説明

抗糖尿病活性を有するインドール類

アリールオキシアルカン酸置換基またはアリールアルカン酸置換基を有するインドールはPPARガンマのアゴニストまたは部分的アゴニストであり、およびII型糖尿病の症状である高血糖症の他に、異脂肪血症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症および2型糖尿病にしばしば伴う肥満の治療および制御において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリールオキシアルカン酸置換基を有するインドール類、並びにそれらの医薬適合性の塩およびプロドラッグに関し、これらは治療用化合物として、特に、2型糖尿病の治療、並びに肥満症および脂質障害を含む、しばしば2型糖尿病に伴う状態の治療において有用である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は複数の原因要素から誘導される疾患であり、絶食状態における、または経口グルコース耐性試験中のグルコースの投与後の血漿グルコースのレベルの上昇(高血糖症)を特徴とする。糖尿病には2つの一般に認識されている形態が存在する。1型糖尿病、またはインシュリン依存性糖尿病(IDDM)においては、患者はグルコース利用を調節するホルモンであるインシュリンをほとんど、またはまったく産生しない。2型糖尿病、または非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)においては、インシュリンは依然として体内で産生される。2型糖尿病の患者は、しばしば、高インシュリン血症を患う(血漿インシュリンレベルの上昇);しかしながら、これらの患者はインシュリン耐性であり、これは、彼らが主要インシュリン感受性組織(これは、筋肉、肝臓および脂肪組織である)でのグルコースおよび脂質代謝の刺激におけるインシュリンの効果に対する耐性を有することを意味する。インシュリン耐性ではあるが糖尿病ではない患者はより多くのインシュリンを分泌することによってインシュリン耐性を補い、それ故、血清グルコースレベルは2型糖尿病の基準を満たすのに十分なほど上昇しない。2型糖尿病の患者においては、上昇した血漿インシュリンレベルでさえその際だったインシュリン耐性を克服するのに不十分である。
【0003】
糖尿病と共に生じる持続的な、または制御されない高血糖症は罹患および死亡の増加および早期化を伴う。しばしば、異常グルコースホメオスタシスは、間接的および直接的に、肥満、高血圧、並びに脂質、リポタンパク質およびアポリポタンパク質代謝の変化の他に他の代謝性および血行力学的疾患に関連する。2型糖尿病の患者は、アテローム性動脈硬化、冠状動脈硬化性疾患、脳卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎障害、神経障害、および網膜症を含む巨大血管および微小血管合併症の危険性が非常に増加している。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満、および高血圧の治療的制御が糖尿病の臨床的管理および治療において非常に重要である。
【0004】
多くのインシュリン耐性の、すなわち、2型糖尿病の患者は、しばしば、一括して症候群Xまたは代謝性症候群と呼ばれる幾つかの症状を有する。この症候群の患者は、以下の5つの症状の群から選択される3つ以上の症状を有するものと特徴付けられる:(1)異常肥満;(2)高トリグリセリド血症;(3)低高密度リポタンパクコレステロール(HDL);(4)高血圧;および(5)絶食時グルコースの上昇(これは、その患者が糖尿病でもある場合、2型糖尿病に特徴的な範囲内にあることもある)。これらの症状の各々は最近発表されたThird Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III, or ATP III), National Institutes of Health, 2001, NIH Publication No. 01−3670において定義されている。代謝性症候群の患者は、彼らの明白な糖尿病の罹患または発症の有無に関わらず、2型糖尿病と共に生じる、上に列挙される巨大血管および微小血管合併症、例えば、アテローム性動脈硬化および冠状動脈硬化性疾患を発症する危険性が増大している。
【0005】
インシュリン耐性は、主としてインシュリン受容体の数の減少によって生じるのではなく、未だに完全に理解されていないインシュリン受容体結合後の欠陥によって生じる。このインシュリンに対する応答性の欠如は、筋肉におけるグルコースの取り込み、酸化および保存の不十分なインシュリン介在性活性化並びに脂肪組織における脂肪分解および肝臓におけるグルコース産生および分泌の不適切なインシュリン介在性抑制を生じる。
【0006】
2型糖尿病には幾つかの利用可能な治療が存在し、それらの各々にはそれ自体の限界および潜在的な危険性がある。運動およびカロリーの食事性摂取の減少はしばしば糖尿病性状態を劇的に改善し、2型糖尿病の最善の第一線治療である。この治療のコンプライアンスは、十分に確立された座式生活様式および過剰食品消費、特に、多量の脂肪を含有する食品のため、非常に低い。広範に用いられる薬物治療はインシュリン分泌促進剤であるメグリチニドまたはスルホニル尿素(例えば、トルブタミドまたはグリピジド)の投与を含む。これらの薬物は、膵臓β−細胞を刺激してより多量のインシュリンを分泌させることにより、インシュリンの血漿レベルを増加させる。スルホニル尿素またはメグリチニドの投与が無効になったとき、インシュリン注射によって体内のインシュリン量を補足し、それによりインシュリン濃度を極めてインシュリン耐性の組織でさえ刺激するのに十分な高さにすることができる。しかしながら、危険なほどに低い血漿グルコースレベルがインシュリンおよび/またはインシュリン分泌促進剤の投与から生じることがあり、かつより高い血漿インシュリンレベルのためにインシュリン耐性のレベルの増加が生じることがある。
【0007】
ビグアニドは2型糖尿病の治療に広範に用いられる別のクラスの薬物である。2つの最良公知ビグアニド、フェンホルミンおよびメトホルミンは、低血糖症を生じる危険性なしに高血糖症を幾らか矯正する。ビグアニドは低血糖症の危険性を増大させることなしにインシュリンまたはインシュリン分泌促進剤のいずれかと共に用いることができる。しかしながら、フェンホルミンおよびメトホルミンは乳酸アシドーシスおよび吐き気/下痢を誘導する可能性がある。メトホルミンはフェンホルミンより副作用の危険性が低く、2型糖尿病の治療のために広範に処方されている。
【0008】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は高血糖症および2型糖尿病の他の症状を緩和することができる新規クラスの化合物である。これらの薬剤は2型糖尿病の幾つかの動物モデルにおいて筋肉、肝臓および脂肪組織におけるインシュリン感受性を実質的に増加させ、低血糖症の発生なしに上昇した血漿グルコースレベルの部分的または完全な矯正を生じる。現在市販されているグリタゾン(ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)はペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ガンマサブタイプのアゴニストである。PPAR−ガンマアゴニストは、一般に、グリタゾンで観察されるインシュリン感受性の改善の原因と考えられている。2型糖尿病および/または異脂肪血症の治療のため、新規PPARアゴニストが開発されている。より新しいPPAR化合物の多くはPPARアルファ、ガンマおよびデルタサブタイプのうちの1つ以上のアゴニストである。高血糖を低減し、かつ脂質代謝をも改善するため、PPARアルファおよびPPARガンマサブタイプの両者のアゴニストである化合物(PPARアルファ/ガンマ二重アゴニスト)が将来有望である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
PPARアゴニスト、特にグリタゾンは、従来それらの魅力を減じている欠点を有している。幾つかの化合物、特にトログリタゾンは、肝毒性を示している。トログリタゾンは、肝毒性のため、最終的には市場から引き上げられた。現在市販されているPPARアゴニストにおける他の弱点は、2型糖尿病の単独療法が弱い効力(≒20%の平均血漿グルコースの低下およびヘモグロビンA1Cの≒9.0%から≒8.0%の低下)しか生じないことである。現存の化合物は脂質代謝を大幅に改善することもなく、実際、脂質プロフィールに対する効果は否定的なものであり得る。これらの欠点は、類似の作用機構(1以上)によって機能する2型糖尿病用のより良好なインシュリン感作剤を開発する動機を提供している。
【0010】
近年、PPARガンマアンタゴニストまたは部分的アゴニストである化合物が報告されている。WO01/30343は、肥満および2型糖尿病の治療に有用である、PPAR部分的アゴニスト/アンタゴニストである特定の化合物を記載する。WO02/08188は、インドール誘導体であり、かつ、体重および心臓重量増加に関する副作用を低減しながら、2型糖尿病の治療において有用であるPPARアゴニストおよび部分的アゴニストの一クラスを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここで説明される化合物のクラスは、1,3−チアゾリジンジオン部分を含まないPPARアゴニストの新規クラスである。この化合物のクラスにはPPARγ部分的アゴニストである多くの化合物が含まれるが、PPARγ完全アゴニストおよび/またはPPARγアンタゴニストも含まれ得る。幾つかの化合物はPPARγ活性に加えてPPARα活性を有することもある。幾つかの化合物は混合完全または部分的PPARα/γアゴニストであり得る。これらの化合物は糖尿病、高血糖症、およびインシュリン耐性の治療および制御において有用である。
【0012】
これらの化合物は、混合もしくは糖尿病性異脂肪血症を含む1種類以上の脂質障害、LDL−Cおよび/または非HDL−Cの上昇によって顕在化され得る孤立性高コレステロール血症、高アポBリポタンパク血症(hyperapoBliproteinemia)、高トリグリセリド血症、トリグリセリドに富むリポタンパク質の増加、並びに低HDLコレステロール濃度の治療においても有用であり得る。これらはアテローム性動脈硬化、肥満、血管再狭窄、炎症状態、乾癬、多嚢胞性卵巣症候群、並びに他のPPAR介在性疾患、障害および状態の治療または緩和においても有用であり得る。
【0013】
本発明は、式Iの化合物:
【0014】
【化3】

