説明

平面状の成形体又はシートの製造方法

異方性の熱膨張係数を有する平面状の成形体又はシートの製造は、押出可能な熱可塑性ポリマー成形材料を、10〜1000nmの範囲での直径、及び1:5〜1:10000の範囲のアスペクト比を有する小片状のフィロケイ酸塩で満たすことによって、満たされた熱可塑性ポリマー成形材料の押出し、そして続く押出物の単軸又は二軸に延伸によって実施し、平面状の成形体又はシートを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、押出可能な熱可塑性ポリマー成形材料からの異方性の熱膨張係数を有する平面状の成形体又はシートの製造方法に関する。
【0002】
熱可塑性プラスチックからなる構成部材は、金属から製造された部分に対して多数の利点を有するが、しかし決定的な欠点も有する。明確な質量の軽減を導く少ない密度、デザインにおける可撓性の高い程度を可能にする射出成形における効率の良い加工性、特定の耐食測定が不必要である固有の耐食性、及び金属構造物におけるプラスチック部材の簡単な統合が利点である。前記欠点の側面において、なかでも、しばしば高い吸水性、低い熱安定性(剛性の温度依存)及びポリマーの高い熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)に由来する低い形状安定性、並びにそれらか生じた製造の問題がある。特に自動車製造において、プラスチックからなるボデー取り付け部分は、従ってせいぜい、所望されるように、オンライン、それどころか一般にオフラインでもなく、インラインでのみ加工され、従って、その構成部分は、ペイントラインの終わりで組み立てられる。従って、追加の費用に加えて色合せの問題も結びつく。
【0003】
金属のCTEの大きさの等級は10×10-6-1であり、ガラス転移温度(Tg)以内のポリマーの等級は、100×10-6-1であり、従って10倍高い。金属のCTEが大幅な温度依存である場合に、ポリマーは、さらに2〜3倍のTgの超過で増加する。
【0004】
ポリマー成形材料における充填剤としての平板状の無機充填剤、例えばフィロケイ酸塩の使用は公知である。
【0005】
WO 2006/029138は、膜及びシートにさらに処理されうる水溶性ポリアミド組成物の製造に関する。この場合、フィロケイ酸塩を共に使用することができる。製造のために、ポリマーのアルコール溶液がフィロケイ酸塩と混合され、そして膜又はシートに注がれる。前記シートは、包装産業において使用されうる。
【0006】
JP−A−57083551は、改善された硬度及び延性を有する、バーミキュライトで満たしたポリアミド樹脂組成物に関する。そのために、>5のアスペクト比を有するバーミキュライトは、ナイロン−66中に取り込まれ、かつ射出成形される。異なる熱膨張係数は、押出方向及びそれらに垂直に測定された。
【0007】
ポリマー43(2002)、6727〜6741頁において、ナイロン−6−ナノ複合材料の熱膨張方法を記載している。そのために、フィロケイ酸塩をナイロン−6中に組み込み、そしてその成形材料を押出す。押出しは、3つの空間方向のために異なる熱膨張係数を導く。これから、層剥離させたフィロケイ酸塩の非統計的方向付けを導く。
【0008】
従来の方法で偶然及び従って定義できないフィロケイ酸塩の得られた方向付け、並びに従って熱膨張係数の結合された異方性は、しかしながら、2つの空間方向において低減させた熱膨張係数を要求する適用のために十分ではない。これは、特に、1mm未満の壁厚を有する射出成形で製造された生成物にも関係する。
【0009】
本発明を基礎とする課題は、特にガラス転移温度より高い温度で、ポリマー原料又は成形体の熱膨張を低下させることである。平面状に適合されるべき3次元の構成部材の関心の観点から、CTEは、二次元で減少されなければならい。三次元での、構成部材の厚さの変更は、より少ない又は適切ではない。このために原料、それらのブレンド又は化合物組成物に必要な変更は、有利には、強度の減少、従って物質の脆化と結びつかない。
【0010】
前記課題は、押出可能な熱可塑性ポリマー成形材料からなる異方性の熱膨張係数を有する平面状の成形体又はシートの製造方法において、10〜1000nmの範囲での直径及び1:5〜1:10000の範囲のアスペクト比を有する小片状のフィロケイ酸塩での該熱可塑性ポリマー成形材料の充填、充填された熱可塑性ポリマー成形材料の押出、そして続いて押出物の単軸又は二軸に延伸によって、平面状の成形体又はシートを得る方法による本発明によって解決される。
