示されているイオン注入装置に用いられる半導体ウエハ保持アームの斜視図を示す。水平回転機構120が、水平回転軸121とモータ122を含んで構成される。水平回転軸121とモータ122の駆動軸との間にタイミングベルト123が懸架されている。モータ122が駆動されて水平回転軸121が回転する。
【0003】
アーム駆動機構130が水平回転軸121の上端に取り付けられている。モータ122を駆動することにより、アーム駆動機構130を水平回転軸121を中心として回転させることができる。アーム駆動機構130は、二軸構造を有するアーム駆動軸131、モータ134及び135を含んで構成される。アーム駆動軸131は、中軸132と外軸133から構成され、水平に保持されている。
【0004】
中軸132とモータ134の駆動軸との間にタイミングベルト136が懸架されており、モータ134により中軸132が回転する。外軸133とモータ135の駆動軸との間にタイミングベルト137が懸架されており、モータ135により外軸133が回転する。
【0005】
伸縮アーム140が、外軸133に取り付けられた第1の腕要素141と、その先端に回転可能に取り付けられた第2の腕要素142を含んで構成される。第2の腕要素142の先端に、ウエハ保持台150が回転可能に取り付けられている。
【0006】
中軸132と外軸133を同時に回転させると、伸縮アーム140が第1の腕要素141、第2の腕要素142、及びウエハ保持台150の相対位置を変化させることなく回転する。中軸132を固定して外軸133のみを回転させると、第1の腕要素141と第2の腕要素142とがその挟角を変化させ、伸縮アーム140が伸縮する。中軸132を固定していることによる拘束力は、プーリとベルトによって第2の腕要素142に伝達される。このとき、ウエハ保持台150がウエハ載置面と第2の腕要素142との角度を伸縮アーム140の伸縮に対応して変化させる。このため、伸縮アーム140を伸縮させてもウエハ載置面の向きは変化しない。伸縮アーム140を伸縮させることにより、ウエハを往復運動させることができる。
【0007】
中軸132を固定し、外軸133を回転させることにより、ウエハ保持台150を並進移動させることができる。中軸132と外軸133とを同時に回転させることにより、ウエハ保持台150のウエハ載置面の向きを変化させることができる。
【0008】
【特許文献1】特開平10−134761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図13に示した従来例においては、中軸132を固定することによる拘束力が、プーリとベルトによって第2の腕要素142に伝達される。このため、ベルトの伸びやスリップ等により、第1の腕要素141と第2の腕要素142との間の角度の精度が低下する。この角度が変動すると、アーム駆動軸131からウエハ保持台150までの距離が変動してしまう。これにより、往復運動する方向に関して、半導体ウエハの位置精度が低下してしまう。
【0010】
本発明の目的は、半導体ウエハ等の保持対象物の往復運動方向の位置精度を高めることができる保持アームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一観点によると、
xyz直交座標系を定義したとき、z軸に平行な第1の回転中心(10)を中心として、xy面に平行な面内で回転可能に支持されるとともに、該第1の回転中心から長手方向に離れた位置に第2の回転中心(11)を画定する第1の腕要素(20)と、
前記第2の回転中心を中心として、前記第1の腕要素に対してxy面に平行な面内で回転可能に支持されるとともに、前記第1の回転中心から第2の回転中心までの距離と同じ距離だけ、前記第2の回転中心から長手方向に離れた位置に第3の回転中心(12)を画定する第2の腕要素(60)と、
前記第1の腕要素に対して第2の腕要素を、前記第2の回転中心を中心として回転させる伸縮用駆動力発生機構(57)と、
前記伸縮用駆動力発生機構によって、前記第2の腕要素が第1の腕要素に対して、第1の角度だけ回転したとき、前記第1の回転中心を中心として、前記第1の腕要素が、該第2の腕要素の回転方向とは反対方向に、該第1の角度の1/2の角度だけ回転するように、該第1の腕要素に前記伸縮用駆動力発生機構の回転力を伝達する回転力伝達機構と、
前記第3の回転中心を中心として、前記第2の腕要素に対してxy面内に平行な方向に回転可能に支持され、処理対象物を保持する保持部材(80)と、
前記伸縮用駆動力発生機構を動作させて前記第1の腕要素及び第2の腕要素の姿勢を変化させたとき、前記保持部材が並進移動するように該保持部材の姿勢を保持する姿勢保持機構(21,61)と
を有する対象物保持アームが提供される。
【発明の効果】
【0012】
伸縮用駆動力発生機構が、第1の腕要素に対して第2の腕要素を回転させるため、両者のなす角度を高精度に制御することが可能である。両者の角度が高精度に制御されると、第1の回転中心から第3の回転中心までの距離の精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1A、図1B、及び図1Cに、それぞれ実施例による対象物保持アームの側面図、正面図、及び平面図を示す。実施例による対象物保持アームは、例えば、イオン注入装置に用いられる。イオンビーム100の進行方向をx軸、鉛直方向をy軸とするxyz直交座標系を定義する。
