気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータ
【課題】テーブルの気体制御回転移動において、気体制御アクチュエータの先端部と移動対象物との間に気体を導入したときの先端部における実効負荷力を向上させることである。
【解決手段】テーブル50を駆動する気体制御アクチュエータ200は、案内部202に案内されてその軸方向に移動可能な第1可動体204と、その先端の曲面座で底面が支持される第2可動体206とを含む。案内部202の底部には、供給口CP1から駆動気体圧が導かれる。テーブル50のタンク56からは、絞り部58、軸側伝達気体供給路60を介して、矩形軸54の気体受面208と第2可動体206の先端面210との間の隙間に、駆動気体圧より高い伝達気体圧を有する気体が供給される。
【解決手段】テーブル50を駆動する気体制御アクチュエータ200は、案内部202に案内されてその軸方向に移動可能な第1可動体204と、その先端の曲面座で底面が支持される第2可動体206とを含む。案内部202の底部には、供給口CP1から駆動気体圧が導かれる。テーブル50のタンク56からは、絞り部58、軸側伝達気体供給路60を介して、矩形軸54の気体受面208と第2可動体206の先端面210との間の隙間に、駆動気体圧より高い伝達気体圧を有する気体が供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータに係り、特に平面内で移動可能なテーブルを軸方向に回転移動させる気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
物を保持して移動させ位置決めを行うために、テーブルの移動、回転機構が広く用いられている。例えば、半導体製造において、露光装置やボンディング装置等でウエファ等をテーブルに保持し、精密な位置決めの下で作業が行われるが、ここではX軸とY軸方向の精密な移動と、Z軸周りのθ回転が行われる。
【0003】
これらテーブルの移動、回転機構のうち、X軸とY軸方向の精密な移動には、いわゆるXYテーブル移動機構が用いられ、例えば、X軸方向に移動可能なXテーブルと、Y軸方向に移動可能なYテーブルとを2段重ねにし、それぞれを精密モータで移動させるものが周知である。テーブルの回転機構には、円形の回転テーブルを用い、その回転軸をやはり精密な回転モータで駆動させるものを用いることが多い。精度を向上させるために、回転軸にモータを直結することや、精密な減速機構を用いる場合もある。
【0004】
この他に、モータによる騒音や振動等の問題がない気体制御アクチュエータが用いられる。気体制御アクチュエータとは、いわゆるシリンダ・ピストン機構を用いるもので、シリンダとピストンの協働によりシリンダ内部のピストンの前後に気体室を形成し、両気体室に供給する気体圧を制御することでピストンを精密に移動させるものである。たとえば、特許文献1には、流体圧サーボ機構を用い、流体圧を制御することで移動体を駆動する流体圧アクチュエータが開示される。気体制御アクチュエータのピストンにテーブルを接続することにより、気体圧により駆動されるテーブル送り機構を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開昭57−51002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、精密モータを用いたXYθ移動回転機構は広く用いられている。また、気体制御アクチュエータを用いて、振動を抑制して高精度化を図ることも提案されている。しかし、気体制御アクチュエータは、いわゆるシリンダ・ピストン機構で代表されるように、直進機構が基本であるため、テーブルのθ回転がそのままでは実現できない。
【0007】
テーブルのθ回転も気体アクチュエータで実現しようとするには、例えば、アクチュエータの先端部を直接テーブルに接続するのでなく、円弧上の点接触のすべりを利用することが考えられる。さらに、アクチュエータの先端部と、テーブルの押される部分との間に気体を導入し、気体層を介して駆動することにすれば、摩擦も大幅に低減できる。
【0008】
このように、気体制御アクチュエータの先端部と移動対象物との間の隙間に気体を導入することで、モータによる騒音や振動等の問題を排除して、XYθ移動回転機構を構成することが考えられるが、この構成においては、駆動力の伝達特性に次のような課題がある。
【0009】
図1は、移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との隙間sに気体を導入する構成の移動機構において、気体制御アクチュエータ4の可動部が面積Aで気体圧Pを受け、駆動力P・Aで駆動しようとするとき、移動対象物2が受ける負荷力Fが、隙間sによってどのように変わるかを定性的に示す図である。図1において、横軸は移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との間の隙間s、縦軸は、移動対象物4が受ける負荷力Fと、駆動力P・Aとの比(F/P・A)を取ってある。パラメータは、隙間sにおける気体圧Psである。この場合、Ps=Pとしてある。
【0010】
移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との間の隙間sに気体層がなければ、周知のように、通常F=P・Aとなる。図1でいえば移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部とが接触している場合に相当する。隙間sに気体圧Psが導入されると、隙間sが大きいほど、Psが小さいほど、急激にFはP・Aに比べ小さい値となる。例えば、P=Psとして、気体制御アクチュエータに用いられる気体圧とし、隙間を数10μm程度とすると、(F/P・A)は、0.5〜0.9程度になることもある。この原因は、隙間sに導入された気体が、移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との間の押し付け力等によって隙間sから外部へ向かって流出することに起因する。
【0011】
したがって、気体制御アクチュエータ4の先端部と移動対象物2との間の隙間sに気体を導入すると、気体制御アクチュエータ4に入力した駆動力P・Aは、隙間sから外部に流れる気体により駆動力損失を生じ、駆動力P・Aからこの駆動力損失を差し引いたものが実効負荷力Fとなる。このように、気体制御アクチュエータ4の先端部と移動対象物2との間の隙間に気体を導入すると、実効負荷力Fが駆動力P・Aに対して低下するという課題がある。
【0012】
本発明の目的は、気体制御アクチュエータの先端部と移動対象物との間に気体を導入したときの先端部における実効負荷力を向上させる気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、を備え、さらに、各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、伝達気体圧は駆動気体圧より大きく、かつ実効負荷力が可動部に対する駆動力より小さくなる気体圧に制御される。これにより、伝達気体圧を駆動気体圧と別個に大きな気体圧とでき、実効負荷力を向上させることができる。
【0015】
本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備え、各可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする。
【0016】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、伝達気体圧が駆動気体圧と同じときは、可動部の先端面の面積は可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広くする。これにより、可動部先端における実効負荷力を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内されるスリーブ状の可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、スリーブ状の可動部の中心穴を通って気体受面に供給される駆動気体圧によって気体受面に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって気体受面を支持する複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、を備え、さらに、各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段を有することを特徴とする。
【0018】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、可動スリーブ部の先端面、すなわち円筒状の周辺部でテーブルの気体受面を気体支持するとともに、可動スリーブ部の中心穴によって駆動気体圧がそのままテーブルの気体受面に供給され、駆動力を与える。したがって、可動部である可動スリーブ先端における実効負荷力は、駆動気体圧による駆動力と同程度に向上する。
【0019】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、伝達気体供給路に設けられる絞りを有することが好ましい。これにより、伝達気体圧の制御性を向上させることができる。
【0020】
また、伝達気体供給路は、伝達気体圧の供給源から多角形軸の内部を通り対応する気体受面に他方側の開口を有する軸側伝達気体供給路、又は伝達気体圧供給源から可動部の内部を通り可動部の先端面に他方側の開口を有する可動部側伝達気体供給路であることが好ましい。これにより、伝達気体供給路の配置の自由度が増す。
【0021】
また、可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることが好ましい。これにより、テーブルの回転に対し、可動部先端が曲面座の支持の下で滑らかに追従できる。
【0022】
また、先端可動体は、その底面曲面と曲面座との間の曲面隙間に供給される曲面支持気体圧で支持されることが好ましい。これにより、曲面支持において摩擦を少なくして滑らかに支持できる。
【0023】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、テーブル制御部は、位置又は角度指令、速度又は角速度指令、加速度又は角加速度指令の少なくとも1つの指令に、その上限を制限するリミッタを有することが好ましい。これによって、線形性のよい回転移動制御を行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、先端可動体の底面曲面の曲率と、これを支持する曲面座の曲率とが異なることが好ましい。これにより、曲面隙間における気体の流れる断面積を一定、あるいは下流に向かって広がる末広がり等の形態に設計でき、曲面支持をより効率的に行うことが可能になる。
【0025】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、曲面隙間には、駆動気体圧又は伝達気体圧が供給されることが好ましい。これにより、別途、曲面支持専用の気体源又はその制御を省略することができる。
【0026】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、曲面座を有する可動体は、その内部にバッファ気体室を有し、バッファ気体室は、外部に連通する気体供給口と、曲面隙間に連通する曲面支持気体供給路とを有することが好ましい。これにより、曲面支持の気体圧を独自に設定することが可能になる。
【0027】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、曲面座を有する可動体は、その内部にバッファ気体室を有し、バッファ気体室は、駆動気体圧又は伝達気体圧が導かれる気体導入路と、可動部と案内部との可動軸受隙間に軸受気体圧を供給する軸受気体供給路とを有することが好ましい。これにより、可動軸受隙間の可動部案内気体軸受のための専用の気体源又はその制御を省略することができる。
【0028】
また、可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、気体受面に向かい合う先端可動体は、その先端面が任意の曲率を有する曲面であることが好ましい。これにより、テーブルの回転に対し、可動部先端がその先端曲面において滑らかに追従できる。
【0029】
また、スリーブ状の可動部は、可動方向に沿って配置され、略同一の中心穴を有する複数の可動体を有し、気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることが好ましい。これにより、テーブルの回転に対し、スリーブ状の可動部先端が曲面座の支持の下で滑らかに追従できる。
【0030】
また、供給手段は、スリーブ状可動部に駆動気体圧を供給することが好ましい。これにより、スリーブ状可動部の移動のための専用の気体源又はその制御を省略することができる。
【0031】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、ダイヤフラムの先端に接続され、ダイヤフラムの内管部に供給される駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【0032】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、可動部は駆動気体圧が供給されるダイヤフラムの先端に設けられるので、駆動気体圧そのもので駆動され、可動部の先端面における実効負荷力は、駆動気体圧による駆動力と同じとなる。
【0033】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内されて電磁モータで駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【0034】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、多角形軸の回転移動量が微小である気体制御回転移動装置の場合は、可動部の移動制御を電磁モータ、例えばボイスコイルモータあるいはフォースモータを用いて微小な移動制御を行うことができる。このように可動体の駆動源に電磁モータを使用することで、駆動気体圧と伝達気体圧との関係を考慮することなく、可動部の先端面における負荷力は、電磁モータの駆動力と同じとなる。
【0035】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体圧制御手段と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、を有することを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備え、可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内されるスリーブ状の可動部であって、スリーブ状の可動部の中心穴を通って移動対象物の気体受面に供給される駆動気体圧によって移動対象物に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって移動対象物を支持するスリーブ状の可動部と、スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段と、を有することを特徴とする。
【0038】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、ダイヤフラムの先端に接続され、ダイヤフラムの内管部に供給される駆動気体圧で駆動される可動部であって、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内されて電磁モータで駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
上記のように、本発明に係る気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータによれば、気体制御アクチュエータの先端部と移動対象物との間に気体を導入したときの先端部における実効負荷力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、気体制御回転移動装置の全体について実施例1とし、気体制御回転移動装置を構成する要素、特に気体制御アクチュエータの他の実施形態等を実施例2以下で説明する。実施例2以下の実施形態は、そのまま単独で実施例1の構成要素と置き換えてもよく、いくつかの実施形態を組み合わせたものを実施例1の構成要素と置き換えて用いるものとしてもよい。
