説明

排熱機能を有する電子機器、排熱システム、排熱方法

【課題】発熱によって機能制限が生じる携帯端末を、外部装置と結合する際に携帯端末の熱を効果的に排熱することで、携帯端末の機能制限を防止して携帯端末の信号処理性能を最大限に発揮させることのできる排熱機能を有する電子機器、排熱システム、排熱方法を提供する。
【解決手段】所定の第1温度以上で機能に制限が生じる携帯端末2と、携帯端末2と結合可能な外部装置3と、を備え、携帯端末2は、発熱体4と、発熱体4の熱を伝導する第1熱伝導経路5と、第1熱伝導経路5で伝えられる熱を排出する第1排熱手段6と、を有し、外部装置3は、携帯端末2と外部装置3とが結合する場合に、第1熱伝導経路5と熱的に接続する第2熱伝導経路8と、第2熱伝導経路8で伝えられる熱を排出する第2排熱手段9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末と外部装置との結合によって構成される排熱機能を有する電子機器、排熱システムおよび排熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、産業機器および自動車などには、半導体集積回路、LED素子、パワーデバイスなどの発熱性の高い素子や電子部品が使用されている。
【0003】
素子や電子部品は、その発熱が一定温度以上となると、動作保証ができなくなる問題もあり、他の部品や筐体へ悪影響を及ぼし、結果として電子機器や産業機器そのものの性能劣化を引き起こす可能性がある。
【0004】
近年の携帯電話機や携帯音楽再生機などの携帯端末は、挿入されていたり内蔵されていたりするメモリカードや記憶装置との信号の送受信を高速に行って、動画、音声、データ通信などの信号処理を高速で行えるようになっている。ところで、このような高速の信号処理を行うことで、携帯端末に実装されている半導体集積回路やパワーデバイスなどの素子が大きな発熱を生じさせるようになる。
【0005】
特に、携帯端末は、デジタル信号を処理するベースバンド処理用のデジタル半導体集積回路だけでなく、パワーアンプ、高周波回路などのアナログ半導体素子も多く実装している。このため、携帯端末が、信号処理の性能や機能を使いすぎてしまうと、大きな発熱を生じさせてしまい、携帯端末そのものの動作への影響が生じたり使用者への影響を生じさせたりする。
【0006】
一方で、携帯端末に対しては、小型化、薄型化、軽量化、高密度実装化が求められており、携帯端末だけで熱を排熱することが難しくなっている。加えて、据え置かれるノートブック型パソコンやテレビ受像機などと異なり、携帯端末は使用者の手に握られて使用される。携帯端末が熱くなりすぎると使用者への安全上の影響も生じる。このような状況を考慮して、所定の温度以上に発熱したことを検知して機能を制限する携帯端末や、所定量以上の機能が同時に処理されないように機能を制限する携帯端末などが提供されている。
【0007】
しかしながら、排熱が不十分なために、信号処理性能が向上している携帯端末の機能が制限されている状況は好ましくない問題であった。
【0008】
電子機器の排熱を向上させるために、電子機器の外部に接続されるドッキングステーションを介した排熱を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】特開2000−252656号公報
【特許文献2】特開平11−259180号公報
【特許文献3】特開2000−75960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術には次のような問題がある。
【0010】
特許文献1〜3のそれぞれは、ノートブック型パソコンや据え置き型電子機器に、これらの機能を拡張するドッキングステーションを接続することで排熱することを目的としている。すなわち、特許文献1〜3は、ノートブック型パソコンや据え置き型電子機器のように、単体で用いられている際に発熱によって機能制限が生じる電子機器を対象としていない。むしろ、ドッキングステーションとの結合によって拡張する機能によって増加する熱をドッキングステーション側から排熱することを目的としており、特許文献1〜3は、発熱によって機能制限が生じる電子機器の排熱を解決するものではない。
【0011】
また、特許文献1〜3のそれぞれは、電子機器で発生する熱を、結合したドッキングステーションから排熱することを開示しているが、これだけでは、電子機器単体の冷却が不十分となる。仮に、発熱によって機能制限が生じる電子機器を冷却する必要がある場合には、特許文献1〜3の技術では、電子機器単体がいつまでも冷却されずに、電子機器の機能制限が解除されないままになる問題がある。
【0012】
これは、特許文献1〜3が、発熱によって機能制限が生じる電子機器を考慮していないことから生じる問題である。
【0013】
更に、特許文献1〜3は、電子機器そのものを優先的に冷却することよりも、電子機器とドッキングステーションとが結合された状態での冷却のみを考慮しており、電子機器の機能制限を抑制させるための冷却を考慮していない問題がある。
【0014】
また、特許文献1〜3は、ノートブック型パソコンや据え置き電子機器を対象としているので、電子機器内部を伝導する熱をドッキングステーションに伝えて、ドッキングステーションから排熱する方式を開示する。しかし、小型かつ薄型の携帯端末では、排熱や熱伝導は、筐体表面あるいは筐体に沿って行われることが多い。このため、特許文献1〜3の技術を携帯端末の排熱に適用すると、携帯端末が発する熱を十分に排熱できない問題を生じさせる。この結果、携帯端末の機能制限を防止することが難しい。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑み、発熱によって機能制限が生じる携帯端末を、外部装置と結合する際に携帯端末の熱を効果的に排熱することで、携帯端末の機能制限を抑制して携帯端末の信号処理性能を最大限に発揮させることのできる排熱機能を有する電子機器、排熱システム、排熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の排熱機能を有する電子機器は、所定の第1温度以上で機能に制限が生じる携帯端末と、携帯端末と結合可能な外部装置と、を備え、携帯端末は、発熱体と、発熱体の熱を伝導する第1熱伝導経路と、第1熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第1排熱手段と、を有し、外部装置は、携帯端末と外部装置とが結合する場合に、第1熱伝導経路と熱的に接続する第2熱伝導経路と、第2熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第2排熱手段と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の排熱機能を有する電子機器は、外部装置と結合した際に、携帯端末そのものが有する排熱手段と外部装置が有する排熱手段との合算によって、熱を排出できる。この結果、携帯端末は効率的かつ優先的に冷却され、機能制限が生じることが少なくなる。
【0018】
特に、外部装置は、携帯端末と電気信号をやり取りする機能を有することが多く、機能制限が防止されることで、携帯端末と外部装置との電気信号のやり取りの高速化が実現できる。このとき、携帯端末の熱を排出する機能と電気信号をやり取りする機能とが、外部装置のみで実現できるため、コストの増加も抑えられる。
【0019】
また、必要に応じて携帯端末が有する排熱手段が遮断され、外部装置の有する排熱手段のみで排熱されることで、携帯端末の有する熱を即座に外部装置に転送できる。この結果、携帯端末の機能制限をより確実に防止しやすくなる。
【0020】
以上のように、発熱による携帯端末の機能制限が防止されることで、外部装置と結合された上で高速な信号処理が行われる際の性能確保が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の発明に係る電子機器は、所定の第1温度以上で機能に制限が生じる携帯端末と、携帯端末と結合可能な外部装置と、を備え、携帯端末は、発熱体と、発熱体の熱を伝導する第1熱伝導経路と、第1熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第1排熱手段と、を有し、外部装置は、携帯端末と外部装置とが結合する場合に、第1熱伝導経路と熱的に接続する第2熱伝導経路と、第2熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第2排熱手段と、を有する。
【0022】
この構成により、電子機器は、発熱体の発する熱を、携帯端末と結合する外部装置から排出することができる。
【0023】
本発明の第2の発明に係る電子機器では、第1の発明に加えて、携帯端末と外部装置とが結合する場合に、第1熱伝導経路と第2熱伝導経路とが熱的に接続され、発熱体の発する熱は、第1排熱手段と第2排熱手段とによって排出される。
【0024】
この構成により、電子機器は、発熱体の発する熱を、携帯端末および外部装置の両方を用いて排出することができる。このため、電子機器の排熱能力が向上する。この結果、携帯端末の温度上昇が抑制され、携帯端末は、その機能や性能を最大限発揮できる。
【0025】
本発明の第3の発明に係る電子機器では、第1の発明に加えて、携帯端末と外部装置とが結合する場合に、第1熱伝道経路と第2熱伝導経路とが熱的に接続されると共に第1熱伝導経路と第1排熱手段との熱的な接続が遮断もしくは低減され、発熱体の発する熱は、主として第2排熱手段によって排出される請求項1記載の排熱機能を有する。
【0026】
この構成により、電子機器は、発熱体の発する熱を、携帯端末から外部装置に即座に移動させることができる。この結果、携帯端末の温度が即座に低減される。
【0027】
本発明の第4の発明に係る電子機器では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、発熱体の排熱経路を制御する制御手段を更に備え、制御手段は、携帯端末と外部装置とが結合する場合であって、第1条件では、第1熱伝導経路と第1排熱手段との熱的な接続を維持し、第2条件では、第1熱伝導経路と第1排熱手段との熱的な接続を遮断もしくは低減する。
【0028】
本発明の第5の発明に係る電子機器では、第4の発明に加えて、第1条件は、携帯端末が第2温度未満の場合であって、第2条件は、携帯端末が所定の第2温度以上の場合であって、第2温度は第1温度以下の温度である。
【0029】
これらの構成により、携帯端末の温度が非常に高く、早期に機能が制限される懸念が高い場合に、電子機器は、発熱体の発する熱を携帯端末から外部装置に即座に移動させる。結果として、携帯端末の機能制限の懸念が抑制される。
【0030】