並びにその医薬適合性の塩およびプロドラッグに向けられている。
【0015】
式Iの化合物において、
は、
【0016】
【化4】

であり、ここで、Xは、結合、O、S(O)、CO、CH、CH(CH)、C(CHおよびC3−6シクロアルキリデンからなる群より選択され;
Yは、−CH=CH−、−CH(OH)CH(OH)−、−OCR−、−SCR−および−CHCR−からなる群より選択され;
Zは、−COHおよびテトラゾールからなる群より選択され;
Aは、H、C1−4アルキル、C1−4アルケニル、−OC1−4アルキルおよびハロゲンからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニルおよびOアルキルは1から5個のハロゲンで場合により置換され;
、R、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、C−Cアルキル、OC−Cアルキル、C−Cアルケニル、OC−Cアルケニル、Cシクロアルキル、(CH0−2フェニル、−O(CH0−2フェニルおよびCOHからなる群より選択され、ここで、C−Cアルキル、OC−Cアルキル、C−Cアルケニル、OC−Cアルケニル、Cシクロアルキルおよびフェニルは1から5個のハロゲンで場合により置換され、並びにC3−6シクロアルキルおよびフェニルはC−CアルキルおよびOC−Cアルキルから独立に選択される1から3個の基でさらに場合により置換され、該C−CアルキルおよびOC−Cアルキルは1から3個のハロゲンで場合により置換され;
またはその代わりに、RおよびRは結合してC−Cシクロアルキル基を形成することができ、該C−Cシクロアルキルは1から3個のハロゲンで場合により置換され;
またはその代わりに、YがOCRであるとき、Rは、場合により、Yに対してオルト位でフェニル環に結合する1−2炭素架橋であって、それによりフェニル環に融合する5もしくは6員複素環を生じてもよく、
は、1から5個のハロゲンで場合により置換される、C−Cアルキルであり;
は、3−ベンズイソキサゾリル、3−ベンズイソチアゾリルおよび3−ベンズピラゾリルからなる群より選択され、ここで、Rはハロゲン、C1−3アルキルおよびOC1−3アルキルから独立に選択される1から3個の基で場合により選択され、ここで、C1−3アルキルおよびOC1−3アルキルは1から5個のハロゲンで場合により置換され;
各々のRは、ハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より独立に選択され、ここで、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルは1から5個のハロゲンで場合により置換され;
nは0−2の整数であり;
pは0−3の整数であり;並びに
qは0−3の整数である。
【0017】
上記定義および置換基定義において、他に指定されない限り、アルキル基は直鎖または分岐鎖のいずれかであり得る。
【0018】
本発明は、糖尿病患者およびグルコース寛容性が損なわれている非糖尿病患者における、および/または前糖尿病状態におけるグルコース、脂質、およびインシュリンの低下において有効である。これらの化合物は非ヒトおよび他の哺乳動物患者における非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)の治療、特に、高血糖症の治療並びに、高脂血量、異脂血症、肥満、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化、血管再狭窄、炎症状態、および他のPPAR介在疾患、障害および状態を含む、NIDDMに関連する状態の治療において有効であるものと期待される。
【0019】
本発明は多くの実施態様を有する。本発明は式Iの化合物(これらの化合物の医薬適合性の塩を含む)、これらの化合物のプロドラッグ、並びにこれらの化合物および医薬適合性の担体を含有する医薬組成物を提供する。
【0020】
化合物の好ましい下位集団において、qは1−3である。別の好ましい下位集団においては、qは1である。
【0021】
化合物の好ましい下位集団において、pは1である。
【0022】
別の下位集団において、Xは結合、O、S(O)、CHおよびC3−6シクロアルキリデンからなる群より選択され;
YはOCRおよびCHCRからなる群より選択され;
ZはCOHおよびテトラゾールから選択され;
AはH、CH、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群より選択され;
、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択され、並びにRはハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択され、ここで、R、R、RおよびRのC−CアルキルおよびOC−Cアルキルは1から3個のハロゲンで場合により置換され;
はC−Cアルキルであり;
は3−ベンズイソキサゾリル、3−ベンズイソチアゾリルおよび3−ベンズピラゾリルからなる群より選択され、ここで、Rはハロゲン、OCH、OCF、CHおよびCFから独立に選択される1から3個の基で場合により置換され;
各々の基RはOCH、OCFおよびCFから選択され;
pは1であり;並びにqは0−3である。あるいは、qは1−3であってもよく;あるいは、qは1であってもよい。
【0023】
上記下位集団のサブセットにおいて、R、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択され、並びにRはハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択される。
【0024】
化合物の別の群においては、XはO、S(O)またはCHであり得;
YはOCRまたはCHCRであり得;
ZはCOHであり;
AはH、CH、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群より選択され;
はHであり;
はHおよび、1から3個のハロゲンで場合により置換される、OC−Cアルキルから選択され;
はHおよびC−Cアルキルからなる群より選択され;
はC−Cアルキルであり;
はC−CアルキルおよびCFから選択され;並びに
は3−ベンズイソキサゾリル、3−ベンズイソチアゾリルおよび3−ベンズピラゾリルから選択され、ここで、Rはハロゲン、OCH、OCF、CHおよびCFから独立に選択される1つの基で場合により置換される。
【0025】
化合物の多くの下位集団においては、RはC1−3アルキルである、Rは好ましくはCHである。
【0026】
化合物の多くの好ましい下位集団においては、XはOである。
【0027】
化合物の別の好ましい下位集団においては、XはCHである。
【0028】
化合物の別の好ましい下位集団においては、XはSである。
【0029】
化合物の別の好ましい下位集団においては、XはS(O)である。
【0030】
化合物の別の好ましい下位集団においては、XはS(O)である。
【0031】
好ましい化合物の多くの下位集団においては、YはOCRであり;RはHおよびC−Cアルキルから選択され;並びにRはC−Cアルキルである。
【0032】
別の好ましい下位集団においては、YはCHCHRであり、ここで、Rは1から3個のハロゲンで場合により置換されるOC−Cアルキルである。
【0033】
多くの好ましい化合物において、ZはCOHである。
【0034】
化合物の多くの下位集団において、AはH、CH、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群より選択される。
【0035】
幾つかの好ましい実施態様において、Rは、ハロゲン、OCH、OCF、CHおよびCFから独立に選択される1から3個の置換基で場合により置換される、3−ベンズイソキサゾリルである。
【0036】
幾つかの好ましい実施態様において、Rは、ハロゲン、OCH、OCFおよびCFから選択される1つの置換基で場合により置換される、3−ベンズイソキサゾリルである。
【0037】
好ましい化合物の一群においては、RはOCH、OCFおよびCFから選択され;
XはOおよびCHから選択され;
YはOCであり、ここで、RはHであり、およびRはC−Cアルキルであり;並びに
ZはCOHであり;
AはH、CH、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群より選択され;
XおよびYZはRのフェニル環上で互いにメタ位であり;
はCHであり;
は、ハロゲン、OCH、OCFおよびCFから選択される1つの置換基で場合により置換される、3−ベンズイソキサゾリルであり;並びに
qは1である。
【0038】
上記化合物において、Cは非対称炭素を表す。RおよびS立体化学配置の両者を有する化合物はPPARガンマアゴニストとしての活性を有する。活性は各々の立体化学配置で異なり、PPARアルファ作用性およびPPARガンマ作用性の相対量が変動する。
【0039】
具体的な化合物の構造が表1に開示される。別の表1Aにおいてそれらの化合物が命名されている。これらの2つの表においては各々の化合物に同じ番号がふられている。各々の化合物は本発明の具体的な実施態様である。これらの化合物のうちの幾つかの合成も実施例において示される。
【0040】
本発明の化合物は、その化合物またはそれらの医薬適合性の塩および医薬適合性の担体を含有する医薬組成物において用いることができる。本発明の化合物は、式Iの化合物またはそれらの医薬適合性の塩が唯一の活性成分である医薬組成物において用いることもできる。
【0041】
本発明の化合物およびそれらの医薬適合性の塩は、ヒトまたは他の哺乳動物患者において2型糖尿病を治療するための医薬の製造において用いることができる。
【0042】
本明細書の表1および1Aにおける化合物20は、本明細書において優先権が主張される2つの米国仮出願の出願日の後に出願された仮出願において、後の出願において開示される発明におけるこの化合物の使用を説明するため開示されている。本発明は記載される通りの包括クレームを含み、さらに、上に列挙される特定の化合物の放棄を伴って包括クレームの各々を含むことは理解される。
【0043】
上に定義される化合物は以下の方法において、以下に列挙されない他の疾患ももちろんだが、疾患の治療に用いることができる。
【0044】
(1)非インシュリン依存性糖尿病(2型糖尿病)の治療を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;
(2)高血糖症の治療または制御を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;
(3)代謝症候群の治療または制御を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;
(4)肥満の治療または制御を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;
(5)高コレステロール血症の治療または制御を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;
(6)高トリグリセリド血症の治療または制御を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;
(7)混合もしくは糖尿病性異脂質血症、低HDLコレステロール、高LDLコレステロール、高脂血症、高コレステロール血症、および高トリグリセリド血症を含む1種類以上の脂質障害の治療または制御を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;
(8)代謝症候群に関連する有害後遺症の危険性の低減を、そのような治療を必要とするヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法;並びに
(9)アテローム性動脈硬化の治療、アテローム性動脈硬化を発症する危険性の低減、アテローム性動脈硬化の発症の遅延、および/またはアテローム性動脈硬化の後遺症の危険性の低減を、そのような治療を必要とするか、またはアテローム性動脈硬化もしくはアテローム性動脈硬化の後遺症を発症する危険性のあるヒトまたは他の哺乳動物患者において行う方法であって、その患者に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法。アテローム性動脈硬化には、例えば、狭心症、跛行、心臓麻痺、発作等が含まれる。
【0045】
これらの化合物は、以下の疾患の治療において、治療を必要とする患者に治療上有効な量を投与することにより、特に有用である:
(1)2型糖尿病、特に、高血糖症;
(2)代謝症候群;
(3)肥満症;および
(4)高コレステロール血症。
【0046】
定義
「Ac」はアセチルであり、これはCHC(O)−である。
【0047】
「アルキル」は、炭素鎖が他に定義されない限り、直鎖もしくは分岐鎖またはそれらの組合せであり得る飽和炭素鎖を意味する。前置詞「アルク(alk)」を有する他の基、例えば、アルコキシおよびアルカノイルも、炭素鎖が他に定義されない限り、直鎖もしくは分岐鎖またはそれらの組合せであり得る。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。
【0048】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、かつ直鎖もしくは分岐鎖またはそれらの組合せであり得る炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル等が含まれる。
【0049】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、かつ直鎖もしくは分岐鎖またはそれらの組合せであり得る炭素鎖を意味する。アルキニルの例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニル等が含まれる。
【0050】
「シクロアルキル」は、他に明言されない限り、各々3から10個の炭素原子を有する単環式または二環式飽和炭素環式環を意味する。この用語はアリール基に融合する単環式環も含む。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が含まれる。
【0051】
シクロアルキリデン基は、結合の両者が同じ炭素に存在する、二価シクロアルカン基である。例えば、1,1−ジメチルシクロプロパンのシクロプロピル基はシクロプロピリデン基である。
【0052】
「アリール」(および「アリーレン」)は、置換基または構造内の基を説明するのに用いられるとき、全ての環が芳香族であり、かつ炭素環原子のみを含む単環式、二環式または三環式化合物を意味する。「アリール」という用語は、シクロアルキルまたはヘテロアルキルに融合するアリール基をも指す。「ヘテロシクリル」、「複素環」および「複素環式」は、N、SおよびOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、完全に、または部分的に飽和した単環式、二環式または三環式環系を意味し、該環の各々は3から10個の原子を有する。アリール置換基の例にはフェニルおよびナフチルが含まれる。シクロアルキルに融合するアリール環はインダニル、インデニルおよびテトラヒドロナフチルに見出される。複素環基に融合するアリールの例は2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニル等に見出される。複素環の例には、テトラヒドロフラン、ピペラジンおよびモルホリンが含まれる。好ましいアリール基はフェニルまたはナフチルである。一般には、フェニルが最も好ましい。
【0053】
「ヘテロアリール」(およびヘテロアリーレン)は、N、OおよびS(SOおよびSOを含む)から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式芳香族環を意味し、各々の環は5から6個の原子を含む。ヘテロアリールの例には、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(S−オキシドおよびジオキシドを含む)、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラン等が含まれる。
【0054】
「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0055】
「Me」はメチルを表す。
【0056】
医薬組成物におけるような「組成物」という用語は、活性成分(1種類以上)および担体を形成する不活性成分(1種類以上)を含有する製品に加えて、あらゆる2種類上の成分の組合せ、複合体形成もしくは凝集から、または1種類以上の成分の解離から、または1種類以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から、直接もしくは間接的に、生じるあらゆる製品を包含することが意図される。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および医薬適合性の担体の混合によって製造されるあらゆる組成物を包含する。
【0057】
置換基「テトラゾール」は2H−テトラゾル−5−イル置換基およびそれらの互変異性体を意味する。
【0058】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は1つ以上の非対称中心を含むことができ、したがって、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして生じ得る。本発明にはそのような式Iの化合物の全ての異性体形態が包含されるべきである。
【0059】
ここで説明される化合物の幾つかはオレフィン性二重結合を含み、他に指定されない限り、EおよびZ幾何異性体の両者が含まれるべきである。
【0060】
ここで説明される化合物の幾つかは、互変異性体と呼ばれる、異なる水素結合点をもって存在することがでる。ケト−エノール互変異性体として知られるケトンおよびそのエノール形態が一例である。個々の互変異性体に加えてそれらの混合物が式Iの化合物と共に包含される。
【0061】
1つ以上の非対称中心を有する式Iの化合物は、当該技術分野において公知の方法により、ジアステレオマー、鏡像異性体等に分離することができる。
【0062】
その代わりに、光学的に純粋な出発物質および/または公知立体配置の試薬を用いる立体特異的合成により、鏡像異性体およびキラル中心を有する他の化合物を合成することができる。
【0063】