【実施例1】
【0042】
図2は、気体制御回転移動装置10の構成図で、特に図2(a)は全体の構成を示す。ここで示されるように、気体制御回転移動装置10は、テーブル50をその平面内で回転移動する機構であるテーブル機構部20、テーブル機構部20の気体制御アクチュエータ200に所定の気体圧を供給する気体圧調整部70、全体の制御を行うテーブル制御部80を含んで構成される。図2(b)は、テーブル機構部20の側面図である。
【0043】
テーブル機構部20は、固定部分である本体部24と、本体部24に対し、図2(a)、(b)に示すXY平面内の移動と、Z軸周りのθ回転とが可能なテーブル50と、本体部24に取り付けられテーブル50に変位力を与える6つの気体制御アクチュエータ200を含んで構成される。ここで、6つの気体制御アクチュエータ200は、テーブル50に対し、Y方向の変位力を与え、互いに向き合って配置される2つのY1,Y2アクチュエータと、X方向の変位力を与え、互いに向き合って配置される2組、計4つのX1〜X4アクチュエータである。これら6つの気体制御アクチュエータ200の配置は、これらの駆動を協働的に制御することで、テーブル50を、移動可能な範囲内で、XY平面内の任意の位置へ移動させ、またZ軸周りの任意の角度でθ回転させることができるようになされている。
【0044】
例えば、X1〜X4アクチュエータを駆動させず、Y1,Y2アクチュエータのみを適当に駆動することでテーブル50をY方向に移動させることができる。同様に、Y1,Y2アクチュエータを駆動させずに、X1,X2を対とし、またX3,X4を対として、適当に駆動させることで、テーブル50をY方向に移動させることができる。また、Y1,Y2アクチュエータを駆動させず、さらにX1,X4を対とし、またX2,X3を対として適当に駆動させることで、テーブル50をZ軸回りに時計方向又は反時計方向に回転できる。さらに、これらの駆動態様を組合せて、テーブル50をXY平面内の任意の位置に移動でき、またこれに加えてZ軸回りに任意の角度で回転させることができる。
【0045】
各気体制御アクチュエータ200には、駆動力を与えるためにテーブル制御部80の制御の下で駆動気体圧を制御して出力するサーボ弁22が設けられる。サーボ弁22には、一般的な精密気体圧制御弁を用いることができる。
【0046】
気体圧調整部70は、気体源120から供給される気体を所定の制御された高圧の供給気体圧に調整し、調整された供給気体圧の気体を、各サーボ弁22、及び後述する伝達気体の供給源であるタンク56にそれぞれ供給する機能を有する。気体圧調整部70は、各サーボ弁22用の供給気体圧調整ルートと、タンク56用の伝達気体圧調整ルートとに分けられ、それぞれは圧力制御弁72,73及び調整用タンク74,75等を含んで構成される。供給気体圧は、各サーボ弁22において、後述するように、テーブル50の回転移動指令に従ったテーブル制御部80の制御の下で各気体制御アクチュエータ200のための各駆動気体圧に制御されるので、その元圧として適当な高圧の気体圧に調整される。伝達気体圧の設定の詳細は、気体制御アクチュエータ200の構成のところで後述する。気体圧調整部70から各サーボ弁22への接続は、適当な気体用配管で行われる。同様に、伝達気体用のタンク56への供給口として本体部24に設けられる接続口40と、気体圧調整部70との間も適当な気体配管によって接続される。
【0047】
テーブル制御部80は、テーブル50に対する回転移動の指令90に基づいて、その指令を目標値として、各気体制御アクチュエータ200を協働して駆動させるように、対応する各サーボ弁22に駆動信号を出力する機能を有する。テーブル制御部80は、X軸移動、Y軸移動、θ回転の回転移動制御部82と、D/A変換部84と、サーボ弁22の駆動用のパワーアンプ86とを含んで構成される。テーブル50には、実際のX移動、Y移動、θ回転を検出するセンサ88が設けられ、その検出信号は回転移動制御部82にフィードバックされる。
【0048】
図3は、テーブル制御部80のX軸移動、Y軸移動、θ回転の中のいずれか1つ、例えばY軸移動についての部分と、複数のサーボ弁22、複数の気体制御アクチュエータ200、テーブル50、センサ88を含めた回転移動制御のブロック線図である。
【0049】
この回転移動制御部82は、回転移動の指令90のうち位置指令90が入力される減算器92と、減算器92から順次位置制御器94−速度リミッタ100−減算器96−速度制御器98−加速度リミッタ101−減算器102−加速度制御器104と直列に接続され、その後さらに、−D/A変換部84−パワーアンプ86−サーボ弁22−気体制御アクチュエータ200と接続されるメイン制御ルートを有する。そして、さらに気体制御アクチュエータ200の変位をセンサ88で検出し、センサアンプ106で信号処理した後、位置に変換して減算器92に戻す位置フィードバックループと、位置を微分器108で速度に変換し、減算器96に戻す速度フィードバックループと、位置を2回微分器110で加速度に変換し、減算器102に戻す加速度フィードバックループとを有する。図において破線で囲んだ回転移動制御部82の部分はディジタル信号処理で行われるが、場合によってはアナログ信号処理を行ってもよい。
【0050】
減算器92は、位置指令90と制御対象である気体制御アクチュエータ200の位置とを入力し、位置偏差=(位置指令と制御対象の位置)を出力する機能を有する回路である。例えば、ディジタル制御の場合には、位置指令のディジタル値と後述のセンサアンプ106のディジタル出力との減算処理を行うことで位置偏差を算出し出力することができる。
【0051】
位置制御器94は、ゲインGsによって位置偏差をGs倍して減算器96に出力する機能を有する増幅器である。ゲインGsは、いわゆる位置ループゲインである。位置制御器94の出力は速度指令である。速度指令は、通常、そのまま減算器96に入力されるが、ここでは速度リミッタ100により速度指令の上限を制限し、その結果を減算器96に入力する。位置制御器94は、ディジタル制御の場合はディジタル演算器で増幅することができる。
【0052】
速度リミッタ100は、入出力特性が原点から所定範囲が線形で、所定範囲を超すと出力が一定値となる特性を有する出力制限素子である。その入出力特性図は、図3における速度リミッタ100のボックスの中に模式的に示す通りである。ここにおいて横軸は速度リミッタ100への入力、すなわち位置制御器94の出力であり、縦軸は速度リミッタ100の出力、すなわち減算器96への入力である。かかる速度リミッタ100は、ディジタル制御のときは、予め任意に設定された関数形を用いる関数演算器で構成でき、例えばアナログ処理の場合には、ダイオード等の電圧リミッタ又は電流リミッタ等を用いることができる。
【0053】
速度リミッタ100における線形領域は、出力=入力の45度勾配の直線特性を用いてもよく、位置制御器94のゲインGsと組み合わせて適当な勾配の直線特性を設けてもよい。また、出力制限領域までを線形領域とせずに、前段の位置制御器94や次段の減算器96の特性をあわせるために適当な増加関数形の特性とすることもできる。また、速度リミッタ100の入出力特性において、線形領域から出力制限領域への遷移は、このような折れ線状遷移を用いることもできるが、好ましくは、線形領域と出力一定領域とを漸近線で接続することで得ることができる緩和的曲線状遷移を用いてもよい。緩和的曲線状遷移を用いることで、高調波の発生を抑制できる。速度リミッタ100における出力制限値は、速度リミッタ100に設定端子を設け、外部から任意に設定できるようにすることが好ましい。
【0054】
減算器96は、速度指令と、制御対象の速度とを入力し、速度偏差=(速度指令と制御対象の速度)を速度制御器98に出力する機能を有する回路である。速度制御器98は、ゲインGvによって速度偏差をGv倍し、加速度指令として加速度リミッタ101に出力する機能を有する増幅器としての機能を有する。ゲインGvは、いわゆる速度ループゲインである。加速度指令は、通常、そのまま減算器102に入力されるが、ここでは加速度リミッタ101により加速度指令の上限を制限し、その結果を減算器102に入力する。
【0055】
加速度リミッタ101は、速度リミッタ100と同様に、入出力特性が原点から所定範囲が線形で、所定範囲を超すと出力が一定値となる特性を有する出力制限素子である。その入出力特性図は、速度リミッタ100と同様で、横軸は加速度リミッタ101への入力、すなわち速度制御器98の出力であり、縦軸は加速度リミッタ101の出力、すなわち減算器102への入力である。また、速度リミッタ100と同様に、加速度リミッタ101における線形領域は、出力=入力の45度勾配の直線特性を用いてもよく、速度制御器98のゲインGvと組み合わせて適当な勾配の直線特性を設けてもよい。また、出力制限領域までを線形領域とせずに、前段の速度制御器98や次段の減算器102の特性をあわせるために適当な増加関数形の特性とすること、また加速度リミッタ101の入出力特性において、線形領域から出力制限領域への遷移は、このような折れ線状遷移を用いることもできるが、好ましくは、線形領域と出力一定領域とを漸近線で接続することで得ることができる緩和的曲線状遷移を用いてもよいこと、加速度リミッタ101における出力制限値は、加速度リミッタ101に設定端子を設け、外部から任意に設定できるようにすることが好ましいこと等も、同様である。
【0056】
減算器102は、加速度リミッタ101により制限された加速度指令と制御対象である気体制御アクチュエータ200の加速度とを入力し、加速度偏差=(加速度指令と制御対象の加速度)を出力する機能を有する回路である。例えば、ディジタル制御の場合には、加速度指令のディジタル値と加速度リミッタ101のディジタル出力との減算処理を行うことで位置偏差を算出し出力することができる。
【0057】
加速度制御器104は、ゲインGaによって加速度偏差をGa倍してD/A変換部84に出力する機能を有する増幅器である。ゲインGaは、いわゆる加速度ループゲインである。加速度制御器104の出力は、いわゆる駆動指令である。加速度制御器104は、ディジタル制御の場合はディジタル演算器で増幅することができる。
【0058】
D/A変換部84の出力は、パワーアンプ86に出力される。パワーアンプ86は、サーボ弁22を駆動指令に基づいて駆動するドライバとしての機能を有する回路である。具体的には、サーボ弁22の駆動部である例えば可動線輪に供給する駆動電流を発生する駆動回路である。パワーアンプ86は、D/A変換後のアナログ電圧を電流に変換する回路等で構成することができる。
【0059】
パワーアンプ86の出力はサーボ弁22に供給され、例えば可動線輪に流れる電流によって、磁石からの磁束との協働により駆動力が生じ、それによりスプール等を移動させて、これにより弁の制御された開閉を行い、制御された気体圧を駆動気体圧として気体制御アクチュエータ200に出力する。気体制御アクチュエータ200はこの駆動気体圧に応じて駆動力を発生し、そこで、6つの気体制御アクチュエータ200の協働によりテーブル50が移動あるいは回転する。テーブル50の回転移動はセンサ88により検出される。
【0060】
センサ88の出力は、上記のように、センサアンプ106を介し、減算器92に入力され、位置フィードバックループを形成する。同様に、センサアンプ106の出力は微分器108を介して減算器96に戻されて速度フィードバックループを形成し、2回微分器110を介して減算器102へ戻されて加速度フィードバックループを形成する。ここで、センサ88の出力が回転角度θの場合は、位置は角度、速度は角速度、加速度は角加速度に相当する。
【0061】
このように、テーブル制御部80においては、速度リミッタ100及び加速度リミッタ101を設けるので、パワーアンプ86等における飽和現象を抑制し、線形性のよい制御を行うことができる。また、位置フィードバック、速度フィードバック、加速度フィードバックを行うので、迅速で、追従性のよい制御を行うことができる。なお、上記では速度指令及び加速度指令に対するリミッタを説明したが、場合によっては、速度指令又は加速度指令のいずれか一方のみにリミッタを用いることとしてもよい。
【0062】
次に図4、図5を用いて、テーブル機構部20の詳細を説明する。図4は、テーブル機構部20において、各サーボ弁22及びセンサ88を取り外した状態の断面図である。ここで示されるように、テーブル50は、上板52、下板53と、矩形軸54を含んで構成され、その内部に伝達気体用のタンク56としての空洞部を有する。図5は、さらに、テーブル50の上板52を取り外した状態の上面図である。
【0063】
テーブル50の矩形軸54は、本体部24の中央部の矩形穴26の中に所定の移動隙間をもって収納される形状を有する。この移動隙間が、テーブル50のXY平面内の回転移動可能範囲を規制する。ここで本体部24は、テーブル機構部20を例えば基台に固定するための取付部25を有する。そして、テーブル50の上板52、下板53に向かい合う上面、又は下面には、矩形穴26の周囲に3重の溝が設けられる。これらの溝は、矩形穴26に近い内周側から外周側に向かって、順に、上板52、下板53を気体支持する気体軸受用気体供給溝28、排気溝30、漏れる気体を回収する真空引き溝32である。この構成により、上板52及び下板53と本体部24との間で、いわゆる気体軸受作用によりテーブル50を移動可能に保持することができ、さらに、余分な気体が外に漏れず、真空中でも気体制御回転移動装置10を稼働させることができる。なお、矩形穴26は、排気溝30と接続される。これらの溝に対応し、それぞれ、気体軸受用気体供給穴34、排気穴36、真空引き穴38が設けられる。気体軸受用気体として伝達気体を用いるときには、気体軸受用気体供給穴34は、タンク56に接続される。排気穴36、真空引き穴38は、それぞれ図示されていない排気装置、真空装置等に接続される。
【0064】
伝達気体は次のような経路でタンク56に導かれる。すなわち、気体圧調整部70で所定の伝達気体圧に調整された伝達気体は、適当な配管で本体部24の側壁の接続口40に供給され、図2(a),(b)に示されるように本体部24の内部のZ方向に沿って設けられる流路42を通り、テーブル50の上板52、下板53の内部のX方向に沿って設けられる流路44を通り、テーブルのほぼ中心に達する。そこで図3、図4に示すように、矩形軸54の中心においてZ方向に延びてタンク56に達する流路46を通ってタンク56に供給される。タンク56は、導かれた伝達気体のバッファ体積としての機能を有する。そしてここから、図4に示されるように、絞り部58を介し、軸側伝達気体供給路60を通って、各気体制御アクチュエータ200の先端部に向けて供給され、各気体制御アクチュエータ200の可動部の先端面と、矩形軸54の対応する辺との間に気体を供給する。この気体が、矩形軸54の対応する辺を気体受面として、各気体制御アクチュエータ200の可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体で、これを介して、各気体制御アクチュエータ200の駆動力が矩形軸54、すなわちテーブル50に実効負荷力として伝達されることになる。
【0065】
ここで、絞り部58について説明する。絞り部58は、伝達気体の流れを乱れの少ないものとして、負荷力の滑らかな伝達を行うために設けられる。以下に、絞り部58に好ましい形態の例をいくつか示すが、各形態を区別するため、各絞り部の符号を異ならせて説明する。
【0066】
図6は、絞り部として好ましい2つの例を示す図である。図6(a)は、可動体160のポケット開口164の中に設けられる平行隙間絞り170である。平行隙間絞り170は、ドーナツ状に中央穴を有する円環板172と、円環板172と外形が同じの円板174とが狭い平行隙間で配置され、その平行隙間の間を気体が流れる間に整流され、その流れが乱れなく形成されるものである。平行隙間は、例えば、気体供給路162に供給される気体圧を0.5Mpaとし、その流速を30m/secとして、これを絞りにより流速300m/secの層流とするときの場合で、50μmが好ましい。そのときの円環板172と円板174との間の平行隙間の長さは、50μmに対し、十分長いことが望ましい。例えば5−10mm程度とすることができる。
【0067】
このように平行隙間絞りの整流作用により絞り部に流れる気体を乱れなく形成することで、例えば絞りとして一般的に用いられるオリフィス絞り等により気体を絞る場合に生ずる、乱流や渦流等を抑制できる。特に、高圧かつ高速の気体を扱うときにオリフィスのエッジ等から生ずる衝撃波を抑制することもできる。したがって、気体圧制御において、このようなノイズの影響を少なくでき、気体制御回転移動装置10の制御性の向上を図ることができる。
【0068】
