説明

気密端子の製造方法及び気密端子、圧電振動子の製造方法及び圧電振動子、発振器、電子機器、電波時計

【課題】 特にリードの偏心を防止するとともに、圧電振動片の接続位置についての信頼性を高めた気密端子の製造方法及び気密端子と、小型化を可能にした圧電振動子の製造方法及び圧電振動子、さらには、発振器、電子機器、電波時計を提供する。
【解決手段】 リング内にリードとなる棒状材を挿通し、その状態で焼成してリング内に棒状材を固定した気密端子中間体4aを形成する組立・焼成工程と、気密端子中間体4aの、棒状材13aにおけるインナーリード部側の端部を潰し加工し、段差部15cを形成する工程と、段差部15cの端部を切断して所定形状に成形する工程と、を備えた気密端子の製造方法である。組立・焼成工程では、棒状材13aとしてリードより長い中実丸棒を用い、かつ、棒状材13aのインナーリード部となる一端側15bを、完成品としての気密端子におけるインナーリード部より長くなるようにリング12内に挿通しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密端子の製造方法及び気密端子、圧電振動子の製造方法及び圧電振動子、発振器、電子機器、電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが提供されているが、その1つとして、円筒状に形成されたシリンダパッケージタイプの圧電振動子が知られている。
【0003】
この圧電振動子70は、図30に示すように、音叉型の圧電振動片71と、該圧電振動片71を内部に収納する有底円筒状のケース72と、圧電振動片71をケース72内に密閉させる気密端子73とを備えて構成されている。
気密端子73は、金属材料で形成された環状のリング74と、該リング74を貫通して配され、圧電振動片71の両マウント電極71aに接合された2本のリード75と、該リード75とリング74とを絶縁状態で一体的に固定すると共にケース72内を密封する充填材76とで構成されている。
2本のリード75は、ケース72内に突出している部分がインナーリード部75aとなり、ケース72外に突出している部分がアウターリード部75bとなっている。そして、このアウターリード部75bが、外部接続端子として機能するようになっている。
また、ケース72は、リング74の外周に対して圧入されて嵌合固定されている。このケース72の圧入は、真空雰囲気下で行われているため、ケース72内の圧電振動片71を囲む空間は、真空に保たれた状態で密閉されている。
【0004】
このように構成された圧電振動子70は、2本のリード75のアウターリード部75bにそれぞれ所定の電圧を駆動電圧として印加すると、電流がインナーリード部75aからマウント電極71aを介して圧電振動片71に流れる。これにより、圧電振動片71が所定の周波数で発振するようになっている。
【0005】
ところで、この種の圧電振動子は各種の電子機器等に搭載されるが、これら電子機器等は年々小型化が進んでいるため、圧電振動子においても、さらなる小型化が求められている。圧電振動子の小型化を図るためには、リングの外径を小さくすることが有効である。そのためには、2本のリードの径を細くする必要がある。ところが、リードを現状よりもさらに細くした場合には、剛性が低下してしまうので、製造途中で変形してしまうおそれがあった。特に、インナーリード部よりも長さのあるアウターリード部が変形し易いものであった。アウターリード部が変形してしまうと、互いの平行度が保てなくなってしまうため、品質が低下し、製品として使用できなくなってしまう。その結果、歩留まりの低下を招く可能性があった。
【0006】
また、製造途中で、アウターリード部が他の気密端子のアウターリード部と絡み合ってしまい、生産ラインを一時的に停止させるおそれもあり、この点においても、歩留まりの低下を招く可能性があった。特に、小型化を目指すほど、上述した問題が顕著に発生するおそれがあった。そのため、現状の製造方法では、歩留まり良く、高品質でさらなる小型化を図った圧電振動子を製造することが困難である。特に、圧電振動子を構成する気密端子を製造することが困難である。
【0007】
そこで、2本のリードではなく、1本のリードからなる気密端子を備えた圧電振動子が提供されている(特許文献1参照)。この気密端子は、リングに一体的に形成された突出片を有しており、該突出片が従来のインナーリード部の役目を果たしている。つまり、リード及び突出片が、圧電振動片に対してそれぞれ電気的に接続するようになっている。このように、リングに一体的に形成した突出片をインナーリード部として機能させることができるので、従来2本必要であったリードを1本にすることができる。
そのため、リングの外径を小さくしても、2本の場合に比べてリードの径を細くする必要がなく、よって、剛性の低下を防止でき、変形を防ぐことができる。しかも、リードが1本であるので、製造途中で他のものと絡み合うおそれも少なく、したがって、気密端子の小型化を可能にし、圧電振動子の小型化を図ることができる。
【0008】
また、図30に示した圧電振動子70の気密端子73や前記特許文献1の気密端子を含め、圧電振動片をケース内にて支持する気密端子では、圧電振動子の小型化を可能にし、かつその信頼性を確保するために、圧電振動片をケース内でより中心近くに配置し、圧電振動片がケースに接触するといった不都合を確実に防止しておく必要がある。そのため、インナーリードはリングに対して偏心することなく、その中心に位置するように配置させられる。そして、圧電振動片を支持するインナーリード部の端部の一方側を押し潰して段差部を形成し、この段差部に圧電振動片を保持するようにしている。
このような段差部を有する気密端子を備えた圧電振動子を製造するには、例えばリング内に充填材を介してリードを挿通し、その状態で焼成してリング内に充填材によってリードを固定し、さらにリードに対して前記段差部形成のための押し潰し加工を行った後に、形成した段差部にバンプを形成し、このバンプをアライメントマークにして圧電振動片を位置決めし、接続している。
【特許文献1】特開2002−43886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の方法では、以下の課題が残されている。
前記したように、インナーリードをリングに対して中心に位置するように配置する必要があることから、インナーリードの偏心をより確実に防止する手法が望まれている。リングに対するインナーリードの偏心は、充填材を焼成してリング内にリードを固定した際に生じる。すなわち、焼成工程では、リング、充填材、リードを互いに組み付けた状態で焼成治具に収容し、その状態で焼成する。しかし、焼成治具におけるリードの収容部分は、当然リードよりは僅かながら大きく形成されているので、この収容部分内においてガタツキが生じる。そして、このようなガタツキにより、リードはリングの中心軸に対して平行にあるいは一致した状態に配置されず、傾いて収容されてしまい、その姿勢のままで焼成・固定されることにより、偏心を生じることがある。
【0010】
また、インナーリードに対して圧電振動片を接続する際には、前記したように押し潰し加工で形成した段差部上のバンプをアライメントマークにし、位置決めをしているが、押し潰し加工で形成される段差部はその形状が矩形状でなく台形状になり、また均一でなくバラツキがある。したがって、ここに形成されるバンプの位置にもバラツキが生じ、そのためこれをアライメントマークにして位置決めした圧電振動片も、その接続位置にバラツキが生じてしまう。
【0011】
また、特許文献1記載の気密端子は、リングに対して突出片を一体的に形成する必要がある。しかも、環状に形成されたリングの一部分に突出片を形成する必要がある。ところが、このような加工は容易に行うことができず、非常に手間と時間がかかるものである。特に、突出片を折り曲げ加工する際に、リングが変形してしまうことを防止しながら折り曲げる必要があるので、生産性が悪かった。したがって、実際には一日に大量の気密端子を量産する必要があるが、このような大量生産には適さないものであった。
