液晶装置および電子機器
【課題】所望の電気容量を有する保持容量を有すると共に、画素電極間における表示むらを低減させた液晶装置、これを備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】本適用例の液晶装置は、画素電極15と、画素電極15に対応して設けられたトランジスターとしてのTFT30と、画素電極15と画素電極15に誘電体層を介して対向配置された光透過性を有する容量電極16aとにより構成された保持容量と、画素電極15とTFT30とを電気的に接続させる第1コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT5と、容量電極16aと容量配線3bとを電気的に接続させる第2コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT4と、を備え、画素電極15と容量電極16aは、画素Pごとに独立して設けられ、容量電極16aとコンタクトホールCNT4は平面的に画素電極15が設けられた領域内に配置されている。
【解決手段】本適用例の液晶装置は、画素電極15と、画素電極15に対応して設けられたトランジスターとしてのTFT30と、画素電極15と画素電極15に誘電体層を介して対向配置された光透過性を有する容量電極16aとにより構成された保持容量と、画素電極15とTFT30とを電気的に接続させる第1コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT5と、容量電極16aと容量配線3bとを電気的に接続させる第2コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT4と、を備え、画素電極15と容量電極16aは、画素Pごとに独立して設けられ、容量電極16aとコンタクトホールCNT4は平面的に画素電極15が設けられた領域内に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記液晶装置として、画素ごとに薄膜トランジスターなどのスイッチング素子が設けられたアクティブ駆動型の液晶装置が知られている。アクティブ駆動型の液晶装置は、一対の電極間に液晶層を有し、画素ごとに書き込まれた画像信号は、該一対の電極と液晶層とからなる電気容量において一時的に保持される。これに加えて、該画像信号を所定の期間電気的に保持する保持容量が画素ごとに設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光が透過可能な画素の開口領域に形成された透明導電膜と、該透明導電膜上に形成された誘電体膜と、上記開口領域の該誘電体膜上に形成され、トランジスター素子に電気的に接続された透明な画素電極と、を備えた電気光学装置が開示されている。
これによれば、誘電体膜を介した透明導電膜と透明な画素電極とにより蓄積容量が構成されているので、蓄積容量の容量値を大きくすると共に、開口領域のサイズを広げることの両方を実現できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−176119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の電気光学装置では、蓄積容量を構成する透明導電膜を画像表示領域のほぼ全体に亘って形成しており、画素ごとに独立して形成される画素電極の間にも上記透明導電膜が平面的に存在することになる。そうすると、画素電極と、画素電極間の上記透明導電膜との間に電界が生じた場合には、本来、表示には寄与しない画素電極間において液晶分子の配向が乱れ、それが画素電極が設けられた領域にも影響を及ぼして表示品位が低下するおそれがあるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の液晶装置は、画素電極と、前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、前記画素電極と前記画素電極に誘電体層を介して対向配置された光透過性を有する容量電極とにより構成された保持容量と、前記画素電極と前記トランジスターとを電気的に接続させる第1コンタクトホールと、前記容量電極と容量配線とを電気的に接続させる第2コンタクトホールと、を備え、前記画素電極と前記容量電極は、画素ごとに独立して設けられ、前記容量電極と前記第2コンタクトホールの少なくとも一部とは平面的に前記画素電極が設けられた領域内に配置されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、保持容量を構成する画素電極と容量電極は、画素ごとにそれぞれ独立して設けられている。また、容量電極と第2コンタクトホールの少なくとも一部とが平面的に画素電極が設けられた領域内に配置されていれば、平面的に画素電極間に容量電極を配置しなくても容量配線との接続が可能なので、画素電極間において画素電極と容量電極との間に電界が生じない。すなわち、上記従来の電気光学装置に比べて、画素電極間における液晶分子の配向の乱れが低減された液晶装置を提供できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例の液晶装置において、前記画素電極の外縁部と平面的に重なると共に、前記画素電極を囲むように設けられた遮光部を備え、前記第1および前記第2コンタクトホールは平面的に前記遮光部と重なって設けられていることが好ましい。
これによれば、第1および第2コンタクトホールを覆う配向膜の表面に凹凸が生じたとしても、該凹凸による液晶分子の配向の乱れに起因する表示むらを遮光部によって目立ち難くすることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例の液晶装置において、前記画素電極は、前記誘電体層を介して前記容量電極を覆うように設けられ、前記画素電極の膜厚と前記容量電極の膜厚とがほぼ等しいことが好ましい。
画素電極と容量電極の膜厚が異なると、第1コンタクトホールや第2コンタクトホールが設けられた部分と他の部分とでは、それぞれの膜厚に起因する段差(凹凸)の大きさが異なることになる。
本適用例によれば、画素電極は、誘電体層を介して容量電極を覆い、画素電極の膜厚と容量電極の膜厚とがほぼ等しいので、画素電極の外縁部における段差の大きさが均一化され、該段差に起因する表示むらを目立ち難くすることができる。
【0011】
[適用例4]本適用例の電子機器は、上記適用例の液晶装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、優れた表示品位を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】画素の配置を示す概略平面図。
【図4】(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図5】図4(a)のA−A’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図6】図4(a)のB−B’線で切った保持容量の構造を示す概略断面図。
【図7】(a)は実施例2の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図8】(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図9】(a)は実施例4の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図10】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【図11】変形例の画素電極のコンタクトホールの構造を示す概略断面図。
【図12】変形例の容量配線の配置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0014】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0015】
(第1実施形態)
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0016】
<液晶装置>
本実施形態の液晶装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H’線で切った概略断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図、図3は画素の配置を示す概略平面図である。
【0017】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英などのガラス基板が用いられている。
【0018】
素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0019】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に遮光膜21が設けられている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。なお、図1では図示省略したが、表示領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0020】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。
以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と表示領域Eとの間のシール材40の内側に沿った位置に設けてもよい。
【0021】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15およびスイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT;Thin Film Transistor)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。当該遮光構造については後述する。
【0022】
対向基板20の液晶層50側の表面には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間膜層22と、層間膜層22を覆うように設けられた対向電極としての共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。層間膜層22は、共通電極23の表面が平坦となるように平坦化層の機能を有するものであるが、必須の構成要素ではない。例えば、遮光膜21を直接覆うように共通電極23を設けてもよい。