図6(b)は、絞り部のもう1つの好ましい例として、多孔質材料176をポケット開口164の中に配置するものを示す図である。この場合も、多孔質の微小孔の整流作用により絞り部に流れる気体を乱れなく形成することができる。
【0069】
図7は、用いることができるその他の絞り部の例を示す図で、気体供給路162から単純に細い開口178に絞るオリフィス178である。
【0070】
これらの絞り部は、製作の容易性、整流性、絞り特性等にそれぞれ特徴がある。したがって、気体制御回転移動装置10に要求される応答性、耐ノイズ性、気体条件等を考慮し、コストと性能の兼ね合いで最も適する構成を選択することが好ましい。
【0071】
次に、気体制御アクチュエータ200回りの構成につき説明する。図8は、6つの気体制御アクチュエータ200の中の1つについてその周辺の断面図である。気体制御アクチュエータ200は、本体部24に設けられた案内部202と、案内部202に案内されてその軸方向に移動可能な2つの可動体である第1可動体204、第2可動体206とを含む。案内部202は、シリンダ状の内壁を有するものであり、第1可動体204、第2可動体206の側面は概略円柱状である。案内部202は本体部24に設けられるが、具体的には、案内部202の底板部を本体部24の筐体の一部とし、そこに円筒部材を取り付け、その部分を案内部202とすることができる。
【0072】
なお、案内部202の形状と、第1可動体204、第2可動体206の形状との関係は、滑らかに移動可能な相互に対応する形状であればよく、円筒状のものの他、矩形、多角形等の断面形状を有する組合せであってもよい。以下における他の形態の気体制御駆動部の構成においても同様である。
【0073】
案内部202の底部には、サーボ弁22からの駆動気体圧がCP1で示される駆動気体圧供給口から導入され、第1可動体204の底面との間に気体室が形成される。第1可動体204の先端には曲面座が設けられ、その先の第2可動体206は、その曲面座に対応する曲率の曲面を有する。図8において曲面座は凹状曲面であるが、これを凸状曲面としてもよい。曲面の形状は球面を用いることができる。また、一部に球面形状を用いるものであってもよく、あるいは円弧状の曲面であってもよく、またそれ以外の曲面形状を用いてもよい。かかる曲面座及び第2可動体206の曲面は、適当な金属材料又はセラミックの素材を成形及び精密な球面表面加工して得ることができる。
【0074】
テーブル50のタンク56からは、絞り部58、軸側伝達気体供給路60を通って、矩形軸54の対応する辺を気体受面208とし、第2可動体206の先端面210との隙間に伝達気体が供給される。また、第2可動体206を貫いて第2供給路212が設けられ、これを通った伝達気体は、第1可動体204、第2可動体206との間の曲面隙間に供給される。またさらに、第2供給路212に対応して第1可動体内部に第1供給路214が設けられ、その先は内部タンク216となる空間に接続される。
【0075】
結局、内部タンク216には、伝達気体圧を有する気体が矩形軸54のタンク56から供給される。内部タンク216は、これらの供給された気体のバッファ空間としての機能を有する。そして、内部タンク216から、第1可動体204の側壁に向かって延びる第3供給路220は、内部タンク216からの気体を、案内部202と第1可動体204との間の円筒状隙間に供給し、いわゆる気体軸受支持を行わせることができる。これにより、第1可動体204は、案内部202に摩擦なく滑らかに案内支持され、駆動気体圧によって、矩形軸54の気体受面208の方向に移動できる。
【0076】
さらに、案内部202から本体部24を通ってテーブル50に向かう第4供給路222によって、これらの気体は、本体部24とテーブル50との間の隙間に排気される。
【0077】
ここで、第2可動体206の先端面210から気体受面208の状態に注目すると、ここでは、伝達気体圧を有する気体が供給される。ここで、気体受面208が受ける実効負荷力を駆動気体圧による駆動力に近づけるため、伝達気体圧は、気体圧調整部70によって、次のように調整される。すなわち、駆動気体圧より大きい気体圧に設定される。その大きさは、第2可動体206の先端面210の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、先端面210と気体受面208との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が、第1可動体204の底面の面積に駆動気体圧を乗じて得られる駆動力と略同じまたはそれより若干小さくなるような気体圧に設定される。駆動力を超えないようにするのは、実効負荷力が駆動力を超えると、第1可動体204、第2可動体206が押し戻されて、矩形軸54を効果的に駆動できなくなることを防ぐためである。
【0078】
したがって、このような伝達気体圧の設定により、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例2】
【0079】
伝達気体圧を有する気体の供給は、矩形軸54の気体受面208の開口からでなくてもよい。図9は、伝達気体圧を有する気体の供給を、第2可動体206の先端面210の開口から行う気体制御アクチュエータ230を示す図である。図8と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。ここでは本体部24に設けられた供給口CP2から伝達気体圧を有する気体が気体圧調整部70から供給される。そして、この気体は、第1可動体232に設けられる可動部側伝達気体供給路234と、第2可動体206の第2供給路を通って、第2可動体206の先端面210と気体受面208との間の隙間に伝達気体圧を有する気体として供給される。この構成により、図8で説明したと同様に、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例3】
【0080】
伝達気体圧を有する気体の供給を、第2可動体212の先端面210の開口から行う場合に、その気体の流れを乱れの少ないものとするために、絞り部を設けることが望ましい。図10は、第1可動体242の側面に沿って表面絞りを設け、これを用いて伝達気体を供給する構造の気体制御アクチュエータ240を示す図である。図8、図9と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0081】
図10の気体制御アクチュエータ240においては、図9の構造と同様に、本体部24に設けられた供給口CP2から伝達気体圧を有する気体が気体圧調整部70から供給される。そして、CP2から供給された気体は、案内部202と第1可動体242との間の円筒状隙間に設けられ、図10においてA部として示した隙間絞りによって絞られ、乱れの少ない流れとなって、第2可動体206の可動部側伝達気体供給路244と、第2可動体206の第2供給路を通って、第2可動体206の先端面210と気体受面208との間の隙間に伝達気体圧を有する気体として供給される。この構成により、図8で説明したと同様に、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例4】
【0082】
伝達気体圧の流れとは別に、第1可動体と第2可動体との間の曲面隙間に供給される流れも、乱れの少ないものとすることが望ましい。図11は、曲面隙間に供給する気体の供給路に絞り部258を設ける構成の気体制御アクチュエータ250を示す図である。図8から図10と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0083】
図11の気体制御アクチュエータ250においては、本体部24に設けられた供給口CP3から曲面隙間用の気体が供給される。この気体は、気体圧調整部70から別途供給されてもよく、あるいは駆動気体圧を有する気体を分流して供給するものとしてもよい。そして、CP3から供給された気体は、第1可動体252に設けられた供給路254を経て、第1可動体252の内部に設けられた内部タンク256に導かれる。内部タンク256は図8で説明したものと同様に、導かれた気体のバッファ体積としての機能を有する。内部タンク256からは、絞り部258を介し、曲面隙間に向けて延びる別の供給路260が設けられる。この絞り部258は、図8で説明した絞り部58と同様のもの、すなわち平行隙間絞り等を用いることができる。このように、CP3から供給される気体は、絞り部258によって乱れの少ない流れとなって、曲面隙間に供給され、曲面座に対する第2可動体206の動きをさらに滑らかなものとし、テーブル50の回転移動の精度を向上させることができる。
【実施例5】
【0084】
第1可動体と第2可動体との間の曲面隙間における気体による気体支持を効果的にするには、曲面隙間の流れを噴出し口から排気側に向けて一様な隙間あるいは次第に隙間が広がる末広がりとすることが好ましいことがある。このように、曲面隙間の流路の寸法を考慮するときは、第2可動体の底面曲面の曲率と、これを支持する第1可動体の曲面座の曲率とを異なることとすることが好ましい。図12は、その様子を示す図である。図12(a)では、第2可動体の底面曲面264の曲率R1と、これを支持する第1可動体の曲面座曲面266の曲率R1とを同じとし、曲面隙間に噴出す気体により、これら曲面が相互にY方向に平行移動した場合を示してある。このように、同じ曲率の2つの曲面を平行移動する場合には、その間の曲面隙間の間隔は一様にならず、中央部から周辺に向かって次第に隙間が狭まる末すぼまりの形態となる。つまり、中央部で噴出した気体の流れは、周辺へ向けてより狭くなる隙間を流れることになる。ここで曲率は、単純な半径でなく、曲率関数であるとして図示したが、勿論曲面が球面の場合は、曲率はその半径となる。
【0085】
図12(b)は、第2可動体の底面曲面264の曲率R1とに対し、これを支持する第1可動体の曲面座曲面268の曲率R2を異ならせてある。ここでは、曲率R2を曲率R1より緩やかのものとし、2つの曲面が相互にY方向に平行移動するときに、曲面隙間が全経路に渡りほぼ同じ隙間となるように選んである。このように、第2可動体の底面曲面の曲率と、これを支持する第1可動体の曲面座の曲率とを異ならせることで、曲面隙間の形態を任意のものに設定でき、曲面隙間を流れる流れを、滑らかな移動を可能にする気体支持とすることができる。
【実施例6】
【0086】
テーブル50と、可動体との負荷力の伝達を滑らかにするには、図8等で説明したように、第1可動体の曲面座で第2可動体の底面の曲面を支持することで、第2可動体をテーブル50の移動に対し、回転可能に追従させることができる。これを1つの可動体で行うには、その可動体の先端部を曲面として、テーブル50の対応する辺に向かい合わせればよい。図13は、可動体272の先端面274を凸状の曲面とし、矩形軸54の気体受面208に向かい合わせる気体制御アクチュエータ270,280を示す図である。図8と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0087】
図13(a)は、1つの可動体272の先端面274を凸状の曲面とし、この先端面274と気体受面208との隙間に、矩形軸54のタンク56から絞り部58及び軸側伝達気体供給路60を経由して、伝達気体が供給される。供給された伝達気体は、噴出し口から、排気側に向かって次第に隙間が広がる末広がりの伝達隙間を通って流れる。図13(b)は、同様の可動体272を用い、伝達気体の流れを、図13(a)と逆に、次第に隙間が狭まる末すぼまりとする形態を示す。ここでは、伝達気体は、凸状の曲面の外周側から図示されていない供給口から供給されて、末すぼまりの流れ208となって、先端面274と気体受面208との間を流れ、矩形軸54の中を通る排気の流れ284として回収される。
【0088】
このように、凸状の曲面を有する先端面の可動体を用いることで、可動体の数を減らしながら、図8で説明した伝達気体圧の設定により、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例7】
【0089】
テーブル50の回転が微小量である移動可能範囲に設定される気体制御回転移動装置10の場合には、可動体に曲面の部分を用いなくてもよい場合がある。図14は、複数の可動体を用いるが、曲面座あるいは曲面の先端面を用いない気体制御アクチュエータ290を示す図である。図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0090】
この気体制御アクチュエータ290は、第1可動体292と、2つの積層板状の可動体で構成される第2可動体294を有する。これらの可動体は、Z方向の相互位置関係がずれないように、外周側に径の異なる鍔部を備えている。伝達気体は、図8で説明したと同様に、矩形軸54のタンク56側から供給され、各可動体の間の隙間にも供給される。このように、複数の板状の可動体を用いることで、簡単な構成で、微小回転に対応できる気体制御アクチュエータを提供できる。
【実施例8】
【0091】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、気体受面における実効負荷力を向上させるには、伝達気体圧を駆動気体圧より大きくする方法以外にも幾つかの方法がある。図15は、駆動気体圧を有する気体を伝達隙間に供給し、すなわち、駆動気体圧と伝達気体圧と実質的に同じとして、可動部の先端面の面積を可動体の底面の駆動気体圧を受ける面積より広くする気体制御アクチュエータ300,310を示す図である。ここでは、可動体は単一のものとし、また、その先端面は平坦なものが図示されるが、勿論図14で説明した積層板状可動体、図13で説明した先端が凸状の可動体、図8等で説明した曲面座を用いる2つの可動体を用いるものとしてもよい。また、図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0092】
図15(a)における気体制御アクチュエータ300は、可動体302の先端面304における先端面210の面積は、可動体302の底面部306の面積より広い。そして、CP1から供給され駆動気体圧を有する気体は、可動体302を駆動すると共に、供給路308を通って、可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に伝達気体として供給される。
【0093】
可動体302の先端面210における面積は次のように設定される。すなわち、可動体302の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面すなわち底面部306の面積より広く、かつ、その先端面210の広い面積に伝達気体圧である駆動気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動体302の先端面210と気体受面208との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動体302に対する駆動力と同じまたはそれより若干小さくなる面積に設定される。駆動力を超えないようにするのは、実効負荷力が駆動力を超えると、可動体302が押し戻されて、矩形軸54を効果的に駆動できなくなることを防ぐためである。
【0094】
したがって、このような可動体302における底面と先端面210の面積比の設定により、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【0095】
図15(b)における気体制御アクチュエータ310は、可動体312の先端面210の面積に比べ、可動体312の底面部314の面積を狭くしたものである。この場合、案内部202は、その狭くした面積に対応する部分を狭くする。この案内部202における底面側の面積の狭めには、例えば、適当なリング状のカラー部材318を用いることができる。この構成によっても、図15(a)と同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、この面積効果による方法と、図8で説明した駆動気体圧と独立に設定される伝達気体圧による方法とを組合せることもできる。図16は、その組合せの幾つかの例を示すものである。図16(a)は、可動体の先端面の面積を広くし、伝達気体圧は矩形軸側伝達気体供給路を介して駆動気体圧とは独立に供給される。(b)は、可動体の先端面の面積を大きくし、伝達気体圧は軸側伝達気体供給路を介して駆動気体圧とは独立に供給される。これに対し、図16(c),(d)は、可動体の底面の面積を狭くしたものである。
【実施例9】
【0097】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、気体受面における実効負荷力を向上させ更なる他の方法として、スリーブ状の可動体を用い、その中心穴に駆動気体圧を有する気体を通し、気体受面に駆動気体圧を直接及ぼす方法を用いることができる。図17はそのような構成の気体制御アクチュエータ320、340を示す。ここで、図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0098】