【0012】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、特にリードの偏心を防止するとともに、圧電振動片の接続位置についての信頼性を高めた気密端子の製造方法及び気密端子と、圧電振動片の接続位置についての高信頼性に加え、圧電振動片の両面に設けられた励振電極が互いに短絡してしまうことを防止しつつ小型化を可能にした圧電振動子の製造方法及び圧電振動子、さらには、この圧電振動子を備えた発振器、電子機器、電波時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため本発明の気密端子の製造方法は、環状のリングと、該リングを貫通した状態で配置され、リングを間に挟んで一端側が圧電振動片に電気的に接続されるインナーリード部とされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード部とされたリードと、該リードと前記リングとを固定させる充填材とを有し、圧電振動片をケース内に封止させる気密端子を製造する方法であって、前記リング内に前記充填材を介して前記リードとなる棒状材を挿通し、その状態で焼成して前記リング内に前記充填材によって前記棒状材を固定した気密端子中間体を形成する組立・焼成工程と、前記気密端子中間体の、前記棒状材における前記リードのインナーリード部となる側の端部を潰し加工し、段差部を形成する潰し工程と、前記段差部の少なくとも端部を切断し、該段差部を所定形状に成形する成形工程と、を備え、前記組立・焼成工程では、前記棒状材として前記リードより長い中実丸棒を用い、かつ、該棒状材の前記インナーリード部となる一端側を、完成品としての気密端子におけるインナーリード部より長くなるように前記リング内に挿通しておくことを特徴としている。
【0014】
この気密端子の製造方法によれば、組立・焼成工程において、リードとなる棒状材として、リードより長い中実丸棒を用い、かつ、該棒状材のインナーリード部となる一端側を、完成品としての気密端子におけるインナーリード部より長くなるようにリング内に挿通し、焼成治具に収容するので、リングから延出するインナーリード部となる一端側が、アウターリード部となる他端側に比べて、焼成治具内において極端に短くなることがない。したがって、インナーリード部となる一端側を完成品としての気密端子におけるインナーリード部と同じ長さにした場合に比べ、棒状材の前記一端側と前記他端側とがリングに対して比較的バランス良く延出するようになる。よって、棒状材がリングの中心軸に対して傾く度合いが少なくなり、これにより、棒状材から形成されるインナーリードの偏心が防止される。
また、棒状材におけるリードのインナーリード部となる側の端部を潰し加工し、段差部を形成した後、該段差部の少なくとも端部を切断し、該段差部を所定形状に成形するので、段差部の形状が例えば均一な矩形状となり、したがってここに形成されるバンプの位置のバラツキが抑制される。
【0015】
また、前記の気密端子の製造方法においては、前記リードが1本であるのが好ましい。
リードが2本である場合に比べて1本である場合の方が、インナーリードが偏心している場合にこれに接続する圧電振動片の位置に対する影響が大きく、圧電振動片の位置精度を損なう可能性が高くなる。したがって、特にリードが1本である場合に、圧電振動片の位置精度が良好になることにより、圧電振動子の小型化やその信頼性の確保についての効果が顕著となる。
また、リードが1本であるので、リングの外径を小さくしても2本の場合に比べてリードの径を細くする必要がなく、さらに、製造途中で他のものと絡み合うおそれも少ない。したがって、気密端子の小型化が可能になり、これを用いた圧電振動子の小型化を図ることが可能になる。
【0016】
また、前記の気密端子の製造方法においては、前記組立・焼成工程では、前記棒状材の前記インナーリード部となる一端側を、完成品としての気密端子におけるインナーリード部より1.5倍以上3倍以下の範囲で長くなるように前記リング内に挿通しておくのが好ましい。
1.5倍未満では、前記したように棒状材を焼成治具に収容した際、インナーリード部となる一端側とアウターリード部となる他端側とがリングに対して十分にバランス良く延出しなくなり、インナーリードの偏心の防止効果が低下する。また、3倍以上では、成形工程で切断する分が多くなり、材料コストを高めることになる。したがって、1.5倍以上3倍以下の範囲にすることで、インナーリードの偏心防止効果を十分に確保し、かつ、材料コストが高くなるのを必要最小限に抑えることができる。
【0017】
また、前記の気密端子の製造方法においては、前記組立・焼成工程と前記潰し工程との間に、前記組立・焼成工程後の前記気密端子中間体を保持材にセットするセット工程を備えているのが好ましい。
このようにすれば、例えば保持材として帯状のものを用いた場合に、保持材をその長さ方向に移動させつつ、保持した気密端子中間体のインナーリード部となる側の端部を押し潰し加工することができ、したがってこの潰し工程を高効率(高速)で自動化することが可能になる。
【0018】
本発明の気密端子は、前記の製造方法により製造されたことを特徴としている。
この気密端子によれば、前述したようにリードの偏心が防止されたものとなり、かつ、圧電振動片の接続位置についての信頼性が高いものとなる。したがって、この気密端子を用いてなる圧電振動子の小型化を図り、かつ、その信頼性を確保することが可能になる。
【0019】
本発明の圧電振動子の製造方法は、圧電振動片と、開口部を有し、前記圧電振動片を内部に収納するケースと、環状のリングと、該リングを貫通した状態で配置され、リングを間に挟んで一端側が前記圧電振動片に電気的に接続されるインナーリード部とされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード部とされたリードと、該リードと前記リングとを固定させる充填材とを有し、前記ケース内を密閉させる気密端子と、を備えた圧電振動子の製造方法であって、前記気密端子を、前記製造方法で製造することを特徴としている。
また、本発明の圧電振動子は、前記製造方法により製造されたことを特徴としている。
【0020】
この圧電振動子の製造方法、及びこれから得られた圧電振動子によれば、特に気密端子の製造に関して、前述したようにリードの偏心を防止し、かつ、圧電振動片の接続位置についての信頼性を高めているので、圧電振動子の小型化を図り、かつ、その信頼性を確保することが可能になる。
【0021】
また、前記の圧電振動子においては、前記ケースは導電性を有してなり、前記リングは、前記ケースの開口部に圧入された圧入部と、前記ケースの内周面と隙間を有して前記圧入部から延出された縮径部とを有し、かつ導電性を有してなり、前記リードは1本であり、前記圧電振動片は、前記ケースの内部に配設された略板状で、両面にそれぞれ励振電極を有し、該励振電極の一方が前記リードの前記インナーリード部にバンプ接続されたことで該インナーリード部に支持され、前記励振電極の一方と反対側の他方が前記リングの前記縮径部の外周面にワイヤボンディング
されてなるのが好ましい。
【0022】
この圧電振動子によれば、圧電振動片の励振電極の一方がインナーリード部にバンプ接続し、他方がリングの縮径部とワイヤボンディングしているので、励振電極が互いに短絡してしまうことを防止しつつ小型化することが可能になるとともに、歩留まり良く容易に製造することが可能になる。
また、リードが1本であるので、リングの外径を小さくしても2本の場合に比べてリードの径を細くする必要がなく、さらに、製造途中で他のものと絡み合うおそれも少ないため、気密端子の小型化が可能になり、したがって圧電振動子自体の小型化が可能になる。
【0023】
また、本発明の発振器は、前記の圧電振動子が発振子として集積回路に接続されていることを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、前記の圧電振動子を備えることを特徴としている。
また、本発明の電波時計は、前記の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴としている。
【0024】
