説明

封止缶の製造方法及び圧電振動子、発振器、電子機器、並びに電波時計

【課題】封止缶の内周面に発生する皺を抑制して、封止缶の気密性を維持することができる封止缶の製造方法及び圧電振動子、発振器、電子機器、並びに電波時計を提供する。
【解決手段】圧電振動片を内部に気密封止した状態で収納するケースの製造方法であって、ケースに加工すべき板材50をダイス61にセットし、パンチ62によってダイス61のダイ穴63内に押し込む絞り工程を複数段有し、各絞り工程では、前段の絞り工程よりもダイ穴63の内径及びパンチ62の外径が小さく設定され、各絞り工程では、パンチ62の側面とダイ穴63の内周面との間のクリアランスを、当該絞り工程における絞り前の板材50の板厚よりも狭く設定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止缶の製造方法及び封止缶を備えた圧電振動子、並びに圧電振動子を備えた発振器、電子機器、及び電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが知られており、例えば音叉型の圧電振動片を有するものや、厚み滑り振動する圧電振動片を有するもの等が知られている。
【0003】
上述した圧電振動子は、音叉型の圧電振動片と、プラグと、プラグとともに圧電振動片を気密封止するケース(封止缶)とを備えている。
ここで、ケースは、銅(Cu)/ニッケル(Ni)/亜鉛(Zn)等の合金である洋白からなる有底円筒状のものであり、例えば真空中においてケース内部に圧電振動片を収納した状態で、プラグのステム外周に対して圧入されるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
また、上述したケースは、平板状の板材に絞り加工を施すことによって、上述した有底円筒状に形成するのが一般的である。具体的には、ダイスにセットされた板材を、製品となるケースの外径よりやや小さいパンチによってダイ穴内に押し込んでいく。そして、板材がダイスの穴に絞り込まれる際の塑性変形によって、板材の径方向内側に向かって圧縮力が、軸方向に沿って引張力が生じるため、板材の内径が縮小し、かつ軸方向に延伸されていくことになる。この場合、ケースの軸方向の長さや内径を、板材の限界絞り以上に形成する場合には、絞り工程を複数段に分けて徐々に絞っていくことで、所望の長さ及び内径の製品を製造するような技術も知られている(いわゆる、再絞り成形)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−167371号公報
【特許文献2】特開平5−183367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した絞り加工では、ダイスやパンチの磨耗等を考慮して、パンチをダイ穴内に押し込んだ際のパンチの側面とダイ穴の内周面との間のクリアランスを、板材の板厚よりも広く設定した状態で行うことが一般的である。
【0007】
しかしながら、上述のようにクリアランスを設定した状態で絞り加工を行なうと、板材の径方向内側に向かって作用する圧縮力と、軸方向に沿って作用する引張力によって、ケース内周面が梨地状に荒れて、軸方向に延びる微細な凹凸が発生するという問題がある。さらに、上述した再絞り成形によって絞り加工を複数段行うことで、ケース内周面に形成された凹凸が工程毎に深くなり、周方向に隣接する凸部が互いに重なってクラック状の皺が形成されるという問題がある。
このようにクラック状の皺が発生していると、この皺部分が経時劣化により外部とリークして(いわゆる、スローリーク)、気密性を保てなくなる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、封止缶の内周面における皺の発生を抑制して、封止缶の気密性を維持することができる封止缶の製造方法及び圧電振動子、発振器、電子機器、並びに電波時計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る封止缶の製造方法は、電子部品を内部に気密封止した状態で収納する封止缶の製造方法であって、前記封止缶に加工すべき板材をダイスにセットし、パンチによって前記ダイスのダイ穴内に押し込む絞り工程を複数段有し、前記各絞り工程では、前段の前記絞り工程よりも前記ダイ穴の内径及び前記パンチの外径が小さく設定され、前記各絞り工程では、前記パンチの側面と前記ダイ穴の内周面との間のクリアランスを、当該絞り工程における絞り前の前記板材の板厚よりも狭く設定することを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、絞り時においてパンチとダイ穴との間にスペースが生じないので、両者間のクリアランスが板材の厚さよりも広く形成されている場合に比べて、板材におけるダイ穴の軸方向への引張力を増加させるとともに、径方向への圧縮力を低減することができる。また、板材が押し込まれる際に、パンチとダイスとの間に板材が径方向内側に盛り上がって塑性変形するスペースがない。その結果、板材の内周面に凹凸が発生することを抑制し、そしてこれら凹凸同士が絞り工程毎に重なり合って皺やクラックに成長することを抑制することができる。