図17における気体制御アクチュエータ320は、スリーブ状の第1可動体322、第2可動体330を用いる。第1可動体322は、案内部202に案内される可動スリーブで、軸に垂直な断面がリング状で比較的薄肉の外周部324と、それに囲まれる中心穴326を有する。第1可動体322の外周部324の先端は、曲面座328となっている。第2可動体330は、第1可動体322と同様な断面がリング状で比較的薄肉の外周部と、それに囲まれる中心穴を有し、その外周部の底面は曲面座328によって支持される曲面を有する。つまり、中心穴は、第1可動体322と第2可動体330を通して同じ大きさで軸方向に通っている。また、案内部202の底面で、第1可動体322の外周部324の底面に対応する部分に、スリーブ移動用気体圧を有する気体の供給口CP4が設けられる。CP4は、中心穴326に供給される駆動気体圧の気体の供給口とは別に設けられる。CP1からの気体とCP4からの気体を分離するため、案内部202の底面部には、仕切台334が設けられる。スリーブ移動用気体圧を有する気体は、気体圧調整部70から図示されていないスリーブ移動用気体圧制御部を介してCP4に供給される。
【0099】
この構成において、第1可動体322と第2可動体330を通して中心穴は気体受面208に向かって設けられ、CP1から供給される駆動気体圧を有する気体は、この中心穴326及び第2可動体の中心穴を通って気体受面208に向かって流れる。この中心穴326の穴面積に駆動気体圧を乗じたものが駆動力となるが、それがそのまま気体受面に及ぼされ、気体受面における負荷力は、駆動力とほぼ同じとなる。
【0100】
この場合、第2可動体330の外周部の先端面332は、気体受面208と向かい合いその隙間に駆動気体圧の気体が外側の排気側に向かって流れ、その気体を介して矩形軸54の気体受面208が支持される。したがって、駆動気体圧によって気体受面208が負荷力を受けてテーブル50が移動するとその隙間が拡がるが、あまり拡がると、その隙間を通って外部に漏れる気体が増し、負荷力の損失が増加する。そのために、所定の隙間に
維持するため、スリーブ移動用気体圧によって、第1可動体322と第2可動体330は軸方向に移動される。
【0101】
すなわち、スリーブ移動用気体圧制御部は、第1可動体322と第2可動体330を気体受面の駆動に連動して移動させるように、スリーブ移動用気体圧を制御し、CP4に供給する機能を有する。このようにすることで、気体受面における実効負荷力を、ほぼ駆動力と同じにすることができる。
【0102】
図17(b)は、駆動気体圧を調整して、それをスリーブ移動用気体圧として用いる構成の気体制御アクチュエータ340を示す図である。第1可動体322と第2可動体330の移動量は、気体受面208の移動量に連動させる必要があるが、気体受面208の移動量は駆動気体圧に応じて変化するので、駆動気体圧を適当に調整して、これをスリーブ移動用気体圧として用いることができる。図17(b)では、第1可動体342の外周部344における底面の気体圧受面積を適当な広さに設定する。そして、その気体圧受面積の所に、駆動気体圧の気体を導入する。導入路は、中心穴346の仕切台334と第1可動体342の外周部との隙間を利用できる。気体圧受面積の広さは、第2可動体330の外周部の先端面332と気体受面208との間の隙間を一定に保つように、気体受面208の移動に連動して第1可動体322と第2可動体330が移動するのに必要な力を受ける面積に設定される。この構成により、スリーブ移動用気体圧制御部を省略することができる。
【実施例10】
【0103】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、可動体をダイヤフラムの先端に接続し、ダイヤフラムの内管部に供給される駆動気体圧で可動体を駆動する方法によっても、気体受面に対する負荷力を駆動力とほぼ同じにすることができる。図18は、そのような構成の気体制御アクチュエータ350を示す図である。ここで図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0104】
気体制御アクチュエータ350において、可動体352は、ダイヤフラム354の先端に取り付けられ、ダイヤフラム354の管の内部356には、CP1から可撓管358を通して駆動気体圧が供給される。そして、矩形軸54のタンク56から絞り部58、軸側伝達気体供給路60を介し、可動体352の先端面210と気体受面208との間の隙間に伝達気体圧を有する気体が導かれる。この構成では、駆動気体圧を有する気体はダイヤフラム354の管の内部356に閉じ込められ、外部に漏れないので、気体受面208には駆動気体圧による駆動力にほぼ等しい負荷力が伝達される。また、テーブル50の回転に対しては、可撓管358の弾性によって、可動体352は滑らかに追従することができる。
【実施例11】
【0105】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、テーブルの回転移動の加速度が小さいとき、すなわちテーブルに与える力が小さくて済む場合には、駆動気体圧による駆動よりも、フォースモータあるいはボイスコイルモータのような電磁モータによる駆動を用いることができる。図19は、そのような構成の気体制御アクチュエータ360を示す図である。ここで図8と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0106】
ここで、気体制御アクチュエータ360は、図8において第1可動体204がCP1からの駆動気体圧によって駆動されたのに代わり、フォースモータ362によって駆動されるものである。フォースモータ362は、本体部24に取付けられたヨーク364に設けられた磁石366と、これと協働してY方向の推力を生じさせるコイル368と、一方端にコイル368が取付けられ他方端が第1可動体204の底面に取付けられる移動体370を含んで構成される。コイル368のリード線は、外部に取り出され、図示されていないモータ駆動制御部に接続される。モータ駆動制御部は、テーブル制御部80からの制御信号に応じ、フォースモータ362の駆動力を制御する機能を有する回路である。この場合は、図2におけるサーボ弁22への制御信号を、各フォースモータへの制御信号と読み替えることができる。
【0107】
第2可動体206の先端面210と気体受面208との間の隙間には、図8で説明したと同様に、伝達気体圧を有する気体が導かれる。そして、この伝達気体圧による押し戻し力に釣り合うように、本体部24のCP2から伝達気体圧を有する気体が第1可動体204の底面に対し供給される。これにより、第1可動体204、第2可動体206のY方向の駆動力は、伝達気体圧の影響が相殺され、フォースモータ362の電気的に制御された精密なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】移動対象物と気体制御アクチュエータの先端部との隙間に気体を導入する構成の移動機構において、移動対象物が受ける負荷力Fと、気体制御アクチュエータの駆動力P・Aとの関係を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態における気体制御回転移動装置の構成図である。
【図3】本発明に係る実施の形態における回転移動制御のブロック線図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、テーブル部の各サーボ弁及びセンサを取り外した状態の断面図である。
【図5】図4の状態からさらに、テーブルの上板を取り外した状態の上面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態において、絞り部として好ましい2つの例を示す図である。
【図7】本発明に係る実施の形態において、その他の絞り部の例を示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態において、気体制御アクチュエータの周辺の断面図である。
【図9】実施例2を示す図である。
【図10】実施例3を示す図である。
【図11】実施例4を示す図である。
【図12】実施例5を示す図である。
【図13】実施例6を示す図である。
【図14】実施例7を示す図である。
【図15】実施例8を示す図である。
【図16】実施例を組合せた実施例を示す図である。
【図17】実施例9を示す図である。
【図18】実施例10を示す図である。
【図19】実施例11を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
10 気体制御回転移動装置、20 テーブル機構部、22 サーボ弁、24 本体部、25 取付部、26 矩形穴、28 気体軸受用気体供給溝、30 排気溝、32 真空引き溝、34 気体軸受用気体供給穴、36 排気穴、38 真空引き穴、40 接続口、42,44,46 流路、50 テーブル、52 上板、53 下板、54 矩形軸、56 タンク、58、258 絞り部、60 軸側伝達気体供給路、70 気体圧調整部、72,73 圧力制御弁、74,75 調整用タンク、80 テーブル制御部、82 回転移動制御部、84 D/A変換部、86 パワーアンプ、88 センサ、90 回転移動の指令,92,96,102 減算器、94 位置制御器、98 速度制御器、100 速度リミッタ、101 加速度リミッタ、104 加速度制御器、106 センサアンプ、108 微分器、110 2回微分器、120 気体源、160,204,206,212,232,242,252、272、292、294,302,312,322,330,342,352 可動体,200,230,240,250,270,280、290,300,310,320,340,350,360 気体制御アクチュエータ、202 案内部、208 気体受面、210,274,304,332 先端面、212,214,218,220,222,254,260,308 供給路、216,256 内部タンク、234,244 可動部側伝達気体供給路、264 底面曲面、266,268 曲面座曲面、306,314 底面部、318 カラー部材、324,344 外周部、326,346 中心穴、328 曲面座、334 仕切台、354 ダイヤフラム、356 内部、358 可撓管、362 フォースモータ、364 ヨーク、366 磁石、368 コイル、370 移動体。
【技術分野】
【0001】
本発明は気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータに係り、特に平面内で移動可能なテーブルを軸方向に回転移動させる気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
物を保持して移動させ位置決めを行うために、テーブルの移動、回転機構が広く用いられている。例えば、半導体製造において、露光装置やボンディング装置等でウエファ等をテーブルに保持し、精密な位置決めの下で作業が行われるが、ここではX軸とY軸方向の精密な移動と、Z軸周りのθ回転が行われる。
【0003】
これらテーブルの移動、回転機構のうち、X軸とY軸方向の精密な移動には、いわゆるXYテーブル移動機構が用いられ、例えば、X軸方向に移動可能なXテーブルと、Y軸方向に移動可能なYテーブルとを2段重ねにし、それぞれを精密モータで移動させるものが周知である。テーブルの回転機構には、円形の回転テーブルを用い、その回転軸をやはり精密な回転モータで駆動させるものを用いることが多い。精度を向上させるために、回転軸にモータを直結することや、精密な減速機構を用いる場合もある。
【0004】
この他に、モータによる騒音や振動等の問題がない気体制御アクチュエータが用いられる。気体制御アクチュエータとは、いわゆるシリンダ・ピストン機構を用いるもので、シリンダとピストンの協働によりシリンダ内部のピストンの前後に気体室を形成し、両気体室に供給する気体圧を制御することでピストンを精密に移動させるものである。たとえば、特許文献1には、流体圧サーボ機構を用い、流体圧を制御することで移動体を駆動する流体圧アクチュエータが開示される。気体制御アクチュエータのピストンにテーブルを接続することにより、気体圧により駆動されるテーブル送り機構を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開昭57−51002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、精密モータを用いたXYθ移動回転機構は広く用いられている。また、気体制御アクチュエータを用いて、振動を抑制して高精度化を図ることも提案されている。しかし、気体制御アクチュエータは、いわゆるシリンダ・ピストン機構で代表されるように、直進機構が基本であるため、テーブルのθ回転がそのままでは実現できない。
【0007】
テーブルのθ回転も気体アクチュエータで実現しようとするには、例えば、アクチュエータの先端部を直接テーブルに接続するのでなく、円弧上の点接触のすべりを利用することが考えられる。さらに、アクチュエータの先端部と、テーブルの押される部分との間に気体を導入し、気体層を介して駆動することにすれば、摩擦も大幅に低減できる。
【0008】
このように、気体制御アクチュエータの先端部と移動対象物との間の隙間に気体を導入することで、モータによる騒音や振動等の問題を排除して、XYθ移動回転機構を構成することが考えられるが、この構成においては、駆動力の伝達特性に次のような課題がある。
【0009】
図1は、移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との隙間sに気体を導入する構成の移動機構において、気体制御アクチュエータ4の可動部が面積Aで気体圧Pを受け、駆動力P・Aで駆動しようとするとき、移動対象物2が受ける負荷力Fが、隙間sによってどのように変わるかを定性的に示す図である。図1において、横軸は移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との間の隙間s、縦軸は、移動対象物4が受ける負荷力Fと、駆動力P・Aとの比(F/P・A)を取ってある。パラメータは、隙間sにおける気体圧Psである。この場合、Ps=Pとしてある。
【0010】
移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との間の隙間sに気体層がなければ、周知のように、通常F=P・Aとなる。図1でいえば移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部とが接触している場合に相当する。隙間sに気体圧Psが導入されると、隙間sが大きいほど、Psが小さいほど、急激にFはP・Aに比べ小さい値となる。例えば、P=Psとして、気体制御アクチュエータに用いられる気体圧とし、隙間を数10μm程度とすると、(F/P・A)は、0.5〜0.9程度になることもある。この原因は、隙間sに導入された気体が、移動対象物2と気体制御アクチュエータ4の先端部との間の押し付け力等によって隙間sから外部へ向かって流出することに起因する。
【0011】
したがって、気体制御アクチュエータ4の先端部と移動対象物2との間の隙間sに気体を導入すると、気体制御アクチュエータ4に入力した駆動力P・Aは、隙間sから外部に流れる気体により駆動力損失を生じ、駆動力P・Aからこの駆動力損失を差し引いたものが実効負荷力Fとなる。このように、気体制御アクチュエータ4の先端部と移動対象物2との間の隙間に気体を導入すると、実効負荷力Fが駆動力P・Aに対して低下するという課題がある。
【0012】
本発明の目的は、気体制御アクチュエータの先端部と移動対象物との間に気体を導入したときの先端部における実効負荷力を向上させる気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、を備え、さらに、各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、伝達気体圧は駆動気体圧より大きく、かつ実効負荷力が可動部に対する駆動力より小さくなる気体圧に制御される。これにより、伝達気体圧を駆動気体圧と別個に大きな気体圧とでき、実効負荷力を向上させることができる。
【0015】
本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備え、各可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする。
