説明

新規な物理化学融合型殺菌消毒液

【課題】優れた特徴をもつ鉄イオン含有殺菌液であるが、耐性菌の出現を避けてとおることはできない。従って、耐性菌の出現を恒久的に阻止するために何らかの工夫を要するので、このことが本願発明の課題である。
【解決手段】主成分として、III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500〜1500ppm及びL−アスコルビン酸の含有量が500〜2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸及びそれらの塩並びにパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種を含有し、その含有量が200〜2000ppmである水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させた殺菌消毒液及びマイクロ・ナノバブルを発生させた後、60〜90日間密封して保存した殺菌消毒液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主成分として、III価の鉄イオン(Fe3+)およびL−アスコルビン酸を含有した水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させた殺菌消毒液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、医療機関で汎用されている消毒液には、アルコール類、フェノール類、ハロゲン化合物、4級アンモニウム塩、ビグアナイド系薬剤、アルデヒド類などが存在するが、安全かつ低毒性であって、様々なタイプの細菌、真菌およびウイルスに対して有効性を示し、広範囲に使用が可能であり、保存性にも優れ、安価であるなどの条件を満たしているものは残念ながら見当たらない。このような状況を踏まえ、われわれは生体や環境にやさしく、病原菌に対しては峻烈な効果を示す、新しいタイプの殺菌消毒液を発明し、平成10年に「鉄イオン含有殺菌液」として特許出願した(特許文献1参照。)。その要旨は、抗菌作用を有しながら、人体に有用であるミネラルでもあるIII価の鉄イオン(Fe3+)を中核として、それに食品添加物として許認可されている保存剤や強化剤の中から選択し、これらと組み合わせることによって、高い殺菌効果と上述の諸条件をクリアしたものであった。
【0003】
具体的には、III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500乃至1500ppmおよびL−アスコルビン酸の含有量が500乃至2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸およびそれらの塩並びにパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種または2種以上を含有し、その含有量が200乃至2000ppmであることを特徴とする殺菌液であって、一例として、塩化第二鉄六水和物(FeCl3・6H2O)1000ppm、L−アスコルビン酸1000ppm、ソルビン酸カリウム500ppmからなる殺菌液を挙げることができる。この鉄イオン含有殺菌液の特徴の主なものは、次のとおりである。
(1)殺菌効果
(i)一般細菌および真菌に対して迅速な効果を示す(10秒以内で効果を示す。)。
(ii)抗酸菌に対しては1分以内の接触で有効である。
(iii)細菌芽胞に対しても1分〜120分の接触で有効である。
(2)毒性
(i)皮膚への塗布:毎日2回、2ヶ月間マウスの後足(foot pad)に塗布したが、異常は認められなかった。その後、ヒトの手指の消毒に数回/日、連日用いたが何らの異常は発生しなかった。
(ii)経口投与(p.o.):1ml/マウスの投与を行ったが毒性は認められなかった。なお、LD50は10ml/マウスと推測された。
(iii)腹腔内投与(i.p.):LD50は1ml/マウスであった。
(iv)培養細胞(動物)に対する影響は、1000倍の希釈により障害性は認められなくなった。
(v)うがいに用いても何ら異常は認められなかった。
(3)安定性
この鉄イオン含有殺菌液の殺菌効果は、長期にわたり安定性を示した(約3年間)。
(4)用途
この鉄イオン含有殺菌液は、食品添加物として承認されている化合物のみで構成され、それらが新しい化合物をつくることなく、相乗作用のみで高い殺菌効果を示した。従って、手指や傷口の消毒をはじめ、器具、器材、野菜などの生鮮食品の消毒にいたるまで利用可能である。また、医薬部外品として、薬用石鹸、薬用歯磨き、腋臭防止剤、洗口液にも応用し得るものである。
【0004】
一方、消毒法としては、化学的消毒法のみならず、物理的消毒法も採用されている。すなわち、日常的に採用されている物理的消毒法としては、
(1)焼却(最も確実な方法である。)
(2)高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)
(3)乾熱滅菌(160℃、30分間など)
(4)煮沸消毒
(5)フィルター濾過法
(6)紫外線消毒(微生物のDNAに吸収して破壊する。)
(7)放射線滅菌(γ線の利用により、物質内部にも浸透する。)
(8)超音波
などが存在するが、化学的消毒法と融合させ得る物理的消毒法として、比較的取扱いが容易でかつ安定性を示す超音波について調査した。その結果、超音波と密接な関係を有する超微細気泡(マイクロ・ナノバブル)に着目した。マイクロ・ナノバブルは超音波で強く水を振動させたとき、その音波が負圧のとき、水の分子と分子の間に空間ができ、中が真空になったときに超微細な気泡が無数に湧出し、これが自身の表面張力と次にくる正圧により押し潰され破壊(圧壊現象)し、消滅する(例えば、特許文献2など参照。)。マイクロ・ナノバブルにおいては、このような現象が繰り返されるのである。この特性が殺菌作用や有機物分解、洗浄作用さらには生物の活性化など有用な機能を示すことが明らかになってきた。この現象は水と空気を超高速で旋回させたり、放電現象によっても発生する(例えば、特許文献3など参照。)。一方、通常の気泡においては、泡は水中を上昇しながら大きくなり水面で弾けるのである。
【0005】
【特許文献1】特開2000−44417号公報
【特許文献2】特開2002−143885号公報
【特許文献3】特許第3397154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、優れた特徴を有する鉄イオン含有殺菌液ではあるが、抗生物質の例をみるまでもなく、菌は自身にダメージを与える化合物に対して、それを分解する酵素を産生し、自身を守るものである。事実、アルコールやビグアナイド系薬剤の耐性菌が院内感染の原因になっていることは、衆知の事柄である。従って、この鉄イオン含有殺菌液も耐性菌の出現を避けてとおることはできない。この現象を少しでもカバーするために抗菌作用を有するティモール、ユーカリなどの精油や界面活性剤などを微量添加することを勧めてはいるが、これらの添加物も化学物質と何ら変わりはないのである。すなわち、耐性菌になることを恒久的に阻止するためには何らかの工夫を要するのであって、このことが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、微生物の殺菌効果と上述の鉄イオン含有殺菌液とマイクロ・ナノバブルとの関係を鋭意検討した結果、マイクロ・ナノバブルを含有した殺菌消毒液を提供するに至った。
【0008】
すなわち、主成分として、III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500乃至1500ppmおよびL−アスコルビン酸の含有量が500乃至2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸およびそれらの塩並びにパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種または2種以上を含有し、その含有量が200乃至2000ppmである水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させたことを特徴とする殺菌消毒液であって、上記水溶液100Lに対しマイクロ・ナノバブルを100ml以上/分で発生させ、計15L以上とすることが好ましく、上記水溶液の液面から50cm以上の深さからマイクロ・ナノバブルを発生さることが特に好ましい。
【0009】
本発明の第二は、主成分として、III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500乃至1500ppmおよびL−アスコルビン酸の含有量が500乃至2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸およびそれらの塩並びにパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種または2種以上を含有し、その含有量が200乃至2000ppmである水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させた後、密封して保存したことを特徴とする殺菌消毒液であって、上記水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させた後、60乃至90日間密封して保存することができ、上記水溶液100Lに対しマイクロ・ナノバブルを100ml以上/分で発生させ、計15L以上とすることが好ましく、上記水溶液の液面から50cm以上の深さからマイクロ・ナノバブルを発生さることが特に好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の殺菌消毒液は、マイクロ・ナノバブルを含有することによって、生体組織への浸透力が高まることにより、鉄イオン含有殺菌液の殺菌力が飛躍的に高まり、短時間での芽胞の殺菌や検体の殺菌、鼻腔炎、歯周病、水虫など薬物が浸透し難い慢性感染症に対しても、より効果的な殺菌が可能となり、早期の完治への道が切り開かれた。このことは、難疾感染症に悩む人達にとって治療への期待を抱かせることができるものである。特に、手指、皮膚、鼻、粘膜、創傷部位、各種検体、手術部位、病室、家具、器具、物品などの消毒に広く使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明にいう鉄イオン含有殺菌液とは、III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500乃至1500ppmおよびL−アスコルビン酸の含有量が500乃至2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸およびそれらの塩並びにパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種または2種以上を含有し、その含有量が200乃至2000ppmである殺菌液のことをいう。
【0012】
本発明にいう殺菌消毒液とは、殺菌作用を有する液性の消毒剤のことをいい、ここで殺菌作用とは微生物の菌体に障害を与えて細胞が死滅して元に戻らない不可逆的な変化をいう。その障害とは、微生物が生息するために必要な酵素やタンパク質にすばやく反応して細胞を破壊したり、細胞から水分を奪うなどして死滅させることをいう。また、強い酸化力で細胞壁や細胞膜を破壊し、消毒剤によっては微生物のタンパク質を凝固、沈着、変性などさせて溶菌現象を誘発する。
【0013】
本発明にいうマイクロ・ナノバブルとは、気泡の直径が50μm以下のものをいい、マイナスの電荷を帯びているため、細菌やウイルスを誘引する。次に、バブルが消滅する際(これを「圧壊現象」という。)に瞬間的に高温高圧になり水が分解し、フリーラジカル(主として活性酸素である。)が発生し、それが細菌やウイルスを破壊する。これらは、紫外線などと同様に細菌やウイルスを遺伝子レベルで破壊するため、抗生物質のように耐性菌が生じてこない。
【0014】
本発明において、マイクロ・ナノバブルを発生させた後、密閉して保存するためには、マイクロ・ナノバブルを含有した殺菌消毒液を通常の方法で容器に入れ、栓を密閉することにより達成することができる。保存期間には、特に制限はなく容器に保存した後、いつでも使用することができる。しかし、実用上は60日間乃至90日間保存することができるので、その間に使用することが好ましい。
【実施例】
【0015】
本発明の詳細を試験例および実施例に基づいて説明するが、本発明の主旨はこれに限定されるものではない。なお、マイクロ・ナノバブルを発生させるためには、直径が50μm以下の気泡を作成することができる装置であれば特に制限はなく、いずれの装置も使用できるが、本発明の試験例および実施例においては、吐出液体流量7L/分、気泡発生量最大1L/分である株式会社ナノプラネット研究所製のM2−MS/SUS型を使用した。
【0016】
(試験例1)
幅70cm×奥行き30cm×高さ50cmの水槽に約100Lの水を入れ、この水に細菌の代表としてS. aureus(黄色ブドウ球菌)およびE. coli(大腸菌)をそれぞれ1×108個/水槽水ml添加し、株式会社ナノプラネット研究所製M2−MS/SUS型を用いて吐出液体流量7L/分にて、最大泡発生量(1L/分)でマイクロ・ナノバブルを60分間発生させた。このときのS. aureusおよびE. coliの減少していく様子を経時的に測定し、表1に示した。表1から明らかなように水中に発生させたマイクロ・ナノバブルは、確かに殺菌作用を示したが、汎用の化学的消毒法に比べて極めて緩慢である。すなわち、60分間で元の菌数の2万分の1乃至5万分の1の生菌数になるが、マイクロ・ナノバブルの発生を継続しても完全殺菌には至らなかった。従って、除菌程度であれば目的を達することができるが、滅菌を望む場合には、到底期待できるものではない。
【0017】
【表1】