この発明に係る発振器、電子機器、電波時計によれば、小型化が図られ、その信頼性が確保された圧電振動子を備えているので、これら発振器、電子機器、電波時計自体の小型化が可能になるとともに、信頼性の向上が図られたものとなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の気密端子の製造方法、及びこれから得られる本発明本発明の気密端子によれば、リードの偏心を防止し、かつ、圧電振動片の接続位置についての信頼性を高めているので、この気密端子を用いてなる圧電振動子の小型化を図り、かつ、その信頼性を確保することができる。
本発明の圧電振動子の製造方法、及びこれから得られる本発明の圧電振動子によれば、特に気密端子の製造に関して、前述したようにリードの偏心を防止し、かつ、圧電振動片の接続位置についての信頼性を高めているので、圧電振動子の小型化を図り、かつ、その信頼性を確保することができる。
本発明の発振器、電子機器、及び、電波時計によれば、これら発振器、電子機器、電波時計自体の自体の小型化を可能にし、その信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1の実施形態)
図1から図3は、本発明に係る圧電振動子の第1の実施形態を示す図であり、図1は本実施形態の圧電振動子の全体を示す側断面図、図2は図1のA−A線矢視断面図、図3は図1のB−B線矢視断面図である。
【0027】
図1から図3に示すように本実施形態の圧電振動子1は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子であって、圧電振動片2と、この圧電振動片2を内部に配してその外周を覆う有底略円筒状のケース3と、ケース3の開口部3aを気密に封止する気密端子4と、を備えて構成されたものである。圧電振動片2は、本実施形態では音叉型の振動片であり、隣接した状態で互いに平行に配設された一対の振動腕部5、6と、振動腕部5、6の基端側を一体的に固定する基部7とを備えた略板状の水晶片2aで形成されている。また、水晶片2aの両面には、それぞれ、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)やチタン(Ti)などの導電性膜が所定のパターンに形成されて、第一の励振電極8、及び第二の励振電極9が設けられている。第一の励振電極8と第二の励振電極9とは、互いに電気的に切り離されてパターニングされている。
【0028】
そして、第一の励振電極8及び第二の励振電極9のそれぞれに電圧を印加することにより、振動腕部5、6を互いに接近させあるいは離間させる方向に、所定の共振周波数で振動させることが可能になっている。なお、振動腕部5、6の先端側において、第一の励振電極8および第二の励振電極9の少なくとも一方には、クロム(Cr)膜などで形成された微調部10及び粗調部11が設けられている。これら微調部10及び粗調部11は、レーザー光などが照射されて削り込まれていることにより、振動腕部5、6は所定の共振周波数に設定されたものとなっている。
【0029】
気密端子4は、本発明に係る気密端子の一実施形態となるもので、ケース3の開口部3aに圧入された略円筒状のリング12と、リング12に挿通された1本のリード13と、リング12の内部においてリング12とリード13との間に充填されて気密に封止する充填材14と、を備えて構成されたものである。充填材14は、絶縁性を有する材料で形成されたもので、本実施形態では、貫通孔14aを有するホウ珪酸ガラス製のガラスリングからなっている。すなわち、この充填材14は、リング12の内部に挿入され、さらに貫通孔14aにリード13を挿通した状態で焼成されたことにより、リング12とリード13とを絶縁するとともに、ケース3の内部を気密に封止しているものである。
【0030】
リード13は、ケース3の中心軸C3及びリング12の中心軸C12と同軸上となるように配設されたもので、リング12からケース3の内部側に突出するインナーリード部15と、リング12からケース3の外部側に突出する第一のアウターリード部16とを有してなるものであり、後述するように棒状材によって形成されたものである。インナーリード部15の先端側には、略平面を有する段差部からなるバンプ接続部15aが形成されている。このバンプ接続部15aは、後述する潰し工程において、リード13の一部(一方の側)が中心軸C3近傍まで押し潰され、略平面とされることで段差部に形成されたものである。そして、このバンプ接続部(段差部)15aには、圧電振動片2の第一の励振電極8が基部7においてバンプ接続されており、これにより、第一の励振電極8とリード13とは電気的に接続された状態となり、かつ、圧電振動片2はリード13のインナーリード部15によって片持ち状に支持された状態となっている。
【0031】
リング12は、略円筒状の圧入部12aと、圧入部12aからケース3の内部に延出された縮径部12bとを有してなるものである。圧入部12aは、外径がケース3の内径と略等しく形成されており、ケース3に圧入されている。また、縮径部12bは、圧入部12aよりも縮径して形成されており、ケース3の内周面との間に隙間12dを有して配設されている。縮径部12bの外周面12cの一部には、略平面に形成された二つのステップ部12e、12fが形成されている。ステップ部12e、12fは、リング12の中心軸C12に対して略対称に、また、圧電振動片2の第一の励振電極8及び第二の励振電極9が形成された両面と略平行に形成されている。
【0032】
また、リング12は導電性の材料で形成されている。この導電性の材料としては、充填材14を形成するガラスと同程度の熱膨張率を有する材料であることが好ましく、例えば、鉄ニッケルコバルト合金や鉄ニッケル合金などが好適に用いられる。そして、リング12のステップ部12e、12fのうちの、前記バンプ接続部(段差部)15a側のステップ部12eと、圧電振動片2の第二の励振電極9とは、ワイヤ17でワイヤボンディングされ、電気的に接続されている。なお、本実施形態においては、ワイヤ17は2本設けられている。
【0033】
ケース3は、導電性の材料で形成されたもので、一端側に開口部3aを有し、他端側に底部3bを有した有底略円筒状のものである。このケース3の開口部3aには、気密端子4のリング12が圧入されており、これによってケース3は、その内部が真空状態で気密に封止されたものとなっている。
また、ケース3の底部3bには、外部へ突出する第二のアウターリード部18が形成されている。このような構成のもとに本実施形態の圧電振動子1は、第一のアウターリード部16により、ケース3の外部からリード13を介して圧電振動片2の第一の励振電極8に導通可能であるとともに、第二のアウターリード部18により、ケース3の外部からケース3、リング12及びワイヤ17を介して圧電振動片2の第二の励振電極9に導通可能となっている。なお、気密端子4のリング12においてステップ部12eのワイヤ17が接合する部分、及びインナーリード部15のバンプ接続部15aには、それぞれ部分的に金メッキ(図示せず)が施されており、これによって導通が良好になっている。このような金メッキとしては、ステップ部12e及びバンプ接続部15aにおいて、膜厚数千Å程度で成膜されている。
【0034】
次に、この圧電振動子1の製造方法について説明する。
図4は本実施形態の圧電振動子1の製造工程のフロー図であり、図5から図24は、各製造工程の説明図である。本実施形態の圧電振動子1の製造工程は、圧電振動片を製造する圧電振動片製造工程S10と、気密端子4を製造する気密端子製造工程S20と、圧電振動片2、気密端子4、及びケース3を組立てる組立工程S40とに大きく分けられる。以下に、各工程を詳細に説明する。
【0035】
圧電振動片製造工程S10では、まず、水晶のランパード原石をスライスして所定の厚みのウエハを作製し、さらに、このウエハを一定の厚みになるまで研磨する。そして、このウエハに、フォトリソグラフィー技術によって水晶片2aの外形をパターニングしてエッチングすることで、ウエハから複数の水晶片2a(図1、図2参照)を作製することができる。次に、作製された各水晶片2aについて、第一の励振電極8、第二の励振電極9、微調部10、粗調部11などとなる金属膜を成膜する。そして、各水晶片2aについて、粗調部11にレーザー光を照射して粗調部11を形成する金属膜の一部を蒸発させることで、重量を変化させ、これにより水晶片2aの共振周波数の粗調を行い、圧電振動片2が完成する。なお、水晶片2aの共振周波数をより高精度に調整する微調については、気密端子4と組み付けられた後に行う。そして、このようにして作製された複数の圧電振動片2は、図5に示すように、専用パレット30上に配列されて、後述する組立工程S40に搬送される。