【0011】
平面状の成形体又はシートを得るための押出ノズルにおける剪断及び膨張によってすでに方向付けさせた押出物の単軸又は双軸の延伸によって、十分に高いフィロケイ酸塩の方向付けを達することができ、その結果、熱膨張係数が平面のレベルでわずかであるのに対して、表面に対する垂直さが高いことが、本発明によって見出される。これによって、成形体又はシートが入手可能であり、その成形体又は膜は、CTEを二次元で低減しない。
【0012】
原則として、この場合、CTEの低減のために、ポリマーに対して少ない熱膨張の無機化合物を使用しうる。前記化合物が粉末としてポリマー中で均一に配合される場合に、CTEは、混合ルールに応じて、充填剤の濃度に関して直線的及び等方的に低減される。充填剤のCTEが、約10×10-6-1であるために、公知の方法が重要な効果を達成するために、非常に高い充填剤の濃度を必要とすることに従って、機械的性質、特に原料の粘性に対してネガティブな結果をもたらす。驚くべきことに、有利には、非常に薄い小片状の、すなわちほとんど二次元の粒子が、これらがポリマーマトリックスにおいて、できるだけ均一に分散し、かつ平面においてできるだけ良好に方向付けしている場合に、すでに低い濃度において大きいCTE低減を達成することができることを示す。さらに、これらの物質は、剛性(E−Modul)及び熱安定性を示すが、しかしほとんど粘性を低減する。平板状の充填剤として、有利に有機改質したモンモリロナイト(MMT)を使用し、良好な剥離及び分散をもたらす。
【0013】
平面状の成形体又はシートを得るための押出物の単軸又は二軸の延伸は、任意の適した方法によって達成されうる。本発明の一実施態様によって、押出は、有利にはスロットダイから、次の押出されたシートの単軸又は二軸延伸で実施する。本発明の他の一実施態様によって、押出は、有利にはリングダイから、続いて二軸延伸で、吹き付け又はブロー成形によって実施する。適した方法又は適したダイ幾何学及び装置は当業者に公知である。
【0014】
高い層の厚さを維持するために、押出された又は延伸された成形体又はシートが、例えば熱間で積層され、圧縮され、又はラミネートされる。これらの方法工程は、充填剤の分散でもなく方向付けでもない。融解した、同時押出法で製造した下層が互いに設置される場合に、積層方法を断念しうる。層の厚さの補正のためにカレンダー工程が、又は方向付けを増加するために延伸枠における処理が続きうる。
【0015】
シート技術の利点は、この場合、材料の組合せの可撓性である。低いCTEを有する膜は、機能特性、例えば拡散障壁、強度、難燃性、光学特性等が、全体の生成物のために重要である膜と組合せられうる。
【0016】
少なくとも1つのフィロケイ酸塩充填剤のシートを、例えば分散の遮断又は衝撃強さに関する例えば改質に使用される少なくとも1つの他の熱可塑性プラスチックシートと、結合のために組合せることができる。膜の堆積を同時押出によって製造し、他のシート層又はシート積層体をラミネートによって付加することができる。
【0017】
成形体又はシートから、続いて、衝撃押出法(Fliesspressverfahren)によって、又は熱成形によって、成形体を製造する。これらの成形体は、特に自動車構造において使用される。この場合、特に車体の外側部分、例えば泥よけ、エンジンフード、ドア又はテールゲートが挙げられ、例えば自動車におけるインテリア部分も挙げられる。
【0018】
本発明の範囲内で、"シート状の成形体"の表現は、主に二次元で、及び三次元で小さい範囲でのみ延びている成形体を意味する。例えば、成形体の長さ及び幅は、成形体の厚さと同じくらい大きい、それぞれ少なくとも10×、有利には少なくとも20×である。
【0019】
"異方性の熱膨張係数"の表現は、成形体が、少なくとも1つの3つの空間方向において、他の空間方向とは異なる熱膨張係数を示すことを意味する。有利には、本発明による成形体又はシートは、表面に対して垂直な高い熱膨張係数を有し、かつ表面の内側が充填されていないポリマーと比較して低減された熱膨張係数を有する。
【0020】
"小片状"の表現は、10〜1000mmの範囲の直径、1:5〜1:10000の範囲のアスペクト比を有するフィロケイ酸塩のための意味である。
【0021】
方法において続く押出物単軸又は二軸の延伸は、有利には1:1〜1:20の範囲内、特に有利には1:2〜1:8の範囲内の延伸比を導く。
