説明

照明装置、自動車ヘッドライトおよび照明装置を製造するための方法

照明装置であって、少なくとも1つの発光ダイオード(20)と、少なくとも1つの光学的なエレメント(30)とが設けられている形式のものにおいて、発光ダイオード(20)と光学的なエレメント(30)とが、少なくとも1つの嵌合ピン(31,32)によって互いに対して位置調整されていることを特徴とする照明装置が記載される。さらに、このような照明装置を製造するための方法が記載される。前記照明装置は自動車用のヘッドライトにおける使用のために特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関する。さらに本発明は照明装置を製造するための方法に関する。さらに本発明は自動車ヘッドライトに関する。
【0002】
本発明の課題は、特に多目的に使用可能となる照明装置を提供することである。さらに本発明の課題は、このような照明装置を製造するための方法を提供することである。さらに本発明の課題は、このような照明装置を備えた自動車ヘッドライトを提供することである。
【0003】
上記課題は、請求項1に記載の照明装置、つまり少なくとも1つの発光ダイオードと、少なくとも1つの光学的なエレメントとが設けられている形式の照明装置において、発光ダイオードと光学的なエレメントとが、少なくとも1つの嵌合ピンによって互いに対して位置調整されていることを特徴とする照明装置、請求項24に記載の自動車ヘッドライトならびに請求項25に記載の照明装置を製造するための方法、つまり光学的なエレメントと発光ダイオードとを、嵌合ピンによって互いに対して位置調整することを特徴とする、照明装置を製造するための方法により解決される。請求項2〜請求項23には、本発明による照明装置の有利な実施態様が記載されており、請求項26〜請求項28には、本発明による方法の有利な実施態様が記載されている。
【0004】
照明装置が記載される。
【0005】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、照明装置が少なくとも1つの発光ダイオードを有している。有利には、照明装置が複数の発光ダイオードを有している。付加的に、照明装置が発光ダイオードの他に別の光線を発生させる構成エレメント、たとえばハロゲンランプまたはガス放電ランプを有していることが可能である。
【0006】
さらに照明装置の少なくとも1つの実施態様では、照明装置が光学的なエレメントを有している。光学的なエレメントは、屈折型または回折型の光学系であってよい。しかし、光学的なエレメントが反射型の光学系により与えられていることも可能である。さらに、光学的なエレメントが、上で挙げた光学系の組合せにより与えられていてもよい。
【0007】
光学的なエレメントは、発光ダイオードにより発せられた光線の少なくとも一部に光学的なエレメントによって規定された通りの影響が与えられるように少なくとも1つの発光ダイオードに後置されていると有利である。
【0008】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、各発光ダイオードに正確に1つの光学的なエレメントが一義的に対応していることが可能である。すなわち、光学的なエレメントは主として当該発光ダイオードから発せられた光線だけに影響を与える。
【0009】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、複数の発光ダイオードに1つの共通の光学的なエレメントが後置されている。すなわち、1つの光学的なエレメントが、この光学的なエレメントに対応する複数の発光ダイオードの光線に影響を与える。特に、照明装置の全ての発光ダイオードに正確に1つの共通の光学的なエレメントが後置されていることが可能である。
【0010】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、少なくとも1つの発光ダイオードと光学的なエレメントとが、少なくとも1つの嵌合ピンによって互いに対して位置調整されている。すなわち、発光ダイオードと光学的なエレメントとの互いに相対的な位置は、嵌合ピンによって規定されている。発光ダイオードと光学的なエレメントとが複数の嵌合ピンによって互いに対して位置調整されていると有利である。
【0011】
発光ダイオードと光学的なエレメントとはこの場合、1つの共通の支持体に組み付けられていてよい。その場合、発光ダイオードに対して相対的な光学的なエレメントの位置が、光学的なエレメントと支持体とを互いに結合する少なくとも1つの嵌合ピンによって決定されていることが可能となる。さらに、発光ダイオードが光学的なエレメントに対して、支持体と発光ダイオードとを互いに結合する少なくとも1つの嵌合ピンによって位置調整されていることも可能である。さらに、発光ダイオードも光学的なエレメントも、それぞれ少なくとも1つの嵌合ピンによって支持体に結合されていることも可能である。その場合、発光ダイオードと光学的なエレメントとはこれらの嵌合ピンによってそれぞれ支持体に対して位置調整され、ひいては互いに対して位置調整されている。
【0012】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、少なくとも1つの発光ダイオードと少なくとも1つの光学的なエレメントとを有する照明装置が記載される。この場合、発光ダイオードと光学的なエレメントとは少なくとも1つの嵌合ピンによって互いに対して位置調整されている。
【0013】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、光学的なエレメントの少なくとも一部がファイバ光学系、つまりファイバオプティクスにより形成されている。すなわち、光学的なエレメントの少なくとも一部が光導波体を有している。1つの発光ダイオードの光線がファイバ光学系の少なくとも1つのファイバへ入力結合されると有利である。発光ダイオードがたとえば複数の発光ダイオードチップを有している場合、各発光ダイオードチップの光線がファイバ光学系の正確に1つのファイバに入力結合されると有利である。発光ダイオードにより形成された電磁的な放射線が光学系から再び射出する際に通過するファイバ光学系の一部には、たとえば付加的な光学的なエレメントが後置されていてよい。この付加的な光学的なエレメントは、たとえば屈折型または回折型のレンズにより形成されていてよい。
【0014】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、嵌合ピンが2つの底面もしくは基面を有している。両底面もしくは両基面は1つの外周面により互いに結合されている。嵌合ピンの底面が互いに等しい形状および大きさを有していると有利である。外周面は有利には平滑に形成されていて、両底面もしくは両基面を1本の直線に沿って結んでいる。外周面は、嵌合ピンの両底面を通って形成される両平面に直角に位置していると有利である。たとえば、嵌合ピンは次の形状のうちの1つを有している:円筒形、直方体形。
