説明

温度検出回路

【課題】 消費電流を抑えるため間欠動作するようにした温度検出用半導体集積回路において、外部端子を増加させることなく回路の評価および検査が行えるようにする。
【解決手段】 発振回路(16)を備え、消費電流を抑えるため間欠動作する温度検出用半導体集積回路において、温度検出回路(11)の出力と基準電圧とを比較する電圧比較回路(13)の出力に対応した信号を出力する外部端子(DET)と、該外部端子に負電位が印加されたことを検出した場合に、温度検出回路と基準電圧回路と電圧比較回路を活性化させる信号を生成する制御回路(17)と、制御回路が活性化信号を出力しかつ温度検出回路の出力が基準電圧を超えたと電圧比較回路(13)が判定した場合に電流を流す電流回路(SW1,R0,SW2)とを設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲温度を感知し設定温度を超えたことを検出した時に出力が切り替わる温度検出用半導体集積回路に適用して有効な技術に関し、特に温度検出用半導体集積回路の評価および検査を支援する機能の実現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路を内蔵した機器においては、機器を構成する部品が異常発熱を起こしそのまま放置すると破壊に至ることがある。そこで、周囲温度を感知し設定温度を超えたことを検出した時に出力がロウレベルからハイレベルに切り替わるようにした温度検出回路(例えば、特許文献1参照)を使用して、異常発熱を起こした場合に機器の電源をシャットダウンすることにより、異常加熱等による破壊を未然に防ぐようにした技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−151458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、監視する機器の温度は急速に高くなることは稀であり、通常は徐々に高くなるので、温度センサICを常時動作させておくと消費電流が多くなるという問題がある。そこで、本発明者らは、温度検出用の半導体集積回路(以下、温度センサIC)のチップ内部に発振回路を設け、発振回路の出力で回路を例えば25Hz〜100Hzのような周期で間欠動作させることにより消費電流の低減を図ることについて検討した。その結果、発振回路を内蔵した温度センサICにあっては、回路が間欠動作するため、ICの評価および検査が困難になることが明らかとなった。
【0005】
そこで、図6に示すように、コンパレータ13に入力される温度検出回路11の出力電圧を外部へ出力するための端子と、基準電圧回路12により生成される基準電圧を外部へ出力するための端子を設けることを考えた。このような端子を設けることにより、これらの出力端子に平滑回路を接続して平滑された電圧を監視することで簡易なICの評価と検査が行える。また、チップをパッケージに封入した後においても検査が行えるという利点がある。
【0006】
しかし、図6に示す温度センサICは、外部端子数が多くなりチップサイズの増大を招くとともに、外部に平滑回路を接続しなければならないという不具合がある。また、温度検出回路と基準電圧回路の出力電圧には、発振回路の動作に伴うスイッチングノイズが乗るおそれがあり、測定の精度が低下するといった課題がある。一方、上記のような外部端子を設けずにICの評価および検査を行うには、温度調節機能を備えた恒温槽などが必要となり、大幅にコストと時間が増加するという課題がある。
【0007】
そこで、図7に示すように、モード切替え信号MDを入力するための端子TMと、該端子の入力信号MDと発振回路16の論理をとるORゲートG0を設けて、外部からのモード切替え信号MDによって発振回路16の出力いかんにかかわらず内部回路を活性化するとともに、温度検出回路11により生成される温度センサ電圧を直接出力する端子VTMPを設け、温度検出回路11の出力の代わりに外部端子VTMPからコンパレータ13へ温度センサ電圧に相当する電圧を印加することを検討した。
【0008】
なお、図8に、図7に示す温度センサICにおける各部の電位波形の変化を示す。このタイミングチャートでは、タイミングt1で外部端子TMに印加される電圧がハイレベルに変化してテストモードへ移行している。
図7に示す温度センサICにあっては、外部端子DETから、コンパレータ13へ設定温度に相当する温度センサ電圧を入力することで、恒温槽などを使用せずに内部回路の評価および検査を行うことができるという利点があるものの、テストモードへ移行させる信号MDを入力するためにのみ使用する端子TMを設けており、外部端子数が必要以上に多くなるという課題がある。
【0009】