本発明の第6の発明に係る電子機器では、第4又は第5の発明に加えて、制御手段は、携帯端末と外部装置とが結合したことを検出し、当該検出結果を携帯端末の有する処理装置に出力する。
【0031】
この構成により、携帯端末は、発熱体の発する熱を排出する排熱能力が高まったことを認識できる。排熱能力が高まったことにより、携帯端末は、自らの機能を制限させないようにできる。
【0032】
本発明の第7の発明に係る電子機器では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、第1熱伝導経路と第2熱伝導経路とは、携帯端末と外部装置とが信号の送受信を行うコネクタが備える熱伝導路によって、熱的に接続される。
【0033】
この構成により、電子機器は、携帯端末から外部装置に、容易に熱を移動させることができる。
【0034】
本発明の第8の発明に係る電子機器では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、第1熱伝導経路は携帯端末の筐体であり、第2熱伝導経路は外部装置の筐体であって、携帯端末と外部装置とが結合する場合に、携帯端末の筐体と外部装置の筐体とが熱的に接触することで、第1熱伝導経路と第2熱伝導経路とが熱的に接続する。
【0035】
この構成により、携帯端末と外部装置とが結合すると、それぞれの筐体同士の熱的な接続により、発熱体の発する熱が容易に外部装置に移動できる。
【0036】
本発明の第9の発明に係る電子機器では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、携帯端末は、携帯電話機、携帯型音楽再生機、携帯型メール端末、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯型レコーダー、スマートフォンおよび携帯型動画撮影機器のいずれかである。
【0037】
この構成により、携帯端末の機能や性能が最大限発揮される。
【0038】
本発明の第10の発明に係る電子機器では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、外部装置は、携帯端末と電気信号を送受信する拡張ユニットおよび携帯端末に電力を充電する充電ユニットの少なくとも一方である請求項1から9のいずれか記載の排熱機能を有する。
【0039】
この構成により、外部装置は、携帯端末を容易に装着できる。
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0041】
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
【0042】
まず、図1〜図5を用いて、実施の形態1における電子機器の概略について説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【0044】
なお、本明細書で電子機器とは、電気信号で動作する種々の機器、装置、デバイスを示すものである。本発明は、種々の携帯端末と、これら携帯端末と結合可能な外部装置とを備える上述のような電子機器において、携帯端末の機能や性能を最大限発揮させるための、排熱処理を組み込んだものである。
【0045】
(全体概要)
まず、図1を用いて排熱機能を有する電子機器(以下、「電子機器」という)1の全体を説明する。図1は、携帯端末2と外部装置3とを備える電子機器1を示しているが、説明の便宜上、携帯端末2と外部装置3のそれぞれの内部が透視状態となっている。
【0046】
電子機器1は、所定の第1温度以上で機能(性能)に制限が生じる携帯端末2と、携帯端末2と結合可能な外部装置3を備える。携帯端末2は、携帯電話機、携帯型音楽再生機など、使用者が携帯しながら戸外や室内で所定の目的のために使用される機器である。外部装置3は、装着部7を備えており、この装着部7に携帯端末2が挿入される。携帯端末2が装着部7に挿入されることで、携帯端末2と外部装置3とが結合する。
【0047】
携帯端末2と外部装置3とが結合すると、携帯端末2の有する第1熱伝導経路5と外部装置3の有する第2熱伝導経路8とが熱的に接続して、携帯端末2が有する発熱体4の熱が、携帯端末2の備える第1排熱手段6と外部装置3の備える第2排熱手段9とから、排熱される。排熱量が多くなることで、発熱体4の発熱が抑えられて携帯端末2の温度上昇が抑制される。携帯端末2の温度上昇が抑制されることで、携帯端末2の機能制限が生じにくくなる。
【0048】
携帯端末2と外部装置3とは、例えば携帯端末2への充電、携帯端末2が有する電気信号の受信、あるいは携帯端末2への電子信号の送信などを実行する際に結合される。携帯端末2と外部装置3とが結合することによって、携帯端末2と外部装置3とが電気的にも接続され、電気信号の送受信や電力の送受信が行えるようになる。
【0049】
携帯端末2と外部装置3とが結合されると、図2のような状態となる。図2は、本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【0050】
図2は、携帯端末2が装着部7に挿入されて、携帯端末2と外部装置3とが結合されている状態を示している。図2は、図1と異なり、携帯端末2や外部装置3の内部は透視状態ではない。携帯端末2と外部装置3との結合は、例えば外部装置3が充電器であれば、携帯端末2への充電が行われている状態を示し、外部装置3が外部記憶装置であれば、携帯端末2と外部装置3との間での電気信号の送受信が行われている状態を示す。
【0051】
勿論、携帯端末2は、使用者によって戸外や室外で携帯される際には、外部装置3と切り離されて使用される。
【0052】
携帯端末2は、種々の電子素子、電子部品、パワーデバイス、電子基板、回路基板を実装しており、これらの電子素子や電子部品は、電気信号を用いた動作によって、熱を生じさせる。すなわち、これらの電子素子や電子部品は、発熱体4となる。携帯端末2は、内部にこのような発熱体4を備える。
【0053】
また、携帯端末2は、発熱体4の熱を伝導する第1熱伝導経路5と第1熱伝導経路5で伝えられる熱を排出する第1排熱手段6と、を備える。第1熱伝導経路5は、発熱体4が発する熱を伝導させる。例えば、第1熱伝導経路5は、熱伝導率の高い金属、合金、樹脂、鉱物などを用いた板部材で形成される。第1熱伝導経路5は、携帯端末2の内部および外部の少なくとも一方に形成された線路である。この線路を、発熱体4が発した熱が伝導する。第1熱伝導経路5は、この線路を用いて、発熱体4が発する熱を第1排熱手段6に伝導する。
【0054】
第1排熱手段6は、第1熱伝導経路5から伝導された熱を受け取る。次いで、第1排熱手段6は、受け取った熱を外界に排出する。例えば、第1排熱手段6は、携帯端末2の内部に設けられた放熱部材(放熱板、放熱シートなど)であったり、携帯端末2の筐体であったりする。第1熱伝導経路5を通じて伝導された発熱体4の熱は、このような放熱部材や筐体を含む第1排熱手段6によって排出される。
【0055】
携帯端末2は、携帯端末2だけで使用される場合には、内部の発熱体4が発する熱が、このような第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とによって排出される。この排熱処理によって、携帯端末2の温度が上昇しすぎることが防止される。
【0056】
ところで、近年の携帯端末2の性能は格段に向上し、電気信号の送受信や信号処理の高性能化、多機能化が進んでいる。携帯端末2の有する信号処理の性能や機能を、最大限に発揮させると、発熱体4の発熱量が大きくなりすぎてしまい、第1熱伝導経路5および第1排熱手段6だけでは、発熱体4の熱を、十分に排出できなくなることもある。発熱体4の熱を十分に排出できないと、携帯端末2が誤動作を生じさせたり、携帯端末2を所持する使用者に悪影響を与えることも生じたりする。携帯端末2は、据え置かれる電子機器と異なり、使用に際しては、使用者が手で保持するため、携帯端末2の温度が上がりすぎてしまうと、使用者が手に不快に感じることにもなりかねない。
【0057】
このため、携帯端末2は、所定の第1温度以上になると、その機能・性能に制限が生じる。
【0058】
図3は、本発明の実施の形態1における携帯端末の機能・性能制限を説明するグラフである。グラフは、横軸に携帯端末2の温度、縦軸に携帯端末2における機能・性能上限を示している。グラフにおいては、所定の第1温度が設定されている。
【0059】
図3のグラフから明らかな通り、携帯端末2の温度が、所定の第1温度以上になると、携帯端末2の機能・性能の上限が低下する。温度上昇に伴って、機能や性能の上限を制限することで、それ以上の温度上昇を防止するためである。
【0060】
温度上昇に対応した、携帯端末2の機能・性能制限は、図4に示されるように、携帯端末2に備えられる温度計測部10に基づいて実行されてもよいし、携帯端末2が備える処理部11が、実行する機能量から推定される温度に基づいて、プログラマブルに実行されても良い。
【0061】
図4は、本発明の実施の形態1における携帯端末の内部ブロック図である。
【0062】
携帯端末2は、携帯端末2の温度(内部温度、外部表面温度、所定の位置の温度、端末の平均温度など、温度を検出できる種々のパラメータを利用すればよい)を計測する温度計測部10と、携帯端末2で必要となる種々の機能を実行する処理部11とを備える。処理部11は、例えば、中央演算処理装置(以下、「CPU」という)や、演算処理を行う半導体集積回路を含む。
【0063】
温度計測部10は、携帯端末2の温度を測定し、測定結果を処理部11に通知する。測定結果を受けた処理部11は、測定された温度が第1温度以上である場合には、実行する信号処理の機能を制限したり性能を制限したりする。
【0064】
あるいは、温度測定部10は、携帯端末2の温度を測定し、携帯端末2の温度が第1温度以上となったことを検出して、この検出結果を処理部11に通知する。処理部11は、携帯端末2が第1温度以上になったことの検出結果を受けて、実行する信号処理の機能を制限したり性能を制限したりする。
【0065】
このように、処理部11が、実行する信号処理の機能や性能を制限することで、電子部品、電子素子、半導体集積回路の信号処理量が減少して、温度上昇が抑制される。
【0066】
しかしながら、携帯端末2の有する第1排熱手段6だけでは、排熱能力が十分でないことも多く、処理部11が、様々な信号処理を行うと、携帯端末2の温度が容易に第1温度以上となって、携帯端末2の機能や性能が制限されることが頻発することもある。このように携帯端末2の機能や性能が制限されると、使用者は、携帯端末2の使用における不便を感じるようになる。
【0067】
電子機器1は、携帯端末2と外部装置3とを結合させることで排熱量を拡張して、携帯端末2の温度上昇を抑制できる。
【0068】