【0016】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、伝達気体圧が駆動気体圧と同じときは、可動部の先端面の面積は可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広くする。これにより、可動部先端における実効負荷力を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内されるスリーブ状の可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、スリーブ状の可動部の中心穴を通って気体受面に供給される駆動気体圧によって気体受面に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって気体受面を支持する複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、を備え、さらに、各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段を有することを特徴とする。
【0018】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、可動スリーブ部の先端面、すなわち円筒状の周辺部でテーブルの気体受面を気体支持するとともに、可動スリーブ部の中心穴によって駆動気体圧がそのままテーブルの気体受面に供給され、駆動力を与える。したがって、可動部である可動スリーブ先端における実効負荷力は、駆動気体圧による駆動力と同程度に向上する。
【0019】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、伝達気体供給路に設けられる絞りを有することが好ましい。これにより、伝達気体圧の制御性を向上させることができる。
【0020】
また、伝達気体供給路は、伝達気体圧の供給源から多角形軸の内部を通り対応する気体受面に他方側の開口を有する軸側伝達気体供給路、又は伝達気体圧供給源から可動部の内部を通り可動部の先端面に他方側の開口を有する可動部側伝達気体供給路であることが好ましい。これにより、伝達気体供給路の配置の自由度が増す。
【0021】
また、可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることが好ましい。これにより、テーブルの回転に対し、可動部先端が曲面座の支持の下で滑らかに追従できる。
【0022】
また、先端可動体は、その底面曲面と曲面座との間の曲面隙間に供給される曲面支持気体圧で支持されることが好ましい。これにより、曲面支持において摩擦を少なくして滑らかに支持できる。
【0023】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、テーブル制御部は、位置又は角度指令、速度又は角速度指令、加速度又は角加速度指令の少なくとも1つの指令に、その上限を制限するリミッタを有することが好ましい。これによって、線形性のよい回転移動制御を行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、先端可動体の底面曲面の曲率と、これを支持する曲面座の曲率とが異なることが好ましい。これにより、曲面隙間における気体の流れる断面積を一定、あるいは下流に向かって広がる末広がり等の形態に設計でき、曲面支持をより効率的に行うことが可能になる。
【0025】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、曲面隙間には、駆動気体圧又は伝達気体圧が供給されることが好ましい。これにより、別途、曲面支持専用の気体源又はその制御を省略することができる。
【0026】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、曲面座を有する可動体は、その内部にバッファ気体室を有し、バッファ気体室は、外部に連通する気体供給口と、曲面隙間に連通する曲面支持気体供給路とを有することが好ましい。これにより、曲面支持の気体圧を独自に設定することが可能になる。
【0027】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置において、曲面座を有する可動体は、その内部にバッファ気体室を有し、バッファ気体室は、駆動気体圧又は伝達気体圧が導かれる気体導入路と、可動部と案内部との可動軸受隙間に軸受気体圧を供給する軸受気体供給路とを有することが好ましい。これにより、可動軸受隙間の可動部案内気体軸受のための専用の気体源又はその制御を省略することができる。
【0028】
また、可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、気体受面に向かい合う先端可動体は、その先端面が任意の曲率を有する曲面であることが好ましい。これにより、テーブルの回転に対し、可動部先端がその先端曲面において滑らかに追従できる。
【0029】
また、スリーブ状の可動部は、可動方向に沿って配置され、略同一の中心穴を有する複数の可動体を有し、気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることが好ましい。これにより、テーブルの回転に対し、スリーブ状の可動部先端が曲面座の支持の下で滑らかに追従できる。
【0030】
また、供給手段は、スリーブ状可動部に駆動気体圧を供給することが好ましい。これにより、スリーブ状可動部の移動のための専用の気体源又はその制御を省略することができる。
【0031】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、ダイヤフラムの先端に接続され、ダイヤフラムの内管部に供給される駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【0032】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、可動部は駆動気体圧が供給されるダイヤフラムの先端に設けられるので、駆動気体圧そのもので駆動され、可動部の先端面における実効負荷力は、駆動気体圧による駆動力と同じとなる。
【0033】
また、本発明に係る気体制御回転移動装置は、多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内されて電磁モータで駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【0034】
上記構成により、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータを用いて、テーブルの平面内の移動と回転を制御する。そして、多角形軸の回転移動量が微小である気体制御回転移動装置の場合は、可動部の移動制御を電磁モータ、例えばボイスコイルモータあるいはフォースモータを用いて微小な移動制御を行うことができる。このように可動体の駆動源に電磁モータを使用することで、駆動気体圧と伝達気体圧との関係を考慮することなく、可動部の先端面における負荷力は、電磁モータの駆動力と同じとなる。
【0035】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体圧制御手段と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、を有することを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備え、可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内されるスリーブ状の可動部であって、スリーブ状の可動部の中心穴を通って移動対象物の気体受面に供給される駆動気体圧によって移動対象物に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって移動対象物を支持するスリーブ状の可動部と、スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段と、を有することを特徴とする。
【0038】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、ダイヤフラムの先端に接続され、ダイヤフラムの内管部に供給される駆動気体圧で駆動される可動部であって、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【0039】
また、本発明に係る気体制御アクチュエータは、案内部に案内されて電磁モータで駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
上記のように、本発明に係る気体制御回転移動装置及び気体制御アクチュエータによれば、気体制御アクチュエータの先端部と移動対象物との間に気体を導入したときの先端部における実効負荷力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、気体制御回転移動装置の全体について実施例1とし、気体制御回転移動装置を構成する要素、特に気体制御アクチュエータの他の実施形態等を実施例2以下で説明する。実施例2以下の実施形態は、そのまま単独で実施例1の構成要素と置き換えてもよく、いくつかの実施形態を組み合わせたものを実施例1の構成要素と置き換えて用いるものとしてもよい。
【実施例1】
【0042】
図2は、気体制御回転移動装置10の構成図で、特に図2(a)は全体の構成を示す。ここで示されるように、気体制御回転移動装置10は、テーブル50をその平面内で回転移動する機構であるテーブル機構部20、テーブル機構部20の気体制御アクチュエータ200に所定の気体圧を供給する気体圧調整部70、全体の制御を行うテーブル制御部80を含んで構成される。図2(b)は、テーブル機構部20の側面図である。
【0043】
テーブル機構部20は、固定部分である本体部24と、本体部24に対し、図2(a)、(b)に示すXY平面内の移動と、Z軸周りのθ回転とが可能なテーブル50と、本体部24に取り付けられテーブル50に変位力を与える6つの気体制御アクチュエータ200を含んで構成される。ここで、6つの気体制御アクチュエータ200は、テーブル50に対し、Y方向の変位力を与え、互いに向き合って配置される2つのY1,Y2アクチュエータと、X方向の変位力を与え、互いに向き合って配置される2組、計4つのX1〜X4アクチュエータである。これら6つの気体制御アクチュエータ200の配置は、これらの駆動を協働的に制御することで、テーブル50を、移動可能な範囲内で、XY平面内の任意の位置へ移動させ、またZ軸周りの任意の角度でθ回転させることができるようになされている。
【0044】
例えば、X1〜X4アクチュエータを駆動させず、Y1,Y2アクチュエータのみを適当に駆動することでテーブル50をY方向に移動させることができる。同様に、Y1,Y2アクチュエータを駆動させずに、X1,X2を対とし、またX3,X4を対として、適当に駆動させることで、テーブル50をY方向に移動させることができる。また、Y1,Y2アクチュエータを駆動させず、さらにX1,X4を対とし、またX2,X3を対として適当に駆動させることで、テーブル50をZ軸回りに時計方向又は反時計方向に回転できる。さらに、これらの駆動態様を組合せて、テーブル50をXY平面内の任意の位置に移動でき、またこれに加えてZ軸回りに任意の角度で回転させることができる。
【0045】
各気体制御アクチュエータ200には、駆動力を与えるためにテーブル制御部80の制御の下で駆動気体圧を制御して出力するサーボ弁22が設けられる。サーボ弁22には、一般的な精密気体圧制御弁を用いることができる。
【0046】
気体圧調整部70は、気体源120から供給される気体を所定の制御された高圧の供給気体圧に調整し、調整された供給気体圧の気体を、各サーボ弁22、及び後述する伝達気体の供給源であるタンク56にそれぞれ供給する機能を有する。気体圧調整部70は、各サーボ弁22用の供給気体圧調整ルートと、タンク56用の伝達気体圧調整ルートとに分けられ、それぞれは圧力制御弁72,73及び調整用タンク74,75等を含んで構成される。供給気体圧は、各サーボ弁22において、後述するように、テーブル50の回転移動指令に従ったテーブル制御部80の制御の下で各気体制御アクチュエータ200のための各駆動気体圧に制御されるので、その元圧として適当な高圧の気体圧に調整される。伝達気体圧の設定の詳細は、気体制御アクチュエータ200の構成のところで後述する。気体圧調整部70から各サーボ弁22への接続は、適当な気体用配管で行われる。同様に、伝達気体用のタンク56への供給口として本体部24に設けられる接続口40と、気体圧調整部70との間も適当な気体配管によって接続される。
【0047】
テーブル制御部80は、テーブル50に対する回転移動の指令90に基づいて、その指令を目標値として、各気体制御アクチュエータ200を協働して駆動させるように、対応する各サーボ弁22に駆動信号を出力する機能を有する。テーブル制御部80は、X軸移動、Y軸移動、θ回転の回転移動制御部82と、D/A変換部84と、サーボ弁22の駆動用のパワーアンプ86とを含んで構成される。テーブル50には、実際のX移動、Y移動、θ回転を検出するセンサ88が設けられ、その検出信号は回転移動制御部82にフィードバックされる。
【0048】
図3は、テーブル制御部80のX軸移動、Y軸移動、θ回転の中のいずれか1つ、例えばY軸移動についての部分と、複数のサーボ弁22、複数の気体制御アクチュエータ200、テーブル50、センサ88を含めた回転移動制御のブロック線図である。
【0049】
この回転移動制御部82は、回転移動の指令90のうち位置指令90が入力される減算器92と、減算器92から順次位置制御器94−速度リミッタ100−減算器96−速度制御器98−加速度リミッタ101−減算器102−加速度制御器104と直列に接続され、その後さらに、−D/A変換部84−パワーアンプ86−サーボ弁22−気体制御アクチュエータ200と接続されるメイン制御ルートを有する。そして、さらに気体制御アクチュエータ200の変位をセンサ88で検出し、センサアンプ106で信号処理した後、位置に変換して減算器92に戻す位置フィードバックループと、位置を微分器108で速度に変換し、減算器96に戻す速度フィードバックループと、位置を2回微分器110で加速度に変換し、減算器102に戻す加速度フィードバックループとを有する。図において破線で囲んだ回転移動制御部82の部分はディジタル信号処理で行われるが、場合によってはアナログ信号処理を行ってもよい。
【0050】
減算器92は、位置指令90と制御対象である気体制御アクチュエータ200の位置とを入力し、位置偏差=(位置指令と制御対象の位置)を出力する機能を有する回路である。例えば、ディジタル制御の場合には、位置指令のディジタル値と後述のセンサアンプ106のディジタル出力との減算処理を行うことで位置偏差を算出し出力することができる。
【0051】
位置制御器94は、ゲインGsによって位置偏差をGs倍して減算器96に出力する機能を有する増幅器である。ゲインGsは、いわゆる位置ループゲインである。位置制御器94の出力は速度指令である。速度指令は、通常、そのまま減算器96に入力されるが、ここでは速度リミッタ100により速度指令の上限を制限し、その結果を減算器96に入力する。位置制御器94は、ディジタル制御の場合はディジタル演算器で増幅することができる。
【0052】
速度リミッタ100は、入出力特性が原点から所定範囲が線形で、所定範囲を超すと出力が一定値となる特性を有する出力制限素子である。その入出力特性図は、図3における速度リミッタ100のボックスの中に模式的に示す通りである。ここにおいて横軸は速度リミッタ100への入力、すなわち位置制御器94の出力であり、縦軸は速度リミッタ100の出力、すなわち減算器96への入力である。かかる速度リミッタ100は、ディジタル制御のときは、予め任意に設定された関数形を用いる関数演算器で構成でき、例えばアナログ処理の場合には、ダイオード等の電圧リミッタ又は電流リミッタ等を用いることができる。
【0053】
速度リミッタ100における線形領域は、出力=入力の45度勾配の直線特性を用いてもよく、位置制御器94のゲインGsと組み合わせて適当な勾配の直線特性を設けてもよい。また、出力制限領域までを線形領域とせずに、前段の位置制御器94や次段の減算器96の特性をあわせるために適当な増加関数形の特性とすることもできる。また、速度リミッタ100の入出力特性において、線形領域から出力制限領域への遷移は、このような折れ線状遷移を用いることもできるが、好ましくは、線形領域と出力一定領域とを漸近線で接続することで得ることができる緩和的曲線状遷移を用いてもよい。緩和的曲線状遷移を用いることで、高調波の発生を抑制できる。速度リミッタ100における出力制限値は、速度リミッタ100に設定端子を設け、外部から任意に設定できるようにすることが好ましい。
