平板表示装置の製造方法
【課題】平板表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】レーザーでガラス密封材料を溶かしてマザーガラスを接合させる時に、マザーガラスに加えられるストレス偏差を最小化するためのものであって、互いに対向した第1基板と第2基板との間に複数の発光部を形成する工程であって、各発光部別に単位ディスプレイ素子にする工程と、第1基板と第2基板との間に複数の壁を形成する工程であって、各壁は各発光部を取り囲むように配置される工程と、壁にレーザービームを照射する工程であって、第1方向に配列された複数の壁に対して同時にレーザービームを照射する工程と、レーザービームを第1方向と異なる第2方向にスキャニングする工程と、第1基板及び第2基板を各単位ディスプレイ素子別に切断する工程を含む平板表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】レーザーでガラス密封材料を溶かしてマザーガラスを接合させる時に、マザーガラスに加えられるストレス偏差を最小化するためのものであって、互いに対向した第1基板と第2基板との間に複数の発光部を形成する工程であって、各発光部別に単位ディスプレイ素子にする工程と、第1基板と第2基板との間に複数の壁を形成する工程であって、各壁は各発光部を取り囲むように配置される工程と、壁にレーザービームを照射する工程であって、第1方向に配列された複数の壁に対して同時にレーザービームを照射する工程と、レーザービームを第1方向と異なる第2方向にスキャニングする工程と、第1基板及び第2基板を各単位ディスプレイ素子別に切断する工程を含む平板表示装置の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板表示装置の製造方法に係り、さらに詳細には、ガラス密封材料により密封される平板表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に有機発光表示装置、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)などの平板型表示装置は、駆動特性のため超薄型化及びフレキシブル化が可能であって、これについての多くの研究がなされている。
【0003】
このうち、有機発光表示装置は、水分の浸透により劣化する特性を持っている。したがって、水分の浸透を防止するための封止構造を必要とする。
【0004】
従来には、金属缶やガラス基板を、溝を有するようにキャップ形態に加工して密封部材とし、その溝に水分の吸収のための乾燥剤をパウダー状に搭載するか、フィルム形態に製造して両面テープを利用して接着した後、この密封部材をUV硬化有機シーラントや、熱硬化有機シーラントを利用して素子が形成された基板に接合する方法を利用した。
【0005】
密封部材と基板とを接合させるための有機シーラントの場合、耐圧特性がよくなく、経時的に耐透湿性が顕著に低下して密封効果を低減させるという問題があった。
【0006】
これらの問題のため、最近では耐圧特性が高くて、優秀な密封特性が得られるガラス密封材料を前記有機シーラントの代替用に使用しようとする試みがある。ガラス密封材料を利用したシーリングにおいて、ガラス密封材料の溶融のためにレーザービームが使用できる。
【0007】
特許文献1には、これらのレーザービームを利用したガラス密封材料の接合方法の一例が開示されている。
【0008】
開示された接合方法の場合、互いに対向した1対のマザーガラスに複数の発光素子を形成した後、各発光素子を閉鎖的に取り囲むように形成されているガラス密封材に対して、順次にレーザービームを照射してガラス密封材を溶かす方法を採択している。
【0009】
ところが、この場合、各発光素子を取り囲んでいるガラス密封材の塗布された形態に沿ってレーザービームが照射されるので、レーザービームの照射形態も各発光素子を取り囲む閉鎖ループになり、これらの閉鎖ループが発光素子の数ほど繰り返るようになる。
【0010】
この場合、レーザービーム照射により発生した熱的ストレスによってマザーガラスの切断面に不良が発生するなどの問題があった。
【0011】
レーザービームによりガラス密封材料を溶かしてマザーガラスを接合させる時には、ガラス密封材料を溶かして冷却することによって、瞬間的な温度上昇及び下降が繰り返る。これは、マザーガラスに急激な熱衝撃として作用し、このような熱衝撃はマザーガラスに部分別にストレス偏差を発生させる。これらのストレス偏差により、マザーガラスの切断時にクラックの伝播が所望の方向に行われず、また切断面に突起や微細破片などを発生させる原因になる。それだけでなく、一部の発光素子のマザーガラス部分を膨脹させてニュートンリングというリング形状が外部で観察されるようになるという問題を引き起こす恐れがある。
【0012】
ストレス偏差は、前記の閉鎖ループを隣接した発光素子別に反復して進めることによって、マザーガラス全体に対してはさらに加重される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0128967号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのものであって、レーザーでガラス密封材料を溶かしてマザーガラスを接合させる時に、マザーガラスに加えられるストレス偏差を最小化できる平板表示装置の製造方法を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような目的を達成するために、本発明は、互いに対向した第1基板と第2基板との間に複数の発光部を形成する工程であって、各発光部別に単位ディスプレイ素子にする工程と、前記第1基板と第2基板との間に複数の壁を形成する工程であって、前記各壁は前記各発光部を取り囲むように配置される工程と、前記壁にレーザービームを照射する工程であって、第1方向に配列された複数の壁に対して同時にレーザービームを照射する工程と、前記レーザービームを前記第1方向と異なる第2方向にスキャニングする工程と、前記第1基板及び第2基板を前記各単位ディスプレイ素子別に切断する工程と、を含む平板表示装置の製造方法を提供する。
【0016】
前記第1方向と第2方向とは互いに直交する。
【0017】
前記各壁は、前記第1方向に沿って延びた第1壁と前記第2方向に沿って延びた第2壁とを備え、前記レーザービームは、複数の第1壁を同時に照射した後、順次に第2壁の少なくとも一部を同時に照射できる。
【0018】
前記レーザービームは、前記壁に照射される前にマスクを透過するが、前記マスクは、前記レーザービームが透過する透光領域と、前記透光領域の周囲に前記レーザービームの透過を遮断する光遮断領域とを備え、前記光遮断領域は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している複数の遮断部を備える。
【0019】
前記各遮断部の間に誘電体層が介在される。
【0020】
前記マスクは、互いに対向した第1面と第2面とを備えた透明なガラスを備え、前記遮断部は、前記ガラスの第1面に形成された第1遮断部と前記ガラスの第2面に形成された第2遮断部とを備える。
【0021】
前記第1遮断部のパターンと前記第2遮断部のパターンとが互いに異なる。
【0022】
前記透光領域は、前記壁のパターンに対応するパターンで備えられる。
【0023】
前記透光領域は、前記壁のパターンと異なるパターンで備えられる。
【0024】
前記透光領域は、前記壁のうち、互いに隣接した部分に対して互いに開放されたパターンで備えられる。
【0025】
前記光遮断領域は、レーザービームを反射する反射面を備える。
【0026】
前記光遮断領域は、レーザービームを吸収する吸収面を備える。
【0027】
前記レーザービームは、並列連結されて同時に発光する複数のレーザー発光素子により照射される。
【0028】
前記レーザービームは、長方形のラインビームであり、前記ラインビームの長辺の長さは、前記第1方向に配列された複数の壁の幅に対応する。
【発明の効果】
【0029】
前記のような本発明によれば、マザーガラスである第1基板及び第2基板が受ける熱的ストレスは均一な分布になり、隣接セルでのレーザービーム照射により熱的ストレスの回数も大幅減少して、カッティング不良やニュートンリングなどの各ユニットセルに対する素子欠陥を防止できる。
【0030】
レーザー発光ダイオードを並列に連結して前記第1方向に沿って配列することによって、一定の強度の線形のレーザービームを得ることができ、マザーガラスサイズに可変的に線形レーザービームのサイズを容易に変形適用できる。
【0031】
マスクの光遮断領域は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している少なくとも2つの遮断部を備えるように備えることによって、第1方向に延長した線形のレーザービームが一括照射される時に、傾斜方向から入射されるレーザービームから発光部を最大限保護できるようになる。
