説明

感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性フィルム

【課題】基板などへの圧着が可能で、良好な現像性および難燃性を有し、ドライフィルム化時の反り軽減されたポジ型感光性樹脂組成物及び感光性フィルムを提供する。
【解決手段】(A)アルカリ溶解性樹脂と、(B)キノンジアジド構造を有する感光剤と、(C)ホスファゼン化合物の少なくとも1つ、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板のカバーレイに好適な感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性に優れた絶縁材料、特に半導体工業における固体素子の絶縁層や保護層として、ポリイミド等の高耐熱性樹脂が注目されている。一般に、ポリイミドは300℃以上の耐熱性と優れた機械特性を有しており、かつ低誘電率や高絶縁性などの電気特性にも優れている。
【0003】
一般的なポリイミド材料を微細加工する際には、フォトレジストを使用したエッチング処理が行われるため、多くの工程数を必要とする。そこで、絶縁層であるポリイミド自体に直接パターンを形成することのできる感光性ポリイミド材料が注目されてきている。なかでも、作業時の安全性や環境への影響に対する配慮から、アルカリ水溶液での現像処理が可能な感光性樹脂組成物への要望が強くなってきている。一般にネガ型の場合は、その現像液により露光部の膨潤が起こり、高解像度の微細加工を行うことが難しい。そのため、ポジ型の感光システムによる微細加工が強く望まれている。
【0004】
また、従来のスクリーン印刷では、溶媒除去のプロセスや両面加工の際には2回のプロセスになる等の問題があるため、工業プロセスの観点から感光性樹脂組成物をドライフィルム化することが望まれている。
【0005】
ポリイミドを含有するポジ型感光性樹脂組成物として、スルホン酸基を含有するポリイミドとナフトキノンジアジド化合物とを含む感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献1)。前記感光性樹脂組成物は、ポリイミドのTgが高いために、基板などへの圧着が困難である。
【0006】
一方、ポリイミドのTgを下げたポジ型感光性樹脂組成物として、シロキサン骨格を有するポリイミドからなるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献2)。この文献における技術のように、ポリイミドはシロキサン骨格を導入することにより、Tgは低下するものの、難燃性が低下する傾向がある。また、前記組成物は可塑性が充分でないため、ドライフィルム化時に反りが発生し、感光性フィルムとして用いることが困難である。
【0007】
樹脂組成物に難燃性を付与する方法として、ホスファゼン化合物をポリイミド樹脂に配合する樹脂組成物が開示されている(特許文献3)。前記樹脂組成物は、感光剤を含有していないため、現像を行うことはできない。また、樹脂のTgが高いためにドライフィルム化時に反りが発生し、フィルムとして使用することは困難である。
【0008】
また、炭素−炭素二重結合を有するホスファゼン化合物を含有する感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献4)。前記感光性樹脂組成物は、ネガ型であるため、現像液により露光部の膨潤が起こり、高解像度の微細加工を行うことが難しい問題があった。
【特許文献1】特開2004−238591号公報
【特許文献2】国際公開第2003/060010号パンフレット
【特許文献3】特開2005−47995号公報
【特許文献4】特開2003−302751号公報
【0009】
以上のように、感光性、難燃性、基板などへの圧着、ドライフィルム化時の反りをすべて満足させることは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、基板などへの圧着が容易で、良好な現像性を示し、かつ難燃性を有し、ドライフィルム化時の反りの軽減されたポジ型感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物からなる感光性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ溶解性樹脂と、(B)キノンジアジド構造を有する感光剤と、(C)下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるホスファゼン化合物の少なくとも1つと、を含有することを特徴とする。
(式中、R、R、R、Rは炭素数3以上20以下の有機基であり、同じであっても異なっていても良い。mは3以上25以下の整数であり、nは3以上10000以下の整数であり、X及びYは、炭素数3以上30以下の有機基である。)
【化1】

【化2】

【0012】
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記アルカリ溶解性樹脂が、アルカリ溶解性ポリイミドであることが好ましい。
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記アルカリ溶解性樹脂が、ポリアミド酸であることが好ましい。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記アルカリ溶解性樹脂が、シロキサン構造を10重量%以上含有するアルカリ溶解性ポリイミドであることが好ましい。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ホスファゼン化合物におけるR、R、R、Rが芳香環を有することが好ましい。
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物においては、(D)可塑剤を含有することが好ましい。
【0017】
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記可塑剤が、リン酸エステル、エーテル化合物、メタクリル基含有化合物、アクリル基含有化合物、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、イソシアヌル酸エチレングリコール変性トリアクリレート、及びε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートからなる群より選ばれたいずれかを含むことが好ましい。
