説明

条材の測長方法とそれを用いた切断方法

【課題】長尺の条材を高精度でかつ短時間で測定する方法と、この測定する方法を用いて効率よく定尺長さに切断する方法との提供である。
【解決手段】ビレット28を搬送装置10により搬送しつつ、第一センサー18と第二センサー20とで搬送方向先端と後方とを検索する。第一センサー18がビレット28の先端を検出してから第二センサー20がビレット28を検出しなくなるまでのパルス数を測定する。搬送装置の1パルス当たりの搬送距離Pとパルス数とを乗算して通過長さL2を算出する。第一センサー18と第二センサー20とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、ビレット28の長さを算出する。このビレット28は、この長さ情報を基に切断装置12で定尺に切断される。第二センサーを複数にしてビレット28の後方を検索してビレット28の長さを算出してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、条材の搬送ラインにおける、条材の長さを測定する方法と、それを用いた定尺寸法での条材の切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
棒鋼及び線材の製造方法として、圧延による方法が知られている。この製造方法では、まず精錬、造塊、分塊圧延等の工程を経て、ビレットが得られる。このビレットは、加熱炉によって加熱される。加熱されたビレットに熱間圧延が施される。ビレットは、タンデムに並べられた粗列圧延機、中間列圧延機、仕上列圧延機及びサイジング圧延機による多段圧延が施される。この熱間圧延によってビレットは徐々に細径化し且つ長尺化して、棒鋼及び線材が得られる。
【0003】
ビレットは、分塊圧延により長尺化される。長尺化されたビレットは、所定の長さのビレットと残部の短尺材とに切断される。この短尺材は熔解されて原材料として再利用される。この短尺材が長くなると製品歩留まりが低下する。長尺化されたビレットは予めその長さが測定され、複数の定尺から製品歩留まりが高くなるように切断寸法が選定される。ビレットはこの切断寸法で切断される。
【0004】
ビレットの長さを測定する方法として、画像処理装置による方法がある。この方法では所定範囲が画像データとして取り込まれる。ビレットの長さはこの画像データを基に算出される。
【0005】
搬送装置とセンサーとによりビレットの長さを測定する方法がある。この方法では、ビレットを搬送しつつ、このビレットをセンサーで検出してビレットの通過パルス数が測定される。1パルス当たりの搬送距離と通過パルス数との乗算からビレットの長さが算出される。
【0006】
特開平10−227628号公報には、レーザー光による鋼板コイルの先端部の位置を検出する方法が開示されている。この方法ではレーザー変位計を用いてコイル表面と変位計との間の距離が測定されている。その検出距離情報からコイルの先端部が検出されている。
【特許文献1】特開平10−227628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像処理装置による方法では、画像処理装置が高価である。この方法では、取り込まれるカメラの画像データが蒸気や鋼材スケールの影響を受けて、測定誤差が発生するおそれがある。この方法では画像データを取り込んで処理するため、測定処理に時間がかかる。
【0008】
搬送装置とセンサーとによりビレットの長さを測定する方法では、算出される長さの精度は、センサーの検出精度及び1パルス当たりの搬送距離の精度の影響を受ける。特に長尺のビレットでは1パルス当たりの搬送距離の誤差による算出誤差が大きくなる。長尺のビレットでは測定時間が長くなる。
【0009】
同様の問題は、棒鋼及び線材のような他の長尺の条材の測定においても生じる。
【0010】
本発明の目的は、長尺の条材の長さを高精度でかつ短時間で測定する方法と、この測定する方法を用いて効率よく定尺長さに切断する方法との提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る条材の長さの測定方法では、
第一工程として、一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索する。一の反射式レーザ距離計及び他の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きは他の複数の条材と重なり合って検出される向きである。第二工程として、一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの他の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する。第三工程として、搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と他の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する。
【0012】
他の本発明に係る条材の長さの測定方法では、
第一工程として、一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の複数の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索する。一の反射式レーザ距離計及び他の複数の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きが他の複数の条材と重なり合って検出される向きである。第二工程として、一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出した時に、搬送方向後方で一の条材を検出している最も後方の反射式レーザ距離計を特定する。第三工程として、一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの特定された最も後方の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する。第四工程として、搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と特定された最も後方の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する。