さらに、パンチから板材に作用する面圧が従来に比べて増加するため、板材の内周面にパンチの表面が転写されることになる。すなわち、板材の内面形状は、パンチの外面形状に倣って形成されるため、これによっても板材の内周面における皺やクラックの発生を抑制することができる。
したがって、絞り工程を複数段行う場合であっても、皺やクラックの発生を抑制することができるため、内周面形状が良好で気密性の高い封止缶を製造することができる。その結果、封止缶の経時劣化等によって発生するスローリークを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る圧電振動子は、圧電板の表面に励振電極を備えた圧電振動片と、前記圧電振動片が実装されるプラグと、前記プラグとともに前記圧電振動片を気密封止する、上記本発明の封止缶の製造方法によって製造された前記封止缶とを備えていることを特徴としている。
この構成によれば、上記本発明の封止缶の製造方法によって製造された封止缶を備えているため、封止缶の経時劣化等によって発生するスローリークを防ぐことができ、長期間に亘って安定した高精度な圧電振動子を提供することができる。
【0012】
また、本発明に係る発振器は、上記本発明の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、上記本発明の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る電波時計は、上記本発明の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る発振器、電子機器及び電波時計においては、上述した圧電振動子を備えているので、圧電振動子と同様に高品質化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る封止缶の製造方法によれば、絞り工程を複数段行う場合であっても、皺の発生を抑制することができるため、内周面形状が良好で気密性の高い封止缶を製造することができる。
また、本発明に係る圧電振動子によれば、封止缶の経時劣化等によって発生するスローリークを防ぐことができ、長期間に亘って安定した高精度な圧電振動子を提供することができる。
本発明に係る発振器、電子機器及び電波時計においては、上述した圧電振動子を備えているので、圧電振動子と同様に長期間に亘って高品質化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る一実施形態の圧電振動子のケースの中身を見た図であって、圧電振動片を平面視した状態の図である。
【図2】図1に示す圧電振動片を上面から見た平面図である。
【図3】図1に示す圧電振動片を下面から見た平面図である。
【図4】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図1に示す圧電振動片の斜視図である。
【図6】図5のB−B線に沿う断面図である。
【図7】ケースの製造方法を示す工程図である。
【図8】ケースの製造方法を示す工程図である。
【図9】各絞り工程前後における板材の形状を示す断面図である。
【図10】本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図11】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図12】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(圧電振動子)
図1は、本実施形態に係る圧電振動子の斜視図である。図1に示すように、圧電振動子1は、シリンダパッケージタイプの圧電振動子であって、音叉型の圧電振動片(電子部品)2と、圧電振動片2がマウントされたプラグ4と、プラグ4とともに圧電振動片2を気密封止するケース(封止缶)3とを備えている。
【0019】
図2は圧電振動片の上面から見た平面図であり、図3は下面から見た平面図である。また、図4は図2のA−A線に沿う断面図であり、図5は圧電振動片の斜視図である。
図2,3に示すように、圧電振動片2は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
この圧電振動片2は、平行に配置された一対の振動腕部8,9と、これら一対の振動腕部8,9の基端側を一体的に固定する基部10と、一対の振動腕部8,9の外表面上に形成されて一対の振動腕部8,9を振動させる第1の励振電極12と第2の励振電極13とからなる励振電極14と、第1の励振電極12及び第2の励振電極13に電気的に接続されたマウント電極15,16とを有している。
また、本実施形態の圧電振動片2は、一対の振動腕部8,9の両主面上に、振動腕部8,9の基端部から先端部に向かって一定長さL形成された溝部17を備えている。この溝部17は、図4に示すように、振動腕部8,9の基端部から略中間付近まで形成されている。なお、一対の振動腕部8,9の腕幅は共通であり、それぞれWとする。また、基部10において一対の振動腕部8,9の基端部と連結されている部分を股部10aとする。
【0020】
