溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法
【課題】 電気的特性および信頼性に優れた溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 層間絶縁膜74上に所定の回路パターンを有するレジスト膜75bを形成し、レジスト膜75bをマスクとしてエッチング処理し、層間絶縁膜74にビア78aを形成する。このエッチング処理によって層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側面部をシリル化処理し、ビア78aの側面部をエッチング処理によるダメージから回復させる。その後、ビア78aに金属を埋め込み、その表面を平坦化する。
【解決手段】 層間絶縁膜74上に所定の回路パターンを有するレジスト膜75bを形成し、レジスト膜75bをマスクとしてエッチング処理し、層間絶縁膜74にビア78aを形成する。このエッチング処理によって層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側面部をシリル化処理し、ビア78aの側面部をエッチング処理によるダメージから回復させる。その後、ビア78aに金属を埋め込み、その表面を平坦化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シングルダマシン法やデュアルダマシン法によって形成される、溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、溝配線または接続孔の形成にデュアルダマシン法が多用されている(例えば、特許文献1参照)。図20に従来のデュアルダマシン法によるCu配線の形成方法の一例を模式的に示す説明図を示す。
【0003】
先ず、基板上に、例えば、配線層500、層間絶縁膜501、反射防止膜502が下から順に形成され、その多層膜構造の表面に第1のレジスト膜503が形成される(図20(a))。次いで第1のレジスト膜503がフォトリソグラフィー技術により所定のパターンにパターンニングされる(図20(b))。このパターニング工程では、第1のレジスト膜503が所定のパターンで露光され、その露光部が現像により選択的に除去される。続いて、この第1のレジスト膜503をマスクとしたエッチング処理により、反射防止膜502と層間絶縁膜501が蝕刻される。これにより多層膜構造の表面から配線層500に通じる接続孔504が形成される(図20(c))。
【0004】
続いて、例えば、アッシング処理により不要となった第1のレジスト膜503が剥離除去され(図20(d))、代わって配線溝を形成するための新たな第2のレジスト膜505が形成される(図20(e))。第2のレジスト膜505はフォトリソグラフィー技術によりパターニングされ(図20(f))、その後、第2のレジスト膜505をマスクとしたエッチング処理により、反射防止膜502と層間絶縁膜501の一部が蝕刻される。こうして接続孔504に連通し接続孔504よりも幅の広い配線溝506が形成される(図20(g))。不要となった第2のレジスト膜505は剥離除去され(図20(h))、接続孔504と配線溝506の中にCu材料が埋め込まれて、Cu配線507が形成される(図20(i))。
【0005】
このような溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法において、パターニングされた第1のレジスト膜503および第2のレジスト膜505をエッチングマスクとして、メチル基等のアルキル基を末端基として有する低誘電率材料(Low−k材料)からなる層間絶縁膜501をエッチングすると、形成された接続孔504や配線溝506の溝側面部にはエッチングによるダメージが残る。また、エッチング処理後に第1のレジスト膜503および第2のレジスト膜505を除去する際にも、接続孔504や配線溝506の溝側面部がダメージを受ける。このようなダメージは、近時、半導体装置における回路パターンの微細化と高集積化が進む中で、誘電率の上昇による配線間の寄生容量増大に起因する信号遅延や絶縁抵抗の低下等の電気的特性の低下およびこれにともなう半導体装置の信頼性の低下を招く原因となっている。
【特許文献1】特開2002−83869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電気的特性および信頼性に優れた溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点によれば、被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチング処理によって前記被エッチング膜に形成された溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチング処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0008】
本発明の第2の観点によれば、被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングマスクの除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0009】
本発明の第3の観点によれば、被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記エッチングマスク除去処理後の残渣を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記残渣処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0010】
本発明の第4の観点によれば、エッチングストッパ膜上に被エッチング膜を形成する工程と、
前記被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔が形成されることによって前記エッチングストッパ膜において露出した部分を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングストッパ膜の除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0011】
本発明の第5の観点によれば、基板に対し、成膜処理を行なう成膜装置と、レジスト塗布処理および現像処理を行なうレジスト塗布・現像装置と、露光処理を行なう露光装置と、洗浄処理を行なう洗浄処理装置と、レジストの除去を行なうアッシング装置と、エッチングを行なうエッチング装置と、研磨処理を行なう研磨装置と、これらの装置を用い、上記第1から第4のいずれかの観点の半導体装置の製造方法が行なわれるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理システム、が提供される。
【0012】
本発明の第6の観点によれば、コンピュータ上で動作し、実行時に、上記第1から第4のいずれかの観点の半導体装置の製造方法が行なわれるように、複数の半導体製造装置を制御することを特徴とする制御プログラム、が提供される。
【0013】
本発明の第7の観点によれば、コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、上記第1から第4のいずれかの観点の半導体装置の製造方法に用いられる複数の半導体製造装置を制御することを特徴とするコンピュータ記憶媒体、が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溝配線または接続孔を形成する過程で被エッチング膜においてダメージを受けた部分を、そのダメージから回復させることができるので、電気的特性が改善される。これによって信頼性に優れた半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここでは、シングルダマシン法やデュアルダマシン法により半導体装置を製造するウエハ処理システムを取り上げ、このウエハ処理システムにより溝配線または接続孔(以下「溝配線等」という)を有する半導体装置を製造する方法について説明する。
【0016】
図1にウエハ処理システムの概略構成を示す説明図を示す。このウエハ処理システムは、SOD(Spin On Dielectric)装置101と、レジスト塗布/現像装置102と、露光装置103と、洗浄処理装置104と、アッシング装置105と、エッチング装置106と、PVD装置の1つであるスパッタ装置107と、電解メッキ装置108と、研磨装置としてのCMP装置109と、を備えた処理部110と、プロセスコントローラ111、ユーザーインターフェース112、記憶部113を含むメイン制御部120を備えている。ここで、処理部110のSOD装置101とスパッタ装置107と電解メッキ装置108は、成膜装置である。なお、処理部110の装置間でウエハWを搬送する方法としては、オペレータによる搬送方法や、図示しない搬送装置による搬送方法が用いられる。
【0017】
処理部110の各装置は、CPUを備えたプロセスコントローラ111に接続されて制御される構成となっている。プロセスコントローラ111には、工程管理者が処理部110の各装置を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、処理部110の各装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース112と、処理部110で実行される各種処理をプロセスコントローラ111の制御にて実現するための制御プログラムや処理条件データ等が記録されたレシピが格納された記憶部113と、が接続されている。
【0018】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース112からの指示等を受けて、任意のレシピを記憶部113から呼び出してプロセスコントローラ111に実行させることで、プロセスコントローラ111の制御下で、処理部110において所望の各種処理が行われる。また、前記レシピは、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、不揮発性メモリなどの読み出し可能な記憶媒体に格納された状態のものを利用したり、あるいは、処理部110の各装置間、あるいは外部の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
なお、メイン制御部120による全体的な制御は行なわず、あるいは、メイン制御部120による全体的な制御と重畳的に、処理部110の各装置毎にプロセスコントローラ、ユーザーインターフェースおよび記憶部を含む制御部を個別に配備して制御を行なう構成を採用することもできる。
【0019】
SOD装置101は、ウエハWに薬液を塗布してlow−k膜等の層間絶縁膜やエッチングストッパ膜等をスピンコート法により形成するために用いられる。SOD装置101の詳細な構成は図示しないが、SOD装置101は、スピンコーターユニットと、塗布膜が形成されたウエハWを熱処理する熱処理ユニットを備えている。ウエハ処理システムでは、SOD装置101に代えて、化学気相蒸着法(CVD;chemical vapor deposition)法によりウエハWに絶縁膜等を形成するCVD装置を用いてもよい。
【0020】
レジスト塗布/現像装置102は、エッチングマスクとして用いられるレジスト膜や反射防止膜等を形成するために用いられる。レジスト塗布/現像装置102の詳細な構成は図示しないが、レジスト塗布/現像装置102は、ウエハWにレジスト液等を塗布してレジスト膜等をスピンコート成膜するレジスト塗布処理ユニットと、露光装置103において所定のパターンで露光されたレジスト膜を現像処理する現像処理ユニットと、レジスト膜が成膜されたウエハWや露光処理されたウエハW、現像処理が施されたウエハWをそれぞれ熱的に処理する熱的処理ユニット等を有している。
【0021】
露光装置103は、レジスト膜が形成されたウエハWに所定の回路パターンを露光するために用いられる。洗浄処理装置104では、後に詳細に説明するように、純水や薬液による洗浄処理、エッチング処理後のポリマー残渣等の変性処理、層間絶縁膜のエッチングによるダメージからの回復処理が行われる。アッシング装置105では、例えば、プラズマによりレジスト膜が灰化処理される。
【0022】
エッチング装置106では、ウエハW上に形成された層間絶縁膜等にエッチング処理が施され、また、層間絶縁膜のエッチングによるダメージからの回復処理が行われる。エッチング処理は、プラズマを利用するものであってもよく、薬液を用いるものであってもよい。後に、図6を参照しながらプラズマを利用したものについて説明する。スパッタ装置107では、例えば、拡散防止膜やCuシードが形成される。電解メッキ装置108ではCuシードが形成された溝配線等にCuが埋め込まれ、CMP装置109ではCuが埋め込まれた溝配線等の表面の平坦化処理が行われる。
【0023】
次に洗浄処理装置104について詳細に説明する。図2は洗浄処理装置104の概略平面図であり、図3はその概略正面図であり、図4はその概略背面図である。洗浄処理装置104は、ウエハWが収容されたキャリアが他の処理装置等から順次搬入され、逆に洗浄処理装置104における処理の終了したウエハWを収容したキャリアを次の処理を行う処理装置等へ搬出するためのキャリアステーション4と、洗浄処理や変性処理、回復処理をそれぞれ行う複数の処理ユニットが設けられた処理ステーション2と、処理ステーション2とキャリアステーション4との間でウエハWの搬送を行う搬送ステーション3と、処理ステーション2で使用する薬液や純水、ガス等の製造、調製、貯留を行うケミカルステーション5と、を具備している。
【0024】
キャリアCの内部において、ウエハWは略水平姿勢で鉛直方向(Z方向)に一定の間隔で収容されている。このようなキャリアCに対するウエハWの搬入出はキャリアCの一側面を通して行われ、この側面は蓋体10a(図2には図示せず。図3および図4に蓋体10aが取り外された状態を示す)によって開閉自在となっている。
【0025】
図2に示すように、キャリアステーション4は、図中Y方向に沿って3箇所にキャリアCを載置できる載置台6を有している。キャリアCは蓋体10aが設けられた側面がキャリアステーション4と搬送ステーション3との間の境界壁8a側を向くようにして載置台6に載置される。境界壁8aにおいてキャリアCの載置場所に対応する位置には窓部9aが形成されており、各窓部9aの搬送ステーション3側には窓部9aを開閉するシャッタ10が設けられている。このシャッタ10はキャリアCの蓋体10aを把持する把持手段(図示せず)を有しており、図3および図4に示すように、蓋体10aを把持した状態で搬送ステーション3側に、蓋体10aを退避させることができるようになっている。
【0026】
搬送ステーション3に設けられたウエハ搬送装置7はウエハWを保持可能なウエハ搬送ピック7aを有している。ウエハ搬送装置7は搬送ステーション3の床にY方向に延在するように設けられたガイド(図3および図4参照)7bに沿ってY方向に移動可能である。また、ウエハ搬送ピック7aは、X方向にスライド自在であり、かつ、Z方向に昇降自在であり、かつ、X−Y平面内で回転自在(θ回転)である。
【0027】
このような構造により、キャリアCの内部と搬送ステーション3とが窓部9aを介して連通するようにシャッタ10を退避させた状態において、ウエハ搬送ピック7aは、載置台6に載置された全てのキャリアCにアクセス可能であり、キャリアC内の任意の高さ位置にあるウエハWをキャリアCから搬出することができ、逆にキャリアCの任意の位置にウエハWを搬入することができる。
【0028】
処理ステーション2は、搬送ステーション3側に2台のウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bを有している。例えば、ウエハ載置ユニット(TRS)13bは搬送ステーション3からウエハWを受け入れる際にウエハWを載置するために用いられ、ウエハ載置ユニット(TRS)13aは処理ステーション2において所定の処理が終了したウエハWを搬送ステーション3に戻す際にウエハWを載置するために用いられる。
【0029】
処理ステーション2においてはファンフィルターユニット(FFU)25から清浄な空気がダウンフローされるようになっており、処理ステーション2において処理の終了したウエハWを上段のウエハ載置ユニット(TRS)13aに載置することにより、処理ステーション2における処理後のウエハWの汚染が抑制される。
【0030】
搬送ステーション3と処理ステーション2との間の境界壁8bにおいて、ウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bの位置に対応する部分には窓部9bが設けられている。ウエハ搬送ピック7aは、この窓部9bを介してウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bにアクセス可能であり、キャリアCとウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bとの間でウエハWを搬送する。
【0031】
処理ステーション2の背面側には、エッチング処理やアッシング処理後のポリマー残渣等をオゾン(O3)と水蒸気を含むガス(以下「変性処理ガス」という)のこれら分子によって変性させる変性処理ユニット(VOS)15a〜15fが配置されている。ここで「変性」とは、ポリマー残渣等がウエハW上に残った状態で純水や薬液に溶解する性質に変化することをいう。また、レジスト膜をアッシング処理によって灰化して除去することなく、この変性処理ユニット(VOS)15a〜15fにおいて変性処理ガスで処理して水溶性に変性させることもできる。
【0032】
この変性処理ユニット(VOS)15a〜15fの詳細な構造については図示しないが、これらはそれぞれ、上下分割式かつ密閉式でその内部にウエハWを収容するための円盤状の空間が形成されるチャンバを有している。このチャンバの内部には、その表面にウエハWを水平姿勢で支持するためのプロキシミティピンが設けられ、その内部にヒータが埋設されたウエハ載置ステージが設けられている。また、このチャンバの円盤状空間内を変性処理ガスが略水平方向に流れるようになっている。
【0033】