本発明は上記のような背景の下になされたもので、その目的とするところは、消費電流を抑えるため間欠動作するようにした温度検出用半導体集積回路において、外部端子を増加させることなく回路の評価および検査を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、
1つの半導体チップ上に半導体集積回路として形成された温度検出用半導体集積回路であって、
周囲温度を検知し、検知した温度に応じた電圧を出力する温度検出回路と、
予め設定した温度に対応する基準電圧を生成する基準電圧回路と、
前記温度検出回路の出力と前記基準電圧とを比較する電圧比較回路と、
前記温度検出回路と、前記基準電圧回路と、前記電圧比較回路とを周期的に活性化させるための信号を生成する発振回路と、
前記電圧比較回路の出力に対応した信号を出力する外部端子と、
前記外部端子に負電位が印加されたことを検知可能であって、負電位が印加されたことを検知した場合に、前記温度検出回路と、前記基準電圧回路と、前記電圧比較回路を活性化させる信号を生成する制御回路と、
前記制御回路が前記活性化信号を出力し、かつ前記温度検出回路の出力が前記基準電圧を超えたことに応じて前記電圧比較回路の出力が変化した場合に電流を流す電流回路と、を備えるように構成した。
【0011】
上記のような手段によれば、電圧比較回路の出力に対応した信号を出力する外部端子に負電位を印加すると、発振回路の出力いかんにかかわらず制御回路が活性化信号を出力して温度検出回路と基準電圧回路と電圧比較回路を活性化する。そして、温度検出回路の出力が基準電圧を超えたと判定すると電圧比較回路の出力が変化して電流回路が電流を流すため、チップの外部でチップ電流を測定することによって温度検出回路が正常に動作するかどうかの評価および検査が行うことができる。つまり、外部端子を増加させることなく温度検出用半導体集積回路の評価および検査が行うことができる。
【0012】
ここで、望ましくは、
前記電圧比較回路の出力に対応した信号を出力する出力回路と、
前記外部端子にドレイン端子またはコレクタ端子が接続されるとともにソース端子またはエミッタ端子が接地電位端子に接続され、ゲート端子またはベース端子が前記出力回路の出力によって制御されるトランジスタと、
前記外部端子にカソード端子が接続され、アノード端子が前記制御回路に接続されたダイオードと、を備え、
前記制御回路は、前記外部端子に負電位が印加された場合に前記ダイオードに流れる電流を検出して前記活性化信号を出力するように構成する。
【0013】
これによって、電圧比較回路の出力に対応した信号を出力する外部端子に正の電圧のみが印加される通常動作状態では制御回路が活性化信号を生成することがない一方、該外部端子に負電位が印加された場合にはこれを制御回路が検知して活性化信号を生成して、チップ内部を検査モードに移行させることができる。
【0014】
また、望ましくは、前記電圧比較回路の出力が所定時間以上継続した場合に出力を変化させる遅延回路を備えるように構成する。
遅延回路を備えることによって、周囲温度のゆらぎによって一時的に温度検出回路の出力が基準電圧を超えたような場合には電流回路に電流が流れないようにすることができ、その結果、より正確な評価および検査が行うことができる。
【0015】
さらに、望ましくは、前記温度検出回路から出力される電圧をチップ外部へ出力可能な第2外部端子を備え、前記温度検出回路の出力電圧が直接前記第2外部端子へ出力されるように構成する。
これによって、チップをパッケージに封入した後においても、温度検出回路の出力に相当する電圧を外部から第2外部端子を介して電圧比較回路に入力して、温度検出回路が正常に動作するかの評価および検査が行うことができる。
【0016】
また、望ましくは、前記温度検出回路から出力される電圧が入力される前記電圧比較回路の入力端子もしくは入力ノードに接続され、外部から電圧を印加可能な電極を備えるように構成する。
外部から電圧を印加可能な電極を備えることによって、温度調節機能を有する恒温槽を使用することなく、温度検出回路が正常に動作するかの評価および検査が行うことができる。
【0017】
さらに、望ましくは、前記温度検出回路から出力される電圧をチップ外部へ出力可能な第2外部端子を備え、前記温度検出回路の出力電圧がバッファを介して前記第2外部端子へ出力されるように構成する。
これによって、電源リップルによる影響を受けにくい温度検出用半導体集積回路を実現することができる。また、第2外部端子を備えることによって、チップをパッケージに封入した後においても、該第2外部端子より出力される温度検出回路の出力電圧を測定することで、温度検出回路が正常に動作するか否かの簡易な評価および検査が行うことができる。
【0018】
さらに、望ましくは、前記基準電圧回路により生成された基準電圧をチップ外部へ出力可能な外部端子を備えるように構成する。
