説明

新規化合物

本発明は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に適する、下記一般式(1)
【化1】


(式中、基R2〜R4、L、Q及びnは、請求項1の定義どうりである)の化合物、及び前記特性を有する医薬組成物を調製するための前記化合物の使用を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記一般式(1)
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、基R2〜R4、L、Q及びnは、特許請求の範囲及び本明細書で与える意味を有する)の新規化合物並びにその互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、混合物、多形及びこれら全ての形態の塩、並びにそれらの薬物としての使用に関する。
【背景技術】
【0004】
〔発明の背景〕
サイトカイン産生を阻害するため、ひいては炎症性疾患を治療するためのフェニル置換された窒素含有5員ヘテロアリールはWO2004/050642、WO2005/056535、WO2005/090333、WO2005/115991及びUS2006/0100204に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の予防及び/又は治療のために使用できる新規の活性物質を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
驚くべきことに、一般式(1)の化合物(式中、R2〜R4、L、Q及びnは、本明細書で後述する意味を有する)が、細胞増殖の調節に関与する特有のシグナル酵素のインヒビターとして作用することが分かった。従って、例えば、これらのシグナル酵素の活性と関係があり、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療のために本発明の化合物を使用することができる。
本発明は、下記一般式(1)の化合物に関する。
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、
Qは、下記部分構造(i)〜(iv)
【0009】
【化3】

【0010】
から選択される部分構造を有し;
W、X及びYは、それぞれ相互独立に=CR5a-及び=N-の中から選択され;
Zは、各場合、-NR6-、-O-及び-S-の中から独立に選択され;
Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-S(O)NH-、-S(O)2NH-、-C(NH)NH-、-NHC(NH)-、-NHS(O)-及び-NHS(O)2-の中から選択され;
R1は、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで任意に置換されていてもよい基を表し;
R2は、C6-10アリール及び5〜12員ヘテロアリールの中から選択され、前記基は、1つ以上の同一若しくは異なるR5bで置換され(ここで、少なくとも1つのR5bは、水素と異ならなければならない);
R3及び各R4は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、-CN、-NO2、-NRhRh、-ORh、-C(O)Rh、-C(O)NRhRh、-SRh、-S(O)Rh、-S(O)2Rh、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-7シクロアルキル及び3〜7員ヘテロシクロアルキルの中から選択され;
各R5a及びR5bは、独立にRa及びRbの中から選択され;
R6は、Raと同様に定義され;
nは、値0、1、2又は3を有し;
各Raは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rbは、適切な置換基を表し、-ORc、-SRc、-NRcRc、-ONRcRc、-N(ORc)Rc、-NRgNRcRc、ハロゲン、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-C(O)Rc、-C(O)ORc、-C(O)NRcRc、-C(O)SRc、-C(O)NRgNRcRc、-C(O)NRgORc、-[C(O)]2NRcRc、-[C(O)NRg]2Rc、-C(S)Rc、-C(S)ORc、-C(S)NRcRc、-C(S)SRc、-C(NRg)Rc、-N=CRcRc、-C(NRg)ORc、-C(NRg)NRcRc、-C(NRg)SRc、-C(NRg)NRgNRcRc、-C(NORg)Rc、-C(NORg)NRcRc、-C(NNRgRg)Rc、-C[NNRgC(O)NRgRg]Rc、-OS(O)Rc、-OS(O)ORc、-OS(O)NRcRc、-OS(O)2Rc、-OS(O)2ORc、-OS(O)2NRcRc、-OC(O)Rc、-OC(O)ORc、-OC(O)SRc、-OC(O)NRcRc、-O[C(O)]2NRcRc、-O[C(O)NRg]2NRcRc、-OC(S)Rc、-OC(NRg)Rc、-OC(NRg)NRcRc、-ONRgC(O)Rc、-S(O)Rc、-S(O)ORc、-S(O)NRcRc、-S(O)2Rc、-S(O)2ORc、-S(O)2NRcRc、-[S(O)2]2NRcRc、-SC(O)Rc、-SC(O)ORc、-SC(O)NRcRc、-SC(S)Rc、-SC(NRg)Rc、-SC(NRg)NRcRc、-NRgC(O)Rc、-NRgC(O)ORc、-NRgC(O)NRcRc、-NRgC(O)SRc、-NRgC(O)NRgNRcRc、-NRgC(S)Rc、-NRgC(S)NRcRc、-NRgC(NRg)Rc、-N=CRcNRcRc、-NRgC(NRg)ORc、-NRgC(NRg)NRcRc、-NRgC(NRg)SRc、-NRgC(NORg)Rc、-NRgS(O)Rc、-NRgS(O)ORc、-NRgS(O)2Rc、-NRgS(O)2ORc、-NRgS(O)2NRcRc、-NRgNRgC(O)Rc、-NRgNRgC(O)NRcRc、-NRgNRgC(NRg)Rc、-NRg[C(O)]2Rc、-NRg[C(O)]2ORc、-NRg[C(O)]2NRcRc、-[NRgC(O)]2Rc、-[NRgC(O)]2ORc、-NRg[S(O)2]2Rc、-N(ORg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N[C(O)Rc]2、-N[S(O)2Rc]2、-N{[C(O)]2Rc}2、-N{[C(O)]2ORc}2及び-N{[C(O)]2NRcRc}2並びに二価置換基=O、=S、=NRg、=NORg、=NNRgRg及び=NNRgC(O)NRgRg(これらの二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Rcは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRd及び/又はReで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rdは、適切な置換基を表し、-ORe、-SRe、-NReRe、-ONReRe、-N(ORe)Re、-N(Rg)NReRe、ハロゲン、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NReRe、-C(O)SRe、-C(O)NRgNReRe、-C(O)NRgORe、-[C(O)]2NReRe、-[C(O)NRg]2Re、-C(S)Re、-C(S)ORe、-C(S)NReRe、-C(S)SRe、-C(NRg)Re、-N=CReRe、-C(NRg)ORe、-C(NRg)NReRe、-C(NRg)SRe、-C(NRg)NRgNReRe、-C(NORg)Re、-C(NORg)NReRe、-C(NNRgRg)Re、-C[NNRgC(O)NRgRg]Re、-OS(O)Re、-OS(O)ORe、-OS(O)NReRe、-OS(O)2Re、-OS(O)2ORe、-OS(O)2NReRe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)SRe、-OC(O)NReRe、-O[C(O)]2NReRe、-O[C(O)NRg]2NReRe、-OC(S)Re、-OC(NRg)Re、-OC(NRg)NReRe、-ONRgC(O)Re、-S(O)Re、-S(O)ORe、-S(O)NReRe、-S(O)2Re、-S(O)2ORe、-S(O)2NReRe、-[S(O)2]2NReRe、-SC(O)Re、-SC(O)ORe、-SC(O)NReRe、-SC(S)Re、-SC(NRg)Re、-SC(NRg)NReRe、-NRgC(O)Re、-NRgC(O)ORe、-NRgC(O)NReRe、-NRgC(O)SRe、-NRgC(O)NRgNReRe、-NRgC(S)Re、-NRgC(S)NReRe、-NRgC(NRg)Re、-N=CReNReRe、-NRgC(NRg)ORe、-NRgC(NRg)NReRe、-NRgC(NRg)SRe、-NRgC(NORg)Re、-NRgS(O)Re、-NRgS(O)ORe、-NRgS(O)2Re、-NRgS(O)2ORe、-NRgS(O)2NReRe、-NRgNRgC(O)Re、-NRgNRgC(O)NReRe、-NRgNRgC(NRg)Re、-NRg[C(O)]2Re、-NRg[C(O)]2ORe、-NRg[C(O)]2NReRe、-[NRgC(O)]2Re、-[NRgC(O)]2ORe、-NRg[S(O)2]2Re、-N(ORg)C(O)Re、-N[C(O)Re]NReRe、-N[C(O)Re]2、-N[S(O)2Re]2、-N{[C(O)]2Re}2、-N{[C(O)]2ORe}2及び-N{[C(O)]2NReRe}2並びに二価置換基=O、=S、=NRg、=NORg、=NNRgRg及び=NNRgC(O)NRgRg(これらの二価置換基は、芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Reは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRf及び/又はRgで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rfは、適切な置換基を表し、-ORg、-SRg、-NRgRg、-ONRgRg、-N(ORg)Rg、-N(Rh)NRgRg、ハロゲン、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-C(O)Rg、-C(O)ORg、-C(O)NRgRg、-C(O)SRg、-C(O)NRhNRgRg、-C(O)NRhORg、-[C(O)]2NRgRg、-[C(O)NRh]2Rg、-C(S)Rg、-C(S)ORg、-C(S)NRgRg、-C(S)SRg、-C(NRh)Rg、-N=CRgRg、-C(NRh)ORg、-C(NRh)NRgRg、-C(NRh)SRg、-C(NRh)NRhNRgRg、-C(NORh)Rg、-C(NORh)NRgRg、-C(NNRhRh)Rg、-C[NNRhC(O)NRhRh]Rg、-OS(O)Rg、-OS(O)ORg、-OS(O)NRgRg、-OS(O)2Rg、-OS(O)2ORg、-OS(O)2NRgRg、-OC(O)Rg、-OC(O)ORg、-OC(O)SRg、-OC(O)NRgRg、-O[C(O)]2NRgRg、-O[C(O)NRh]2NRgRg、-OC(S)Rg、-OC(NRh)Rg、-OC(NRh)NRgRg、-ONRhC(O)Rg、-S(O)Rg、-S(O)ORg、-S(O)NRgRg、-S(O)2Rg、-S(O)2ORg、-S(O)2NRgRg、-[S(O)2]2NRgRg、-SC(O)Rg、-SC(O)ORg、-SC(O)NRgRg、-SC(S)Rg、-SC(NRh)Rg、-SC(NRh)NRgRg、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)ORg、-NRhC(O)NRgRg、-NRhC(O)SRg、-NRhC(O)NRhNRgRg、-NRhC(S)Rg、-NRhC(S)NRgRg、-NRhC(NRh)Rg、-N=CRgNRgRg、-NRhC(NRh)ORg、-NRhC(NRh)NRgRg、-NRhC(NRh)SRg、-NRhC(NORh)Rg、-NRhS(O)Rg、-NRhS(O)ORg、-NRhS(O)2Rg、-NRhS(O)2ORg、-NRhS(O)2NRgRg、-NRhNRhC(O)Rg、-NRhNRhC(O)NRgRg、-NRhNRhC(NRh)Rg、-NRh[C(O)]2Rg、-NRh[C(O)]2ORg、-NRh[C(O)]2NRgRg、-[NRhC(O)]2Rg、-[NRhC(O)]2ORg、-NRh[S(O)2]2Rg、-N(ORh)C(O)Rg、-N[C(O)Rg]NRgRg、-N[C(O)Rg]2、-N[S(O)2Rg]2、-N{[C(O)]2Rg}2、-N{[C(O)]2ORg}2及び-N{[C(O)]2NRgRg}2並びに二価置換基=O、=S、=NRh、=NORh、=NNRhRh及び=NNRhC(O)NRhRh(これらの二価置換基は、芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Rgは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRhで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rhは、水素、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から独立に選択され;
但し、
N-[2-アミノ-5-(5-イソキサゾール-3-イル-チオフェン-2-イル)-フェニル]-4-メトキシ-ベンズアミド及び
N-{3-[2-(5-カルバミイドイル-2-メチルスルファニル-チオフェン-3-イル)-チアゾール-4-イル]-フェニル}-4-フルオロ-ベンズアミド
を除き、
さらに、前記化合物(1)は、任意にその互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、その混合物及び多形の形態で、又は全ての前記形態の薬理学的に許容しうる塩として存在してもよい。)
【0011】
一態様(A1)では、本発明は、Lが-C(O)NH-及び-NHC(O)-の中から選択される、化合物に関する。
別の態様(B1)では、本発明は、R3もR4も-OHでも-NH2でない、化合物に関する。
別の態様(B2)では、本発明は、nが値0を有する、化合物に関する。
別の態様(C1)では、本発明は、部分構造(i)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環がピラゾールでない、化合物に関する。
別の態様(C2)では、本発明は、部分構造(i)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環がイミダゾールでない、化合物に関する。
別の態様(C3)では、本発明は、部分構造(ii)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環がチオフェンでない、化合物に関する。
別の態様(C4)では、本発明は、部分構造(i)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環が少なくとも2つのヘテロ原子を含む、化合物に関する。
別の態様(C5)では、本発明は、Qが下記部分構造(v)〜(xiii)から選択される部分構造を有する、化合物に関する。
【0012】
【化4】