【0013】
本発明に係る条材の切断方法では、
第一工程として、一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索する。一の反射式レーザ距離計及び他の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きは他の複数の条材と重なり合って検出される向きである。第二工程として、一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの他の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する。第三工程として、搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と他の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する。第四工程として、測定された条材の長さから切断寸法と本数とを算出する。第五工程として、この切断寸法と本数とで条材を切断する。
【0014】
他の本発明に係る条材の切断方法では、
第一工程として、一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の複数の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索する。一の反射式レーザ距離計及び他の複数の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きが他の複数の条材と重なり合って検出される向きである。第二工程として、一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出した時に、搬送方向後方で一の条材を検出している最も後方の反射式レーザ距離計を特定する。第三工程として、一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの特定された最も後方の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する。第四工程として、搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とこのパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と特定された最も後方の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する。第五工程として、測定された条材の長さから切断寸法と本数とを算出する。第六工程として、この切断寸法と本数とで条材を切断する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る条材の長さ測定方法では、1パルス当たりの搬送距離から算出する通過長さL2が全長より短い。この測定方法は、全長を1パルス当たりの搬送距離から算出する方法に比べ長さの測定精度が高い。この測定方法は、全長の測定時間が短く、測定スペースも小さい。この測定方法は高価な画像処理装置が不要である。本発明に係る条材の切断方法は、安価であり、生産効率に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る条材の長さ測定方法に使用される搬送切断装置2の模式図である。図1は、搬送切断装置2の平面図である。図1において、紙面に垂直方向が鉛直方向である。図1では、左右方向がX軸方向とされ、上下方向がY軸方向とされている。この搬送切断装置2は、圧延装置4、第一搬送装置6、並列搬送装置8、第二搬送装置10、切断装置12、測長装置14、切断制御装置16、第一センサー18、第ニセンサー20及び第三センサー22を備えている。
【0018】
圧延装置4は、第一搬送装置6が通る位置に設置されている。並列搬送装置8は、第一搬送装置6と第二搬送装置10との間にY軸方向に並べられて設置されている。切断装置12は第二搬送装置10が通る位置に配置されている。
【0019】
第二搬送装置10は、搬送用モーター24及びパルスカウンター26を備えている。パルスカウンター26は搬送用モーター24に付設されている。パルスカウンター26は搬送用モーター24の回転軸に接続されている。パルスカウンター26は測長装置14に信号用配線で接続されている。
【0020】
測長装置14は、パルスカウンター26、第一センサー18及び第二センサー20と信号用配線で接続されている。測長装置14は、切断制御装置16と信号用配線で接続されている。
【0021】
切断制御装置16は、測長装置14及び第三センサー22と信号用配線で接続されている。切断制御装置16は、切断装置12と信号用配線で接続されている。
【0022】
第一センサー18及び第二センサー20は、反射式レーザー距離計である。反射式レーザー距離計は、投光部と受光部とを一体にしたセンサーであり、検索対象物の反射光を受光して検索対象物の有無とその検索対象物までの距離とを検出するセンサーである。
【0023】
第一センサー18は、第二搬送装置10の側面からY軸方向に離された位置に設置されている。第一センサー18の検索向きはY軸方向上向きである。第一センサー18の検索向きは第二搬送装置10の搬送方向X軸方向に垂直である。第一センサー18の検索方向と第二搬送装置10、並列搬送装置8及び第一搬送装置6が並べられた方向とは同じY軸方向である。第一センサー18の検索している定点は、並列搬送装置8から第二搬送装置10へ送られた直後のビレット28の先端よりX軸方向左にある。
【0024】
第二センサー20は、第二搬送装置10の側面からY軸方向に離された位置に設置されている。第二センサー20の検索向きはY軸方向上向きである。第二センサー20の検索向きが第二搬送装置10の搬送方向X軸方向に垂直である。第二センサー20の検索方向と第二搬送装置10、並列搬送装置8及び第一搬送装置6が並べられた方向とは同じY軸方向である。第二センサー20の検索している定点は、並列搬送装置8から第二搬送装置10へ送された直後のビレット28の後端よりX軸方向左にある。
【0025】
