説明

施設混雑情報予測装置、施設混雑情報予測方法、カーナビゲーションシステムおよびカーナビゲーション装置

【課題】近隣の道路リンクの交通状況の動態に応じて、施設の混雑情報を高精度に予測する。
【解決手段】施設混雑情報予測装置1は、通信ネットワーク4を介して交通情報センタ2に接続され、交通情報センタ2から提供される道路リンクの交通情報および施設の施設混雑情報をそれぞれ交通情報DB22および施設混雑情報DB23に蓄積する。相関係数算出部17は、その蓄積された施設混雑情報と交通情報とに基づき、その相関関係を示す回帰式を算出する。そして、カーナビ装置6が時刻やエリアを指定して施設混雑情報の予測を要求すると、施設混雑情報予測部18は、通情報センタ2から道路リンクの予測交通情報を取得し、その予測交通情報と前記回帰式とに基づき指定されたエリアおよび時刻の施設混雑予測情報を算出し、その施設混雑予測情報をカーナビ装置6に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が利用可能な施設の施設混雑情報を、その施設に近隣する道路リンク(交差点間を結ぶ道路を「道路リンク」または、単に「リンク」という)の交通情報に基づいて予測する施設混雑情報予測装置および施設混雑情報予測方法、並びに、その施設混雑情報予測装置を適用したカーナビゲーションシステムおよびカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のカーナビゲーション装置は、目的地までの最短経路を探索し、その最短経路に従って経路誘導を行うだけではなく、VICSセンター(財団法人道路交通情報通信システムセンター、なお、VICSセンターは登録商標)などから提供される駐車施設の空満情報など施設の混雑情報を表示し、利用者への利便性を向上させている。しかしながら、このときカーナビゲーション装置に表示される駐車施設の空満情報などは、現在または現在より少し前の時点での駐車施設の空満情報であるので、利用者は、自車が目的地に到着する時点での目的地を含むエリアでの駐車施設の空満情報を知ることはできない。
【0003】
特許文献1には、駐車施設の在車台数などの情報を日ごと時間ごとなどに取得、蓄積し、その蓄積した情報に基づき、利用者がその駐車施設を利用する時点での空満情報を予測、提供する駐車施設管理システムの例が開示されている。また、特許文献2には、利用者の求めに応じて、利用者が希望する営業時間、料金、車種などが適合する駐車施設を、目的地近隣または利用者が希望する地域内で検索し、その結果を表示画面上に表示するカーナビゲーション装置の例が開示されている。
【特許文献1】特開2001−331897号公報(段落0019〜段落0038、図1〜図6)
【特許文献2】特開2001−349740号公報(段落0029〜段落0034、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている駐車施設管理システムにおける空満情報の予測は、単なる過去の蓄積情報に基づく予測であり、その駐車施設の近隣の道路リンクの交通状況の動態は考慮されていない。従って、このシステムでは、例えば、事故や規制などの要因により渋滞などが発生し、その渋滞区間に位置するサービスエリアやパーキングエリアなどの駐車施設の利用数が増加したとしても、それを予測することはできない。また、特許文献2のカーナビゲーション装置は、駐車施設の情報を利用者に提供するとしているが、提供される情報は、営業時間や料金などの情報であり、駐車施設の空満情報を予測、表示するなどの機能を備えていない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、駐車施設など車両が利用可能な施設の混雑情報について、その施設近隣の道路リンクの交通状況の動態に連動する精度のよい予測を行うことが可能な施設混雑情報予測装置および施設混雑情報予測方法を実現するとともに、それによって得られる施設混雑予測情報を利用者に提供するカーナビゲーションシステムおよびカーナビゲーション装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の施設混雑情報予測装置は、通信ネットワークを介して、道路リンクの交通情報および施設の混雑情報を提供する交通情報センタに接続され、前記交通情報センタから提供される前記道路リンクの交通情報を蓄積する交通情報蓄積手段と、前記交通情報センタから提供される前記施設の施設混雑情報を蓄積する施設混雑情報蓄積手段とを備え、前記施設と前記施設に近隣する道路リンクとについて、前記施設混雑情報蓄積手段に蓄積された前記施設の施設混雑情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報との相関を求め、前記交通情報センタから前記道路リンクの予測交通情報を取得し、前記施設の施設混雑予測情報を、前記取得した道路リンクの予測交通情報と前記求めた相関とに基づき算出することを特徴とする。また、本発明は、その施設混雑情報予測装置における施設混雑情報予測方法である。
【0007】
本発明では、施設の混雑情報とその施設に近隣する道路リンクの交通情報(例えば、リンク走行所要時間などで表わされるリンクコスト)との相関が高いという実態に基づき、あらかじめ、施設の混雑情報とその施設に近隣する道路リンクの交通情報との相関を表わす回帰式を求めておき、当該道路リンクの予測交通情報と前記回帰式とにより施設混雑予測情報を算出する。そのため、交通状況が急変しても、その交通情報に応じて施設混雑情報を予測することができるので、交通状況の動態にも連動する精度のよい施設混雑情報の予測が可能となる。
【0008】
さらに、本発明は、カーナビゲーション装置が前記の施設混雑情報予測装置に通信ネットワークを介して接続されて構成されたカーナビゲーションシステムであり、また、そのカーナビゲーションシステムにおけるカーナビゲーション装置である。そして、そのカーナビゲーション装置は、施設混雑情報予測装置に対し、時刻およびエリアを指定して、その指定時刻におけるそのエリアに含まれる施設の施設混雑情報を予測することを要求し、その要求に応じて施設混雑情報予測装置から返送される施設混雑予測情報を受信し、受信したその施設混雑予測情報を表示手段により表示することを特徴とする。
【0009】