基準電圧をチップ外部へ出力可能な外部端子を備えることによって、チップをパッケージに封入した後においても、該外部端子より出力される基準電圧を測定することで、回路が正常に動作するか否かの簡易な評価および検査が行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従うと、消費電流を抑えるため間欠動作するようにした温度検出用半導体集積回路において、外部端子を増加させることなく回路の評価および検査が行えるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る温度センサICの第1の実施例を示す構成図である。
【図2】図1の温度センサICの通常動作時の各部の電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【図3】図1の温度センサICの検査時の各部の電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【図4】実施形態の温度センサICの第1の変形例を示す構成図である。
【図5】実施形態の温度センサICの第2の変形例を示す構成図である。
【図6】本発明に先立って検討した温度センサICの一例を示す構成図である。
【図7】本発明に先立って検討した他の温度センサICを示す構成図である。
【図8】図7の温度センサICの検査時の各部の電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る温度検出半導体集積回路(温度センサIC)の一実施形態を示す。この温度センサICは、周囲温度が所定の設定温度以上になった場合にロウレベルからハイレベルに切り替わる信号を出力する端子DETを備えており、機器の動作を停止させるためのサーマルシャットダウン回路として利用することができる。
【0022】
図1に示す温度センサICは、温度検出素子などを備え周囲温度を検出して温度に応じた電圧を出力する温度検出回路11と、設定温度に対応された基準電圧Vrefを生成する基準電圧回路12と、該基準電圧回路12により生成された基準電圧Vrefと温度検出回路11より出力された電圧とを比較する電圧比較回路としてのコンパレータ13と、該コンパレータ13の出力が所定時間(tnoise)以上ハイレベルを継続した場合に検出信号を生成し出力する遅延回路14と、該遅延回路14からの信号を外部端子DECへ出力するための出力回路15と、内部回路の活性化タイミングを与える信号を生成する発振回路16とを備える。そして、これらの回路11〜16を構成する素子が、単結晶シリコンのような1個の半導体チップ上に形成されて半導体集積回路(IC)として構成されている。
【0023】
ここで、上記発振回路16から出力される信号は、その周波数が温度に応じて変化もしくは切り替えられ、例えば常温では25Hz、高温では100Hzの周波数を有し、デューティが25Hzで10%程度のパルス幅を有するパルス信号として形成される。そして、このパルス信号のハイレベルの期間が、内部回路が動作する期間とされる。
また、図1の温度センサICは、上記端子DETの他に電源電圧が印加される電源端子VDDと、接地電位が印加されるグランド端子GNDと、温度検出回路の出力電圧をチップ外部へ出力するための端子VTMPを外部端子として備える。
上記コンパレータ13は、周囲温度の微変動や温度検出回路11の出力に乗ったノイズによる誤判定を防止するため、ヒステリシスを持つコンパレータが使用される。ヒステリシス・コンパレータの代わりに、コンパレータ13の出力に応じて基準電圧回路12により生成される基準電圧Vrefを切り替えて、見かけ上、コンパレータがヒステリシスを持つように構成しても良い。
【0024】
さらに、図1の温度センサICには、上記端子DETにドレイン端子が接続されソース端子がグランド端子GNDに接続され、ゲート端子に出力回路15からの信号を受けてオープンドレイン方式で外部出力を行うMOSトランジスタ(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)M0を備える。また、端子DETにカソード端子が接続されたダイオードD0と、該ダイオードD0のアノード端子に接続され端子DETに負電位が印加されたことを検出してハイレベルのモード切替え信号MDを出力するモード制御回路17と、該モード制御回路17の出力と上記発振回路16の出力との論理和をとるORゲートG0とが設けられ、ORゲートG0の出力が活性化信号として内部回路(11,12,13,14,15等)に供給されるように構成されている。モード制御回路17は、常時オン状態としてもよいし、電源電圧が印加された状態で端子DETに負電位が印加されると動作するものでも良い。