図5は、携帯端末2と外部装置3とが結合して第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続している状態を示している。図5は、本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【0069】
外部装置3は、携帯端末2と結合される場合に、第1熱伝導経路5と熱的に接続する第2熱伝導経路8と、第2熱伝導経路8で伝導される熱を排出する第2排熱手段9とを備えている。
【0070】
携帯端末2が、装着部7に挿入されて外部装置3と結合されると、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが、熱的に接続する。
【0071】
外部装置3は、第2熱伝導経路8が第1熱伝導経路5と熱的に接続することで、発熱体4から伝導される熱を、第2排熱手段9を用いて、外部に排出する。このように、外部装置3が携帯端末2に結合されることで、携帯端末2の有する発熱体4の熱が、第1排熱手段6および第2排熱手段9とによって、排出される。結果的に、排熱能力が向上し、携帯端末2の熱が効率よく排出される。
【0072】
携帯端末2が有する発熱体4の発する熱が、第1排熱手段6と第2排熱手段9とによって排熱されることで、携帯端末2の温度上昇が抑制され、携帯端末2が第1温度以上となることが抑止される。携帯端末2の温度が第1温度以上となることが抑止されることで、携帯端末2の機能や性能の制限が回避され、携帯端末2のユーザビリティが向上する。特に、携帯端末2が外部装置3と結合されるときには、携帯端末2は、外部装置3と大量の電気信号を送受信する場合であるので、携帯端末2の温度は上昇しやすい。
【0073】
このような場合でも、実施の形態1における電子機器1は、外部装置3との結合によって、排熱能力も向上するので携帯端末2の温度が上がりすぎることが抑止され、外部装置3との結合の目的である大量の電気信号に基づく信号処理が実現される。
【0074】
なお、第1排熱手段6、第2排熱手段9は、発熱体4の熱を排出するが、発熱体4の熱を排出することに限定されるものではない。第1排熱手段6および第2排熱手段9が、携帯端末2や外部装置3で発生する熱を排出することを排除するものではない。
【0075】
次に、各部の詳細について説明する。
【0076】
(携帯端末)
まず、携帯端末2について説明する。
【0077】
電子機器1は、携帯端末2と外部装置3を備える。
【0078】
携帯端末2は、使用者が戸外および室内で携帯して使用する端末であって、主に手で保持した状態で使用される。
【0079】
携帯端末2は、携帯電話機、携帯型音楽再生機、携帯型メール端末、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯型レコーダー、スマートフォン、携帯型動画撮影機器などの、使用者が携帯しながら、所定の目的を実行する信号処理を機能として有する電子装置を含む。もちろん、携帯端末2は、ここで列挙された例に限られず、現在あるいは将来に普及しうる種々の電子装置を含む。
【0080】
携帯端末2は、内部にCPU、デジタル信号処理プロセッサ(以下、「DSP」という)、特定信号処理用半導体集積回路、記憶装置などの主たる電子部品や電子素子に加えて、パワーデバイス、アンプ回路、高周波回路などのアナログ電子部品やアナログ電子素子、更には汎用の周辺素子を備えている。これらの電子部品や電子素子は、電子基板や回路基板に実装されており、それぞれが組み合わさって、特定の信号処理を実行する。
【0081】
これらの電子部品や電子素子の中で、CPU、DSP、特定信号処理用半導体集積回路、パワーデバイスなどは、処理量の増加によって大きな発熱を生じさせる。すなわち、これらCPU、DSP、特定信号処理用半導体集積回路、パワーデバイスなどの電子部品や電子素子(あるいはこれらを実装する回路基板)は、発熱体4となりうる。
【0082】
携帯端末2は、更にこれら電子基板や回路基板を格納して、使用者とのインターフェースとなる筐体を有する。筐体は、使用者が携帯端末2を操作するためのボタンやパネルなどを有している。
【0083】
携帯端末2は、例えば、画像圧縮・画像伸長処理、音声圧縮・音声伸長処理、データ通信処理、データの記憶処理などの様々な機能を有する。これらの機能は、携帯端末2の備える、CPU、DSP、特定信号処理用半導体集積回路などにおいて実行される。これらの機能が実行されることで、CPU、DSP、特定信号処理用半導体集積回路は、発熱を生じさせる。これらの発熱が大きくなりすぎると、携帯端末2の温度が上昇し、温度上昇は、誤動作や故障の原因となったり、使用者への不快感の原因となったりする。
【0084】
このため、図2、図3に示すように、温度測定部10での温度測定の結果、携帯端末2の温度が所定の第1温度以上となった場合には、処理部11は、信号処理に係る機能を制限する。
【0085】
ここで、携帯端末2の温度は、発熱体4の温度、発熱体4を実装する回路基板の温度、携帯端末2の筐体の表面温度および携帯端末2の複数の位置の温度の平均値の少なくとも一つをパラメータとして決定される。温度測定部10は、これらのパラメータに対応するそれぞれの温度を測定して処理部11に結果を出力してもよいし、これらのパラメータに対応するそれぞれの温度に基づく携帯端末2の温度の測定結果を処理部11に出力してもよい。
【0086】
また、温度測定部10は、携帯端末2の温度を処理部11に出力して、処理部11が、携帯端末2の温度が第1温度以上であるかを判断してもよいし、温度測定部10が、第1温度以上であるかを判断してその判断結果を処理部11に出力してもよい。
【0087】
なお、第1温度は、適宜定められれば良いが、使用者が手で保持できない程度の温度を一つの基準としても良い。
【0088】
機能や性能が制限されるのは上述の通りである。
【0089】
すなわち、機能の制限とは、同じ時刻において、実行される機能の種類、数が制限されたり、処理負荷の重い機能よりも処理負荷の軽い機能が優先的に実行されたりすることなどを含む。具体的には、(1)画像圧縮の処理を行う機能と、(2)データを記憶装置に書き込む機能、とが、ある時刻において、同時に処理要求がなされたとする。このとき、携帯端末2の温度が所定の第1温度以上になったことが、温度計測部10によって通知されると、処理部11は、処理負荷の重い(1)の画像圧縮の処理を行う機能を停止して、処理負荷の軽い(2)のデータを記憶装置に書き込む機能を優先的に実行する。このような機能制限によって、携帯端末2の温度上昇が抑制される。温度上昇が抑制されれば、処理部11は、再び様々な機能を実行することができるようになる。
【0090】
また、性能の制限とは、データ通信や画像処理などのある特定の信号処理において、単位時間での処理量を制限したり、最大処理量を制限したりすることを含む。具体的には、携帯端末2は、1秒当たり100メガバイトのデータ通信を行うことができる最大能力を有しているとして、携帯端末2の温度が所定の第1温度以上になったことが、温度測定部10によって通知されると、処理部11は、データ通信の最大値を、毎秒32メガバイトに制限する。このように処理部11は、携帯端末2が第1温度以上となった場合には、信号処理を、最大能力まで発揮させないようにして、携帯端末2の温度上昇を抑制する。携帯端末2の温度上昇が抑制されれば、処理部11は、最大能力までの処理を復活させることができるようになる。
【0091】
携帯端末2は、このように温度が第1温度以上となった場合に、その機能や性能を制限する特性を有している。
【0092】
携帯端末2は、外部装置3に挿入されて結合される。結合されると、携帯端末2は、外部装置3と電気的に接続されて、電気信号のやり取りや電力の充放電が可能となる。
【0093】
また、携帯端末2は、発熱体4の熱を伝導する第1熱伝導経路5と、伝導された熱を排出する第1排出手段6と、を備え、これらの要素によって発熱体4の熱を排出する。
【0094】
(第1熱伝導経路)
次に、第1熱伝導経路5について説明する。
【0095】
第1熱伝導経路5は、発熱体4の熱を第1排熱手段6に伝導する。発熱体4と熱的に接触して、第1熱伝導経路5は、発熱体4の熱を伝導する。
【0096】
第1熱伝導経路5は、熱伝導率の高い金属、合金、樹脂、鉱物などを用いた板部材で形成される。素材の例としては、銅、アルミニウム、タングステン、チタンなどの熱伝導性の高い金属や耐熱性に優れた樹脂、グラファイトやダイヤモンド等鉱物、さらにそれら材料を用いた複合材料が好適である。このような素材で形成された線路が、携帯端末2内部に実装されて、第1熱伝導経路5が構成される。あるいは、電子基板、回路基板、筐体内部面、筐体外部面にこのような素材で形成された線路が実装されたり塗装されたりして、第1熱伝導経路5が構成される。
【0097】
あるいは、内部に冷媒を封入して、冷媒の気化と凝縮によって熱を輸送するヒートパイプが用いられることも好適である。第1熱伝導経路5にヒートパイプが用いられる場合には、このヒートパイプは、単一方向に熱を輸送する構成に特化されていることが好ましい。
【0098】
また、第1熱伝導経路5は、携帯端末2の備える回路基板や電子基板とは別個の部材で構成されても良いが、回路基板や電子基板の一部が利用されて構成されても良い。あるいは、携帯端末2の筐体の内部あるいは外部が、第1熱伝導経路5を構成しても良い。このように、携帯端末2が元々備えている部材や要素を、第1熱伝導経路5として利用することで、携帯端末2の小型化や薄型化を阻害せずに済む。
【0099】
第1熱伝導経路5は、発熱体4の熱を第1排熱手段6に伝導することに加えて、外部装置3の備える第2熱伝導経路8に熱を伝導することも行う。すなわち、携帯端末2と外部装置3とが、装着部7で結合する際に、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続しうる。この熱的な接続を実現するために、第1熱伝導経路5は、携帯端末2の端部に到達していることが好ましい。端部まで到達していなくとも、装着部7の内部と熱的に接触できる部位まで、第1熱伝導経路5が到達していることが好ましい。
【0100】
このように、第1熱伝導経路5は、第1排熱手段6および第2熱伝導経路8と、に熱を伝導させるための経路を有していることが好ましい。例えば、図1に示されるように、第1熱伝導経路5は、枝分かれして、第1排熱手段6と第2熱伝導経路8とにつながっても良い。あるいは、第1熱伝導経路5は、発熱体4から第2熱伝導経路8までの位置に到達しつつ、第1熱伝導経路5の途中に第1排熱手段6が配置されていても良い。
【0101】
以上のように、第1熱伝導経路5は、発熱体4の熱を第1排熱手段6に伝導し、第2熱伝導経路8へ伝導する。
【0102】
(第1排熱手段)
次に、第1排熱手段6について説明する。
【0103】
第1排熱手段6は、第1熱伝導経路5で伝えられた発熱体4の熱を排出する。すなわち、第1排熱手段6は、発熱体4の熱を携帯端末2において排出する。
【0104】