【0018】
本発明の感光性フィルムは、上記感光性樹脂組成物で構成されることを特徴とする。
【0019】
本発明の積層フィルムは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に設けられた上記感光性フィルムと、を具備することを特徴とする。
【0020】
本発明の積層フィルムにおいては、前記感光性フィルム上に形成されたカバーフィルムを具備することが好ましい。
【0021】
本発明のプリント配線板は、配線を有する基材と、前記配線を覆うように前記基材上に形成され、上記感光性フィルム又は積層フィルムで構成されたカバーレイと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、(A)アルカリ溶解性樹脂と、(B)キノンジアジド構造を有する感光剤と、(C)上記一般式(1)又は一般式(2)で表されるホスファゼン化合物の少なくとも1つと、を含有するので、ドライフィルム化時の反りが軽減され、難燃性を有し、基板などへの圧着性が良好であり、現像性の良好な膜を得ることができる。
(式中、R、R、R、Rは炭素数3以上20以下の有機基であり、同じであっても異なっていても良い。mは3以上25以下の整数であり、nは3以上10000以下の整数であり、X及びYは、炭素数3以上30以下の有機基である。)
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ溶解性樹脂と、(B)キノンジアジド構造を有する感光剤と、(C)上記一般式(1)又は一般式(2)で表されるホスファゼン化合物の少なくとも1つと、を含有する。
【0024】
(A)アルカリ溶解性樹脂は、アルカリ溶液に溶解し得る樹脂であれば、限定されない。このような樹脂として、主鎖及び/又は側鎖にカルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基などの公知のアルカリに溶解する官能基を有する樹脂が挙げられる。このような樹脂として、耐熱性の観点から、アルカリ溶解性ポリイミド、ポリアミド酸、ポリベンゾオキサゾール前駆体などのアルカリ溶解性ポリアミドが好ましく、ドライフィルム化の観点からアルカリ溶解性ポリイミド及びポリアミド酸がより好ましく、アルカリ溶解性ポリイミドが特に好ましい。
【0025】
ここで、アルカリ溶解性ポリイミド及びポリアミド酸について説明する。
本発明において、アルカリ溶解性ポリイミド及びポリアミド酸に用いられる酸二無水物としては、具体的には無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物(以下ODPAと略称する)、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、メタ−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタトリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下TMEGと略称する)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)などが挙げられる。
【0026】
これらの中で、ポリイミドの溶媒溶解性、基板などへの圧着性の観点から、ODPA、TMEG、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が好ましい。ここで、溶媒溶解性とは、ポリイミドが公知の有機溶媒に5重量%以上の濃度で溶解する性質を有するものを指す。
【0027】
本発明で用いられるジアミンについて説明する。本発明におけるジアミンとしては、アルカリ溶解性官能基を有するジアミン及びその他のジアミンが挙げられる。アルカリ溶解性官能基とは、カルボキシル基、芳香族性水酸基、スルホン酸基などの公知のアルカリに溶解する官能基であれば、限定されない。その中で、未露光部の溶解抑止の観点から、カルボキシル基、芳香族性水酸基が好ましい。本発明における芳香族性水酸基とは、水酸基が直接芳香環に結合している化合物に由来する官能基である。具体的には、フェノール、カテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、1−ナフトール、2−ナフトールなどベンゼン環に水酸基が直接結合した化合物に由来する官能基などが挙げられる。
【0028】
芳香族性水酸基を有するジアミンとしては、1,2−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ジアミノ−6−ヒドロキシベンゼン、1,5−ジアミノ−6−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジアミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、4−(3,5−ジアミノフェノキシ)フェノール、3−(3,5−ジアミノフェノキシ)フェノール、2−(3,5−ジアミノフェノキシ)フェノール、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)スルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)メタン、4−[(2,4−ジアミノ−5−ピリミジニル)メチル]フェノール、p−(3,6−ジアミノ−s−トリアジン−2−イル)フェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタンなどが挙げられる。
【0029】
カルボキシル基を有するジアミンとしては、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下MBAAと略称する)、3,5−ジアミノ安息香酸などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ溶解性及び反応の容易さなどからMBAA、3,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンが好ましい。
【0030】
その他ジアミンとしては、シリコーンジアミン、1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,7−ジアミノ−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、APBと略称する)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4、4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0031】