【0025】
また、図1の温度センサICには、電源端子VDDとグランド端子GNDとの間に、モード制御回路17の出力によってオン、オフされるスイッチSW1と、電流を制限しつつ電流経路を形成する抵抗R0と、コンパレータ13の出力によってオン、オフされるスイッチSW2とが直列形態に接続されている。スイッチSW1、抵抗R0およびスイッチSW2の接続順序は、図1に示すものに限定されず、任意の順序で接続することができる。スイッチSW1とSW2は、バイポーラトランジスタあるいはMOSトランジスタなどにより構成することができる。抵抗R0の代わりに電流を消費する適用なダミー回路を設けても良い。
【0026】
この実施例の温度センサICにおいては、端子DETに負電位が印加されるとダイオードD0を通して端子DETからチップ外部へ電流が流れる。モード制御回路17には、該電流を検出してハイレベルのモード切替え信号MDを出力する機能が設けられている。そして、モード制御回路17からハイレベルの信号MDが出力されると、発振回路16の出力にかかわらずORゲートG0の出力がハイレベルに固定され、連続して内部回路が活性化される試験モードとなる。そして、この試験モードでは、信号MDによってスイッチSW1がオン状態にされる。これにより、ICが正常に動作するか否かの検査が容易に行えるようになる。
【0027】
具体的には、周囲温度と温度検出回路11の出力電圧との関係が予め分かっているので、試験モードにおいては、外部端子VTMPからコンパレータ13へ検出設定温度に対応する電圧を印加する。すると、回路が正常であれば、コンパレータ13の出力がハイレベルに変化してスイッチSW2がオンしてICの電流が増加するので、この電流を測定することでコンパレータ13の出力が切り替わったか否か判定することができる。なお、図1では、便宜的にコンパレータ13の出力でスイッチSW2を制御しているが、出力回路15の出力でスイッチSW2を制御するように構成しても良い。これにより、回路12〜15が正常に動作するか否かを検査することができる。
【0028】
次に、この実施例の温度センサICの動作を、図2および図3を用いて説明する。図2は通常動作時の各部の電位波形の変化を、また、図3は試験動作時の各部の電位波形の変化を示す。なお、図2(a)は周囲温度Taの変化、図2(b)は温度検出回路11の出力電圧と基準電圧Vrefの変化、図2(c)はチップ電流IDDの変化、図2(d)は端子DETの電位の変化を示す。図2(a)、(b)から分かるように、この実施例では、温度検出回路11は、温度が高いほど低い電圧を出力し、温度が低くなるほど高い電圧を出力するように構成されている。
【0029】
端子DETに外部から負電圧が印加されていない通常動作時には、発振回路16から周期的な活性化信号(パルス)が出力されることに応じて内部回路が動作して、図2(c)に示すように、周期的に所定のチップ電流IDDが流れる。そして、図2(a)のタイミングt0のように周囲温度Taが予め設定した温度Tdを超えるとコンパレータ13の出力が変化し、それが所定の遅延時間tnoise以上継続していると、出力回路15の出力信号が変化して、図2(d)のように、タイミングt0のtnoise後に端子DETの電位がロウレベルからハイレベルに変化する。これにより、サーマルシャットダウン信号が得られる。
【0030】
ここで、コンパレータ13の出力が変化すると、基準電圧Vrefが低い電位から高い電位に切り替えられる。また、コンパレータ13の出力がハイレベルからロウレベルに変化すると、基準電圧Vrefが高い電位から低い電位に切り替えられる。つまり、基準電圧Vrefの切り替えでコンパレータ13にヒステリシスが付与される。
コンパレータ13の出力がハイレベルに変化した後、周囲温度Taが下がっても直ちに端子DETの電位は変化せず、タイミングt1のように、Taが設定温度TdよりもΔThだけ低い温度以下になると、コンパレータ13の出力が変化し、出力回路15の出力信号が直ちに変化して端子DETの電位がハイレベルからロウレベルに変化する。なお、遅延回路14が設けられているため、符号t2で示す期間のように、周囲温度Taが設定温度Tdを一時的(t2<tnoise)に超えたとしても、コンパレータ13の出力は変化せず端子DETの電位もロウレベルを維持する。
【0031】
次に、温度センサICの検査時の動作を、図3のタイミングチャートを用いて説明する。
図3(c)のように、端子DETに外部から負電圧が印加されたとすると、制御回路17の出力信号がハイレベルに変化して内部回路が連続して活性化されるテストモードに入る(タイミングt4)。このとき図1のスイッチSW1はオン状態にされる。そして、このモードで、周囲温度Taが予め設定した温度Tdを超える、もしくはそれにより温度検出回路11から出力される電圧に相当する電圧が外部端子VTMPに印加され、それがコンパレータ13へ入力されると、コンパレータ13の出力がハイレベル変化して、スイッチSW2がオン状態にされ、抵抗R0に電流が流されることで図3(d)のタイミングt5のように、チップ電流IDDが増加される。