【0014】
基台90に、z軸に平行な第1の回転中心10が画定されている。第1の腕要素20が、基台90に対して、第1の回転中心10を中心として回転可能に支持されている。第1の腕要素20は、第1の回転中心10から、第1の腕要素20の長手方向に離れた位置に、z軸に平行な第2の回転中心11を画定する。
【0015】
第2の腕要素60が、第1の腕要素20に対して、第2の回転中心11を中心として回転可能に支持されている。第2の腕要素60は、第2の回転中心11から、第2の腕要素60の長手方向に離れた位置に、z軸に平行な第3の回転中心12を画定する。第2の回転中心11から第3の回転中心12までの距離は、第1の回転中心10から第2の回転中心11までの距離と等しい。
【0016】
保持部材80が、第2の腕要素60に対して、第3の回転中心12を中心として回転可能に支持されている。保持部材80は、処理対象物、例えば半導体ウエハ81を、その表面がz軸に平行になるように保持する。
【0017】
第1の腕要素20の長手方向(xy面内において、第1の回転中心10と第2の回転中心11とを結ぶ直線の方向)と、第2の腕要素60の長手方向(xy面内において、第2の回転中心11と第3の回転中心12とを結ぶ直線の方向)とのなす角度を変化させることにより、保持アームを伸縮させることができる。保持アームを周期的に伸縮させることにより、保持部材80に保持した半導体ウエハ81を往復運動させることができる。イオンビーム100の経路と交差するように半導体ウエハ81を往復運動させることにより、半導体ウエハ81にイオン注入が行われる。
【0018】
図2に、対象物保持アームの、より詳細な側面図を示す。第1の腕要素20は、端部近傍(基部)に取り付けられた回転軸92を介して、基台90(図1A〜図1C)に支持されており、回転軸92の中心を通る第1の回転中心10を中心として、xy面内で回転可能である。第1の腕要素20の、第1の回転中心10から離れた位置(先端の近傍)に、z軸に平行な第2の回転中心11が画定されている。
【0019】
第1の腕要素20内に、第1の平行リンク機構21が収容されている。第1の平行リンク機構21は、4本のリンク21A〜21Dを持ち、xy面内に平行な面内で変形する平行四辺形を画定する。一対のリンク21Aと21Bとが、相互に平行な一対の辺に対応し、他の一対のリンク21C及び21Dが、相互に平行な他の一対の辺に対応する。リンク21Aに対応する辺は、第1の回転中心10を通過すると共に、第1の回転中心10を中心として回転可能であり、リンク21Bに対応する辺は、第2の回転中心11を通過すると共に、第2の回転中心11を中心として回転可能である。リンク21Aに、連結軸25を介して、第1の回転中心10を中心として回転する方向の駆動力が印加される。第1の腕要素20を支持する回転軸92には、回転方向の駆動力が印加されない。第1の腕要素20及びリンク21Aの支持部の構造については、図5を参照して後述する。
【0020】
第2の腕要素60は、その一方の端部近傍(基部)において、第2の回転中心11を中心として、第1の腕要素20に対して回転可能に支持されている。第2の腕要素60の、第2の回転中心11から離れた端部(先端)に、z軸に平行な第3の回転中心12が画定されている。
【0021】
第2の腕要素60内に、第2の平行リンク機構61が収容されている。第2の平行リンク機構61は、4本のリンク61A〜61Dを持ち、xy面内に平行な面内で変形する平行四辺形を画定する。一対のリンク61Aと61Bとが、相互に平行な一対の辺に対応し、他の一対のリンク61C及び61Dが、相互に平行な他の一対の辺に対応する。リンク61Aに対応する辺は、第2の回転中心11を通過すると共に、第2の回転中心11を中心として回転可能であり、リンク61Bに対応する辺は、第3の回転中心12を通過すると共に、第3の回転中心12を中心として回転可能である。
【0022】
第1の腕要素20と第2の腕要素60との連結部分に、関節機構40が設置されている。関節機構40は、第1の平行リンク機構21を構成するリンク21Bと、第2の平行リンク機構を構成するリンク61Aとの相対位置関係を固定する。このため、第1の平行リンク機構20を構成する基部側のリンク21Aの長手方向を固定(例えば、y軸に平行に)すると、第2の平行リンク機構60の先端側のリンク61Bの長手方向も固定される(例えば、y軸に平行になる)。なお、「リンクの長手方向」とは、1つのリンクと、その両端にそれぞれ連結される他のリンクとの回転中心を含む平面と、回転中心に直交する平面との交線の方向を意味する。
【0023】
