説明

導電物質を形成する方法、導電物質を選択的に形成する方法、プラチナを形成する方法、及び、導電構造を形成する方法

導電物質を選択的に形成する方法及び金属導電構造を形成する方法を開示する。下部に横たわる物質領域を露出するように有機物質をパターン化することができる。下部に横たわる物質の上に位置する有機物質の残留部分と反応することなく下部に横たわる物質と反応するプラチナ前駆ガス等の前駆ガスに、下部に横たわる物質を晒してもよい。前駆ガスを原子層蒸着処理に用いてもよく、その間、前駆ガスは導電構造を形成するように下部に横たわる物質と選択的に反応して有機物質とは反応しない。導電構造は、例えば、半導体デバイス製造の様々な段階においてパターニング用マスクとして用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「優先権の主張」
本出願は、「導電物質を形成する方法、導電物質を選択的に形成する方法、プラチナを形成する方法、及び、導電構造を形成する方法」と題して2008年11月19日に出願されたアメリカ合衆国特許出願12/274,169号の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は、様々な実施形態において、一般にプラチナ等の導電物質を選択的に形成する方法に関するとともに、導電物質を形成する方法に関し、かつ、導電構造を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路の製造において、様々な導電層が用いられる。例えば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、強誘電体(FE)メモリ、及びNAND等の半導体デバイスの形成中に、導電物質は、相互接続構造及び導電配線に用いられるのと同様に記憶素子キャパシタの形成に用いられる。それゆえ、導電物質の形成は、集積回路(IC)生産において重要な製造工程である。
【0004】
導電薄膜は、集積回路に用いる他の物質の耐性が保てるよう十分に低温で堆積される必要があるので、導電物質の形成に対して要求が厳しくなっている。更に、コンフォーマルで高品質な導電物質薄膜は、開口、深いトレンチ、コンテナキャパシタ開口等の様々な導電構造が形成される集積回路上の高度に多様化した地形図を覆うために頻繁に用いられる。更に、このような薄膜は、ハイスループットで形成する必要がある。
【0005】
例えば、従来の記憶素子は、二つの導電電極と、二つの導電電極間に挟まれた誘電物質とを備え、「金属‐絶縁体‐金属」(MIM)記憶素子キャパシタとして頻繁に参照される。一以上の様々な導電物質の層を、導電電極形成に用いてもよい。キャパシタのサイズが小さくなると、誘電物質の厚さはゲート・キャパシタンスを増加させるように小さくしなければならない。二酸化ケイ素等の従来の誘電物質の厚さを低減することは、漏電電流を増やすとともにデバイスの信頼性を低下させる結果になるかもしれない。二つの導電電極間に高誘電率物質を利用することは、漏電の影響を伴うことなしにゲート・キャパシタンスを増加させることができる。プラチナ、ロジウム、イリジウム、オスミウム、及びこれらの合金等の導電物質を用いることが、このようなMIM記憶素子キャパシタに対して提案されてきた。
【0006】
多くの記憶素子キャパシタが製造されるが、それらは高アスペクト比の小さな開口内に導電物質から形成された電極層を含む。用語「アスペクト比」とは、集積回路構造の幅に対する深さまたは高さに関係する。プラチナは一般にセル内の漏電を低減する高機能金属であることから、プラチナが最も頻繁に導電物質として用いられる。しかしながら、プラチナを除去するエッチング処理工程を行わないと、キャパシタの製造工程中に問題が生じる。プラチナ電極を形成するのに用いる従来技術はプラチナ堆積工程を含み、その工程の後にプラチナの無関係な部分を除去するようにCMP(化学的機械的研磨)またはイオンミリングが行われる。しかしながら、これらの技術はプラチナ電極内に好ましくない欠陥を生じさせる虞がある。
【0007】
図1A〜図1Cを参照して、基板102上にコンテナ型セルキャパシタを含む半導体構造100を形成する従来の方法について説明する。図1Aに示すように、基板102はここで形成されるコンタクト104を具備してもよく、下層の相互接続構造(図示せず)と電気的に接触してもよい。誘電物質106は、コンタクト104及び基板102の上に形成されてもよく、例えば二酸化ケイ素(SiO)等の物質から形成されてもよい。マスク物質108は、誘電物質106上に接して形成され、キャパシタ構造の形成が所望される誘電物質106領域を露出する開口(図示せず)を形成するようにパターン化されている。開口部110は、マスク物質108に対して誘電物質106を選択的に除去するエッチング処理を用いて形成されてもよい。
【0008】
その後は、図1Bに示すように、セルキャパシタの下部電極形成に用いる導電物質112は、開口部110内及び誘電物質106上面に形成される。半導体構造100上に酸化物質114を用いてもよい。酸化物質114及び誘電物質106上に横たわっている導電物質112の水平部分が、平面化されるかまたはエッチングされて下部電極116が形成される。理想的には、下部電極116上面は誘電物質106上面と同一平面上にある。