第1排熱手段6は、携帯端末2の内部に設けられた放熱板、放熱シート、液冷ジャケット、ヒートシンク、ヒートパイプ、ファン、排気口などの一つもしくは組み合わせで構成されれば良い。これらの熱を排出できる(熱を放散できる)部材や部材の組み合わせによって、第1排熱手段6は、筐体を介してあるいは排気口を介して、第1熱伝導経路5を伝導された熱を排出できる。また、ヒートシンク、ヒートパイプ、ファンの場合には、薄型あるいは小型であることが好ましい。
【0105】
例えば、携帯端末2が、携帯電話機、スマートフォン、携帯型メール端末、携帯型音楽再生機などであれば、携帯端末2は、非常に薄型となる。このような薄型の携帯端末2の場合には、携帯端末2は、ヒートシンクやヒートパイプを実装する空間的な余裕を有さないので、第1排熱手段6は、放熱板や放熱シートを用いることが多い。例えば、携帯端末2の筐体内部の広い面積に渡って設置された放熱シートが、第1排熱手段6として用いられることも好適である。放熱シートは、例えばカーボンシートであったり、金属シートであったりして、第1熱伝導経路5を伝導した熱が、放熱シートで拡散されてそのまま筐体に伝わり、筐体外部から外界に排出される。
【0106】
あるいは、第1排熱手段6は、放熱シートと、放熱シートから筐体に伝わった熱を放散する、筐体に設けられたヒートシンクも備えても良い。あるいは、第1排熱手段6は、放熱シートと液冷ジャケットとが組み合わされても良い。
【0107】
第1排熱手段6が放熱シートであって、第1熱伝導経路5が金属や樹脂等で形成された線路である場合には、金属や樹脂製等のシートの形状を最適に形成することで、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とを一体で形成しても良い。一体で形成されることで、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との接続部分における熱抵抗が減少し、効率的な熱伝導が実現されるからである。
【0108】
もちろん、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とが別体で形成され、線路で形成されている第1熱伝導経路5と放熱シートで形成されている第1排熱手段6とが、物理的に接触することで(あるいは熱伝導性を有する別部材を介して接触することで)、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とが熱的に接触する。なお、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とは、熱的接合材(Thermal Interface Material)を介して熱的に接続されてもよい。第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とが別体で構成されることで、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6のそれぞれの形状や設置場所に自由度が生じる。
【0109】
また、後述するが、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接触が、遮断されることもある。このような場合に対応するため、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とが別部材で形成されることも好ましい。
【0110】
第1排熱手段6は、第1熱伝導経路5と同様に、金属、合金、樹脂、その他の素材で形成されればよく、金属である場合には、銅、アルミニウム、タングステン、チタンなどの熱伝導性の高い素材が適当である。
【0111】
なお、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とを、本発明においては、別要素として説明しているが、それぞれが厳密に分離している必要はなく、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とは、物理的に同じ部材であっても良い。また、第1熱伝導経路5も発熱体4の熱を伝導しつつも排出してもよく、第1排熱手段6は、熱を排出しつつ熱を伝導してもよい。すなわち、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とのそれぞれは、熱の伝導と熱の排出の両方の機能を含んでいても良い。
【0112】
(外部装置)
次に外部装置3について説明する。
【0113】
外部装置3は、携帯端末2と結合可能な機器や装置であり、携帯端末2が挿入される装着部7を有している。装着部7は、外部装置3に設けられたスロットを含む。
【0114】
勿論、装着部7は必須の構成要件ではなく、外部装置3は、携帯端末2との電気的あるいは熱的な接続が可能な構造を有していれば良い。
【0115】
外部装置3は、携帯端末2と電気信号を送受信する拡張ユニットおよび携帯端末2に電力を充電するまたは供給する充電ユニットの少なくとも一方である。
【0116】
なお、外部装置3は、拡張ユニット単体でもよいし、充電や供給機能を含んだ拡張ユニットでもよいし、電気信号の送受信機能を含んだ充電器でも良い。
【0117】
拡張ユニットの例としては、携帯端末2の記憶装置(半導体メモリ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、メモリカード、メモリスティックなど)に記憶されている画像や音声データを、パーソナルコンピュータやサーバ機器にダウンロードするためのデータ取り出しを行う中継機器がある。あるいは、逆にパーソナルコンピュータやサーバ機器に記憶されているデータを、携帯端末2の記憶装置や処理装置に転送するための中継機器がある。外部装置3が、携帯端末2と他の機器との間のデータ転送を行う拡張ユニットの場合には、携帯端末2と外部装置3とは電気的に接続して、大量の電気信号を送受信する。
【0118】
もちろん、外部装置3自身が、データを記憶する記憶装置を有しており、外部装置3が携帯端末2と電気信号の送受信を行っても良い。
【0119】
また、外部装置3は、携帯端末2の機能を拡張させる装置でも良い。例えば、携帯端末2が携帯型音楽再生機やデジタルカメラである場合には、外部装置3は、スピーカや画像表示画面を有する機器でもよい。あるいは、外部装置3は、携帯端末2の動作を高速化する補助処理機能を有する機器であってもよい。
【0120】
さらに、外部装置3は、携帯端末2に電力を充電または供給する装置でもよい。例えば、携帯端末2が大量のデータを処理する場合には、携帯端末2の内部の電子部品や電子素子の電力不足を補ってもよい。
【0121】
このような大量の電気信号の送受信によって、携帯端末2は、高い機能や性能を発揮させる必要があり、発熱体4をはじめとした電子部品や電子素子の温度が上昇し、携帯端末2の温度が上昇する。携帯端末2の温度が、所定の第1温度以上となる場合には、携帯端末2の機能や性能が制限されるので、大量の電気信号の送受信ができなくなる問題もある。外部装置3は、このような問題に対応するために、第1熱伝導経路5と熱的に接続できる第2熱伝導経路8と、第2熱伝導経路8を伝導した熱を排出する第2排熱手段9とを備えている。外部装置3は、携帯端末2と結合する際に、第2熱伝導経路8を第1熱伝導経路5に、熱的に接続させる。
【0122】
(第2熱伝導経路)
第2熱伝導経路8について説明する。
【0123】
第2熱伝導経路8は、外部装置3の内部あるいは外部表面に形成され、第1熱伝導経路5から伝わる熱を伝導する。
【0124】
第2熱伝導経路8は、熱伝導率の高い金属、合金、樹脂、鉱物などを用いた板部材で形成される。素材の例としては、銅、アルミニウム、タングステン、チタンなどの熱伝導性の高い金属や耐熱性に優れた樹脂、グラファイトやダイヤモンド等鉱物、さらにそれら材料を用いた複合材料が好適である。このような素材で形成された線路が、外部装置3内部に実装されて、第2熱伝導経路8が構成される。あるいは、電子基板、回路基板、筐体内部面、筐体外部面にこのような素材で形成された線路が実装されたり塗装されたりして、第2熱伝導経路8が構成される。
【0125】
あるいは、内部に冷媒を封入して、冷媒の気化と凝縮によって熱を輸送するヒートパイプが用いられることも好適である。第2熱伝導経路8にヒートパイプが用いられる場合には、このヒートパイプは、単一方向に熱を輸送する構成に特化されていることが好ましい。
【0126】
また、第2熱伝導経路8は、外部装置3の備える回路基板や電子基板とは別個の部材で構成されても良いが、回路基板や電子基板の一部が利用されて構成されても良い。あるいは、外部装置3の筐体の内部あるいは外部が、第2熱伝導経路8を構成しても良い。このように、外部装置3が元々備えている部材や要素を、第2熱伝導経路8として利用することで、外部装置3の小型化や薄型化を阻害せずに済む。
【0127】
第2熱伝導経路8は、第2排熱手段9にまで熱を伝導する。第2排熱手段9に伝えられた熱は、第2排熱手段9より排出される。
【0128】
また、第2熱伝導経路8は、携帯端末2と外部装置3とが結合する際に、第1熱伝導経路5と熱的に接続する。この熱的な接続のために、第1熱伝導経路5は、携帯端末2の端部にまで到達し、第2熱伝導経路8は、装着部7の端部にまで到達しており、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8との端部同士が接触する。
【0129】
あるいは、第1熱伝導経路5は携帯端末2の筐体であって、第2熱伝導経路8は外部装置3の筐体であって、スロット形状となっている装着部7に携帯端末2が嵌合することで、それぞれの筐体同士が接触して、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8との熱的な接続が実現される。
【0130】
図6は、本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【0131】
図6は、第1熱伝導経路5が携帯端末2の筐体であって(筐体の一部もしくは全部を利用して、第1熱伝導経路5が形成されている)、第2熱伝導経路8が外部装置3の筐体である(筐体の一部もしくは全部を利用して、第2熱伝導経路8が形成されている)場合を示している。
【0132】
携帯端末2は、装着部7に嵌合して装着されるので、携帯端末2の筐体と外部装置3の筐体とは接触する。この接触により、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続することになる。図6の矢印20は、第1熱伝導経路5を伝わる熱を示し、矢印21は、矢印20につながって第2熱伝導経路8を伝わる熱を示している。このように、筐体同士の接触によって、携帯端末2から外部装置3へ熱が伝導しても良い。
【0133】