【0032】
第1遮断部及び第2遮断部を光反射面として備えることによって、レーザービームが発光部に向かうことを防止するだけではなく、マスク自体がレーザービームにより温度が上昇することを防止することができる。
【0033】
第1遮断部及び第2遮断部を光吸収面として備える場合、工程が進むチャンバー内でレーザービームによるチャンバー温度上昇を防止することができる。
【0034】
各単位セルで少なくとも第1方向に配設された第1壁は一括溶解されてから硬くなるので、接合力がさらに高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による平板表示装置の製造方法により製造される平板表示装置用基板の平面図である。
【図2】図1のII−II線の断面図、
【図3】図1の表示部の一例を示した断面図である。
【図4】図1のレーザー照射器の背面図である。
【図5】図2のマスクの一例による平面図である。
【図6】図2のマスクの他の一例による平面図である。
【図7】本発明によって行われるレーザービームのスキャニング過程の一例を示した概略図である。
【図8】本発明によって行われるレーザービームのスキャニング過程の他の一例を示した概略図である。
【図9】レーザービームが照射されるマスクの一例を示した断面図である。
【図10】レーザービームが傾斜方向に照射されるマスクの一例を示した断面図である。
【図11】マスクの他の一例を示した断面図である。
【図12】本発明の望ましい一実施形態による平板表示装置の製造方法により製造される平板表示装置用基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0037】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による平板表示装置の製造方法により製造される平板表示装置用基板の平面図であり、図2は、図1のII−IIの断面図である。
【0038】
図1及び図2に示したように、互いに対向した第1基板1と第2基板2とを準備し、このうち一つである第1基板1の一面に複数の発光部3を形成する。前記第1基板1と第2基板2とは、複数の単位素子を形成するためのマザーガラスとなる。
【0039】
第1基板1及び第2基板2は、透明なガラス材が使われうるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第1基板1及び第2基板2のうち、いずれか一つは不透明な基板を使用してもよい。
【0040】
前記各発光部3は、複数の発光素子を備えているものであって、本発明の望ましい一実施形態によれば、有機発光素子を複数備える有機発光部になりうる。
【0041】
図3は、前記発光部3の一例を示したものであって、能動駆動型有機発光素子を示したものである。
【0042】
図3に示したように、第1基板1の上面には不純物イオンが広がることを防止し、水分や外気の浸透を防止し、表面を平坦化するためのバリアー層及び/またはバッファー層のような絶縁層11が形成されうる。
【0043】
この絶縁層11上にTFT(Thin Film Transistor)の活性層12が半導体材料により形成され、これを覆うようにゲート絶縁膜13が形成される。活性層12は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンのような無機材半導体や、有機半導体が使われうるが、ソース領域12a、ドレイン領域12bとこれらの間にチャンネル領域12cとを有する。
【0044】
ゲート絶縁膜13上にはゲート電極14が備えられ、これを覆うように層間絶縁膜15が形成される。そして、層間絶縁膜15上にはソース電極16a及びドレイン電極16bが備えられ、これを覆うように平坦化膜17及び画素定義膜18が順次に備えられる。
【0045】
前記ゲート絶縁膜13、層間絶縁膜15、平坦化膜17、及び画素定義膜18は絶縁体で備えられうるが、単層または複数層の構造で形成されており、有機物、無機物、または有/無機複合物で形成できる。
【0046】
前述したようなTFTの積層構造は必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な構造のTFTがいずれも適用できる。
【0047】
一方、前記平坦化膜17の上部には、有機発光素子(OLED)の一電極である画素電極31が形成され、その上部に画素定義膜18が形成され、この画素定義膜18に所定の開口部を形成して画素電極31を露出させた後、OLEDの有機発光膜32を形成する。
【0048】
前記OLEDは、電流のフローによって赤色、緑色、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、TFTのドレイン電極16bにコンタクトホールを通じてコンタクトされた画素電極31、画素全体を覆うように備えられた対向電極33、及びこれら画素電極31と対向電極33との間に配置されて発光する有機発光膜32で構成される。
【0049】
前記画素電極31と対向電極33とは、前記有機発光膜32により互いに絶縁されており、有機発光膜32に相異なる極性の電圧を加えて有機発光膜32で発光を行わせる。
【0050】
前記有機発光膜32は、低分子または高分子有機膜が使われうる。低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc:Copper Phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成できる。この時、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層などは共通層であって、赤色、緑色、青色のピクセルに共通で適用できる。したがって、図3とは異なって、これら共通層は対向電極33のようにピクセル全体を覆うように形成できる。
【0051】
前記画素電極31はアノード電極の機能を行い、前記対向電極33はカソード電極の機能を行うが、もちろん、これら画素電極31と対向電極33の極性とは逆になってもよい。
【0052】
第1基板1の方向に画像が具現される背面発光型である場合、前記画素電極31は透明電極になり、対向電極33は反射電極になりうる。この時、画素電極31は、仕事関数が大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などで形成され、対向電極33は仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caなどで形成できる。
【0053】
対向電極33の方向に画像を具現する前面発光型の場合、前記画素電極31は反射電極として備えられ、対向電極33は透明電極として備えられうる。この時、画素電極31になる反射電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で形成された反射膜と、仕事関数が大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などとを含んで備えられることができる。そして、前記対向電極33になる透明電極は、仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などの透明導電物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。
【0054】
両面発光型の場合、前記画素電極31と対向電極33いずれも透明電極で備えられうる。
【0055】
前記画素電極31及び対向電極33は、必ずしも前述した物質で形成されるものではなく、伝導性有機物や、Ag、Mg、Cuなど導電粒子が含まれた伝導性ペーストなどで形成してもよい。これらの伝導性ペーストを使用する場合、インクジェットプリンティング方法を使用してプリンティングでき、プリンティング後には焼成して電極として形成できる。
【0056】
このように製造された表示部3の対向電極33の上面には、この表示部3を覆うように無機物、有機物、または有無機複合積層物からなるパッシベーション膜34がさらに備えられうる。
【0057】
一方、図1に示したように、前記表示部3に隣接しては、IC(Integrated Circuit)やその他の回路装置のような外部素子(図示せず)と表示部3とを連結するパッド部4がそれぞれ設置されている。
【0058】
前記表示部3とパッド部4とは、第1方向Xにm個、第2方向Yにn個備えられている。この時、一つの表示部3とパッド部4とが一つの単位セルをなし、各単位セルの表示部3とパッド部4とは第2方向Yに互いに隣接している。もちろん、前記パッド部4を、前記表示部3に対して第1方向Xに隣接するように配置させてもよく、表示部3を取り囲むように配置させてもよい。
【0059】