このようなカーナビゲーションシステムまたはカーナビゲーション装置においては、施設混雑予測情報がカーナビゲーション装置の表示手段により表示されるので、利用者は、車両の運転中に、交通状況の動態に連動した精度のよい施設混雑予測情報を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カーナビゲーション装置において、駐車施設など車両が利用可能な施設の施設混雑予測情報を、その施設近隣の道路リンクの交通状況の動態に連動する精度のよい予測情報として得ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る施設混雑情報予測装置およびカーナビゲーション装置(以下、カーナビ装置と略す)が適用されたカーナビゲーションシステムの全体構成を示した図である。図1において、本実施形態に係る施設混雑情報予測装置1は、インターネットなどの通信ネットワーク4を介して、現況の交通情報および現在以降の予測交通情報を配信する交通情報センタ2と、気象情報を配信する気象情報センタ3とに接続されるとともに、通信ネットワーク4および携帯電話などの基地局5を介して、車両10に搭載されているカーナビ装置6に接続されている。
【0013】
ここでは、まず、図1にさらに図2〜図6を加えて、施設混雑情報予測装置1の構成と機能について説明する。
【0014】
施設混雑情報予測装置1は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、ハードディスク装置などを含んで構成されたいわゆるコンピュータ(情報処理装置)によって構成される。そして、施設混雑情報予測装置1は、機能的には、図1に示すように、通信インターフェース部11、気象情報取得部12、交通情報取得部13、施設混雑情報取得部14、施設混雑情報予測受付部15、施設混雑予測情報提供部16、相関係数算出部17、施設混雑情報予測部18などの機能ブロックを含み、さらに、これらの機能ブロックが使用するDB(Data Base)として、気象情報DB21、交通情報DB22、施設混雑情報DB23、施設−リンク対応DB24、相関係数DB25などを含んで構成される。なお、これらの機能ブロックの機能は、前記CPUが前記メモリ装置やハードディスク装置に記憶されているプログラムを実行することによって実現される。
【0015】
図1において、交通情報取得部13は、交通情報センタ2が通信ネットワーク4を介して所定時間ごとに提供する所定の地域(以下、エリアという)内の道路リンク(以下、単に、リンクという)についての現況の交通情報を、通信インターフェース部11を介して取得し、交通情報DB22に蓄積する。また、同様に、施設混雑情報取得部14は、交通情報センタ2が通信ネットワーク4を介して所定時間ごとに提供する所定のエリア内の現況の施設混雑情報を、通信インターフェース部11を介して取得し、施設混雑情報DB23に蓄積する。さらに、同様に、気象情報取得部12は、気象情報センタ3が通信ネットワーク4を介して所定時間ごとに提供する所定のエリアの現況の気象情報を、通信インターフェース部11を介して取得し、気象情報DB21に蓄積する。
【0016】
なお、本実施形態では、混雑情報を取得する施設の例として、駐車施設(商業施設に併設されているものも含む)を想定する。従って、施設混雑情報とは、具体的には、駐車施設の利用状況を示す駐車施設利用率などのデータである。また、道路リンクの交通情報とは、例えば、そのリンクの走行所要時間、渋滞長などのデータであり、以下、これらを総称してリンクコストという。
【0017】
また、本実施形態では、駐車施設利用率などの施設混雑情報は、交通情報センタ2から提供されるものとするが、交通情報センタ2とは異なる他の情報センタから提供される形態であってもよい。また、本実施形態では、交通情報センタ2から施設混雑情報が提供される施設ごとに、その施設の混雑情報を予測するとするが、互いに隣接するような施設などについては、それらの施設混雑情報が交通情報センタ2からそれぞれ別々に提供される場合であっても、複数の施設を一括して1つの施設として取り扱ってもよい。ただし、その場合には、駐車施設利用率などの施設混雑情報は、各施設の施設混雑情報の平均(駐車施設であれば、全収容可能数を考慮した加重平均)がとられるものとする。
【0018】
次に、相関係数算出部17は、施設混雑情報DB23に蓄積された施設の施設混雑情報と、交通情報DB22に蓄積されたリンクの交通情報との相関関係を示す相関係数などのパラメータを算出する。ここでは、施設の混雑情報(例えば、駐車施設の利用率)とリンクの交通情報(例えば、そのリンクの走行所要時間)との間に有意の相関があり得るということを前提としている。ちなみに、リンクが混雑しているときには、リンクの走行所要時間が大きくなる。また、リンクが混雑、つまり、そのリンクを走行している車両数が多くなると、その近隣の駐車施設の利用率が大きくなる。従って、駐車施設の利用率(施設混雑情報)は、リンクの走行所要時間(リンクの交通情報)と有意の相関があると考えられる。
【0019】
同様に、相関係数算出部17は、施設混雑情報DB23に蓄積された施設の施設混雑情報と、気象情報DB21に蓄積された気象情報、例えば、降雨量や気温などとの相関係数を算出する。駐車施設の利用率は、降雨量や気温などの気象条件とも何らかの相関があると考えられる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る施設混雑情報DB23、交通情報DB22および気象情報DB21を構成するレコードの例を示した図である。図2において、施設混雑情報DB23のレコードは、施設ID(f)と、時刻(t)と、データ数(n)と、例えば、施設の混雑状況を示す混雑データY,Y,…,Yとを含んで構成される。ここで、施設ID(f)は対象となる駐車施設を一意に識別する識別情報である。また、時刻(t)は、混雑データY,Y,…,Yを取得した時刻であり、例えば、この時刻は、1日ごとに繰り返す時刻であっても、週ごとまたは月ごとに繰り返す時刻であっても、平日と休日(土曜、日曜、祝日)とを区別して1日ごとに繰り返す時刻であってもよい。
【0021】
例えば、時刻が平日と休日とを分けて1日ごとに繰り返す時刻である場合には、施設混雑情報DB23のレコードの時刻(t)のフィールドには、平日:9:00、平日:9:10、休日:9:00などのデータが格納される。従って、例えば、時刻(t)が平日:9:00のレコードに含まれる混雑データY,Y,…,Yは、平日の9:00に施設混雑情報取得部14によって取得された混雑データが蓄積されたものである。そのため、平日:9:00のレコードのデータ数と、休日:9:00のレコードのデータ数とは異なっていてもよい。
【0022】