前記アルカリ溶解性樹脂として、ドライフィルム化時の反り及び難燃性の観点から、10重量%以上90重量%以下のシロキサン構造を有することが好ましく、20重量%以上80重量%以下がより好ましい。
【0032】
本発明において、アルカリ溶解性樹脂の末端は、性能に影響を与えない構造であれば、特に限定されない。ポリイミド(前駆体)を製造する際に用いる酸二無水物、ジアミンに由来する末端でも良く、その他の酸無水物、アミン化合物等により末端を封止しても良い。
【0033】
本発明において、アルカリ溶解性樹脂の数平均分子量は1000以上1000000以下であることが好ましい。ここで、数平均分子量とは、既知の数平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量をいう。前記分子量はポリイミド膜の強度の観点から、1000以上であることが好ましい。またポリイミド含有樹脂組成物の粘度、成型性の観点から、1000000以下であることが好ましい。前記分子量は5000以上、500000以下がより好ましく、10000以上300000以下が特に好ましい。
【0034】
次に、本発明におけるアルカリ溶解性樹脂の製造方法について、ポリアミド酸を合成し、続いてアルカリ溶解性ポリイミドを合成する方法を例にあげて説明する。
本発明に係るポリイミドは、酸二無水物とジアミンを反応させ、ポリアミド酸を合成した後に、加熱(加熱イミド化)することによって得ることができる。また酸二無水物とジアミンとを反応させてポリアミド酸を合成し、続いて触媒を添加した後にイミド化(化学的イミド化)させることによっても得ることができる。この中で、化学的イミド化が、より低温でイミド化を完結できる点で好ましい。
【0035】
次いで、酸二無水物とジアミンを反応させてポリアミド酸を合成する方法について説明し、続いて触媒を添加した後にイミド化させる方法を例にあげて、本発明に係るポリイミドの製造条件について説明する。
ポリアミド酸を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まず、ジアミンを重合溶媒に溶解及び/又は分散し、これに酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0.5〜96時間好ましくは0.5〜30時間攪拌する。この際モノマー濃度は0.5重量%以上95重量%以下、好ましくは1重量%以上90重量%以下である。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、ポリアミド酸溶液を得ることができる。
【0036】
前記ポリアミド酸の製造の際に使用される反応溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンのような炭素数3以上6以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。これらは必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては、炭素数3以上6以下のエステル化合物、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2以上10以下の含窒素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能である。
【0037】
ポリアミド酸の製造の際の反応温度は、0℃以上250℃以下が好ましい。0℃以上あれば反応が開始され、また250℃以下であれば副反応等の影響が無い。好ましくは15℃以上220℃以下、さらに好ましくは20℃以上200℃以下である。ポリアミド酸の反応に要する時間は、目的あるいは反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
【0038】
次いで、ポリアミド酸に触媒を添加し(化学的)イミド化し、本発明に係るアルカリ溶解性ポリイミドを得る方法について説明する。
本発明に係るアルカリ溶解性ポリイミドを製造する際のイミド化触媒は特に制限されないが、無水酢酸のような酸無水物、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−テトロン酸、γ−フタリド、γ−クマリン、γ−フタリド酸のようなラクトン化合物;ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンのような三級アミンなどが挙げられる。また、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。この中でも特に、反応性の高さの観点からγ−バレロラクトンとピリジンの混合系が特に好ましい。
【0039】
イミド化触媒の添加量は、ポリアミド酸を100重量%とすると、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。
【0040】
反応溶媒としては、ポリアミド酸の製造に使用したものと同じものを用いることができる。その場合、ポリアミド酸溶液をそのまま用いることができる。また、ポリアミド酸の製造に用いたものと異なる溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンのような炭素数3以上6以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上10以下の含ハロゲン化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては炭素数3以上6以下のエステル化合物、炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物、炭素数2以上10以下の含窒素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能である。
【0041】
本発明に係るポリイミドの製造においては、反応温度は15℃以上、250℃以下で実施することが好ましい。15℃以上あれば反応が開始され、また250℃以下であれば触媒の失活が無い。好ましくは20℃以上、220℃以下、さらに好ましくは20℃以上、200℃以下である。反応に要する時間は、目的あるいは反応条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。製造終了後における、ポリイミドの回収は、反応溶液中の溶媒を減圧留去することに行うことができる。