【0018】
(試験例2)
試験例1の結果を踏まえて、マイクロ・ナノバブルの発生量と発生時間と殺菌能力との関係について調べた。試験例1と同様の水槽および水量を用い、S. aureusを1×108個/水槽水ml添加し、S. aureusが1×104個/水槽水mlに減少する現象を基準とした。その結果を図1に示した。図1から明らかなように、十分な殺菌能力を発揮するためには、マイクロ・ナノバブルの発生量が500ml/分の場合、少なくとも30分以上、1000ml/分の場合、15分以上、200ml/分の場合約65分であり、発生量と発生時間とは反比例の関係にあり、1分間当たりのマイクロ・ナノバブル発生量は500ml/分×30分=15000ml必要であった。なお、100ml/分の場合は、長時間マイクロ・ナノバブルを発生させても殺菌作用はないことが同時に判明した。
【0019】
(試験例3)
次に、水中でマイクロ・ナノバブルの発生する位置(深さ)と殺菌作用との関係について調べた。深いところで発生するマイクロ・ナノバブルほど水中で圧壊現象を起こし、フリーラジカルの放出が多くなるものと推察されるからである。深さの異なる100L容の水槽にS. aureusを1×108個/水槽水ml添加し、マイクロ・ナノバブルを1L/分、30分間発生させ、生存する菌数を測定した。その結果を図2に示した。図2から分かるように、深さ10cmの位置からマイクロ・ナノバブルを発生させても、殺菌作用は示すが、その作用は弱いものである。しかし、深さ30cmの位置からマイクロ・ナノバブルを発生させると、菌数は1×105個/水槽水ml、深さ40cmの位置からマイクロ・ナノバブルを発生させると、菌数は2×104個/水槽水ml、深さ1mの位置からマイクロ・ナノバブルを発生させると、菌数は5×103個/水槽水ml、深さ3mの位置からマイクロ・ナノバブルを発生させると、菌数は2×103個/水槽水mlにまで減少した。このことはマイクロ・ナノバブルの発生量に比較して、その発生位置(深さ)は殺菌能力にはさほど重要な因子ではないことを示唆している。従って、以後実施した各種試験および実施例は深さ50cmの100L容の水槽、すなわち試験例1で使用した同じ型の水槽を使用した。なお、この水中におけるマイクロ・ナノバブルの発生量、発生時間および殺菌能力との関係は、後述する殺菌消毒液を使用したときにもそのまま該当することが明らかになった。
【0020】
(試験例4)
一般に消毒剤は、有機物ことにタンパク質の混入によって、殺菌効果が低下することはよく知られている。従って、タンパク質としてスキムミルクと酵母エキスとを同量混和し、その混和物を、10ppm量、100ppm量および1000ppm量添加し、同時にS. aureusおよびE. coliをそれぞれ1×108個/水槽水ml添加し、株式会社ナノプラネット研究所製M2−MS/SUS型を用いて吐出液体流量7L/分にて、最大泡発生量(1L/分)でマイクロ・ナノバブルを60分間発生させた。このときのS. aureusおよびE. coliへの殺菌効果を調べた。その結果は、表2に示したとおりであって、有機物の共存下では、その濃度が10ppm量の場合は、殺菌効果に殆ど影響が及ばなかったが、100ppm量以上になれば程度の差はあれ、殺菌能力は低下した。また、1000ppm量の高濃度では、菌の約0.1%量は破壊されずに生存していた。
【0021】
【表2】

