説明

焦点ズレ検出装置、焦点ズレ検出方法およびプログラム

【課題】探傷中においても撮像装置の焦点ズレを検知することができ、判定精度の劣化による不良品の流出等を防止する焦点ズレ検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の焦点ズレ検出装置は、搬送される被検査体の表面を撮像装置により撮像した画像データに基づいて、表面欠陥を検査する表面欠陥検査装置において、撮像装置の焦点ズレを検出する。かかる焦点ズレ検出装置は、画像データの画像信号を2次元配列された周波数成分に変換する変換演算を行う演算部と、画像データの周波数成分の2次元配列を、所定の規則に基づいて、1次元配列に変換する配列変換部と、1次元配列に変換された周波数成分の一部によって形成される波形の傾きに基づいて、撮像装置の焦点ズレの有無を判定する焦点ズレ判定部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点ズレ検出装置、焦点ズレ検出方法およびプログラムに関し、特に、搬送される被検査体の欠陥を検出するために表面を撮像する撮像装置の光学系への適用に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検査体の表面の欠陥を検査するための技術(探傷処理)は種々のものが知られている。例えば、撮像装置を用いて被検査体の表面を撮像して画像データを取得して、取得した画像データの輝度を平均化した値と元の画像データの輝度との差分を計算し、当該差分と閾値との比較結果に基づいて欠陥を検出する方法等が実施されている。
【0003】
このような被検査体の表面の探傷を行う表面欠陥検査装置では、撮像装置により撮像された画像から欠陥を検出するため、高い精度で欠陥を検出するには撮像装置の光学系の焦点を被検査体の表面に合わせておくことが重要である。しかし、表面欠陥検査装置における機械的な振動によって撮像装置のレンズが合焦点位置(撮像装置の焦点が被検査体の表面に合致するときのレンズ位置)からずれてしまったり、メンテナンス等の際に撮像装置を移動させてしまったりすることによって、撮像装置のレンズ位置を合焦点位置から移動させてしまうことがある。このため、撮像装置の焦点が合っているか否かを確認し、焦点がずれている場合には撮像装置の焦点調整作業を行う必要がある。
【0004】
このように、撮像装置の焦点が合っているか否かを検出する装置として、例えば特許文献1には、所定の検査パターンを用いて、隣接画素の差分の絶対値の合計と画素の平均値との比に基づいて、定期的にカメラの焦点が合っているか否かを判断する光学的検査装置が開示されている。また、特許文献2には、オートフォーカスカメラ装置において、隣接画素の差分絶対値の合計を用いて算出された最大点に基づいて、カメラ装置の焦点を合わせる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−318343号公報
【特許文献2】特開平06−113187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1は同一の検査パターンに対して評価値を算出し、上記特許文献2は同一被写体について評価値を算出して、合焦の程度を判定している。しかし、鉄鋼圧延ライン等における通常探傷中においては、搬送される被検査体の表面を撮像する。この場合、同一の被写体を撮影することはないため、上記特許文献1、2のような評価値を用いることはできない。これは、評価対象とする画像データが変化すると評価値が大きく変化してしまうので、異なる画像データ間では評価値を比較することができないからである。したがって、これらの方法では探傷中においては撮像装置の焦点がずれてもこれを検知することができない。このため、振動等により、時間の経過とともに撮像装置のずれが増大する場合には、表面欠陥検査装置の検出精度が劣化してしまい、不良品を流出させてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、探傷中においても撮像装置の焦点ズレを検知することができ、判定精度の劣化による不良品の流出等を防止することが可能な、新規かつ改良された焦点ズレ検出装置、焦点ズレ検出方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、搬送される被検査体の表面を撮像装置により撮像した画像データに基づいて、表面欠陥を検査する表面欠陥検査装置において、撮像装置の焦点ズレを検出する焦点ズレ検出装置が提供される。かかる焦点ズレ検出装置は、画像データの画像信号を2次元配列された周波数成分に変換する変換演算を行う演算部と、画像データの周波数成分の2次元配列を、所定の規則に基づいて、1次元配列に変換する配列変換部と、1次元配列に変換された周波数成分の一部によって形成される波形の傾きに基づいて、撮像装置の焦点ズレの有無を判定する焦点ズレ判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の焦点ズレ検出装置は、撮像装置によって撮像した画像データの画像信号を2次元配列された周波数成分に変換し、さらに当該周波数成分を所定の規則に基づいて1次元配列に変換したデータに基づいて、撮像装置の焦点ズレの有無を判定する。これにより、焦点ズレの程度を評価するための画像データが変化する場合であっても、撮像装置の焦点ズレを検出することができる。
【0010】