【0023】
遮光膜21は、図1(a)に示すように平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0024】
層間膜層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間膜層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0025】
共通電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、層間膜層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0026】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、液晶分子に対して略水平配向処理が施されたものや、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を斜方蒸着法や斜方スパッタ法を用いて成膜して、液晶分子に対して略垂直配向させたものが挙げられる。
【0027】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、データ線6a沿って平行するように配置された容量配線3bとを有する。
走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
【0028】
走査線3aとデータ線6aならびに容量配線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0029】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0030】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量配線3bとの間に設けられている。詳しくは、後述するが、保持容量16は、誘電体層16bを介して光透過性を有する画素電極15と同じく光透過性を有する容量電極16aとが平面的に対向配置されたものであって、上記容量電極16aが上記容量配線3bに電気的に接続している(図5参照)。容量配線3bは、固定電位に接続されている。
【0031】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0032】
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
【0033】
次に、画素Pの平面的な配置について、図3を参照して説明する。
図3に示すように、液晶装置100における画素Pは、例えば平面的に略四角形の開口領域を有する。開口領域は、X方向とY方向とに延在し格子状に設けられた遮光性の非開口領域により囲まれている。
【0034】
X方向に延在する非開口領域には、図2に示した走査線3aが設けられている。走査線3aは遮光性の導電膜が用いられており、走査線3aによって非開口領域の少なくとも一部が構成されている。
【0035】
同じく、Y方向に延在する非開口領域には、図2に示したデータ線6aと容量配線3bが設けられている。データ線6aおよび容量配線3bも遮光性の導電膜が用いられており、これらによって非開口領域の少なくとも一部が構成されている。
【0036】
非開口領域は、素子基板10側に設けられた上記信号線類によって構成されるだけでなく、対向基板20側において格子状にパターニングされた遮光膜21によっても構成することができる。
【0037】
非開口領域の交差部付近には、図2に示したTFT30が設けられている。遮光性を有する非開口領域の交差部付近にTFT30を設けることにより、TFT30の光誤動作を防止すると共に、開口領域における開口率を確保している。詳しい画素Pの構造については後述するが、交差部付近にTFT30を設ける関係上、交差部付近の非開口領域の幅は、他の部分に比べて広くなっている。また、保持容量16の一方の電極である画素電極15は、外縁部が非開口領域に重なるように開口領域に配置されている。保持容量16の他方の電極である容量電極16aも、外縁部が非開口領域に重なるように開口領域に配置されている。すなわち、画素電極15間には容量電極16aは存在していない。
したがって、画素電極15間には画素電極15との間で意図しない電界が生ずるような電極が配置されていないので、該電界による画素電極15間の液晶分子の配向が乱されず、優れた表示品位が実現されている。
【0038】
一方で、このように開口領域において対向配置され、画素Pごとに独立した画素電極15と容量電極16aとを設けるにあたり、液晶装置100の等価回路(図2)によれば、画素電極15はTFT30のドレインに接続させ、容量電極16aは容量配線3bに接続させる必要がある。以下、実施例1〜実施例4を挙げて、それぞれの電気的な接続について説明する。
【0039】
(実施例1)
図4(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図、図5は図4(a)のA−A’線で切った画素の構造を示す概略断面図、図6は図4(a)のB−B’線で切った保持容量の構造を示す概略断面図である。
【0040】
図4(a)に示すように、画素Pは、走査線3aとデータ線6aの交差部に設けられたTFT30を有している。TFT30は、ソース領域30sと、ドレイン領域30dと、チャネル領域30cと、ソース領域30sとチャネル領域30cとの間に設けられた接合領域30eと、チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間に設けられた接合領域30fとを有するLDD(Lightly Doped Drain)構造の半導体層30aを有している。半導体層30aは上記交差部を通過して、走査線3aと重なるように配置されている。
【0041】
走査線3aはデータ線6aとの交差部において、X,Y方向に拡張された平面視で四角形の拡張部を有している。当該拡張部に平面的に重なると共に接合領域30e,30fおよびドレイン領域30dと重ならない開口部を有する折れ曲がった形状のゲート電極30gが設けられている。
【0042】
ゲート電極30gは、Y方向に延在した部分が平面的にチャネル領域30cと重なっている。また、チャネル領域30cと重なった部分から折り曲げられてX方向に延在し、互いに対向する部分がそれぞれ走査線3aの拡張部との間に設けられたコンタクトホールCNT6,CNT7によって、電気的に走査線3aと接続している。
【0043】
コンタクトホールCNT6,CNT7は、平面視でX方向が長い矩形状(長方形)であって、半導体層30aのチャネル領域30cと接合領域30fとに沿って接合領域30fを挟むように両側に設けられている。コンタクトホールCNT6,CNT7を埋める導電材料、つまりゲート電極30gを構成する導電材料として遮光性を有するものを用いることにより、チャネル領域30cや接合領域30fに側面側から入射する光を遮光することができる構成となっている。
【0044】
データ線6aは、Y方向に延在すると共に、走査線3aと平面的に重なる同じく拡張部を有し、当該拡張部からX方向に突出した部分に設けられたコンタクトホールCNT1によってソース領域30sと電気的に接続している。コンタクトホールCNT1を含む部分がソース電極31(図5参照)となっている。一方、ドレイン領域30dの端部に重なり合って接合された2つのコンタクトホールCNT2,CNT3が設けられており、コンタクトホールCNT2を含む部分がドレイン電極32(図5参照)となっている。
【0045】
図4(b)に示すように、容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の左下角部に設けられたコンタクトホールCNT4と半導体層30aのチャネル領域30cとに平面的に重なるように蛇行している。コンタクトホールCNT4は、本発明の第2コンタクトホールであって、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させるものである。
【0046】
また、素子基板10上における位置が容量配線3bと同層であって、ドレイン電極32と電気的に接続しているコンタクトホールCNT3と、上記拡張部の右下角部に設けられたコンタクトホールCNT5とを電気的に接続させる中継層3cが設けられている。中継層3cは前述した非開口領域からはみ出ないように、折れ曲がって設けられている。
【0047】
コンタクトホールCNT5は、本発明の第1コンタクトホールであって、コンタクトホールCNT3と、中継層3cと、コンタクトホールCNT5とを経由してTFT30のドレイン電極32と画素電極15とを電気的に接続させている。
【0048】
つまり、TFT30のドレイン電極32と画素電極15とを電気的に接続させる第1コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT5と、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させる第2コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT4とは、それぞれ上記拡張部と平面的に重なる画素電極15の角部と、容量電極16aの角部とに設けられている。言い換えれば、平面的に画素電極15が設けられた領域内に容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5とが配置されている。
【0049】
図5は図4(a)のA−A’線で切った画素の構造を示す概略断面図であって、素子基板10の断面構造を示すものである。
図5に示すように、まず、素子基板10上には、まず走査線3aが形成される。走査線3aは、例えばAl、Ti、Cr、W、Ta、Moなどの金属のうちの少なくとも1つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライド、あるいはこれらが積層されたものを用いることができ、遮光性を有している。
【0050】
