説明

心不全の治療のための混合されたPDE阻害およびβアドレナリン拮抗薬活性または部分的作用薬活性を有する化合物

本発明は、アドレナリンβ受容体およびホスホジエステラーゼ3(PDE3)を含むホスホジエステラーゼPDEに対する阻害活性を有する化合物を提供する。本発明は、こうした化合物を含む薬剤組成物、心血管疾患、卒中、てんかん、眼疾患または偏頭痛を治療するためにこうした化合物を用いる方法、ならびにアドレナリンβ受容体およびPDEに対する阻害活性を有する薬剤組成物および化合物を調製する方法を更に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2002年11月27日出願の米国仮特許出願第60/429,344号の利益を主張する。その全体内容は本明細書に引用して援用する。
【背景技術】
【0002】
鬱血性心不全は、毎年診断される40万件を超える新症例と合わせて推定480万名のアメリカ人を脅かしている。薬物治療の益々の進歩にもかかわらず、心不全が進行した患者に関する予後は、40%を超える年間死亡率により不十分なままである。心臓移植は心不全が進行した患者のために有効な治療であるけれども、ドナー臓器の限られた供給のゆえに毎年2,200件未満の心臓移植しか行われない。最近の分析によると、進行した心不全の発生率および罹患率の更なる増加が見込まれることが示され、新規且つ有効な治療戦略の切迫した必要を強調している。
【0003】
心不全中に、欠陥的筋小胞体カルシウム再取り込み、基底(弛緩期)カルシウムレベル増加、ピーク(収縮期)カルシウム減少およびカルシウムトランジエントの減少した速度を含むカルシウムホメオスタシスの変化があり、減少した収縮力および弛緩の減速がもたらされる。カルシウムホメオスタシスのこれらの異常の最終結果は、抑圧された収縮機能(収縮減少および心拍出量減少)、欠陥的心室弛緩ならびに虚血および/またはアポトシス−関連メカニズムを介した筋細胞損失である。カルシウムホメオスタシスの不調節も、卒中、てんかん、眼疾患および偏頭痛を含む多くの他の疾病状態に関連してきた。
【0004】
ベータアドレナリン遮断薬は慢性心不全(CHF)が軽度から中等度の患者のための一般的な療法である。しかし、β遮断薬を使っている一部の患者は後で代償不全になる場合があり、ポジティブ変力薬による急性処置を必要とするであろう。ミルリノンまたはエノキシモンなどのホスホジエステラーゼ阻害薬(PDEI)は、PDEI作用のサイト(cAMP)がアドレナリンβ受容体の下流であるとともに、β−アンタゴニズムが、ホスホジエステラーゼ阻害薬応答に有害である受容体経路除感作変化を逆にするので、ベータ遮断にもかかわらず阻害薬の完全血行力学作用を保持する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アドレナリンβ受容体およびホスホジエステラーゼ3(PDE3)を含むホスホジエステラーゼPDEに対する阻害活性を有する化合物を提供する。本発明は、こうした化合物を含む薬剤組成物、心血管疾患、卒中、てんかん、眼疾患または偏頭痛を治療するためにこうした化合物を用いる方法、ならびにアドレナリンβ受容体およびPDEに対する阻害活性を有する薬剤組成物および化合物を調製する方法を更に提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(定義)
「アルキル基」は、指定数の炭素原子を含む分岐および非分岐の飽和炭化水素鎖の基を意味する。例えば、C〜Cアルキル基は、1〜9個の炭素原子を含む直鎖および分岐の炭化水素鎖の基を意味し、すべての異性体を含む。本発明の幾つかの実施形態において、アルキル基はC〜C12基であり、他の実施形態において、アルキル基はC〜C基である。さらに他の実施形態において、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルから選択される。
【0007】
「アルケニル基」は、指定数の炭素原子を含む分岐および非分岐の不飽和炭化水素鎖の基を意味する。例えば、C〜Cアルケニル基は、少なくとも1個の二重結合を有する2〜9個の炭素原子を含む直鎖および分岐の炭化水素鎖の基を意味し、すべての異性体を含む。本発明の幾つかの実施形態において、アルケニル基はC〜Cであり、他において、アルケニル基はC〜Cである。さらに他の実施形態において、アルケニル基は、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、t−ブテニル、n−ペンテニルおよびn−ヘキセニルから選択される。
【0008】
「アルキニル基」は、少なくとも2個の炭素原子の間の三重結合を含む指定数の炭素原子を含む分岐および非分岐の不飽和炭化水素鎖の基を意味し、すべての異性体を含む。例えば、C〜Cアルキニル基は、少なくとも1個の三重結合を有する2〜9個の炭素原子を含む直鎖および分岐の炭化水素鎖を意味し、すべての異性体を含む。本発明の幾つかの実施形態において、アルキニル基はC〜Cであり、他において、アルキニル基はC〜Cである。幾つかの実施形態において、アルキニル基は、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、t−ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルから選択される。
【0009】
「アルキレン基」はアルカンの二価基を意味し、すべての異性体を含む。
【0010】
「アルケニレン基」は、少なくとも1個の二重結合を有するアルケンの二価基を意味し、すべての異性体を含む。
【0011】
「アルキニレン基」は、少なくとも2個の炭素原子の間の三重結合を有するアルキンの二価基を意味し、すべての異性体を含む。
【0012】
「シクロアルキル基」は、指定数の炭素原子を有する環式アルキル基を意味する。例えば、C〜Cシクロアルキル基は、1〜8個の炭素原子を含む直鎖および分岐の炭化水素鎖の基を意味し、すべての異性体を含む。本発明の幾つかの実施形態において、シクロアルキル基はC〜Cであり、他の実施形態において、シクロアルキル基はC〜C基である。さらに他の実施形態において、アルキル基は、メチルシクロプロパン、エチルシクロプロパン、プロピルシクロプロパン、ブチルシクロプロパン、ペンチルシクロプロパン、メチルシクロブタン、エチルシクロブタン、プロピルシクロブタン、ブチルシクロブタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、プロピルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロペンチル、シクロブチル、シコペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルから選択される。
【0013】
「シクロアルケニル基」は、指定数の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を有する環式アルキル基を意味する。例えば、C〜Cシクロアルケニル基は、2〜8個の炭素原子を含むとともに少なくとも1個の二重結合を有する直鎖および分岐の炭化水素鎖の基を意味し、すべての異性体を含む。本発明の幾つかの実施形態において、シクロアルケニル基はC〜C基である。さらに他の実施形態において、アルキル基は、メチルシクロペンテン、エチルシクロペンテン、プロピルシクロペンテン、メチルシクロヘキセン、エチルシクロヘキセン、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルから選択される。
【0014】
「シクロアルキニル基」は、指定数の炭素原子および少なくとも1個の三重結合を有する環式アルキル基を意味する。例えば、C〜Cシクロアルキニル基は、2〜8個の炭素原子を含むとともに少なくとも1個の三重結合を有する直鎖および分岐の炭化水素鎖の基を意味し、すべての異性体を含む。本発明の幾つかの実施形態において、シクロアルキニル基はC〜C基である。さらに他の実施形態において、アルキル基は、メチルシクロヘキシン、エチルシクロヘキシン、シクロヘキシニル、シクロヘプテニニルおよびシクロオクテニニルから選択される。
【0015】
「アルキルチオ」は硫黄置換アルキル基を意味する。
【0016】
「アルコキシ」は基−ORを意味し、ここで、Rは上で定義されたアルキル基である。本発明の幾つかの実施形態において、Rは1〜9個の炭素原子を含む分岐および非分岐の飽和炭化水素鎖から選択される。幾つかの実施形態において、RはC〜CおよびC〜Cのようなアルキル基から選択される。さらに他の実施形態において、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルから選択される。
【0017】
「アリール」は1個以上の閉環を有する芳香族炭化水素環式部分を意味する。例えば、アリールは、C〜C24およびC10〜C18芳香族炭化水素環式部分から選択してもよい。幾つかの実施形態において、アリールは、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニルおよびビフェニルから選択される。さらに他の実施形態において、アリールは、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニルおよびビフェニルから選択される。
【0018】
「ヘテロアリール」は、1個以上の閉環の少なくとも1個の中に1個以上のヘテロ原子(例えば、硫黄、窒素または酸素)を有して、1個以上の閉環を有する芳香族環式部分を意味する。例えば、ヘテロアリールは、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から独立して選択された1、2、3または4個のヘテロ原子および炭素原子を含む5員〜7員の一環式および二環式、または7員〜14員二環式環系から選択してもよい。幾つかの実施形態において、ヘテロアリール基は、ピロール、フラニル、チオフェン、ピリジンおよびイソキサゾールから選択される。さらに他の実施形態において、ヘテロアリールは、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、チアゾールおよびベンゾピランの基から選択される。
【0019】
「ハロ基」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基およびヨード基を意味する。
【0020】
「置換フェニル」は1個以上の置換基で置換されているフェニルを意味する。例えば、置換基は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニルオキシ基、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、ヒドロペルオキシ、カルバミド、カルバモイル、カルバミル、カルボニル、カルボゾイル、アミノ、ヒドロキシアミノ、ホルムアミド、ホルミル、グアニル、シアノ、シアノアミノ、イソシアノ、イソシアナト、ジアゾ、アジド、ヒドラジノ、トリアザノ、ニトリロ、ニトロ、ニトロソ、イソニトロソ、ニトロソアミノ、イミノ、ニトロソイミノ、オキソ、C〜Cアルキルチオ、スルファミノ、スルファモイル、スルフェノ、スルフヒドリル、スルフィニル、スルホ、スルホニル、チオカルボキシ、チオシアノ、イソチオシアノ、チオホルムアミド、ハロ、ハロアルキル、クロロシル、クロリル、ペルクロリル、トリフルオロメチル、ヨードシル、ヨージル、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホ、ホスホノ、アルシノ、セラニル、ジシラニル、シロキシ、シリル、シリレン、炭素環式部分およびヘテロ環式部分から選択してもよい。
【0021】
「有効量」は所望の効果をもたらすのに十分な量を意味する。例えば、心不全を治療するための有効量は心不全を治療するのに十分な量であり、慢性心不全を治療するための有効量は慢性心不全を治療するのに十分な量であり、PDEを阻害するための有効量はPDEを阻害するのに十分な量であり、PDE3を阻害するための有効量はPDE3を阻害するのに十分な量であり、アドレナリンβ受容体を阻害するための有効量はアドレナリンβ受容体を阻害するのに十分な量である。
【0022】
「代謝産物」は代謝または代謝プロセスによって生成する物質を意味する。
【0023】
「薬学的に許容できるキャリア」は、対象化合物を身体の1器官または部分から身体のもう一つの器官または部分に運搬するか、移送することに関与する液体および固体の充填剤、希釈剤、添加剤および溶媒カプセル化材料などの薬学的に許容できる材料、組成物およびビヒクルを意味する。各キャリアは、他の製剤成分と適合性であるとともに患者による使用のために適するという意味で「許容できる」。薬学的に許容できるキャリアは、患者に対して活性または不活性であってもよい。幾つかの実施形態において、薬学的に許容できるキャリアは、(1)糖例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース、(2)澱粉例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ、(3)セルロースおよびセルロース誘導体例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)添加剤例えば、カカオ脂および座薬ワックス、(9)油例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油、(10)グリコール例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール例えば、グリセリン、ソルビトール、マニトールおよびポリエチレングリコール、(12)エステル例えば、エチルオレエートおよびエチルラウレート、(13)寒天、(14)緩衝剤例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液ならびに(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物(polyanhydride)、ならびに(22)薬剤製剤中で用いられる他の非毒性適合性物質から選択される。
【0024】
「薬学的に許容できる等価物」には、薬学的に許容できる塩、水和物、溶媒和物、代謝産物、プロドラッグおよび同配体(isostere)が制限なく挙げられる。多くの薬学的に許容できる等価物は、本発明の化合物と同じかまたは類似の試験管内活性または生体内活性を有することが予想される。
【0025】
「薬学的に許容できる塩」は、本発明化合物の酸および塩基の塩を意味し、こうした塩は生物学的にも他の点でも望ましくないことはない。幾つかの実施形態において、塩は酸により形成することが可能であり、幾つかの実施形態において、塩は、アセテート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ブチレート、シトレート、カンホレート、カンホスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリドヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタン−スルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、チオシアネート、トシレートおよびウンデカノエートから形成することが可能である。幾つかの実施形態において、塩は塩基塩から形成することが可能であり、他の実施形態において、塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩、有機塩基例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンによる塩、ならびにアミノ酸例えば、アルギニンおよびリシンによる塩から形成することが可能である。幾つかの実施形態において、塩基性窒素含有基は、より低級のハロゲン化アルキル例えば、塩化、臭化および沃化メチル、エチル、プロピルおよびブチル、ジアルキルスルフェート例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルスルフェート、長鎖ハロゲン化物例えば、塩化、臭化および沃化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル、ならびにハロゲン化アラルキル例えば、ベンジルブロミドおよびフェネチルブロミドを含む薬剤で第四級化することが可能である。
【0026】
「プロドラッグ」は、その薬理効果を示す前に生体内変換例えば代謝を受ける本発明化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、改善された化学的安定性、改善された患者受容および服薬遵守、改善されたバイオアベイラビリティ、延長された作用期間、改善された臓器選択性、改善された製剤(例えば、増加したヒドロソルビリティ)、および/または低減された副作用(例えば毒性)の目的で処方される。プロドラッグは、例えば、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Chemistry(5版),第1巻,頁172-178,949-982(1995)(この文献の開示は本明細書に引用して援用する)に記載された従来の方法を用いて本発明化合物から容易に調製することが可能である。
【0027】
「同配体」は、異なる分子式を有するが、類似または同じ物理的特性を示す元素、官能基、置換基、分子またはイオンを意味する。例えば、テトラゾールは、たとえ異なる分子式を有しても、カルボン酸の特性によく似ているのでカルボン酸の同配体である。典型的には、2種の同配体分子は、類似または同じ体積および形状を有する。理想的には、同配体化合物は同形であるとともに共結晶化できるべきである。同配体化合物が共有することが多い他の物理的特性には、沸点、密度、粘度および熱伝導率が挙げられる。しかし、特定の特性、例えば、ダイポールモーメント、極性、偏光、サイズおよび形状は異なってもよい。外部軌道が異なって混成されてもよいからである。「同配体」という用語は、物理的類似性に加えて、幾つかの生物学的特性を共有する「生物学的同配体」を包含する。典型的には、生物学的同配体は同じ認識部位と相互作用するか、または広く似た生物学的作用をもたらす。
【0028】
「立体異性体」は空間内の原子の配列のみが異なる異性体である。
【0029】
「鏡像異性体」は互いに重ね合わせできない鏡像である立体異性体である。
【0030】
「鏡像異性体に富んでいる」は1鏡像異性体が主体である混合物を表す言葉である。
【0031】
「動物」は感覚および随意運動の力を有するとともに酸素および有機食品をその存在のために必要とする生物を意味する。例には、ヒト、ウマ、ブタ、ウシ、ネズミ、イヌおよびネコの種のメンバーが制限なく挙げられる。ヒトの場合、「動物」は「患者」と呼んでもよい。「哺乳類」は温血脊椎動物を意味する。
【0032】
「治療」は、(i)疾病、疾患および/または状態にかかりやすいが、疾病、疾患および/または状態を有するとまだ診断されていない動物において疾病、疾患または状態が起きるのを防ぐ、(ii)疾病、疾患または状態を抑制する、すなわち、その進行を阻止する、および/または(iii)疾病、疾患または状態を軽減する、すなわち、疾病、疾患および/または状態の退行を引き起こすことを意味する。
【0033】
「心不全」は、心機能の異常が代謝組織の要求に相応する速度で血液を送り出す心臓の不全を原因とする病態生理学的状態を意味する。
【0034】
「鬱血性心不全」は代謝組織内で鬱血および浮腫の進行をもたらす心不全を意味する。
【0035】
「高血圧症」は全身血圧の上昇を意味する。
【0036】
「SA/AV結節疾患」は洞房(SA)結節および/または房室(AV)結節に関連した異常または不規則な伝導および/または律動を意味する。
【0037】
「不整脈」は異常な心臓律動を意味する。不整脈において、心拍動は遅すぎる、速すぎる、不規則すぎる、または早すぎる場合がある。不整脈の例には、徐脈、細動(心房または心室)および早期収縮が制限なしに挙げられる。
【0038】
「肥厚性大動脈下狭窄」は、大動脈の部分遮断から生じる左心室内の圧力過負荷による心筋の腫脹を意味する。
【0039】
「アンギナ」は、心臓内の1つ以上の冠状動脈の部分的または完全な閉塞に関連した胸痛を意味する。
【0040】
特に文脈において明確に指示がない限り、本願において単数用語の定義が現れる時、単数用語の定義は複数用語に適用するように推測してもよい。同様に、本願において複数用語の定義が現れる時、複数用語の定義は単数用語に適用するように推測してもよい。
【0041】
(化合物)
本発明は、式(I)
β−(Ar)−(L)−X (I)
(式中、
mは0および1から選択され、
nは0および1から選択され、
βは、2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択され、
Arは、アリール基およびヘテロアリール基から選択され、それらのアリール基およびヘテロアリール基は、R、RおよびRから選択された1〜3個の置換基で任意に置換され、
、RおよびRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルコキシ基、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、−NR基、アシルアミノアルキル基、−NHSO基および−NHCONHR基から独立して選択され、ここで、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の1個以上の−CH−基は、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で任意に置換され、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、オキソ基およびヒドロキシル基から選択された1個以上の置換基で任意に置換されており、
およびRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から独立して選択され、ここで、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、フェニル基および置換フェニル基から選択された置換基で任意に置換されており、
は、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cシクロアルケニル基、C〜Cアルキニル基およびC〜Cシクロアルキニル基から選択され、
Lは、直接結合、C〜C12アルキレン基、C〜C12アルケニレン基およびC〜C12アルキニレン基から選択され、ここで、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基の1個以上の−CH−基は、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で任意に置換され、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基は、オキソ基およびヒドロキシル基から独立して選択された1個以上の置換基で任意に置換されており、
Xは式A〜Q
【化1】