【0036】
次に、本発明における気密端子の製造方法の一実施形態となる、気密端子製造工程S20について説明する。この気密端子製造工程S20では、まず、リング形成工程S21としてリング12の作製を行う。すなわち、図6(a)に示すように、リング12を形成する鉄ニッケルコバルト合金や鉄ニッケル合金などの導電性を有する板部材31にランス加工を施した後に、複数回深絞り加工を実施することで、リング12の圧入部12aの外径と略等しい有底の筒部材32を形成する。なお、筒部材32が形成される加工位置は、板部材31に予め形成された図示しないパイロット穴によって正確に位置決めされており、これによって複数の筒部材32を配列して形成することができる。
【0037】
次に、図6(b)に示すようにサイジングを行い、縮径部12b及びステップ部12e、12fを形成する。すなわち、筒部材32の内、縮径部12bとなる部分についてさらに圧縮し、外径を縮径させるとともに、ステップ部12e、12fとなる部分については平面となるように型加工する。ここで、ステップ部12e、12fを中心軸C12に対して略対称に形成することで、縮径部12bを、全体に変形してしまうことなく均一な略円筒状に形成することができる。次に、図6(c)に示すように各筒部材32の底部32aを打ち抜き、天井穴32bを形成する。最後に、図6(d)に示すように、外形抜きを行うことで板部材31から筒部材32を離脱させ、リング12を完成させる。
【0038】
次に、リング12と、リード13となる棒状材と、充填材14との組立を行う。すなわち、まずリング振込み工程S22として、図7に示すように、複数の凹部34を有するリング用カーボン冶具33に複数のリング12を装填していく。リング用カーボン冶具33は、後述する充填材焼成工程S25で充填材14を焼成する際に使用可能となるよう、カーボンで形成されたもので、本発明における焼成治具となるものである。また、凹部34は、リング12を下向きに挿入可能とするよう、底側にリング12の縮径部12bと対応する縮径部34a、及び、リング12のステップ部12e、12fと対応する平坦部34bが形成されている。複数の凹部34の各平坦部34bの向きは、相互に略等しくなるように形成されている。また、凹部34の底面側には、凹部34と同軸で前記棒状材を挿入することのできる挿入穴33aが形成されている。挿入穴33aは、その深さが棒状材における前記リード13のインナーリード部15となる側(一端側)の長さに対応して形成されており、底部側が底版33bで閉塞されている。
【0039】
このような構成からなるリング用カーボン冶具33に対し、その上面に複数のリング12を載置し、さらにリング用カーボン冶具33に振動を与えることにより、複数のリング12をそれぞれ、凹部34に対して向きを揃えて装填していく。その際、リング12は、二つのステップ部12e、12fを中心軸C12に対して略対称に形成し、全体として略対称な部材として形成されているので、振動により円滑に装填されるようになっている。
【0040】
次に、充填材振込み工程S23として、図8に示すように、リング用カーボン冶具33の凹部34に装填された各リング12の内部に、充填材14を挿入していく。充填材14は、後述する充填材焼成工程S25によって焼成される前の形状につき、リング12の内部に挿入可能な外径を有するとともに、前記棒状材を挿入可能な貫通孔14aを有した形状を呈している。そして、複数の充填材14をリング用カーボン冶具33の上面に載置し、リング用カーボン冶具33に振動を与えることにより、各充填材14はリング12の内部に挿入されていくこととなる。
【0041】
次に、リード振込み工程S24として、図9に示すように、各リング12の内部に挿入された充填材14の貫通孔14aに、棒状材13aを挿通していく。ここで、棒状材13aは、前記したように完成品としての気密端子4におけるリード13となる中実丸棒であり、その長さが、前記リード13の長さより長く形成されたものである。
このような棒状材13aを充填材14の貫通孔14aに挿通していくには、まず、リング12及び充填材14が装填されたリング用カーボン冶具33の上面に、本発明における焼成治具となるリード用カーボン冶具35をセットする。リード用カーボン冶具35には、棒状材13aを挿通可能とする貫通孔35aが複数形成されている。また、リング用カーボン冶具33と、リード用カーボン冶具35とには、互いに対応する位置に位置決めピン(図示せず)と位置決め穴(図示せず)とが設けられており、これによって互いに組み付けられた状態で、凹部34と貫通孔35aとが同軸上に配置され連通するようになっている。
【0042】
そして、複数の棒状材13aをリード用カーボン冶具35の上面に載置し、リング用カーボン冶具33及びリード用カーボン冶具35に振動を与えることにより、各棒状材13aは、リング12に挿入された充填材14の貫通孔14aに挿通される。これにより、各棒状材13aはリング12の下方にインナーリード部15となる側(一端側)が突出し、リング12の上方に第一のアウターリード部16となる側(他端側)が突出した状態で、リング12及び充填材14に組み込まれる(組み立てられる)。
【0043】
ここで、棒状材13aは、前記リング用カーボン冶具33の挿入穴33aに挿入される一端側の長さ、すなわち、図9中L1で示す挿入穴33aに対応する長さが、完成品としての気密端子4におけるインナーリード部15の長さ、すなわち、図2中にL2で示す長さより長くなるように、前記リング12内に挿通され、リング12及び充填材14に組み込まれる。つまり、リング用カーボン冶具33は、その挿入穴33aの長さL1が、インナーリード部15の長さL2より長くなるように形成されており、棒状材13aは、この挿入穴33aの長さL1に合わせて、リング用カーボン冶具33に挿通されるようになっている。
【0044】
ここで、棒状材13aの、挿入穴33aの長さに対応する一端側の長さL1は、インナーリード部15の長さL2に対し、後述する理由によって1.5倍以上3倍以下の範囲とするのが好ましく、本実施形態では、約2倍にしている。なお、本実施形態では、リング12の上方に突出する他端側、すなわち第一のアウターリード部16となる側については、その長さは完成品としての気密端子4における第一のアウターリード部16の長さと略一致するように、棒状材13aの長さが設定されている。
また、前記のリング振込み工程S22、充填材振込み工程S23、リード振込み工程S24を合わせて、本発明では、リング12内に充填材14を介してリード13となる棒状材13aを挿通する、組立工程としている。
【0045】
次に、充填材焼成工程S25として、リング12及び棒状材13aに組み込まれた状態で、充填材14の焼成を行う。すなわち、図10に示すように、リング12、棒状材13a及び充填材14が内部に装填された状態で、リング用カーボン冶具33及びリード用カーボン冶具35を加熱炉内に入れ、例えば980℃で13時間程度で加熱する。これにより、充填材14は焼成されてリング12及び棒状材13aのそれぞれとの間を気密に封止し、また、リング12、棒状材13a及び充填材14は一体となる。よって、図11に示すように気密端子中間体4aが形成される。このようにして得られた気密端子中間体4aは、棒状材13aの一端側(インナーリード部側)15bの長さが前述したようにL1となり、完成品としての気密端子4におけるインナーリード部15の長さL2より長くなっている。
【0046】
ここで、この気密端子中間体4aは、前記リード12より長い棒状材13aを用い、かつ、該棒状材13aのインナーリード部となる一端側15bが、前記インナーリード部15より長くなるようにリング12内に挿通され、焼成治具であるリング用カーボン冶具33及びリード用カーボン冶具35内に収容されて焼成されているので、リング12から延出するインナーリード部となる一端側15bが、第1のアウターリード部となる他端側に比べて、前記焼成治具内において極端に短くなることが防止されている。したがって、インナーリード部となる一端側15bを完成品としての気密端子4におけるインナーリード部15と同じ長さにした場合に比べ、棒状材13aの前記一端側15bと前記他端側とがリング12に対して比較的バランス良く延出するようになる。よって、棒状材13aがリング12の中心軸に対して傾く度合いが少なくなり、これにより、リング12に対する棒状材13aの偏心が防止されている。