ここで、演算部は、画像データを所定サイズのブロックに分割する画像分割部と、画像データを分割して生成された各ブロックを、離散コサイン変換を用いて2次元配列された周波数成分に変換し、2次元配列された周波数成分毎に、各ブロックの2次元配列された周波数成分の絶対値を加算して全ブロックに対する平均をとることにより平均周波数成分絶対値を算出するDCT演算部と、をさらに備えてもよい。
【0011】
配列変換部は、2次元配列された周波数成分に変換された画像データを、低い周波数成分から高い周波数成分の順に読み取り、1次元配列に変換してもよい。
【0012】
例えば、配列変換部は、2次元配列された周波数成分に変換された画像データを、ジグザグスキャンすることにより、1次元配列に変換することができる。
【0013】
また、配列変換部は、画像データの2次元配列から1次元配列へ変換するときの周波数成分の読み取り順序で、画像データの平均周波数成分絶対値の対数値を配列して、傾きを算出するための波形を形成してもよい。
【0014】
焦点ズレ判定部は、1次元配列に変換された周波数成分のうち、低い周波数成分を用いて形成される波形の傾きを算出してもよい。
【0015】
また、焦点ズレ判定部は、画像データの2次元配列から1次元配列へ変換するときに、直流の周波数成分を除いて、波形の傾きを算出してもよい。
【0016】
焦点ズレ判定部は、傾きの絶対値が所定の閾値より小さいとき、撮像装置の焦点ズレ無しと判定し、傾きの絶対値が所定の閾値以上のとき、撮像装置の焦点ズレ有りと判定することができる。
【0017】
焦点ズレ判定部は、周波数成分を直線近似することにより、波形の傾きを算出することができる。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送される被検査体の表面を撮像装置により撮像した画像データに基づいて、表面欠陥を検査する表面欠陥検査装置の、撮像装置の焦点ズレを検出する焦点ズレ検出方法が提供される。かかる焦点ズレ検出方法では、画像データの画像信号を2次元配列された周波数成分に変換する変換演算を行う演算ステップと、画像データの周波数成分の2次元配列を、所定の規則に基づいて、1次元配列に変換する配列変換ステップと、1次元配列に変換された周波数成分の一部によって形成される波形の傾きに基づいて、撮像装置の焦点ズレの有無を判定する焦点ズレ判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに上記の焦点ズレ検出装置として機能させるためのプログラムが提供される。かかるプログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記の焦点ズレ検出装置として機能させる。また、当該プログラムが記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスクや光ディスクなどである。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、探傷中においても撮像装置の焦点ズレを検知することができ、判定精度の劣化による不良品の流出等を防止することが可能な焦点ズレ検出装置、焦点ズレ検出方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る欠陥検査処理を適用する典型的な鉄鋼圧延ラインを示す説明図である。
【図2】欠陥検査処理を示すフローチャートである。
【図3】同実施形態に係る画像処理装置の焦点ズレ検出手段の機能構成を示すブロック図である。
【図4】焦点ズレ検出手段による焦点ズレ検出方法を示すフローチャートである。
【図5】焦点ズレ検出手段による焦点ズレ検出方法を示す説明図である。
【図6】DCT演算部による2次元離散コサイン変換を用いたDCT係数の算出処理を示す説明図である。
【図7】直線近似に用いたデータ数を変化させたときの、焦点ズレ判定部により算出された直線の傾きと焦点ズレの程度との関係とを示すグラフである。
【図8】原画データに対するインデックスとDCT係数の絶対値の平均の対数との関係を示す波形と当該波形を直線近似して得られた直線とを表すグラフと、検証対象である画像とを示す説明図である。
【図9】焦点ズレの程度が「1」である画像データに対するインデックスとDCT係数の絶対値の平均の対数との関係を示す波形と当該波形を直線近似して得られた直線とを表すグラフと、検証対象である画像とを示す説明図である。
【図10】焦点ズレの程度が「2」である画像データに対するインデックスとDCT係数の絶対値の平均の対数との関係を示す波形と当該波形を直線近似して得られた直線とを表すグラフと、検証対象である画像とを示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る画像処理装置の一ハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<1.鉄鋼圧延ラインにおける欠陥検査の概要>
[鉄鋼圧延ラインの概略構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る欠陥検査処理を適用する鉄鋼圧延ラインの概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る欠陥検査処理を適用する典型的な鉄鋼圧延ラインを示す説明図である。
【0024】