「医薬適合性の塩」という用語は、無機もしくは有機塩基および無機もしくは有機酸を含む、医薬適合性の非毒性塩基または酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が特に好ましい。固体形態の塩は2種類以上の結晶構造で存在することができ、水和物の形態であってもよい。医薬適合性の有機非毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級、および三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂の塩、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。
【0064】
本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は無機および有機酸を含む医薬適合性の非毒性酸から調製することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が特に好ましい。
【0065】
ここで用いられる場合、式Iの化合物への言及は医薬適合性の塩をも含むべきであることは理解される。
【0066】
代謝物−プロドラッグ
それら自身の代謝物が請求される発明の範囲内に入る他の化合物の治療上活性の代謝物も本発明の化合物である。患者に投与されるとき、または患者に投与された後に請求される化合物に変換される化合物であるプロドラッグも本発明の化合物である。本発明のカルボン酸のプロドラッグの非限定的な例はカルボン酸基のエステル、例えば、CからCエステルであり、これは直鎖であっても分岐鎖であってもよく、本発明のカルボン酸に代謝される。それを投与後により容易に加水分解されるようにする官能性を有するエステルもプロドラッグであり得る。
【0067】
本発明の化合物のクラスのプロドラッグは、Zが、哺乳動物またはヒト患者への投与中またはその後に生理学的条件下で容易に代謝されてZがカルボン酸基である化合物、または(溶液中の)それらの塩を生じる基である、式Iを有する化合物として説明することができる。
【0068】
式Iのプロドラッグの例には、Zが−COであり、ここで、OR基は−OR、−OCHOR、−OCH(CH)OR、−OCHOC(O)R、−OCH(CH)OC(O)R、−OCHOC(O)ORおよび−OCH(CH)OC(O)ORであり得、ORは−COH、−CONH、−NH、−OH、−OAc、NHAcおよびフェニルから選択される1つもしくは2つの基で場合により置換されるC1−6アルキルである、化合物が含まれる。
【0069】
有用性
本発明の化合物は、様々なペルオキシソーム増殖因子活性化受容体サブタイプのうちの1つ以上、特に、PPARγに対するアゴニスト、部分的アゴニストまたはアンタゴニスト活性を有する強力なリガンドである。これらの化合物はPPARγサブタイプに加えてPPARαサブタイプのリガンドまたはアゴニスト、部分的アゴニストもしくはアンタゴニストでもあり得、混合PPARα/γアゴニズムまたは主としてPPARαサブタイプのアゴニズムを生じる。(一般には好ましさに劣る)幾つかの化合物はPPARδリガンドでもあり、それらの他のPPAR活性に加えてPPARδ活性を有する。本発明の化合物は、個々のPPARサブタイプ(例えば、γもしくはα)またはPPARサブタイプの組合せ(例えば、α/γ)の1種類以上のリガンドが介在する疾患、障害または状態の治療または制御において有用である。本発明の一側面は、PPARアゴニストまたは部分的アゴニストの投与が介在し得る疾患、例えば、2型糖尿病を治療または制御するための方法を提供する。本発明の一側面は、哺乳動物におけるそのような疾患、障害、または状態を治療または制御するための方法であって、そのような哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。本発明の化合物は多くのPPAR介在疾患および状態の治療または制御において有用であり得、これには、これらに限定されるものではないが、(1)糖尿病、特に、非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)、(2)高血糖症、(3)低グルコース寛容、(4)インシュリン耐性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)異脂肪血症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化およびその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性腸症候群、(16)クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、(17)他の炎症性状態、(18)膵臓炎、(19)腹部肥満、(20)神経変性性疾患、(21)網膜症、(22)乾癬、(23)代謝症候群、(24)卵巣高アンドロゲン症(多嚢胞性卵巣症候群)、およびインシュリン耐性が構成要素である他の障害が含まれる。これらには、高血圧、腫瘍性状態、脂肪細胞腫瘍、脂肪細胞カルチノーマ、例えば、脂肪肉腫、前立腺癌、並びに、胃癌、乳癌、膀胱癌、および大腸癌を含む他の癌、血管新生、並びに、アルツハイマー病の治療における用途もある。
【0070】
これらの化合物には骨粗鬆症の治療における用途もある。本発明の化合物は、骨粗鬆症に罹患しているか、または骨粗鬆症を発症する危険性のある患者において骨密度の損失を遅延または停止させることにより、骨粗鬆症を治療するか、または骨粗鬆症を発症する危険性を低下させることができる。本発明の化合物は、既に骨質量が喪失し始めている患者において、骨質量の損失を逆転させることもできる。
【0071】
本発明の一側面は、混合もしくは糖尿病性異脂肪血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症および/または高トリグリセリド血症を治療または制御するための方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療上有効な量の、式Iを有する化合物を投与することを含む方法を提供する。この化合物は単独で用いることができ、または、有利には、コレステロール生合成阻害剤、特に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、シムバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチンまたはZD−4522と共に投与することができる。この化合物は、他の脂質低減剤、例えば、コレステロール吸収阻害剤(例えば、スタノールエステル、ステロールグリコシド、例えば、チクエシド、およびアゼチジノン、例えば、エゼチミブ)、ACAT阻害剤(例えば、アバシミブ)、CETP阻害剤、ナイアシン、胆汁酸マスキング剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤および胆汁酸再取込阻害剤との組合せで有利に用いることもできる。これらの組合せ治療は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化、高脂血症、高トリグリセリド血症、異脂肪血症、高LDLおよび低HDLからなる群より選択される1種類以上の関連状態の治療または制御にも有効であり得る。
【0072】
本発明の別の側面は、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症状態の治療方法であって、有効量の本発明の化合物を、治療を必要とする患者に投与することによる方法を提供する。本発明で治療することができるさらなる炎症性疾患には、痛風、関節リウマチ、骨関節炎、多発性硬化症、喘息、ARDS、乾癬、血管炎、虚血性/再灌流傷害、凍傷および関連疾患が含まれる。
【0073】
投与および用量範囲
哺乳動物、特に、ヒトに有効用量の本発明の化合物を投与するのにあらゆる適切な投与経路を用いることができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼、肺、鼻等を用いることができる。投薬形態には、錠剤、トローチ、分散体、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾル等が含まれる。好ましくは、式Iの化合物は経口投与する。
【0074】
用いられる活性成分の有効投薬量は、用いられる化合物、投与様式、治療する状態および治療する状態の重篤性に依存して変化し得る。そのような投薬量は当業者が容易に確認することができる。
【0075】
糖尿病および/または高血糖症または高トリグリセリド血症または式Iの化合物が指示される他の疾患を治療または制御する場合、一般には、本発明の化合物を、好ましくは、単一の1日用量として、または1日2から6回の分割用量で、または持続放出形態で投与される、動物体重キログラム当たり約0.1ミリグラムから約100ミリグラムの1日投薬量で投与するときに満足のいく結果が得られる。最も大きな哺乳動物に対しては、合計1日投薬量は約1.0ミリグラムから約1000ミリグラム、好ましくは、約1ミリグラムから約50ミリグラムである。70kgの成人の場合、合計1日用量は、一般には、約1ミリグラムから約350ミリグラムである。特に強力な化合物については、成人用の投薬量は0.1mgという少なさであり得る。この投薬計画はこの範囲内で、またはこの範囲外でさえも、最適治療応答が得られるように調整することができる。
【0076】
経口投与は、通常、錠剤を用いて行う。錠剤中の用量の例は、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mgおよび250mgである。他の経口形態も同じ投薬量を有する(例えば、カプセル)。
【0077】
医薬組成物
本発明の別の側面は、式Iの化合物および医薬適合性の担体を含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、活性成分としての式Iの化合物または医薬適合性の塩に加えて、医薬適合性の担体および、場合により、他の治療用成分を含有する。「医薬適合性の塩」という用語は、無機塩基または酸および有機塩基または酸を含む、医薬適合性の非毒性塩基または酸から調製される塩を指す。医薬組成物はプロドラッグまたはプロドラッグが投与される場合には、それらの医薬適合性の塩も含み得る。
【0078】
組成物には、あらゆる所定の場合における最も適切な経路は治療する状態の性質および重篤性並びに活性成分の性質に依存するものの、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)、眼(眼用)、肺(鼻もしくは頬吸入)または鼻投与に適する組成物が含まれる。これらは単位投薬形態で都合よく提示することができ、薬学の技術分野において公知の方法のいずれによっても調製することができる。
【0079】
実際の使用においては、式Iの化合物を、活性成分として接触混合で、医薬担体と通常の医薬配合技術に従って組み合わせることができる。担体は、投与、例えば、経口または非経口(静脈内を含む)に望ましい調製品の形態に依存して、様々な形態をとることができる。経口投薬形態のための組成物の調製においては、通常の医薬媒体のいずれをも用いることができ、例えば、経口液体調製品、例えば、懸濁液、エリキシルおよび溶液の場合、水、グリコール、油、アルコール、香料、保存剤、着色料等であり;または、経口固体調製品、例えば、粉末、ハードおよびソフトカプセルおよび錠剤の場合、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、分散剤等の担体であり、固体経口調製品が液体調製品よりも好ましい。
【0080】
それらの投与の容易さのため、錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態に相当し、そこでは固体医薬担体が明らかに用いられる。所望であれば、錠剤は標準水性または非水性技術によって被覆することができる。そのような組成物および調製品は少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含有するべきである。これらの組成物中の活性化合物のパーセンテージは、もちろん、変動することがあり、好都合にはその単位の重量の約2パーセントから約60パーセントであり得る。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は有効投薬量が得られるようなものである。活性化合物は、例えば液滴またはスプレーとして、鼻孔内に投与することもできる。
【0081】
錠剤、ピル、カプセル等は結合剤、例えば、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム;分散剤、例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;および甘味料、例えば、スクロース、ラクトースまたはサッカリンを含有することもできる。投薬単位形態がカプセルであるとき、上記タイプの材料に加えて、液体担体、例えば、脂肪油を含有することができる。
【0082】
様々な他の材料が被膜として、または投薬単位の物理形態の修正のために存在することができる。例えば、錠剤をセラック、糖またはその両者でコートすることができる。シロップまたはエリキシルは、活性成分に加えて、甘味料としてのスクロース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素および香料、例えば、チェリーもしくはオレンジフレーバーを含有することができる。
【0083】
式Iの化合物は非経口投与することもできる。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、表面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースと適切に混合される、水中で調製することができる。分散液はグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよび油中のそれらの混合液中に調製することもできる。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製品は微生物の成長を阻止するために保存剤を含有する。
【0084】
注射用途に適する医薬形態には無菌水性溶液もしくは分散液および無菌注射溶液もしくは分散液を即時調製するための無菌粉末が含まれる。すべての場合において、その形態は無菌でなければならず、かつ容易な注入性が存在する程度まで流動性でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定でなければならず、および微生物、例えば、細菌および真菌の汚染作用に対して保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合液および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0085】
組合せ治療