保持部材80は、第3の回転中心12を中心として回転可能に、第2の腕要素60に支持されている。さらに、保持部材80は、支軸62を介して、第2のリンク機構61の先端側のリンク61Bに固定されている。このため、保持部材80は、リンク61Bの回転に連動する。リンク21Aを固定した状態で、保持アームを伸縮させたとき、保持部材80は、その姿勢を維持したまま並進移動する。すなわち、第1の平行リンク機構21及び第2の平行リンク機構61は、保持部材80の姿勢を保持するための姿勢保持機構として作用する。
【0024】
図3に、関節機構40の側面図を示す。関節機構40は、第3の平行リンク機構41、第4の平行リンク機構42、形状拘束機構50、及び伸縮用駆動力発生機構57を含む。
【0025】
第3の平行リンク機構41は、第1の平行リンク機構21と、共有リンク21B、リンク21Cの一部、及びリンク21Dの一部を共有する。これらのリンクと、リンク41Aにより、第3の平行リンク機構41が構成される。リンク41Aは、第1の平行リンク機構の一対のリンク21C及び21Dに連結されている。第3の平行リンク機構41は、これら4本のリンクにより、xy面に平行な平行四辺形を画定している。
【0026】
第4の平行リンク機構42は、共有リンク21Bに関して、第3の平行リンク機構41とは反対側に配置されており、第1の平行リンク機構21と、共有リンク21Bの一部を共有する。第4の平行リンク機構42は、さらに、リンク42B、42C、42Dを含む。これら4本のリンクにより、xy面に平行な平行四辺形を画定している。リンク42Bは、共有リンク21Bに対応する辺と平行な辺を画定し、リンク42C及び42Dの各々は、共有リンク21Bとリンク42Bとを連結する。
【0027】
第3の平行リンク機構41の、共有リンク21Bに隣り合うリンク21C、21Dの長さが、第4の平行リンク機構42の、共有リンク21Bに隣り合うリンク42C、42Dの長さと等しい。なお、「リンクの長さ」とは、1つのリンクと、その両端にそれぞれ連結された他のリンクとの回転中心間の間隔を意味する。
【0028】
形状拘束機構50は、分岐部50Aと、一対のローラ50B、50Cで構成される。分岐部50Aは、第4の平行リンク機構42のリンク42Bから分岐して、共有リンク21Bと交差し、さらに第3の平行リンク機構41のリンク41Aと交差する。xy面内において、リンク41Aと、分岐部50Aとは直交する。ローラ50B及び50Cは、第3の平行リンク機構のリンク41Aに取り付けられており、リンク41Aと分岐部50Aとの交差箇所において、分岐部50Aを挟むように配置されている。ローラ50B及び50Cは、リンク41Aに対して、分岐部50Aの、共有リンク21Bの長手方向に関する位置を拘束し、長手方向に直交する方向への移動を許容する。これにより、共有リンク21Bの長手方向に関し、第3の平行リンク機構41のリンク41Aに対して、第4の平行リンク機構42のリンク42Bの位置が拘束される。すなわち、第3の平行リンク機構41の形状と、第4の平行リンク機構42の形状との関係を拘束する。
【0029】
伸縮用駆動力発生機構57は、レバー57Aと連結部材57Bとを含む。さらに、図4に示す伸縮用モータ57D及びレバー57Cを含む。レバー57Aは、支軸55から、その半径方向に伸びる。支軸55は、第2の腕要素60に固定されており、第2の回転中心11に沿って軸方向に延在する。連結部材57Bは、レバー57Aの先端から、第2の回転中心11と平行な方向に延在して、第4の平行リンク機構42のリンク42Bに連結されている。この連結部において、連結部材57Bは、第2の回転中心11に平行な第4の回転中心13を中心として、リンク42Bに対して回転可能である。第4の回転中心13は、第4の平行リンク機構42のリンク42Bに対応する辺と直交する。さらに、xy面内において、第4の回転中心13と第2の回転中心11とを結ぶ直線が、第4の平行リンク機構42の一対のリンク42C、42Dの長手方向と平行である。
【0030】
第2の回転中心11と第4の回転中心13とを結ぶ直線を、第2の回転中心11側に延長した直線上に、図1に示した第3の回転中心12が位置するように、第2の腕要素60が、支軸55に取り付けられている。このため、第2の回転中心11と第3の回転中心12とを結ぶ仮想直線が、第4の平行リンク機構42の、共有リンク21Bに隣り合うリンク42C、42Dの長手方向と平行になる。
【0031】
図4に、図2及び図3の一点鎖線L4−L4における断面図を示す。第1の腕要素20及び第2の腕要素60内に空洞が形成されている。第1の腕要素20の側面の、第2の回転中心11に対応する位置に、開口が形成されている。第2の腕要素60の側面から第2の回転中心11に沿って支軸55が伸びる。支軸55は、第1の腕要素20の側面に形成された開口を通って、第1の腕要素20内に挿入されている。支軸55は、軸受けにより、第1の腕要素20に対して、第2の回転中心11を中心として回転可能に支持されている。支軸55内に、軸方向に貫通する貫通孔が形成されており、第1の腕要素20内の空洞と、第2の腕要素60内の空洞とが、この貫通孔を通して相互に繋がっている。
【0032】