【化2】


(式中、部分A〜Qの1個のR基は、mが1である時にXとLとの間で、またはnが1であるとともにmが0である時にXとArとの間で、あるいはnが0であるとともにmが0である時にXとβとの間で共有結合を形成し、部分A〜Qの残りの各R基は、水素基、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、NR基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、COOR基、C〜C12アルキル基、C〜C12アルケニル基およびC〜C12アルキニル基から独立して選択され、ここで、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の1個以上の−CH−基は、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で任意に置換され、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、オキソ基およびヒドロキシル基から選択された1個以上の置換基で任意に置換されている)
の部分から選択される。
但し、
(a)m+nが0である時、XがA部分から選択される時、βが2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基およびN−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基から選択される時、そして
(i)βがAの位置3または4にある時、
【化3】


N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でも置換されておらず、N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基の1個の置換基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でもない、
(ii)βがAの位置5にある時、Aの位置8がアルコキシ基でもヒドロキシル基でも置換されておらず、
(iii)βがAの位置6にある時、Aの位置8がアルコキシ基でもアシルオキシ基でもヒドロキシル基でも置換されておらず、
(iv)βがAの位置8にあるとともにAの位置5がアルコキシ基またはヒドロキシ基で置換されている時、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基がアルキル基でもシクロアルキル基でも置換されておらず、
N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基の1個の置換基がアルキル基でもシクロアルキル基でもない、
(b)m+nが0である時、XがA部分から選択される時、βが3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択される時、そして
(i)βがAの位置4にある時、環窒素に結合されたR基はいずれもC〜Cアルキル基でもC〜Cアルケニル基でもない、
(ii)βがAの位置5〜8のいずれかにある時、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でも置換されておらず、
N−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基の1個の置換基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でもない、
(c)mが1である時、nが0である時、XがA部分から選択される時、βが3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択される時およびβがAの位置5にある時、Aの位置8が水素基、アルコキシ基またはアリールオキシ基で置換され、環窒素に結合されたRが水素基またはアルキル基であり、LがCアルケニル基ではない、そして
(d)m+nが0である時、XがJ部分から選択される時、βが3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択される時、そしてβがJのフェニル環に結合される時、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基がC〜Cアルキル基でもフェネチル基でも置換されていないことを条件とする)
の化合物あるいは薬学的に許容できる等価物、異性体またはその異性体の混合物を提供する。
【0042】
変えることができるあらゆる置換基は各出現時に独立して定義される。従って、式の一部の変えることができる置換基の定義は、他の場所にある当該式における定義および他の式における定義から独立している。
【0043】
式(I)において、部分A、G、J−LおよびO〜Qは、それぞれの構造中に破線を含む。これらの破線は飽和が任意であることを表す。
【0044】
式(I)のβにおいて、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N,N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基およびN−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN,N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基は、こうした基に結合できるいかなる基でも置換してよい。
【0045】
幾つかの実施形態において、式(I)のLは、C〜C12アルキレン基、C〜C12アルケニレン基およびC〜C12アルキニレン基から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のLは、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基およびC〜Cアルキニレン基から選択される。幾つかの実施形態において、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基の1個以上の−CH−基は、−O−および/または−NR−で任意に置換され、アルキレン基は、1個以上のオキソ基で任意に置換される。幾つかの実施形態において、式(I)のLはC〜Cアルキレン基から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のLは−O(CHO−、−O(CHNH(CO)CHO−および−O(CHNH(CO)(CHO−から選択される。
【0046】
幾つかの実施形態において、式(I)のXは式B、EおよびOの部分から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のXは、nが1である時に式Aの部分から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のXは、m+nが1または2である時に式Jの部分から選択される。
【0047】
幾つかの実施形態において、式(I)の部分A〜QのR基は、水素基、C〜C12アルキル基、C〜C12アルケニル基およびC〜C12アルキニル基、ハロ基およびシアノ基から独立して選択される。幾つかの実施形態において、部分A〜Qの式(I)のR基は、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基、ハロ基およびシアノ基から独立して選択される。
【0048】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cシクロアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0049】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0050】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0051】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0052】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0053】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0054】
幾つかの実施形態において、式(I)のArは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、イソキサゾイル基、ピリジル基、キノリル基およびイソキノリル基から選択される。他の実施形態において、ヘテロアリール基は、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、チアゾールおよびベンゾピランの基から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のArは基Ar〜Ar
【化4】


((α)は、Arがβ、LおよびXに結合してもよい位置を表す)
から選択される。
【0055】
本発明の化合物が1つ以上の非対称炭素中心を有してもよいので、本発明の化合物は光学異性体の形で、および光学異性体のラセミ混合物または非ラセミ混合物の形で存在できてもよい。光学異性体は、従来のプロセスによるラセミ混合物の分割によって得ることが可能である。こうした1プロセスは、光学的に活性の酸または塩基で処理することによるジアステレオ異性体塩の形成を伴い、次に、結晶化によってジアステレオ異性体の混合物を分離し、その後、これらの塩から光学的に活性の塩基を遊離する。適切な酸の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンホールスルホン酸である。
【0056】
光学異性体を分離する異なるプロセスは、鏡像異性体の分離を最大にするために最適に選択されたキラルクロマトグラフィカラムの使用を含む。さらにもう一つの利用可能な方法は、本発明の化合物を活性化形態の光学的に活性の酸、光学的に活性のジオールまたは光学的に活性のイソシアネートと反応させることによる共有ジアステレオ異性体分子、例えば、エステル、アミド、アセタールおよびケタールの合成を含む。合成されたジアステレオ異性体は、従来の手段例えば、クロマトグラフィ、蒸留、結晶化または昇華によって分離することが可能であり、その後、加水分解して鏡像異性体として純粋な化合物をもたらすことが可能である。場合によって、光学的に活性の「親」薬物への加水分解は、化合物がプロドラッグとして挙動できるので患者に投薬する前に必須ではない。本発明の光学的に活性の化合物は、同様に、光学的に活性の出発材料を用いることにより得ることが可能である。
【0057】
本発明の化合物が個々の光学異性体ならびにラセミ混合物および非ラセミ混合物を包含することは言うまでもない。
【0058】
従って、幾つかの実施形態において、式(I)のβは、2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基およびN−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基から選択され、ここで、各基の位置1の炭素は、その鏡像体(mirror image counterpart)より富んでいる。幾つかの実施形態において、R配置は富んでいる。
【0059】
幾つかの実施形態において、式(I)のβは、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択され、ここで、各基の位置2の炭素は、その鏡像体(mirror image counterpart)より富んでいる。幾つかの実施形態において、S配置は富んでいる。
【0060】
幾つかの実施形態において、m+nは0である。他の実施形態において、m+nは1である。他の実施形態において、m+nは2である。
【0061】
もう一つの実施形態において、本発明の化合物は、上で定義された式(I)の化合物、該化合物の薬学的に許容できる等価物および立体異性体から選択され、式中、
mは0および1から選択され、
nは0および1から選択され、
βは、式(β)−CHOHCHNZの基および式(β)−OCHCHOHCHNZの基から選択され、
ここで、ZおよびZは、水素基、R基および−CHCH−Y−R基から独立して選択され、
ここで、Rは上で定義された通りであり、
Yは、−NHCO−基、−NHCONH−基および−NHSO−基から選択され、
Arは上で定義された通りであり、
Lは上で定義された通りであり、
Xは上で定義された通りである。
但し、
(a)m+nが0である時、XがA部分から選択される時、βがβ基から選択される時、そして
(i)βがAの位置3または4にある時、
【化5】