【0042】
本発明に係るポリイミドの精製方法としては、反応溶液中の不溶解な酸二無水物及びジアミンを減圧濾過、加圧濾過などで除去する方法が挙げられる。また、反応溶液を貧溶媒に加え析出させる、いわゆる再沈精製法を実施することができる。更に特別に高純度なポリイミドが必要な場合は二酸化炭素超臨界法による抽出法も可能である。
【0043】
本発明に係るポリイミドを用いて、前記ポリイミドが均一に溶解及び/又は分散し得る溶媒により樹脂組成物を得ることができる。本発明に係るポリイミドを含有する樹脂組成物を構成する溶媒は、本発明に係るポリイミドを均一に溶解及び/又は分散させ得るものであれば限定されない。このような溶媒として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルアセテートのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物;ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンのような炭素数3以上6以下のエステル化合物;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような炭素数1以上10以下の含塩素化合物;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物;ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物などが挙げられる。また、必要に応じて、1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。ポリイミドの溶解性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
【0044】
本発明において、アルカリ溶解性樹脂と溶媒とを含む樹脂組成物のアルカリ溶解性樹脂の濃度は、樹脂成型体が製造される濃度であれば、特に制限されない。作製する樹脂成型体の膜厚の観点からポリイミドの濃度が1重量%以上、樹脂成型体の膜厚の均一性からポリイミドの濃度が90重量%以下であることが好ましい。得られる樹脂成型体の膜厚の観点から、2重量%以上、80重量%以下がより好ましい。
【0045】
本発明におけるキノンジアジド構造を有する感光剤とは、キノンジアジド構造を有していれば限定されない。前記キノンジアジド構造を含有する化合物としては、1,2−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル類、1,2−ベンゾキノンジアジドスルホン酸アミド類、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド類が挙げられる。具体的には、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのトリヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;2,2’,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2’,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのテトラヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのペンタヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどのヘキサヒドロキシベンゾフェノン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2’−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルなどの(ポリヒドロキシフェニル)アルカン類の1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類などが挙げられる。溶解抑止能の観点から、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類が好ましく、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル類が感光性コントラストの観点からより好ましい。なかでも一般式(3)で示す化合物B−1又はB−2が特に好ましい。
【化3】

【0046】
一般式(3)において、Qは一般式(4)又は(5)で表される構造又は水素原子である。本発明に係る感光性樹脂組成物における感光剤として、化合物B−1は、一般式(3)における3個のQのうち、平均2.34個が一般式(4)で表される構造になっているものを指す。化合物B−2は、一般式(3)における3個のQのうち、平均2.3個が一般式(5)で表される構造になっているものを指す。
【化4】

【化5】

【0047】
本発明に係る感光性樹脂組成物における感光剤の量としては、本発明におけるアルカリ溶解性樹脂の量を100重量%とした場合、感光性コントラストの観点から、1重量%以上50重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以上30重量%以下である。1重量%以上であれば、露光前の溶解抑止が充分である傾向にあるため好ましい。50重量%未満であれば、感度が充分に高い傾向にあるため好ましい。
【0048】
本発明における一般式(1)及び一般式(2)で表されるホスファゼン化合物におけるR、R、R、Rは、炭素数3以上20以下の有機基であれば限定されない。炭素数3以上であれば、難燃性が発現する傾向にあるため好ましい。炭素数30以下であれば、アルカリ溶解性樹脂と相溶する傾向にあるため好ましい。この中で、難燃性発現の観点から、炭素数6以上18以下の芳香族性化合物に由来する官能基が特に好ましい。このような官能基として、フェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などのフェニル基を有する官能基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのナフチル基を有する官能基、ピリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの含窒素複素環化合物に由来する官能基、などが挙げられる。これらの化合物は、必要に応じて1種類でも2種類以上の組み合わせで用いても良い。この中で、入手の容易さからフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−シアノフェニル基を有する化合物が好ましい。