【0022】
(試験例5)
試験例1と同様の水槽に約100Lの培養液をみたし、37℃に設定した。次いでS. aureusおよびE. coliをそれぞれ1×107個/培養液ml添加して、株式会社ナノプラネット研究所製M2−MS/SUS型を用いて吐出液体流量7L/分にて、最大泡発生量(1L/分)でマイクロ・ナノバブルを48時間発生させ、添加菌の消長を経時的に測定し、表3に示した。なお、培養液の組成は、肉エキス10g、ペプトン10g、NaCl2gを水1Lに溶解し、pH7.2に調整した肉エキスブイヨンであった。表3から明らかなように、マイクロ・ナノバブル発生直後から菌は一度も増殖することなく減少したが、その程度は緩慢で、1時間後におおよそ1/2、24時間後には1/1000、48時間後には1/1万の菌は生存し続けた。なお、このまま試験を継続してもすべての菌が死に絶えることはなかった。
【0023】
【表3】

【0024】
(試験例6)
試験例1と同様の水槽に約100Lの水をみたし、ガードされた細菌の集合体である歯周縁上歯石プラークを採取し、それをそのまま厚さ200μmの切片およびそれを直径10μmに微粉砕して水槽水に沈めた後、マイクロ・ナノバブルを500ml発生させ、15分毎に1部回収し、プラーク中に含有されている生菌数を測定し、その結果を表4に示した。なお、プラークはフィルターにて濾過回収し、無菌箱にて乾燥した。表4から明らかなように、プラーク中の生菌はまるでバリアーがないかのように、言い換えれば裸の菌と同じような割合で減少した。すなわち、マイクロ・ナノバブルは殺菌能力は弱いが生体組織や物に対して強い浸透性があることを示した。従来汎用された消毒液の場合、例えばヒビテン液を使用したときは、プラーク表面の菌は3分以内に殆ど死滅するが、内部に生息する菌は、60分間の浸漬に耐えて約30〜70%は生存し得た。
【0025】
【表4】

【0026】
上述した試験例1〜6の試験結果から明らかになったことは、マイクロ・ナノバブルの殺菌能力は汎用の化学的消毒法や物理的消毒法に比較して非常に弱いもので、いわゆる専門家が認識している殺菌とか消毒とは少々かけ離れて異質なものといわざるを得ない。その最たるものが試験例6である。
【0027】
(試験例7)
細菌における芽胞は、外皮、芽胞殻、外層、芽胞壁と3〜4層の厚い膜で覆われ透過性が低く、そのため外界の影響に対して強い抵抗性を有し、切れ味のよい化学的消毒法がないのが現状である。従って、芽胞を被検体として試験を行った。なお、芽胞の分離採取は次の方法によった。(1)川原の乾いた砂を採取し、これを撹拌しながら100℃の熱風で数時間よく乾燥し、まず栄養細胞を殺菌した。その内の1gを水に入れ、直ちにフィルターにて濾過した。その濾過水の一部をスライドグラスに塗布し、常法に従って芽胞染色し、染色された芽胞数から混和物1g中の芽胞数を測定した。このときの芽胞は種々雑多な芽胞を含むものであった。(2)酵母エキス3g、ポリペプトン10g、グルコース10g、MnSO4・5H2O0.1g、NaCl3g、寒天15gを水1Lに溶解し、pH7.2に調整した芽胞形成培地にBacillus pumilusを塗布し、30℃で7日間好気的に培養し、芽胞を形成させた。また、トリプトン50g、ポリペプトン5g、チオグリコール酸ナトリウム5g、グルコース5g、Na2HPO41g、寒天15gを水1Lに溶解し、pH7.2に調整した芽胞形成培地にClostridium perfringensを塗布し、30℃で7日間嫌気的に培養し、芽胞を形成させた。得られた芽胞は70℃で15分間加熱し、栄養細胞は不活性化し、滅菌水で2回洗浄し、次いで減圧乾燥し、通常のデンプンと混和した。デンプン1g中の芽胞数を(1)と同様に測定した。試験例1と同様の水槽に約100Lの水をみたし、採取した芽胞を水槽水1ml当たり1×108個になるように添加し、マイクロ・ナノバブルを1L/分発生し、120分間経時的に水槽水を1ml採取し、常法の希釈法により芽胞が崩壊死滅していく様子を測定し、その結果を表5に示した。表5から明らかなように、芽胞の種類に関係なく殺菌効果を示し、その効果は試験例1に示す通常の栄養細胞に対する殺菌効果に少々見劣りするとはいえ、10分後には1%の芽胞が崩壊し、15分後には2〜2.5%、30分後には5%、60分後には35〜40%程度の芽胞が崩壊死滅した。すなわち、マイクロ・ナノバブルは強固な芽胞組織に対してもその浸透力により殺菌作用をある程度発揮することが実証された。この数値は芽胞の殺菌という見地からみると、正に驚くべき事象である。
【0028】
【表5】