【0013】
別の態様(C6)では、本発明は、Qが下記部分構造(v)を有する、化合物に関する。
【0014】
【化5】

【0015】
別の態様(D1)では、本発明は、
R1が、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb1及び/又はRc1で任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rb1が適切な置換基であり、-ORc1、-SRc1、-NRc1Rc1、ハロゲン、-CN、-NO2、-C(O)Rc1、-C(O)ORc1、-C(O)NRc1Rc1、-NHC(O)Rc1、-NHC(O)ORc1、-NHC(O)NRc1Rc1、-S(O)Rc1、-S(O)2Rc1並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から選択され;
各Rc1が、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRd1及び/又はRe1で任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rd1が適切な置換基であり、-ORe1、-NRe1Re1、ハロゲン、-CN、-NO2、-C(O)Re1、-C(O)ORe1、-C(O)NRe1Re1、-OC(O)Re1、-OC(O)ORe1、-OC(O)NRe1Re1、-NHC(O)Re1、-NHC(O)ORe1、-NHC(O)NRe1Re1並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Re1が、水素、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から独立に選択される、化合物に関する。
【0016】
別の態様(D2)では、本発明は、
R1が、5〜12員ヘテロアリール及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb1及び/又はRc1で任意に置換されていてもよい基である、化合物に関する。
別の態様(D3)では、本発明は、
R1が、5〜12員ヘテロアリール及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで任意に置換されていてもよい基である、化合物に関する。
別の態様(D4)では、本発明は、
R1が、ピリジル、ピリミジル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、フラニル、フェニル、ベンジル、イミダゾ[2.1-b]チアゾリル及びイミダゾ[1,2-a]ピリジルの中から選択され、かつ全ての前記環系が任意に一置換又は多置換されていてもよい、化合物に関する。
別の態様(E1)では、本発明は、
R2が、フェニル、ピリジル、ピラゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル及びオキサゾリルの中から選択され、全ての前記基が任意に1つ以上の同一若しくは異なるR5bで置換されていてもよい、化合物に関する。
【0017】
別の態様(E2)では、本発明は、
各R5bが、Ra2及びRb2の中から独立に選択され;
各Ra2が、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1つ以上の同一若しくは異なるRb2及び/又はRc2で置換されていてもよい基であり;
各Rb2が適切な置換基を表し、-ORc2、-SRc2、-NRc2Rc2、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、-S(O)Rc2、-S(O)2Rc2、-S(O)NRc2Rc2、-S(O)2NRc2Rc2、-C(O)Rc2、-C(O)ORc2、-C(O)NRc2Rc2、-OC(O)Rc2、-OC(O)ORc2、-OC(O)NRc2Rc2、-NHC(O)Rc2、-NHS(O)2Rc2、-NHC(O)ORc2、-NHC(O)NRc2Rc2、-N=CRc2Rc2、-N=CRc2NRc2Rc2並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Rc2が、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1つ以上の同一若しくは異なるRd2及び/又はRe2で置換されていてもよい基を表し;
各Rd2が適切な置換基を表し、-ORe2、-NRe2Re2、ハロゲン、-CN、-NO2、-C(O)Re2、-C(O)ORe2、-C(O)NRe2Re2、-OC(O)Re2、-OC(O)ORe2、-OC(O)NRe2Re2、-NHC(O)Re2、-NHC(O)ORe2、-NHC(O)NRe2Re2並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Re2が、水素、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から独立に選択される、化合物に関する。
【0018】
本発明の化合物(1)の異なる分子部分に関連する全ての前記構造態様をいずれの所望様式で組み合わせることによって、好ましい化合物(1)を得ることができる。本発明は、態様A1、B1とB2、C1〜C6、D1〜D4及びE1とE2の相互の全ての組合せを明白に包含する。
別の態様では、本発明は、医薬組成物としての一般式(1)の化合物又はその薬理学的に許容しうる塩に関する。
別の態様では、本発明は、活性物質として一般式(1)の1つ以上の化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を、必要に応じて通常の賦形剤及び/又は担体と共に含む医薬製剤に関する。
別の態様では、本発明は、癌、感染症、炎症及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物を調製するための一般式(1)の化合物の使用に関する。
別の態様では、本発明は、一般式(1)の化合物(ここで、前記化合物(1)は、任意にその互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、その混合物、多形の形態又は全ての前記形態の薬理学的に許容しうる塩の形態で存在してもよい)と、式(1)と異なる少なくとも1種の他の細胞分裂停止又は細胞障害活性物質とを含む医薬製剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔定義〕
本明細書では、特に断らない限り、以下の定義が適用される。
接頭辞Cx-y(ここで、x及びyは、それぞれ自然数(x<y)を表す)の使用は、このように直結して命名及び言及された鎖若しくは環構造又は鎖と環構造の組合せが、全部でy個以下かつx個以上の炭素原子から成ることを示す。
1個以上のヘテロ原子を含む基(ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル)中の員数の表示は、全ての環員の原子の総数又は全ての環員及び鎖員の総数を表す。
アルキルは、亜群の飽和炭化水素鎖と不飽和炭化水素鎖で構成され、さらに不飽和炭化水素鎖を二重結合のある炭化水素鎖(アルケニル)と三重結合のある炭化水素鎖(アルキニル)にさらに細分しうる。アルケニルは少なくとも1つの二重結合を含み、アルキニルは少なくとも1つの三重結合を含む。炭化水素鎖が少なくとも1つの二重結合と少なくとも1つの三重結合を両方有する場合、定義では、それはアルキニル亜群に属する。全ての前記亜群をさらに直鎖(非分岐)及び分岐に細分しうる。アルキルが置換される場合、水素を持つ全ての炭素原子のところで相互独立に一置換又は多置換されうる。
【0020】
個々の亜群の例を以下に列挙する。
直鎖(非分岐)又は分岐、飽和炭化水素鎖:
メチル;エチル;n-プロピル;イソプロピル(1-メチルエチル);n-ブチル;1-メチルプロピル;イソブチル(2-メチルプロピル);sec.-ブチル(1-メチルプロピル);tert.-ブチル(1.1-ジメチルエチル);n-ペンチル;1-メチルブチル;1-エチルプロピル;イソペンチル(3-メチルブチル);ネオペンチル(2,2-ジメチル-プロピル);n-ヘキシル;2,3-ジメチルブチル;2,2-ジメチルブチル;3,3-ジメチルブチル;2-メチル-ペンチル;3-メチルペンチル;n-ヘプチル;2-メチルヘキシル;3-メチルヘキシル;2,2-ジメチルペンチル;2,3-ジメチルペンチル;2,4-ジメチルペンチル;3,3-ジメチルペンチル;2,2,3-トリメチルブチル;3-エチルペンチル;n-オクチル;n-ノニル;n-デシル等。
直鎖(非分岐)又は分岐アルケニル:
ビニル(エテニル);プロパ-1-エニル;アリル(プロパ-2-エニル);イソプロペニル;ブタ-1-エニル;ブタ-2-エニル;ブタ-3-エニル;2-メチル-プロパ-2-エニル;2-メチル-プロパ-1-エニル;1-メチル-プロパ-2-エニル;1-メチル-プロパ-1-エニル;1-メチリデンプロピル;ペンタ-1-エニル;ペンタ-2-エニル;ペンタ-3-エニル;ペンタ-4-エニル;3-メチル-ブタ-3-エニル;3-メチル-ブタ-2-エニル;3-メチル-ブタ-1-エニル;ヘキサ-1-エニル;ヘキサ-2-エニル;ヘキサ-3-エニル;ヘキサ-4-エニル;ヘキサ-5-エニル;2,3-ジメチル-ブタ-3-エニル;2,3-ジメチル-ブタ-2-エニル;2-メチリデン-3-メチルブチル;2,3-ジメチル-ブタ-1-エニル;ヘキサ-1,3-ジエニル;ヘキサ-1,4-ジエニル;ペンタ-1,4-ジエニル;ペンタ-1,3-ジエニル;ブタ-1,3-ジエニル;2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン等。
直鎖(非分岐)又は分岐アルキニル:
エチニル;プロパ-1-イニル;プロパ-2-イニル;ブタ-1-イニル;ブタ-2-イニル;ブタ-3-イニル;1-メチル-プロパ-2-イニル等。
用語プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等は、特に断らない限り、対応する数の炭素原子を有する飽和炭化水素基を全ての異性形を含めて意味する。
用語プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等は、特に断らない限り、対応する数の炭素原子と二重結合とを有する不飽和炭化水素基を全ての異性形、妥当な場合には(Z)/(E)-異性体をも含めて意味する。
用語ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、ヘプタジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル、デカジエニル等は、特に断らない限り、対応する数の炭素原子と2つの二重結合とを有する不飽和炭化水素基を全ての異性形、妥当な場合には(Z)/(E)-異性体をも含めて意味する。
用語プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等は、特に断らない限り、対応する数の炭素原子と三重結合とを有する不飽和炭化水素基を全ての異性形を含めて意味する。
用語ヘテロアルキルは、炭化水素鎖内で、1つ以上の基-CH3を相互独立に基-OH、-SH若しくは-NH2と置き換え、1つ以上の基-CH2-を相互独立に基-O-、-S-若しくは-NH-と置き換え、1つ以上の下記基
【0021】
【化6】