変性処理ユニット(VOS)15a・15dの上には、アッシング処理や洗浄処理等によってダメージを受け、または親水性表面となった層間絶縁膜の、そのダメージ部分をダメージ等から回復させるためにシリル化処理するシリル化ユニット(SCH)11a・11bが設けられている。
【0034】
図5にシリル化ユニット(SCH)11aの概略構造を示す断面図を示す。シリル化ユニット(SCH)11aは、ウエハWを収容するチャンバ41を備えており、チャンバ41は、固定された下部容器41aと、下部容器41aを覆う蓋体41bから構成され、蓋体41bは図示しない昇降装置により昇降自在である。下部容器41aにはホットプレート42が設けられており、ホットプレート42の周囲からシリル化剤の一例であるDMSDMA(Dimethylsilyldimethylamine)の蒸気を含む窒素ガスがチャンバ41内に供給されるようになっている。
【0035】
図5では、液体のDMSDMAを気化器43によって気化させて窒素ガスに含有させる構成が示されているが、DMSDMAを気化させたガス(つまりDMSDMA蒸気)のみをチャンバ41に供給する構成としてもよい。後述するように、DMSDMAをチャンバ41内に供給する際には、チャンバ41内は所定の真空度に保持されているので、気化器43とチャンバ41の圧力差を利用して、DMSDMAガスをチャンバ41に導入することは容易に行うことができる。
【0036】
ホットプレート42は、例えば、50℃〜200℃の範囲で温度調節が可能であり、その表面にはウエハWを支持するピン44が設けられている。ウエハWをホットプレート42に直接載置しないことで、ウエハWの裏面の汚染が防止される。下部容器41aの外周部上面には第1シールリング45が設けられており、蓋体41bの外周部下面には、蓋体41bを下部容器41aに押し付けた際に第1シールリング45と接触する第2シールリング46が設けられている。これら第1・第2シールリング45・46間の空間は減圧可能となっており、この空間を減圧することにより、チャンバ41の気密性が確保される。蓋体41bの略中心部には、チャンバ41に供給されたDMSDMAを含む窒素ガスを排気するための排気口47が設けられており、この排気口47は圧力調整装置48を介して、真空ポンプ49に接続されている。
【0037】
処理ステーション2の正面側には、変性処理ユニット(VOS)15a〜15fにおける処理が終了したウエハWに薬液処理や水洗処理を施して、変性したポリマー残渣等を除去する洗浄ユニット(CNU)12a〜12dが配置されている。
【0038】
洗浄ユニット(CNU)12a〜12dの詳細な構造は図示しないが、これらはそれぞれ、ウエハWを略水平姿勢で保持する回転自在なスピンチャックと、スピンチャックを囲繞するカップと、スピンチャックに保持されたウエハWの表面に所定の薬液を供給する薬液ノズルと、純水に窒素ガスを混入させ、その窒素ガスのガス圧を利用してスピンチャックに保持されたウエハWの表面に純水のミストを吐出させる洗浄ノズルと、薬液処理後のウエハWを水洗処理(リンス処理)するためにウエハWに純水を供給するリンスノズルと、水洗処理後のウエハWに乾燥ガスを噴射するガス噴射ノズルと、を備えている。
【0039】
洗浄ユニット(CNU)12a〜12dには、シリコン酸化膜やシリコン酸窒化膜を除去するための希フッ酸等の薬液をウエハWに供給するノズルや、エッチングマスクとして用いられるレジスト膜の剥離処理を行うための剥離液をウエハWに供給するノズルを設けてもよい。
【0040】
さて、先に説明した変性処理ユニット(VOS)15a〜15cと変性処理ユニット(VOS)15d〜15fとはその境界壁22bについて略対称な構造を有しており、シリル化ユニット(SCH)11aとシリル化ユニット(SCH)11bはその境界壁22bについて略対称な構造を有している。同様に、洗浄ユニット(CNU)12a・12bと洗浄ユニット(CNU)12c・12dとが境界壁22aについて略対称な構造を有している。
【0041】
処理ステーション2の略中央部には、処理ステーション2内においてウエハWを搬送する主ウエハ搬送装置14が設けられている。主ウエハ搬送装置14は、ウエハWを搬送するウエハ搬送アーム14aを有している。主ウエハ搬送装置14はZ軸周りに回転自在である。また、ウエハ搬送アーム14aは水平方向で進退自在であり、かつZ方向に昇降自在である。このような構造により、主ウエハ搬送装置14は、それ自体をX方向に移動させることなく、処理ステーション2に設けられた各ユニットにアクセスすることができ、これら各ユニット間でウエハWを搬送することができるようになっている。
【0042】
ケミカルステーション5には、処理ステーション2に設けられた各種処理ユニットにおいて使用される各種薬液が貯留された薬液貯留部16と、薬液貯留部16に貯留された各種薬液を所定の処理ユニットに送液する複数のポンプや開閉バルブからなる送液部17と、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dへ純水を供給する純水供給部18と、各種の処理ユニットに所定のガスを供給するガス供給部19と、を有している。
【0043】
次に、エッチング装置106の構成について説明する。図6にエッチング装置106の概略構造を示す平面図を示す。エッチング装置106は、プラズマエッチング処理を行うためのエッチングユニット51・52と、シリル化ユニット(SCH)53・54を備えており、これらの各ユニット51〜54は六角形をなすウエハ搬送室55の4つの辺にそれぞれ対応して設けられている。また、ウエハ搬送室55の他の2つの辺にはそれぞれロードロック室56・57が設けられている。これらロードロック室56・57のウエハ搬送室55と反対側にはウエハ搬入出室58が設けられており、ウエハ搬入出室58のロードロック室56・57と反対側にはウエハWを収容可能な3つのキャリアCを取り付けるポート59・60・61が設けられている。
【0044】
エッチングユニット51・52およびシリル化ユニット(SCH)53・54およびロードロック室56・57は、同図に示すように、ウエハ搬送室55の各辺にゲートバルブGを介して接続され、これらは各ゲートバルブGを開放することによりウエハ搬送室55と連通され、各ゲートバルブGを閉じることによりウエハ搬送室55から遮断される。また、ロードロック室56・57のウエハ搬入出室58に接続される部分にもゲートバルブGが設けられており、ロードロック室56・57は、これらゲートバルブGを開放することによりウエハ搬入出室58に連通され、これらを閉じることによりウエハ搬入出室58から遮断される。
【0045】
ウエハ搬送室55内には、エッチングユニット51・52、シリル化ユニット(SCH)53・54、ロードロック室56・57に対して、ウエハWの搬入出を行うウエハ搬送装置62が設けられている。このウエハ搬送装置62は、ウエハ搬送室55の略中央に配設されており、回転および伸縮可能な回転・伸縮部63の先端にウエハWを保持する2つのブレード64a・64bを有しており、これら2つのブレード64a・64bは互いに反対方向を向くように回転・伸縮部63に取り付けられている。なお、このウエハ搬送室55内は所定の真空度に保持されるようになっている。
【0046】
ウエハ搬入出室58の天井部には図示しないHEPAフィルタが設けられており、このHEPAフィルタを通過した清浄な空気がウエハ搬入出室58内にダウンフロー状態で供給され、大気圧の清浄空気雰囲気でウエハWの搬入出が行われるようになっている。ウエハ搬入出室58のキャリアC取り付け用の3つのポート59・60・61にはそれぞれ図示しないシャッターが設けられており、これらポート59・60・61にウエハWを収容したまたは空のキャリアCが直接取り付けられ、取り付けられた際にシャッターが外れて外気の侵入を防止しつつウエハ搬入出室58と連通するようになっている。また、ウエハ搬入出室58の側面にはアライメントチャンバ65が設けられており、そこでウエハWのアライメントが行われる。
【0047】
ウエハ搬入出室58内には、キャリアCに対するウエハWの搬入出およびロードロック室56・57に対するウエハWの搬入出を行うウエハ搬送装置66が設けられている。このウエハ搬送装置66は、多関節アーム構造を有しており、キャリアCの配列方向に沿ってレール68上を走行可能となっており、その先端のハンド67上にウエハWを載せてその搬送を行う。ウエハ搬送装置62・66の動作等、システム全体の制御は制御部69によって行われる。
【0048】
シリル化ユニット(SCH)53・54と先に説明したシリル化ユニット(SCH)11a・11bとを比較すると、シリル化ユニット(SCH)53・54では、チャンバ41内に所定濃度の水蒸気を含む窒素ガス(または水蒸気のみ)を供給することができるようになっている点が、シリル化ユニット(SCH)11a・11bと異なり、それ以外の構成はシリル化ユニット(SCH)11a・11bと同じである。このため、シリル化ユニット(SCH)53・54の詳細な構造は改めて図示はしない。
【0049】
エッチング処理やアッシング処理によってダメージを受け、または親水性表面となった層間絶縁膜を大気中に取り出すと、水分が吸着して誘電率が上昇する。そこで、エッチング装置106内でウエハWをエッチング処理した後に、大気中にさらすことなく、次にエッチング装置106内でシリル化処理を行うことで、水分吸着による誘電率の上昇を防止することができる。
【0050】
しかしながら、エッチング装置106では、エッチング処理後のウエハWはエッチングユニット51・52からシリル化ユニット(SCH)53・54へ搬送する間は真空雰囲気の下にあり、エッチングによってダメージを受けた部分は全く吸湿を起こさないために、シリル化反応が起こり難くなるおそれがある。
【0051】
そこで、シリル化ユニット(SCH)53・54では、チャンバ41内に水蒸気を供給可能な構造とし、意図的にダメージ部分に適度な吸湿反応を起こさせて、シリル化反応を容易に進行させることができるようになっている。なお、前述したように、吸湿反応を過剰に進行させるとシリル化反応の進行が逆に抑制されるおそれがあるので、このような反応抑制が起こらないように水蒸気の供給を制御する必要がある。
【0052】
次に、ウエハ処理システムを用いてウエハWに形成された層間絶縁膜に溝配線を形成する方法について説明する。図7にシングルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示すフローチャートを示し、図8に図7に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図を示す。
【0053】
最初に、バリアメタル膜71を介して下部配線(銅配線)72が形成されている絶縁膜70を備え、絶縁膜70の表面に、例えばSiN膜やSiC膜等のストッパ膜73が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備する。このウエハWをSOD装置101に搬入して、そこでストッパ膜73上にlow−k膜等の層間絶縁膜74を形成する(ステップ1、図8(a))。
【0054】
次いで層間絶縁膜74が形成されたウエハWを、レジスト塗布/現像装置102に搬入し、そこで層間絶縁膜74上に反射防止膜75aとレジスト膜75bを逐次形成する。次いで、ウエハWを露光装置103に搬送して、そこで所定のパターンで露光処理する。ウエハWをレジスト塗布/現像装置102に戻して、現像処理ユニットにおいてレジスト膜75bを現像処理することによって、レジスト膜75bに所定の回路パターンを形成する(ステップ2、図8(b))。
【0055】
次いで、ウエハWをエッチング装置106に搬送して、そこでエッチング処理を行う(ステップ3)。これによりストッパ膜73に達するビア78aが層間絶縁膜74に形成される(図8(c))。図8(c)に示す符号79aは、後に詳細に説明するダメージ部である。こうしてエッチング処理が終了したウエハWをアッシング装置105へ搬送し、そこで反射防止膜75aとレジスト膜75bを灰化させるアッシング処理を行う(ステップ4)。
【0056】
アッシング処理が終了したウエハWは洗浄処理装置104へ搬送され、変性処理ユニット(VOS)15a〜15fのいずれかにおいて、エッチング処理やアッシング処理によってウエハWに残存するポリマー残渣等を水溶性に変性させる処理が行われる(ステップ5)。なお、反射防止膜75aとレジスト膜75bを変性処理ユニット(VOS)15a〜15fによる処理で変性させることができる場合には、アッシング処理に代えてこの変性処理を用いてもよい。変性処理が終了したウエハWは、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dのいずれかへ搬送され、そこで変性したポリマー残渣等を除去する(ステップ6、図8(d))。
【0057】
このようにして、エッチング処理やアッシング処理、その後の水洗処理等により、層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側壁がダメージを受ける。具体的には、このようなダメージ部は水分と反応し、ビア78aの側壁近傍におけるメチル基が減少し、水酸基が増加した状態となって誘電率が上昇する。ビア78aの側壁にこのようなダメージ部が形成された状態で、その後にビア78aを金属材料で埋めて溝配線を形成すると、配線間の寄生容量が増大するため、信号遅延や溝配線どうしの間の絶縁性が低下する等の問題が生ずる。図8(c)・(d)では、このようなダメージ部79aを模式的に明示しているが、ダメージ部79aとダメージを受けていない部分との境界は、図8(c)・(d)に示すように明確なものではない。
【0058】
そこで、層間絶縁膜74のダメージ部79aをそのダメージから回復させるために、ウエハWをシリル化ユニット(SCH)11a・11bの一方に搬送し、そこでダメージ部のシリル化処理を行う(ステップ7、図8(e))。シリル化処理の条件は、シリル化剤の種類に応じて選択すればよく、例えば気化器43の温度は室温〜50℃、シリル化剤流量は0.1〜1.0g/min、N2ガス(パージガス)流量は1〜10L/min、処理圧力は666〜95976Pa(5〜720Torr)、ホットプレート42の温度は室温〜200℃などの範囲から適宜設定できる。シリル化剤としてDMSDMAを用いる場合は、例えば、ホットプレート42の温度を100℃とし、チャンバ41内圧力を5Torr(=666Pa)に減圧し、その後DMSDMAの蒸気を含んだ窒素ガスをチャンバ41内圧力が55Torrになるまで供給し、その圧力を維持しながら、例えば3分間保持し、処理する方法が挙げられる。DMSDMAを用いたシリル化反応は、下記化1式で示される。
【0059】
【化1】
【0060】
このようなシリル化処理が終了したウエハWは、エッチング装置106に搬送され、そこでストッパ膜73を除去するためのエッチング処理が行われる(ステップ8、図8(f))。次いで、ウエハWは洗浄処理装置104へ搬送され、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dのいずれかにおいて洗浄処理される(ステップ9)。このようなエッチング処理や洗浄処理によっても、層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側壁がダメージを受け、ダメージ部79bが形成される。そこで、このようなダメージ部79bをそのダメージから回復させるために、ウエハWをシリル化ユニット(SCH)11a・11bの一方に搬送し、そこでシリル化処理を行う(ステップ10、図8(g))。
【0061】
その後、ウエハWをスパッタ装置107へ搬送して、そこでビア78aの内壁にバリアメタル膜およびCuシード層(つまり、メッキシード層)を形成する(ステップ11)。次いで、ウエハWを電解メッキ装置108に搬送して、そこで電解メッキによりビア78aに銅等の金属76を埋め込む(ステップ12)。その後、ウエハWを熱処理することによってビア78aに埋め込まれた金属76のアニール処理を行い(アニール装置は図1に示さず)、さらにウエハWをCMP装置109へ搬送し、そこでCMP法による平坦化処理が行われる(ステップ13、図8(h))。
【0062】
このような溝配線の形成方法によれば、エッチングやアッシング、洗浄により層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側壁がダメージを受けた場合にも、そのダメージ部をシリル化処理によってダメージから回復させることができる。これにより、電気的特性に優れた溝配線を形成することができるために、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0063】
上記説明においては、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dでの処理が終了した後にシリル化処理を行った場合について示したが、シリル化処理は所定の処理によって層間絶縁膜74にダメージが生じた場合または生じたおそれがある場合に、その処理後毎に行ってもよい。例えば、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dでの処理後に代えてまたはこれに加えて、ステップ3やステップ8のエッチング処理の直後にエッチング装置106に設けられたシリル化ユニット(SCH)53・54を用いてシリル化処理を行うことも好ましく、また、ステップ4のアッシング処理の直後に、洗浄処理装置104に設けられたシリル化ユニット(SCH)11a・11bでシリル化処理を行うことも好ましい。
【0064】
図9に、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dでの処理後にシリル化処理を行った場合と行わなかった場合の、リーク電流と累積確率との関係を示す説明図および電圧とリーク電流との関係を示す説明図を示す。図9に示す結果を与えた試料の構成は図8(h)と同様であり、層間絶縁膜74としてはJSR社製のLKD(商品名)シリーズのlow−k膜を用いている。図9からシリル化処理を行うことによりリーク電流が減少し、耐電圧が向上していることがわかる。つまり、層間絶縁膜の絶縁特性が、シリル化処理を行わない場合と比較すると向上していることがわかる。また、別途、層間絶縁膜の誘電率を測定した結果、シリル化処理を行った場合には、シリル化処理を行わなかった場合よりも、10%〜20%の改善効果が確認された。
【0065】