連結軸22が、支軸55に形成された貫通孔に挿入されており、その両端が、それぞれ第1の腕要素20内の空洞、及び第2の腕要素60内の空洞まで挿入されている。連結軸22は、軸受けにより、支軸55に対して、第2の回転中心11を中心として回転可能に支持されている。
【0033】
第1の腕要素20内に配置された共有リンク21Bが、連結軸22の端部に固定され、第2の腕要素60内に配置されたリンク61Aが、連結軸22の他端に固定されている。このため、共有リンク21Bが第2の回転中心11を中心として回転すると、第2の腕要素60内のリンク61Aも、第2の回転中心11を中心として、共有リンク21Bと同じ方向に、同じ角度だけ回転する。
【0034】
共有リンク21Bに、第1の平行リンク機構20を構成するリンク21C、21D、及び第4の平行リンク機構42を構成するリンク42C、42Dが連結している。これらのリンク21C、21D、42C、42Dの各々は、共有リンク21Bに対して、第2の回転中心11と平行な回転中心を中心として回転可能に支持されている。リンク42C及び42Dは、それぞれリンク21C及び21Dの取り付け位置よりもやや内側に取り付けられている。
【0035】
リンク42C、42Dは、リンク21C、21Dと、共有リンク21Bを挟んで反対側に配置される。
【0036】
リンク42C及びリンク42Dの、図4の断面よりも奥側の端部同士を、リンク42Bが連結する。形状拘束機構50の分岐部50Aが、リンク42Bの中央から紙面の手前方向に伸びる。
【0037】
第2の腕要素60内に配置された第2の平行リンク機構61のリンク61C及び61Dが、それぞれリンク61Aの両端に連結されている。リンク61C及びリンク61Dの各々は、リンク61Aに対して、第2の回転中心11に平行な回転中心を中心として回転可能に支持されている。
【0038】
伸縮用モータ57Dが、第1の腕要素20に固定されている。伸縮用モータ57Dの回転軸は、第2の回転中心11を中心として回転する。この回転軸から半径方向にレバー57Cが伸びる。レバー57Cの先端に、連結部材57Bが連結している。伸縮用モータ57Dの回転軸を回転させると、レバー57C、連結部材57B、及びレバー57Aを介して、支軸55に回転力が伝達され、第2の腕要素60が回転する。すなわち、第1の腕要素20の長手方向と、第2の腕要素60の長手方向とのなす角度が変化する。このように、伸縮用モータ57D、レバー57C、連結部材57B、及びレバー57Aは、保持アームを伸縮させるための伸縮用駆動力発生機構57として作用する。
【0039】
図5に、図2の一点鎖線L5−L5における断面図を示す。第1の腕要素20の側面から、支軸92が、第1の回転中心10に沿って伸びる。支軸92は、基台90に対して、第1の回転中心10を中心として回転可能に支持されている。支軸92内に、第1の回転中心10に沿う貫通孔が形成されている。この貫通孔に、連結軸25が挿入されている。連結軸25は、支軸92に対して、第1の回転中心10を中心として回転可能に支持されている。
【0040】
連結軸25の、第1の腕要素20内の端部に、第1の平行リンク機構21のリンク21Aが固定的に取り付けられている。リンク21Aの両端に、それぞれリンク21C及びリンク21Dが連結している。リンク21C及びリンク21Dの各々は、リンク21Aに対して、第1の回転中心10に平行な回転中心を中心として回転可能に支持されている。
【0041】
連結軸25の、他方の端部(基台90内の端部)は、回転用モータ91に連結されている。回転用モータ91は、連結軸25に、第1の回転中心10と中心として回転する回転力を付与する。回転用モータ91と連結軸92とは、ベルトとプーリとを介して連結してもよいし、平行リンク機構を介して連結してもよい。回転用モータ91を停止させておくと、リンク21Aの姿勢が保持される。
【0042】
連結軸25に、第1の回転中心10に沿う貫通孔が形成されている。この貫通孔内には、図4に示した伸縮用モータ57Dへの電源供給ケーブル等が配置される。
【0043】
図6に、図2の一点鎖線L6−L6における断面図を示す。第2の腕要素60の側面に開口が形成されている。この開口を、第2の腕要素60の内側から外側まで、支軸62が貫通している。支軸62は、第2の腕要素60に対して、第3の回転中心12を中心として回転可能に支持されている。第2の腕要素60内の支軸62の先端に、リンク61Bが固定的に取り付けられている。第2の腕要素60の外側の、支軸62の端部に、図1A〜図1Cに示した保持部材80が固定的に取り付けられている。
【0044】
リンク61Bの両端に、それぞれリンク61C及びリンク61Dが連結している。リンク61C及びリンク61Dの各々は、第2の腕要素60に対して、第3の回転中心12を中心として回転可能に支持されている。
【0045】
図7に、第3の平行リンク機構41、第4の平行リンク機構42、及び伸縮用駆動力発生機構57を模式的に示す。
【0046】
リンク41A、21C、21D、及び共有リンク21Bにより、第3の平行リンク機構41の平行四辺形が画定される。リンク42B、42C、42D、及び共有リンク21Bの一部により、第4の平行リンク機構42の平行四辺形が画定される。伸縮用駆動力発生機構57のレバー57Aに対応する直線が、第2の回転中心11と第4の回転中心13とを接続している。