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患または状態の治療または緩和において有用であり得る他の薬物と組み合わせて用いることができる。そのような他の薬物は、それらに対して通常用いられる経路および量で、式Iの化合物と同時に、または順次に投与することができる。式Iの化合物が1種類以上の他の薬物と同時に用いられるとき、そのような他の薬物および式Iの化合物を含有する単位投薬形態にある医薬組成物が好ましい。しかしながら、組合せ治療は、式Iの化合物および1種類以上の他の薬物が重複する異なるスケジュールで投与される治療も含む。1種類以上の他の活性成分との組合せで用いられるとき、本発明の化合物および他の活性成分を各々が単独で用いられる場合よりも少ない用量で用いることができることも意図される。したがって、本発明の医薬組成物には式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分を含有するものも含まれる。
【0086】
式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、および別々にもしくは同じ医薬組成物中でのいずれかで投与することができる他の活性成分の例には、これらに限定されるものではないが、以下のものが含まれる:
(a)他のPPARガンマアゴニストおよび部分的アゴニスト、例えば、グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、ベラグリタゾン、ネトグリタゾン等)、並びにグリタゾン構造を持たないPPARガンマアゴニストおよび部分的アゴニスト;
(b)ビグアニド、例えば、メトホルミンおよびフェンホルミン;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、
(d)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;
(e)インシュリンまたはインシュリン模倣体;
(f)スルホニル尿素、例えば、トルブタミドおよびグリピジド、または関連物質;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボーズ);
(h)患者の脂質プロフィールを改善する薬剤、例えば、(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シムバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522および他のスタチン)、(ii)胆汁酸マスキング剤(コレスチルアミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはそれらの塩、(iv)PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブル酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベザフィブレート)、(v)コレステロール吸収阻害剤、例えば、エゼチミブ、(vi)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、例えば、アバシミブ、(vii)CETP阻害剤、並びに(viii)フェノール性酸化防止剤、例えば、プロブコール;
(i)PPARα/γ二重アゴニスト、例えば、KRP−297;
(j)PPARδアゴニスト、例えば、WO97/28149に開示されるもの;
(k)抗肥満化合物、例えば、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンチラミン、サブイトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY5阻害剤、Mc4rアゴニスト、カンナビノイド受容体1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニストおよびβ3アドレナリン作動性受容体アゴニスト;
(l)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(m)炎症状態における使用を目的とする薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、糖質コルチコイド、アズルフィジンおよびシクロオキシゲナーゼ2選択的阻害剤;
(n)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(o)GLP−1、
(p)GIP−l、並びに
(q)GLP−1類似体、例えば、エキセンジン。
【0087】
上記組成物には本発明の化合物と1種類の他の活性化合物との組合せだけではなく、2種類以上の他の活性化合物との組合せも含まれる。非限定的な例には、式Iを有する化合物と、ビグアニド、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、他のPPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DP−IV阻害剤および抗肥満化合物から選択される2種類以上の活性化合物との組合せが含まれる。
【0088】
生物学的アッセイ
A)PPAR結合アッセイ
組換えヒトPPARγ、PPARδ、およびPPARα:ヒトPPARγの調製のため、ヒトPPARδおよびヒトPPARαをgst−融合タンパク質として大腸菌(E. coli)において発現させた。PPARγの完全長ヒトcDNAをpGEX−2T発現ベクター(Pharmacia)にサブクローン化した。PPARδおよびPPARαの完全長ヒトcDNAはpGEX−KT発現ベクター(Pharmacia)にサブクローン化した。それぞれのプラスミドを含む大腸菌を増殖させ、誘導し、遠心によって回収した。懸濁させたペレットをフレンチプレスで破壊し、12,000×gで遠心することによって残滓を除去した。組換えヒトPPAR受容体をグルタチオンセファロースでのアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。カラムに適用して1回洗浄した後、受容体をグルタチオンで溶出した。グリセロール(10%)を添加して受容体を安定化し、アリコートを−80℃で保存した。PPARγへの結合のため、受容体のアリコートを、Bergerら(Novel peroxisome proliferator−activated receptor (PPARγ) and PPARδ ligands produce distinct biological effects. J. Biol. Chem. (1999), 274: 6718−6725)に記載されるように、0.1%脱脂粉乳および10nM[]AD5075、(21Ci/mmole)、±試験化合物を含むTEGM(10mMトリス、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mL β−メルカプトエタノール、10mM Naモリブデート、1mMジチオトレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミジンおよび0.5mM PMSF)中でインキュベートした。アッセイを4℃で〜16時間、150μLの最終容積でインキュベートした。100μLデキストラン/ゼラチンコート木炭と共に氷上で〜10分間インキュベートすることにより、非結合リガンドを除去した。3000rpmで10分間、4℃で遠心した後、50μLの上清画分をTopcountでカウントした。
【0089】
PPARδへの結合のため、受容体のアリコートを、Bergerら(Novel peroxisome proliferator−activated receptorγ (PPARγ) and PPARδ ligands produce distinct biological effects. 1999. J Biol Chem 274: 6718−6725)に記載されるように、0.1%脱脂粉乳および2.5nM[]L−783483、(17Ci/mmole)、±試験化合物を含むTEGM(10mMトリス、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mL β−メルカプトエタノール、10mM Naモリブデート、1mMジチオトレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミジンおよび0.5mM PMSF)中でインキュベートした。(L−783483は3−クロロ−4−(3−(7−プロピル−3−トリフルオロメチル−6−ベンズ−[4,5]−イソキサゾルオキシ)プロピルチオ)フェニル酢酸、WO97/28137における実施例20である)。アッセイを4℃で〜16時間、150μLの最終容積でインキュベートした。100μLデキストラン/ゼラチンコート木炭と共に氷上で〜10分間インキュベートすることにより、非結合リガンドを除去した。3000rpmで10分間、4℃で遠心した後、50μLの上清画分をTopcountでカウントした。
【0090】
PPARαへの結合のため、受容体のアリコートを、0.1%脱脂粉乳および5.0nM[]L−797733、(34Ci/mmole)、±試験化合物を含むTEGM(10mMトリス、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mL β−メルカプトエタノール、10mM Naモリブデート、1mMジチオトレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミドおよび0.5mM PMSF)中でインキュベートした。(L−797733は(3−(4−(3−フェニル−7−プロピル−6−ベンズ−[4,5]−イソキサゾルオキシ)ブチルオキシ))フェニル酢酸、WO97/28137における実施例62である)。アッセイを4℃で〜16時間、150μLの最終容積でインキュベートした。100μLデキストラン/ゼラチンコート木炭と共に氷上で〜10分間インキュベートすることにより、非結合リガンドを除去した。3000rpmで10分間、4℃で遠心した後、50μLの上清画分をTopcountでカウントした。
【0091】
B)Gal−4hPPARトランス活性化アッセイ
キメラ受容体発現構築体pcDNA3−hPPARγ/GAL4、pcDNA3−hPPARδ/GAL4、pcDNA3−hPPARα/GAL4を、酵母GAL4転写因子DBDをhPPARγ、hPPARδ、hPPARαのリガンド結合ドメイン(LBD)にそれぞれ隣接させて挿入することによって調製した。受容体構築体、pUAS(5X)−tk−lucを、GAL4受容体要素の5コピーをヘルペスウイルス最小チミジンキナーゼプロモーターおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に挿入することによって産生させた。pCMV−lacZはガラクトシダーゼZ遺伝子をサイトメガロウイルスプロモーターの制御の下に含む。COS−1細胞を、96ウェル細胞培養プレートにおいて、10%木炭ストリップト・ウシ胎児血清(Gemini Bio−Products、Calabasas、CA)、非必須アミノ酸、100単位/mlペニシリンGおよび100mg/ml硫酸ストレプトマイシンを含有する高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に37℃、10%COの加湿雰囲気下で、12×10細胞/ウェルで播種した。24時間後、Lipofectamine(GIBCO BRL、Gaithersburg、MD)を用い、製造者の指示に従ってトランスフェクションを行った。簡潔に述べると、各ウェルのトランスフェクション混合物は0.48μlのLipofectamine、0.00075μgのpcDNA3−PPAR/GAL4発現ベクター、0.045μgのpUAS(5X)−tk−lucレポーターベクターおよび0.0002μgの、トランス活性化効力の内部標準としてのpCMV−lacZを含んでいた。細胞をこのトランスフェクション混合物中で5時間、37℃、10%COの雰囲気下でインキュベートした。次に、これらの細胞を、5%木炭ストリップトウシ胎児血清、非必須アミノ酸、100単位/mlペニシリンGおよび100mg/ml硫酸ストレプトマイシン±漸増濃度の試験化合物を含有する新鮮な高グルコースDMEM中で〜48時間インキュベートした。これらの化合物はDMSOに可溶であるため、対照細胞を等濃度のDMSOと共にインキュベートした;最終DMSO濃度は≦0.1%であり、その濃度はトランス活性化活性に影響を及ぼさないことが示された。Reporter Lysis Buffer(Promega、Madison、WI)を製造者の指示に従って用いて、細胞層を生成した。細胞抽出物中のルシフェラーゼ活性を、Luciferase Assay Buffer(Promega、Madison、WI)を用いて、ML3000照度計(Dynatech Laboratories、Chantilly、VA)において決定した。β−ガラクトシダーゼ活性はβ−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem、San Diego、CA)を用いて決定した。
【0092】
最大トランス活性化活性を完全PPARアゴニスト、例えば、ロシグリタゾンと比較することによってアゴニズムを決定する。一般には、トランス活性化の最大刺激が完全アゴニストで観察される効果の50%未満であるとき、その化合物は部分的アゴニストと呼ばれる。トランス活性化の最大刺激が完全アゴニストで観察される効果の50%を上回る場合、その化合物は完全アゴニストと呼ばれる。本発明の化合物は1nMから3000nMのEC50値を有する。
【0093】
C)イン・ビボ研究
オスdb/dbマウス(10−11週齢C57B1/KFJ、Jackson Labs、Bar Harbor、ME)を5/ケージで収容し、粉砕Purina齧歯類飼料および水を自由に摂取させた。これらの動物、およびそれらの食料を2日毎に秤量し、強制給餌によってビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース)±試験化合物を指示される用量で毎日投与した。薬物懸濁液は毎日調製した。研究期間中、血漿グルコース、およびトリグリセリド濃度を尾の出血によって得られた血液から3−5日間隔で決定した。グルコース、およびトリグリセリド、の決定は、Boehringer Mannheim Hitachi 911自動分析器(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)で、正常生理ブラインで1:6(v/v)に希釈したヘパリン処理血漿を用いて行った。痩身動物は同じ方式で維持された年齢の一致するヘテロ接合マウスであった。
【0094】
(実施例)
以下の例は本発明を説明するために提示され、いかなる意味においても本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明の範囲は添付の請求の範囲によって定義される。
【0095】
表1および1Aは、各化合物の特徴付けデータを含めて、製造されている式Iに相当する化合物を列挙する。NMRデータも各化合物について得た。代表的な化合物の合成を以下に示す。残りの化合物は当業者が類似の方法論並びに容易に入手可能な出発物質および試薬を用いて製造することができる。
【0096】
ジクロロベンズイソキサゾール中間体12の合成
この合成および実施例1において用いられる合成の概要についてはこの合成の後に示されるスキームを参照のこと。
【0097】
【化5】