【0022】
本発明による方法において、あらゆる所望の小片状のフィロケイ酸塩が使用される。有利なフィロケイ酸塩は、15nm〜500nm、特に20nm〜500nmの範囲の直径を有する。そのアスペクト比は、この場合、有利には1:5〜1:1000、特に1:10〜1:100である。その層の厚さは、有利には50nm未満、特に有利には10nm未満、特に2nm未満である。
【0023】
前記フィロケイ酸塩は、あらゆる所望のケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、ケイ酸アルミニウム又はケイ酸マグネシウム、ベントナイト、バーミキュライト等に基づいてよい。他の適したフィロケイ酸塩は、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイトである。
【0024】
適したフィロケイ酸塩は、冒頭で引用された文献において記載されている。他の適したフィロケイ酸塩は、WO 2008/063198及びUS 5,747,560に記載されている。
【0025】
前記フィロケイ酸塩は、未処理、又は有機的に改質されていてよい。有利には、有機的に改質されたフィロケイ酸塩が使用される。かかる有機的改質は、例えばWO 2008/063198において記載されている。そのために、フィロケイ酸塩を、熱可塑性成形材料のポリマーと相容性である末端基、及びさらにフィロケイ酸塩に結合するためのアンカー基を有する有機化合物と反応させる。
【0026】
有利には、フィロケイ酸塩は、カチオン交換反応によって、適した有機塩、例えば第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、又はイミダゾリウム塩で改質される。有利には、好適な第四級アンモニウム塩は、一般式R1234+、[式中、R1〜R4は、互いに独立して、直鎖、分枝鎖、又は芳香族の炭化水素基を意味する]に相応する。窒素の代わりに、燐も、カチオン中に存在しうる。適した改質は、WO 2008/063198に記載されている。
【0027】
前記炭化水素基は、さらにヒドロキシル基又は酸基によって改質されうる。
【0028】
例えば、第四級アンモニウム対イオンは、メチル基、2つのヒドロキシメチル基、及び獣脂から誘導される基を示す(C14-18基)。
【0029】
さらに、アミノ酸も、プロトン化された形で、カチオンとして使用され、例えばC6-14アミノ酸である。適したフィロケイ酸塩は、例えばRockwood Additives(Southern Clay Products)から得られる。加えて、例えばB+M Nottenkaemper Gesellschaft fuer Bergbau und Mineralstoffe mbH und Co. KGの、Arginotechフィロケイ酸塩が使用されうる。
【0030】
前記フィロケイ酸塩の量は、実際の必要条件に従って調製されうる。通常、熱可塑性ポリマー形成材料における部分は、全体のポリマー形成材料に対して0.1質量%〜10質量%、有利には1質量%〜5質量%である。
【0031】
前記量は、ポリマー形成材料におけるフィロケイ酸塩の分散の程度に依存する。フィロケイ酸塩が完成したポリマー形成材料に添加され、かつ例えば押出機中で混合される場合に、その量は、すでにポリマーを製造する場合に、混合の際のモノマー混合物中のフィロケイ酸塩よりも高い。
【0032】
これは、押出機、例えば二軸スクリュー押出機中での組み込みが、in−situ重合中と同様に均一な分散を達成することが出来ない事実に帰する。フィロケイ酸塩の分散及び剥離がよくなるにつれて、使用される量はより少なくなる。
【0033】
さらに、本発明によって、熱可塑性ポリマー成形材料に、さらに他の有機充填剤を添加することが可能である。この充填剤は、特に、粒状の充填剤、特にタルクである。使用される他の充填剤の量は、有利には、0.1質量%〜10質量%、特に有利には0.5質量%5質量%の範囲である。
【0034】
有利には、ポリマー成型材料に対して5質量%までが、他の無機充填剤と共に使用される。
【0035】
前記熱可塑性ポリマー成形材料は、あらゆる所望の熱可塑性ポリマー成形材料から選択されてよい。有利には基礎となる熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリアルキレンテレフタレート、例えばポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリメチル(メタ)アクリレート、又はそれらのコポリマー、又はさらにゴムを含有しても良い混合物から選択される。前記ポリマーは、衝撃強さを有してよい。特に有利には、ポリアミド、及びそれらのOC、ABS等との配合物が使用される。