【0029】
マイクロ・ナノバブルの関与する殺菌作用は上述のとおりであるが、既存の消毒液との併用により殺菌作用にどのような影響を与えるかについて調査したが、アルコール、ハロゲン化合物およびフェノール化合物では、むしろその作用は低下することが明らかとなった。唯、特願2000−44417号に記載の「鉄イオン含有殺菌液」では、その殺菌効果が顕著に強化された。さらには、マイクロ・ナノバブルを含有させた「鉄イオン含有殺菌液」は、密封した状態では、開封しない限り、その強い殺菌力は数ヶ月間保持し得ることも明らかになった。なお、マイクロ・ナノバブルを含有させた「鉄イオン含有殺菌液」を開封した場合には、一時に全部使用することが肝要で残った殺菌液は徐々に本来の殺菌作用に戻ってしまう。
【0030】
(製造例1)
III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500乃至1500ppmおよびL−アスコルビン酸の含有量が500乃至2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸およびパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種または2種以上を含有し、その含有量が200乃至2000ppmである殺菌液のうち、塩化第二鉄六水和物(FeCl3・6H2O)1000ppm、L−アスコルビン酸1000ppm、ソルビン酸カリウム500ppmからなる殺菌液を「BC−Fe」と称した。
【0031】
(製造例2)
製造例1で製造した「BC−Fe」殺菌液を試験例1と同様の水槽に約100Lみたし、株式会社ナノプラネット研究所製M2−MS/SUS型を用いて吐出液体流量7L/分にて、最大泡発生量(1L/分)でマイクロ・ナノバブルを60分間発生させた殺菌消毒液を、500mlの試薬瓶に注入して、「ON−MNB」と称した。
【0032】
(製造例3)
製造例1で製造した「BC−Fe」殺菌液を試験例1と同様の水槽に約100Lみたし、株式会社ナノプラネット研究所製M2−MS/SUS型を用いて吐出液体流量7L/分にて、最大泡発生量(1L/分)でマイクロ・ナノバブルを60分間発生させた液を500mlの試薬瓶に注入し、密栓1ヶ月保存したものを「CL−MNB」と称した。
【0033】
(実施例1)
病原菌に対する殺菌消毒液の効果をみるために、供試菌の懸濁液濃度を1×108個/生理食塩液mlに調整し、該懸濁液を常用濃度にした殺菌消毒液に2重量%それぞれ滴下した。経時的に一白金耳を釣菌し、各増菌培地に植菌して、最適環境下で培養し、各菌の増殖の有無で殺菌効果を観察した。一般細菌を10秒〜60秒間接触させたときの結果を表6に、芽胞形成菌を1分〜120分間接触させたときの結果を表7に示した。なお、一般細菌の多くは10秒以内に殺菌し得たので、代表的な菌種のみを表6に示した。表6及び表7から明らかなように、BC−Feにより一般細菌の多くは10秒間で死滅した。また、10秒では死滅しないE. faecalisやPs. aeruginosaもマイクロ・ナノバブルを含有したON−MNBやCL−MNBでは10秒以内ですべて死滅した。また、死滅には約1分間要する抗酸菌や1分以上を要するC. albicansでも20秒〜30秒間で完全に死滅した。なお、芽胞も早いものでは1分以内で、遅くとも60分間の接触ですべて崩壊死滅した。
【0034】
【表6】

【0035】
【表7】

【0036】
(実施例2)
試験例4において、有機物が混入したときのマイクロ・ナノバブルの殺菌効果について検討したが、本発明の殺菌消毒液に対しても有機物混入時の殺菌効果について調べた。有機物の溶液として、スキムミルク及び酵母エキスのそれぞれ0.2重量%及び1重量%の溶液を調製し、その各々を殺菌消毒液に1ppm、50ppm及び100ppm添加し、同時に供試菌としてS. aureus(MRSA)及びE. coli O-157の懸濁液濃度を1×108個/生理食塩液mlに調整した懸濁液を2重量%添加した。供試菌との接触時間は10秒〜60秒間とし、経時的にその添加液を10μl採取し、培地に接種した。37℃で培養し、菌の発育の有無で殺菌効果を観察した。その結果を表8及び表9に示した。表8及び表9から分かるように、有機物の濃度が高い場合、BC−Feでは滅菌に60秒を要したが、マイクロ・ナノバブルを含有したON−MNBやCL−MNBでは約20秒以内で滅菌することができた。なお、本有機物溶液に特開2000−44417号公報に記載のCu2+などの抗菌性金属イオン、抗菌性を示すティトリーオイルなどの精油、または界面活性剤を微量添加することによって、殺菌能力が強化されたことはいうまでもない。
【0037】
【表8】

【0038】
【表9】

【0039】
自然環境で細菌が旺盛に増殖するケースは食中毒事件の例をみるまでもなく、栄養豊富な食物の中において起こっている。従って、このような場合、本発明の殺菌消毒液は菌の増殖をどの程度抑止し得るか、また殺菌し得るかを観察した。すなわち、調理後に放置した食物の腐敗過程においてそれぞれの殺菌消毒液を噴霧し、その後の細菌の消長を観察した。通常、調理済みの食物に消毒液を直接噴霧することはあり得ないが、BC−Feは食品添加物を成分としているため、その結果によっては実用性が浮上してくるものと考えられる。
【0040】
(実施例3)
調理後の「かやく飯」、「冷や奴」、「マグロとイカの刺身」及び「肉じゃが」を28℃にて24時間放置し、その後各食物にそれぞれの殺菌消毒液を万遍なく噴霧し、それぞれの1部を噴霧直後から24時間後にわたり採取し、ホモゲナイザーにより均一化し、食物1g中の生菌数を常法に従って測定した。腐敗過程は調理の方法、食材や環境により当然異なるが、本実施例においては、「かやく飯」では24時間放置後に1.2×105個/g、「冷や奴」では8×107個/g、「マグロとイカの刺身」では3.5×108個/g、「肉じゃが」では1.5×107個/gの生菌数が測定された。これは調理直後の生菌数に比較し、それぞれ大幅に増加しており、特に「冷や奴」と「マグロとイカの刺身」ではすでに幾分か腐敗臭を呈していた。食物中の腐敗菌の消長を表10に示した。表10から明らかなように料理の種類によって多少異なるが、食物の腐敗が可成り進行した状態で殺菌消毒液を噴霧した場合、BC−Feでは噴霧直後の生菌数は1/100〜1/1000に、1時間後には約1/1000に、2時間後には1/1万〜1/10万に減少することが分かった。しかし、24時間経過すると効果は薄れ、菌数はやや増加傾向を示した。なお、「かやく飯」については、噴霧した消毒液が十分に行き渡っていないのか、生菌数の減少はやや劣っていた。これに対してON−MNBを噴霧したときは、BC−Feに比べ1桁多い減少を示し、24時間後も減少を続けて、完全殺菌に近い水準までに到達した。すなわち、ON−MNBはその強い浸透力で食物の表面のみならず、内部に侵入している菌にまで到達し、殺菌力を発揮することを示した。CL−MNBにおいてもON−MNBに多少劣るとはいえ、これに準じた成績を示した。
【0041】
【表10】