走査線3aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる下地絶縁膜11aが形成され、下地絶縁膜11a上に島状に半導体層30aが形成される。半導体層30aは例えば多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが注入されて、前述したソース領域30s、接合領域30e、チャネル領域30c、接合領域30f、ドレイン領域30dを有するLDD構造が形成されている(図4(a)参照)。
【0051】
半導体層30aを覆うように第1絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成される。さらに第1絶縁膜11bを挟んでチャネル領域30cに対向する位置にゲート電極30gが形成される。前述したようにゲート電極30gはコンタクトホールCNT6(コンタクトホールCNT7)を介して走査線3aと接続している。
【0052】
ゲート電極30gと第1絶縁膜11bとを覆うようにして第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12は、例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、TFT30が設けられた領域を覆うことによって生ずる表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施される。平坦化処理の方法としては、例えば化学的研磨処理(Chamical Mechanical Polishing;CMP処理)やスピンコート処理などが挙げられる。
第1層間絶縁膜12の半導体層30aのそれぞれの端部と重なる位置に第1絶縁膜11b、第1層間絶縁膜12を貫通する2つのコンタクトホールCNT1,CNT2が形成される。この2つのコンタクトホールCNT1,CNT2を埋めると共に第1層間絶縁膜12を覆うようにAl(アルミニウム)などの遮光性の導電膜を成膜し、これをパターニングすることによって、コンタクトホールCNT1を介してソース領域30sに繋がるソース電極31およびデータ線6aが形成される。同時にコンタクトホールCNT2を介してドレイン領域30dに繋がるドレイン電極32が形成される。
【0053】
データ線6a(ソース電極31)とドレイン電極32と第1層間絶縁膜12とを覆うように第2層間絶縁膜13が形成される。第2層間絶縁膜13も例えばシリコンの酸化物や窒化物を用いて形成することができ、同じく平坦化処理が施される。
【0054】
第2層間絶縁膜13のドレイン電極32と重なる位置に第2層間絶縁膜13を貫通するコンタクトホールCNT3が形成される。このコンタクトホールCNT3を埋めると共に第2層間絶縁膜13を覆うように例えばAlなどの遮光性の導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、容量配線3bと、コンタクトホールCNT3を介してドレイン電極32に繋がる中継層3cとが形成される。
【0055】
容量配線3b、中継層3c並びにコンタクトホールCNT3、第2層間絶縁膜13を覆うように第3層間絶縁膜14が形成される。第3層間絶縁膜14も例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、第2層間絶縁膜13と同様に平坦化処理を施してもよい。
【0056】
第3層間絶縁膜14の容量配線3bと重なる位置に第3層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCNT4が形成され、このコンタクトホールCNT4を埋めるようにして光透過性を有する導電膜が成膜される。この導電膜をパターニングしてコンタクトホールCNT4を介して容量配線3bに繋がる容量電極16aが形成される。
【0057】
次に、容量電極16aとコンタクトホールCNT4および第3層間絶縁膜14とを覆うように誘電体層16bが成膜される。誘電体層16bは、シリコン窒化膜や、酸化ハウニュウム(HfO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)などの単層膜、またはこれらの単層膜のうち少なくとも2種の単層膜を積層した多層膜を用いてもよい。
そして、誘電体層16bの中継層3cと重なる位置に誘電体層16bおよび第3層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCNT5が形成される。このコンタクトホールCNT5を埋めるように光透過性の導電膜が成膜され、この導電膜をパターニングすることにより、容量電極16aと平面的に重なると共に、コンタクトホールCNT5を介して中継層3cに繋がる画素電極15が形成される。
上記光透過性の導電膜としては、ITO、IZOなどの透明導電膜を用いることができる。また、容量電極16aと画素電極15の膜厚がほぼ等しくなるように光透過性の導電膜が成膜されパターニングされている。この場合、それぞれの膜厚は例えばおよそ50nmである。また、誘電体層16bの膜厚は例えばおよそ30nmである。これにより、開口領域(図3参照)における可視光波長領域の光透過性が確保されている。
【0058】
保持容量16は、上記のように形成された光透過性の容量電極16aおよび画素電極15と、これらの電極に挟まれた誘電体層16bとから構成されている。
【0059】
保持容量16において、上述したように容量電極16aはコンタクトホールCNT4を介して容量配線3bと接続されている。容量配線3bには固定電位が与えられている。これにより、TFT30のドレイン電極32を介して画素電極15に与えられた電位を容量電極16aとの間において保持することができる。
【0060】
図6(a)に示すように、保持容量16は、素子基板10上において遮光性の導電膜からなる走査線3a、データ線6a、容量配線3bが平面的に重なった非開口領域によって区切られた開口領域に重なるように設けられている。前述したように可視光波長領域における光透過性が確保されているので、液晶層50を挟んだ画素電極15と共通電極23との間の表示品質を低下させることはない。
【0061】
また、図6(b)に示すように、画素電極15は誘電体層16bを挟んで容量電極16aを覆うように形成され、画素電極15および容量電極16aのそれぞれの外縁部は、遮光性を有する遮光部としての容量配線3bと重なるように形成されている。したがって、画素電極15間には容量電極16aがはみ出ておらず、画素電極15間において画素電極15と容量電極16aとの間で電界が生ずるおそれがない。
【0062】
さらには、平面的に容量電極16aを覆うように画素電極15を形成することにより、画素電極15の外縁部における誘電体層16bとの間の段差が均一化されている。
【0063】
(実施例2)
図7(a)は実施例2の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図である。なお、実施例1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
図7(a)に示すように、実施例2は、実施例1に対して、容量配線3bと容量電極16aとの電気的な接続を図るコンタクトホールCNT4の位置を異ならせたものである。具体的には、コンタクトホールCNT4は、コンタクトホールCNT5に対して半導体層30aを挟んだY方向の反対側に設けられ、且つ平面的に走査線3aとデータ線6aの拡張部の右上角部に重なるように設けられている。
【0065】
図7(b)に示すように、容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の右上角部に設けられたコンタクトホールCNT4と半導体層30aのチャネル領域30cとに平面的に重なると共に上記拡張部からはみ出ないように蛇行して形成されている。また、同層に形成される中継層3c(コンタクトホールCNT3とコンタクトホールCNT5とを接続させる)と接触しないように形成されることは言うまでもない。
【0066】
実施例2の画素Pにおける素子基板10の断面構造は、実施例1と基本的に同じである。また、容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5は、平面的に画素電極15が設けられた領域内に形成され、且つ遮光性の上記拡張部と重なるように形成されている。
【0067】
(実施例3)
図8(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図である。なお、実施例1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図8(a)に示すように、実施例3は、実施例1に対して、容量配線3bと容量電極16aとの電気的な接続を図るコンタクトホールCNT4の位置を異ならせたものである。具体的には、コンタクトホールCNT4は、コンタクトホールCNT5に対して半導体層30aを挟んで対角方向の反対側に設けられ、且つ平面的に走査線3aとデータ線6aの拡張部の左上角部に重なるように設けられている。
【0069】
図8(b)に示すように、容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の左上角部に設けられたコンタクトホールCNT4と半導体層30aのチャネル領域30cとに平面的に重なると共に上記拡張部からはみ出ないように蛇行して形成されている。
【0070】
実施例3の画素Pにおける素子基板10の断面構造は、実施例1と基本的に同じである。また、容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5は、平面的に画素電極15が設けられた領域内に形成され、且つ遮光性の上記拡張部と重なるように形成されている。
【0071】
(実施例4)
図9(a)は実施例4の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図である。なお、実施例1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
図9(a)に示すように、実施例4は、実施例2に対して、TFT30のドレイン電極32と画素電極15とを電気的に接続させるコンタクトホールCNT5の位置を異ならせたものである。具体的には、コンタクトホールCNT5は、平面的にコンタクトホールCNT3に対して隣り合うようにY方向にずらして配置されている。
容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の右上角部に設けられたコンタクトホールCNT4と平面的に重なると共に上記拡張部と同様に幅広に形成されている。
