説明

標識表示方法、車載システム、RFIDタグ、標識送信装置、および標識表示装置

【課題】 注意を払うべき車両の存在を容易かつ迅速に運転者に把握させ注意喚起することで、事故を回避させて安全性の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】 本発明の車載システム100は、日本道路交通法に定められた標識に付設されたRFIDタグ110と、そのRFIDタグ110から情報を読み取り、高齢運転者が運転していること(標識情報)およびGPS衛星160により特定される車両170の位置(送信位置情報)を近辺の基地局130に送信する標識送信装置120と、近辺の基地局130を通じてそのような情報(標識情報、送信位置情報)を取得し、画面上の地図を用いて高齢運転者が運転している車両170の存在を運転者に報知する標識表示装置150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の位置、特に標識が付設された車両の地図上の位置を把握することが可能な標識表示方法、車載システム、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ、標識送信装置、および標識表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会的な高齢化が進み、高齢者が運転する車両の事故が増加している。また、依然として初心者の事故も絶えることがない。そこで、過去の事故に関する記憶やその対策に関するノウハウをデータベース化し、その都度運転者に視覚的に伝達して事故の発生を未然に防止する技術が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、かかる技術では、事故の発生要因を運転者に意識させることができたとしても、高齢者の運転能力の低下や初心者の運転の不慣れ等に基づく、技能的な制約を要因とする事故までも防止することはできない。
【0003】
以前から高齢者や初心者が車両を運転する場合、その車両に高齢運転者標識(紅葉マーク)や初心運転者標識(若葉マーク)の付設が義務付けられている。その他、身体障害者標識、聴覚障害者標識等の付設も努力義務として位置付けられている。
【0004】
これら日本道路交通法に基づく標識は、その標識を視認できる他人(他の運転者)への注意喚起に用いられる。従って、運転者や搭乗者は、これらの標識が付設された車両を近傍に発見した場合、普段より注意を払い、例えば車間距離をとったりして走行する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−172364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、義務まで課して標識の付設を促しても、他の運転者から見えない位置に標識が付設されていたり、見通しの悪い交差点等で物陰に隠れていたりして他の運転者が標識を視認できない場合、その標識を提示していることの効果は無くなり、他の運転者は、高齢者や初心者が運転する車両の不測の動きに十分に対処できない、または対処が遅れる場合があった。
【0007】
一方、近年では、GPS衛星から送信される電波を利用して、画面上の地図に自車両の位置を表示し、その周辺にある店舗や施設をユーザに案内するカーナビゲーションシステムや携帯電話が普及している。本願発明者は、このようなナビゲーションシステムに着目し、ナビゲーションシステムを通じて、高齢者や初心者等が運転する車両を確認することが可能な技術を見出した。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑み、注意を払うべき車両の存在を容易かつ迅速に運転者に把握させ注意喚起することで、事故を回避させて安全性の向上を図ることが可能な、標識表示方法、車載システム、RFIDタグ、標識送信装置、および標識表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は下記の方法、システム、および装置を提供するものである。
(1)標識送信装置と、前記標識送信装置が設けられた車両に脱着自在に付設されるRFIDタグと、前記標識送信装置が設けられた車両とは別の車両に設けられた標識表示装置と、前記標識送信装置または前記標識表示装置と無線通信可能な複数の基地局と、を用いた標識表示方法であって、前記RFIDタグは、近距離無線通信を用いて前記標識送信装置に日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を送信し、前記標識送信装置は、近距離無線通信を用いて前記RFIDタグから前記標識情報を受信し、GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識送信装置の位置を示す送信位置情報を生成し、前記標識情報と前記送信位置情報とを対にした標識位置情報を無線通信を確立した1の基地局に送信し、前記標識送信装置と通信を確立している1の基地局は、前記標識位置情報を受信して自局から所定範囲内にある他の1または複数の基地局に送信し、前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局は、前記1の基地局が受信した標識位置情報を、前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局それぞれが無線通信を確立している前記標識表示装置に送信し、前記標識表示装置は、GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識表示装置の位置を示す表示位置情報を生成し、前記1の基地局または前記他の1または複数の基地局のうちの1の基地局から前記標識位置情報を受信し、前記地図情報における、前記表示位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳し、前記標識位置情報の送信位置情報が示す位置に、前記標識位置情報の標識情報を特定できる指標を重畳して前記標識表示装置のモニタに表示させることを特徴とする標識表示方法。