第2熱伝導経路8は、第2排熱手段9に熱を伝導させて、第2排熱手段9は、伝導された熱を排出する。なお、図6のように筐体同士の接触による熱伝導が行われる場合には、熱伝導と排熱とが一緒に行われていると考えても良い。
【0134】
すなわち、携帯端末2の筐体は、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とを構成し、発熱体4の熱は、携帯端末2の筐体を伝導しつつ外部に排出される。外部に排出されずに残った熱は、第1熱伝導経路5である筐体から、第2熱伝導経路8である外部装置3の筐体に伝導する。外部装置3の筐体に伝わった熱は、外部装置3の筐体を伝導しつつ外部に排出される。つまり、外部装置3の筐体そのものが、第2排熱手段9を構成していることになる。勿論、外部装置3には、ヒートシンクやファンなどが設けられて、より積極的な排熱が行われてもよい。
【0135】
以上のように、第2熱伝導経路8は、第1熱伝導経路5と熱的に接続可能で、第2排熱手段9に熱を伝導する。
【0136】
また、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とは、携帯端末2と外部装置3とが電気信号の送受信を行うコネクタを介して熱的に接続されてもよい。
【0137】
図7を用いて、このコネクタによる接続について説明する。
【0138】
図7は、本発明の実施の形態1における第1熱伝導経路と第2熱伝導経路との熱的な接続について説明する説明図である。図7は、携帯端末2と外部装置3とが結合する際に、電気信号の送受信を行うために接続されるコネクタ30を示している。
【0139】
コネクタ30は、携帯端末2もしくは装着部7のいずれかに予め設けられていてもよいし、携帯端末2が装着部7に装着されるときに設置される独立部材であっても良い。コネクタ30は、携帯端末2の第1熱伝導経路5と外部装置3の第2熱伝導経路8との間に位置する。逆にいうと、コネクタ30は、携帯端末2と外部装置3との電気信号の送受信を行わせる部材であるので、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが、このコネクタ30の位置を基準に配置されれば良い。
【0140】
コネクタ30は、携帯端末2と外部装置3とで、電気信号を送受信する電気ピン32と、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8との熱的な接続を行う熱伝導ピン31とを備える。
【0141】
熱伝導ピン31は、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とを熱的に接続する。例えば、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが、金属や樹脂製の板部材である場合にはこれら板部材の端面に設けられた孔に、熱伝導ピン31が挿入される。この熱伝導ピン31の挿入によって、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続する。
【0142】
あるいは、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが平板のシートや線路である場合には、熱伝導ピン31は、互い違いの板状であって、板状の熱伝導ピン31が、第1熱伝導経路5や第2熱伝導経路8を挟む。これによって、熱的に接続される。
【0143】
このように、コネクタ30が電気信号の送受信において用いられることにあわせて、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続される。
【0144】
勿論、第1熱伝導経路5が金属や樹脂で形成された部材であって、携帯端末2の端部にまで到達しており、第2熱伝導経路8が金属や樹脂で形成された部材であって、携帯端末2と接触する部分まで到達しているとする。この場合、携帯端末2と外部装置3との結合時に、第1熱伝導経路5を形成する部材と第2熱伝導経路8を形成する部材同士が物理的に接触して、熱的な接続が実現されてもよい。
【0145】
以上のように、携帯端末2と外部装置3とが結合することで、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続され、発熱体4の熱(携帯端末2の熱)は、外部装置3に伝導される。
【0146】
(第2排熱手段)
第2排熱手段9について説明する。
【0147】
第2排熱手段9は、第2熱伝導経路8から伝導された熱を排出する。第2排熱手段9は、外部装置3の内部もしくは外部に設けられており、外部装置3より熱を外界に排出する。
【0148】
第2排熱手段9は、第2熱伝導経路8からの熱伝導を受けて熱を排出するが、第2排熱手段9と第2熱伝導経路8とは、それぞれ独立した部材であってもよいし、一体の部材であってもよい。このため、第2熱伝導経路8と第2排熱手段9のそれぞれの機能は、熱伝導と排熱とに厳密に区別されるものではなく、それぞれが熱伝導と排熱を混合して行っていることもありえる。すなわち、第2熱伝導経路8は、熱を伝導させている間に、熱を外部に排出し、第2排熱手段9は、外部装置3の筐体に熱を伝導しつつ自らも熱を排出する。筐体に伝わった熱は、筐体が外部へ排出する。
【0149】
第2排熱手段9は、外部装置3の筐体の少なくとも一部であってもよいし、外部装置3の内部もしくは外部表面に設けられた放熱板、放熱シートであってもよいし、ヒートシンクやヒートパイプであってもよいし、放熱板、放熱シート、ヒートシンクおよびヒートパイプに冷却ファンや液冷ジャケットが更に組み合わされた部材であってもよい。第2排熱手段9は、据え置かれて使用されるので、携帯端末2と異なり、様々な構成や大きさを有することができる。このため、第2排熱手段9の排熱能力は、第1排熱手段6の排熱能力よりも大きくすることができる。
【0150】
第2排熱手段9の例について列挙する。
【0151】
第2熱伝導経路8から外部装置3の筐体表面に熱が伝導される場合には、外部装置3の筐体の少なくとも一部から、外界に熱が排出される。すなわち、第2排熱手段9は、外部装置3の筐体の少なくとも一部で構成される。このとき、第2熱伝導経路8は、外部装置3の内部に設けられ、第2熱伝導経路8は外部装置3の内部から第2排熱手段9へ熱を伝導する。あるいは、第2熱伝導経路8は、外部装置3の筐体であって、第2熱伝導経路8となっている筐体を伝導した熱は、第2排熱手段9である筐体からそのまま排出される。
【0152】
また、第2排熱手段9が、外部装置3の筐体の少なくとも一部で構成される場合には、筐体に更にヒートシンクが設けられたり、筐体に風を送る冷却ファンが設けられたり、筐体を冷媒で冷却する液冷ジャケットが設けられたりする。第2排熱手段9は、これらヒートシンク、冷却ファンおよび液冷ジャケットを、構成要素の一部として含んでも良い。
【0153】
あるいは、第2排熱手段9は、外部装置3に設けられたヒートシンクであってもよい。ヒートシンクは筐体内部に設けられて、外界に熱を排出する。あるいは、外部装置3においてヒートシンクが露出しており、露出したヒートシンクは、外界に熱を排出する。第2排熱手段9がヒートシンクである場合には、第2熱伝導経路8は、熱をヒートシンクに伝導する。
【0154】
第2排熱手段9は、外部装置3の内部に設けられた液冷ジャケットでもよい。液冷ジャケットである場合には、第2熱伝導経路8と接触する部分に、冷媒を回転させるポンプが設置され、ポンプで循環される冷媒によって、第2熱伝導経路8を伝導した熱が外界に排出される。
【0155】
第2排熱手段9は、外部装置3の内部に設置される放熱板あるいは放熱シートであっても良い。このような放熱板や放熱シートは、筐体内部の空間に熱を排出し、排出された熱は筐体から外部に放散される。また、放熱板や放熱シートに、ヒートシンクや冷却ファンが設けられてもよい。第2排熱手段9は、複数の部材が組み合わされても良い。
【0156】
以上のように、携帯端末2と異なり、形状や大きさへの制限の少ない外部装置3においては、種々の部材によって、あるいは種々の部材を組み合わせることで、第2排熱手段9を備えることができる。このような第2排熱手段9は、相対的に第1排熱手段6よりも排熱能力が高く、第2熱伝導経路8を伝わる熱を効率よく排出できる。
【0157】
なお、第2排熱手段9は、発熱体4や携帯端末2から伝導される熱を排出するだけでなく、外部装置3で発生する熱も排出してよい。
【0158】
以上のように、実施の形態1における電子機器1は、携帯端末2と外部装置3とが結合する際に、携帯端末2の第1熱伝導経路5と外部装置3の第2熱伝導経路8とを熱的に接続させる。第1熱伝導経路5と熱的に接続した第2熱伝導経路8は、発熱体4(携帯端末2)から伝導された熱を、第2排熱手段9に伝導する。更に、発熱体4の熱は、携帯端末2の第1排熱手段6と外部装置3の第2排熱手段9とから排出される。
【0159】
この結果、携帯端末2の温度上昇が抑制され、携帯端末2が所定の第1温度以上になることが抑制されるので、携帯端末2の機能や性能が制限されにくくなる。特に、外部装置3に携帯端末2が結合されるときは、大量のデータ通信などが行われるときであって、このような状況下で携帯端末2の機能や性能が制限されることは好ましくない。実施の形態1における電子機器1は、携帯端末2と外部装置3との結合によって大量のデータ通信が生じる場合でも、携帯端末2の温度上昇を抑制でき、携帯端末2の機能や性能を最大限活用できる。
【0160】
このような電子機器1は、使用者に対するユーザビリティも高い。
【0161】
なお、携帯端末2の機能や性能に制限を生じさせる基準である第1温度は、携帯端末2と外部装置3とが結合されて構成される排熱能力に基づいて定められることも好適である。
【0162】
なお、実施の形態1では、携帯端末2と外部装置3を備える排熱機能を有する電子機器1として説明したが、電子機器における排熱システムおよび排熱方法として本発明が把握されても良い。この場合には、電子機器1の構成や要素に係らず、携帯端末2から外部装置3へ接続される熱伝導経路と、携帯端末2および外部装置3のそれぞれから熱が排出される排熱手段とによって、携帯端末の熱を排出する仕組みが、本発明の対象となる。
【0163】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
【0164】
実施の形態2における排熱機能を有する電子機器は、発熱体4からの熱の排出に際して、第1排熱手段6を用いる/用いない、を制御する。
【0165】
実施の形態1における電子機器1は、携帯端末2で発生する熱(特に発熱体4で発生する熱)を、第1排熱手段6と第2排熱手段9とによって排出する。すなわち、携帯端末2で発生する熱は、携帯端末2と外部装置3との両方によって排出される。
【0166】
このように、携帯端末2から発生する熱が、携帯端末2と外部装置3との両方から排出されれば、排熱能力が高く、積分的により多くの熱が排出される。