【0009】
しかしながら、平面化の間に導電物質112は開口部110の中央に押され、図1Cに示すような変形部118が形成されうる。導電物質112における変形部118は好ましくない側面を生じ、半導体構造100上に更なる物質を形成することを妨げる。導電物質112が露出されている場所で、下部電極116を形成するエッチング処理に更なる問題を引き起こす。エッチング処理の間にフォトレジスト物質120が導電物質112上に形成され、エッチングされる導電物質112領域を露出するようにパターン化される。導電物質112を誘電物質106までエッチバックすると、フォトレジスト層120は導電物質112から離れるように引き戻され、導電物質112の表面領域122が好ましくない形状にエッチングされる原因となる。
【0010】
より高密度のメモリアレイを実現するためには、一層の要求に合致するよう、要求される改善された密度及び信頼性を備えた複雑なデバイスの製造に好適な導電物質の形成方法及び構造が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、半導体構造上に下部電極を形成する従来の方法を説明するための横断面の一部を示す図である。
【図1B】図1Bは、半導体構造上に下部電極を形成する従来の方法を説明するための横断面の一部を示す図である。
【図1C】図1Cは、半導体構造上に下部電極を形成する従来の方法を説明するための横断面の一部を示す図である。
【図2A】図2Aは、半導体構造上の導電物質形成に用いる方法の一実施形態について説明するための横断面の一部を示す図である。
【図2B】図2Bは、半導体構造上の導電物質形成に用いる方法の一実施形態について説明するための横断面の一部を示す図である。
【図2C】図2Cは、半導体構造上の導電物質形成に用いる方法の一実施形態について説明するための横断面の一部を示す図である。
【図2D】図2Dは、半導体構造上の導電物質形成に用いる方法の一実施形態について説明するための横断面の一部を示す図である。
【図2E】図2Eは、半導体構造上の導電物質形成に用いる方法の一実施形態について説明するための横断面の一部を示す図である。
【図3】図3は、半導体デバイスにコンタクトホールを形成する方法の一実施形態を説明するための横断面の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に詳細に記載するように、いくつかの実施形態において、本発明はプラチナ等の導電物質を選択的に形成する方法を具備する。導電物質は少なくとも一つの基板及び有機物質に関連する絶縁物質上に選択的に形成されてもよい。前駆ガスを用いて導電物質を形成しようとする所望の表面を反応させることによって原子層堆積処理を用いて導電物質が形成し、その表面の残りの領域がフォトレジスト物質等の有機物質によって保護されてもよい。更なる実施形態において、本発明は、基板上に横たわる絶縁物質の上に有機物質を塗布することによって導電物質を形成する方法を含む。少なくとも一つの開口部は、基板が露出するように有機物質及び絶縁物質を貫通して形成される。絶縁物質及び基板は、有機物質と反応することなく少なくともひとつの導電物質を形成するように絶縁物質及び基板と選択的に反応する前駆ガスにさらされる。誘電物質は、少なくとも一つの導電物質の上に形成され、他の導電物質は誘電物質の上に形成され、少なくとも一つのキャパシタ構造が作られる。
【0013】
本明細書で用いたように、用語「基板」は、基礎物質または上に更なる物質が形成される構造を意味し、かつ基礎物質または上に更なる物質が形成される構造を含むものである。基板は、半導体基板、支持構造上の基礎半導体層、一以上の層を持つ金属電極または半導体基板、これらの上に形成される構造または領域であってもよい。基板は、従来のシリコン基板であってもよく、または半導体物質層を含む他のバルク基板であってもよい。本明細書で用いたように、用語「バルク基板」は、シリコンウェーハだけでなくシリコン・オン・サファイア(「SOS」)基板及びシリコン・オン・ガラス(「SOG」)基板等のシリコン・オン・インシュレータ(「SOI」)基板と、基礎半導体土台上のエピタキシャルシリコン層と、シリコン‐ゲルマニウム、ゲルマニウム、ヒ素化ガリウム、チッ化ガリウム、及びリン化インジウム等の他の半導体または光電子工学物質とを意味し、かつこれらを含むものである。基板はドープされてあってもドープされていなくてもよい。
【0014】