【0042】
(実施例4)
汎用の消毒液は、一般に検体といわれる排泄物には有効性に乏しく、使用するには不適切であるといわれているので、本発明の殺菌消毒液についての検体に対する有効性を検討した。
【0043】
(1)喀痰:数人から喀痰を採取し、混和した後、よく撹拌し、次いで2等分して一方は喀痰溶解剤スプラゾルを規定量投与し、30分間放置した。他方は、そのままの状態(粘稠性あり)で生菌数を測定した。その後、検体重量の2倍量の殺菌消毒液をそれぞれ加え、よく撹拌し、経時的に検体中の生菌数を測定し、その結果を表11に示した。表11から明らかなように、溶解剤を投与した場合には、BC−Feでは5分後に約1/100程度に、60分後には1/100万程度まで減少した。すなわち、完全殺菌には到らないが喀痰消毒に使用して差し支えない水準にまでなった。これに対して、ON−MNB及びCL−MNBを添加した場合には、5分後には生菌数が1/1000に、その後も急速に減少し、60分後には生菌を認めることはできず、完全殺菌に威力を発揮した。一方、溶解剤を使用しない喀痰にそれぞれの殺菌消毒液を添加した場合には、BC−Feでは5分後に約1/10に、60分後に1/1万程度しか減少せず、有効とはとても言い難い成績であった。これに対し、ON−MNBの場合は、完全殺菌には到らないが、菌は極僅かしか生存しておらず、実用上差し支えないことが判明した。CL−MNBもこれに準じた成績を示した。ここでもマイクロ・ナノバブルを含有したBC−Feの組織浸透力は相当強くなることが示された。
【0044】
(2)糞便:採取した糞便中には1×1011個/gの腸内細菌が生息していた。BC−Feを検体重量の2倍量加え、よく撹拌し、経時的に検体中の生菌数を測定した。その結果を表11に示した。表11から明らかなように、添加5分後には1/50に、60分後には約1/1億に、すなわち、1×102〜2×103個/gまで激減したが、全部の菌が死滅することはなかった。ON−MNBの添加では、BC−Feより1桁多い減少、すなわち1×102個/g以下となり、CL−MNBの添加においても類似の成績を示し、糞便の殺菌消毒に威力を発揮し得ることが明らかとなった。
【0045】
(3)膿:褥瘡の原因菌が、MRSA主体の膿及び緑膿菌主体の膿に対して、検体中の菌の死滅状況を観察したところ、両者の殺菌消毒液に対する感受性に有意な差はなかった。BC−Feの添加により原因菌は急速に減少し、完全死滅には到らなかったが、60分後には1×103個/g以下にまで減少した。これに対して、ON−MNBを添加したとき及びCL−MNBを添加したときには、原因菌は15分後にはすべて死滅した。以上の結果を概観するとき、検体に対する殺菌消毒効果をおしなべてみると、BC−Feはやや有効で、ON−MNBは高い有効性を発揮し、CL−MNBはそれに準じて有効との結論に到った。なお、殺菌消毒液の濃度を常用の2〜3倍に調整し、検体に添加するよりは、常用の濃度で投与量を多くした方がより効果的であった。さらに、従来汎用の消毒液、70%アルコールやビグアナイド系薬剤でも同様の試験をしたが、その効果は無効ではないが有効とはとても言い難い成績であった。
【0046】
【表11】

【0047】
(実施例5)
本願発明の殺菌消毒液をうがいに使用した場合の効果を検討した。うがい前の唾液1ml中の生菌数を測定し、次いで殺菌消毒液で1回20秒、計3回すなわち1分間のうがいを行い、その直後、15分後及び60分後の唾液を採取し、唾液1ml中に含まれる生菌数を測定し、その結果を表12に示した。なお、対照として残留塩素0.6ppmの水道水を使用してうがいを行った。表12から分かるように、水道水でうがいをするのみでも直前5×108個/mlの菌数が、うがい直後には1/25の2×107個/mlに減少したが、その菌数は時間を経るにしたがい元に復し、60分後には1×108個/mlになることが明らかになった。BC−Feでうがいをした場合には、直前7×108個/mlの菌数が、うがい直後には約1/2000の4×104個/mlに減少し、その後60分経過しても菌数の増加はほとんどなかった。次にON−MNBでうがいをした場合には、うがい直後には1/100万まで減少し、60分後には若干菌の増殖は認められたが、低水準のままで留まっていた。CL−MNBでうがいをした場合には、その効果はON−MNBよりやや劣るとはいえ、近似の成績であった。なお、日常うがい薬として推奨されている塩化ベンザルコニウムやヨードホール(イソジン液)を使用した場合には、1/100〜1/1000の減少に留まり、ホウ酸や市販の洗口液も1/100程度の減少で、殺菌という観点からは水道水でのうがいと同レベルのものであることが分かった。
【0048】
【表12】

【0049】
(実施例6)
本願発明の殺菌消毒液の皮膚面に対する殺菌効果を、スプレーした場合と清拭した場合とで調べた。
【0050】
(1)手の皮膚面に広く殺菌消毒液を噴霧して、その効果を調べた。スプレー直後に滅菌ガーゼで10cm2の範囲を拭き取り、スワプ式により菌数を測定した。次に事前にスプレーした範囲を15分後、30分後、60分後にそれぞれ移動しながら10cm2 ずつ拭き取り、スワプ式により菌数を測定し、その結果を表13に示した。表13から明らかなように、水道水のスプレーでは当然ながらスプレー前の菌数と変わるところがなかったが、BC−Feをスプレーした場合には、スプレー直後の菌数は1/1300に急減し、時間の経過とともに、更に減少し、30分後には1/1万にまで減少したが、やはり完全には死滅に到らなかった。ON−MNBをスプレーした場合にも同様の傾向であったが、30分後にはほぼ無菌状態となった。しかし、60分後には環境中の落下細菌と推測される菌が少数検出された。また、CL−MNBの場合にもON−MNBの場合と近似の成績を示した。
【0051】
(2)滅菌ガーゼに殺菌消毒液を浸し、該ガーゼにより手の皮膚表面を清拭し、スプレー方式と同じ手順で菌数を測定し、表13に示した。表13から明らかなように、水道水で清拭したとき、菌数は1/17に減少し、BC−Feでは清拭直後に1/2300に急減し、15分後には1/7000にまでなったが、その後菌は次第に増加し始めた。スプレーの場合と異なって殺菌消毒液の塗布状態が薄いため、早い段階で揮散し、効果の持続が短かったものと推察された。なお、ON−MNB及びCL−MNBにより清拭した場合、清拭直後にほぼ殺菌消毒されたが、15分後には生菌が出現し、60分後には少なからず増加していた。その多くは単なる落下細菌と推測された。
【0052】
【表13】

【0053】
(実施例7)
皮膚表面と同様の方法で可成り汚れの目立つ床面(リノリューム)に殺菌消毒液を噴霧し、その100cm2ずつを滅菌ガーゼで拭き取り、スワプ式により菌数を測定し、表14に示した。表14から明らかなようにいずれも実施例6におけるスプレー方式の成績に類似の傾向を示した。すなわち、処理前には2×107〜3×107/100cm2の生菌が存在していたが、BC−Feをスプレーした場合、直後には1/6000に減少し、60分後には1/3万にまでなった。これに対してON−MNB及びCL−MNBにおいては15分後には、床面はほぼ無菌状態になった。なお、床を清拭したときも同じく、実施例6における皮膚表面の清拭法に準じた成績であった。
【0054】
【表14】