次に、ウエハWに形成された層間絶縁膜に溝配線を形成する別の方法について説明する。図10にデュアルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示すフローチャートを示し、図11に図10に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図を示す。ここでは、各工程で使用される装置は先の説明で明らかであるので、装置については言及しないこととする。
【0066】
最初に、バリアメタル膜71を介して下部配線(銅配線)72が形成されている絶縁膜70を備え、絶縁膜70の表面に、例えばSiN膜やSiC膜等のストッパ膜73が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備する。このウエハWのストッパ膜73上にlow−k膜等の層間絶縁膜74を形成する(ステップ101、図11(a))。
【0067】
次いで、形成された層間絶縁膜74上に反射防止膜75aとレジスト膜75bを逐次形成する。次いで、レジスト膜75bを所定パターンで露光、現像して、エッチングパターンを形成する(ステップ102、図11(b))。次いで、レジスト膜75bをエッチングマスクとしてエッチング処理を行い、ストッパ膜73に達するビア78aを形成する(ステップ103、図11(c))。図11(c)に示す符号79aはエッチング処理によって生成したダメージ部である。続いて、アッシング処理によりレジスト膜75bと反射防止膜75aを除去し(ステップ104)、次いで先のエッチング処理とアッシング処理で生成したポリマー残渣等を除去する洗浄処理を行い(ステップ105)、さらにシリル化処理を行って、層間絶縁膜74のダメージ部79aをそのダメージから回復させる(ステップ106、図11(d))。なお、シリル化処理は、ステップ103のエッチング後および/またはステップ104のアッシング後に行ってもよい。
【0068】
次いで層間絶縁膜74の表面に保護膜81を形成し(ステップ107)、この保護膜81上に反射防止膜82aおよびレジスト膜82bを逐次形成し、レジスト膜82bを所定パターンで露光し、現像して、レジスト膜82bに回路パターンを形成する(ステップ108、図11(e))。なお、保護膜81はSOD装置101において、所定の薬液をスピンコートすることで形成することができる。また、保護膜81は必ずしも必要ではなく、層間絶縁膜74上に直接に反射防止膜82aおよびレジスト膜82bを形成してもよい。
【0069】
次いで、レジスト膜82bをエッチングマスクとしてエッチング処理を行うことにより、層間絶縁膜74にトレンチ78bを形成し(ステップ109、図11(f))、その後にアッシング処理によりレジスト膜82bと反射防止膜82aを除去する(ステップ110)。ステップ110の処理は変性処理ユニット(VOS)15a〜15fを用いて行ってもよい。図11(f)に示す符号79bはステップ109のエッチング処理によって生じたダメージ部である。
【0070】
次いで先のエッチング処理とアッシング処理で生成したポリマー残渣および保護膜81等を除去する洗浄処理を行い(ステップ111)、さらにシリル化処理を行って、層間絶縁膜74のダメージ部79bをそのダメージから回復させる(ステップ112、図11(g))。ここでも、シリル化処理は、ステップ109のエッチング処理後および/またはステップ110のアッシング処理後に行ってもよい。
【0071】
続いて、ストッパ膜73を除去するためのエッチング処理とその残渣除去処理を行い(ステップ113)、その後、エッチング処理等でビア78aおよびトレンチ78bに形成されたダメージ部をそのダメージから回復させるためにシリル化処理を行う(ステップ114、図11(h))。この図11(h)にはシリル化処理後の状態が示されている。
【0072】
その後、ビア78aおよびトレンチ78bの内壁にバリアメタル膜およびCuシード層を形成し、その後に電解メッキによりビア78aおよびトレンチ78bに銅等の金属76を埋め込んでプラグを形成し、ウエハWを熱処理することによってビア78aおよびトレンチ78bに埋め込まれた金属76のアニール処理を行い、さらにCMP法による平坦化処理を行う(ステップ115、図11(i))。
【0073】
次に、ウエハWに形成された層間絶縁膜に溝配線を形成するさらに別の方法について説明する。図12にデュアルダマシン構造の溝配線を形成する別の工程を示すフローチャートを示し、図13に図12に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図を示す。ここでも、各工程で使用される装置は先の説明で明らかであるので、装置については言及しない。
【0074】
最初に、バリアメタル膜71を介して下部配線(銅配線)72が形成されている絶縁膜70を備え、絶縁膜70の表面に、例えばSiN膜やSiC膜等のストッパ膜73が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備する。このウエハWのストッパ膜73上にlow−k膜等の層間絶縁膜74と、ハードマスク層86と、反射防止膜87aと、レジスト膜87bを逐次形成し、レジスト膜87bを所定パターンで露光、現像して、エッチングパターンを形成する(ステップ201、図13(a))。
【0075】
次いで、レジスト膜87bをエッチングマスクとしてエッチング処理を行って(ステップ202)ハードマスク層86をパターニングし、その後、レジスト膜87bおよび反射防止膜87aを除去する(ステップ203、図13(b))。次いで、ハードマスク層86上に反射防止膜88aとレジスト膜88bを逐次形成し、レジスト膜88bを所定パターンで露光、現像して、エッチングパターンを形成する(ステップ204、図13(c))。
【0076】
続いて、レジスト膜88bをエッチングマスクとして用いてストッパ膜73に到達するビア78aを形成する(ステップ205、図13(d))。次いで、レジスト膜88bと反射防止膜88aをアッシング処理等によって除去し、さらにポリマー残渣等の除去処理を行う(ステップ206、図13(e))。このステップ205のエッチング処理後に層間絶縁膜74にダメージ部が発生している場合には、アッシング処理前にシリル化処理を行ってもよい。また、ステップ206のアッシング処理および残渣除去処理後に層間絶縁膜74にダメージ部が発生している場合には、その後にシリル化処理を行ってもよい。
【0077】
ステップ206が終了した後には、所定パターンが形成されたハードマスク層86が露出した状態となるため、ハードマスク層86をエッチングマスクとして用いてエッチング処理を行い(ステップ207)、トレンチ78bを形成する。この時点で層間絶縁膜74にダメージ部が発生した場合には、直後にシリル化処理を行ってもよい。続いて、アッシング処理または薬液処理によってハードマスク層86を除去する(ステップ208、図13(f))。例えば、このハードマスク層86の除去処理後にシリル化処理を行い(ステップ209)、これによりステップ208前に層間絶縁膜74に発生したダメージ部をそのダメージから回復させることができる。なお、図13(f)にはダメージ回復後の状態が示されている。
【0078】
次いで、ストッパ膜73を除去するためのエッチング処理と残渣除去処理を行った後(ステップ210、図13(g))、このエッチング処理等でビア78aおよびトレンチ78bに形成されたダメージ部(図示せず)をそのダメージから回復させるために、再度、シリル化処理を行う(ステップ211)。続いて、ビア78aおよびトレンチ78bの内壁にバリアメタル膜およびCuシード層を形成し、その後に電解メッキによりビア78aおよびトレンチ78bに銅等の金属76を埋め込んでプラグを形成し、さらにウエハWを熱処理することによってビア78aおよびトレンチ78bに埋め込まれた金属76のアニール処理を行い、CMP法による平坦化処理を行う(ステップ212、図13(h))。
【0079】
表1に、低誘電率絶縁膜(low−k膜)としてポーラスMSQ(Porous methyl-hydorogen-SilsesQuioxane)膜を使用し、エッチングガスとしてC4F8/Ar/N2を用いてエッチング装置106のエッチングユニット51・52でエッチング処理し、アッシングガスとしてO2単ガスを用いてアッシング装置105でアッシング処理し、シリル化剤としてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いて洗浄処理装置104のシリル化ユニット(SCH)11a・11bでシリル化処理した場合の、k値の変化について調べた結果を示す。なお、ポーラスMSQ膜は、スピン塗布で形成される絶縁膜(SOD膜)であり、Si−O−Si結合を有するシロキサン系膜の1つである。また、シリル化処理は、2.5Torr、200℃で15分行った。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示されるように、エッチング前の状態では、k値は2.36であるが、エッチング処理とアッシング処理後にはk値は2.80で上昇している。しかし、その後にシリル化処理を行うことで、k値は2.63に低下していることがわかる。
【0082】
シリル化剤としては、シリル化反応を起こす物質であれば特に制限なく使用可能であるが、分子内にシラザン結合(Si−N結合)を有する化合物群の中で比較的小さな分子構造を持つもの、例えば分子量が260以下のものが好ましく、分子量170以下のものがより好ましい。具体的には、例えば、前記DMSDMA、HMDSのほか、TMSDMA(Dimethylaminotrimethylsilane)、TMDS(1,1,3,3-Tetramethyldisilazane)、TMSPyrole(1-Trimethylsilylpyrole)、BSTFA(N,O-Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetamide)、BDMADMS(Bis(dimethylamino)dimethylsilane)等を用いることが可能である。これらの化学構造を以下に示す。
【0083】
【化2】
【0084】
上記化合物の中でも、誘電率の回復効果やリーク電流の低減効果が高いものとして、TMSDMAおよびTMDSを用いることが好ましい。また、シリル化後の安定性の観点からは、シラザン結合を構成するSiが3つのアルキル基(例えばメチル基)と結合している構造のもの(例えばTMSDMA、HMDSなど)が好ましい。
【0085】
上述したウエハ処理システムは、アッシング装置105とエッチング装置106を別体で有している構成としたが、エッチング装置106を構成するエッチングユニット51・52では、処理ガスを変更することによりアッシング処理を行うことが可能であり、さらにDMSDMA等のシリル化剤を供給することができるようにすれば、シリル化処理を行うことも可能である。
【0086】
図14にエッチング処理、アッシング処理、シリル化処理を行うことが可能なエッチングユニット90の概略構造を示す断面図を示す。このエッチングユニット90は、図6に示したエッチング装置106を構成するエッチングユニット51・52およびシリル化ユニット(SCH)53・54に代えて、エッチング装置106に配備することができる。
【0087】
エッチングユニット90は、略円筒状に形成されたプラズマ処理チャンバ(プラズマ処理室)302を具備している。このプラズマ処理チャンバ302は、例えば、表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムから構成されており、接地電位とされている。
【0088】
プラズマ処理チャンバ302の底部には、セラミックス等からなる絶縁板303を介して、サセプタ支持台304が配置され、このサセプタ支持台304上に、サセプタ305が配置されている。サセプタ305は下部電極を兼ねたものであり、その上面にウエハWが載置されるようになっている。このサセプタ305にはハイパスフィルタ(HPF)306が接続されている。
【0089】
サセプタ支持台304の内部には温度調節媒体室307が設けられている。この温度調節媒体室307には、導入管308と排出管309が接続されている。そして、導入管308から温度調節媒体室307内に温度調節媒体が導入され、この温度調節媒体が温度調節媒体室307内を循環して排出管309から排出されることにより、サセプタ305を所望の温度に調整できるようになっている。
【0090】
サセプタ305は、その上側中央部が凸状の円板状に形成され、その上に静電チャック310が設けられている。静電チャック310は、絶縁材311の間に電極312が配置された構造となっており、電極312には直流電源313が接続されている。この直流電源313から電極312に、例えば、1.5kV程度の直流電圧が印加されることによって、ウエハWが静電チャック310上に静電吸着される。
【0091】
絶縁板303、サセプタ支持台304、サセプタ305および静電チャック310には、ウエハWの裏面に伝熱媒体(例えば、Heガス)を供給するためのガス通路314が形成されている。このガス通路314から供給される伝熱媒体を介してサセプタ305とウエハWとの間の熱伝達がなされ、ウエハWが所定温度に温度調節される。
【0092】
アッシング処理やシリル化処理においてウエハWを高温に設定するためには、伝熱媒体の温度設定を高くすればよい。但し、エッチングユニット90において、実際にエッチング処理とアッシング処理および/またはシリル化処理を行う場合には、各処理ごとに設定温度を変更するとウエハWの温度安定化に時間を要するので、サセプタ305に冷熱素子を埋設して、温度制御を行うことができる構成とすることが好ましい。
【0093】
サセプタ305の上端周縁部には、静電チャック310上に載置されたウエハWの周囲を囲むように、環状のフォーカスリング315が配置されている。このフォーカスリング315は、セラミックスもしくは石英等の絶縁性材料、または導電性材料によって構成されている。
【0094】
サセプタ305の上方には、サセプタ305と対向し、かつ、平行に上部電極321が設けられている。この上部電極321は絶縁材322を介してプラズマ処理チャンバ302の内部に支持されている。上部電極321はサセプタ305との対向面を構成し、多数の吐出口323を有する電極板324と、この電極板324を支持する電極支持体325とから構成されている。電極板324は絶縁性材料または導電性材料によって構成されている。本実施の形態では、電極板324はシリコンから構成されている。電極支持体325は、例えば、表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウム等の導電性材料から構成されている。なお、サセプタ305と上部電極321との間隔は、調整可能とされている。
【0095】
電極支持体325の中央には、ガス導入口326が設けられている。このガス導入口326には、ガス供給管327が接続されている。ガス供給管327は、バルブ328およびマスフローコントローラ329を介して、処理ガス供給源330に接続されている。
【0096】
処理ガス供給源330からは、プラズマ処理のための所定の処理ガスが供給されるようになっている。なお、図14には、ガス供給管327、バルブ328、マスフローコントローラ329、処理ガス供給源330等からなる処理ガス供給系を1つのみ示してあるが、実際には複数の処理ガス供給系が設けられている。これらの処理ガス供給系からは、例えば、O2ガス、NH3ガス、CO2ガス、Arガス、N2ガス、CF4ガス、C4F8ガス、水蒸気、DMSDMAなどのシリル化剤のガス等がそれぞれ独立に流量制御されて、プラズマ処理チャンバ302内に供給される。
【0097】
プラズマ処理チャンバ302の底部には、排気管331が接続され、この排気管331には排気装置335が接続されている。排気装置335はターボ分子ポンプ等の真空ポンプを備えており、プラズマ処理チャンバ302内を所定の減圧雰囲気(例えば、0.67Pa)以下に設定可能となっている。
【0098】
プラズマ処理チャンバ302の側壁部分には、ゲートバルブ332が設けられており、このゲートバルブ332を開いて、ウエハWのプラズマ処理チャンバ302内への搬入および搬出を行えるようになっている。
【0099】
上部電極321には第1の高周波電源340が接続されており、その給電線には第1の整合器341が介挿されている。また、上部電極321にはローパスフィルタ(LPF)342が接続されている。この第1の高周波電源340は、プラズマ生成用の周波数の高い高周波電力、例えば、周波数が50〜150MHzの高周波電力を供給可能である。このように高い周波数の高周波電力を上部電極321に印加することにより、プラズマ処理チャンバ302の内部に好ましい解離状態でかつ高密度のプラズマを形成することができ、低圧条件下でのプラズマ処理が可能となる。第1の高周波電源340の周波数は好ましくは50〜150MHzであり、典型的には図示した60MHzまたはその近傍の周波数が使用される。
【0100】
下部電極としてのサセプタ305には、第2の高周波電源350が接続されており、その給電線には第2の整合器351が介挿されている。この第2の高周波電源350は自己バイアス電圧を生成させるためのものであり、第1の高周波電源340より低い周波数、例えば、数百Hz〜十数MHzの周波数電力を供給可能である。このような範囲の周波数の電力をサセプタ305に印加することにより、ウエハWに対してダメージを与えることなく適切なイオン作用を与えることができる。第2の高周波電源350の周波数は、典型的には図示した2MHz、または3.2MHz、13.56MHz等が使用される。
【0101】
次に、このような構成のエッチングユニット90を用いたウエハWの処理工程について説明する。図15は処理するウエハWの表面の構造を模式的に示す断面図である。図15(a)に示すように、ウエハW(図示せず)には、有機系低誘電率膜(例えば、Porous MSQ)601、SiCN膜602、反射防止膜(BARC)603、レジスト膜604が、下側からこの順序で形成されている。なお、レジスト膜604はパターニングされている。
【0102】
最初にゲートバルブ332を開いて、ウエハ搬送装置62のブレード64a(または64b)によって、ウエハWをプラズマ処理チャンバ302内に搬入し、サセプタ305上に載置する。次に、直流電源313から、静電チャック310の電極312に、例えば、1.5kV程度の直流電圧を印加することにより、ウエハWを静電チャック310上に静電吸着する。また、ウエハ搬送装置62のブレード64aを、プラズマ処理チャンバ302内から待避させる。