図2,3,5に示すように、第1の励振電極12と第2の励振電極13とからなる励振電極14は、一対の振動腕部8,9を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部8,9の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。具体的には、第1の励振電極12が、一方の振動腕部8の溝部17上と、他方の振動腕部9の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極13が、一方の振動腕部8の両側面上と他方の振動腕部9の溝部17上とに主に形成されている。
【0021】
また、図2,3に示すように、第1の励振電極12及び第2の励振電極13は、基部10の両主面上において連続的に形成されており、それぞれ引き出し電極19,20を介してマウント電極15,16に電気的に接続されている。このマウント電極15,16は、圧電板11の基端側に形成されている。すなわち、励振電極14、マウント電極15,16及び引き出し電極19,20は、所定の電圧が印加されたときに一対の振動腕部8,9を振動させる電極膜18として機能している。
【0022】
電極膜18は、図4に示すように、下地金属層18aと仕上金属層18bとで2層に積層された状態で形成されている。本実施形態では、下地金属層18aにクロム、仕上金属層18bに金を用いるが、これに限られるものでない。例えば、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)等の他の導電性膜の被膜により形成されても構わない。
【0023】
また、電極膜18は、図5に示すように、少なくとも振動腕部8,9の基端部から先端部に至る領域で、仕上金属層18bの一部或いは全部が除去されている。より詳しくは、振動腕部8,9の基端部より先端部側では、基端部から一定長さL以上離間した位置まで(図5に示す領域RA)、図6に示すように、仕上金属層18bの全部が除去されている。さらに、振動腕部8,9の基端部より基部10側には、基端部から基部10に向かって振動腕部8,9の腕幅Wの2倍離間した位置に至るまで(図5に示す領域RB)、仕上金属層18bの全部が除去されている。
【0024】
すなわち、電極膜18は、振動腕部8,9の溝部17が形成されている領域を含む領域RA及び領域RBで、溝部17内を含めて全面的に下地金属層18aだけの単層膜になる。そして、領域RA及び領域RBの下地金属層18a上には、酸化珪素(SiO)等からなる絶縁膜(不図示)が被覆されている。なお、以下では、領域RA及び領域RBを合わせた領域を単層領域Rとして説明する。
【0025】
また、一対の振動腕部8,9の先端には、図2,3に示すように、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部8,9の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
【0026】
ここで、ケース3は、図1に示すように、銅/ニッケル/亜鉛等の合金である洋白からなる有底円筒状に形成されており、その軸方向と圧電振動片2の長手方向とを一致させた状態で、圧電振動片2を内部に収納している。そして、この状態でケース3は、プラグ4の後述するステム30の外周に対して圧入されて、嵌合固定されている。なお、このケース3の圧入は、真空雰囲気下で行われており、ケース3内の圧電振動片2を囲む空間が真空に保たれた状態となっている。
【0027】
プラグ4は、ケース3を密閉させるステム30と、このステム30を貫通するように平行配置され、ステム30を間に挟んで一端側が圧電振動片2をマウント(機械的に接合及び電気的に接続)するインナーリード31aとされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード31bとされた2本のリード端子31と、ステム30の内側に充填されてステム30とリード端子31とを固定させる絶縁性の充填材32とを有している。
ステム30は、金属材料で環状に形成されたものである。また、充填材32の材料としては、例えばホウ珪酸ガラスである。また、リード端子31の表面及びステム30の外周には、それぞれ同材料の図示しないめっきが施されている。
【0028】
2本のリード端子31は、ケース3内に突出している部分がインナーリード31aとなり、ケース3外に突出している部分がアウターリード31bとなっている。そして、インナーリード31aとマウント電極15,16とが、導電性のバンプEを介してマウントされている。すなわち、バンプEを介してインナーリード31aとマウント電極15,16とが機械的に接合されていると同時に、電気的に接続されている。その結果、圧電振動片2は、2本のリード端子31にマウントされた状態となっている。
【0029】
なお、上述した2本のリード端子31は、一端側(アウターリード31b側)が外部に電気的に接続され、他端側(インナーリード31a側)が圧電振動片2に対してマウントされる外部接続端子として機能する。
【0030】
ここで、プラグ4を構成する主要部品の寸法及び材質の一例について述べる。