ヒドロキサム酸10:水(150mL)中の塩酸ヒドロキシルアミン(13.0gr、200mmol)を水酸化ナトリウム水溶液(14.07gr、351.8mmol、水53mL中)に滴下により添加した。この溶液に、ジオキサン(50mL)中のエステル9(18.75gr、100.5mmol)を添加した。その反応物を18時間攪拌した後、真空中で濃縮した。その水性混合物をpH1に酸性化し、沈殿を濾過して乾燥させた。その固体を熱メタノールから再結晶化し、オフホワイトの固体を得た。H−NMR(d−DMSO,500MHz)δ9.40(br s,1H),7.67(d,1H),6.97(d,1H),6.93(dd,1H)。
【0098】
【化6】

3−ヒドロキシベンズイソキサゾール11:カルボニルジイミダゾールをテトラヒドロフラン(200mL)中のヒドロキサム酸10(12.81gr、68.3mmol)の熱溶液に少しづつ慎重に添加した。3時間還流させた後、反応物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈した後、1N塩酸(1×)、水(2×)およびブライン(1×)で抽出した。有機層を水(2×)、ブライン(1×)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させて10を固体として得、それを熱メタノールから再結晶化して白色固体を得た;H−NMR(d−DMSO,500MHz)δ7.79−7.72(m,2H),7.35(d,1H)。
【0099】
【化7】