【0032】
なお、この場合にも、コンパレータ13の出力が変化すると、基準電圧Vrefが低い電位から高い電位に切り替えられる。そして、その後、タイミングt6のように、周囲温度Taが設定温度TdよりもΔThだけ低い温度以下になる、もしくはそれに相当する電圧が外部端子VTMPがコンパレータ13へ入力されると、コンパレータ13の出力が変化して、スイッチSW2がオフ状態にされ、抵抗R0に流れる電流が遮断されることでチップ電流IDDが減少される。また、コンパレータ13の出力が変化すると、基準電圧Vrefが高い電位から低い電位に切り替えられる。
そのため、電源端子VDDまたはグランド端子GNDに接続されたチップ外部の電流計でこの電流を測定することで、内部回路(12,13)が正常に動作したか否か判定することできる。
【0033】
次に、本実施形態の温度センサICの変形例を、図4及び図5を用いて説明する。
図1の温度センサIC10においては、外部端子VTMPより、温度検出回路11から出力される温度に応じた電圧に相当する電圧をコンパレータ13へ入力可能に構成されていたのに対し、図4に示す第1の変形例は、温度検出回路11の出力をバッファ18を介して外部端子VTMPへ出力する一方、コンパレータ13へ温度検出回路11の出力に相当する電圧を入力可能にするためのパッドP0を設けたものである。なお、このパッドP0は、チップを封入するパッケージに設けられる外部端子に接続されないパッドとして設けられている。
【0034】
図1の温度センサIC10は、温度検出回路11の出力を直接外部端子VTMPへ出力する構成であることにより、電源リップルの影響を受け易いという不具合があるのに対し、図4に示す変形例の温度センサIC10においては、バッファ18を介して温度検出回路11の出力を外部端子VTMPへ出力するため、電源リップルの影響を受けにくくすることができるという利点がある。また、パッドP0を設けているため、図1の温度センサIC10において説明したのと同様に、端子DETに負電位を印加してテストモードに移行させた状態でパッドP0から温度検出回路11の出力に相当する電圧を入力することによって、恒温槽を使用しないで検査が可能である。
【0035】
図5に示す第2の変形例は、図4の温度センサIC10に対してさらに基準電圧回路12により生成された基準電圧Vrefをチップ外部へ出力するための端子VRを設けるとともに、バッファ18を省いたものである。
図4に示す温度センサIC10においては、コンパレータ13へ温度検出回路11の出力に相当する電圧を入力可能にするための端子を、パッドP0として設けているとともに、バッファ18を介して温度検出回路11の出力を外部端子VTMPへ出力するようにしている。そのため、パッケージ封入前は上述したようなテストモードに移行させた上で、パッドP0から温度センサ電圧を印加することで正確な検査を行うことができるが、チップをパッケージに封入した後は温度センサ電圧を入力できないので、恒温槽を使用しないと正確な検査を行うことができない。
【0036】
これに対し、図5の変形例の場合には、封入前はテストモードに移行させた上で、外部端子VTMPから温度センサ電圧を入力することで正確な検査を行うことができる。また、チップをパッケージに封入した後においても、端子DETに負電位を印加してテストモードに移行させ、外部端子VRに出力された基準電圧Vrefおよび外部端子VTMPへ出力された温度検出回路11の出力電圧を測定することで、恒温槽を使用しないでも回路が正常に動作するか否か判定する簡易な検査を行うことができるという利点がある。
また、図5の変形例の場合には、外部端子VRとVTMPの出力は連続した出力となるので、図6に示すような平滑回路を用いることなく簡易検査が可能となる。
【0037】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態の温度センサIC10では、温度検出信号を出力するために出力端子DETにドレイン端子が接続されたMOSトランジスタを設けているが、コレクタ端子が出力端子DETに接続されたバイポーラトランジスタを使用しても良い。
また、前記実施形態では、周囲温度を検知し、検知した温度に応じた電圧を出力する温度検出回路11が、温度に反比例して変化するような電圧を出力するように構成されているものを使用した例を説明したが、温度検出回路11は温度に比例して変化するような電圧を出力するものであってもよい。