【0103】
ゲートバルブ332を閉じた後、排気装置335によって排気を行い、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度(例えば、4Pa以下)に設定する。これとともに、レジスト膜604をエッチングマスクとして、反射防止膜603のエッチング処理を行うために、処理ガス供給源330からマスフローコントローラ329等を介して所定の処理ガス(例えば、CF4単ガス)を所定流量でプラズマ処理チャンバ302内に導入し、第1の高周波電源340からプラズマ生成用の周波数の高い(例えば、60MHz)高周波電力を所定電力で上部電極321に印加することにより、処理ガスのプラズマを生成させる。さらに第2の高周波電源350から自己バイアス電圧を生成させるための周波数の低い(例えば、2MHz)高周波電力を所定電力で下部電極としてのサセプタ305に印加して、プラズマ中のイオンをウエハWに引き込み、反射防止膜603をエッチング処理する。
【0104】
このような反射防止膜603のエッチング処理と同様の手順で、SiCN膜602、有機系低誘電率膜601を、処理ガスを変えて逐次エッチング処理し、図15(b)に示す形態とする。SiCN膜602は、例えば、C4F8/Ar/N2の混合ガスのプラズマによってエッチングを行う。また、有機系低誘電率膜601は、CF4/Arの混合ガスのプラズマによってエッチングを行う。続いて、上記エッチング処理と同様の手順で、処理ガスとして、例えばO2ガス、NH3ガス、CO2ガスなどを用いたプラズマでアッシング処理し、レジスト膜604および反射防止膜603を除去する。これにより図15(c)に示す形態となる。図15(c)では、エッチング処理やアッシング処理によってダメージを受けた部分を模式的に符号605で示している。
【0105】
なお、上述のようにエッチング処理とアッシング処理を連続して行う場合には、所謂、2ステップアッシングを行うことが好ましい。すなわち、1ステップ目は第2の高周波電源350からのバイアス電圧印加なしで、プラズマ処理チャンバ302内のクリーニングを行い、2ステップ目に第2の高周波電源350からバイアス電圧を印加してウエハWのアッシング処理を行うことが好ましい。
【0106】
続いて、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度とし、上部電極321に設けられた吐出口323を通してプラズマ処理チャンバ302内に所定量の水蒸気を供給し、有機系低誘電率膜601においてエッチング処理およびアッシング処理によりダメージを受けた部分に適量の水分を吸着させる。
【0107】
次いで、プラズマ処理チャンバ302内を排気し、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度に到達したら排気を中止して、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度に保持するとともに、ウエハWをシリル化反応が生ずる温度、例えば、50℃〜200℃に加熱する。その後、上部電極321に設けられた吐出口323を通してプラズマ処理チャンバ302内に所定量のDMSDMAガス等のシリル化剤のガスを供給し、このシリル化剤のガスによってプラズマ処理チャンバ302内の圧力が上昇した状態で所定時間保持する。これにより図15(d)に示すように、有機系低誘電率膜601のダメージ部605はシリル化によってダメージから回復する。シリル化処理がされたウエハWは、その後に大気にさらされても、有機系低誘電率膜601は吸湿し難く、特性が維持される。
【0108】
なお、図15(d)はダメージ部605の回復を模式的に示すために、ダメージ部605が元の有機系低誘電率膜601と同じ構造に回復している状態を示しているが、ダメージ部605が回復した後のその部分の化学構造は元の有機系低誘電率膜601の化学構造と完全には一致しない。
【0109】
また、有機系低誘電率膜601のシリル化処理によるダメージ回復は、ウエハWをフッ酸浸漬処理することによって、定量的に評価することができる。何故なら、例えば酸素プラズマによるアッシング処理では、有機系低誘電率膜601における溝パターンの側壁部はSiO2化しているため、ダメージから回復していなければ、このSiO2がフッ酸に溶解するために、有機系低誘電率膜601がサイドエッチングされるからである。
【0110】
図16に図15(c)に示す状態からシリル化処理を行わずにフッ酸(フッ化水素酸水溶液)浸漬処理を行った場合(図16(a))と、シリル化処理によって図15(d)になった状態でフッ酸浸漬処理を行った場合(図16(b))の溝パターンの形状を模式的に示す断面図を示す。図16(a)に示されるように、シリル化処理を行わずにフッ酸処理を行うと、アッシング処理によって生成したSiO2がフッ酸に溶解するために、有機系低誘電率膜601がサイドエッチングされて、線幅が細くなる。これに対して、図16(b)に示すように、シリル化処理を行った場合には、溝パターンの側壁部はSiO2が露出していない状態となるために、フッ酸に対する耐食性が高められ、有機系低誘電率膜601のフッ酸によるサイドエッチングが抑制される。
【0111】
次に、本発明の効果を確認した試験結果について説明する。
(1)誘電率、リーク電流密度および含水量の測定:
図17に示すようにSi基板上にSOD膜としてのポーラスMSQ膜を成膜したテストサンプルを作製し、エッチング処理、アッシング処理を順次実施し、ポーラスMSQ膜にダメージを入れた後、下記の表2に示すシリル化剤を用いてシリル化処理をした場合と、シリル化処理をしない場合について、誘電率およびリーク電流密度の測定を行なった。
【0112】
エッチング処理、アッシング処理は、いずれも図14に示すエッチングユニット90において実施し、エッチングガスとしてはCF4を使用し、アッシングガスとしては、O2、NH3またはCO2を用いた。シリル化処理は、図5に示すシリル化ユニット(SCH)11aと同様の構成の装置を用いて行なった。シリル化の条件は、シリル化剤の種類に応じ、DMSDMAは処理温度100℃、処理時間180秒、TMSDMAは処理温度150℃、処理時間150秒、TMDSは処理温度180℃、処理時間900秒、BSTFAとBDMADMSとTMSpyroleは、それぞれ処理温度180℃、処理時間300秒、に設定し、N2ガス(パージガス)流量を5.0L/minとし、シリル化剤の種類に応じ、気化器43の温度は室温〜50℃、シリル化剤流量は0.1〜1.0g/min、処理圧力は666〜95976Pa(5〜720Torr)の間で適宜設定した。
【0113】
誘電率およびリーク電流密度の測定は、図17(b)に示すようにテストサンプルのポーラスMSQ膜上にAlパッドを装着し、Si基板とAlパッドとの間に電圧を印加して、k値およびリーク電流を測定することにより実施した。これらの試験の結果を併せて表2に示した。なお、リーク電流密度は、1MV/cmにおける測定値を代表値として記載した。
【0114】
【表2】
【0115】
表2より、アッシング後にシリル化を行なうことにより、シリル化を実施しない場合と比較して、k値の上昇とリーク電流密度の増加を抑制できることが確認された。特に、k値の回復効果およびリーク電流密度の低減効果において、TMSDMAおよびTMDSが優れていることがわかる。また、アッシングガス種との関係では、O2ガスによりアッシングを行なった場合に、特にシリル化の効果が高いことが示された。
【0116】
また、図17(a)と同様のサンプルに対し、各種シリル化剤を用いてシリル化処理をした後、毎秒1℃で昇温し、昇温による水分の脱離量(すなわち、膜中の含水量)を質量分析により測定した。膜中の含水量は、誘電率やリーク電流を悪化させる要因となるものである。その結果を図18に示した。なお、図18の縦軸は、100℃〜500℃の水分の脱離量(脱離ガス量)を温度単位で積分してサンプルの質量で規格化した値である。
【0117】
図18より、O2アッシングの場合には、薬液の種類によらず低減効果が大きいことがわかる。一方、NH3アッシング、CO2アッシングの場合には、TMSDMAまたはTMDSでシリル化処理をした場合に、含水率の低減効果が得られた。
【0118】
(2)希フッ酸処理に対する耐食性試験:
Si基板上にSOD膜としてのポーラスMSQ膜を積層したものに、マスク膜を成膜し、フォトリソグラフィー技術でトレンチパターンを露光・現像した。このマスクパターンをエッチングマスクとしてポーラスMSQ膜をエッチング処理し、その後、エッチングマスクの残渣処理のためにアッシングガスとしてO2、NH3またはCO2を用いてアッシング処理を実施し、ポーラスMSQ膜に図19(a)に示すようなパターンのトレンチ構造を形成した。
【0119】
このようなトレンチ構造を有するテストサンプルに対し、前記シリル化剤でシリル化処理を行なった後、0.5%希フッ酸を用いて30秒間浸漬処理し、図19(b)に示すようにトレンチの上部と下部のトレンチ幅(以下、「トップCD」、「ボトムCD」と記す)を測定した。トップCDとボトムCDの長さの増加量について、希フッ酸処理前にシリル化処理した場合としない場合とを比較した結果を表3に示した。なお、エッチング、アッシングおよびシリル化の条件は、前記(1)の試験と同様とした。
【0120】
【表3】
【0121】
表3より、希フッ酸処理前にシリル化処理をした場合は、シリル化をしない場合に比べて概ねCDの増加が抑制され、ダメージの回復が図られていることが確認された。特に、O2アッシング後のシリル化において顕著にCDの増加が抑制された。
また、シリル化剤の中でもTMSDMAは、O2、CO2のいずれのアッシングガスの場合でも優れたダメージ回復効果を示した。
【0122】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、シリル化処理によってダメージ回復を図ることができる膜は上述したポーラスMSQに限定されるものではなく、例えば、CVDで形成される無機絶縁膜の1つであるSiOC系膜を対象とすることもできる。これは従来のSiO2膜のSi−O結合にメチル基(−CH3)を導入して、Si−CH3結合を混合させたもので、Black Diamond(Applied Materials社)、Coral(Novellus社)、Aurora(ASM社)等がこれに該当する。SiOC系膜はポーラス(多孔質)であってもよい。また、MSQ系の絶縁膜はポーラスなものに限定されず、緻密質であってもよい。
【0123】
さらに、形成されたビアやトレンチにバリアメタル膜とCuシードを逐次形成し、銅を電解メッキ等により埋め込み形成し、アニール処理し、CMP処理して、銅配線を形成した後には、アンモニアプラズマ処理によって銅配線表面の還元処理を行って、その後にストッパ膜を形成する。この場合においてアンモニアプラズマ処理によって損傷を受けた部分をその損傷から回復させるためにシリル化処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は半導体装置の製造方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】ウエハ処理システムの概略構成を示す説明図。
【図2】洗浄処理装置の概略構造を示す平面図。
【図3】洗浄処理装置の概略構造を示す正面図。
【図4】洗浄処理装置の概略構造を示す背面図。
【図5】シリル化ユニット(SCH)の概略構造を示す断面図。
【図6】エッチング装置の概略構造を示す平面図。
【図7】シングルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示す説明図。
【図8】図7に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図。
【図9】シリル化処理の有無による電気的特性の相違を示す説明図。
【図10】デュアルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示す説明図。
【図11】図10に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図。
【図12】デュアルダマシン構造の溝配線を形成する別の工程を示す説明図。
【図13】図12に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図。
【図14】エッチングユニットの概略構造を示す断面図。
【図15】図14のエッチングユニットを用いたウエハの処理工程おけるウエハの表面構造を模式的に示す断面図。
【図16】フッ酸浸漬処理によるシリル化処理の有無と溝パターンの形状との関係を模式的に示す断面図。
【図17】誘電率、リーク電流密度、水分脱離量を測定するためのテストサンプルの概略構成を示す図面。
【図18】シリル化の有無およびシリル化剤の種類による水分脱離量の変化を示すグラフ図。
【図19】希フッ酸浸漬による耐食性試験のテストサンプル構造を模式的に示す図面。
【図20】従来のデュアルダマシン法による溝配線の形成工程を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
【0126】
2;処理ステーション
11a・11b;シリル化ユニット(SCH)
12a〜12d;洗浄ユニット(CNU)
15a〜15f;変性処理ユニット(VOS)
70;絶縁膜
72;下部配線
73;ストッパ膜
74;層間絶縁膜
75a;反射防止膜
75b;レジスト膜
78a:ビア
78b;トレンチ
79a・79b;ダメージ部
81;保護膜
86;ハードマスク層
90;エッチングユニット
101;SOD装置
102;レジスト塗布/現像装置
103;露光装置
104;洗浄処理装置
105;アッシング装置
106;エッチング装置
107;スパッタ装置
108;電解メッキ装置
109;CMP装置
110;処理部
111;プロセスコントローラ
112;ユーザーインターフェース
113;記憶部
120;メイン制御部
W;ウエハ(基板)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シングルダマシン法やデュアルダマシン法によって形成される、溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、溝配線または接続孔の形成にデュアルダマシン法が多用されている(例えば、特許文献1参照)。図20に従来のデュアルダマシン法によるCu配線の形成方法の一例を模式的に示す説明図を示す。
【0003】
先ず、基板上に、例えば、配線層500、層間絶縁膜501、反射防止膜502が下から順に形成され、その多層膜構造の表面に第1のレジスト膜503が形成される(図20(a))。次いで第1のレジスト膜503がフォトリソグラフィー技術により所定のパターンにパターンニングされる(図20(b))。このパターニング工程では、第1のレジスト膜503が所定のパターンで露光され、その露光部が現像により選択的に除去される。続いて、この第1のレジスト膜503をマスクとしたエッチング処理により、反射防止膜502と層間絶縁膜501が蝕刻される。これにより多層膜構造の表面から配線層500に通じる接続孔504が形成される(図20(c))。
【0004】
続いて、例えば、アッシング処理により不要となった第1のレジスト膜503が剥離除去され(図20(d))、代わって配線溝を形成するための新たな第2のレジスト膜505が形成される(図20(e))。第2のレジスト膜505はフォトリソグラフィー技術によりパターニングされ(図20(f))、その後、第2のレジスト膜505をマスクとしたエッチング処理により、反射防止膜502と層間絶縁膜501の一部が蝕刻される。こうして接続孔504に連通し接続孔504よりも幅の広い配線溝506が形成される(図20(g))。不要となった第2のレジスト膜505は剥離除去され(図20(h))、接続孔504と配線溝506の中にCu材料が埋め込まれて、Cu配線507が形成される(図20(i))。
【0005】
このような溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法において、パターニングされた第1のレジスト膜503および第2のレジスト膜505をエッチングマスクとして、メチル基等のアルキル基を末端基として有する低誘電率材料(Low−k材料)からなる層間絶縁膜501をエッチングすると、形成された接続孔504や配線溝506の溝側面部にはエッチングによるダメージが残る。また、エッチング処理後に第1のレジスト膜503および第2のレジスト膜505を除去する際にも、接続孔504や配線溝506の溝側面部がダメージを受ける。このようなダメージは、近時、半導体装置における回路パターンの微細化と高集積化が進む中で、誘電率の上昇による配線間の寄生容量増大に起因する信号遅延や絶縁抵抗の低下等の電気的特性の低下およびこれにともなう半導体装置の信頼性の低下を招く原因となっている。
【特許文献1】特開2002−83869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電気的特性および信頼性に優れた溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点によれば、被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチング処理によって前記被エッチング膜に形成された溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチング処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0008】
本発明の第2の観点によれば、被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングマスクの除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0009】
本発明の第3の観点によれば、被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記エッチングマスク除去処理後の残渣を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記残渣処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0010】