第三センサー22は、反射式レーザー距離計である。第三センサー22は、第二搬送装置10の側面からY軸方向に離された位置に設置されている。第三センサー22のY軸方向上向きである。第三センサー22の検索向きは第二搬送装置10の搬送方向X軸方向に垂直である。第三センサー22の検索している定点は、第一センサー18と切断装置12との間にある。第三センサー22は反射式センサー、投受光式センサー又は放射温度計センサーが用いられてもよい。
【0026】
図2は、図1の実施形態における第一センサー18の検出信号とビレット28までの距離との関係を示す模式図である。この第一センサー18は反射式レーザ距離計である。説明の便宜上、ビレット28はビレット28a、28b及び28cと区別して表されている。ビレット28aは第一搬送装置6上にあるビレット28である。ビレット28bは並列搬送装置8上にあるビレット28である。ビレット28cは第二搬送装置10上にあるビレット28である。ビレット28a、28b及び28cは、第一センサー18の検出向きのY軸方向に並んでいる。第一センサー18の検出向きはビレット28a、28b及び28cが重なりあって検出される向きである。
【0027】
縦軸は出力電圧値である。横軸はビレット28と第一センサー18との距離である。第二搬送装置10と第一センサー18の距離からビレット28cの検出電圧V3が定まる。ビレット28cを検出した第一センサー18はその検出電圧V3を出力する。第一センサー18はビレット28cが検出されなくなるとその検出電圧とは異なる電圧を出力する。その電圧は、例えばビレット28aの検出電圧V1又はビレット28bの検出電圧V2である。第一センサー18はビレット28cの有無とそのビレット28cまでの距離とを検出する。第一センサー18はビレット28cがビレット28aやビレット28bと重なり合って検出される向きで、ビレット28cの有無を検出できる。第二センサー20は第一センサー18と同じ反射式レーザー距離計であり、同様にビレット28cを検出する。
【0028】
前述のように複数のビレット28が重なり合う向きでビレット28cの有無を検出できることにより、第一センサー18及び第二センサー20は第二搬送装置10の側面からビレット28cを検出できる。側面から検出することにより、第一センサー18及び第二センサー20は第二搬送装置10から離して設置されている。熱間圧延されたビレット28は800°以上の高温である。第一搬送装置6から第二搬送装置10までの周辺は高温であり雰囲気が悪い。蒸気が発生していることもある。第一センサー18及び第二センサー20は高温雰囲気を避けて設置できる。反射式レーザー距離計を用いることにより故障や誤動作が発生しにくい。
【0029】
図3は、本発明に係るビレットの長さの測定方法を示す模式図である。図3を参照しつつ、本発明に係る条材の長さの測定方法が説明される。図3(a)は、第一センサー18がビレット28cの搬送方向先端を検出した様子を示す模式図である。第一センサー18及び第二センサー20の検出信号は測長装置14に送られる。測長装置14は、この検出信号を記録する。ビレット28cは第二搬送装置10により更に切断装置12に向かって搬送される。
【0030】
図3(b)は、第二センサー20がビレット28cを検出しなくなる瞬間の様子を示す模式図である。測長装置14は、第一センサー18がビレット28cの搬送方向先端を検出してからこの第二センサー20がビレット28cを検出しなくなるまでのパルス数を測定する。
【0031】
第一センサー18と第二センサー20とはその間隔長さL1が予め測定されている。この間隔長さL1は測長装置14に記憶されている。搬送装置10では、ローラの一回転当たりのパルス数から1パルス当たりの搬送距離Pが測定されている。測長装置14は、第二搬送装置10の1パルス当たりの搬送距離Pを記憶している。測長装置14は、この搬送距離Pとパルス数とを乗算して通過長さL2を算出する。測長装置14は、この間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、ビレット28cの長さを算出する。
【0032】
通過長さL2の精度はセンサーの検出精度及び搬送距離Pの精度の影響を受ける。この通過長さL2はビレット28の全長より短い。この条材の長さの測定方法は、測定誤差が小さい。この長さの測定方法は、全長の長さの測定時間が短い。この長さの測定方法は、全長を測定するための搬送距離が短く省スペースである。
【0033】
次に図1を参照しつつ、本発明に係る条材の切断方法が説明される。ビレット28aは第一搬送装置6により搬送されつつ、圧延装置4により圧延される。ビレット28aは圧延装置4により40m程度の長さに圧延される。圧延されたビレット28aの長さはビレットごとにばらつく。このビレット28aは並列搬送装置8へ搬送される。
【0034】
圧延された後のビレット28bは、並列搬送装置8により第二搬送装置10へ搬送される。この実施形態ではビレット28bは一本である。複数のビレット28bが並列搬送装置8の上にY軸方向に並べられていてもよい。
【0035】
ビレット28cは、第二搬送装置10により切断装置12へ搬送される。ビレット28cは搬送されつつ、第一センサー18により、その先端を検索される。第一センサー18は、ビレット28bと重なり合う向きでビレット28c側の側面からビレット28cの先端を検出できる。第二センサー20は並列に並べられたビレット28bと重なり合う向きでビレット28c側の側面からビレット28cの後方を検出する。これらの検出信号は測長装置14へ送られる。測長装置14は前述の条材の長さの測定方法によりビレット28cの長さを算出している。
【0036】
算出されたビレット28cの長さの情報は切断制御装置16へ送られている。この実施形態では切断の定尺は4mから7mとされている。切断制御装置16は、ビレット28cの長さの情報から短尺材が短くなるように適切な定尺材とその切断本数を選定する。その定尺材と切断本数の情報から切断タイミングが設定される。
【0037】
第三センサー22は、切断装置12へ搬送されるビレット28cの先端を検索する。この検出信号は切断制御装置16へ送られている。切断制御装置16は、この検出信号と設定されたビレット28cの切断タイミングの情報を基に切断装置12に切断信号を出す。切断装置12はこの切断信号に基づき、ビレット28cを設定された定尺に切断する。