鉄鋼圧延ラインは、ラインの始点である巻出しリール10と、終点である巻取りリール50と、これらのリール間で被検査体である鋼板20を進行させる搬送ロール30と、圧延処理を行う圧延ロール40とからなる。圧延ロール40と巻取りリール50との間には、鋼板20の表面に光を出射するための照明60および鋼板20の表面を撮像するための撮像手段であるカメラ70が配置されている。カメラ70は、照明60から出射され、鋼板90の表面において反射した光がカメラ70に入力するように設けられている。また、カメラ70は、被検査体である鋼板20の表面との相対的な位置が常に一定となるように設けられている。カメラ70は、画像メモリ80に接続されており、撮像した画像を画像メモリ80へ出力する。また、欠陥検査処理を行う画像処理装置90には、画像メモリ80と表示装置100とが接続されている。
【0025】
巻出しリール10から送出された帯状の鋼板20は、搬送ロール30によって図1の矢印方向に進められて圧延機40で圧延処理された後、巻取りリール50により巻き取られる。一方、鋼板20の表面の欠陥検査は、圧延処理された鋼板20に照明60を用いて光を当て、その表面をカメラ70で撮像した画像データに基づき行われる。撮像された画像データは、各画素の輝度を記録したものであり、画像はその集合体として表示される。画像データは、画像メモリ80に記憶され、画像処理装置90において欠陥検査処理した後、検査結果が表示装置100に表示される。
【0026】
[欠陥検査処理の概要]
次いで、図2に基づいて、画像処理装置90により行われる欠陥検査処理の手順について説明する。なお、図2は、欠陥検査処理を示すフローチャートである。
【0027】
まず、画像処理装置90は、画像メモリ80に記憶された被検査体表面の画像データを取り込むと(ステップS10)、シェーディング補正等により画像データの輝度の正規化処理を行う(ステップS20)。正規化処理は、照明むらを補正することを目的として、欠陥のない画像データとの減算、または欠陥のない画像データを分母とする除算で行われる。代替的に、取り込んだ画像データをローパスフィルタにより平滑化して輝度のムラ成分のみを取り出し、減算または除算を行うことで正規化処理してもよい。正規化処理における減算または除算は、画素毎に行われる。正規化処理が減算による場合には、正規化基準値が0となり、除算による場合には正規化基準値は1となる。このような正規化処理を行うことにより、輝度正規化画像データを取得することができる。
【0028】
次いで、画像処理装置90は、輝度正規化画像データを所定の閾値に基づいて二値化し、二値化画像データを取得する(ステップS30)。所定の閾値は、鋼板の表面上の疵部分と健全部分での輝度の違いから疵サンプル等で実験的に設定された、疵とみなす部分を特定するための値である。画像処理装置90は、輝度正規化画像データの各画素について、正規化された輝度が所定の閾値範囲を超える場合には疵候補有りとし、正規化された輝度が所定の閾値範囲内に収まる場合には疵候補無しと判定する。これにより、輝度正規化画像データから、各画素が疵候補有り、または疵候補無しのいずれかを示す値を有する二値化画像データが生成される。
【0029】
さらに、画像処理装置90は、二値化画像データに対し、隣接している疵候補有りの部分を1つのグループとして扱い、離間している疵候補有りのグループをそれぞれ異なるものと扱うために、ラベリング処理を行う(ステップS40)。ラベリング処理は、各グループに対してラベル番号を順に割り当てる処理である。画像処理装置90は、二値化画像データから互いに隣接している疵候補有りの二値化画像の画素を1つの欠陥グループとして扱い、離間している各欠陥グループに対して連続したラベル番号を順に付していく。ラベル番号は、例えば、画像の左から右、上から下の優先順序で付すようにしてもよい。これにより、二値化画像データから、欠陥グループ毎にラベル番号が付されたラベル画像データが生成される。
【0030】
その後、画像処理装置90は、ラベル画像データから欠陥の特徴を抽出する(ステップS50)。欠陥の特徴としては、例えば疵の大きさや形状がある。この場合、欠陥グループの面積や存在領域をラベル画像データから抽出すればよく、例えばラベリング画像に基づく方法を用いて同一ラベル番号の画素数をカウントする等の方法を用いてもよい。
【0031】
次いで、欠陥の特徴抽出により得られた特徴量に基づいて、欠陥の判定が行われる(ステップS60)。欠陥の判定には、例えば樹枝状理論やニューラルネットワーク等を用いることができる。判定される欠陥種別としては、例えば鋼板の欠陥の場合には、へげ(Scab)、ブローホール(BlowHole)、スリバー(Sliver)、スキンインクルージョン(Skin Inclusion)、スケール(Scale)、ガウジ(Gouge)等がある。
【0032】
画像処理装置90は、欠陥を判定すると、欠陥種別等を示す判定結果を表示装置100に表示させる(ステップS70)。判定結果の出力先は、印字装置やディスク記録装置等のように何らかの媒体への出力装置であってもよいし、解析装置や送信装置等のようにさらに別処理を行うための装置等であってもよい。
【0033】
このように、鉄鋼圧延ラインにて搬送される鋼板20をカメラ70によって撮像した画像データを用いて、鋼板20の表面に生じた疵等の欠陥を検出することができる。
【0034】
<2.表面検査処理>
鉄鋼圧延ラインにて搬送されている鋼板20の表面に対する欠陥検査処理は、カメラ70により撮像した画像データに基づいて行われるため、画像データのピントがずれていると疵等を検出することができなくなり、欠陥の判定の精度が低下する。そうすると、欠陥が存在するにも関わらずこれを検出できない可能性もあり、不良品の流出を招くことになる。そこで、本実施形態に係る画像処理装置90は、カメラ70のレンズ位置が合焦点位置からずれたことを検知する焦点ズレ検出手段を備える。以下、図3〜図7に基づいて、画像処理装置90の焦点ズレ検出手段と、これによる焦点ズレ検出方法について詳細に説明していく。