リード端子31の直径は例えば約0.12mmであり、リード端子31の母材の材質としては、コバール(FeNiCo合金)が慣用されている。また、リード端子31の外表面及びステム30の外周に被膜させるメッキの材質としては、下地膜としてはCuが用いられ、仕上膜としては、耐熱ハンダメッキ(錫と鉛の合金で、その重量比が1:9)や、銀(Ag)や錫銅合金(SnCu)や金錫合金(AuSn)等が用いられる。
また、ステム30の外周に被膜された金属膜(メッキ層)を介在させながらケース3の内周に真空中で冷間圧接させることにより、ケース3の内部を真空状態で気密封止できるようになっている。
【0031】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、2本のリード端子31のアウターリード31bに対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、インナーリード31a、バンプE、マウント電極15,16及び引き出し電極19,20を介して、第1の励振電極12及び第2の励振電極13からなる励振電極14に電流を流すことができ、一対の振動腕部8,9を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部8,9の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0032】
(圧電振動子の製造方法)
次に、上述した圧電振動子の製造方法について説明する。以下の説明では、主として上述したケースの製造方法について説明する。図7,8は、ケースの製造方法を示す工程図であり、図9は各絞り工程前後における板材の形状を示す断面図である。
本実施形態のケース3(図1参照)は、複数段の絞り工程を経ることによって、洋白からなる平板状の板材50(例えば、厚さT)を、軸方向に長い有底円筒状のケース3として形成することができる。
【0033】
(絞り加工装置)
まず、図7(a)に基づいて、絞り工程で用いる絞り加工装置について説明する。
図7(a)に示すように、絞り加工装置60は、ダイス61と、パンチ62とを備えている。
ダイス61は、直方体状に外観構成されたものであり、その上面が板材50の載置面61aになっている。載置面61aの中央部には高さ方向に沿ってダイ穴63が形成されている。このダイ穴63は、開口部が円形に形成され、板材50が押し込まれる穴であり、その開口縁側にはくびれ部64が形成されている。このくびれ部64は、開口縁から漸次内径が縮小された縮径部65と、縮径部65の先端から高さ方向に沿って一様な内径で形成された絞り部66と、絞り部66の先端から漸次内径が拡大された拡径部67とを有している。なお、ダイ穴63の開口縁の角部、及びくびれ部64の境界部分は、所定の曲率半径の曲面を構成している。
【0034】
一方、パンチ62は、その外径がくびれ部64の絞り部66の内径よりも小さく形成された面粗さが良好な円柱状の部材であり、その先端面の角部は所定の曲率半径の曲面を構成している。そして、パンチ62は、図示しない移動機構によって軸方向に沿って所定のストロークで往復移動可能とされており、後述する絞り工程において、板材50を間に挟んだ状態でダイス61のダイ穴63に押し込まれるようになっている。
【0035】
ここで、図7(b)に示すように、パンチ62をダイ穴63に押し込んだ際のパンチ62の側面とダイス61の絞り部66の内周面との間のクリアランスQは、絞り前の板材50(例えば、平板時)の厚さT(図7(a)参照)よりも狭く設定されている(Q<T)。すなわち、絞り工程時において絞り部66とパンチ62との間には、隙間が生じないようになっている。なお、後述する各絞り工程では、サイズの異なる複数(例えば、2台)の絞り加工装置を用いるが、ダイ穴63の内径やパンチ62の外径等のサイズ以外はほぼ同一の構成からなるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
(絞り工程)
次に、上述したケースを製造するための各絞り工程について、具体的に説明する。
まず、図7(a)に示すように、板材50に第1絞り加工を施して、平板から底の浅い有底円筒状(お椀状)の板材50a(図9(b)参照)を形成する(第1絞り工程)。具体的には、上述した洋白からなる厚さTの板材50を用意し、第1絞り加工に用いる絞り加工装置(以下、第1絞り加工装置60という)のダイス(以下、第1ダイス61という)の載置面61aにセットする。この時、板材50の面方向における中心を、ダイ穴63の中心に一致させた状態で第1ダイス61の載置面61aにセットする。
【0037】
続いて、所定のストロークでパンチ62を下降させると(図7中白抜き矢印G参照)、まずパンチ62の先端面が板材50の表面に当接する。そして、図7(b)に示すように、さらにパンチ62を下降させることで、パンチ62とダイス61との間に板材50を挟んだ状態で、板材50がパンチ62の外面形状とダイ穴63の内面形状に倣ってダイ穴63内へ絞り込まれていく。