本発明の第4の観点によれば、エッチングストッパ膜上に被エッチング膜を形成する工程と、
前記被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔が形成されることによって前記エッチングストッパ膜において露出した部分を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングストッパ膜の除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法、が提供される。
【0011】
本発明の第5の観点によれば、基板に対し、成膜処理を行なう成膜装置と、レジスト塗布処理および現像処理を行なうレジスト塗布・現像装置と、露光処理を行なう露光装置と、洗浄処理を行なう洗浄処理装置と、レジストの除去を行なうアッシング装置と、エッチングを行なうエッチング装置と、研磨処理を行なう研磨装置と、これらの装置を用い、上記第1から第4のいずれかの観点の半導体装置の製造方法が行なわれるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理システム、が提供される。
【0012】
本発明の第6の観点によれば、コンピュータ上で動作し、実行時に、上記第1から第4のいずれかの観点の半導体装置の製造方法が行なわれるように、複数の半導体製造装置を制御することを特徴とする制御プログラム、が提供される。
【0013】
本発明の第7の観点によれば、コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、上記第1から第4のいずれかの観点の半導体装置の製造方法に用いられる複数の半導体製造装置を制御することを特徴とするコンピュータ記憶媒体、が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溝配線または接続孔を形成する過程で被エッチング膜においてダメージを受けた部分を、そのダメージから回復させることができるので、電気的特性が改善される。これによって信頼性に優れた半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここでは、シングルダマシン法やデュアルダマシン法により半導体装置を製造するウエハ処理システムを取り上げ、このウエハ処理システムにより溝配線または接続孔(以下「溝配線等」という)を有する半導体装置を製造する方法について説明する。
【0016】
図1にウエハ処理システムの概略構成を示す説明図を示す。このウエハ処理システムは、SOD(Spin On Dielectric)装置101と、レジスト塗布/現像装置102と、露光装置103と、洗浄処理装置104と、アッシング装置105と、エッチング装置106と、PVD装置の1つであるスパッタ装置107と、電解メッキ装置108と、研磨装置としてのCMP装置109と、を備えた処理部110と、プロセスコントローラ111、ユーザーインターフェース112、記憶部113を含むメイン制御部120を備えている。ここで、処理部110のSOD装置101とスパッタ装置107と電解メッキ装置108は、成膜装置である。なお、処理部110の装置間でウエハWを搬送する方法としては、オペレータによる搬送方法や、図示しない搬送装置による搬送方法が用いられる。
【0017】
処理部110の各装置は、CPUを備えたプロセスコントローラ111に接続されて制御される構成となっている。プロセスコントローラ111には、工程管理者が処理部110の各装置を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、処理部110の各装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース112と、処理部110で実行される各種処理をプロセスコントローラ111の制御にて実現するための制御プログラムや処理条件データ等が記録されたレシピが格納された記憶部113と、が接続されている。
【0018】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース112からの指示等を受けて、任意のレシピを記憶部113から呼び出してプロセスコントローラ111に実行させることで、プロセスコントローラ111の制御下で、処理部110において所望の各種処理が行われる。また、前記レシピは、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、不揮発性メモリなどの読み出し可能な記憶媒体に格納された状態のものを利用したり、あるいは、処理部110の各装置間、あるいは外部の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
なお、メイン制御部120による全体的な制御は行なわず、あるいは、メイン制御部120による全体的な制御と重畳的に、処理部110の各装置毎にプロセスコントローラ、ユーザーインターフェースおよび記憶部を含む制御部を個別に配備して制御を行なう構成を採用することもできる。
【0019】
SOD装置101は、ウエハWに薬液を塗布してlow−k膜等の層間絶縁膜やエッチングストッパ膜等をスピンコート法により形成するために用いられる。SOD装置101の詳細な構成は図示しないが、SOD装置101は、スピンコーターユニットと、塗布膜が形成されたウエハWを熱処理する熱処理ユニットを備えている。ウエハ処理システムでは、SOD装置101に代えて、化学気相蒸着法(CVD;chemical vapor deposition)法によりウエハWに絶縁膜等を形成するCVD装置を用いてもよい。
【0020】
レジスト塗布/現像装置102は、エッチングマスクとして用いられるレジスト膜や反射防止膜等を形成するために用いられる。レジスト塗布/現像装置102の詳細な構成は図示しないが、レジスト塗布/現像装置102は、ウエハWにレジスト液等を塗布してレジスト膜等をスピンコート成膜するレジスト塗布処理ユニットと、露光装置103において所定のパターンで露光されたレジスト膜を現像処理する現像処理ユニットと、レジスト膜が成膜されたウエハWや露光処理されたウエハW、現像処理が施されたウエハWをそれぞれ熱的に処理する熱的処理ユニット等を有している。
【0021】
露光装置103は、レジスト膜が形成されたウエハWに所定の回路パターンを露光するために用いられる。洗浄処理装置104では、後に詳細に説明するように、純水や薬液による洗浄処理、エッチング処理後のポリマー残渣等の変性処理、層間絶縁膜のエッチングによるダメージからの回復処理が行われる。アッシング装置105では、例えば、プラズマによりレジスト膜が灰化処理される。
【0022】
エッチング装置106では、ウエハW上に形成された層間絶縁膜等にエッチング処理が施され、また、層間絶縁膜のエッチングによるダメージからの回復処理が行われる。エッチング処理は、プラズマを利用するものであってもよく、薬液を用いるものであってもよい。後に、図6を参照しながらプラズマを利用したものについて説明する。スパッタ装置107では、例えば、拡散防止膜やCuシードが形成される。電解メッキ装置108ではCuシードが形成された溝配線等にCuが埋め込まれ、CMP装置109ではCuが埋め込まれた溝配線等の表面の平坦化処理が行われる。
【0023】
次に洗浄処理装置104について詳細に説明する。図2は洗浄処理装置104の概略平面図であり、図3はその概略正面図であり、図4はその概略背面図である。洗浄処理装置104は、ウエハWが収容されたキャリアが他の処理装置等から順次搬入され、逆に洗浄処理装置104における処理の終了したウエハWを収容したキャリアを次の処理を行う処理装置等へ搬出するためのキャリアステーション4と、洗浄処理や変性処理、回復処理をそれぞれ行う複数の処理ユニットが設けられた処理ステーション2と、処理ステーション2とキャリアステーション4との間でウエハWの搬送を行う搬送ステーション3と、処理ステーション2で使用する薬液や純水、ガス等の製造、調製、貯留を行うケミカルステーション5と、を具備している。
【0024】
キャリアCの内部において、ウエハWは略水平姿勢で鉛直方向(Z方向)に一定の間隔で収容されている。このようなキャリアCに対するウエハWの搬入出はキャリアCの一側面を通して行われ、この側面は蓋体10a(図2には図示せず。図3および図4に蓋体10aが取り外された状態を示す)によって開閉自在となっている。
【0025】
図2に示すように、キャリアステーション4は、図中Y方向に沿って3箇所にキャリアCを載置できる載置台6を有している。キャリアCは蓋体10aが設けられた側面がキャリアステーション4と搬送ステーション3との間の境界壁8a側を向くようにして載置台6に載置される。境界壁8aにおいてキャリアCの載置場所に対応する位置には窓部9aが形成されており、各窓部9aの搬送ステーション3側には窓部9aを開閉するシャッタ10が設けられている。このシャッタ10はキャリアCの蓋体10aを把持する把持手段(図示せず)を有しており、図3および図4に示すように、蓋体10aを把持した状態で搬送ステーション3側に、蓋体10aを退避させることができるようになっている。
【0026】
搬送ステーション3に設けられたウエハ搬送装置7はウエハWを保持可能なウエハ搬送ピック7aを有している。ウエハ搬送装置7は搬送ステーション3の床にY方向に延在するように設けられたガイド(図3および図4参照)7bに沿ってY方向に移動可能である。また、ウエハ搬送ピック7aは、X方向にスライド自在であり、かつ、Z方向に昇降自在であり、かつ、X−Y平面内で回転自在(θ回転)である。
【0027】
このような構造により、キャリアCの内部と搬送ステーション3とが窓部9aを介して連通するようにシャッタ10を退避させた状態において、ウエハ搬送ピック7aは、載置台6に載置された全てのキャリアCにアクセス可能であり、キャリアC内の任意の高さ位置にあるウエハWをキャリアCから搬出することができ、逆にキャリアCの任意の位置にウエハWを搬入することができる。
【0028】
処理ステーション2は、搬送ステーション3側に2台のウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bを有している。例えば、ウエハ載置ユニット(TRS)13bは搬送ステーション3からウエハWを受け入れる際にウエハWを載置するために用いられ、ウエハ載置ユニット(TRS)13aは処理ステーション2において所定の処理が終了したウエハWを搬送ステーション3に戻す際にウエハWを載置するために用いられる。
【0029】
処理ステーション2においてはファンフィルターユニット(FFU)25から清浄な空気がダウンフローされるようになっており、処理ステーション2において処理の終了したウエハWを上段のウエハ載置ユニット(TRS)13aに載置することにより、処理ステーション2における処理後のウエハWの汚染が抑制される。
【0030】
搬送ステーション3と処理ステーション2との間の境界壁8bにおいて、ウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bの位置に対応する部分には窓部9bが設けられている。ウエハ搬送ピック7aは、この窓部9bを介してウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bにアクセス可能であり、キャリアCとウエハ載置ユニット(TRS)13a・13bとの間でウエハWを搬送する。
【0031】
処理ステーション2の背面側には、エッチング処理やアッシング処理後のポリマー残渣等をオゾン(O3)と水蒸気を含むガス(以下「変性処理ガス」という)のこれら分子によって変性させる変性処理ユニット(VOS)15a〜15fが配置されている。ここで「変性」とは、ポリマー残渣等がウエハW上に残った状態で純水や薬液に溶解する性質に変化することをいう。また、レジスト膜をアッシング処理によって灰化して除去することなく、この変性処理ユニット(VOS)15a〜15fにおいて変性処理ガスで処理して水溶性に変性させることもできる。
【0032】
この変性処理ユニット(VOS)15a〜15fの詳細な構造については図示しないが、これらはそれぞれ、上下分割式かつ密閉式でその内部にウエハWを収容するための円盤状の空間が形成されるチャンバを有している。このチャンバの内部には、その表面にウエハWを水平姿勢で支持するためのプロキシミティピンが設けられ、その内部にヒータが埋設されたウエハ載置ステージが設けられている。また、このチャンバの円盤状空間内を変性処理ガスが略水平方向に流れるようになっている。
【0033】
変性処理ユニット(VOS)15a・15dの上には、アッシング処理や洗浄処理等によってダメージを受け、または親水性表面となった層間絶縁膜の、そのダメージ部分をダメージ等から回復させるためにシリル化処理するシリル化ユニット(SCH)11a・11bが設けられている。
【0034】
図5にシリル化ユニット(SCH)11aの概略構造を示す断面図を示す。シリル化ユニット(SCH)11aは、ウエハWを収容するチャンバ41を備えており、チャンバ41は、固定された下部容器41aと、下部容器41aを覆う蓋体41bから構成され、蓋体41bは図示しない昇降装置により昇降自在である。下部容器41aにはホットプレート42が設けられており、ホットプレート42の周囲からシリル化剤の一例であるDMSDMA(Dimethylsilyldimethylamine)の蒸気を含む窒素ガスがチャンバ41内に供給されるようになっている。
【0035】
図5では、液体のDMSDMAを気化器43によって気化させて窒素ガスに含有させる構成が示されているが、DMSDMAを気化させたガス(つまりDMSDMA蒸気)のみをチャンバ41に供給する構成としてもよい。後述するように、DMSDMAをチャンバ41内に供給する際には、チャンバ41内は所定の真空度に保持されているので、気化器43とチャンバ41の圧力差を利用して、DMSDMAガスをチャンバ41に導入することは容易に行うことができる。
【0036】
ホットプレート42は、例えば、50℃〜200℃の範囲で温度調節が可能であり、その表面にはウエハWを支持するピン44が設けられている。ウエハWをホットプレート42に直接載置しないことで、ウエハWの裏面の汚染が防止される。下部容器41aの外周部上面には第1シールリング45が設けられており、蓋体41bの外周部下面には、蓋体41bを下部容器41aに押し付けた際に第1シールリング45と接触する第2シールリング46が設けられている。これら第1・第2シールリング45・46間の空間は減圧可能となっており、この空間を減圧することにより、チャンバ41の気密性が確保される。蓋体41bの略中心部には、チャンバ41に供給されたDMSDMAを含む窒素ガスを排気するための排気口47が設けられており、この排気口47は圧力調整装置48を介して、真空ポンプ49に接続されている。
【0037】
処理ステーション2の正面側には、変性処理ユニット(VOS)15a〜15fにおける処理が終了したウエハWに薬液処理や水洗処理を施して、変性したポリマー残渣等を除去する洗浄ユニット(CNU)12a〜12dが配置されている。
【0038】
洗浄ユニット(CNU)12a〜12dの詳細な構造は図示しないが、これらはそれぞれ、ウエハWを略水平姿勢で保持する回転自在なスピンチャックと、スピンチャックを囲繞するカップと、スピンチャックに保持されたウエハWの表面に所定の薬液を供給する薬液ノズルと、純水に窒素ガスを混入させ、その窒素ガスのガス圧を利用してスピンチャックに保持されたウエハWの表面に純水のミストを吐出させる洗浄ノズルと、薬液処理後のウエハWを水洗処理(リンス処理)するためにウエハWに純水を供給するリンスノズルと、水洗処理後のウエハWに乾燥ガスを噴射するガス噴射ノズルと、を備えている。
【0039】
洗浄ユニット(CNU)12a〜12dには、シリコン酸化膜やシリコン酸窒化膜を除去するための希フッ酸等の薬液をウエハWに供給するノズルや、エッチングマスクとして用いられるレジスト膜の剥離処理を行うための剥離液をウエハWに供給するノズルを設けてもよい。
【0040】
さて、先に説明した変性処理ユニット(VOS)15a〜15cと変性処理ユニット(VOS)15d〜15fとはその境界壁22bについて略対称な構造を有しており、シリル化ユニット(SCH)11aとシリル化ユニット(SCH)11bはその境界壁22bについて略対称な構造を有している。同様に、洗浄ユニット(CNU)12a・12bと洗浄ユニット(CNU)12c・12dとが境界壁22aについて略対称な構造を有している。
【0041】
処理ステーション2の略中央部には、処理ステーション2内においてウエハWを搬送する主ウエハ搬送装置14が設けられている。主ウエハ搬送装置14は、ウエハWを搬送するウエハ搬送アーム14aを有している。主ウエハ搬送装置14はZ軸周りに回転自在である。また、ウエハ搬送アーム14aは水平方向で進退自在であり、かつZ方向に昇降自在である。このような構造により、主ウエハ搬送装置14は、それ自体をX方向に移動させることなく、処理ステーション2に設けられた各ユニットにアクセスすることができ、これら各ユニット間でウエハWを搬送することができるようになっている。
【0042】
ケミカルステーション5には、処理ステーション2に設けられた各種処理ユニットにおいて使用される各種薬液が貯留された薬液貯留部16と、薬液貯留部16に貯留された各種薬液を所定の処理ユニットに送液する複数のポンプや開閉バルブからなる送液部17と、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dへ純水を供給する純水供給部18と、各種の処理ユニットに所定のガスを供給するガス供給部19と、を有している。
【0043】
次に、エッチング装置106の構成について説明する。図6にエッチング装置106の概略構造を示す平面図を示す。エッチング装置106は、プラズマエッチング処理を行うためのエッチングユニット51・52と、シリル化ユニット(SCH)53・54を備えており、これらの各ユニット51〜54は六角形をなすウエハ搬送室55の4つの辺にそれぞれ対応して設けられている。また、ウエハ搬送室55の他の2つの辺にはそれぞれロードロック室56・57が設けられている。これらロードロック室56・57のウエハ搬送室55と反対側にはウエハ搬入出室58が設けられており、ウエハ搬入出室58のロードロック室56・57と反対側にはウエハWを収容可能な3つのキャリアCを取り付けるポート59・60・61が設けられている。