【0049】
本発明における一般式(1)で表されるホスファゼン化合物におけるmは、3以上25以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、25以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さからmが3以上10以下であることが好ましい。
【0050】
本発明における一般式(2)で表されるホスファゼン化合物におけるnは、3以上10000以下であれば限定されない。3以上であれば、難燃性を発現し、10000以下であれば、有機溶剤に対する溶解性が高い。この中で特に、入手の容易さから3以上100以下が好ましい。
【0051】
本発明における一般式(2)で表されるホスファゼン化合物におけるX及びYは、炭素数3以上30以下の有機基であれば限定されない。この中で、Xは−N=P(OC、−N=P(OC、(OCOH)、−N=P(OC)(OCOH)、−N=P(OCOH)、−N=P(O)OC、−N=P(O)(OCOH)が好ましい。Yは−P(OC、−P(OC(OCOH)、−P(OC(OCOH)、−P(OC)(OCOH)、−P(OCOH)、−P(O)(OC、−P(O)(OCOH)、−P(O)(OC)(OCOH)などが好ましい。
【0052】
本発明に係る感光性樹脂組成物において前記ホスファゼン化合物の添加量は、(A)アルカリ溶解性樹脂の量を100重量%とした場合、感光性などの観点から、50重量%以下が好ましい。硬化体の耐熱性の観点から、45重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。
【0053】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ溶解性樹脂、(B)感光剤、(C)ホスファゼン化合物に、更に(D)可塑剤を含有することが好ましい。(D)可塑剤を含有することにより、組成物のTgが低下するため、ドライフィルム化時の反りが軽減する傾向にあるため好ましい。
【0054】
本発明に係る感光性樹脂組成物における可塑剤とは、樹脂組成物に可塑性を与え、組成物のTgを下げ得るものであれば特に限定されない。このような可塑剤として、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(2−ブトキシエチル)ホスフェート(以下TBXPと略称する。)などのリン酸エステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、クラウンエーテルなどのエーテル化合物;テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどのメタクリル基含有化合物;テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどのアクリル基含有化合物;ジメチルフタレート、ジエチルフタレートなどのフタル酸エステル;トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテートなどのトリメリット酸エステル;ジメチルアジペート、ジブチルアジペートなどの脂肪族二塩基酸エステル;イソシアヌル酸エチレングリコール変性トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。この中で、ドライフィルム化後の反りの観点から、リン酸エステル、メタクリル基含有化合物、イソシアヌル酸エチレングリコール変性トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートが好ましい。
【0055】
本発明に係る感光性樹脂組成物において可塑剤の添加量は、充分な可塑性を考慮すると(A)アルカリ溶解性樹脂の量を100重量%とした場合、30重量%以下が好ましい。また、硬化体の難燃性の観点から、20重量%以下がより好ましい。
【0056】
本発明に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて(A)アルカリ溶解性樹脂、(B)感光剤、(C)ホスファゼン化合物、及び/又は(D)可塑剤が均一に溶解及び/又は分散し得る溶媒を含むことができる。溶媒としては、前述のポリイミド樹脂組成物に用いる溶媒を使用することができる。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物は感光性フィルムに好適に用いることができる。感光性フィルムを製造するという観点からは、感光性樹脂組成物におけるポリイミドの濃度は、1重量%以上、90重量%以下が好ましい。ポリイミドの濃度は、感光性フィルムの膜厚の観点から1重量%以上が好ましく、感光性樹脂組成物の粘度、膜厚の均一性の観点から90重量%以下が好ましい。得られる感光性フィルムの膜厚の観点から、2重量%以上、80重量%以下がより好ましい。
【0058】
次に、本発明に係る感光性フィルムの製造方法について説明する。
まず、本発明に係る感光性樹脂組成物を基材にコートする。前記基材としては、感光性ドライフィルム形成の際に損傷しない基材であれば、限定されない。このような基材としては、シリコンウエハ、ガラス、セラミック、耐熱性樹脂、キャリアフィルムなどが挙げられる。本発明におけるキャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムや金属フィルムが挙げられる。取扱いの良さから、耐熱性樹脂及びキャリアフィルムが好ましく、基板圧着後の剥離性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
【0059】
コート方法としては、バーコート、ローラーコート、ダイコート、ブレードコート、ディップコート、ドクターナイフ、スプレーコート、フローコート、スピンコート、スリットコート、はけ塗り、などが例示できる。コート後、必要に応じてホットプレートなどによりプリベークと呼ばれる加熱処理を行っても良い。
【0060】