以下の記載は、本発明の実施形態の詳細な記載を提供するために、物質の種類、物質の厚さ、及び処理条件等の具体的な詳細について提供する。しかしながら、当業者には、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細を用いることなく実施されてもよいと理解されよう。実際に、本発明の実施形態は、産業に用いられた従来の半導体製造技術に関連して実施することができる。更に、以下の記載は、導電構造が存在する半導体デバイスを製造する完全な処理フローを形成するものではなく、以下に記載する半導体デバイスは完全な電子機器を形成するものではない。本発明の実施形態を理解するために必要なこれらの行為及び導電構造または半導体デバイスについてのみ以下に詳細に記載する。更に、導電構造から完全な半導体デバイスを形成する処理行為、または半導体デバイスから完全な電子デバイスを形成する処理行為は、従来の製造技術によって実行されてもよく、これらについては本明細書に記載しない。
【0015】
本明細書に記載した物質は、特に限定されるものではないが、スピンコーティング、ブランケットコーティング、化学蒸着法(「CVD」)、原子層蒸着法(「ALD」)、プラズマALD法、または物理蒸着法(「PVD」)を含む任意の適切な技術によって形成されることができる。あるいは、物質はインサイチュー(in situ)で成長させてもよい。具体的な形成される物質に依存して、物質を堆積する技術または物質を成長させる技術は、当業者によって選択されてよい。更に、本明細書に記載されるとともに説明された物質は層として形成されうるが、物質はそれらに限定されるものではなく、他の三次元構成に形成されてもよい。
【0016】
以下、図を参照して説明する。同じ番号は同じ要素を表す。図は必ずしも一定の比率に拡大縮小して描かれたものではない。
【0017】
図2A〜2Eは、半導体構造200を形成する方法について説明するための横断面概略図の一部を示す図である。半導体構造200は、基板202内に形成されたコンタクト204、任意のバリア物質、絶縁物質208、及び有機物質210を持つ基板202を含むことができる。基板202は、上に記載したように、半導体物質からなるウェーハ、あるいはガラスまたはサファイア等の物質からなるウェーハの全部または一部であってもよい。コンタクト204は、基板202において、従来のパターニング方法または堆積方法を用いてポリシリコン等の導電物質から形成されてもよく、本明細書には詳細に記載しない。非限定的例示として、コンタクト204は、ポリシリコン、窒化チタン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、またはこれらを組み合わせたような導電物質から形成されてもよく、金属‐絶縁体‐金属(MIM)記憶キャパシタを、付随する一以上のトランジスタデバイスまたは導電配線に電気的に連結するように用いてもよく、以下に詳細に記載する。
【0018】
前記バリア物質(図示せず)が存在する場合、基板202及びコンタクト204表面の上方または表面に接して形成されてもよい。バリア物質は、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、または窒化タンタルシリコン(TaSiN)等の窒化物を含んでもよい。バリア物質は、例えば、酸化ロジウム、イリジウム、またはシリコン酸化物をドープした金属を含む酸化バリア物質(図示せず)を更に含んでもよい。
【0019】
前記絶縁物質208は、基板202と、コンタクト204と、存在すればバリア物質の上方または接して形成されてもよい。非限定的例示として、絶縁物質208は、シリコン酸化物、リンケイ酸ガラス(PSG)、ホウケイ酸ガラス(BSG)、及びホウリンケイ酸ガラス(BPSG)から形成されてもよい。
【0020】
前記有機物質210は、絶縁物質208の上方または絶縁物質208に接して形成されてもよく、例えば重合体物質を含んでもよい。有機物質210は、ここで用いる導電物質の核生成及び成長を防ぐ物質であってもよい。非限定的例示として、有機物質210は、ジアゾナフトキノン系物質、ポリヒドロキシスチレン系物質、フェノールホルムアルデヒド系物質、またはエポキシ系物質を含むフォトレジスト物質であってもよい。更に、有機物質210は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリクロロプレン(CR)、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリシロキサン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ノボラック、ポリメチルグルタルイミド(PMGI)、ポリメチルシラン(PMS)、非芳香族重合体、ポリシクロオレフィン、及びこれらの共重合体及びこれらの混合物等の重合体を含んでもよい。有機物質210は、例えば、スピンキャスティング、スピンコーティング、噴霧、インクコーティング、またはディップコーティング等の任意の適切な技術によって、絶縁物質208の上に塗布してもよい。有機物質210は、ここで導電物質の堆積を防ぐように形成されてもよく、以下に更に詳細に記載する。非限定的例示として、有機物質210は、ヒドロキシル基を含まない重合体物質から形成されてもよく、重合体物質の一つの単分子層の平均的な厚さよりも大きな厚さで形成されてもよい。有機物質210は、絶縁物質208の表面を露出する開口212を含んでもよい。開口212は、従来技術を用いて有機物質210をパターニングすることによって形成されてもよく、本明細書には詳細に記載しない。