同様に、交通情報DB22のレコードは、リンクID(L)と、時刻(t)と、データ数(n)と、リンクコストデータX,X,…,Xとを含んで構成される。ここで、リンクID(L)は、対象となるリンクを一意に識別する識別情報である。また、時刻(t)は、リンクコストデータX,X,…,Xを取得した時刻であり、好ましくは、施設混雑情報DB23のレコードの時刻(t)と1対1に対応している方がよいが、繰り返しの周期が同じであれば時刻そのものは1対1に対応していなくてもよい。
【0023】
また、気象情報DB21は、エリアID(A)と、時刻(t)と、データ数(n)と、気象情報(例えば、降雨量や気温)のデータR,R,…,R,T,T,…,Tとを含んで構成される。ここで、エリアID(A)は対象となるエリアを一意に識別する識別情報である。また、時刻(t)は、データR,R,…,R,T,T,…,Tを取得した時刻であり、施設混雑情報DB23のレコードの時刻(t)と繰り返しの周期が同じであれば、時刻そのものは1対1に対応していなくてもよい。
【0024】
次に、図3〜図5を参照して、相関係数の算出方法について説明する。ここで、図3は、本実施形態に係る施設−リンク対応DB24および相関係数DB25を構成するレコードの例を示した図、図4は、本実施形態に係る施設の施設混雑情報に対し相関係数を算出する対象となるリンクの例を示した図である。
【0025】
図3において、施設−リンク対応DB24のレコードは、施設ID(f)と、エリアID(A)と、リンク数(m)と、m個のリンクID(L,L,…,L)とにより構成されている。ここで、エリアID(A)は、施設ID(f)が含まれるエリアのエリアIDである。また、リンク数(m)は、施設ID(f)の施設の施設混雑情報と相関をとる対象となるリンクのリンク数であり、リンクID(L,L,…,L)は、その対象のリンクのリンクIDである。
【0026】
ここで、施設ID(f)の施設の施設混雑情報と相関をとる対象のリンクは、例えば、図4に示すように、施設ID(f)の施設が接するリンクLと、リンクLに接続する隣接リンクのリンクL〜Lと、リンクLに並行するリンクLなどを想定している。なお、近隣リンクの採り方は、この他にも、リンクLから所定距離以内のリンクを採るようにしてもよく、また、リンクに上下車線がある場合には、反対車線のリンクも採るようにしてもよい。
【0027】
また、図3において、相関係数DB25のレコードは、施設ID(f)と、時刻(t)と、リンク数(m)と、m個の相関係数とにより構成されている。この相関係数は、いわゆる最小2乗法で求められる回帰直線(Y=aX+z)の傾きを表わすパラメータaであるが、ここでは、パラメータaに加えて回帰直線の切片を表わすパラメータzとを組にして、相関係数DB25に蓄積する。すなわち、相関係数DB25の時刻(t)の相関係数(a,z)(i=1,…,m)は、施設ID(f)の施設の時刻(t)における混雑データY(Y,Y,…,Y)と、リンクID(L)のリンクの時刻(t)におけるリンクコストデータX(X,X,…,X)とから、公知の方法により求められる回帰直線のパラメータである。
【0028】
なお、回帰直線は、気象情報である降雨量Rおよび気温Tを含めた形でも求めることができる。その場合には、回帰直線は、Y=aX+bR+cT+zの形となり、混雑データYに対するリンクコストデータX、降雨量R、気温Tに対応するそれぞれの相関係数a,b,cを公知の方法により求めることができる。
【0029】
また、以上の相関係数を求めるに当たっては、混雑データYが取得された時刻(t)とリンクコストデータXが取得された時刻(t)とは、同じ時刻であることが好ましい。しかしながら、同じ時刻(t)の情報が存在しない場合もある。その場合には、2つの時刻(t)の時間差が最も小さい情報同士について相関係数を求めるとよい。この事情は、混雑データYと気象情報R,Tとの相関をとる場合についても同様である。
【0030】
また、相関係数DB25のレコードで時刻(t)のフィールドには、時刻そのものではなく時間帯、例えば、7:00〜9:00などの情報が格納されるとしてもよい。混雑データYとリンクコストデータXとの相関係数は、ある時刻ごとに(例えば、7:00,7:10,7:20,…)逐一算出するよりも、これら複数の時刻の情報について一括して算出したほうがいい場合もあるからである。
【0031】
相関係数算出部17は、以上に説明したレコードを有する施設−リンク対応DB24、施設混雑情報DB23、交通情報DB22、気象情報DB21に基づき、それぞれの相関係数を算出し、その結果を相関係数DB25に蓄積する。
【0032】
図5は、本実施形態に係る施設混雑情報予測装置1の相関係数算出部17が行う処理の流れの例を示した図である。以下、その処理の流れについて説明するが、ここでは繁雑を避けるために、施設の混雑データYとリンクコストデータXとの間の相関係数のみを算出するものとし、気象情報の降雨量R,気温Tとの相関は、考慮しないものとする。また、これらの処理を実行する主体は、施設混雑情報予測装置1のCPU(図示せず)であるが、本明細書では、便宜上、その機能ブロック(この場合は、相関係数算出部17)が処理の実行主体であるものとして記載する(つまり、機能ブロックを主語とする)。
【0033】
図5において、相関係数算出部17は、まず、対象エリア(A)と、時間帯(t≦τ<t)とを指定する(ステップS10)。ここで、対象エリア(A)は1つとする。対象エリア(A)が複数である場合には、図5の処理を複数回実行すればよい。また、時間帯(t≦τ<t)は、交通情報DB22などにおける時刻(t)と同様に1日ごと、週ごとなどに繰り返す時間軸での所定の時間帯を示す。例えば、時間帯(7:00≦τ<9:00)は、7:00〜9:00の時間帯を意味し、時刻(t)が平日、休日などで区別されている場合には、時間帯も平日、休日などで区別する。また、ここでは、時間帯についても1つの時間帯を指定するが、複数の時間帯について相関係数を算出する場合には、図5の処理を複数回実行する。
【0034】
次に、相関係数算出部17は、施設−リンク対応DB24を参照して、対象エリア(A)に含まれる施設の施設ID(f:i=1,…,p)を抽出する(ステップS11)。ここで、pは対象エリア(A)に含まれる施設の数である。そして、ステップS11で抽出した施設ID(f:i=1,…,p)から1つの施設ID(f)を選択する(ステップS12)。
【0035】
次に、相関係数算出部17は、施設−リンク対応DB24を参照して、施設ID(f)のレコードに含まれるリンクID(L:i=1,…,m)を抽出する(ステップS13)。そして、ステップS13で抽出したリンクID(L:i=1,…,m)から1つのリンクID(L)を選択する(ステップS14)。