3−クロロベンズイソキサゾール12:2−ヒドロキシベンズイソキサゾール11(1.03gr、6.25mmol)、トリエチルアミン(632mg、6.25mmol)および亜リン酸オキシクロリド(1.92gr、12.5mmol)を密封チューブにおいて150℃で18時間加熱した。この時間の後、反応物を室温に冷却し、エーテルで希釈して過剰の氷/水で慎重に失活させた。得られた混合物を15分間攪拌した後、有機層を水(2×)、ブライン(1×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィーの後に12を白色固体として得た;H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.65−7.63 9m,2H),7.42(dd,1H)。
【0100】
【化8】

【0101】
(実施例1)
(この例において8および9とナンバリングされている化合物)
【0102】
【化9】

ケトン2:クロロアセトン(4.44gr、48mmol、クロロアセトンは使用前に塩基性アルミナを通して濾過した)、フェノール1(6.85gr、32mmole)および炭酸セシウム(16.9、48mmol)の懸濁液をDMF中、室温、窒素雰囲気下で2時間攪拌した。この時間の後、反応物をエーテルで希釈し、次に水(4×)およびブライン(1×)で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させて白色固体を得、それをMeOHに取った後、1N NaOHで処理した。1時間後、過剰のMeOHを減圧下で除去し、その残滓をエーテルに溶解した後、1N HClで酸性化した。エーテル層をHO(2×)およびブライン(1×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、4:1)の後に油を得た;H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.18(t,1H),6.51−6.49(m,2H),6.43(s,1H),5.05(br s,1H),5.59(s,2H),2.29(s,3H)。
【0103】
【化10】

インドール3:ケトン2(3.65gr、17mmol)および塩酸4−トリフルオロメトキシフェニルヒドラジン(4.66gr、20.4mmol)を還流温度、酢酸(0.25M)中で1時間、窒素雰囲気下で攪拌した。その反応物を室温に冷却して減圧下で酢酸を除去し、その残滓をエーテルで希釈して水(1×)およびブライン(1×)で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、4:1)の後に3を黄色油として得た;H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.79(br s,1H),7.25(d,1H),7.17(s,1H),7.14(t,1H),7.03(dd,1H),6.58(dd,1H),6.50(dd,1H),6.44(t,1H),4.95(br s,1H),2.33(s,1H)。
【0104】
【化11】

MOM保護インドール4:インドール3(1.72gr、5.1mmol)、MOMCl(6.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(7.9mmol)の溶液を窒素雰囲気下で3時間攪拌した。この時間の後、反応物をエーテルで希釈し、次いでエーテル層を水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、4:1)の後に明黄色油を得た;H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.76(br s,1H),7.26(d,1H),7.17(m,2H),7.03(dd,1H),6.74(dd,1H),6.69(t,1H),6.61(dd,1H),5.16(s,2H),3.48(s,3H),2.36(s,3H)。
【0105】
【化12】

ベンズイソキサゾール5:インドール4(565mg、1.52mmol)、ベンズイソキサゾール12(310mg、1.67mmol)および炭酸セシウム(1.34gr、3.8mmol)の溶液をDMF(7.6mL)に溶解し、脱気した。得られる混合物を150℃で20時間加熱した。この時間の後、反応物を室温に冷却し、エーテルで希釈して水(3×)およびブライン(1×)で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、95:5)の後に明黄色油を得た;H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.79(s,1H),7.57(d,1H),7.42(d,1H),7.31(d,1H),7.25(s,1H),7.23(t,1H),7.19(d,1H),6.80−6.71 9m,2H),6.69 9dd,1H),5.18(s,2H),3.48(s,3H),2.38 9s,3H)。
【0106】
【化13】

フェノール6:三臭化ボロン(2.04ml、塩化メチレン中1.0M)を塩化メチレン(3mL)中のN−ベンズイソキサゾール5(525mg、1.02mmol)の溶液に、低温、窒素雰囲気下で攪拌しながら、滴下により添加した。その反応物を攪拌しながら4時間にわたって室温に暖めた。その反応物をエーテルで希釈し、氷/水(3gr/3mL)を添加することによって失活させた。得られる混合物を15分間攪拌した後、水(1×)およびブライン(1×)で抽出した。エーテル層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、85:15)の後に5を明黄色油として得た;H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.79 9d,1H),7.55(d,1H),7.43 9dd,1H),7.31(t,1H),7.26 s,1H),7.18(d,1H),7.09(dd,1H),6.65 9dd,1H),6.57−6.54 9m,2H),5.04(br s,1H),2.40(s,3H)。
【0107】
【化14】

S−ラクテート7:ジエチルアジドジカルボキシレート(217mg、1.25mmol)を塩化メチレン中のフェノール6(458mg、0.899mmol)、イソブチル(R)−ラクテート(183mg、1.25mmol)およびトリフェニルホスフィン(330mg、1.25mmol)の攪拌溶液に室温、窒素雰囲気下で滴下により添加した。1時間後、反応物をエーテルで希釈し、水(2×)およびブライン(1×)で洗浄した。エーテル層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、9:1)の後に6を明黄色油として得た;H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.79(d,1H),7.57(d,1H),7.44(dd,1H),7.31(d,1H),7.23(s,2H),7.20(d,1H),7.09(dd,1H),6.67(dd,1H),6.62(t,1H),6.59(dd,1H),4.78(q,1H),3.98(dd,1H),3.89(dd,1H),2.38(s,3H),1.92(sept.,1 H),1.63(d,3H),0.88(d,6H)。
【0108】
【化15】

酸8:(S)−ラクテート7(495mg、0.777mmol)および水酸化ナトリウム水溶液(0.935mL、1.0M)をテトラヒドロフランおよびメタノール(3:1)中、室温で18時間攪拌した。この時間の後、反応物をエーテルで希釈し、1N塩酸水溶液で約pH3−4に酸性化した。有機層を水(2×)、ブライン(1×)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、蒸発させて8を無色の油として得、それをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル/酢酸、7:3:0.1)の後に静置することで固化した。H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.78(d,1H),7.56(d,1H),7.43(dd,1H),7.32−7.22(m,3H),7.09(d,1H),6.70(d,1H),6.63−6.60(m,2H),4.80(q,1H),2.38(s,3H),1.67(d,3H)。
【0109】
【化16】