さらに、前記実施形態では、コンパレータ13の出力を、遅延回路14および出力回路15を介して出力しているが、コンパレータ13の出力または遅延回路14の出力でMOSトランジスタM0を駆動して出力するようにしても良い。
【0038】
また、前記実施形態の温度センサIC10においては、テストモード中に連続して端子DETに負電位を印加するようにしているが、例えば制御回路17の後段にラッチ回路を設けるとともに発振回路16の出力を計数するカウンタを設けて、該カウンタがカウントアップするとラッチを解除するように構成しておく。そして、端子DETには負のパルスを周期的に入れるようにして、端子DETに負のパルスが印加されていない期間に出力回路15の出力を端子DETによって測定可能にする。つまり、端子DETを、テストモードへの切り替えのための信号の入力端子または測定端子として、時分割で使用するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 温度センサIC
11 温度検出回路
12 基準電圧回路
13 コンパレータ(電圧比較回路)
14 遅延回路
15 出力回路
16 発振回路
17 制御回路
18 バッファ
P0 パッド(電極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの半導体チップ上に半導体集積回路として形成された温度検出用半導体集積回路であって、
周囲温度を検知し、検知した温度に応じた電圧を出力する温度検出回路と、
予め設定した温度に対応する基準電圧を生成する基準電圧回路と、
前記温度検出回路の出力と前記基準電圧とを比較する電圧比較回路と、
前記温度検出回路と、前記基準電圧回路と、前記電圧比較回路とを周期的に活性化させるための信号を生成する発振回路と、
前記電圧比較回路の出力に対応した信号を出力する外部端子と、
前記外部端子に負電位が印加されたことを検知可能であって、負電位が印加されたことを検知した場合に、前記温度検出回路と、前記基準電圧回路と、前記電圧比較回路を活性化させる信号を生成する制御回路と、
前記制御回路が前記活性化信号を出力し、かつ前記温度検出回路の出力が前記基準電圧を超えたことに応じて前記電圧比較回路の出力が変化した場合に電流を流す電流回路と、
を備えることを特徴とする温度検出用半導体集積回路。
【請求項2】
前記電圧比較回路の出力に対応した信号を出力する出力回路と、
前記外部端子にドレイン端子またはコレクタ端子が接続されるとともにソース端子またはエミッタ端子が接地電位端子に接続され、ゲート端子またはベース端子が前記出力回路の出力によって制御されるトランジスタと、
前記外部端子にカソード端子が接続され、アノード端子が前記制御回路に接続されたダイオードと、を備え、
前記制御回路は、前記外部端子に負電位が印加された場合に前記ダイオードに流れる電流を検出して前記活性化信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度検出用半導体集積回路。
【請求項3】
前記電圧比較回路の出力が所定時間以上継続した場合に出力を変化させる遅延回路を備えることを特徴とする請求項2に記載の温度検出用半導体集積回路。
【請求項4】
前記温度検出回路から出力される電圧をチップ外部へ出力可能な第2外部端子を備え、前記温度検出回路の出力電圧が直接前記第2外部端子へ出力されるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の温度検出用半導体集積回路。
【請求項5】
前記温度検出回路から出力される電圧が入力される前記電圧比較回路の入力端子もしくは入力ノードに接続され、外部から電圧を印加可能な電極を備えることを特徴とする請求項3に記載の温度検出用半導体集積回路。
【請求項6】
前記温度検出回路から出力される電圧をチップ外部へ出力可能な第2外部端子を備え、前記温度検出回路の出力電圧がバッファを介して前記第2外部端子へ出力されるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の温度検出用半導体集積回路。
【請求項7】
前記基準電圧回路により生成された基準電圧をチップ外部へ出力可能な外部端子を備えることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の温度検出用半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−62400(P2013−62400A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200348(P2011−200348)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】