容量配線3bと同層に設けられる中継層3dは、平面視で四角形(長方形)であり、隣り合うコンタクトホールCNT3とコンタクトホールCNT5とに跨って配置され、2つのコンタクトホールCNT3,CNT5を電気的に接続させている。
【0073】
実施例4の画素Pにおける素子基板10の断面構造は、実施例1と基本的に同じである。容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5は、平面的に画素電極15が設けられた領域内に形成されている。また、コンタクトホールCNT4は遮光性の上記拡張部と重なるように形成され、コンタクトホールCNT5は、遮光性の導電膜からなる中継層3dに重なるように配置されている。
【0074】
上記実施形態の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施例1〜実施例4によれば、保持容量16は、誘電体層16bを挟んで対向配置された光透過性の容量電極16aおよび画素電極15により構成され、容量電極16aも画素電極15と同様に画素Pごとに独立して設けられている。また、容量電極16aと、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させるコンタクトホールCNT4とが画素電極15が設けられた領域内に配置されている。したがって、画素電極15間において、容量電極16aを配置せずとも容量配線3bとの接続ができ、画素電極15と容量電極16aとの間に電界が生じないので、該電界による液晶分子の配向状態が乱れることに起因する表示むらが低減される。また、画素Pが高精細になっても、開口領域において画素電極15と誘電体層16bを置いて対向配置された容量電極16aとにより保持容量16が構成されているので、非開口領域に保持容量16を構成する場合に比べて、画素電極15に書き込まれた画像信号を保持可能な所望の電気容量を確保し易い。すなわち、優れた表示品位を有する液晶装置100を実現できる。
なお、コンタクトホールCNT4の少なくとも一部が画素電極15が設けられた領域内に位置していれば、画素電極15間に容量電極16aを配置しなくても容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させることができる。
【0075】
(2)上記実施例1〜実施例4によれば、コンタクトホールCNT4,CNT5は、いずれも、平面的に遮光部と重なるように設けられている。したがって、コンタクトホールCNT4,CNT5を覆う配向膜の表面に凹凸が生じ、該凹凸に起因する液晶分子の配向が他の部分と比べて乱れていたとしても、液晶分子の配向の乱れに起因する表示むらは遮光部によって遮光され、目立ち難くなる。
【0076】
(3)上記実施例1〜実施例4によれば、画素電極15は、誘電体層16bを介して容量電極16aを覆うように形成され、画素電極15の膜厚と容量電極16aの膜厚がほぼ等しいので、画素電極15が設けられた領域内にコンタクトホールCNT4,CNT5を設けたとしても、当該コンタクトホールCNT4,CNT5の部分の段差の大きさと他の部分の段差の大きさとの差を小さくすることができる。また、画素電極15の外縁部と誘電体層16bとの間の段差の大きさを均一化できる。それゆえに、上記段差に起因する表示むらを抑制できる。
さらには、画素電極15の外縁部が、遮光部としての走査線3aやデータ線6aと平面的に重なるように設けられているので、上記表示むらをより目立ち難くできる。
【0077】
(4)上記実施例1〜実施例3によれは、コンタクトホールCNT4,CNT5がいずれも走査線3aとデータ線6aとの交差部における拡張部の角部と平面的に重なるように配置されている。したがって、X方向(走査線3aの延在方向)とY方向(データ線6aの延在方向)における画素Pの開口領域の対称性が確保されている。
【0078】
(5)上記実施例4によれば、コンタクトホールCNT5は、半導体層30aのドレイン電極32に繋がるコンタクトホールCNT3に隣り合うように配置され、中継層3dを介して電気的にコンタクトホールCNT3に接続されている。したがって、上記実施例1〜実施例3のように中継層3cを介して電気的にコンタクトホールCNT3に接続される場合に比べて、接続抵抗を小さくすることができる。
【0079】
(第2実施形態)
<電子機器>
次に、上記実施形態の液晶装置を適用した電子機器について、図10を参照して説明する。図10は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
【0080】
図10に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0081】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0082】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0083】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0084】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0085】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0086】
このような投射型表示装置1000によれば、所望の電気容量を有する保持容量16を有し、画素電極15間における表示むらが低減された液晶装置100を各液晶ライトバルブ1210,1220,1230に用いているので、高い表示品位が実現されている。
また、クロスダイクロイックプリズム1206において、3つの色光を合成するにあたり、緑色光(G)の液晶ライトバルブ1220における映像を基準として、赤色光(R)の液晶ライトバルブ1210または青色光(B)の液晶ライトバルブ1230の映像を左右反転させる場合でも、上記実施例1〜実施例3の液晶装置100を用いれば、画素Pの開口領域における対称性が保たれているので、合成後の映像における色むらなどの発生を低減できる。
【0087】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0088】
(変形例1)上記実施形態における液晶装置100において、図5に示すように、実施例1では、第3層間絶縁膜14に形成されたコンタクトホールCNT5を埋めるように透明導電膜を成膜してパターニングすることにより、コンタクトホールCNT5を介して中継層3cに接続する画素電極15を形成したが、これに限定されない。図11は変形例の画素電極のコンタクトホールの構造を示す概略断面図である。
図11に示すように、第3層間絶縁膜14に形成されたコンタクトホールCNT4を埋めるように透明導電膜を成膜してパターニングすることにより、まず、コンタクトホールCNT4を介して容量配線3bに繋がる容量電極16aを形成すると共に、コンタクトホールCNT5を被覆する導電層16cを形成する。そして、誘電体層16bを成膜して、コンタクトホールCNT5と重なる部分だけ除去した後に、再び透明導電膜を成膜してパターニングすることにより、画素電極15と、上記導電層16cと画素電極15とが接触したコンタクトホールCNT5を完成させるとしてもよい。
開口領域に保持容量16を設けるので、画素電極15や容量電極16aの膜厚は、前述したように50nmと比較的に薄くなっている。
これによれば、実施例1のようにコンタクトホールCNT5を画素電極15用の透明導電膜で埋めて形成する場合に比べて、容量電極16a用と画素電極15用の透明導電膜で埋めるので、コンタクトホールCNT5における段差(凹凸)の大きさをより小さくすることができる。すなわち、コンタクトホールCNT5の部分を覆う配向膜表面の凹凸を小さくして液晶分子の配向の乱れを抑えることができる。
【0089】
(変形例2)上記実施例1〜実施例3において、容量配線3bは平面的にデータ線6aの拡張部すなわち遮光性の非開口領域からはみ出ないように配置されているが、これに限定されない。図12は変形例の容量配線の配置を示す概略平面図である。より具体的には、実施例1におけるコンタクトホールCNT4,CNT5の位置を前提とした変形例である。図12に示すように、変形例では、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させるコンタクトホールCNT4は、平面的にデータ線6aの拡張部における左下角部に配置されている。容量配線3bはコンタクトホールCNT4の近傍(⇒で示した部分)において上記拡張部からはみ出るように蛇行して形成されている。したがって、上記拡張部の右下角部に配置されたコンタクトホールCNT5とドレイン電極32に繋がるコンタクトホールCNT3とを電気的に接続させる中継層3cと、同層に設けられた容量配線3bとの間に一定の距離をおくことができる。それゆえに、実施例1に比べて中継層3cと短絡しないように容量配線3bをパターニングする精度が低くてもよい。言い換えれば、高いパターニング精度が要求されなくても容量配線3bを形成することができる。実施例2,3に対しても上記変形例と同様な容量配線3bの配置を採用することができる。
【0090】
(変形例3)TFT30における半導体層30aの配置は、上記実施形態のように走査線3aと重ねる配置に限定されず、例えば、データ線6aと重ねる配置や、半導体層30aを途中で折り曲げて、走査線3aとデータ線6aとに重ねるように配置したとしても、本願のコンタクトホールCNT4,CNT5の構成を適用することができる。
【0091】
(変形例4)上記液晶装置100が適用される電子機器は、上記実施形態の投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
3b…容量配線、15…画素電極、16…保持容量、16a…容量電極、16b…誘電体層、23…対向電極としての共通電極、30…トランジスターとしてのTFT(薄膜トランジスター)、50…液晶層、100…液晶装置、1000…電子機器としての投射型表示装置、CNT4…第2コンタクトホールとしてのコンタクトホール、CNT5…第1コンタクトホールとしてのコンタクトホール、P…画素。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記液晶装置として、画素ごとに薄膜トランジスターなどのスイッチング素子が設けられたアクティブ駆動型の液晶装置が知られている。アクティブ駆動型の液晶装置は、一対の電極間に液晶層を有し、画素ごとに書き込まれた画像信号は、該一対の電極と液晶層とからなる電気容量において一時的に保持される。これに加えて、該画像信号を所定の期間電気的に保持する保持容量が画素ごとに設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光が透過可能な画素の開口領域に形成された透明導電膜と、該透明導電膜上に形成された誘電体膜と、上記開口領域の該誘電体膜上に形成され、トランジスター素子に電気的に接続された透明な画素電極と、を備えた電気光学装置が開示されている。