具体的には、ダイ穴63内に絞り込まれた板材50には、ダイ穴63の径方向内側に向けて圧縮力が作用し、その外周部分が縮径部65の形状に倣って上方に向けて起き上がるようにして屈曲する(図7(b)中矢印参照)。さらに、板材50には、パンチ62がダイ穴63内に押し込まれることにより、ダイ穴63の軸方向に沿って引張力が作用し、板材50が軸方向に沿って延伸する。その後、絞り部66においてさらに絞り込まれると、板材50の中央部が底面、外周部分が周面を構成するとともに、これら底面と周面とが略90度になるようなお椀状に形成される。以上により、第1絞り工程が終了し、板材50が図9(a)に示すような平板状の状態から、図9(b)に示すようなお椀状の板材50aに形成される。
【0038】
ここで、本実施形態の第1絞り工程では、絞り加工装置60のパンチ62とダイス61との間のクリアランスQが、絞り前の板材50の厚さTよりも狭く設定されているので、パンチ62とダイ穴63との間にスペースが生じない。これにより、クリアランスQが板材50の厚さTよりも広く形成されている場合に比べて、板材50がダイ穴63内に強く押し込まれるため、板材50におけるダイ穴63の軸方向への引張力を増加させるとともに、径方向への圧縮力を低減することができる。また、板材50が押し込まれる際に、パンチ62とダイス61との間に板材50が径方向に塑性変形するスペースがない。その結果、板材50の内周面が径方向内側に向けて盛り上がることがなく、板材50の内周面に凹凸が発生することを抑制できる。
さらに、パンチ62から板材50に作用する面圧が従来に比べて増加するため、板材50の内周面にパンチ62の表面が転写されることになる。すなわち、板材50の内面形状は、パンチ62の外面形状に倣って形成されるため、これによっても板材50の内周面における凹凸の発生を抑制することができる。
【0039】
次に、お椀状の板材50aに再び絞り加工を施して、板材50aの内径を縮小するとともに、軸方向の長さを延ばす(第2絞り加工工程)。なお、第2絞り工程で用いる第2絞り加工装置60は、上述した第1絞り加工装置60のダイ穴63の内径R1(図7(a)参照)及びパンチ62の外径に比べて、ダイ穴63の内径R2及びパンチ62の外径が小さく設定されたものであり、それ以外はほぼ同一の構成である。
まず、図8(a)に示すように、第1絞り工程で形成されたお椀状の板材50aを、上述した第1絞り加工工程と同様に、第2絞り加工装置60のダイス61にセットする。
【0040】
続いて、所定のストロークでパンチ62を下降させると(図8中白抜き矢印G参照)、まずパンチ62の先端面が板材50aの表面に当接する。そして、図8(b)に示すように、さらにパンチ62を下降させることで、板材50aはパンチ62の外面形状とダイ穴63の内面形状に倣って、内径が縮小しながらダイ穴63内へ絞り込まれていく。これにより、板材50aが図9(b)に示すような底の浅いお椀状の状態から、図9(c)に示すような内径が縮小し、かつ軸方向に延伸された筒状に形成される。なお、各絞り工程後の板材(例えば、板材50a)の板厚Tは、板材の面方向においてそれぞれ僅かながら異なるが、平均的には平板状の板材50の板厚Tと同等である。
【0041】
ここで、本実施形態では、各絞り工程において絞り加工装置60のパンチ62とダイス61との間のクリアランスQが、絞り前の板材50aの厚さTよりも狭く設定されているので、上述したように板材50bの内周面における凹凸の発生を抑制することができる。すなわち、各絞り工程において板材50b(50a,50)の内周面における凹凸の発生を抑制することができるため、周方向に隣接する凸部同士が重なり合って皺やクラックに成長することも抑制できる。その結果、内周面形状が良好で気密性が高いケース3を製造することができる。
【0042】
なお、図9(c)に示すように、パンチ62のストロークを調整することで、板材50cの開口側が、ダイ穴63の縮径部65に倣って漏斗状に形成される。そのため、第2絞り工程後に板材50cの開口端を軸方向に直交する方向に切断する。これにより、上述したケース3が完成する。
【0043】
一方、圧電振動片2を気密封止する前に、圧電振動片2とプラグ4とを電気的に接続する。
具体的には、まず圧電振動片2のマウント電極15,16をインナーリード31aに接合するマウント工程を行う。具体的には、バンプEを加熱しながら、このバンプEを間に挟んだ状態でインナーリード31aと圧電振動片2とを所定の圧力で重ね合わせる。これにより、バンプEを介してインナーリード31aとマウント電極15,16とを接続することができる。その結果、圧電振動片2をマウントすることができる。すなわち、圧電振動片2は、リード端子31に機械的に支持されると共に、電気的に接続された状態となる。
なお、バンプ接続する際に、加熱・加圧を行ってマウントしたが、超音波を利用してバンプ接続を行っても構わない。
【0044】
続いて、圧電振動片2の周波数調整(微調)等を行った後、マウントされた圧電振動片2を内部に収納するように、上述した製造方法で製造されたケース3をステム30に圧入し、圧電振動片2を気密封止するケース圧入工程を行う。具体的には、真空中で所定の荷重を加えながらケース3をプラグ4のステム30の外周に圧入する。すると、ステム30の外周に形成された金属膜が弾性変形するので、冷間圧接により気密封止することができる。これにより、ケース3内に圧電振動片2を密閉して真空封止することができる。