【0021】
引き続き図2Aを参照すると、有機物質210内の開口212を通じて露出した絶縁体208の少なくとも一部を除去することによって、開口部214(点線で示す)は、半導体構造200に形成されてもよい。もし開口部214が絶縁物質208を貫通している場合、開口部214は、基板202及びコンタクト204の上面と、絶縁物質208の側壁218とによって境界付けることができる。もし開口部214が絶縁物質208内に部分的に延びている場合、開口部214は、絶縁物質208の残留部の上面と、絶縁物質208の側壁218とによって境界付けることができる。非限定的例示として、図2Aに点線で示すように、開口部214はカップ形状コンテナとして形成されてもよく、円形、四角形、方形、台形、三角形、卵形、偏菱形のように様々な横断面形状になってもよい。例えば、開口部214は、特徴的なサイズ、または約50nm未満の限界寸法に形成されてもよく、約40:1より大きいアスペクト比であってもよい。
【0022】
一実施形態において、バリア物質が存在する場合は窒化チタンであり、絶縁物質208はシリコン酸化物であり、有機物質210はフェノールホルムアルデヒド重合体及びナフトキノンジアジドの混合物を含むフォトレジスト物質である。もし存在するならばバリア物質を、または有機物質210を除去することなく、絶縁物質208を除去するとともに開口部214を形成するように、フッ化水素酸を含む溶液等のフッ素含有腐食液、またはテトラフルオロメタン(CF)を含むプラズマ、またはヘキサフルオロブタジエン(C)を用いてもよい。明確にするために、以下の図に示した半導体構造200は、もし存在するならばバリア物質まで、あるいはまた基板202及びコンタクト204まで、絶縁物質208の厚さを貫通する単一の開口部214を含む。しかしながら、他の実施形態において、複数の開口部214が半導体構造200に形成されてもよい。更に、開口部214は、バリア物質または基板202のような任意の下層の物質の中まで延材していてもよい。開口部214は、コンタクト204とトランジスタまたは導電配線等の導電領域を含むことができる付加構造との間のアクセスを容易にするように配置されてもよく、以下に更に詳細に記載する。
【0023】
前記開口部214を形成するように絶縁物質208の一部を除去した後、開口部214によって露出された表面は清浄にされてもよい。有機物質210を十分に除去することなく露出面を清浄にするために、有機物質の残留物等の残留物を除去するとともに絶縁物質208及び基板202の表面上の凹凸を十分に平滑化するエッチング処理に半導体構造200を晒してもよい。例えば、フッ化水素(HF)含有溶液を用いるウェットエッチング処理を用いてもよく、またはオゾン(O3)を含むプラズマを用いるドライエッチング処理を用いてもよい。非限定的例示として、開口部214によって露出された表面を清浄にするように、フッ化水素及びフッ化アンモニウム(NHF)を約100:1の割合で混合した混合物を含む溶液を、開口部214によって露出された表面に約1分間あててもよい。半導体構造200を清浄にする工程は、絶縁物質208の側壁218、もし存在するならばバリア物質の上面216、または開口部214内のコンタクト204及び基板202から重合体、有機物質、及び他の残留物を除去することができる。以下に更に詳細に記載するように、これらの残留物を除去することによって、プラチナ等の物質の堆積を容易にすることができる。
【0024】
図2Bを参照すると、半導体物質200を清浄した後、導電物質220は、有機物質210によって保護されている半導体物質200の表面222上に形成することなく、絶縁物質208の側壁218上と、基板202及びコンタクト204の上面216または存在するならばバリア物質上とに形成されてもよい。導電物質220は、ALD処理を用いて共形に堆積されてもよい。例えば、ALD処理は、絶縁物質208、基板202、または存在するならばバリア物質と反応し、有機物質210とは反応しない前駆ガスに半導体構造200を晒すことによって行われてもよい。ALD処理を用いることによって、単一の導電物質220単分子層が同時に形成されてもよい。ALD処理中に、導電物質220の成長は露出面と前駆ガスとの間の自己限定的表面反応によって制御される。ALD処理は、一以上の導電物質220単分子層の制御蒸着を可能にする。ALDによる導電物質220の形成は、有機物質210が完全な状態で残り、損傷されたり減損したりすることがないように、十分に低温で行われてもよい。このように、有機物質210は、導電物質208の基礎となる領域を保護するマスクとして機能することができる。特に任意の理論によって縛られることなく、有機物質210は、絶縁物質208の表面222と前駆ガスとの間の反応を引き起こすことを防止することができ、ALD処理中に表面222上の導電物質220の核形成及び成長を防止することができる。
【0025】