【0035】
[焦点ズレ検出手段の構成]
まず、図3に基づいて、本実施形態に係る画像処理装置90の焦点ズレ検出手段について説明する。図3は、本実施形態に係る画像処理装置90の焦点ズレ検出手段の機能構成を示すブロック図である。なお、図3では、画像処理装置90における焦点ズレ検出手段を構成する要素のみを記載しており、上述した欠陥検査処理等を行う要素については記載を省略している。
【0036】
焦点ズレ検出手段は、図3に示すように、画像取込部91と、画像分割部92と、DCT演算部93と、配列変換部94と、焦点ズレ判定部95と、出力部96とから構成される。本実施形態では、画像分割部92、DCT演算部93、および配列変換部94により、画像データの2次元空間周波数分布を、離散コサイン変換(DCT;Discrete Cosine Transform)を用いて1次元に配列する処理が行われる。
【0037】
画像取込部91は、画像メモリ80(図1参照)より、カメラ70のレンズ位置が合焦点位置からずれているか否かを判定するために用いる画像データを取り込む。画像メモリ80には、カメラ70が撮像した画像データが記憶されている。画像取込部91は、所定のタイミングで画像メモリ80に記憶された画像データを取り込み、取り込んだ画像データを画像分割部92へ出力する。画像データの取り込みタイミングは、例えば焦点ズレ判定処理を開始するタイミング等とすることができる。
【0038】
画像分割部92は、画像データを、n×n個(nは正の整数)の画素からなる複数のブロックに分割する。この際、画像分割部92は、各ブロックが重複しないように画像データの分割位置を決定する。画像分割部92は、画像データの分割位置を決定すると、DCT演算部93に対して離散コサイン変換処理の実行を指示する。
【0039】
DCT演算部93は、画像データを分割して生成される各ブロックについて、離散コサイン変換を用いて、2次元配列された周波数成分であるDCT係数を算出する。離散コサイン変換は、画像信号を空間周波数成分へ変換する一手法であり、信号圧縮処理に広く利用されている。DCT演算部93は、画像データの各ブロックについて、各画素の情報である画像信号から、2次元離散コサイン変換の基底ベクトルを用いて、n×n個のDCT係数を算出する。そして、DCT演算部93は、各ブロックのDCT係数の絶対値をとり、n×n個の周波数成分について、DCT係数の絶対値から全ブロックの平均を算出することにより、平均周波数成分絶対値として平均DCT係数絶対値を得る。DCT演算部93は、画像データの平均DCT係数絶対値を算出すると、配列変換部94に対して2次元空間周波数分布を1次元配列に変換する配列変換処理の実行を指示する。
【0040】
配列変換部94は、画像データの2次元空間周波数分布を1次元配列に変換する。配列変換部94は、2次元配列された平均DCT係数絶対値を、所定の規則にしたがって1次元配列に配列し直す。所定の規則としては、例えば、低い周波数成分から高い周波数成分へとジグザグ状にスキャンするジグザグスキャンを用いることができる。ジグザグスキャンにより2次元配列を1次元配列に変換することで、隣接するデータ間の周波数成分の変化量を小さくできるので、1次元配列に変換して得られるデータの波形の形状を滑らかにすることができる。
【0041】
また、配列変換部94は、画像データの2次元空間周波数分布を1次元配列に変換した後、各周波数成分のスキャン順序を表すインデックスと、平均DCT係数絶対値の対数をとった値(平均DCT係数対数値)との関係を表すグラフを作成する。配列変換部94は、グラフを作成すると、焦点ズレ判定部95に対して焦点ズレ判定処理の実行を指示する。
【0042】
焦点ズレ判定部95は、配列変換部94により作成されたグラフに基づき、カメラ70のレンズ位置が合焦位置からずれているか否かを判定する。焦点ズレ判定部95は、配列変換部94により作成されたグラフより、所定の範囲内の周波数成分のデータを用いてグラフを直線近似する。直線近似には、例えば、最小二乗法等の一般的な手法を用いることができる。そして、焦点ズレ判定部95は、グラフを直線近似して得た直線の傾きの絶対値と所定の閾値とを比較して、その大小関係に基づきカメラ70のレンズ位置がずれているか否かを判定し、判定結果を出力部96へ出力する。
【0043】
出力部96は、焦点ズレ判定部95から入力された判定結果を、ユーザに通知するために表示装置100へ出力する。出力部96は、画像メモリ80から取り込んだ画像データや、配列変換部94により作成されたグラフ等の情報も表示装置100へ出力して、表示させることができる。
【0044】
以上、本実施形態に係る画像処理装置100の焦点ズレ検出手段の構成について説明した。
【0045】
[焦点ズレ検出方法]
次に、図4〜図7に基づいて、画像処理装置90の焦点ズレ検出手段による焦点ズレ検出方法について説明する。なお、図4は、焦点ズレ検出手段による焦点ズレ検出方法を示すフローチャートである。図5は、焦点ズレ検出手段による焦点ズレ検出方法を示す説明図である。図6は、DCT演算部93による2次元離散コサイン変換を用いたDCT係数の算出処理を示す説明図である。図7は、直線近似に用いたデータ数を変化させたときの、焦点ズレ判定部95により算出された直線の傾きと焦点ズレの程度との関係とを示すグラフである。
【0046】