【0015】
少なくとも1つの実施態様では、嵌合ピンの両端部のうちの少なくとも一方の端部が切欠き内に係合している。すなわち、この切欠きは嵌合ピンを収容するために適している。この切欠きは嵌合ピンの、切欠き内に係合する方の端部の底面と同じ形状の周縁輪郭を有していると有利である。嵌合ピンがたとえば円筒形に形成されていると、切欠きは円形の孔により与えられていると有利である。
【0016】
切欠きの開口は、嵌合ピンが当該切欠き内にぴたりと整合して係合するように寸法設定されていると有利である。たとえば、嵌合ピンは切欠き内に形状接続的に、つまり係合により嵌合している。その場合、嵌合ピンは切欠き内に差込み可能である。
【0017】
しかし、切欠きの開口が嵌合ピンの、当該切欠き内に係合する方の端部の底面よりも少しだけ狭く形成されていることも可能である。その場合、嵌合ピンを切欠き内にプレス嵌めにより圧入することができる。その場合、このようなプレス嵌めによって機械的な強度向上も行われる。すなわち、光学的なエレメントは嵌合ピンによって機械的に支持体に結合されていてよい。
【0018】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、嵌合ピンが別個の独立した構成部分である。その場合、嵌合ピンの両端部はそれぞれ1つの切欠き内に係合する。このためには、たとえば一方の切欠きが光学的なエレメントに設けられており、他方の切欠きが支持体に設けられており、この支持体に光学的なエレメントが結合されている。
【0019】
少なくとも1つの実施態様では、嵌合ピンが、光学的なエレメントに組み込まれた構成要素である。すなわち、嵌合ピンの一方の端部が光学的なエレメントに固く結合されている。たとえば嵌合ピンは既に光学的なエレメントの製造時に当該光学的なエレメントの一部として一緒に形成されていてよい。たとえば、嵌合ピンは光学的なエレメントに固着成形されているか、固着射出成形されているか、接着されているか、または当該光学的なエレメントとワンピースに、つまり一体に形成されていてよい。
【0020】
この場合には、光学的なエレメントに結合されていてかつたとえば発光ダイオードが配置されている支持体が、嵌合ピンを収容するために適した切欠きを有している。
【0021】
しかし、少なくとも1つの実施態様では、嵌合ピンが、支持体に組み込まれた構成要素であることも可能である。この場合、嵌合ピンは既に支持体の製造時に支持体の一部として一緒に形成されていてよい。たとえば、嵌合ピンは支持体に固着成形されているか、固着射出成形されているか、接着されているか、または支持体の一部としてワンピースに形成されていてよい。その場合、光学的なエレメントが、嵌合ピンを収容するために適した切欠きを有していると有利である。
【0022】
少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードが支持体に載置されている。この場合、発光ダイオードと支持体とが少なくとも1つの嵌合ピンによって互いに対して位置決めされていることが可能である。複数の発光ダイオードが支持体上に配置されていると、これらの発光ダイオードは嵌合ピンによって支持体に対して位置調整され、ひいては互いに対しても位置調整されていてよい。
【0023】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、嵌合ピンが、発光ダイオードに組み込まれた構成要素である。その場合、嵌合ピンは既に発光ダイオードの製造時に発光ダイオードの一部として一緒に形成されていてよい。たとえば、嵌合ピンは発光ダイオードに固着成形されているか、固着射出成形されているか、接着されているか、または発光ダイオードの一部としてワンピースに形成されていてよい。その場合、支持体が、発光ダイオードに設けられた嵌合ピンを収容するために適した切欠きを有していると有利である。
【0024】
少なくとも1つの実施態様では、嵌合ピンが、支持体に組み込まれた構成要素である。この場合にも、嵌合ピンは支持体の一部として一緒に形成されていてよい。たとえば、嵌合ピンは支持体に固着成形されているか、固着射出成形されているか、接着されているか、または支持体の一部としてワンピースに形成されていてよい。その場合、発光ダイオードが、支持体に設けられた嵌合ピンを収容するために適した切欠きを有していると有利である。
【0025】
さらに、照明装置の少なくとも1つの実施態様では、支持体と発光ダイオードとが、別個の嵌合ピンを収容するために適したそれぞれ少なくとも1つの切欠きを有していることも可能である。その場合、この嵌合ピンを用いて、支持体と発光ダイオードとが互いに対して位置調整されている。
【0026】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードと支持体とが、少なくとも1つの嵌合マークによって互いに対して位置調整されている。嵌合マークは、たとえば発光ダイオードの表面に設けられたマーキングである。支持体も少なくとも1つの嵌合マークを有していると有利である。支持体と発光ダイオードとは、たとえば光学的な画像認識法を用いて発光ダイオードと支持体とに設けられた嵌合マークを互いに相対的に位置決めすることによって位置調整されていてよい。
【0027】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードが少なくとも1つの発光ダイオードチップを有している。この発光ダイオードチップには発光ダイオード光学系が後置されていると有利である。発光ダイオードが複数の発光ダイオードチップを有していて、これらの発光ダイオードチップに1つの共通の発光ダイオード光学系が後置されていると特に有利である。発光ダイオード光学系は、発光ダイオードチップにより発せられた電磁的な放射線の大部分に発光ダイオード光学系によって影響が与えられるように発光ダイオードチップに対して位置決めされていると有利である。発光ダイオード光学系は以下に挙げる光学的なエレメントのうちの少なくとも1つを有していると有利である:屈折型の光学系、回折型の光学系、反射型の光学系、ファイバ光学系。
【0028】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオード光学系が、発光ダイオードチップにより発せられた光線の発散(Divergenz)を減少させるために適している。すなわち、発光ダイオードチップにより発せられた光線には、たとえば発光ダイオード光学系を通過する際に、光線の発散が、発光ダイオード光学系への入射前よりも出射後の方が小さくなるように影響が与えられる。