これによれば、誘電体膜を介した透明導電膜と透明な画素電極とにより蓄積容量が構成されているので、蓄積容量の容量値を大きくすると共に、開口領域のサイズを広げることの両方を実現できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−176119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の電気光学装置では、蓄積容量を構成する透明導電膜を画像表示領域のほぼ全体に亘って形成しており、画素ごとに独立して形成される画素電極の間にも上記透明導電膜が平面的に存在することになる。そうすると、画素電極と、画素電極間の上記透明導電膜との間に電界が生じた場合には、本来、表示には寄与しない画素電極間において液晶分子の配向が乱れ、それが画素電極が設けられた領域にも影響を及ぼして表示品位が低下するおそれがあるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の液晶装置は、画素電極と、前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、前記画素電極と前記画素電極に誘電体層を介して対向配置された光透過性を有する容量電極とにより構成された保持容量と、前記画素電極と前記トランジスターとを電気的に接続させる第1コンタクトホールと、前記容量電極と容量配線とを電気的に接続させる第2コンタクトホールと、を備え、前記画素電極と前記容量電極は、画素ごとに独立して設けられ、前記容量電極と前記第2コンタクトホールの少なくとも一部とは平面的に前記画素電極が設けられた領域内に配置されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、保持容量を構成する画素電極と容量電極は、画素ごとにそれぞれ独立して設けられている。また、容量電極と第2コンタクトホールの少なくとも一部とが平面的に画素電極が設けられた領域内に配置されていれば、平面的に画素電極間に容量電極を配置しなくても容量配線との接続が可能なので、画素電極間において画素電極と容量電極との間に電界が生じない。すなわち、上記従来の電気光学装置に比べて、画素電極間における液晶分子の配向の乱れが低減された液晶装置を提供できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例の液晶装置において、前記画素電極の外縁部と平面的に重なると共に、前記画素電極を囲むように設けられた遮光部を備え、前記第1および前記第2コンタクトホールは平面的に前記遮光部と重なって設けられていることが好ましい。
これによれば、第1および第2コンタクトホールを覆う配向膜の表面に凹凸が生じたとしても、該凹凸による液晶分子の配向の乱れに起因する表示むらを遮光部によって目立ち難くすることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例の液晶装置において、前記画素電極は、前記誘電体層を介して前記容量電極を覆うように設けられ、前記画素電極の膜厚と前記容量電極の膜厚とがほぼ等しいことが好ましい。
画素電極と容量電極の膜厚が異なると、第1コンタクトホールや第2コンタクトホールが設けられた部分と他の部分とでは、それぞれの膜厚に起因する段差(凹凸)の大きさが異なることになる。
本適用例によれば、画素電極は、誘電体層を介して容量電極を覆い、画素電極の膜厚と容量電極の膜厚とがほぼ等しいので、画素電極の外縁部における段差の大きさが均一化され、該段差に起因する表示むらを目立ち難くすることができる。
【0011】
[適用例4]本適用例の電子機器は、上記適用例の液晶装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、優れた表示品位を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】画素の配置を示す概略平面図。
【図4】(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図5】図4(a)のA−A’線で切った画素の構造を示す概略断面図。
【図6】図4(a)のB−B’線で切った保持容量の構造を示す概略断面図。
【図7】(a)は実施例2の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図8】(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図9】(a)は実施例4の画素の構成を示す概略平面図、(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図。
【図10】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【図11】変形例の画素電極のコンタクトホールの構造を示す概略断面図。
【図12】変形例の容量配線の配置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0014】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0015】
(第1実施形態)
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0016】
<液晶装置>
本実施形態の液晶装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H’線で切った概略断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図、図3は画素の配置を示す概略平面図である。
【0017】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英などのガラス基板が用いられている。
【0018】
素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0019】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に遮光膜21が設けられている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。なお、図1では図示省略したが、表示領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0020】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。
以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と表示領域Eとの間のシール材40の内側に沿った位置に設けてもよい。
【0021】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15およびスイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT;Thin Film Transistor)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。当該遮光構造については後述する。
【0022】
対向基板20の液晶層50側の表面には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間膜層22と、層間膜層22を覆うように設けられた対向電極としての共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。層間膜層22は、共通電極23の表面が平坦となるように平坦化層の機能を有するものであるが、必須の構成要素ではない。例えば、遮光膜21を直接覆うように共通電極23を設けてもよい。
【0023】
遮光膜21は、図1(a)に示すように平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0024】
層間膜層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間膜層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0025】
共通電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、層間膜層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0026】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。例えば、ポリイミドなどの有機材料を成膜して、その表面をラビングすることにより、液晶分子に対して略水平配向処理が施されたものや、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を斜方蒸着法や斜方スパッタ法を用いて成膜して、液晶分子に対して略垂直配向させたものが挙げられる。
【0027】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、データ線6a沿って平行するように配置された容量配線3bとを有する。
走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
【0028】