【0044】
エッチングユニット51・52およびシリル化ユニット(SCH)53・54およびロードロック室56・57は、同図に示すように、ウエハ搬送室55の各辺にゲートバルブGを介して接続され、これらは各ゲートバルブGを開放することによりウエハ搬送室55と連通され、各ゲートバルブGを閉じることによりウエハ搬送室55から遮断される。また、ロードロック室56・57のウエハ搬入出室58に接続される部分にもゲートバルブGが設けられており、ロードロック室56・57は、これらゲートバルブGを開放することによりウエハ搬入出室58に連通され、これらを閉じることによりウエハ搬入出室58から遮断される。
【0045】
ウエハ搬送室55内には、エッチングユニット51・52、シリル化ユニット(SCH)53・54、ロードロック室56・57に対して、ウエハWの搬入出を行うウエハ搬送装置62が設けられている。このウエハ搬送装置62は、ウエハ搬送室55の略中央に配設されており、回転および伸縮可能な回転・伸縮部63の先端にウエハWを保持する2つのブレード64a・64bを有しており、これら2つのブレード64a・64bは互いに反対方向を向くように回転・伸縮部63に取り付けられている。なお、このウエハ搬送室55内は所定の真空度に保持されるようになっている。
【0046】
ウエハ搬入出室58の天井部には図示しないHEPAフィルタが設けられており、このHEPAフィルタを通過した清浄な空気がウエハ搬入出室58内にダウンフロー状態で供給され、大気圧の清浄空気雰囲気でウエハWの搬入出が行われるようになっている。ウエハ搬入出室58のキャリアC取り付け用の3つのポート59・60・61にはそれぞれ図示しないシャッターが設けられており、これらポート59・60・61にウエハWを収容したまたは空のキャリアCが直接取り付けられ、取り付けられた際にシャッターが外れて外気の侵入を防止しつつウエハ搬入出室58と連通するようになっている。また、ウエハ搬入出室58の側面にはアライメントチャンバ65が設けられており、そこでウエハWのアライメントが行われる。
【0047】
ウエハ搬入出室58内には、キャリアCに対するウエハWの搬入出およびロードロック室56・57に対するウエハWの搬入出を行うウエハ搬送装置66が設けられている。このウエハ搬送装置66は、多関節アーム構造を有しており、キャリアCの配列方向に沿ってレール68上を走行可能となっており、その先端のハンド67上にウエハWを載せてその搬送を行う。ウエハ搬送装置62・66の動作等、システム全体の制御は制御部69によって行われる。
【0048】
シリル化ユニット(SCH)53・54と先に説明したシリル化ユニット(SCH)11a・11bとを比較すると、シリル化ユニット(SCH)53・54では、チャンバ41内に所定濃度の水蒸気を含む窒素ガス(または水蒸気のみ)を供給することができるようになっている点が、シリル化ユニット(SCH)11a・11bと異なり、それ以外の構成はシリル化ユニット(SCH)11a・11bと同じである。このため、シリル化ユニット(SCH)53・54の詳細な構造は改めて図示はしない。
【0049】
エッチング処理やアッシング処理によってダメージを受け、または親水性表面となった層間絶縁膜を大気中に取り出すと、水分が吸着して誘電率が上昇する。そこで、エッチング装置106内でウエハWをエッチング処理した後に、大気中にさらすことなく、次にエッチング装置106内でシリル化処理を行うことで、水分吸着による誘電率の上昇を防止することができる。
【0050】
しかしながら、エッチング装置106では、エッチング処理後のウエハWはエッチングユニット51・52からシリル化ユニット(SCH)53・54へ搬送する間は真空雰囲気の下にあり、エッチングによってダメージを受けた部分は全く吸湿を起こさないために、シリル化反応が起こり難くなるおそれがある。
【0051】
そこで、シリル化ユニット(SCH)53・54では、チャンバ41内に水蒸気を供給可能な構造とし、意図的にダメージ部分に適度な吸湿反応を起こさせて、シリル化反応を容易に進行させることができるようになっている。なお、前述したように、吸湿反応を過剰に進行させるとシリル化反応の進行が逆に抑制されるおそれがあるので、このような反応抑制が起こらないように水蒸気の供給を制御する必要がある。
【0052】
次に、ウエハ処理システムを用いてウエハWに形成された層間絶縁膜に溝配線を形成する方法について説明する。図7にシングルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示すフローチャートを示し、図8に図7に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図を示す。
【0053】
最初に、バリアメタル膜71を介して下部配線(銅配線)72が形成されている絶縁膜70を備え、絶縁膜70の表面に、例えばSiN膜やSiC膜等のストッパ膜73が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備する。このウエハWをSOD装置101に搬入して、そこでストッパ膜73上にlow−k膜等の層間絶縁膜74を形成する(ステップ1、図8(a))。
【0054】
次いで層間絶縁膜74が形成されたウエハWを、レジスト塗布/現像装置102に搬入し、そこで層間絶縁膜74上に反射防止膜75aとレジスト膜75bを逐次形成する。次いで、ウエハWを露光装置103に搬送して、そこで所定のパターンで露光処理する。ウエハWをレジスト塗布/現像装置102に戻して、現像処理ユニットにおいてレジスト膜75bを現像処理することによって、レジスト膜75bに所定の回路パターンを形成する(ステップ2、図8(b))。
【0055】
次いで、ウエハWをエッチング装置106に搬送して、そこでエッチング処理を行う(ステップ3)。これによりストッパ膜73に達するビア78aが層間絶縁膜74に形成される(図8(c))。図8(c)に示す符号79aは、後に詳細に説明するダメージ部である。こうしてエッチング処理が終了したウエハWをアッシング装置105へ搬送し、そこで反射防止膜75aとレジスト膜75bを灰化させるアッシング処理を行う(ステップ4)。
【0056】
アッシング処理が終了したウエハWは洗浄処理装置104へ搬送され、変性処理ユニット(VOS)15a〜15fのいずれかにおいて、エッチング処理やアッシング処理によってウエハWに残存するポリマー残渣等を水溶性に変性させる処理が行われる(ステップ5)。なお、反射防止膜75aとレジスト膜75bを変性処理ユニット(VOS)15a〜15fによる処理で変性させることができる場合には、アッシング処理に代えてこの変性処理を用いてもよい。変性処理が終了したウエハWは、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dのいずれかへ搬送され、そこで変性したポリマー残渣等を除去する(ステップ6、図8(d))。
【0057】
このようにして、エッチング処理やアッシング処理、その後の水洗処理等により、層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側壁がダメージを受ける。具体的には、このようなダメージ部は水分と反応し、ビア78aの側壁近傍におけるメチル基が減少し、水酸基が増加した状態となって誘電率が上昇する。ビア78aの側壁にこのようなダメージ部が形成された状態で、その後にビア78aを金属材料で埋めて溝配線を形成すると、配線間の寄生容量が増大するため、信号遅延や溝配線どうしの間の絶縁性が低下する等の問題が生ずる。図8(c)・(d)では、このようなダメージ部79aを模式的に明示しているが、ダメージ部79aとダメージを受けていない部分との境界は、図8(c)・(d)に示すように明確なものではない。
【0058】
そこで、層間絶縁膜74のダメージ部79aをそのダメージから回復させるために、ウエハWをシリル化ユニット(SCH)11a・11bの一方に搬送し、そこでダメージ部のシリル化処理を行う(ステップ7、図8(e))。シリル化処理の条件は、シリル化剤の種類に応じて選択すればよく、例えば気化器43の温度は室温〜50℃、シリル化剤流量は0.1〜1.0g/min、N2ガス(パージガス)流量は1〜10L/min、処理圧力は666〜95976Pa(5〜720Torr)、ホットプレート42の温度は室温〜200℃などの範囲から適宜設定できる。シリル化剤としてDMSDMAを用いる場合は、例えば、ホットプレート42の温度を100℃とし、チャンバ41内圧力を5Torr(=666Pa)に減圧し、その後DMSDMAの蒸気を含んだ窒素ガスをチャンバ41内圧力が55Torrになるまで供給し、その圧力を維持しながら、例えば3分間保持し、処理する方法が挙げられる。DMSDMAを用いたシリル化反応は、下記化1式で示される。
【0059】
【化1】
【0060】
このようなシリル化処理が終了したウエハWは、エッチング装置106に搬送され、そこでストッパ膜73を除去するためのエッチング処理が行われる(ステップ8、図8(f))。次いで、ウエハWは洗浄処理装置104へ搬送され、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dのいずれかにおいて洗浄処理される(ステップ9)。このようなエッチング処理や洗浄処理によっても、層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側壁がダメージを受け、ダメージ部79bが形成される。そこで、このようなダメージ部79bをそのダメージから回復させるために、ウエハWをシリル化ユニット(SCH)11a・11bの一方に搬送し、そこでシリル化処理を行う(ステップ10、図8(g))。
【0061】
その後、ウエハWをスパッタ装置107へ搬送して、そこでビア78aの内壁にバリアメタル膜およびCuシード層(つまり、メッキシード層)を形成する(ステップ11)。次いで、ウエハWを電解メッキ装置108に搬送して、そこで電解メッキによりビア78aに銅等の金属76を埋め込む(ステップ12)。その後、ウエハWを熱処理することによってビア78aに埋め込まれた金属76のアニール処理を行い(アニール装置は図1に示さず)、さらにウエハWをCMP装置109へ搬送し、そこでCMP法による平坦化処理が行われる(ステップ13、図8(h))。
【0062】
このような溝配線の形成方法によれば、エッチングやアッシング、洗浄により層間絶縁膜74に形成されたビア78aの側壁がダメージを受けた場合にも、そのダメージ部をシリル化処理によってダメージから回復させることができる。これにより、電気的特性に優れた溝配線を形成することができるために、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0063】
上記説明においては、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dでの処理が終了した後にシリル化処理を行った場合について示したが、シリル化処理は所定の処理によって層間絶縁膜74にダメージが生じた場合または生じたおそれがある場合に、その処理後毎に行ってもよい。例えば、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dでの処理後に代えてまたはこれに加えて、ステップ3やステップ8のエッチング処理の直後にエッチング装置106に設けられたシリル化ユニット(SCH)53・54を用いてシリル化処理を行うことも好ましく、また、ステップ4のアッシング処理の直後に、洗浄処理装置104に設けられたシリル化ユニット(SCH)11a・11bでシリル化処理を行うことも好ましい。
【0064】
図9に、洗浄ユニット(CNU)12a〜12dでの処理後にシリル化処理を行った場合と行わなかった場合の、リーク電流と累積確率との関係を示す説明図および電圧とリーク電流との関係を示す説明図を示す。図9に示す結果を与えた試料の構成は図8(h)と同様であり、層間絶縁膜74としてはJSR社製のLKD(商品名)シリーズのlow−k膜を用いている。図9からシリル化処理を行うことによりリーク電流が減少し、耐電圧が向上していることがわかる。つまり、層間絶縁膜の絶縁特性が、シリル化処理を行わない場合と比較すると向上していることがわかる。また、別途、層間絶縁膜の誘電率を測定した結果、シリル化処理を行った場合には、シリル化処理を行わなかった場合よりも、10%〜20%の改善効果が確認された。
【0065】
次に、ウエハWに形成された層間絶縁膜に溝配線を形成する別の方法について説明する。図10にデュアルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示すフローチャートを示し、図11に図10に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図を示す。ここでは、各工程で使用される装置は先の説明で明らかであるので、装置については言及しないこととする。
【0066】
最初に、バリアメタル膜71を介して下部配線(銅配線)72が形成されている絶縁膜70を備え、絶縁膜70の表面に、例えばSiN膜やSiC膜等のストッパ膜73が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備する。このウエハWのストッパ膜73上にlow−k膜等の層間絶縁膜74を形成する(ステップ101、図11(a))。
【0067】
次いで、形成された層間絶縁膜74上に反射防止膜75aとレジスト膜75bを逐次形成する。次いで、レジスト膜75bを所定パターンで露光、現像して、エッチングパターンを形成する(ステップ102、図11(b))。次いで、レジスト膜75bをエッチングマスクとしてエッチング処理を行い、ストッパ膜73に達するビア78aを形成する(ステップ103、図11(c))。図11(c)に示す符号79aはエッチング処理によって生成したダメージ部である。続いて、アッシング処理によりレジスト膜75bと反射防止膜75aを除去し(ステップ104)、次いで先のエッチング処理とアッシング処理で生成したポリマー残渣等を除去する洗浄処理を行い(ステップ105)、さらにシリル化処理を行って、層間絶縁膜74のダメージ部79aをそのダメージから回復させる(ステップ106、図11(d))。なお、シリル化処理は、ステップ103のエッチング後および/またはステップ104のアッシング後に行ってもよい。
【0068】
次いで層間絶縁膜74の表面に保護膜81を形成し(ステップ107)、この保護膜81上に反射防止膜82aおよびレジスト膜82bを逐次形成し、レジスト膜82bを所定パターンで露光し、現像して、レジスト膜82bに回路パターンを形成する(ステップ108、図11(e))。なお、保護膜81はSOD装置101において、所定の薬液をスピンコートすることで形成することができる。また、保護膜81は必ずしも必要ではなく、層間絶縁膜74上に直接に反射防止膜82aおよびレジスト膜82bを形成してもよい。
【0069】
次いで、レジスト膜82bをエッチングマスクとしてエッチング処理を行うことにより、層間絶縁膜74にトレンチ78bを形成し(ステップ109、図11(f))、その後にアッシング処理によりレジスト膜82bと反射防止膜82aを除去する(ステップ110)。ステップ110の処理は変性処理ユニット(VOS)15a〜15fを用いて行ってもよい。図11(f)に示す符号79bはステップ109のエッチング処理によって生じたダメージ部である。
【0070】
次いで先のエッチング処理とアッシング処理で生成したポリマー残渣および保護膜81等を除去する洗浄処理を行い(ステップ111)、さらにシリル化処理を行って、層間絶縁膜74のダメージ部79bをそのダメージから回復させる(ステップ112、図11(g))。ここでも、シリル化処理は、ステップ109のエッチング処理後および/またはステップ110のアッシング処理後に行ってもよい。
【0071】
続いて、ストッパ膜73を除去するためのエッチング処理とその残渣除去処理を行い(ステップ113)、その後、エッチング処理等でビア78aおよびトレンチ78bに形成されたダメージ部をそのダメージから回復させるためにシリル化処理を行う(ステップ114、図11(h))。この図11(h)にはシリル化処理後の状態が示されている。
【0072】
その後、ビア78aおよびトレンチ78bの内壁にバリアメタル膜およびCuシード層を形成し、その後に電解メッキによりビア78aおよびトレンチ78bに銅等の金属76を埋め込んでプラグを形成し、ウエハWを熱処理することによってビア78aおよびトレンチ78bに埋め込まれた金属76のアニール処理を行い、さらにCMP法による平坦化処理を行う(ステップ115、図11(i))。
【0073】
次に、ウエハWに形成された層間絶縁膜に溝配線を形成するさらに別の方法について説明する。図12にデュアルダマシン構造の溝配線を形成する別の工程を示すフローチャートを示し、図13に図12に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図を示す。ここでも、各工程で使用される装置は先の説明で明らかであるので、装置については言及しない。
【0074】
最初に、バリアメタル膜71を介して下部配線(銅配線)72が形成されている絶縁膜70を備え、絶縁膜70の表面に、例えばSiN膜やSiC膜等のストッパ膜73が形成されているウエハW(ウエハW自体は図示しない)を準備する。このウエハWのストッパ膜73上にlow−k膜等の層間絶縁膜74と、ハードマスク層86と、反射防止膜87aと、レジスト膜87bを逐次形成し、レジスト膜87bを所定パターンで露光、現像して、エッチングパターンを形成する(ステップ201、図13(a))。
【0075】
次いで、レジスト膜87bをエッチングマスクとしてエッチング処理を行って(ステップ202)ハードマスク層86をパターニングし、その後、レジスト膜87bおよび反射防止膜87aを除去する(ステップ203、図13(b))。次いで、ハードマスク層86上に反射防止膜88aとレジスト膜88bを逐次形成し、レジスト膜88bを所定パターンで露光、現像して、エッチングパターンを形成する(ステップ204、図13(c))。
【0076】