βのZまたはZの一方がR基でない、
(ii)βがAの位置5にある時、Aの位置8がアルコキシ基でもヒドロキシル基でも置換されておらず、
(iii)βがAの位置6にある時、Aの位置8がアルコキシ基でもアシルオキシ基でもヒドロキシル基でも置換されておらず、
(iv)βがAの位置8にあるとともに位置5がアルコキシ基またはヒドロキシ基で置換されている時、βのZまたはZの一方がアルキル基でもシクロアルキル基でもない、
(b)m+nが0である時、XがA部分から選択され時、βがβから選択される時、そして
(i)βがAの位置4にある時、環窒素に結合されたR基はいずれもC〜Cアルキル基でもC〜Cアルケニル基でもない、
(ii)βがAの位置5〜8のいずれかにある時、βのZまたはZの一方がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でもない、
(c)mが1である時、nが0である時、Xが式Aの部分から選択される時、LがAの位置5に結合される時、Aの位置8が水素基、アルコキシ基またはアリールオキシ基で置換される時、そして環窒素に結合されたRが水素基またはアルキル基である時、LがCアルケニル基ではない、および
(d)m+nが0である時、XがJ部分から選択される時、βがβから選択される時、βがJのフェニル環に結合される時、βのZおよびZがC〜Cアルキル基でもフェネチル基でもない
ことを条件とする。
【0062】
幾つかの実施形態において、式(I)のLは、C〜C12アルキレン基、C〜C12アルケニレン基およびC〜C12アルキニレン基から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のLは、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基およびC〜Cアルキニレン基から選択される。幾つかの実施形態において、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基の1個以上の−CH−基は、−O−および/または−NR−で任意に置換され、アルキレン基は1個以上のオキソ基で任意に置換される。幾つかの実施形態において、式(I)のLはC〜Cアルキレン基から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のLは、−O(CHO−、−O(CHNH(CO)CHO−および−O(CHNH(CO)(CHO−から選択される。
【0063】
幾つかの実施形態において、式(I)のXは、式B、EおよびOの部分から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のXは、nが1である時に式Aの部分から選択される。幾つかの実施形態において、式(I)のXは、m+nが1または2である時に式Jの部分から選択される。
【0064】
幾つかの実施形態において、式(I)の部分A〜QのR基は、水素基、C〜C12アルキル基、C〜C12アルケニル基およびC〜C12アルキニル基から独立して選択される。幾つかの実施形態において、式(I)の部分A〜QのR基は、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から独立して選択される。
【0065】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cシクロアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0066】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0067】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0068】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0069】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0070】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0071】
幾つかの実施形態において、式(I)のArは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、イソキサゾイル基、ピリジル基、キノリル基およびイソキノリル基から選択される。他の実施形態において、Arは、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、チアゾールおよびベンゾピランの基から選択されたヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、式(I)のArは上で定義された基Ar〜Arから選択される。
【0072】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩から選択される。
【0073】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の水和物から選択される。
【0074】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の溶媒和物から選択される。
【0075】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の代謝産物から選択される。
【0076】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物のプロドラッグから選択される。
【0077】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の同配体から選択される。
【0078】
幾つかの実施形態において、式(I)のZおよびZは同じである。他の実施形態において、式(II)のZおよびZは異なる。幾つかの実施形態において、式(I)のZおよびZはR基から選択され、他の実施形態において、式(I)のZおよびZは−CHCH−Y−R基から選択される。
【0079】
幾つかの実施形態において、式(I)のβは式(β)の基−CHOHCHNZおよび式(β)の基−OCHHOHCHNZから選択される。ここで、βおよびβのC上のは、それぞれの鏡像体(mirror image counterpart)より富んでいるキラル中心を表す。幾つかの実施形態において、βのC上の式(I)のは、R配置において富んでいるキラル炭素中心を表す。幾つかの実施形態において、βのC上の式(I)のは、S配置において富んでいるキラル炭素中心を表す。
【0080】
幾つかの実施形態において、m+nは0である。他の実施形態において、m+nは1である。他の実施形態において、m+nは2である。
【0081】
もう一つの実施形態において、本発明の化合物は、上で定義された式(I)の化合物、該化合物の薬学的に許容できる等価物および立体異性体から選択され、式中、
mは0および1から選択され、
nは0および1から選択され、
βは、上で定義された式(β)の基および(β)の基から選択され、
Arは上で定義された通りであり、
Lは、−CHCH−基、−CH(CH)CH−基および−CH(CHCH−基から選択され、
Xは上で定義された通りである。
【0082】
幾つかの実施形態において、式(I)の式B〜IおよびK〜Qの部分のR基は、水素基、C〜C12アルキル基、C〜C12アルケニル基およびC〜C12アルキニル基から独立して選択される。幾つかの実施形態において、式(I)の式B〜IおよびK〜Qの部分のR基は、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から独立して選択される。
【0083】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cシクロアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0084】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0085】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0086】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0087】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0088】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0089】
幾つかの実施形態において、式(I)のArは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、イソキサゾイル基、ピリジル基、キノリル基およびイソキノリル基から選択される。他の実施形態において、Arは、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、チアゾールおよびベンゾピランの基から選択されたヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、式(I)のArは上で定義された基Ar〜Arから選択される。
【0090】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩から選択される。
【0091】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の水和物から選択される。
【0092】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の溶媒和物から選択される。
【0093】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の代謝産物から選択される。
【0094】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物のプロドラッグから選択される。
【0095】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の同配体から選択される。
【0096】
幾つかの実施形態において、式(I)のZおよびZは同じである。他の実施形態において、式(II)のZおよびZは異なる。幾つかの実施形態において、式(I)のZおよびZはR基から選択され、他の実施形態において、式(I)のZおよびZは−CHCH−Y−R基から選択される。
【0097】
幾つかの実施形態において、式(I)のβは、上で定義された式(β)の基および式(β)の基から選択される。幾つかの実施形態において、βのC上の式(I)のは、R配置において富んでいるキラル炭素中心を表す。幾つかの実施形態において、βのC上の式(I)のは、S配置において富んでいるキラル炭素中心を表す。
【0098】
幾つかの実施形態において、m+nは0である。他の実施形態において、m+nは1である。他の実施形態において、m+nは2である。
【0099】
もう一つの実施形態において、本発明の化合物は、上で定義された式(I)の化合物、該化合物の薬学的に許容できる等価物および立体異性体から選択され、式中、
βは、上で定義された式(β)の基および(β)の基から選択され、
Arは上で定義された通りであり、
Lは、−CHCH−基、−CH(CH)CH−基および−CH(CHCH−基から選択され、
Xは上で定義された通りである。
【0100】
幾つかの実施形態において、式(I)の式B、EおよびOの部分のR基は、水素基、C〜C12アルキル基、C〜C12アルケニル基およびC〜C12アルキニル基から独立して選択される。幾つかの実施形態において、式(I)の式B、EおよびOの部分のR基は、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から独立して選択される。
【0101】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cシクロアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0102】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0103】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0104】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。幾つかの実施形態において、アシルアミノアルキル基はC〜Cを有するアルキル鎖を含む。
【0105】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0106】
幾つかの実施形態において、式(I)のRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される。
【0107】
幾つかの実施形態において、式(I)のArは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、イソキサゾイル基、ピリジル基、キノリル基およびイソキノリル基から選択される。他の実施形態において、Arは、フラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、チアゾールおよびベンゾピランの基から選択されたヘテロアリールである。幾つかの実施形態において、式(I)のArは上で定義された基Ar〜Arから選択される。
【0108】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩から選択される。
【0109】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の水和物から選択される。
【0110】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の溶媒和物から選択される。
【0111】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の代謝産物から選択される。
【0112】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物のプロドラッグから選択される。
【0113】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の同配体から選択される。
【0114】
幾つかの実施形態において、式(I)のZおよびZは同じである。他の実施形態において、式(II)のZおよびZは異なる。幾つかの実施形態において、式(I)のZおよびZはR基から選択され、他の実施形態において、式(I)のZおよびZは−CHCH−Y−R基から選択される。
【0115】
幾つかの実施形態において、式(I)のβは、上で定義された式(β)の基および式(β)の基から選択される。幾つかの実施形態において、βのC上の式(I)はR配置において富んでいるキラル炭素中心を表す。幾つかの実施形態において、βのC上の式(I)のはS配置において富んでいるキラル炭素中心を表す。
【0116】
幾つかの実施形態において、m+nは0である。他の実施形態において、m+nは1である。他の実施形態において、m+nは2である。
【0117】
本発明のもう一つの実施形態において、本発明の化合物は、基βおよび基Xを含む化合物から選択され、式中、
βは、2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN,N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択され、ここで、N−N−二置換−基は同じ置換基で置換される。
【0118】
幾つかの実施形態において、βは、上で定義された式(β)の基および(β)の基から選択される。幾つかの実施形態において、βは、上で定義された式(β)の基および(β)の基から選択される。
【0119】
幾つかの実施形態において、Xは式B、EおよびOの部分から選択される。幾つかの実施形態において、Xは、nが1である時に式Aの部分から選択される。幾つかの実施形態において、Xは、m+nが1または2である時に式Jの部分から選択される。
【0120】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩から選択される。
【0121】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の水和物から選択される。
【0122】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の溶媒和物から選択される。
【0123】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の代謝産物から選択される。
【0124】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物のプロドラッグから選択される。
【0125】
幾つかの実施形態において、本発明の化合物は式(I)の化合物の同配体から選択される。
【0126】
式(I)の化合物の例には、
【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
(薬剤組成物)
本発明は、
(i)本発明の化合物の有効量
(ii)薬学的に許容できるキャリア
を含む薬剤組成物を更に提供する。
【0128】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容できるキャリアは、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、芳香剤、甘味剤および本発明の化合物以外の他の治療薬から選択される。
【0129】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容できるキャリアは、充填剤、希釈剤、添加剤および溶媒カプセル化材料から選択される。幾つかの実施形態において、薬学的に許容できるキャリアは患者に対して活性である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容できるキャリアは、(1)糖例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース、(2)澱粉例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ、(3)セルロースおよびセルロース誘導体例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)添加剤例えば、カカオ脂および座薬ワックス、(9)油例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油および大豆油、(10)グリコール例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール例えば、グリセリン、ソルビトール、マニトールおよびポリエチレングリコール、(12)エステル例えば、エチルオレエートおよびエチルラウレート、(13)寒天、(14)緩衝剤例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液ならびに(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリ無水物(polyanhydride)から選択される。
【0130】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容できるキャリアは液体であり、他において、薬学的に許容できるキャリアは固体である。
【0131】
本発明薬剤組成物は、(1)経口投与例えば、ドレンチ(例えば、水性または非水性の溶液または懸濁液)、タブレット(例えば、頬吸収、舌下吸収および全身吸収を狙いとしたタブレット)、ボーラス、パウダー、グラニュール、舌に塗るためのペースト、ハードゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル、マウススプレー、エマルジョンおよびミクロエマルジョン、(2)非経口投与例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または硬膜注射、例えば、無菌液、無菌サスペンション、持続放出性製剤として、(3)局所投与、例えば、クリーム、軟膏剤または徐放性パッチまたは皮膚に被着されるスプレーとして、(4)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリームまたは発泡体として、(5)舌下、(6)眼、(7)経皮、あるいは(8)鼻
のために適応された形態を含む固体状または液状での投与のために処方してもよい。
【0132】
(使用方法)
本発明は、カルシウムホメオスタシスを調節する方法であって、前記調節を必要とする動物に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0133】
本発明は、カルシウムホメオスタシスの不調節が関係する疾病、疾患または状態を治療する方法であって、前記治療を必要とする動物に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0134】
本発明は、心血管疾患、卒中、てんかん、眼疾患または偏頭痛を治療する方法であって、前記治療を必要とする動物に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法も提供する。
【0135】
本発明の一実施形態において、心血管疾患は、心不全、高血圧症、SA/AV結節疾患、不整脈、肥厚性大動脈下狭窄またはアンギナである。本発明のもう一つの実施形態において、心不全は慢性心不全または鬱血性心不全である。
【0136】
本発明は、アドレナリンβ受容体を阻害する、および/またはPDE3を含むホスホジエステラーゼPDEを阻害する方法であって、前記治療を必要とする動物に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0137】
本発明の化合物は、当業者に知られているいかなる手段によっても投与してよい。例えば、本発明の化合物は、経口で、非経口で、吸入スプレーによって、局所で、直腸で、鼻内で、頬に、膣内でまたは移植リザーバーを経由して投与してもよい。本明細書で用いられる「非経口」という用語は、皮下注射および注入法、静脈内注射および注入法、筋肉内注射および注入法、腹腔内注射および注入法、髄腔内注射および注入法、心室内注射および注入法、胸骨内注射および注入法、頭蓋内注射および注入法または骨内注射および注入法を含む。厳密な投与プロトコルは、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事を含む種々の要素に応じて異なる。特定の投与手順の決定は日常の仕事であろう。
【0138】
本発明の化合物は、単一投薬、多数のばらばらの投薬または連続注入によって投与してもよい。ポンプ手段、特に経皮ポンプ手段は連続注入のために有用である。
【0139】
本発明の化合物の約0.001mg/kg/d〜約10,000mg/kg/dの投薬レベルは本発明方法のために有用であり、好ましいレベルは約0.1mg/kg/d〜約1,000mg/kg/d、より好ましいレベルは約1mg/kg/d〜約100mg/kg/dである。特定のいかなる患者のための特定の投薬レベルも、用いられる特定の化合物の活性および起きうる毒性、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事、投与の時間、排泄の速度、複合製剤(drug combination)、鬱血心不全の過酷性および投与の形態を含む種々の要素に応じて異なる。典型的には、試験管内投薬−効果の結果は、患者投与のために適切な投薬量に関する有用な指針を提供する。動物モデルの試験も有用である。適切な投薬レベルを決定するための考慮事項は技術上周知されており、医師の技量の範囲内である。
【0140】
ドラッグデリバリーのタイミングおよびシーケンスを調節するために当業者に周知されているいかなる投与規則も本発明方法の治療を行うために必要に応じて用いるとともに繰り返すことが可能である。更なる規則は、追加の治療薬による前処置および/または追加の治療薬と合わせた共投与を含んでもよい。
【0141】
本発明の化合物は、単独で、または同時使用、別々使用または逐次使用のための追加の1種以上の治療薬と組み合わせて投与することが可能である。追加の薬剤は、本発明の1種以上の化合物を制限なく含むいかなる治療薬であることも可能である。本発明の化合物は、(i)単一製剤中で合わせて、または(ii)個々の製剤のそれぞれの活性剤の最適放出速度のために設計された個々の製剤中で別個に、のいずれかで1種以上の治療薬と合わせて共投与することが可能である。
【0142】
本発明の化合物を容易に製造することが可能である。例えば、m+nが0であるとともにβおよびXが直接結合されている時、本発明の化合物は当業者に知られている標準芳香族化学を用いて調製してもよい。以下の一般機構1で示されたように、部分Xの被保護アリールヒドロキシル前駆体(Pは、例えば、アセチル、ベンジル、アルキルシリルまたは他の適切な保護基であってもよく、Q〜Tは特定の部分Xに達するように選択される)は脱保護してもよく、その後、エピクロロヒドリンと反応させて、エポキシド中間体を生成させ、その中間体をアミンと反応させて最終生成物を生成させてもよい。
【0143】
更に、こうした機構は、Arをβに連結するか、またはArをLに連結するか、あるいはArをXに連結するように容易に適応させることができよう。

(機構1)
【化11】

【0144】
mが1であり、XとβまたはXとArが1個以上の原子のリンカーによって接続されている場合、リンカーは、β、ArまたはXに結合してもよく、中間部分β−LまたはX−LあるいはL−ArはXまたはAr/βあるいはβ/Xにそれぞれ連結されてA−(Ar)−L−Xを形成してもよい。
【0145】
例えば、β−(Ar)−Lを調製する一般方法は、次の通り進行することが可能である。以下で一般機構2において描かれたタイプの被保護フェノールは、適切に保護されたリンカー鎖Lと反応させてもよい。機構の「J」は、ヒドロキシル基と反応できる当業者に知られている種々の化学種のいずれであってもよい。例えば、Jは、フェノールのアニオンとの反応によって入れ替わりうる臭素原子であってもよいか、またはJは、Mitsunobu反応条件下でフェノールと反応できるアルコール基であってもよい。P’は、Pを開裂する条件とは異なる条件下で除去できる適する保護基であってもよい。部分脱保護化合物は、残りのβ成分を結合する前に一般機構4に記載されたように部分Xの前駆体またはArの前駆体と反応してもよい。こうした機構は、当業者によってLをArに連結するか、またはβ−LをArに連結するように容易に適応させることができよう。