【0029】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオード光学系が、非結像型の光学的な集光器である。この場合、発光ダイオード光学系は、光学的なエレメントの放射線入射開口が集光器の固有の放射線出射開口となるように少なくとも1つの発光ダイオードチップの放射線出力結合面に後置されていると有利である。すなわち、発光ダイオード光学系は発光ダイオードチップの方向に先細りになっている。こうして、放射線入射開口を通って発光ダイオード光学系に進入した電磁的な放射線は、放射線出射開口を通って、減じられた発散を持って集光器から進出する。
【0030】
発光ダイオード光学系は、少なくとも部分的に、以下に挙げる光学的なエレメントのうちの1つとして形成されていてよい:複合放物面型集光器(CPC - Compound Parabolic Concentrator)、複合楕円型集光器(CEC - Compound Ellyptic Concentrator)、複合双曲線型集光器(CHC - Compound Hyperbolic Concentrator)。
【0031】
発光ダイオード光学系は、発光ダイオードチップにより発せられた電磁的な放射線の少なくとも一部を反射させるために適した反射性の側壁を有していてよい。その場合、これらの側壁は少なくとも部分的に、上で挙げた光学的なエレメントのうちの1つとして形成されている。
【0032】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、非結像型の集光器が、放射線入射開口を発光ダイオード光学系の放射線出射開口に接続する側壁を有している。この場合、これらの側壁は、当該側壁に沿って延びる、放射線入射開口と放射線出射開口との間を結ぶ結合線がほぼ真っ直ぐに延びるように形成されている。これらの側壁は、たとえば切頭ピラミッド形または円錐台形の形状を形成している。
【0033】
発光ダイオード光学系はこの場合には、誘電性の材料から成る中実体であってよい。その場合、放射線入射開口を通じて発光ダイオード光学系に入射した電磁的な放射線が、前記中実体の側方輪郭を制限する側方の制限面のところで周辺媒体に対して反射されると有利である。
【0034】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、各発光ダイオードチップに正確に1つの発光ダイオード光学系が対応している。光学的なエレメントの放射線入射開口は発光ダイオードチップの主放射方向における発光ダイオードチップの放射線出力結合面に後置されていると有利である。
【0035】
しかし、複数の発光ダイオードチップが1つの共通の発光ダイオード光学系に対応していることも可能である。このためには、発光ダイオードチップが、たとえば少なくとも1つの直線に沿って配置されていてよい。その場合、光学的なエレメントの放射線入射開口は発光ダイオードチップの主放射方向における個々の発光ダイオードチップの放射線出力結合面の全面に後置されている。
【0036】
少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオード光学系の放射線入射開口が、光学的なエレメントに対応する発光ダイオードチップの全放射線出力結合面の最大2倍の大きさに形成された横断面を有している。全放射線出力結合面は、発光ダイオード光学系に対応する個々の発光ダイオードチップの放射線出力結合面の総和により与えられている。放射線入射開口の面積は、有利には発光ダイオード光学系に対応する発光ダイオードチップの全放射線出力結合面の最大1.5倍、特に有利には最大1.25倍の大きさに形成されている。
【0037】
このように小さな放射線入射開口により、電磁的な放射線が発せられる際に放射線が向けられる立体角を、発光ダイオードチップの放射線出力結合面のできるだけ近くで小さくすることが可能になる。発光ダイオードチップの放射線出力結合面のできるだけ近くでは、発光ダイオードチップにより発せられたビームコーンの横断面が特に小さくなる。このことは、最適化されたエタンデュを有する構成エレメントの構造を可能にする。すなわち、できるだけ高い放射線強度ができるだけ小さな面に投影される。エタンデュは光学系の維持量(Erhaltungsgroesse)である。エタンデュは、光源の面積と、光源が放射する際に成す立体角との積により形成されている。
【0038】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードチップの放射線出力結合面と発光ダイオード光学系の放射線入射開口との間にギャップ、たとえばエアギャップが配置されている。これにより、特に発散性の放射線が発光ダイオード光学系に入射するのではなく、発光ダイオード光学系への入射前にギャップを通じて側方に射出し得ることが達成されている。これによって、光学的なエレメントにより発せられた電磁的な放射線の発散を一層低減させることができる。
【0039】
さらに、ギャップの代わりに、たとえば発光ダイオードチップの放射線出力結合面に後置されている側壁が、光学的なエレメントの放射線入射開口の近傍で吸収性に、または電磁的な放射線に対して透過性に形成されていることも可能である。こうして、発光ダイオードチップにより発せられた電磁的な放射線の高発散性の成分が光学的なエレメント内に入射しないことが達成されていてよい。
【0040】
発光ダイオード装置の少なくとも1つの実施態様では、光学的なエレメントの放射線出射開口に付加的な光学的なエレメントが主放射方向で後置されている。付加的な光学的なエレメントは光線を屈折させる光学系または光線を回折させる光学系であると有利である。このような光学系を用いて、付加的な光学的なエレメントを通過する放射線の発散の一層の低減を達成することができる。
【0041】
有利には、発光ダイオード光学系が、放射線入射開口を通過するビームコーンの発散を少なくとも1つの空間方向で低減させ、この場合、ビームコーンは放射線出射開口を通じた出射時に、発光ダイオード光学系に対応する発光ダイオードチップの放射線出力結合面に対して直角に位置する光学的なエレメントの長手方向中心軸線に対して0〜70゜、有利には0〜20゜、特に有利には0〜10゜の開き角を有している。
【0042】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードが、複数の発光ダイオードチップのうちの少なくとも1つの発光ダイオードチップの放射線出力結合面に後置されたルミネッセンス−変換材料(Lumineszenz-Konversionsmaterial)を有している。当該照明装置の各発光ダイオードチップの放射線出力結合面にそれぞれルミネッセンス−変換材料が後置されていると有利である。