【0038】
この条材の切断方法は、条材の長さが精度よく効率的に測定されるため、生産効率に優れる。
【0039】
図4は、本発明に係る他の実施形態の条材の長さの測定方法を使用した搬送切断装置2の模式図である。この搬送切断装置2は、第二センサーが複数である他は、一実施形態と同じである。一実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0040】
この実施形態では、複数の第二センサー30、32、34がビレット28cの搬送方向X軸方向に並べられている。最も搬送方向前方を検索している第二センサーは第二センサー30である。第二センサー30の検索している定点は並列搬送装置8から第二搬送装置10へおくられたビレット28cの後端よりX軸方向左側にある。熱間圧延されたビレット28cの長さはビレットごとにばらつく。第二センサー30の検索している定点は最も短いビレット28cの後端よりX軸方向左側にある。この第二センサー30、32及び34は測長装置14と信号用配線で接続されている。
【0041】
図5は、図4の搬送切断装置2におけるビレット28cの長さの測定方法を示す模式図である。図5(a)は、第一センサー18がビレット28cの搬送方向先端を検出した様子を示す模式図である。第一センサー18、第二センサー30、32及び34の検出信号は測長装置14に送られる。測長装置14は、この検出信号を記録する。測長装置14は、第一センサー18がビレット28cの搬送方向先端を検出した時に、搬送方向後方でビレット28cを検出している最も後方の第二センサーを特定する。この図5(a)では最も後方の第二センサーは第二センサー32である。ビレット28cは第二搬送装置10により更に切断装置12に向かって搬送される。
【0042】
図5(b)は、特定された最も後方の第二センサー32がビレット28cを検出しなくなる瞬間の様子を示す模式図である。測長装置14は、第一センサー18がビレット28cの搬送方向先端を検出してからこの特定された最も後方の第二センサー32がビレット28cを検出しなくなるまでのパルス数を測定する。
【0043】
第一センサー18と複数の第二センサー30、32及び34とはそれぞれの間隔長さL1が測定されている。この各第二センサー30、32及び34により定められた間隔長さL1は測長装置14に記憶されている。特定された最も後方の第二センサー32により間隔長さL1が定まる。測長装置14は、第二搬送装置10の1パルス当たりの搬送距離Pを記憶している。測長装置14は、この搬送距離Pとパルス数とを乗算して通過長さL2を算出する。測長装置14は、この間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、ビレット28cの長さを算出する。
【0044】
図6は、図4の搬送切断装置2におけるビレット28cの長さと特定される最も後方の第二センサーとの関係を示す模式図である。図6(a)は、第一センサー18が比較的に短いビレット28cの先端を検出した様子を示す模式図である。搬送方向後方でビレット28cを検出している最も後方の第二センサーは第二センサー30である。特定された最も後方の第二センサーは第二センサー30である。図6(a)では、間隔長さL1は第一センサー18と第二センサー30とにより定まる。図6(b)は比較的に中間長さのビレット28cを検出した様子を示す模式図である。図6(b)では、特定された最も後方のセンサーは第二センサー32である。間隔長さL1は第一センサー18と第二センサー32とにより定まる。図6(c)は比較的に長いビレット28cを検出した様子を示す模式図である。図6(c)では、特定された最も後方のセンサーは第二センサー34である。間隔長さL1は第一センサー18と第二センサー34とにより定まる。通過長さL2は、前述のように搬送距離Pとパルス数により算出される。ビレット28cの長さは、間隔長さL1と通過長さL2から算出される。
【0045】
この実施形態では、複数の第二センサー30、32及び34を並べることにより、比較的に長いビレット28cにおいても通過長さL2として算出される長さが短い。通過長さL2を短くすることでビレット28の長さの測定精度が向上する。この観点から第二センサーを並べる間隔は5m以下、更に好ましくは2m以下である。この条材の長さの測定方法は、比較的に短い条材から比較的に長い条材まで通過長さL2を短くできる。この長さの測定方法は測定誤差が一実施形態より更に小さい。この長さの測定方法は全長の長さの測定時間が更に短い。この長さの測定方法は全長を測定するための搬送距離が更に短く省スペースである。
【0046】
この実施形態では、複数の第二センサーとして30、32及び34の三個の実施形態を示すが、二個以上いくつのセンサーを用いられてもよい。この実施形態では第二センサー30、32及び34が等間隔に並べられているが必ずしも等間隔で並べられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
ここでは、圧延されたビレットの実施形態が説明された。本発明は、圧延後又は圧延途中で切断されたビレット、棒鋼及び線材に適用されうる。本発明は、ビレット、棒鋼及び線材のような長尺の条材に適用されうる。本発明は、長尺の条材の長さ測定方法及びその条材の定尺寸法での切断方法に適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明に係る一実施形態の条材の長さ測定方法を使用した搬送切断装置の模式図である。
【図2】図2は、図1の一実施形態における第一センサーの検出信号とビレットまでの距離との関係を示す模式図である。
【図3】図3(a)は図1の一実施形態における第一センサーがビレットの搬送方向先端を検出した様子を示す模式図であり、図3(b)は第二センサーがビレットを検出しなくなる瞬間の様子を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明に係る他の実施形態の条材の長さ測定方法を使用した搬送切断装置の模式図である。
【図5】図5(a)は図4の他の実施形態における第一センサーがビレットの搬送方向先端を検出した様子を示す模式図であり、図3(b)は特定された第二センサーがビレットを検出しなくなる瞬間の様子を示す模式図である。