(機構2)
【化12】

【0146】
更に、X−(Ar)−Lの調製のための一般方法はβ−(Ar)−Lのための方法に似ており、次の通り進行することが可能である。環の1つの上にヒドロキシル基を有する部分Xの前駆体は上の機構2に記載されたように被保護リンカー基と反応させてもよく、後で脱保護してもよい。こうした機構は、当業者によってXをArに連結するか、またはXをL−(Ar)−βに連結するか、あるいはXをAr−βに連結するように容易に適応させることができよう。

(機構3)
【化13】

【0147】
A−LまたはX−LをXまたはAと反応させてA−L−Xを製造する一般方法は次の通り進行することが可能である。一般機構2から得られた化合物は、以下で機構4において示したように標準Mitsunobu化学を介して部分Xのアリールヒドロキシル前駆体と反応することが可能である。残りのヒドロキシル基の脱保護後、エピクロロヒドリンおよび置換アミンとの逐次反応は最終生成物をもたらすことが可能である。

(機構4)
【化14】

【0148】
実際、一般機構1〜4は、当業者によってX−(L)−(Ar)−βを製造するように容易に適応させることができよう。
【0149】
一般機構3からの化合物は、以下で示すように被保護フェノールと反応することが同様に可能であり、カップリング生成物は、前述したのと同じ脱保護/エピクロロヒドリンとの反応/RNHとの反応シーケンスによって最終化合物に転化することが可能である。
【化15】

【実施例】
【0150】
実施例1
6−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オンを機構Iの方法により合成する。

(機構I)
【化16】

【0151】
2−オキソ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−6−イルアセテート
メタノール(80mL)中でグリシンエチルエステル塩酸塩(3.0g、24ミリモル)および無水酢酸ナトリウム(820mg、10ミリモル)から調製された溶液に3−ホルミル−4−ニトロフェニルアセテート(10ミリモル)を添加する。15分にわたり濃混合物を攪拌した後、シアノボロ水素化ナトリウム(380mg、6ミリモル)を添加し、沈殿物の溶解をもたらす。1時間にわたり攪拌した後、溶媒を蒸発させ、残留物をエチルアセテート(50mL)と飽和水性NaHCO(50mL)との間で分配する。層を分離し、水相を追加のエチルアセテートで抽出する。合わせた有機フラクションを飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で濃縮する。粗残留物をシリカゲルクロマトグラフィによって精製して、ベンジルアミン中間体をもたらし、それを20mLのエタノールに溶解させ、10%Pd−C上で60psiで終夜水素添加させる。濾過によって触媒を除去した後、5mLのエタノール中の臭化シアノーゲン(760mg、7.1ミリモル)の溶液を濾液に添加する。終夜攪拌後、混合物をトリエチルアミン(1.1mL、7.8ミリモル)で処理し、攪拌を再び終夜続ける。生じた沈殿物を濾過によって集め、水およびエタノール−エーテルで繰り返し洗浄し、乾燥させて標記化合物をもたらす。
【0152】
6−ヒドロキシ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン
上の化合物を10mLのメタノールに懸濁させ、2mLのNaOHの2.5M溶液で処理する。1時間にわたり攪拌した後、沈殿物を濾過によって集め、アセトンで洗浄し、真空下で乾燥させて固形物としてフェノールをもたらす。
【0153】
6−(オキシラン−2−イルメトキシ)−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン:
6−ヒドロキシ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン(3.8ミリモル)を5mLのHO中のNaOH(150mg、3.8ミリモル)の溶液に添加する。エピクロロヒドリン(2.5mL、32ミリモル)およびp−ジオキサンを添加し、反応を不活性雰囲気下で24時間にわたり攪拌する。反応混合物をメチレンクロライドで抽出し、有機相をブラインおよび水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、褐色油として粗生成物をもたらす。粗材料をエチルアセテート中の25%ヘキサンで溶離するシリカゲルカラム上で精製して、固形物として純生成物をもたらす。
【0154】
6−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン
上のエポキシド(2.7ミリモル)およびイソプロピルアミン(3.8ミリモル)をメタノール(5mL)に溶解させ、36時間にわたり合わせて攪拌する。溶媒を真空下で除去し、粗残留物をCHCl中の5%メタノールで溶離するシリカゲルカラムにかけて、実施例1の化合物をもたらす。
【0155】
実施例2
5−[4−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}フェニル)カルボニル]−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オンを機構IIの方法により合成する。

(機構II)
【化17】

【0156】
4−メチル−5−{[4−(フェニルメトキシ)フェニル]カルボニル}−4−イミダゾリン−2−オン
4−(フェニルメトキシ)安息香酸(56ミリモル)のカリウム塩を氷浴中で冷却された150mLのCHClに懸濁させ、7.50g(60ミリモル)のオキサリルクロライドを滴下して処理する。添加の完了後に、混合物を30分にわたり還流させ、冷却し、濾過する。50mLのニトロベンゼン中の4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン(56ミリモル、DuschinskyおよびDolan,J.Am.Chem.Soc.1945,67,2079の方法により調製されたもの)および無水塩化アルミニウム(112ミリモル)の攪拌された混合物に濾液を滴下した。得られた混合物を65℃で6時間にわたり攪拌し、その後、氷上に注ぐ。生成した沈殿物を濾過によって集め、エーテルおよび水で洗浄し、エタノール/水から再結晶化して生成物をもたらす。
【0157】
5−[(4−(ヒドロキシルフェニル)カルボニル}−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン
ベンジル被保護化合物(15ミリモル)をエタノールに溶解させ、炭素上の触媒量の10%パラジウムで処理し、50psiで終夜水素添加する。触媒を濾過によって除去し、溶媒を真空中で除去して油として粗生成物をもたらし、それを次工程のために直接使用する。
【0158】
4−メチル−5−{[4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル]カルボニル}−4−イミダゾリン−2−オン
フェノール(3.5ミリモル)を5mLのHO中のNaOH(150mg、3.8ミリモル)の溶液に添加する。エピクロロヒドリン(2.5mL、32ミリモル)およびp−ジオキサンを添加し、反応を不活性雰囲気下で24時間にわたり攪拌する。反応混合物をメチレンクロライドで抽出し、有機相をブラインおよび水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、油として粗生成物をもたらす。粗材料をエチルアセテート中の20%ヘキサンで溶離するシリカゲルカラム上で精製して純生成物をもたらす。
【0159】
5−[(4−{2−ヒドロキシ−2−[(メチルエチル)アミノ]エトキシ}フェニル)カルボニル]−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン
上のエポキシド(2ミリモル)およびイソプロピルアミン(4ミリモル)をメタノール(5mL)に溶解させ、36時間にわたり合わせて攪拌する。溶媒を真空下で除去し、粗残留物をCHCl中の10%メタノールで溶離するシリカゲルカラムにかけて、実施例2の化合物をもたらす。
【0160】
実施例3
6−[3−(2−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロポキシ]−4,3a−ジヒドロ−イミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オンを機構IIIの方法により調製する。

(機構III)
【化18】

【0161】
1−(3−ペルヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシプロポキシ)−2−(フェニルメトキシ)ベンゼン
水素化ナトリウム(10ミリモル)を50mLの乾燥エーテル中の2−(フェニルメトキシ)フェノール(9ミリモル)の溶液に添加し、その後、10mLのエーテル中の12ミリモルの3−ブロモ−1−ペルヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシプロパンで処理する。混合物を70℃で5時間にわたり攪拌し、その後、2mLのメタノールの添加によりクエンチし、その後、エチルアセテートと水との間で分配する。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮し、粗残留物をヘキサン中の5%エチルアセテートで溶離するシリカゲルカラム上で精製して、透明油として生成物を得る。
【0162】
3−[2−(フェニルメトキシ)フェノキシ]プロパン−1−オール
テトラヒドロピラニル被保護アルコール(10ミリモル)をメチレンクロライド(20mL)に溶解させ、2ミリモルのパラトルエンスルホン酸で処理する。室温で終夜攪拌した後、反応混合物をメチレンクロライドとブラインとの間で分配し、濃縮し、粗残留物をヘキサン中の25%エチルアセテートで溶離するシリカゲルカラムで精製して、透明油として生成物を得る。
【0163】
6−{3−[2−(フェニルメトキシ)フェノキシ]プロポキシ}−4,3a−ジヒドロ−イミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン
Mitsunobuの方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1979,52,1191−1196)によりジエチルアゾジカルボキシレートおよびトリエチルホスフィンを用いて3−[2−(フェニルメトキシ)フェノキシ]プロパン−1−オールと6−ヒドロキシ−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン(機構Iのように調製されたもの)の混合物を結合する。
【0164】
6−[3−(2−ヒドロキシフェノキシ)プロポキシ]−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン
ベンジル被保護化合物(11ミリモル)をエタノールに溶解させ、炭素上の触媒量の10%パラジウムで処理し、50psiで終夜水素添加する。触媒を濾過によって除去し、溶媒を真空中で除去して油として粗生成物をもたらし、それを次工程のために直接使用する。
【0165】
6−{3−[2−(シクロプロピルメトキシ)フェノキシ]プロポキシ}−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン:
フェノール(4ミリモル)を5mLのHO中のNaOH(150mg、4.4ミリモル)の溶液に添加する。エピクロロヒドリン(2.8mL、35ミリモル)およびp−ジオキサンを添加し、反応を不活性雰囲気下で24時間にわたり攪拌する。反応混合物をメチレンクロライドで抽出し、有機相をブラインおよび水で洗浄し、乾燥させ、濃縮して、油として粗生成物をもたらす。粗材料をエチルアセテート中の20%ヘキサンで溶離するシリカゲルカラム上で精製して純生成物をもたらす。
【0166】
6−[3−(2−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロポキシ]−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン
上のエポキシド(2.2ミリモル)およびイソプロピルアミン(4.4ミリモル)をメタノール(5mL)に溶解させ、36時間にわたり合わせて攪拌する。溶媒を真空下で除去し、粗残留物をCHCl中の10%メタノールで溶離するシリカゲルカラムにかけて、実施例3の化合物をもたらす。
【0167】
実施例4
5−({4−[3−(2−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロポキシ]フェニル}カルボニル)−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オンを機構IVの方法により調製する。

(機構IV)
【化19】

【0168】
4−メチル−5−[(4−{3−[2−(フェニルメトキシ)フェノキシ]プロポキシ}フェニル)カルボニル]−4−イミダゾリン−2−オン:
Mitsunobuの方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1979,52,1191−1196)によりジエチルアゾジカルボキシレートおよびトリエチルホスフィンを用いて3−[2−(フェニルメトキシ)フェノキシ]プロパン−1−オールと5−[(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル]−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オンを結合する。
【0169】
5−({4−[3−(2−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロポキシ]フェニル}カルボニル)−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン(4)を同じ反応シーケンス(脱保護、エピクロロヒドリンとの反応、その後のエポキシドとイソプロピルアミンの反応、機構IIIにおいて記載されたような前の機構で記載されたシーケンス)によって前工程の生成物から調製して、実施例4の化合物をもたらす。
【0170】
実施例5
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミドを機構Vの方法により調製した。

(機構V)
【化20】

【0171】
2−[3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン
エタノール/エチルアセテート(2:1)(60mL)中の2−[3−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(1.25g、3.23ミリモル)の攪拌された溶液に活性炭上のパラジウム(10重量%Pd、水50重量%の湿りDegussa型、315mg、0.148ミリモル)を添加した。反応混合物を周囲温度で16時間にわたり水素雰囲気(1.5気圧)下で攪拌し、その後、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過した。濾液を蒸発乾固させ、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(99:1)を用いるシリカゲル(50g)上のフラッシュクロマトグラフィによって残留物を精製した。Rf=0.33(DCM/MeOH 98:2)のフラクションを合わせ、減圧下で濃縮した。残留物をエチルアセテートから再結晶化させて、無色ペーストとして2−[3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(730mg、収率76%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ8.13(m、2H)、7.69(m、2H)、6.62−6.60(m、4H)、3.94(m、2H)、3.63(m、2H)、2.04(m、2H)。
【0172】
2−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン
N,N−ジメチルホルムアミド(6mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、108mg、2.7ミリモル)の0℃で窒素下で攪拌された溶液に2−[3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(730mg、2.45ミリモル)を添加し、反応混合物を周囲温度で20分にわたり攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(6mL)中の3−ニトロ−ベンゼンスルホン酸オキシラニル−メチルエーテル(700mg、2.70ミリモル)の溶液を0℃で添加した。混合物を周囲温度で16時間にわたり攪拌し、その後、氷と飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)の混合物上に注ぎ、エチルアセテート(4×25mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和ブライン(2×25mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶解させ、シリカ上に吸着させ、蒸発乾固させ、残留物をシリカゲルカラム(50g)上に乾式負荷した。溶離液としてジクロロメタン/エチルアセテート(9:1)への原液ジクロロメタンのグラジエントを用いてカラムクロマトグラフィによる精製を行った。Rf=0.54(DCM)のフラクションを合わせ、減圧下で蒸発乾固させて、無色固体として2−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(460mg、収率53%、LC−MSおよびH NMRにより純度95%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ8.13(m、2H)、7.69(m、2H)、6.66(m、4H)、4.07(m、2H)、3.94(m、1H)、3.63(m、2H)、3.04(m、1H)、2.50(m、2H)、2.04(m、2H)。
【0173】
2−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−イソインドール−1,3−ジオンを経由した1−[4−(3−アミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−3−イソプロピルアミノ−プロパン−2−オール
エタノール(20mL)中の2−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(430mg、1.30ミリモル)の攪拌された溶液にイソプロピルアミン(1.11mL、13.0ミリモル)を添加した。反応混合物を加熱して還流させ、その後、この温度で3時間にわたり攪拌し、その後、減圧下で濃縮して、粗2−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−イソインドール−1,3−ジオンをもたらした。残留物をメチルアミン(水中の40重量%、20mL)に溶解させ、周囲温度で16時間にわたり攪拌し、その後、HO(20mL)およびブライン(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(4×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、淡黄色油として粗1−[4−(3−アミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−3−イソプロピルアミノ−プロパン−2−オール(355mg、収率96%、LC−MSおよびH NMRにより純度90%)をもたらし、それを特に精製せずに用いた。H NMR(400MHz;CDCl):δ6.68(m、4H)、4.09(m、2H)、3.96(m、1H)、3.94(m、2H)、2.97(m、1H)、2.70(m、2H)、2.65(m、2H)、1.97(m、2H)、1.05(d、6Hトータル)。
【0174】
2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)フェノキシ]プロピル}アセトアミド
N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中の[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(126mg、0.446ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl、85.4mg、0.446ミリモル)および7−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt、60.7mg、0.446ミリモル)のN下で攪拌された溶液にN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の粗1−[4−(3−アミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−3−イソプロピルアミノ−プロパン−2−オール(140mg、0.496ミリモル)の溶液を添加した。混合物を周囲温度で3時間にわたり攪拌した。反応混合物を飽和ブライン(40mL)に注ぎ込み、水酸化ナトリウム水溶液(2N)で強アルカリ(pH11−12)にし、エチルアセテート(4×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。残留物を乾式負荷し、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(9:1)を用いるシリカゲル(4g)上のカラムクロマトグラフィによって精製した。Rf=0.04のフラクションを合わせ、減圧下で蒸発乾固させて、くすんだ白色の固形物として2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)フェノキシ]プロピル}アセトアミド(136mg、収率56%、LC−MSおよびH NMRにより純度97%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.51(d、1H)、7.41(dd、1H)、6.69(dd、1H)、6.66(m、4Hトータル)、4.83(s、2H)、4.09(d、1H)、3.96(m、1H)、3.94(m、2H)、3.20(m、2H)、2.97(dq、1H)、2.70(m、1H)、2.21(m、2H)、1.97(m、2H)、1.62(m、2H)、1.05(d、6Hトータル)。
【0175】
必要なPDE3阻害剤フラグメント、[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸を機構V−aに記載されたように合成した。