【0043】
ルミネッセンス−変換材料は、発光ダイオードチップから送出された電磁的な放射線の少なくとも一部を波長変換するために適していると有利である。発光ダイオードチップにより発せられた放射線が、波長変換された成分と混合して白色の光線を形成することが有利である。
【0044】
しかし、発光ダイオードチップにより発せられた電磁的な放射線をほぼ完全にルミネッセンス−変換材料によって波長変換することも可能である。たとえば、こうして発光ダイオードチップにより発せられた、非可視スペクトル領域の放射線を、可視スペクトル領域の放射線に変換することができる。その場合、ルミネッセンス−変換材料内のたとえば2種類の発光物質を使用することにより、光線混合によって、たとえば白色の光線を発生させることができる。波長変換のための適当な発光物質は、たとえば国際公開第98/12757号パンフレットに記載されている(同国際公開パンフレット中の発光物質に関する記載を参照)。
【0045】
ルミネッセンス−変換材料は、照明装置の少なくとも1つの実施態様では、少なくとも部分的に放射線透過性の封止用の流込み材料に混加されていてよい。この流込み材料が発光ダイオードチップを少なくとも部分的に取り囲んでいると有利である。流込み材料は、たとえばエポキシ材料および/またはシリコーン材料を含有していてよい。
【0046】
しかし、ルミネッセンス−変換材料は、個々の発光ダイオードチップの放射線出力結合面へ薄い層として直接に被着されていてもよい。
【0047】
さらに、ルミネッセンス−変換材料が少なくとも所定の個所で発光ダイオード光学系内に内蔵されていることも可能である。すなわち、ルミネッセンス−変換材料は、たとえば薄い層として、発光ダイオードチップの放射線出力結合面に後置された側壁に被着されていてよい。ルミネッセンス−変換材料はこれらの側壁に均質に分配されていてよい。しかし、ルミネッセンス−変換材料が側壁の規定された個所に被着されていることも可能である。こうして、光学的なエレメントを通過する電磁的な放射線の特に規定された変換が可能となる。
【0048】
少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードが、種々異なる波長の放射線を発する発光ダイオードチップを有していることも可能である。その場合、この放射線は互いに混合し合って白色の光線を形成すると有利である。たとえば、発光ダイオードが、赤色のスペクトル領域の光線を発するために適した少なくとも1つの発光ダイオードチップと、緑色のスペクトル領域の光線を発するために適した少なくとも1つの発光ダイオードチップと、青色のスペクトル領域の光線を発するために適した少なくとも1つの発光ダイオードチップとを有していてよい。色再現値を改善するためには、発光ダイオードが付加的に、別のスペクトル領域の光線、たとえば黄色のスペクトル領域の光線を発するために適した発光ダイオードチップを有していてよい。
【0049】
照明装置の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードの複数の発光ダイオードチップのうちの少なくとも1つの発光ダイオードチップが、放射線出力結合面を有しており、この放射線出力結合面によって、発光ダイオードチップにより発せられた電磁的な放射線の大部分が出力結合される(auskoppeln)。発光ダイオードチップにより発せられた全放射線がこの放射線出力結合面を通じて出射すると特に有利である。
【0050】
放射線出力結合面は、たとえば発光ダイオードチップの表面の一部により与えられている。放射線出力結合面は、たとえば電磁的な放射線を発生させるために適した、発光ダイオードチップのエピタキシ層列に対して平行に配置されている発光ダイオードチップの主面により与えられていると有利である。
【0051】
このためには、エピタキシ層列が、たとえばpn接合、二重ヘテロ構造、単一量子井戸構造または特に有利には多重量子井戸構造を有していてよい。
【0052】
「量子井戸構造」とは、本発明の枠内では、電荷キャリヤが閉込め(confinement)によってそのエネルギ状態の量子化を受けるようなあらゆる構造をも包含する。特に用語「量子井戸構造」は量子化の次元数に関する記載を含まない。したがって、「量子井戸構造」はとりわけ一次元量子井戸、量子ワイヤおよび量子ドットならびにこれらの構造のあらゆる組合せを包含する。
【0053】
発光ダイオードチップは、成長基板が少なくとも部分的に除去されていて、最初の成長基板とは反対の側の表面に支持エレメントが被着されているような半導体発光ダイオードチップであると有利である。支持エレメントは成長基板と比べて比較的自由に選択され得る。その熱膨張率に関して、放射線を発生させるエピタキシ層列に特に良好に適合されている支持エレメントが選択されると有利である。さらに、支持エレメントは、特に良熱伝導性の材料を含有していてよい。
【0054】
成長基板の除去により製造された、このような発光ダイオードチップは、しばしば「薄膜発光ダイオードチップ」と呼ばれ、有利には以下に挙げる特徴によりすぐれている:
−放射線を発生させるエピタキシ層列の、支持体側に向けられた第1の主面に反射性の層または層列が被着されているか、または形成されており、この反射性の層または層列はエピタキシ層列で発生された電磁的な放射線の少なくとも一部をエピタキシ層列へ戻し反射させる。
−エピタキシ層列が有利には最大20μm、特に有利には最大10μmの厚さを有している。
−さらに、エピタキシ層列が有利には、混合構造を有する少なくとも1つの面を備えた少なくとも1つの半導体層を有している。理想的な事例では、この混合構造はエピタキシ層列における光線のほぼエルゴード的な分配をもたらす。すなわち、この混合構造はできるだけエルゴード的な確率的なばらつき特性を有している。
【0055】
薄膜発光ダイオードチップの基本原理は、たとえば刊行物 シュニッツア(I.Schnitzer)他著の「Appl.Phys.Lett.63(16)」(1993年10月18日)2174頁〜2176頁に記載されている(薄膜発光ダイオードチップの基本原理に関する記載を参照)。
【0056】
照明装置の全ての発光ダイオードチップが薄膜発光ダイオードチップであると有利である。
【0057】
さらに、上に記載した照明装置の少なくとも1つを有する自動車用のヘッドライトが記載される。この自動車用のヘッドライトはさらにハウジングを有していてよく、このハウジング内に、上で説明した照明装置の少なくとも1つの照明装置が配置されている。このハウジングは、たとえば自動車ボディの一部であってよい。さらに、自動車用のヘッドライトは、上記照明装置にその主放射方向で後置されている透過性のカバープレートまたはヘッドライト光学系を有していてよい。