を下記基
【0022】
【化7】

【0023】
と置き換え、1つ以上の基=CH-を基=N-と置き換え、1以上の基=CH2を基=NHと置き換え、又は1つ以上の基≡CHを基≡Nで置き換えることによって、前述したその最も広い意味のアルキルから誘導される基を意味する。このとき、1つのヘテロアルキルに全部で3個以下のヘテロ原子が存在してよいが、2個の酸素原子間及び2個のイオウ原子間又は1個の酸素原子と1個のイオウ原子との間には少なくとも1個の炭素原子が存在しなければならず、かつ該基が全体として化学的に安定でなければならない。
アルキルからの間接的な定義/誘導の直接的結果は、ヘテロアルキルが、ヘテロ原子を有する亜群飽和炭化水素鎖、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニルで構成され、それをさらに直鎖(非分岐)及び分岐に細分できるということである。ヘテロアルキルが置換される場合、それは水素を持っている酸素、イオウ、窒素及び/又は炭素原子の全てのところで相互独立に一置換又は多置換されうる。置換基としてのヘテロアルキル自体は、炭素原子を介して及びヘテロ原子を介しての両方で該分子に結合しうる。
例として以下に列挙する:
ジメチルアミノメチル;ジメチルアミノエチル(1-ジメチルアミノエチル;2-ジメチル-アミノエチル);ジメチルアミノプロピル(1-ジメチルアミノプロピル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル);ジエチルアミノメチル;ジエチルアミノエチル(1-ジエチルアミノエチル、2-ジエチルアミノエチル);ジエチルアミノプロピル(1-ジエチルアミノプロピル、2-ジエチルアミノ-プロピル、3-ジエチルアミノプロピル);ジイソプロピルアミノエチル(1-ジイソプロピルアミノエチル、2-ジ-イソプロピルアミノエチル);ビス-2-メトキシエチルアミノ;[2-(ジメチルアミノ-エチル)-エチル-アミノ]-メチル;3-[2-(ジメチルアミノ-エチル)-エチル-アミノ]-プロピル;ヒドロキシメチル;2-ヒドロキシ-エチル;3-ヒドロキシプロピル;メトキシ;エトキシ;プロポキシ;メトキシメチル;2-メトキシエチル等。
ハロアルキルは、炭化水素鎖の1つ以上の水素原子を相互独立にハロゲン原子(同一でも異なってもよい)と置き換えることによって、ここで前述したその最も広い意味のアルキルから誘導される。アルキルからの間接的な定義/誘導の直接的結果は、ハロアルキルが、亜群飽和炭化水素鎖、ハロアルケニル及びハロアルキニルで構成され、それをさらに直鎖(非分岐)及び分岐に細分できるということである。ハロアルキルが置換される場合、それは水素を持っている全ての炭素原子のところで相互独立に一置換又は多置換されうる。
例として以下に列挙する:
-CF3;-CHF2;-CH2F;-CF2CF3;-CHFCF3;-CH2CF3;-CF2CH3;-CHFCH3;-CF2CF2CF3;-CF2CH2CH3;-CF=CF2;-CCl=CH2;-CBr=CH2;-CI=CH2;-C≡C-CF3;-CHFCH2CH3;-CHFCH2CF3など。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子に関する。
シクロアルキルは、亜群単環式炭化水素環、二環式炭化水素環及びスピロ炭化水素環で構成され、各亜群をさらに飽和及び不飽和(シクロアルケニル)に細分しうる。不飽和とは、環系内に少なくとも1つの二重結合が存在するが、芳香族系を形成しないことを意味する。二環式炭化水素環では、2つの環が少なくとも2個の炭素原子を共有するように連結している。スピロ炭化水素環では、2つの環が1個の炭素原子(スピロ原子)を共有している。シクロアルキルが置換される場合、それは水素を持っている全ての炭素原子のところで一置換又は多置換されうる。置換基としてのシクロアルキル自体は、該環系のいずれの適切な位置によっても該分子に結合しうる。
以下に例として個々の亜群を列挙する:
飽和単環式炭化水素環:
シクロプロピル;シクロブチル;シクロペンチル;シクロヘキシル;シクロヘプチル等。
不飽和単環式炭化水素環:
シクロプロパ-1-エニル;シクロプロパ-2-エニル;シクロブタ-1-エニル;シクロブタ-2-エニル;シクロペンタ-1-エニル;シクロペンタ-2-エニル;シクロペンタ-3-エニル;シクロヘキサ-1-エニル;シクロヘキサ-2-エニル;シクロヘキサ-3-エニル;シクロヘプタ-1-エニル;シクロヘプタ-2-エニル;シクロヘプタ-3-エニル;シクロヘプタ-4-エニル;シクロブタ-1,3-ジエニル;シクロペンタ-1,4-ジエニル;シクロペンタ-1,3-ジエニル;シクロペンタ-2,4-ジエニル;シクロヘキサ-1,3-ジエニル;シクロヘキサ-1,5-ジエニル;シクロヘキサ-2,4-ジエニル;シクロヘキサ-1,4-ジエニル;シクロヘキサ-2,5-ジエニル等。
二環式炭化水素環(飽和及び不飽和):
ビシクロ[2.2.0]ヘキシル;ビシクロ[3.2.0]ヘプチル;ビシクロ[3.2.1]オクチル;ビシクロ[2.2.2]オクチル;ビシクロ[4.3.0]ノニル(オクタヒドロインデニル);ビシクロ[4.4.0]デシル(デカヒドロナフタレン);ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル);(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエニル(ノルボルナ-2,5-ジエニル);ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル(ノルボルネニル);ビシクロ[4.1.0]ヘプチル(ノルカラニル);ビシクロ-[3.1.1]ヘプチル(ピナニル)等。
スピロ炭化水素環(飽和及び不飽和):
スピロ[2.5]オクチル、スピロ[3.3]ヘプチル、スピロ[4.5]デカ-2-エン等。
【0024】
シクロアルキルアルキは、各場合ここで前述した最も広い意味のアルキル基とシクロアルキル基の組合せを意味する。置換基としてアルキル基が分子に直接結合し、順次シクロアルキル基で置換される。両基中のアルキルとシクロアルキルの結合は、いずれの適切な炭素原子によっても達成されうる。アルキル及びシクロアルキルの亜群も2つの基の組合せに包含される。
アリールは、少なくとも1つの芳香環を有する単環式、二環式又は三環式炭素環を意味する。アリールが置換される場合、その置換は、相互独立に、各場合、水素を持っている全ての炭素原子における一置換又は多置換であってよい。該環系のいずれの適切な位置によってもアリール自体が分子に置換基として結合しうる。
典型例を以下に列挙する。
フェニル;ナフチル;インダニル(2,3-ジヒドロインデニル);1,2,3,4-テトラヒドロナフチル;フルオレニル等。
アリールアルキルは、ここで前述したその最も広い意味の基アルキル及びアリールの組合せを意味する。置換基としてアルキル基が分子に直接結合し、順次アリール基で置換される。両基中、この目的に適したいずれの炭素原子によってもアルキルとアリールが結合しうる。アルキルとアリールのそれぞれの亜群も2つの基の組合せに包含される。
典型例を以下に列挙する:
ベンジル;1-フェニルエチル;2-フェニルエチル;フェニルビニル;フェニルアリル等。
ヘテロアリールは、単環式芳香環又は少なくとも1つの芳香環を有する多環式環を意味し、対応するアリール又はシクロアルキルに比べて、1個以上の炭素原子の代わりに、窒素、イオウ及び酸素の中から相互独立に選択される1個以上の同一若しくは異なるヘテロ原子を含み、結果として生じた基が化学的に安定でなければならない。ヘテロアリールが置換される場合、その置換は、相互独立に、各場合、水素を持っている全ての炭素原子における一置換又は多置換であってよい。該環系のいずれの適切な位置によってもヘテロアリール自体が分子に置換基として結合しうる。
典型例を以下に列挙する。
単環式ヘテロアリール:
フリル;チエニル;ピロリル;オキサゾリル;チアゾリル;イソキサゾリル;イソチアゾリル;ピラゾリル;イミダゾリル;トリアゾリル;テトラゾリル;オキサジアゾリル;チアジアゾリル;ピリジル;ピリミジル;ピリダジニル;ピラジニル;トリアジニル;ピリジル-N-オキシド;ピロリル-N-オキシド;ピリミジニル-N-オキシド;ピリダジニル-N-オキシド;ピラジニル-N-オキシド;イミダゾリル-N-オキシド;イソキサゾリル-N-オキシド;オキサゾリル-N-オキシド;チアゾリル-N-オキシド;オキサジアゾリル-N-オキシド;チアジアゾリル-N-オキシド;トリアゾリル-N-オキシド;テトラゾリル-N-オキシド等。
多環式ヘテロアリール:
インドリル;イソインドリル;ベンゾフリル;ベンゾチエニル;ベンゾオキサゾリル;ベンゾチアゾリル;ベンゾイソキサゾリル;ベンゾイソチアゾリル;ベンゾイミダゾリル;インダゾリル;イソキノリニル;キノリニル;キノキサリニル;シンノリニル;フタラジニル;キナゾリニル;ベンゾトリアジニル;インドリジニル;オキサゾロピリジル;イミダゾピリジル;ナフチリジニル;インドリニル;イソクロマニル;クロマニル;テトラヒドロイソキノリニル;イソインドリニル;イソベンゾテトラヒドロフリル;イソベンゾテトラヒドロチエニル;イソベンゾチエニル;ベンゾオキサゾリル;ピリドピリジル;ベンゾテトラヒドロフリル;ベンゾテトラヒドロ-チエニル;プリニル;ベンゾジオキソリル;フェノキサジニル;フェノチアジニル;プテリジニル;ベンゾチアゾリル;イミダゾピリジル;イミダゾチアゾリル;ジヒドロベンゾイソキサジニル;ベンゾイソキサジニル;ベンゾオキサジニル;ジヒドロベンゾイソチアジニル;ベンゾピラニル;ベンゾチオピラニル;クマリニル;イソクマリニル;クロモニル;クロマノニル;テトラヒドロキノリニル;ジヒドロキノリニル;ジヒドロキノリノニル;ジヒドロイソキノリノニル;ジヒドロクマリニル;ジヒドロイソクマリニル;イソインドリノニル;ベンゾジオキサニル;ベンゾオキサゾリノニル;キノリニル-N-オキシド;インドリル-N-オキシド;インドリニル-N-オキシド;イソキノリル-N-オキシド;キナゾリニル-N-オキシド;キノキサリニル-N-オキシド;フタラジニル-N-オキシド;インドリジニル-N-オキシド;インダゾリル-N-オキシド;ベンゾチアゾリル-N-オキシド;ベンゾイミダゾリル-N-オキシド;ベンゾ-チオピラニル-S-オキシド及びベンゾチオピラニル-S,S-ジオキシド等。
【0025】
ヘテロアリールアルキルは、ここで前述した各場合その最も広い意味のアルキル及びヘテロアリール基の組合せを意味する。置換基としてアルキル基が分子に直接結合し、順次ヘテロアリール基で置換される。アルキルとへテロアリールの結合は、この目的に適したいずれの炭素原子によってもアルキル側で及びこの目的に適したいずれの炭素若しくは窒素原子によってもヘテロアリール側で達成されうる。アルキルとヘテロアリールのそれぞれの亜群も2つの基の組合せに包含される。
用語ヘテロシクロアルキルとは、炭化水素環中で、1つ以上の基-CH2-が相互独立に基-O-、-S-若しくは-NH-と置き換わっているか又は1つ以上の基=CH-が=N-と置き換わっている場合の前記シクロアルキルから誘導される基を意味し、全部で5個以下のヘテロ原子が存在しうるが、2個の酸素原子間及び2個のイオウ原子間又は1個の酸素原子と1個のイオウ原子の間には少なくとも1個の炭素原子が存在しなければならず、かつ基全体として化学的に安定でなければならない。ヘテロ原子は、同時に全ての可能な酸化状態で存在しうる(イオウ→スルホキシド-SO-、スルホン-SO2-;窒素;窒素→N-オキシド)。シクロアルキルからの間接的な定義/誘導から、ヘテロシクロアルキルが亜群単環式ヘテロ環、二環式ヘテロ環及びスピロヘテロ環で構成され、さらに各亜群を飽和及び不飽和(ヘテロシクロアルケニル)にさらに細分できることがすぐに分かる。用語不飽和とは、問題の環系に少なくとも1つの二重結合が存在するが、芳香環系が形成されないことを意味する。二環式ヘテロ環では、2つの環が少なくとも2個の原子を共有するように結合している。スピロヘテロ環では、1個の炭素原子(スピロ原子)を2つの環が共有している。ヘテロシクロアルキルが置換される場合、その置換は、相互独立に、水素を持っている全ての炭素及び/又は窒素原子における各場合一置換又は多置換であってよい。該環系のいずれの適切な位置によっても置換基としてヘテロシクロアルキル自体が分子に結合しうる。
個々の亜群の典型例を以下に列挙する。
単環式ヘテロ環(飽和及び不飽和):
テトラヒドロフリル;ピロリジニル;ピロリニル;イミダゾリジニル;チアゾリジニル;イミダゾリニル;ピラゾリジニル;ピラゾリニル;ピペリジニル;ピペラジニル;オキシラニル;アジリジニル;アゼチジニル;1,4-ジオキサニル;アゼパニル;ジアゼパニル;モルフォリニル;チオモルフォリニル;ホモモルフォリニル;ホモピペリジニル;ホモピペラジニル;ホモチオモルフォリニル;チオモルフォリニル-S-オキシド;チオモルフォリニル-S,S-ジオキシド;1,3-ジオキソラニル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロチオピラニル;[1,4]-オキサゼパニル;テトラヒドロチエニル;ホモチオモルフォリニル-S,S-ジオキシド;オキサゾリジノニル;ジヒドロピラゾリル;ジヒドロピロリル;ジヒドロピラジニル;ジヒドロピリジル;ジヒドロ-ピリミジニル;ジヒドロフリル;ジヒドロピラニル;テトラヒドロチエニル-S-オキシド;テトラヒドロチエニル-S,S-ジオキシド;ホモチオモルフォリニル-S-オキシド;2,3-ジヒドロアゼト;2H-ピロリル;4H-ピラニル;1,4-ジヒドロピリジニル等。
二環式ヘテロ環(飽和及び不飽和):
8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル;8-アザビシクロ[5.1.0]オクチル;2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル;8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル;3.8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル;2.5-ジアザ-ビシクロ-[2.2.1]ヘプチル;1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル;3.8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル;3.9-ジアザ-ビシクロ[4.2.1]ノニル;2.6-ジアザ-ビシクロ[3.2.2]ノニル等。
スピロ-ヘテロ環(飽和及び不飽和):
1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デシル;1-オキサ-3.8-ジアザ-スピロ[4.5]デシル;及び2,6-ジアザ-スピロ[3.3]ヘプチル;2,7-ジアザ-スピロ[4.4]ノニル;2,6-ジアザ-スピロ[3.4]オクチル;3,9-ジアザ-スピロ[5.5]ウンデシル;2,8-ジアザ-スピロ[4.5]デシル等。
【0026】
ヘテロシクロアルキルアルキルは、ここで前述した各場合その最も広い意味のアルキル及びヘテロシクロアルキル基の組合せを意味する。置換基としてアルキル基が分子に直接結合し、順次ヘテロシクロアルキル基で置換される。アルキルとへテロシクロアルキルの結合は、この目的に適したいずれの炭素原子によってもアルキル側で及びこの目的に適したいずれの炭素若しくは窒素原子によってもヘテロシクロアルキル側で達成されうる。アルキルとヘテロシクロアルキルのそれぞれの亜群も2つの基の組合せに包含される。
用語「置換される」とは、問題の原子に直接結合している水素原子が、別の原子又は別の原子群と置き換わることを意味する。或いはこの原子に利用可能な自由電子がある場合に置換が起こることもある。出発状態(水素原子の数、自由電子の数)によって、ある原子のところで一置換又は多置換が起こりうる。従って、例えば、自由電子対は2つの一価置換基で置換されうる。
例えば=S、=NR、=NOR、=NNRR、=NN(R)C(O)NRR、=N2等の二価置換基は、炭素原子でのみ置換基でありうるが、二価置換基=Oは、ヘテロ原子においても置換基でありうる。一般的に言えば、二価置換基による置換は非芳香環系でのみ起こり、2個のジェミナルな水素原子、すなわち、置換前に飽和している同一の炭素原子に結合している水素原子、又は自由電子対を交換する必要がある。従って、二価置換基による置換は、非芳香環系の基-CH2-又はヘテロ原子でのみ可能である。
さらに、用語「適切な置換基」とは、一方でその原子価の理由で適切であり、かつ他方で化学的安定性のある系をもたらす置換基を意味する。
基又は置換基は、対応する基名(例えばRa、Rbなど)のいくつかの選択肢の基/置換基の中から選択されることが多い。該基を分子の異なる部分で繰り返し用いて本発明の化合物を定義する場合、それぞれの使用が全体として相互独立に見えなければならないことを常に念頭に置くべきである。
【0027】
略語のリスト