(2)標識送信装置と、前記標識送信装置が設けられた車両に脱着自在に付設されるRFIDタグと、前記標識送信装置が設けられた車両とは別の車両に設けられた標識表示装置と、前記標識送信装置または前記標識表示装置と無線通信可能な複数の基地局と、を備える車載システムであって、前記RFIDタグは、日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を保持する標識情報記憶部と、近距離無線通信を用いて前記標識送信装置に前記標識情報を送信する標識情報送信部と、を備え、前記標識送信装置は、近距離無線通信を用いて前記RFIDタグから前記標識情報を受信する標識情報受信部と、GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識送信装置の位置を示す送信位置情報を生成する送信位置生成部と、1の前記基地局と無線通信を確立する送信通信部と、前記標識情報と前記送信位置情報とを対にした標識位置情報を、前記送信通信部を介して無線通信を確立した前記1の基地局に送信する情報送信部と、を備え、前記1の基地局は、前記標識位置情報を受信して自局から所定範囲内にある他の1または複数の基地局に送信する情報中継部、を備え、前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局は、前記1の基地局が受信した標識位置情報を、前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局それぞれが無線通信を確立している前記標識表示装置に送信する情報配信部、を備え、前記標識表示装置は、モニタと、地図を示す地図情報を保持する地図記憶部と、GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識表示装置の位置を示す表示位置情報を生成する表示位置生成部と、前記1の基地局または前記他の1または複数の基地局のうちの1の基地局と無線通信を確立する表示通信部と、前記表示通信部を介して、前記1の基地局または前記他の1または複数の基地局のうちの1の基地局から前記標識位置情報を受信する情報受信部と、前記地図情報における、前記表示位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳し、前記標識位置情報の送信位置情報が示す位置に、前記標識位置情報の標識情報を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させるモニタ制御部と、を備えることを特徴とする車載システム。
(3)前記情報中継部は、複数の標識送信装置からそれぞれ受信した複数の前記標識位置情報を第1所定時間毎に集計して前記他の1または複数の基地局に送信することを特徴とする上記(2)に記載の車載システム。
(4)前記情報配信部は、自局から所定範囲内にある複数の基地局からそれぞれ受信した複数の標識位置情報を第2所定時間毎に集計して前記標識表示装置に送信することを特徴とする上記(2)または(3)に記載の車載システム。
(5)前記基地局に通信網を介して接続された1の位置管理サーバが、前記情報中継部および前記情報配信部として機能することを特徴とする上記(2)から(4)のいずれかに記載の車載システム。
(6)前記標識表示装置は、前記表示通信部を介して、前記位置管理サーバに前記表示位置情報を送信する位置送信部をさらに備え、前記位置管理サーバは、前記標識表示装置から受信した表示位置情報が示す位置を基準とした所定範囲内の位置が示された標識位置情報を抽出し、抽出した標識位置情報を、前記表示位置情報を送信した標識表示装置に送信する個別配信部をさらに備えることを特徴とする上記(5)に記載の車載システム。
(7)車両に脱着自在に設けられたRFIDタグであって、日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を保持する標識情報記憶部と、近距離無線通信を用いて、前記RFIDタグが付設された車両に設けられた外部機器に前記標識情報を送信する標識情報送信部と、を備えることを特徴とするRFIDタグ。
(8)前記RFIDタグは、日本道路交通法に定められた標識と一体的に形成されていることを特徴とする上記(7)に記載のRFIDタグ。
(9)RFIDタグおよび基地局と無線通信可能な標識送信装置であって、近距離無線通信を用いて、前記RFIDタグから、日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を受信する標識情報受信部と、GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識送信装置の位置を示す送信位置情報を生成する送信位置生成部と、前記基地局と無線通信を確立する送信通信部と、前記標識情報と前記送信位置情報とを対にした標識位置情報を、前記送信通信部を介して無線通信を確立した前記基地局に送信する情報送信部と、を備えることを特徴とする標識送信装置。
(10)モニタと、地図を示す地図情報を保持する地図記憶部と、前記地図情報における前記送信位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させるモニタ制御部と、をさらに含むことを特徴とする上記(9)に記載の標識送信装置。
(11)基地局と通信可能な標識表示装置であって、モニタと、地図を示す地図情報を保持する地図記憶部と、GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識表示装置の位置を示す表示位置情報を生成する表示位置生成部と、前記基地局と無線通信を確立する表示通信部と、前記表示通信部を介して、前記基地局から、日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報と外部機器の位置を示す送信位置情報とを対にした標識位置情報を受信する情報受信部と、前記地図情報における、前記表示位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳し、前記標識位置情報の送信位置情報が示す位置に、前記標識位置情報の標識情報を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させるモニタ制御部と、を備えることを特徴とする標識表示装置。
(12)前記標識情報には、標識の種別を示す標識種別情報も含まれ、前記モニタ制御部は、前記標識種別情報を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させることを特徴とする上記(11)に記載の標識表示装置。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、運転者は、標識を視認するために他の車両全体を隈無く見渡さなくとも、また、標識が付設された車両そのものをまだ視認できない状態であったとしても、注意を払うべき車両の存在を容易かつ迅速に把握できるので、事故を回避し安全性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車載システムの概略的な接続関係を示したブロック図である。
【図2】RFIDタグの概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図3】RFIDタグ(標識)の外観を例示した説明図である。
【図4】標識情報のフォーマットを説明するための説明図である。
【図5】標識送信装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図6】標識送信装置の外観を例示した説明図である。
【図7】基地局の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図8】情報中継部の動作を説明するための説明図である。
【図9】情報配信部の動作を説明するための説明図である。
【図10】標識表示装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図11】標識表示装置の外観を例示した説明図である。
【図12】モニタ制御部が生成する重畳地図情報を説明するための説明図である。