【0036】
前記熱可塑性ポリマーの製造は、すでに公知である。前記ポリマーは、さらに他の内容物質、例えば光安定剤及び熱安定剤、染料、離型剤、難燃剤等を含有してよい。繊維状充填剤、例えばガラス繊維又はカーボン繊維の併用も可能である。
【0037】
有利に使用される熱可塑性ポリマーの溶融粘度は、有利には、50Pas〜3500Pasの範囲である。
【0038】
前記製造の場合に、押出は、有利には220℃〜280℃の範囲の温度で実施する。延伸の場合に、ポリマーシート又は膜は、有利には、さらに70℃〜200℃の範囲の温度を有する。
【0039】
本発明は、前記方法の1つに従って得られた成形体又はシートにも関する。
【0040】
シートの場合、層の厚さは、有利には50μm〜300μmである。多くのシートからなる積層物又は成形体に関して、その厚さは、有利には1mm〜4mmである。
【0041】
本発明による成形体又はシートは、特に自動車構造において使用される。
【0042】
本発明を次の実施例によって詳細に説明する。
【0043】
実施例
ポリアミドに基づく熱可塑性成形体組成物及び有機的改質させたモンモリロナイト(MMT)を使用した。
【0044】
均一な分散
MMTsの均一な分散のために、二経路を使用した。熱可塑性ポリマーにおいて、MMTsを、二軸スクリュー押出機での直接成形によって、良好に分散することができる(例えばPA6/MMT−1)。MMTsの良好な分配、及び従ってその効果において効率のよい粒子は、in−situで、カプロラクタムで重合させた製品において見出された(例えばPA6/MMT−2)。
【0045】
充填剤の方向付け
射出成形で1mm未満の薄さの薄い壁の生成物において、MMTsの方向付けは、十分ではない、及び定義されて適合可能ではないと証明された。それとは逆に、所望された平面状の方向付けを、スロットダイから押出によって、続いて単軸及び二軸の方向付けによって製造されたシートにおいて達成することができた。これは、通常の方法がリングダイからの溶融物の押出、及び続いて二軸延伸(ブロー形成)によって製造されるブロー成形シートにも該当する。前記シートの典型的な厚さは、300μm未満である。
【0046】
実際の構成成分の壁の厚さが少しのミリメートルの範囲であるために、積層体における個々のシート層を、熱成形もしくはラミネートし、又は同時押出工程において製造した。これらの方法工程は、充填剤の分散でもなく方向付けでもない。そのように製造された、固体のシート積層体から構成される半製品によって、本発明の実施例において挙げられたCTE値を算出した。
【0047】
使用物質:
成分A
A1:150ml/gの粘度数を有するポリアミド6(ISO 307により25℃で硫酸中で0.5質量%の溶液として測定)
A2:以下のように製造した、in−situで重合させたポリアミド6:(成分Bの存在での成分A製造)
フィロケイ酸塩B2の1kgを、カプロラクタム19kg、及び水0.2kg中で溶解し、又は懸濁する。プロピオン酸10g及び水5lの添加後に、その混合物を撹拌槽中で270℃に加熱し、その際該槽の内圧は17barである。
【0048】
1時間の前縮合後に、その容器を、2時間の時間にわたって放圧し、そして続いて1時間後縮合する。その溶融物を、前記槽から取り出し、そして顆粒化する。前記顆粒を、24時間熱水で抽出し、乾燥し、そして続いて22時間180℃で温度処理する。出発材料は、以下の特性を示す:VZ=163ml/g、AEG=32mmol/kg、CEG=104mmol/kg。
【0049】
成分B
B1:Cloisite 30B(登録商標)(Southern Clay Products、Gonzales、TX、USA)、第四級アンモニウム塩で疎水化したフィロケイ酸塩
B2:SCPX 1304(登録商標)(Southern Clay Products、Gonzales、TX、USA)、第四級C12アミノ酸で疎水化したフィロケイ酸塩。
【0050】
成分C
C1:タルク IT Extra(登録商標)(Norwegian Talc、Bad Soden、DE)。
【0051】
成分D