6−メトキシベンズイソキサゾール9:酸8(865mg、1.43mmol)をメタノールに溶解し、0.95当量のNaHCO水溶液(1.41ml、1M)を添加した。得られる溶液を15分間攪拌した後、蒸発によってメタノールを除去してナトリウム塩を得た。その塩をエタノールに取り、数回濃縮して痕跡量の水を全て除去した。次に、そのナトリウム塩をDMF(6ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(4.3ml、メタノール中0.5M)を添加した。その反応物を100℃で一晩加熱した。この時間の後、反応物を酢酸エチルで希釈し、1N HCl(2×)、水(1×)、ブライン(1×)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン/1%酢酸、10カラム容積にわたって5%から100%酢酸エチルの勾配)の後に9を油として得た。H−NMR(CDCl,500MHz)δ7.46(d,1H),7.40(d,1H),7.34(d,1H),7.29(d,1H),7.16(d,1H),7.10(dd,1H),7.06(dd,1H),6.56(dd,1H),6.46(d,1H),4.63(q,1H),4.00(s,3H),2.39(s,3H),1.59(d,3H)。
【0110】
(実施例2−11)
以下の化合物を、上記化合物と同様の方法で、商業的に入手可能な出発物質および試薬を用いて調製した。これらは、有機化学分野における熟練者がここに開示される方法および方策を用いて製造することができる。
【0111】
(実施例2)
【0112】
【化17】

(2S)−2−(5−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]メチル}−2−フルオロフェノキシ)プロパン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.78(d,Ar,1H),7.52(d,Ar,1H),7.41(dd,Ar,1H),7.28(br s,Ar,1H),7.23(d,Ar,1H),7.05(m,Ar,2H),6.90(m,Ar,1H),6.83(dd,Ar,1H),4.73(q,OCH(CH)COOH,1H),4.10(q,CHAr,2H),2.41(s,2−Me,3H),1.65(d,OCH(CH)COOH,3H)。
RP LC/MS:t=4.48分,m/e563(M+1)。
【0113】
(実施例3)
【0114】
【化18】

(2R)−2−(5−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]メチル}−2−フルオロフェノキシ)プロパン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.78(d,Ar,1H),7.52(d,Ar,1H),7.41(dd,Ar,1H),7.28(br s,Ar,1H),7.23(d,Ar,1H),7.05(m,Ar,2H),6.90(m,Ar,1H),6.83(dd,Ar,1H),4.73(q,OCH(CH)COOH,1H),4.10(q,CHAr,2H),2.41(s,2−Me,3H),1.65(d,OCH(CH)COOH,3H)。
【0115】
RP LC/MS:t=4.48分,m/e563(M+1)。
【0116】
(実施例4)
【0117】
【化19】

(2S)−2−(3−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]メチル}−4−フルオロフェノキシ)プロパン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.78(d,Ar,1H),7.53(d,Ar,1H),7.41(dd,Ar,1H),7.37(br s,Ar,1H),7.22(d,Ar,1H),7.05(br d,Ar,1H),7.02(t,Ar,1H),6.72(m,Ar,1H),6.64(m,Ar,1H),4.60(q,OCH(CH)COOH,1H),4.10(s,CHAr,2H),2.43(s,2−Me,3H),1.58(d,OCH(CH)COOH,3H)。
【0118】
RP LC/MS:t=4.47分,m/e563(M+1)。
【0119】
(実施例5)
【0120】
【化20】

(2R)−2−(3−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]メチル}−4−フルオロフェノキシ)プロパン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.78(d,Ar,1H),7.53(d,Ar,1H),7.41(dd,Ar,1H),7.37(br s,Ar,1H),7.22(d,Ar,1H),7.05(br d,Ar,1H),7.02(t,Ar,1H),6.72(m,Ar,1H),6.64(m,Ar,1H),4.60(q,OCH(CH)COOH,1H),4.10(s,CHAr,2H),2.43(s,2−Me,3H),1.58(d,OCH(CH)COOH,3H)。
【0121】
RP LC/MS:t=4.47分,m/e563(M+1)。
【0122】
(実施例6)
【0123】
【化21】

(2S)−2−(3−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イルオ]キシ}−4−フルオロフェノキシ)プロパン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.79(d,Ar,1H),7.57(d,Ar,1H),7.44(dd,Ar,1H),7.30(d,Ar,1H),7.29(br s,Ar,1H),7.15(dd,Ar,1H),7.10(dd,Ar,1H),6.50(dt,Ar,1H),6.47(dd,Ar,1H),4.62(q,OCH(CH)COOH,1H),2.39(s,2−Me,3H),1.57(d,OCH(CH)COOH,3H)。
【0124】
RP LC/MS:t=4.42分,m/e565(M+1)。
【0125】
(実施例7)
【0126】
【化22】

(2S)−2−(5−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]オキシ}−2−フルオロフェノキシ)プロパン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.80(d,Ar,1H),7.57(d,Ar,1H),7.44(dd,Ar,1H),7.30(d,Ar,1H),7.23(br s,Ar,1H),7.10(dd,Ar,1H),7.06(dd,Ar,1H),6.70(dd,Ar,1H),6.64(dt,Ar,1H),4.78(q,OCH(CH)COOH,1H),2.36(s,2−Me,3H),1.69(d,OCH(CH)COOH,3H)。
【0127】
RP LC/MS:t=4.51分,m/e579(M+1)。
【0128】
(実施例8)
【0129】
【化23】

(2S)−2−(5−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]オキシ}−2−フルオロフェノキシ)ブタン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.77(d,Ar,1H),7.54(d,Ar,1H),7.41(dd,Ar,1H),7.30(d,Ar,1H),7.21(br s,Ar,1H),7.08(dd,Ar,1H),7.02(dd,Ar,1H),6.69(dd,Ar,1H),6.59(dt,Ar,1H),4.60(t,OCH(CHCH)COOH,1H),2.33(s,2−Me,3H),2.04(m,OCH(CHCH)COOH,2H),1.10(t,OCH(CHCH)COOH,3H)。
【0130】
RP LC/MS:t=4.51分,m/e579(M+1)。
【0131】
(実施例9)
【0132】
【化24】

(2R)−2−(5−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]オキシ}−2−フルオロフェノキシ)プロパン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.80(d,Ar,1H),7.57(d,Ar,1H),7.44(dd,Ar,1H),7.30(d,Ar,1H),7.23(br s,Ar,1H),7.10(dd,Ar,1H),7.06(dd,Ar,1H),6.70(dd,Ar,1H),6.64(dt,Ar,1H),4.78(q,OCH(CH)COOH,1H),2.36(s,2−Me,3H),1.69(d,OCH(CH)COOH,3H)。
【0133】
RP LC/MS:t=4.38分,m/e565(M+1)。
【0134】
(実施例10)
【0135】
【化25】

(2R)−2−(5−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]オキシ}−2−フルオロフェノキシ)ブタン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.77(d,Ar,1H),7.54(d,Ar,1H),7.41(dd,Ar,1H),7.30(d,Ar,1H),7.21(br s,Ar,1H),7.08(dd,Ar,1H),7.02(dd,Ar,1H),6.69(dd,Ar,1H),6.59(dt,Ar,1H),4.60(t,OCH(CHCH)COOH,1H),2.33(s,2−Me,3H),2.04(m,OCH(CHCH)COOH,2H),1.10(t,OCH(CHCH)COOH,3H)。
【0136】
RP LC/MS:t=4.51分,m/e579(M+1)。
【0137】
(実施例11)
【0138】
【化26】

(2S)−2−(3−{[1−(6−クロロ−1,2−ベンズイソキサゾル−3−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドル−3−イル]オキシ}−4−フルオロフェノキシ)ブタン酸
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.78(d,Ar,1H),7.56(d,Ar,1H),7.43(dd,Ar,1H),7.29(d,Ar,1H),7.28(br s,Ar,1H),7.13(t,Ar,1H),7.09(dd,Ar,1H),6.51(dt,Ar,1H),6.47(dd,Ar,1H),4.43(t,OCH(CHCH)COOH,1H),2.37(s,2−Me,3H),1.93(m,OCH(CHCH)COOH,2H),1.01(t,OCH(CHCH)COOH,3H)。
【0139】
RP LC/MS:t=4.59分,m/e579(M+1),533(M−45)。
【0140】
【表2】