【0036】
次に、相関係数算出部17は、交通情報DB22におけるレコードのうち、リンクID(L)のレコードで、時間帯τに含まれるすべての時間(t)のレコードからリンクコストデータX(X:i=1,…,nτ)を読み出す(ステップS15)。ここで、nτは、時間帯τに含まれるリンクコストデータXの総数であり、例えば、各時刻のレコードにn個のリンクコストデータがあり、時間帯τにk個の時刻のレコードが含まれている場合には、nτ=n×kとなる。
【0037】
同様に、相関係数算出部17は、施設混雑情報DB23におけるレコードのうち、リンクID(f)のレコードで、時間帯τに含まれるすべての時間(t)のレコードから混雑データY(Y:i=1,…,nτ)を読み出す(ステップS16)。ここで、nτは、時間帯τに含まれる混雑データYの総数である。このとき、混雑データYは、リンクコストデータXと1対1に対応しているものとする。
【0038】
次に、相関係数算出部17は、公知の統計学の方法に基づき、リンクコストデータX(X:i=1,…,nτ)と混雑データY(Y:i=1,…,nτ)とから、回帰式(Y=aX+z)の相関係数(a,z)を算出し(ステップS17)、算出した相関係数(a,z)を相関係数DB25に蓄積する(ステップS18)。
【0039】
次に、相関係数算出部17は、ステップS13で抽出したリンクID(L:i=1,…,m)に含まれるリンクIDを、ステップS14ですべて選択したかを判定し(ステップS19)、選択していないリンクIDがある場合には(ステップS19でNo)、ステップS14へ戻り、ステップS14以降の処理を再度実行する。
【0040】
また、ステップS19の判定で、すべてのリンクを選択した場合には(ステップS19でYes)、ステップS11で抽出した施設ID(f:i=1,…,p)に含まれる施設IDをステップS12ですべて選択したかを判定し(ステップS20)、選択していない施設IDがある場合には(ステップS20でNo)、ステップS12へ戻り、ステップS12以降の処理を再度実行する。また、ステップS20の判定で、すべてのリンクを選択した場合には(ステップS20でYes)、相関係数算出部17の処理を終了する。
【0041】
なお、以上の処理において、相関係数DB25の1つのレコード(図3参照)は、ステップS14〜ステップS18を繰り返すことによって作成される。また、ステップS14〜ステップS18を繰り返すことによって、p個のレコードが作成される。このとき、これらのレコードの時刻(t)のフィールドには、時間帯(τ)が格納される。
【0042】
続いて、図6を参照して、施設混雑情報の予測処理について説明する。ここで、図6は、本実施形態に係る施設混雑情報予測装置1の施設混雑情報予測部18が行う処理の流れの例を示した図である。なお、この処理は、カーナビ装置6から送信される施設混雑情報予測要求を、施設混雑情報予測受付部15が通信インターフェース部11を介して受信したときに起動される。
【0043】
図6において、施設混雑情報予測部18は、施設混雑情報予測受付部15が通信インターフェース部11を介してカーナビ装置6から受け取った情報に基づき、予測対象の施設ID(f)と時刻(t)を指定する(ステップS31)。ここでは、施設ID(f)に代えてエリアID(A)を、時刻(t)に代えて時間帯(τ)を指定してもよい。
【0044】
次に、施設混雑情報予測部18は、交通情報取得部13および通信インターフェース部11を介して交通情報センタ2から、施設ID(f)の施設が含まれるエリアについて、時刻(t)における予測交通情報を取得する(ステップS32)。なお、本実施形態では、交通情報センタ2は、適宜、道路リンクの交通情報(リンクコストデータなど)を予測し、予測した予測交通情報を施設混雑情報予測装置1へ提供するものとする。
【0045】
次に、施設混雑情報予測部18は、相関係数DB25を参照し、施設ID(f)、時刻(t)のレコードに含まれる相関係数(a:i=1,…,m)のうち、最大の相関係数(amax)を抽出する(ステップS33)。図4に示したように、施設ID(f)の施設には、近隣のリンク(L,L,…,L)が対応付けられているが、このステップでは、そのリンクのうち相関係数が最も大きいリンクを抽出する。つまり、以下のステップにおいては、施設の混雑データを、相関係数の最も大きいリンクの予測交通情報に基づき、予測しようとするものである。
【0046】
次に、施設混雑情報予測部18は、その抽出した最大の相関係数(amax)が所定の値(例えば、0.5)より大きいか否かを判定し、所定の値より小さい場合には(ステップS34でNo)、施設の混雑データYと隣接リンクのリンクコストデータXとの間に有意の相関がないことを意味するので、施設の混雑データYをリンクコストデータXから予測することはできない。そこで、予測不能フラグをセットして(ステップS38)、施設混雑情報の予測処理を終了する。
【0047】
また、最大の相関係数(amax)が所定の値(例えば、0.5)より大きい場合には(ステップS34でYes)、施設混雑情報予測部18は、施設−リンク対応DB24を参照して、最大の相関係数(amax)に対応するリンクID(L)を抽出する(ステップS35)。そして、ステップS32で取得した予測交通情報から、リンクID(L)の時刻(t)におけるリンクコストデータXを抽出する(ステップS36)。
【0048】
次に、相関係数DB25から取り出した相関係数(a(=amax),z)とリンクコストデータXと、回帰式(Y=aX+z)に基づき混雑データYを算出し(ステップS37)、時刻(t)、施設ID(f)の施設における施設混雑予測データとする。
【0049】
以上のようにして、時刻(t)、施設ID(f)の施設における施設混雑データを予測することができる。本実施形態の場合、施設ID(f)の施設が接するリンクL(図4参照)の相関係数だけでなく、リンクL〜L(図4参照)など近隣のリンクについてもそれぞれ相関係数を算出し、相関係数が最大のリンクについてのリンクコストデータXから施設ID(f)の施設の混雑データを予測する。
【0050】
例えば、渋滞が定常的に生じるようなリンクに接して位置する施設の混雑データは、そのリンクのリンクコストとの相関よりも、その手前側に接続されたリンクのリンクコストとの相関の方が大きいことがある。そのような場合、図5および図6の処理の流れによれば、その施設の予測混雑データは、その手前側に接続されたリンクのリンクコストの予測データに基づき算出される。
【0051】