【0058】
さらに、照明装置を製造するための方法が記載される。
【0059】
本発明による方法の少なくとも1つの実施態様では、光学的なエレメントと発光ダイオードとが、少なくとも1つの嵌合ピンによって互いに対して位置調整される。
【0060】
当該方法を用いて、光学的なエレメントと発光ダイオードとを規定通りに互いに相対的に位置決めすることが可能になる。
【0061】
このためには、嵌合ピンが、たとえば嵌合ピンのために設けられた切欠き内に押し込まれるか、または圧入される。たとえば、このためには発光ダイオードが支持体に被着されている。その場合、光学的なエレメント、支持体または光学的なエレメントと支持体とは、嵌合ピンを収容するために適した切欠きを有している。この場合、嵌合ピンは支持体または光学的なエレメントに組み込まれた構成要素であるか、または別個の構成部分である。嵌合ピンによって、光学的なエレメントと支持体とを互いに相対的に位置決めし、ひいては光学的なエレメントと、支持体に組み付けられた発光ダイオードとを互いに対して位置調整することが可能となる。
【0062】
当該方法の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードと支持体とが嵌合ピンによって互いに対して位置調整される。この場合、嵌合ピンが両構成部分のうちのいずれか一方に組み込まれた構成要素であることが可能である。さらに、嵌合ピンが別個の構成部分であることも可能であり、その場合、発光ダイオードおよび支持体が、嵌合ピンを収容するために適した切欠きを有している。当該方法によって、発光ダイオードと支持体とを互いに相対的に規定通りに位置決めすることができる。複数の発光ダイオードと1つの支持体とが互いに位置調整される場合、さらに嵌合ピンによって発光ダイオード同士の相互位置調整も行われる。
【0063】
当該方法の少なくとも1つの実施態様では、発光ダイオードと支持体とが嵌合マークによって互いに対して位置調整される。このためには、発光ダイオードと支持体とがそれぞれ少なくとも1つの嵌合マークを有している。両構成部分に設けられた嵌合マークは、たとえば光学的な画像処理システムによって互いに相対的に位置決めされる。嵌合マークは、発光ダイオードおよび支持体の表面に被着されたマ―キング、たとえばカラーマーキングであってよい。しかし、1つの構成部分の特定のエレメントが嵌合マークとして機能することも可能である。すなわち、たとえば発光ダイオードの特定の発光ダイオードチップが嵌合マークとして使用され得る。
【0064】
照明装置を製造するための方法の少なくとも1つの実施態様では、支持体における発光ダイオードの固定が、発光ダイオードと支持体との相互位置調整および光学的なエレメントと発光ダイオードとの相互位置調整の後ではじめて行われる。このためには、UV硬化性の接着剤を用いて発光ダイオードを支持体に固定することができる。この接着剤は、これらの構成部分の相互位置調整が完了した後でしか硬化されない。
【0065】
以下に、本発明の照明装置の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0066】
実施例および図面中、同一の構成要素または同一作用を有する構成要素には、それぞれ同じ符号が付与されている。図示の各構成要素は縮尺通りであるとはみなされず、それどころか個々のエレメントは分かり易くする目的で誇張して大きく描かれている場合もある。
【0067】
図1は、発光ダイオードの第1実施例による発光ダイオード光学系を備えた発光ダイオードの概略的な断面図である。
【0068】
図2は、非結像型の光学的な集光器の機能形式を説明するための概略図である。
【0069】
図3は、発光ダイオードの第2実施例による発光ダイオード光学系の概略的な断面図である。
【0070】
図4aは、発光ダイオードの第3実施例による発光ダイオードの概略的な斜視図である。
【0071】
図4bは、発光ダイオード光学系を備えた発光ダイオードの第3実施例を示す斜視図である。
【0072】
図5aは、照明装置の第1実施例を示す斜視側面図である。
【0073】
図5bは、照明装置の第1実施例を示す斜視正面図である。
【0074】
図6aは、照明装置の第2実施例を示す斜視側面図である。
【0075】
図6bは、照明装置の第2実施例を示す斜視正面図である。
【0076】
図7aは、照明装置の第3実施例を示す斜視側面図である。
【0077】
図7bは、照明装置の第3実施例を示す斜視正面図である。
【0078】
図8aは、照明装置の第4実施例を示す斜視側面図である。
【0079】
図8bは、照明装置の第4実施例を示す斜視正面図である。
【0080】
図1には、発光ダイオード20の第1実施例による発光ダイオード光学系4を備えた発光ダイオード20の概略的な断面図が図示されている。
【0081】
発光ダイオードチップ1は支持体2に被着されている。支持体2は、たとえばセラミック材料を含んでいてよい。たとえば、支持体2は発光ダイオードチップ1をコンタクトするためのスルーホールメッキ等の貫通接続部を有している。図示の実施例では、支持体2がプリント配線板25に被着されている。このプリント配線板25は、たとえば発光ダイオードチップ1をコンタクトするための複数の導体路およびコンタクト部を有している。
【0082】
発光ダイオードチップ1は、たとえば本明細書の一般的な部分で説明したような薄膜型発光ダイオードチップである。
【0083】
発光ダイオードチップ1には、発光ダイオード光学系4が後置されている。この発光ダイオード光学系4は、たとえば三次元のCPC型の非結像式の光学的な集光器であってよい。発光ダイオード光学系4は光線入射開口もしくは放射線入射開口bを有しており、発光ダイオードチップ1から発せられた電磁的な放射線3はこの放射線入射開口bを通り抜けることができる。電磁的な放射線3は少なくとも部分的に発光ダイオード光学系4の側壁で反射される。このためにこれらの側壁は反射性の被覆体を備えていると有利である。次いで、電磁的な放射線3は放射線出射開口5を通じて発光ダイオード光学系4から出射する。
【0084】
発光ダイオード光学系4の放射線入射開口bが発光ダイオードチップ1の放射線出力結合面に近付けられれば近付けられるほど、放射線入射開口bはますます小さく形成されていてよくなり、そして放射線出射開口5を通じて出射する電磁的な放射線3のビーム密度(エタンデュ;Etendue)はますます高くなる。発光ダイオード光学系4と発光ダイオードチップ1とは一緒になって発光ダイオード20を形成している。
【0085】