焦点ズレ検出手段による焦点ズレ検出方法では、図4に示すように、まず、画像取込部91により、画像メモリ80から画像データを画像処理装置90内へ取り込む(ステップS100)。画像メモリ80には、カメラ70により撮像された画像のフレーム画像または切り出し画像が画像データとして記憶されている。画像データの取り込みは、例えば焦点ズレ判定処理を開始するタイミングで行ってもよく、画像データが画像メモリ80に記録されたタイミングで行ってもよい。
【0047】
画像メモリ80から画像が取り込まれると、画像分割部92により、画像データの分割が行われる(ステップS102)。かかるステップでは、画像分割部92は、画像データを、各ブロックが重複(ラップ)しないように、n×n個の画素からなるブロックに分割する。例えば、図5に示すように、画像データを、8×8個の画素からなるブロックに分割する場合、640×480個の画素からなる画像データは80×60、すなわち4800ブロックに分割される。
【0048】
画像データの分割位置が決定されると、DCT演算部93は、画像データの各ブロックについて、離散コサイン変換を行う(ステップS104)。DCT演算部93は、図6に示す2次元離散コサイン変換の基底ベクトルを用いて変換処理を行い、DCT係数を算出する。2次元離散コサイン変換では、n×n画素からなる1つのブロックについて、2次元離散コサイン変換の基底ベクトルとの内積を算出する。かかる内積の値がDCT係数となる。このとき、基底ベクトルの各基底は、ブロックのサイズと同一のサイズ(すなわち、n×n)を有している。離散コサイン変換は、直交変換であるため、変換後の係数もn×n個であり、したがって、1つのブロックに対して、n×n個のDCT係数が算出されることになる。例えば図5に示すように、8×8個の画素からなるブロックに対して64個のDCT係数が算出される。ここで、(0,0)成分は直流成分であり、他の成分は交流成分である。このように、DCT演算部93は、画像データの各ブロックについて、DCT係数を算出する。
【0049】
次いで、DCT演算部93は、各ブロックのDCT係数の絶対値を算出し(ステップS106)、さらに全ブロックのDCT係数の絶対値の平均を算出する(ステップS108)。DCT演算部93は、各ブロックについてそれぞれ算出されたn×n個のDCT係数について絶対値をとる。そして、DCT演算部93は、画像データの全ブロックについて同一の周波数成分におけるDCT係数の絶対値を加算して平均をとり、平均DCT係数を算出する。例えば、各ブロックのDCT係数のうち、(0,0)成分の絶対値をとって加算し、当該加算値を全ブロック数で除算することにより、(0,0)成分における平均DCT係数絶対値を算出することができる。そして、DCT演算部93は、各ブロックのDCT係数の絶対値を算出し、最終的に、n×n個の全ブロックの平均DCT係数絶対値を算出する。
【0050】
その後、配列変換部94により、n×n個の全ブロックの平均DCT係数絶対値は一列に並べられ、1次元配列とされる(ステップS110)。2次元配列から1次元配列への並べ替えは、例えば図5に示すように、ジグザグスキャンにより行われる。ジグザグスキャンでは、n×nに配列された平均DCT係数絶対値を、低い周波数成分(左上)から高い周波数成分(右下)に向かって順に一列に並べ、1次元配列とする。このとき、ジグザグスキャンによる周波数成分の読み取り順序を1から順に付したものをインデックスとする。
【0051】
そして、配列変換部94は、インデックスを横軸にとり、平均DCT係数絶対値の対数(平均DCT係数対数値)を縦軸にとったグラフを作成する(ステップS112)。かかるグラフより、周波数成分の変化に基づく平均DCT係数絶対値の変化を認識することができる。人工的に生成した格子状パターン等でない限り、このグラフの波形は、図5に示すように、インデックスの値が大きくなる、すなわち低い周波数成分から高い周波数成分に向かうにつれて、平均DCT係数対数値は徐々に小さくなる傾向があるものとなる。
【0052】
次いで、焦点ズレ判定部95は、カメラ70のレンズ位置が合焦点位置からずれていないか判定するため、配列変換部94により作成されたグラフの傾きを算出する(ステップS114)。グラフの傾きは、例えば最小二乗法等の直線近似手法により求めることができる。ここで、グラフの傾きは、グラフを構成するn×n個のデータのうち、低い周波数成分のデータを用いて算出される。
【0053】
直線近似に用いるデータ数は、カメラ70のずれを認識することのできる直線の傾きを取得可能な個数とし、最大データ数を全データ数の1/2〜1/3程度とするのがよい。一般に、画像の代表的な特徴は低い周波数成分(すなわち、インデックスの値の小さいデータ)に含まれており、周波数成分の高い(すなわち、インデックスの値が大きい)成分はもともと値が小さい上に画像毎の変動が大きい。このため、インデックスの値が大きいデータを含めると直線の傾きのばらつきが増大し、ズレ量の推定精度が悪化する。
【0054】
例えば、8×8個(64個)のデータからなるグラフにおいては、低い周波数成分のデータから30個より少ないデータを用いるのがよい。図7に、直線近似に用いるデータ数を変化させたときの、グラフの傾きとレンズ位置の合焦点位置からのずれの程度(焦点ズレの程度)との関係を示す。全データ数は64個である。ここで、焦点ズレの程度は、カメラ70が撮像した画像データのピントのずれの程度を定量的に表現したものであり、値が大きいほどピントのずれが大きい状態を示す。焦点ズレの程度「0」は、レンズ位置が合焦点位置からずれていない状態とする。