そして、前記各表示部3を取り囲むように、ペースト状態のガラス密封材料が第2基板2の第1基板1に向かう面に閉鎖ループである壁形態に塗布され、これを一次的に熱処理して硬化させて壁5を形成する。もちろん、壁5は、第1基板1の第2基板2に向かう面に形成されてもよい。ペースト状態のガラス密封材料は、ディスペンサーを利用して各セルに順次に塗布されるか、スクリーンプリンティング法を利用して各セルに一括塗布されうる。
【0060】
前記ペースト状態のガラス密封材料は、いわゆるガラスフリットで備えられるが、レーザービームの動作波長を吸収できる鉄、銅、バナジウム、またはネオジムなどの吸収材を含むことができ、また、前記の第1基板1及び/または第2基板2との熱膨張係数の調和のためのフィラー物質を含むことができる。これらのガラス密封材料としては、この他にも公知のガラスフリットが適用できる。
【0061】
次いで、壁5が形成された第2基板2と第1基板1とを整列した後、レーザー照射器7を通じて壁5にレーザービームを照射してガラス密封材料を溶かした後、これを再び冷却させることによって第1基板1と第2基板2とを接合する。この時、第1基板1と第2基板2との間には、壁5との十分な接触のために所定の加圧力が加えられうる。
【0062】
図2に示したように、レーザービームの照射は第1基板1の上部から行われるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第2基板2の下部から行われてもよく、また第1基板1の上部及び第2基板2の下部で同時に行われてもよい。
【0063】
本発明において前記レーザービームの照射は、図1に示したように、第1方向Xに配列されている発光部3を取り囲んでいる壁5に対して同時に照射する。次いで、図1に示したように、第2方向Yであるスキャニング方向Sにレーザー照射器7を移動させつつスキャンする。
【0064】
すなわち、レーザー照射器7から照射されるレーザービームは、図1の第1方向Xに沿って位置する壁5の部分を一括照射し、次第に第2方向Yに移動しつつ壁5の残りの部分を照射する。
【0065】
これにより、各単位発光素子を形成する発光部3のうち、第1方向Xに配列されている発光部3の壁5の部分が一括してレーザービームを受け、またこのレーザービームが第2方向Yにスキャニングされるため、マザーガラスである第1基板1及び第2基板2が受ける熱的ストレスは均一な分布になる。
【0066】
これは、少なくとも第1方向Xに配列されている発光部3に対応する第1基板1及び第2基板2は同じ熱的ストレスを受けるようになり、これらの熱的ストレスを受ける回数もm×n回になるものではなく、n回になるため、隣接セルでのレーザービーム照射により熱的ストレスの回数も大幅に減少する。
【0067】
本発明でこのようにマザーガラスである第1基板1及び第2基板2の第1方向Xに沿って配置されている壁5を一括レーザー照射させるのは、図4に示したように、複数のレーザー発光ダイオード72を並列に連結した後、これを基板71上に一列に配置させたレーザー照射器7を通じて具現できる。
【0068】
各レーザー発光ダイオード72は、400ないし1200nmの波長のレーザービームを発光させるラインバー形態のものでありうるが、複数のレーザー発光ダイオード72らが並列に連結されていて、レーザー照射器7全体にかけて均一な強度のレーザービームを照射することができる。この時、各レーザー発光ダイオード72から発散されるビームスポットは互いに重畳させることが望ましく、これにより、均一な線形のレーザービームを得ることができる。線形レーザービームの均一度は、ライン全体に対して±5%以内であることが望ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0069】
また、レーザー照射器7は、図面に図示していないが、均一なラインビーム形態のレーザービームを構成するために集光用光学系をさらに備えることができる。光学系は、コリメーションレンズ、均質化レンズ、プロジェクションレンズなどで構成できる。このように光学系を利用してレーザービームを集光する場合には、レーザーダイオードのみを利用する場合に比べて、効率を高めることができる。
【0070】
このようにレーザービームを集光してビーム幅が数百μm〜2mm以内の大型ラインビームを構成できる。
【0071】
ラインビームは、その断面が四角形で備えられるが、長辺の長さは、第1方向Xに配列されている複数の壁の幅に対応する長さになるようにすることができる。
【0072】
ラインビームのエネルギー分布は、長辺の場合にフラットトップ形態であり、短辺の場合、ガウス形態またはフラットトップ形態でありうる。
【0073】
これらのレーザー照射器7は、図1に示したように、第1方向Xに沿って延びるように形成され、その延びた長さ、すなわち、図4に示したように、最左側レーザー発光ダイオード72から最右側レーザー発光ダイオード72までの幅は、第1基板1及び第2基板2の第1方向Xの幅に対応するように形成できる。もちろん、図1から分かるように、第1基板1及び第2基板2の第1方向Xの両端から内側に所定距離ほど離隔して発光部3が形成されるため、レーザー照射器7の延びた長さは、少なくとも図1から見た時、第1方向Xの最左側セルの最左側端部から第1方向Xの最右側セルの最右側端部までならば十分であるといえる。
【0074】
しかし、前述したように、レーザー照射器7が別途の光学系を備える場合には、光学系によるラインビームの分散及び集光ができるので、レーザー照射器7の延びた長さは、第1基板1及び第2基板2の第1方向Xの幅より小さいことは言うまでもない。
【0075】
これらのレーザー照射器7は、一定数のレーザー発光ダイオード72を並列に連結して、図4のような形態に作ったものを一つのユニットとし、これを複数組み合わせることでさらに大きい形態の基板、または小さな形態の基板に適用できる。したがって、マザーガラスの大きさが変形されるにつれて、これに対応するように前記ユニットの数字を調節することによって、マザーガラスの一方向に対応する幅でレーザービームを一括照射できるようになる。また、後述するように、レーザー照射器7から照射されるラインビームが短いラインビームである場合には、第2方向に複数回のスキャンを通じてマザーガラス全体に対するスキャニングを完了することもできるので、小型のレーザー照射器7を使用してもよい。
【0076】
一方、図2から分かるように、レーザー照射器7と第1基板1との間にはマスク6が配置されて、レーザービームがマスク6を透過して壁5にレーザービームを照射させることができる。図1では、マスクの図示を省略した。
【0077】
マスク6は、透光可能な透明なガラス61に透光領域64と光遮断領域65とを形成することによって、レーザービームを壁5の部分のみに照射させ、特に、発光部3をレーザービームから保護する。
【0078】
これらの透光領域64と光遮断領域65とは、図5から分かるように、各単位セルに対応するようにパターニングされているが、光遮断領域65は、少なくとも第1基板1のエッジと発光部3に対応する領域とにレーザー照射されないようにパターニングされることが望ましい。したがって、図2から分かるように、前記透光領域64は、隣接した2つの単位セルの互いに対向する壁5の部分に対しては開放されたパターンになるように形成できる。これは、透光領域64の幅を十分に広くして壁5に十分にレーザービームを照射させることができる。
【0079】
もちろん、透光領域64のパターンが必ずしもこれに限定されるものではなく、図6から分かるように、透光領域64が前記壁のパターンに対応するパターンで備えられたものでもありうる。
【0080】
透光領域64の最小幅は、前記壁5の最大幅より広くすることが望ましい。これは、レーザービームのビームプロファイルを見れば、中心部では強度が大きくてエッジへ行くほどその強度が急激に落ちるためであり、壁5の幅にかけてほぼ均一な強度のレーザービームが照射されるように透光領域64の幅を設定するが望ましい。
【0081】
これらのマスク6を利用して、図1のようにレーザー照射器7でレーザービームをスキャニングするに当たって、図7から分かるように、ラインビーム形態のレーザービームLの長辺の長さがセル全体をいずれも一括スキャニングできるほど十分に長ければ、一回のスキャニングSでセル全体に対してレーザービーム照射を終えることができる。
【0082】
一方、図8から分かるように、ラインビーム形態のレーザービームLの長辺の長さがセル全体をいずれも一括スキャニングできるほど十分に長くない場合、例えば、セル全体のうち半分ほどに対してスキャニングできるほどの長さならば、第1区域に対して第1スキャニングS1を行った後、隣接した第2区域に対して第2スキャニングS2を行って、セル全体に対してレーザービーム照射を終えることができる。
【0083】
一方、本発明において、前記マスク6の光遮断領域65は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している少なくとも2つの遮断部62、63により構成できる。これにより、第1方向Xに延びた線形のレーザービームが一括照射される時に、傾斜方向から入射されるレーザービームから発光部3を最大限保護できるようになる。
【0084】