【0054】
減算器96は、速度指令と、制御対象の速度とを入力し、速度偏差=(速度指令と制御対象の速度)を速度制御器98に出力する機能を有する回路である。速度制御器98は、ゲインGvによって速度偏差をGv倍し、加速度指令として加速度リミッタ101に出力する機能を有する増幅器としての機能を有する。ゲインGvは、いわゆる速度ループゲインである。加速度指令は、通常、そのまま減算器102に入力されるが、ここでは加速度リミッタ101により加速度指令の上限を制限し、その結果を減算器102に入力する。
【0055】
加速度リミッタ101は、速度リミッタ100と同様に、入出力特性が原点から所定範囲が線形で、所定範囲を超すと出力が一定値となる特性を有する出力制限素子である。その入出力特性図は、速度リミッタ100と同様で、横軸は加速度リミッタ101への入力、すなわち速度制御器98の出力であり、縦軸は加速度リミッタ101の出力、すなわち減算器102への入力である。また、速度リミッタ100と同様に、加速度リミッタ101における線形領域は、出力=入力の45度勾配の直線特性を用いてもよく、速度制御器98のゲインGvと組み合わせて適当な勾配の直線特性を設けてもよい。また、出力制限領域までを線形領域とせずに、前段の速度制御器98や次段の減算器102の特性をあわせるために適当な増加関数形の特性とすること、また加速度リミッタ101の入出力特性において、線形領域から出力制限領域への遷移は、このような折れ線状遷移を用いることもできるが、好ましくは、線形領域と出力一定領域とを漸近線で接続することで得ることができる緩和的曲線状遷移を用いてもよいこと、加速度リミッタ101における出力制限値は、加速度リミッタ101に設定端子を設け、外部から任意に設定できるようにすることが好ましいこと等も、同様である。
【0056】
減算器102は、加速度リミッタ101により制限された加速度指令と制御対象である気体制御アクチュエータ200の加速度とを入力し、加速度偏差=(加速度指令と制御対象の加速度)を出力する機能を有する回路である。例えば、ディジタル制御の場合には、加速度指令のディジタル値と加速度リミッタ101のディジタル出力との減算処理を行うことで位置偏差を算出し出力することができる。
【0057】
加速度制御器104は、ゲインGaによって加速度偏差をGa倍してD/A変換部84に出力する機能を有する増幅器である。ゲインGaは、いわゆる加速度ループゲインである。加速度制御器104の出力は、いわゆる駆動指令である。加速度制御器104は、ディジタル制御の場合はディジタル演算器で増幅することができる。
【0058】
D/A変換部84の出力は、パワーアンプ86に出力される。パワーアンプ86は、サーボ弁22を駆動指令に基づいて駆動するドライバとしての機能を有する回路である。具体的には、サーボ弁22の駆動部である例えば可動線輪に供給する駆動電流を発生する駆動回路である。パワーアンプ86は、D/A変換後のアナログ電圧を電流に変換する回路等で構成することができる。
【0059】
パワーアンプ86の出力はサーボ弁22に供給され、例えば可動線輪に流れる電流によって、磁石からの磁束との協働により駆動力が生じ、それによりスプール等を移動させて、これにより弁の制御された開閉を行い、制御された気体圧を駆動気体圧として気体制御アクチュエータ200に出力する。気体制御アクチュエータ200はこの駆動気体圧に応じて駆動力を発生し、そこで、6つの気体制御アクチュエータ200の協働によりテーブル50が移動あるいは回転する。テーブル50の回転移動はセンサ88により検出される。
【0060】
センサ88の出力は、上記のように、センサアンプ106を介し、減算器92に入力され、位置フィードバックループを形成する。同様に、センサアンプ106の出力は微分器108を介して減算器96に戻されて速度フィードバックループを形成し、2回微分器110を介して減算器102へ戻されて加速度フィードバックループを形成する。ここで、センサ88の出力が回転角度θの場合は、位置は角度、速度は角速度、加速度は角加速度に相当する。
【0061】
このように、テーブル制御部80においては、速度リミッタ100及び加速度リミッタ101を設けるので、パワーアンプ86等における飽和現象を抑制し、線形性のよい制御を行うことができる。また、位置フィードバック、速度フィードバック、加速度フィードバックを行うので、迅速で、追従性のよい制御を行うことができる。なお、上記では速度指令及び加速度指令に対するリミッタを説明したが、場合によっては、速度指令又は加速度指令のいずれか一方のみにリミッタを用いることとしてもよい。
【0062】
次に図4、図5を用いて、テーブル機構部20の詳細を説明する。図4は、テーブル機構部20において、各サーボ弁22及びセンサ88を取り外した状態の断面図である。ここで示されるように、テーブル50は、上板52、下板53と、矩形軸54を含んで構成され、その内部に伝達気体用のタンク56としての空洞部を有する。図5は、さらに、テーブル50の上板52を取り外した状態の上面図である。
【0063】
テーブル50の矩形軸54は、本体部24の中央部の矩形穴26の中に所定の移動隙間をもって収納される形状を有する。この移動隙間が、テーブル50のXY平面内の回転移動可能範囲を規制する。ここで本体部24は、テーブル機構部20を例えば基台に固定するための取付部25を有する。そして、テーブル50の上板52、下板53に向かい合う上面、又は下面には、矩形穴26の周囲に3重の溝が設けられる。これらの溝は、矩形穴26に近い内周側から外周側に向かって、順に、上板52、下板53を気体支持する気体軸受用気体供給溝28、排気溝30、漏れる気体を回収する真空引き溝32である。この構成により、上板52及び下板53と本体部24との間で、いわゆる気体軸受作用によりテーブル50を移動可能に保持することができ、さらに、余分な気体が外に漏れず、真空中でも気体制御回転移動装置10を稼働させることができる。なお、矩形穴26は、排気溝30と接続される。これらの溝に対応し、それぞれ、気体軸受用気体供給穴34、排気穴36、真空引き穴38が設けられる。気体軸受用気体として伝達気体を用いるときには、気体軸受用気体供給穴34は、タンク56に接続される。排気穴36、真空引き穴38は、それぞれ図示されていない排気装置、真空装置等に接続される。
【0064】
伝達気体は次のような経路でタンク56に導かれる。すなわち、気体圧調整部70で所定の伝達気体圧に調整された伝達気体は、適当な配管で本体部24の側壁の接続口40に供給され、図2(a),(b)に示されるように本体部24の内部のZ方向に沿って設けられる流路42を通り、テーブル50の上板52、下板53の内部のX方向に沿って設けられる流路44を通り、テーブルのほぼ中心に達する。そこで図3、図4に示すように、矩形軸54の中心においてZ方向に延びてタンク56に達する流路46を通ってタンク56に供給される。タンク56は、導かれた伝達気体のバッファ体積としての機能を有する。そしてここから、図4に示されるように、絞り部58を介し、軸側伝達気体供給路60を通って、各気体制御アクチュエータ200の先端部に向けて供給され、各気体制御アクチュエータ200の可動部の先端面と、矩形軸54の対応する辺との間に気体を供給する。この気体が、矩形軸54の対応する辺を気体受面として、各気体制御アクチュエータ200の可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体で、これを介して、各気体制御アクチュエータ200の駆動力が矩形軸54、すなわちテーブル50に実効負荷力として伝達されることになる。
【0065】
ここで、絞り部58について説明する。絞り部58は、伝達気体の流れを乱れの少ないものとして、負荷力の滑らかな伝達を行うために設けられる。以下に、絞り部58に好ましい形態の例をいくつか示すが、各形態を区別するため、各絞り部の符号を異ならせて説明する。
【0066】
図6は、絞り部として好ましい2つの例を示す図である。図6(a)は、可動体160のポケット開口164の中に設けられる平行隙間絞り170である。平行隙間絞り170は、ドーナツ状に中央穴を有する円環板172と、円環板172と外形が同じの円板174とが狭い平行隙間で配置され、その平行隙間の間を気体が流れる間に整流され、その流れが乱れなく形成されるものである。平行隙間は、例えば、気体供給路162に供給される気体圧を0.5Mpaとし、その流速を30m/secとして、これを絞りにより流速300m/secの層流とするときの場合で、50μmが好ましい。そのときの円環板172と円板174との間の平行隙間の長さは、50μmに対し、十分長いことが望ましい。例えば5−10mm程度とすることができる。
【0067】
このように平行隙間絞りの整流作用により絞り部に流れる気体を乱れなく形成することで、例えば絞りとして一般的に用いられるオリフィス絞り等により気体を絞る場合に生ずる、乱流や渦流等を抑制できる。特に、高圧かつ高速の気体を扱うときにオリフィスのエッジ等から生ずる衝撃波を抑制することもできる。したがって、気体圧制御において、このようなノイズの影響を少なくでき、気体制御回転移動装置10の制御性の向上を図ることができる。
【0068】
図6(b)は、絞り部のもう1つの好ましい例として、多孔質材料176をポケット開口164の中に配置するものを示す図である。この場合も、多孔質の微小孔の整流作用により絞り部に流れる気体を乱れなく形成することができる。
【0069】
図7は、用いることができるその他の絞り部の例を示す図で、気体供給路162から単純に細い開口178に絞るオリフィス178である。
【0070】
これらの絞り部は、製作の容易性、整流性、絞り特性等にそれぞれ特徴がある。したがって、気体制御回転移動装置10に要求される応答性、耐ノイズ性、気体条件等を考慮し、コストと性能の兼ね合いで最も適する構成を選択することが好ましい。
【0071】
次に、気体制御アクチュエータ200回りの構成につき説明する。図8は、6つの気体制御アクチュエータ200の中の1つについてその周辺の断面図である。気体制御アクチュエータ200は、本体部24に設けられた案内部202と、案内部202に案内されてその軸方向に移動可能な2つの可動体である第1可動体204、第2可動体206とを含む。案内部202は、シリンダ状の内壁を有するものであり、第1可動体204、第2可動体206の側面は概略円柱状である。案内部202は本体部24に設けられるが、具体的には、案内部202の底板部を本体部24の筐体の一部とし、そこに円筒部材を取り付け、その部分を案内部202とすることができる。
【0072】
なお、案内部202の形状と、第1可動体204、第2可動体206の形状との関係は、滑らかに移動可能な相互に対応する形状であればよく、円筒状のものの他、矩形、多角形等の断面形状を有する組合せであってもよい。以下における他の形態の気体制御駆動部の構成においても同様である。
【0073】
案内部202の底部には、サーボ弁22からの駆動気体圧がCP1で示される駆動気体圧供給口から導入され、第1可動体204の底面との間に気体室が形成される。第1可動体204の先端には曲面座が設けられ、その先の第2可動体206は、その曲面座に対応する曲率の曲面を有する。図8において曲面座は凹状曲面であるが、これを凸状曲面としてもよい。曲面の形状は球面を用いることができる。また、一部に球面形状を用いるものであってもよく、あるいは円弧状の曲面であってもよく、またそれ以外の曲面形状を用いてもよい。かかる曲面座及び第2可動体206の曲面は、適当な金属材料又はセラミックの素材を成形及び精密な球面表面加工して得ることができる。
【0074】
テーブル50のタンク56からは、絞り部58、軸側伝達気体供給路60を通って、矩形軸54の対応する辺を気体受面208とし、第2可動体206の先端面210との隙間に伝達気体が供給される。また、第2可動体206を貫いて第2供給路212が設けられ、これを通った伝達気体は、第1可動体204、第2可動体206との間の曲面隙間に供給される。またさらに、第2供給路212に対応して第1可動体内部に第1供給路214が設けられ、その先は内部タンク216となる空間に接続される。
【0075】
結局、内部タンク216には、伝達気体圧を有する気体が矩形軸54のタンク56から供給される。内部タンク216は、これらの供給された気体のバッファ空間としての機能を有する。そして、内部タンク216から、第1可動体204の側壁に向かって延びる第3供給路220は、内部タンク216からの気体を、案内部202と第1可動体204との間の円筒状隙間に供給し、いわゆる気体軸受支持を行わせることができる。これにより、第1可動体204は、案内部202に摩擦なく滑らかに案内支持され、駆動気体圧によって、矩形軸54の気体受面208の方向に移動できる。
【0076】
さらに、案内部202から本体部24を通ってテーブル50に向かう第4供給路222によって、これらの気体は、本体部24とテーブル50との間の隙間に排気される。
【0077】
ここで、第2可動体206の先端面210から気体受面208の状態に注目すると、ここでは、伝達気体圧を有する気体が供給される。ここで、気体受面208が受ける実効負荷力を駆動気体圧による駆動力に近づけるため、伝達気体圧は、気体圧調整部70によって、次のように調整される。すなわち、駆動気体圧より大きい気体圧に設定される。その大きさは、第2可動体206の先端面210の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、先端面210と気体受面208との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が、第1可動体204の底面の面積に駆動気体圧を乗じて得られる駆動力と略同じまたはそれより若干小さくなるような気体圧に設定される。駆動力を超えないようにするのは、実効負荷力が駆動力を超えると、第1可動体204、第2可動体206が押し戻されて、矩形軸54を効果的に駆動できなくなることを防ぐためである。
【0078】
したがって、このような伝達気体圧の設定により、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例2】
【0079】
伝達気体圧を有する気体の供給は、矩形軸54の気体受面208の開口からでなくてもよい。図9は、伝達気体圧を有する気体の供給を、第2可動体206の先端面210の開口から行う気体制御アクチュエータ230を示す図である。図8と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。ここでは本体部24に設けられた供給口CP2から伝達気体圧を有する気体が気体圧調整部70から供給される。そして、この気体は、第1可動体232に設けられる可動部側伝達気体供給路234と、第2可動体206の第2供給路を通って、第2可動体206の先端面210と気体受面208との間の隙間に伝達気体圧を有する気体として供給される。この構成により、図8で説明したと同様に、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例3】
【0080】
伝達気体圧を有する気体の供給を、第2可動体212の先端面210の開口から行う場合に、その気体の流れを乱れの少ないものとするために、絞り部を設けることが望ましい。図10は、第1可動体242の側面に沿って表面絞りを設け、これを用いて伝達気体を供給する構造の気体制御アクチュエータ240を示す図である。図8、図9と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0081】
図10の気体制御アクチュエータ240においては、図9の構造と同様に、本体部24に設けられた供給口CP2から伝達気体圧を有する気体が気体圧調整部70から供給される。そして、CP2から供給された気体は、案内部202と第1可動体242との間の円筒状隙間に設けられ、図10においてA部として示した隙間絞りによって絞られ、乱れの少ない流れとなって、第2可動体206の可動部側伝達気体供給路244と、第2可動体206の第2供給路を通って、第2可動体206の先端面210と気体受面208との間の隙間に伝達気体圧を有する気体として供給される。この構成により、図8で説明したと同様に、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例4】
【0082】
伝達気体圧の流れとは別に、第1可動体と第2可動体との間の曲面隙間に供給される流れも、乱れの少ないものとすることが望ましい。図11は、曲面隙間に供給する気体の供給路に絞り部258を設ける構成の気体制御アクチュエータ250を示す図である。図8から図10と共通の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0083】