(機構V−a)
【化21】

【0176】
エチル2−クロロフェノキシアセテート
アセトン(300mL)中の2−クロロフェノール(20.0g、156ミリモル)の窒素下で周囲温度で攪拌された溶液に炭酸カリウム(23.7g、171ミリモル)およびエチルブロモアセテート(7、26.0g、156ミリモル)を添加した。その後、反応混合物を加熱して還流させ、窒素下でこの温度で7時間にわたり攪拌した。周囲温度に冷却した後、反応混合物を濾過して不溶分を除去した。その後、濾液を減圧下で濃縮して、非常に粘性の淡黄色油として生成物(32g、収率95%、LC−MSおよびH NMRにより純度95%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.16(m、1H)、7.03(m、1H)、6.76(m、1H)、6.71(m、1H)、4.90(s、2H)、4.12(q、2H)、1.33(t、3H)。
【0177】
4−[3−クロロ−4−(エトキシカルボニルメトキシ)フェニル]−4−オキソ酪酸
ジクロロメタン(75mL)中のエチル2−クロロフェノキシアセテート(32.0g、149ミリモル)の窒素下で周囲温度で攪拌された溶液に無水コハク酸(22.4g、224ミリモル)を添加した。反応混合物を氷水中で冷却し、温度を20℃未満に維持しつつ、これに三塩化アルミニウム(59.6g、447ミリモル)を分割して添加した。その後、反応混合物を放置して周囲温度で20分にわたり攪拌し、その後、加熱して還流させ、この温度で3時間にわたり攪拌した。反応混合物を放置して室温に冷却し、その後、氷、水(200mL)およびHCl(10N、100mL)の混合物に注ぎ込んだ。二相系を分離し、水層をエチルアセテート(5×100mL)で抽出した。その後、すべての有機層を合わせ、水(2×100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮してオレンジ色の油状固形物をもたらした。ヘキサン(300mL)を添加し、周囲温度で1時間にわたり静置した後、沈殿物を濾過除去し、エチルアセテート/ヘキサンから再結晶化させて、淡黄色粉末としてジケト化合物(21.5g、収率46%、LC−MSおよびH NMRにより純度98%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.79(m、1H)、7.66(m、1H)、6.79(m、1H)、4.90(s、2H)、4.12(q、2H)、2.82(m、2H)、2.42(m、2H)、1.30(t、3H)。
【0178】
6−[3−クロロ−4−(エトキシカルボニルメトキシ)フェニル]−4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノン
エタノール(200mL)中の4−[3−クロロ−4−(エトキシカルボニルメトキシ)フェニル]−4−オキソ酪酸(21.5g、69.2ミリモル)の0℃で攪拌された懸濁液にエタノール(20mL)中のヒドラジン一水和物(3.4mL、69.2ミリモル)の溶液を添加した。その後、反応混合物を放置して周囲温度に暖め、この温度で15分にわたり攪拌した後、加熱して還流させ、この温度で3時間にわたり攪拌した。エチルアセテート(40mL)を高温溶液に添加し、混合物を放置して周囲温度に冷却した。生じた沈殿物を濾過除去し、水(2×100mL)および冷エタノール(2×100mL)で洗浄し、その後、吸引で、次に高真空下で乾燥させて、淡黄色粉末としてピリダジノン(17.6g、収率82%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.52(m、1H)、7.41(m、1H)、6.70(m、1H)、4.90(s、2H)、4.12(q、2H)、2.22(m、2H)、1.62(m、2H)、1.30(q、3H)。
【0179】
ピリダジノンカルボン酸(6−{4−[3−カルボキシメトキシ]−3−クロロフェニル}−4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノン)
エタノール(150mL)中の6−[3−クロロ−4−(エトキシカルボニルメトキシ)フェニル]−4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノン(17.6g、56.6ミリモル)の周囲温度で攪拌された懸濁液に水(150mL)および水酸化ナトリウム(9.10g、227ミリモル)を添加した。その後、反応混合物を80℃に加熱し、この温度で2.5時間にわたり攪拌した。溶液を放置して、沈殿が起きるまで冷却し、その後、懸濁液を攪拌しつつHCl(2N、100mL)でpH1−2に酸性化した。周囲温度で1時間にわたり静置した後、沈殿物を濾過除去し、水(2×100mL)およびエタノール(2×100mL)で洗浄した。固形物を45℃で真空下で乾燥させて、淡黄色粉末として6−{4−[3−カルボキシメトキシ]−3−クロロフェニル}−4,5−ジヒドロ−3(2H)−ピリダジノン(13.4g、収率84%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.52(m、1H)、7.44(m、1H)、6.72(m、1H)、4.88(s、2H)、2.21(m、2H)、1.61(m、2H)。
【0180】
機構V−aの手順を用いて、鎖長が異なるPDE阻害剤フラグメントを得るために異なるハロアルカン酸を用いてもよい。
【0181】
実施例6
[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(127mg、0.446ミリモル)から出発して、実施例5のために用いられたのと同じ手順を用いて、2−[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)フェノキシ]プロピル}アセトアミドを合成した。2−[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−アセトアミド(実施例6)をくすんだ白色の固形物(95mg、収率39%、LC−MSおよびH NMRにより純度93%)として単離した。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.70(s、1H)、7.19(m、2H)、6.72(m、2H)、6.66(m、4H)、4.83(s、2H)、4.09(m、2H)、3.96(m、1H)、3.94(m、2H)、3.20(m、2H)、2.97(m、1H)、1.71(s、3H)、1.05(d、6Hトータル)。
【0182】
必要なPDE3阻害剤フラグメント、2−[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−3−ヒドロピリジル)フェノキシ]酢酸を機構V−bにより調製した。

(機構V−b)
【化22】

【0183】
4−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシ−フェニル)−but−3−エン−2−オン
N,N−ジメチルホルムアミド(200mL)中の1−(4−メトキシ−フェニル)−プロパン−2−オン(8.37g、51.0ミリモル)の攪拌された溶液にジメトキシメチル−ジメチル−アミン(27mL、203ミリモル)を添加した。その後、反応混合物を85℃で18時間にわたり攪拌し、放置して周囲温度に冷却し、過剰の溶媒および試薬を減圧下で除去して、黄色油として粗4−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシフェニル)−but−3−エン−2−オンをもたらし、それを特に精製せずに以下の工程で用いた。
【0184】
5−(4−メトキシ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、4.5g、112ミリモル)の攪拌された溶液にN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の前工程の粗4−ジメチルアミノ−3−(4−メトキシフェニル)−but−3−エン−2−オン、2−シアノアセトアミド(4.75g、56.5ミリモル)およびメタノール(4.54mL、112ミリモル)の溶液を0℃で滴下した。反応混合物を周囲温度で15分、次に95℃で18時間にわたり攪拌した。周囲温度に冷却した後、溶媒の大部分を減圧下で除去した。残留物を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)により加水分解した。沈殿した固形物を吸引濾過によって集め、水およびジエチルエーテルでリンスし、真空下で乾燥させて、茶色がかった固形物として5−(4−メトキシ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル(10.0mg、2工程にわたって収率82%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.70(s、1H)、7.19(m、2H)、6.72(m、2H)、3.73(s、3H)、1.71(s、3H)。
【0185】
5−(4−ヒドロキシ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル
ジクロロメタン(200mL)中の5−(4−メトキシ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボニトリル(10.0g、41.6ミリモル)の攪拌された溶液にDCM(125mL)中の三臭化硼素(11.8mL、125ミリモル)の溶液を0℃で滴下した。反応混合物を周囲温度で6時間にわたり攪拌し、氷と飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)の混合物に注ぎ込み、室温で1時間にわたり攪拌した。生じた沈殿物を濾過除去し、水でリンスし、水性水酸化ナトリウム(2N、400mL)に再溶解させた。水溶液をエチルアセテート(100mL)で洗浄し、水性塩酸(2N)でpH4に酸性化し、エチルアセテート(3×200mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(2×200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発乾固させて、黄色固形物として5−(4−ヒドロキシ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニトリル(3.25g、収率46%、LC−MSおよびH NMRにより純度92%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.70(s、1H)、7.13(m、2H)、6.68(m、2H)、1.71(s、3H)。
【0186】
[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)フェノキシ]−酢酸エチルエステル
N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、1.16g、29.0ミリモル)の攪拌された懸濁液にN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の5−(4−ヒドロキシ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニトリル(3.25g、14.4ミリモル)の溶液を0℃で添加した。混合物を周囲温度で30分にわたり攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中のエチル2−ブロモアセテート(2.0mL、18.0ミリモル)の溶液を0℃で添加し、混合物を0℃で30分、周囲温度で30分、次に80℃で45分にわたり攪拌した。混合物を放置して室温に冷却し、真空中で濃縮し、エチルアセテート(300mL)に再溶解させた。溶液を水(3×150mL)で抽出した。合わせた水層を水性塩酸(1N)でpH2に酸性化し、エチルアセテート(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、蒸発乾固させた。溶離液としてジクロロメタン中の2%メタノールを用いるシリカゲル(50g)上のカラムクロマトグラフィによって残留物を精製して、淡黄色粉末として[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)フェノキシ]−酢酸エチルエステル(1.3g、収率29%、LC−MSおよびH NMRにより純度80−90%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.70(d、1H)、7.19(m、2H)、6.72(m、2H)、4.90(s、2H)、4.12(q、2H)、1.71(s、3H)、1.30(t、3H)。
【0187】
[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸
1,4−ジオキサン(25mL)と水(25mL)の混合物中の[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)フェノキシ]−酢酸エチルエステル(1.3g、4.16ミリモル)の攪拌された溶液に水酸化リチウム一水和物(700mg、16.7ミリモル)を添加した。反応混合物を周囲温度で2時間にわたり攪拌し、水(50mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×25mL)で洗浄し、0℃に冷却し、水性塩酸(5N)でpH2に酸性化した。周囲温度で終夜静置した後、生じた沈殿物を吸引により濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、淡黄色結晶質固形物として[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(758mg、収率64%、LC−MSおよびH NMRにより純度97%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.70(d、1H)、7.20(m、2H)、6.73(m、2H)、4.88(s、2H)、1.71(s、3H)。
【0188】
実施例7
4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−6−イルオキシ)−酪酸(110mg、0,446ミリモル)から出発して、実施例5のために用いられたのと同じ手順を用いて、N−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)フェノキシ]プロピル}−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)ブチルアミドを合成した。N−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)フェノキシ]プロピル}−4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−6−イルオキシ)−ブチルアミドをくすんだ白色の固形物(103mg、収率45%、LC−MSおよびH NMRにより純度97%)として単離した。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.48(m、1H)、7.36(d、1H)、6.79(m、1H)、6.66(m、4H)、6.63(m、1H)、6.57(d、1H)、4.09(s、2H)、3.96(m、1H)、3.94(m、4Hトータル)、3.20(m、2H)、2.97(m、1H)、2.70(m、2H)、2.18(m、2H)、1.99(m、2H)、1.97(m、2H)、1.05(d、6Hトータル)。
【0189】
必要なPDE3阻害剤フラグメント、4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−6−イルオキシ)−酪酸を機構V−cにおいて記載されたように合成した。