すなわち、本発明において、レーザービームは、第1方向Xに延びた方向に対して一括照射する。したがって、隣接セルの直上部に位置したレーザー発光ダイオードから発散された光が当該セルに傾斜方向に入射される。本発明は、光遮断領域65を構成する遮断部をレーザービームの透過方向に順次に配置させることによって、傾斜方向からのレーザービームの入射を最大限遮断させるものである。
【0085】
具体的に、図9から分かるように、透明ガラス61の互いに対向する両面に第1遮断部62及び第2遮断部63を形成することによって、第1遮断部62により傾斜方向のレーザービームの入射を1次に遮断し、第1遮断部62を透過するか、または第1遮断部62の側に入射されるレーザービームを、第2遮断部63が2次に遮断する。したがって、レーザービームは隣接単位セルの発光部3を損傷させず、ほぼ直線に近く壁5のみに向かうことができる。
【0086】
一方、図9による実施形態の場合には、レーザービームが第1、2基板1、2の表面に対して垂直の方向に入射されることを想定したものであるが、前記レーザービームは、第1、2基板1、2の表面に対して所定角度傾斜した方向に入射させることができる。
【0087】
すなわち、図10から分かるように、レーザービームが第1、2基板1、2の表面に対して垂直の方向に対してθの角度で傾けて入射させる場合を想定できる。この場合は、レーザー照射器から出射されたレーザービームがレーザー照射器に再び反射されてレーザー照射器を損傷させることを防止でき、この時の入射角θは30°以内にすることが望ましい。
【0088】
このようにレーザービームをθの角度で傾いて入射させる場合には、図10から分かるように、第1遮断部62のパターンと第2遮断部63のパターンとが互いに変わる。これは、傾いて入射されたレーザービームがガラス61を通過しつつ屈折されるためである。
【0089】
このように第1遮断部62と第2遮断部63とのパターンが互いに変わることによって、第1遮断部62により形成される第1透光領域64aと第1光遮断領域65aとのパターン位置と、第2遮断部63により形成される第2透光領域64bと第2光遮断領域65bとのパターン位置とが互いに変わる。これらの位置の変更は、ガラス61の材質とレーザービームの入射角θとによって変わりうる。
【0090】
一方、前記第1遮断部62と第2遮断部63とは、それぞれまたはそのうちいずれか一つのみでも、図11に示したように、複数の第1遮断部62a、62b及び第2遮断部63a、63bで形成され、各第1遮断部62a、62b及び/または第2遮断部63a、63bには誘電体層66が介在される。図11には、前記誘電体層66がマスク6の面積全体に対して形成されていると図示されているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、第1遮断部62a、62b及び/または第2遮断部63a、63bが備えられた部分のみに形成されてもよい。
【0091】
遮断部の層間構造は、レーザービームの入射角θやレーザービームのビームプロファイル、波長、屈折角度などを考慮して決定できる。
【0092】
これらの第1遮断部62及び第2遮断部63は、光反射面または光吸収面で備えられうる。第1遮断部62及び第2遮断部63を光反射面で備える場合、レーザービームが発光部3に向かうことを防止するだけではなく、マスク自体がレーザービームにより温度が上がることを防止するため、望ましい。第1遮断部62及び第2遮断部63を光吸収面で備える場合、工程が進むチャンバー内でレーザービームによるチャンバー温度上昇を防止することができる。
【0093】
前記のようなマスク6によりレーザービームは、図1に示したように、各壁5のうち第1方向Xに延びている第1壁51にまず同時に照射され、以後順次にこの第1壁51に直交する第2壁52に対して同時にスキャニングされて照射されうる。したがって、各単位セルでもレーザービームは、壁5が形成されたことと同じ形態である閉ループをなして照射されるものではなく、一つの第1壁51全体に同時に照射された後、この第1壁51を中心に両側の第2壁52に順次に照射され、次いで反対側の第1壁51全体に同時に照射される形態を有するようになる。したがって、各単位セルでも少なくとも第1方向Xに配設された第1壁51は、部分的に溶けてから固まる動作を繰り返すものではなく、一括的に溶けて固まるので、接合力がさらに高くなりうる。
【0094】
一方、前述した実施形態ではレーザービームの照射を第1方向Xに同時に進めた後、第2方向Yに沿ってスキャニングすると説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、図12に示したように、第2方向Yに対してレーザービームの照射を同時に進めた後、第1方向Xに沿ってスキャニングすることでも達成できる。
【0095】
以上説明したような本発明は、必ずしも有機発光表示装置に限定されるものではなく、液晶表示装置や、無機電界発光表示装置など多様な平板表示装置に適用できるということはいうまでもない。
【0096】
本発明は図面に示した一実施形態を参考までに説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び実施形態の変形が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、有機発光表示装置、TFT−LCDなどの平板型表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0098】
1 第1基板
2 第2基板
3 発光部
4 パッド部
5 壁
51 第1壁
52 第2壁
7 レーザー照射器
S スキャニング方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板表示装置の製造方法に係り、さらに詳細には、ガラス密封材料により密封される平板表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に有機発光表示装置、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)などの平板型表示装置は、駆動特性のため超薄型化及びフレキシブル化が可能であって、これについての多くの研究がなされている。
【0003】
このうち、有機発光表示装置は、水分の浸透により劣化する特性を持っている。したがって、水分の浸透を防止するための封止構造を必要とする。
【0004】
従来には、金属缶やガラス基板を、溝を有するようにキャップ形態に加工して密封部材とし、その溝に水分の吸収のための乾燥剤をパウダー状に搭載するか、フィルム形態に製造して両面テープを利用して接着した後、この密封部材をUV硬化有機シーラントや、熱硬化有機シーラントを利用して素子が形成された基板に接合する方法を利用した。
【0005】
密封部材と基板とを接合させるための有機シーラントの場合、耐圧特性がよくなく、経時的に耐透湿性が顕著に低下して密封効果を低減させるという問題があった。
【0006】
これらの問題のため、最近では耐圧特性が高くて、優秀な密封特性が得られるガラス密封材料を前記有機シーラントの代替用に使用しようとする試みがある。ガラス密封材料を利用したシーリングにおいて、ガラス密封材料の溶融のためにレーザービームが使用できる。
【0007】
特許文献1には、これらのレーザービームを利用したガラス密封材料の接合方法の一例が開示されている。
【0008】
開示された接合方法の場合、互いに対向した1対のマザーガラスに複数の発光素子を形成した後、各発光素子を閉鎖的に取り囲むように形成されているガラス密封材に対して、順次にレーザービームを照射してガラス密封材を溶かす方法を採択している。
【0009】
ところが、この場合、各発光素子を取り囲んでいるガラス密封材の塗布された形態に沿ってレーザービームが照射されるので、レーザービームの照射形態も各発光素子を取り囲む閉鎖ループになり、これらの閉鎖ループが発光素子の数ほど繰り返るようになる。
【0010】
この場合、レーザービーム照射により発生した熱的ストレスによってマザーガラスの切断面に不良が発生するなどの問題があった。
【0011】
レーザービームによりガラス密封材料を溶かしてマザーガラスを接合させる時には、ガラス密封材料を溶かして冷却することによって、瞬間的な温度上昇及び下降が繰り返る。これは、マザーガラスに急激な熱衝撃として作用し、このような熱衝撃はマザーガラスに部分別にストレス偏差を発生させる。これらのストレス偏差により、マザーガラスの切断時にクラックの伝播が所望の方向に行われず、また切断面に突起や微細破片などを発生させる原因になる。それだけでなく、一部の発光素子のマザーガラス部分を膨脹させてニュートンリングというリング形状が外部で観察されるようになるという問題を引き起こす恐れがある。
【0012】