【図13】本実施形態にかかる標識表示方法の具体的な処理を示したシーケンス図である。
【図14】車載システムの概略的な接続関係を示したブロック図である。
【図15】位置管理サーバの概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図16】マッピング処理を説明するための説明図である。
【図17】領域配分を説明するための説明図である。
【図18】標識位置情報を送信する処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
(車載システム100)
図1は、車載システム100の概略的な接続関係を示したブロック図である。図1に示すように、車載システム100は、RFIDタグ110と、標識送信装置120と、複数の基地局130(130a、130b)と、通信網140と、標識表示装置150と、GPS衛星160と、を含んで構成される。
【0014】
ここでは、大きく2種類の車両を挙げて車載システム100を説明する。一方は高齢者、初心者、身体障害者、聴覚障害者等が運転する車両170であり、他方はそのような車両170に注意を払いながら運転すべき運転者の車両172である。前者にはRFIDタグ110と、標識送信装置120とが互いに無線通信(近距離無線通信)可能な状態で設けられ、後者には標識表示装置150が設けられている。そして、標識送信装置120および標識表示装置150は、それぞれ複数の基地局130のうち1を選択し(図1では130aと130b)無線通信を確立しており、また、基地局130同士は、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、インターネット、専用回線等で構成される通信網140を通じて情報を交換できる。
【0015】
例えば、高齢運転者は、自身の車両170に高齢運転者標識を付設する。その高齢運転者標識にはRFIDタグ110が付設(埋設)されており、標識送信装置120は、そのRFIDタグ110から情報を読み取り、高齢運転者が運転していること(標識情報)およびGPS衛星160により特定される車両170の位置(送信位置情報)を近辺の基地局130aに送信する。標識表示装置150を搭載している各車両172では、近辺の基地局130bを通じてそのような情報(標識情報、送信位置情報)を取得し、標識表示装置150が、高齢運転者が運転している車両170の存在を、地図情報を用いて運転者に報知する。
【0016】
かかる車載システム100を用いることで、車両172の運転者や搭乗者は、標識を視認するために他の車両全体を隈無く見渡さなくとも、また、標識が付設された車両170そのものをまだ視認できない状態であったとしても、注意を払うべき車両170の存在を容易かつ迅速に把握できるので、事故を回避し安全性の向上を図ることが可能となる。以下に車載システム100におけるRFIDタグ110、標識送信装置120、基地局130、標識表示装置150の詳細な構成を個々に説明する。
【0017】
(RFIDタグ110)
図2は、RFIDタグ110の概略的な構成を示した機能ブロック図であり、図3は、RFIDタグ110(標識112)の外観を例示した説明図である。図2に示すように、RFIDタグ110は、標識情報記憶部210と、標識情報送信部212とを含んで構成され、通信先から供給される電波をエネルギー源として動作するパッシブ(受動)タイプ、または自体に電源を備え自発的に通信を開始できるアクティブ(能動)タイプのいずれかの方式で動作する。また、非接触タグやICタグとも呼ばれ、ワンチップの集積回路(IC)で形成することもできる。
【0018】
標識情報記憶部210は、ROMやEEPROMで構成され、日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報および標識の種別を示す標識種別情報を含む標識情報と、自体を識別させるための識別情報とを保持する。かかる標識情報は、後述する標識表示装置150における画面上の指標の表示態様を決めるときに利用される。
【0019】
図4は、標識情報のフォーマットを説明するための説明図である。かかる標識情報は、標識特定情報と標識種別情報とがそれぞれ8bitで表され、標識特定情報が0xABのとき当該情報が標識であることを示し、標識種別情報が0x01のとき初心運転者標識、0x02のとき高齢運転者標識、0x03のとき身体障害者標識、0x04のとき聴覚障害者標識、0x00のとき不特定であることを表す。図4では、標識特定情報が0xABであり、標識種別情報が0x02となっているので、当該情報が標識であることおよび高齢運転者標識であることを表すこととなる。
【0020】
標識情報送信部212は、近距離無線通信を用いて、当該RFIDタグ110が付設された車両170に設けられた標識送信装置120に、標識情報と識別情報とを送信する。近距離無線通信は、微弱な電波による所定のRF搬送波周波数を利用した近距離(数cm〜数m)間の無線通信を言い、狭い範囲内のみにおいて非接触式に耐タンパ性の通信を行うことができる。また、標識情報記憶部210に記憶されている標識情報は上述したように極めて少ない情報量、例えば2byteで構成されているので、RF搬送周波数がたとえ低かったとしても短時間でその情報を送信することができる。
【0021】
また、近距離無線通信の代わりにBluetooth(登録商標)、ZigBee等の無線通信も用いることができる。このような微弱な電波の通信では、外部からの強力な商用電波との干渉さえ避けることができれば、搬送波の周波数として中波、短波、超短波、極超短波等を適用することができる。
【0022】
本実施形態において、RFIDタグ110は、図3に示すように、高齢者等が運転する車両170に着脱可能に設けられた高齢運転者標識等、日本道路交通法に定められた標識112と一体的に形成される。このように実物の標識112とRFIDタグ110とを一体的に形成する構成により、高齢者等は、RFIDタグ110そのものを意識しなくても、車両170の所望する部分に実物の標識112を付設(貼付)するだけで、標識112の外観に基づく安全性と共にRFIDタグ110に基づく安全性を確保することができる。ここで標識112は、表面処理された樹脂シートで形成され、接着剤を用いることなく車両170のガラスや金属に貼付できる。
【0023】
また、他の運転者から視認できないような位置、例えば、車両170内に標識112が放置されている場合においてもRFIDタグ110を通じて自車両170が標識112を有していることを他の車両172に報知することができる。
【0024】
さらに、初心運転者標識のように、標識112を付設する義務期間(例えば1年間)が設けられている場合、RFIDタグ110によってその期間を管理でき、期間完了後自動的に他の車両172への報知を停止することも可能となる。
【0025】
(標識送信装置120)
図5は、標識送信装置120の概略的な構成を示した機能ブロック図であり、図6は、標識送信装置120の外観を例示した説明図である。図5に示すように、標識送信装置120は、送信制御部250と、送信記憶部252と、モニタ254と、スピーカ256と、操作部258と、送信位置生成部260と、標識情報受信部262と、送信通信部264とを含んで構成され、RFIDタグ110と基地局130とにそれぞれ別の伝送路を通じて無線通信を確立する。