(機構V−c)
【化23】

【0190】
メチル4−(2−オキソ−6−ヒドロキノリルオキシ)ブタノエート
75mLのイソプロパノール中の5gの6−ヒドロキシヒドロキノリン−2−オンおよび7gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)の溶液にメチル4−ブロモブチレート(6.8g)を攪拌しつつ滴下し、4時間にわたり還流させた。冷却するとともに真空下で溶媒を除去した後、残留物をメチレンクロライドに溶解させ、有機相を0.5NNaOH、希HClおよび水で逐次洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。水から粗生成物を再結晶化させると、無色針状物として置換キノロンをもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.48(m、1H)、7.36(d、1H)、6.79(m、1H)、6.63(m、1H)、6.57(d、1H)、3.94(m、2H)、3.67(s、3H)、2.25(m、2H)、2.10(m、2H)。
【0191】
4−(2−オキソ−6−ヒドロキノリル)酪酸
20%HCl中のメチルエステルの懸濁液を90℃で2時間にわたり攪拌し、冷却し、結晶を濾過によって集め、冷水で洗浄し、乾燥させて、粒状固形物として酸をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.48(m、1H)、7.36(d、1H)、6.79(m、1H)、6.63(m、1H)、6.57(d、1H)、3.94(m、2H)、2.23(m、2H)、1.98(m、2H)。
【0192】
実施例8
6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェノキシ]プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンを機構VIにより合成した。

(機構VI)
【化24】

【0193】
酢酸4−ヒドロキシ−フェニルエステル
テトラヒドロフラン(50mL)中の4−ベンジルオキシ−フェノール(4.0g、20.0ミリモル)の攪拌された溶液にピリジン(1.94mL、24.0ミリモル)および無水酢酸(2.26mL、24.0ミリモル)を添加した。反応混合物を加熱して還流させ、この温度で2時間にわたり攪拌し、周囲温度に冷却し、その後エチルアセテート(200mL)に注ぎ込んだ。得られた溶液を水性塩酸(0.5N、2×50mL)、炭酸ナトリウム水溶液(2N、2×50mL)および飽和ブライン(2×50mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、粗酢酸4−ベンジルオキシ−フェニルエステルをもたらした。この生成物を窒素下でエタノール/テトラヒドロフラン(5:1)(300mL)に溶解させ、溶液に炭素上のパラジウム(10重量%パラジウム、50重量%湿りDegussa型、1.80g、0.85ミリモル)を添加した。反応混合物を周囲温度で2時間にわたり水素雰囲気(1.5気圧)下で攪拌し、その後、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、淡黄色油として酢酸4−ヒドロキシ−フェニルエステル(2.76g、収率91%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%、マスイオン検出されず)をもたらした。H NMR(300MHz;CDCl):δ6.90(d、2H)、6.70(d、2H)、2.08(s、3H)。
【0194】
酢酸4−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロポキシ}フェニルエステル
乾燥ジクロロメタン中の酢酸4−ヒドロキシ−フェニルエステル(211mg、1.39ミリモル)の窒素下で攪拌された懸濁液に6−[3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(302mg、107ミリモル)およびトリフェニルホスフィン樹脂(ポリスチレン結合、1.20ミリモル/g負荷、1.80g、2.16ミリモル)を添加した。混合物を−10℃で10分にわたり攪拌し、その後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、310μL、1.57ミリモル)を添加し、反応混合物を放置して攪拌しつつ周囲温度に暖め、その後、この温度で16時間にわたり攪拌した。混合物を濾過し、濾過残留物をジクロロメタン(5mL)とメタノール(5mL)(×3)で交互にリンスした。合わせた濾液を蒸発乾固させ、残留物を乾式負荷し、原液エチルアセテートへのヘキサン/エチルアセテート(1:1)のグラジエントで溶離するシリカゲル(20g)上のカラムクロマトグラフィによって精製した。R=0.46(EtOAc)のフラクションを合わせ、減圧下で濃縮して、無色油として酢酸4−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロポキシ}−フェニルエステル(393mg、収率88%、LC−MSおよびH NMRにより純度90%)をもたらした。H NMR(300MHz;CDCl):δ7.51(d、1H)、7.42(dd、1H)、6.96(dd、2H)、6.69(dd、1H)、6.74(dd、2H)、3.94(ブロードm、4Hトータル)、2.21(m、2H)、2.13(m、2H)、2.08(s、3H)、1.61(m、2H)。
【0195】
6−{3−クロロ−4−[3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
テトラヒドロフラン(5mL)、HO(4mL)およびメタノール(1mL)中の酢酸4−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロポキシ}フェニルエステル(393mL、0.94モル)の攪拌された溶液に水酸化リチウム一水和物(80.0mL、1.91ミリモル)を添加した。反応混合物を窒素下で周囲温度で18時間にわたり攪拌し、氷酢酸(0.5mL)でクエンチし、シリカゲル(2g)上に吸着させた。混合物を減圧下で蒸発乾固させ、シリカゲルカラム(10g)上に乾式負荷した。溶離液としてヘキサン/エチルアセテート(20:80)を用いて、カラムクロマトグラフィによる精製を行った。R=0.40(EtOAc)のフラクションを合わせ、蒸発乾固させた。残留物をクロロホルム(1mL)によりすりつぶし、減圧下で乾燥させて、無色固形物として6−{3−クロロ−4−[3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(230g、収率65%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。H NMR(300MHz;CDCl):δ7.50(d、1H)、7.41(dd、1H)、6.70(dd、1H)、6.62(dd、2H)、6.60(dd、2H)、3.94(m、4Hトータル)、2.22(m、2H)、2.13(m、2H)、1.62(m、2H)。
【0196】
6−{3−クロロ−4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、23.0mg、0.58ミリモル)の0℃で窒素下で攪拌された懸濁液に6−{3−クロロ−4−[3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(215mg、0.57ミリモル)を添加し、反応混合物を周囲温度で20分にわたり攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の3−ニトロ−ベンゼンスルホン酸オキシラニルメチルエステル(150mg、0.58ミリモル)の溶液を0℃で添加した。混合物を周囲温度で16時間にわたり攪拌し、氷と飽和塩化アンモニウム水溶液(25mL)の混合物上に注ぎ込み、エチルアセテート(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和ブライン(3×10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、黄色ゴムとして粗6−{3−クロロ−4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンをもたらし、それを特に精製せずに次工程で用いた。
【0197】
6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
エタノール(5mL)中の粗6−{3−クロロ−4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロポキシ]−フェニル}−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オンの攪拌された懸濁液にイソプロピルアミン(490μL、5.74ミリモル)を添加した。反応混合物を加熱して還流させ、この温度で2時間にわたり攪拌し、放置して室温に冷却し、減圧下で蒸発乾固させた。残留物を乾式負荷し、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(4:1)へのジクロロメタン/メタノール(9:1)のグラジエントを用いるシリカゲル(3g)上のカラムクロマトグラフィによって精製した。R=0.05のフラクションを合わせ、減圧下で濃縮した。残留物をエタノールから再結晶化して、くすんだ白色の固形物として6−(3−クロロ−4−{3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノプロポキシ)−フェノキシ]−プロポキシ}−フェニル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(実施例8)(128mg、2工程にわたって収率46%、LC−MSおよびH NMRにより純度98%)をもたらした。H NMR(300MHz;CDCl):δ7.51(d、1H)、7.40(d、1H)、6.71(d、1H)、6.66(m、4H)、4.09(d、2H)、3.96(m、1H)、3.94(m、4H)、2.97(q、1H)、2.70(m、2H)、2.21(m、2H)、2.13(m、2H)、1.61(m、2H)、1.05(d、6Hトータル)。
【0198】
必要なピリダジノングリコールを機構VI−aの方法により調製した。

(機構VI−a)
【化25】

【0199】
酢酸3−(2−クロロ−フェノキシ)−プロピルエステル
N,N−ジメチルホルムアミド(150mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、7.40g、185ミリモル)の窒素下で攪拌された懸濁液にN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の2−クロロフェノール(16.0mL、154ミリモル)を0℃で分割して添加した。反応混合物を周囲温度で30分にわたり攪拌し、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の酢酸3−クロロ−プロピルエステル(21.0mL、170ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で30分、次に50℃で16時間にわたり攪拌した。周囲温度に冷却した後、反応混合物を氷と飽和塩化アンモニウム水溶液(250mL)の混合物に注ぎ込み、エチルアセテート(4×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水酸化ナトリウム水溶液(1N、100mL)およびブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発乾固させて、淡いオレンジ色の油として酢酸3−(2−クロロ−フェノキシ)−プロピルエステル(31.8g、収率90%、LC−MSおよびH NMRにより純度93%)もたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.16(m、1H)、7.03(m、1H)、6.75−6.71(m、2H)、4.08(m、2H)、3.94(m、2H)、2.01(s、3H)、1.99(m、2H)。
【0200】
4−[4−(3−アセトキシ−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4−オキソ−酪酸
ジクロロメタン(100mL)中の酢酸3−(2−クロロ−フェノキシ)−プロピルエステル(31.8g、139ミリモル)の周囲温度で窒素下で攪拌された溶液に無水コハク酸(20.8g、208ミリモル)を添加した。反応混合物を氷水中で冷却し、温度を20℃未満で維持しつつ三塩化アルミニウム(55.6g、417ミリモル)を分割して添加した。黄色懸濁液を周囲温度で20分、次に50℃で16時間にわたり攪拌した。得られた暗紫色高粘性油を放置して周囲温度に冷却し、その後、氷水(100mL)および氷−水性塩酸(10N、100mL)で注意深く加水分解した。水層をエチルアセテート(5×100mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮してオレンジ色の油をもたらした。残留物を高温エチルアセテート(50mL)に再溶解させ、ヘキサン(200mL)を添加し、混合物を10分にわたり振とうした。周囲温度で1時間にわたり静置した後、上澄み液をデカントした。残留物を100mLのヘキサンでリンスし、50℃で減圧下で乾燥させて、黄色ゴムとして4−[4−(3−アセトキシ−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4−オキソ−酪酸(42.7g、収率93%、LC−MSおよびH NMRにより純度90%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.79(m、1H)、7.66(m、1H)、6.79(m、1H)、4.08(m、2H)、3.94(m、2H)、2.82(m、2H)、2.42(m、2H)、2.01(s、3H)、1.99(m、2H)。
【0201】
酢酸3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロピルエステル
エタノール(300mL)中の4−[4−(3−アセトキシ−プロポキシ)−3−クロロ−フェニル]−4−オキソ−酪酸(42.7g、130ミリモル)の0℃で攪拌された懸濁液にエタノール(50mL)中のヒドラジン一水和物(5.47mL、117ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を放置して周囲温度に暖め、この温度で15分にわたり攪拌した後、加熱して還流させ、この温度で3時間にわたり攪拌した。エチルアセテート(60mL)を高温溶液に添加し、混合物を放置して周囲温度に冷却した。生じた沈殿物を濾過除去し、水(2×100mL)および冷エタノール(2×100mL)で洗浄し、その後、吸引で、次に高真空下で乾燥させて、淡黄色粉末として酢酸3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロピルエステル(24.5g、収率58%、LC−MSおよびH NMRにより純度97%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.52(m、1H)、7.40(m、1H)、6.72(m、1H)、4.08(m、2H)、3.94(m、2H)、2.22(d、1H)、2.01(s、3H)、1.99(m、2H)、1.63(m、2H)。
【0202】
6−[3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン
1,4−ジオキサン(125mL)中の酢酸3−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−プロピルエステル(24.75g、75.4ミリモル)の周囲温度で攪拌された懸濁液に水(125mL)および水酸化リチウム(12.7g、302ミリモル)を添加した。反応混合物を周囲温度で3時間にわたり攪拌し、その後、攪拌しつつ水性塩酸(5N、100mL)でpH1−2に酸性化した。周囲温度で1時間にわたり静置した後、沈殿物を濾過除去し、水(2×100mL)および冷エタノール(2×100mL)で洗浄した。固形物を45℃で減圧下で乾燥させて、くすんだ白色の粉末として6−[3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(19.2g、収率90%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。H NMR(400MHz;CDCl):δ7.52(m、1H)、7.40(m、1H)、6.72(m、1H)、3.94(m、2H)、3.53(m、2H)、2.21(d、2H)、1.90(m、2H)、1.60(m、2H)。
【0203】
実施例9
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−3−ブロモフェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミドを機構VIIの方法により調製した。

(機構VII)
【化26】

【0204】
2−[3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン
ジクロロメタン(100mL)中の2−[3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(1.20g、4.04ミリモル)の攪拌された溶液にジクロロメタン(30mL)中の臭素(210μL、4.04ミリモル)の溶液を0−5℃で滴下した。反応混合物を5℃で3時間にわたり攪拌した。生じた沈殿物を濾過除去し、冷ジクロロメタン(10mL)でリンスし、減圧下で乾燥させて、無色固形物として2−[3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(870mg、収率57%、LC−MSおよびH NMRにより純度98%)をもたらした。濾液を亜硫酸ナトリウム水溶液(5重量%、20mL)および水(2×50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮して、淡黄色粉末として2−[3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(560mg、収率36%、LC−MSおよびH NMRにより純度90%)の第2のバッチをもたらした。
【0205】
2−[3−(3−ブロモ−4−(S)−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン
N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、35mg、0.877ミリモル)の窒素下で0℃で攪拌された懸濁液にN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の2−[3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(300mg、0.797ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で20分にわたり攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の(2S)−グリシジルm−ニトロベンゼンスルホネート(207mg、0.797ミリモル)の溶液を0℃で添加した。混合物を周囲温度で16時間にわたり攪拌し、氷と飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)の混合物上に注ぎ、エチルアセテート(5×30mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(2×30mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、黄色ゴムとして粗2−[3−(3−ブロモ−4−(S)−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオンをもたらし、それを特に精製せずに次工程で用いた。
【0206】
1−[4−(3−アミノ−プロポキシ)−2−ブロモ−フェノキシ]−3−イソプロピルアミノ−(S)−プロパン−2−オール
エタノール(10mL)中の前工程の粗2−[3−(3−ブロモ−4−(S)−オキシラニルメトキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオンの攪拌された溶液にイソプロピルアミン(700μL、8.22ミリモル)を添加した。反応混合物を加熱して還流させ、この温度で3時間にわたり攪拌し、放置して周囲温度に冷却し、減圧下で濃縮した。残留物をメチルアミン(水中の40重量%、10mL)に溶解させ、30℃で16時間にわたり攪拌し、水(20mL)および飽和ブライン(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、無色油として粗1−[4−(3−アミノ−プロポキシ)−2−ブロモ−フェノキシ]−3−イソプロピルアミノ−(S)−プロパン−2−オール(230mg、3工程にわたって収率80%、LC−MSおよびH NMRにより純度90%)をもたらした。それを静置すると固化した。
【0207】
N−{3−[3−ブロモ−4−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド
N,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)中の[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(162mg、0.573ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、110mg、0.573ミリモル)および7−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt、78mg、0.573ミリモル)のN下で攪拌された溶液にN,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)中の1−[4−(3−アミノ−プロポキシ)−2−ブロモ−フェノキシ]−3−イソプロピルアミノ−(S)−プロパン−2−オール(230mg、0.637ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で3時間にわたり攪拌し、飽和ブライン(20mL)に注ぎ込み、水酸化ナトリウム水溶液(2N)で強アルカリ(pH11−12)にし、エチルアセテート(5×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(9:1)で溶離するシリカゲル(3g)上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。R=0.09のフラクションを合わせ、減圧下で濃縮して、無色粉末としてN−{3−[3−ブロモ−4−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−アセトアミド(130mg、収率33%、LC−MSおよびH NMRにより純度95%)をもたらした。
【0208】
実施例10
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−3−シアノフェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミドを機構VIIIにより調製した。