【0028】
以下に詳述する実施例から本発明の特徴及び利点が明白になるだろう。実施例は、本発明の範囲を限定することなく、例として本発明の基本原則を説明するものである。
〔本発明の化合物の調製〕
(通則)
特に断らない限り、化学研究室で常用されている方法を用いて市販装置で全ての反応を行う。空気及び/又は湿気に敏感な出発原料は保護ガス下で貯蔵し、それらを使用する対応する反応及び操作は保護ガス(窒素又はアルゴン)下で行う。
Biotage製のInitiator又はCEM製のExplorerで、密封容器中(好ましくは2、5又は20mL)、好ましくは撹拌しながら、マイクロ波反応を行う。
(クロマトグラフィー)
分取用中圧クロマトグラフィー(MPLC、順相)では、Millipore製のシリカゲル(名称:Granula Silica Si-60A 35-70μm)又はMacherey Nagel製のC-18 RP-シリカゲル(RP-相)(名称:Polygoprep 100-50 C18)を使用する。
Merck製のガラス(蛍光指示薬F-254付き)上の既成のシリカゲル60 TLCプレート上で薄層クロマトグラフィーを行う。
Waters製カラム(名称:XTerra Prep. MS C18,5μm,30×100mm又はXTerra Prep. MS C18,5μm,50×100mm OBD又はSymmetry C18,5μm,19×100mm又はSunfire C18 OBD,19×100mm,5μm又はSunfire Prep C 10μm OBD 50×150mm又はX-Bridge Prep C18 5μm OBD 19×50mm)、Agilent製カラム(名称:Zorbax SB-C8 5μm PrepHT 21.2×50mm)及びPhenomenex製カラム(名称:Gemini C18 5μm AXIA 21.2×50mm又はGemini C18 10μm 50×150mm)を用いて分取用高速クロマトグラフィー(HPLC)を行い、Agilent製のカラム(名称:Zorbax SB-C8, 5μm, 21.2×50mm又はZorbax SB-C8 3.5μm 2.1×50mm)及びPhenomenex製のカラム(名称:Gemini C18 3μm 2×30mm)を用いて分析用HPLC(反応コントロール)を行う。
(HPLC-質量分析/UV-分光測定)
Agilent製のHPLC-MS装置(質量検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー)を用いて、実施例を特徴づけるための保持時間/MS-ESI+を得る。注入ピークで溶出する化合物に保持時間tRet.=0.0分を与える。
装置は、以下の仕様を有する:
カラム:Waters, Xterra MS C18, 2.5μm, 2.1×30mm, 部品番号186000592
溶離剤:A:H2Oと0.1% HCOOH;B:アセトニトリル(HPLCグレード)
検出:MS:ポジティブ及びネガティブモード
質量範囲:120〜900m/z
フラグメンター(Fragmentor):120
ゲインEMV:1;閾値:150;ステップサイズ:0.25;UV:254nm;バンド幅:1
注入:注入体積5μL
分離:流量1.10mL/分
カラム温度:40℃
勾配:0.00分:5%溶媒B
0.00〜2.50分:5%→95%溶媒B
2.50〜2.80分:95%溶媒B
2.81〜3.10分:95%→5%溶媒B
さらに、場合によっては、以下の装置仕様を使用する。
カラム:Waters, Xterra MS C18, 2.5μm, 2.1×50mm, 部品番号186000594
溶離剤:A:脱イオン。水と0.1% HCOOH;B:アセトニトリルと0.1% HCOOH
検出:MS:ポジティブ及びネガティブモード
質量範囲:100〜1200m/z
フラグメンター:70
ゲインEMV:閾値:1mAU;ステップサイズ:2nm;UV:254nm及び230nm;バンド幅:8
注入;標準1μL
流量:0.6mL/分
カラム温度:35℃
勾配:0.00分:5%溶媒B
0.00〜2.50分:5%→95 %溶媒B
2.50〜4.00分:95%溶媒B
4.00〜4.50分:95%→5 %溶媒B
4.50〜6.00分:95%溶媒A
【0029】
後述する合成方法で本発明の化合物を調製することができる。一般式の置換基は前述した意味を有する。これらの方法は、本発明をその内容に制限することなく、或いは請求した化合物の範囲をこれらの実施例に限定することなく、本発明を説明することを意図している。出発化合物の調製を記載していない場合は、それらは商業的に入手可能であるか或いは公知化合物又は本明細書に記載の方法と同様に該化合物を調製することができる。文献記載の物質は、その公開された合成方法で調製される。
(反応スキームA)
【0030】
【化8】

【0031】
種々の方法で化合物A-2を得ることができる。文献公知の方法を用いてタイプA-1の化合物をTMS-アセチレンと薗頭反応でカップリングさせる。シリル基の切断も文献公知の方法を利用して行う(例えばK2CO3又はTBAFを用いて)。いずれのエステル(exster)切断をも文献公知の方法を利用して行う。化合物A-1が商業的に入手できない場合、対応するアニリンからジアゾ化及びその後のヨウ化カリウムとの反応を利用する公知の方法で化合物A-1を得る。
(反応スキームB)
【0032】
【化9】

【0033】
アミドカップリング反応(基R2を導入するため)及びアジドによる環付加(基R1を導入するため)によって、化合物A-2からタイプ1の例を合成する。このとき、2つの部分工程はいずれの所望順序で行ってもよい。通常のカップリング試薬、例えばHATU又はTBTUの助けを借りて文献公知の方法でアミドカップリングを行うか、或いは文献公知の方法を利用して化合物A-2又はB-2を塩化チオニル、塩化オキサリル又はGhosez試薬を用いて、対応する酸塩化物を形成してからアミンR2-NH2と反応させる。アミンは商業的に入手可能であり、或いは文献公知の方法を利用して合成される。化合物A-2又はB-1を用いた環付加も文献公知の方法を利用してCuSO4及びアスコルビン酸ナトリウムの助けを借りて行う。
基R1を導入するためのアリール又はヘテロアリールアジドは、対応するアミンからジアゾ化及びナトリウムアジドとの反応によって公知の方法で得られる。アリールアルキル-アジド、ヘテロアリールアルキル-アジド及びほとんどの他のアジドは、一般的に対応するハロゲン化物、例えば臭化物とナトリウムアジドの求核置換によって得られる。
(反応スキームC)
【0034】
【化10】

【0035】
中間体C-2を経てタイプ2の実施例を合成する。中間体C-2は、A-1から出発し、CuCNと反応させた後、基R2を導入するためのアミドカップリングによって得られる。文献公知の方法を利用するC-2の反応は、まずヒドロキシルアミンC-3と反応させてから活性化カルボン酸と反応させてタイプ2の例を得る。タイプ3の化合物もA-1から出発してカルボン酸中間体C-5を経て得られる。文献公知の方法を利用してヒドロキシアミジンC-6で中間体C-5を環化することができる。
(反応スキームD)
【0036】
【化11】

【0037】
文献公知の方法を利用して中間体C-4から調製されるホウ酸エステルD-1を経て、タイプ4a、4b、5a及び5bの例を合成する。目標化合物は、商業的に得られるジブロモチアゾール、D-1及びR1-B(OH)2を用いた2つの連続的な鈴木カップリング反応によって得られる(反応スキームD、パート1)。タイプ5bの化合物も、文献公知の方法を利用してカルボン酸エステルD-3を経由してエステル加水分解及び引き続くアミドカップリングによって合成される。化合物D-3は、α-クロロアセトフェノン誘導体D-2から、チオアミドと反応させることによって得られる。対応する化合物D-2は、中間体A-1から、ハロゲン-金属交換及び引き続くα-クロロ酢酸クロリドとの反応によって調製される(反応スキームD、パート2)。
(反応スキームE)
【0038】
【化12】

【0039】
カルボン酸エステルE-3から文献公知の方法を利用してエステル加水分解及び引き続くアミドカップリングによって、タイプ6の例を合成する。化合物E-3は、α-クロロアセトフェノン誘導体D-2から、アミジンと反応させることによって得られる。対応する化合物D-2は、反応スキームDで述べたように合成される。
(反応スキームF)
【0040】
【化13】

【0041】
中間体B-1から、トシルヒドラゾンと反応させることによって、タイプ7の例を調製する(対応するアルデヒドとトシルヒドラジンからin situ生成される)。
(反応スキームG)
【0042】
【化14】

【0043】
タイプ1の化合物について述べたように、薗頭カップリング反応、アミドカップリング及び環付加を適切な順序で用いてG-1から出発して中間体G-2又はG-3のどちらかを経てタイプ8の化合物を合成する。タイプ2〜7の化合物の反転アミドも、反応スキームGに記載の変換と同様の変換によって調製される。
【実施例】
【0044】
(実施例1a〜1alの合成)
A-2aを合成するための方法:
【0045】
【化15】

【0046】
3-アミノ-4-メチル安息香酸メチルベンゾアート(1.652g,10mmol)を35%硫酸(18mL)と酢酸(6mL)に溶かして0℃に冷却した。次に3mLの水中の亜硝酸ナトリウム(0.76g,11mmol)の溶液を滴下し、混合物を0℃で1時間及びRTで1時間撹拌してから4mLの水中のヨウ化カリウム(2.0g,12mmol)溶液を加え、混合物を2時間撹拌する。仕上げのため、反応混合物をDCMと混合し、2回抽出し、混ぜ合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下でエバポレートする。得られた残留物をシリカゲル(シクロヘキサン中5%EE)によるクロマトグラフ精製でA-1aを得る(HPLC-MS:tRet.=3.89分;MS(M+H)+=277)。
保護ガス下でA-1a(0.2g,0.724mmol)をビス-トリフェニルホスフィン-二塩化パラジウム(25.4mg,0.036mmol)及びヨウ化銅(I)と共に無水THF(3mL)とトリエチルアミン(1mL)に加える。トリメチルシリル-エチンをRTでこの反応混合物に加えて一晩撹拌する。仕上げのため、それをEEで希釈し、0.5Mアンモニア溶液上に注ぎ、水相を再びEEで抽出する。混ぜ合わせた有機相を0.5M塩酸、飽和NaCl溶液で洗浄し、再びEEで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下でエバポレートする。
残留物をメタノール性KOH(1mL)と合わせてRTで2時間撹拌する。反応混合物をEEで希釈し、5%NaHCO3溶液上に注ぎ、EEで2回抽出する。混ぜ合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下でエバポレートする。短シリカゲルフリットに通すクロマトグラフ精製でA-2aを得る(HPLC-MS:tRet.=3.65分;MS(M+H)+=175)。
このプロセスと同様に、対応する3-アミノ安息香酸誘導体から他の化合物A-2を得ることができる。
中間体B-1aを合成するための方法:
【0047】
【化16】

【0048】
カルボン酸A-2a(647mg,4.04mmol)を無水THF(10mL)及び無水DCM(40mL)に溶かし、RTで一滴ずつα-クロロ-エナミン試薬(Ghosez試薬,0.577mL,4.41mmol)と混ぜ合わせる。RTで1時間後、アミン(1.00g,3.67mmol)を加え、DIPEA(1.973mL,11mmol)を滴下して混合物を24時間撹拌する。仕上げのため、それをEEで希釈し、1M塩酸溶液で酸性にし、水相をEEで数回抽出し、混ぜ合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下でエバポレートする。残存している残留物をRP-HPLC分離で精製し、対応する化合物B-1aを得る(HPLC-MS:tRet.=2.25分;MS(M+H)+=415)。
このプロセスと同様に、一般的に化合物B-1を対応するA-2-中間体から得る。
中間体B-2aを合成するための方法:
【0049】
【化17】