【0026】
送信制御部250は、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP)を含む半導体集積回路で構成され、所定のプログラムを用いて標識送信装置120全体を管理および制御する。
【0027】
送信記憶部252は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、後述する標識情報受信部262が受信した標識情報(標識特定情報や標識種別情報等)、識別情報や送信位置情報等を保持する。また、送信記憶部252は、地図を示す地図情報を保持する地図記憶部としても機能する。なお、上記HDDは正確には装置であるが、説明の便宜上本説明では記憶媒体と同義として扱う。
【0028】
モニタ254は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、後述するモニタ制御部270の制御に応じて、送信記憶部252(地図記憶部)に記憶された地図情報等を表示する。スピーカ256は、地図情報表示時の補助的音声を出力する。
【0029】
操作部258は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチ、モニタ254の表示面上に設置されたタッチパネル等で構成され、運転者または搭乗者の操作入力を受け付ける。
【0030】
送信位置生成部260は、GPS衛星160から送信される電波を受けて標識送信装置120自体、即ち車両170の位置を示す送信位置情報を周期的に生成し、送信記憶部252に記憶する。また、送信位置生成部260は、設置位置を特定可能な3以上の基地局130の電波の受信電界強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)や電波到達時間(TDOA:Time Difference Of Arrival)を用いた三点測位法によっても車両170の位置を特定することができる。こうして送信位置生成部260は、GPS衛星160の電波を受信できるところではその電波を用いて、GPS衛星160の電波を受信できないところでは基地局130の電波を用いて送信位置情報を生成することが可能となる。
【0031】
標識情報受信部262は、近距離無線通信を用いてRFIDタグ110から、標識情報(標識特定情報や標識種別情報等)とRFIDタグ110の識別情報を受信し、識別情報が正規品を示し、かつ標識情報が有効な情報であると判断すれば、標識情報を識別情報に関連付けて送信記憶部252に記憶する。また、RFIDタグ110がパッシブタイプの場合、RFIDタグ110から情報を取得するため、標識情報受信部262はRFIDタグ110に電波を通じて電力も供給する。かかる標識情報は、所定時間、例えば、1時間毎に読み出して更新してもよいし、運転開始をトリガにして読み出してもよい。このように、繰り返しRFIDタグ110を確認することで、標識の変更や要否に応じて標識情報を確実に更新することが可能となる。
【0032】
送信通信部264は、複数の基地局130のうち1の基地局130と、PDC(Personal Digital Cellular)、CDMA(Code Division Multiple Access)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)等携帯電話網に利用される無線通信を確立する。また、基地局130が単なるアクセスポイントとして機能する場合、無線LAN(IEEE802.11、11b、11a、11g、11n)やBluetooth(登録商標)等の無線通信規格を用いることもできる。
【0033】
また、上述した送信制御部250は、送信記憶部252や他の電子回路と協働して、モニタ制御部270や情報送信部272としても機能する。
【0034】
モニタ制御部270は、図6に示すように、送信記憶部252に記憶された地図情報における送信位置生成部260が生成した送信位置情報が示す位置に、自体120を特定できる指標280を重畳して重畳地図情報282を生成し、その重畳地図情報282をモニタ254に表示させる。
【0035】
また、運転者が案内機能を要求した場合、モニタ制御部270は、運転者に操作部258を通じて目的地を設定させ、自車両170の現在地(送信位置情報が示す位置)から目的地までの経路284または目的地への方位を示す指標も地図情報に重畳してモニタ254に表示させる。このような案内機能では補助的な案内音声もスピーカ256に出力させる。かかる構成により、運転者はモニタ254を見るだけで、所望する目的地までの道のりを把握することができる。
【0036】
情報送信部272は、送信記憶部252に記憶された標識情報と送信位置情報とを対にした標識位置情報を、送信通信部264を介して、無線通信を確立している基地局130に送信する。かかる標識位置情報は、標識表示装置150において表示されることとなるので、その表示周期と同等の適した周期で送信するのが望ましい。
【0037】
ここでは、標識送信装置120として、自体を特定できる指標280を地図情報に重畳するカーナビゲーション装置を挙げているが、かかる場合に限らず、標識送信装置120としては、少なくとも標識情報を基地局130に送信できる構成を備えていればよい。従って、送信制御部250、送信記憶部252、送信位置生成部260、標識情報受信部262、送信通信部264を備える様々な電子機器を適用することができる。
【0038】
(基地局130)
図7は、基地局130の概略的な構成を示した機能ブロック図である。図7に示すように、基地局130は、情報中継部310と、基地局記憶部312と、情報配信部314とを含んで構成される。
【0039】
情報中継部310は、自局130が通信を確立している標識送信装置120から標識位置情報が送信されると、その標識位置情報を受信し、自局130から所定範囲内にある他の1または複数の基地局130に通信網140を通じて送信する。
【0040】
ここで、情報中継部310は、自局130が通信を確立している標識送信装置120が複数存在する場合、複数の標識送信装置120からそれぞれ受信した複数の標識位置情報を、第1所定時間、例えば1秒毎に集計して他の1または複数の基地局130に送信する。
【0041】
図8は、情報中継部310の動作を説明するための説明図である。ここでは、複数の基地局130(130a、130b、130c、130d、130e)のうちの1の基地局130aを挙げて説明する。基地局130aは、通信可能範囲320内に存在する複数の標識送信装置120(120a、120b、120c)と通信を確立し、それぞれ独立したタイミングで標識位置情報322a、322b、322cが送信される。
【0042】
基地局130aは、標識送信装置120a、120b、120cそれぞれの標識位置情報322a、322b、322cを一旦蓄積し、前回の送信時から第1所定時間が経過すると、蓄積されたすべての標識位置情報322a、322b、322cを纏めた標識位置情報群324を、近傍と見なせる所定範囲326内の他の基地局130b、130c、130dに送信する。