なお、この工程を行う前に、圧電振動片2、ケース3及びプラグ4を十分に加熱して、表面吸着水分等を脱離させておくことが好ましい。
【0045】
そして、ケース3の固定が終了した後、スクリーニングを行う。このスクリーニングは、周波数や共振抵抗値の安定化を図ると共に、ケース3を圧入した嵌合部に圧縮応力に起因する金属ウイスカが発生してしまうことを抑制するために行うものである。
スクリーニング終了後、内部の電気特性検査を行う。即ち、圧電振動片2の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定してチェックする。また、絶縁抵抗特性等を併せてチェックする。そして、最後に圧電振動子1の外観検査を行って、寸法や品質等を最終的にチェックする。この結果、図1に示す圧電振動子1を製造することができる。
【0046】
このように、本実施形態では、ケース3の絞り工程において、各絞り工程で用いるパンチ62とダイ穴63との間のクリアランスQを、絞り前の板材(例えば、板材50,50a)の板厚Tよりも狭く設定する構成とした。
この構成によれば、絞り時においてパンチ62とダイ穴63との間にスペースが生じないので、両者間のクリアランスQが板材の厚さTよりも広く形成されている場合に比べて、板材におけるダイ穴63の軸方向への引張力を増加させるとともに、径方向への圧縮力を低減することができる。また、板材が押し込まれる際に、パンチ62とダイス61との間に板材が径方向内側に盛り上がって塑性変形するスペースがない。その結果、板材の内周面に凹凸が発生することを抑制し、そして周方向に隣接する凸部同士が絞り工程毎に重なり合って皺やクラックに成長することを抑制することができる。
さらに、パンチ62から板材に作用する面圧が従来に比べて増加するため、板材の内周面にパンチ62の表面が転写されることになる。すなわち、板材の内面形状は、パンチ62の外面形状に倣って形成されるため、これによっても板材の内周面における皺やクラックの発生を抑制することができる。
したがって、絞り工程を複数段行う場合であっても、各絞り工程において皺やクラックの発生を抑制することができるため、内面形状が良好で気密性の高いケース3を製造することができる。その結果、ケース3の経時劣化等によって発生するスローリークを防ぐことができる。そして、このように製造されたケース3を用いて圧電振動片2を気密封止することで、長期間に亘って安定した高精度な圧電振動子1を提供することができる。
【0047】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図10を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器100は、図10に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上述した集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0048】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、この圧電振動子1内の圧電振動片2が振動する。この振動は、圧電振動片2が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0049】
上述したように、本実施形態の発振器100によれば、高品質化された圧電振動子1を備えているので、発振器100自体も同様に高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
【0050】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図11を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0051】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図11に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0052】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、このROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、このCPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0053】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片2が振動し、この振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0054】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。
無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0055】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。
なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0056】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0057】
即ち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0058】
上述したように、本実施形態の携帯情報機器110によれば、高品質化された圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器自体も同様に高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定した高精度な時計情報を表示することができる。
【0059】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図12を参照して説明する。
本実施形態の電波時計130は、図12に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0060】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、上述した搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0061】
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。
続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0062】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0063】
上述したように、本実施形態の電波時計130によれば、高品質化された圧電振動子1を備えているので、電波時計自体も同様に高品質化を図ることができる。さらにこれに加え、長期にわたって安定して高精度に時刻をカウントすることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、圧電振動子の一例として、シリンダパッケージタイプの圧電振動子1を例に挙げて説明したが、この圧電振動子1に限定されるものではない。例えば、セラミックパッケージタイプの圧電振動子や、シリンダパッケージタイプの圧電振動子1を、さらにモールド樹脂部で固めて表面実装型振動子としても構わない。また、圧電振動子に限らず、種々の電子部品を気密封止する場合に、上述した製造方法により製造されたケースを用いてもよい。この場合、ケースを製造する材料は洋白に限らず、種々の材料を選択して用いることが可能である。
【0065】
また、上述した実施形態では、板材に対して絞り工程を2段行う場合について説明したが、前段の絞り工程よりもダイ穴63の内径及びパンチ62の外径を漸次縮小させていくとともに、各絞り工程で用いる絞り加工装置60のクリアランスQを、絞り前の板材の板厚Tよりも狭く設定すれば、2段に限らず3段以上行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…圧電振動子 2…圧電振動片(電子部品) 3…ケース(封止缶) 50,50a,50b…板材 61…ダイス 62…パンチ 63…ダイ穴 100…発振器 101…発振器の集積回路 110…携帯情報機器(電子機器) 113…電子機器の計時部 130…電波時計 131…電波時計のフィルタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を内部に気密封止した状態で収納する封止缶の製造方法であって、
前記封止缶に加工すべき板材をダイスにセットし、パンチによって前記ダイスのダイ穴内に押し込む絞り工程を複数段有し、
前記各絞り工程では、前段の前記絞り工程よりも前記ダイ穴の内径及び前記パンチの外径が小さく設定され、
前記各絞り工程では、前記パンチの側面と前記ダイ穴の内周面との間のクリアランスを、当該絞り工程における絞り前の前記板材の板厚よりも狭く設定することを特徴とする封止缶の製造方法。
【請求項2】
圧電板の表面に励振電極を備えた圧電振動片と、
前記圧電振動片が実装されるプラグと、
前記プラグとともに前記圧電振動片を気密封止する、請求項1記載の封止缶の製造方法によって製造された前記封止缶とを備えていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項3】
請求項2に記載の前記圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項4】
請求項2に記載の前記圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項2記載の前記圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−183536(P2010−183536A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27853(P2009−27853)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】