また、本実施形態によれば、施設ID(f)の施設が接するリンクLについて予測交通情報としてリンクコストが提供されない場合であっても、近隣のリンクL〜Lの少なくとも1つにリンクコストの予測情報が提供されている場合には、そのリンクコストにより施設ID(f)の施設の施設混雑予測情報を得ることができる。
【0052】
以上のようにして、時刻(t)、施設ID(f)の施設の施設混雑予測情報が得られると、その得られた施設混雑予測情報は、施設混雑予測情報提供部16によって、通信インターフェース部11を介してカーナビ装置6へ送信される。
【0053】
図7は、本実施形態に係る施設混雑情報予測装置1の構成の変形例を示した図である。以上に説明した施設混雑情報予測装置1においては、交通情報センタ2からリンクの予測交通情報(リンクコストデータ)を取得するとしているが、図7に示すように、施設混雑情報予測装置1aが交通情報予測部19を含んで構成されてもよい。この場合には、交通情報予測部19は、交通情報DB22に蓄積されている過去の交通情報と、交通情報取得部13によって交通情報センタ2などから得られる現況の交通情報とに基づき、施設の施設混雑情報を予測する。
【0054】
ここで、交通情報DB22には、各リンク、各時刻について、例えば、リンクコストデータなどの過去の交通情報が蓄積されている。従って、交通情報予測部19は、各リンクについてその過去のリンクコストデータに基づき、各時刻におけるリンクコストデータの時間変化率を求めることができる。そこで、交通情報予測部19は、現況のリンクコストデータとその時間変化率とに基づき、その時点以降の指定された時刻のリンクコストデータを算出する。このような交通情報の予測については、例えば、特開2004−29871号公報などに開示されている。
【0055】
続いて、図1、図7および図8〜図11を参照して、施設混雑情報予測装置1,1aによって予測される施設混雑情報を表示するカーナビ装置6の構成および機能について説明する。
【0056】
図1に示したように、カーナビ装置6は、車両10に搭載され、本体部61、表示部62、携帯電話機63、GPS(Global Positioning System)受信機64などを含んで構成される。ここで、本体部61は、図示しないCPU、メモリ装置、ハードディスク装置などを含んで構成されたいわゆるコンピュータによって構成される。なお、本体部61の詳細な構成については、図9を参照して、別途、詳しく説明する。
【0057】
また、表示部62は、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイなどによって構成され、本体部に61よって得られた誘導経路や施設の混雑情報などを含んだ地図が表示される。また、携帯電話機63は、基地局5と無線で通信する無線通信装置であり、基地局5および通信ネットワーク4を介して、本体部61を施設混雑情報予測装置1に接続する。また、GPS受信機64は、図示しないGPS衛星からの電波を受信し、現在位置情報を算出し、算出した位置情報を自車位置として本体部61へ入力する。
【0058】
図8は、本実施形態に係るカーナビ装置6の表示部62における施設混雑予測情報の表示例を示した図である。図8において、カーナビ装置6の表示部62には、地図表示画面621aが表示され、その地図表示画面621aには、自車位置を含む道路地図と施設混雑情報が表示される。例えば、図8には、自車位置近隣の施設として丸囲み1の施設の混雑情報(例えば、駐車施設が空)が表示され、目的地近隣の施設として丸囲み2〜5の施設の混雑情報(例えば、駐車施設が混または満)が表示されている。このとき、自車位置近隣の施設(丸囲み1)については、表示を要求した時点での施設混雑情報が表示され、一方、目的地近隣の施設(丸囲み2〜5)については、自車が目的地へ到着する到着予定時刻時点での施設混雑予測情報が表示される。なお、ここでいう自車位置は、GPS受信機64から得られる位置に限定せず、表示部62に表示された地図上で、ユーザが必要に応じて指定する地点であってもよい。
【0059】
このとき、本体部61に付属するキーボタンや表示部62に表示されたメニューボタンなどを、あらかじめ、押す、または、選択しておくことによって、地図表示画面621aに表示される丸囲みの番号に次のような意味を持たせておくことができる。
(1)自車位置から施設までの直線距離が小さい順、つまり、自車位置に近い順
(2)施設への到着予想時刻が早い順
(3)施設の予測利用率が小さい順、つまり、即利用できる可能性が大きい順
(4)(1)+(3):自車位置に近く、かつ、即利用できる可能性が大きい順
(5)(2)+(3):施設へ早く到着し、かつ、その到着時刻に即利用できる可能性が大きい順
【0060】
以上のように、地図表示画面621aに有意の番号を付した施設情報を表示すると、ユーザは、その番号に基づいて利用可能な施設の優先順位を判断し、表示されたその番号を選択したり、キーボタンなどから番号を入力したりすることによって、容易に目的の施設を選択することができる。なお、入力は、キーボードに限らず、マイクなど音声による入力であってもよい。
【0061】
また、表示部62には、情報入力のメニューバー622が表示され、例えば、目的地への到着予定時刻を設定または変更することができる。そして、このメニューバー622で目的地への到着予定時刻を設定または変更した場合には、その設定または変更した到着予定時刻に合わせて、目的地近隣の施設(丸囲み2〜5)の施設混雑予測情報が地図表示画面621aに表示される。
【0062】
図9は、本実施形態に係るカーナビ装置6の本体部61についてその機能ブロックの構成の例を示した図である。図9に示すように、本体部61は、通信インターフェース部611、施設混雑予測情報取得部612、入力指示部613、誘導経路探索部616、地図表示部617などの機能ブロックを含み、さらに、施設混雑予測情報記憶部614、地図DB615などを含んで構成される。なお、これらの機能ブロックの機能は、前記CPUが前記メモリ装置やハードディスク装置に記憶されているプログラムを実行することによって実現される。
【0063】
図9において、入力指示部613は、カーナビ装置6(図1参照)に付属するキーボタン(図示せず)などから入力される目的地や時刻などの情報を読み取り、その情報を施設混雑予測情報取得部612、誘導経路探索部616、地図表示部617などの機能ブロックへ伝達する。また、通信インターフェース部611は、携帯電話機63、通信ネットワーク4などを介して施設混雑情報予測装置1との間で通信を行う。また、施設混雑予測情報取得部612は、通信インターフェース部611を介して、施設混雑情報予測装置1に対して施設混雑予測情報の提供を求めるとともに、施設混雑情報予測装置1から施設混雑予測情報を取得し、取得した施設混雑予測情報を施設混雑予測情報記憶部614に格納する。