【0043】
また、情報中継部310は、標識表示装置150とも通信を確立している場合、後述する情報配信部314のために、集計した標識位置情報322a、322b、322cを基地局記憶部312に記憶する。
【0044】
基地局記憶部312は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、情報中継部310が集計した標識位置情報を保持する。
【0045】
情報配信部314は、他の基地局130から受信した標識位置情報を、自局が無線通信を確立している1または複数の標識表示装置150に送信する。
【0046】
ここで、情報配信部314は、自局130を基準として近傍と見なせる所定範囲内にある複数の基地局130からそれぞれ受信した複数の標識位置情報を第2所定時間、例えば1秒毎に集計して標識表示装置150に送信する。
【0047】
図9は、情報配信部314の動作を説明するための説明図である。ここでも、複数の基地局130(130a、130b、130c、130d、130e)のうちの1の基地局130aを挙げて説明する。基地局130aには、近傍と見なせる所定範囲326内にある複数の基地局130b、130c、130dの情報中継部310から、それぞれ独立したタイミングで標識位置情報330b、330c、330dが送信される。かかる標識位置情報は、他の基地局130b、130c、130dそれぞれから1または複数送られることとなる。
【0048】
基地局130aは、他の基地局130b、130c、130dそれぞれの標識位置情報330b、330c、330dを一旦蓄積し、前回の送信時から第2所定時間が経過すると、蓄積されたすべての標識位置情報330b、330c、330dと、基地局記憶部312に予め記憶されている自局130への標識位置情報330aとを纏めた標識位置情報群332を、通信可能範囲320内に存在する複数の標識表示装置150a、150b、150cに送信する。
【0049】
このように、基地局130は、自局130が無線通信を確立している1または複数の標識送信装置120から標識位置情報を集めて他の基地局130に送信すると共に、他の基地局130から送信された標識位置情報を集めて、自局130が無線通信を確立している1または複数の標識表示装置150に送信することができる。かかる構成により、標識送信装置120が送信した標識位置情報を、基地局130を基準にしたその近辺の標識表示装置150に確実に配信することが可能となる。
【0050】
(標識表示装置150)
図10は、標識表示装置150の概略的な構成を示した機能ブロック図であり、図11は、標識表示装置150の外観を例示した説明図である。図10に示すように、標識表示装置150は、表示制御部350と、表示記憶部352と、モニタ354と、スピーカ356と、操作部358と、表示位置生成部360と、表示通信部362とを含んで構成される。
【0051】
表示制御部350は、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP)を含む半導体集積回路で構成され、所定のプログラムを用いて標識表示装置150全体を管理および制御する。
【0052】
表示記憶部352は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、後述する情報受信部370が受信した標識情報(標識特定情報や標識種別情報等)や送信位置情報等を保持する。また、表示記憶部352は、地図を示す地図情報を保持する地図記憶部としても機能する。スピーカ356は、地図情報表示時の補助的音声を出力する。
【0053】
モニタ354は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成され、後述するモニタ制御部372の制御に応じて、表示記憶部352(地図記憶部)に記憶された地図情報等を表示する。
【0054】
操作部358は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチ、モニタ354の表示面上に設置されたタッチパネル等で構成され、運転者または搭乗者の操作入力を受け付ける。
【0055】
表示位置生成部360は、送信位置生成部260同様、GPS衛星160から送信された電波を受けて標識表示装置150自体、即ち車両172の位置を示す表示位置情報を周期的に生成し、表示記憶部352に記憶する。また、表示位置生成部360は、三点測位法によっても車両170の位置を特定することもでき、GPS衛星160の電波を受信できるところではその電波を用いて、GPS衛星160の電波を受信できないところでは基地局130の電波を用いて表示位置情報を生成することが可能となる。
【0056】
表示通信部362は、複数の基地局130のうち1の基地局130と、PDC、CDMA、WiMAXやLTE等携帯電話網に利用される無線通信を確立する。また、基地局130が単なるアクセスポイントとして機能する場合、無線LAN(IEEE802.11、11b、11a、11g、11n)やBluetooth(登録商標)等の無線通信規格を用いることもできる。
【0057】
また、上述した表示制御部350は、表示記憶部352や他の電子回路と協働して、情報受信部370やモニタ制御部372としても機能する。
【0058】
情報受信部370は、表示通信部362を介して、基地局130から、標識位置情報を受信し、標識情報(標識特定情報や標識種別情報等)と送信位置情報とに分けて表示記憶部352に記憶する。かかる標識位置情報は、後述するモニタ制御部372の表示周期と同タイミングで周期的に受信される。
【0059】
モニタ制御部372は、図11に示すように、表示記憶部352に記憶された地図情報における表示位置生成部360が生成した表示位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標380を重畳して重畳地図情報382を生成し、その重畳地図情報382をモニタ354に表示させる。
【0060】
また、運転者が案内機能を要求した場合、モニタ制御部372は、運転者に操作部358を通じて目的地を設定させ、自車両172の現在地(表示位置情報が示す位置)から目的地までの経路384または目的地への方位を示す指標も地図情報に重畳してモニタ354に表示させる。このような案内機能では補助的な案内音声もスピーカ356に出力させる。かかる構成により、運転者はモニタ354を見るだけで、所望する目的地までの道のりを把握することができる。
【0061】
さらに、本実施形態のモニタ制御部372は、表示記憶部352に記憶された送信位置情報が示す標識送信装置120の現在位置に、標識情報を特定できる指標を重畳してモニタ354に表示させる。
【0062】
ここで、標識情報に標識特定情報のみが含まれている場合、対象となる標識送信装置120に付設された標識の種別は把握できないものの、注意すべき車両170であることは把握できるので、モニタ制御部372は、標識特定情報を有する車両170を把握できる態様で指標を重畳する。また、標識情報に標識種別情報も含まれていれば、モニタ制御部372は、標識種別情報を特定できる指標を重畳する。
【0063】