【0050】
15mLの1Mアスコルビン酸ナトリウム溶液と20mLの0.1M CuSO4溶液を、MeOH(200mL)に溶かしたカルボン酸A-2a(2.00g,12.5mmol)及びアジド(1.12g,9.32mmol)に連続的に加える。混合物を8日間RTで撹拌する。生じたB-2aの沈殿物をろ別し、少量の水で洗浄し、真空中で乾燥させる(HPLC-MS:tRet.=1.64分;MS(M+H)+=281)。
このプロセスと同様に、他の化合物B-2を対応するA-2-中間体から得る。
実施例1aを合成するための方法:
【0051】
【化18】

【0052】
アルキンB-1a(30mg,0.07mmol)とアジド(16mg,0.09mmol)を0.6mLのアセトニトリル/MeOH(1:1)に溶かし、80μLのトリエチルアミンと145μLの1Mアスコルビン酸ナトリウム溶液を加え、1分後に140μLの0.1M CuSO4溶液を加える。反応混合物をRTで一晩撹拌し、反応が完了した後、反応混合物をいくらかのDMFで希釈してろ過する。RP-HPLCによるクロマトグラフ精製で1aを得る。
このプロセスと同様に、実施例1b〜1z及びタイプ1の他の匹敵する化合物を対応する中間体B-1から得る(下表参照)。
実施例1aaを合成するための方法:
【0053】
【化19】

【0054】
HATU(304mg,0.94mmol)とヒューニッヒ塩基(152μL,0.91mmol)をRTでTHF中のカルボン酸B-2a(154mg,0.55mmol)溶液に加え、混合物を30分間撹拌する。次にアミン(125mg,0.66mmol)を加え、混合物を5日間50℃で撹拌する。混合物を真空中でエバポレートし、少量のDMFに溶かす。RP-HPLCによるクロマトグラフ精製で1aaを得る。
このプロセスと同様に、実施例1ab〜1al及びタイプ1の他の匹敵する化合物を対応する中間体B-2から得る(下表参照)。
【0055】
【化20】

【0056】
【化21】

【0057】
【化22】

【0058】
【化23】

【0059】
【化24】

【0060】
【化25】

【0061】
【化26】

【0062】
【化27】

【0063】
【化28】

【0064】
(実施例2a〜2wの合成)
C-1aを合成するための方法:
【0065】
【化29】

【0066】
A-1b(1.00g,3.82mmol)を無水DMF(4mL)に入れ、CuCN(449mg,4.96mmol)と混ぜ合わせて100℃で20時間撹拌する。水性仕上げ及び回転式エバポレーターを用いるエバポレーションによりC-1aを得る(HPLC-MS:tRet.=1.39分;MS(M+H)+=162)。
このプロセスと同様に、他の化合物C-1を対応する3-ヨード安息香酸から得る。
C-2aを合成するための方法:
【0067】
【化30】

【0068】
無水THF/DCM(10mL,1:1)中のC-1a(200mg,1.24mmol)を一滴ずつ塩化オキサリル(119μL,1.37mmol)及び一滴のDMFと混合する。混合物を2時間RTで撹拌してから回転式エバポレーターを用いて混合物を完全にエバポレートする。残留物をDCM(1mL)に取り、THF(1mL)と混合する。THF中のアミン(383mg,1.24mmol)の溶液とヒューニッヒ塩基(633μL,3.72mmol)を滴下し、反応混合物を3時間RTで撹拌する。水性仕上げ及びEtOHからの再結晶によりC-2aを得る(HPLC-MS:tRet.=2.11分;MS(M+H)+=416)。
このプロセスと同様に、他の化合物C-2を対応するC-1-中間体から一般的に得る。
C-3aを合成するための方法:
【0069】
【化31】

【0070】
C-2a(100mg,0.24mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(36.8mg,0.53mmol)及びNEt3(84μL,0.60mmol)をEtOH(600μL)中で2時間還流させる。回転式エバポレーターを用いるエバポレーション及びRP-HPLCによるクロマトグラフ精製でC-3aを得る。
(HPLC-MS:tRet.=0.18〜1.36分;MS(M+H)+=449)。
このプロセスと同様に、他の化合物C-3を対応するC-2-中間体から一般的に得る。
実施例2aを合成するための方法:
【0071】
【化32】

【0072】
カルボン酸(13mg,0.11mmol)をDMF(500μL)に溶かし、ヒューニッヒ塩基(80μL,0.44mmol)及びTBTU(34mg,0.11mmol)と混合してRTで15分間撹拌する。次にC-3a(40mg,0.09mmol)を加え、混合物を3時間RTで撹拌する。混合物を短時間100℃に加熱する。冷却及びRP-HPLCによるクロマトグラフ精製後、2aを得る(下表参照)。
上記プロセスと同様に、実施例2b〜2w及びタイプ2の他の匹敵する化合物を、対応するアミンR2-NH2及び対応するカルボン酸R1-COOHを用いて合成することができる。
【0073】
【化33】

【0074】
【化34】

【0075】
【化35】

【0076】
【化36】

【0077】
【化37】

【0078】
【化38】

【0079】
(実施例3a〜3wの合成)
C-4aを合成するための方法:
【0080】
【化39】

【0081】
安息香酸A-1b(5.08g,19.4mmol)を150mLの無水DCM/THF(2:1)に溶かし、一滴ずつ塩化オキサリル(1.76mL,20.2mmol)と混ぜ合わせる。次に2〜3滴のDMFを加え、混合物を2時間RTで撹拌する。回転式エバポレーターを用いて混合物を完全にエバポレートし、50mLのDCMに溶かし、THF(9.4mL,55.1mmol)中のアミン(5.70g,18.5mmol)とヒューニッヒ塩基の溶液を滴下する。次に混合物を3時間RTで撹拌する。水性仕上げ及びEtOHからの再結晶後、C-4aを得る。
このプロセスと同様に、他の化合物C-4を対応する3-ヨード安息香酸及び対応するアミンR2-NH2から一般的に得る。
C-5aを合成するための方法:
【0082】
【化40】

【0083】
C-4a(1.00g,1.94mmol)を保護ガス下で無水THF(40mL)に溶かし、-20℃に冷却してiPrMgCl溶液(4.31mL,1.8M)と混ぜ合わせる。混合物をこの温度で2時間撹拌する。次にCO2をパイプで反応混合物に通す。1時間後、NH4Cl溶液を加え、混合物をEEで2回抽出する。混ぜ合わせた有機相を2M NaOH溶液で3回抽出し、混ぜ合わせた水相を次に6M HClで酸性にしてEEで数回抽出する。Na2SO4による乾燥及び回転式エバポレーターを用いるエバポレーションによりC-5aを得る。
このプロセスと同様に、他の化合物C-5を対応する化合物C-4から一般的に得る。
実施例3aを合成するための方法:
【0084】
【化41】

【0085】
a) 3-シアノピリジン(500mg,4.80mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(734mg,10.6mmol)及びNEt3(1.5mL,11.0mmol)をMeOH(10mL)中で2時間還流させる。次に回転式エバポレーターを用いて反応混合物をエバポレートし、水性形態で仕上げる。ヒドロキシルアミジンC-6a(HPLC-MS:tRet.=0.00分;MS(M+H)+=138)を得る。
このプロセスと同様に、ヒドロキシルアミジンC-6を対応するニトリルから得る。
b) C-5a(30mg,0.07mmol)をDMF(300μL)に溶かし、ヒューニッヒ塩基(62μL,0.35mmol)及びTBTU(22.2mg,0.07mmol)と混合して15分間RTで撹拌する。次にC-6a(11.4mg,0.08mmol)をそこに添加し、混合物を4日間RTで撹拌する。水性仕上げ及び回転式エバポレーターを用いるエバポレーション後、残留物をDMF(1mL)に取り、4時間110℃で撹拌する。冷却後、RP-HPLCによるクロマトグラフ精製を経て3aを得る。
上記プロセスと同様に、実施例3b〜3w及びタイプ3の他の匹敵する化合物を対応するアミンR2-NH2及び対応するニトリルR1-CNを用いて合成する。
【0086】
【化42】

【0087】
【化43】

【0088】
【化44】

【0089】
【化45】

【0090】
【化46】

【0091】
【化47】

【0092】
(実施例4a-a、4b-a、5a-a及び5b-a〜5b-hの合成)
反応スキームDで述べた経路と同様に、タイプ4a、4b、5a及び5bの化合物を合成することができる。
D-2aを合成するための方法:
【0093】
【化48】

【0094】
エステルA-1a(5.00g,18.1mmol)を保護ガス下で無水THF(77mL)に取り、-30℃に冷却し、撹拌しながらiPrMgCl(13.3mL,THF中1.5M)と混合する。1.5時間後、CuCN・2LiCl(19.9mL,THF中1.0M)を加え、混合物を1時間-30℃で撹拌した後、αクロロアセチルクロリド(476μL,19.9mmol)を加え、RTで解凍させる。水性仕上げ及びクロマトグラフィー(NP,シクロヘキサン/EE)後、D-2aを得る。
D-3aを合成するための方法:
【0095】
【化49】

【0096】
D-2a(180mg,0.79mmol)及びチオニコチンアミド(110mg,0.79mmol)をMeOH(1.6mL)に入れてマイクロ波反応器内で100℃に20分間加熱する。水性仕上げ及びRP-HPLCによるクロマトグラフ精製後、D-3aを得る(HPLC-MS:tRet.=2.09分;MS(M+H)+=311)。
実施例5b-aを合成するための方法:
【0097】
【化50】

【0098】
D-3a(89.0mg,0.29mmol)を1,4-ジオキサン(5mL)とH2O(5mL)に取り、LiOH(20.6mg,0.86mmol)と混合して3時間RTで撹拌する。水性仕上げ後、遊離カルボン酸を得(HPLC-MS:tRet.=1.24分;MS(M+H)+=297)、さらに精製せずに使用する。
得られたカルボン酸(35.0mg,0.12mmol)をTHF(0.6mL)とDCM(0.6mL)に取り、塩化オキサリル(20μL,0.24mmol)及び一滴のDMFと混合して30分間RTで撹拌する。回転式エバポレーターで反応溶液を完全にエバポレートし、THF(0.6mL)とDCM(0.6mL)に再び取り、NEt3(38μL,0.27mmol)及び5-アミノ-3-tert-ブチルピラゾール(16.4mg,0.12mmol)と混合してRTで一晩撹拌する。RP-HPLCによるクロマトグラフ精製を経て5b-aを得る。
上記プロセスと同様に、実施例5b-b〜5b-h及びタイプ5bの他の匹敵する化合物を対応するアミンR2-NH2及び対応するカルボン酸エステルD-3を用いて合成する。
【0099】
【化51】

【0100】
【化52】

【0101】
【化53】

【0102】
(実施例6a〜6iの合成)
E-3aを合成するための方法:
【0103】
【化54】

【0104】
D-2a(1.00g,4.41mmol)、3-アミジノピリジン塩酸塩(695mg,4.41mmol)及びK2CO3(1.22g,8.82mmol)をMeOH(9mL)に取り、マイクロ波反応器内で15分間100℃に加熱する。回転式エバポレーターを用いて溶媒を除去した後、残留物をMeCNと混ぜ合わる。生じた沈殿物をろ別し、ろ液を再びエバポレートする。このようにして得た生成物E-3aを何らさらに精製せずに次工程で使用する(HPLC-MS:tRet.=1.74分;MS(M+H)+=294)。
実施例6aを合成するための方法:
【0105】
【化55】

【0106】
E-3a(1.29g,4.40mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)とH2O(10mL)に取り、LiOH(316mg,13.2mmol)と混合して1時間RTで撹拌する。次に回転式エバポレーターを用いて揮発成分を除去する。残留物をH2Oに取り、塩酸でpHを2に調整する。このようにして生じた沈殿物をろ別して捨てる。水酸化ナトリウム溶液でろ液のpHを5に調整すると、カルボン酸が沈殿する(HPLC-MS:tRet.=0.23分;MS(M+H)+=280)。
この遊離カルボン酸(70.0mg,0.25mmol)をDMF(1mL)とNEt3(87μL,0.63mmol)に入れる。次にHATU(238mg,0.63mmol)と4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン(73.5mg,0.38mmol)を加え、混合物を撹拌しながらRTで一晩放置する。RP-HPLCにより6aを得る。
上記プロセスと同様に、実施例6b〜6i及びタイプ6の他の匹敵する化合物を対応するアミンR2-NH2及び対応するエステルE-3を用いて合成する。
【0107】
【化56】