前記導電物質220は、例えばプラチナ、チタン、タンタル、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、銅、これらの酸化物または窒化物、これらの組み合わせ、またはこれらの合金であってもよい。これらの導電物質の生成に好適なALD前駆ガスは当業者に公知であり、それゆえ、本明細書において詳細に記載しない。非限定的例示として、導電物質220は、約20Åから約300Åまでの範囲の厚さに堆積されることができる。簡潔に述べると、導電物質220は単一層を含むものとして記載される。しかしながら、いくつかの実施形態において、導電物質220は複数の層から形成されてもよい。導電物質220を堆積させるために、半導体物質200は、反応チャンバにおいて前駆ガスを十分な時間晒し、所望の厚さの導電物質220を形成することができる。反応チャンバは、約50℃から約300℃までの範囲の温度で、かつ約0.0001トールから約5トールまでの範囲の一定圧力または可変圧力に保持されることができる。
【0026】
非限定的例示として、もしプラチナが所望の導電物質220ならば、前駆ガスは、限定されるものではないが、(トリメチル)メチルシクロペンタジエニルプラチナ(Pt10)、(トリメチル)シクロペンタジエニル(C)Pt(CH、Pt(アセチルアセトネート)2、Pt(PF、Pt(CO)Cl、シス‐[Pt(CH((CH)NC)]、またはプラチナ・ヘキサフルオロセチルアセトネートを含んでもよい。前駆ガスは、有機物質210によって覆われた表面上にプラチナを形成することなく、絶縁物質208と、コンタクト204と、基板202と、もし存在するならばバリア物質との表面にプラチナを形成するように、開口部214内に流し込まれてもよい。すなわち、プラチナは有機物質210の露出面上を除く半導体物質200の露出面上に選択的に堆積させることができる。
【0027】
前記半導体構造200の表面222上に、導電物質220が堆積することを防ぐように有機物質210を用いることによって、導電物質220の表面224は更に平面化またはエッチングを行うことなく、導電物質208の表面222と十分に共平面化するように形成されることができる。導電物質220は欠陥または変形が実質的に無いので、半導体構造200上に形成された更なる物質には欠陥が無いようにすることができる。更に、開口部214(図2A)を形成するのに用いた同じ有機物質210で絶縁物質208の表面222を保護することによって、半導体構造200の所望の位置上に導電物質220を形成するために更なる処理行為を用いることはない。それゆえ、本発明の方法は、更なるマスキングまたはエッチングを行うことなく導電物質220を堆積する方法を提供し、半導体構造200を製造する時間及びコストを低減することができる。
【0028】
前記導電物質220は、本明細所において半導体構造200の開口部214内に選択的に形成されるものとして説明するが、異なる地形図を持つ他の様々な表面及び構造上に導電物質200を選択的に堆積するように同様の処理を用いてもよく、このことは当業者に認識されよう。非限定的例示として、導電物質220は図2Aに示した開口212に形成されてもよく、あるいは、導電物質220は有機物質210によって保護された部分を持つ他の物質の露出面上に形成されてもよい。
【0029】
図2Cを参照すると、導電物質220を形成した後、有機物質210の部分はキャパシタ構造の形成が望まれる絶縁物質208の表面226を露出するように除去されてもよい。従来のパターニング技術(例えば、マスキング及びエッチング)を用いることによって有機物質210の所望部分を除去するように、絶縁物質208の表面226は露出されてもよい。
【0030】
図2Dに示すように、導電物質220と絶縁物質208表面226との上または導電物質220と絶縁物質208表面226とに接するように誘電物質228を用いてもよく、その後、キャパシタ構造232を形成するように、誘電物質228の上または誘電物質228に接するように他の導電物質230を用いてもよい。非限定的例示として、誘電物質228は、酸化タンタル、五酸化タンタル(Ta)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、または窒酸化シリコン(SiON)等の高誘電率を持つ物質であってもよく、例えばCVDまたはPVDを用いて形成することができる。他の導電物質230は、例えば、プラチナ、チタン、タンタル、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、これらの酸化物または窒化物、これらの組み合わせ、またはこれらの合金であってもよい。他の導電物質230はCVDまたはPVD等の処理を用いて形成することができる。簡潔に述べると、他の導電物質230は単一層を含むものとして記載される。しかしながら、いくつかの実施形態において、他の導電物質230は、複数の金属層または他の導電物質層を含んでもよい。非限定的例示として、他の導電物質230はプラチナであってもよく、上に記載したように有機物質210の残留部に対して誘電物質228上に選択的に形成されてもよい。
【0031】