図12は、モニタ制御部372が生成する重畳地図情報382を説明するための説明図である。ここで図12(a)は、標識情報が標識特定情報のみであった場合を示し、図12(b)は、標識情報が標識識別情報を含んでいる場合を示している。
【0064】
図12(a)を参照すると、モニタ制御部372は、表示記憶部352に記憶された地図情報を読み出し、その地図上に自体を示す指標380、例えば、進行方向を示すマークを重畳し、さらに、標識情報の対象となる車両170を示す指標386、例えば、赤で着色された車両を表すマークを重畳する。
【0065】
かかる構成により、運転者は、標識を視認するために他の車両全体を隈無く見渡さなくとも、また、標識が付設された車両170そのものをまだ視認できない状態であったとしても、標識表示装置150のモニタ354を見るだけで、注意を払うべき車両170の存在を容易かつ迅速に把握でき、事故を回避して安全性の向上を図ることが可能となる。
【0066】
さらに、運転者は、そのような車両170がすぐには遭遇しない遠くに存在しているときからその位置と走行方向をモニタ354で確認できるので、近傍に至ったときには車両170の不測の動きに十分対処することができる。
【0067】
また、図12(b)を参照すると、モニタ制御部372は、表示記憶部352に記憶された地図情報を読み出し、その地図上に自体を示す指標380を重畳し、さらに、標識情報の対象となる車両170を示す指標388、例えば、赤で着色された車両を表すマークにさらに標識の種別を把握可能なマークを付与して重畳する。このとき指標388に着色される色やマークは任意に設定することができる。かかる構成により、対象となる車両170に対してどのように注意すべきかを事前に想定することができ、さらなる安全性の向上を図ることが可能となる。
【0068】
当該標識表示装置150では、単に対向車や併走車を地図上に表示するのではなく、外観からは把握困難な運転者の技能状態をも一様な態様で表示することができるので、運転者は、車両の存在のみならず、その車両の運転者の技能的な制約まで容易に把握することが可能となる。従って、高齢者側も通常の運転者側も、様々に形取られた車両のどの部分に標識を付設すべきか、また、どの部分を見れば標識を確認できるかを深く考慮しなくとも、別途のネットワーク手段を通じて技能的な制約を確認することが可能となる。
【0069】
また、標識送信装置120と標識表示装置150の構成要素を比較して理解できるように、標識送信装置120と標識表示装置150の機能を一体的に備えた1つの装置を提供することが可能となる。かかる装置では、自身の車両に標識を付設したとき、その旨、他の車両に伝達でき、併せて他の車両の標識情報をモニタ354を通じて把握することができる。
【0070】
(標識表示方法)
また、上述したRFIDタグ110と、標識送信装置120と、複数の基地局130a、130bと、標識表示装置150とを用いて、注意を払うべき車両170の存在を容易かつ迅速に把握できる標識表示方法も提供される。
【0071】
図13は、本実施形態にかかる標識表示方法の具体的な処理を示したシーケンス図である。まず、RFIDタグ110の標識情報送信部212は、標識情報記憶部210に保持された標識情報を、近距離無線通信を用いて標識送信装置120に送信する(S400)。
【0072】
標識送信装置120の標識情報受信部262は、RFIDタグ110から標識情報を受信し(S402)、送信位置生成部260は、GPS衛星160から送信される電波を受けて標識送信装置120の位置を示す送信位置情報を生成する(S404)。そして、情報送信部272は、標識情報と送信位置情報とを対にした標識位置情報を、送信通信部264を介して無線通信を確立した基地局130aに送信する(S406)。
【0073】
基地局130aの情報中継部310は、標識位置情報を受信し(S408)、自局130aから所定範囲326内にある基地局130bに送信する(S410)。さらに基地局130bの情報配信部314は、基地局130aから受信した標識位置情報を、自局130bが無線通信を確立している標識表示装置150に送信する(S412)。
【0074】
標識表示装置150の表示位置生成部360は、GPS衛星から送信される電波を受けて標識表示装置の位置を示す表示位置情報を生成している(S420)。情報受信部370は、表示通信部362を介して、基地局130bから標識位置情報を受信し(S422)、モニタ制御部372は、地図情報における、表示位置情報が示す位置に、自体150を特定できる指標380を重畳し、標識位置情報の送信位置情報が示す位置に、標識位置情報の標識情報を特定できる指標386を重畳して標識表示装置150のモニタ354に表示させる(S424)。
【0075】
以上説明したように、本実施形態にかかる車載システム100および標識表示方法によれば、運転者は、標識を視認するために他の車両全体を隈無く見渡さなくとも、また、標識が付設された車両170そのものをまだ視認できない状態であったとしても、注意を払うべき車両170の存在を容易かつ迅速に把握できるので、事故を回避し安全性の向上を図ることが可能となる。
【0076】
(第2の実施形態:車載システム500)
図14は、車載システム500の概略的な接続関係を示したブロック図である。図14に示すように、車載システム500は、RFIDタグ110と、標識送信装置120と、複数の基地局130(130a、130b)と、通信網140と、標識表示装置150と、GPS衛星160と、位置管理サーバ502を含んで構成される。第1の実施形態では、標識送信装置120の集計範囲も標識表示装置150の配信範囲も通信が確立されている基地局130を基準にして基地局130毎に規定されている。第2の実施形態では、複数の基地局130の情報を位置管理サーバ502で一括して管理し、基地局130の処理負荷を軽減すると共に、上述した集計範囲や配信範囲を位置を基準にして規定する。
【0077】
(位置管理サーバ502)
図15は、位置管理サーバ502の概略的な構成を示した機能ブロック図である。位置管理サーバ502は、基地局130に対応した、情報中継部510と、サーバ記憶部512と、情報配信部514と、個別配信部516とを含んで構成される。
【0078】
情報中継部510は、管理下にある複数の基地局130が、通信を確立している標識送信装置120から標識位置情報を受信すると、その標識位置情報を複数の基地局130から採集する。そして、情報中継部510は、採集した標識位置情報から送信位置情報を抽出し、採集元となった基地局130がいずれであるかに関係なく、すべての標識位置情報を送信位置情報が示す位置に基づいてマッピングする。
【0079】
図16は、このようなマッピング処理を説明するための説明図である。情報中継部510は、採集した標識位置情報、例えば、図8のように配置している標識送信装置120a、120b、120cの標識位置情報322a、322b、322cを、図16に示すように、基地局130a、130b、130c、130d、130eと共に地図上の具体的な位置530a、530b、530cに関連付けてサーバ記憶部512に記憶する。
【0080】