【0167】
一方で、携帯端末2で発生した熱を、より早期に携帯端末2から別の場所へ移動させたい場合もある。このような場合には、携帯端末2で発生する熱を、携帯端末2ではなく外部装置3のみから排出することが求められる。携帯端末2が備える第1排熱手段6が、発熱体4からの第1熱伝導経路5と接続していると、発熱体4の熱は、第1排熱手段6からも排出されてしまうので、排出における熱が携帯端末2に残る状態となる。もちろん、第1熱伝導経路5から第2熱伝導経路8に伝導された発熱体4の熱は、第2排熱手段9より排出されるので、電子機器1全体としては、発熱体4の熱の排出は行われる。しかし、第1排熱手段6での排熱によって、携帯端末2にも熱が残った状態となってしまい、携帯端末2の温度低下に要する時間が掛かることになる。
【0168】
図8は、本発明の実施の形態2における電子機器の排熱状態を説明する模式図である。図8は、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とが熱的に接続し、発熱体4からの熱が、第1排熱手段6より排出されると共に、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続し、発熱体4からの熱が第2排熱手段9からも排出される状態を示している。図8中の矢印20は、第1熱伝導経路5での熱伝導の方向を示し、矢印21は、第1熱伝導経路5に接続する第2熱伝導経路8の熱伝導の方向を示す。更に、図8中の矢印40は、第1排熱手段6からの、発熱体4の熱の排出方向を示し、矢印41は、第2排熱手段9からの、発熱体4の熱の排出方向を示す。
【0169】
図8より明らかな通り、発熱体4の熱は、携帯端末2と外部装置3との両方から排出されるので排熱能力は高い。一方で、携帯端末2に発熱体4の熱が残ることになる。
【0170】
ここで、図8に示される排熱方式を、第1排熱経路と定義する。
【0171】
図9は、本発明の実施の形態2における電子機器の排熱状態を説明する模式図である。
【0172】
図9は、図8の場合と異なり、第1排熱手段6の排熱は遮断されあるいは低減され、主に第2排熱手段9から発熱体4の熱が排出される状態を示している。例えば、携帯端末2と外部装置3の結合時に、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との間の伝導路が遮断されることで、第1排熱手段6の排熱が遮断されたり低減されたりする。
【0173】
第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続が遮断もしくは低減されることで、発熱体4の熱は、第1熱伝導経路5から第1排熱手段6に伝導しなくなる。
【0174】
このため、図9に示されるように、発熱体4の熱は、第1熱伝導経路5から第2熱伝導経路8を経由して、第2排熱手段9から排熱される。もちろん、第1排熱手段6が第1熱伝導経路5と熱的に遮断されたり低減されたりしても、第1排熱手段6に伝導される熱は残りうるので、第1排熱手段6が、発熱体4の熱を全く排出しないわけではない。
【0175】
図9に示されるように、第1排熱手段6は、排熱をほとんど行わずに、第2排熱手段9が主として排熱を行う場合には、電子機器1全体での排熱能力が下がる。このため、発熱体4の冷却に時間を要する。
【0176】
一方で、発熱体4の熱は、第1排熱手段6に移動しないので、発熱体4の熱が、携帯端末2に残りにくくなる。すなわち、発熱体4の熱は、携帯端末2を素通りして、外部装置3に早期に移動する。このため、外部装置3における排熱には時間を要するが、携帯端末2から外部装置3への熱の移動は高速に行われる。
【0177】
ここで、図9に示される排熱方式を、第2排熱経路と定義する。
【0178】
携帯端末2は、所定の第1温度以上の温度となると、その機能や性能が制限される。
【0179】
第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とが熱的に接続したままであって、第1熱伝導経路5から第2熱伝導経路8への熱的な接続もなされていると、発熱体4の熱は、第1排熱手段6と第2排熱手段9とから排出されるので、電子機器1全体の熱を下げることに向いている。一方で、第2排熱経路の場合には、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続が遮断もしくは低減されていると、携帯端末2の熱が早期に外部装置3に移動して、携帯端末2単体の温度は、早期に低下する。
【0180】
但し、第2排熱経路の場合には、携帯端末2の温度低下は、ある程度のところで飽和しやすくなる。これは、電子機器1全体での排熱能力が、第1排熱経路の場合よりも低いからである。
【0181】
図10に、第1排熱経路の場合と第2排熱経路の場合との、携帯端末2の温度曲線を示す。図10は、本発明の実施の形態2における携帯端末の温度曲線を示すグラフである。
【0182】
図10に示されるように、第1排熱経路の場合には、第1排熱手段6と第2排熱手段9との両方の排熱手段によって、じっくりと熱が排出され、一定の時間が経過すると携帯端末2の温度が低くなる。
【0183】
一方、第2排熱経路の場合には、第2排熱手段9を主として排熱されるので、一定の時間が経過しても、携帯端末2の温度低下は第1排熱経路よりも悪い。しかし、携帯端末2から直接的に外部装置3に熱が伝導するので、携帯端末2の温度は早期に低下する。このため、携帯端末2に機能制限が生じる第1温度に近い第2温度を基準とすると、第1排熱経路で第2温度以下に達するのに必要な時間T2よりも、第2排熱経路で第2温度以下に達するのに必要な時間T1は短い。ただし、第2温度まで低下した後の、携帯端末2(電子機器1全体)の温度低下は、第1排熱経路の方が、より低下しやすい。
【0184】
第2温度は適宜定められればよいが、携帯端末2に機能や性能制限が生じる第1温度以下である。すなわち、第2温度は第1温度よりも低い温度でありつつ第1温度と同じでも差し支えない。また、第2温度は、第1温度に近い程度であることも好適である。携帯端末2が第2温度以上であることは、携帯端末2の機能制限が生じる直前の状態である。図10のグラフに示されるように、第2排熱経路では、携帯端末2の熱が即座に外部装置3に移動するので、第2温度を超えて第1温度に近づいていた携帯端末2の温度が、即座に低下する。すなわち、携帯端末2は、第2温度ひいては第1温度より早期に低下できる。結果として、携帯端末2の機能制限がかかりにくくなる。
【0185】
このように、携帯端末2の温度が非常に高い時には、なるべく即座に携帯端末2の熱を外部装置3に移動させる必要があるので、第2排熱経路が優位である。
【0186】
図11は、第2排熱経路に対応する電子機器1を示している。図11は、本発明の実施の形態2における電子機器の斜視図である。
【0187】
図11に示される電子機器1では、携帯端末2の第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続が遮断もしくは低減されている。
【0188】
第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続の遮断は、携帯端末2と外部装置3との結合時に、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6とを接続する熱スイッチが遮断されることで実現されれば良い。
【0189】
このように、電子機器1は、携帯端末2の温度状態によっては、携帯端末2の熱を早期に外部装置3に移動させるために、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続を遮断もしくは低減させる。
【0190】
(制御手段による制御)
電子機器1は、第1排熱経路と第2排熱経路を切り替えるために、制御手段を更に備えることも好適である。図12は、本発明の実施の形態2における携帯端末の内部ブロック図である。なお、制御手段による制御の説明に必要な要素のみを示し、他の要素は表示していない。
【0191】
携帯端末2は、制御手段50を備える。なお、制御手段50は、携帯端末2ではなく外部装置3に含まれても良い。
【0192】
温度測定部10は、携帯端末2の温度を測定する。温度測定部10は、発熱体4の温度、複数の発熱体4の温度、複数の発熱体4の温度の平均値、携帯端末2の表面温度、携帯端末2の複数の位置における温度の平均値など、種々のパラメータによって、携帯端末2の温度を測定する。
【0193】
温度測定部10は、測定した携帯端末2の温度を、制御手段50に通知する。
【0194】
制御手段50は、携帯端末2の温度状態によって、第1排熱経路を選択するべきか、第2排熱経路を選択するべきかを決定する。上述の通り、携帯端末2の温度が高すぎる場合には、即座に携帯端末2の熱を外部装置3に移動すべきであるので、制御手段50は第2排熱経路を選択し、携帯端末2の温度がそこまで高くない場合には、電子機器1全体での排熱能力の最大化を優先すべきであるので、制御手段50は、第1排熱経路を選択する。
【0195】
このとき、制御手段50は、温度測定部10の結果に基づいて、第1条件と第2条件を判定する。
【0196】
第1条件の場合には、制御手段50は、第1排熱経路を選択する。第1排熱経路とは、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続が維持される場合である。
【0197】
一方、第2条件の場合には、制御手段50は、第2排熱経路を選択する。第2排熱経路とは、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続が、遮断もしくは低減される場合である。
【0198】
制御手段50は、第1条件と第2条件を、図13を一例として判定する。
【0199】
図13は、本発明の実施の形態2における第1条件と第2条件を判定する状態を示す説明図である。
【0200】
図13では、横軸に携帯端末2の温度をパラメータとした直線を示している。
【0201】
直線において、携帯端末2の機能や性能に制限が生じる第1温度と、第1温度より低い温度である第2温度が示されている。第2温度は、第1温度より低い温度であるが、携帯端末2の温度が非常に高いことを示す温度であり、携帯端末2が第2温度以上であると、携帯端末2の温度がすぐに第1温度以上になってしまい、携帯端末2の機能制限が生じてしまう恐れのある温度である。
【0202】
このため、携帯端末2が第2温度以上である場合には、携帯端末2の熱を、早期に外部装置3に移動させた方が良い。一方で、第2温度未満であれば、携帯端末2の熱は、より大きな排熱能力によって排出されることが好ましい。
【0203】