【0047】
第3の平行リンク機構41の、共有リンク21Bに隣り合うリンク21Cと、第4の平行リンク機構42の、共有リンク21Bに隣り合うリンク42Cとが、共有リンク21Bの長さ方向に関して同一の向きに、同じ角度だけ傾くように、図3に示した形状拘束機構50により、第3の平行リンク機構41と第4の平行リンク機構42との形状が定まる。すなわち、図7において、角度θ1とθ2とが等しくなる。
【0048】
第4の平行リンク機構42のリンク42Cに対応する辺と、レバー57Aに対応する直線とが常に平行であるため、共有リンク21Bに対応する辺と、レバー57Aに対応する直線とのなす角θ3は、角θ2と等しい。角θ1は、第1の回転中心10と第2の回転中心11とを結ぶ直線(第1の腕要素20の長手方向)と、共有リンク21Bの長手方向とのなす角に等しい。角θ3は、第2の回転中心11と第3の回転中心12とを結ぶ直線(第2の腕要素60の長手方向)と、共有リンク21Bの長手方向とのなす角に等しい。
【0049】
図5に示した回転用モータ91を停止させて、図4に示した伸縮用モータ57Dを動作させる場合を考える。回転用モータ91が停止しているため、図2に示した第1の平行リンク機構21の基部側のリンク21Aの姿勢が保持される。このため、共有リンク21Bの長手方向も固定される。伸縮用モータ57Dを動作させると、図7に示した伸縮用駆動力発生機構57のレバー57Aに対応する直線が、第2の回転中心11を中心として回転する。共有リンク21Bの長手方向が固定されているため、角度θ3が変化する。
【0050】
角度θ3が大きくなると、角度θ1も同じ大きさだけ大きくなる。このため、第1の腕要素20の長手方向と、第2の腕要素60の長手方向とのなす角度は、角度θ1の増分の2倍の大きさだけ小さくなる。言い換えると、第1の腕要素20に対して、第2の腕要素60が第1の角度だけ回転すると、第1の腕要素20は、第1の回転中心10を中心として、第2の腕要素60とは反対方向に、第1の角度の1/2の角度だけ回転する。
【0051】
図2に示すように、第1の回転中心10から第2の回転中心11までの距離と、第2の回転中心11から第3の回転中心12までの距離とが等しいため、第1の回転中心10と第3の回転中心12とを結ぶ直線の向きは変化しない。すなわち、第1の腕要素20と第2の腕要素60とで構成される対象物保持アームは、回転することなく、その長さのみが変化する。このとき、第2の平行リンク機構61の先端側のリンク61Bの長手方向は変化しない。このため、対象物保持アームを伸縮させても、保持部材80の姿勢は変化しない。
【0052】
次に、伸縮用モータ57Dを停止させた状態で、回転用モータ91を回転させる場合を考える。伸縮用モータ57Dが停止しているため、図2において、第1の腕要素20の長手方向と、第2の腕要素60の長手方向とのなす角度は不変である。この状態で、第1の平行リンク機構21の基部側のリンク21Aが第1の回転中心10を中心として回転するため、保持アームは、その形状を保持したまま回転する。
【0053】
上記実施例では、プーリとベルトが用いられていないため、ベルトの伸びやスリップに起因する動作精度の低下を防止することができる。また、第1の腕要素20の長手方向と第2の腕要素60の長手方向とのなす角度が、伸縮用モータ57Dの回転角により直接的に制御される。このため、両者のなす角度の精度を高めることができる。
【0054】
上記実施例において、図3に示した第4の平行リンク機構42の一対のリンク42C及び42Dの一方を省略することも、原理的には可能である。例えば、リンク42Dを省略した場合、リンク42Dの機能が、伸縮用駆動力発生機構57のレバー57A及び連結部材57Bで代替されることになる。すなわち、伸縮用駆動力発生機構57のレバー57Aと連結部材57B、共有リンク21B、リンク42C、及びリンク42Bが、第4の平行リンク機構42を構成すると考えることができる。
【0055】
同様に、第1の平行リンク機構21の一対のリンク21C及び21Dの一方を省略してもよい。このとき、第1の腕要素20を構成する剛性体が、第1の平行リンク機構21の一つのリンクとして機能する。また、同様に、第2の平行リンク機構61の一対のリンク61C及び61Dの一方を省略してもよい。このとき、第2の腕要素20を形成する剛性体が、第2の平行リンク機構21の一つのリンクとして機能する。
【0056】
次に、図8〜図11を参照して、第2の実施例による保持アームについて説明する。
【0057】
図8に、第2の実施例による保持アームの概略側面図を示す。第1の平行リンク機構21及び第2の平行リンク機構61は、図2に示した第1の実施例による保持アームのものと同一の構成を有する。第2の実施例では、図3に示した第1の実施例による保持アームの第3の平行リンク機構41、第4の平行リンク機構42、形状拘束機構50に代えて、第1のプーリ46、第2のプーリ45、及びベルト47を含む。ベルト47は、第1のプーリ46と第2のプーリ45とに架け渡されている。第2のプーリ45の半径は、第1のプーリ46の半径の1/2である。