【0055】
(実施例8)
最近、土壌の浄化事業に大企業が参入し始め、将来大きな産業に成長するものと期待されているが、現在のところ、汚染の浄化方法は化学的処理または物理的処理が主体となっている。しかし、将来は、農作物、果樹、花などの植物の成長促進や病害虫対策に、浄化と同時に一度土壌を殺菌し、その後それぞれの作物に適合した微生物を撒布して、効率のよい栽培法が普及していくものと推測される。そのため、畑の土壌を採取し、それを小型の植木鉢4鉢に入れて、その後ジョウロで各殺菌消毒液を土が十分湿るまで撒布した。その後、経時的に土壌を採取し、土壌1g当たりに生息する菌数を測定した。その結果、土壌中に5×109個/g生息していた菌は、BC−Feを撒布したところ、その直後に5×107個/g、すなわち1/100に、60分後には2×103個/g、すなわち1/250万になった。その後も漸次減少して12時間後には1×103個/g、すなわち1/500万にまで減少したが、ここでも全部の菌が死滅することはなかった。これに対して、ON−MNBの場合は、撒布直後に1/5000に、60分後には1/2500万(2×102個/g)、12時間後には1/5000万(1×102個/g)にまで激減し、ほぼ完全殺菌に近い水準になった。CL−MNBもこれに類似した成績であった。押しなべてみれと、いずれの殺菌消毒液も土壌の殺菌に高い有効性を示したが、ON−MNB及びCL−MNBはことのほか、その有効性を多いに発揮した。
【0056】
(実施例9)
食中毒の原因食材として野菜類が約30%を占めていることは意外と知られていない。特に、生野菜を食べるときは注意を要する。従って、野菜を十分に洗浄することは食中毒を予防する上で大切なことである。今回、大根、貝割れ、キャベツ、レタスを被検野菜として、それぞれの単位面積(cm2)当たりの洗浄前の生菌数と洗浄後の生菌数を経時的に測定し、その結果を表15に示した。なお、洗浄時間は20秒間、対照は水道水の流水洗浄とした。表15から明らかなように、野菜によって付着菌数に違いはあるが、水道水で洗浄するのみで、おおよそ1/1000に減少した。しかし、そのまま放置した状態では菌は漸次増加し、5時間後には洗浄前の1/10〜1/20までに復した。これは、野菜を栄養として増殖する菌と環境中から付着する菌の合計と考えられる。これに対して、BC−Feで洗浄したとき、その直後には菌はまったく検出されず、1時間後にも検出しないか、しても極僅かの菌数に過ぎなかった。しかし、経過5時間後には洗浄前の菌数の1/100までに増加した。この現象は、該液での洗浄効果は極めて高く、その効果はある程度持続することを示唆している。その理由は、野菜表面で該液成分の皮膜が形成され、それがバリアーとして働くものと思われる。なお、ON−MNB及びCL−MNBを使用したときは、さらに高い洗浄殺菌効果を発揮し、5時間経過してもほぼ無菌状態が継続していた。
【0057】
【表15】

【0058】
(実施例10)
魚は体表面のみならず鱗の内部に多数潜んでいる病原菌や腐敗菌により腐敗の進行が早く、食中毒の原因食材としてよく知られている。特に、われわれ日本人は生食を好み、この種の事件は枚挙に暇がない。今回、腐敗の進行が特に早いサバ、イカ、イワシについて殺菌消毒液の洗浄効果を調べた。洗浄方法は水道水の場合、流水中で30秒間魚の表面を軽くこすり洗いをした。殺菌消毒液の場合は、該液を満たした容器の中で30秒間同様の処理を行った。その後、水道水で液を洗い流し、28℃で放置した。なお、検出菌は魚と縁が深いVibrio属とその他の菌とに分類して、洗浄前の生菌数と洗浄後の生菌数を経時的に測定し、その結果を表16に示した。表16から明らかなように、水道水では洗浄直後には、魚の種類を問わず付着している菌は約1/100と大幅に減少した。しかし、このまま放置すると、残存菌は再び増殖し始め、5時間後の総菌数は洗浄前の水準に復してしまった。特に、Vibrio属の増殖は顕著で洗浄前の数倍にも増加した。これに対して、BC−Feで洗浄したときは菌はほぼ死滅し、その後28℃に放置しても、Vibrio属を含めて菌は僅かに増殖したに過ぎなかった。ON−MNB及びCL−MNBの場合では、やさいの例と同様、さらに顕著な殺菌効果が発現し、それは数時間持続した。このことは本殺菌消毒液を使用することによって、食中毒事件の多くは解決し得ることを意味している。なおかつ、該殺菌消毒液による味の変質もなく、本来の魚の旨味は保たれていた。
【0059】
【表16】

【0060】
(実施例11)
野菜の種子が細菌や真菌に汚染されているときは、それが原因で発芽後正常に生育できなかったり、または間接的に土壌を汚染して結果として不作を招くことが多々生じる。従って、種子は清浄な状態であることが望ましい。貝割れ大根、ニラ、ミツバの種子を採取し、殺菌消毒液の洗浄効果を調べた。水道水では、各種子を流水中で1分間浸した後引き上げた。殺菌消毒液の場合も1分間浸した。処理した種子は、その後22℃の蒸留水に浅く浸して発芽させた。洗浄後の種子1粒に付着している細菌数を測定し、その結果を表17に示した。表17から明らかなように、水道水での洗浄のみでも付着菌は急減するが、すべては除去されず、5時間後には洗浄前の30〜50%の菌が再付着した。これに対して、それぞれの殺菌消毒液に浸したときは、いずれも付着菌はほとんど全滅状態で、5時間経過しても僅かの菌が再付着したに過ぎなかった。また、発芽に及ぼす影響は水道水に比して、発芽時間は10〜15%短縮され、その上発芽時間も向上した。この事実は種子への水分の浸透力が高まったことを示している。
【0061】
【表17】

【0062】
(実施例12)
不特定多数のヒトが触れて細菌や真菌に汚染されるドアのノブ(ステンレス製)及び小便用衛生陶器に対して、その洗浄効果を調べた。いずれも病院内の施設を使用、洗浄直後から通常とおり利用し、その後の付着菌数及び汚染状態を経時的に観察し、その結果を表18に示した。表18から明らかなように、洗浄前のノブに付着していた菌は10cm2当たり6×105個であったが、水道水で洗浄すると、その直後5×10すなわち1/10000に激減した。しかし、利用している間に菌は再び付着し始めて24時間後にはほぼ元の菌数(7×105個)に戻ってしまった。これに対して、BC−Feで清拭したときは、直後には生菌は検出されず、時間の経過とともに菌は徐々に再付着していくものの24時間後でも4×103個、すなわち元の1/100、48時間後でも2×104個、すなわち元の1/25の付着菌数を認めたに過ぎなかった。これは洗浄の対象が器具類の場合、抗菌作用がある一定時間持続することを意味している。ON−MNBで清拭したときは、直後から2時間は無菌状態が続いた。その後は漸次菌が付着するも24時間後でも7×102個、すなわち元の菌数の1/1000程度の生菌しか検出し得なかった。CL−MNBの場合も類似の成績であった。
【0063】
次に小便用便器における生菌数の消長は、水道水で洗浄した場合、尿は細菌にとって一種良好な培地となり得るので、24時間で洗浄前の菌数に復し、底部も多少着色し、黄ばみを生じた。これに対して、BC−Feを洗浄に使用したときは、24時間経過しても洗浄前の菌数の1/30程度に、ON−MNB及びCL−MNBを使用したときは、さらに1桁以上、少ない菌数しか回復増殖し得なかった。また、汚れの再付着はいずれの殺菌消毒液を使用しても、余り目立つことなく洗浄直後の綺麗な状態を保持しているように見受けられた。
【0064】
【表18】