なお、このような充填材焼成工程S25と、前記した組立工程とにより、本発明における組立・焼成工程が構成されている。
【0047】
次に、リング用カーボン冶具33及びリード用カーボン冶具35から気密端子中間体4aを取り外し、メッキ処理工程S26に供する。すなわち、メッキ処理工程S26として、図12に示すように各気密端子中間体4aにおけるリング12の圧入部12aの外周面及びステップ部12eの一部、並びに、棒状材13aにメッキ処理を施す。
メッキ処理は、例えば下地メッキと仕上げメッキとからなり、下地メッキとしては、例えば銅メッキが用いられる。また、仕上げメッキとしては、例えば錫銅合金メッキや金メッキが用いられ、特に金メッキが好適に用いられる。リング12は、そのステップ部12eがワイヤボンディングを行うための接続箇所となり、棒状材13aは、後述するようにその一端側がバンプ接続部15aとなることから、仕上げメッキとしては、より接続性の良好な金メッキが好適となる。
【0048】
なお、このようなメッキ処理に先立ち、その前処理として、棒状材13aやリング12の表面を洗浄するとともに、アルカリ溶液で脱脂、さらに塩酸及び硫酸の溶液にて酸洗浄を行っておくのが好ましい。
また、メッキ処理後には、形成したメッキ膜(金属膜)の安定化を図るため、真空雰囲気の炉中にて例えば170℃で1時間程度のアニーリング処理を行うのが好ましい。これにより、メッキ膜中の残留応力を除去することができる。
【0049】
次に、セット工程S27として、メッキ処理後の気密端子中間体4aを保持材36に配列させてここにセットする。図13(a)、(b)は気密端子中間体4aをセットする前の保持材36を示し、図14(a)、(b)は気密端子中間体4aをセットした後の保持材36を示している。図13、図14ではその記載を省略しているものの、保持材36は帯状に連続する長尺体からなる樹脂製のもので、その長さ方向に気密端子配置部37を等間隔に多数形成したものである。気密端子配置部37は、一対の係止部37a、37bによって構成されたもので、これら係止部37a、37bは、図14(a)、(b)に示したように各気密端子中間体4aにおける棒状材13aの第一のアウターリード部(他端側)16を係止させるように構成されている。
【0050】
このような構成の保持材36に対し、このセット工程S27では、図14に示したように保持材36の各気密端子配置部37に、前記工程で形成された各気密端子中間体4aの第一のアウターリード部(他端側)16を係止させて配置していく。その際、インナーリード部15となる一端側15b、およびリング12については、これらが保持材36の外側に位置するようにして、該保持材36の長さ方向に連続的に配列していく。このとき、本実施形態ではこのセット工程S27を後述する潰し工程の前に行っているので、従来のように潰し工程で形成する段差部の向きを一方向(上向き)に揃えるといった必要がなく、したがって保持材36への気密端子中間体4aのセットが容易になっている。
【0051】
なお、気密端子中間体4aにおけるリング12のステップ部12e、12fは、中心軸C12に対して互いに略対称に形成されているため、ステップ部12e、12fのいずれを選択して上方に向くように配置したとしても、後述する第二のマウント工程S42において同じ条件でワイヤボンディングを行うことができる。すなわち、ステップ部を複数有していることで、前記の気密端子中間体4aの配置に際しては、後にワイヤボンディングする位置となるいずれかのステップ部を、容易に上向きに調整することができる。
【0052】
次に、潰し工程S28として、各気密端子中間体4aの棒状材13aの一端側15bを押し潰し、この一端側15bの、棒状材13aにおける一方の側(押し潰し側)に、図15に示すように段差部15cを形成する。すなわち、保持材36を断続的に移動させつつ、この保持材36の外側に突出している各気密端子中間体4aの一端側15bの先端部分を、図16(a)〜(c)に示すように金型77によって上方から順次押し潰していき、丸棒状の棒状材13aの略半分を図16(c)に示すように平坦化する。
ここで、本発明では前記棒状材13aの一端側15bを、完成品としての気密端子4におけるインナーリード部15より長くなるようにリング12内に挿通しているので、押し潰しによって形成する段差部15cを、比較的大面積にすることができる。すなわち、一端側15bにおける段差部15cとならない部分の長さが、完成品としての気密端子4における同箇所の長さと同じになるように、段差部15cを形成することで、押し潰しを行う範囲を比較的長く確保することができ、これによって段差部15cを比較的大面積に形成することができる。
【0053】
潰し加工具としての金型77には、予めTi−Crを電着法等によって成膜しておき、少なくとも潰し加工面77aに厚さ1μm程度のTi−Cr膜を形成しておく。Ti−Cr膜は硬質であり耐久性に優れているので、このような硬質膜を潰し加工面に形成しておくことにより、潰し加工面77aを凹凸のない平滑面にすることができるとともに、長期間その平滑度を保持することができる。したがって、前記したようにこの加工面77aでメッキ処理後の気密端子中間体4aの一端側15bを押し潰し加工すると、この加工面77aが平滑であることから、押し潰しによって形成された段差部15cのメッキ面を傷付けることがなく、これにより、メッキが剥離して加工面77a側に転写してしまうといった不都合を確実に防止することができる。
なお、本実施形態のように潰し工程S28を充填材焼成工程S25後にすることで、前記のリード振込み工程S24及び充填材焼成工程S25時にリング12のステップ部12e、12fと棒状材13aのバンプ接続部15aとの相対的な向きを調整する必要が無い。
【0054】
次に、成形工程S29として、図17中二点鎖線で示すように前記潰し加工S28で形成した段差部15cを、その先端部と両側部とを例えば抜き型(図示せず)で切断し、該段差部15cを所定形状、例えば図17中実線で示すように略矩形状に成形してバンプ接続部15aとする。これにより、棒状材13aの一端側15bがインナーリード部15となる。このように押し潰し加工後の段差部15cを、一部切断して所定形状に成形するので、得られるバンプ接続部15aは設計通りの均一な形状・寸法のものとなる。
ここで、このように段差部15cを一部切断して所定形状に成形するための切り代については、前記したように段差部15cを比較的大面積に形成したことによって、確保されている。
【0055】
次に、バンプ形成工程S30として、前記バンプ接続部15aの所定位置に、図18に示すように一対の金バンプ78を形成し、これによって完成品としての気密端子4を得る。金バンプ78の形成位置については、例えばバンプ接続部15aの先端縁、及び両側縁を基準にしてこれらから所定距離となる位置を決定し、ここに形成する。したがって、前記したように段差部15cを所定の矩形形状に成形していることから、金バンプ78の形成位置は設計通りとなり、バラツキが抑制されたものとなる。
【0056】
次に、保持材切断工程S31として、図19に示すように帯状の保持材36を所定の長さ毎に裁断する。これにより、裁断後の保持材をパレット38とするとともに、各パレット38には、先に形成した気密端子4を例えば24個ずつ配列させて保持させておく。これによって気密端子製造工程S20の全ての工程が終了する。
【0057】