図2Eを参照すると、キャパシタ構造232を形成した後、有機物質210。非限定的例示として、もし有機物質210がフォトレジスト物質ならば、他の導電物質230または絶縁物質208を損傷または減損することなくフォトレジスト物質を除去するために、従来のアッシング処理を用いてもよい。更に、他の導電物質230に対して選択的な絶縁物質208を除去するように、等方性のエッチング処理(例えば、ウェットケミカルエッチングまたは部分的等方性の反応性イオンエッチング(RIE))を用いてもよい。例えば、もし絶縁物質208がシリコン酸化物を含むとともに他の導電物質230がプラチナを含む場合、シリコン酸化物に対してプラチナを選択的に除去するウェットエッチング処理を用いてもよい。
【0032】
図3に示すように、半導体デバイス300は、隣接マスク構造242として複数のキャパシタ構造232を含む構成を提供することができる。半導体デバイス300は、基板202の上に横たわる絶縁物質208と、コンタクト204と、キャパシタ構造232とを具備してなり、キャパシタ構造232は、図2Dに示したように、導電物質220と、誘電物質228と、他の導電物質230とを含む。半導体デバイス300は、ソース領域236と、ドレイン領域238と、フィールド酸化領域240に関して形成されたトランジスタデバイス234を更に具備してもよい。トランジスタデバイス234は従来技術によって形成することができ、本明細書において詳細に記載しない。異方性のドライ反応性イオン(すなわち、プラズマ)エッチング処理またはウェットケミカルエッチング処理は、トランジスタデバイス234領域を露出するように、他の導電物質230及び隣接マスク構造242に関して絶縁物質208部分を除去するように行われてもよい。絶縁物質208の除去部分は、コンタクトホール244を形成してもよい。隣接マスク構造242は、図2A〜図2Dを参照して上に記載した方法によって形成されたキャパシタ構造232をそれぞれ含んでもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも一つのトランジスタデバイス234は、少なくとも一つの導電配線(図示せず)と電気的に通信することができる。導電配線は、従来技術によって形成されてもよく、本明細書において詳細に記載しない。
【0033】
本発明は、様々な変更及び代替形態が可能であるが、具体的な実施形態を図に例示して示すとともに、本明細書において詳細に記載してきた。しかしながら、本発明は開示された特定の形態に限定されるものではないと理解されるべきである。むしろ、本発明は、以下に添付する請求項及びそれらの法的な等価物によって定義された本発明の範囲から逸脱しない全ての変更形態、変形形態、代替形態を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電物質を選択的に形成する方法であって、
有機物質を貫通するとともに少なくとも一部が下部に横たわる物質に届く少なくとも一つの開口部を形成するように、前記有機物質及び前記下部に横たわる物質の各部分を除去する工程と、
前記少なくとも一つの開口部によって露出された表面を清浄にする工程と、
少なくとも一つの開口部に導電物質を選択的に形成する工程とを具備することを特徴とする導電物質を選択的に形成する方法。
【請求項2】
有機物質及び下部に横たわる物質の各々の一部分を除去する工程は、前記下部に横たわる物質の一部分を重合体物質の少なくとも一つの開口を通して除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリクロロプレン(CR)、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリシロキサン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ノボラック、ポリメチルグルタルイミド(PMGI)、ポリメチルシラン(PMS)、非芳香族重合体、ポリシクロオレフィン、及びこれらの共重合体及びこれらの混合物で構成されるグループから前記有機物質を選択する工程を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ジアゾナフトキノン系物質、ポリヒドロキシスチレン系物質、フェノールホルムアルデヒド系物質、またはエポキシ系物質で構成されるグループから前記有機物質を選択する工程を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの開口部によって露出された表面を清浄にする工程は、前記少なくとも一つの開口部によって露出された前記表面を、フッ化水素を含む溶液及びオゾンを含むプラズマのうち少なくとも一つに晒す工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つの開口部に導電物質を選択的に形成する工程は、原子層蒸着によって前記導電物質を堆積する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