続いて、レジスト膜88bをエッチングマスクとして用いてストッパ膜73に到達するビア78aを形成する(ステップ205、図13(d))。次いで、レジスト膜88bと反射防止膜88aをアッシング処理等によって除去し、さらにポリマー残渣等の除去処理を行う(ステップ206、図13(e))。このステップ205のエッチング処理後に層間絶縁膜74にダメージ部が発生している場合には、アッシング処理前にシリル化処理を行ってもよい。また、ステップ206のアッシング処理および残渣除去処理後に層間絶縁膜74にダメージ部が発生している場合には、その後にシリル化処理を行ってもよい。
【0077】
ステップ206が終了した後には、所定パターンが形成されたハードマスク層86が露出した状態となるため、ハードマスク層86をエッチングマスクとして用いてエッチング処理を行い(ステップ207)、トレンチ78bを形成する。この時点で層間絶縁膜74にダメージ部が発生した場合には、直後にシリル化処理を行ってもよい。続いて、アッシング処理または薬液処理によってハードマスク層86を除去する(ステップ208、図13(f))。例えば、このハードマスク層86の除去処理後にシリル化処理を行い(ステップ209)、これによりステップ208前に層間絶縁膜74に発生したダメージ部をそのダメージから回復させることができる。なお、図13(f)にはダメージ回復後の状態が示されている。
【0078】
次いで、ストッパ膜73を除去するためのエッチング処理と残渣除去処理を行った後(ステップ210、図13(g))、このエッチング処理等でビア78aおよびトレンチ78bに形成されたダメージ部(図示せず)をそのダメージから回復させるために、再度、シリル化処理を行う(ステップ211)。続いて、ビア78aおよびトレンチ78bの内壁にバリアメタル膜およびCuシード層を形成し、その後に電解メッキによりビア78aおよびトレンチ78bに銅等の金属76を埋め込んでプラグを形成し、さらにウエハWを熱処理することによってビア78aおよびトレンチ78bに埋め込まれた金属76のアニール処理を行い、CMP法による平坦化処理を行う(ステップ212、図13(h))。
【0079】
表1に、低誘電率絶縁膜(low−k膜)としてポーラスMSQ(Porous methyl-hydorogen-SilsesQuioxane)膜を使用し、エッチングガスとしてC4F8/Ar/N2を用いてエッチング装置106のエッチングユニット51・52でエッチング処理し、アッシングガスとしてO2単ガスを用いてアッシング装置105でアッシング処理し、シリル化剤としてHMDS(Hexamethyldisilazane)を用いて洗浄処理装置104のシリル化ユニット(SCH)11a・11bでシリル化処理した場合の、k値の変化について調べた結果を示す。なお、ポーラスMSQ膜は、スピン塗布で形成される絶縁膜(SOD膜)であり、Si−O−Si結合を有するシロキサン系膜の1つである。また、シリル化処理は、2.5Torr、200℃で15分行った。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示されるように、エッチング前の状態では、k値は2.36であるが、エッチング処理とアッシング処理後にはk値は2.80で上昇している。しかし、その後にシリル化処理を行うことで、k値は2.63に低下していることがわかる。
【0082】
シリル化剤としては、シリル化反応を起こす物質であれば特に制限なく使用可能であるが、分子内にシラザン結合(Si−N結合)を有する化合物群の中で比較的小さな分子構造を持つもの、例えば分子量が260以下のものが好ましく、分子量170以下のものがより好ましい。具体的には、例えば、前記DMSDMA、HMDSのほか、TMSDMA(Dimethylaminotrimethylsilane)、TMDS(1,1,3,3-Tetramethyldisilazane)、TMSPyrole(1-Trimethylsilylpyrole)、BSTFA(N,O-Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetamide)、BDMADMS(Bis(dimethylamino)dimethylsilane)等を用いることが可能である。これらの化学構造を以下に示す。
【0083】
【化2】
【0084】
上記化合物の中でも、誘電率の回復効果やリーク電流の低減効果が高いものとして、TMSDMAおよびTMDSを用いることが好ましい。また、シリル化後の安定性の観点からは、シラザン結合を構成するSiが3つのアルキル基(例えばメチル基)と結合している構造のもの(例えばTMSDMA、HMDSなど)が好ましい。
【0085】
上述したウエハ処理システムは、アッシング装置105とエッチング装置106を別体で有している構成としたが、エッチング装置106を構成するエッチングユニット51・52では、処理ガスを変更することによりアッシング処理を行うことが可能であり、さらにDMSDMA等のシリル化剤を供給することができるようにすれば、シリル化処理を行うことも可能である。
【0086】
図14にエッチング処理、アッシング処理、シリル化処理を行うことが可能なエッチングユニット90の概略構造を示す断面図を示す。このエッチングユニット90は、図6に示したエッチング装置106を構成するエッチングユニット51・52およびシリル化ユニット(SCH)53・54に代えて、エッチング装置106に配備することができる。
【0087】
エッチングユニット90は、略円筒状に形成されたプラズマ処理チャンバ(プラズマ処理室)302を具備している。このプラズマ処理チャンバ302は、例えば、表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムから構成されており、接地電位とされている。
【0088】
プラズマ処理チャンバ302の底部には、セラミックス等からなる絶縁板303を介して、サセプタ支持台304が配置され、このサセプタ支持台304上に、サセプタ305が配置されている。サセプタ305は下部電極を兼ねたものであり、その上面にウエハWが載置されるようになっている。このサセプタ305にはハイパスフィルタ(HPF)306が接続されている。
【0089】
サセプタ支持台304の内部には温度調節媒体室307が設けられている。この温度調節媒体室307には、導入管308と排出管309が接続されている。そして、導入管308から温度調節媒体室307内に温度調節媒体が導入され、この温度調節媒体が温度調節媒体室307内を循環して排出管309から排出されることにより、サセプタ305を所望の温度に調整できるようになっている。
【0090】
サセプタ305は、その上側中央部が凸状の円板状に形成され、その上に静電チャック310が設けられている。静電チャック310は、絶縁材311の間に電極312が配置された構造となっており、電極312には直流電源313が接続されている。この直流電源313から電極312に、例えば、1.5kV程度の直流電圧が印加されることによって、ウエハWが静電チャック310上に静電吸着される。
【0091】
絶縁板303、サセプタ支持台304、サセプタ305および静電チャック310には、ウエハWの裏面に伝熱媒体(例えば、Heガス)を供給するためのガス通路314が形成されている。このガス通路314から供給される伝熱媒体を介してサセプタ305とウエハWとの間の熱伝達がなされ、ウエハWが所定温度に温度調節される。
【0092】
アッシング処理やシリル化処理においてウエハWを高温に設定するためには、伝熱媒体の温度設定を高くすればよい。但し、エッチングユニット90において、実際にエッチング処理とアッシング処理および/またはシリル化処理を行う場合には、各処理ごとに設定温度を変更するとウエハWの温度安定化に時間を要するので、サセプタ305に冷熱素子を埋設して、温度制御を行うことができる構成とすることが好ましい。
【0093】
サセプタ305の上端周縁部には、静電チャック310上に載置されたウエハWの周囲を囲むように、環状のフォーカスリング315が配置されている。このフォーカスリング315は、セラミックスもしくは石英等の絶縁性材料、または導電性材料によって構成されている。
【0094】
サセプタ305の上方には、サセプタ305と対向し、かつ、平行に上部電極321が設けられている。この上部電極321は絶縁材322を介してプラズマ処理チャンバ302の内部に支持されている。上部電極321はサセプタ305との対向面を構成し、多数の吐出口323を有する電極板324と、この電極板324を支持する電極支持体325とから構成されている。電極板324は絶縁性材料または導電性材料によって構成されている。本実施の形態では、電極板324はシリコンから構成されている。電極支持体325は、例えば、表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウム等の導電性材料から構成されている。なお、サセプタ305と上部電極321との間隔は、調整可能とされている。
【0095】
電極支持体325の中央には、ガス導入口326が設けられている。このガス導入口326には、ガス供給管327が接続されている。ガス供給管327は、バルブ328およびマスフローコントローラ329を介して、処理ガス供給源330に接続されている。
【0096】
処理ガス供給源330からは、プラズマ処理のための所定の処理ガスが供給されるようになっている。なお、図14には、ガス供給管327、バルブ328、マスフローコントローラ329、処理ガス供給源330等からなる処理ガス供給系を1つのみ示してあるが、実際には複数の処理ガス供給系が設けられている。これらの処理ガス供給系からは、例えば、O2ガス、NH3ガス、CO2ガス、Arガス、N2ガス、CF4ガス、C4F8ガス、水蒸気、DMSDMAなどのシリル化剤のガス等がそれぞれ独立に流量制御されて、プラズマ処理チャンバ302内に供給される。
【0097】
プラズマ処理チャンバ302の底部には、排気管331が接続され、この排気管331には排気装置335が接続されている。排気装置335はターボ分子ポンプ等の真空ポンプを備えており、プラズマ処理チャンバ302内を所定の減圧雰囲気(例えば、0.67Pa)以下に設定可能となっている。
【0098】
プラズマ処理チャンバ302の側壁部分には、ゲートバルブ332が設けられており、このゲートバルブ332を開いて、ウエハWのプラズマ処理チャンバ302内への搬入および搬出を行えるようになっている。
【0099】
上部電極321には第1の高周波電源340が接続されており、その給電線には第1の整合器341が介挿されている。また、上部電極321にはローパスフィルタ(LPF)342が接続されている。この第1の高周波電源340は、プラズマ生成用の周波数の高い高周波電力、例えば、周波数が50〜150MHzの高周波電力を供給可能である。このように高い周波数の高周波電力を上部電極321に印加することにより、プラズマ処理チャンバ302の内部に好ましい解離状態でかつ高密度のプラズマを形成することができ、低圧条件下でのプラズマ処理が可能となる。第1の高周波電源340の周波数は好ましくは50〜150MHzであり、典型的には図示した60MHzまたはその近傍の周波数が使用される。
【0100】
下部電極としてのサセプタ305には、第2の高周波電源350が接続されており、その給電線には第2の整合器351が介挿されている。この第2の高周波電源350は自己バイアス電圧を生成させるためのものであり、第1の高周波電源340より低い周波数、例えば、数百Hz〜十数MHzの周波数電力を供給可能である。このような範囲の周波数の電力をサセプタ305に印加することにより、ウエハWに対してダメージを与えることなく適切なイオン作用を与えることができる。第2の高周波電源350の周波数は、典型的には図示した2MHz、または3.2MHz、13.56MHz等が使用される。
【0101】
次に、このような構成のエッチングユニット90を用いたウエハWの処理工程について説明する。図15は処理するウエハWの表面の構造を模式的に示す断面図である。図15(a)に示すように、ウエハW(図示せず)には、有機系低誘電率膜(例えば、Porous MSQ)601、SiCN膜602、反射防止膜(BARC)603、レジスト膜604が、下側からこの順序で形成されている。なお、レジスト膜604はパターニングされている。
【0102】
最初にゲートバルブ332を開いて、ウエハ搬送装置62のブレード64a(または64b)によって、ウエハWをプラズマ処理チャンバ302内に搬入し、サセプタ305上に載置する。次に、直流電源313から、静電チャック310の電極312に、例えば、1.5kV程度の直流電圧を印加することにより、ウエハWを静電チャック310上に静電吸着する。また、ウエハ搬送装置62のブレード64aを、プラズマ処理チャンバ302内から待避させる。
【0103】
ゲートバルブ332を閉じた後、排気装置335によって排気を行い、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度(例えば、4Pa以下)に設定する。これとともに、レジスト膜604をエッチングマスクとして、反射防止膜603のエッチング処理を行うために、処理ガス供給源330からマスフローコントローラ329等を介して所定の処理ガス(例えば、CF4単ガス)を所定流量でプラズマ処理チャンバ302内に導入し、第1の高周波電源340からプラズマ生成用の周波数の高い(例えば、60MHz)高周波電力を所定電力で上部電極321に印加することにより、処理ガスのプラズマを生成させる。さらに第2の高周波電源350から自己バイアス電圧を生成させるための周波数の低い(例えば、2MHz)高周波電力を所定電力で下部電極としてのサセプタ305に印加して、プラズマ中のイオンをウエハWに引き込み、反射防止膜603をエッチング処理する。
【0104】
このような反射防止膜603のエッチング処理と同様の手順で、SiCN膜602、有機系低誘電率膜601を、処理ガスを変えて逐次エッチング処理し、図15(b)に示す形態とする。SiCN膜602は、例えば、C4F8/Ar/N2の混合ガスのプラズマによってエッチングを行う。また、有機系低誘電率膜601は、CF4/Arの混合ガスのプラズマによってエッチングを行う。続いて、上記エッチング処理と同様の手順で、処理ガスとして、例えばO2ガス、NH3ガス、CO2ガスなどを用いたプラズマでアッシング処理し、レジスト膜604および反射防止膜603を除去する。これにより図15(c)に示す形態となる。図15(c)では、エッチング処理やアッシング処理によってダメージを受けた部分を模式的に符号605で示している。
【0105】
なお、上述のようにエッチング処理とアッシング処理を連続して行う場合には、所謂、2ステップアッシングを行うことが好ましい。すなわち、1ステップ目は第2の高周波電源350からのバイアス電圧印加なしで、プラズマ処理チャンバ302内のクリーニングを行い、2ステップ目に第2の高周波電源350からバイアス電圧を印加してウエハWのアッシング処理を行うことが好ましい。
【0106】
続いて、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度とし、上部電極321に設けられた吐出口323を通してプラズマ処理チャンバ302内に所定量の水蒸気を供給し、有機系低誘電率膜601においてエッチング処理およびアッシング処理によりダメージを受けた部分に適量の水分を吸着させる。
【0107】
次いで、プラズマ処理チャンバ302内を排気し、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度に到達したら排気を中止して、プラズマ処理チャンバ302内を所定の真空度に保持するとともに、ウエハWをシリル化反応が生ずる温度、例えば、50℃〜200℃に加熱する。その後、上部電極321に設けられた吐出口323を通してプラズマ処理チャンバ302内に所定量のDMSDMAガス等のシリル化剤のガスを供給し、このシリル化剤のガスによってプラズマ処理チャンバ302内の圧力が上昇した状態で所定時間保持する。これにより図15(d)に示すように、有機系低誘電率膜601のダメージ部605はシリル化によってダメージから回復する。シリル化処理がされたウエハWは、その後に大気にさらされても、有機系低誘電率膜601は吸湿し難く、特性が維持される。
【0108】
なお、図15(d)はダメージ部605の回復を模式的に示すために、ダメージ部605が元の有機系低誘電率膜601と同じ構造に回復している状態を示しているが、ダメージ部605が回復した後のその部分の化学構造は元の有機系低誘電率膜601の化学構造と完全には一致しない。
【0109】
また、有機系低誘電率膜601のシリル化処理によるダメージ回復は、ウエハWをフッ酸浸漬処理することによって、定量的に評価することができる。何故なら、例えば酸素プラズマによるアッシング処理では、有機系低誘電率膜601における溝パターンの側壁部はSiO2化しているため、ダメージから回復していなければ、このSiO2がフッ酸に溶解するために、有機系低誘電率膜601がサイドエッチングされるからである。
【0110】
図16に図15(c)に示す状態からシリル化処理を行わずにフッ酸(フッ化水素酸水溶液)浸漬処理を行った場合(図16(a))と、シリル化処理によって図15(d)になった状態でフッ酸浸漬処理を行った場合(図16(b))の溝パターンの形状を模式的に示す断面図を示す。図16(a)に示されるように、シリル化処理を行わずにフッ酸処理を行うと、アッシング処理によって生成したSiO2がフッ酸に溶解するために、有機系低誘電率膜601がサイドエッチングされて、線幅が細くなる。これに対して、図16(b)に示すように、シリル化処理を行った場合には、溝パターンの側壁部はSiO2が露出していない状態となるために、フッ酸に対する耐食性が高められ、有機系低誘電率膜601のフッ酸によるサイドエッチングが抑制される。
【0111】
次に、本発明の効果を確認した試験結果について説明する。
(1)誘電率、リーク電流密度および含水量の測定:
図17に示すようにSi基板上にSOD膜としてのポーラスMSQ膜を成膜したテストサンプルを作製し、エッチング処理、アッシング処理を順次実施し、ポーラスMSQ膜にダメージを入れた後、下記の表2に示すシリル化剤を用いてシリル化処理をした場合と、シリル化処理をしない場合について、誘電率およびリーク電流密度の測定を行なった。
【0112】