【0108】
【化57】

【0109】
【化58】

【0110】
(実施例7a〜7jの合成)
B-1bを合成するための方法:
【0111】
【化59】

【0112】
カルボン酸A-2a(250mg,1.56mmol)をMeCN(2.4mL)に取り、氷で冷却しながら塩化チオニル(1.2mL,15.6mmol)を加え、マイクロ波反応器内で混合物を80℃に2分間加熱する。次に回転式エバポレーターを用いて混合物をエバポレートし、残留物をMeCN(3.1mL)に取る。NEt3(216μL,1.56mmol)及び4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)アニリン(305mg,1.56mmol)を連続して加え、混合物を10分間RTで撹拌する。水性仕上げ後、B-1b(HPLC-MS:tRet.=2.48分;MS(M+H)+=338)を得、さらに精製せずに使用する。
実施例7aを合成するための方法:
【0113】
【化60】

【0114】
ピリジン-3-カルバルデヒド(56μL,0.59mmol)をEtOH(590μL)に入れ、p-TsHNNH2(110mg,0.59mmol)と混合してマイクロ波反応器内で2分間80℃に加熱する。次に回転式エバポレーターを用いて溶媒を除去し、残留物(トシルヒドラゾン)をMeCN(1mL)に取る。水酸化ナトリウム溶液(74μL,8M)とH2O(50μL)を加えて混合物を30分間RTで撹拌した後、アルキンB-1b(200mg,0.59mmol)を加える。反応混合物をマイクロ波反応器内で100℃にて15分間加熱する。RP-HPLCによるクロマトグラフ精製を経て7aを得る。
上記プロセスと同様に、実施例7b〜7j及びタイプ7の他の匹敵する化合物を対応するアルデヒド及びアルキンB-1を用いて合成する。
【0115】
【化61】

【0116】
【化62】

【0117】
【化63】

【0118】
(実施例8a〜8pの合成)
反応スキームGに記載の経路と同様に、以下の実施例8a〜8pを合成することができる。
【0119】
【化64】

【0120】
【化65】

【0121】
【化66】

【0122】
【化67】

【0123】
以下の実施例は、本発明の化合物の生物学的活性を示すが、本発明をこれらの実施例に限定するものではない。
一般式(1)の化合物は、治療分野におけるその広範な用途を特徴とする。特に、特有のシグナル酵素の阻害、特に培養ヒト腫瘍細胞の増殖のみならず例えば内皮細胞などの他の細胞の増殖に対する阻害作用が役割を果たす、当該用途に言及すべきである。
【0124】
〔キナーゼ試験B-Raf(V600E)〕
希釈系列において、試験物質溶液の一定分量10μLをマルチウェルプレートに入れる。2μM〜0.128又は0.017nMの濃度範囲を包含するように希釈系列を選択する。必要ならば初期濃度を2μMから10又は0.4μMに変えて、それに合うようにさらに希釈する。DMSOの最終濃度は5%である。10μLのB-Raf(V600E)キナーゼ溶液をピペットで入れ(2.5ngのB-Raf(V600E)-キナーゼ(20mM TrisHCl pH 7.5中)、0.1mM EDTA、0.1mM EGTA、0.286mMオルトバナジウム酸ナトリウム、10%グリセロール、1mg/mLのウシ血清アルブミン、1mMジチオスレイトール含有)、撹拌しながらRTで1時間インキュベートする。20μLのATP溶液[最終濃度:250μM ATP、30mM Tris-HCl pH 7.5、0.02% Brij、0.2mMオルトバナジウム酸ナトリウム、10mM酢酸マグネシウム、ホスファターゼカクテル(Sigma, # P2850, 製造業者が推奨する希釈度)、0.1mM EGTA]及び10μLのMEK1溶液[50ngのビオチン化MEK1(標準手順に従い、例えば試薬EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin, Pierce, #21335を用いて精製したMEK1から調製した)(50mM Hepes pH 7.5中)、150mM NaCl、10%グリセロール、0.02% Brij-35、0.2mM PMSF、0.2mMベンズアミジン含有]を添加してキナーゼ反応を開始させ、絶えず撹拌しながらRTで60分間反応を行う。12μLの100mM EDTA溶液を添加して反応を終わらせ、さらに5分間インキュベートする。55μLの反応溶液をストレプトアビジン被覆プレート(例えばStreptawell HighBond, Roche, # 11989685001)中に移し、RTで1時間穏やかに振とうさせて、ビオチン化MEK1をプレートに結合させる。液体の除去後、プレートを200μLの1xPBS、及び一次抗体に加えてユーロピウム標識化二次抗体[Anti Phospho-MEK(Ser217/221), Cell Signaling # 9121及びEu-N1標識化ヤギ-抗ウサギ抗体, Perkin Elmer # AD01015]の溶液100μLで洗浄し、一次抗体を1:2000希釈し、二次抗体を加えてDelfiaアッセイ緩衝液(Perkin Elmer, # 1244-111)で0.4〜0.5μg/mLに希釈する。RTで1時間撹拌後、溶液を流し去り、200μLのDelfia洗浄緩衝液(Perkin Elmer # 4010-00101244-114)で5回洗浄する。200μLの増強溶液(Perkin Elmer # 4001-00101244-105)の添加後、この調合液をRTで10分間振とうさせてからプログラム「Delfia時間分解蛍光(Time Resolved Fluorescence)(ユーロピウム)」を用いてWallac Victorで測定する。これらの薬用量-活性曲線からソフトウェアプログラム(GraphPadPrizm)を用いてIC50値を決定する。
実施例化合物1a〜1e、1aa〜1ac、2a、2b、3a、5b-a、5b-b、6a〜6c及び7a〜7eは、このB-Raf(V600E)阻害試験で非常に良い阻害作用を示す。すなわち、これらの化合物は、0.5μM未満、通常は200nM未満のIC50値を有する。
【0125】
〔培養ヒトメラノーマ細胞(SK-MEL28)についての増殖の阻害の測定〕
培養ヒト腫瘍細胞についての増殖を測定するため、メラノーマ細胞系SK-MEL28[アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)]の細胞を、10%ウシ胎児血清、2%炭酸水素ナトリウム、1mMピルビン酸ナトリウム、1%可欠アミノ酸(例えばCambrexから、# BE13-114E)及び2mMグルタミンで補充したMEM培地内で培養する。SK-MEL28細胞を補充MEM培地内(上記参照)2500細胞/ウェルの密度で96-ウェル平底プレートに入れ、インキュベーター内で一晩インキュベートする(37℃及び5%CO2で)。50μM〜3.2nMの濃度範囲を包含するように種々の濃度で活性物質を細胞に加える。必要ならば初期濃度を50μMから10μM又は2μMに変えて、それに合わせてさらなる希釈(0.6nM又は0.12nMへ)を行う。さらに72時間のインキュベーション後、20μLのAlamarBlue試薬(Serotec Ltd., # BUF012B)を各ウェルに加えて細胞をさらに3〜6時間インキュベートする。AlamarBlue試薬の色の変化を蛍光分光光度計(例えばGemini, Molecular Devices)で測定する。ソフトウェアプログラム(GraphPadPrizm)を用いてEC50値を計算する。
実施例化合物1a、1aa〜1ac、3a、5b-a、6c及び7a〜7eは、この細胞SK-MEL28アッセイで非常に良い活性を示す。すなわち、これらの化合物は5μM未満のEC50値を有する。
【0126】
〔培養ヒトメラノーマ細胞(A375)についての増殖の阻害の測定〕
培養ヒトメラノーマ細胞についての増殖を測定するため、メラノーマ細胞系A375[アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)]を、10%ウシ胎児血清及び2%炭酸水素ナトリウムで補充したMEM培地内で培養する。SK-MEL28細胞について述べた方法に従って(上記参照)、A375について試験物質を試験する。
実施例化合物1a、1aa〜1ac、3a、5b-a、6c及び7a〜7eは、この細胞A375アッセイで非常に良い活性を示す。すなわち、これらの化合物は5μM未満のEC50値を有する。
【0127】
本発明の物質はB-Rafキナーゼインヒビターである。DNA染色後のFACS又はCellomics Array Scan解析で実証できるように、本発明の化合物によって達成される増殖の阻害は、主にDNA合成期への移行を阻止することによってもたらされる。処理細胞は、細胞周期のG1期で静止する。従って、本発明の化合物を他の腫瘍細胞についても試験する。例えば、これらの化合物は結腸癌細胞系Colo205及び乳癌細胞系DU4475について活性であり、これらの適応症のために使用できる。このことは、種々のタイプの腫瘍を治療するための本発明の化合物の有用性を実証する。
本発明の一般式(1)の化合物、その互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、混合物、多形及び全ての前記形態の塩は、その生物学的特性のため、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に適する。
過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患は、例えば、ウイルス感染症(例えばHIV及びカポジ肉腫);炎症性及び自己免疫疾患(例えば大腸炎、関節炎、アルツハイマー病、糸球体腎炎及び創傷治癒);細菌、真菌及び/又は寄生虫感染症;白血病、リンパ腫及び固形腫瘍(例えば癌腫及び肉腫)、皮膚疾患(例えば乾癬);細胞(例えば線維芽細胞、肝細胞、骨及び骨髄細胞、軟骨若しくは平滑筋細胞又は上皮細胞)数の増加を特徴とする過形成に基づく疾患(例えば子宮内膜過形成);骨疾患及び心血管疾患(例えば再狭窄及び肥大)である。本発明の物質は、放射線、UV治療及び/又は細胞増殖抑制治療によってもたらされるDNA損傷から増殖性細胞(例えば毛髪、腸管、血液及び前駆細胞)を保護するためにも有用である。
【0128】
例えば、限定するものではないが、以下の癌を本発明の化合物で治療することができる:脳腫瘍、例えば聴神経鞘腫、星状細胞腫、例えば毛様細胞性星状細胞腫、線維性星状細胞腫、原形質星状細胞腫、大円形細胞性星状細胞腫(gemistocytary astrocytoma)、未分化星状細胞腫及び神経膠芽腫、脳リンパ腫、脳転移、下垂体腫瘍、例えばプロラクチノーマ、HGH(ヒト成長ホルモン)産生性腫瘍及びACTH産生性腫瘍(副腎皮質刺激ホルモン)、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫及び乏突起神経膠腫;神経腫瘍(新生物)、例えば植物性神経系の腫瘍、例えば交感神経芽細胞腫(neuroblastoma sympathicum)、神経節腫、傍神経節腫(褐色細胞腫、クロム親和性細胞腫)及び頚動脈小体腫瘍、末梢神経系の腫瘍、例えば断端神経腫、神経線維腫、神経鞘腫(神経鞘腫(neurilemmoma)、シュワン腫)及び悪性シュワン腫並びに中枢神経系の腫瘍、例えば脳及び骨髄の腫瘍;腸癌、例えば直腸、結腸、肛門、小腸及び十二指腸の癌;眼瞼腫瘍、例えば基底細胞腫又は基底細胞癌;膵臓癌又は膵臓の癌腫;膀胱癌又は膀胱の癌腫;肺癌(気管支癌)、例えば小細胞気管支癌(燕麦細胞癌)及び非小細胞気管支癌、例えば扁平上皮癌(plate epithelial carcinoma)、腺癌及び大細胞気管支癌;乳癌、例えば乳腺癌、例えば浸潤性乳管癌、膠様癌、浸潤性小葉癌、管状癌、腺様嚢胞癌(adenocystic carcinoma)及び乳頭癌;非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えばバーキットリンパ腫、低悪性度非ホジキンリンパ腫(NHL)及び菌状息肉腫(mucosis fungoides);子宮癌又は子宮内膜癌又は子宮体部癌;CUP症候群(原発不明癌(Cancer of Unknown Primary);卵巣癌又は卵巣癌腫、例えば粘液性、子宮内膜又は漿液癌;胆嚢疾患癌;胆管癌、例えばクラッキン腫瘍(Klatskin tumour);精巣癌、例えばセミノーマ及び非セミノーマ;リンパ腫(リンパ肉腫)、例えば悪性リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病(leukaemic reticuloendotheliosis)、免疫細胞腫、形質細胞腫(多発性骨髄腫)、免疫芽細胞腫(immunoblastoma)、バーキットリンパ腫、T-ゾーン菌状息肉腫、大細胞未分化リンパ芽球腫及びリンパ芽球腫;喉頭癌、例えば声帯、声門上部、声門の腫瘍及び声門下喉頭腫瘍;骨癌、例えば骨軟骨腫、軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、骨腫、類骨腫、骨芽細胞腫、好酸球性肉芽腫、巨細胞腫、軟骨肉腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、形質細胞腫、線維性骨異形成症、若年性骨嚢腫及び動脈瘤性骨嚢腫;頭頚部腫瘍、例えば唇、舌、口腔底、口腔、歯肉、口蓋、唾液腺、咽頭、鼻腔、副鼻腔、喉頭及び中耳の腫瘍;肝臓癌、例えば肝臓細胞癌又は肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)(HCC);白血病、例えば急性白血病、例えば急性リンパ性/リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML);慢性白血病、例えば慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML);胃癌又は胃の癌腫、例えば乳頭状、管状及び粘液性腺癌、印環細胞癌、腺扁平上皮癌、小細胞癌及び未分化癌;メラノーマ、例えば表面伝播性、結節性、悪性黒子及び末端黒子型メラノーマ;腎臓癌、例えば腎臓細胞癌又は副腎腫又はグラビッツ腫瘍;食道癌又は食道の癌腫;陰茎癌;前立腺癌;咽喉癌又は咽頭の癌腫、例えば鼻咽頭癌、中咽頭癌及び下咽頭癌;網膜芽細胞腫;腟癌又は腟癌腫;扁平上皮癌腫、腺癌、上皮内癌(in situ carcinoma)、悪性メラノーマ及び肉腫;甲状腺癌、例えば乳頭状、濾胞状及び髄質性甲状腺癌、並びに未分化癌;皮膚の棘細胞癌、類表皮癌及び扁平上皮癌;胸腺腫、尿道の癌及び外陰部の癌。