【0058】
図9に、第1の腕要素20と第2の腕要素60との連結部分の、より詳細な側面図を示す。第2のプーリ45が、第2の回転中心11を中心として回転可能に支持されている。
【0059】
図10に、図8及び図9に示した一点鎖線L10−L10における断面図を示す。以下、図4に示した第1の実施例による保持アームの構成との相違点に着目して説明する。
【0060】
第2の実施例では、第4の平行リンク機構42を構成するリンク42B、42C、42Dが配置されていない。その代わりに、伸縮用モータ57Dの回転軸に、第2のプーリ45が固定的に取り付けられている。第2のプーリ45にベルト47が架け渡されている。なお、第2の実施例では、図10において、第1の平行リンク機構21を構成するリンク21C及び21Dが、共有リンク21Bの下側に配置されている。ただし、第1の実施例の場合と同様に、リンク21C及び21Dを、共有リンク21Bの上側に配置してもよい。
【0061】
図11に、図8に示した一点鎖線L11−L11における断面図を示す。以下、図5に示した第1の実施例による保持アームの構成との相違点に着目して説明する。
【0062】
第2の実施例では、第1の平行リンク機構21のリンク21Aに代えて、第1のプーリ46が配置されている。第1のプーリ46にベルト47が架け渡されている。さらに、第1のプーリ46に、第1の平行リンク機構21のリンク21C及び21Dが連結している。第1のプーリ46は、第1の平行リンク機構21の1つのリンクとしての機能を有する。回転用モータ91を動作させることにより、連結軸25を介して第1のプーリ46を、第1の回転中心10を中心として回転させることができる。
【0063】
第2の実施例において、回転用モータ91を停止させて、伸縮用モータ57Dを動作させる場合を考える。伸縮用モータ57Dを動作させると、第1の腕要素20と第2の腕要素60とのなす角度が変化する。すなわち、図8において、第1の第1の回転中心10と第2の回転中心11とを結ぶ直線と、第2の回転中心11と第3の回転中心12とを結ぶ直線とのなす角度が変化する。
【0064】
第2のプーリ45が、伸縮用モータ45の回転軸に固定されているため、第2のプーリ45も回転する。回転用モータ91が停止しているため、第1のプーリ46は回転しない。このため、第2のプーリ45が第1のプーリ46の回りを公転する。公転の向きは、第1の腕要素20に対して第2の腕要素60を回転させた向きと反対である。
【0065】
また、第2のプーリ45の半径が第1のプーリ46の半径の1/2であるため、第2のプーリ45が第1のプーリ46の回りを公転する角度は、第1の腕要素20に対して第2の腕要素60を回転させた角度の1/2である。このため、第1の実施例の場合と同様に、第2の腕要素60を第1の腕要素20に対して、第1の角度だけ回転させると、第1の腕要素20は、第2の腕要素60とは反対向きに、第1の角度の1/2の角度だけ回転する。
【0066】
このとき、第1のプーリ46が兼ねる第1の平行リンク機構21Aの基部側のリンク21Aが固定されているため、保持部材80の姿勢が保持される。
【0067】
第2の実施例においても、第1の腕要素20の長手方向と、第2の腕要素60の長手方向とのなす角度は、伸縮用モータ57Dの回転によって直接的に制御されるため、その精度は高い。このため、第1の回転中心10から第3の回転中心12までの距離は、第1の実施例の場合と同様に、高精度に制御される。
【0068】
ベルト47の伸びやスリップが生じると、第1の腕要素20の回転方向の位置に誤差が生じ得る。ただし、この誤差は僅かであるため、図1Aにおいて、保持機構80の姿勢には、ほとんど誤差が生じない。第1の回転中心10から第3の回転中心12までの距離が長い場合に、第1の腕要素20の回転方向の位置の誤差により、保持部材80のx軸方向の位置に、誤差が生じる。ところが、イオン注入において、このx軸方向の位置の誤差は大きな問題にはならない。
【0069】
図12A〜図12Cを参照して、保持部材80に保持された半導体ウエハの軌跡と、イオンビームとの関係について説明する。
【0070】
図12Aに示すように、イオンビーム100がx軸の正の向きに進行する。一般的に、イオンビーム100は、進行するに従って徐々に広がる。イオンビーム100の中心線と交差する位置に、第1の回転中心10が配置される。第2の回転中心11は、第1の回転中心10よりも下流側に配置される。
【0071】
保持アーム10を伸縮させたときの第3の回転中心12の軌跡を、直線Bで表す。図12Aは、軌跡Bが、イオンビーム100の進行方向と直交する場合を示している。直線Bは、第1の回転中心10を通過し、かつイオンビーム100の中心線に直交する。半導体ウエハ81が、第3の回転中心12を含む位置に保持されていると、半導体ウエハ81の軌跡Aは、第3の回転中心12の軌跡Bと一致する。
【0072】
xy面内において、イオンビーム100の両端と、軌跡Aとの交点を、それぞれP及びQとし、と第1の回転中心10をOとする。このとき、線分POと線分QOとの長さは等しい。