(機構VIII)
【化27】

【0209】
5−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−2−ヒドロキシ−ベンゾニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の2−[3−(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−フェノキシ)−プロピル]−イソインドール−1,3−ジオン(550mg、1.46ミリモル)の攪拌された溶液にシアン化銅(I)(160mg、1.75ミリモル)を添加した。その後、反応混合物を窒素下で155℃に加熱し、この温度で9時間にわたり攪拌した。放置して室温に冷却した後、溶液をエチルアセテート(20mL)で希釈した。水(20mL)中のエチレンジアミン四酢酸(850mg、2.91ミリモル)の溶液を添加し、得られた懸濁液を周囲温度で1時間にわたり攪拌した。2相を分離し、水層をエチルアセテート(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮した。残留物を取り、エチルアセテートで溶離するシリカゲル(2g)のパッドを通して濾過した。濾液を減圧下で蒸発乾固させて、褐色粉末として5−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−2−ヒドロキシ−ベンゾニトリル(330mg、収率70%、LC−MSおよびH NMRにより純度85%)をもたらした。
【0210】
5−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−2−(S)−オキシラニルメトキシ−ベンゾニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、33mg、0.819ミリモル)の窒素下で0℃で攪拌された懸濁液にN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の5−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−2−ヒドロキシ−ベンゾニトリル(240mg、0.745ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で10分にわたり攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の(2S)−グリシジルm−ニトロベンゼンスルホネート(193mg、0.745ミリモル)の溶液を0℃で添加した。反応混合物を周囲温度で4時間にわたり攪拌し、氷水(10mL)と飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)の混合物上に注ぎ、エチルアセテート(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(10mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)の混合物で、次に飽和ブライン(2×20mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、淡黄色固形物として粗5−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−2−(S)−オキシラニルメトキシ−ベンゾニトリル(255mg)をもたらし、それを特に精製せずに次工程で用いた。
【0211】
5−(3−アミノ−プロポキシ)−2−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンゾニトリル
エタノール(10mL)中の粗5−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−2−(S)−オキシラニルメトキシ−ベンゾニトリルの攪拌された溶液にイソプロピルアミン(560μL、6.74ミリモル)を添加した。反応混合物を加熱して還流させ、この温度で3時間にわたり攪拌し、減圧下で濃縮した。残留物をメチルアミン(水中の40重量%、10mL)に溶解させ、得られた溶液を30℃に加熱し、この温度で16時間にわたり攪拌した。周囲温度に冷却した後、溶液を水(20mL)および飽和ブライン(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和ブライン(2×10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、黄色油として5−(3−アミノ−プロポキシ)−2−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンゾニトリル(140mg、3工程にわたって収率67%、LC−MSおよびH NMRにより純度90%)をもたらした。それを静置すると固化した。
【0212】
2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)フェノキシ]−N−{3−[3−シアノ−4−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−アセトアミド塩酸塩
N,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)中の[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]酢酸(116mg、0.410ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、78mg、0.410ミリモル)および7−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt、56mg、0.410ミリモル)の窒素下で攪拌された溶液にN,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)中の5−(3−アミノ−プロポキシ)−2−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンゾニトリル(140mg、0.455ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で3時間にわたり攪拌し、水(10mL)で希釈し、水性塩酸(1N)でpH6に調節し、エチルアセテート(2×10mL)で洗浄した。水相を5−10℃で16時間にわたり静置した。生じた沈殿物を濾過除去し、水(2×10mL)で洗浄し、50℃で減圧下で乾燥させて、無色粉末として2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)フェノキシ]−N−{3−[3−シアノ−4−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−アセトアミド塩酸塩(80mg、収率34%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。
【0213】
実施例11
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−2−シアノフェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミドを機構IXにより調製した。

(機構IX)
【化28】

【0214】
2−ヒドロキシ−5−メトキシベンゾニトリル
乾燥ジクロロメタン(400mL)中の4−メトキシフェノール(12.4g、0.10モル)の0℃で窒素下で攪拌された溶液に三塩化硼素(ジクロロメタン中の1M、100mL、0.10モル)、次にメチルチオシアネート(8.2mL、0.12モル)を添加した。その後、無水塩化アルミニウム(2.0g、15ミリモル)を添加し、得られた懸濁液を周囲温度で16時間にわたり攪拌した。その後、反応混合物を0℃に冷却し、冷水酸化ナトリウム水溶液(4N、350mL)を添加した。その後、得られた混合物を加熱して還流させ、ジクロロメタンを蒸留によって集めた。周囲温度に冷却した後、冷水性塩酸(6N、300mL)を添加し、混合物をジエチルエーテル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和ブライン(2×300mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮し、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィによって精製して、淡黄色固形物として2−ヒドロキシ−5−メトキシベンゾニトリル(10.4g、収率70%、LC−MSおよびH NMRにより純度100%)をもたらした。
【0215】
2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−メトキシ−ベンゾニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、450mg、11.3ミリモル)の窒素下で0℃で攪拌された懸濁液にN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の2−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンゾニトリル(1.40g、9.39ミリモル)の溶液を分割して添加した。反応混合物を周囲温度で10分にわたり攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中の2−(3−ブロモプロピル)−イソインドール−1,3−ジオン(2.82g、10.5ミリモル)の溶液を0℃で添加し、反応混合物を周囲温度で16時間にわたり攪拌し、氷水(200mL)に注ぎ込み、周囲温度で15分にわたり静置した。生じた沈殿物を吸引により濾過除去し、水(25mL)およびジエチルエーテル(25mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、淡黄色固形物として2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−メトキシ−ベンゾニトリル(2.51g、収率79%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。
【0216】
2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリル
乾燥ジクロロメタン(20mL)中の2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−メトキシ−ベンゾニトリル(1.09、3.24ミリモル)およびテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド(1.28g、3.47ミリモル)の−78℃で攪拌された溶液に三塩化硼素(ジクロロメタン中の1M、14.6mL、14.6ミリモル)を添加し、内部温度を−60℃未満に維持した。反応混合物を−78℃で10分にわたり攪拌し、放置して周囲温度に暖め、その後周囲温度で更に2時間にわたり攪拌した。その後、混合物を冷飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)上に注いだ。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層を水(100mL)、飽和ブライン(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。得られた残留物をジクロロメタン/メタノール(99.5:0.5)で溶離するシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、無色固形物として2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリル(773mg、収率74%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。
【0217】
2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−(S)−オキシラニルメトキシ−ベンゾニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液、49mg、1.23ミリモル)の窒素下で0℃で攪拌された懸濁液にN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリル(369g、1.14ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で10分にわたり攪拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の(2S)−グリシジルm−ニトロベンゼンスルホネート(7、323mg、1.25ミリモル)の溶液を0℃で添加した。反応混合物を周囲温度で16時間にわたり攪拌し、氷水(15mL)と飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)の混合物上に注ぎ、得られた混合物をエチルアセテート(4×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(2×50mL)および飽和ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン/エチルアセテート(9:1)への原液ジクロロメタンのグラジエント溶離液を用いるシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製して、無色固形物として2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−(S)−オキシラニルメトキシ−ベンゾニトリル(362mg、収率84%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。
【0218】
2−(3−アミノ−プロポキシ)−5−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンゾニトリル
エタノール(7mL)中の2−[3−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロポキシ]−5−(S)−オキシラニルメトキシ−ベンゾニトリル(240mg、0.634ミリモル)の攪拌された溶液にイソプロピルアミン(540μL、6.34ミリモル)を添加した。反応混合物を加熱して還流させ、この温度で2時間にわたり攪拌した。放置して周囲温度に冷却した後、溶液を減圧下で濃縮した。残留物をメチルアミン(水中の40重量%、7mL)に溶解させ、30℃に加熱し、この温度で16時間にわたり攪拌した。周囲温度に冷却した後、溶液を水(10mL)および飽和ブライン(10mL)で希釈し、ジクロロメタン(4×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(2×10mL)および飽和ブライン(2×20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、無色油として粗2−(3−アミノ−プロポキシ)−5−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンゾニトリル(176mg、収率90%、LC−MSおよびH NMRにより純度90%)をもたらした。それを静置すると固化した。
【0219】
2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{3−[2−シアノ−4−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−アセトアミド塩酸塩
N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)中の[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−酢酸(146mg、0.515ミリモル)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl、99mg、0.515ミリモル)および7−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt、70mg、0.515ミリモル)の窒素下で攪拌された溶液にN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)中の2−(3−アミノ−プロポキシ)−5−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−ベンゾニトリル(176mg、0.573ミリモル)の溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で4時間にわたり攪拌し、水(20mL)で希釈し、エチルアセテート(40mL)で洗浄した。水層を5−10℃で16時間にわたり静置した。生じた沈殿物を濾過除去し、固形物を水(2×10mL)で洗浄し、60℃で減圧下で乾燥させて、無色粉末として2−[2−クロロ−4−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イル)−フェノキシ]−N−{3−[2−シアノ−4−((2S)−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ−プロポキシ)−フェノキシ]−プロピル}−アセトアミド塩酸塩(196mg、収率66%、LC−MSおよびH NMRにより純度99%)をもたらした。
【0220】
前に記載した合成の変法を用いて実施例12〜15の化合物を調製することが可能である。
【0221】
実施例12
(6−{4−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−3−ブロモフェノキシ)プロポキシ]−3−クロロフェニル}−2,4,5−トリヒドロピリダジン−3−オン)を機構Xに示したように調製する。シリル被保護フェノール基の開裂後、ヒドロキシルを(2S)−グリシジルm−ニトロベンゼンスルホネートおよびイソプロピルアミンと逐次反応させて、実施例12の化合物をもたらす。

(機構X)
【化29】

【0222】
実施例13
(2−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−5−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]プロポキシ}ベンゼンカルボニトリル)を上の機構Xからの3−ブロモ−4−(1,1,2,2−テトラメチル−1−シラプロポキシ)フェノールとDMF中のシアン化銅とを反応させて、5−ヒドロキシ−2−(1,1,2,2−テトラメチル−1−シラプロポキシ)ベンゼンカルボニトリルを生成させる(機構XI)ことにより調製する。この化合物を機構Xの実施例12のために用いられたのと同じ工程シーケンスによって実施例13に転化する。

(機構XI)
【化30】

【0223】
実施例14
(6−{4−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−2−ブロモフェノキシ)プロポキシ]−3−クロロフェニル}−2,4,5−トリヒドロピリダジン−3−オン)を機構XIIに示したように3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニルアセテートから出発して合成する。実施例8のための機構VIに記載されたようにこの化合物をピリダジノングリコールと結合した後、酸素保護基を穏やかな加水分解によって除去し、フェノールを既に記載された標準反応シーケンスによって実施例8に転化する。
【0224】
実施例15
(5−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−2−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]プロポキシ}ベンゼンカルボニトリル)を3−シアノ−4−ヒドロキシフェニルアセテートにより出発して機構XIIの方法により同様に調製する。