このように、本発明の感光性樹脂組成物で構成された感光性フィルムを用いる場合は、感光性樹脂組成物の溶液を任意の方法で任意の基材上に塗布後乾燥し、ドライフィルム化し、例えばキャリアフィルムと感光性フィルムとを有する積層フィルムとする。
【0061】
また、感光性フィルム上に、任意の防汚用や保護用のカバーフィルムを少なくとも一層設けて積層フィルムとしても良い。本発明に係る積層フィルムおいて、カバーフィルムとしては、低密度ポリエチレンなど感光性フィルムを保護するフィルムであれば限定されない。
【0062】
次いで、本発明の感光性フィルムを、配線を有する基材に前記配線を覆うように圧着し、アルカリ現像を行い、焼成を行うことによりプリント配線板を得ることができる。
【0063】
本発明に係るプリント配線板における配線を有する基材としては、ガラスエポキシ基板、ガラスマレイミド基板などのような硬質基材、あるいはポリイミドフィルムなどのフレキシブルな基板などが挙げられる。この中で、折り曲げ可能の観点からフレキシブルな基板が好ましい。
【0064】
前記プリント配線板の形成方法においては、前記感光性フィルムが配線を覆うように基材に形成されれば、限定されない。このような形成方法としては、前記配線を有する基材の配線側と本発明の感光性フィルムを接触させた状態で、熱プレス、熱ラミネート、熱真空プレス、熱真空ラミネート等を行う方法などが挙げられる。この中で、配線間への感光性フィルムの埋め込みの観点から、熱真空プレス、熱真空ラミネートが好ましい。
【0065】
前記配線を有する基材上に感光性フィルムを積層する際の加熱温度は、感光性フィルムが基材に密着しうる温度であれば限定されない。基材への密着の観点や感光性フィルムの分解や副反応の観点から、30℃以上、400℃以下が好ましい。より好ましくは、50℃以上、150℃以下である。
【0066】
本発明に係る感光性フィルムは、光照射後、光照射部位をアルカリ現像にて溶解することにより、ポジ型のフォトリソグラフィーが可能である。この場合において、光照射に用いる光源は、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、蛍光灯、タングステンランプ、アルゴンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザーなどが挙げられる。この中で、高圧水銀灯、超高圧水銀灯が好ましい。
【0067】
現像に用いるアルカリ水溶液としては、光照射部位を溶解し得る溶液であれば限定されない。このような溶液として、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などが挙げられる。現像性の観点から、炭酸ナトリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。現像方法としては、スプレー現像、浸漬現像、パドル現像などが挙げられる。
【0068】
次いで、本発明の感光性フィルムを圧着したプリント配線板を焼成することによりプリント配線板を形成する。焼成は、溶媒の除去の観点や副反応や分解などの観点から、30℃以上、400℃以下の温度で実施することが好ましい。より好ましくは、100℃以上、300℃以下である。
【0069】
前記焼成における反応雰囲気は、空気雰囲気下でも不活性ガス雰囲気下でも実施可能である。前記プリント配線板の製造において、前記焼成に要する時間は、反応条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、特に好適には1時間から8時間の範囲で実施される。
【0070】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、感光性フィルムとして反りが充分に抑制され、かつ現像性も良好であり、硬化体とした際に耐薬品性を示すことから、エレクトロニクス分野で各種電子機器の操作パネル等に使用されるプリント配線板や回路基板の保護層形成、積層基板の絶縁層形成、半導体装置に使用されるシリコンウエハ、半導体チップ、半導体装置周辺の部材、半導体搭載用基板、放熱板、リードピン、半導体自身などの保護や絶縁及び接着に使用するための電子部品への膜形成用途に利用される。
【0071】
以下、本発明の効果を明確にするための実施例について説明する。
<試薬>
実施例及び比較例において、用いた試薬であるシリコーンジアミン(KF−8010)(信越化学工業社製)、MBAA(和歌山精化社製)、ODPA(和光純薬工業社製)、APB(三井化学社製)、TMEG(新日本理化社製)、化合物B−1、化合物B−2、TBXP(大八化学社製)、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、(アロニックスM−325、東亞合成社製、以下M−325と略称する)、ホスファゼン化合物(SPB−100、SPH−100、大塚化学社製)、トルエン(和光純薬工業社製、有機合成用)、γ−ブチロラクトン(和光純薬工業社製、特級)、ピリジン(和光純薬工業社製、有機合成用)、γ−バレロラクトン(和光純薬工業社製、一級)、は特別な精製を実施せずに、反応に用いた。
【0072】
<数平均分子量測定>
数平均分子量の測定法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)は、下記の条件により測定を行った。溶媒としてN、N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
また、前記分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
【0073】
<膜厚測定>
硬化体の膜厚測定は、膜厚計(Mitutoyo社製、ID−C112B)を用いて行った。
【0074】
<ドライフィルム製造方法>
本発明における感光性樹脂組成物のコート方法は、FILMCOATER(TESTER SANGYO社製、PI1210)を用いるドクターブレード法により行った。易剥離PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、DIAFOIL、T100H25)に前記感光性樹脂組成物を滴下し、クリアランス200μmでコートを行った。コートした前記フィルムを、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて95℃で30分間乾燥することにより、感光性ドライフィルムを得た。
【0075】
<ラミネート条件>