【0129】
上記疾患の予防、短期又は長期治療のために新規化合物を使用することができ、必要に応じて放射線療法又は例えば細胞分裂停止若しくは細胞障害性物質、細胞増殖インヒビター、抗血管新生物質、ステロイド若しくは抗体などの他の「最先端の」化合物と併用してもよい。
一般式(1)の化合物を単独で使用してよく又は本発明の他の活性物質と併用してよく、必要に応じて他の薬理学的に活性な物質と併用してもよい。
本発明の化合物と共に投与してよい化学療法薬としては、限定するものではないが、ホルモン、ホルモン類似体及び抗ホルモン薬(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、酢酸メゲストロール、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、アミノグルテチミド、酢酸シプロテロン、フィナステリド、酢酸ブセレリン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、メドロキシプロゲステロン、オクトレオチド)、アロマターゼインヒビター(例えばアナストロゾール、レトロゾール、リアロゾール(liarozole)、ボロゾール、エキセメスタン、アタメスタン(atamestane))、LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば酢酸ゴセレリン、リュープロリド(luprolide))、成長因子のインヒビター(例えば「血小板由来成長因子」及び「肝細胞成長因子」などの成長因子、インヒビターは、例えば「成長因子」抗体、「成長因子受容体」抗体及びチロシンキナーゼインヒビター、例えばゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ及びトラスツズマブ等である);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート、ラルチトレキセド、ピリミジン類似体、例えば5-フルオロウラシル、カペシタビン及びゲムシタビン、プリン及びアデノシン類似体、例えばメルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン及びペントスタチン、シタラビン、フルダラビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン系薬剤、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、マイトマイシン-C、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ストレプトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン);アルキル化薬(例えばエストラムスチン、メクロレタミン(meclorethamine)、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ダカルバジン、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミド、ニトロソウレア、例えばカルムスチン及びロムスチン、チオテパ);有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びビンクリスチン;及びタキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル);トポイソメラーゼインヒビター(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びエトポフォス(etopophos)、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロン)及び種々の化学療法薬、例えばアミホスチン、アナグレリド、クロドロネート(clodronat)、フィルグラスチン(filgrastin)、インターフェロンアルファ、ロイコボリン、リツキシマブ、プロカルバジン、レバミソール、メスナ、ミトタン、パミドロネート及びポルフィマーが挙げられる。
【0130】
適切な製剤としては、例えば錠剤、カプセル剤、座剤、溶液、特に注射(皮下、静脈内、筋肉内)及び注入用溶液、エリキシル剤、エマルション又は分散性粉末が挙げられる。医薬的に活性な化合物の含量は、全体として組成物の0.1〜90wt.-%、好ましくは0.5〜50wt.-%の範囲内であるべき、すなわち、以下に指定する薬用量範囲を達成するのに十分な量である。必要ならば、指定用量を1日に数回与えてもよい。
適切な錠剤は、例えば、活性物質を既知賦形剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはラクトース等の不活性な希釈剤、コーンスターチ若しくはアルギン酸などの崩壊剤、デンプン若しくはゼラチン等の結合剤、ステアリン酸マグネシウム若しくはタルク等の潤沢剤及び/又はカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、又はポリ酢酸ビニル等の遅延放出用薬と混合することによって得られる。錠剤が数層を成してもよい。
従って、錠剤と同様に作製したコアを、錠剤コーティングのために常用されている物質、例えばコリドン又はシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖でコーティングすることによって、コーティング錠を調製することができる。遅延放出を達成するか又は非適合性を防止するため、コアがいくつかの層から成ってもよい。同様に、おそらく錠剤について上述した賦形剤を用いて、遅延放出を達成するため、錠剤コーティングがいくつかの層から成っていてもよい。
本発明の活性物質又はその組合せを含むシロップ剤又はエリキシル剤は、さらにサッカリン、シクラメート、グリセロール又は糖などの甘味料及び風味向上剤、例えばバニリン又はオレンジエキス等の香味料をさらに含んでよい。それらは、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等の懸濁液アジュバント若しくは増粘剤、又は例えば脂肪アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物のような湿潤剤、又はp-ヒドロキシベンゾアート等の保存剤を含んでもよい。
常法、例えば等張剤、p-ヒドロキシベンゾアート等の保存剤、又はエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩などの安定剤を添加して、必要に応じて乳化剤及び/又は分散剤を用いて注射及び注入用溶液を調製し(希釈剤として水を使用する場合は、必要に応じて、例えば、有機溶媒を溶媒和剤又は溶解助剤として使用してよい)、注射バイアル若しくはアンプル又は注入ビンに移す。
1種以上の活性物質又は活性物質の組合せを含むカプセル剤は、例えば活性物質をラクトース若しくはソルビトール等の不活性な担体と混合し、それらをゼラチンカプセルに詰めることによって調製される。
適切な座剤は、例えばこの目的のために提供されている担体、例えば中性脂肪若しくはポリエチレングリコール又はその誘導体と混合することによって調製される。
使用しうる賦形剤としては、例えば、水、医薬的に許容しうる有機溶媒、例えばパラフィン(例えば石油留分)、植物油(例えば落花生油又はゴマ油)、単官能性又は多官能性アルコール(例えばエタノール又はグリセロール)、担体、例えば天然鉱物粉末(例えばカオリン、粘土、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば高分散性ケイ酸及びケイ酸塩)、糖(例えばショ糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えばリグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
製剤を常法、好ましくは経口又は経皮経路、最も好ましくは経口経路で投与する。経口投与では、錠剤は当然に上記担体とは別にクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウム等の添加剤を、種々の添加剤、例えばデンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等と共に含んでよい。さらに、錠剤化プロセスのためステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等の潤沢剤を同時に使用してよい。水性懸濁液の場合、活性物質を、上記賦形剤に加えて種々の風味向上剤又は着色剤と混合してよい。
非経口用途では、活性物質と適切な液状担体の溶液を使用してよい。
静脈内用途の薬用量は、1〜1000mg/時間、好ましくは5〜500mg/時間である。
しかし、体重、投与経路、薬物に対する個体の反応、その製剤の性質及び薬物を投与する時間又は間隔によっては、指定量を逸脱する必要があることもある。従って、ある場合には、上記最少用量未満の使用で十分であるが、他の場合には、上限を超えなければならないこともある。多量に投与する場合は、その日じゅうに分散したいくつかのより少ない用量に分割するのが賢明であろう。
【0131】
以下の製剤例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明を例証する。
(医薬製剤の例)
A) 錠剤 1錠当たり
式(1)の活性物質 100mg
ラクトース 140mg
コーンスターチ 240mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
500mg
微粉砕した活性物質、ラクトース及びコーンスターチの一部を一緒に混合する。混合物をふるいにかけてからポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、混練し、湿式顆粒化して乾燥させる。顆粒、残りのコーンスターチ及びステアリン酸マグネシウムをふるいにかけて一緒に混合する。混合物を圧縮して適切な形状と大きさの錠剤を作る。
【0132】
B) 錠剤 1錠当たり
式(1)の活性物質 80mg
ラクトース 55mg
コーンスターチ 190mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 23mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
400mg
微粉砕した活性物質、コーンスターチの一部、ラクトース、微結晶性セルロース及びポリビニルピロリドンを一緒に混合し、混合物をふるいにかけ、残りのコーンスターチ及び水とこねて顆粒を形成し、乾燥させてふるいにかける。ナトリウムカルボキシメチルデンプンとステアリン酸マグネシウムを加え、よく混ぜ合わせて混合物を圧縮して適切な大きさの錠剤を形成する。
【0133】
C) アンプル溶液
式(1)の活性物質 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射用水 5mg
活性物質を水にそれ自体のpH又は必要に応じて5.5〜6.5のpHで溶かし、塩化ナトリウムを加えて等張にする。得られた溶液を熱源なしでろ過し、ろ液を無菌条件下でアンプル中に移してから滅菌し、融合によって密封する。アンプルは5mg、25mg及び50mgの活性物質を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)の化合物。
【化1】