図11の気体制御アクチュエータ250においては、本体部24に設けられた供給口CP3から曲面隙間用の気体が供給される。この気体は、気体圧調整部70から別途供給されてもよく、あるいは駆動気体圧を有する気体を分流して供給するものとしてもよい。そして、CP3から供給された気体は、第1可動体252に設けられた供給路254を経て、第1可動体252の内部に設けられた内部タンク256に導かれる。内部タンク256は図8で説明したものと同様に、導かれた気体のバッファ体積としての機能を有する。内部タンク256からは、絞り部258を介し、曲面隙間に向けて延びる別の供給路260が設けられる。この絞り部258は、図8で説明した絞り部58と同様のもの、すなわち平行隙間絞り等を用いることができる。このように、CP3から供給される気体は、絞り部258によって乱れの少ない流れとなって、曲面隙間に供給され、曲面座に対する第2可動体206の動きをさらに滑らかなものとし、テーブル50の回転移動の精度を向上させることができる。
【実施例5】
【0084】
第1可動体と第2可動体との間の曲面隙間における気体による気体支持を効果的にするには、曲面隙間の流れを噴出し口から排気側に向けて一様な隙間あるいは次第に隙間が広がる末広がりとすることが好ましいことがある。このように、曲面隙間の流路の寸法を考慮するときは、第2可動体の底面曲面の曲率と、これを支持する第1可動体の曲面座の曲率とを異なることとすることが好ましい。図12は、その様子を示す図である。図12(a)では、第2可動体の底面曲面264の曲率R1と、これを支持する第1可動体の曲面座曲面266の曲率R1とを同じとし、曲面隙間に噴出す気体により、これら曲面が相互にY方向に平行移動した場合を示してある。このように、同じ曲率の2つの曲面を平行移動する場合には、その間の曲面隙間の間隔は一様にならず、中央部から周辺に向かって次第に隙間が狭まる末すぼまりの形態となる。つまり、中央部で噴出した気体の流れは、周辺へ向けてより狭くなる隙間を流れることになる。ここで曲率は、単純な半径でなく、曲率関数であるとして図示したが、勿論曲面が球面の場合は、曲率はその半径となる。
【0085】
図12(b)は、第2可動体の底面曲面264の曲率R1とに対し、これを支持する第1可動体の曲面座曲面268の曲率R2を異ならせてある。ここでは、曲率R2を曲率R1より緩やかのものとし、2つの曲面が相互にY方向に平行移動するときに、曲面隙間が全経路に渡りほぼ同じ隙間となるように選んである。このように、第2可動体の底面曲面の曲率と、これを支持する第1可動体の曲面座の曲率とを異ならせることで、曲面隙間の形態を任意のものに設定でき、曲面隙間を流れる流れを、滑らかな移動を可能にする気体支持とすることができる。
【実施例6】
【0086】
テーブル50と、可動体との負荷力の伝達を滑らかにするには、図8等で説明したように、第1可動体の曲面座で第2可動体の底面の曲面を支持することで、第2可動体をテーブル50の移動に対し、回転可能に追従させることができる。これを1つの可動体で行うには、その可動体の先端部を曲面として、テーブル50の対応する辺に向かい合わせればよい。図13は、可動体272の先端面274を凸状の曲面とし、矩形軸54の気体受面208に向かい合わせる気体制御アクチュエータ270,280を示す図である。図8と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0087】
図13(a)は、1つの可動体272の先端面274を凸状の曲面とし、この先端面274と気体受面208との隙間に、矩形軸54のタンク56から絞り部58及び軸側伝達気体供給路60を経由して、伝達気体が供給される。供給された伝達気体は、噴出し口から、排気側に向かって次第に隙間が広がる末広がりの伝達隙間を通って流れる。図13(b)は、同様の可動体272を用い、伝達気体の流れを、図13(a)と逆に、次第に隙間が狭まる末すぼまりとする形態を示す。ここでは、伝達気体は、凸状の曲面の外周側から図示されていない供給口から供給されて、末すぼまりの流れ208となって、先端面274と気体受面208との間を流れ、矩形軸54の中を通る排気の流れ284として回収される。
【0088】
このように、凸状の曲面を有する先端面の可動体を用いることで、可動体の数を減らしながら、図8で説明した伝達気体圧の設定により、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【実施例7】
【0089】
テーブル50の回転が微小量である移動可能範囲に設定される気体制御回転移動装置10の場合には、可動体に曲面の部分を用いなくてもよい場合がある。図14は、複数の可動体を用いるが、曲面座あるいは曲面の先端面を用いない気体制御アクチュエータ290を示す図である。図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0090】
この気体制御アクチュエータ290は、第1可動体292と、2つの積層板状の可動体で構成される第2可動体294を有する。これらの可動体は、Z方向の相互位置関係がずれないように、外周側に径の異なる鍔部を備えている。伝達気体は、図8で説明したと同様に、矩形軸54のタンク56側から供給され、各可動体の間の隙間にも供給される。このように、複数の板状の可動体を用いることで、簡単な構成で、微小回転に対応できる気体制御アクチュエータを提供できる。
【実施例8】
【0091】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、気体受面における実効負荷力を向上させるには、伝達気体圧を駆動気体圧より大きくする方法以外にも幾つかの方法がある。図15は、駆動気体圧を有する気体を伝達隙間に供給し、すなわち、駆動気体圧と伝達気体圧と実質的に同じとして、可動部の先端面の面積を可動体の底面の駆動気体圧を受ける面積より広くする気体制御アクチュエータ300,310を示す図である。ここでは、可動体は単一のものとし、また、その先端面は平坦なものが図示されるが、勿論図14で説明した積層板状可動体、図13で説明した先端が凸状の可動体、図8等で説明した曲面座を用いる2つの可動体を用いるものとしてもよい。また、図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0092】
図15(a)における気体制御アクチュエータ300は、可動体302の先端面304における先端面210の面積は、可動体302の底面部306の面積より広い。そして、CP1から供給され駆動気体圧を有する気体は、可動体302を駆動すると共に、供給路308を通って、可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に伝達気体として供給される。
【0093】
可動体302の先端面210における面積は次のように設定される。すなわち、可動体302の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面すなわち底面部306の面積より広く、かつ、その先端面210の広い面積に伝達気体圧である駆動気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動体302の先端面210と気体受面208との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動体302に対する駆動力と同じまたはそれより若干小さくなる面積に設定される。駆動力を超えないようにするのは、実効負荷力が駆動力を超えると、可動体302が押し戻されて、矩形軸54を効果的に駆動できなくなることを防ぐためである。
【0094】
したがって、このような可動体302における底面と先端面210の面積比の設定により、矩形軸54は、CP1からの駆動気体圧による駆動力とほぼ同じ実効負荷力で駆動され、テーブル50は、駆動気体圧によって、十分に回転移動することができる。
【0095】
図15(b)における気体制御アクチュエータ310は、可動体312の先端面210の面積に比べ、可動体312の底面部314の面積を狭くしたものである。この場合、案内部202は、その狭くした面積に対応する部分を狭くする。この案内部202における底面側の面積の狭めには、例えば、適当なリング状のカラー部材318を用いることができる。この構成によっても、図15(a)と同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、この面積効果による方法と、図8で説明した駆動気体圧と独立に設定される伝達気体圧による方法とを組合せることもできる。図16は、その組合せの幾つかの例を示すものである。図16(a)は、可動体の先端面の面積を広くし、伝達気体圧は矩形軸側伝達気体供給路を介して駆動気体圧とは独立に供給される。(b)は、可動体の先端面の面積を大きくし、伝達気体圧は軸側伝達気体供給路を介して駆動気体圧とは独立に供給される。これに対し、図16(c),(d)は、可動体の底面の面積を狭くしたものである。
【実施例9】
【0097】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、気体受面における実効負荷力を向上させ更なる他の方法として、スリーブ状の可動体を用い、その中心穴に駆動気体圧を有する気体を通し、気体受面に駆動気体圧を直接及ぼす方法を用いることができる。図17はそのような構成の気体制御アクチュエータ320、340を示す。ここで、図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0098】
図17における気体制御アクチュエータ320は、スリーブ状の第1可動体322、第2可動体330を用いる。第1可動体322は、案内部202に案内される可動スリーブで、軸に垂直な断面がリング状で比較的薄肉の外周部324と、それに囲まれる中心穴326を有する。第1可動体322の外周部324の先端は、曲面座328となっている。第2可動体330は、第1可動体322と同様な断面がリング状で比較的薄肉の外周部と、それに囲まれる中心穴を有し、その外周部の底面は曲面座328によって支持される曲面を有する。つまり、中心穴は、第1可動体322と第2可動体330を通して同じ大きさで軸方向に通っている。また、案内部202の底面で、第1可動体322の外周部324の底面に対応する部分に、スリーブ移動用気体圧を有する気体の供給口CP4が設けられる。CP4は、中心穴326に供給される駆動気体圧の気体の供給口とは別に設けられる。CP1からの気体とCP4からの気体を分離するため、案内部202の底面部には、仕切台334が設けられる。スリーブ移動用気体圧を有する気体は、気体圧調整部70から図示されていないスリーブ移動用気体圧制御部を介してCP4に供給される。
【0099】
この構成において、第1可動体322と第2可動体330を通して中心穴は気体受面208に向かって設けられ、CP1から供給される駆動気体圧を有する気体は、この中心穴326及び第2可動体の中心穴を通って気体受面208に向かって流れる。この中心穴326の穴面積に駆動気体圧を乗じたものが駆動力となるが、それがそのまま気体受面に及ぼされ、気体受面における負荷力は、駆動力とほぼ同じとなる。
【0100】
この場合、第2可動体330の外周部の先端面332は、気体受面208と向かい合いその隙間に駆動気体圧の気体が外側の排気側に向かって流れ、その気体を介して矩形軸54の気体受面208が支持される。したがって、駆動気体圧によって気体受面208が負荷力を受けてテーブル50が移動するとその隙間が拡がるが、あまり拡がると、その隙間を通って外部に漏れる気体が増し、負荷力の損失が増加する。そのために、所定の隙間に
維持するため、スリーブ移動用気体圧によって、第1可動体322と第2可動体330は軸方向に移動される。
【0101】
すなわち、スリーブ移動用気体圧制御部は、第1可動体322と第2可動体330を気体受面の駆動に連動して移動させるように、スリーブ移動用気体圧を制御し、CP4に供給する機能を有する。このようにすることで、気体受面における実効負荷力を、ほぼ駆動力と同じにすることができる。
【0102】
図17(b)は、駆動気体圧を調整して、それをスリーブ移動用気体圧として用いる構成の気体制御アクチュエータ340を示す図である。第1可動体322と第2可動体330の移動量は、気体受面208の移動量に連動させる必要があるが、気体受面208の移動量は駆動気体圧に応じて変化するので、駆動気体圧を適当に調整して、これをスリーブ移動用気体圧として用いることができる。図17(b)では、第1可動体342の外周部344における底面の気体圧受面積を適当な広さに設定する。そして、その気体圧受面積の所に、駆動気体圧の気体を導入する。導入路は、中心穴346の仕切台334と第1可動体342の外周部との隙間を利用できる。気体圧受面積の広さは、第2可動体330の外周部の先端面332と気体受面208との間の隙間を一定に保つように、気体受面208の移動に連動して第1可動体322と第2可動体330が移動するのに必要な力を受ける面積に設定される。この構成により、スリーブ移動用気体圧制御部を省略することができる。
【実施例10】
【0103】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、可動体をダイヤフラムの先端に接続し、ダイヤフラムの内管部に供給される駆動気体圧で可動体を駆動する方法によっても、気体受面に対する負荷力を駆動力とほぼ同じにすることができる。図18は、そのような構成の気体制御アクチュエータ350を示す図である。ここで図8等と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0104】
気体制御アクチュエータ350において、可動体352は、ダイヤフラム354の先端に取り付けられ、ダイヤフラム354の管の内部356には、CP1から可撓管358を通して駆動気体圧が供給される。そして、矩形軸54のタンク56から絞り部58、軸側伝達気体供給路60を介し、可動体352の先端面210と気体受面208との間の隙間に伝達気体圧を有する気体が導かれる。この構成では、駆動気体圧を有する気体はダイヤフラム354の管の内部356に閉じ込められ、外部に漏れないので、気体受面208には駆動気体圧による駆動力にほぼ等しい負荷力が伝達される。また、テーブル50の回転に対しては、可撓管358の弾性によって、可動体352は滑らかに追従することができる。
【実施例11】
【0105】
気体制御アクチュエータの可動部の先端面とテーブルの気体受面との間の伝達隙間に供給される伝達気体圧を介してテーブルに駆動力を与える場合に、テーブルの回転移動の加速度が小さいとき、すなわちテーブルに与える力が小さくて済む場合には、駆動気体圧による駆動よりも、フォースモータあるいはボイスコイルモータのような電磁モータによる駆動を用いることができる。図19は、そのような構成の気体制御アクチュエータ360を示す図である。ここで図8と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0106】
ここで、気体制御アクチュエータ360は、図8において第1可動体204がCP1からの駆動気体圧によって駆動されたのに代わり、フォースモータ362によって駆動されるものである。フォースモータ362は、本体部24に取付けられたヨーク364に設けられた磁石366と、これと協働してY方向の推力を生じさせるコイル368と、一方端にコイル368が取付けられ他方端が第1可動体204の底面に取付けられる移動体370を含んで構成される。コイル368のリード線は、外部に取り出され、図示されていないモータ駆動制御部に接続される。モータ駆動制御部は、テーブル制御部80からの制御信号に応じ、フォースモータ362の駆動力を制御する機能を有する回路である。この場合は、図2におけるサーボ弁22への制御信号を、各フォースモータへの制御信号と読み替えることができる。
【0107】
第2可動体206の先端面210と気体受面208との間の隙間には、図8で説明したと同様に、伝達気体圧を有する気体が導かれる。そして、この伝達気体圧による押し戻し力に釣り合うように、本体部24のCP2から伝達気体圧を有する気体が第1可動体204の底面に対し供給される。これにより、第1可動体204、第2可動体206のY方向の駆動力は、伝達気体圧の影響が相殺され、フォースモータ362の電気的に制御された精密なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】移動対象物と気体制御アクチュエータの先端部との隙間に気体を導入する構成の移動機構において、移動対象物が受ける負荷力Fと、気体制御アクチュエータの駆動力P・Aとの関係を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態における気体制御回転移動装置の構成図である。