本発明におけるラミネートは、真空プレス機(名機製作所製)を用いて行った。プレス温度110℃、プレス圧1.23MPa、プレス時間5分間にて行った。
【0076】
<難燃性試験>
難燃性試験は以下の手順で行った。前述のコート方法によって、カプトン(登録商標)フィルムの片面に感光性樹脂組成物をコートし、95℃で30分間乾燥し、次いで反対の面に感光性樹脂組成物をコートし、95℃で30分間乾燥させることにより、カプトン(登録商標)フィルムの両面に感光性樹脂組成物をコートした後、焼成炉(光洋リンドバーグ社製)を用いて、120℃で60分間、続いて180℃で60分間焼成することにより硬化体を得た。この硬化体を20cm×5cmに切り取り、UL94 VTM試験により難燃性の評価を行った。各試料の残炎時間が10秒以下で、かつ12.5cmの標線まで燃焼しなかったサンプルをVTM−0とし、各試料の残炎時間が10秒以上あるいは12.5cmの標線まで燃焼したサンプルを難燃性×とした。
【0077】
<現像性評価>
現像性評価は、銅張積層板上に、感光性ドライフィルム(感光層の厚さ約15μm)を用いて、上記のラミネート条件でラミネートした後に、ポジ型マスクを用いて照射量1.0J/cmにて露光を行い、続いて1%又は3%水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ現像処理と水によるリンスを行い、乾燥後にパターンを光学顕微鏡にて評価することにより行った。マスクには100μm径の円形パターン(間隔100μmピッチ)を用いた。現像により、露光部で銅面が現れており、かつ未露光部の感光層の膜厚が13μm以上の場合を◎、10μm以上13μm未満の場合を○とし、それ以外の解像度が劣る場合や膜厚が10μm未満の場合を×とした。
【0078】
<反り評価>
反りの評価は、A4サイズの感光性ドライフィルムを製造した際に、エッジ部分において5mmを上回って持ち上がる部分が無い場合を○とし、上回る部分が発生した場合を×とした。
【0079】
<基板への圧着性評価>
銅製回路(50μmの銅ライン幅、ライン間隔は50μm、銅配線の厚み12μm)上に感光性ドライフィルムを用いて、前述のラミネート条件によりラミネートした後に、得られた積層体をカットして断面を電子顕微鏡にて観察した。埋め込みに不十分なところが無く、カバーレイ層の表面の平坦性が良いものを○とした。埋め込みが不十分で空隙が観測された場合を×とした。
【0080】
(実施例1)
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、MBAA(30.0mmol)、シリコーンジアミン(KF−8010、45.0mmol)、γ−ブチロラクトン(120mL)を入れ、続いてODPA(60.0mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。続いて、トルエン(60mL)、ピリジン(34.13mmol)、γ−バレロラクトン(22.47mmol)を加え、ディーンシュタルク装置及び還流器をつけ、180℃で2時間加熱撹拌した。120℃まで冷却した後に、APB(15.0mmol)を加え、10分間撹拌した後に、TMEG(30.0mmol)を加え、120℃で2時間加熱撹拌した。続いて、トルエン(15mL)を加え、180℃で2時間加熱撹拌した。140℃まで冷却し、ポリマー固形分濃度30重量%となるようにγ−ブチロラクトンを加え、室温まで冷却することにより、ポリイミド(1)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。数平均分子量及びシロキサン構造に由来する部位の重量(%)を下記表1に示す。
【0081】
ポリイミド(1)100重量%に対して、化合物B−2(20重量%)、SPB−100(20重量%)及びM−325(30重量%)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。その組成を下記表2に示す。このようにして得られた感光性樹脂組成物を、前述のコート方法にて易剥離PETフィルムにコートし、95℃で30分間乾燥させることにより、感光性ドライフィルムを得た。反りはドライフィルムで、○であった。
【0082】
上記の感光性ドライフィルムを、銅製回路(50μmの銅ライン幅、ライン間隔は50μm、銅配線の厚み12μm)上に前述のラミネート条件によりラミネートを行った。得られた積層体をカットし、断面を電子顕微鏡にて観察したところ、空隙なく埋め込みができており、カバーレイ層の表面も平坦であった。
【0083】
前記ポジ型感光性樹脂組成物を、前述のコート方法にてカプトン(登録商標)にコートし、95℃で30分間乾燥させ、続いて反対の面にコートし、95℃で30分間乾燥させることによって得たポジ型感光性樹脂組成物をコートしたカプトン(登録商標)を、焼成炉にて空気雰囲気下、120℃で60分間、続いて200℃で60分間焼成することにより、硬化体を得た。前記硬化体に対し、UL94 VTM試験による難燃性の評価を行った。その結果を下記表3に示した。
【0084】
上記の感光性フィルムを、銅張積層板上に前述のラミネート条件によりラミネートを行った。得られた積層体を、ポジ型マスクを用いて照射量1.0J/cmにて露光を行い、続いて3%水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ現像処理と水によるリンスを行い、乾燥後にパターンを光学顕微鏡にて観察した。それぞれのドライフィルムにおいて露光部で銅面が現れており、かつ未露光部のカバーレイ層の膜厚が13μm以上であった。
【0085】
(実施例2)
窒素雰囲気下、セパラブルフラスコに、シリコーンジアミン(KF−8010、45.0mmol)、γ−ブチロラクトン(120mL)を入れ、続いてODPA(60.0mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。続いて、トルエン(60mL)、ピリジン(34.13mmol)、γ−バレロラクトン(22.47mmol)を加え、ディーンシュタルク装置及び還流器をつけ、180℃で2時間加熱撹拌した。120℃まで冷却した後に、APB(9.0mmol)、MBAA(30mmol)を加え、10分間撹拌した後に、TMEG(25.8mmol)を加え、120℃で2時間加熱撹拌した。続いて、トルエン(15mL)を加え、180℃で2時間加熱撹拌した。140℃まで冷却し、ポリマー固形分濃度30重量%となるようにγ−ブチロラクトンを加え、室温まで冷却することにより、ポリイミド(2)のγ−ブチロラクトン溶液を得た。数平均分子量及びシロキサン構造に由来する部位の重量(%)を下記表1に示す。