【図6】図6(a)は図4の他の実施形態において比較的に短いビレットを検出した様子を示す模式図であり、図6(b)は比較的に中間長さのビレットを検出した様子を示す模式図であり、図6(c)は比較的に長いビレットを検出した様子を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
2・・・搬送切断装置
4・・・圧延装置
6・・・第一搬送装置
8・・・並列搬送装置
10・・・第二搬送装置
12・・・切断装置
14・・・測長装置
16・・・切断制御装置
18・・・第一センサー
20・・・第二センサー
22・・・第三センサー
24・・・搬送用モーター
26・・・パルスカウンター
28・・・ビレット
30・・・第二センサー
32・・・第二センサー
34・・・第二センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索し、一の反射式レーザ距離計及び他の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きが他の複数の条材と重なり合って検出される向きである第一工程と、
一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの他の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する第二工程と、
搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とこのパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と他の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する第三工程と、
を備える条材の長さの測定方法。
【請求項2】
一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の複数の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索し、一の反射式レーザ距離計及び他の複数の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きが他の複数の条材と重なり合って検出される向きである第一工程と、
一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出した時に、搬送方向後方で一の条材を検出している最も後方の反射式レーザ距離計を特定する第二工程と、
一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの特定された最も後方の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する第三工程と、
搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とこのパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と特定された最も後方の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する第四工程と、
を備える条材の長さの測定方法。
【請求項3】
一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索し、一の反射式レーザ距離計及び他の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きが他の複数の条材と重なり合って検出される向きである第一工程と、
一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの他の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する第二工程と、
搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とこのパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と他の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する第三工程と、
測定された条材の長さから切断寸法と本数とを算出する第四工程と、
この切断寸法と本数とで条材を切断する第五工程と、
を含む条材の切断方法。
【請求項4】
一の条材を含む複数の条材が並列に並べられた状態から搬送装置により一の条材を搬送しつつ、一の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向先端を検索し、他の複数の反射式レーザ距離計で一の条材の搬送方向後方を検索し、一の反射式レーザ距離計及び他の複数の反射式レーザ距離計による一の条材の検索向きが他の複数の条材と重なり合って検出される向きである第一工程と、
一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出した時に、搬送方向後方で一の条材を検出している最も後方の反射式レーザ距離計を特定する第二工程と、
一の反射式レーザ距離計が一の条材の搬送方向先端を検出してからこの特定された最も後方の反射式レーザ距離計が一の条材を検出しなくなるまでのパルス数を測定する第三工程と、
搬送装置の1パルス当たりの搬送距離とこのパルス数とを乗算して通過長さL2を算出し、一の反射式レーザ距離計と特定された最も後方の反射式レーザ距離計とにより定まる間隔長さL1にこの通過長さL2を加算して、条材の長さを算出する第四工程と、
測定された条材の長さから切断寸法と本数とを算出する第五工程と、
この切断寸法と本数とで条材を切断する第六工程と、
を含む条材の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−304286(P2008−304286A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151095(P2007−151095)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000180070)山陽特殊製鋼株式会社 (601)
【Fターム(参考)】