サーバ記憶部512は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、情報中継部310が採集した標識位置情報322a、322b、322cを位置530a、530b、530cに関連付けて保持する。
【0081】
情報配信部514は、情報中継部510のマッピング処理に基づいて、各基地局130が送信すべき地図上の領域を配分し、その領域内の位置が示された標識位置情報を、その領域に対応した基地局130にそれぞれ送信する。各基地局130は、このようにして割り当てられた複数の標識位置情報を自局130が無線通信を確立している1または複数の標識表示装置150に送信する。
【0082】
図17は、領域配分を説明するための説明図である。基地局130は固定されているので、領域配分される領域532は予め決められており、図16のようにマッピングされた標識位置情報322a、322b、322cの位置530a、530b、530cをその領域532に重ねることで、図17のように領域532とその中に含まれる標識位置情報322とが決定する。そして、その領域532内の位置が示された標識位置情報322、例えば基地局130aの領域532の標識位置情報322a、322b、322cを、その領域に対応した基地局130aに送信する。かかる送信処理は位置管理サーバ502の管理下にある基地局130すべてについて実行される。このとき領域同士の境界は、図17のように厳密に設けず、多少の重複を許容する。
【0083】
このように標識位置情報をその具体的な位置で管理する構成により、標識表示装置150は自体が無線通信を確立している基地局130に真に近い範囲の標識位置情報を集計することができるので、注意を払うべき車両170の存在をより適切な範囲で把握することが可能となる。
【0084】
上述した位置管理サーバ502は、さらに標識表示装置150の位置にも言及することができる。例えば、標識表示装置150が、図15のように、表示通信部を介して、位置管理サーバ502に表示位置情報を送信する位置送信部560をさらに備えている場合、位置管理サーバ502の個別配信部516は、標識表示装置150から受信した表示位置情報が示す位置を基準とした所定範囲内の位置が示された標識位置情報をサーバ記憶部512から抽出し、抽出した標識位置情報を、表示位置情報を送信した標識表示装置150に送信する。
【0085】
図18は、表示位置情報に基づいて標識位置情報を送信する処理を説明するための説明図である。まず、情報中継部510は、図16に示したようにマッピングを行う。ここで、任意の標識表示装置150が表示位置情報を送信し、その表示位置情報が示す位置が地点540であったとする。個別配信部516は、その地点540から所定範囲542内の位置が示された標識位置情報、例えば所定範囲542内の標識位置情報322b、322cを、表示位置情報を送信した標識表示装置150が無線通信を確立している基地局130cに個別に送信し、基地局130cは、その標識表示装置150に標識位置情報322b、322cを送信する。
【0086】
このように標識送信装置120と標識表示装置150との具体的な位置から標識表示装置150に送信すべき標識位置情報を決める構成により、標識表示装置150が注意を払うべき車両170の存在をより適切な範囲で把握できるので、事故を回避し安全性の向上を図ることが可能となる。
【0087】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0088】
例えば、上述した実施形態においては、注意を払うべき車両の存在を、モニタを通じて報知したが、かかる場合に限られず、音声やバイブレーション等様々な報知手段を適用することができる。
【0089】
なお、本明細書の標識表示方法における各工程は、必ずしもシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、車両の位置、特に標識が付設された車両の地図上の位置を把握することが可能な標識表示方法、車載システム、RFIDタグ、標識送信装置、および標識表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
100、500 …車載システム
110 …RFIDタグ
112 …標識
120 …標識送信装置
130 …基地局
140 …通信網
150 …標識表示装置
160 …GPS衛星
210 …標識情報記憶部
212 …標識情報送信部
252 …送信記憶部
260 …送信位置生成部
262 …標識情報受信部
264 …送信通信部
272 …情報送信部
310、510 …情報中継部
312 …基地局記憶部
314、514 …情報配信部
352 …表示記憶部
354 …モニタ
360 …表示位置生成部
362 …表示通信部
370 …情報受信部
372 …モニタ制御部
502 …位置管理サーバ
512 …サーバ記憶部
516 …個別配信部
560 …位置送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識送信装置と、前記標識送信装置が設けられた車両に脱着自在に付設されるRFIDタグと、前記標識送信装置が設けられた車両とは別の車両に設けられた標識表示装置と、前記標識送信装置または前記標識表示装置と無線通信可能な複数の基地局と、を用いた標識表示方法であって、
前記RFIDタグは、
近距離無線通信を用いて前記標識送信装置に日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を送信し、
前記標識送信装置は、
近距離無線通信を用いて前記RFIDタグから前記標識情報を受信し、
GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識送信装置の位置を示す送信位置情報を生成し、
前記標識情報と前記送信位置情報とを対にした標識位置情報を無線通信を確立した1の基地局に送信し、
前記標識送信装置と通信を確立している1の基地局は、
前記標識位置情報を受信して自局から所定範囲内にある他の1または複数の基地局に送信し、
前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局は、
前記1の基地局が受信した標識位置情報を、前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局それぞれが無線通信を確立している前記標識表示装置に送信し、
前記標識表示装置は、
GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識表示装置の位置を示す表示位置情報を生成し、
前記1の基地局または前記他の1または複数の基地局のうちの1の基地局から前記標識位置情報を受信し、
前記地図情報における、前記表示位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳し、前記標識位置情報の送信位置情報が示す位置に、前記標識位置情報の標識情報を特定できる指標を重畳して前記標識表示装置のモニタに表示させることを特徴とする標識表示方法。
【請求項2】
標識送信装置と、前記標識送信装置が設けられた車両に脱着自在に付設されるRFIDタグと、前記標識送信装置が設けられた車両とは別の車両に設けられた標識表示装置と、前記標識送信装置または前記標識表示装置と無線通信可能な複数の基地局と、を備える車載システムであって、