ストレス偏差は、前記の閉鎖ループを隣接した発光素子別に反復して進めることによって、マザーガラス全体に対してはさらに加重される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0128967号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのものであって、レーザーでガラス密封材料を溶かしてマザーガラスを接合させる時に、マザーガラスに加えられるストレス偏差を最小化できる平板表示装置の製造方法を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような目的を達成するために、本発明は、互いに対向した第1基板と第2基板との間に複数の発光部を形成する工程であって、各発光部別に単位ディスプレイ素子にする工程と、前記第1基板と第2基板との間に複数の壁を形成する工程であって、前記各壁は前記各発光部を取り囲むように配置される工程と、前記壁にレーザービームを照射する工程であって、第1方向に配列された複数の壁に対して同時にレーザービームを照射する工程と、前記レーザービームを前記第1方向と異なる第2方向にスキャニングする工程と、前記第1基板及び第2基板を前記各単位ディスプレイ素子別に切断する工程と、を含む平板表示装置の製造方法を提供する。
【0016】
前記第1方向と第2方向とは互いに直交する。
【0017】
前記各壁は、前記第1方向に沿って延びた第1壁と前記第2方向に沿って延びた第2壁とを備え、前記レーザービームは、複数の第1壁を同時に照射した後、順次に第2壁の少なくとも一部を同時に照射できる。
【0018】
前記レーザービームは、前記壁に照射される前にマスクを透過するが、前記マスクは、前記レーザービームが透過する透光領域と、前記透光領域の周囲に前記レーザービームの透過を遮断する光遮断領域とを備え、前記光遮断領域は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している複数の遮断部を備える。
【0019】
前記各遮断部の間に誘電体層が介在される。
【0020】
前記マスクは、互いに対向した第1面と第2面とを備えた透明なガラスを備え、前記遮断部は、前記ガラスの第1面に形成された第1遮断部と前記ガラスの第2面に形成された第2遮断部とを備える。
【0021】
前記第1遮断部のパターンと前記第2遮断部のパターンとが互いに異なる。
【0022】
前記透光領域は、前記壁のパターンに対応するパターンで備えられる。
【0023】
前記透光領域は、前記壁のパターンと異なるパターンで備えられる。
【0024】
前記透光領域は、前記壁のうち、互いに隣接した部分に対して互いに開放されたパターンで備えられる。
【0025】
前記光遮断領域は、レーザービームを反射する反射面を備える。
【0026】
前記光遮断領域は、レーザービームを吸収する吸収面を備える。
【0027】
前記レーザービームは、並列連結されて同時に発光する複数のレーザー発光素子により照射される。
【0028】
前記レーザービームは、長方形のラインビームであり、前記ラインビームの長辺の長さは、前記第1方向に配列された複数の壁の幅に対応する。
【発明の効果】
【0029】
前記のような本発明によれば、マザーガラスである第1基板及び第2基板が受ける熱的ストレスは均一な分布になり、隣接セルでのレーザービーム照射により熱的ストレスの回数も大幅減少して、カッティング不良やニュートンリングなどの各ユニットセルに対する素子欠陥を防止できる。
【0030】
レーザー発光ダイオードを並列に連結して前記第1方向に沿って配列することによって、一定の強度の線形のレーザービームを得ることができ、マザーガラスサイズに可変的に線形レーザービームのサイズを容易に変形適用できる。
【0031】
マスクの光遮断領域は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している少なくとも2つの遮断部を備えるように備えることによって、第1方向に延長した線形のレーザービームが一括照射される時に、傾斜方向から入射されるレーザービームから発光部を最大限保護できるようになる。
【0032】
第1遮断部及び第2遮断部を光反射面として備えることによって、レーザービームが発光部に向かうことを防止するだけではなく、マスク自体がレーザービームにより温度が上昇することを防止することができる。
【0033】
第1遮断部及び第2遮断部を光吸収面として備える場合、工程が進むチャンバー内でレーザービームによるチャンバー温度上昇を防止することができる。
【0034】
各単位セルで少なくとも第1方向に配設された第1壁は一括溶解されてから硬くなるので、接合力がさらに高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による平板表示装置の製造方法により製造される平板表示装置用基板の平面図である。
【図2】図1のII−II線の断面図、
【図3】図1の表示部の一例を示した断面図である。
【図4】図1のレーザー照射器の背面図である。
【図5】図2のマスクの一例による平面図である。
【図6】図2のマスクの他の一例による平面図である。
【図7】本発明によって行われるレーザービームのスキャニング過程の一例を示した概略図である。
【図8】本発明によって行われるレーザービームのスキャニング過程の他の一例を示した概略図である。
【図9】レーザービームが照射されるマスクの一例を示した断面図である。
【図10】レーザービームが傾斜方向に照射されるマスクの一例を示した断面図である。
【図11】マスクの他の一例を示した断面図である。
【図12】本発明の望ましい一実施形態による平板表示装置の製造方法により製造される平板表示装置用基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0037】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による平板表示装置の製造方法により製造される平板表示装置用基板の平面図であり、図2は、図1のII−IIの断面図である。
【0038】
図1及び図2に示したように、互いに対向した第1基板1と第2基板2とを準備し、このうち一つである第1基板1の一面に複数の発光部3を形成する。前記第1基板1と第2基板2とは、複数の単位素子を形成するためのマザーガラスとなる。
【0039】
第1基板1及び第2基板2は、透明なガラス材が使われうるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第1基板1及び第2基板2のうち、いずれか一つは不透明な基板を使用してもよい。
【0040】
前記各発光部3は、複数の発光素子を備えているものであって、本発明の望ましい一実施形態によれば、有機発光素子を複数備える有機発光部になりうる。
【0041】
図3は、前記発光部3の一例を示したものであって、能動駆動型有機発光素子を示したものである。
【0042】
図3に示したように、第1基板1の上面には不純物イオンが広がることを防止し、水分や外気の浸透を防止し、表面を平坦化するためのバリアー層及び/またはバッファー層のような絶縁層11が形成されうる。
【0043】
この絶縁層11上にTFT(Thin Film Transistor)の活性層12が半導体材料により形成され、これを覆うようにゲート絶縁膜13が形成される。活性層12は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンのような無機材半導体や、有機半導体が使われうるが、ソース領域12a、ドレイン領域12bとこれらの間にチャンネル領域12cとを有する。
【0044】
ゲート絶縁膜13上にはゲート電極14が備えられ、これを覆うように層間絶縁膜15が形成される。そして、層間絶縁膜15上にはソース電極16a及びドレイン電極16bが備えられ、これを覆うように平坦化膜17及び画素定義膜18が順次に備えられる。
【0045】
前記ゲート絶縁膜13、層間絶縁膜15、平坦化膜17、及び画素定義膜18は絶縁体で備えられうるが、単層または複数層の構造で形成されており、有機物、無機物、または有/無機複合物で形成できる。
【0046】
前述したようなTFTの積層構造は必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な構造のTFTがいずれも適用できる。
【0047】
一方、前記平坦化膜17の上部には、有機発光素子(OLED)の一電極である画素電極31が形成され、その上部に画素定義膜18が形成され、この画素定義膜18に所定の開口部を形成して画素電極31を露出させた後、OLEDの有機発光膜32を形成する。
【0048】
前記OLEDは、電流のフローによって赤色、緑色、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであって、TFTのドレイン電極16bにコンタクトホールを通じてコンタクトされた画素電極31、画素全体を覆うように備えられた対向電極33、及びこれら画素電極31と対向電極33との間に配置されて発光する有機発光膜32で構成される。