【0073】
図12Bに、保持アームを第1の回転中心10を中心として回転させた場合の、第3の回転中心12の軌跡Bと、半導体ウエハ81の軌跡Aとを示す。軌跡A及びBは、x軸に対して斜めになる。xy面内において、イオンビーム100の両端と、軌跡Aとの交点のうち、イオンビーム100の上流側の交点をPとし、下流側の交点をQとする。イオンビーム100が徐々に広がっているため、線分QOが線分POよりも長くなる。従って、半導体ウエハ81を交点Q側へ振るときには、交点P側へ振るときよりも振り幅を大きくしなければならない。
【0074】
図12Cに示す実施例においては、半導体ウエハ81が、第1の回転中心10よりもイオンビーム100の上流側に保持される。具体的には、半導体ウエハ81が、第3の回転中心12の軌跡Bを挟んで、第2の回転中心11とは反対側に保持される。半導体ウエハの被処理表面(イオン注入を行うべき表面)は、第3の回転中心12の軌跡Bと平行になり、かつ軌跡Bとは反対側(イオンビーム100の上流側)を向く。半導体ウエハ81の軌跡Aは、軌跡Bよりもやや上流側に位置することになる。軌跡Aと軌跡Bとの間隔を、オフセット量と呼ぶこととする。
【0075】
イオンビーム100の両側の縁と、半導体ウエハ81の軌跡Aとの交点のうち、イオンビーム100の上流側の交点をPとし、下流側の交点をQとする。xy面において、第3の回転中心12が第1の回転中心10と一致したときの、半導体ウエハの中心位置をCとすると、オフセット量(線分OCの長さ)を適切に選択することにより、線分PCと線分QCとの長さを等しくすることができる。
【0076】
なお、線分PCと線分QCとの長さは、イオンビーム100の広がりの程度、イオンビーム100の進行方向に対する軌跡Aの傾きの大きさに依存する。オフセット量は、実際のイオンビーム100の広がりの程度、及び実際にイオン注入を行うときの軌跡Aの傾け角等に基づいて、線分PCと線分QCとの長さの差がなるべく小さくなるように選択することが好ましい。
【0077】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1の実施例による保持アームの側面図、正面図、及び平面図である。
【図2】第1の実施例による保持アームの側面図である。
【図3】第1の実施例による保持アームの関節部分の詳細な側面図である。
【図4】第1の実施例による保持アームの関節部分の断面図である。
【図5】第1の実施例による保持アームの基部の断面図である。
【図6】第1の実施例による保持アームの先端部の断面図である。
【図7】第1の実施例による保持アームの関節部分の平行リンク機構を模式的に示す線図である。
【図8】第2の実施例による保持アームの側面図である。
【図9】第2の実施例による保持アームの関節部分の詳細な側面図である。
【図10】第2の実施例による保持アームの関節部分の断面図である。
【図11】第2の実施例による保持アームの基部の断面図である。
【図12】イオンビームと、半導体ウエハの軌跡との関係を示す線図である。
【図13】従来のイオン注入装置に用いられている保持アームの斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
10 第1の回転中心
11 第2の回転中心
12 第3の回転中心
13 第4の回転中心
20 第1の腕要素
21 第1の平行リンク機構
21A、21C、21D リンク
21B 共有リンク
22 連結軸
25 連結軸
40 関節機構
41 第3の平行リンク機構
41A リンク
42 第4の平行リンク機構
42B〜42D リンク
50 形状拘束機構
50A 分岐部
50B、50C ローラ
55 支軸
57 伸縮用駆動力発生機構
57A レバー
57B 連結部材
57C レバー
57D 伸縮用モータ
60 第2の腕要素
61 第2の平行リンク機構
61A〜61D リンク
62 支軸
80 保持部材
81 半導体ウエハ
90 基台
91 回転用
92 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
xyz直交座標系を定義したとき、z軸に平行な第1の回転中心(10)を中心として、xy面に平行な面内で回転可能に支持されるとともに、該第1の回転中心から長手方向に離れた位置に第2の回転中心(11)を画定する第1の腕要素(20)と、
前記第2の回転中心を中心として、前記第1の腕要素に対してxy面に平行な面内で回転可能に支持されるとともに、前記第1の回転中心から第2の回転中心までの距離と同じ距離だけ、前記第2の回転中心から長手方向に離れた位置に第3の回転中心(12)を画定する第2の腕要素(60)と、
前記第1の腕要素に対して第2の腕要素を、前記第2の回転中心を中心として回転させる伸縮用駆動力発生機構(57)と、
前記伸縮用駆動力発生機構によって、前記第2の腕要素が第1の腕要素に対して、第1の角度だけ回転したとき、前記第1の回転中心を中心として、前記第1の腕要素が、該第2の腕要素の回転方向とは反対方向に、該第1の角度の1/2の角度だけ回転するように、該第1の腕要素に前記伸縮用駆動力発生機構の回転力を伝達する回転力伝達機構と、