【0055】
図7に示すように、直線近似に用いるデータ数によって、焦点ズレの程度とグラフの傾きとの関係が変化する。例えば、直線近似に用いるデータ数が10個である場合には、焦点ズレの程度が大きくなるにつれてグラフの傾きの絶対値が大きくなる傾向にある。これに対して、直線近似に用いるデータ数が20個以上となると、グラフの傾きの絶対値は焦点ズレの程度が大きくなるにつれて大きくなるが、さらに焦点ズレの程度が大きくなるとグラフの傾きの絶対値は再び小さくなる。したがって、焦点ズレ検出手段により検出したい焦点ズレの程度に応じて、直線近似に用いるデータ数を決定するのがよい。
【0056】
例えば、焦点ズレの程度が「2」となった場合を検出したい場合には、グラフの傾きの絶対値が、焦点ズレの程度が大きくなるにつれて、レンズ位置に合焦点位置からのずれがない状態(焦点ズレの程度が「0」)におけるグラフの傾きの絶対値よりも大きくなるデータ数とする。図7の例では、直線近似に用いるデータ数は30個より少ない値を設定すればよい。
【0057】
また、インデックスが1であるデータ、すなわち直流成分(0,0)のデータは直線近似するデータから除くようにする。これは、直流成分(0,0)のデータにはレンズ位置のずれに関する情報は含まれていないためであり、かかるデータを直線近似に用いるデータから除外することで、カメラ70のレンズ位置のずれを精度よく検出できるようにしている。
【0058】
ステップS114でグラフの傾きの絶対値を算出すると、焦点ズレ判定部95は、その傾きの絶対値が所定の閾値Thよりも小さいか否かを判定する(ステップS116)。本実施形態における焦点ズレ検出方法は、図7のグラフに現れているような、焦点ズレの程度が大きくなるにつれて直線の傾きの絶対値が大きくなる傾向を利用して、カメラ70のレンズ位置のずれが生じているか否かを判定する。所定の閾値Thには、例えば、焦点ズレの生じていない場合のグラフの傾きの絶対値と、焦点ズレが生じている場合の画像データから算出されたグラフの傾きの絶対値との中間値とすることができる。あるいは、焦点ズレ判定処理に用いる画像データとして、許容可能な判定精度における画像データに基づいて算出したグラフの傾きの絶対値としてもよい。
【0059】
本実施形態では、ステップS114で算出されたグラフの傾きが負の値であることから、この傾きの絶対値を用いて焦点ズレ判定処理を行う。したがって、焦点ズレの程度が大きくなるにつれてグラフの傾きの絶対値は大きくなる。これより、グラフの傾きの絶対値が閾値Thより小さい場合には疵検出の精度への影響は許容範囲内であると判定し、通常の探傷処理を継続する(ステップS118)。
【0060】
一方、傾きの絶対値が閾値Th以上となった場合には、焦点ズレ判定部95は、鋼板20の表面の疵検出の精度に影響する程、カメラ70のレンズ位置にずれが生じていると判定し、表示装置100に対して異常通知を行う(ステップS120)。表示装置100には、例えば、カメラ70のレンズ位置が合焦点位置からずれている可能性がある旨のメッセージ等が表示される。ユーザは、表示装置100のメッセージを確認すると、カメラ70のレンズ位置の調整を行い、画像のピントのずれを解消する。このように、通常探傷中にカメラ70のレンズ位置のずれが生じた場合を検知して、疵検出の判定精度の低下による不良品の流出を防止することができる。
【0061】
<3.シミュレーション結果>
上述した本実施形態に係る焦点ズレ検出手段を備える画像処理装置90による、カメラ70のレンズ位置のずれの検出の効果を検証するためのシミュレーションを実施した。かかるシミュレーションでは、焦点ズレの生じていないカメラ70により撮像した画像データ(原画データ)に対してローパスフィルタ処理を行い、擬似的にピントのずれの生じた画像データを生成した。そして、原画データおよび生成された画像データについて、焦点ズレ検出方法を用いて2次元配列から1次元配列に周波数成分を配列してグラフを作成し、そのグラフの傾きを算出した。
【0062】
シミュレーション結果を図8〜図10に示す。図8〜図10には、各画像データに対するインデックスと平均DCT係数対数値との関係を示す波形と、当該波形を直線近似して得られた直線とを表すグラフと、検証対象である画像とを示している。図8は原画データ(すなわち、焦点ズレのない状態)について、図9は焦点ズレの程度が「1」である画像データについて、図10は焦点ズレの程度が「2」である画像データについての検証結果を示している。本シミュレーションにおいては、全64個のデータのうち、ジグザグスキャンのインデックスが2〜20のデータを用いて直線近似した。
【0063】
焦点ズレのない状態では、図8に示すように、インデックスと平均DCT係数対数値との関係を示す波形を直線近似して得られたグラフの傾きは、約−0.01であった。同様に、焦点ズレの程度が「1」の画像データについて算出すると、図9に示すように、グラフの傾きは約−0.0256であった。焦点ズレの程度が「2」の画像データについて算出すると、図10に示すように、グラフの傾きは約−0.0538であった。
【0064】
かかるシミュレーションでは、焦点ズレの発生の有無の判定に用いる画像データが変化すると、画像処理装置90により算出されたグラフの傾きは、焦点ズレが生じていない場合の傾きから、焦点ズレの程度が大きくなるにつれて徐々に小さくなり(絶対値としては大きくなる)、約2倍程度変化することがわかる。これより、焦点ズレを検出するグラフの傾きの閾値Thを、例えば−0.02と設定することができる。一般には、閾値Thは、焦点ズレが生じていない場合の原画データに基づいて算出されたグラフの傾きと、焦点ズレが生じている場合の画像データに基づいて算出されたグラフの傾きとの中間値を用いればよい。