【0049】
前記画素電極31と対向電極33とは、前記有機発光膜32により互いに絶縁されており、有機発光膜32に相異なる極性の電圧を加えて有機発光膜32で発光を行わせる。
【0050】
前記有機発光膜32は、低分子または高分子有機膜が使われうる。低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成され、使用可能な有機材料も銅フタロシアニン(CuPc:Copper Phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成できる。この時、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層などは共通層であって、赤色、緑色、青色のピクセルに共通で適用できる。したがって、図3とは異なって、これら共通層は対向電極33のようにピクセル全体を覆うように形成できる。
【0051】
前記画素電極31はアノード電極の機能を行い、前記対向電極33はカソード電極の機能を行うが、もちろん、これら画素電極31と対向電極33の極性とは逆になってもよい。
【0052】
第1基板1の方向に画像が具現される背面発光型である場合、前記画素電極31は透明電極になり、対向電極33は反射電極になりうる。この時、画素電極31は、仕事関数が大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などで形成され、対向電極33は仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caなどで形成できる。
【0053】
対向電極33の方向に画像を具現する前面発光型の場合、前記画素電極31は反射電極として備えられ、対向電極33は透明電極として備えられうる。この時、画素電極31になる反射電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で形成された反射膜と、仕事関数が大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などとを含んで備えられることができる。そして、前記対向電極33になる透明電極は、仕事関数が小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などの透明導電物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。
【0054】
両面発光型の場合、前記画素電極31と対向電極33いずれも透明電極で備えられうる。
【0055】
前記画素電極31及び対向電極33は、必ずしも前述した物質で形成されるものではなく、伝導性有機物や、Ag、Mg、Cuなど導電粒子が含まれた伝導性ペーストなどで形成してもよい。これらの伝導性ペーストを使用する場合、インクジェットプリンティング方法を使用してプリンティングでき、プリンティング後には焼成して電極として形成できる。
【0056】
このように製造された表示部3の対向電極33の上面には、この表示部3を覆うように無機物、有機物、または有無機複合積層物からなるパッシベーション膜34がさらに備えられうる。
【0057】
一方、図1に示したように、前記表示部3に隣接しては、IC(Integrated Circuit)やその他の回路装置のような外部素子(図示せず)と表示部3とを連結するパッド部4がそれぞれ設置されている。
【0058】
前記表示部3とパッド部4とは、第1方向Xにm個、第2方向Yにn個備えられている。この時、一つの表示部3とパッド部4とが一つの単位セルをなし、各単位セルの表示部3とパッド部4とは第2方向Yに互いに隣接している。もちろん、前記パッド部4を、前記表示部3に対して第1方向Xに隣接するように配置させてもよく、表示部3を取り囲むように配置させてもよい。
【0059】
そして、前記各表示部3を取り囲むように、ペースト状態のガラス密封材料が第2基板2の第1基板1に向かう面に閉鎖ループである壁形態に塗布され、これを一次的に熱処理して硬化させて壁5を形成する。もちろん、壁5は、第1基板1の第2基板2に向かう面に形成されてもよい。ペースト状態のガラス密封材料は、ディスペンサーを利用して各セルに順次に塗布されるか、スクリーンプリンティング法を利用して各セルに一括塗布されうる。
【0060】
前記ペースト状態のガラス密封材料は、いわゆるガラスフリットで備えられるが、レーザービームの動作波長を吸収できる鉄、銅、バナジウム、またはネオジムなどの吸収材を含むことができ、また、前記の第1基板1及び/または第2基板2との熱膨張係数の調和のためのフィラー物質を含むことができる。これらのガラス密封材料としては、この他にも公知のガラスフリットが適用できる。
【0061】
次いで、壁5が形成された第2基板2と第1基板1とを整列した後、レーザー照射器7を通じて壁5にレーザービームを照射してガラス密封材料を溶かした後、これを再び冷却させることによって第1基板1と第2基板2とを接合する。この時、第1基板1と第2基板2との間には、壁5との十分な接触のために所定の加圧力が加えられうる。
【0062】
図2に示したように、レーザービームの照射は第1基板1の上部から行われるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第2基板2の下部から行われてもよく、また第1基板1の上部及び第2基板2の下部で同時に行われてもよい。
【0063】
本発明において前記レーザービームの照射は、図1に示したように、第1方向Xに配列されている発光部3を取り囲んでいる壁5に対して同時に照射する。次いで、図1に示したように、第2方向Yであるスキャニング方向Sにレーザー照射器7を移動させつつスキャンする。
【0064】
すなわち、レーザー照射器7から照射されるレーザービームは、図1の第1方向Xに沿って位置する壁5の部分を一括照射し、次第に第2方向Yに移動しつつ壁5の残りの部分を照射する。
【0065】
これにより、各単位発光素子を形成する発光部3のうち、第1方向Xに配列されている発光部3の壁5の部分が一括してレーザービームを受け、またこのレーザービームが第2方向Yにスキャニングされるため、マザーガラスである第1基板1及び第2基板2が受ける熱的ストレスは均一な分布になる。
【0066】
これは、少なくとも第1方向Xに配列されている発光部3に対応する第1基板1及び第2基板2は同じ熱的ストレスを受けるようになり、これらの熱的ストレスを受ける回数もm×n回になるものではなく、n回になるため、隣接セルでのレーザービーム照射により熱的ストレスの回数も大幅に減少する。
【0067】
本発明でこのようにマザーガラスである第1基板1及び第2基板2の第1方向Xに沿って配置されている壁5を一括レーザー照射させるのは、図4に示したように、複数のレーザー発光ダイオード72を並列に連結した後、これを基板71上に一列に配置させたレーザー照射器7を通じて具現できる。
【0068】
各レーザー発光ダイオード72は、400ないし1200nmの波長のレーザービームを発光させるラインバー形態のものでありうるが、複数のレーザー発光ダイオード72らが並列に連結されていて、レーザー照射器7全体にかけて均一な強度のレーザービームを照射することができる。この時、各レーザー発光ダイオード72から発散されるビームスポットは互いに重畳させることが望ましく、これにより、均一な線形のレーザービームを得ることができる。線形レーザービームの均一度は、ライン全体に対して±5%以内であることが望ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0069】
また、レーザー照射器7は、図面に図示していないが、均一なラインビーム形態のレーザービームを構成するために集光用光学系をさらに備えることができる。光学系は、コリメーションレンズ、均質化レンズ、プロジェクションレンズなどで構成できる。このように光学系を利用してレーザービームを集光する場合には、レーザーダイオードのみを利用する場合に比べて、効率を高めることができる。
【0070】
このようにレーザービームを集光してビーム幅が数百μm〜2mm以内の大型ラインビームを構成できる。
【0071】
ラインビームは、その断面が四角形で備えられるが、長辺の長さは、第1方向Xに配列されている複数の壁の幅に対応する長さになるようにすることができる。
【0072】
ラインビームのエネルギー分布は、長辺の場合にフラットトップ形態であり、短辺の場合、ガウス形態またはフラットトップ形態でありうる。
【0073】
これらのレーザー照射器7は、図1に示したように、第1方向Xに沿って延びるように形成され、その延びた長さ、すなわち、図4に示したように、最左側レーザー発光ダイオード72から最右側レーザー発光ダイオード72までの幅は、第1基板1及び第2基板2の第1方向Xの幅に対応するように形成できる。もちろん、図1から分かるように、第1基板1及び第2基板2の第1方向Xの両端から内側に所定距離ほど離隔して発光部3が形成されるため、レーザー照射器7の延びた長さは、少なくとも図1から見た時、第1方向Xの最左側セルの最左側端部から第1方向Xの最右側セルの最右側端部までならば十分であるといえる。