以上のことから、制御手段50は、第2温度未満の場合に、排熱経路を決定する条件を第1条件として判定し、第2温度以上の場合に、排熱経路を決定する条件を第2条件として判定する。言い換えると、第2温度未満の場合には第1条件であるとして、制御手段50は、第1排熱経路を選択し、第2温度以上の場合には第2条件であるとして、制御手段50は、第2排熱経路を選択する。
【0204】
第1条件で第1排熱経路が選択されれば、携帯端末2および外部装置3を備える電子機器1の熱が、高い排熱能力によって排出される。この結果、携帯端末2は、十分なレベルまで冷却される。
【0205】
第2条件で第2排熱経路が選択されれば、携帯端末2の熱は、早期に外部装置3に移動して、携帯端末2の機能制限が防止され、外部装置3から熱が排出される。携帯端末2の冷却は不十分であるが、携帯端末2の温度が上がりすぎているときに、まずは機能制限を防止する点で効果が高い。
【0206】
なお、最初は第2排熱経路が選択されて、携帯端末2の熱が早期に外部装置3に移動した後で、第1排熱経路が選択されて、高い排熱効率で発熱体4の熱が排出されることも好適である。
【0207】
また、第1温度と第2温度とが同じ温度として設定されることは除外されない。
【0208】
(プログラムによる機能制限の携帯端末の場合)
次に、温度測定部10で測定された温度によって機能が制限される携帯端末2ではなく、同時刻に所定以上の機能が実行される場合に機能が制限される携帯端末2について説明する。
【0209】
携帯端末2は、例えば通信機能、表示機能、画像圧縮機能、画像伸長機能、音声圧縮機能、音声伸長機能など種々の機能を有している。例えば、携帯端末2が携帯電話機であって、使用者が携帯電話機で画像付きメールを送信する場合には、携帯電話機は、画像圧縮機能、表示機能、通信機能を同時に実行することになる。状況によっては、これらの機能の多くが同期間に実行されることで、携帯端末2の温度が上昇することになる。
【0210】
このような温度上昇が生じることで、携帯端末2の機能が制限されることは上述の通りであるが、温度測定部10による温度に基づいて機能を制限するのではなく、同時刻に所定以上の機能が実行される場合に、携帯端末2の機能が制限されてもよい。このとき、処理部11は、携帯端末2が同時刻に実行している機能の数や量に基づいて、携帯端末2の機能を制限する。例えば、処理部11がソフトウェアプログラムを有しており、携帯端末2が同時刻に実行する機能の数や量が所定以上となると、このソフトウェアプログラムが携帯端末2の機能を制限する。
【0211】
このように、所定以上の機能が実行されることで携帯端末2の機能が制限される場合でも、携帯端末2が外部装置3と結合して排熱能力が増加すれば(あるいは、携帯端末2の熱が早期に外部装置3に移動すれば)、処理部11は、携帯端末2の機能を制限しなくてもよい。このため、処理部11は、携帯端末2と外部装置3とが結合したことの通知によって、携帯端末2の機能制限を行わないこともできる。
【0212】
図14は、本発明の実施の形態2における携帯端末の内部ブロック図である。図14は、説明に必要な要素だけを示しており、説明に不要な要素は省略している。
【0213】
実行機能検出部60は、携帯端末2が実行している機能の数や量を検出する。実行機能検出部60が検出した、携帯端末2が同時刻に実行している機能の数や量が所定量を超えている場合には、制御手段50は、その旨を処理部11に通知する。この通知を受けた処理部11は、携帯端末2の機能や性能を制限する。
【0214】
処理部11は、携帯端末2の機能を実行させると共に携帯端末2の機能や性能を制限する。
【0215】
また、携帯端末2は、結合検出部61を備える。結合検出部61は、携帯端末2と外部装置3との結合を検出する。例えば、携帯端末2と外部装置3とが結合すると、電気信号を送受信するコネクタが携帯端末2と外部装置3とを接続する。このコネクタの接続により、携帯端末2に新しい電気信号が発生する。結合検出部61は、この発生した電気信号を検出することで、携帯端末2と外部装置3との結合を検出する。
【0216】
結合検出部61が、携帯端末2と外部装置3との結合を検出できれば、携帯端末2の熱は外部装置3に移動するか、携帯端末2の熱は携帯端末2と外部装置3との両方によって排出される。このため、処理部11は、携帯端末2の機能を制限する必要がない。
【0217】
結合検出部61は、検出した結果を制御手段50に出力する。制御手段50は、この結果を受けて、処理部11に、携帯端末2と外部装置3との結合したことを通知する。処理部11は、この通知を受けて、同時刻に所定以上の機能が実行されている場合であっても、携帯端末2の機能や性能を制限しない。携帯端末2の温度上昇が行き過ぎる心配がないと、処理部11は判断できるからである。
【0218】
なお、実行機能検出部60や結合検出部61は、制御手段50と別の要素であってもよいし、同一の要素に含まれても良い。また、制御手段50、実行機能検出手段60、結合検出手段61および処理部11の一部もしくは全部は、ソフトウェアで実現されてもハードウェアで実現されても良い。
【0219】
以上のように、同時刻に所定以上の機能が実行される場合でも、携帯端末2と外部装置3との結合によって、携帯端末2の機能が制限されないことも好適である。
【0220】
また、処理部11や制御手段50は、同時刻に実行される機能量および携帯端末2の温度の両方に基づいて、携帯端末2の機能や性能を制限しても良い。この場合には、処理部11は、携帯端末2と外部装置3との結合の検出および携帯端末2の温度の両方に基づいて、携帯端末2の機能制限を解除してもよい。
【0221】
以上のように、実施の形態2における電子機器1は、携帯端末2の温度状態に応じたフレキシブルな排熱を行う。また、電子機器1は、携帯端末2の温度だけでなく携帯端末2が実行している機能量によっても、携帯端末2の機能を制限したり制限しなかったりできる。
【0222】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
【0223】
実施の形態3では、携帯端末とこれに結合する外部装置とにおける排熱システムおよび排熱方法について説明する。
【0224】
実施の形態1、2で説明した排熱機能を発揮する構成を有する電子機器が製造や販売されるだけでなく、汎用の携帯端末と汎用の外部装置とに、排熱機能を後付けしたり排熱機能を発揮させたりすることもありえる。これは、排熱システムや排熱方法として把握されうる。
【0225】
図15、図16は、本発明の実施の形態3における排熱システムもしくは排熱方法を説明する模式図である。
【0226】
図15、16で示される排熱システムもしくは排熱方法は、所定の第1温度で機能に制限が生じる携帯端末2と、携帯端末2と結合可能な外部装置3と、における排熱システムもしくは排熱方法である。
【0227】
携帯端末2や外部装置3の構成、機能については、実施の形態1、2で説明したのと同様である。携帯端末2は、携帯電話機、携帯型音楽再生機、携帯型メール端末、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯型レコーダー、スマートフォン、携帯型動画撮影機器などの、使用者が携帯しながら、所定の目的を実行する信号処理を機能として有する電子装置を含む。
【0228】
外部装置3は、携帯端末2と電気信号を送受信する拡張ユニットおよび携帯端末2に電力を充電する充電ユニットの少なくとも一方である。なお、外部装置3は、拡張ユニット単体でもよいし、充電機能を含んだ拡張ユニットでもよいし、電気信号の送受信機能を含んだ充電器でも良い。
【0229】
拡張ユニットの例としては、携帯端末2の記憶装置(半導体メモリ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、メモリカード、メモリスティックなど)に記憶されている画像や音声データを、パーソナルコンピュータやサーバ機器にダウンロードするためのデータ取り出しを行う中継機器がある。あるいは、逆にパーソナルコンピュータやサーバ機器に記憶されているデータを、携帯端末2の記憶装置や処理装置に転送するための中継機器がある。
【0230】
携帯端末2は、発熱体4と、発熱体4の熱を伝導する第1熱伝導経路5と、第1熱伝導経路5で伝導される熱を排出する第1排熱手段6と、を備える。また、所定の第1温度になると、機能や性能に制限が生じるのは実施の形態1、2で説明したとおりである。
【0231】
外部装置3は、携帯端末2と外部装置3とが結合する場合に、第1熱伝導経路5と熱的に接続する第2熱伝導経路8と、第2熱伝導経路8を伝導する熱を排出する第2排熱手段9とを備える。また、外部装置3は、携帯端末2を結合する装着部7を備える。
【0232】
携帯端末2が装着部7に挿入されて、外部装置3と結合されることで、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8とが熱的に接続する。この結果、発熱体4からの熱は、第1熱伝導経路5から第1排熱手段6を介して排出される排熱経路(矢印40で示される)と、第1熱伝導経路5と第2熱伝導経路8を経由して第2排熱手段9を介して排出される排熱経路(矢印41で示される)と、の2つの排熱経路によって排出される。このように、携帯端末2の備える第1排熱手段6と外部装置3の備える第2排熱手段9とが合わさった排熱手段によって、発熱体4の熱は、高い排熱能力で排出される。
【0233】
一方で、発熱体4の発する熱を、高い排熱能力で排出するよりも、早期に携帯端末2から外部装置3へ移動させたい場合もある。
【0234】
例えば、図13で示されるように携帯端末2の温度であって、第1温度および第1温度よりも低い第2温度を、基準とする。第2温度未満は、携帯端末2の温度上昇は懸念されるが、携帯端末2の機能が即座に制限される状態ではないことを示す。一方で、第2温度以上は、携帯端末2の機能が即座に機能制限されうる状態であることを示す。
【0235】
このように、携帯端末2の温度が、第1温度に近い第2温度以上である場合には、発熱体4の熱を、携帯端末2と外部装置3とによって排出するよりも、携帯端末2から別の場所へ移動させることを優先するべきである。このため携帯端末2の温度が第2温度以上である場合には、図16に示される排熱システムが用いられる。
【0236】
図16では、第1熱伝導経路5と第1排熱手段6との熱的な接続が遮断もしくは低減される。この結果、第1排熱手段6からの排熱経路(矢印40で示される)は、ほとんど機能せず、第2排熱手段9からの排熱経路(矢印41で示される)が、主として発熱体4からの熱を排出する。発熱体4からの熱は、外部装置3から主として排出されることになるので、排熱システムとしての排熱能力は小さい。しかしながら、携帯端末2の備える第1排熱手段6からはほとんど排熱されずに即座に外部装置3に移動するので、発熱体4の熱が携帯端末2に留まりにくくなる。この結果、携帯端末2の温度はある程度まで即座に低下し、携帯端末2の機能が制限される第1温度以上に上昇する懸念が早期に解消される。