次に、組立工程S40として、圧電振動片2、ケース3、及び、気密端子4の組立を行う。まず、第一のマウント工程S41として、図20(a)、(b)に示すように、パレット38において、各気密端子4のインナーリード部15に圧電振動片2を搭載する。すなわち、圧電振動片製造工程S10で作製された圧電振動片2を専用パレット30上から取り出す。そして、各気密端子4のインナーリード部15において金バンプ78(図20では省略)を形成したバンプ接続部15aに、取り出した圧電振動片2の第一の励振電極8を基部7でバンプ接続させる。その際、前記金バンプ78をアライメントマークにして位置決めするのは、従来と同様である。バンプ接続の条件としては、例えば、実装温度130℃、ボンド荷重0.5N、荷重時間が15×10−3秒程度である。これにより、圧電振動片2の第一の励振電極とリード13とは電気的に接続された状態となるとともに、圧電振動片2は、リード13のインナーリード部15に片持ち状に支持された状態となる。
【0058】
ここで、金バンプ78は前記したようにバンプ接続部15aおいて設計通りに精度良く配置されているため、これを基準にして位置合わせされた圧電振動片2も、設計通りの位置に精度良く接続されたものとなる。
また、バンプ接続部15aが潰し工程によって略平面に形成されているため、第一の励振電極8とリード13との導通をより確実にすることができるとともに、リード13によって圧電振動片2を良好に支持することができる。また、バンプ接続部15aがリード13の中心軸と略等しい位置まで押し潰して形成されていることで、圧電振動片2をリード13の中心軸に略等しい位置でリード13と接合することができる。
【0059】
次に、第二のマウント工程S42として、図21(a)、(b)に示すように、各気密端子4のリング12のステップ部12e、12fから選択されたステップ部12eと、各気密端子4に搭載された圧電振動片2の第二の励振電極9とをワイヤボンディングする。本実施形態においては、ステップ部12eと第二の励振電極9との間に2本のワイヤ17をボンディングしている。使用されるワイヤ17としては、例えば金(Au)線が選択され、このワイヤ17の一端を、圧電振動片2の基部7において第二の励振電極9にボンディングした後に、他端を、リング12のステップ部12eにボンディングする。ワイヤボンディングの各条件としては、例えば、実装温度130℃、ワイヤ径25μm、ボール径80〜85μm、ボール厚13μm、せん断強度0.45〜0.53Nであり、第二の励振電極9にボンディングする際のボンド荷重が0.55N、荷重時間が7×10−3秒、ステップ部12eにボンディングする際のボンド荷重が0.4N、荷重時間が5×10−3秒程度である。これにより、圧電振動片2の第二の励振電極9とリング12とは電気的に接続された状態となる。ここで、縮径部12bの外周面の内、略平面に形成されたステップ部12eにボンディングすることで、確実に導通を図ることができる。特に、複数のワイヤ17によって接続することで、より確実に導通を図ることができる。なお、第一の励振電極8と接続されたリード13と、第二の励振電極9と接続されたリング12とは、その間に絶縁性の充填材14が介装されていることで絶縁された状態であり、これにより圧電振動片2の第一の励振電極8と第二の励振電極9とを絶縁した状態とし、短絡を防ぐことができる。
【0060】
次に、微調工程S43として、圧電振動片2の微調を行う。すなわち、図22に示すように、真空雰囲気中において、リング12の圧入部12aの外周面及びパレット38に設定したコンタクト39に電極を接触させて電圧を印加することで、圧電振動片2の振動腕部5、6を振動させる。そして、微調部10にレーザー光を照射して微調部10を形成する金属膜を蒸発させながら振動腕部5、6の周波数を測定することで、圧電振動片2の振動腕部5、6の振動が所定の共振周波数となるように微調整を行う。
【0061】
次に、圧入工程S44として、図23に示すように、真空雰囲気中において、予め所定の形状に形成しておいたケース3の開口部3aから各圧電振動片2を挿入し、さらにケース3に気密端子4のリング12を圧入することで、圧電振動片2は、ケース3の内部に気密に封止された状態となる。最後に切り離し工程S45として、図24に示すように、リード13の第一のアウターリード部16の内、パレット38の気密端子配置部37に嵌合されている部分を切り離すことで、圧電振動子1が完成する。
【0062】
以上のように、本実施形態の圧電振動子1では、ケース3の内部に配設された圧電振動片2の第一の励振電極8及び第二の励振電極9について、第一の励振電極8はリード13の第一のアウターリード部16によって、また、第二の励振電極9はケース3の第二のアウターリード部18によってリング12及びケース3を介して、それぞれ互いに短絡してしまうことなく外部から導通を図ることができる。ここで、第二の励振電極9と縮径部12bに形成されたステップ部12eとは、ケース3の内周面とリング12のステップ部12eとの間に形成される隙間12dを利用してワイヤ17を配設して接続することができ、ケース3及びリング12の外径が大きくなってしまうことが無い。また、リング12は、圧入部12aと、縮径部12bと、ステップ部12e、12fとを有する単純な構造であるので、外径を小さくしてもプレス加工によって容易に形成することができる。このため、本実施形態の圧電振動子1では、短絡を防止しつつ小型化を図るとともに、容易に歩留まり良く製造することが可能である。また、圧電振動片2は、略平面に形成されたバンプ接続部15aによってリード13の中心軸と略等しい位置に配置されることで、リード13とともにケース3の中心軸C3に略等しい位置に配置することができる。このため、ケース3の内周面と圧電振動片2との離隔を圧電振動片2が変位する範囲に応じて最小限の大きさに設定することができ、それ故にケース3及びリング12の小型化をさらに図ることができる。
【0063】
また、気密端子4が、リード13の偏心が防止され、かつ、圧電振動片2の接続位置についての精度が高く、信頼性が高められているので、この気密端子4を用いてなる圧電振動子1はその小型化が図られ、かつ、信頼性が確保されたものとなる。
なお、この実施形態では、リード13が1本である気密端子4と、これを用いた圧力振動子1について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、図30に示した圧力振動子70における気密端子73のように、リードが2本である気密端子にも本発明を適用することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
図25及び図26は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図25及び図26に示すように、この実施形態の圧電振動子50は、第1の実施形態の圧電振動子1を樹脂モールドした表面実装型の圧電振動子である。より詳しくは、圧電振動子50は、ケース3と、ケース3の開口部3aを気密に封止する気密端子4と、ケース3の内部に配設された図示しない圧電振動片2と、樹脂で形成され、ケース3、第一のアウターリード部16及び第二のアウターリード部18を覆う樹脂体51とを備える。第一のアウターリード部16及び第二のアウターリード部18には、それぞれ外部端子52が接続されている。外部端子52は、第一のアウターリード部16または第二のアウターリード部18に嵌合されるV字状の溝53aを有する嵌合部53と、嵌合部53の下端に設けられて、一面54aが樹脂体51の外側に露出する外部接続部54とを有する。
【0065】
このような圧電振動子50においても、圧電振動子の両面に設けられた図示しない励振電極同士が短絡してしまうこと無く、小型化を図ることができるとともに、容易に製造することができ、例えば樹脂体51の外形形状として、断面が一辺1.1mm以下で、長さが4.3mm以下の圧電振動子を実現することができる。このため、より小さいスペースで基板上に搭載することができ、基板上の省スペース化を図ることができる。
【0066】
(第3の実施形態)