【0074】
しかし、前述したように、レーザー照射器7が別途の光学系を備える場合には、光学系によるラインビームの分散及び集光ができるので、レーザー照射器7の延びた長さは、第1基板1及び第2基板2の第1方向Xの幅より小さいことは言うまでもない。
【0075】
これらのレーザー照射器7は、一定数のレーザー発光ダイオード72を並列に連結して、図4のような形態に作ったものを一つのユニットとし、これを複数組み合わせることでさらに大きい形態の基板、または小さな形態の基板に適用できる。したがって、マザーガラスの大きさが変形されるにつれて、これに対応するように前記ユニットの数字を調節することによって、マザーガラスの一方向に対応する幅でレーザービームを一括照射できるようになる。また、後述するように、レーザー照射器7から照射されるラインビームが短いラインビームである場合には、第2方向に複数回のスキャンを通じてマザーガラス全体に対するスキャニングを完了することもできるので、小型のレーザー照射器7を使用してもよい。
【0076】
一方、図2から分かるように、レーザー照射器7と第1基板1との間にはマスク6が配置されて、レーザービームがマスク6を透過して壁5にレーザービームを照射させることができる。図1では、マスクの図示を省略した。
【0077】
マスク6は、透光可能な透明なガラス61に透光領域64と光遮断領域65とを形成することによって、レーザービームを壁5の部分のみに照射させ、特に、発光部3をレーザービームから保護する。
【0078】
これらの透光領域64と光遮断領域65とは、図5から分かるように、各単位セルに対応するようにパターニングされているが、光遮断領域65は、少なくとも第1基板1のエッジと発光部3に対応する領域とにレーザー照射されないようにパターニングされることが望ましい。したがって、図2から分かるように、前記透光領域64は、隣接した2つの単位セルの互いに対向する壁5の部分に対しては開放されたパターンになるように形成できる。これは、透光領域64の幅を十分に広くして壁5に十分にレーザービームを照射させることができる。
【0079】
もちろん、透光領域64のパターンが必ずしもこれに限定されるものではなく、図6から分かるように、透光領域64が前記壁のパターンに対応するパターンで備えられたものでもありうる。
【0080】
透光領域64の最小幅は、前記壁5の最大幅より広くすることが望ましい。これは、レーザービームのビームプロファイルを見れば、中心部では強度が大きくてエッジへ行くほどその強度が急激に落ちるためであり、壁5の幅にかけてほぼ均一な強度のレーザービームが照射されるように透光領域64の幅を設定するが望ましい。
【0081】
これらのマスク6を利用して、図1のようにレーザー照射器7でレーザービームをスキャニングするに当たって、図7から分かるように、ラインビーム形態のレーザービームLの長辺の長さがセル全体をいずれも一括スキャニングできるほど十分に長ければ、一回のスキャニングSでセル全体に対してレーザービーム照射を終えることができる。
【0082】
一方、図8から分かるように、ラインビーム形態のレーザービームLの長辺の長さがセル全体をいずれも一括スキャニングできるほど十分に長くない場合、例えば、セル全体のうち半分ほどに対してスキャニングできるほどの長さならば、第1区域に対して第1スキャニングS1を行った後、隣接した第2区域に対して第2スキャニングS2を行って、セル全体に対してレーザービーム照射を終えることができる。
【0083】
一方、本発明において、前記マスク6の光遮断領域65は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している少なくとも2つの遮断部62、63により構成できる。これにより、第1方向Xに延びた線形のレーザービームが一括照射される時に、傾斜方向から入射されるレーザービームから発光部3を最大限保護できるようになる。
【0084】
すなわち、本発明において、レーザービームは、第1方向Xに延びた方向に対して一括照射する。したがって、隣接セルの直上部に位置したレーザー発光ダイオードから発散された光が当該セルに傾斜方向に入射される。本発明は、光遮断領域65を構成する遮断部をレーザービームの透過方向に順次に配置させることによって、傾斜方向からのレーザービームの入射を最大限遮断させるものである。
【0085】
具体的に、図9から分かるように、透明ガラス61の互いに対向する両面に第1遮断部62及び第2遮断部63を形成することによって、第1遮断部62により傾斜方向のレーザービームの入射を1次に遮断し、第1遮断部62を透過するか、または第1遮断部62の側に入射されるレーザービームを、第2遮断部63が2次に遮断する。したがって、レーザービームは隣接単位セルの発光部3を損傷させず、ほぼ直線に近く壁5のみに向かうことができる。
【0086】
一方、図9による実施形態の場合には、レーザービームが第1、2基板1、2の表面に対して垂直の方向に入射されることを想定したものであるが、前記レーザービームは、第1、2基板1、2の表面に対して所定角度傾斜した方向に入射させることができる。
【0087】
すなわち、図10から分かるように、レーザービームが第1、2基板1、2の表面に対して垂直の方向に対してθの角度で傾けて入射させる場合を想定できる。この場合は、レーザー照射器から出射されたレーザービームがレーザー照射器に再び反射されてレーザー照射器を損傷させることを防止でき、この時の入射角θは30°以内にすることが望ましい。
【0088】
このようにレーザービームをθの角度で傾いて入射させる場合には、図10から分かるように、第1遮断部62のパターンと第2遮断部63のパターンとが互いに変わる。これは、傾いて入射されたレーザービームがガラス61を通過しつつ屈折されるためである。
【0089】
このように第1遮断部62と第2遮断部63とのパターンが互いに変わることによって、第1遮断部62により形成される第1透光領域64aと第1光遮断領域65aとのパターン位置と、第2遮断部63により形成される第2透光領域64bと第2光遮断領域65bとのパターン位置とが互いに変わる。これらの位置の変更は、ガラス61の材質とレーザービームの入射角θとによって変わりうる。
【0090】
一方、前記第1遮断部62と第2遮断部63とは、それぞれまたはそのうちいずれか一つのみでも、図11に示したように、複数の第1遮断部62a、62b及び第2遮断部63a、63bで形成され、各第1遮断部62a、62b及び/または第2遮断部63a、63bには誘電体層66が介在される。図11には、前記誘電体層66がマスク6の面積全体に対して形成されていると図示されているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、第1遮断部62a、62b及び/または第2遮断部63a、63bが備えられた部分のみに形成されてもよい。
【0091】
遮断部の層間構造は、レーザービームの入射角θやレーザービームのビームプロファイル、波長、屈折角度などを考慮して決定できる。
【0092】
これらの第1遮断部62及び第2遮断部63は、光反射面または光吸収面で備えられうる。第1遮断部62及び第2遮断部63を光反射面で備える場合、レーザービームが発光部3に向かうことを防止するだけではなく、マスク自体がレーザービームにより温度が上がることを防止するため、望ましい。第1遮断部62及び第2遮断部63を光吸収面で備える場合、工程が進むチャンバー内でレーザービームによるチャンバー温度上昇を防止することができる。
【0093】
前記のようなマスク6によりレーザービームは、図1に示したように、各壁5のうち第1方向Xに延びている第1壁51にまず同時に照射され、以後順次にこの第1壁51に直交する第2壁52に対して同時にスキャニングされて照射されうる。したがって、各単位セルでもレーザービームは、壁5が形成されたことと同じ形態である閉ループをなして照射されるものではなく、一つの第1壁51全体に同時に照射された後、この第1壁51を中心に両側の第2壁52に順次に照射され、次いで反対側の第1壁51全体に同時に照射される形態を有するようになる。したがって、各単位セルでも少なくとも第1方向Xに配設された第1壁51は、部分的に溶けてから固まる動作を繰り返すものではなく、一括的に溶けて固まるので、接合力がさらに高くなりうる。
【0094】
一方、前述した実施形態ではレーザービームの照射を第1方向Xに同時に進めた後、第2方向Yに沿ってスキャニングすると説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、図12に示したように、第2方向Yに対してレーザービームの照射を同時に進めた後、第1方向Xに沿ってスキャニングすることでも達成できる。
【0095】
以上説明したような本発明は、必ずしも有機発光表示装置に限定されるものではなく、液晶表示装置や、無機電界発光表示装置など多様な平板表示装置に適用できるということはいうまでもない。