D1:Irganox 670(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals、CH)。
【0052】
実施例1(P1)
成分A1を、成分B1の5質量%と組み合わせて使用する。成分D1を、0.2質量%の濃度で添加する。PA6ナノ複合材料の調製を、Werner&Pfleiderer社製の二軸スクリュー押出機ZSK25で、250℃で実施する。この場合、全ての成分を混合し、そしてそのプレミックスを、押出機の供給で生じさせる。得られた配合物を顆粒化する。
【0053】
シートを、押出によって、ブロー成形シートのプラント(Weber社製)から製造する。押出機のスクリュー直径は50mmである。前記押出機を、50rpmで、5.4kg/hのスループットで、240℃(領域1)〜260℃(領域3)で動かす。
【0054】
その膨張比は1:2であり、かつ引き出し速度は4.8m/分である。得られたシートは、約40μmの厚さを有する。このシートから、厚さ試験体を製造する。多くのシートを、6mmの合計厚さを得るために積層し、そして9分間、3bar未満で225℃で成形する。得られた製品(P1と言われる)は、約5mmの厚さであり、かつ他の特徴付けのために使用する。
【0055】
実施例2(P2)
成分A2を、成分A1で、成分B2の濃度が2質量%になるまで薄め、そしてさらに成分C1の2質量%、及びさらに成分D1の2質量%と混合する。PA6ナノ複合材料の調製を、二軸スクリュー押出機ZSK25で、250℃で実施する。この場合、全ての成分を混合し、そしてそのプレミックスを、押出機の供給で生じさせる。得られた配合物(P2と言われる)を顆粒化する。
【0056】
シートを、押出によって、ブロー成形シートプラント(Weber社製)から製造する。押出機のスクリュー直径は50mmである。前記押出機を、50rpmで、5.4kg/hのスループットで、240℃(領域1)〜260℃(領域3)で動かす。その膨張比は1:2であり、かつ引き出し速度は5m/分である。得られたシートは、約40μmの厚さを有する。このシートから、厚い部分を製造する。多くのシートを、共に、6mmの合計厚さを得るために積層し、そして9分間、3bar未満で225℃で成形する。得られた部分(P2と言われる)は、約5mmの厚さであり、かつ他の特徴付けのために使用する。
【0057】
実施例3(P3)
成分A2を、純粋な製品として使用する。シートを、押出によって、平面上のシートのプラント(Weber社製のZE30)から製造する。押出機を、75rpmで、並びに230℃(第一のシリンダーの温度)、240℃(ノズルの温度)及び250℃(押出機の中間)の間で動かす。その引き出し速度は4.2m/分である。得られたシートは、約200μmの厚さを有する。このシートから、厚さ試験体を製造する。多くのシートを、6mmの合計厚さを得るために積層し、そして9分間、3bar未満で225℃で成形する。得られた部分(P3と言われる)は、約5mmの厚さであり、かつ他の特徴付けのために使用する。
【0058】
比較例1(P4)
成分A1を、純粋な製品として使用する。シートを、押出によって、平面上のシートのプラント(Weber社製のZE30)から製造する。押出機を、75rpmで、並びに230℃(第一のシリンダー及びノズルの温度)及び250℃(押出機の中間)の間で動かす。その引き出し速度は4.2m/分である。得られたシートは、約250μmの厚さを有する。このシートから、厚さ試験体を製造する。多くのシートを、6mmの合計厚さを得るために積層し、そして9分間、3bar未満で225℃で成形する。得られた部分(P4と言われる)は、約5mmの厚さであり、かつ他の特徴付けのために使用する。
【0059】
比較例2(P5)
成分A1を、成分B1の5質量%と組み合わせて使用する。成分D1を、0.2質量%の濃度で添加する。PA6ナノ複合材料の調製を、二軸スクリュー押出機ZSK25で、250℃で実施する。この場合、全ての成分をプレミックスとして混合し、そして押出機の供給で生じる。得られた配合物を顆粒化する。乾燥させた顆粒を、260℃の材料温度で、射出成形機械中で、60mm×10mm×0.8mmの引張棒に加工し、その際工具温度は35℃である。
【0060】
CTE(熱膨張係数)の測定
CTEsを、三方向(流れ方向、横方向、及び厚さ)で、Seiko社製のTMA−SS6000器具で、測定する。試験体の表面を、まず研磨して、滑らかな表面を得る。該試験体を、測定セル中に入れ、そして確実にするために測定前に140℃に加熱し、試験体を乾燥する。続いてCTEsの測定を、それぞれ1K/分の加熱速度で、20mNの負荷下で−40℃〜120℃の温度範囲で実施する。