エッチング処理、アッシング処理は、いずれも図14に示すエッチングユニット90において実施し、エッチングガスとしてはCF4を使用し、アッシングガスとしては、O2、NH3またはCO2を用いた。シリル化処理は、図5に示すシリル化ユニット(SCH)11aと同様の構成の装置を用いて行なった。シリル化の条件は、シリル化剤の種類に応じ、DMSDMAは処理温度100℃、処理時間180秒、TMSDMAは処理温度150℃、処理時間150秒、TMDSは処理温度180℃、処理時間900秒、BSTFAとBDMADMSとTMSpyroleは、それぞれ処理温度180℃、処理時間300秒、に設定し、N2ガス(パージガス)流量を5.0L/minとし、シリル化剤の種類に応じ、気化器43の温度は室温〜50℃、シリル化剤流量は0.1〜1.0g/min、処理圧力は666〜95976Pa(5〜720Torr)の間で適宜設定した。
【0113】
誘電率およびリーク電流密度の測定は、図17(b)に示すようにテストサンプルのポーラスMSQ膜上にAlパッドを装着し、Si基板とAlパッドとの間に電圧を印加して、k値およびリーク電流を測定することにより実施した。これらの試験の結果を併せて表2に示した。なお、リーク電流密度は、1MV/cmにおける測定値を代表値として記載した。
【0114】
【表2】
【0115】
表2より、アッシング後にシリル化を行なうことにより、シリル化を実施しない場合と比較して、k値の上昇とリーク電流密度の増加を抑制できることが確認された。特に、k値の回復効果およびリーク電流密度の低減効果において、TMSDMAおよびTMDSが優れていることがわかる。また、アッシングガス種との関係では、O2ガスによりアッシングを行なった場合に、特にシリル化の効果が高いことが示された。
【0116】
また、図17(a)と同様のサンプルに対し、各種シリル化剤を用いてシリル化処理をした後、毎秒1℃で昇温し、昇温による水分の脱離量(すなわち、膜中の含水量)を質量分析により測定した。膜中の含水量は、誘電率やリーク電流を悪化させる要因となるものである。その結果を図18に示した。なお、図18の縦軸は、100℃〜500℃の水分の脱離量(脱離ガス量)を温度単位で積分してサンプルの質量で規格化した値である。
【0117】
図18より、O2アッシングの場合には、薬液の種類によらず低減効果が大きいことがわかる。一方、NH3アッシング、CO2アッシングの場合には、TMSDMAまたはTMDSでシリル化処理をした場合に、含水率の低減効果が得られた。
【0118】
(2)希フッ酸処理に対する耐食性試験:
Si基板上にSOD膜としてのポーラスMSQ膜を積層したものに、マスク膜を成膜し、フォトリソグラフィー技術でトレンチパターンを露光・現像した。このマスクパターンをエッチングマスクとしてポーラスMSQ膜をエッチング処理し、その後、エッチングマスクの残渣処理のためにアッシングガスとしてO2、NH3またはCO2を用いてアッシング処理を実施し、ポーラスMSQ膜に図19(a)に示すようなパターンのトレンチ構造を形成した。
【0119】
このようなトレンチ構造を有するテストサンプルに対し、前記シリル化剤でシリル化処理を行なった後、0.5%希フッ酸を用いて30秒間浸漬処理し、図19(b)に示すようにトレンチの上部と下部のトレンチ幅(以下、「トップCD」、「ボトムCD」と記す)を測定した。トップCDとボトムCDの長さの増加量について、希フッ酸処理前にシリル化処理した場合としない場合とを比較した結果を表3に示した。なお、エッチング、アッシングおよびシリル化の条件は、前記(1)の試験と同様とした。
【0120】
【表3】
【0121】
表3より、希フッ酸処理前にシリル化処理をした場合は、シリル化をしない場合に比べて概ねCDの増加が抑制され、ダメージの回復が図られていることが確認された。特に、O2アッシング後のシリル化において顕著にCDの増加が抑制された。
また、シリル化剤の中でもTMSDMAは、O2、CO2のいずれのアッシングガスの場合でも優れたダメージ回復効果を示した。
【0122】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、シリル化処理によってダメージ回復を図ることができる膜は上述したポーラスMSQに限定されるものではなく、例えば、CVDで形成される無機絶縁膜の1つであるSiOC系膜を対象とすることもできる。これは従来のSiO2膜のSi−O結合にメチル基(−CH3)を導入して、Si−CH3結合を混合させたもので、Black Diamond(Applied Materials社)、Coral(Novellus社)、Aurora(ASM社)等がこれに該当する。SiOC系膜はポーラス(多孔質)であってもよい。また、MSQ系の絶縁膜はポーラスなものに限定されず、緻密質であってもよい。
【0123】
さらに、形成されたビアやトレンチにバリアメタル膜とCuシードを逐次形成し、銅を電解メッキ等により埋め込み形成し、アニール処理し、CMP処理して、銅配線を形成した後には、アンモニアプラズマ処理によって銅配線表面の還元処理を行って、その後にストッパ膜を形成する。この場合においてアンモニアプラズマ処理によって損傷を受けた部分をその損傷から回復させるためにシリル化処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は半導体装置の製造方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】ウエハ処理システムの概略構成を示す説明図。
【図2】洗浄処理装置の概略構造を示す平面図。
【図3】洗浄処理装置の概略構造を示す正面図。
【図4】洗浄処理装置の概略構造を示す背面図。
【図5】シリル化ユニット(SCH)の概略構造を示す断面図。
【図6】エッチング装置の概略構造を示す平面図。
【図7】シングルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示す説明図。
【図8】図7に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図。
【図9】シリル化処理の有無による電気的特性の相違を示す説明図。
【図10】デュアルダマシン構造の溝配線を形成する工程を示す説明図。
【図11】図10に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図。
【図12】デュアルダマシン構造の溝配線を形成する別の工程を示す説明図。
【図13】図12に示すフローにしたがって形成される溝配線の形態変化を模式的に示す説明図。
【図14】エッチングユニットの概略構造を示す断面図。
【図15】図14のエッチングユニットを用いたウエハの処理工程おけるウエハの表面構造を模式的に示す断面図。
【図16】フッ酸浸漬処理によるシリル化処理の有無と溝パターンの形状との関係を模式的に示す断面図。
【図17】誘電率、リーク電流密度、水分脱離量を測定するためのテストサンプルの概略構成を示す図面。
【図18】シリル化の有無およびシリル化剤の種類による水分脱離量の変化を示すグラフ図。
【図19】希フッ酸浸漬による耐食性試験のテストサンプル構造を模式的に示す図面。
【図20】従来のデュアルダマシン法による溝配線の形成工程を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
【0126】
2;処理ステーション
11a・11b;シリル化ユニット(SCH)
12a〜12d;洗浄ユニット(CNU)
15a〜15f;変性処理ユニット(VOS)
70;絶縁膜
72;下部配線
73;ストッパ膜
74;層間絶縁膜
75a;反射防止膜
75b;レジスト膜
78a:ビア
78b;トレンチ
79a・79b;ダメージ部
81;保護膜
86;ハードマスク層
90;エッチングユニット
101;SOD装置
102;レジスト塗布/現像装置
103;露光装置
104;洗浄処理装置
105;アッシング装置
106;エッチング装置
107;スパッタ装置
108;電解メッキ装置
109;CMP装置
110;処理部
111;プロセスコントローラ
112;ユーザーインターフェース
113;記憶部
120;メイン制御部
W;ウエハ(基板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチング処理によって前記被エッチング膜に形成された溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチング処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッチング処理と前記シリル化処理は同一のエッチング装置内で行われることを特徴とする請求項1に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング処理と前記シリル化処理は同一のエッチングユニット内で行われることを特徴とする請求項2に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングマスクの除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記シリル化処理において、前記溝または孔の側面部を前記エッチング処理によるダメージからも回復させることを特徴とする請求項4に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記エッチングマスクの除去処理は、アッシング処理または薬液処理によって行われることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記エッチングマスク除去処理後の残渣を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記残渣処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
エッチングストッパ膜上に被エッチング膜を形成する工程と、
前記被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔が形成されることによって前記エッチングストッパ膜において露出した部分を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングストッパ膜の除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記エッチングマスクを除去する工程はアッシング処理により行われ、前記エッチング処理と前記アッシング処理と前記シリル化処理は同一のエッチング装置内で行われることを特徴とする請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記エッチング処理と前記アッシング処理は同一のエッチングユニット内で行われることを特徴とする請求項9に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記シリル化処理もさらに前記同一のエッチングユニット内で行われることを特徴とする請求項9に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記シリル化処理は、分子内にシラザン結合(Si−N)を有する化合物を用いて行なうことを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記分子内にシラザン結合を有する化合物が、TMDS(1,1,3,3-Tetramethyldisilazane)またはTMSDMA(Dimethylaminotrimethylsilane)であることを特徴とする請求項12に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
基板に対し、成膜処理を行なう成膜装置と、レジスト塗布処理および現像処理を行なうレジスト塗布・現像装置と、露光処理を行なう露光装置と、洗浄処理を行なう洗浄処理装置と、レジストの除去を行なうアッシング装置と、エッチングを行なうエッチング装置と、研磨処理を行なう研磨装置と、これらの装置を用い、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載された半導体装置の製造方法が行なわれるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理システム。
【請求項15】
コンピュータ上で動作し、実行時に、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法が行なわれるように、複数の半導体製造装置を制御することを特徴とする制御プログラム。
【請求項16】
コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法に用いられる複数の半導体製造装置を制御することを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【請求項1】
被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチング処理によって前記被エッチング膜に形成された溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチング処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記エッチング処理と前記シリル化処理は同一のエッチング装置内で行われることを特徴とする請求項1に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング処理と前記シリル化処理は同一のエッチングユニット内で行われることを特徴とする請求項2に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングマスクの除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記シリル化処理において、前記溝または孔の側面部を前記エッチング処理によるダメージからも回復させることを特徴とする請求項4に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記エッチングマスクの除去処理は、アッシング処理または薬液処理によって行われることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記エッチングマスク除去処理後の残渣を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記残渣処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
エッチングストッパ膜上に被エッチング膜を形成する工程と、
前記被エッチング膜の表面に所定の回路パターンを有するエッチングマスクを形成する工程と、
前記被エッチング膜をエッチング処理し、前記被エッチング膜に溝または孔を形成する工程と、
前記エッチングマスクを除去する工程と、
前記溝または孔が形成されることによって前記エッチングストッパ膜において露出した部分を除去する工程と、
前記溝または孔の側面部をシリル化処理し、前記溝または孔の側面部を前記エッチングストッパ膜の除去処理によるダメージから回復させる工程と、
を有することを特徴とする溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記エッチングマスクを除去する工程はアッシング処理により行われ、前記エッチング処理と前記アッシング処理と前記シリル化処理は同一のエッチング装置内で行われることを特徴とする請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記エッチング処理と前記アッシング処理は同一のエッチングユニット内で行われることを特徴とする請求項9に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記シリル化処理もさらに前記同一のエッチングユニット内で行われることを特徴とする請求項9に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記シリル化処理は、分子内にシラザン結合(Si−N)を有する化合物を用いて行なうことを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記分子内にシラザン結合を有する化合物が、TMDS(1,1,3,3-Tetramethyldisilazane)またはTMSDMA(Dimethylaminotrimethylsilane)であることを特徴とする請求項12に記載の溝配線または接続孔を有する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
基板に対し、成膜処理を行なう成膜装置と、レジスト塗布処理および現像処理を行なうレジスト塗布・現像装置と、露光処理を行なう露光装置と、洗浄処理を行なう洗浄処理装置と、レジストの除去を行なうアッシング装置と、エッチングを行なうエッチング装置と、研磨処理を行なう研磨装置と、これらの装置を用い、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載された半導体装置の製造方法が行なわれるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理システム。
【請求項15】
コンピュータ上で動作し、実行時に、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法が行なわれるように、複数の半導体製造装置を制御することを特徴とする制御プログラム。
【請求項16】
コンピュータ上で動作する制御プログラムが記憶されたコンピュータ記憶媒体であって、
前記制御プログラムは、実行時に、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法に用いられる複数の半導体製造装置を制御することを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−49798(P2006−49798A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358609(P2004−358609)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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