【図3】本発明に係る実施の形態における回転移動制御のブロック線図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、テーブル部の各サーボ弁及びセンサを取り外した状態の断面図である。
【図5】図4の状態からさらに、テーブルの上板を取り外した状態の上面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態において、絞り部として好ましい2つの例を示す図である。
【図7】本発明に係る実施の形態において、その他の絞り部の例を示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態において、気体制御アクチュエータの周辺の断面図である。
【図9】実施例2を示す図である。
【図10】実施例3を示す図である。
【図11】実施例4を示す図である。
【図12】実施例5を示す図である。
【図13】実施例6を示す図である。
【図14】実施例7を示す図である。
【図15】実施例8を示す図である。
【図16】実施例を組合せた実施例を示す図である。
【図17】実施例9を示す図である。
【図18】実施例10を示す図である。
【図19】実施例11を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
10 気体制御回転移動装置、20 テーブル機構部、22 サーボ弁、24 本体部、25 取付部、26 矩形穴、28 気体軸受用気体供給溝、30 排気溝、32 真空引き溝、34 気体軸受用気体供給穴、36 排気穴、38 真空引き穴、40 接続口、42,44,46 流路、50 テーブル、52 上板、53 下板、54 矩形軸、56 タンク、58、258 絞り部、60 軸側伝達気体供給路、70 気体圧調整部、72,73 圧力制御弁、74,75 調整用タンク、80 テーブル制御部、82 回転移動制御部、84 D/A変換部、86 パワーアンプ、88 センサ、90 回転移動の指令,92,96,102 減算器、94 位置制御器、98 速度制御器、100 速度リミッタ、101 加速度リミッタ、104 加速度制御器、106 センサアンプ、108 微分器、110 2回微分器、120 気体源、160,204,206,212,232,242,252、272、292、294,302,312,322,330,342,352 可動体,200,230,240,250,270,280、290,300,310,320,340,350,360 気体制御アクチュエータ、202 案内部、208 気体受面、210,274,304,332 先端面、212,214,218,220,222,254,260,308 供給路、216,256 内部タンク、234,244 可動部側伝達気体供給路、264 底面曲面、266,268 曲面座曲面、306,314 底面部、318 カラー部材、324,344 外周部、326,346 中心穴、328 曲面座、334 仕切台、354 ダイヤフラム、356 内部、358 可撓管、362 フォースモータ、364 ヨーク、366 磁石、368 コイル、370 移動体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、
テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、
各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、
を備え、さらに、
各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、
伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体圧制御手段と、
を有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項2】
多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、
テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、
各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、
を備え、
各可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項3】
多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、
テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、
案内部に案内されるスリーブ状の可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、スリーブ状の可動部の中心穴を通って気体受面に供給される駆動気体圧によって気体受面に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって気体受面を支持する複数の気体制御アクチュエータと、
各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、
を備え、さらに、
各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、
スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段を有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の気体制御回転移動装置において、
伝達気体供給路に設けられる絞りを有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項5】
請求項1、2、4のいずれか1に記載の気体制御回転移動装置において、
伝達気体供給路は、
伝達気体圧の供給源から多角形軸の内部を通り対応する気体受面に他方側の開口を有する軸側伝達気体供給路、又は伝達気体圧供給源から可動部の内部を通り可動部の先端面に他方側の開口を有する可動部側伝達気体供給路であることを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1に記載の気体制御回転移動装置において、
可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、
気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の気体制御回転移動装置において、
先端可動体は、その底面曲面と曲面座との間の曲面隙間に供給される曲面支持気体圧で支持されることを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項8】
請求項1、2、3のいずれか1に記載する気体制御回転移動装置において、
テーブル制御部は、位置又は角度指令、速度又は角速度指令、加速度又は角加速度指令の少なくとも1つの指令に、その上限を制限するリミッタを有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項9】
案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、
伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体圧制御手段と、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、
を有することを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【請求項10】
案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、
を備え、
可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【請求項11】
案内部に案内されるスリーブ状の可動部であって、スリーブ状の可動部の中心穴を通って移動対象物の気体受面に供給される駆動気体圧によって移動対象物に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって移動対象物を支持するスリーブ状の可動部と、
スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段と、
を有することを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【請求項12】
請求項9、10、11に記載の気体制御アクチュエータにおいて、
可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、
気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【請求項1】
多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、
テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、
各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、
を備え、さらに、
各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、
伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体圧制御手段と、
を有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項2】
多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、
テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、案内部に案内され駆動気体圧で駆動される可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、可動部の先端面と気体受面との間に供給される伝達気体の層を介して多角形軸に駆動力を与える複数の気体制御アクチュエータと、
各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、
を備え、
各可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項3】
多角形軸を有し、軸方向に垂直な平面内で移動可能なテーブルと、
テーブルの多角形軸の各辺に対応してそれぞれ設けられるアクチュエータであって、
案内部に案内されるスリーブ状の可動部を有し、多角形軸の対応する辺を気体受面として、スリーブ状の可動部の中心穴を通って気体受面に供給される駆動気体圧によって気体受面に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって気体受面を支持する複数の気体制御アクチュエータと、
各気体制御アクチュエータを制御し、多角形軸の各辺に与えられる駆動力の協働によって、テーブルの平面内移動又は軸周りの任意角度の回転の少なくともいずれか1の制御を含むテーブル制御部と、
を備え、さらに、
各気体制御アクチュエータに対応してそれぞれ、
スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段を有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の気体制御回転移動装置において、
伝達気体供給路に設けられる絞りを有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項5】
請求項1、2、4のいずれか1に記載の気体制御回転移動装置において、
伝達気体供給路は、
伝達気体圧の供給源から多角形軸の内部を通り対応する気体受面に他方側の開口を有する軸側伝達気体供給路、又は伝達気体圧供給源から可動部の内部を通り可動部の先端面に他方側の開口を有する可動部側伝達気体供給路であることを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1に記載の気体制御回転移動装置において、
可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、
気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の気体制御回転移動装置において、
先端可動体は、その底面曲面と曲面座との間の曲面隙間に供給される曲面支持気体圧で支持されることを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項8】
請求項1、2、3のいずれか1に記載する気体制御回転移動装置において、
テーブル制御部は、位置又は角度指令、速度又は角速度指令、加速度又は角加速度指令の少なくとも1つの指令に、その上限を制限するリミッタを有することを特徴とする気体制御回転移動装置。
【請求項9】
案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、
伝達気体圧を、可動部に対する駆動気体圧より大きい気体圧で、かつ、可動部先端面の面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる気体圧に制御する伝達気体圧制御手段と、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧を供給する伝達気体供給路と、
を有することを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【請求項10】
案内部に案内され駆動気体圧で駆動され、その先端面と移動対象物の気体受面との間に供給される伝達気体圧を介して移動対象物に駆動力を与える可動部と、
可動部の先端面と気体受面との間の隙間に伝達気体圧として駆動気体圧を供給する伝達気体供給路と、
を備え、
可動部の先端面は、可動体の駆動気体圧を受ける駆動気体圧面の面積より広く、かつ、その先端面の広い面積に伝達気体圧を乗じて得られる負荷力から、可動部の先端面と気体受面との間の隙間に応じて外部に流れる気体による駆動力損失を差し引いた実効負荷力が可動部に対する駆動力と同じまたはそれより小さくなる面積を有することを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【請求項11】
案内部に案内されるスリーブ状の可動部であって、スリーブ状の可動部の中心穴を通って移動対象物の気体受面に供給される駆動気体圧によって移動対象物に駆動力を与え、スリーブ状の可動部の中心穴からスリーブ状の可動部の先端面と気体受面との間の隙間を通って外部に流れる気体によって移動対象物を支持するスリーブ状の可動部と、
スリーブ状の可動部に対し、スリーブ移動気体圧によって気体受面の駆動に連動して移動させるスリーブ移動気体圧を供給する供給手段と、
を有することを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【請求項12】
請求項9、10、11に記載の気体制御アクチュエータにおいて、
可動部は、可動方向に沿って配置される複数の可動体を有し、
気体受面に向かい合う先端可動体は、その底面が曲面で、これに対応する任意の曲率を有する曲面座で支持される曲面可動体であることを特徴とする気体制御アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−309654(P2006−309654A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134123(P2005−134123)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(503094070)ピー・エス・シー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(503094070)ピー・エス・シー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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