図1に示した実施例に対して択一的に、複数の発光ダイオードチップが、たとえば1つの直線に沿って支持体2に配置されていて、これらの発光ダイオードチップに1つの共通の発光ダイオード光学系4が対応していることも可能である(図4aおよび図4bも参照)。
【0086】
図2から判るように、発光ダイオード光学系4を通過した放射線のビームコーン6は、発光ダイオード光学系4の中心軸線7に対して最大の角度θを成して放射線出射開口5から出射する。発光ダイオード光学系4の長さlはこの場合、放射線入射開口bの与えられた幅において角度θを決定する。理想的なコンパクトな放物面集光器については、たとえば以下の関係が成り立つ:
【数1】

【0087】
たとえばθ=9゜の最大の開放角を達成するためには、発光ダイオード光学系4の長さlが、放射線入射開口bの幅の約23倍の大きさに設定されていなければならない。
【0088】
図3に示したように、CPC型の集光器に対して択一的に発光ダイオード光学系は、放射線入射開口bから放射線出射開口5にまで直線状に真っ直ぐに延びる側壁8を有していてもよい。この場合、発光ダイオード光学系4は誘電性の材料から成る中実体であってよく、この中実体は円錐台形または切頭ピラミッド形の基本形状を有している。付加的に、放射線出射開口5は一種の球面レンズまたは非球面レンズのように外方へ向かって湾曲させられていてよい。このようなレンズは付加的な発光ダイオード光学系9を形成する。この付加的な発光ダイオード光学系9は発光ダイオード光学系の一部であって、光学的なエレメント4を通る放射線3の発散(拡がり)を減少させるために適している。
【0089】
図4aには、発光ダイオード20の第3実施例による発光ダイオード20の斜視図が示されている。
【0090】
この第3実施例では、多数の発光ダイオードチップ1が1つの支持体2に1つの線に沿って配置されている。4つまたは5つの発光ダイオードチップ1が支持体2に配置されていると有利である。
【0091】
支持体2はさらに内壁2aを有している。この内壁2aは発光ダイオードチップ1に後置されている。内壁2aは、発光ダイオードチップ1から発せられた放射線を反射させるために適していると有利である。このためには、支持体内壁2aが反射性の材料を有しているか、または反射性の被覆体を備えている。支持体2の内壁2aは発光ダイオード光学系4を形成しているか、または発光ダイオード光学系4の一部である。たとえば、内壁2aは、さらに上で説明したような非結像型の集光器の形に成形されていてよい。
【0092】
支持体2はプリント配線板25に搭載されている。プリント配線板25は、たとえば金属コアボード(Metallkernplatine)である。支持体2はさらにコンタクト面21を有している。このコンタクト面21を介して発光ダイオードチップ1を電気的にコンタクトすることができる。プリント配線板25に設けられた複数の導体路27によって、コンタクト面21は電気的なアウタコンタクト面22に接続されている。対応コネクタ23によって、単純な差込み結合を介してアウタコンタクト面22を外部からコンタクトすることができる。付加的に、発光ダイオードチップ1には少なくとも1つのバリスタ26が並列に接続されていてよい。このバリスタ26は発光ダイオードチップ1のための過電圧保護として働く。さらに、プリント配線板25は複数の切欠き24を有していてよい。この切欠き24は嵌合ピンを収容するために適している。図示の実施例では、切欠き24が嵌合孔により与えられている。
【0093】
図5aには、前記照明装置の第1実施例の斜視側面図が図示されている。図5bには、図5aに示した照明装置の斜視正面図が図示されている。
【0094】
たとえば図1、図3または図4につき説明した複数の発光ダイオードチップが、1つの支持体33に組み付けられている。支持体33は、作動時に発光ダイオード20により発生される熱のための冷却体(ヒートシンク)としても働くと有利である。このためには、たとえば支持体33の、発光ダイオード20とは反対の側の表面が複数の冷却リブを有している。支持体33は、たとえば銅のような良熱伝導性の金属を含有していると有利である。
【0095】
複数の発光ダイオード20(この実施例では3つの発光ダイオード20)と支持体33とは、嵌合ピン32によって互いに対して位置調整されていてよい。こうして、発光ダイオード20同士も互いに対して位置調整されている。嵌合ピン32は、別個の構成部分であってよい。その場合、支持体33および発光ダイオード20は切欠き、たとえば嵌合孔を有している。支持体33に設けられた嵌合孔と、発光ダイオード20に設けられた嵌合孔とは、同一の直径を有しているので、嵌合ピン32はそれぞれ互いに整合した両嵌合孔内にぴたりと係合している。
【0096】
さらに、嵌合ピンが支持体33に組み込まれた構成要素であることも可能である。すなわち、嵌合ピンは支持体33に機械的に固く結合されている。このことは、たとえば既に支持体33の製造時に行うことができる。その場合、発光ダイオード20のプリント配線板25は、これらの嵌合ピンを収容するために適した切欠き24を有している。
【0097】
また、嵌合ピン32が、発光ダイオード20に組み込まれた構成要素であることも可能である。その場合、支持体33には、これらの嵌合ピンを収容するための切欠きが設けられている。
【0098】
さらに、支持体33と発光ダイオード20とが嵌合マークによって互いに対して位置調整されていることが可能である。その場合、支持体33に対する発光ダイオード20の位置調整、ひいては発光ダイオード20相互に対する位置調整は、たとえば画像処理システムを介して行われ得る。このためには、嵌合マークが、たとえば発光ダイオード20のプリント配線板25に設けられている。これらの嵌合マークはカメラにより検出されて、支持体33に設けられた基準点に合わせて位置調整され得る。この基準点は別の嵌合マークであってよい。
【0099】
支持体33および発光ダイオード20に設けられた嵌合マークは、マーキングにより与えられているか、または照明装置の構成部分の特定の構成エレメントにより与えられている。たとえば、発光ダイオード20の特定の発光ダイオードチップ1がこのような嵌合マークを成していてよい。
【0100】
照明装置の本実施例では、これらの発光ダイオード20に1つの共通の光学的なエレメント30が後置されている。この光学的なエレメント30は、たとえば回折型(diffraktiv.)または屈折型(refraktiv.)のレンズである。このレンズは照明装置の全ての発光ダイオード20に後置されているので、全ての発光ダイオード20から発せられた光線に光学的なエレメント30によって影響が与えられる。
【0101】