【0064】
さらに、誘導経路探索部616は、入力指示部613によって指示された目的地などの情報、地図DB615から読み出した地図情報、GPS受信機64から得られた自車位置情報などに基づき、目的地までの誘導経路を算出し、算出した誘導経路の情報を表示情報として表示インターフェース部618へ受け渡す。また、地図表示部617は、入力指示部613によって指示された目的地などの情報、GPS受信機64から得られた自車位置情報などに基づき、表示すべき地図情報を地図DB615から読み出すとともに、施設混雑予測情報記憶部614から施設混雑予測情報を読み出し、表示情報として表示インターフェース部618へ受け渡す。表示インターフェース部618は、誘導経路探索部616および地図表示部617から受け渡されたこれらの表示情報を表示部62に出力する。
【0065】
施設混雑予測情報取得部612は、施設混雑情報予測装置1に対して施設混雑予測情報の提供を求めるに当たっては、GPS受信機64で検出した自車位置情報、誘導経路探索部616で算出した経路情報、経由地点情報、目的地情報、入力指示部613でユーザが指定した地点の情報などに基づき、施設混雑情報の予測対象エリアを限定する。そして、その限定した取得対象エリアの情報を付して、施設混雑情報予測装置1に対して施設混雑情報の予測を要求する。このように、予測対象の範囲を限定することによって、施設混雑情報予測装置1から送信される施設混雑予測情報の量が膨大になることを防ぎ、その受信に関わる時間や費用を低減することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、混雑情報予測対象の施設を駐車場としているが、施設混雑情報予測装置1に対して施設混雑予測情報を求めるときに、さらに、どんな施設の駐車場であるかを限定する情報(例えば、ショッピングセンタの駐車場、娯楽施設の駐車場など)を付すようにしてもよい。この場合には、施設混雑予測情報の量をさらに削減することができ、その受信に関わる時間や費用をさらに低減することができる。
【0067】
図10は、本実施形態に係るカーナビ装置6の本体部61における施設混雑予測情報表示の処理の流れを示した図である。図10において、施設混雑予測情報取得部612は、まず、入力指示部613を介してキーボタンなどから入力される情報に基づき、例えば、目的地および時刻(t)などを指定した施設混雑予測情報の表示要求を受付ける(ステップS41)。
【0068】
次に、誘導経路探索部616は、GPS受信機64から自車位置を取得する(ステップS42)。そして、地図DB615を参照して自車位置から目的地までの誘導経路を算出し、その誘導経路に沿って自車が時刻(t)に通過予定の通過予定エリアを算出する(ステップS43)。
【0069】
次に、施設混雑予測情報取得部612は、通信インターフェース部611を介して、施設混雑情報予測装置1に対し、通過予定エリアおよび時刻(t)を送付し、施設混雑情報の予測を要求する(ステップS44)。そして、その施設混雑情報の予測要求に対応して施設混雑情報予測装置1が送付する通過予定エリアに含まれる施設の時刻(t)における施設混雑予測情報を取得し(ステップS45)、その取得した時刻(t)における施設混雑予測情報を表示部62に表示する(ステップS46)。
【0070】
図11は、図10に示した施設混雑予測情報表示の処理において、カーナビ装置6の表示部62に表示される施設混雑予測情報の例を示した図である。図10に示した施設混雑予測情報表示の処理の流れは、カーナビ装置6の利用者が目的地を遠距離に設定したときなどに、途中で休憩したいと考える時刻に、休憩ポイントとなる施設、および、その施設のその時刻での施設混雑予測情報を表示するのに好適な処理の流れとなっている。
【0071】
すなわち、図10によれば、休憩ポイントとなる施設(駐車施設のある施設)は、誘導経路を一部に含むエリアから時刻(t)にその車両10が通過すると予測される地点を含むエリアが選択され、その選択されたエリアに含まれる施設について、時刻(t)の施設混雑予測情報(駐車施設の空・満情報など)が丸囲み1〜7のように表示される。従って、この場合には、施設混雑予測情報は、やや広域にわたって表示されるので、利用者は、休憩ポイントの混雑状況などを考慮して、柔軟に経路変更などを行うことができる。
【0072】
さらに、図11に示すように、地図表示画面621bには子画面623を設け、地図表示画面621bに表示された休憩ポイントについて、その施設の施設混雑予測情報(駐車施設の利用率など)の詳細情報をさらに表示するようにしてもよい。
【0073】
なお、図8に示した地図表示画面621aを表示するための施設混雑予測情報表示の処理の流れは、図10に示したものと一部異なるが、基本的な処理手順の考え方は同じなので、その説明を省略する。
【0074】
以上、本実施形態においては、施設混雑情報予測装置1,1aによって、交通状況の予測情報(例えば、リンク走行所要時間などのリンクコストデータの予測データ)に基づいた施設混雑情報の予測が可能となり、カーナビ装置6の表示部62には、施設混雑情報予測装置1,1aによって予測された施設混雑予測情報を表示することができる。従って、カーナビ装置6の利用者は、その施設近隣の交通状況の予測情報に連動した精度のよい施設混雑予測情報を得ることができる。
【0075】
なお、本発明は、前記実施形態の一部を様々に変形して実施することが可能である。例えば、前記実施形態においては、カーナビ装置6の本体部61は、誘導経路探索部616および地図DB615を備え、その誘導経路探索部616により目的地までの誘導経路を算出しているが、本体部61が誘導経路探索部616を備えない構成であってもよい。この場合には、地図DB615を備えて目的地までの誘導経路を専ら算出する経路誘導探索装置を、通信ネットワーク4に接続して設け、カーナビ装置6からの求めに応じてその経路誘導探索装置が誘導経路を算出し、その算出した誘導経路をするカーナビ装置6へ提供する。この場合、その経路誘導探索装置が交通情報センタ2に含まれる構成であってもよい。
【0076】