【0237】
排熱システムが、図15に示される矢印40と矢印41とを合わせた排熱経路を選択するか、図16に示される矢印41を主とした排熱経路を選択するかは、携帯端末2の温度によって定められる。あるいは、携帯端末2が同時刻に実行する機能の数や量によって選択されても良い。
【0238】
以上のように、実施の形態3における排熱システムおよび排熱方法によって、携帯端末2の機能制限を生じさせにくくし、携帯端末2の機能や性能を最大限使用することができる。
【0239】
以上、実施の形態1〜3で説明された排熱機能を有する電子機器、排熱システムおよび排熱方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0240】
【図1】本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1における携帯端末の機能・性能制限を説明するグラフである。
【図4】本発明の実施の形態1における携帯端末の内部ブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1における電子機器の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1における第1熱伝導経路と第2熱伝導経路との熱的な接続について説明する説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2における電子機器の排熱状態を説明する模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2における電子機器の排熱状態を説明する模式図である。
【図10】本発明の実施の形態2における携帯端末の温度曲線を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態2における電子機器の斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態2における携帯端末の内部ブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態2における第1条件と第2条件を判定する状態を示す説明図である。
【図14】本発明の実施の形態2における携帯端末の内部ブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態3における排熱システムもしくは排熱方法を説明する模式図である。
【図16】本発明の実施の形態3における排熱システムもしくは排熱方法を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0241】
1 電子機器
2 携帯端末
3 外部装置
4 発熱体
5 第1熱伝導経路
6 第1排熱手段
7 装着部
8 第2熱伝導経路
9 第2排熱手段
10 温度測定部
11 処理部
20、21、40、41 矢印
30 コネクタ
31 熱伝導ピン
32 電気ピン
50 制御手段
60 実行機能検出部
61 結合検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1温度以上で機能に制限が生じる携帯端末と、
前記携帯端末と結合可能な外部装置と、を備え、
前記携帯端末は、
発熱体と、
前記発熱体の熱を伝導する第1熱伝導経路と、
前記第1熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第1排熱手段と、を有し、
前記外部装置は、
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝導経路と熱的に接続する第2熱伝導経路と、
前記第2熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第2排熱手段と、を有する排熱機能を有する電子機器。
【請求項2】
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝導経路と前記第2熱伝導経路とが熱的に接続され、
前記発熱体の発する熱は、前記第1排熱手段と前記第2排熱手段とによって排出される請求項1記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項3】
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝道経路と前記第2熱伝導経路とが熱的に接続されると共に前記第1熱伝導経路と前記第1排熱手段との熱的な接続が遮断もしくは低減され、
前記発熱体の発する熱は、主として前記第2排熱手段によって排出される請求項1記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項4】
前記発熱体の排熱経路を制御する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合であって、
第1条件では、前記第1熱伝導経路と前記第1排熱手段との熱的な接続を維持し、
第2条件では、前記第1熱伝導経路と前記第1排熱手段との熱的な接続を遮断もしくは低減する請求項1から3のいずれか記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項5】
前記第1条件は、前記携帯端末が所定の第2温度未満の場合であって、
前記第2条件は、前記携帯端末が前記第2温度以上の場合であって、
前記第2温度は前記第1温度以下の温度である請求項4記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、前記携帯端末と前記外部装置とが結合したことを検出し、当該検出結果を前記携帯端末の有する処理装置に出力する請求項4又は5記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項7】
前記第1熱伝導経路と前記第2熱伝導経路とは、前記携帯端末と前記外部装置とが信号の送受信を行うコネクタが備える熱伝導路によって、熱的に接続される請求項1から6のいずれか記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項8】
前記第1熱伝導経路は前記携帯端末の筐体であり、前記第2熱伝導経路は前記外部装置の筐体であって、
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記携帯端末の筐体と前記外部装置の筐体とが熱的に接触することで、前記第1熱伝導経路と前記第2熱伝導経路とが熱的に接続する請求項1から6のいずれか記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項9】
前記携帯端末は、携帯電話機、携帯型音楽再生機、携帯型メール端末、PDA、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯型レコーダー、スマートフォンおよび携帯型動画撮影機器のいずれかである請求項1から8のいずれか記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項10】
前記外部装置は、前記携帯端末と電気信号を送受信する拡張ユニットおよび前記携帯端末に電力を充電する充電ユニットの少なくとも一方である請求項1から9のいずれか記載の排熱機能を有する電子機器。
【請求項11】
所定の第1温度以上で機能に制限が生じる携帯端末と前記携帯端末と結合可能な外部装置と、に基づく排熱システムであって、
前記携帯端末は、
発熱体と、
前記発熱体の熱を伝導する第1熱伝導経路と、
前記第1熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第1排熱手段と、を有し、
前記外部装置は、
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝導経路と熱的に接続する第2熱伝導経路と、
前記第2熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第2排熱手段と、を有する排熱システム。
【請求項12】
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝導経路と前記第2熱伝導経路とが熱的に接続され、
前記発熱体の発する熱は、前記第1排熱手段と前記第2排熱手段とによって排出される請求項11記載の排熱システム。
【請求項13】
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝道経路と前記第2熱伝導経路とが熱的に接続されると共に前記第1熱伝導経路と前記第1排熱手段との熱的な接続が遮断もしくは低減され、
前記発熱体の発する熱は、主として前記第2手段によって排出される請求項11記載の排熱システム。
【請求項14】
所定の第1温度以上で機能に制限が生じる携帯端末と前記携帯端末と結合可能な外部装置と、に基づく排熱方法であって、
前記携帯端末は、
発熱体と、
前記発熱体の熱を伝導する第1熱伝導経路と、
前記第1熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第1排熱手段と、を有し、
前記外部装置は、
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝導経路と熱的に接続する第2熱伝導経路と、
前記第2熱伝導経路で伝えられる熱を排出する第2排熱手段と、を有する排熱方法。
【請求項15】
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝導経路と前記第2熱伝導経路とが熱的に接続され、
前記発熱体の発する熱は、前記第1排熱手段と前記第2排熱手段とによって排出される請求項14記載の排熱方法。
【請求項16】
前記携帯端末と前記外部装置とが結合する場合に、前記第1熱伝道経路と前記第2熱伝導経路とが熱的に接続されると共に前記第1熱伝導経路と前記第1排熱手段との熱的な接続が遮断もしくは低減され、
前記発熱体の発する熱は、主として前記第2手段によって排出される請求項14記載の排熱方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−66696(P2011−66696A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215727(P2009−215727)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレイテド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】