図27は、この発明に係る第3の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図27は、本発明に係る音叉型水晶発振器の構成を示す概略図であり、前述した圧電振動子を利用した表面実装型圧電発振器の平面図を示している。図27に示すように、この実施形態の発振器100は、シリンダーパッケージ型の圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。なお、圧電振動子1については、第1の実施形態のものと同様であるので、その説明を省略する。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の集積回路101が実装されていて、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0067】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片2が振動し、この振動が水晶の圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0068】
以上のように、本実施形態の発振器100によれば、前記のような小型で、かつ、短絡のおそれが無い圧電振動子1を備えることで、小型で、信頼性の高い発振器を提供することができる。
なお、前記の発振器100は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子1を備えるものとして説明したが、これに限るものでは無く、例えば、第2の実施形態で示した表面実装型パッケージタイプの圧電振動子50としても良い。
【0069】
(第4の実施形態)
図28は、この発明に係る第4の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態においては、電子機器として、前述した圧電振動子1を有する携帯情報機器を例にして説明する。図28は、この電子機器の構成を示すブロック図である。図28に示すように、この実施形態の携帯情報機器110は、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池で構成されている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0070】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0071】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片2が振動し、この振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0072】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等から構成され、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0073】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えていて、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0074】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0075】
すなわち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。なお、携帯情報機器110は、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えており、この電源遮断部126によって、通信部114の機能が確実に停止される。
【0076】
この実施形態の携帯情報機器110によれば、前記のような小型で、かつ、短絡のおそれが無い圧電振動子1を備えることで、小型で、信頼性の高い携帯情報機器を提供することができる。
なお、前記の携帯情報機器110は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子1を備えるものとして説明したが、これに限るものでは無く、例えば第2の実施形態に示す表面実装型パッケージタイプの圧電振動子50としても良い。圧電振動子50を実装するものとすれば、他の電子部品と同時にプリント基板上にリフロー半田にて接続できるためより好適である。
【0077】
(第5の実施形態)
図29は、この発明に係る第5の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態においては、電波時計の一実施形態として、前述した圧電振動子1を有する電波時計について説明する。図29は、この電波時計の構成を示すブロック図である。図29に示すように、この実施形態の電波時計130は、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、前述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0078】
アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。
なお、圧電振動子1として、前記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する圧電振動子部134、135をそれぞれ備えている。
【0079】
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路136により検波復調される。そして、波形整形回路137を介してタイムコードが取り出され、CPU138でカウントされる。CPU138では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC139に反映され、正確な時刻情報が表示される。搬送波は40kHz若しくは60kHzであるから、圧電振動子部134、135は、前述した音叉型の構造を持つ圧電振動子が好適である。60kHzを例にとれば、音叉型振動子片の寸法例として、全長が約2.8mm、基部の幅寸法が約0.5mmの寸法で構成することが可能である。
【0080】
この実施形態の電波時計130によれば、前記のような小型で、かつ、短絡のおそれが無い圧電振動子1を備えることで、小型で、信頼性の高い電波時計を提供することができる。
なお、前記の電波時計130は、シリンダーパッケージタイプの圧電振動子1を備えるものとして説明したが、これに限るものでは無く、例えば第2の実施形態に示す表面実装型パッケージタイプの圧電振動子50としても良い。
【0081】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、振動のモードは、音叉型である屈曲振動に限定されず、厚み滑り振動モード等の他の振動モードの振動片であっても良い。また、圧電体材料は、水晶に限定されず、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ランガサイト等の圧電材料であっても良い。また、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の上面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の図1に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の図1に示す切断線B−Bにおける断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程を示すフロー図である。
【図5】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、圧電振動子製造工程を示す説明図である。
【図6】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、リング形成工程を示す説明図である。
【図7】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、リング振込み工程を示す説明図である。
【図8】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、充填材振込み工程を示す説明図である。
【図9】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、リード振込み工程を示す説明図である。
【図10】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、充填材焼成工程を示す説明図である。