走査線3aとデータ線6aならびに容量配線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0029】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0030】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量配線3bとの間に設けられている。詳しくは、後述するが、保持容量16は、誘電体層16bを介して光透過性を有する画素電極15と同じく光透過性を有する容量電極16aとが平面的に対向配置されたものであって、上記容量電極16aが上記容量配線3bに電気的に接続している(図5参照)。容量配線3bは、固定電位に接続されている。
【0031】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0032】
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
【0033】
次に、画素Pの平面的な配置について、図3を参照して説明する。
図3に示すように、液晶装置100における画素Pは、例えば平面的に略四角形の開口領域を有する。開口領域は、X方向とY方向とに延在し格子状に設けられた遮光性の非開口領域により囲まれている。
【0034】
X方向に延在する非開口領域には、図2に示した走査線3aが設けられている。走査線3aは遮光性の導電膜が用いられており、走査線3aによって非開口領域の少なくとも一部が構成されている。
【0035】
同じく、Y方向に延在する非開口領域には、図2に示したデータ線6aと容量配線3bが設けられている。データ線6aおよび容量配線3bも遮光性の導電膜が用いられており、これらによって非開口領域の少なくとも一部が構成されている。
【0036】
非開口領域は、素子基板10側に設けられた上記信号線類によって構成されるだけでなく、対向基板20側において格子状にパターニングされた遮光膜21によっても構成することができる。
【0037】
非開口領域の交差部付近には、図2に示したTFT30が設けられている。遮光性を有する非開口領域の交差部付近にTFT30を設けることにより、TFT30の光誤動作を防止すると共に、開口領域における開口率を確保している。詳しい画素Pの構造については後述するが、交差部付近にTFT30を設ける関係上、交差部付近の非開口領域の幅は、他の部分に比べて広くなっている。また、保持容量16の一方の電極である画素電極15は、外縁部が非開口領域に重なるように開口領域に配置されている。保持容量16の他方の電極である容量電極16aも、外縁部が非開口領域に重なるように開口領域に配置されている。すなわち、画素電極15間には容量電極16aは存在していない。
したがって、画素電極15間には画素電極15との間で意図しない電界が生ずるような電極が配置されていないので、該電界による画素電極15間の液晶分子の配向が乱されず、優れた表示品位が実現されている。
【0038】
一方で、このように開口領域において対向配置され、画素Pごとに独立した画素電極15と容量電極16aとを設けるにあたり、液晶装置100の等価回路(図2)によれば、画素電極15はTFT30のドレインに接続させ、容量電極16aは容量配線3bに接続させる必要がある。以下、実施例1〜実施例4を挙げて、それぞれの電気的な接続について説明する。
【0039】
(実施例1)
図4(a)は実施例1の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図、図5は図4(a)のA−A’線で切った画素の構造を示す概略断面図、図6は図4(a)のB−B’線で切った保持容量の構造を示す概略断面図である。
【0040】
図4(a)に示すように、画素Pは、走査線3aとデータ線6aの交差部に設けられたTFT30を有している。TFT30は、ソース領域30sと、ドレイン領域30dと、チャネル領域30cと、ソース領域30sとチャネル領域30cとの間に設けられた接合領域30eと、チャネル領域30cとドレイン領域30dとの間に設けられた接合領域30fとを有するLDD(Lightly Doped Drain)構造の半導体層30aを有している。半導体層30aは上記交差部を通過して、走査線3aと重なるように配置されている。
【0041】
走査線3aはデータ線6aとの交差部において、X,Y方向に拡張された平面視で四角形の拡張部を有している。当該拡張部に平面的に重なると共に接合領域30e,30fおよびドレイン領域30dと重ならない開口部を有する折れ曲がった形状のゲート電極30gが設けられている。
【0042】
ゲート電極30gは、Y方向に延在した部分が平面的にチャネル領域30cと重なっている。また、チャネル領域30cと重なった部分から折り曲げられてX方向に延在し、互いに対向する部分がそれぞれ走査線3aの拡張部との間に設けられたコンタクトホールCNT6,CNT7によって、電気的に走査線3aと接続している。
【0043】
コンタクトホールCNT6,CNT7は、平面視でX方向が長い矩形状(長方形)であって、半導体層30aのチャネル領域30cと接合領域30fとに沿って接合領域30fを挟むように両側に設けられている。コンタクトホールCNT6,CNT7を埋める導電材料、つまりゲート電極30gを構成する導電材料として遮光性を有するものを用いることにより、チャネル領域30cや接合領域30fに側面側から入射する光を遮光することができる構成となっている。
【0044】
データ線6aは、Y方向に延在すると共に、走査線3aと平面的に重なる同じく拡張部を有し、当該拡張部からX方向に突出した部分に設けられたコンタクトホールCNT1によってソース領域30sと電気的に接続している。コンタクトホールCNT1を含む部分がソース電極31(図5参照)となっている。一方、ドレイン領域30dの端部に重なり合って接合された2つのコンタクトホールCNT2,CNT3が設けられており、コンタクトホールCNT2を含む部分がドレイン電極32(図5参照)となっている。
【0045】
図4(b)に示すように、容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の左下角部に設けられたコンタクトホールCNT4と半導体層30aのチャネル領域30cとに平面的に重なるように蛇行している。コンタクトホールCNT4は、本発明の第2コンタクトホールであって、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させるものである。
【0046】
また、素子基板10上における位置が容量配線3bと同層であって、ドレイン電極32と電気的に接続しているコンタクトホールCNT3と、上記拡張部の右下角部に設けられたコンタクトホールCNT5とを電気的に接続させる中継層3cが設けられている。中継層3cは前述した非開口領域からはみ出ないように、折れ曲がって設けられている。
【0047】
コンタクトホールCNT5は、本発明の第1コンタクトホールであって、コンタクトホールCNT3と、中継層3cと、コンタクトホールCNT5とを経由してTFT30のドレイン電極32と画素電極15とを電気的に接続させている。
【0048】
つまり、TFT30のドレイン電極32と画素電極15とを電気的に接続させる第1コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT5と、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させる第2コンタクトホールとしてのコンタクトホールCNT4とは、それぞれ上記拡張部と平面的に重なる画素電極15の角部と、容量電極16aの角部とに設けられている。言い換えれば、平面的に画素電極15が設けられた領域内に容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5とが配置されている。
【0049】
図5は図4(a)のA−A’線で切った画素の構造を示す概略断面図であって、素子基板10の断面構造を示すものである。
図5に示すように、まず、素子基板10上には、まず走査線3aが形成される。走査線3aは、例えばAl、Ti、Cr、W、Ta、Moなどの金属のうちの少なくとも1つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライド、あるいはこれらが積層されたものを用いることができ、遮光性を有している。
【0050】
走査線3aを覆うように例えば酸化シリコンなどからなる下地絶縁膜11aが形成され、下地絶縁膜11a上に島状に半導体層30aが形成される。半導体層30aは例えば多結晶シリコン膜からなり、不純物イオンが注入されて、前述したソース領域30s、接合領域30e、チャネル領域30c、接合領域30f、ドレイン領域30dを有するLDD構造が形成されている(図4(a)参照)。
【0051】
半導体層30aを覆うように第1絶縁膜(ゲート絶縁膜)11bが形成される。さらに第1絶縁膜11bを挟んでチャネル領域30cに対向する位置にゲート電極30gが形成される。前述したようにゲート電極30gはコンタクトホールCNT6(コンタクトホールCNT7)を介して走査線3aと接続している。
【0052】
ゲート電極30gと第1絶縁膜11bとを覆うようにして第1層間絶縁膜12が形成される。第1層間絶縁膜12は、例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、TFT30が設けられた領域を覆うことによって生ずる表面の凹凸を平坦化する平坦化処理が施される。平坦化処理の方法としては、例えば化学的研磨処理(Chamical Mechanical Polishing;CMP処理)やスピンコート処理などが挙げられる。
第1層間絶縁膜12の半導体層30aのそれぞれの端部と重なる位置に第1絶縁膜11b、第1層間絶縁膜12を貫通する2つのコンタクトホールCNT1,CNT2が形成される。この2つのコンタクトホールCNT1,CNT2を埋めると共に第1層間絶縁膜12を覆うようにAl(アルミニウム)などの遮光性の導電膜を成膜し、これをパターニングすることによって、コンタクトホールCNT1を介してソース領域30sに繋がるソース電極31およびデータ線6aが形成される。同時にコンタクトホールCNT2を介してドレイン領域30dに繋がるドレイン電極32が形成される。
【0053】
データ線6a(ソース電極31)とドレイン電極32と第1層間絶縁膜12とを覆うように第2層間絶縁膜13が形成される。第2層間絶縁膜13も例えばシリコンの酸化物や窒化物を用いて形成することができ、同じく平坦化処理が施される。
【0054】