【0061】
結果は、温度範囲に基づく場合に、平均値として挙げられる。2つの温度範囲は異なる:Tg(−40℃〜約40℃)未満の温度、及びTg(約40℃〜120℃)を越える温度。さらに、CTEを、120℃で測定する。
【0062】
【表1】

Fは、流れ方向において、
Tは、横方向(シート平面における流れ方向に対する横断)において、かつ
Pは、シート平面に垂直(シートの厚さを越える)に、測定されたCTEを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出可能な熱可塑性ポリマー成形材料からなる異方性の熱膨張係数を有する平面状の成形体又はシートの製造方法において、10〜1000nmの範囲での直径及び1:5〜1:10000の範囲のアスペクト比を有する小片状のフィロケイ酸塩での該熱可塑性ポリマー成形材料の充填、充填された熱可塑性ポリマー成形材料の押出、そして続いて押出物の単軸又は二軸に延伸によって、平面状の成形体又はシートを得る方法。
【請求項2】
前記押出を、スロットダイから、続く単軸又は二軸延伸を使用して実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記押出を、リングダイから、続く二軸延伸を使用して、吹き付けによって実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記押出された及び延伸された成形体又はシートを、層の厚さを増加するために、積層し、圧縮し、又はラミネートすることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記成形体の製造を、続いて衝撃押出法によって又は熱成形によって実施することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記小片状のフィロケイ酸塩を有機的改質することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
熱可塑性ポリマー成形材料の充填を、小片状のフィロケイ酸塩で、モノマーからポリマーの製造の前又は間に実施することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマー成形材料の熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリスチロール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリメチル(メタ)アクリレート、又はそれらのコポリマー、又はさらにゴムを含有することができるそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマー成形材料が、さらに他の無機充填剤を含有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのフィロケイ酸塩で充填されたシートを、少なくとも1つの他の熱可塑性プラスチックシートと結合して、複合物を得ることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
シート積層体を、同時押出によって製造することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記シート積層体に、他のシート層又はシート積層体を、ラミネートによって付加することを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法によって得られる、成形体又はシート。
【請求項14】
自動車構造における、請求項13に記載の成形体又はシートの使用。

【公表番号】特表2012−501875(P2012−501875A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525538(P2011−525538)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061344
【国際公開番号】WO2010/026160
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】