【図11】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、気密端子製造工程で作製された気密端子中間体を示す概略図である。
【図12】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、メッキ工程を示す説明図である。
【図13】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、保持材の概略図である。
【図14】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、セット工程を示す説明図である。
【図15】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、潰し工程を示す説明図である。
【図16】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、潰し工程を示す説明図である。
【図17】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、成形工程を示す説明図である。
【図18】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、バンプ形成工程を示す説明図である。
【図19】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、保持材切断工程を示す説明図である。
【図20】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、第一のマウント工程を示す説明図である。
【図21】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、第二のマウント工程を示す説明図である。
【図22】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、微調工程を示す説明図である。
【図23】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、圧入工程を示す説明図である。
【図24】この発明の第1の実施形態の圧電振動子の製造工程において、切り離し工程を示す説明図である。
【図25】この発明の第2の実施形態の圧電振動子の側面図である。
【図26】この発明の第2の実施形態の圧電振動子の正面図である。
【図27】この発明の第3の実施形態の発振器の概要図である。
【図28】この発明の第4の実施形態の電子機器のブロック図である。
【図29】この発明の第5の実施形態の電波時計のブロック図である。
【図30】従来の圧電振動子の概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1、50 圧電振動子 2 圧電振動片 3 ケース 3a 開口部 8 第一の励振電極(励振電極) 9 第二の励振電極(励振電極) 12 リング 12a 圧入部 12b 縮径部 12c 外周面 12d 隙間 12e、12f ステップ部 13 リード 13a 棒状材 14 充填材 14a 貫通孔 15 インナーリード部 15a バンプ接続部 15b 一端側 16 第一のアウターリード部(アウターリード部) 17 ワイヤ 51 パッケージ 100 発振器 110 携帯情報機器(電子機器) 130 電波時計 C3 中心軸 S21 リング形成工程 S22 リング振込み工程 S23 充填材振込み工程 S24 リード振込み工程 S25 充填材焼成工程 S26 メッキ処理工程 S27 セット工程 S28 潰し工程 S29 成形工程 S30 バンプ形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のリングと、該リングを貫通した状態で配置され、リングを間に挟んで一端側が圧電振動片に電気的に接続されるインナーリード部とされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード部とされたリードと、該リードと前記リングとを固定させる充填材とを有し、圧電振動片をケース内に封止させる気密端子を製造する方法であって、
前記リング内に前記充填材を介して前記リードとなる棒状材を挿通し、その状態で焼成して前記リング内に前記充填材によって前記棒状材を固定した気密端子中間体を形成する組立・焼成工程と、
前記気密端子中間体の、前記棒状材における前記リードのインナーリード部となる側の端部を潰し加工し、段差部を形成する潰し工程と、
前記段差部の少なくとも端部を切断し、該段差部を所定形状に成形する成形工程と、を備え、
前記組立・焼成工程では、前記棒状材として前記リードより長い中実丸棒を用い、かつ、該棒状材の前記インナーリード部となる一端側を、完成品としての気密端子におけるインナーリード部より長くなるように前記リング内に挿通しておくことを特徴とする気密端子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の気密端子の製造方法において、
前記リードが1本であることを特徴とする気密端子の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の気密端子の製造方法において、
前記組立・焼成工程では、前記棒状材の前記インナーリード部となる一端側を、完成品としての気密端子におけるインナーリード部より1.5倍以上3倍以下の範囲で長くなるように前記リング内に挿通しておくことを特徴とする気密端子の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の気密端子の製造方法において、
前記組立・焼成工程と前記潰し工程との間に、前記組立・焼成工程後の前記気密端子中間体を保持材にセットするセット工程を備えたことを特徴とする気密端子の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の気密端子の製造方法により製造されたことを特徴とする気密端子。
【請求項6】
圧電振動片と、
開口部を有し、前記圧電振動片を内部に収納するケースと、
環状のリングと、該リングを貫通した状態で配置され、リングを間に挟んで一端側が前記圧電振動片に電気的に接続されるインナーリード部とされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード部とされたリードと、該リードと前記リングとを固定させる充填材とを有し、前記ケース内を密閉させる気密端子と、を備えた圧電振動子の製造方法であって、
前記気密端子を、請求項1から4のいずれか一項に記載した製造方法で製造することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の圧電振動子の製造方法により製造されたことを特徴とする圧電振動子。
【請求項8】
請求項7に記載の圧電振動子において、
前記ケースは導電性を有してなり、
前記リングは、前記ケースの開口部に圧入された圧入部と、前記ケースの内周面と隙間を有して前記圧入部から延出された縮径部とを有し、かつ導電性を有してなり、
前記リードは1本であり、
前記圧電振動片は、前記ケースの内部に配設された略板状で、両面にそれぞれ励振電極を有し、該励振電極の一方が前記リードの前記インナーリード部にバンプ接続されたことで該インナーリード部に支持され、前記励振電極の一方と反対側の他方が前記リングの前記縮径部の外周面にワイヤボンディングされてなることを特徴とする圧電振動子。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項7又は8に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−44038(P2009−44038A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209101(P2007−209101)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】