第2層間絶縁膜13のドレイン電極32と重なる位置に第2層間絶縁膜13を貫通するコンタクトホールCNT3が形成される。このコンタクトホールCNT3を埋めると共に第2層間絶縁膜13を覆うように例えばAlなどの遮光性の導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、容量配線3bと、コンタクトホールCNT3を介してドレイン電極32に繋がる中継層3cとが形成される。
【0055】
容量配線3b、中継層3c並びにコンタクトホールCNT3、第2層間絶縁膜13を覆うように第3層間絶縁膜14が形成される。第3層間絶縁膜14も例えばシリコンの酸化物や窒化物からなり、第2層間絶縁膜13と同様に平坦化処理を施してもよい。
【0056】
第3層間絶縁膜14の容量配線3bと重なる位置に第3層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCNT4が形成され、このコンタクトホールCNT4を埋めるようにして光透過性を有する導電膜が成膜される。この導電膜をパターニングしてコンタクトホールCNT4を介して容量配線3bに繋がる容量電極16aが形成される。
【0057】
次に、容量電極16aとコンタクトホールCNT4および第3層間絶縁膜14とを覆うように誘電体層16bが成膜される。誘電体層16bは、シリコン窒化膜や、酸化ハウニュウム(HfO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)などの単層膜、またはこれらの単層膜のうち少なくとも2種の単層膜を積層した多層膜を用いてもよい。
そして、誘電体層16bの中継層3cと重なる位置に誘電体層16bおよび第3層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホールCNT5が形成される。このコンタクトホールCNT5を埋めるように光透過性の導電膜が成膜され、この導電膜をパターニングすることにより、容量電極16aと平面的に重なると共に、コンタクトホールCNT5を介して中継層3cに繋がる画素電極15が形成される。
上記光透過性の導電膜としては、ITO、IZOなどの透明導電膜を用いることができる。また、容量電極16aと画素電極15の膜厚がほぼ等しくなるように光透過性の導電膜が成膜されパターニングされている。この場合、それぞれの膜厚は例えばおよそ50nmである。また、誘電体層16bの膜厚は例えばおよそ30nmである。これにより、開口領域(図3参照)における可視光波長領域の光透過性が確保されている。
【0058】
保持容量16は、上記のように形成された光透過性の容量電極16aおよび画素電極15と、これらの電極に挟まれた誘電体層16bとから構成されている。
【0059】
保持容量16において、上述したように容量電極16aはコンタクトホールCNT4を介して容量配線3bと接続されている。容量配線3bには固定電位が与えられている。これにより、TFT30のドレイン電極32を介して画素電極15に与えられた電位を容量電極16aとの間において保持することができる。
【0060】
図6(a)に示すように、保持容量16は、素子基板10上において遮光性の導電膜からなる走査線3a、データ線6a、容量配線3bが平面的に重なった非開口領域によって区切られた開口領域に重なるように設けられている。前述したように可視光波長領域における光透過性が確保されているので、液晶層50を挟んだ画素電極15と共通電極23との間の表示品質を低下させることはない。
【0061】
また、図6(b)に示すように、画素電極15は誘電体層16bを挟んで容量電極16aを覆うように形成され、画素電極15および容量電極16aのそれぞれの外縁部は、遮光性を有する遮光部としての容量配線3bと重なるように形成されている。したがって、画素電極15間には容量電極16aがはみ出ておらず、画素電極15間において画素電極15と容量電極16aとの間で電界が生ずるおそれがない。
【0062】
さらには、平面的に容量電極16aを覆うように画素電極15を形成することにより、画素電極15の外縁部における誘電体層16bとの間の段差が均一化されている。
【0063】
(実施例2)
図7(a)は実施例2の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図である。なお、実施例1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
図7(a)に示すように、実施例2は、実施例1に対して、容量配線3bと容量電極16aとの電気的な接続を図るコンタクトホールCNT4の位置を異ならせたものである。具体的には、コンタクトホールCNT4は、コンタクトホールCNT5に対して半導体層30aを挟んだY方向の反対側に設けられ、且つ平面的に走査線3aとデータ線6aの拡張部の右上角部に重なるように設けられている。
【0065】
図7(b)に示すように、容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の右上角部に設けられたコンタクトホールCNT4と半導体層30aのチャネル領域30cとに平面的に重なると共に上記拡張部からはみ出ないように蛇行して形成されている。また、同層に形成される中継層3c(コンタクトホールCNT3とコンタクトホールCNT5とを接続させる)と接触しないように形成されることは言うまでもない。
【0066】
実施例2の画素Pにおける素子基板10の断面構造は、実施例1と基本的に同じである。また、容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5は、平面的に画素電極15が設けられた領域内に形成され、且つ遮光性の上記拡張部と重なるように形成されている。
【0067】
(実施例3)
図8(a)は実施例3の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図である。なお、実施例1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図8(a)に示すように、実施例3は、実施例1に対して、容量配線3bと容量電極16aとの電気的な接続を図るコンタクトホールCNT4の位置を異ならせたものである。具体的には、コンタクトホールCNT4は、コンタクトホールCNT5に対して半導体層30aを挟んで対角方向の反対側に設けられ、且つ平面的に走査線3aとデータ線6aの拡張部の左上角部に重なるように設けられている。
【0069】
図8(b)に示すように、容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の左上角部に設けられたコンタクトホールCNT4と半導体層30aのチャネル領域30cとに平面的に重なると共に上記拡張部からはみ出ないように蛇行して形成されている。
【0070】
実施例3の画素Pにおける素子基板10の断面構造は、実施例1と基本的に同じである。また、容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5は、平面的に画素電極15が設けられた領域内に形成され、且つ遮光性の上記拡張部と重なるように形成されている。
【0071】
(実施例4)
図9(a)は実施例4の画素の構成を示す概略平面図、同図(b)はデータ線、容量配線と各コンタクトホールとの位置関係を示す概略平面図である。なお、実施例1と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
図9(a)に示すように、実施例4は、実施例2に対して、TFT30のドレイン電極32と画素電極15とを電気的に接続させるコンタクトホールCNT5の位置を異ならせたものである。具体的には、コンタクトホールCNT5は、平面的にコンタクトホールCNT3に対して隣り合うようにY方向にずらして配置されている。
容量配線3bは、データ線6aと平面的に重なるようにY方向に延在している。また、データ線6aの拡張部では、該拡張部の右上角部に設けられたコンタクトホールCNT4と平面的に重なると共に上記拡張部と同様に幅広に形成されている。
容量配線3bと同層に設けられる中継層3dは、平面視で四角形(長方形)であり、隣り合うコンタクトホールCNT3とコンタクトホールCNT5とに跨って配置され、2つのコンタクトホールCNT3,CNT5を電気的に接続させている。
【0073】
実施例4の画素Pにおける素子基板10の断面構造は、実施例1と基本的に同じである。容量電極16aとコンタクトホールCNT4,CNT5は、平面的に画素電極15が設けられた領域内に形成されている。また、コンタクトホールCNT4は遮光性の上記拡張部と重なるように形成され、コンタクトホールCNT5は、遮光性の導電膜からなる中継層3dに重なるように配置されている。
【0074】
上記実施形態の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施例1〜実施例4によれば、保持容量16は、誘電体層16bを挟んで対向配置された光透過性の容量電極16aおよび画素電極15により構成され、容量電極16aも画素電極15と同様に画素Pごとに独立して設けられている。また、容量電極16aと、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させるコンタクトホールCNT4とが画素電極15が設けられた領域内に配置されている。したがって、画素電極15間において、容量電極16aを配置せずとも容量配線3bとの接続ができ、画素電極15と容量電極16aとの間に電界が生じないので、該電界による液晶分子の配向状態が乱れることに起因する表示むらが低減される。また、画素Pが高精細になっても、開口領域において画素電極15と誘電体層16bを置いて対向配置された容量電極16aとにより保持容量16が構成されているので、非開口領域に保持容量16を構成する場合に比べて、画素電極15に書き込まれた画像信号を保持可能な所望の電気容量を確保し易い。すなわち、優れた表示品位を有する液晶装置100を実現できる。
なお、コンタクトホールCNT4の少なくとも一部が画素電極15が設けられた領域内に位置していれば、画素電極15間に容量電極16aを配置しなくても容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させることができる。
【0075】
(2)上記実施例1〜実施例4によれば、コンタクトホールCNT4,CNT5は、いずれも、平面的に遮光部と重なるように設けられている。したがって、コンタクトホールCNT4,CNT5を覆う配向膜の表面に凹凸が生じ、該凹凸に起因する液晶分子の配向が他の部分と比べて乱れていたとしても、液晶分子の配向の乱れに起因する表示むらは遮光部によって遮光され、目立ち難くなる。