前記第3の回転中心を中心として、前記第2の腕要素に対してxy面内に平行な方向に回転可能に支持され、処理対象物を保持する保持部材(80)と、
前記伸縮用駆動力発生機構を動作させて前記第1の腕要素及び第2の腕要素の姿勢を変化させたとき、前記保持部材が並進移動するように該保持部材の姿勢を保持する姿勢保持機構(21,61)と
を有する対象物保持アーム。
【請求項2】
前記姿勢保持機構は、
xy面内で変形する平行四辺形を画定する第1の平行リンク機構(21)であって、相互に平行な2つの辺に対応するリンクの一方が、前記第1の回転中心(10)を中心として回転し、他方が、前記第2の回転中心(11)を中心として回転する第1の平行リンク機構と、
xy面内で変形する平行四辺形を画定する第2の平行リンク機構(61)であって、相互に平行な2つの辺に対応するリンクの一方が、前記第2の回転中心を中心として回転し、他方が、前記第3の回転中心(13)を中心として回転し、該第2の回転中心を中心として回転するリンクが、前記第1の平行リンク機構の、該第2の回転中心を中心として回転するリンクに固定的に取り付けられている前記第2の平行リンク機構と
を有し、
前記保持部材は、前記第2の平行リンク機構の、前記第3の回転中心を中心として回転するリンクに固定的に取り付けられている請求項1に記載の対象物保持アーム。
【請求項3】
前記回転力伝達機構は、
xy面内で変形する平行四辺形を画定する第1の平行リンク機構(21)であって、相互に平行な2つの辺に対応するリンクの一方が、前記第1の回転中心(10)を中心として回転し、他方が、前記第2の回転中心(11)を中心として回転する第1の平行リンク機構(21)と、
xy面内で変形する平行四辺形を画定する第3の平行リンク機構(41)であって、1つのリンクが、前記第1の平行リンク機構の、前記第2の回転中心を中心として回転するリンクと共有されており、該共有リンクに平行な辺に対応するリンクが、前記第1の平行リンク機構の、前記共有リンクに連結された2本のリンクに連結されている第3の平行リンク機構(41)と、
xy面内で変形する平行四辺形を画定する第4の平行リンク機構(42)であって、1つのリンクが、前記第1の平行リンク機構の、前記第2の回転中心を中心として回転するリンクと共有されており、前記共有リンクに平行な辺に対応するリンクが前記第3の平行リンク機構とは反対側に配置されており、前記共有リンクに連結されたリンクの長さが、前記第3の平行リンク機構の、前記共有リンクに連結されたリンクの長さと等しい第4の平行リンク機構(42)と、
前記第3の平行リンク機構の、前記共有リンクに連結されたリンクと、前記第4の平行リンク機構の、前記共有リンクに連結されたリンクとが、前記共有リンクの長手方向に関して、同じ向きに、同じ角度だけ傾くように、該第3及び第4の平行リンク機構の形状を拘束する第1の拘束機構(50)と
を含み、前記伸縮用駆動力発生機構は、前記第2の腕要素の長手方向と、前記第4の平行リンク機構の、前記共有リンクに連結されたリンクの長手方向とが平行になるように、前記第4の平行リンク機構の形状を変化させる請求項1に記載の対象物保持アーム。
【請求項4】
前記回転力伝達機構は、
前記第1の回転中心を中心として回転する第1のプーリ(46)と、
前記第2の回転中心を中心として、前記第2の腕要素との相対位置関係を保った状態で回転し、前記第1のプーリの半径の1/2の半径を持つ第2のプーリ(45)と、
前記第1のプーリと第2のプーリとに架け渡されたベルト(47)と
を含む請求項1に記載の対象物保持アーム。
【請求項5】
前記伸縮用駆動力発生機構は、本体に対して回転軸が回転する伸縮用モータを含み、本体と回転軸との一方が、前記第1の腕要素に固定的に取り付けられ、他方が、前記第2の腕要素に固定的に取り付けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の対象物保持アーム。
【請求項6】
さらに、
前記第1の腕要素に対する第2の腕要素の相対位置を固定した状態で、前記第1の腕要素を前記第1の回転中心を中心として回転させる回転用駆動力発生機構(91)を有し、
前記保持部材が処理対象物を保持した状態で、前記伸縮用駆動力発生機構を動作させたとき、前記第3の回転中心の軌跡(B)を挟んで、前記第2の回転中心とは反対側に処理対象物が保持され、該処理対象物の被処理表面が、該第3の回転中心の軌跡と平行になり、かつ該被処理表面が、該軌跡とは反対側を向く請求項1乃至5のいずれか1項に記載の対象物保持アーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−188718(P2008−188718A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26486(P2007−26486)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(598062365)
【Fターム(参考)】