【0065】
(実施例13)
室内犬4匹(ダックスフント2匹、テリア2匹)と屋外で飼育の柴犬4匹の体に対して、殺菌消毒液の洗浄効果を観察した。32℃に温めた水道水及び同じく32℃に温めた3種の殺菌消毒液のそれぞれに頭以外の体全体を3分間浸し、その間体をスポンジで掴むようにして洗浄した。次いで、体を引き上げてドライヤーにて体毛をブラッシングしながら乾燥した。その直後から24時間後まで体表面に付着している細菌数を測定し、毛並み及び体臭をチェックした。その結果は表19に示した。表19から明らかなように、室内で飼育の犬4匹の体表面に付着している菌数の平均値は10cm2当たり6×105であったが、水道水で洗浄直後の菌数は1/60に減少し、その後菌は増殖に転じ、24時間後にはほぼ洗浄前の状態に近づいた。これに対し、BC−Feで洗浄したときは、その直後に1/1万に激減し、24時間経過しても洗浄前の菌数の1/250の水準に留まり、抗菌作用の持続が観察された。また、体臭の減臭効果もあり、体毛はリンスを使用したときのようにファーっと起毛し、見た目の仕上がりは上々であった。次に、ON−MNBで洗浄したときは、その直後はほぼ無菌状態であったが、その後は徐々に菌が増え始め、24時間後には洗浄前の1/500の水準になった。CL−MNBのときも、これに類似の成績を示した。いずれもBC−Feに比し、1桁少ない菌数であった。なお、減臭効果及び体毛の状態はBC−Feに変わるところはなかった。また、屋外犬の場合は、室内犬の2〜3倍の細菌が付着していたが、その洗浄効果は室内犬に類似の効果を示した。
【0066】
【表19】

【0067】
(実施例14)
飼い猫2匹の体に対して、犬と同じく殺菌消毒液の洗浄効果を観察した。その方法は、実施例13の犬の場合と同様に行った。その結果は、表20に示したとおりであって、菌の消長、体毛の状態は室内犬に近似の成績を示したが、体臭の減臭効果は犬の場合よりも高いように感じられた。
【0068】
【表20】

【0069】
以上、3種の殺菌消毒液を使用した、野菜、種子、魚、器具、ペットの体毛などの洗浄効果は、いずれも高い有効性を示したが、マイクロ・ナノバブルを含有したON−MNB及びCL−MNBの両殺菌消毒液は1ランク上の洗浄効果を示した。
【0070】
細菌が生体内に侵入し、増殖することを感染と呼称するが、一度細菌が生体内で増殖をはじめ、それに対して生体が種々の反応を示しだす(感染症と呼称)と発熱、発赤、腫脹などの種々の現象が現れる。この時点で抗生物質などの薬剤の使用が適切で、その部位に十分浸透すれば感染症は治癒へと向かうべきものである。ところが、その使用の時期を無くしたり、使用法が不適切であったり、中断したり、局所に十分に到達しないという様な種々の現象が病原菌を感染部位より撲滅ないし排除することを妨害し、治療が不成功に終わるケースが多く、このようにして感染症は場合によっては長期化し、あるいは一層悪化して現在でも医療現場で治療に難渋する疾病へと転化していく。その代表的なものとして、副鼻腔炎、歯周病及び水虫(皮膚白癬症)などがあるが、それらの治療の前処理に殺菌消毒液を使用し、難治感染症の治療の一助になり得るかを検討した。
【0071】
(実施例15)
慢性副鼻腔炎の発症の一例は、風邪を引いて鼻汁が出て、何らかの理由で病原性を有する細菌が感染し、副鼻腔内で多量に増殖、毒素を産生しはじめ、生体はこれに反応して、発症、膿が形成され、漸次その様相は激しさを増す。鼻汁(膿)は一層粘稠性を増し、体外へ排出されにくくなり、薬剤はこれらを突破し難く、局所は次第に慢性化の度を進め、粘膜が増殖、肥厚するなどの二次反応(粘膜自体が病的状態になる)が見られるようになり、治療は困難を極める。外科手術によらない場合は、鼻に金属の管を通し膿汁を吸い込んだり洗浄したりした後、消炎剤や抗生物質を噴霧し、ニューマクロライド系の抗生物質の長期服用(数ヶ月)を行うのが一般的な治療方法である。しかし、粘膜の肥厚が元の状態に復するにはさらに長い期間を費やすかあるいは完治に到らないケースも多い。主たる起炎菌が黄色ブドウ球菌の慢性副鼻腔炎患者8名を2名ずつの4グループに分け、それぞれ(i)生理的食塩液、(ii)BC−Fe、(iii)ON−MNB、(iv)CL−MNB、で毎日1回鼻洗浄を行い、その直後にニューマクロライド系の抗生物質(商品名:ロキシスロマイシン)を噴霧するとともに、通常の半量を長期服用する治験方法を採用した。治療効果は、(a)自覚症状、(b)鼻腔鼻粘膜の病的所見、(c)レントゲン写真、により診断した。その結果を表21に示した。表21から明らかなように、生理食塩液のみで洗浄した場合に比較してBC−Feを使用したときは、1ヶ月経過した頃から効果が現れ、継続治療で自覚症状のみならず、病的所見並びにレントゲン所見においても病状は漸次軽減された。さらに、ON−MNBまたはCL−MNBを鼻洗浄に使用したときは、BC−Feの場合に比し、より早い段階で症状は確実に軽快しはじめ、6ヶ月後には病的所見並びにレントゲン所見においてもほぼ完治した。
【0072】
【表21】