(機構XII)
【化31】

【0225】
(PDE−3阻害活性)
実施例16
cAMP PDE−3阻害活性を測定するためのアッセイ
ヒト血小板サイクリックAMPホスホジエステラーゼをAlvarezら、Mol.Pharmacol.29:554(1986)の方法により調製する。PDEインキュベーション媒体は、合計体積1.0mLの中に10mMTris−HCl緩衝剤pH7.7、10 MgSOおよび1μM[H]AMP(0.2μCi)を含有する。試験化合物をインキュベーション媒体への添加の直前にDMSOに溶解させ、得られた混合物を放置して酵素の添加の前に10分にわたり静置する。PDEの添加後に、内容物を混合し、30℃で10分にわたりインキュベートする。3つのアッセイをそれぞれ5試験化合物濃度の各々について行い、各濃度での測定(n=3)の平均をプロットし、IC50値をグラフで決定する。結果を表Iにまとめている。
【0226】
(アドレナリンβ受容体結合活性)
アドレナリンβ受容体結合活性および遮断活性を以下の方法の1つ以上によって評価する。結果を表Iにまとめている。
【0227】
実施例17
β受容体親和性を測定するための放射リガンド
Kalariaら、J.Neurochem.53:1772-81(1998)およびMinnemanら、Mol.Pharmacol.16:34-46(1979)に記載されたように放射リガンドとして[125I](−)ヨードシアノピンドロール(2000Ci/ミリモル)を用いて、アドレナリンβ受容体結合をCHO−REX16細胞において発現されたヒト組換え型ベータ−1受容体中で測定する。
【0228】
実施例18
β受容体親和性を測定するための放射リガンド
上述したKalariaら(1998)およびMinnemanら(1979)に記載されたように放射リガンドとして[125I](−)ヨードシアノピンドロール(2000Ci/ミリモル)を用いて、アドレナリンβ受容体結合をCHO−WT21細胞において発現されたヒト組換え型ベータ−2受容体中で測定する。
【0229】
実施例19
モルモットにおけるb2−アドレナリン遮断活性の決定
気管チェーン(tracheal chain)をCastilloおよびDeBeer、J.Pharm.Exp.Ther.90:104(1947)によって記載されたように調製し、95%O−5%COでガス供給されたタイロード液を含む37℃で維持された組織浴に懸濁させ、アイソメトリックフォース−ディスプレースメントトランスデューサに取り付けた。2時間の平衡期間後、標本をカルバコール(3×10−7M)で収縮するように誘導し、最初に試験化合物の存在しない状態および次に試験化合物の存在下でのイソプロテレノールの累積用量反応曲線により弛緩を誘導する。10分の接触時間をすべての試験化合物について見込んでいる。イソプロテレノール(EC50=2.3×0.2×10−8M)の用量反応曲線と試験化合物ごとの用量反応曲線のシフトを比較することにより親和定数を決定する。
【0230】
実施例20
モルモットの乳頭筋における収縮弛緩を測定するためのアッセイ
雄モルモット(400−500g)を頚部脱臼によって屠殺し、心臓を迅速に取り出し、氷冷中に漬け、113.1mM NaCl、4.6mM KCL、2.45mM CaCl、1.2mM MgCl、22.0mMNaHPOおよび10.0mMグルコースを含むpH7.4のクレブス液において95%O−5%COで酸素を供給する。心室を開き、乳頭筋を腱索と共に、そして周囲組織の基部は無傷で取り出す。筋の腱末端を絹糸で結さつし、筋を垂直に取り付け、10mLの酸素供給したクレブス液を含む二重ジャケット付き臓器浴を37℃にしておく。腱末端をGrassアイソメトリックフォーストランスジューサに取り付ける一方で、金属フックを筋の基部に挿入する。
【0231】
1グラムの張力下で45分の平衡期間後、1.0Hzの周波数、2.0ミリ秒の持続時間でステンレススチールフィールド電極を用いて筋を刺激することにより、対照収縮を誘発する。組織の収縮を誘発するのに十分なしきい値振幅の約1.5倍であるように刺激の振幅を調節する。対照収縮弛緩サイクルを連続的に30秒にわたり記録する。その後、組織を刺激しつつ累積試験薬物濃度を浴に直接注入する。収縮弛緩記録を試験化合物濃度当たり30秒にわたり連続的に行う。一連のウォッシュアウト収縮を溶液の変更後に記録する。収縮の振幅が対照条件で測定された振幅に戻ることを条件として、陽性対照の単一濃度を試験化合物と同じ方式で組織上で試験する。
【0232】
収縮振幅および収縮と弛緩の時間経過を定量化する。すべての記録を対照値に照らして正規化する。t−検定またはANOVAを用いて結果の統計的分析を行う。
【0233】
上で明示されたすべての刊行物、特許および特許出願は本明細書に引用して援用する。
【0234】
本発明をこうして記載して、本発明の精神および範囲を逸脱せずに本発明を多くのやり方で変えてもよいことは当業者に対して明らかであろう。こうした変形は特許請求しようとする本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
β−(Ar)−(L)−X (I)
(式中、
mは0および1から選択され、
nは0および1から選択され、
βは、2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択され、
Arは、アリール基およびヘテロアリール基から選択され、それらのアリール基およびヘテロアリール基は、R、RおよびRから選択された1〜3個の置換基で任意に置換され、
、RおよびRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルコキシ基、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、−NR基、アシルアミノアルキル基、−NHSO基および−NHCONHR基から独立して選択され、ここで、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の1個以上の−CH−基は、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で任意に置換され、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、オキソ基およびヒドロキシル基から選択された1個以上の置換基で任意に置換されており、
およびRは、孤立電子対、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から独立して選択され、ここで、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、フェニル基および置換フェニル基から選択された置換基で任意に置換されており、
は、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cシクロアルケニル基、C〜Cアルキニル基およびC〜Cシクロアルキニル基から選択され、
Lは、直接結合、C〜C12アルキレン基、C〜C12アルケニレン基およびC〜C12アルキニレン基から選択され、ここで、前記アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基の1個以上の−CH−基は、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で任意に置換され、前記アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基は、オキソ基およびヒドロキシル基から独立して選択された1個以上の置換基で任意に置換されており、
Xは式A〜Q
【化1】


(式中、部分A〜Qの1個のR基は、mが1である時にXとLとの間で、またはnが1であるとともにmが0である時にXとArとの間で、あるいはnが0であるとともにmが0である時にXとβとの間で共有結合を形成し、部分A〜Qの残りの各R基は、水素基、ハロ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、NR基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、COOR基、C〜C12アルキル基、C〜C12アルケニル基およびC〜C12アルキニル基から独立して選択され、ここで、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の1個以上の−CH−基は、−O−、−S−、−SO−および/または−NR−で任意に置換され、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、オキソ基およびヒドロキシル基から選択された1個以上の置換基で任意に置換されている)
の部分から選択されるが、
但し、
(a)m+nが0である時、XがA部分から選択される時、βが2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基およびN−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基から選択される時、そして
(i)βがAの位置3または4にある時、
【化2】


前記N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でも置換されておらず、前記N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基の1個の置換基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でもない、
(ii)βがAの位置5にある時、Aの位置8がアルコキシ基でもヒドロキシル基でも置換されておらず、
(iii)βがAの位置6にある時、Aの位置8がアルコキシ基でもアシルオキシ基でもヒドロキシル基でも置換されておらず、
(iv)βがAの位置8にあるとともにAの位置5がアルコキシ基またはヒドロキシ基で置換されている時、前記N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基がアルキル基でもシクロアルキル基でも置換されておらず、前記N−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基の1個の置換基がアルキル基でもシクロアルキル基でもなく、
(b)m+nが0である時、XがA部分から選択される時、βが3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択される時、そして
(i)βがAの位置4にある時、環窒素に結合されるR基はいずれもC〜Cアルキル基でもC〜Cアルケニル基でもなく、
(ii)βがAの位置5〜8のいずれかにある時、前記N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でも置換されておらず、前記N−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基の1個の置換基がアルキル基でもシクロアルキル基でもアルケニル基でもシクロアルケニル基でもアルキニル基でもなく、
(c)mが1である時、nが0である時、XがA部分から選択される時、βが3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択される時およびβがAの位置5にある時、Aの位置8が水素基、アルコキシ基またはアリールオキシ基で置換され、環窒素に結合されたRが水素基またはアルキル基であり、LがCアルケニル基ではなく、そして
(d)m+nが0である時、XがJ部分から選択される時、βが3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択される時、そしてβがJのフェニル環に結合される時、前記N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基および前記N−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基がC〜Cアルキル基でもフェネチル基でも置換されていないことを条件とする)
の化合物あるいは薬学的に許容できる等価物、異性体またはその異性体の混合物。
【請求項2】
Lは、C〜C12アルキレン基、C〜C12アルケニレン基およびC〜C12アルキニレン基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基の1個以上の−CH−基は、−O−および/または−NR−で任意に置換され、前記アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基は、1個以上のオキソ基で任意に置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Lは、−O(CHO−、−O(CHNH(CO)CHO−および−O(CHNH(CO)(CHO−から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Xは式B、EおよびOの部分から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
nは1であり、Xは式Aの部分から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
m+nは1または2であり、Xは式Jの部分から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
部分A〜Qの前記R基は、水素基、C〜C12アルキル基、C〜C12アルケニル基およびC〜C12アルキニル基から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
部分A〜Qの前記R基は、水素基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
は、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cシクロアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
は、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
は、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
は、シアノ基、ニトロ基、ハロ基、水素基、トリフルオロメチル基、アシルアミノアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
は、孤立電子対、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
は、孤立電子対、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基およびC〜Cアルキニル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Arは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、イソキサゾイル基、ピリジル基、キノリル基およびイソキノリル基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Arはフェニル基である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Arは基Ar〜Ar
【化3】


((α)は、Arがβ、LおよびXに結合してもよい位置を表す)
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
βは、2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基、N−置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基およびN−N−二置換−2−アミノ−1−ヒドロキシエト−1−イル基から選択され、各基の位置1の炭素は、その鏡像体より富んでいる、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
βは、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基、N−置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基およびN−N−二置換−3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ基から選択され、各基の位置2の炭素は、その鏡像体より富んでいる、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
m+nは0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
m+nは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
m+nは2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
6−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]−プロポキシ}−4,3a−ジヒドロイミダゾリジノ[2,1−b]−キナゾリン−2−オン、
5−[(4−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)−アミノプロポキシ}フェニル)カルボニル−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン、
6−[3−(2−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)−アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロポキシ]−4,3a−ジヒドロ−イミダゾリジノ[2,1−b]キナゾリン−2−オン、
5−({4−[3−(2−{2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル−アミノプロポキシ}フェノキシ)プロポキシ]−フェニル}カルボニル)−4−メチル−4−イミダゾリン−2−オン、
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)−アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミド、
6−{4−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)−アミノ]プロポキシ}−フェノキシ)プロポキシ]−3−クロロフェニル}−2,4,5−トリヒドロピリダジン−3−オン、
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)−アミノ]プロポキシ}−フェノキシ)プロピル]−2−[4−(5−シアノ−2−メチル−6−オキソ(3−ヒドロピリジル]フェノキシ]アセトアミド、
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)−アミノ]プロポキシ}フェノキシ)プロピル]−4−(2−オキソ(6−ヒドロキノリル−オキシ))ブタンアミド、
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−3−ブロモフェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミド、
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−3−シアノフェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミド、
N−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−2−シアノフェノキシ)プロピル]−2−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]アセトアミド、
6−{4−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−3−ブロモフェノキシ)プロポキシ]−3−クロロフェニル}−2,4,5−トリヒドロピリダジン−3−オン、
2−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−5−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]プロポキシ}ベンゼンカルボニトリル、
6−{4−[3−(4−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−2−ブロモフェノキシ)プロポキシ]−3−クロロフェニル}−2,4,5−トリヒドロピリダジン−3−オンおよび
5−{(2S)−2−ヒドロキシ−3−[(メチルエチル)アミノ]プロポキシ}−2−{3−[2−クロロ−4−(6−オキソ(1,4,5−トリヒドロピリダジン−3−イル))フェノキシ]プロポキシ}ベンゼンカルボニトリルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
(i)請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の有効量および
(ii)薬学的に許容できるキャリア
を含む薬剤組成物。
【請求項26】
前記薬学的に許容できるキャリアは、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、芳香剤、甘味剤および請求項1に記載の化合物以外の他の治療薬から選択される、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項27】
前記薬学的に許容できるキャリアは、充填剤、希釈剤、添加剤および溶媒カプセル化材料から選択される、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項28】
前記薬学的に許容できるキャリアは活性である、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項29】
前記薬学的に許容できるキャリアは、(1)糖、(2)澱粉、(3)セルロースおよびセルロース誘導体(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)添加剤、(9)油、(10)グリコール、(11)ポリオール、(12)エステル、(13)寒天、(14)緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張食塩水、(18)リンガー液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液ならびに(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリ無水物から選択される、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項30】
前記薬学的に許容できるキャリアは、ラクトース、グルコース、スクロース、コーンスターチ、ポテトスターチ、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、カカオ脂、座薬ワックス、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油、大豆油、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マニトール、ポリエチレングリコール、エチルオレエート、エチルラウレート、水酸化マグネシウム溶液および水酸化アルミニウム溶液から選択される、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項31】
前記薬学的に許容できるキャリアは液体である、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項32】
前記薬学的に許容できるキャリアは固体である、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項33】
前記薬剤組成物は固体および液体から選択された形態を有する、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項34】
前記薬剤組成物は、ドレンチ、タブレット、ボーラス、パウダー、グラニュール、舌に塗るためのペースト、ハードゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル、マウススプレー、エマルジョン、ミクロエマルジョン、無菌液、無菌サスペンション、持続放出性製剤、クリーム、軟膏剤、徐放性パッチ、徐放性局所スプレー、ペッサリーおよび発泡体から選択された形態を有する、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項35】
前記薬剤組成物は、水溶液、非水溶液、水性サスペンション、非水性サスペンション、頬吸着のためのタブレット、舌下吸着のためのタブレットおよび全身吸着のためのタブレットから選択された形態を有する、請求項25に記載の薬剤組成物。
【請求項36】
カルシウムホメオスタシスを調節することを必要とする哺乳類においてカルシウムホメオスタシスを調節する方法であって、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の有効量を前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項37】
心血管疾患、卒中および/またはてんかんの治療を必要とする哺乳類において心血管疾患、卒中および/またはてんかんを治療する方法であって、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の有効量を前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項38】
前記心血管疾患は、心不全、高血圧症、SA/AV結節疾患、不整脈、肥厚性大動脈下狭窄およびアンギナから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記心不全は慢性心不全または鬱血性心不全である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
アドレナリンβ受容体の阻害および/またはホスホジエステラーゼPDEの阻害を必要とする哺乳類においてアドレナリンβ受容体を阻害する、および/またはホスホジエステラーゼPDEを阻害する方法であって、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物の有効量を前記哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項41】
アドレナリンβ受容体とPDEの両方を阻害する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
PDE3を阻害する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
投与は、経口投与、非経口投与、吸入スプレー、局所投与、直腸投与、鼻投与、頬投与、膣投与、または移植リザーバによる、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
投与は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、髄腔内注射、心室内注射、胸骨内注射、頭蓋内注射または骨内注射による、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
投与は注入法による、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
同時使用、別使用または逐次使用のための1種以上の追加の治療薬を投与することを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記1種以上の追加の薬は治療薬から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記治療薬は、(i)請求項1に記載の化合物を有する単一製剤中で合わせて、または(ii)それぞれの活性剤の最適放出速度に設計された個々の製剤中で別個に投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記哺乳類はヒトである、請求項36〜48のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−509790(P2006−509790A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557333(P2004−557333)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/037812
【国際公開番号】WO2004/050657
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505127684)アルテシアン セラピューティック,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】