前記RFIDタグは、
日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を保持する標識情報記憶部と、
近距離無線通信を用いて前記標識送信装置に前記標識情報を送信する標識情報送信部と、
を備え、
前記標識送信装置は、
近距離無線通信を用いて前記RFIDタグから前記標識情報を受信する標識情報受信部と、
GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識送信装置の位置を示す送信位置情報を生成する送信位置生成部と、
1の前記基地局と無線通信を確立する送信通信部と、
前記標識情報と前記送信位置情報とを対にした標識位置情報を、前記送信通信部を介して無線通信を確立した前記1の基地局に送信する情報送信部と、
を備え、
前記1の基地局は、
前記標識位置情報を受信して自局から所定範囲内にある他の1または複数の基地局に送信する情報中継部、
を備え、
前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局は、
前記1の基地局が受信した標識位置情報を、前記1の基地局および前記他の1または複数の基地局それぞれが無線通信を確立している前記標識表示装置に送信する情報配信部、
を備え、
前記標識表示装置は、
モニタと、
地図を示す地図情報を保持する地図記憶部と、
GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識表示装置の位置を示す表示位置情報を生成する表示位置生成部と、
前記1の基地局または前記他の1または複数の基地局のうちの1の基地局と無線通信を確立する表示通信部と、
前記表示通信部を介して、前記1の基地局または前記他の1または複数の基地局のうちの1の基地局から前記標識位置情報を受信する情報受信部と、
前記地図情報における、前記表示位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳し、前記標識位置情報の送信位置情報が示す位置に、前記標識位置情報の標識情報を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させるモニタ制御部と、
を備えることを特徴とする車載システム。
【請求項3】
前記情報中継部は、複数の標識送信装置からそれぞれ受信した複数の前記標識位置情報を第1所定時間毎に集計して前記他の1または複数の基地局に送信することを特徴とする請求項2に記載の車載システム。
【請求項4】
前記情報配信部は、自局から所定範囲内にある複数の基地局からそれぞれ受信した複数の標識位置情報を第2所定時間毎に集計して前記標識表示装置に送信することを特徴とする請求項2または3に記載の車載システム。
【請求項5】
前記基地局に通信網を介して接続された1の位置管理サーバが、前記情報中継部および前記情報配信部として機能することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項6】
前記標識表示装置は、前記表示通信部を介して、前記位置管理サーバに前記表示位置情報を送信する位置送信部をさらに備え、
前記位置管理サーバは、前記標識表示装置から受信した表示位置情報が示す位置を基準とした所定範囲内の位置が示された標識位置情報を抽出し、抽出した標識位置情報を、前記表示位置情報を送信した標識表示装置に送信する個別配信部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の車載システム。
【請求項7】
車両に脱着自在に設けられたRFIDタグであって、
日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を保持する標識情報記憶部と、
近距離無線通信を用いて、前記RFIDタグが付設された車両に設けられた外部機器に前記標識情報を送信する標識情報送信部と、
を備えることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項8】
前記RFIDタグは、日本道路交通法に定められた標識と一体的に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
RFIDタグおよび基地局と無線通信可能な標識送信装置であって、
近距離無線通信を用いて、前記RFIDタグから、日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報を受信する標識情報受信部と、
GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識送信装置の位置を示す送信位置情報を生成する送信位置生成部と、
前記基地局と無線通信を確立する送信通信部と、
前記標識情報と前記送信位置情報とを対にした標識位置情報を、前記送信通信部を介して無線通信を確立した前記基地局に送信する情報送信部と、
を備えることを特徴とする標識送信装置。
【請求項10】
モニタと、
地図を示す地図情報を保持する地図記憶部と、
前記地図情報における前記送信位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させるモニタ制御部と、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の標識送信装置。
【請求項11】
基地局と通信可能な標識表示装置であって、
モニタと、
地図を示す地図情報を保持する地図記憶部と、
GPS衛星から送信された電波を受けて前記標識表示装置の位置を示す表示位置情報を生成する表示位置生成部と、
前記基地局と無線通信を確立する表示通信部と、
前記表示通信部を介して、前記基地局から、日本道路交通法に定められた標識であることを示す標識特定情報を含む標識情報と外部機器の位置を示す送信位置情報とを対にした標識位置情報を受信する情報受信部と、
前記地図情報における、前記表示位置情報が示す位置に、自体を特定できる指標を重畳し、前記標識位置情報の送信位置情報が示す位置に、前記標識位置情報の標識情報を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させるモニタ制御部と、
を備えることを特徴とする標識表示装置。
【請求項12】
前記標識情報には、標識の種別を示す標識種別情報も含まれ、
前記モニタ制御部は、前記標識種別情報を特定できる指標を重畳して前記モニタに表示させることを特徴とする請求項11に記載の標識表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−231274(P2010−231274A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75057(P2009−75057)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
2.ZIGBEE
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】