【0076】
(3)上記実施例1〜実施例4によれば、画素電極15は、誘電体層16bを介して容量電極16aを覆うように形成され、画素電極15の膜厚と容量電極16aの膜厚がほぼ等しいので、画素電極15が設けられた領域内にコンタクトホールCNT4,CNT5を設けたとしても、当該コンタクトホールCNT4,CNT5の部分の段差の大きさと他の部分の段差の大きさとの差を小さくすることができる。また、画素電極15の外縁部と誘電体層16bとの間の段差の大きさを均一化できる。それゆえに、上記段差に起因する表示むらを抑制できる。
さらには、画素電極15の外縁部が、遮光部としての走査線3aやデータ線6aと平面的に重なるように設けられているので、上記表示むらをより目立ち難くできる。
【0077】
(4)上記実施例1〜実施例3によれは、コンタクトホールCNT4,CNT5がいずれも走査線3aとデータ線6aとの交差部における拡張部の角部と平面的に重なるように配置されている。したがって、X方向(走査線3aの延在方向)とY方向(データ線6aの延在方向)における画素Pの開口領域の対称性が確保されている。
【0078】
(5)上記実施例4によれば、コンタクトホールCNT5は、半導体層30aのドレイン電極32に繋がるコンタクトホールCNT3に隣り合うように配置され、中継層3dを介して電気的にコンタクトホールCNT3に接続されている。したがって、上記実施例1〜実施例3のように中継層3cを介して電気的にコンタクトホールCNT3に接続される場合に比べて、接続抵抗を小さくすることができる。
【0079】
(第2実施形態)
<電子機器>
次に、上記実施形態の液晶装置を適用した電子機器について、図10を参照して説明する。図10は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
【0080】
図10に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0081】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0082】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0083】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0084】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0085】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0086】
このような投射型表示装置1000によれば、所望の電気容量を有する保持容量16を有し、画素電極15間における表示むらが低減された液晶装置100を各液晶ライトバルブ1210,1220,1230に用いているので、高い表示品位が実現されている。
また、クロスダイクロイックプリズム1206において、3つの色光を合成するにあたり、緑色光(G)の液晶ライトバルブ1220における映像を基準として、赤色光(R)の液晶ライトバルブ1210または青色光(B)の液晶ライトバルブ1230の映像を左右反転させる場合でも、上記実施例1〜実施例3の液晶装置100を用いれば、画素Pの開口領域における対称性が保たれているので、合成後の映像における色むらなどの発生を低減できる。
【0087】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0088】
(変形例1)上記実施形態における液晶装置100において、図5に示すように、実施例1では、第3層間絶縁膜14に形成されたコンタクトホールCNT5を埋めるように透明導電膜を成膜してパターニングすることにより、コンタクトホールCNT5を介して中継層3cに接続する画素電極15を形成したが、これに限定されない。図11は変形例の画素電極のコンタクトホールの構造を示す概略断面図である。
図11に示すように、第3層間絶縁膜14に形成されたコンタクトホールCNT4を埋めるように透明導電膜を成膜してパターニングすることにより、まず、コンタクトホールCNT4を介して容量配線3bに繋がる容量電極16aを形成すると共に、コンタクトホールCNT5を被覆する導電層16cを形成する。そして、誘電体層16bを成膜して、コンタクトホールCNT5と重なる部分だけ除去した後に、再び透明導電膜を成膜してパターニングすることにより、画素電極15と、上記導電層16cと画素電極15とが接触したコンタクトホールCNT5を完成させるとしてもよい。
開口領域に保持容量16を設けるので、画素電極15や容量電極16aの膜厚は、前述したように50nmと比較的に薄くなっている。
これによれば、実施例1のようにコンタクトホールCNT5を画素電極15用の透明導電膜で埋めて形成する場合に比べて、容量電極16a用と画素電極15用の透明導電膜で埋めるので、コンタクトホールCNT5における段差(凹凸)の大きさをより小さくすることができる。すなわち、コンタクトホールCNT5の部分を覆う配向膜表面の凹凸を小さくして液晶分子の配向の乱れを抑えることができる。
【0089】
(変形例2)上記実施例1〜実施例3において、容量配線3bは平面的にデータ線6aの拡張部すなわち遮光性の非開口領域からはみ出ないように配置されているが、これに限定されない。図12は変形例の容量配線の配置を示す概略平面図である。より具体的には、実施例1におけるコンタクトホールCNT4,CNT5の位置を前提とした変形例である。図12に示すように、変形例では、容量配線3bと容量電極16aとを電気的に接続させるコンタクトホールCNT4は、平面的にデータ線6aの拡張部における左下角部に配置されている。容量配線3bはコンタクトホールCNT4の近傍(⇒で示した部分)において上記拡張部からはみ出るように蛇行して形成されている。したがって、上記拡張部の右下角部に配置されたコンタクトホールCNT5とドレイン電極32に繋がるコンタクトホールCNT3とを電気的に接続させる中継層3cと、同層に設けられた容量配線3bとの間に一定の距離をおくことができる。それゆえに、実施例1に比べて中継層3cと短絡しないように容量配線3bをパターニングする精度が低くてもよい。言い換えれば、高いパターニング精度が要求されなくても容量配線3bを形成することができる。実施例2,3に対しても上記変形例と同様な容量配線3bの配置を採用することができる。
【0090】
(変形例3)TFT30における半導体層30aの配置は、上記実施形態のように走査線3aと重ねる配置に限定されず、例えば、データ線6aと重ねる配置や、半導体層30aを途中で折り曲げて、走査線3aとデータ線6aとに重ねるように配置したとしても、本願のコンタクトホールCNT4,CNT5の構成を適用することができる。
【0091】
(変形例4)上記液晶装置100が適用される電子機器は、上記実施形態の投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
3b…容量配線、15…画素電極、16…保持容量、16a…容量電極、16b…誘電体層、23…対向電極としての共通電極、30…トランジスターとしてのTFT(薄膜トランジスター)、50…液晶層、100…液晶装置、1000…電子機器としての投射型表示装置、CNT4…第2コンタクトホールとしてのコンタクトホール、CNT5…第1コンタクトホールとしてのコンタクトホール、P…画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と、
前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、
前記画素電極と前記画素電極に誘電体層を介して対向配置された光透過性を有する容量電極とにより構成された保持容量と、
前記画素電極と前記トランジスターとを電気的に接続させる第1コンタクトホールと、
前記容量電極と容量配線とを電気的に接続させる第2コンタクトホールと、を備え、
前記画素電極と前記容量電極は、画素ごとに独立して設けられ、
前記容量電極と第2コンタクトホールの少なくとも一部とは平面的に前記画素電極が設けられた領域内に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記画素電極の外縁部と平面的に重なると共に、前記画素電極を囲むように設けられた遮光部を備え、
前記第1および前記第2コンタクトホールは平面的に前記遮光部と重なって設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記画素電極は、前記誘電体層を介して前記容量電極を覆うように設けられ、
前記画素電極の膜厚と前記容量電極の膜厚とがほぼ等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
画素電極と、
前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、
前記画素電極と前記画素電極に誘電体層を介して対向配置された光透過性を有する容量電極とにより構成された保持容量と、
前記画素電極と前記トランジスターとを電気的に接続させる第1コンタクトホールと、
前記容量電極と容量配線とを電気的に接続させる第2コンタクトホールと、を備え、
前記画素電極と前記容量電極は、画素ごとに独立して設けられ、
前記容量電極と第2コンタクトホールの少なくとも一部とは平面的に前記画素電極が設けられた領域内に配置されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記画素電極の外縁部と平面的に重なると共に、前記画素電極を囲むように設けられた遮光部を備え、
前記第1および前記第2コンタクトホールは平面的に前記遮光部と重なって設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記画素電極は、前記誘電体層を介して前記容量電極を覆うように設けられ、
前記画素電極の膜厚と前記容量電極の膜厚とがほぼ等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−208293(P2012−208293A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73544(P2011−73544)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]