【0096】
本発明は図面に示した一実施形態を参考までに説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び実施形態の変形が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、有機発光表示装置、TFT−LCDなどの平板型表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0098】
1 第1基板
2 第2基板
3 発光部
4 パッド部
5 壁
51 第1壁
52 第2壁
7 レーザー照射器
S スキャニング方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向した第1基板と第2基板との間に複数の発光部を形成する工程であって、各発光部別に単位ディスプレイ素子にする工程と、
前記第1基板と第2基板との間に複数の壁を形成する工程であって、前記各壁は前記各発光部を取り囲むように配置される工程と、
前記壁にレーザービームを照射する工程であって、第1方向に配列された全ての壁に対して同時にレーザービームを照射する工程と、
前記レーザービームを前記第1方向と直交する第2方向にスキャニングする工程と、
前記第1基板及び第2基板を前記各単位ディスプレイ素子別に切断する工程と、を含む平板表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記各壁は、前記第1方向に沿って延びた第1壁と前記第2方向に沿って延びた第2壁とを備え、前記レーザービームは、複数の第1壁を同時に照射した後、順次に第2壁の少なくとも一部を同時に照射することを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記レーザービームは、前記壁に照射される前にマスクを透過するが、前記マスクは、前記レーザービームが透過する透光領域と、前記透光領域の周囲に前記レーザービームの透過を遮断する光遮断領域とを備え、前記光遮断領域は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している複数の遮断部を備えることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記各遮断部の間に誘電体層が介在されたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記マスクは、互いに対向した第1面と第2面とを備えた透明なガラスを備え、前記遮断部は、前記ガラスの第1面に形成された第1遮断部と前記ガラスの第2面に形成された第2遮断部とを備える請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1遮断部のパターンと前記第2遮断部のパターンとが互いに異なることを特徴とする請求項5に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記透光領域は、前記壁のパターンに対応するパターンで備えられたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記透光領域は、前記壁のパターンと異なるパターンで備えられたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記透光領域は、前記壁のうち互いに隣接した部分に対して互いに開放されたパターンで備えられたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記光遮断領域は、レーザービームを反射する反射面を備えることを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記光遮断領域は、レーザービームを吸収する吸収面を備えることを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記レーザービームは、並列連結されて同時に発光する複数のレーザー発光素子により照射されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記レーザービームは、長方形のラインビームであり、前記ラインビームの長辺の長さは、前記第1方向に配列された複数の壁の幅に対応することを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項1】
互いに対向した第1基板と第2基板との間に複数の発光部を形成する工程であって、各発光部別に単位ディスプレイ素子にする工程と、
前記第1基板と第2基板との間に複数の壁を形成する工程であって、前記各壁は前記各発光部を取り囲むように配置される工程と、
前記壁にレーザービームを照射する工程であって、第1方向に配列された全ての壁に対して同時にレーザービームを照射する工程と、
前記レーザービームを前記第1方向と直交する第2方向にスキャニングする工程と、
前記第1基板及び第2基板を前記各単位ディスプレイ素子別に切断する工程と、を含む平板表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記各壁は、前記第1方向に沿って延びた第1壁と前記第2方向に沿って延びた第2壁とを備え、前記レーザービームは、複数の第1壁を同時に照射した後、順次に第2壁の少なくとも一部を同時に照射することを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記レーザービームは、前記壁に照射される前にマスクを透過するが、前記マスクは、前記レーザービームが透過する透光領域と、前記透光領域の周囲に前記レーザービームの透過を遮断する光遮断領域とを備え、前記光遮断領域は、前記レーザービームの透過方向に対して互いに離隔している複数の遮断部を備えることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記各遮断部の間に誘電体層が介在されたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記マスクは、互いに対向した第1面と第2面とを備えた透明なガラスを備え、前記遮断部は、前記ガラスの第1面に形成された第1遮断部と前記ガラスの第2面に形成された第2遮断部とを備える請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1遮断部のパターンと前記第2遮断部のパターンとが互いに異なることを特徴とする請求項5に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記透光領域は、前記壁のパターンに対応するパターンで備えられたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記透光領域は、前記壁のパターンと異なるパターンで備えられたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記透光領域は、前記壁のうち互いに隣接した部分に対して互いに開放されたパターンで備えられたことを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記光遮断領域は、レーザービームを反射する反射面を備えることを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記光遮断領域は、レーザービームを吸収する吸収面を備えることを特徴とする請求項3に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記レーザービームは、並列連結されて同時に発光する複数のレーザー発光素子により照射されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記レーザービームは、長方形のラインビームであり、前記ラインビームの長辺の長さは、前記第1方向に配列された複数の壁の幅に対応することを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−47845(P2013−47845A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−246362(P2012−246362)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2009−183461(P2009−183461)の分割
【原出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2009−183461(P2009−183461)の分割
【原出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]