光学的なエレメント30と支持体33とは、嵌合ピン31によって互いに対して位置調整されている。こうして、発光ダイオード20と光学的なエレメント30も互いに対して位置調整されている。
【0102】
嵌合ピン31は別個の独立した構成部分であってよい。しかし、嵌合ピン31が、支持体33および光学的なエレメント30のいずれか一方の構成部分に組み込まれた構成要素であることも可能である。その場合、それぞれ他方の構成部分は、嵌合ピン31を収容するために適した切欠き、たとえば嵌合孔を有している。
【0103】
有利には、発光ダイオード20と支持体33との相互位置調整および光学的なエレメント30と支持体33との相互位置調整の後に、発光ダイオード20は支持体33に機械的に固く結合される。たとえば、発光ダイオード20は接着、ねじ締結またはかしめ締結により支持体33に結合されていてよい。光学的なエレメント30も、位置調整過程の後に支持体33に機械的に固く結合されると有利である。
【0104】
図6aには、照明装置の第2実施例を示す斜視側面図が図示されている。図6bには、図6aに示した照明装置の斜視正面図が図示されている。
【0105】
図5aおよび図5bに示した実施例とは異なり、この場合、各発光ダイオード20にはそれぞれ1つの光学的または回折型のレンズである。光学的なエレメント30と、発光ダイオード20が固定されている支持体33とは、やはり嵌合ピン32によって互いに位置調整されている。
【0106】
さらに、光学的なエレメント30には、別の共通の光学的なエレメントが後置されていてよい(図示しない)。これにより、全システムが2段階光学系として設計されている。支持体33に対する付加的な共通の光学的なエレメントの位置調整は、嵌合ピンまたは光学的な画像処理システムによって行なわれ得る。付加的な光学的なエレメントは、たとえば以下に挙げる光学的なエレメントのうちの1つである:回折型の光学系、屈折型の光学系、反射型の光学系、ホログラフィ型の光学系。
【0107】
図7aには、前記照明装置の第3実施例を示す斜視側面図が図示されている。図7bには、図7aに示した照明装置の斜視正面図が図示されている。
【0108】
図6aおよび図6bに示した実施例とは異なり、図7aおよび図7bに示した実施例では、発光ダイオード20に光学的なエレメントとしてファイバ光学系30が後置されている。ファイバ光学系30の場合、発光ダイオードチップ1により形成された光線は導光体システム(Lichtleitersystem)のファイバに入力結合される。有利には各発光ダイオードチップ1が、ファイバ光学系の、当該発光ダイオードチップ1に一義的に対応配置された正確に1つのファイバに光線を入力結合する。ファイバ光学系30と支持体33とは、嵌合ピン32と、対応する嵌合孔とによって互いに対して位置調整されていてよい。
【0109】
図8aには、前記照明装置の第4実施例を示す斜視側面図が図示されている。図8bには、図8aに示した照明装置の斜視正面図が図示されている。
【0110】
この実施例では、少なくとも1つの発光ダイオード20が直接にリフレクタ34内に組み付けられている。複数の発光ダイオード20がリフレクタ34内に組み付けられていると有利である。たとえば、発光ダイオード20は嵌合孔を有している。その場合、発光ダイオード20は嵌合ピン32によってリフレクタ34に対して位置調整される。付加的に、リフレクタ34は嵌合ピンによって支持体33に対して位置調整されていてよい。
【0111】
リフレクタ34には、付加的な光学的なエレメント30が組み付けられていてよい。この付加的な光学的なエレメント30は、たとえば屈折型または回折型の光学的なエレメントであってよい。光学的なエレメント30は嵌合ピン31によってリフレクタ34に対して、ひいてはこのリフレクタ34に固定された発光ダイオード20に対して位置調整されていてよい。
【0112】
全ての実施例において、発光ダイオード20の少なくとも1つの発光ダイオードチップ1が、近赤外線領域の電磁的な放射線を放出するために適していることが可能である。赤外線−発光ダイオードチップにより発せられた放射線は、たとえば光学的なデテクタの使用下に自動車のナイトビジョン装置もしくは暗視装置において使用され得る。デテクタとしては、たとえばフォトダイオードが自動車のフロント範囲に取り付けられていてよい。たとえば、フォトダイオードは支持体33に固定されて、コンタクトされている。赤外線−発光ダイオードチップ1により発せられた放射線の赤色光線成分は、発光ダイオード20により発せられた白色光線の色再現値(Farbwidergabewert)を高めるために役立つことができる。
【0113】
本特許出願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102004052687.7号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願第102004056252.0−54号明細書の優先権を主張するものである。
【0114】
本発明は、図示の実施例に限定されるものではない。それどころか、本発明はあらゆる新しい特徴ならびにこれらの特徴のあらゆる組合せをも包含する。このことは特に、実際に特許請求の範囲または実施例に明示されているか否かにかかわらず、特許請求の範囲に記載の特徴のあらゆる組合せを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】発光ダイオードの第1実施例による発光ダイオード光学系を備えた発光ダイオードの概略的な断面図である。
【図2】非結像型の光学的な集光器の機能形式を説明するための概略図である。
【図3】発光ダイオードの第2実施例による発光ダイオード光学系の概略的な断面図である。
【図4a】発光ダイオードの第3実施例による発光ダイオードの概略的な斜視図である。
【図4b】発光ダイオード光学系を備えた発光ダイオードの第3実施例を示す斜視図である。
【図5a】照明装置の第1実施例を示す斜視側面図である。
【図5b】照明装置の第1実施例を示す斜視正面図である。
【図6a】照明装置の第2実施例を示す斜視側面図である。
【図6b】照明装置の第2実施例を示す斜視正面図である。
【図7a】照明装置の第3実施例を示す斜視側面図である。
【図7b】照明装置の第3実施例を示す斜視正面図である。
【図8a】照明装置の第4実施例を示す斜視側面図である。
【図8b】照明装置の第4実施例を示す斜視正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置であって、
−少なくとも1つの発光ダイオード(20)と、
−少なくとも1つの光学的なエレメント(30)と
が設けられている形式のものにおいて、発光ダイオード(20)と光学的なエレメント(30)とが、少なくとも1つの嵌合ピン(31,32)によって互いに対して位置調整されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