(式中、
Qは、下記部分構造(i)〜(iv)
【化2】

から選択される部分構造を有し;
W、X及びYは、それぞれ相互独立に=CR5a-及び=N-の中から選択され;
Zは、各場合、-NR6-、-O-及び-S-の中から独立に選択され;
Lは、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-S(O)NH-、-S(O)2NH-、-C(NH)NH-、-NHC(NH)-、-NHS(O)-及び-NHS(O)2-の中から選択され;
R1は、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで任意に置換されていてもよい基を表し;
R2は、C6-10アリール及び5〜12員ヘテロアリールの中から選択され、前記基は、1つ以上の同一若しくは異なるR5bで置換され(ここで、少なくとも1つのR5bは、水素と異ならなければならない);
R3及び各R4は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、-CN、-NO2、-NRhRh、-ORh、-C(O)Rh、-C(O)NRhRh、-SRh、-S(O)Rh、-S(O)2Rh、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-7シクロアルキル及び3〜7員ヘテロシクロアルキルの中から選択され;
各R5a及びR5bは、独立にRa及びRbの中から選択され;
R6は、Raと同様に定義され;
nは、値0、1、2又は3を有し;
各Raは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rbは、適切な置換基を表し、-ORc、-SRc、-NRcRc、-ONRcRc、-N(ORc)Rc、-NRgNRcRc、ハロゲン、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-C(O)Rc、-C(O)ORc、-C(O)NRcRc、-C(O)SRc、-C(O)NRgNRcRc、-C(O)NRgORc、-[C(O)]2NRcRc、-[C(O)NRg]2Rc、-C(S)Rc、-C(S)ORc、-C(S)NRcRc、-C(S)SRc、-C(NRg)Rc、-N=CRcRc、-C(NRg)ORc、-C(NRg)NRcRc、-C(NRg)SRc、-C(NRg)NRgNRcRc、-C(NORg)Rc、-C(NORg)NRcRc、-C(NNRgRg)Rc、-C[NNRgC(O)NRgRg]Rc、-OS(O)Rc、-OS(O)ORc、-OS(O)NRcRc、-OS(O)2Rc、-OS(O)2ORc、-OS(O)2NRcRc、-OC(O)Rc、-OC(O)ORc、-OC(O)SRc、-OC(O)NRcRc、-O[C(O)]2NRcRc、-O[C(O)NRg]2NRcRc、-OC(S)Rc、-OC(NRg)Rc、-OC(NRg)NRcRc、-ONRgC(O)Rc、-S(O)Rc、-S(O)ORc、-S(O)NRcRc、-S(O)2Rc、-S(O)2ORc、-S(O)2NRcRc、-[S(O)2]2NRcRc、-SC(O)Rc、-SC(O)ORc、-SC(O)NRcRc、-SC(S)Rc、-SC(NRg)Rc、-SC(NRg)NRcRc、-NRgC(O)Rc、-NRgC(O)ORc、-NRgC(O)NRcRc、-NRgC(O)SRc、-NRgC(O)NRgNRcRc、-NRgC(S)Rc、-NRgC(S)NRcRc、-NRgC(NRg)Rc、-N=CRcNRcRc、-NRgC(NRg)ORc、-NRgC(NRg)NRcRc、-NRgC(NRg)SRc、-NRgC(NORg)Rc、-NRgS(O)Rc、-NRgS(O)ORc、-NRgS(O)2Rc、-NRgS(O)2ORc、-NRgS(O)2NRcRc、-NRgNRgC(O)Rc、-NRgNRgC(O)NRcRc、-NRgNRgC(NRg)Rc、-NRg[C(O)]2Rc、-NRg[C(O)]2ORc、-NRg[C(O)]2NRcRc、-[NRgC(O)]2Rc、-[NRgC(O)]2ORc、-NRg[S(O)2]2Rc、-N(ORg)C(O)Rc、-N[C(O)Rc]NRcRc、-N[C(O)Rc]2、-N[S(O)2Rc]2、-N{[C(O)]2Rc}2、-N{[C(O)]2ORc}2及び-N{[C(O)]2NRcRc}2並びに二価置換基=O、=S、=NRg、=NORg、=NNRgRg及び=NNRgC(O)NRgRg(これらの二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Rcは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRd及び/又はReで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rdは、適切な置換基を表し、-ORe、-SRe、-NReRe、-ONReRe、-N(ORe)Re、-N(Rg)NReRe、ハロゲン、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NReRe、-C(O)SRe、-C(O)NRgNReRe、-C(O)NRgORe、-[C(O)]2NReRe、-[C(O)NRg]2Re、-C(S)Re、-C(S)ORe、-C(S)NReRe、-C(S)SRe、-C(NRg)Re、-N=CReRe、-C(NRg)ORe、-C(NRg)NReRe、-C(NRg)SRe、-C(NRg)NRgNReRe、-C(NORg)Re、-C(NORg)NReRe、-C(NNRgRg)Re、-C[NNRgC(O)NRgRg]Re、-OS(O)Re、-OS(O)ORe、-OS(O)NReRe、-OS(O)2Re、-OS(O)2ORe、-OS(O)2NReRe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)SRe、-OC(O)NReRe、-O[C(O)]2NReRe、-O[C(O)NRg]2NReRe、-OC(S)Re、-OC(NRg)Re、-OC(NRg)NReRe、-ONRgC(O)Re、-S(O)Re、-S(O)ORe、-S(O)NReRe、-S(O)2Re、-S(O)2ORe、-S(O)2NReRe、-[S(O)2]2NReRe、-SC(O)Re、-SC(O)ORe、-SC(O)NReRe、-SC(S)Re、-SC(NRg)Re、-SC(NRg)NReRe、-NRgC(O)Re、-NRgC(O)ORe、-NRgC(O)NReRe、-NRgC(O)SRe、-NRgC(O)NRgNReRe、-NRgC(S)Re、-NRgC(S)NReRe、-NRgC(NRg)Re、-N=CReNReRe、-NRgC(NRg)ORe、-NRgC(NRg)NReRe、-NRgC(NRg)SRe、-NRgC(NORg)Re、-NRgS(O)Re、-NRgS(O)ORe、-NRgS(O)2Re、-NRgS(O)2ORe、-NRgS(O)2NReRe、-NRgNRgC(O)Re、-NRgNRgC(O)NReRe、-NRgNRgC(NRg)Re、-NRg[C(O)]2Re、-NRg[C(O)]2ORe、-NRg[C(O)]2NReRe、-[NRgC(O)]2Re、-[NRgC(O)]2ORe、-NRg[S(O)2]2Re、-N(ORg)C(O)Re、-N[C(O)Re]NReRe、-N[C(O)Re]2、-N[S(O)2Re]2、-N{[C(O)]2Re}2、-N{[C(O)]2ORe}2及び-N{[C(O)]2NReRe}2並びに二価置換基=O、=S、=NRg、=NORg、=NNRgRg及び=NNRgC(O)NRgRg(これらの二価置換基は、芳香環系中の置換基のみである)の中から独立に選択され;
各Reは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRf及び/又はRgで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rfは、適切な置換基を表し、-ORg、-SRg、-NRgRg、-ONRgRg、-N(ORg)Rg、-N(Rh)NRgRg、ハロゲン、-CN、-NC、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-C(O)Rg、-C(O)ORg、-C(O)NRgRg、-C(O)SRg、-C(O)NRhNRgRg、-C(O)NRhORg、-[C(O)]2NRgRg、-[C(O)NRh]2Rg、-C(S)Rg、-C(S)ORg、-C(S)NRgRg、-C(S)SRg、-C(NRh)Rg、-N=CRgRg、-C(NRh)ORg、-C(NRh)NRgRg、-C(NRh)SRg、-C(NRh)NRhNRgRg、-C(NORh)Rg、-C(NORh)NRgRg、-C(NNRhRh)Rg、-C[NNRhC(O)NRhRh]Rg、-OS(O)Rg、-OS(O)ORg、-OS(O)NRgRg、-OS(O)2Rg、-OS(O)2ORg、-OS(O)2NRgRg、-OC(O)Rg、-OC(O)ORg、-OC(O)SRg、-OC(O)NRgRg、-O[C(O)]2NRgRg、-O[C(O)NRh]2NRgRg、-OC(S)Rg、-OC(NRh)Rg、-OC(NRh)NRgRg、-ONRhC(O)Rg、-S(O)Rg、-S(O)ORg、-S(O)NRgRg、-S(O)2Rg、-S(O)2ORg、-S(O)2NRgRg、-[S(O)2]2NRgRg、-SC(O)Rg、-SC(O)ORg、-SC(O)NRgRg、-SC(S)Rg、-SC(NRh)Rg、-SC(NRh)NRgRg、-NRhC(O)Rg、-NRhC(O)ORg、-NRhC(O)NRgRg、-NRhC(O)SRg、-NRhC(O)NRhNRgRg、-NRhC(S)Rg、-NRhC(S)NRgRg、-NRhC(NRh)Rg、-N=CRgNRgRg、-NRhC(NRh)ORg、-NRhC(NRh)NRgRg、-NRhC(NRh)SRg、-NRhC(NORh)Rg、-NRhS(O)Rg、-NRhS(O)ORg、-NRhS(O)2Rg、-NRhS(O)2ORg、-NRhS(O)2NRgRg、-NRhNRhC(O)Rg、-NRhNRhC(O)NRgRg、-NRhNRhC(NRh)Rg、-NRh[C(O)]2Rg、-NRh[C(O)]2ORg、-NRh[C(O)]2NRgRg、-[NRhC(O)]2Rg、-[NRhC(O)]2ORg、-NRh[S(O)2]2Rg、-N(ORh)C(O)Rg、-N[C(O)Rg]NRgRg、-N[C(O)Rg]2、-N[S(O)2Rg]2、-N{[C(O)]2Rg}2、-N{[C(O)]2ORg}2及び-N{[C(O)]2NRgRg}2並びに二価置換基=O、=S、=NRh、=NORh、=NNRhRh及び=NNRhC(O)NRhRh(これらの二価置換基は、芳香環系中の置換基のみである)の中から独立に選択され;
各Rgは、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRhで任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rhは、水素、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から独立に選択され;
但し、
N-[2-アミノ-5-(5-イソキサゾール-3-イル-チオフェン-2-イル)-フェニル]-4-メトキシ-ベンズアミド及び
N-{3-[2-(5-カルバミイドイル-2-メチルスルファニル-チオフェン-3-イル)-チアゾール-4-イル]-フェニル}-4-フルオロ-ベンズアミド
を除き、
さらに前記化合物(1)は、任意にその互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、その混合物及び多形の形態で、又は全ての前記形態の薬理学的に許容しうる塩として存在してもよい。)
【請求項2】
Lが-C(O)NH-及び-NHC(O)-の中から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R3もR4も-OHでも-NH2でない、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
nが値0を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記部分構造(i)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環がピラゾールでない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記部分構造(i)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環がイミダゾールでない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記部分構造(ii)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環がチオフェンでない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記部分構造(i)〜(iv)中のヘテロ芳香族5員環が少なくとも2つのヘテロ原子を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Qが下記部分構造から選択される部分構造(v)〜(xiii)
【化3】

から選択される部分構造を有し、
かつ
R1が、請求項1の定義どおりである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Qが下記部分構造(v)
【化4】

を有し、
かつ
R1が、請求項1の定義どおりである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R1が、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb1及び/又はRc1で任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rb1が適切な置換基であり、-ORc1、-SRc1、-NRc1Rc1、ハロゲン、-CN、-NO2、-C(O)Rc1、-C(O)ORc1、-C(O)NRc1Rc1、-NHC(O)Rc1、-NHC(O)ORc1、-NHC(O)NRc1Rc1、-S(O)Rc1、-S(O)2Rc1並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から選択され;
各Rc1が、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRd1及び/又はRe1で任意に置換されていてもよい基を表し;
各Rd1が適切な置換基であり、-ORe1、-NRe1Re1、ハロゲン、-CN、-NO2、-C(O)Re1、-C(O)ORe1、-C(O)NRe1Re1、-OC(O)Re1、-OC(O)ORe1、-OC(O)NRe1Re1、-NHC(O)Re1、-NHC(O)ORe1、-NHC(O)NRe1Re1並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Re1が、水素、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から独立に選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
R1が、5〜12員ヘテロアリール及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb1及び/又はRc1で任意に置換されていてもよい基である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R1が、5〜12員ヘテロアリール及び3〜14員ヘテロシクロアルキルの中から選択される、1つ以上の同一若しくは異なるRb及び/又はRcで任意に置換されていてもよい基であり、かつ
Rb及びRcが、請求項1の定義どおりである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
R1が、ピリジル、ピリミジル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、フラニル、フェニル、ベンジル、イミダゾ[2.1-b]チアゾリル及びイミダゾ[1,2-a]ピリジルの中から選択され、かつ全ての前記環系が任意に一置換又は多置換されていてもよい、請求項12又は13に記載の化合物。
【請求項15】
R2が、フェニル、ピリジル、ピラゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル及びオキサゾリルの中から選択され、全ての前記基が任意に1つ以上の同一若しくは異なるR5bで置換されていてもよく、かつ
R5bが、請求項1の定義どおりである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
各R5bが、Ra2及びRb2の中から独立に選択され;
各Ra2が、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1つ以上の同一若しくは異なるRb2及び/又はRc2で置換されていてもよい基であり;
各Rb2が適切な置換基を表し、-ORc2、-SRc2、-NRc2Rc2、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、-S(O)Rc2、-S(O)2Rc2、-S(O)NRc2Rc2、-S(O)2NRc2Rc2、-C(O)Rc2、-C(O)ORc2、-C(O)NRc2Rc2、-OC(O)Rc2、-OC(O)ORc2、-OC(O)NRc2Rc2、-NHC(O)Rc2、-NHS(O)2Rc2、-NHC(O)ORc2、-NHC(O)NRc2Rc2、-N=CRc2Rc2、-N=CRc2NRc2Rc2並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Rc2が、独立に水素或いはC1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から選択される、任意に1つ以上の同一若しくは異なるRd2及び/又はRe2で置換されていてもよい基を表し;
各Rd2が適切な置換基を表し、-ORe2、-NRe2Re2、ハロゲン、-CN、-NO2、-C(O)Re2、-C(O)ORe2、-C(O)NRe2Re2、-OC(O)Re2、-OC(O)ORe2、-OC(O)NRe2Re2、-NHC(O)Re2、-NHC(O)ORe2、-NHC(O)NRe2Re2並びに二価置換基=O(この二価置換基は、非芳香環系中の置換基のみであってもよい)の中から独立に選択され;
各Re2が、水素、C1-6アルキル、2〜6員ヘテロアルキル、C1-6ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、5〜12員ヘテロアリール、6〜18員ヘテロアリールアルキル、3〜14員ヘテロシクロアルキル及び4〜14員ヘテロシクロアルキルアルキルの中から独立に選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
医薬組成物としての請求項1〜16のいずれか1項に記載の一般式(1)の化合物又はその薬理学的に許容しうる塩。
【請求項18】
活性物質として請求項1〜16のいずれか1項に記載の一般式(1)の1つ以上の化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を、必要に応じて通常の賦形剤及び/又は担体と共に含む医薬製剤。
【請求項19】
癌、感染症、炎症及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物を調製するための請求項1〜16のいずれか1項に記載の一般式(1)の化合物の使用。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の一般式(1)の化合物(ここで、前記化合物(1)は、任意にその互変異性体、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、その混合物及び多形の形態で、又は全ての前記形態の薬理学的に許容しうる塩として存在してもよい)と、式(1)と異なる少なくとも1種のさらなる細胞分裂停止又は細胞障害活性物質とを含む医薬製剤。

【公表番号】特表2010−531850(P2010−531850A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513965(P2010−513965)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058432
【国際公開番号】WO2009/003998
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】