また、前記実施形態においては、カーナビ装置6の本体部61は、施設混雑情報予測装置1が提供する施設混雑予測情報を、携帯電話機63を介した通信によって取得するとしているが、携帯電話機63を介さない通信によって取得するとしてもよい。例えば、道路の側などに通信ネットワーク4に接続された無線LAN(例えば、IEEE802.11規格)のアクセスポイントを設け、また、カーナビ装置6にも無線LANの通信装置を搭載する。そして、車両10がそのアクセスポイントの近傍を通過するときに、カーナビ装置6とアクセスポイントとの間で通信を行い、施設混雑情報予測装置1へ施設混雑情報の予測を求めるとともに、施設混雑情報予測装置1から施設混雑予測情報を取得する。無線LANによる通信は一般に無料であるので、その利用によって、ユーザの通信費の負担を大幅に軽減することができる。
【0077】
さらには、道路の側に設けられた交通情報提供用のビーコン送信装置や放送装置を利用して施設混雑予測情報をカーナビ装置6に提供するようにしてもよい。すなわち、施設混雑情報予測装置1で算出される施設混雑予測情報は、交通情報提供用のビーコン送信装置や放送装置を介して、カーナビ装置6へ送信される。従って、この場合には、カーナビ装置6にはそれを受信するためのチューナーなどの受信装置が必要となるが、そのような受信装置は現状販売されている多くのカーナビ装置には装備されているので問題はない。
【0078】
また、この場合には、カーナビ装置6から施設混雑情報予測装置1に対し、施設混雑情報の予測対象エリアを指定することができないので、施設混雑情報予測装置1からは広範囲のエリアの施設についての大量の施設混雑予測情報が送信されることになる。従って、カーナビ装置6の本体部61は、別途、自車位置情報やユーザが指定する情報によって限定されるエリアの情報に基づき、その限定されたエリアに所在する施設の施設混雑予測情報を抽出し、その抽出した情報を表示部62に表示するようにする。こうすることによって、ユーザの通信費の負担を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施形態に係る施設混雑情報予測装置およびカーナビ装置が適用されたカーナビゲーションシステムの全体構成を示した図である。
【図2】本実施形態に係る施設混雑情報DB23、交通情報DB22および気象情報DB21を構成するレコードの例を示した図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る施設−リンク対応DB24および相関係数DB25を構成するレコードの例を示した図である。
【図4】本実施形態に係る施設の施設混雑情報に対し相関係数を算出する対象となるリンクの例を示した図である。
【図5】本実施形態に係る施設混雑情報予測装置1の相関係数算出部17が行う処理の流れの例を示した図である。
【図6】本実施形態に係る施設混雑情報予測装置1の施設混雑情報予測部18が行う処理の流れの例を示した図である。
【図7】本実施形態に係る施設混雑情報予測装置1の構成の変形例を示した図である。
【図8】本実施形態に係るカーナビ装置6の表示部62における施設混雑予測情報の表示例を示した図である。
【図9】本実施形態に係るカーナビ装置6の本体部61についてその機能ブロックの構成の例を示した図である。
【図10】本実施形態に係るカーナビ装置6の本体部61における施設混雑予測情報表示の処理の流れを示した図である。
【図11】図10に示した施設混雑予測情報表示の処理において、カーナビ装置6の表示部62に表示される施設混雑予測情報の例を示した図である。
【符号の説明】
【0080】
1,1a 施設混雑情報予測装置
2 交通情報センタ
3 気象情報センタ
4 通信ネットワーク
5 基地局
6 カーナビ装置
10 車両
11 通信インターフェース部
12 気象情報取得部
13 交通情報取得部
14 施設混雑情報取得部
15 施設混雑情報予測受付部
16 施設混雑予測情報提供部
17 相関係数算出部
18 施設混雑情報予測部
19 交通情報予測部
21 気象情報DB
22 交通情報DB
23 施設混雑情報DB
24 施設−リンク対応DB
25 相関係数DB
61 本体部
62 表示部
63 携帯電話機
64 GPS受信機
611 通信インターフェース部
612 施設混雑予測情報取得部
613 入力指示部
614 施設混雑予測情報記憶部
616 誘導経路探索部
617 地図表示部
618 表示インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して、道路リンクの交通情報および施設の混雑情報を提供する交通情報センタに接続され、
前記交通情報センタから提供される前記道路リンクの交通情報を蓄積する交通情報蓄積手段と、前記交通情報センタから提供される前記施設の施設混雑情報を蓄積する施設混雑情報蓄積手段とを備え、
前記施設と前記施設に近隣する道路リンクとについて、前記施設混雑情報蓄積手段に蓄積された前記施設の施設混雑情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報との相関を求め、
前記交通情報センタから前記道路リンクの予測交通情報を取得し、
前記施設の施設混雑予測情報を、前記取得した道路リンクの予測交通情報と前記求めた相関とに基づき算出すること
を特徴とする施設混雑情報予測装置。
【請求項2】
通信ネットワークを介して、道路リンクの交通情報および施設の混雑情報を提供する交通情報センタに接続され、
前記交通情報センタから提供される前記道路リンクの交通情報を蓄積する交通情報蓄積手段と、前記交通情報センタから提供される前記施設の施設混雑情報を蓄積する施設混雑情報蓄積手段とを備え、
前記施設と前記施設に近隣する道路リンクとについて、前記施設混雑情報蓄積手段に蓄積された前記施設の施設混雑情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報との相関を求め、
前記交通情報センタから提供される現況の道路リンクの交通情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報とに基づき、前記道路リンクの予測交通情報を算出し、
前記施設の施設混雑予測情報を、前記算出した道路リンクの予測交通情報と前記求めた相関とに基づき算出すること
を特徴とする施設混雑情報予測装置。
【請求項3】
前記道路リンクを含むエリアの気象情報を蓄積した気象情報蓄積手段をさらに備え、
前記回帰式のパラメータを算出する際には、前記施設の施設混雑情報と前記気象情報との第2の相関を求め、
前記施設の施設混雑情報を予測する際には、前記ネットワークを介してその通信ネットワークに接続された気象情報センタから予測気象情報を取得し、前記取得した予測気象情報と前記求めた第2の相関とに基づき、前記施設の施設混雑予測情報を算出すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の施設混雑情報予測装置。