各発光ダイオード(20)に正確に1つの光学的なエレメント(30)が後置されている、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
複数の発光ダイオード(20)に1つの共通の光学的なエレメント(30)が後置されている、請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
光学的なエレメント(30)が、少なくとも部分的にファイバ光学系により形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項5】
発光ダイオードチップ(1)により発せられた光線が、対応するファイバ光学系の正確に1つのファイバ内へ入力結合される、請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
少なくとも1つの嵌合ピン(31)が、光学的なエレメント(30)に組み込まれた構成要素である、請求項1から5までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項7】
光学的なエレメント(30)が少なくとも1つの切欠きを有しており、該切欠きが、嵌合ピンを収容するために適している、請求項1から6までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項8】
光学的なエレメント(30)が支持体(33)に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項9】
少なくとも1つの嵌合ピン(31)が、支持体(33)に組み込まれた構成要素である、請求項8記載の照明装置。
【請求項10】
支持体(33)が少なくとも1つの切欠きを有しており、該切欠きが、嵌合ピンを収容するために適している、請求項8または9記載の照明装置。
【請求項11】
少なくとも1つの発光ダイオード(20)が、支持体(33)に組み付けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項12】
発光ダイオード(20)と支持体(33)とが、少なくとも1つの嵌合ピン(32)によって互いに対して位置調整されている、請求項11記載の照明装置。
【請求項13】
嵌合ピン(32)が、発光ダイオード(20)に組み込まれた構成要素である、請求項11または12記載の照明装置。
【請求項14】
嵌合ピン(32)が、支持体(33)に組み込まれた構成要素である、請求項11から13でのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項15】
発光ダイオード(20)が少なくとも1つの切欠き(24)を有しており、該切欠き(24)が、嵌合ピン(32)を収容するために適している、請求項11から14までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項16】
支持体(33)が少なくとも1つの切欠きを有しており、該切欠きが、嵌合ピン(32)を収容するために適している、請求項11から15までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項17】
発光ダイオード(20)と支持体(33)とが、少なくとも1つの嵌合マークによって互いに対して位置調整されている、請求項16記載の照明装置。
【請求項18】
発光ダイオード(20)が、少なくとも1つの発光ダイオードチップ(1)を有しており、該発光ダイオードチップ(1)に発光ダイオード光学系(4)が後置されている、請求項1から17までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項19】
発光ダイオード光学系(4)が、発光ダイオードチップ(1)により発せられた光線(3)の発散を減少させるために適している、請求項18記載の照明装置。
【請求項20】
発光ダイオード光学系(4)が、非結像型の集光器である、請求項18または19記載の照明装置。
【請求項21】
発光ダイオード光学系(4)が、少なくとも部分的に、以下に挙げる光学的なエレメントのうちの少なくとも1つの形に形成されている:CPC、CEC、CHC、切頭円錐体、円錐台形体、請求項20記載の照明装置。
【請求項22】
発光ダイオード光学系(4)が放射線入射開口(b)を有しており、該放射線入射開口(b)が、発光ダイオード(20)の発光ダイオードチップ(1)の全放射線出力結合面の最大2倍の大きさに形成されている、請求項18から21までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項23】
少なくとも1つの発光ダイオードチップ(1)が薄膜発光ダイオードチップである、請求項1から22までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項24】
請求項1から23までのいずれか1項記載の少なくとも1つの照明装置を有する自動車用のヘッドライト。
【請求項25】
照明装置を製造するための方法において、光学的なエレメント(30)と発光ダイオード(20)とを、嵌合ピン(31)によって互いに対して位置調整することを特徴とする、照明装置を製造するための方法。
【請求項26】
発光ダイオード(20)と支持体(33)とを、嵌合ピン(32)によって互いに対して位置調整する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
発光ダイオード(20)と支持体(33)とを、嵌合マークによって互いに対して位置調整する、請求項25記載の方法。
【請求項28】
位置調整のために光学的な画像処理システムを使用する、請求項27記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2008−518410(P2008−518410A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538261(P2007−538261)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001874
【国際公開番号】WO2006/045277
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Wernerwerkstrasse 2, D−93049 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】