【0073】
(実施例16)
歯周病とは、歯を支えている周囲の組織、すなわち歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨などが炎症を起こし、次第に崩壊していく病気で、その原因は歯周組織、特に歯周の境目である歯頸部にある溝に好んで住みつきプラーク(歯垢)を形成する細菌によるもので、この細菌の産生する毒素や酵素によって、まず歯肉炎として発症し、それが進展して歯周ポケットを形成、ここでプラークが成長して歯周病が発症する。症状の進行に伴いポケットは深く広がり、歯根部に炎症が波及して、漸次組織が破壊され、そこから出血したり、膿がでて口臭を感じるようになり、早晩歯を失うに到る。歯周病の治療を難しくしている要因は様々であるが、その一つに口腔内は細菌の生育、繁殖に好適な場でいつも清潔に保つことは至難なことで、特に歯周病原性の強い菌は粘着性を有する不溶性多糖類を産生し歯や歯肉への付着性がことのほか強く、しかもこの物質は歯周病原因菌を守るバリアーの役割をしていることである。従って、現在の歯周病の初期治療は歯周病の温床となるプラークや歯石を除去するスケーリングという処置が主体で、その後抗菌剤や消炎剤を歯周ポケットに注入し、現状を固定して組織の再生を図るという方法が採用されるが、炎症が深部に及んでいる場合は根治は難しく、そのため歯周病は慢性感染症の典型的なモデルとして認識されている。
【0074】
本発明者らは、2004年に「歯周病の新規な治療法」として、米国に特許出願したが、その内容はBC−Feを歯肉ポケットに注入、次いで水で洗浄し、その後特殊な乳酸菌を充填するという、2者の組合せによる治療方法に関するものであった。上述の試験例6において、プラークに対する殺菌効果は、BC−FeよりON−MNBやCL−MNBを使用する方が浸透力を含めた殺菌能力が数段優れていることが証明されたので、生体に使用して(歯周ポケットに注入して)、in vitro と同様の効果を示し、早期の歯周病の治癒へのほう助になり得るかどうかの治験を実施した。
【0075】
歯周病の進行状態が中程度(ポケットの深さ10mm前後)の患者9名、深部(ポケットの深さ15mm以上)に及んでいる患者9名をそれぞれ3名ずつの3グループに分け、3種の殺菌消毒液を歯周ポケットに10日間連日注入し、それ以降は殺菌消毒液注入、5〜10分間放置、その後水で洗浄、続いて米国特許出願に記載の特殊な乳酸菌製剤を充填するという一連の処置を1回/日、毎日行った。その平均的な治療成績を表22及び表23に示した。なお、いずれの患者も主たる原因菌は、P. gingivalis、 P. intermedia、 B. forsythus、 A. actinomycetemcomitansの単独または複合感染であった。表22及び表23の成績から明らかなように、歯周ポケットに3種の殺菌消毒液をそれぞれ単独で10日間注入するという治療の第1段階では有意な差はなかったが、乳酸菌との併用の治療の第2段階においては、従来完全治癒は不可能とされていた歯周病が、前処理の殺菌消毒液にBC−Feを使用するよりON−MNBやCL−MNBを使用する方がより早く、約2ヶ月間前後の短期間でほぼ完治することが確認された。
【0076】
【表22】

【0077】
【表23】

【0078】
(実施例17)
長年にわたり足の水虫に悩み、医者にも通い、今までいろいろと治療を試みてみたが、一向によくならず、特に夏季に悪化して困っている水虫患者20名に対して2ヶ月間治験を実施した。治験方法は、(i)金ダライに入れたBC−Fe及び浴槽に入れたON−MNBに患部を5分間浸し、その後ペーパータオルで拭うという患者と、(ii)従来から何らかの薬物治療(抗真菌剤のビホナゾールまたはクロトリマゾール)を受けている患者には、BC−FeまたはON−MNBの殺菌消毒液に5分間浸した後、その薬を塗布するという計4種類の治験方法を試みた。被験者の半数以上は爪白癬症(爪水虫)も罹患していて、爪が変色肥厚、先端部崩壊状態にあった。水虫そのものの完全治癒は相当難しい上、特に爪水虫の場合は厄介なものとして、専門家が認めるところである。表24に被治験者の白癬症の症状と患部より採取した皮膚または爪に生息蔓延していると推測される白癬菌の鏡検と培養検査の結果を示した。表25には上記治験方法4種類の平均的な治療効果を総括したものである。水虫に罹患しても直接的なダメージがないため放置して治療の困難な慢性に移行していくケースが多い。特に、爪水虫の場合はそれが顕著に現れる。表25から明らかなように、〔ON−MNB〕及び〔ON−MNB+水虫薬〕を治療に使用することによって、趾間型や小水疱型の場合は2ヶ月程度でほぼ完治の状態となり角化型も経過は良好、爪水虫の場合もこの治療方法を継続することによって、治癒への展望が開けたことは特筆すべきことである。
【0079】
【表24】

【0080】
【表25】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の殺菌消毒液は、手指、皮膚、鼻、粘膜、創傷部位、各種検体、手術部位、病室、家具、器具、物品などの消毒、ウェットティシュとして乳幼児および寝たきりの病人などの局部の消毒、まな板などの台所用品の洗浄除菌、便所などの洗浄除菌、医薬部外品として、薬用歯磨き、薬用石鹸、腋臭防止剤、浴用剤、洗口液など、化粧品としてニキビ防止用化粧水など、ペットおよび動物用として、体や足の消毒、脱臭剤、体毛のトリートメント、餌箱などペット用品の消毒、抗菌性資材として、各種樹脂製品、タイル、陶器、建材などへ応用することができる。さらには、上記以外にも生鮮食品の洗浄除菌や卵殻の消毒、土壌の消毒などその用途の裾野は広く、無限の可能性を秘めているものと思われる。21世紀に入りバイオテクノロジーの分野は今後益々発展するであろうが、その応用展開に不可欠なもの、それは利便性豊かで確かな効果を示す殺菌消毒液であり、この分野の専門家の間では切に渇望されているのである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】マイクロ・ナノバブルの発生時間とマイクロ・ナノバブルの発生量を示したグラフである。
【図2】マイクロ・ナノバブル発生箇所の深さと生存する菌数を示したグラフである。
【符号の説明】
【0083】
1.殺菌力を示す領域
2.殺菌力のない領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として、III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500乃至1500ppmおよびL−アスコルビン酸の含有量が500乃至2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸およびそれらの塩並びにパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種または2種以上を含有し、その含有量が200乃至2000ppmである水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させたことを特徴とする殺菌消毒液。
【請求項2】
主成分として、III価の鉄イオン(Fe3+)の含有量が500乃至1500ppmおよびL−アスコルビン酸の含有量が500乃至2000ppmであって、ソルビン酸、安息香酸およびそれらの塩並びにパラオキシ安息香酸エステルの少なくとも1種または2種以上を含有し、その含有量が200乃至2000ppmである水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させた後、密封して保存したことを特徴とする殺菌消毒液。
【請求項3】
上記水溶液にマイクロ・ナノバブルを発生させた後、60乃至90日間密封して保存したことを特徴とする請求項2に記載の殺菌消毒液。
【請求項4】
上記水溶液100Lに対しマイクロ・ナノバブルを100ml以上/分で発生させ、計15L以上としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の殺菌消毒液。
【請求項5】
上記水溶液の液面から50cm以上の深さからマイクロ・ナノバブルを発生さたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の殺菌消毒液。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−137791(P2007−137791A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331149(P2005−331149)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(598103716)有限会社 健康百二十才 (7)
【Fターム(参考)】