【0141】
【表3】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(ここで、
は、
【化2】

であり、ここで、Xは、結合、O、S(O)、CO、CH、CH(CH)、C(CHおよびC3−6シクロアルキリデンからなる群より選択され;
Yは、−CH=CH−、−CH(OH)CH(OH)−、−OCR−、−SCR−および−CHCR−からなる群より選択され;
Zは、−COHおよびテトラゾールからなる群より選択され;
Aは、H、C1−4アルキル、C1−4アルケニル、−OC1−4アルキル、およびハロゲンからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニルおよびOアルキルは1から5個のハロゲンで場合により置換され;
、R、RおよびRは、各々独立に、H、ハロゲン、C−Cアルキル、OC−Cアルキル、C−Cアルケニル、OC−Cアルケニル、Cシクロアルキル、(CH0−2フェニル、−O(CH0−2フェニルおよびCOHからなる群より選択され、ここで、C−Cアルキル、OC−Cアルキル、C−Cアルケニル、OC−Cアルケニル、Cシクロアルキルおよびフェニルは1から5個のハロゲンで場合により置換され、並びにC3−6シクロアルキルおよびフェニルはC−CアルキルおよびOC−Cアルキルから独立に選択される1から3個の基でさらに場合により置換され、該C−CアルキルおよびOC−Cアルキルは1から3個のハロゲンで場合により置換され;
またはその代わりに、RおよびRは結合してC−Cシクロアルキル基を形成することができ、該C−Cシクロアルキルは1から3個のハロゲンで場合により置換され;
またはその代わりに、YがOCRであるとき、Rは、場合により、Yに対してオルト位でフェニル環に結合する1−2炭素架橋であって、それによりフェニル環に融合する5もしくは6員複素環を生じてもよく、
は、1から5個のハロゲンで場合により置換される、C−Cアルキルであり;
は、3−ベンズイソキサゾリル、3−ベンズイソチアゾリルおよび3−ベンズピラゾリルからなる群より選択され、ここで、Rはハロゲン、C1−3アルキルおよびOC1−3アルキルから独立に選択される1から3個の基で場合により選択され、ここで、C1−3アルキルおよびOC1−3アルキルは1から5個のハロゲンで場合により置換され;
各々のRは、ハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より独立に選択され、ここで、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルは1から5個のハロゲンで場合により置換され;
nは0−2の整数であり;
pは0−3の整数であり;並びに
qは0−3の整数である。)
の化合物またはその医薬適合性の塩。
【請求項2】
qが1−3の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが結合、O、S(O)、CH、およびC3−6シクロアルキリデンからなる群より選択され;
YがOCRおよびCHCRからなる群より選択され;
ZがCOHおよびテトラゾールから選択され;
AがH、CH、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群より選択され;
、RおよびRが、各々独立に、H、ハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択され、並びにRがハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択され、ここで、R、R、RおよびRのC−CアルキルおよびOC−Cアルキルは1から3個のハロゲンで場合により置換され;
がC−Cアルキルであり;
が3−ベンズイソキサゾリル、3−ベンズイソチアゾリルおよび3−ベンズピラゾリルからなる群より選択され、ここで、Rはハロゲン、OCH、OCF、CHおよびCFから独立に選択される1から3個の基で場合により置換され;
各々の基RがOCH、OCFおよびCFから選択され;並びに
pが1である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
、RおよびRが、各々独立に、H、ハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択され、並びにRがハロゲン、C−CアルキルおよびOC−Cアルキルからなる群より選択され;並びにqが1−3の整数である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
XがO、S(O)およびCHからなる群より選択され;
YがOCRおよびCHCRからなる群より選択され;
ZがCOHであり;
AがH、CH、CF、OCH、OCFおよびハロゲンからなる群より選択され;
がHであり;
がHおよび1から3個のハロゲンで場合により置換されるOC−Cアルキルから選択され;
がHおよびC−Cアルキルからなる群より選択され;
がC−Cアルキルであり;
がC−Cアルキルであり;並びに
が3−ベンズイソキサゾリル、3−ベンズイソチアゾリルおよび3−ベンズピラゾリルからなる群より選択され、ここで、Rはハロゲン、OCH、OCF、CHおよびCFから独立に選択される1つの基で場合により置換される、
請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
qが1である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
YがOCRであり;RがHおよびC−Cアルキルからなる群より選択され;並びにRがC−Cアルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
がCHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
ZがCOHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
が、ハロゲン、OCH、OCF、CHおよびCFから独立に選択される1から3個の置換基で場合により置換される3−ベンズイソキサゾリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
が、ハロゲン、OCH、OCFおよびCFから選択される1つの置換基で場合により置換される、3−ベンズイソキサゾリルである、請求項4による化合物。
【請求項12】
XおよびYZがRのフェニル環上で互いにメタ位であり;
がOCH、OCFおよびCFから選択され;
XがOおよびCHから選択され;
YがOCであり、ここで、RはHであり、およびRはC−Cアルキルであり;
がCHであり;並びに
が、ハロゲン、OCH、OCFおよびCFから選択される1つの置換基で場合により置換される3−ベンズイソキサゾリルである、
請求項5に記載の化合物。
【請求項13】
qが1である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Yの非対称C炭素がR配置を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Yの非対称C炭素がS配置を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
以下のように命名されている、請求項1に記載の化合物またはその医薬適合性の塩。
【表1】



【請求項17】
請求項1の化合物またはその医薬適合性の塩、および医薬適合性の担体を含有する医薬組成物。
【請求項18】
2型糖尿病を治療するための医薬の製造への、請求項1の化合物またはそれらの医薬適合性の塩の使用。
【請求項19】
(1)非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)、(2)高血糖症、(3)低グルコース寛容、(4)インシュリン耐性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)異脂肪血症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化およびその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性腸症候群、(16)炎症性腸疾患、(17)クローン病、(18)潰瘍性大腸炎、(19)腹部肥満、(20)網膜症、(21)乾癬、(22)高血圧、(23)代謝症候群、(24)卵巣高アンドロゲン症(多嚢胞性卵巣症候群)、並びにインシュリン耐性が構成要素である他の疾患、障害または状態からなる群より選択される1種類以上の疾患、障害または状態の治療方法であって、有効量の請求項1の化合物、またはそれらの医薬適合性の塩を投与することを含む方法。
【請求項20】
非インシュリン依存性(2型)糖尿病の治療を、そのような治療を必要とする患者において行う方法であって、該患者に治療上有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項21】
高血糖症の治療を、そのような治療を必要とする患者において行う方法であって、該患者に治療上有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項22】
高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異脂肪血症からなる群より選択される1種類以上の疾患または状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療上有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項23】
肥満の治療を、そのような治療を必要とする患者において行う方法であって、該患者に治療上有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項24】
アテローム性動脈硬化の治療またはアテローム性動脈硬化を発症する危険性の低減を、そのような治療を必要とする患者において行う方法であって、該患者に治療上有効な量の請求項1の化合物を投与することを含む方法。
【請求項25】
(1)非インシュリン依存性2型糖尿病(NIDDM)、(2)高血糖症、(3)低グルコース寛容、(4)インシュリン耐性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)異脂肪血症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化およびその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性腸症候群、(16)炎症性腸疾患、(17)クローン病、(18)潰瘍性大腸炎、(19)腹部肥満、(20)網膜症、(21)乾癬、(22)高血圧、(23)代謝症候群、(24)卵巣高アンドロゲン症(多嚢胞性卵巣症候群)、並びにインシュリン耐性が構成要素である他の疾患、障害または状態からなる群より選択される1種類以上の疾患、障害または状態の治療方法であって、有効量の請求項1の化合物またはそれらの医薬適合性の塩、および:
(1)PPARガンマアゴニストおよび部分的アゴニスト;
(2)ビグアニド;
(3)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(4)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;
(5)インシュリンまたはインシュリン模倣体;
(6)スルホニル尿素;
(7)α−グルコシダーゼ阻害剤;
(8)(a)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(b)胆汁酸マスキング剤、(c)ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはそれらの塩、(d)PPARαアゴニスト、(e)コレステロール吸収阻害剤(f)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(g)CETP阻害剤および(h)フェノール性酸化防止剤から選択される、患者の脂質プロフィールを改善する薬剤;
(9)PPARα/γ二重アゴニスト;
(10)PPARδアゴニスト;
(11)抗肥満化合物;
(12)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(13)抗炎症剤;
(14)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(15)GLP−1;
(16)GIP−l;並びに
(17)GLP−1類似体、
からなる群より選択される、有効量の1種類以上の他の化合物を投与することを含む方法。
【請求項26】
高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および異脂肪血症からなる群より選択される1種類以上の疾患または状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療上有効な量の請求項1の化合物およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の組合せを投与することを含む方法。
【請求項27】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、リバスタチンおよびロスバスタチンからなる群より選択されるスタチンである、請求項26の方法。
【請求項28】
アテローム性動脈硬化の治療またはアテローム性動脈硬化を発症する危険性の低減を、そのような治療を必要とする患者において行う方法であって、該患者に治療上有効な量の請求項1の化合物およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の組合せを投与することを含む方法。
【請求項29】
(1)請求項1の化合物、
(2)以下からなる群より選択される1種類以上の化合物:
(a)PPARガンマアゴニストおよび部分的アゴニスト;
(b)ビグアニド;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(d)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;
(e)インシュリンまたはインシュリン模倣体;
(f)スルホニル尿素;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤;
(h)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(ii)胆汁酸マスキング剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはそれらの塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)コレステロール吸収阻害剤(h)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(i)CETP阻害剤および(j)フェノール性酸化防止剤から選択される患者の脂質プロフィールを改善する薬剤;
(i)PPARα/γ二重アゴニスト;
(j)PPARδアゴニスト;
(k)抗肥満化合物;
(l)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(m)抗炎症剤;
(n)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(o)GLP−1;
(p)GIP−l;および
(q)GLP−1類似体、並びに
(3)医薬適合性の担体、
を含有する医薬組成物。

【公表番号】特表2006−500382(P2006−500382A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−531472(P2004−531472)
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/026679
【国際公開番号】WO2004/019869
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】