【0065】
このように、ピントにずれが生じている画像データの2次元空間周波数分布をジグザグスキャンにより1次元配列に変換し、1次元配列されたデータのうち低い周波数部分のデータを用いて直線近似して算出されたグラフの傾きにより、焦点ズレの程度を判定することが可能であることが分かる。したがって、本実施形態に係る画像処理装置90を用いることで、カメラ70のレンズ位置のずれの発生の有無を検出することができる。
【0066】
<4.ハードウェア構成例>
上述した本実施形態に係る画像処理装置90は、例えばコンピュータ等の情報処理装置200により実現することができる。かかる情報処理装置200は、例えば図11に示すように、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、バス204と、インタフェース205と、入力装置206と、出力装置207と、ストレージ装置208と、通信装置209とを備える。
【0067】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って画像処理装置90内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはバス204により相互に接続されている。バス204は、入力装置206、出力装置207、ストレージ装置208、および通信装置209を相互に接続するインタフェース205と接続されている。
【0068】
入力装置206は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイク、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。
【0069】
出力装置207は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置207は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0070】
ストレージ装置208は、画像処理装置90の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。ストレージ装置208は、例えばハードディスクを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納している。また、通信装置209は、例えば、通信網210に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。通信装置209としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置や、ワイヤレスUSB対応通信装置、有線による通信を行う通信装置等を用いることができる。
【0071】
なお、かかる情報処理装置200は、例えば、当該情報処理装置200に内蔵、あるいは外付けされる記憶媒体用リーダライタを備えることもできる。記憶媒体用リーダライタは、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM203に出力する。また、情報処理装置200は、外部機器と接続されるインタフェースを備えることもでき、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口として用いることができる。
【0072】
また、上述した本実施形態に係る画像処理装置90の焦点ズレ検出方法は、それぞれ専用のハードウェアにより実行させてもよいが、ソフトウェアにより実行させてもよい。一連の処理をソフトウェアにより行う場合、例えば、汎用または専用のコンピュータにプログラムを実行させることにより、上記の一連の処理を実現することができる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0074】
例えば、上記実施形態では、画像データの2次元周波数分布を、離散コサイン変換を用いて表したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、離散フーリエ変換を用いて、画像データの2次元周波数分布を表現してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、カメラ70により撮像した画像は、一旦画像メモリ80に記録され、画像処理装置90は当該画像メモリ80にアクセスして画像データを取得したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、画像メモリ80は画像処理装置90内に設けられていてもよく、カメラ70から画像データが画像処理装置90に入力され、画像メモリ80に一旦記憶した後、焦点ズレ判定処理を実施するタイミングで画像メモリ80から画像データを読み出すようにしてもよい。また、画像メモリ80を介さずに、カメラ70により撮像した画像データを直接画像処理装置90に出力するようにしてもよい。
【0076】
さらに、上記実施形態では、欠陥検査処理により検出された異常の通知は、表示装置100を用いて行ったが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、スピーカ等の音声出力装置等により、異常が検知されたメッセージをユーザに通知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 巻出しリール