【0086】
ポリイミド(2)100重量%に対して、化合物B−1(20重量%)、SPB−100(20重量%)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。その組成を下記表2に示す。前記感光性樹脂組成物を実施例1と同様の方法にて反り、難燃性、基板への圧着性の評価を行った。アルカリ現像性については、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いて評価を行った。その結果を下記表3に示す。
【0087】
(実施例3)
実施例2で製造したポリイミド(2)100重量%に対して、化合物B−1(20重量%)、SPB−100(20重量%)、TBXP(10重量%)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。その組成を下記表2に示す。前記感光性樹脂組成物を実施例2と同様の方法にて反り、難燃性、基板への圧着性、アルカリ現像性の評価を行った。その結果を下記表3に示す。
【0088】
(実施例4)
実施例2で製造したポリイミド(2)100重量%に対して、化合物B−1(20重量%)、SPH−100(20重量%)、TBXP(10重量%)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。その組成を下記表2に示す。前記感光性樹脂組成物を実施例2と同様の方法にて反り、難燃性、基板への圧着性、アルカリ現像性の評価を行った。その結果を下記表3に示す。
【0089】
(比較例1)
実施例2で製造したポリイミド(2)100重量%に対して、化合物B−1(20重量%)を混合し、感光性樹脂組成物を調整した。その組成を下記表2に示す。前記感光性樹脂組成物を実施例2と同様の方法にて反り、難燃性、基板への圧着性、アルカリ現像性の評価を行った。その結果を下記表3に示す。
【0090】
【表1】

【表2】

【表3】

【0091】
表3の結果から、本発明のホスファゼン化合物を添加した実施例1から実施例4では、添加しない比較例1と比較して難燃性が向上していることがわかる。また、現像性についても向上していることがわかる。以上のことから、本発明のホスファゼン化合物を添加した感光性樹脂組成物からなる感光性フィルムは、難燃性及び現像性が改善されていることがわかる。また、基板への圧着性についても、良好なことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明における感光性樹脂組成物は、感光性フィルムとして反りが充分に抑制され、かつ現像性も良好であり、硬化後に難燃性を有することから、エレクトロニクス分野で各種電子機器の操作パネルなどに使用されるフレキシブル配線板や回路基板の保護層形成、積層基板の絶縁層形成、半導体装置に使用されるシリコンウエハ、半導体チップ、半導体装置周辺の部材、半導体搭載用基板、放熱板、リードピン、半導体自身などの保護や絶縁及び接着に使用するための電子部品への膜形成用途に利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ溶解性樹脂と、(B)キノンジアジド構造を有する感光剤と、(C)下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるホスファゼン化合物の少なくとも1つと、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
(式中、R、R、R、Rは炭素数3以上20以下の有機基であり、同じであっても異なっていても良い。mは3以上25以下の整数であり、nは3以上10000以下の整数であり、X及びYは、炭素数3以上30以下の有機基である。)
【化1】

【化2】

【請求項2】
前記アルカリ溶解性樹脂が、アルカリ溶解性ポリイミドであることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記アルカリ溶解性樹脂が、ポリアミド酸であることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アルカリ溶解性樹脂が、シロキサン構造を10重量%以上含有するアルカリ溶解性ポリイミドであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ホスファゼン化合物におけるR、R、R、Rが芳香環を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
(D)可塑剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記可塑剤が、リン酸エステル、エーテル化合物、メタクリル基含有化合物、アクリル基含有化合物、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、イソシアヌル酸エチレングリコール変性トリアクリレート、及びε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートからなる群より選ばれたいずれかを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物で構成されることを特徴とする感光性フィルム。
【請求項9】
キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に設けられた請求項8記載の感光性フィルムと、を具備することを特徴とする積層フィルム。
【請求項10】
前記感光性フィルム上に形成されたカバーフィルムを具備することを特徴とする請求項9記載の積層フィルム。
【請求項11】
配線を有する基材と、前記配線を覆うように前記基材上に形成され、請求項8から請求項10のいずれかに記載の感光性フィルム又は積層フィルムで構成されたカバーレイと、を具備することを特徴とするプリント配線板。

【公開番号】特開2009−53646(P2009−53646A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301002(P2007−301002)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【出願人】(397025417)株式会社ピーアイ技術研究所 (50)
【Fターム(参考)】