【請求項4】
通信ネットワークを介して、道路リンクの交通情報および施設の混雑情報を提供する交通情報センタに接続され、
前記交通情報センタから提供される前記道路リンクの交通情報を蓄積する交通情報蓄積手段と、前記交通情報センタから提供される前記施設の施設混雑情報を蓄積する施設混雑情報蓄積手段とを備えた施設混雑情報予測装置における施設混雑情報予測方法であって、
前記施設混雑情報予測装置は、
前記施設と前記施設に近隣する道路リンクとについて、前記施設混雑情報蓄積手段に蓄積された前記施設の施設混雑情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報との相関を求め、
前記交通情報センタから前記道路リンクの予測交通情報を取得し、
前記施設の施設混雑予測情報を、前記取得した道路リンクの予測交通情報と前記求めた相関とに基づき算出すること
を特徴とする施設混雑情報予測方法。
【請求項5】
通信ネットワークを介して、道路リンクの交通情報および施設の混雑情報を提供する交通情報センタに接続され、
前記交通情報センタから提供される前記道路リンクの交通情報を蓄積する交通情報蓄積手段と、前記交通情報センタから提供される前記施設の施設混雑情報を蓄積する施設混雑情報蓄積手段とを備えた施設混雑情報予測装置における施設混雑情報予測方法であって、
前記施設混雑情報予測装置は、
前記施設と前記施設に近隣する道路リンクとについて、前記施設混雑情報蓄積手段に蓄積された前記施設の施設混雑情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報との相関を求め、
前記交通情報センタから提供される現況の道路リンクの交通情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報とに基づき、前記道路リンクの予測交通情報を算出し、
前記施設の施設混雑予測情報を、前記算出した道路リンクの予測交通情報と前記求めた相関とに基づき算出すること
を特徴とする施設混雑情報予測方法。
【請求項6】
前記施設混雑情報予測装置は、
前記道路リンクを含むエリアの気象情報を蓄積した気象情報蓄積手段をさらに備え、
前記回帰式のパラメータを算出する際には、前記施設の施設混雑情報と前記気象情報との第2の相関を求め、
前記施設の施設混雑情報を予測する際には、前記ネットワークを介してその通信ネットワークに接続された気象情報センタから予測気象情報を取得し、前記取得した予測気象情報と前記求めた第2の相関とに基づき、前記施設の施設混雑予測情報を算出すること
を特徴とする請求項4または請求項5に記載の施設混雑情報予測方法。
【請求項7】
車両に搭載され、設定された目的地までの誘導経路を表示することによって、その車両を目的地まで誘導するカーナビゲーション装置が、車両が利用可能な施設の施設混雑情報を予測する施設混雑情報予測装置に、通信ネットワークを介して接続されて構成されたカーナビゲーションシステムであって、
前記カーナビゲーション装置は、
操作者が指示する情報を入力する入力指示手段と、所定の地図を蓄積する地図蓄積手段と、前記車両の車両位置を検出する車両位置検出手段と、前記車両位置および前記誘導経路を含む地図を表示するとともに、その地図上に前記誘導経路に近隣する前記施設の施設混雑情報を表示する表示手段とを備え、
前記入力指示手段から入力される目的地および指定時刻と、前記車両位置検出手段から得られる車両位置とに基づき、前記地図蓄積手段を参照して、前記車両が前記指定時刻に通過すると予測される通過予測エリアを求め、
前記施設混雑情報予測装置に対し、前記通過予測エリアおよび前記指定時刻を付して施設混雑情報の予測を要求し、
前記施設混雑情報予測装置は、
前記通信ネットワークを介して接続された交通情報センタから提供される前記道路リンクの交通情報を蓄積する交通情報蓄積手段と、前記交通情報センタから提供される前記施設の施設混雑情報を蓄積する施設混雑情報蓄積手段とを備え、
前記施設とその施設に近隣する道路リンクとについて、前記施設混雑情報蓄積手段に蓄積された前記施設の施設混雑情報と、前記交通情報蓄積手段に蓄積された前記道路リンクの交通情報との相関を求め、
前記カーナビゲーション装置から施設混雑情報の予測の要求を受けたときに、前記交通情報センタから前記道路リンクの予測交通情報を取得し、
前記通過予測エリア内の施設について、その施設の前記指定時刻における施設混雑予測情報を、前記取得した道路リンクの予測交通情報と前記求めた相関とに基づき算出し、
前記算出した施設の施設混雑予測情報を前記カーナビゲーション装置へ送付し、
前記カーナビゲーション装置は、
前記送付された施設の施設混雑予測情報を受信し、前記受信した施設の施設混雑予測情報を前記表示手段により表示すること
を特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項8】
車両に搭載され、設定された目的地までの誘導経路を表示することによって、その車両を目的地まで誘導するカーナビゲーション装置であって、
通信ネットワークを介して、車両が利用可能な施設の施設混雑情報を予測する施設混雑情報予測装置に接続され、
操作者が指示する情報を入力する入力指示手段と、所定の地図を蓄積する地図蓄積手段と、前記車両の車両位置を検出する車両位置検出手段と、前記車両位置および前記誘導経路を含む地図を表示するとともに、その地図上に前記誘導経路に近隣する前記施設の施設混雑情報を表示する表示手段とを備え、
前記入力指示手段から入力される目的地および指定時刻と、前記車両位置検出手段から得られる車両位置とに基づき、前記地図蓄積手段を参照して、前記車両が前記指定時刻に通過すると予測される通過予測エリアを求め、
前記施設混雑情報予測装置に対し、前記通過予測エリアおよび前記指定時刻を付して施設混雑情報の予測を要求し、
前記要求に応じて前記施設混雑情報予測装置から返送される前記指定時刻における前記通過予測エリアの施設の施設混雑予測情報を受信し、前記受信した施設混雑予測情報を前記表示手段により表示すること
を特徴とするカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−156912(P2007−156912A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352404(P2005−352404)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】