20 鋼板
30 搬送ロール
40 圧延ロール
50 巻取りリール
60 照明
70 カメラ
80 画像メモリ
90 画像処理装置
91 画像取込部
92 画像分割部
93 DCT演算部
94 配列変換部
95 焦点ズレ判定部
96 出力部
100 表示装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される被検査体の表面を撮像装置により撮像した画像データに基づいて、表面欠陥を検査する表面欠陥検査装置において、前記撮像装置の焦点ズレを検出する焦点ズレ検出装置であって、
前記画像データの画像信号を2次元配列された周波数成分に変換する変換演算を行う演算部と、
前記画像データの周波数成分の2次元配列を、所定の規則に基づいて、1次元配列に変換する配列変換部と、
前記1次元配列に変換された周波数成分の一部によって形成される波形の傾きに基づいて、前記撮像装置の焦点ズレの有無を判定する焦点ズレ判定部と、
を備えることを特徴とする、焦点ズレ検出装置。
【請求項2】
前記演算部は、
前記画像データを所定サイズのブロックに分割する画像分割部と、
前記画像データを分割して生成された前記各ブロックを、離散コサイン変換を用いて2次元配列された周波数成分に変換し、前記2次元配列された周波数成分毎に、前記各ブロックの2次元配列された周波数成分の絶対値を加算して全ブロックに対する平均をとることにより平均周波数成分絶対値を算出するDCT演算部と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項3】
前記配列変換部は、2次元配列された周波数成分に変換された前記画像データを、低い周波数成分から高い周波数成分の順に読み取り、1次元配列に変換することを特徴とする、請求項2に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項4】
前記配列変換部は、2次元配列された周波数成分に変換された前記画像データを、ジグザグスキャンすることにより、1次元配列に変換することを特徴とする、請求項3に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項5】
前記配列変換部は、前記画像データの2次元配列から1次元配列へ変換するときの周波数成分の読み取り順序で、前記画像データの平均周波数成分絶対値の対数値を配列して、前記傾きを算出するための波形を形成することを特徴とする、請求項4に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項6】
前記焦点ズレ判定部は、前記1次元配列に変換された周波数成分のうち、低い周波数成分を用いて形成される波形の傾きを算出することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項7】
前記焦点ズレ判定部は、前記画像データの2次元配列から1次元配列へ変換するときに、直流の周波数成分を除いて、前記波形の傾きを算出することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項8】
前記焦点ズレ判定部は、
前記傾きの絶対値が所定の閾値より小さいとき、前記撮像装置の焦点ズレ無しと判定し、
前記傾きの絶対値が所定の閾値以上のとき、前記撮像装置の焦点ズレ有りと判定することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項9】
前記焦点ズレ判定部は、前記周波数成分を直線近似することにより、前記波形の傾きを算出する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の焦点ズレ検出装置。
【請求項10】
搬送される被検査体の表面を撮像装置により撮像した画像データに基づいて、表面欠陥を検査する表面欠陥検査装置の、前記撮像装置の焦点ズレを検出する焦点ズレ検出方法であって、
前記画像データの画像信号を2次元配列された周波数成分に変換する変換演算を行う演算ステップと、
前記画像データの周波数成分の2次元配列を、所定の規則に基づいて、1次元配列に変換する配列変換ステップと、
前記1次元配列に変換された周波数成分の一部によって形成される波形の傾きに基づいて、前記撮像装置の焦点ズレの有無を判定する焦点ズレ判定ステップと、
を含むことを特徴とする、焦点ズレ検出方法。
【請求項11】
コンピュータを、
搬送される被検査体の表面を撮像装置により撮像した画像データに基づいて表面欠陥を検査する表面欠陥検査装置の、前記撮像装置により撮像した画像データの画像信号を2次元配列された周波数成分に変換する変換演算を行う演算手段と、
前記画像データの周波数成分の2次元配列を、所定の規則に基づいて、1次元配列に変換する配列変換手段と、
前記1次元配列に変換された周波数成分の一部によって形成される波形の傾きに基づいて、前記撮像装置の焦点ズレの有無を判定する焦点ズレ判定手段と、
を備えることを特徴とする、焦点ズレ検出装置として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−220828(P2011−220828A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90284(P2010−90284)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】