原子層蒸着によって前記導電物質を堆積する工程は、前駆ガスを前記有機物質と反応させることなく、前記前駆ガスを前記下部に横たわる物質と選択的に反応させる工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一つの開口部に導電物質を選択的に形成する工程は、少なくとも一つの開口部内に、プラチナ、チタン、タンタル、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、銅、これらの酸化物または窒化物、これらの組み合わせ、またはこれらの合金を選択的に形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
有機物質及び下部に横たわる物質の各々の一部分を除去する工程は、前記絶縁物質の側壁及び前記基板の上面によって境界付ける少なくとも一つの開口部を形成するように有機物質及び下部に横たわる物質の各々の一部分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つの開口部に導電物質を選択的に形成する工程は、前記有機物質上に導電物質を形成することなく、前記下部に横たわる物質の露出面上に前記導電物質を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも一つの開口部に導電物質を選択的に形成する工程は、前記少なくとも一つの開口部を(トリメチル)メチルシクロペンタジエニルプラチナに晒す工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
選択的にプラチナを堆積する方法であって、
有機物質内の開口部を通して露出した物質表面にプラチナ前駆ガスを導入する工程と、
前記プラチナ前駆ガスを前記有機物質と反応させることなくプラチナを前記物質表面に形成するように、前記プラチナ前駆ガスを前記物質表面と反応させる工程とを具備することを特徴とする選択的にプラチナを堆積する方法。
【請求項14】
前記プラチナ前駆ガスを導入する前に、前記物質表面の有機残留物を除去可能な腐食液を塗布する工程を更に具備することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プラチナ前駆ガスを前記物質表面と反応させる工程は、(トリメチル)メチルシクロペンタジエニルプラチナ、(トリメチル)シクロペンタジエニル(C)Pt(CH、Pt(アセチルアセトネート)、Pt(PF、Pt(CO)Cl、シス‐[Pt(CH((CH)NC)]、及びプラチナ・ヘキサフルオロセチルアセトネートで構成されるグループから前記プラチナ先駆ガスを選択する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一つの導電物質を形成する方法であって、
基板上に横たわる絶縁物質の上に有機物質を塗布する工程と、
前記基板を露出するように前記有機物質及び前記絶縁物質を貫通する少なくとも一つの開口部を形成する工程と、
少なくとも一つの導電物質を形成するように、前記有機物質と反応することなく前記絶縁物質及び前記基板と選択的に反応する前駆ガスに前記絶縁物質及び前記基板を晒す工程と、
少なくとも一つのキャパシタ構造を形成するように、前記少なくとも一つの導電物質の上に誘電物質を形成するとともに前記誘電物質の上に他の導電物質を形成する工程とを具備することを特徴とする少なくとも一つの導電物質を形成する方法。
【請求項17】
前記少なくとも一つのキャパシタ構造をマスクとして用い、前記他の導電物質を除去することなく前記絶縁物質の隣接部分を除去する工程を更に具備することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記絶縁物質の隣接部分を除去する工程は、前記基板内のトランジスタデバイスを露出する工程を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記有機物質と反応することなく前記絶縁物質及び前記基板と選択的に反応する前駆ガスに前記絶縁物質及び前記基板を晒す工程は、原子層蒸着によって前記少なくとも一つの導電物質を形成する工程を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3】
image rotate

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate


【公表番号】特表2012−509576(P2012−509576A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536396(P2011−536396)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/063440
【国際公開番号】WO2010/059434
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(595168543)マイクロン テクノロジー, インク. (444)
【Fターム(参考)】